Datasets:

---

zaibutcooler

/

animanga-dialogs

like 2

嘆きの美女＃08

1 (耶居子)<ｽﾄｰｶｰに監禁されていた 私を ３人が救ってくれた｡➡ でも 私が一番知られたくない事を バラされて…> (升本)嘆きの美女のｻｲﾄの 荒らしだって知ってんのか！➡ ﾊﾊﾊﾊ… こいつだよ！ 荒らしてんのは｡ あらららら｡ ♬～ (ﾕﾘｴ)う～ん おいしい～！ (玲子) 真奈美のお弁当の余りだけど 食べて 食べて｡ (優子) う～ん むっちゃおいしいけど ｶﾛﾘｰ高そう～｡ 今日ぐらい いいんじゃない？ どんどん食べましょうよ｡ そうね｡ 昨日は 朝から駆けずり回って➡ ｽﾄｰｶｰ撃退したり 警察の事情聴取まで受けて➡ すご～くｶﾛﾘｰ消費したんだもん｡ それに… あんな話まで聞かされて…｡ 私に言いたい事 山ほど あるんでしょ！ 言えばいいじゃない｡ 開き直ってるし｡ まずは 謝るんが 筋やと思いますけどね｡ あっ…｡ どうしたの ﾕﾘｴちゃん？ ﾏｽﾀｰﾄﾞ 塗り過ぎちゃった｡ もう～！ バカね｡ ﾊﾞｯｶじゃないの？ そう｡ 私がバカだったのよ｡ 陰で あんな ひどい悪口 書き込んでた人の事➡ ｽﾄｰｶｰ撃退してくれた恩人だなんて 思っちゃったりして…｡ そんな…｡ ﾕﾘｴさんは ちっとも悪うないですよ｡ そうよ｡ 小学校の同級生が そんな ひどい事するなんて➡ 想像すら しないもの｡ あんな卑劣な事してたくせに➡ 平気な顔して ここで お世話になってたなんてね｡ 私 この家 出てくわ｡ へえ～！ (ため息) 耶居子ちゃん！ 今日 燃えるゴミの日｡ 出しといて！ あっ よかった｡ 間に合ったね｡ あれ？ 私 どこ行くんだっけ…｡ あ～あ… ﾎｰﾑﾚｽか～…｡ ♬～(口笛) 乗ってく？ えっ？ フフ｡ はい｡ 早く着て｡ 早く｡ 急いで｡ 行くよ｡ もうちょっとよ｡ 27 28 29 30！ はい よく頑張りました～！ 30回 かむって やっぱり大変ですね｡ 意識しないと 忘れてしまいますわ｡ ねっ｡ あっ…｡ 嫌だ どうしたの？ 誰かさんったら➡ ｢これって修業なの？ 顎がｶﾞｸｶﾞｸなんですけど｣って➡ よく言ってたなと思って｡ そうね｡ ｢継続は 力なり｣よ｡ また みんなで頑張りましょう｡ (ﾕﾘｴ 真奈美)は～い｡ あの～｡ 実は 私…｡ まさか 優子ちゃんまで 出てっちゃうなんてね｡ 看護師として 知らない土地で 自分の力を試してみたいなんて➡ 偉いじゃない｡ 喜んであげなくちゃ｡ そうね｡ でも 金沢か｡ ちょっと さみしくなるな｡ (真奈美)ほら ママ｡ (玲子)うん｡ 実はね…➡ 宗佑さんから ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞされたの｡ えっ？ そうなの？ うん｡ [ 回想 ] 宗佑さん｡ 話って何？ (宗佑)あっ いや…｡ 玲子さん｡ はい｡ はい｡ ありがとう…｡ これからは 玲子さんと 僕と ま～ちゃんの３人で➡ 幸せの城を築いていきませんか？ あの城みたいに｡ あっ！ あ～！ あれ？ どうしよう… あれ…｡ ちょっと待ってて｡ はい…｡ え～!? ♬～ 僕と… 結婚して下さい｡ ほら｡ わ～！ お兄ちゃん 頑張ったんだ！ おめでとう 玲子さん｡ ありがとう ﾕﾘｴちゃん｡ じゃあ 玲子さんと ま～ちゃん…｡ うん｡ 宗佑さん ロスに新しい店舗出す準備で➡ しばらく 日本に 帰ってこられないっていうから➡ ついていく｡ ﾛｻﾝｾﾞﾙｽか…｡ みんな 旅立っていくのね｡ この つなぎって 一体 何なんすかね？ 似合ってる 似合ってる｡ 体 軽いでしょ？ 軽いって言うか 何て言うか…｡ あの～ こんな事 聞くの あれなんですけど➡ 一体 どこへ向かってるんですかね？ さあね～｡ ええ～!? (おなかが鳴る音) おなかが…｡ ん？ そうか｡ じゃあ そろそろ稼ぐとするか｡ さあ ご注目 ご注目！ ﾊﾞﾅﾅのたたき売りの 始まり 始まり～！ 始まり 始まり～！ じゃあ 600円から いくよ！ はい 600円 600円 600円で どうだ！ はい それじゃあ 550円で どうだ！ 550円！ 550円で どうだ！ (一同)高～い｡ しかたがないね～｡ 持ってけ 泥棒！ 450円で どうだ！ 持ってけ 泥棒！ 450円！ 43 42… え～い 持ってけ 泥棒！ 400円だ 400円！ 私 買う～｡ (２人)ありがとうございます｡ ♬｢この街は 広すぎる｣ ♬｢あ～ BIG CITY IS A LONELY PLACE ﾌｳ～ｯ｣ ♬｢桜吹雪に ﾊﾗﾊﾗすがり ﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗ｣ ♬～ 最高！ 何が？ いや こうやって 稼ぎたい時に稼いで➡ あとは 自由に旅を続けるって➡ 何か 最高にぜいたくな 生き方じゃないですか？ あっ これ お昼です｡ ほっほっほっほ｡ でもさ 自由って 本当は 悲しい事なんだよね｡ なんちゃって｡ ﾌﾌﾌ｡ ん！ 何 この おむすび！ お口に合いませんでした？ ううん すごいおいしい｡ これ ただの塩むすびじゃないね｡ ゴマ油と塩をつけて 握ってみたんです｡ ふ～ん｡ う～ん いいね！ ありがとうございます｡ いたいた 斎藤さん｡ 斎藤さ～ん｡ (優子)ﾛｯｸ！ ﾘﾊﾋﾞﾘ やりたくないって おっしゃってるそうですね｡ だって…｡ 出た｡ ｢でも ﾘﾊﾋﾞﾘなんて 痛くて つらいだけやし｡➡ だって 面倒くさいから｣｡ あなた 今 こう思ってるでしょ？ じゃあ 一緒に頑張りましょか｡ はい…｡ ｢皆様 私 今 なんと…｣｡ ﾕﾘｴさん？ (斎藤)また出てるよ｡ この人 人気あるんですか？ 知らないの？ 最近 ﾊﾞﾗｴﾃｨｰでﾌﾞﾚｰｸしてんだよ｡ 美人のくせに変な事すんだよね｡ ｢早速 頂いてみます｡➡ 食べてみます｡ これですよ これ｡➡ うわ～ どんな味がするんでしょう？｣｡ 食べた｡ ｢なかなか これが 意外や意外｡ いけますね～｣｡ (笑い声) (司会)ﾊﾟﾝｽﾄ相撲対決～！ よし！ よっしゃ～！ よし！ 負けねえぞ 負けねえぞ｡ 負けないわよ～｡ よし｡ (司会)勝負開始！ よし！ うう うお～ 強え！ え～ 痛い 痛い 痛い｡ よいしょ！ (２人)あ～！ 強え… 強え～！ 何だよ この強さ！ ｲｴ～ｲ！ マジで？ 全部 持ってかれちゃったよ｡ 結構いけると思ったんだけどな｡ すごいよね｡ あんな きゃしゃなのにさ｡ お疲れさま～｡ あんたさ かわいい顔してるのに よくやるよね～｡ いやいやいや｡ そうだ｡ 一緒に組まない？ えっ？ いいね！ ３人でやろうよ｡ え～？ (ｴｲｼﾞ)ﾕﾘｴ！ お待たせしました｡ 熱湯風呂の準備ができましたので よろしくお願いします｡ はい｡ あれ 奥沢ｴｲｼﾞでしょ？ ちょっと待ってて～！ 知り合いなの？ さあ 行こ 行こ｡ 知り合い？ いいな いいな！ すげえ！ 行きましょ 行きましょ｡ なおさら 組みたくなった～！ ﾌﾞﾚｰｸしてんじゃん｡ おかげさまで｡ 何か強くなったよ ﾕﾘｴ｡ とんでもない人と➡ とんでもない毎日 過ごしてたせいかな？ かもな｡ あっ そうだ｡ これ｡ ん？ 実は 俺 今 抱えてるﾚｷﾞｭﾗｰの仕事 全部 やめて➡ 世界のｷｵｽｸ 撮って 写真集 出そうと思っててさ｡ よく決心したね｡ あいつのせいだよ｡ すっごい写真 撮って ぶちかましてやりなさいよ｡ 一丁 ぶちかましてやるか｡ ねえ これ こんなに回るの？ うん｡ いつから？ 来週｡ あの～ すいません｡ ｻｲﾝ もらえますか？ あっ はい｡ もちろん｡ ﾎﾝﾄですか？ すいません｡ 大ﾌｧﾝなんです｡ 昨日のとこも よかったっすけどね｡ 久しぶりに野宿とかします？ ｽﾄｯﾌﾟ ｽﾄｯﾌﾟ ｽﾄｯﾌﾟ｡ ねえ あんた｡ あれ 出てみなよ｡ え～…｡ 豪華賞品だって｡ 私 欲しいな～｡ 料理 得意なんでしょ？ 私 やります！ 先輩のために 豪華賞品 取ってきます！ じゃあ 行きますね｡ うん 行っといで｡ 大丈夫？ うまい事 いけました｡ じゃ… あっ 先輩｡ 先輩…｡ あっ 私 ここで待ってる｡ えっ？ いいの ここが｡ ここで？ ここ すご～くいい｡ じゃあ 行ってきます！ うん 行っといで！ これは すごいわ｡ これは！ 今まで食べた事ない味ですよ！ はい それでは ただいまより 優勝者を発表します｡ 優勝は… ｼﾞｬｼﾞｬﾝ｡ 池田耶居子さんです！ やった！ おめでとうございます！ ありがとうございます！ 優勝 おめでとうございます｡ ありがとうございます｡ (司会)それでは 早速 優勝した池田さんに➡ 優勝賞品の授与を したいと思います｡ 優勝賞品は なんと 地鶏卵１年分 365個で～す！ はあ～｡ (拍手) 皆さん じゃあ 優勝した…｡ これね 食べてみて下さい｡ どうぞ どうぞ｡ お疲れさまでした｡ ありがとうございました｡ 耶居子さん｡ (ﾌﾗﾝｽ語で) 先輩！ やりました！ やりましたよ｡ これが 豪華賞品でした｡ わ～ やったね～！ あっ でも 次 沖縄で ﾋｰﾛｰｼｮｰの出演でしたよね？ どうしましょう… これ ゆで卵にして売っちゃいます？ あなたの旅は ここで終わり｡ えっ？ やりたい事が見つかったら 旅は 終わりなの｡ 見つかったでしょ？ あなたなら大丈夫｡ きっといい料理人になると思うよ｡ はい｡ 行きなさい｡ これも 持って｡ ♬～ 今日まで お世話に…｡ そういうのは いいから｡ それよりさ あなた 最近 嘆きの美女のﾌﾞﾛｸﾞ 見てる？ 見てないでしょ？ 見た方がいいと思うよ｡ 早く行って｡ 行って｡ じゃあね｡ あっ そうだ 先輩が…｡ ♬～ 参ったな～！ 参ったな！ 結婚？ やっぱ 地獄？ 俺 ﾊﾞﾂｲﾁなんで よく分かるんですけどね｡ 違うんだよ そういう事じゃないんだよ ｴｲｼﾞ君｡ ないんだよ｡ 結婚指輪が｡ 何が？ 明日 式だっていうのに ないんだよ 指輪が｡ まずいじゃないですか それ｡ まずいんだよ！ もう 人生最大のﾋﾟﾝﾁなんだよ！ この家の中にあるって事だけは 確かなんだ｡ ｴｲｼﾞ君 一緒に捜してくんないかな？ 嫌ですよ｡ (玲子)宗佑さ～ん！ はい！ どう？ すてき？ すてきです！ すてきです！ ﾄﾞﾚｽも すてきです！ ﾄﾞﾚｽ？ こうしてみると やっぱり かわいらしいな～｡ お肌のｺﾝﾃﾞｨｼｮﾝも最高！ そりゃあ 明日のために 半年かけて➡ 美しさに 磨きをかけたんですもの！ いや～ 玲子さん 今日も一段ときれい！ ﾋﾞｭｰﾃｨﾌﾙ！ ﾄﾚﾋﾞｱﾝ！ よかったね きれいなお嫁さんで｡ ねえ お父さん｡ おっと｡ 日本だからって 遠慮する事ないんだよ｡ いつものように呼んで 真奈美｡ ﾀﾞﾃﾞｨｰ｡ ﾏﾅﾐ！ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊｯﾊ～！ あの～… このｴｲｼﾞ君がね…➡ 皆さんに ちょっと言う事あるんですけど➡ このｴｲｼﾞ君っていうのが➡ ｺﾝﾀｸﾄﾚﾝｽﾞを 無くしてしまったっていうんで➡ 僕たち ２人で捜さなきゃ いけないんです これから｡ じゃあ 一緒に捜しましょか？ 大丈夫！ 大丈夫｡ ｴｲｼﾞ君と２人で捜すから｡ 大丈夫？ 大丈夫だから！ 玲子さん また後で｡ 大丈夫？ 大丈夫よ！ 早く行くぞ｡ 真奈美 そろそろ寝る時間よ｡ は～い｡ ママ きれいだよ｡ ありがとう｡ お休み｡ (一同)ｸﾞｯﾅ～ｲ！ 座ろっか｡ うん！ そういえば 玲子さん 宗佑さんに 整形の事 話さはったんですか？ えっ？ 話してないわよ｡ 聞かれてないもん｡ あら 嫌だ｡ (笑い声) ところで 連絡ついたんですか？ ううん｡ ﾕﾘｴちゃんがね 嘆きの美女のﾌﾞﾛｸﾞにね…｡ ｢ｼﾞｬｲｺに告ぐ｡ 顔 貸せや｣｡ 最高ですね｡ 見てくれてればいいんだけどね｡ まさか 親友の結婚式に 来ないつもりかしら？ 親友…｡ あの人も 私たちの…➡ そっか｡ 親友か｡ ≪ちょっと 手伝ってよ！ (３人)えっ!? ほら 早く！ もう～！ ねえ 何 それ？ 早く来てよ｡ いいから｡ いくよ！ だから 何 これ？ いくよ！ ｼﾞｬｼﾞｬ～ﾝ！ 何 これ～？ ｵﾑﾗｲｽ｡ 何で？ えっ？ えっ？ ちょっと｡ ｴﾍﾍﾍ｡ 何 書いてんの？ ほら｡ ｢祝｣やって｡ 結婚のお祝い｡ 食べて｡ いやいやいや だから 何で？ 駄目？ 結婚祝にｵﾑﾗｲｽ｡ まあ 冷静に考えて ないとは思うけど➡ じゃあ 全くないのかと言われると そうでもないような…｡ 卵 何個 使ったんですか？ 365個ですよ！ え～！ 何で また？ そんなに～？ うん 何だか おいしそう｡ ありがとう 耶居子ちゃん｡ じゃあ みんなで頂きましょうか｡ そうね！ 食べよう！ ちょっと待って お皿 持ってきたからさ｡ ちょっと 優子 取りなさい｡ あなたが一番年下なんですよ｡ すいません！ 分かってますか？ 相変わらず厳しい｡ はい お皿｡ どうする？ え～ これ どっから食べんの？ すごい！ えい！ すごいんだけど～！ 取ってよ ちゃんと｡ ちゃんと ﾄﾏﾄｹﾁｬｯﾌﾟ味に してますからね 下も｡ 大きいよ～！ でしょ？ ちょっと ここら辺を…｡ ちょっと すごいね！ 詰まってる｡ 詰まってるでしょ？ じゃあ…｡ (３人)頂きます！ (３人)う～ん！ おいしい～！ でしょ!? でしょ？ ほら！ ﾃｰﾌﾞﾙで食べよっか｡ おいしいね これ｡ うれしいでしょ？ はっ？ うれしいでしょって｡ はっ？ 何が？ だから➡ 私に久しぶりに会えて うれしいんでしょ？ ﾎﾝﾄ 相変わらずね｡ いい性格してるわ｡ はあ… 突っ込んでほしいんでしょ？ えっ？ だから 突っ込んでほしいんでしょ それ｡ ｢結婚式は明日なのに 何で ﾄﾞﾚｽ 今 着てんの？｣って｡ ﾚﾝﾀﾙじゃないんですって｡ ｵｰﾀﾞｰなんですって｡ だから？ たっぷり着てあげないと 損しちゃうじゃない！ はあ？ 分かんないかな～｡ 玲子さん ２度目でしょ？ １度目は ﾚﾝﾀﾙ｡ …で ２度目は 気合い入れてｵｰﾀﾞｰ｡ 真っ白にしようかしら？ だけども ２度目だし｡ それに年齢も考えると ｵﾌﾎﾜｲﾄがよろしいかしら？ …とか いっぱい悩んで 真っ白にしたと思いますよ｡ もうそろそろ 回数とか年齢の話は いいかしら!? そうですよ 耶居子さん｡ 耶居子さん｡ ﾎﾝﾄ… ﾎﾝﾄ 耶居子ちゃん どうかしてるよ～｡ ﾉﾝﾉﾝﾉﾝﾉﾝ！ どうかしてんのは ﾕﾘｴ あんただよ｡ 何が？ 随分 ご活躍のお様子ですけど➡ あんたの向かおうとしている先が 分かんないんだよ！ ｸﾊﾊﾊﾊ！ つまんない女になったね 耶居子ちゃん｡ 分かんないから面白いんでしょ？ えっ？ かあ～ ﾕﾘｴさん かっこいい！ ありがとう｡ で？ 耶居子ちゃん どうなのよ？ まあ… まあまあ…｡ まあまあ？ また 引きこもった？ 分かった 耶居子ちゃん｡ ロスにいらっしゃいよ｡ ｱｼｽﾀﾝﾄ募集中なの｡ あっ じゃあさ➡ 私のﾏﾈｰｼﾞｬｰやる？ 素質ありそうだし｡ やっぱり 手に職ですよ｡ 看護師の勉強してみません？ 私は 私らしく生きるの！ 何 それ？ 何かね 私の料理に 興味 持ってくれてる人がいてね➡ 今度 料理本 出す事になったんだ｡ う～わ！ それ 見本｡ 仕事が順調なのは 何よりよ｡ だって ほら 耶居子ちゃんみたいな子は➡ 結婚して永久就職みたいなｲﾒｰｼﾞ ないっていうかさ…｡ 結婚よりも そもそも彼氏もね…｡ [無線] 失礼｡ (ﾌﾗﾝｽ語で) (３人)ｼﾞｭﾃｰﾑ!? もう ﾋﾟｴｰﾙったら…｡ もしかして 今の彼氏？ ねえねえ 今 ﾌﾗﾝｽ語じゃなかった？ だって ﾌﾗﾝｽ人だもん｡ (３人)え～!? いつの間に？ 何か 恋って➡ 一瞬で落ちるものなのよね～｡ ﾌﾌﾌ｡ 何か 耶居子ちゃん 大人の女になってる｡ 何て言うのか… 愛され過ぎちゃうっていうのも➡ 何か 疲れちゃうっていうかさ 何て言うかな｡ ﾋﾟｴｰﾙってね 私がいないと 不安で不安で しかたない…｡ (３人)うわ～！ 聞いて｡ 料理本 出すのも ﾋﾟｴｰﾙが手伝ってくれたんだ｡ (３人)うわ～！ ねえねえ じゃあさ それって仕事も恋も順調って事？ まあね｡ 何それ!? 何か ちゃう！ じゃあ 待って… ちょっと…｡ 違うよね 耶居子ちゃんが…｡ ちょっと待って！ あのね！ あのね｡ ありがとう｡ 何よ それ｡ 嫌み？ 違うよ｡ いや あの… 何かさ…➡ 今の私があるのも 何か…➡ あんたたちのおかげっていうかさ 何て言うか…｡ 何か 私の人生 うまくいかないのは➡ 自分がブスに生まれたからだって 思ってたんだけど➡ 何か… あんたたちと 一緒に生活してみて➡ 最初は 正体 暴いてやろうって 思ってたんだけど➡ でも 何か みんな それぞれ 悩みがあって➡ それに向かって 努力してるっていうか➡ 何か そういうとこ 見たら 何か…➡ 自分が すげえ かっこ悪いけど➡ でも 一生懸命 頑張って やってみようかなとか思ったり…｡ ﾊﾞｯｶじゃないの？ 今頃 気付いたの？ 頑張ってるんですよ 私たち｡ そうやって すぐ調子乗るし！ もう～｡ 何なの それ～！ あっ！ そうだ！ ねえねえ 昨日ね 掃除してたら こんなのが出てきたの！ うわ～ 懐かしい！ お肌ﾁｪｯｶｰ！ 毎日 みんなで測ってたわね｡ 美女化計画とかいって！ ねえ 久しぶりに測ってみない？ ちょっと待って｡ やるの？ 私にやらして｡ ちょっと待って｡ いくよ！ うわ～！ やった～！ やった～！ ちょっと待って！ ちょっと待って 私 記念に一泳ぎしようかな～！ 何 バカな事 言ってんの｡ はっ！ まさかの まさかの➡ 肌年齢 38歳｡ おお～！ ええ～!? ちょっと待って｡ 私は？ ハッ… これ ちょっと壊れてるかも｡ 故障かな？ おかしいな それ｡ ちょっと何か…｡ 優子ちゃんは？ よし｡ あちゃ～…｡ やっぱ故障？ 何なの もう～｡ ほらね｡ はあ～…｡ ｴﾍﾍﾍﾍ ｴﾍﾍﾍ！ 冬ですよ｡ えっ？ 本気で泳ぐの？ ねえ 何で？ だって 一度 泳いでみたかったんだもん！ 行ってきま～す！ 絶対 おかしいですって！ ちょっと… もうちょっと その体 なんとかしてからにしなさいよ！ ﾎﾝﾄ 見てるこっちが悲しくなる！ …ったく 何なんだよ その 上から目線｡ だから美女は嫌いなんだよ！ よ～し お前たちに 一丁 ぶちかましてやるか！ (優子)ちょっと！ 何すんの！ (玲子)えっ？ 私 ﾄﾞﾚｽなんだけど｡ (悲鳴とﾌﾟｰﾙに落ちる音) (耶居子の笑い声) (王騎軍 兵達)ああ…！ (すすり泣き) (龐煖)うおっ…！ (王騎)う～ん…！ (龐煖)馬鹿な…｡ [ 心の声 ] 何なのだ 貴様…｡ き… 貴様は 一体 何者だ！ (王騎)ンフフフ｡➡

ピース・ボート～Piece_Vote～＃11

1 ♪♪～ （三浦）　この船はな 脇谷　優の計画なんだよ！ （天の声）　あなた達には 許されざる罪がある。 その罪こそ　現代の ７つの大罪なのです。 （雄山雄一） あなた方は　他人のための人生を 送って来たからだ。 そんなものは 本当の人生とは呼べない！ 脇谷　優を殺した真犯人を！ （岩見サキ）　違う…　私は違う。 違う…。 （三浦）　俺に　同調の罪なんかねえ。 俺は　この船の計画に 金を出しただけだ！ ただ　それだけだ！ （脇谷　秀）　どっちが殺したんだ！ いってくれよ！ おい　雄山！　ウソつくのも いいかげんにしろよ!! ウソなんかついていませんよ 三浦さん。 あなたの問題はね→ この計画に　なぜ　あなたが 加勢したかということなんですよ。 さぁ　その罪と向き合う時間です！ （三浦）((頼むよ　お前と俺　組めば 百人力だろ？)) ((絶対　損させないから…　な？)) あなたは　自分が　この計画に 声をかけられなかったことに→ 恐怖した。 自分のライフラインである　脇谷　優に 捨てられたのではないかと。 そんな思いから　本心では 嫌で仕方がなかった　この計画に→ 乗ることを決意した。 しょうがないだろ！ 戻るのが…。 戻るの…　もう嫌なんだよ！ ((おい　待て！　泥棒)) ((おい　やめろ！)) ((あぁ…！)) （泣き声） （三浦）　お前らに分かるか？ 本当に　金のない人生を送る孤独。 お前らに分かるか？ （三浦）　毎日　惨めに…。 不安に過ごすのは　もう嫌なんだ。 だったら 何が何でも　役割つくって→ 不本意でも　それに　ついてって しがみつくしかないだろ！ そうですよ！　そうやって 不安や恐怖に駆られて→ 自分の本意ではないことに 乗ることこそ　あなたの罪！ あなたのような同調人間は→ 自分を偽ってしか 生きられないが故に→ どんどん落ちて行く。 それこそが 現代の同調の罪なのです。 同調することが 何が悪いっていうんだよ！ （三浦）　この世界には 何十億もの人間がいるんだよ！ 誰かが誰かの意見に乗らなきゃ 何も　まとまらないだろ！ なぁ！　頼むよ　助けてくれよ。 どうしたらいい？ なぁ　教えてくれよ。 なぁ　俺にくれよ！ 生きるための正解を　役割を…。 頼むよ！ 三浦さん。 それほどまでに　役割が 欲しいというのであるならば→ あなたの そのタトゥーに秘められた→ 脇谷　優殺しにつながる 真実を語るという役目を→ 与えましょう。 このタトゥーには 何の意味もねえよ！ それが　あるんですよ。 重大な意味がね。 昨今　有名動画サイトなどは→ 過去の動画を 番号によって管理しています。 そこで 三浦さんのタトゥーの番号を→ ある　秘密の動画サイトに 打ち込むと…。 [外:2692D249344E327A98F6619F29ACE230]（三浦）　頼むよ。 俺達の部屋だ。 [外:2692D249344E327A98F6619F29ACE230]（三浦） 絶対　損させないから…　な？ これは この船が出港する少し前に→ 隠しカメラを私が設置して 撮影したものです。 脇谷さん。 兄を殺すことになる人の 恐ろしい姿をご覧ください。 [外:2692D249344E327A98F6619F29ACE230]（三浦）　なぁ　この船の計画の 成功を祈願して→ これから１杯　行かないか？ [外:2692D249344E327A98F6619F29ACE230]（脇谷　優） まだ　作業　残ってますから。 [外:2692D249344E327A98F6619F29ACE230]　いいじゃないですか １杯ぐらい。 （雄山の声） そう　この日は　脇谷　優が→ １人で作業をする予定の日だった。 すると　ここに 誰が現れたと思いますか？ ♪♪～ ♪♪～ おい。 おい　あんた。 （三浦）　何だ？ やっぱり　お前じゃねえか。 痛ったい！　おい！ いよいよ 真犯人に近づいて来ましたね。 三浦さん あなたの役目は　もう終わりです。 おい　俺を独りに… おい　俺を助けろ！　助けてくれ！ （三浦）　なぁ　おい　やめろ！ 脇谷さん。 岩見さんを　煮るなり焼くなり どうぞ　ご自由に。 （三浦） おい　やめてくれ！　おい！ ねぇ。 もう全部　隠さないで話してよ。 あんたが兄貴を殺したんだろ？ 私は…。 優さんを殺してはいません！ もう　ウソは聞き飽きたよ。 あの動画も　誰もいない部屋に 私が現れただけじゃないですか。 んなこと 信用できるわけないだろ!! あの動画も　誰もいない部屋に 私が現れただけじゃないですか。 んなこと 信用できるわけないだろ!! ((あのコ　ダサくない？)) （サキの声）　私の人生は→ 欲しいものなんて ろくに買えない人生だった。 ((ねぇ　あのコ　ダサくない？)) ((うわ～　ダッサいな)) ((行こ行こ)) ((ダッサ)) ((ダセェ)) （サキの声） あの刺さるような視線は→ 一生　浴びたくない！ 誰かのマネをして→ 自分が周りから はみ出さないように→ 誰かと違うことをして→ 矢面に立つようなことが ないように…。 だって…！ この世の中で　一人の人間として 扱われるには→ みんなが好む　流行りの服→ 流行りの音楽の中で生きるのが 最低限のチケットだから！ もう　いいかげんにしろ!! どうにか　そうやって 同調して来た私も　唯一…。 優さんといる時だけは輝けた。 ♪♪～ あの日までは。 それを…。 優さんが…。 優さんが…。 全部　壊した。 ((優さん？)) ((この計画ってさ→ 本当に正しい　やり方なのかな？)) ((私は 優さんが正しいと思うなら→ それは　正しいことだと信じてる)) ((そうか…)) 私は　優さんの悩みを ちゃんと聞いて→ 頷いてあげた。 なのに　あの人→ 私のことを　私のことを…。 私のことを捨てた！ ♪♪～ 「ねぇ　優さん？ 私を捨てるなんて→ あなたは　間違えてるよっ」。 …って　教えてあげなくちゃ。 だって…。 私は→ 優さんの考えに　全て頷いて→ 正しいと信じて　生きて来た。 この世の中で→ 私以外に 優さんを分かる人なんていない。 これを　教えてあげれば…。 優さんは→ 私が大切だと気づくはず。 フフフ。 そんなことで？ でも　私には　できなかった。 私は　自分の計画をやり抜く 自信なんかない。 私が　何かをやっても 破滅するだけ。 じゃあ…。 私は　どうやって 生きて行けばいいの？ （拍手） 教えてあげましょう。 あなたの進むべき道を。 それはね あなたの「１４１７」という→ そのタトゥーの中に 眠っているのですよ。 それは　あなたの私物。 その中の　あるものの番号。 「１４１７」を押せば それが分かる。 ケータイ？ そう　「１４１７」は→ ケータイから　留守番メッセージを 確認する時の番号。 その中に残されているのは 脇谷　優の最後の言葉。 「最後」？ どうぞ　お試しを。 ♪♪～ ♪♪～ [TEL]（操作音） ♪♪～ [TEL]（留守電：優）　サキ。 [TEL]（操作音） [TEL]（留守電：優）　サキ。 優さん…。 [TEL]（留守電：優）　どうしても君に 伝えたいことがある。 ((俺…→ やっぱり　船の出港は 中止にしようと思うんだ)) ((今は　ただ　君に謝りたい)) ((俺が　君に別れを告げたのは→ 君のせいなんかじゃないよ)) ((でも…)) ((今の君とは 一緒になることは　できない)) [TEL]（留守電：優）　俺のせいで→ 君は　ダメになってしまう。 ((もう　嫌なんだ)) ((そんな人を見るのは)) ((悪いのは　全部　俺だ)) ((冷たい言い方に 聞こえるかもしれないけど→ 俺は→ 心から　君の幸せを願ってる)) そんな…。 確かに　あなたは 脇谷　優を殺してはいません。 でも　あなたの同調の罪は→ 大変な間違いをしてしまった。 岩見さん あなたが同調したりせず→ 優の計画に反対していれば→ あなたは　脇谷　優と 別れることは　なかった。 それより　何より→ 脇谷　優が死ぬことは　なかった。 （泣き声） 私のせい…。 （泣き声） どうですか？　岩見さん。 自分を偽って　ひとに同調している 人間の得るものは→ 絶望だけですよ。 （泣き声） サキさん…。 あなたが疑っていた 凶器の型番号と→ 岩見さんの タトゥーのナンバーとは→ 全く別の意味だった。 岩見サキさん　あなたは　この船に 残る必要性は　なくなりました。 さぁ→ あなたには この船からの下船を認めます。 脇谷さん　しばしのお待ちを。 ♪♪～ （扉が開く音） さすが　脇谷　秀さん。 命懸けのオークションに出品する 品物を選んでるんですね？ 僕の罪が告白できないなら→ ゲームを続けるって いいたいんだろ？ この　人殺し。 どうせ　笑ってるんだろう。 全ての計画が思い通りに行って あんた　大笑いだろ？ 脇谷さん。 この世の中→ みんな　仮面をかぶって 生きてるじゃありませんか。 人々は　全て→ 仮面の下で涙を流しながら 生きているじゃありませんか。 何　いってんだ。 何ひとつ　思い通りになんか 行っていませんよ。 脇谷さん。 あなたに　１つだけ→ 私の　ちっぽけな人生の中で→ 学んだ真理を伝えます。 それはね　全てのことにおいて→ 思い描いた通りに→ 計画通りに行く人間なんて→ この世には いないということです。 問題なのは→ 長くて苦しい人生を→ その中で　人は　どこまで→ 思い描いてなかった人生に→ 耐えられるのか ということなんです。 もう　いい！　もう…。 もう　だからさ→ 本当のこと教えてくれよ。 本当のことか…。 じゃあ　話しましょうか。 私　この船に乗る前→ 監房で　あなたに 最初に出会った時と同じように→ ホームレスとして 人生を過ごしていました。 私は　この世の中を恨んでいる。 この社会に生きる人々　全てが 許されざる罪…→ そう 無自覚の罪を犯していながら→ のうのうと→ のうのうと生きてる　ケダモノだ。 己も罪人でいながら→ ほんの少しだけ自分より→ 社会のルールから外れている 人間を見下して生きてる。 そんな時でした。 脇谷　優と出会ったのは。 兄貴と？ ある日　ホームレスの私は 公園で　偶然にも→ 脇谷　優と出会ったんです。 私と優は→ 同じ怒りを持っていることに 気づきました。 脇谷　優は　こう　いいました。 「それなら　罪に無自覚な 許されざる人々を→ 罪に向き合わせては　どうだろう」。 この船のことです。 何で　僕まで　船に 乗せられなきゃいけないんだ。 そろそろ 私と　あなたの共通点を→ 明かすべき時かもしれませんね。 来てください。 脇谷さん。 あなたに　いくつか重要なことを お伝えしておきましょう。 まず　１つ目は→ 優を殺した人間を 暴くことができれば→ あなたは　この船から脱出する→ 重要な鍵を 得ることができるでしょう。 あなた この仮面をかぶった人間が→ 脇谷　優を殺害したと 決めつけていましたが→ それは　正解ですか？ 脇谷　優を殺した人間は→ 果たして　この船に 乗っていたのであろうか？ さぁ　ますますの混乱の中で→ どうやって 真実をつかみ取りますか？ いや…　もう→ もう　無理だよ。 僕には　分からない。 脇谷さん。 私が　最後に 言い残しておきたいことは→ あなたの罪についてです。 どうですか？ その罪に気づきましたか？ 脇谷さん！ そんなの　もう とっくに分かってるよ！ 誰が見たって　僕の罪は→ 全てを諦めて 諦観してることだろ？ 僕は　今まで　ずっと→ 「兄貴の脇役でいい」って 言い続けて生きて来たよ。 それが　僕の罪だよ。 そうですよ　脇谷さん。 でも それに気づいたからといって→ 全てが　終わりというわけでは ありませんよ。 どういうこと？ 私にも　あなたと同じ 現代の最大の罪がある。 それが　この世の全てを諦めて→ 諦観してるということ。 この船では→ ある者は　傍観の罪を責められ→ 虚勢を張るあまり→ 窮地に陥る者。 そして→ 同調の人生を送るあまり→ 破滅を迎える者も。 そして　諦めてしまう 私という存在と　あなた。 私の人生を踏みつけて来た→ これら愚か者達への最後の復讐。 それが→ 私にとっての ピースボートなのです。 残る復讐は→ 私自身への　けじめ。 では。 いや　ちょっと　待って　待って 「最後」って　どういうこと？ ねぇ　ねぇ…　ねぇ！ そうだ～！ 脇谷　優への 何か　伝言はありますか？ そういうの　いいよ ねぇ　やめようよ！　ね？ 脇谷　秀君。 さよなら。 ちょっと　待って… ねぇ　待ってって！　ねぇ！ おい　やめろって！ （銃声） ♪♪～ いや…。 あ…。 ハァ　ハァ…。 あっ　あ…。 あぁ　あっ　あ…！ あぁ～…!! あっ　あっ　あぁ～…!!

夏の恋は虹色に輝く＃01

（大雅）＜ムハマド・アリの　こんな 言葉を　聞いたことがあるかな＞ ＜「チャンピオンになったら 古いズボンをはき→ 汚い帽子をかぶって ひげを生やして→ そして　僕が 僕であるということだけを→ 愛してくれそうな 女の子を　見つけるまで→ 道を　歩き続けるんだ」＞ ＜僕も　そう願う＞ ＜僕も　僕を…。 僕自身を　愛してくれる→ 女の子を　見つけたい＞ ＜ずっと　そう思ってきた＞ ＜そして　２６年目の夏 ようやく　見つけたんだ＞ ＜君を＞ （歓声） （司会者）それでは　いよいよ 最優秀主演男優賞の発表です。 ♪♪（ドラムロール） （石坂）本年度の 最優秀主演男優賞は…。 『永遠の楽園』　楠　航太郎さんです。 （拍手） （司会者）おめでとうございます。→ 楠さんは　テレビドラマ 『江戸に咲く・風の銀次郎』シリーズで→ 長年　お茶の間に親しまれ また　日独合作映画→ 『ブルームーン』で　バルセロナ国際映画祭 銀の兎賞を受賞。→ 今　名実共に 日本を代表する　俳優です。→ 楠　航太郎さんから 一言　頂きます。 （航太郎）ええー。 （航太郎）ありがとうございます。→ 全スタッフ。 素晴らしい　共演者。→ そして　わたしの俳優生活を 長らく支えてくれた　家族に→ 心から　感謝をしたいと思います。 （リポーター）ええー　会場には 奥さま　真知子さま→ そして　ご家族の方が いらっしゃっております。→ おめでとうございます。 （真知子）ありがとうございます。→ とても　誇らしく もう　胸がいっぱいで。 航太郎さん。　おめでとう。 （リポーター）ええー　そして　お隣には 息子さんが　いらっしゃっております。 お話　伺ってみたいと思います。 いかがですか？ （大雅）あっ。→ もちろん　うれしいです。 父が　このような賞を頂けたことはとても光栄ですし。 はい。　いつか…。 （リポーター）はい。→ ありがとうございました。 本当に　おめでとうございます！ （司会者）楠　航太郎さんに もう一度　大きな拍手を！ （拍手） ハァー。 ≪（譲）いいよな　二世さんは。 （譲）映画に １回も　出たことなくても→ 親のおかげで こんな華やかな場所に→ 来られるんだからさ。 どういう意味だよ？ （譲）いや。　うらやましいだけだよ。 大雅君と違って　僕みたいな ほら　後ろ盾のない　俳優は→ 実力で やっていくしかないからね。 おい。 お前　何の嫌みで　そういうこと…。 ≪（マネジャー）譲！ （譲）はい。 申し訳ない。　新人賞の取材なんだ。 いや。 あげない　あげない　あげない。 じゃあ　まあ。　また　そのうちね。 二度と　会いたくねえよ。 すいません　ビール。 じゃなくて　ウーロン茶。 （男性）はい。 かしこまりました。 ハァー。 ＜これが　俺。 楠　大雅　２６歳＞ ＜今の　俺の　人生だ＞ ハァー。 ＜俳優　楠　航太郎と 女優　姫島　真知子の→ 次男として　誕生＞ （インタビュアー）《大貴君と　大雅君は 将来　何に　なりたいのかな？》 （大貴）《そうですね。 公務員がいいかな》 （大雅）《僕　絶対　俳優！ 俳優になりたい！》 （インタビュアー）《どんな俳優さんに なりたいの？》 《お父さんみたいな カッコイイ俳優になりたい！》 《それでね 悪いやつらを　やっつけるんだ！》 ＜子供のころから マスコミの餌食になり…＞ （児童）《まねしてみてよ！ 銀さんの　まねしてみて！》 《「人生　風のごとく」》 《「生きるも死ぬも 風の吹くまま　気の向くまま」》 《「やあ　愉快　愉快」》 （児童たち）《ハハハハハ！》 （児童）《だっせえ！ ホントに　やったよ。　帰ろうぜ！》 ＜小学校　中学校と いろんな人間に　指を指され→ あるときは いじめに　遭いながらも…＞ （航太郎）《はい。　いきました》 ＜高校生になっても→ 俳優になりたいという 夢は変わらず→ 卒業と同時に　演技の修業のためにニューヨークに留学＞ ＜まじめに勉強して　帰国後→ 親父の　個人事務所に 所属したものの→ オーディションには　落ちまくり 仕事も　ほとんど　なく→ 主な仕事は　バラエティーばかり＞ ＜常に　父の栄光の裏に隠れ 誰にも　注目されず→ ２６になっても　まだ 親の世話になり続ける→ 果てしなく　ニートに近い 情けない毎日＞ 大雅。　お肉 もうちょっと　ちょうだい。 はい。 （航太郎）やあ　愉快　愉快。 ハハハハ！ （真知子）ウフフ！ 俺　あいつと別れた。 （慶太）えっ！？　マリカちゃん！？→ かわいかったのに！ 許せなかったんだよ。 あいつの箸の使い方が。 握り方が　間違ってんだよ。 食べ物　箸で　つかむときに→ 箸の先が　クロスしてんだよ！ クロス！ 何回も　「直せ」って 言ったんだよ　俺は。 「１９年も　日本人　やってんだから その握り方は　ないだろう」って。 そしたら　そのたび　「それじゃ マリカ　何も食べれない～」 相変わらず　細かいな　お前は。 だって　箸は 日本人のたしなみだろ　お前。 （女性）ねえ　ねえ。　あれ　見て。 別に　いいよ。　あんな…。 （女性）メアリー植野の 息子じゃない？ （女性）やっぱり。 二世俳優の人。　植野　何とか。 （女性）嘘！　すごーい！ 隣の人は？ （女性）うーん。 全然　分かんない。 （女性）あっ！　青　青！ （女性）行かないと。 （女性）超　ウケるんですけど！ （女性）ねえ！ （女性）もっと　見たかったー！ （女性）芸能人かー。 （女性）カッコイイなー。 （女性たち）ねえ！ ≪（クラクション） （慶太）まあ いつものことだけどな。 いや　お前はいいよ。　お前のことは名字だけ　分かってたし。 俺なんか　顔も 分かんなかったんだよ。 （慶太）お前　バラエティーで 愛想が　なさ過ぎるんだよ。 誰も　知らねえんだよ。 俺のことなんか。 俺は　生まれた瞬間から 「楠　航太郎の息子」で→ それから　２６年　俺という人間の アイデンティティーは→ 奪われ続けてきたんだ。 （慶太）まあ　まあ　まあ…。→ 今日も　一発　飛んで すっきりしようぜ。 （大雅・慶太）よし！ せーの。→ ホォー！ ホホホ…！　ハハハハハ！ （慶太・大雅）よし。 （慶太・大雅）ホホホ…！ ハハハ！ （大雅・慶太）ウォー！ ヤッホー！→ ウォー！　ヤッホー！ （慶太）オーッ！　ハハハ…！ ウォー！　ウォー！　ウォー！ ウォー！　ヤッホー！ （慶太）ウォー！　ウォー！ ウォー！　ウォー…！ イェイ！　ウォー！ （慶太・大雅）ハハハ…！ ハハハ！　最高！ （慶太）ウォー！ （慶太）よっ。　ウォー！ よし。 （慶太）ウオッ！　ウォー。 最高。 （慶太）あー。　ハハハハ。 うん？　えっ？ （慶太）うん？　えっ？ あれ？　あれ？ （慶太）えっ？　うん？ ちょっ。　おいおい。　コントロール。（慶太）えっ？ おおおー！ おおおおおー！ （慶太）おーい！　おーい！ おおおーっ！ どこ　行くんだ？ どこ　行くんだよ？　俺。 今　普通に スピード　車並みだろ。 高度　１，５００フィート。 このまま　落ちたら どうなんの？　俺。 はあ！？　海！？ えっ？　何だ？　これ。 どこだ？　ここ　どこだ！？ っていうか　どこ　行くんだ！？ おい！　おい！　おーい！ まずいぞ。　まずい。 海は　かなり　まずいだろ。 海なんか　落ちたら どうなるんだよ！？ ギア　１０ｋｇ以上あんだぞ！ もう　寒いし　重いし ライン　絡まったら　絶対　沈む！ 溺死？　やめろ。　やだよ。 まだ　死にたくないし。 っていうか　俺は　まだ 何も　なし得てないし！ おりゃ！　うん！ うっ！　うっ！　うっ！ おおおおー！ 海も　まずいけど　人の家に 落ちるのも　かなり　ヤバい。 ヤバい。　落ちる。 ヤバい　ヤバい　ヤバい。　死ぬ。 ヤバい。　ヤバい。 まだ　死にたくない。 やめろ！　やめろ！ やだ！　死にたくない！ やめろ！　落ちないで！　頼む！ やだ！　頼む！　やだ！ うおーっ！ ぐわーっ！ うおおおー！ ≪あの　すいません！　ちょっと！ あっ。　上！ 上です　上！　ここ！ ここ！　こっち！ ここ！　ここ！　ここ。 （詩織）自殺…。　ああーっ！ いや　違います。 俺　まだ　死にたくないし。 あっ。　そうですか。 よかった。　ハハハ…。 いや。　ちょっと　待って。 待って！　助けてよ！ 困ってるんですよ。 ああー。　じゃあ　警察に連絡を。 えっ！？　警察！？ いや　警察は　ちょっと。 えっ？　どうして？ どうしてって…。 いや　まずいんだよ。 警察　呼んだなんて　バレたら マスコミに　何て言われるか。 はい？ いや。　いいから　助けてよ。 警察以外の方法で。 痛てて。　ここ…。 ここが　食い込んできてて。 すげえ　痛くなってきたんだけど。 どうしたらいいんだ　これ。 あのう。 わたし　急いでるんで。 待ってよ！　そうだな。　例えば 近所の人に　はしごを借りるとか。 それか　高さのある車で 助けに来てもらうか。 あっ。　電話して 誰か　呼べばいいのか。 っていうか さっさと　決めてもらえません？ さっきから　１人で ぶつぶつ　ぶつぶつ。 早く　どうしたいのか　決めてよ！ わたし　急いでるんですってば。 何だよ。 人が　困って　相談してんのに。 だから　わたしだって　立ち止まって 話　聞いてるじゃない。 俺だって　どうしたらいいか 分かんないんだよ！ 俺は　ただ　こっから 早く　下りたいだけなんだよ！ 分かった！　分かりました。 下りられればいいのね？ 下りられれば。 よっ。 あっ？ ほい。 えっ？　ちょっと。 何やってんの？ ハァー。 おおっ？ おいおい。　ちょっ…。 揺らすなよ。　危ないだろ。 たぁ…。 いちいち　うるさい男だな。 ホントに。　ハァー。 じっとしててね。 えっ？ ほいと。　それ。 ねえ　ねえ。　切ってるよね？ 切ってるよね？　どうすんの？ よっ。 ねえ。　どうなんの？　ねえ。 ちょっと。　ちょっ　ちょっ…。 危ない　危ない。　えっ？ 落ちるよ。　落ちるよ。 ねえ。　落とすの？ よいしょ。 ちょっ　ちょっと。 はい。 やだ！ いい…。 マジで！？ えいっ！ うわっ！？ あっ。　ハァー。 人騒がせな。 えっ！？　う…　嘘。　よいしょ。 よいしょ。　よっこいしょ。　よっ。 大丈夫ですか？ もしもし。　もしもーし。 ああっ！　やだ！　あっ。 ちょっ。 しっかりして。 しっかりしてくださーい！ ああっ！　起きて。 起きてください。　起きてー！ 痛っ。　痛　痛　痛…。 起きてー。 痛っ。　起きてるよ！ よかったー。　びっくりした。 痛ぇー。 アハハハ。 痛ぇな　もう！　顔　殴んなよ！ はい？ 顔は　やめろよ。 腫れたら　どうしてくれんだよ！？ ったく。　痛ぇー。 すげえ　ひりひりする。 でも　意識が　ないのかなと思って 心配して。 っていうか 知らないわよ　そんなこと。　何よ。 人が　せっかく　助けてあげたのに 顔ばっか　気にして。 助けるんだって もっと　やり方　あんだろ！ あなたが　ぶつぶつ言ってて 何の方法も→ 考えつかなかったから こんなことに　なったんじゃない！ はあ？ わたしは…。　ハァー。　そう。 わたし　急いでたのに！ えっ？ えっ？　ちょっ。 ちょっと　待ってよ！　おい！ おい！　ちょっと　待てって！ 置いてく気かよ！？ 置いてく気でーす！ こんなところで　俺 どうしたら　いいんだよ！？ っていうか　ここ　どこ！？ 携帯もないのに！ 向こうに　真っすぐ　３０分ぐらい 歩けば　駅がありますから！ こんな格好で 駅なんか　行けないよ！ 嘘だろ？ 最悪だ。 ああっ！　あっ！　うっ！ ああー。　海だ。 ああー。 何て　生意気な女なんだ。 ああー。 ＜そう　つぶやきながらも　僕は→ もう　この日から　二度と 会えないかもしれない　君に→ 恋に落ちていた＞ ♪♪～ （青木）結果から言うと　今回の オーディションも　駄目だった。 えっ？　今度は いい線　いってると　思ってたのに。 （青木）伊良部　譲って　いただろ。 この間　新人賞　取ってた。→ あいつに　決まったんだよ。 あいつかよ。 （青木）これで　また １カ月　仕事はない。 おはよーっす。 （青木）おい。　バラエティー　入れるぞ。→ それなら　まだ どうにか　ねじ込める。 でも　青木さん。 俺　バラエティーで→ 親の七光の　バカ息子みたいな トークするの　もう　嫌なんですよ。 （青木）親の名前なしに　仕事なし。 それが　今の　お前の実力だよ。 ねえ？　青木さん。 俺　何が　駄目なのかな？ 泣きの芝居が　いまいちだから？ それとも　映像だと 芝居　濃過ぎる？ もっと　こう　ナチュラルにさ…。 いや。 お前が　よくねえのはな 頭でっかちなとこだよ。 そうかな？　髪形　変える？ ８頭身に　見えるように。 そうじゃないよ。 何ていうかなぁ。 まじめ過ぎんだよ。　まじめで 何でも　頭ばっかで　考え過ぎる。 でも　ニューヨーク芸大の ドナルド教授も→ メソッドが　大事だって 言ってたし。 アホか！ 大学なんかで　勉強したことが→ 実践で　一番　役に立たないのが この演劇なんだよ。 メソッド演技も スタニスラフスキー理論も→ 一切　忘れろ。 大事なのは こっちじゃなくて　こっち。 えっ？ （青木・大雅）こっち。 ≪（鳩間）何ですって！？ （鳩間）大変です　社長。 （青木）何だよ　鳩間さん。→ 面白い顔して。 （鳩間）こ…　航太郎さんが。 航太郎さんが 現場で　倒れたと。 （青木）どこだよ？ 病院　どこだよ！？ 父さん。 （真知子）大雅。 （真知子の泣き声） 父さん。　父さん！ 父さん！ えっ？ 「人生　風のごとく」 「生きるも死ぬも 風の吹くまま　気の向くまま」 シャシャッ！　キーッ。 「やあ　愉快　愉快」 なっ。 はっ？ （真知子・大貴）ププッ。 ハハハハハ！ （大貴）かっ…。　だまされた！ （真知子）大雅ったら 慌てちゃって。 （真知子・大貴）アハハハハ！ 何だよ！　だましたのかよ！？ （航太郎）いやいや。　参ったよ。 決めぜりふの前の　大立ち回りで くらっときて　転んじまってさ。→ この　ありさまだ。 （志賀）捻挫だそうです。 （青木）だったら 電話で　そう言えよ！ （真知子）航太郎さんがね あんなに大げさに　倒れたのに→ ただの捻挫だなんて　恥ずかしくて言えないって　言うから→ じゃあ　みんなで 一芝居　打ちましょうって→ わたしが言ったのよ。 （大貴）そうそう。　そうなんです。 ふざけんなよ。　どんだけ 心配したと　思ってんだよ。 よし！　俺たちは　退散しよう。 航太郎さん。　取りあえず スケジュール　調整しますんで→ ゆっくり　休んでください。 （航太郎）申し訳ないけど→ よろしく頼むよ。 （青木）はい。 （航太郎）うん。 （青木）失礼します。 （真知子）どうも。 （志賀）あっ。　お疲れさまでした。 （青木）お前もだよ。 （志賀）あっ。　失礼します！→ 失礼します。 （大貴）フフッ。 ああー。　楽しかった。 （真知子）ハァー。 （航太郎）なあ。→ ４人　揃うの　久しぶりじゃない？ （真知子）そうねぇ。→ たまには ご飯　食べに　いらっしゃいよ。 （大貴）うん。 （真知子）あっ　そうだ！ この間ね→ 大雅　久しぶりに ドラマに出たのよ。 （大貴）あっ　そうなんだ？ （真知子）うん。 （大貴）言えよ。 言わないよ。 あんな　ちょっとの役。 （大貴）今のクラス 大学　卒業したばっかの　新人が→ 副担任なんだけどさ 指導に　手がかかる　かかる。→ 顔は　カワイイんだけどね。 （真知子）あら！→ カワイイんだったら もう　指導なんかしないで→ 早く　お嫁さんにしちゃいなさいよ。（航太郎）ハハハ。→ 母さん。　それは ちょっと　気が　早過ぎるだろ。 （真知子）だって　早く 孫の顔　見たいんですもの。 （大貴）いや。　まあ　でも 僕の　嫁さん探しは　大変でしょ。→ 何たって　ほら。→ お嫁さんにしたい女優　ナンバーワンの 母親がいるんだから。 （真知子）嫌だ。　もう　やめてよ。 昔の話でしょ。 （航太郎）しかも　３年連続だぞ。 （真知子）嫌…。 （航太郎）やあ　愉快　愉快。 （大貴）実際　どんな感じだったの？ （航太郎）いや。　今も昔も ちっとも　変わらないよ。 （真知子）嫌　嫌　嫌。 頭　くる。 何か　最近　ホント 頭　くることばっかだ。 スカイダイビングの　ライセンスはしばらく　停止になるし。 家族にも　バカにされるし。 変な女にも　会っちゃうし。 ホント　生意気な女だったんだよ。 あれ　年上かな？ 人のこと　木から落としやがって。 置き去りにして。 おまけに　顔まで ばんばん　殴りやがって。 親にも　殴られたことないのに。 次　会ったら　絶対　許さねえ。 （慶太）次？　会うの？ 会わないよ！ つうか　会えねえし。 名前も知らないのに。 名前も知らないのに。 ほれたのな　その女に。 はあ！？ バカ。　今…。　今　俺 そんな話　してなかっただろ。 どうやったら そんな話に　なるんだよ？ やっぱ　お前　芝居　下手な。 芝居じゃねえよ！ そんなんじゃねえってば。 で　どこ？ どこなの？　その海は。 会えるわけ　ないよな。 こんなとこ　来ても。 えっ？ いた。 （泣き声） う…。　うわーん！ うわーん！ （泣き声） あの。 あの！ どうも。 えっ？ 確か　この間。 そう！ あのとき　木から　ぶら下がってた。楠　大雅さん？ 俳優の　楠　大雅さんですよね？ やっぱり　そうだ。　ハハッ。 そうですよね。 あの後に　わたし　思い出して。 あれ？　違いました？ いや　合ってる。　合ってるけど。 いきなり　フルネーム 言われたんで　びっくりして。 どうして？ いや。　普段　あんまり 名前　呼ばれないから。 えー？　変なの。 すてきな名前なのに。 あっ　よかった。　どこも ケガとか　ないみたいですね。 ああ　うん。 あなたに→ 会いたくて。 うん？ ああ　いや。　その。 礼だけ　言いたかったんだよ。 あのときは　すげえ 慌ててて　言い忘れたから。 そう。　わざわざ　どうも。 でも　やっぱ あの下ろし方は　ないと思うよ。 あの後も　色々　考えてみたけど。 あのときは　やっぱり→ 近くの誰かを呼んで 車とか呼んで→ はしごで　下ろしてもらうのが ベストだったと思うけど。 ああー。 また　いちいち　細かい人ね。 でも→ 実は　わたしも会いたかった。 えっ？ あの　わたし…。 わたしね…。 わたし　あなたの お父さまの　大ファンなんです！ はっ？ はっ？ この近くに　住んでんの？ ああ。　この近くの→ 缶詰工場で　パートしてて。 でも　工場が→ 閉鎖することに　なっちゃって。 へえー。　大変なんだな。 でも　どうして あんなとこに　ぶら下がってたの？ ああ。 あれは　スカイダイビングで。 へえー。　優雅な趣味ねぇ。 今日は？　お仕事　ないの？ 俺は　どうせ　親父と違って 駄目な　二世俳優だからさ。 金と　暇だけは たくさん　あんだよ。 大好きなのね　お父さんのこと。 フフッ。　だって 同じ職業に　就くなんて。 親父なんて　関係ないよ。　別に 親父を目指してるわけでもないし。 たまたま　親父が 俳優だっただけで。 俺には 俺のスタイルが　あるから。 そう？　でも お父さんって　すごい俳優…。 うるせえよ。　さっきまで すげえ　泣いてたくせに。 あっ　ごめん。 あのさ。 名前は？ えっ？ そっちの名前。 [TEL]（アラーム音） ああっ！　もう　こんな時間！？ えっ？ ごめんなさい。 わたし　用があるの。　これで。 いや。　ちょっと　待ってよ。 会えて　よかった。 じゃあ　また。　いつかね。 もう　何だよ。 うん？ [TV]（刑事）はい。 ちょっと　ごめんなさいね。 [TV]近隣から 銃声のような音が→ 聞こえたという　通報があり 現場に駆け付けたところ→ 男性が　撃たれて 死亡しているのを　確認しました。 [TV]（刑事）現場は？ [TV]あちらです。 [TV]（刑事）朝っぱらから 死体現場…。 よう。　悪いな。 何　見てんだよ！？ 何って→ こないだ　お前が出てた ドラマだよ。 いいよ　見なくて。　こんな せりふ　２個しか　ないやつ。 せりふの数なんて　関係あるか。 なあ？　大雅。 お前　もっと　自由に生きろ。 もっと　自由になれ。 お前は　お前らしい 俳優になればいいんだ。 なぁんてな。　たまには 先輩らしいことも　言ってみた。 （医師）失礼します。 （航太郎）ああ。 （医師）調子は　いかがですか？ 楠さん。 （航太郎）はい。　おかげさまで。 （医師）痛み止めは　効いてますか？（航太郎）ああ　効いてますよ。 （医師）痛みが引いてきたら なるべく→ 歩くようにしてくださいね。 （航太郎）分かりました。→ ありがとうございます。 （医師）包帯　替えてあげて。 （看護師）はい。 （航太郎）お願いします。 （医師）寝返り　打って 痛みなどは　ないですか？ （航太郎）ああ　ないですよ。 （医師）歩いて　痛みが→ 出ないようでしたら　２～３日で 退院できると思いますんで。 ああ。 そいつは　ありがたいですね。→ いや。　もう　あっちこっちに 迷惑　掛けてるもんで。 ＜どうして　僕は　あのとき→ すぐに　「ありがとう」と→ 「ありがとう。　父さん」と 素直に　言えなかったんだろう＞ [TV]（アナウンサー）次の　ニュースです。 俳優の　楠　航太郎さんが→ 今日　午後２時１３分 くも膜下出血のため→ 都内の病院で　亡くなりました。 ６５歳でした。→ 映画　『天国の絆』で 注目された　楠さんは→ １９８４年から　始まった→ 『江戸に咲く・風の銀次郎』シリーズを はじめ→ 数々のドラマ 映画に　出演されました。 [TV]人生　風のごとく。→ 生きるも死ぬも 風の吹くまま　気の向くまま。 [TV]やあ　愉快　愉快。 （真知子の泣き声） （桜）桜と申します。 （青木）えー。　知ってのとおり 子役時代から　活躍している→ 有名女優さんだが 大学卒業を機に→ この事務所に 移籍することになった。 （桜）航太郎さんには 大変　お世話になったんです。 （青木）前から　航太郎さんにも 頼まれてたんだよ。 ああ。　ここだ。 （桜）では　すいません。 今日は　撮影があるので。 （青木）おう。 じゃあ　これから　よろしく。 （桜）お先に失礼します。 （青木）ああ　お疲れさま。 （鳩間）お疲れさまです。 （桜）失礼しまーす。 （青木）はい。 （桜）ハァー。 あれ！？ 航太郎さんの　映画に出てた 子役の　桃子ちゃん？ 大きくなったねぇ。 ≪出たくねえよ。 （青木）生前の父親についての ロングインタビューに　答える。 それだけだろ。　２時間物の 立派な　追悼番組なんだよ。 お前にしか　できない 仕事なんだぞ。 俺に　涙のコメントでも しろっての？ これは　航太郎さんが お前と　この事務所に→ 最後に残してくれた 大事な仕事なんだよ。 お前も　航太郎さんの息子として 立派に…。 こんなときまで 俺は　親の七光かよ。 俺は　俳優だぞ。　何で いつも　いつも　芝居もしないで→ こんな　プライベートな顔ばっか 見せなきゃなんないんだよ？ 俺は…。 俺は　俳優として ちゃんとしたとこ→ １回も　親父に　見せることが できなかったんだよ！ 親父について　話すことなんて 何もねえよ。 さっさと　役者の仕事 持ってこいよ！ （青木）仕事なんか　選べる立場じゃないだろうが　お前は。 それは　事務所が　ちゃんと 売ってくんないからだろ！ 甘えてんじゃねえよ！ 日本中　どこ探し回ったってな→ お前に頼む　役なんか どこにも　ねえんだよ！ チクショー。 誰にも　分かんねえよ。 俺の苦しみなんて。 俺だって…。 俺だってな　好きで→ 親父の息子になんか 生まれてきたわけじゃねえんだよ！ （たたく音） いいかげんにしなさいよ。 この　バカ息子が！ さっきから　聞いてれば 「俺は」　「俺は」 「俺」　「俺」　「俺」　「俺」 俺だらけ。　俺ばっか。 あんたの気持ちなんかね　誰にも 分かるわけ　ないでしょうが！ はあ？　いや　俺は　ただ…。 お父さまが　亡くなったのは お気の毒よ。　ご愁傷さまです。 でも　お父さまのことを そんなふうに言うのは→ 良くないと思う。 それは　ちょっと　許せない！ 何だよ？ いきなり来て　偉そうに。 見ず知らずの　あんたに　んなこと 言われる　筋合いねえんだよ！ 筋合いは　確かにないと思う。 でも　よく考えてみて。 あなたの仕事が うまくいかないのは→ お父さまとは　関係ない。 あなたの問題でしょう？ はあ？ あなた自身の問題よ。 問題を　すり替えないで。 いや　ちょっと。 あんた　何　言ってんだよ？ あの　ちょっと。 すいません。 はい。 いい？　あなたに お芝居の　仕事がないのは→ お父さまのせいじゃない。 あなたが　下手くそだからよ！ あなたの演技が　下手くそだから 売れないの。　売れなかったの。 それを　自分の力は差し置いて 全部　周りのせいにして→ 自分だけ　被害者ぶるのは もう　やめなさいよ！ 何　言ってんだよ！？　この素人が！ そう　素人よ。 素人だから　視聴者代表として 言わせてもらうけど→ あなたの演技は　独り善がりなの！（青木）うわっ！ こう　何ていうか　考え過ぎなの。 「今の俺　どう見えてる？」とか 「ここは　こう　もっと前に」とか。 そう。　あなた自身の考え方が 見え見えなの。 楠　航太郎さんは　違う。 楠さんは　どう映るかなんて 全然　気にしてない。 どうしたら　面白い作品になるか それだけを考えて→ 楽しませようって　そういう心が→ どんどん　伝わってくるの 素人にも。 本当に　素晴らしい 俳優さんだった。 いいじゃない　七光。 光ってるんだもん。 光ってるの。 お父さまが　あなたを　きらきら 七色に　照らしてくれてるのよ。 亡くなったって　ずっと　ずっと→ あなたのことを 照らしてくれてるの。 ねえ？　それの　何が悪いの？ 自分のことばっかり　考えないで もっと　誇りに思いなさいな。 あなたには　素晴らしい 父親がいたってこと。 あっ。　ああっ。 ああ　あの。　待ってください。 待ってください。　これ。 ファンレターです。 ハァー。 ああ　ごめんなさい。 何か　夢中で。　言い過ぎちゃった。 ひどいこと　言っちゃって どうしよう。 （青木）あのー。　もしかして あなた　北村　詩織さん？ えっ？ （青木）あっ。　やっぱり　そうだ。 覚えてます？　わたしのこと。 はい？ ああ。　くそ！ ハァー。 親父？ （航太郎）「拝啓。 北村　詩織殿」→ 「初夏の候 いかが　お過ごしでしょうか？」→ 「いつも　ファンレターを ありがとう」→ 「貴殿の長きにわたる　応援には→ いつも　大変 励まされております」→ 「実は　わたしは 今　病院にいます」→ 「ただの捻挫ですが。 最近　時折　足腰が→ うまく　動かないことがあり 以前より　せりふ覚えも悪く→ 現役を続けるのは　少々　限界が 来ているのかもしれません」→ 「そこで　ひとつ　誠に ずうずうしい　お願いなのですが」 （航太郎）「わたしが　引退した後 もし　よければ→ 息子の　楠　大雅の応援を してやってもらえないだろうか」→ 「親バカかもしれないが 息子は　今は　まだ未熟だが→ 俳優としては　なかなか いい素質を　持っていると思う」→ 「彼の出演作の　ＤＶＤを 一緒に送るので→ よかったら 見てやってください」→ 「そして　もし　よかったら これからは　少しでいいので→ 息子を　応援してやってほしい」→ 「わたしに似て　人の評価を 気にしやすい　小心者だから→ ファンの言葉は きっと　力になると思います」→ 「あなた方に　いつまでも 幸せが続きますように」→ 「ありがとう。　やあ　愉快　愉快」 （航太郎）《「やあ　愉快　愉快」》 「人生　風のごとく」 「生きるも死ぬも 風の吹くまま　気の向くまま」 「やあ　愉快　愉快」 何で　死んだんだよ。　父さん。 早過ぎるよ。 早過ぎだよ。 何で　死んだんだよ。 バカヤロー。 （泣き声） うん？ ≪（真知子）とし子さん！ （とし子）どうぞ。 （真知子）はい。 [TV]えっと。 [TV]（リポーター）おさみしく なったんでは　ないですか？ [TV]ああ。　あっ　はい。 まあ　そうですね。 いまいち　締まりがない 返答だよな。 （志賀）かみかみですしね。 （鳩間）うん。 おはようっす。 あーあ。 ちっと　それ 何回も見んの　やめろって！ （青木）いいじゃないかよ。 お前が　こんなに長い時間→ テレビに映ったの　初めてだろ。→ あっ。　そうだ　大雅。 話があるんだよ。 何すか？ また　バラエティー？ （青木）いや　いや　いや。 もっと　根本的な問題だ。 お前の給料な　これから 月給じゃなくて　歩合になる。 えっ？　歩合？　歩合って？ （青木）つまり　今までみたいに 毎月　決まった額を→ 払うんじゃなくて　働いた分だけ 払うっていうことだよ。 えっ？　えっ？ ってことは　俺の今月の給料は？ ああー。　２万８，０００円。 ２万８，０００円！？ （青木）バラエティー　１本と この　コメント撮り。 以上。　２万８，０００円だ。 嘘だろ？ えっ？ それじゃあ　俺　食ってけないよ！ 今までだって　その程度の 稼ぎだったんだよ。 それを　航太郎さんが ばかばか　ばかばか→ 稼いできてくれてたから その　お情けで　お前にも→ 月給　払ってたんじゃねえかよ！ いつまでも　甘えてんじゃねえぞ！ （青木）金が欲しけりゃ　働け！ いいか？　これから　わが社は→ 働かざるもの　食うべからずだ。 覚えておけ。 （せき） ハァー。 何てことだ。　親父のせいだよ。 （青木）お前のせいじゃねえかよ。 ≪お疲れさまでーす。 （志賀）あっ。　桜ちゃんが来た。 （青木）紹介します。 えっ？ （青木）あしたから　うちで働く 北村さんだ。 あらためまして　北村と申します。 えっ？　ちょっ。　何で？ （青木）いや。 沖さん　辞めちゃっただろ。→ ちょうど 仕事　ないっていうからさ→ 代わりに　事務 やってもらうことにしたんだよ。 何で　俺の給料が減って 新しい人間　雇うんだよ！？ じゃあ　お前　自分で 売り込み　できんのか？ ギャラ交渉も　予算管理も　決算も 全部　お前が　やってくれんのか？ それは　できないけど。 何で？　こんな女。 すげえ　泣いてたくせに。 はあ？　ええっ！？ 今までは　魚市場と　缶詰工場で 働いてました。 芸能関係は　初めてです。 分からないことも→ 多いと思いますが どうぞ　よろしく　お願いします。 （志賀）よろしく　お願いします。 （鳩間）よろしく。 よろしくな。 よし。　じゃあ　営業　行くぞ。 （志賀）はい。 ちょっと。 うん？ いいから　ちっと。 えっ？ 何？ 北村さんだっけ？ はい。 北村　詩織と申します。 もしかしたらなんだけど。 ５日前　親父の墓　来た？ さあ。 あれは→ 演技だから。 えっ？ マジで　泣くわけないだろ あんなとこで。 親父に　見せたかったんだよ。 俺の泣きの芝居を。 ふーん。 だとしたら…。 フフッ。 すごく　すてきな　お芝居でした。 うん。 うわっ！　何すんの！？ ぶっ！ 痛ぇ！ 痛ぇ。 えっ？ あっ！　海。 （海）ママ！ 海ったら　もう。 すぐに　終わるから→ 入り口のところで 待っててって　言ったでしょう。 （海）だって…。 ママ。　帰ろう。 はいはい。 では　お先に失礼。 嘘だろ？ ふざけんなよ。 子持ちかよ。 ＜そう　つぶやきながらも　僕は→ 大ざっぱで　乱暴で よく笑い　よく　しゃべり→ 奇麗な涙を　流す君に→ 完全に　恋に落ちていた＞ ああー。 ああー。

BARレモン・ハート２nd＃14

1 (メガネさん)４番か…｡ (マスター)迷ってるようですね｡ 本命は ビクトリアンバットで 決まりだと思うんだがなぁ｡ 何か 不安でもあるんですか？ うん… 馬番が悪い｡ 俺との相性が最悪だ｡ ジンクスですか？ へぇ～！ メガネさんって 黒猫が 大群で通り過ぎても 気にしないような人だと 思ってましたけどね｡ ギャンブルは別さ｡ 昔の博徒だって そうだろう｡ 金に逃げ癖がついちゃいけないと 勝負の前は 一切 金を使わなかった｡ あ～ ｢出銭はゲンが悪い｣っていう あれですね｡ でも 根拠はないんでしょ？ 勝負師とは そういうものさ｡ 運を引き寄せるために ルーティンを大切にするんだ｡ いや～ でもなぁ…｡ くると思うんだよな～｡ ハハハッ｡ (松ちゃん)おばんでやす～！ いらっしゃい｡ いつにも増して締まりがない｡ 人生に 何の勝負もしてない顔だな｡ 今日は どこに座ろっかな～｡ あれ？ いつもは ここに座るのに…｡ ここでいっか｡ しかも 時計を見てる｡ あの動き…｡ デート｡ 正解！ アハハハハ！ 松ちゃん この後 デートなの～｡ しかも お相手は 飛びっ切りの美女ときたもんだ！ よいしょ！ ヘヘヘヘヘ！ 何？ その薄いリアクション｡ 彼女いない歴 10年の松ちゃんが デートするんだよ｡ しかも 今回は… フフッ 向こうからのお誘いなの｡ ｢今晩 お付き合い いただけませんか？｣ だって！ も～！ で？ お相手は どんなお方ですか？ 僕が出入りしてる出版社の 副編集長｡ この前 たまたま 原稿の依頼が回ってきて それで この展開に！ イエース！ どうせ いつものパターンだろ｡ いつもの？ 恋人がいたり 人妻だったり 過去に 色々あったでしょ｡ チッ チッ チッ！ 今回は ちゃんと 調査済みですよ｡ 土井みどりさん 40歳 独身｡ 半年前に 恋人と別れて 今は フリー｡ ただ…｡ ただ？ ただ 彼女 陰で 妙な ニックネームがあるんですよね｡ ニックネーム？ うん…｡ 大きな声じゃ言えないんだけど｡ 魔性の女っていわれてる…｡ (メガネさん･マスター)魔性の女？ それって どういう意味ですか？ そんなの あっち方面に 決まってるじゃないの！ 彼女 飲むと 必ず こう言うんですって｡ ｢私の部屋で 朝まで付き合って｣って！ うわー！ どうしよう！ アハハ！ 魔性の女の餌食になっちゃう！ あ～ ヤバい！ あ～ 松ちゃん お嫁にいけない！ どう思います？ う～ん 飲むと 男性を求めるタイプかもしれん｡ だまされてなきゃいいが｡ まさか…｡ いや でも 松ちゃんを だますような人だったら 私は 許しませんよ｡ (足音) 来た｡ こんばんは｡ いらっしゃいませ｡ あっ… お待たせして ごめんなさい｡ みどりさん｡ 僕も 今 来たところです｡ どうぞ こちらへ｡ あっ…｡ マスター｡ 宇宙人が来たって顔してる｡ いや あの… 想像したイメージと あまりに違うもんですからね｡ あ～ すてきなお店ね｡ ええ｡ そうだ｡ 突然 誘ってしまったけど 迷惑じゃなかったかしら？ とんでもない！ 他ならぬ みどりさんのお誘いです｡ お望みとあれば あ… 朝まででも｡ ホントに!? うれしい｡ うれしい!? だって 最近 朝までなんて言ってくれる男性 なかなかいなくって｡ 相当 自信がおありなのね 松田さんは｡ そんな… い… いきなり…｡ みどりさん｡ ううん｡ みどりって呼んで｡ みどり｡ なあに？ 今夜の俺は 魔性だぜ｡ 私も｡ はい｡ 松ちゃん？ 松ちゃん？ あっ!? はい？ おかしな顔になってますけど どうしました？ あ… いや… ちょっと考え事を｡ やっぱり お仕事が忙しかったんじゃ？ いやいや 考え事といっても 色々ありますから｡ あ… いや… あのう ああ！ 紹介します マスターです｡ レモンハートの マスターでございます｡ 初めまして｡ 土井みどりです｡ で あっちに座ってるのが 僕の友達のメガネさん｡ こんばんは｡ どうも｡ レース前は いつも ああなんですよ｡ 悪い人じゃないんですけどね｡ あ～ 宝塚記念｡ みどりさんも 競馬をやられるんですか？ 競馬は まったく｡ 編集部内に好きな人がいて｡ 確か 本命は… ビクトリアンバット｡ 今回は 鉄板でしょうね｡ いや～ それが 馬番が メガネさんの アンラッキーナンバーと 重なったみたいなんですよ｡ なるほど｡ だから迷ってるんだ｡ へぇ～｡ 何だ？ 今の気配は…｡ 松田さんは いつもここへ？ ええ｡ あっ でも 締め切り前は 来ませんよ｡ 今日は 何をお出ししましょうか？ あ～… せっかく こんなに お酒があるのに 言いにくいんですが 私 ビールしか飲めないんです｡ 大丈夫｡ ここは お酒だったら 何でもありますから｡ それは言い過ぎですけど ビールも それなりに揃えております｡ じゃあ マスターのお薦めを｡ かしこまりました｡ こちらは いかがでしょうか？ ベルギー産のビール デュベルです｡ へぇ～ このビール 初めて飲むわ｡ 僕も｡ 松ちゃんも飲みますか？ うん｡ このビールには 専用のグラスがあるんですよ｡ まあ とっても かわいらしい形｡ 先が つぼまってるでしょ？ ビールの芳香が この内側に漂って より香りを 楽しみやすくなってるんです｡ へぇ～ そうなんですね｡ このグラスの曲線が 注いだときに ビールの対流を生み出して 細かいクリーミーな泡を 作りやすくしてるんですよ｡ わ～！ 本当にクリーミーな泡｡ メレンゲみたい｡ すごい… ビールみたい｡ アハハ！ 泡は ビールの命ですからね｡ どうぞ｡ わ～ 奇麗！ 細かな泡が 上がっていくわ｡ そ… それでは｡ 乾杯｡ 乾杯｡ う～ん おいしい！ こんなに 泡がおいしいビール 初めて｡ それに すごい飲みやすい｡ 実は 泡に含まれる苦味成分は 液体のそれより 強いんですよ｡ そうなんだ｡ ビールの芳醇な味わいは 泡の苦味と液体との 調和があってこそ生まれるんです｡ へぇ～｡ マスターって物知りね｡ いやいや それほどでも｡ 何照れてんの？ いやいやいや｡ う～ん おいしい｡ ん？ 何かしら？ うん？ 気付かれましたか？ グラスの底に デュベルの頭文字 Ｄの文字が刻まれてるんです｡ その刻印のところから 細かい泡が 湧き上がっていくように 仕組まれてるんですね｡ Ｄ…｡ 今日は いいことありそう｡ えっ？ みどりさんの名字は 土井ですよね｡ ああ｡ あ～ 何だか 少し酔ったみたい｡ お酒は 強くないけど ビール １杯で酔ってしまうなんて どうしちゃったのかしら｡ あ～！ えっ？ 松田さんも飲んで｡ それとも 今夜は 私だけを酔わせる作戦？ みどりさん｡ ううん｡ みどりって呼んで｡ みどり｡ なあに？ 今夜は お前に酔おうかな｡ 私も｡ はい｡ 松ちゃん？ 松ちゃん？ ああ！ また おかしな顔になってますよ｡ う… 生まれつきです｡ アハハ すごーい！ お代わり｡ ああ… はい｡ ウフフ｡ ハハッ｡ ハハハ｡ あの２人 予想以上に うまくいきそうですね｡ そうかなぁ…｡ あの女 なぜか 俺と同じにおいがする｡ あくまでも直感だが 深入りは やめといた方がいい｡ またまた 考え過ぎですよ｡ だといいがな｡ みどりさん｡ なあに？ あのう 一つ 聞きたいんですけど 今日は なぜ 僕を？ えっ？ あっ いや…｡ みどりさんは 人付き合いも広いし 周りに男性も いっぱいで だから 僕のような者を 誘わなくても 他にお相手が…｡ あっ…｡ もの足りないの｡ えっ？ 最初は みんな 威勢のいいこと言うんだけど 結局 最後は 音を上げて ｢もう 二度と お前の相手をするか｣って｡ 最近の男は 情けないのよ｡ そ… そうなんだぁ｡ あと 噂で聞いたの｡ 松田さん かなりお強いって｡ えっ？ 期待していい？ も… もちろん！ 男 松田 必ず みどりさんを 満足させてみせます！ 私も あなたを飛ばすつもりで 頑張るわ｡ ヒィ～！ 喜んで！ あっ そろそろ出ましょうか｡ あたし 飲むと 無性に やりたくなる性格なの｡ もう我慢できない！ ああ… 僕ちんも我慢できない！ 場所は 私のプライベートルームでいい？ うん｡ うん うん｡ マスター お勘定 お願いします｡ はい ただ今｡ 話が まとまったみたいですね｡ ああ｡ ありがとうございました｡ あっ とっても おいしかったです｡ よかったです｡ 松ちゃん よ… よだれが｡ あら お財布 どこかしら｡ ああ ここは 僕が｡ そんなの悪いわ｡ いえいえ 大丈夫 大丈夫｡ えーと お幾ら万円？ はいはい｡ はい ちょうど｡ ありがとうございます｡ どうも ありがとうございました｡ 待て｡ あんた 今 松ちゃんに ｢バカ｣と言ったよな？ 何を たくらんでやがる？ ちょっと 何言ってんの？ みどりさんが そんなこと 言うわけないじゃない｡ 行きましょう｡ ええ｡ おい！ あなたも 人のこと言う前に 自分の流儀を貫いた方が よろしくってよ｡ グッドラック｡ はあ？ 失礼しまーす｡ メガネさん 一杯 いかがですか？ ああ…｡ ハァ…｡ しかし 何なんだ？ あの女｡ どうぞ｡ マスター｡ はい｡ 今日は なぜ このビールをチョイスした？ デュベルは ベルギー北部の方言で 悪魔という意味だったよな｡ はい｡ その由来は このビールの試作品を口にして その あまりのおいしさに驚いた 従業員の言葉にありました｡ 何て言ったんだ？ ｢ここには 悪魔が潜んでいる｣ 魔性の女には ぴったりの ビールだなと思いましてね｡ なるほど｡ それに デュベルは 口当たりがよくて くいくい飲めるのが特徴です｡ そこに隠れているのは ８.５％のアルコール度数です｡ ８.５？ そんなにあるのか｡ それが 悪魔の正体です｡ 彼女は お酒に酔うと 男性を誘う癖があると 言ってましたよね｡ もし 彼女が お酒に酔わなくて 松ちゃんが また ふられてしまったらと思って このビールを選んだんです｡ フフッ｡ マスターの気遣いが そこにあったってわけだ｡ それに 松ちゃんにとっては たとえ相手が悪魔でも 何もないよりは いいのかなって 思っちゃったんですよ｡ 確かに あの男には 孤独という名の悪魔がいたからな｡ はい｡ お～！ 万馬券だったんですか！ おめでとうございます｡ あの女のおかげだ｡ あの女って 昨日の？ ああ｡ 自分の流儀を貫けと言った 彼女の言葉が引っ掛かって 本命を避けたんだ｡ それで ズドーンだ！ そうだったんですか｡ でも 彼女 何で あんなこと 言ったんですかね？ さあ…｡ う～ん？ おばんどす｡ お～ 噂をすれば 松ちゃん｡ いらっしゃい｡ どうしたんですか？ 暗い顔して｡ 昨日は 魔性の女と楽しんだか？ 楽しめるわけないでしょ｡ えっ？ そもそも ましょうの｢ま｣は 悪魔の｢魔｣じゃなかったんだ…｡ どういうことですか？ 昨日 あの後 彼女の部屋に行ったら すでに 男が２人いて…｡ (みどり)ロン｡ (みどり)ロン｡ (みどり)ロン｡ (みどり) 松田さん また飛んだわね？ もう勘弁して～！ ましょうの｢ま｣は 麻雀の｢麻｣!? しかも 悪魔のように 強いんだよ～…｡ なるほど｡ 俺が彼女から感じたのは 同じギャンブラーとしての それだったのか｡ だから あのとき…｡ はい ちょうど｡ ありがとうございます｡ バーカ｡ ｢出銭はゲンが悪い｣の あれですね？ ああ｡ 勝負を前に 金を ほいほい使う 松ちゃんを見て つぶやかずには いられなかったのさ｡ はぁ～｡ グラスの底のＤという文字を見て 笑ったのも ｢ドラ｣という意味だったらしく…｡ ハハハ…｡ もう あんなギャンブラー こりごりだよ…｡ こんばんは～｡ 出た～！ １｡ ２｡ ３｡ ４｡ よかった～！ これで メンツが揃ったわ｡ えっ…｡ 私の部屋で 朝までどう？ 麻雀｡ (３人)あ… ああ…｡ (メガネさん)ハァー｡ (マスター)どうしたんですか ため息なんか ついて｡ 別に 何かあったってわけじゃないが どうも ６月は いけない｡ 梅雨ですからね 雨の日が多いですしね｡ 祝日のない 唯一の月だしな｡ えっ？ メガネさんにも 祝日 関係あるんですか？ 別に｡ ただ 気分がな｡ ああ… まあ 何となく分かりますね｡ ハァー ったく ６月ってやつは｡ でも ６月も 悪いことばかりじゃ ないと思いますよ｡ ああ こんばんは｡ いらっしゃいませ｡ こんばんは｡ 今夜はね 娘も一緒なんだ｡ いつも 父が お世話になってます｡ いや こちらこそ｡ (山村)はい｡ (友子)ありがとう｡ でも 山村さんが お二人揃ってって珍しいですよね｡ 確かに｡ いつもは だらしなく 酔いつぶれた山さんを 友子ちゃんが迎えにくるって パターンだからな｡ 相変わらずキツいな メガネさんは｡ いつも 父が すみません｡ 特に この季節はね 傘を 持ってない山村さんのために 友子さんが いつも 傘を持ってらっしゃって｡ もはや風物詩だな｡ 折り畳み傘を持つようにって 言ってるんですけどね｡ あれは嫌いだ｡ こうなんです｡ もういいだろ その話は｡ はいはい｡ 実はね 今月… こいつが 嫁に行くことになってね｡ そいつは めでたい｡ いや～ おめでとうございます｡ (友子)ありがとうございます｡ ジューンブライドか｡ ほら ６月は 捨てたもんじゃないでしょ？ まあな｡ フフフ…｡ あっ 失礼｡ こっちの話です｡ 二人で ゆっくり飲めるのも 今日が最後になりそうなんだ｡ じゃあ せっかくだからって なっ？ うん｡ やっと ここに お酒を飲みに来れました｡ ありがとうございます｡ はい｡ では 今日は 何を お出ししましょうか｡ 私は いつもの｡ はい｡ 友子は カクテルだったっけ？ ううん｡ 今日は 父と同じものを｡ いいのか？ 強いぞ｡ いいの｡ そっか｡ じゃあ 娘にも 同じ物を｡ はい かしこまりました｡ (友子)どうかされました？ 何かね… 大事な事を 忘れているような気がしまして｡ 電車に傘でも忘れたかな？ お父さんじゃないんだから｡ ねえ マスター｡ まっ 気のせいですかね｡ そうだな｡ ウフフ｡ これだよ｡ 母さんにも お前の花嫁姿 見せたかったなあ｡ (友子)きっと 天国から 見てくれてるわよ｡ (山村)十年も前に逝ったんだ｡ 待ちくたびれたろうな｡ お父さん ホントに大丈夫？ ん？ 私がお嫁に行ったら お父さん 家で独りぼっちに なっちゃうんだよ｡ 私 心配だな｡ フン 何を言ってんだ｡ お父さん 私がいないと 爪切りが どこにあるかも 分からないんだから｡ 分かってるって｡ (友子)じゃあ どこ？ 小物入れだろ？ 茶の間にある｡ (友子)どの引き出し？ それは…｡ ほら｡ そんなの 順番に開けりゃいいんだろ？ あ～あ 心配だな～｡ やっぱり 結婚やめようかな｡ (友子)ちょっと 何やってんの｡ 大丈夫ですか？ 友子が変なこと言うから｡ ああ すいません｡ (友子)もう… もう しょうがない｡ (着信音) あっ ちょっと 電話だ｡ (着信音) あっ 岡田君だ｡ もしもし？ うん 私｡ えっ？ 今から？ ああ… ごめん ちょっと待って｡ すぐ かけ直すから｡ うん｡ 何かあったのか？ (友子)ちょっと 式のことで トラブルがあったみたいで｡ (友子)今から会って 相談できないかって｡ でも やっぱり 今夜は無理だよね｡ 行ってあげなさい｡ でも 今夜は お父さんと…｡ 夫婦はな 最初が肝心なんだ｡ 父さんの事は いいから｡ ほら｡ 早く｡ ああ…｡ ホントに ごめんね｡ すいません｡ いえ お気を付けて｡ (友子)はい｡ (友子)あっ もしもし｡ うん 大丈夫｡ (山村)マスター｡ はい｡ おかわり｡ はい｡ 山村さん｡ 少し ペースを落とさないと｡ もう 友子ちゃんは 迎えに来ないんだぞ｡ だからだよ｡ 一人娘が いなくなるんだ｡ 飲むなというほうが 無理ってもんだろ｡ ああ… ようやく 思い出しました｡ どうした？ 私 山村さんから お預かりしている物があります｡ えっ？ 私がマスターに？ はい｡ とても 大切な物です｡ (山村)マスター 遅いなあ｡ 何 取りに行ったんだろ｡ 山さん 覚えてないのか｡ マスターに 何を預けたか｡ ん？ ああ… まったく｡ ああ…｡ お待たせしました｡ 何ですか？ それ｡ 見覚えありませんか？ すまんが… これを 私が？ はい｡ それでは…｡ これでは どうでしょう｡ これ…｡ 紹興花彫酒です｡ 確か 父親が 娘に贈る酒だったよな｡ はい｡ 中国では 娘が生まれると 父親が これを 土の中に埋めて そして 娘が結婚するときに また これを掘り出して 祝うという習慣があります｡ そうだ 思い出したよ｡ 友子が生まれた嬉しさで 買ったはいいものの のんべえの私の所に置いとくと ３日で なくなるからって｡ ヘヘヘ…｡ (山村)｢お願いします｣ ｢お預かりします｣ そうか…｡ マスターに預けたんだ｡ はい｡ 友子ちゃんが 生まれたときっていうと 30年前ってことか｡ 酔った勢いで 大変なことを頼んだもんだ｡ ハハハ…｡ それを マスターは 30年も｡ まあ 手前味噌ですが 預けた人間が よかったですね｡ 私にとって お酒は わが子のようにカワイイですから｡ それでは…｡ お返しいたします｡ 今まで どうも ありがとう｡ マスター まるで 娘を嫁に出す父親だな｡ ホントだ｡ いやいや そりゃもう 山村さんの それとは もう 比較になりませんよ｡ 私ら夫婦は 結婚してから 10年も 子供が出来なくてね｡ 友子は そんな私たちに ようやく生まれた女の子だった｡ 女房と よく言ってたんですよ｡ 友子は 神様から 預かった子供なんだって｡ だから 私も返さなきゃ｡ (雨の音) ああ 雨が降ってきましたね｡ (松ちゃん)ひゃ～ もう～ これだから ６月は もう…｡ マスター タオル タオル！ はいはいはい…｡ あ～あ うるさいのが来やがった｡ はい どうぞ｡ (山村)マスター｡ はい｡ 電話 借りてもいいかな｡ はい｡ あっ 友子さんですね？ あいつのことだ｡ 岡田君を 放り出して 私に傘を持って来かねない｡ 私が 一人でも大丈夫だってとこ ちゃんと見せてやらないとな｡ はい どうぞ｡ (山村)うん｡ こっちは 大丈夫だ｡ (山村)ちゃんと 折り畳み傘 持ってきといたから｡ ん？ 父さんだって やろうと思えば できるんだぞ｡ うん｡ ああ 分かってるって｡ それじゃあな｡ はい｡ 友子のやつ やっぱり 私に 傘持ってこようとしてたみたいだ｡ アハハ そうでしたか｡ 友子ちゃん 結婚しちゃうのか｡ 落ち込むな そもそも 松ちゃんには ノーチャンスだ｡ はあ!? しかし 驚きましたね｡ 山村さんが 折り畳み傘 持ってるなんて｡ いやいや あれは嘘だよ｡ えっ!? ああでも言わないと あいつ 納得しないだろ｡ ああ そういうことだったんですか｡ 悪いけど マスター｡ はい 分かりました｡ 傘 お貸しします｡ ああ ありがとう｡ そうか｡ いや～ やっぱり 違うのかなと…｡ (ドアの開く音) 友子｡ お父さんが 折り畳み傘なんて 持ってるわけないもの｡ 何年 一緒にいたと思ってるの？ 岡田君は？ 彼がね せっかくだから お父さんと 一緒に…｡ (友子)あれ？ ちょっと もう 何して…｡ あっ｡ そうか…｡ 山村さん｡ ああ…｡ ちょうどよかった｡ いい酒があるんだ｡ 紹興酒というのは 中国の紹興地方で蒸留される 老酒の事なんですよ｡ 紹興って 土地の名前だったんですね｡ はい｡ 上海の南側にある 紹興地方は 良質な水と土壌に恵まれた 水郷地帯なんです｡ 酒造りの本場としても 世界的に有名で その歴史は 大変古くて 二千年にも及ぶといわれてます｡ うんちくは いいから 早く飲もうよ｡ あ～ 失礼しました｡ では 山村さん よろしくお願いします｡ ああ｡ では あの…｡ (山村)岡田君 友子 結婚 おめでとう｡ (山村)お二人の 結婚を祝して 乾杯｡ (５人)乾杯！ 何これ！ おいしい！ 30年の熟成が これほどの まろやかさと 深い旨味を 生み出してるんだ｡ 30年か…｡ (岡田)お父さん！ このお酒のお陰で お父さんの 友子さんへの深い深い愛情を 改めて痛感しました｡ 僕 必ず友子さんを 幸せにします｡ 岡田君…｡ バカね｡ お父さんは ただ 無茶振りしただけ｡ すごいのは 30年間も 預かり続けてくれたﾏｽﾀｰの方よ｡ いやいやいや…｡ あっ そっか｡ あっ いや いや… お父さんも 酔っぱらってた勢いとはいえ その… 何ですか その…｡ あの ちょっと待ってくださいね｡ (友子)えっ？ ちょっと 何やってんの｡ すいません｡ 大丈夫ですか｡ あ～ ごめんなさい｡ すいません｡ (友子)もう～ ちょっと ああ もう～｡ (岡田)ごめん ごめん｡ (友子)おっちょこちょいなんだから｡ (友子)ちょっと…｡ (岡田)ごめん ごめん｡ (友子)しっかりしてよ｡ (岡田)すいません｡ (友子)ここ まだ付いてる｡ フフ…｡ えっ？ で ど… どこに行ったの？ (岡田)あの ホントに すごい ベタなんですけど｡ 夜 車… 夜景が奇麗なとこへ ちょっと 連れてって｡ スケベ～｡ (岡田)何で スケベなんですか｡ スケベ～｡ 少し 飲み過ぎたかな｡ 外の風に当たってくる｡ はい｡ ちょっと ごめんなさい｡ (岡田)大丈夫？ 岡田さん｡ (友子)雨 やんだね｡ (山村)うん…｡ お父さん｡ ん？ お父さん｡ 何だよ？ お父さん…｡ 今まで ありがとう｡ こちらこそ…｡ ああ そうそう｡ 結婚式 無事に終わったそうですね｡ 何よりです｡ おかげさまで｡ さみしくなりますね｡ なあに…｡ うるさいのが いなくなって 清々したよ｡ フフッ｡ ごちそうさま｡ お帰りですか？ うん｡ 迎えに来るのが いなくなったからね｡ あっ 降ってきたみたいですね 雨｡ もう～ お父さん また 傘 忘れたでしょ｡ ああ…｡ 山村さん？ えっ？ 傘 お貸ししましょうか？ あっ？ ああ｡ 今夜も ＢＡＲ レモンハートに お越しいただき ありがとうございました｡ では 今夜 登場したお酒を あらためて ご紹介いたします｡ まずは ベルギービールを代表する 銘柄の一つ デュベル｡ ｢デュベル｣とは ベルギー北部地方の方言で 悪魔を意味します｡ きめ細かく クリーミーな泡立ちが特徴で ８.５％という アルコール度数を まったく感じさせない 口当たりのよさが まさに 悪魔といわれる ゆえんです｡ ３カ月にも及ぶ 独自の醸造過程を経た味わいは わずかな苦味と スパイシーさを兼ね備えた 深みのあるものに 仕上がっています｡ 一口飲めば きっと おいしさという 悪魔に取りつかれてしまいますよ｡ 続いては…｡ 紹興酒は 良質なもち米と 麦麹を原料に ３年以上 熟成させた醸造酒｡ 中国の 浙江省 紹興市のみで つくられ 世界三大美酒のひとつと されています｡ 中国では 娘の誕生と結婚を 紹興酒で祝う習慣があり そのかめに 美しい花模様が 彫られたことから これを 花彫酒と呼ぶように なりました｡ 甘味のある 華やかな香りと まるみのある味わいをベースに 貯蔵や熟成期間によって 香りと味のバランスが変化します｡ ぜひ 飲み比べて お好みの 紹興花彫酒を お楽しみください｡ では また 次回｡ ＢＡＲ レモンハートで お待ちしております｡ 最近 熟年離婚が 増えてるらしいですね｡ その話 詳しく聞かせてくれないか？ 熟年離婚の不安に さいなまれる男は 数十年ぶりに 妻をデートに誘い出した｡ 矢島の家内です｡ いつも主人が お世話になっております｡ マスターが出したのは 熟成30年物のシェリー｡ あなたが浮気をした｡ 一度だけ｡ 離婚の危機は 回避できるのか？

僕のいた時間＃05

1 (拓人)俺と別れてほしい｡ (拓人)うっ…｡ (繁之)大丈夫か？ (拓人)俺 メグとの将来とか そういうの考えらんないから｡➡ だから 別れてほしいんだ｡ (繁之)ＡＬＳなのか？ (拓人)ごめん｡ じゃあね｡ (繁之)病気のこと 恵ちゃん 知ってんのか？ (拓人)話す必要がないから｡ ♬(『ねこふんじゃった』の演奏) ♬～ (守)う～わ うまそ～｡➡ 何で メグちゃんと別れちゃったのか 知らないけどさ➡ 今日は これ食べて ぱ～って盛り上がって｡ なっ？➡ お～｡➡ えっ？➡ えっ 大丈夫？➡ 左手 早く 良くなるといいな｡ もう 良くならないんだ｡ (守)えっ？ 何 どういうこと？ 先 食べよ｡ うん｡ うわ～ ホント うまそう｡ びっくりさせて ごめんね｡ うん｡ まだ 親にも言ってなくて｡ 親父さん 医者なのに？ 治せる病気じゃないから｡ 話して どんなリアクションかな って思うと…｡ メグちゃんには この話 した？ いや 絶対 知られたくないから｡ (恵)うん おいしいです｡ (繁之)よかった 元気そうで｡ (恵)色々と すいませんでした｡ でも もう大丈夫なんで｡ (男性)やめろよ タクト｡ (タクト)何だよ いいじゃんか｡ (男性)お前ら うるせえよ｡ (タクト)じゃ お前が食べてくれよ｡ (男性)何で…｡ あっ 私 ウオーキング始めたんですよ｡ (繁之)いつ やってんの？ フフフ｡ 朝です｡ 朝 強いんだ｡ フフ｡ 今のところ➡ ちゃんと起きてます｡ 俺も やってみようかな｡ 気持ちいいですよ｡ お勧めです｡ でもな～ １人じゃ 続く自信ないな｡ (繁之)よっ ああ ホント 気持ちいいね｡ 続きますかね？ (繁之)何で？ わざわざ こっちまで来るの 大変じゃないですか？ (繁之)えっ だって 会社 来る途中だし それに…｡ それに？ 内緒｡ そのうち言うよ｡ とにかく 絶対 続くから｡ あっ じゃあ 何か賭ける？ えっ 何を？ 10万｡ えっ？ 冗談だよ｡ アッハハ…｡ 分かってますよ｡ (繁之)結構 疲れたね｡ ハハハ…｡ じゃあ また｡ はい｡ あした｡ (翔子)あっ…｡ 母です｡ おはようございます｡ (翔子)あっ おはようございます｡ 向井といいます｡ あっ 大学のときの ２つ上の先輩｡ (翔子)いつも 恵が お世話になってます｡ (繁之)こちらこそ｡ じゃあ 失礼します｡ ごみ｡ どうしちゃったんだろうね｡ やけに イケメンと縁があるわね｡ 繁先輩は ただの先輩だから｡ ふ～ん｡ ほら ごみ｡ 私は 拓人君の方が タイプだなあ｡ 拓人とは もう別れた｡ やっぱり？ 何で？ 振られた｡ いつ？ お母さんと拓人が ご飯 食べた後｡ どういうこと？ さあ｡ えっ？ 私 何か しちゃった？ 思い当たることある？ ううん｡ お父さんのことで 聞かれたこと話しただけよ｡ えっ？ それって 何か 問題あった？ まっ もういいって｡ 終わったことなんだから｡ やだ｡ 拓人君 あのとき 何しに来たんだろう｡ (宮下)どうかした？ いえ 大丈夫です｡ 《次は 右手か 足か それか 言葉か➡ どこにくるか 分かんないんですよね？》 (谷本)《そういうことは 誰にも分かんないから➡ 考えないのが 一番いいんだけどな》➡ 《ＡＬＳと共に うまく生きていく コツみたいなもんです》 ≪(足音) ≪(佐和子)陸ちゃん？ ただいま｡ (佐和子)全然➡ 大丈夫じゃないじゃないの｡ えっ？ (佐和子)陸ちゃんのことよ｡ 最近 授業に出てないって➡ 大学から お父さんの所に 連絡があったの｡ えっ… そうなんだ｡ 陸ちゃんの変化に 何も気付かなかったの？ 全然 気に掛けて なかったんじゃないの？ ねえ 拓人➡ お付き合いしてる人 いるんだってね｡ ここに 泊まったりしてるそうじゃないの｡ 俺だって 大変…｡ 言い訳は やめて！ ≪(ドアの閉まる音) 陸ちゃん｡ (陸人)ただいま｡ (佐和子)どこに行ってたの？ (陸人)大学に決まってんじゃん｡ ホントのこと 言って｡ 分かってるのよ｡ (陸人)怒ってんの？ (佐和子)心配してるのよ｡ どこに行ってたの？ 博物館｡ (佐和子)博物館って 何の？ 恐竜の｡ (佐和子)恐竜？➡ 大学は？ 行くよ ちゃんと｡ (佐和子)どうして休んでたの？ 行くって言ってんだから もういいだろ｡ (佐和子)陸ちゃん ご飯よ！ 拓人！ (佐和子)ほら｡ (陸人)いただきます｡ あっ 俺 後にする｡ (佐和子)そう？ ごめん｡ (陸人)兄さん カニ 食べられないんじゃない？ (佐和子)どうして？ (陸人)あっ➡ 言っちゃいけないんだった｡ いや 言っちゃいけないんじゃなくて➡ わざわざ言うことないっていう 意味だから｡ どうかしたの？ ちょっと 今➡ 左手 うまく使えなくて｡ どうして？ 大丈夫だから｡ 病院 行ったし｡ あっ でも よかったじゃん｡ 陸人 カニ好きだし｡ (陸人)うん｡ (佐和子)おいしい？ (陸人)うん｡ (佐和子)たくさん食べてね｡ (陸人)ごちそうさまでした｡ (佐和子)陸ちゃん➡ 今日は いったん帰らないと いけないから 帰るけど➡ すぐ また来るわね｡ (陸人)父さん 怒ってるかな？ 今日から 学校 行くのよね？ (陸人)うん｡ (佐和子)大丈夫よ｡ お父さんに そう話しておくから｡ (陸人)じゃあ いってきます｡ (佐和子)いってらっしゃい｡ ごちそうさまでした｡ 今度は 陸ちゃんのこと ちゃんと見ててね｡ ほっとけば｡ えっ？ それくらいのこと ほっといたって どうってことないでしょ｡ それくらいのこと？ 大学に行ってなかったのよ｡ このまま行かなかったら 医者にもなれないし➡ 困るじゃないの｡ 誰が困るの？ 陸ちゃんは お父さんの病院を➡ 継がなきゃいけないって 分かってるでしょ？ 陸ちゃんにとっても それが 一番いいんだから｡ 子供のときから ずっと➡ 将来 医者になるために 一緒に頑張ってきたの｡ 陸人 医者に 向いてないんじゃないかな？ えっ？ 何を言いだすかと思えば｡ 俺が患者だったら あいつに 診てもらいたいと思わないけど｡ 陸ちゃんのことより➡ 自分の将来のこと もっと考えた方がいいわ｡ 今から 医者になれるわけないんだから｡ 分かってるはずよ｡ お父さんの病院で 事務をやるのが 一番いいって｡ 母さんは ちゃんと見てんの？ 何のこと？ いや｡ ♬～ (犬の鳴き声) ♬～ 触っていただけると 硬さの違いが 分かると思いますので➡ どうぞ 触ってみてください｡ (女性)はい｡➡ う～ん もう少し 軟らかい方がいいかな？ それでしたら こちらは いかがでしょうか｡ どうかしました？ いえ｡ こちらは 先ほどのベッドより細かい➡ ７つのゾーンに コイルが配列しており➡ 体のラインに 自然にフィットしてます｡ ぜひ 横になって お確かめください｡ (従業員)いやいや 絶対 ﾅﾁｭﾗﾙの この木の感じが いいんだよ｡ (従業員の せきばらい) (宮下)ホントに大丈夫なの？ すいません｡ (宮下)｢すいません｣って どういう意味？ すっ すっ… すいません｡ 在庫 確認してきます｡ (瞳)手が寒くなるから もう少し 掛けてあげてくれる？ あっ はい｡ (瞳)保さん つらくないですか？ (保)はい｡➡ 本郷さん｡ あっ はい｡ (保)ＡＬＳの人に 付いたことある？ いえ 初めてです｡ 僕ね すっご～く わがままだから 覚悟してね｡ あっ よろしくお願いします｡ (瞳)保さん 新人いじめない｡ (保)アハハハ…｡ (陽菜)恵たち どうして別れちゃったんだろう｡ びっくりだよね｡ (陽菜)拓人君 何か言ってた？ ううん｡ 何にも｡ (陽菜)ふ～ん｡ メグちゃん どう？ 元気なふりして ウオーキング始めたり｡ やっぱ ショックだよなあ｡ 今は 男と ウオーキングしてんだけどね｡ (守)彼氏？ (陽菜)ううん｡ 恵は 全然 男として意識してないんだけど➡ 向こうは 絶対 恵に気がある｡ しかも 拓人君が 一番 慕ってた 先輩だって｡ 繁先輩？ (陽菜)知ってる？ (守)うん｡ (陽菜)どんな人？ 一言で言ったら 超カッコイイ｡ ふ～ん｡ 何だかんだ言って 恵は やることやってるんだよなあ｡ でも 陽菜ちゃんの方が 経験豊富なんでしょ？ あんなこととか こんなこととか｡ あっ ごめん｡ 違うよ｡ あの そういう想像とか 全然してないよ｡ 試してみる？ (守)何を？ １回やらせてあげる｡ 行こ｡ (陽菜)マモちゃん｡ はい｡ (守)あのさ｡ うん｡ やっぱ 俺 駄目かも｡ えっ？ (守)緊張し過ぎて その…｡ (守)チクショー！➡ 頭の中で ハウツー本 復習してたら…｡ (陽菜)ハウツー本？ (守)うん｡ (守)やっぱり 下手だったら嫌だからさ｡ うまいか下手かなんて 分かんないよ｡ いまさら 気 使ってくれなくても いいよ｡ ホントだもん｡ 陽菜も したことないから｡ えっ？ 言っちゃった｡ 恵にも言ってなかったんだけど➡ マモちゃんなら いっか｡ マジ？ あっ｡ (陽菜)ウフフ｡ (陽菜･守の笑い声) えっ おんなじ？ (陽菜)一緒｡ (繁之)ナイスシュート｡ よし｡ あ～ いけた！ (繁之)あっ いいね ナイスシｭート｡ すげえ うまくなった｡ (恵･繁之)１ ２｡ (繁之)３｡ ４｡ ハハ｡ (恵･繁之)１ ２｡ (繁之)あ～ うまくなってきた｡ あ～ ３回目が｡ １ ２ 惜しい｡ 惜しい 惜しい…｡ １ ２ あ～！ (繁之)惜しい｡ よいしょ｡ 恵ちゃんの真剣な顔って そういう顔なんだ｡ えっ？ どういう顔ですか それ｡ (繁之)そろそろ行く？ はい｡ 意外と楽しかったです｡ (繁之)意外と？ 最初は 乗り気じゃなかったってこと？ あっ 初めは｡ あっ でも ホントに 来てよかったです｡ 危ない！ (男性)すいませ～ん｡ 大丈夫？ はい｡ (繁之)気を付けて｡ (男性)ありがとうございます｡ ♬～ ♬～ ちゃんと続いてますね｡ フフフ｡ こんなに続くと 思ってませんでした｡ だから言ったじゃん 続くって｡ 会社 行く途中だし➡ それに 恵ちゃんのことが好きだし｡ ありがとうございます｡ そういう｢好き｣じゃなくて➡ 俺の彼女になってほしいっていう ｢好き｣なんだけど｡ 冗談じゃないよ｡ 分かってます｡ なら いいけど｡ あの…｡ ちょっとだけ 時間 下さい｡ うん｡ (塚田)販売部 一丸となって 前年を上回る 売り上げを➡ 達成しましょう｡ (一同)はい｡ (塚田)では 今日も １日 頑張りましょう｡ (一同)はい｡ 店長｡ 私の体のことで ご迷惑をお掛けしています｡ ちゃんと 皆さんに話したいと思います｡ 今 お時間 頂けますか？ (塚田)みんな 澤田君から 話あるから｡ すいません｡ 実は 私には病気があって…｡ ＡＬＳという 神経の病気です｡ (迫田)ＡＬＳ？ (下平)分かんねえ｡ 今後 できないことが 増えていくと思うので➡ この病気のことを 知っていただきたいと思います｡ まとめたものが あるので 読んでいただけますか？ 配っていただけますか？ お願いします｡ ♬～ ♬～ (瞳)じゃあ 保さん ゆっくり あお向けになりますね｡ (保)は～い｡ (瞳)せ～の｡ (保)あ痛てて…｡ あっ｡ (保)痛っ｡ 腰 腰｡ (瞳)じゃ 腰 動かしましょう｡ はい｡ (瞳)じゃ 腰いい？➡ はい いきます｡ 動かしますね｡➡ せ～の よいしょ｡ (保)あ痛っ｡ 大丈夫ですか？ (保)足 足｡ 本郷さん 足｡ はい｡ 本郷さん｡ あっ はい｡ 枕 入れてくれるかな？ あっ はい｡ (保)左も｡ はい｡ どうですか？ (保)うん｡ 体の位置を整えるだけで 30分も かかっちゃいました｡ 一番つらいのは 保さんよ｡ はい｡ これからも 症状は 進んでいくんだからね｡ はい｡ 今は 保さん 自分の気持ちを➡ 言葉にして 相手に伝えることが できるけど➡ いずれ しゃべることも できなくなる｡ (宮下)いいよ やらなくて｡ えっ できますから｡ (宮下)いいから いいから｡ 貸して｡ すいません｡ (下平)あっ お昼 一緒に買ってこようか？ いえ 自分で行けるんで｡ (迫田)遠慮しないで➡ 何でも言って｡ (下平)うん｡ はい｡ [TEL] はい｡ [TEL](守)もしもし｡ 俺｡➡ お前 飯 食った？ (守)あ～ 食欲をそそる この香り｡ たまんねえな おい｡ じゃあ はい いただきま～す｡ いただきます｡ カレー鍋 最高だべ｡ 手伝う？ いや｡ そっか｡ じゃ お先に～｡ ゆっくりしてると 全部 食べちゃうよ｡ うまっ！ うん｡ マジで 全部 食いそうだな｡ 俺 毎日 これでもいいわ うん｡ 朝 昼 晩は？ それは勘弁｡ ハハ｡ 拓人も ほら ほらほら｡ ハハ｡ フフフフ｡ いただきます｡ いいよ｡ うわ！ うまい｡ フフフ｡ だろ？ でもな 今日の俺は これをしに来たんじゃないんだよ｡ お前に話がある｡ 俺 陽菜ちゃんと ホテル行った｡ マジ マジ｡ じゃあ ついに…｡ でも 俺 まだ童貞だから｡ はっ？ まっ そういうことだから｡ おい どういうことだよ｡ だから そういうことだって｡ 何だよ それ｡ お前には 教えてやんねえよ｡ 何で？ 詳しく教えろよ｡ (守)はい｡ ああ 食い過ぎた～｡ ヘヘヘ…｡ ハハハ…｡ じゃあ 俺 行くわ｡ ごみ捨てとく｡ ああ サンキュー｡ うい｡ あっ 陽菜ちゃんと仲良くな｡ なあ 拓人｡ んっ？ メグちゃん 繁先輩と仲良くしてるって｡ ああ うん｡ えっ 知ってたの？ メグ よかったんじゃない？ 先輩 いい人だし｡ あっ…｡ これも 一緒に捨てといてもらっていい？ いいの？ うん｡ ♬～ (守)じゃあ またな｡ ああ｡ うん｡ (すみれ)あっ 先生｡ んっ？ (すみれ)行ってもいい？ うん｡ はい｡ (すみれ)ありがと｡ お母さんが帰ってきたら 絶対 怒られる｡ 何で？ テストの点 悪かったから｡ そうなんだ｡ 頭くる｡ いつも 私のこと 全然 見てないのに➡ テストの点は見て 怒るから｡ さみしい？ お母さんに あんまり見てもらえなくて｡ さみしいよな｡ でも 絶対 嫌いになれなくて…｡ それどころか 自分のこと いつか➡ ちゃんと見てくれるんじゃないか って期待しちゃって｡ 先生も 子供のころ そうだったの？ 今もかな｡ えっ？ な～んてね｡ マザコンかと思った｡ ♬～ ≪(守)繁先輩｡ おう｡ (守)お久しぶりっす｡ (守)あの 話って？ 拓人に会ってる？ はい｡ 具合 どう？ 自分じゃ聞けないっすよね｡ あっ 別に 責めてるわけじゃなくて｡ 自分が拓人だったら どうする？ 俺も 病気のことは言わずに 彼女とは 別れると思う｡ 俺 彼女とか いたことないんで｡ あっ そういう話じゃないっすよね｡ すいません｡ 何か 俺 繁先輩といると緊張しちゃって｡ えっ 何で？ (守)いや 繁先輩みたいな人➡ まぶし過ぎますから｡ えっ？ まさか お前…｡ はい？ あっ いや 違っ… 違いますよ｡ 俺 今 好きな女の子いますから｡ あっ そう｡ (守)はい｡ 拓人 前より 左手が使いづらそうかな｡ あいつ つらそうにしないから 余計つらそうで…｡ でも きっと➡ 必死に 病気と向き合おうと してるんじゃないかなって➡ 思ってます｡ (谷本)そうですか｡➡ 会社に話したことで 何か 変化はありましたか？ 気 使われ過ぎて 居心地 良くないんですけど…｡ (谷本)ハハ｡ まあ 話された側も➡ 最初は どうしたらいいか 分からないだろうし➡ うん まあ これからですよ｡➡ 病気のことを知ってもらうのは 大切なことです｡➡ これからは 周りの人たちと 一緒に 生きていくことを➡ 考えましょう｡ はい｡ (谷本)それで ご家族には？ (谷本)まだ 話してないんですね？ はい｡ 他に 何か 変わったことは ありましたか？ 先生｡ んっ？ 前に おっしゃってましたよね｡ 次 どこに症状が出るかは 分からないから➡ そういうことは考えないのが 一番いい｡ ＡＬＳと うまく生きてく コツだって｡ うれしいなあ｡ 覚えててくれたんですね｡ どういう意味なんですか？ 教えな～い｡ はっ？ 教えなくても きっと分かるから｡ ハハ｡ 昨日ね 陸ちゃんに 縁談があったのよ｡ えっ？ もちろん まだ先の話だけど いくら何でも 気が早いわよね｡ いや 早過ぎるよ｡ (佐和子)それだけ 将来を 期待されてるってことだから｡ 分かってるよ｡ いいとこね～｡ (陸人)うん｡ わ～ 奇麗｡ [ﾃﾚﾋﾞ](女性)レオナルド･ダビンチは こう言っています｡➡ ひとたび 空を飛ぶことの 味を占めたら➡ 常に 上を向いて 歩くようになるだろう｡➡ 自分の居場所は 空だ｡ [ﾃﾚﾋﾞ](女性)ヨーロッパ空中散歩｡➡ 歴史と 豊かな自然の上に つくられた 光りあふれる大地｡ そろそろ休むわね｡ (陸人)おやすみ｡ (佐和子)おやすみ｡➡ おやすみ｡ 母さん｡ (佐和子)んっ？ 肩 もむよ｡ (佐和子)んっ？ 肩 もむよ｡ 肩？ うん｡ (陸人)どうしたんだよ 急に｡ だいたい 左手 もめないじゃん｡ 右手は大丈夫だし｡ ねえ 陸ちゃん 覚えてる？ 小さいころ よく もんでくれたの｡ (陸人)そうだっけ？ 拓人と争うようにして もんでくれたの 小さな手で｡ (陸人)ふ～ん｡ 座って｡ いいわよ そんな｡ いいから座ってよ｡ (陸人)そんなに もみたいって言ってるんだから➡ もましてあげればいいじゃん｡ (佐和子)あっ そう？ じゃあ｡ 変な兄さん｡ ≪(ドアの開閉音) 痛くない？ うん｡ 気持ちいい｡ やっぱり 昔の小さな手とは 全然 違うわね｡ でも どうしたの？ 肩もみだなんて｡ 今なら できるから｡ 今なら 母さんの肩 もんであげられる｡ これから忙しくなるの？ 俺 病気になっちゃった｡ えっ？ 病気にならなかったら➡ 肩もみしようなんて 思わなかったかも｡ 何？ 病気って｡ 筋肉が だんだん衰えてく病気｡ 左手に 力が入らなくなって➡ 左腕が上がらなくなって…｡ 左足も 動かしづらくなっちゃった｡ これからは➡ だんだん 右の筋肉も動かせなくなって➡ 顔の筋肉も動かせなくなって➡ 笑ったり 話したり できなくなって…｡ 呼吸も できなくなってく｡ 一つ一つ 自由が奪われてく 病気なんだ｡ 何 言ってるの？ うちの子が そんな病気に かかるわけないじゃない｡ 俺も そう思ったけど なっちゃった…｡ すぐ お父さんに相談しましょう｡ いい先生 見つけてくれるわ｡ いい先生に診てもらってる｡ すぐ お父さんに電話するわ｡ 治療法が ないんだって｡ その先生が そう言ってるだけでしょ!? すぐ お父さんに電話する｡ あれ？ えっ どこ？ あれ？ ない…｡ ≪(ドアの開く音) ≪(陸人)どうしたの？ (佐和子)電話… 電話がないの｡ (陸人)あるじゃん｡ 母さん｡ ごめんね｡ 俺 将来のことは考えられない｡ でも ちゃんと生きるから｡ ♬～ ♬～ (犬の鳴き声) ワン！ ♬～ ♬～ 江ノ島に向かって➡ １ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ 10｡ ♬～ 《ねえ この中に 何か入れて 埋めようよ》 《手紙は？ 自分への手紙》 《何年後の自分？》 《じゃあ ３年後》 ♬～ ♬～ あれ？ ♬～ なくなっちゃった…｡ ♬～ [TEL](呼び出し音) [TEL](バイブレーターの音) [TEL](呼び出し音) [TEL](バイブレーターの音) はい｡ 恵です｡ [TEL]久しぶり｡ うん｡ [TEL]元気？ うん｡ 拓人は？ 元気 元気｡ [TEL]何か ごめんね 電話して｡ ううん｡ [TEL]ちゃんと終わらせたかったの 拓人とのこと｡ 今 ちゃんと終われた｡ うん｡ [TEL]ごめんね 変な電話で｡ ううん｡ [TEL]もう しないから｡ [TEL]ありがとね 電話 出てくれて｡ これで 私 前に進める｡ [TEL]俺も 色々あるけど頑張るよ｡ うん 頑張ってね｡ ありがとう｡ [TEL]じゃあね 拓人｡ ああ｡ バイバイ｡ バイバイ｡ ♬～ ♬～ ♬～ ｢恵へ｣ ｢あなたの となりには 誰がいますか？｣ ｢恵より｣ ♬～ あの この前の話ですけど｡ 何だっけ？ えっ？ あっ ですから あの話｡ あの話？ あっ いえ… あの いいです｡ 何でもないです｡ 冗談だよ｡ 俺の彼女になってくれる？ はい｡ よかった｡ えっ？ ずっと 振られるんじゃないかと思って➡ ドキドキしちゃってた｡➡ ほっとした｡➡ ありがとう｡ ハハ｡ ♬～ ♬～ ♬～ 《｢拓人へ｣》 《｢今を 生きていますか？｣》 《｢拓人より｣》 ♬～ ♬～ ＜『僕のいた時間』 三浦 春馬さん 演じる 澤田 拓人の➡ ｶﾚﾝﾀﾞｰ待ち受けが ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｺﾝﾃﾝﾂｽﾄｱで配信中＞ ＜詳しくは 携帯 スマートフｫンで アクセスしてください＞

A.I.C.O. Incarnation.S01E10.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ （アイコ）えっ？ （橘アイコ）私は橘(たちばな)アイコ 本当に会えた　もう１人の私 （アイコ）はっ！ （グミ）キュ （橘アイコ）待って！ 驚かせてごめんなさい 私はあなたと話がしたかっただけ えっ… 私と？ あっ！ （橘アイコ）ずっと待ってた あなたのことを知ってから ずっと 中学の制服 バースト前の私… うふ ♪～ ～♪ （銃撃音） （楓(かえで)） ここも攻撃されて危ないってこと？ （一樹(かずき)） シェルターなんてあるんですか？ （白石(しらいし)）ええ （楓）だったら すぐ行こうよ！ （雄哉(ゆうや)）やめさせないと （一樹）え？ （雄哉） 外部攻撃では マターは根絶できない むしろ 本物の橘アイコの脳による マターへの制御が 完全に失われることになる （遙香(はるか)） 今まで以上の大活性を 招くことになると？ そうだ （雄哉） だが それも人工生体脳を マター本体に返せば すべて終わる （相模(さがみ)） なら俺は お前の望みどおりに 動いてやる （一樹）相模さん！ （相模） そいつが 篠(しの)さんの残した道だ （一樹）あっ くっ… （相模） それなのに 要であるお前が なぜ そんな顔をする？ それが お前の 成し遂げるべきことなんだろうが そうだ バーストを終息させ 橘アイコを元の体に戻す それが俺の目的 そのために… そのためだけに 橘をここまで連れてきた ふざけるな！ お前 本気で言ってんのか！ これだけアイコちゃんと一緒にいて お前は何も思わないのかよ！ どうして そこまで 橘のことに干渉する？ うっ 言わせるなよ　分かるだろ！ 俺はアイコちゃんのことが… （一同）あっ… （相模）一樹 （一樹）おかしいかよ みんなも仲間だって そう思ってたんじゃないのか！ それなのにアイコちゃんが 偽物だっていうんなら この気持ちは何だっていうんだよ！ それは事実を誤認した上での感情だ 認識を改めれば済むことだ くっ！ 偉い研究者かなんか 知らないけどな これだけは俺にも分かる お前みたいなヤツは 誰も… 誰も救うことなんかできない！ （相模）一樹！ （通知音） あっ 来る！ （雄哉）もう隠す必要もない （雄哉） 俺が橘を見つけます 皆さんは 下へ！ （相模）おい 神崎(かんざき)！ （白石）神崎君！ （アイコ）私と話したい？ （橘アイコ）うん （アイコ）だけど… 私って… 何？ あなたは… あっ （アイコ）神崎君 言ってた もう１人の私は 作り物なんだって 消しちゃうんだって 思いやることは必要ないって… あっ… それって 私のこと （橘アイコ）そんなことない 私が 今 こうして ここにいられるのは あなたのおかげなんだから ウソ… あっ ホントは あなたも思ってるんでしょ！ 私に早く消えてほしいって あっ そんなこと… 信じられないよ！ 私 もう 何も信じられるものがない 何も… 聞いて あの日 起こったこと それからのこと あなたに全部 知ってもらいたい 私のすべて （相模） お前ら 施設内の階段で下へ行け 俺はこっちを行く （楓）ちょっ 何 バカなこと！ （相模） 同じ道を行けば活性化が集中する （楓）だからって あっ… 私たちも急ごう （遙香）楓 （楓）ん？ （遙香）こっちは大丈夫だから （楓）え？ （一樹）なんで あいつなんだ！ あいつがアイコちゃんの… （銃撃音） （白石） 活性源が さらに広がってるわ はっ… 由良(ゆら)君の研究室 （遙香） えっ 由良博士の？ ここが… あっ… 白石さんは神崎が由良博士だと ご存じだったんですね （白石）ええ （遙香） 博士は 橘さんの脳が人工生体だと あなたにも言わなかったんですか？ 彼は最初から 私たち全員をだましていたんですね （白石）そうね 最後まで だまされたまま ミッションが成功していれば 私たちはアイコちゃんに対して 何の呵責(かしゃく)もなくいられた アイコちゃん自身も 苦しみを感じないまま この世から消え去ることができた 彼なりの罪の背負い方だったのよ （遙香）でも 破綻した （白石） そう　私たちは知ってしまった だからこそ その行く末を 見届けなければならない きっとそう言うわ 大輔(だいすけ)なら あっ はっ！ 人… 型… （柚葉(ゆずは)の声） やっと会えた 君は！ なっ… くっ！ ううっ… （柚葉の声） 由良先生！ （橘アイコ） 目が覚めると 私は独りだった （橘アイコの思念） たしか私 お父さんと事故に遭って 違う？ 私は… （橘アイコ） 私は いつの間にか 自分の体をなくしてた （橘アイコの思念） なぜ？ いつ？ どうやって？ 私は死んだの？ ここは あの世？ （橘アイコ） 私は これまでの記憶を 手繰りはじめたの （橘アイコの思念） これは… （橘アイコ） そして 本当なら 私が知れるはずのない記憶が あふれでてきた （橘アイコの思念） 誰？ 私はどこにいるの？ お母さん 亮太(りょうた)は… （橘アイコ） 何かよくないことが起きてるって それだけは私にも分かった （橘アイコの思念） あっ… （橘アイコ） それから私は 独りで漂い続けた どこへも行くことはできなかった それでも お母さんと亮太を守れたから （橘アイコの思念） 大丈夫 （橘アイコ）だけど だんだん 私は 私が分からなくなっていった あっ （橘アイコ） このまま消えるかもしれない 少しずつ意識が遠くなって… そんな感じがした だから 悲しくも怖くもなかった （雄哉）うっ　うっ （雄哉）あっ ここ… おっ （柚葉）ハァ ハァ さみしかったんだよ あっ！ 会いたかった 由良先生 あっ 柚葉ちゃん ずっと待ってたんだよ 待っていた？ うん　お願い 私を助けて え？ （由良） これは夢？ それともドリームコンタクト？ （柚葉） 先生 あのね 体が動かせないの 声も出せなくて お父さんと話もできない 私 どうしたらいいの？ （由良） やはり意識を取り戻していたのか 人型マターは 柚葉ちゃんが動かして… もう 独りぼっちは いや！ 早くここから出たい 君の体は… 君は今 どんな様子なんだい？ 分からない 私は どこに行けばいいの？ （由良）あっ （柚葉）ねえ ずっと独りだったの？ でも 私 見つけたの 私の心を照らしてくれる光を 毎日 夢のように 私は あなたの記憶を見てた あなたから流れてくる うれしい気持ち 苦しい気持ち いろんな気持ちが 私を私でいさせてくれた あなたを通して 笑うことができた 怒ったり泣いたりすることができた 私が今 こうして ここにいられるのは あなたのおかげ （アイコ）私の？ （橘アイコ） ここまで来てくれてありがとう あっ　え？ お願い お母さんと亮太を助け出してほしい あ… （橘アイコ） 伊佐津(いさづ)先生の話 私にも聞こえてた 攻撃が始まる前に ２人を連れて ここから逃げて （アイコ）え？ 逃げるって そんなことしたら あなたは… 時間がないの 私の時間も もう… “私の時間”って… あなたの意識のこと？ お願い （アイコ）あっ… （官房長官） 政府は これを他国からの 武力攻撃に準ずる事態と認定 国民保護法に基づき 陸海空自衛隊に対し マリグナント･エリア焼灼(しょうしゃく)作戦 任務の開始を発令したことを 国民の皆さんに… （ノック） （伊佐津）どうぞ （竹原(たけはら)）先生 政府の発表ですが うちの第二研が 攻撃の中心になるかと （伊佐津） ちょうどよかった 竹原君 橘アイコ君を迎えに 急ぎ プライマリー･ポイントへ 向かわねばならなくなった （竹原）え？ マター化人工生体細胞の 活性制御を行う 留守を頼むよ えっ 先生 何の話を？ （佐保(さほ)）ごめんね 柚葉ちゃん （柚葉） 助けて！ （由良）待ってくれ 君の体の様子を何でもいい 分かることを教えてくれないか 分からないの 何にも 私の体はどこにあるの？ お願い 由良先生 助けて… （橘アイコ）あっ！ 由良先生が （アイコ）ん？ どうかしたの？ 私がマターの体を押さえこんでみる 少ししかできないかもしれないけど あ… これは私にしかできないこと （アイコ）あっ…！ 会えてよかった え？ 少しの時間だったけど あなたと話せて うれしかったよ え？ ちょっと待って！ 私 まだ あなたに聞きたいことが… はっ！ （大臣）今更 何のつもりだ （南原(なんばら)） ですから 自衛隊による作戦を 即刻 中止するよう お願いしているんです 君の一存で覆すことなどできん！ それよりも自分の身を 案ずるべきではないのかね？ マター対策統括の南原君 （堀(ほり)）うひっ 今まで この状況を容認してきた 君の責任は重いぞ 境界線地区に残ったダイバーの 始末を早急に進めたまえ 私が… ですか？ 当たり前だ （堀）どうするんですか？ 局長 （南原）フッ （堀）え？ じきじきの任命 ありがたく承ります （グミ）キューキュッ キュキュ… キュイ キュイ キュキュイ グミ 私 どうすれば… （グミ）キュイキュイ （アイコ）え？ キュキュキュ… あっ 待って！ （銃撃音） （相模･楓）くっ！ 何しやがる！ 私の目の前で死なれちゃ 名折れになるのよ （相模）あっ… なんで俺についてきた？ （楓）くっ 同じだよ 一樹がアイコを 助けたいって思うのと 私はあんたを死なせたくないんだ ホントは分かってた アイコは何も悪くないって もう嫌なんだ 自分の気持ちにウソつくのは だから私は みんなが 死ななくてすむ道を探したい お前… 活性が収まってきた よし 行くぞ あっ… ん？ まずは 一樹たちを捜し出す 話は それからだ あっ… うん （柚葉の声） 先生 先生？ （雄哉） 俺は終わるのか？ ここで 篠山(しのやま)さん 俺を信じてくれたのに それなのに こんなところで俺は… （アイコ）信じていいんだよね？ （雄哉） 橘… 俺は… （由良） 僕は… どこかで間違ったんだろうか？ この先 どこへ進めば… あっ… （由良） 桐生(きりゅう)先生 先生 僕は まだ あなたに何も返せていない バーストを終息させることさえも あっ… 橘 あっ！ （雄哉）あっ 橘アイコ 君は… （柚葉の声）いやあ～！ （雄哉）あっ？ （橘アイコの声） お願い この人を放して！ 橘！ （柚葉の声） いや！ やめて～！ いやあ～！ （白石）急ぎましょう 橘アイコ 君は なぜそんな選択を！ グミ？ キュキュッ キュイ あっ あっ！ あの場所 お母さん　亮太 お母さん！ 亮太！ ねえ 起きて！ 目を覚まして！ ねえ お母さん 亮太 起きてったら！ （母） あっ アイコ？ （亮太） あ　あっ… あっ 姉ちゃん？ （母） アイコ… なのね （亮太） 姉ちゃん （母） 大きくなったわね あっ ケガは？ 事故のケガは大丈夫なの？ うん　大丈夫 治ったよ （亮太） 姉ちゃん 亮太 大丈夫だよ お姉ちゃんが すぐに助けてあげるから （亮太） うん　俺 ここから早く出たい 学校 行って 友達とサッカーしたい うん　必ず出してあげる お母さんも （母） あなたは大丈夫なの？ ここもまた いつ動き出すか あなただけでも早く逃げなさい あ… お母さん （橘アイコ） これは私にしかできないこと 大丈夫だよ　ここは大丈夫 それに 一緒にね 来てくれた人たちもいるの （亮太） 友達？ 何て言えばいいのかな？ （母） アイコ ここまで頑張って来てくれたのね 私は… （亮太） そういえば 姉ちゃん なんかパワーアップした感じが するもん えっ？ 何それ うん でも たくさん笑って泣いたから だから… 私が今 こうして ここにいられるのは あなたのおかげなんだから 私が私だから できること （亮太） 姉ちゃん どうかした？ ううん　何でもない 少しだけ こうしてたいの （雄哉）ハァ ハァ あっ！ 橘！ （雄哉 息切れ） あっ… 君は… 神崎君　私ね ♪～ ～♪

フラーハウス.S02E12.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 フラーハウス ＤＪへの極秘写真作戦を 開始！ クリスマス気分と― クリスマスムードを 漂わせて その２つ どう違うの？ サイレントナイトで よろしく 急いでくれ 暑くて体が燃えそう 俺の栗が焼かれていく ＤＪが戻る前に撮ろう このドア 通っちゃダメ ダメって なんで… びっくり！ 家族写真を撮ってるのね 見てないから でも見たから… 12月は持ち歩くの いくよ はい チーズログ チーズログ インドにいるマットに 送りたい お父さんがインドなんて インド人は皆 そうだよ 開いてます どうも 診察時間外に ペットが具合悪くなって 娘のローズよ ウサギのジャックが 具合悪くて 「タイタニック」から 付けた 一番好きな映画なの 「タイタニック」は マックスも好きよ でしょ？ 言葉が出ない　ここは天国？ 目の前に天使がいる 天国って強風だね ウサギの具合は？ 何も食べない 聞いた？　食べないんだよ 想像するだけで つらい 深刻だろ 今晩 預かって様子を見る お友達がいてもいいよね コスモ コスモは気にしないよ かわいいウサちゃん 俺 まだダサい角つけてる？ ドッグフードに釣られて つけちゃったよ 明日 お迎えの時に マックスとローズは遊べる ２人とも どう？ マックス次第 遊びたい！ じゃなくて… 遊んでもいいよ ありがとう　もう行くわ キリスト生誕劇用の人形が 届くの キリストが入ってなくて 他の人形じゃダメだってさ じゃあね また明日 お前も初恋のドツボに ハマったな 分かるの？ 自慢じゃないけど 恋愛ベタのプロだから また明日ね ステフ･ア･ローニ サンフランシスコの ごちそう 明日のイブはラモーナが― 「くるみ割り人形」を 踊るからね 君に大事な話を しないといけない 何て言おうか迷ってたけど 言葉で伝える じゃあ 言うね オックランドの仕事の話が ウソ… オックランド？ 受けるの？ 多分　まだ迷ってる そっか 仕事の邪魔はしたくないけど あなたが地球の裏側に 行くなんて考えたくない 寂しすぎるよ 確かに俺も寂しいけど 車で30分だ ニュージーランドじゃなくて カリフォルニアの オークランド？ オックランド カリフォルニアの “オーク”って言って オーク “ランド” ランド “オークランド” オックランド ちょっと横になる 俺が遠くへ行くと思って 怒った？ あり得ない　君を愛してる 君は最高 何て言った？ “君は最高” その前よ “あり得ない” その後 “君は最高” やっぱり横になる じゃあね 愛してるよ （愛してる？） ラモーナ “メールじゃダメな話”って 何なの？ 文字じゃ 気持ちを伝えづらいから 絵文字があるよ 座って 「くるみ割り人形」で 踊る予定なのは知ってるよね 延長公演で 明日の夜 出演することになったの 明日はうちで イブのパーティーだよ 来られないの？ 本当にごめんね “それでも親友だよ”って 言ってくれる？ 分かった　仕方ないよね でも来てほしかった メリークリスマス やあ ローラ これは？ もしや ヤドリギ？ 気分じゃない ローラ フラー先生 あら ヤドリギ！ 来てたのね 昨日 言ったことを 謝りたいんだ 予想外で驚いちゃった 君が正しい “オークランド”だ ジンジャーブレッドの家を お詫びに作った ジンジャーブレッドの ジミーとステホも 君がスイートなのは 砂糖以外にも理由が かわいい 超かわいいよ そうね　超かわいい 様子が変だ 昨日の“愛してる”が原因？ 言ってた？　聞こえなかった じゃあ もう一度言うよ 愛してる そうね　聞こえてたかも “愛してる”と言われたら こう返すよね “あ…” ありがとう それでは失礼するわ 僕に噛(か)みつかないでくれよ 大好きな草食恐竜は 竜脚類なんだ ブラキオサウルスに アパトサウルス それから ディプ… ディプロドクス 君って すごい あなたの方が ローズ クールにいきたいけど 人生は短い　僕らもね つまり… 君は理想の人だよ マックス！ 手を 目をつぶって 上に乗って 僕を信じる？ 信じる じゃあ 目を開けて 飛んでるわ 飛んでる！ タイタニックに 乗ってるみたい 海の においがしそう それ 水槽のにおい プレゼントがある 後ろ向いて 気に入るかな 髪の毛 上げてくれる？ マックス　いいのに うれしいくせに 映画に出てきたのに似てる でも… メイド･イン･チャイナだって 足元に気をつけて どうも もっと一緒にいたい 今晩 バレエを鑑賞しない？ ご一緒するわ お手を 恋愛ベタって何？ メリークリスマス 私 ジャックは 軽い消化不良だった 寝る前に パッタイ あげないで ご報告があります 僕ら 恋に落ちた びっくり！ ２人とも やるわね ＤＪ　あれは僕が 昔 あげたネックレス？ さあ 本当に？ それ どこで？ ママの部屋の箱 “ＤＪ＆スティーブ 永遠に”って それは私の箱じゃないわ 今 ここにある ちょっと… あら この箱のことだったのね 今は領収書を入れてるの “ＤＪ＆会計士のスティーブ 永遠に”って意味なのよ そろそろ行くね 最愛の人と チーズと リンゴジュースを楽しむ 私 リンゴジュースが 一番 好きなの 例外はクラナップル 今までどこにいたの？ ママの家 あら ありがと ネックレス まだ持ってたんだね 遊園地でゲットしたやつだ そうだったわ 観覧車で くれたのよね ロマンチックだった ラモーナ　ネズミの王様の ダンスを楽しみにしてるよ 娘がネズミを演じるのは 父親の夢だ 今夜は出たくなかった 上手なのに なぜ？ パーティーに行けないと― 親友を失いそうで怖いの 両方 行けたらいいのに 待って いい案が出そう よし　出てきた 出番は第１幕の終わり パパの車で １時間 パーティーへ そして出番までに劇場に戻る 最高のアイデアが出た！ 時々 いいのが出るんだよ バレエなんて嫌だ あなたの部活も 家族で応援するでしょ 部活 入ってない それを応援してる ステフ ちゃんと話そう 後でね 今は お姉ちゃんに話がある ちょっと失礼 ずれてくれる？ お願い ずれて ごめんね ハーイ　話してるフリして 「くるみ割り人形」って 人形がネズミを殺す夢を 見る女の子の話？ しかも３時間もかかる 終わったら起こして ちょっと通して ずれてくれる？ 俺 足が大きくて… ごめん もう大丈夫 やあ ただいま 会いたかった 私も会いたかった 元の席に戻らないと　失礼 勘弁してよ 痛い ちょっと失礼 よし ハーイ　話してるフリして 今後は口パクで話して （失礼ね！） マックス　今より ロマンチックなことって 北大西洋で凍えることかな 浮かぶドアにつかまってね 端に寄れば ２人乗れるのに 私は なぜか寄らない 電話だ　出ないと 私が出るって予言があった ママ どこにいるの？ パパが迷って グルグル回ってる レーサーだから職業病だ 遅れちゃう 大丈夫よ　任せて 何とかするから 失礼　もう１回だけ通るよ 最後だから 寝たいのに 失礼　通して トイレに行きたいの 俺も ダメ！ マックス ウソのあくびはせずに 腕を回して 何が難しいの？ ラモーナよ キミーにそっくりだね キミーだ そうだろうね ごめんね　新入りなの 今のは あんたのせいよ 面白いや どうなった？ キミーが代わりに出て 人形のくるみを割った さすがだね ５ ６ ７ ８ まずは キラキラ それから カウボーイ お尻ぺんぺん ギャロップ そのままギャロップ！ 遅れて すみません 王冠はどこ？ あの変な人が あれ 私のママです そうだろうね 何やってるの？ ギブラー･ギャロップ ここからは ハマータイム！ くるみ割り人形役を頼む ショッピングカート押して マカロニ 豆を取って 日付を見る 腐ってる　戻して カート押して 次はコンガ！ 舞台に出て お母さんを殺せ ごめんね　殺しに来た 愛されてる ネズミの王様は死ぬの 今夜は違う 痛い… 産んであげたのに 殺すなんて！ ママ 早く死んで 死ぬから邪魔しないで 待って　まだ死んでない 終わりだよ　皆 帰ってる 私を忘れないで 世界一 美しいネズミだった ジミーの車がないね 話したくない ここでラッピングしていい？ もちろん ＤＪ･フラー　話を聞くよ 今日はイブ　ラップでいくよ あんたが話すまで続けるよ 分かったから やめて 話すよ ジミーとは？ ひどいことされたの 例えば？ まず オークランドを オックランドって言った 信じられない その後 私たちのクッキーを作った とんでもないね それから “愛してる”と言って― 私にも言わせようとした 話が見えてきたわ 話は おしまい １歳の赤ちゃん 夢の国 一晩中でも歌えるよ シャカ シャカ シャカ やめて 分かった “愛してる”と言われても なぜか― 返せなかった はっきり言わせてもらう 真剣な交際が怖いのよ 一番 長かったのは？ ５年半よ 12人 合わせれば ほらね　悪い癖がある 相手を大事に思い始めると 逃げる そんなことない 行くね 待って なぜ逃げるか 私には分かるの ママが死んだ時のことを？ 覚えてない だって４歳だったし 私は覚えてるよ 私はパパにくっついてた でも あなたは― 部屋に閉じこもり 誰とも話さなかった クマくん以外ね 聞き上手だった ママを亡くして― あなたは心に壁を作ったのよ 二度と傷つかないようにね あなたは悪くない そっか そうかもね ジミーを 遠ざけちゃうのは― 傷つくのが怖いから 心の壁を取り払わないと 愛する人を失うのよ そうだね ジミーを傷つけた 電話したら？ もう いなくなった 彼を逃しちゃダメよ ２人はお似合いだもの ありがとう いいセラピストだね ラップはダメ お姉ちゃんにも 悪い癖があるよ あら もうこんな時間！ みんな　早く来て！ もう限界 ８歳児にプレゼントの 見張りをさせる？ サメに アザラシの子守させる？ 開いてます メリークリスマス！ 昨日は ありがとう 本当にお母さんを刺したの？ ２回もね　最高だった もう行くね　ラモーナに ジャクソンにも 俺もあるよ メリークリスマス ありがとう じゃ もう行くね またね 何あげた？ さあな 来ると思わなくて… 適当に渡した メリークリスマス どうも ジャックの食欲が戻った オムレツをあげたよ お礼に これを渡したくて ありがとう タイヤ並みに大きい スティーブがくれたダイヤも 大きいのよ とてもキレイね 愛してるよ 私も愛してる メリークリスマス これ 返します あげるわよ でも 先生の物だし それに家にあると ママが嫌がる メリークリスマス ブロントサウルスだね 君って完璧 僕からもプレゼントが あるんだ ママ イヤリングちょうだい これは純金なのよ こっちは純愛 いいのよ マックス 大事なのは贈り物より― 心のつながりだから 世界は僕のものだ！ フェリス･ナビダ！ タナーリトス ジミー ジミー！　来たのね 会いたかった もう戻らないと思ったわ クリスマスの買い物に 行ってた ギリギリだと安くなってる 遠ざけて ごめんね 同じ気持ち　愛してる あなたは最高 今 何て？ “同じ気持ち”？ その後だよ “最高”？ その前だよ 愛してる 空耳じゃなかった 愛してるよ ステファクロース プレゼント 開けていい？ 開けよう！ 絶対 気に入る 俺からのプレゼント この格好は俺の趣味じゃない オスだって知ってるよね？ 日本語字幕　鈴木 恵美

レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと.S02E03.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ 見てはいけない 　　　　やめときな こんなの見るな 　　　　やめときな 見たら１日 　　気がめいるだけ どれも不幸な話ばかり だから見ちゃダメ 　　　やめときなって 今度の後見人は 　　　　　お金持ち でもオラフの計画は 　　　　　着々と進行中 さらわれた友達 　　　　　助け出せ 恐ろしい物語が 　　　　終わる前に とにかく見ちゃダメ 　　　　　　やめときな ピンチと 　　恐怖しかありゃしない マジメな人なら 　　　　こう言うさ 見ないほうがいい 　　　　　やめときな 見てはダメだ 　　　やめときな 見てはダメだ 　　　やめときな まやかしエレベーター パート１ 見たらおしまい 　　　　やめときな 見たらおしまい 　　　　やめときな 原作 レモニー･スニケット 見たらおしまい 　　　　やめときな 後悔するって 　　　やめときな ベアトリスへ 君と出会って 私の人生が始まった そのあとすぐ 君の人生は 終わってしまったね 今から始まる物語は… 諸君がしっかり 見てくれればだが ある２つの言葉の違いを 教えてくれる “心配”と“不安” “心配”という言葉は マズいかもしれないアイスを 食べる時の感情を表す 心配だ 一方“不安”は ハラハラする感情を示す 例えば デザートに 生きたワニが出てきたら デザートになるのは 自分ではないかと不安になる 不安だ ボードレール３姉弟妹(きょうだい)を 心配するのは 結末を知らないから だが今回は不安になるはず 罠(わな)にかかったと知り 彼らも不安になるからだ 君たちも心配だろう 私も心配しながら 新しい後見人を探してた でも大丈夫さ ここは オシャレな地区だからね オシャレは関係ない 僕たち不安なんです 友達がさらわれて クアグマイアの双子か 三つ子よ ２人だろ １人は死んだと じゃあ その子は除いて デニス… ダンカンよ あれが何か分かる？ パトカー？ オラフの逮捕と 人質救出のために動いてる 銀行も悪党に 裁きを下すのに協力してるし 指名手配のポスターも 木の陰で見えない でもヤツにそっくりだろ 新しい後見人は ご両親の古い友人だよ 君らを預けたら 私はヘリと双眼鏡で クアグマイアを捜す さて どこかな 667番地なんだが 見えるかい？ この辺りのはずだ 両親の友人だって 知らないわ あのビルだ 私がぶつかった街灯の先に どなた？ ボードレールの３姉弟妹です ようこそ そこの鼻血を出してる男は？ ただの付き添いです 鼻血はヘリに乗る前に 自分で手当てを 許可がない人物は通せない では私は失礼しよう 連絡をくれても ヘリに乗るから 応じられないかも 友達？ 銀行員です やっぱり 君らは町で６番目に偉い 投資アドバイザーと その夫が住む ペントハウスに行くんだろ この建物は安全だ オラフも決して入れない オラフも決して入れない 〝指名手配 オラフ伯爵〞 暗いのは“イン”だから イン？ インさ 最上階までは階段で 〝アウト〞 〝アウト〞 エレベーターは故障中？ 修理しましょうか エレベーターは故障中？ 修理しましょうか 故障じゃなくて “アウト”なだけ １時間で着くと連絡しとく 最上階とはリッチだね クアグマイアは どこにいるのかしら 闇の中だ “闇の中”とは 周りが暗い状況を指すが 周りが 秘密だらけの状況も表す 毎日 秘密を抱えて 日が暮れる 誰もが“闇の中”にいるのだ 例えば日光浴をしていても すぐそばの落とし穴に 気づかなければ“闇の中” 夜中にバレリーナに 尾行されていても 気づいている状況なら “闇の中”ではない もちろん暗闇で “闇の中”に陥ることもある だが世界は秘密だらけで いつも何かが“闇の中” 暗闇にいてもいなくても 同じこと 結局 バレリーナが掘った 危険な穴に落ちる 暗闇にいてなお“闇の中”だ 変だな エレベーターの扉が２つ ほかの階は１つなのに “ペントハウス” ボードレールの子だね カギはかけない ジェローム･スクアラーだ よろしく スクアラーさん 階段を上がって 息切れした時の対処法は２つ その１ 僕を ジェロームと呼ぶこと その２ 僕特製の マティーニを飲むこと マティーニはお酒では？ 酒はアウト でも今は 水性マティーニがインなんだ 水性？ 水にオリーブを入れただけ なら ダブルで 初めてだけど飲んでみます ご両親に似て冒険心がある 昔 みんなで“困り台”に 登ったのを思い出すよ 何年前かな モンゴメリーも？ ジョセフィーンは？ 前の後見人のことは知らん 望遠鏡をお持ちで？ いいや だが あの日 双眼鏡をワシに奪われた 嫌な思い出だ その後 ご両親との つきあいは途絶えた 大人になったんだよ 妻が僕の友人を嫌ってね こんな不愉快な話 もうやめよう 火事のあと すぐ養子にしたかったが… 孤児はアウトだった でも今はインよ　こんばんは まだ午前だ エズメ･ジジ･スクアラーよ 町で６番目に偉い 大金持ちの投資アドバイザー エズメって呼んでいいわ 来てくれて うれしい 孤児を３人も 引き取ったと知れ渡ったら みんな 嫉妬で寝込むかも 寝込んだら困るよ あんたたちの友達の 目玉が飛び出すほど 贅沢(ぜいたく)な暮らしをさせてあげる インなレストランで食事して インな洋服を着るの つまり安心して 暮らせるってことさ バカ言わないで いい？ しっかり覚えて 暗闇と階段はイン 光とエレベーターはアウト ピンストライプのスーツは… イン インよ そのダサい服はアウト 妻は君たちに くつろいでほしいと 今まで怖かっただろう 最初から僕らが養子に… しかたないわ 昔はアウトだったんだから 孤児に関心がおありなら 僕らの友達のことも？ クアグマイアのことだね 心配なんです お金と権力があれば 心配なんてする必要ない 見つかったら うちで引き取るわ 孤児は多いほどいい スペアは必要よ ゆっくり休んで ペントハウスに住めるんだ ほかに望みが？ 友達に会いたい きっといい知らせが届くよ いい知らせよ ウワサをすればってやつね オラフ逮捕？ 人質救出？ もっといい “暗闇はアウト　光はイン” カーテンを開けましょ 光を入れて 西側をお願い あなたたち 居間のカーテンを開けて 私は外に スクアラー夫妻は 当てにならなそう オラフが遠くに逃げちゃう どうしたんだ 悪夢みたいか？ 効果的な演出だろ 俺も悪夢を見てるんだよ 夜中に叫んで目が覚める 唯一の救いは お前らも じきに叫ぶってこと 俺が捕まえた もう１組の 裕福な孤児と同じようにな ダンカンたちね どこに？ 知らないのか？ 近くで裕福な孤児の においがするのに 心配しなくてもすぐに お前らも捕まえてやる 片手にクアグマイア もう片方にお前らだ 指名手配されて 行く手が示されてるがな “阻まれ”だ 止めてみせる スクアラーさん オラフがここに ウソでしょ まさか ドアマンや警察の目を ごまかせるはずが… どこ？ そこに 本当です バブーシュカも言ってた オラフ伯爵は… どうぞ ここです 〝指名手配 オラフ伯爵〞 限定品のポスター… どうぞ 〝指名手配 オラフ伯爵〞 〝指名手配 オラフ伯爵〞 みんなが捜してる スターのサイン入り どうやってこれを？ 外国人だから 秘密のコネを持ってる 奥様 誰だい？ カーテンに グンターが 隠れてるって言ったでしょ そうだった お会いできて光栄です どうも どうぞ 変な話し方でごめんなさい 外国人ですから… どうぞ エズメのご主人ですね はじめまして それに醜い子供たち “醜い”って言葉… どうぞ 合ってる？ たぶんね “外国”はインなの この男がオラフ伯爵です イケメンでしょ オラフ伯爵はハンサムだ お姫様の背中に乗る 高貴な馬みたい 私の国では 彼の伝説的なカッコよさを たたえる祝日があります どこの国ですか？ ずっと遠くだよ オラフ伯爵は ずっと遠くまで逃げられない 警察が追ってる ではクアグマイアの双子と サファイアはどうなる？ 双子じゃない オラフ伯爵が捕まったら クアグマイアは 二度と見つからんだろうな 超イケてる監禁場所で 飢え死にだ ベジタリアン用のレストラン もしくは無人島でな 監禁なんて 暗い話はやめましょ 楽しい話題がいいわ オークションのこととか インなオークションを 明日 開催するの とびきりインな オークション係が司会する 外国から来たグンターよ これを見て ピカピカの上品なカタログ オシャレすぎて 参加者が卒倒しちゃうかも 収益はいいことに使う いいこと？ 私のため 全額 私のものよ でもオークション係の 報酬とかも… 困ってる人に 送るのはどうかな 飢えに苦しむ人々とか お金は食べられない それに貧乏人を救ったら 同情する相手がいなくなる かわいそうな貧乏人 哀れで金持ちの孤児は ずっと遠くに行っちゃえ どうぞ それよりビジネスの話を そうね ジェローム ピンストライプのスーツを 子供たちに着せといて こっちだ　さあ ウィニペグ公爵夫人が 泊まった部屋だ 部屋数は？ 確か71かな 半分は入ったこともない 先日 初めて キッチンでオムレツを食べた 隠れる場所がいっぱいね かくれんぼ大好き でも同じ部屋で寝たら？ 迷子になったら大変だ スーツはここだよ マティーニを持ってくるから 着替えてて 歓迎するよ オラフがいるなんて 行く手は阻まれてるから 人質も近くに隠したはず 〝示されてる〞って この家にいるかも 部屋が多いから 迷子になるほどね エズメも仲間なのかしら 大金持ちは遺産を盗まない でもオラフ伯爵を好きみたい 結婚でもしたら… ジェロームの身も危ない ご夫妻に手品をお見せしよう さあ こっちに来て 危ない！ アリゾナ王のソファに 触らないで ごめんよ でもグンターが… 手品を披露してた エセ五輪で 銅メダル獲得の腕前だそうだ 子供が手品の邪魔するなんて 許されんぞ インなスーツに免じて 許してやって 姉さんはどこに… どうぞ ペントハウス中を くまなく探索してる 心配だ 迷子にならないといいが 姉さんならうまくやる 僕も探検したい 子供が家の中を うろつくなんてダメだ 長くはかかりません どうせ２～３部屋でしょ？ ２～３部屋？ バカね ついていらっしゃい 驚いて気絶するわよ 何かたくらんでるな お前こそ 新聞を見たか？ 何度 人を殺しても 俺は捕まらない男だ 公式なダイニングよ いい花瓶だろ？ 殴ったら 致命傷を負わせそうだな 準公式のダイニング かわいい花瓶 殴るのに いい重さだ 非公式のダイニング 小さな花瓶は粉々に砕けて 目に刺さりそう ここは娯楽室 ボウリング室 私の化粧室よ 入っても？ ダメ こっちには 超高級で 超インなオブジェを飾ってる インな根菜ルタバガを 入れたカゴよ 異常に長い 輪ゴムのコレクション スペインの巨大ハンカチ 金持ちを窒息させるのに 使えそう 何て？ つまりその… お大事に どうも 大人とハンカチ以外の何かに アレルギーが 孤児かしら 孤児？ ケ･パサ？ そのとおり ホコリで？ そう 孤児のホコリが あれに詰まって苦しいんです 何だっけ？ 分泌腺？ 人生にです やあ ヴァイオレット 探索は？ 終わった それで？ 振り出しに戻った 振り出しはダイニングでしょ ダイニングといえば おなかペコペコ 近くのインな店まで リムジンで行きましょ 新聞に写真が載るかも 今 撮りましょう 彼らの意向も… あなたはカメラを 子供はこっち 重要な写真だから ガキは抜きで 孤児と写ったほうがウケる 犬と同じよ さあ 来て ステキ ストライプが写るように いいわ はい チーズ！ ゴルゴンゾーラ “アクセサリー代わりに 孤児を連れ歩くエズメ氏” “アクセサリー代わりに 孤児を連れ歩くエズメ氏” 〝ボードレール 贅沢な暮らし〞 〝ボードレール 贅沢な暮らし〞 〝ボードレール 贅沢な暮らし〞 “グンター氏と オークション開催” “グンター氏と オークション開催” “夫は存在感ゼロ” 寄宿学校の生徒が多数 ひどい引き取り手のもとに 外国人が怖いとでも？ 何て？ まさか 次々とソーリスが起きてる ボードレールに クアグマイア あなた副主任でしょ ソーリスは… “悲劇”って意味だ 私は無給の休暇を取り この町へ来て 孤児の件を調べてます 本を読んでも 混乱するばかりで 本を読んでも 混乱するばかりで 「秘密結社の 不完全な歴史」 本を読んでも 混乱するばかりで 本は難解だよね 妻と配信ドラマを 見るほうが楽しい 驚くべき事実を発見したので 少しお時間を… それは無理だ ヘリの出発が遅れたら パイロットが怒る それが何です クアグマイアを見つけ オラフ伯爵に法の裁きを 協力してください ジャクリーン ヘリのハーネスの手配を 頼む 腐敗と傲慢に満ちた世界で 哲学や文学的な信念に 従うのは難しい 何て？ 腐敗と傲慢に満ちた世界で… “哲学や文学的な信念に 従うのは難しい”でしょ 重要な言葉よ タクシーを呼ぶわ 無給休暇だから節約しなきゃ 路面電車で 寄宿学校まで帰ります マズい ジャック？ 君か お客よ どんな？ “モラルのコンパス”を 身につけた人物で 子供たちを心配してる 役に立つはずだから 引き止めて 特徴と居場所を 路面電車の停留所にいるわ 秘密結社の本を持ってる 穴あけパンチが ソーリスなことに 聞いてる？ つまらない方面 郊外の住宅地行き 発車します 行かないで ちょっと待って　お願い ぶつける気？ すみません 一生 反省します 一生？ 大げさかな　お帰りで？ アイス売りに聞き込みして ゾンビ映画を見て 銀行に寄って 行き場を失ってるとこ 続きがありそうだ　乗る？ この町は初めてなの 知らない人の車に 乗ったりしないわ タクシーでも？ 火事で親をなくした孤児が 誘拐されて大変だろうな なぜそれを 運転手は仮の姿 ある結社の一員だ 秘密結社？ 知ってるのか これを読んだ 入門書だ ボランティアね ジャック･スニケット オリヴィア･キャリバン もっと近くに よく見える？ 何を見せてくれる？ 通りの木を切り倒してる 当然よ 暗いのはアウトなんだから 楽しい昼食を まだオラフ捜索は続いてます お待たせしました　どうぞ 電話室にいましてね 隙間風が入って寒いな 通れる？ まだ入ってない いいぞ よし 通れた リムジン お疲れ 私はエイブラハムです 情報どおりだ 隠れてるのはオラフだろう ジャクリーン 読みが当たった ヤツは暗闇大通り667番地に クアグマイアを隠してる スクアラー夫妻との昼食中に 俺たちは… 誰と一緒かって？ 新入りだ 仲間は大歓迎よ ヘリポートまで 妻が送ってくれる 今日は秘書の日ですよ だから危険な 空の旅などやめて 地上で昼食をおごれと？ ５分で準備を 私も 奥様 投資アドバイザーは どんな店で昼食を？ 優雅でシャレた インな店に決まってる リムジン “暗闇”と“嵐”の角へ いいコートだ 超インでしょ？ 修道女が コウモリの羽根で作ったの 羽根はない ある種もいる 新種だよ 〝イン〞 “ヘリング･フーディーニ” 反対側に回れ 着きました どうも 私の名前は… 全部屋 捜した？ ドアに印をつけたから 間違いない 別の階にいるかも いらっしゃい 当店は法律を順守してます 悪だくみなどしない 魚の酢漬け発祥の店です お客様第一で… 迅速対応 ５分で準備したし 子供には厨房(ちゅうぼう)ツアーも 誘拐したりしませんよ 大人には… ウォッカを 睡眠薬なんて入ってないです ここはやめましょ 完璧だ　どうぞ 決断は妻に任せよう ウォッカ？ ゴミみたいな店ね これは困ったことに リムジン 本当にインな店に行って ここで ご主人と食事してて 私はさっきの店で ガキを誘拐… 食事を 戻る必要ない どうぞ 大事な… あなた イン？ それともアウト？ この店を見て 「几帳面(きちょうめん)日報」が 超インと評価した 「几帳面(きちょうめん)日報」が 超インと評価した 〝カフェ サルモネラ〞 あのベーカリー以来ね サルモネラ？ コンセプトがいい 担当のラリーです サルモネラへようこそ 当店の料理はサーモンづくし 飲み物やテーブルクロスも ラリー？ 例のウエイターよ 助けてくれる ラリーだと？ 何だか吐き気がする マンションに戻ります 何も隠してないけど 外国人向けの 翻訳メニューをどうぞ 何語に翻訳したんだ？ あなたの得意言語に どの言語も得意だ では何の心配もいりません よくも… サーモン味の水は スパークリングで？ サーモン味？ すごく おいしそうだわ どうやってサーモン味に？ 切り身を入れた 普通の水で 私も やめてよ 普通の水はインじゃない 水性マティーニも水ですよ 当店のコンセプトは 若者にウケがいい ビジュアル系フィッシュデコ(ＶＦＤ) 友達もここにいたらいいのに 確かに家にこもってるのは “断然イカン”だ 逃げ出して 食事を楽しめばいいのに どうすれば？ ゆっくり食事しててくれ すべてスタッフが解決する 46階にお住まいの皆様に 46品のコースをお出しします どうぞ ゆっくり まったりと 全員 救出されるまで 座ったままでお食事を 怪しい行動はジャズと同じ 聞けば分かる 仲間がオラフを引き止めてる その間にビルを探索しよう 46階すべてだ ドアマンの目を避け 46階まで階段を上がるの？ 階段は使わん 制限時間は？ 金持ちが食べ終わるまで 金持ちが食事してる 「几帳面日報」の読者が喜ぶ “エズメが 孤児と外国人を伴い” “サルモネラで食事” 夫もね 載らない ジュ･マペール まあ ヨーロッパ式ね やあ こんな安全で シャレた店にいるとは 失業した司書が来て 君たちが無事か疑ってたが こんな所で食事とは 大事にされてるんだね 町で７番の 投資アドバイザーに ６番よ ６番目 ６番目に偉いの 大事な話があります 私もこの女性に大事な話が インな店かアウトか 判断はあなたが？ 「几帳面日報」は信頼できる ９回中２回も 選挙予想を的中させた 次にインになる店はどこか 聞きたい？ イケメンが教えてくれるの？ こちらへ クアグマイアは？ いい質問ね 秘書のジャクリーンだ 覚えてる？ もちろん 映画で見た 迷路でも オフィスでもね 秘書の日だから 食事をおごれと ベ(Ｖ)リー フ(Ｆ)ァンシーな ダ(Ｄ)イニングで 座ってゆったり過ごしてて すべて計画どおりだから 計画？ 吸着カップ カップね 安全靴 滑らない 命綱だ 命綱には疑問が それを腰に どこに結ぶの　非常階段？ 俺にだ それじゃ２人とも落ちる いや 一緒に登るんだ ただいま おや 食べ損ねたかな まだ最初の１品です サーモンのスープをどうぞ 底に目玉が隠れてます しっかり見ろよ どうかロープが 切れませんように サーモンのサバイヨン サーモン型の水差しで注ぐと ゲロみたいに見えます 筆を躍らせるように サーモンブレッド 頭のエキス入りバター添え 何か入ってる ルタバガです サーモンの一生は 人間とはかなり違う 快適な環境が 徐々に厳しくなり 多くは悲劇で終わる 生きたまま焼いた サーモンです サーモンの一生における 最大の難所は産卵だが 最愛の相手と過ごす 貴重な時間でもある 川上りはとても難しい 流れに逆らって泳ぐからだ ３姉弟妹も 流れに逆らっていたが サーモンだらけの 店のせいではない マリネを サーモンの オラフ伯爵をグンターだと 信じてる人の中で ３人は上流を目指した あなたの国の話を聞いてると 罪悪感や気まずさを 感じなくなる グンターって変ですよね なまってる もっと怪しい点が 驚いたな “外国人恐怖症”って 知ってる？ “恐怖症”は 何かを怖がるって意味だ 外国人を怖がる人のことさ よそから来て 違うものを食べるからって… サーモンの尾のサラダ 皮のクルトン入りです ご両親は何も恐れないのに 君らが外国人恐怖症とは お母さんは恐れ知らずで ワシを殴ってたよ もっと話したかった なぜ疎遠に？ 事情があって… 敏腕記者のお通りよ エレベーターみたいに 部数がうなぎのぼり エレベーターみたいに… エレベーターみたいに 何て？ 敏腕記者だって言ったの どうしたの ひらめいたかも 667番地まで戻れるかな サーモンの一生が終わるまで 帰っちゃダメ ランチは終わり “ジ･エンド” “イル･フィニート”だ どうぞ！ まだ捜索は… コースは終わってない いっぱい食べて いっぱいお金を払うの まだ帰らないわ “ヘリングがイン” サルモネラはアウト ヘリングがインよ さあ テイクアウトの袋に 孤児を詰めよう 何を言ってるの 食べに行きましょ もうたっぷり… 急いで！ 誰かに見られる前に ここから出なきゃ この店 超アウト チャンスだ あの店は怪しい 何も食べないで 怪しい料理はたくさんだ 通れない 流れに逆らってる お会計を ５名でお待ちのドナー様 やったな エレノラ 長蛇の列だ 外国人の情報を うのみにするのは記者の常識 金持ちはこちらへ “ニシン(ヘリング)”は入ってないね もちろん いただこう マズい　閉店しろ でも予約が… 知るか　孤児はどこだ 45階まで調べたのに… きっと最上階だ ミセス･ポーの言葉で 気づいたんだ この階だけ エレベーターが２つ 何かあるわね クアグマイアがいるかも 乗る台や制御盤がない ケーブルもブレーキ装置も まやかしだ 暗いトンネル シャフトよ みたいね 誘拐は僕らの責任だ 違う 助けなきゃ そうね ここの料理は ほかの店よりおいしいわ 店に誘い込んだのに 孤児たちはいません デザートはパスで 私も インな料理って カチカチで口の中に残る そう思わない？ 薬でも盛られたみたいに 眠いんだ 車で寝て… どうぞ 何も盗まれないよう 急いで帰ろう 行かせないぞ １曲 歌ってくれるまではね 何だと？ さっきの店員？ ウワサによれば かなりの歌い手とか 違いますよ ただの外国人です 謙虚な方だ 彼の歌唱力は そこそこ有名で マイナー雑誌にも載ってる 別の外国人の話でしょ 町を捜索しても これほどの歌手は そうそう見つかりませんよ どうか あなたの歌で お客様を楽しませて 外国人がレストランで 歌を披露したら うちの読者も喜ぶわ 宣伝のこともお忘れなく いい歌は消化にいいかも 絶対に嫌だ 死んでも歌うもんか お願いです 秘書の日の記念に 秘書の日だったか 秘書の日！ 秘書の日！ そこまで言うなら テンポとキーに気をつけろ 誰もが尋ねる 　　この私グンターに “なぜそんなに 　　ハンサムなの？”と “イケメンでインテリ 　　　なまりの秘密は？” ウィンクして答える 　　　　“分かるだろ？” 秘密は… そう ずっと… 悪だくみしてるから 悪だくみは最高さ 未来はとても遠いけど 毎日 ゴールに近づいてる 権力を握ることだってできる 悪だくみを続ければ まるで犯罪者 　　世界中から追われてる でもしくじる確率は 　　　　　　ごくわずか 誰も渡しちゃくれない 　　　　　　皿の上の大金 口を大きく開けて ヤバいネタにも噛(か)みつけ 悪だくみしよう 悪だくみを １歩 踏み出せば  　　　　始まるんだ 平手打ち覚悟で 　　　　　突き進め ゴールには 　　サファイアの輝きが さあ 悪だくみしよう バンドにも拍手を！ そうさ 悪だくみしよう 悪気なく さあ 悪だくみしよう クソガキどもよ 人生の暗闇に 　　落ちていくのさ そうさ 悪だくみしよう 心配？ 不安だよ 覚悟できてない できるまで待ってたら 一生かかる ダンカン イサドラ みんなでやろう 悪だくみを！ 日本語字幕　各務 くみ子

とと姉ちゃん＃127

1 <そして その日の夕方です> 久しぶり｡ 冬ちゃん…｡ (常子)これからも 必要であれば こうして また…｡ (星野)いえ｡ それは…｡ お気持ちだけで 十分です｡ そうですよね｡ すみません｡ 出過ぎた事を｡ では 失礼します｡ (美子)星野さんと もう会わないつもり？ 星野さんには ご家庭があるの｡ 大樹君も青葉ちゃんも お父さんの事 大好きだし➡ 星野さんも ２人の事 大切に思ってる｡ それに ほら 今は うちの子も大変だから｡ うちの子？ ｢あなたの暮し｣よ｡ ﾌﾌﾌ｡ パン ない方？ <昭和30年代 粗悪な商品が 多く出回り始めたため➡ 常子と花山は 商品試験を始めました｡➡ しかし 本格化するにつれ➡ 社員だけで 全ての試験を行う事が 難しくなっていました> (康恵)私に任せな｡ (扇田)康恵さん！ 私みたいな手伝いを 連れてくるよ｡ 子育てに一段落した主婦の友達が 結構いてねえ｡ <こうして 一般の主婦を ﾃｽﾀｰとして雇う事にしました> ♬｢普段から｣ ♬｢ﾒｲｸしない 君が｣ ♬｢薄化粧した朝｣ ♬｢始まりと 終わりの狭間で｣ ♬｢忘れぬ約束した｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢真実にはならないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の｣ ♬｢花束を君に｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢君を讃えるには足りないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の｣ ♬｢花束を君に｣ 今どきの若い男性は ｱｲﾛﾝも ろくに使えないんだねえ｡ 本当ですね｡ 情けないねえ｡ あっ 私入れて 10人ね｡ お骨折り頂き ありがとうございます｡ いいんだよ｡ それに あんたらも ｱｲﾛﾝ使える主婦の当てなんて➡ ろくに ないだろ？ 結婚してないんだから｡ そうですね…｡ あっ 悪気があって 言った訳じゃないんだよ｡ いえいえ｡ 私だって つい最近まで➡ 戦争未亡人だった訳だから｡ ずっと気になってたんですけど➡ どこで知り合った方なんですか？ お相手の方って｡ ｶﾌｪｰの時の客でね｡ 気に入られてさ｡ へえ～｡ 全然 好みじゃなかったんだけど➡ 金は持ってたから｡ ﾌﾌﾌ｡ それに 向こうの連れ子が 懐いちゃってさ｡ それが 何だか かわいくてねえ｡ え～ 今回 皆さんに こちらにある 10台のｱｲﾛﾝを使って➡ 試験して頂きたいのは ｱｲﾛﾝの使いやすさです｡ 一日50枚のﾜｲｼｬﾂに ｱｲﾛﾝをかけて頂く事に➡ なるのですが その際➡ こちらの取っ手の持ちやすさ 重さ➡ 細かい部分の シワの伸びやすさなど➡ どんな点が使いやすく どんな点が使いづらいのか…｡ <康恵が集めてきた 主婦の仲間たちは➡ 早速 働き始めました> どうですか？ これ すぐ熱くなるんだけど 冷めるのも早くてね｡ それだと 頻繁に ｺｰﾄﾞを 抜き差ししないといけませんね｡ ああ｡ こりゃ面倒だね｡ こっちは 先っぽが 全然 熱くならなくて➡ 細かいところのシワが伸びないわ｡ こっちのは 持ち手が すぐ熱くなって やりづらいわ｡ 皆さん 気を付けて下さいね｡ (本木)いいですね いいですね｡ あの… この角度 もらいます｡ 普通にしていて下さいね｡ <彼女たちの声により➡ 具体的な試験項目が 固まっていきました> よいしょと｡ 最高です｡ ありがとう｡ (花山)うん… どこも 温度の上昇は早いみたいだな｡ ああ… 外国製よりも小さく 設計されてるからですかね｡ (緑)皆さん 夜食用のお握り 置いときま～す｡ ありがとうございます｡ (扇田)こっち こっち下さい！ (寿美子)ちょっと待って下さい｡ ５ ４ ３ ２ １｡ 10分です｡ せ～の｡ <底板全体に 均一に 熱が行き渡るかを調べる試験や…> よし 次は 設定温度を最高にして 30分｡ <電源を入れたまま 置いておくと➡ どれだけ 柄が熱くなるかを 測る試験> 広海 68度です｡ はい｡ では ここから 30分 置いていきます｡ どんな小さな変化も 見逃さないで下さい｡ <正確な結果を導き出すために➡ 試験は 何度も繰り返し 行われます> どうですか？ 水田さん｡ (水田) 温度試験 50回分の平均値です｡ 20分たつと 半分のｱｲﾛﾝは➡ 持っていられなくなります｡ 最悪 火事にも つながりかねない 温度ですね｡ 皆さん 引き続き よろしくお願いします｡ (一同)はい｡ <ｱｲﾛﾝの商品試験は 連日 深夜まで及び➡ ２か月にわたって 行われました> 行ってきます｡ 行ってらっしゃい｡ 皆さん 適宜 休憩とって下さいね｡ (一同)はい｡ ぼちぼち 終わりが近づいてきたねえ｡ そうですね｡ でも こんなに長い間 お母さんを拘束してしまって➡ お子さんたちが さみしがってないか 心配で…｡ そんな事ないよ｡ うちに帰ったら飛んできて➡ ｢今日は何したの？｣って 聞いてきてさ｡ あら｡ 勝手に｢あなたの暮し｣を 読んだりして｡ 母親が関わってる事が 誇らしいみたい｡ 私も気分よくなって 話しちゃうんだけどね｡ そしたら 目 ｷﾗｯｷﾗさせて 聞き入っちゃってさ｡ かわいいですね｡ まあね｡ ﾌﾌﾌﾌ｡ あ～ 常子さん｡ はい｡ 印刷所に文句を言ったら 金の話になった｡ 私じゃ分からないから 話をつけてくれないか？ またですか？ はい 至急！ 頼むよ｡ はい｡ <その日 常子は 料理記事の確認のため➡ 森田屋に向かいました> こんにちは｡ (宗吉)おう｡ すみません あの 原稿の…｡ (青葉)あっ おばちゃま！ (青葉)おばちゃま！ こんにちは 青葉ちゃん｡ 大樹君も｡ (大樹)こんにちは｡ こんにちは｡ (星野)たまには みんなで外食しようかと｡ そうですか｡ はい｡ ねえ おばちゃま｡ 何で もう おうちに来てくれないの？ それは…｡ (青葉)次は いつ来られるの？ ｸﾘｽﾏｽは？ 私の誕生日は？ 青葉｡ 常子さんは お忙しいんだから➡ 無理を言っては いけないよ｡ ごめんね｡ (宗吉) 何だよ｡ つれねえ事 言うなよ｡ それとも 何か？ 葉っぱのあんちゃんのところに➡ 行けねえ事情でも あんのか？ いえ…｡ (南)あっ 大将｡ ん？ どうした？ 常子さんの持ってきた原稿 確認しないでいいんですか？ お～ そうだった そうだった｡ お願いします｡ ｵﾑﾗｲｽ 食べようか｡ 青葉｡ 大樹は何食べる？ ｶﾚｰﾗｲｽかな｡ ｶﾚｰﾗｲｽにする？ ♬～ ありがとうございました｡ (宗吉)おう またな｡ (扇田)皆さんのおかげで 本当に はかどりました｡➡ 男たちが だらしなくて 本当に すいません｡ 皆さん 本当に 今日は ありがとうございました｡ (扇田)ありがとうございました｡ (主婦たち)さようなら｡ お気を付けて｡ さあ 仕事！ ねっ｡ やりましょう｡ あ～ 一生分のｱｲﾛﾝがけを やってる気がするよ｡ すみません｡ ｱﾊﾊ いいんだよ｡ おかげで 最近 ｱｲﾛﾝかけるのが うまくなったって➡ 旦那に言われてさ｡ 前の結婚の時は ｱｲﾛﾝなんて あんまり かけなかったから｡ 前の死んだ亭主は そういうの 無頓着な人だったからねえ｡ 再婚したからって 前の人を 忘れた訳じゃないんだよ｡ 今の結婚だって 随分 悩んだんだから｡ …って あんたに言い訳しても しかたないんだけどね｡ いえ｡ 亡くなったからといって 忘れられる訳ありませんから｡ ただ 子どもがいるからね｡ 私が生きている以上➡ 前向きにさ 幸せになろうって 思うようにしたのさ｡ とと姉おばちゃん！ あ～ たまき！ たまき！ (鞠子)ごめんなさい｡ 近くを通りかかったものだから｡ 突然で お邪魔だった？ ううん 全然 大丈夫｡ 康恵さん お久しぶりです｡ 久しぶりだねえ｡ あんたが たまきちゃんかい？ かわいいね｡ おばさんは 何してるの？ 常子さんに頼まれて どのｱｲﾛﾝが 一番いいか➡ 調べてるんだよ｡ とと姉おばちゃんに？ そうだよ｡ この人は とっても偉いんだから｡ 偉いだなんて そんな…｡ 本当よ｡ とと姉おばちゃんは すっごく偉いのよ｡ 鞠ちゃんまで やめてよ｡ いいえ｡ たまきには きちんと教えたいの｡ いい？ 女の子が やりたい事をやって 生きていくというのは➡ とても大変な事なの｡ もしも たまきが大きくなって➡ たまきが やりたい事が できるような世の中に➡ なっていたら それは きっと➡ とと姉おばちゃんみたいな人が➡ いろいろと 頑張ってくれたおかげだと思うの｡ そっか｡ 大げさよ｡ いいや｡ 私も鞠子さんに一票だね｡ 一人で どうこうなんて そんな…｡ 鞠ちゃんと みんなが いてくれたおかげよ｡ 私も とと姉がいてくれたから 好きな事ができたの｡ 大学にも行けたし 文章を書く仕事もできた｡ そういう時期があったからこそ➡ 今 こうして 結婚して➡ 子どもを育てて生活していく事の よさも分かるの｡ (たまき)あっ 赤ﾄﾝﾎﾞだ！ あっ こら！ 勝手に 駄目よ！ ただいま～｡ お父さん お帰りなさい｡ お帰りなさい｡ ただいま｡ ２人とも いい子にしてたか？ (２人)うん｡ 何してたんだ？ 本 読んであげてたの｡ 大樹が読んであげたの？ そう｡ (なみ)お帰りなさい｡ 今日は早かったですね｡ ええ｡ 仕事が早く終わったものですから｡ なみさんも もう上がって結構ですよ｡ そうですか｡ じゃあ お言葉に甘えて｡ (ﾌﾞｻﾞｰ) 私が｡ こんな時間に 誰だろう？ 誰かなあ｡ …かなあ｡ (なみ)旦那様 お客様です｡ はい｡ お義父さん｡ 久しぶりだね 武蔵君｡ 関口知宏さんが➡ ｲﾀﾘｱを列車に乗って ぐるっと１周｡ １か月の旅を １日ごとに➡ 日めくりで お伝えします｡ ﾌｨﾚﾝﾂｪの街を巡ったあと➡ 繊維の町 ﾌﾟﾗｰﾄへと向かいます｡ 500年前 ﾙﾈｻﾝｽ文化が花開いた ﾌｨﾚﾝﾂｪ｡

ナルコス.S03E09.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ 事実に着想を得た創作であり 人物 場所 事件等は 架空のものです 〈ボス〉 〈刑事施設の電話の 盗聴テープです〉 〈失礼します〉 〈麻薬取締局(ＤＥＡ)の密告者を殺し バジェ北部を襲撃〉 〈あんな度胸が ミゲルにあるとは〉 〈パチョ〉 〈弟は俺がいない間 よくやってるが―〉 〈それも限界がある〉 〈20年も組織を率いてきた 俺を信じるべきだ〉 〈分かってる だが 俺はまだ―〉 〈自首するわけにいかない〉 〈サラサール家への 借りを返す〉 〈気持ちは分かるが 冷静になれ〉 〈今は自首の交渉に集中を〉 〈なぜ 冷蔵庫を？〉 〈ミゲルからの伝言だと〉 〈何だ　このニオイは？〉 〈カリへ送った監視班です〉 “電話をくれ” ナルコス コロンビア政府関係者が カルテルに情報を流してます 協力者に聞いた？ つじつまが合います 最も重要な証人が 証言前に殺された 唯一の切り札だと ボテロは知ってた 国防大臣だぞ 協力者がそう言った？ “誰かいる”と では 口を慎め 君には焦土作戦しか 手がないようだ 殺された証人　密売人の抗争 ジャングルの死体の山 コロンビア当局に引き継ぐ ５時までに報告書をボテロへ 彼が内通者なら― カルテルに機密が漏れます 我々の情報提供者は― 自分と家族を危険にさらし 全面的に協力を では 出国させろ 20分後には海兵隊員を 家まで行かせる ミゲルに逃げられて 終わりです もう終わってる ５時まで猶予があると どちらが大事だ？ ミゲルの逮捕か 情報提供者の命か 今日 国家警察に引き継ぐ ヘタに動けば筒抜けに サルセドが危ない 新しい隠れ家は？ 警備が強化され 逮捕には大部隊が必要 奴の移動を待つには 時間が足りない 待つ気はない 今すぐサルセドを 出国させるべきです そうはいかない 彼と家族が危険にさらされる ミゲルを逮捕したら 彼らを逃がす サルセドに電話を 今日 逮捕する 〈将軍〉 〈ミゲルは７階にいる〉 〈強制捜査のあと 奴の息子は護衛を２倍に〉 〈気づかれずに突入するのは 無理です〉 〈奴を移動させるように 仕向けて…〉 〈その途中で逮捕〉 〈そうです〉 〈どうやって？〉 〈考えがあります〉 〈私はボゴタに残る あなたはカリで指揮を〉 〈だが 今日 実行するしかない〉 〈今日か〉 〈ペーニャ捜査官〉 〈前回の作戦後に 上官が会いに来て―〉 〈私の今までの功績について 遠回しに触れた〉 〈すべて失うと〉 〈カルテル以上に 国を腐敗させるのは―〉 〈買収された奴らだ〉 〈奴を拘束しても すぐ釈放されるような―〉 〈リスクは冒したくない〉 〈将軍〉 〈奴を逮捕してください〉 〈釈放はさせません〉 〈分かった〉 〈やるぞ〉 〈奴が自由を楽しめるのも 今日までだ〉 正義を実行するには 組織の後ろ盾が必要だ 信頼できる同志の存在 だが 汚職まみれの 組織の中で― 時として孤独な戦いを 強いられることもある 裏をかかれそうな場合は？ その裏をかくしかない 〈聞いてくれ〉 〈ミゲルは小規模の護衛団と このマンションに〉 〈合図を受けたら 移送車でこの道へ〉 〈15番通りを曲がり―〉 〈25番通りを進んで サンタ･リタへ〉 〈車は何台だ？〉 〈４台です〉 〈ミゲルは３台目に〉 道路を封鎖して追い詰める 〈それじゃ逃げられる〉 〈もっと攻撃的な作戦を〉 〈奴の逃げ場を 私の車両で塞いでやる〉 〈外へおびき出したら 私が逮捕する〉 〈信じてください 家族に誓って本当です〉 〈お願いだ やめてください〉 〈俺は正直に話しました〉 〈もう一度 最初からだ〉 〈何のために？〉 〈拷問された男が 叫んでるだけだ〉 〈サルセドの正体を暴ける〉 〈密告屋は始末した〉 〈いいか　ダビド〉 〈俺だってサルセドを 嫌いだが―〉 〈なぜ そこまで疑う？〉 〈奴は絶対にウソをついてる〉 〈俺には分かる〉 〈最初から聞かせろ〉 〈いいな？〉 家族のそばにいられない 俺たちが救出する 奴らは家を監視 ミゲルを逮捕してから 奥さんと子供を救い出す 約束を守れるか？ 絶対に守る 何があったんだ？　ホルヘ 連絡が必要な時は これを使ってくれ 明日 長女は初めて サッカーの練習へ “ゴールキーパーはイヤだ”と 娘に何と言えば？ 必ず 奴を逮捕する 〈ベッドの上に 服を積んで―〉 〈宝石や貴重品はその下へ〉 〈洗濯物を取り込んだように〉 〈その時が来たら スーツケースの中へ〉 〈よし〉 〈もう１つ〉 〈来てくれ〉 〈怖がらなくていい〉 〈待って〉 〈万一の時に備えてだ〉 〈そんな…〉 〈さあ〉 〈持つんだ〉 〈こうやって しっかり握れ〉 〈安全装置だ こう外して―〉 〈こう掛ける〉 〈操作はこれだけだ〉 〈知らない奴が来たら―〉 〈使うんだ〉 〈いいな？〉 〈ええ〉 〈必ずできる〉 〈絶対にできる〉 〈ここに置く〉 〈必ずできる〉 〈やるしかない〉 〈ＤＥＡが来たら 一緒に逃げろ〉 〈あなたは？〉 〈俺は大丈夫だ〉 〈いいな〉 〈心配するな〉 〈必ず うまくいく〉 〈言いにくい話だが 俺たちの将来に関わる〉 〈兄貴のことが心配だ〉 〈パートナーたちに 電話してる〉 〈俺に言わずに〉 〈そのせいで商売に 悪い影響が出てる〉 〈だから…〉 〈兄貴の電話を 盗聴することにした〉 〈正気なのか？　ミゲル〉 〈それはルール違反だろ〉 〈分かってる〉 〈だが 必要だった〉 〈お前らが自首の話を するのも聞いた〉 〈何かマズいことを？〉 〈どういうことだ？〉 〈ヒルベルトと話せない？〉 〈話せるさ〉 〈バカげたスピーチはよせ〉 〈いや そうじゃない 大事な話がある〉 〈自首は兄貴が見た夢だ 俺たちには関係ない〉 〈それに―〉 〈兄貴は何か欲しい時に 見返りをちらつかせる〉 〈お前との約束は？〉 〈ＮＹだろ〉 〈だが いつだ？ どうやって？〉 〈何もない〉 〈チェペ〉 〈パスポートだ〉 〈新しい社会保障番号と ＮＹの製造工場の住所〉 〈また 商売の拠点を築ける〉 〈お前との約束は？〉 〈サラサール家か〉 〈奴らの隠れ家の住所だ〉 〈弟の復讐を果たせる〉 〈エナオに聞いた〉 〈バジェ北部との抗争は 終わった？〉 〈圧倒的に有利な条件でな〉 〈俺がちょっとした贈り物を 送ったからだ〉 〈なあ　ミゲル〉 〈腹を割って話そう〉 〈本音で言ってくれ〉 〈俺たちが知ってる ミゲルはどこへ？〉 〈自首するのは臆病者だ〉 〈よく聞け〉 〈この盗聴野郎め〉 〈俺の電話に触るな〉 〈分かったか？〉 〈ドン･ミゲル〉 〈ボス〉 〈何だ？〉 〈ＤＥＡがカリに 戻ったそうです〉 〈会計士の行方は？〉 〈残念ながら―〉 〈まだ見つかりません〉 〈ここだな〉 〈エンリケが言ってた場所だ〉 〈サルセドに結びつく物を 探すんだ〉 〈ＤＥＡの奴らめ〉 〈君には不本意だろうが―〉 〈引き継ぎに協力を〉 〈もちろん〉 〈警察の捜査班と 連絡を取ってくれ〉 〈電話番号を〉 〈夕方に報告書を取りに来る〉 〈どうも〉 〈もう１つ 忘れるところでした〉 〈何だね？〉 〈ミゲルの潜伏先について 情報が入りました〉 〈カリのアシエンダ･ ブエノスアイレス〉 〈よくやった　捜査官〉 〈すぐ担当に伝える〉 〈もう部下を行かせました〉 〈今日 突入します〉 〈何だって？〉 大臣もミゲルを 逮捕したいのでは？ ああ もちろんだ これが最善策です 逮捕したら あなたの手柄に どうも 〈ホルヘ〉 〈ボスが呼んでる〉 〈すぐ行く〉 〈ボス〉 〈ボゴタの友人から 電話で―〉 〈ＤＥＡが戻った理由を 聞いた〉 〈踏み込む気だ〉 〈サンタ･リタへ移動を〉 〈手配しろ〉 〈了解です〉 〈情報が入った〉 〈車の準備を〉 ペーニャだ 大臣から情報が漏れて ミゲルは移動を いいぞ　第２段階の連絡を待つ 了解 〈おはよう〉 〈どうも〉 〈うれしそうね〉 〈ボテロ国防大臣は…〉 〈カルテルに買収されてる〉 〈何か証拠が？〉 〈ワナをかけた〉 〈俺が伝えた機密が―〉 〈カリに漏れた〉 〈“あり得ない”と 言いたいけど―〉 〈見せる物がある〉 〈キュラソー島の 銀行の資料よ〉 〈情報源に調べさせた〉 〈それで？〉 〈この口座にはフラドと共に 興味深い名前がある〉 〈“サンティアゴ･メディナ”〉 〈何者だ？〉 〈表向きは美術収集家で―〉 〈上流階級の資金洗浄を〉 〈慈善事業やダミー会社 そして―〉 〈選挙の献金を通してね〉 〈メディナが大統領選で 誰に協力したと？〉 〈ボテロ大臣か〉 〈収穫なしだ〉 〈奴を嫌いだというだけで 密告者だと決めつける？〉 〈それは関係ない〉 〈お前のことも嫌いだが 信用してる〉 〈ダリオ　防犯カメラだ〉 〈何か映ってるかも〉 〈来い〉 〈先週分のテープです〉 〈始めろ〉 〈早送りしろ〉 〈もっと速く〉 〈そこだ〉 〈よし　そこで止めろ〉 〈見ろ　ＤＥＡの奴らだ〉 〈続きを〉 〈車が着いた〉 〈我々は位置へ〉 〈出てきたら連絡を〉 どうだ？ 将軍は位置へ ミゲルを待ちます 〈今週は大変だったが 嵐を抜け出せそうだ〉 〈そのようです〉 〈お前との約束の件を 考えてた〉 〈６ヵ月後に―〉 〈警備会社を開くと〉 〈そうです〉 〈俺も投資してもいいぞ〉 〈どうだ？〉 〈とても光栄なお話です〉 〈手伝いますか？〉 〈いや もう終わる〉 〈それを運んでくれ〉 〈了解です〉 〈そのまま 早送りを〉 〈止めろ〉 〈エンリケだ〉 〈続けろ〉 〈開けろ〉 〈サルセドは外へ ミゲルを待つ〉 〈了解〉 〈止めろ　巻き戻せ〉 〈もっと戻せ〉 〈もっとだ〉 〈よし　そこだ〉 〈エンリケだろ〉 〈ブレを止めろ〉 〈驚いた〉 〈奴が密告者だ〉 〈お前の言うとおりだ〉 〈あの野郎　ブッ殺す〉 〈これを〉 〈気をつけろ〉 〈ダメだ　出ない〉 〈電話だよ〉 〈ありがとう〉 〈父さん〉 〈密告者はサルセドだった〉 〈いつまでバカなことを〉 〈ＤＥＡの隠れ家を見つけた 奴も知ってた〉 〈同じ通りのホテルの 防犯カメラに―〉 〈ＤＥＡの奴らが映ってた〉 〈エンリケと クソ野郎のサルセドも〉 〈確かなのか？〉 〈ナンバープレートも 確認した〉 〈ダマされるな〉 〈父さんをおびき出して 外で逮捕する気だ〉 〈ワナだ〉 〈父さん〉 〈かけ直す〉 〈ホルヘ〉 〈ドン･ミゲルが 手を貸してくれと〉 〈ホルヘ〉 〈分かった〉 クソッ サルセドが中へ マズい ダビドが彼の家へ “圏外” バレました 本当に？ ダビドが彼の家へ 待つんだ 突入して逮捕すべきです 作戦どおり 移動を待つ 彼が殺される もう死んでるかも 突入させてください よし　行け！ 〈将軍に突入すると〉 〈行くぞ〉 〈将軍　突入します〉 〈お呼びですか？〉 〈まあ 座れ〉 〈もう 出発しないと〉 〈ここにいたほうが 安全なようだ〉 〈この裏切り者め〉 〈なぜです？　ドン･ミゲル〉 〈ボス〉 〈偉いわね　すごく…〉 〈絶対に部屋を出ないで〉 〈うん〉 〈何があってもよ〉 〈口を塞げ〉 〈ドン･ミゲル〉 〈お願いです〉 〈ドン･ミゲル〉 〈部屋に戻れ〉 ＤＥＡです 開けてください サルセドさん　ＤＥＡです ＤＥＡ？ そうです ヴァン･ネスです 外にカルテルが 〈裏からだ〉 〈実の息子より お前を信頼してた〉 〈お前に金を払って―〉 〈家族の命を守らせた〉 〈お前は俺たちの話に 聞き耳を立ててた〉 〈俺は心からお前を 信頼してたのに―〉 〈裏切りやがった〉 〈人間じゃない〉 〈卑しい密告屋の ネズミ野郎だ〉 〈いや ネズミのほうが まだマシだ〉 〈さっき 俺が何をしたと？〉 〈ダビドをお前の家へ 行かせた〉 〈お前の女房とガキを 殺すためだ　クソ野郎〉 〈サルセドさん〉 娘たちが！ 子供たちの部屋へ 早く！ 〈奥さん　ドアを開けてくれ〉 〈たたむのは やめて〉 〈部屋の奥に隠れて 早く！〉 〈ここよ〉 〈ちょっと話があるだけだ〉 〈撃て！　撃ち殺せ〉 〈いるのは分かってる〉 〈ドン･ミゲル ＤＥＡが突入を〉 〈マリアたちを車へ〉 〈ボスも早く〉 〈黙れ！　出ていけ〉 〈急げ！〉 〈俺がやる　どけ！〉 〈クソ野郎〉 〈くたばれ！　裏切り者〉 〈行け！〉 〈逃げないと危険です〉 〈急いで！〉 〈ドン･ミゲル〉 〈逃げないと〉 〈殺せ！〉 もう大丈夫だ ミゲルは？ どこだ？ 〈別の出口へ〉 〈早く行け！〉 〈ミゲル･ロドリゲス〉 〈お前を逮捕する〉 〈将軍〉 〈ペーニャ捜査官〉 〈ミゲル･ロドリゲスを 逮捕した〉 〈サルセドは？〉 家族を保護 〈乗って〉 妻と話したい ホルヘだ 〈ホルヘ　無事なの？〉 〈君たちは？〉 〈無事よ〉 〈子供たちも〉 〈怯えてるけど〉 〈助かったぞ〉 〈ええ〉 〈助かった〉 〈もうすぐ会える　パオラ〉 〈少し話せる？〉 〈間違ってた〉 〈何を？〉 〈サンペールの 選挙資金を調べた〉 〈昨年７月 彼の陣営は 大きな赤字に〉 〈遊説や広告の追加資金として 得たのは―〉 〈カルテルがボテロに 渡したのと同じ600万ドル〉 〈つまり―〉 〈資金洗浄じゃない？〉 〈実際に選挙戦で使われた〉 〈献金として〉 急ぎでお話があります 座れ いえ このままで 何だ？ ミゲルを逮捕 逮捕した？ ボゴタに移送中です １時間後にはニュースに 君の粘り勝ちか 大使 お伝えすべき情報が もう１つあります キュラソー島の銀行口座 名義はメディナ ああ　彼か ご存じで？ ボテロの協力者です カリ･カルテルから600万ドルが サンペールの選挙資金へ なぜ分かった？ 調べました 国防大臣は間違いなく 買収されています それだけじゃない サンペール大統領は その献金によって選挙に勝利 汚職政治家を逮捕しなければ ロドリゲス兄弟は無罪放免に 君が名前を挙げた男の声だ メディナがヒルベルトと 話してる 電話で 〈今まで話した件に 我々は大いに関心を〉 〈そちらのご意向は？〉 〈ああ こちらも関心がある〉 〈だが 決断するには―〉 〈献金の見返りを 知る必要がある〉 〈もちろん〉 〈ご存じのとおり 当選したら 支援者にお礼を〉 〈我々が提示したのは 妥当な条件かと〉 〈では支援するとしよう〉 〈支払い方法は？〉 〈お目にかかって ご相談を〉 いつから ご存じで？ 複雑な問題だ いいか　ペーニャ捜査官 君は正しい だが この場合は― それは関係ない 見過ごすんですね サンペールは 我々の良き友人だ ここまでですか 彼らは買収した 大統領を 今のところ… 関係を維持してる 初めから無理だった 〈最初は大変だ〉 〈だが そのうち慣れる〉 〈このクソ野郎〉 〈いいか　ミゲル〉 〈過去は水に流すんだ〉 〈お前は納得できないだろう〉 〈だが 俺たちの 要求どおりになる〉 〈“俺たちの要求”って？〉 〈お前の逮捕と引き換えに 計らいを〉 〈パチョとチェペも 自首させる〉 〈そうすれば 条件を交渉できる〉 〈このクソだめから 早く出たい〉 〈ミゲルの件は聞いた〉 〈俺も自首する〉 〈チェペもだ〉 〈だが その前に やることがある〉 〈やあ　諸君〉 〈サンタクルスさん ご同行ください〉 〈逮捕します〉 〈バーに座って 酒でも飲んでろ〉 〈サンタクルスさん どうか ご同行を〉 〈誰がサツに電話したと？〉 〈いいか　よく聞け〉 〈俺が食い終わって その気になったら―〉 〈ムショまで送ってもらう〉 〈まあ 座れよ〉 〈これでも食え〉 〈好きな物を注文しろ 遠慮するな〉 これがお祝い？ ガッカリだな １杯やれるかと いつ 手に入れた？ 大使が俺に聞かせたテープを 答えを当てようか？ “複雑な問題” もし 君に― 警告していたら？ 君は近道を選ばず 意志を貫くだろう だが 肝心なのは― 目的を達した時 どうするか また 新たな悪党どもとの 戦いが始まる とにかく― 君は成し遂げた カリの麻薬王たちを 逮捕した捜査官 大したもんだ さあ 君の手柄だ 日本語字幕　原田 りえ

アンタッチャブル～事件記者・鳴海遼子～＃04

1 どこかの組織が私を潰そうとして 動いたのかもしれない 騒動の首謀者は… （鳴海遼子）名なしの権兵衛？ ある募金団体から 寄付を強要されてたの 名なしの権兵衛は 募金団体の側にいるのよ なぜ　こんな記事が出た？ （樫村）冗談じゃないよ！ あんな記事出して！ 私が書いてた記事 勝手に署名記事にされたの （美鈴）募金団体が 日本福祉募金振興会だって つきとめたのは　私よ 事件の裏には　大きな闇がある 深い闇がな… 立てこもったって ことなんですよね 犯人は発砲までしてるんです！ （洸至）現場封鎖！ （宮島）全国民が人質監禁事件に くぎづけだ 指示したのは誰なんです？ 本当の目的は何なんです？ 黙れー！　ほんとに殺すぞ!! 遼子！ お兄ちゃん！ どうして勝手に こんなデタラメ書いた！ 分かってんのか　おい！ 募金振興会は 世界の難民を救う立派な団体だ！ 代表の永倉さんは　国内でも 杉の子育英基金で 貧困児童教育を 支援してきた名士だ！ えっ　杉の子育英基金も その人なんですか？ おお　そして何より ウチの雑誌の大スポンサーだよ！ そんな立派な人だったんだ… 物事には表と裏があるのよ 表の顔がキレイなほど どす黒い裏の顔がある この人に限って　ありえません！ だって　杉の子育英基金のお陰で 私は大学まで卒業できたんです ウソ？　あんたもかよ？ えっ　鷹藤くんも？ 貧乏だったんだぁ とにかく　今すぐ謝罪記事を書いて 間違いを訂正しろよ！ お断りします 何？ 私の部屋が荒らされたのよ どう考えても　募金振興会からの 脅迫でしょ 現実が記事の正しさを 証明してるの そりゃそうかもしんねぇなぁ 単純に募金振興会の仕業と 決められますかねぇ 活動を支持する　狂信的な 一般人の仕業かもしれません それもそうかもしんねぇなぁ とにかく 謝罪記事は　そちらで勝手にどうぞ 「そちら」だぁ!? 私は『国民ジャーナル』に移籍することに なりましたので はっ!? 脅迫を受けたのは 弱小三流誌の記者だからで 『国民ジャーナル』なら　『国民民報』や ＴＶ国民の系列ですし 向こうも簡単には 手を出せないはずです どうして　あなたが 『国民ジャーナル』に!? 今回の記事が認められたの 遠山さんが企画した 闇社会を暴く　報道テレビ特番の 制作にも　携わることになりました 募金振興会のことも 取り上げる予定です テレビで扱うだと!? まだ懲りんのか！ また脅迫があるかもしれませんよ しばらくは 友人宅に身を潜めますから お世話になりました 罪ですよね　美鈴くんも 鳴海くんから　記事も元彼も 奪うなんてな 前の職場もですよ と・と　とにかく 私が真実を突き止めます！ いいや　お前は こっちの真実を突き止めろ （鷹藤）俳優の雨宮翔と 女子アナの小池雫… この２人が熱愛関係なんだとよ 密会現場をスクープして記事にする それがお前らの今回の仕事だ そんな　くっだらないネタを 追ってる場合ですか！ くだらなくて結構！ ウチは三流ゴシップ誌だ!!　行け！ ちなみに小池アナは 遠山さんの緊急特番の担当ですよ えっ… 今　急に興味示しましたね 遠山さんへの未練かねぇ 違いますよ！ それでは　「緊急報道番組 闇社会が日本を浸食する」を 終わります ≪はい　ＯＫ　リハ以上 明日の本番　よろしく≫ （小池）はーい　お疲れさま ≪お疲れさまでした≫ じゃあ　明日の昼集合で よろしく頼むよ　小池アナ はい　お疲れさまでした 今　国民に必要なのは こういう硬派の報道番組だ 報道局長として実に誇らしい 遠山さんのお陰ですよ ご理解　感謝します 地下に潜んで社会を動かす 闇組織の脅威を世に伝えるのが 我々メディアの 使命ですから ふあ～… あ～… 何考えてんだ？ 別に…　遠山さんのことなんて 考えてないわよ そんなことより　鷹藤くんちは 卵入れてた？ はい？ ウチは週末だけだった 週末だけ　ラーメンに卵入れても よかったの あんたんちも 貧乏だったんでしょう？ …あっ　おい あっ… （鷹藤）雨宮翔だ　女連れだぞ でも　小池アナじゃないわよ 歌手の鮎原ミクだ！ 小池アナより大ネタじゃん！ ５日も張り込んだかいがあった！ 行くぞ！ （鮎原）ハハハ… （シャッター音） 思わぬスクープだ これで今週号は埋められる よし…　それじゃ 美鈴さんの部屋でも行って あっちの事件でも追ってみますか その前にラーメンでも食べてさ 卵入れて… いや　もう少し様子を見よう もし　ここに小池アナまで 来たりしたら　特大級のスクープだ 何か食いもん買ってくるからさ えっ　ちょっと… そんな都合良く スクープが撮れるかっつうの… ウソ… なんなのよ　このヒール!? あら　いらしたの？ なんなの　あなた！ あなた邪魔よ　早く帰って あなたこそ！ どういうことよ ちゃんと説明して！ 誰かに聞かれたらどうする… （シャッター音） あんた　誰？ あっ　いや　あの… ちょっとした雑誌記者でして 何やってんだよ ちょっとちょっと　カメラよこせよ 壊れちゃう　壊れちゃう 痛い痛い！　壊れちゃう あっぶない　何…　あっ　イタッ そのロープで　お互い縛り上げろ はぁ？ 何言っちゃってるの 言うとおりにしろ 何なんだよ あの～…　私たちを人質にして ここに立てこもったってこと なんですよね すいません っていうか　お前　何が… 目的なんですか？ そんなこと自分で考えろ 自分で考えろ… あっ　もしかして この中の誰かに恨みがあるとか？ はっ？ 俺知らねぇよ　こんな… この人 私だって知らないわよ 私だって… 知らないったって あなたたち有名人なんだから テレビとか雑誌で 犯人さんを怒らせたとか ファンだったのに幻滅させたりとか あるわけないでしょ！ ん？ …俺？ ≪[TEL] （樫村）はい　もしもし うん…　何!? 雨宮翔と鮎原ミクの 密会スクープだぁ!? よし　今週号のトップは決まりだ すぐ写真　持ってこい！ はい　分かりました どこ行ったんだ　あいつ まさか　あいつ 美鈴さんの部屋… ≪[℡] あっ… ≪[℡] あの　電話連絡ダメなら せめて宅配便　呼んで カメラだけでも編集部に 届けられないでしょうか ふざけんなよ　こんな写真 載せられてたまるかっての ねぇ　あなた分かってるの!? こんな記事のせいで イメージが傷ついたら どんだけの損失になるか！ でも鮎原さんは 本音が売りのアーティストですし 罪を犯したこともないのに さらし者にされる私たちは どうなるの？ あなたは… あなたは罪悪感を感じないの!? そりゃそうですけど 私にも 敷金礼金を　ためなくてはいけない という事情がございまして 敷金礼金の話なんか どうでもいいわ ちょっと待て お前　こないだテレビで 「どんな迷惑がかかっても 真実はすべて報道していい」 そう言ってたよな はい　あの… あれは　ドラマの冷酷な記者役の セリフだったので… 台本にあれば　何をしゃべっても 責任はねぇのか？ …えっ 電波の影響を　もっと自覚しろよ ちょっと　ちょっと… ちょっとマジで… ちょっと待ってください ちょっとほんと　なんでもするから 許してくださいって！ 確かにあれは　セリフでも ひどい言葉だったと思います！ 「確かに虎の尾を踏んだらしいな」 「けど俺が報道しなかったら 悪いヤツほど眠ったまんまだ」 [℡]≫ どうしたの　雨宮さん テレビ電話なんて 珍しい人でも近くにいるの？ 　テレビ電話　「いや…」 「朝９時の情報番組で 先週のドラマのラストシーンの セリフについて　謝罪してほしい」 えっ？　あのシーン　雨宮さんも 気に入ってたはずじゃ？ お願いだから…　なっ 言うとおりにして （犯人）「言うとおりにしないと 雨宮の俳優人生は終わるぞ！」 （雨宮）「お願いします！」 分かった　なんとかする 謝罪放送が楽しみだな そのために　こんなこと したんですか？ もしかして報道にひどい目にあった 経験でもあるんじゃないですか？ そんなことのために 私たちは巻き込まれたんですか？ そんなことだと？ しかし　すごいなぁ　この映像は 報道局長!! どうした　大きな声出して 緊急のお話があります 手短に頼むよ 大事な特番の準備中だからな ちょっと失礼 お疲れさま 本当に　これ使っていいのか 僕は彼らを許せない だが　この映像を流すことで また君が何かされないか それだけが心配だ でも闇組織の恐怖を伝える 最高の資料でしょう？ それに遠山さんが 私のこと守ってくれるだろうから あの…　あの…　あのあのあの… もし狙いが雨宮さんなら 私は解放してもらえませんか？ はぁ？ 仕事なの！　今日　昼１２時から ワイドショーに生出演する予定なの ワイドショー？ （犯人）おお～　おもしれぇな あんた　その番組 ここから出演しなよ えっ？ ここからって…　どうやって？ さっきの電話で事件を知った ＴＶ国民さんは きっとカメラ持参で　こっちに 向かってるんじゃねぇかなぁ ちょっと待ってよ 何がしたいの　あなた 雨宮さんのドラマのセリフの 謝罪放送が目的じゃなかったの？ 誰がそんなこと言った？ じゃあ　何が目的なの!? そんなこと自分で考えろと 言ったろう （鷹藤）気になるのは 分かるけどな 連絡ぐらい入れろっつうんだよ 勝手な女だな 城之内さん… ♪♪～ この間より　ひどくなってる… ♪♪～ ご苦労さまです ＴＶ国民報道局長の宮島です ドラマ部プロデューサーの 湊です ああ　警視庁の鳴海です 片山です とりあえず　警備室で監視映像を 見せてもらいましょう ≪[℡] 雨宮さんからテレビ電話です 出ますよ… もしもし 　テレビ電話　 「謝罪放送の準備　できてる？」 ああ 何　勝手に警察　連絡してんだよ （犯人） 「表のテレビ中継車の脇にいるのは 刑事さんじゃないんですか？」 （小声で） 監視カメラで見てるんですかね 言っとくがな 監視カメラに不具合が生じたら 雨宮は死ぬぞ 警察がマンション内に 侵入した場合も同じだ 人質は１人じゃねぇんだよ 殺すなんてのは簡単なんだぞ！ せっかくだ 警察にも　ひと仕事頼もう 　テレビ電話　 「住民を避難させて 入口を封鎖しろ」 「余計な邪魔されて 無駄に死体を増やしたくない」 「謝罪放送が終わったら テレビ中継は認める」 「マンション封鎖した時 あんた１人で カメラ担いで部屋にこい」 私が…　１人で？ 分かった 望みどおり　湊プロデューサーを そっちへ派遣する 報道局長！ （犯人）「約束ですよ」 犯人の要求だし　事件を伝えるのは テレビ局の使命でもある 私は局に戻るが　後は頼むよ えっ… 犯人の野郎　やりたい放題っすね しかたない　まずは人命優先だ ♪♪～ 避難終了です じゃあ　お願いしますよ 湊プロデューサー おっ…　くそっ… では　お願いします はい 現時点より現場封鎖！ ♪♪～ 奥だ はい よろしくお願いします そこ座れ そろそろ謝罪放送の時間だな 　テレビ　「おはようございます 『国民情報チェック』の時間ですが その前に当局放送の連続ドラマ 『黒の事件簿』の中で 不適切なセリフがありましたことを おわびさせて頂きます」 「何？　プライバシーの侵害だ？」 「いいか　誰にどんな迷惑が かかっても 真実はすべて報道していいんだよ」 「それが俺の記者としての 生き方だ　分かったか」 （司会者）「報道モラルに反する この誤った発言を 正当化するかのような 演出と演技でお伝えしたことを 深く反省するとともに 視聴者の皆様に 心より謝罪致します」 「ここで　いったんＣＭです」 俺の言葉でキー局が動いたよ… まるで世界が 俺の手の中にあるようだな… フフフフ… さて　次はあんたの番だ 本気なの!? 縛られたカップルが テレビ出演なんて… 見ものだな 雨宮さんも映す気？ その方が視聴者も 盛り上がるだろう お願い！　私は映さないで！ 私も　とても撮影できません そんな心配してる場合か？ 命の心配しろよ こんなことして楽しい？ …何？ 逆らわないでくれよ　俺に 遊びじゃねぇんだからよ じゃあ　何がしたいの 目的は何？ この国を　良くしたいんです え～　温泉かぁ うらやましいな～ あっ　そうだ　城之内さん 取材のお土産　忘れないでね 城之内さん 今　どこって言ってました？ ゆうべから箱根でグルメ取材だってさ ゆうべから!? 俺　でもさっき　美鈴さんの部屋… おーー！ 鷹藤　やったな　おい 早く写真　見せろよ お前　ちゃんと寄れてんのか それが… 鳴海遼子が俺のカメラを 持ったまま　行方不明なんですよ こっち戻ってきてませんか 行方不明だと？ おはようございまーす 見ましたか　今朝の「国民情報チェック」 お～　見た見た なんだ　それ？ 雨宮翔のドラマのセリフの 謝罪ですよ （中原）でもあれ　なんだか 不自然だったよな …雨宮！ おい　鷹藤　どこ行くんだよ！ 雨宮のマンションに戻って 鳴海遼子　捜してみます ♪♪～ すいません　すいません… 何があったんですか？ 何があったんですか!? おお～　早いな　鷹藤くん なんだ 遼子は一緒じゃないのか？ あいつ　明け方まで 俺とここで張り込んでたんです それが急にいなくなって 遼子が？ よーし　来たぞ！ 生中継に切り替えろ！ （一同）はい！ おい！　小池アナはどうしたんだ!? 申し訳ありません 携帯もつながらないんです どういうことなの 番組進行役が遅刻だなんて 大変です！　テレビ見てください！ ウチの局です　ウチの局！ 　テレビ　 「こんな状態で 生出演することになるなんて 本当に申し訳ありません…」 「私は…」 「いやっ！」 「私は…　私は　今…」 「雨宮…　翔さんの自宅にいます」 「アナウンサーの小池雫さんも 一緒です」 何なんですか？ 三角関係の有名人３人が 人質状態で全国放送されるなんて 前代未聞だよな これじゃ　ウチのスクープ写真の 価値がなくなるだろうが！ 「雑誌記者の方ですよね…」 （美鈴）鳴海さん… （遠山）どうしてこんなことに… 「『週刊アンタッチャブル』の 記者をしています」 『週刊アンタッチャブル』だと？ それが…　何か？ そんな三流の記者だったとはな… 待ってください 全国の皆さんが 誤解するじゃないですか 「雑誌は三流でも 私は一流の人間です」 （犯人）「あれは最低最悪の雑誌だ」 最低 最悪… 「テレビも新聞も雑誌も 日本のマスメディアは ほんとに　くだらねぇ」 犯人が現れた… 「おまけにウソもつく」 「なのに　とんでもない影響力だ」 メディア批判が犯行の目的かな 視聴率は一人占めですね 鳴海くんが人質なら　ウチも 大スクープのチャンスだな　これ 「ウソまみれ・金まみれ・欲まみれの メディアの奴隷の言葉の方が 力を持ってる」 「俺は　その嘆きと憤りを 全国民に訴えたくて行動した」 「ＴＶ国民は　ここにつながれた 生きる価値のない 権力の犬たちのぶざまな姿を 映し続けろ」 あんたの言葉も　十分ウソ臭いわよ 何だと？ 聞いてて　違和感　感じるの 自分の言葉で話してる？ 何かの言葉を つなげただけじゃない 思ったの　私… 何かは思い出せないけど あんたの言葉は　そっくりそのまま 私も何かで読んだことがあるって あんたはヒーロー気取りかも しれないけど 私たちだって　必死に仕事して 真剣に生きてるの！ 早く解放して！ じゃあ　お前たちに生きる価値が あるのか　見届けてみようか えっ？ この部屋から　１人だけ出してやる 誰を解放するかは 自分たちで決めろ 俺は　その決定に従う そんなこと言われても… 私を解放してください もう耐えられない！ 誰だって　こんな状況からは 解放されたいだろうよ 早く決めろー!! （銃声） （悲鳴） （雨宮）あー　もう！ 何なんだよ あの… ジャンケンで決めるっていうのは どうでしょうか？ そうね…　そうしましょう ♪♪～ 最初はグー！ ジャンケンポイ！ あ～　良かったぁ… 「最初はグー！ ジャンケンポイ！」 「あ…　やった！」 勝った ゲホッ　ゲホッ 大丈夫ですか　鮎原さん おい　ミク　ミク ちょっと　大丈夫かよ ごめんなさい　ゲホッ　持病が… お願い　薬が切れてるの 今日の放送後に 病院で受け取るはずだったの だから私を…　ゲホッ 大丈夫かよ ちょ…　危ないって　ほんとに ゲホッゲホッ だったら　私　権利　放棄します ホント？ ウソかもしれないわよ 病院に問い合わせましょうよ どこの病院で 何ていうお医者様なの？ それは… そんなの　別にここで 言わなくたっていいでしょう？ ウソなんでしょ？ だったら　ジャンケンどおり 私でいいのね？ 何を言っているの？ あなたはもう権利を放棄したのよ 改めて別の方法で決めましょう そうだな　ジャンケンは とりあえずやめて 別の方法を考えよう それが一番いい 別の方法って… フフフハハハ…　ハハハハハッ！ 国民諸君 「メディアが　いかに信用できない ものかを自覚してほしい」 「モラルも理想も信念もない 権力の犬の集まり！」 「この国は　どこかで何かを 間違えたんです！」 「この国は 生まれ変わるべきです！」 いいこと言うじゃないか はい　分かりました このまま生中継　続けるぞ ≪はい≫ まもなく報道特番の時間ですが… 事件が解決するまで このままでいく！ 「大人たちは子供たちの未来など 何も考えずに くだらない争いを繰り広げるだけ」 「本当に嘆かわしい！」 中止？　どうして僕の報道特番が 放送中止なんですか！ このまま　この放送が続けば そういう可能性もある ということだ ネット上では犯人が 予想外の人気を博してますね 「監禁行為は疑問だが発言は 正しい」「犯人の言葉に共感した」 「この犯人を裁けるだけのモラルを 持つ人間が今の日本にいるのか」 すごい盛り上がりだよ 今週号のトップは 立てこもり事件で決まりだな！ え～　「人質となった本誌記者が 現場で見た事件の裏側！」でどうだ ハハハハッ　おい 城之内さんを箱根から呼び戻して 想定記事　書かせろ あっ　はい 分かりました　ちょうど温泉に 入ろうとしてたところですが 急いで箱根から東京へ戻ります とうとうウチの放送時間に 突入してしまったわね 遠山さん　残念だが これで特番中止は確定だ ちょっと待ってください！ 局長あんなに やる気だったじゃないですか！ 報道はライブなんだよ！ 全国民が人質監禁事件に くぎづけだ そんなもん放送してる場合か 警察発表がありました！ 犯人は菅原昭光　３５歳 都内コンビニエンスストアの アルバイト店員です （鷹藤）人質４人は ずっとさらし者ですよ!? 警察は 黙って見てるつもりですか!? ≪どうなってるんですか≫ ≪説明してくださいよ≫ 犯人は興奮して 発砲までしてるんです！ このままでも 万一の事態はありえます！ …で　解放者を決める 新しい方法は 見つかったか？ フッ…　決められねぇか ウソと金と欲にまみれた 犬畜生には おい　どうして　こんな ぶざまなことになっちまったか 順番にカメラに向かって 畜生なりの考え発表してみろ あんまり調子に乗らないで 誰を解放するかは決まったわ え…？ 勝手に何を言い出すのよ まだ方法も決まってないだろうが この部屋から１人を外に出す 誰を解放するかは私たちが決めて あなたはその決定に従う そう言ったわよね おぉ だったら　あなたが出ていって みんなも賛成すると思うわ ウソはつかないんでしょう？ 一休さんにでも　なったつもりか なめてると　ほんとに殺すぞ!! 一休さんにでも　なったつもりか なめてると　ほんとに殺すぞ!! 記者のくせに　解放って 言葉の意味も知らねぇのか とらわれた人間を自由にするのが 解放だろう!! だから あなたを解放してあげたいの 間違ったヒロイズムから 自由にしてやりたいの！ お前に俺を非難する資格はない!! 『週刊アンタッチャブル』は 世界一愚劣で低俗な亡国雑誌だ!! ♪♪～ あなた… 私…　分かっちゃいました 何の話だよ 言ったでしょ　あなたの言葉に 違和感　感じるって どこかで見た文章だって それが何なのか 私が『週刊アンタッチャブル』の 記者だと分かった時の あなたの怒りの意味も その服についてるペンキの意味も この犯行の目的も 全部分かっちゃいました 黙れー！ 愚民は死んだ方が国のためだ！ （時計の秒針の音） （照明が消される音） 犯人は本気で殺すつもりかも しれませんよ！ まだ　ほうっておくんですか ≪おい　どうなってんだよ！≫ 人の命かかってんだぞ　お前ら （時計の秒針の音） （携帯のアラーム） 　テレビ　 「『ニュース４』の時間です」 「引き続き　人質監禁事件現場から 中継でお伝えします」 「なお　『緊急報道特番 闇社会が日本を浸食する』は 放送中止とさせて頂きます ご了承ください 安心しろ　誰も殺さない 俺が行動を起こして ちょうど１２時間　これで終わりだ この国の政治とメディアが いかに無能かを 俺なりに伝えたつもりだ 「国民に少しでも　この国を 変革しなければという意志が 芽生えてくれることを願って 今から人質を解放する」 「まずは　あんた」 カメラを置いて早く行け！ …はい！ 次は　お前らだ すみやかに出ていけ！ 言われなくても　あんたなんかとは とっとと　おさらばよ！ 二度と顔も見たくないわ！ 行きましょ…！ 早く！ （雨宮）邪魔だよ！ どうして…　あっ　ちょっと！ また　お会いしちゃいましたね あんたは逃走用の人質だ そんな…！ 今から　この人質と逃走する 警察は妨害することなく 補助するように 不穏な行為があれば 人質は死ぬ　以上 （銃声） ≪雨宮さん≫ 謝罪放送は人質を守るために 犯人の要求をのんだだけで ドラマのセリフは　僕は　今でも すばらしいと思ってますんで ≪犯人の話では　３人は 三角関係だということですが…≫ ちょっと待って!! それが　やっと犯人から 解放された人への質問ですか!? いつから　つきあってるんですか？ うるさい！ そういう報道姿勢が あんな犯人を生んだんですよ！ どいつも　こいつも くだらねぇよな 　テレビ　 「人質４人は　解放されました」 「しかし残る１人 『週刊アンタッチャブル』の鳴海遼子記者は 依然　人質として とらわれたままです」 さっきの話 あなたの犯行の目的です 私の推測だと　国民に メディアや政治の腐敗を 伝えたいんじゃなくて ある番組の放送を 中止に追い込むこと　違いますか？ 「緊急報道特番 闇社会が日本を浸食する」 あなたは　この番組の放送を 中止に追い込むために このおおげさな犯罪を ＴＶ国民に中継させた その番組担当の小池アナを 人質に選んで だから　番組終了予定時刻の ４時にアラームが鳴り 人質も解放した どうして　その番組を つぶしたかったんですか？ ((遠山さんが企画した 闇社会を暴く 報道テレビ特番の制作にも 携わることになりました)) ((募金振興会のことも 取り上げる予定です)) ひょっとして　募金振興会が 悪く報道されるのを 止めたかったんじゃないですか？ ((正義も理想も信念もない)) ((生きる価値のない 権力の犬たちの)) ((世界一愚劣で低俗な 亡国雑誌だ!!)) ((私の部屋が荒らされたのよ)) ((どう考えても募金振興会からの 脅迫でしょ)) ((名なしの権兵衛は その募金団体の側にいるのよ)) 名なしの権兵衛について 何か知ってるんですか？ あなたの本当の目的は 何なんです!? 知らねぇよ… 人間は必ずしも　自分の意志で 行動するわけじゃない あなたの意志じゃないなら 指示したのは誰なんです？ 名なしの権兵衛なんですか？ 知ってどうする？ 真実を書きます 身近な人間をあんたは裁けるのか どういう意味です？ あんたが　しつこいから しゃべりすぎちまったよなぁ さぁ　そろそろ行くぞ 行け 逃げ切れると思ってるんですか？ ああ　俺も　未来のために まだまだ働かなきゃならねぇ 俺にも小さな子供がいてな そのためにも国を良くしなきゃな 遼子！ お兄ちゃん！ 約束違反じゃねぇのか えいや！ うっ！ お兄ちゃん…　私　怖かった… もう大丈夫　大丈夫　なっ ほら　鷹藤くんも　心配してたぞ えっ… 鷹藤くん… 悪かったな あんた１人にさせちゃって 平気だよ… 私も　ふだんじゃ できない経験できたしさ ≪（銃声）≫ 片山…！ 自殺か はい… 俺が突き飛ばされて 頭を打ったすきに そうか… どうして…　この人　未来や 子供の話してたのよ？ なのに　なんで自殺なんか！ 俺だって…　分かんないっすよ！ （洸至）犯罪者の心の闇は… 誰にも分からないさ 鷹藤くん …はい 遼子を頼む はい… ♪♪～ ええ　特にケガはありません はい…　一応　伝えときます 編集長が大急ぎで　今回の事件の 手記を記事にしてくれだってさ 分かってるわよ… 私も疲れてんの 少しは優しくしてって 伝えといてよ 　テレビ　 「人質解放の末に自殺した 菅原昭光容疑者　３５歳の遺書が 都内の自宅アパートから 見つかりました」 「遺書には　日本を救うための 行動だと 犯行を正当化する記述がある一方 薬物依存症だった 自分の将来への不安も…」 おいしーい！ （樫村）あ～　おいしいね～ ほんっと！ うなぎ２年ぶりなんですよ ごちそうさまです えっ…!? はい　残りは書き上げてからだ 印刷所と全国の読者が 君の原稿を待ってる もう　ひとふんばりだ はーい… おっ　凝ってるなぁ… これは三十肩かな 後１週間は　２９歳です… 何言ってんだ　バカ… ♪♪～ すごい売れ行きみたいですよ 今週は　とうとう『週刊パンチ』も 抜いちゃいそうだな こりゃ　本格的に 三流週刊誌も脱却だな でも肝心なことは 何も分かってません 犯人は募金振興会の人間なのか 一般の狂信者なのか 美鈴さんの部屋を荒らしたのも あの犯人なのか 犯人が死んだ今　すべては憶測で 確かめられません もういいじゃないか この謝罪記事で 世間には募金振興会が　いかに 立派な団体か十分説明したし （鷹藤）どこ行くんだよ？ 遠山さんに会ってくる 会ってどうする だって美鈴さんに　あの記事を 書かせたのは　遠山さんですよ もう終わったことだ　ほかにも 頼みたい取材いっぱいあんだから 私　真実が知りたいんです じゃあ　私はＢ級グルメ取材の方へ （中原・里香）いってらっしゃーい （永倉）まあ　それで決着とするか ただし　これから 君への負担は大きくなるからね うん　また連絡する ♪♪～ 悪いが取材ソースは教えられない でも史朗ちゃんは 募金振興会が闇組織だって 美鈴さんに書かせたのよね？ それをテレビ番組でも 糾弾しようとして… 『国民ジャーナル』でも 書いていくつもりなんでしょ？ その件を ウチで取り上げるのはやめた えっ… 恥ずかしい話だが　僕がつかんだ 情報はガセネタだった ガセネタ？ ああ そっか　ガセネタか… おっかしいと思ったのよね だって永倉さんの募金振興会は 世界中の子供を救ってるし 私も永倉さんの 杉の子育英基金のお陰で 大学まで卒業できたんだしさぁ 悪かったな 君の恩人に迷惑かけて いいのよ　疑いされ晴れれば あっ　それより 美鈴さん　どうなるの？ 申し訳ないが ウチへの移籍は　なくなった えっ　本当に？ あっ　あっ… やだ　かわいそう～ へぇ～ まっ　悪が 栄えた　ためしなしってか やっとリストの効果が 出たみたいね よく効くわねぇ　これ… 募金お願いしまーす 虹の羽根募金　お願いしまーす 偉いわねぇ　みんな 私も１００円　奮発しちゃおっ うっ… ありがとうございました どういたしまして ≪[℡] もしもし　鷹藤くん？ すぐに 美鈴さんのマンションにこい お兄さんにも連絡しろ 殺されてるんだよ… こ…　殺されてる!?

僕とスターの９９日＃05

1 ＜ボディーガードを　解任された 航平は　それでも　ユナのために＞ （ユナ）ハハッ。 （航平）きょうだいの絆なんてね→ そんな簡単に 切れるもんじゃないんすよ！ （航平）俺は 彼女の強さを　信じます。 ＜一方　テソンは 暴力事件を　起こしてしまった＞ （記者）弟さんが 暴力団だというのは　本当ですか？ ＜傷つく　ユナを癒やし ボディーガードに復帰した　航平だが＞ （高鍋）彼女が　降板するなら 僕も降ります。 （高鍋）女優　ハン・ユナは 僕が守りますよ。→ 俳優　高鍋　大和として。 （ユナ）「誰か　私を 見ませんでしたか？」 （ユナ）「ひとつきぐらい前の朝 私を見た人　いないんですか？」 （男性）「ええ？ 知らん　知らん。　知らねえよ」 （ユナ）「私を 見たことが　ありませんか？」 （男性）「ないな」 （男性）「知らねえよ」 （小岩井）カット　カット！ 何やってんだ　お前！→ 勝手に うろうろすんじゃないよ！ 監督が 適当に動いとけって。 （小岩井）もう　誰だよ？ こんなやつにエキストラさせたの。 （三上）すみません。 こんなやつしか　いなくて。 （ユナ）下手っぴ。 はあっ！？ （ユナ）役立たず。 あのね。 （小岩井）ＯＫ。　こいつ 出てくる前に　カットするから。 （小岩井）本日は　以上。 お疲れちゃん。 （高鍋）いやいや　いやいや。 無理ですよ　ユナさん。 芝居経験のない　ボディーガードにいきなり　エキストラなんて。 （ユナ）ええ。 俺は　頼まれて　やっただけで。 今日は　いよいよ 第１話の　オンエアですね。 ええ。 よかったら　一緒に見ませんか？ じゃあ　８時半に ホテルの私の部屋で　いいですか？ えっ。　いいんですか？ いや…。 あっ。　ご迷惑じゃないですか？ 全然。 では　お待ちしています。 はい。 おい　純吉。 最高級のシャンパン　用意しとけ。 （夏目）はい。 ちょっと　今夜は 何か　あるかもしれない。　痛いわ。 （記者）来た　来た　来た。 すいません。　どいて…。 （記者）弟さんの起こされた 事件については…。 危ないから。　危ないから。 （記者たち）答えてください。 ♪♪～ （記者） 答えていただけるんですね？ 私は　弟を信じてます。 何が　あっても。 世界中の人が　敵になっても 私は　弟を信じます。 それだけです。 すいません。 ♪♪～ ♪♪～ （ヒジン）いよいよ　放送ですね。 痛っ。 （電子音） 高鍋さんに 何か　お食事　用意して。 （ヒジン）はい。 テレビもね。 リビングに　セットしてもらって。 （ヒジン）はい。 異常なしです。 どうぞ。 じゃあ　俺は　これで。 帰るの？ あなたは　見ないんですか？ 俺は　うちで見ます。 子供たちと　一緒に。 社長や近ちゃんも　来るんです。 みんなで　わいわいね。 なんで　失礼します。 ≪（ドアの閉まる音） みんなで　わいわい？ [TV]我慢しなきゃ　駄目？ [TV]ユナの微笑みは 一等星の輝き。 （ヒジン）失礼します。 [TV]おかえり。 とうとう　この日が　来ましたね。 ええ。 （ヒジン）あー　すごいです。 僕たちの　記念すべき　第一歩に。 ドラマの成功を　祈って。 乾杯。 乾杯。 （一同）乾杯！ （桃）ねえ。　そこさ 場所　替わってくんない？ （菫）やだ。 （桃）そこ　座りたい。 （菫）やだ。 あれ？　青のり　ねえ。 （蓮）２人とも　大人げないぞ。 （桃）あんたは　机から降りなさい！ っていうか　みっちゃん。 テレビ　ちっちゃ過ぎなんだけど！ （光代）はいはい。　ごめんなさいね。あんたらの叔父さんが→ かい性なしだからね。 何で　俺が　出てくんだよ。 ≪（戸の開く音） ≪（近藤）おいっす！ （恵実子）ごめんなさいね　遅れて。 あっ。　これ　差し入れよ。 （蓮・菫）わあー！ ありがとう。 （光代）いつも　すいませんね。 社長さん　どうぞ　こちらへ。→ うちの航平が いつも　お世話になって。 近ちゃん　近ちゃん。　こっち。 （光代）うちの航平がね。 （菫）始まるよ。 （近藤）おいっす。　よしよし…。 （蓮）始まった！ （近藤）おおー！ （菫）見えない。 うるさいんだよ。 （近藤）はいはい。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 「あった」 ♪♪～ （光代）えっ。　やだ。 ちょっと　今の誰？ （桃）ちょっと　みっちゃん。 見えないから　どいて。 （シャッター音） 「ああ！？」 「ああー！？」 「あっ…」 「時間は　止められないか」 「あっ…」 「ここは　どこ？」 「キャッ！？」 [TV]（男性）どうしたの？ 大丈夫？ （男性）「あっ。　血　出てる。 ちょっと待って。　うわ」 「ここは　どこですか？」 「ここは　こうもり岩だけど。 あなたは　誰？」→ 「どっから　来たの？」 「あのう　私」 「私…」 [TV]先生。　私　これから　どうやって 生きていったら　いいんです？→ いったい どうやって　生きていったら。 [TV]（高鍋）諦めるのは　早いです。→ 何かの弾みで 記憶を　取り戻すこともある。 「それにね あなたには　私が付いてる」 ♪♪～ ♪♪～ （菫）面白かった。 （蓮）来週も見る。 （桃）ユナさん　ホントに　すてき。 いや。　高鍋　大和　よかったわ。 さっすが　世界の高鍋。 （近藤）いや。　でも　そこが。 普段は　結構　気さくな人なんすよ。 （菫）近ちゃん 撮影　行ったこと　あるんだ？ （近藤）まあな。 （桃）ちゃんと　仕事してんの？ （近藤）やってるわ　お前。 （桃）さっきの黒い人　誰？ （蓮）マントみたいだった。 （菫）まさか　お化け？ 社長。 ちょっと　いいですか？ （恵実子）うん。 ちょっと。 ユナさん 何もかも　パーフェクト。 高鍋さんこそ　最高です。 ユナさん。　よかったら この後　飲みに行きません？ ドラマの神が　仕組んだ 僕たち　２人の出会いを　祝して。 いいですね。 でも　おなかが　すきました。 すきましたね。　おいおい　純吉。 （夏目）はい。 （高鍋）あのう。　あれ　あれ。 えっと　あのう。　洋風懐石。→ 涼音亭の。　あれ　電話して。 （夏目）はい　分かりました。 （高鍋）あっ。　ちょっと待って。 あのう　青山の　フレンチ。→ ジャンバルジャンだっけ？ （夏目）アン　ジャルダン　ラ　ミシェルです。 （高鍋）それ　電話して。　うん。 （恵実子）分かった。 ああ。　あと　６５日か。 えっ？ ユナさんの　ボディーガード。 あっ。　ああ。　はい。 分かってるわね？ これ　預かってく。 お願いします。 [TEL] はい。　並木です。 熊田？　おお　熊か！ 元気かよ？ うん。　えっ？ そりゃ　もちろん！　うん。 ホームページ　見るよ。　うん。 （高鍋）ここ！？　ええっ？ いや　ちょっと。　ここ！？ ユナさんが薦める　日本一　うまい たこ焼き屋って　ここ！？ ここの　たこ焼き　最高です。 さあ　入りましょう。 （高鍋）ちょっ　ちょっと。 ここは。　ここは　ちょっと。 入りましょう。 （高鍋）いや　いや　いや…。 （近藤）いらっしゃいっす！ こんばんみー！ （近藤）ユナさん！？ （桃）何で？ （菫）何で？ （蓮）何で？ おいしい　たこ焼き 食べに来ました。 そりゃ　うちのは　おいしいけどさ。今日は　スペシャルゲストを→ お連れしました。 （近藤）いやいや。　ユナさんで→ じゅうぶん　スペシャルですから。 あれ？ （高鍋）確かに　寒いですからね…。 こっち　こっち。 ちょっと　今　買い物してるんですよ。ユナさんも湯たんぽ　いりません？ 早く入って。 （高鍋）今　買い物してるから。→ ちょっと　ユナさん。 高鍋　大和さんです！ こんばんは。　高鍋　大和です。 ええー！ （光代）大和だ。 （蓮）うわー。 （菫）超　カッコイイ！ お褒めにあずかり　光栄です。 ユナさんが　僕に　どうしても→ ここの　たこ焼きを食べさせたいと薦めるものですから→ 参上したしだいです。 （近藤）お…　落ち着け。 何で湯たんぽ　持ってるんですか？（高鍋）手土産です。 （近藤）やったー。 サボテンは　どこですか？ はいはい。　ここですよ。 って　ユナさん！　ガン…。 おいしいですよ　たこ焼き。 いつもの　焼いて。 はっ！？ 俺は　ボディーガード。 ここの店員じゃないっつうの。 あっついです。 やけどしたら　大変です。 これ　ボディーガードの仕事です。 それ　無理あるだろ。 私のボディーガード たこ焼きも　上手ですね。 はいはい。 航平　久々に　いい仕事したな。 こんな　ツーショット 目の前で　見られるなんて→ 夢にも思わなかった。 偉そうに言ってないで　お前も焼け。 文句　言わないで　お前が焼け。 すいません。 って　近ちゃん 飲み過ぎなんだよ！ みっちゃん 今日も　カワイイですね。 えっ？ （光代）ケンカ売ってんのか　こら！ （近藤）みっちゃん　みっちゃん。 （光代）今日は　許す。 大和　連れてきたから　許す。 ヤマティ。 さっすが　高鍋さん。 みっちゃんのハートも　わしづかみ。 よーし。　たこ焼き　１００人前　追加。 それから　ビールも　１００本。 なかったら　酒屋ごと　買ってこい。 （ヒジン）私　やっぱり　心配。 （ヒジン）ユナオンニ 高鍋さんと　２人っきりだから。 （夏目）大丈夫　大丈夫。 ああ見えて　高鍋さん　紳士だから。 紳士？ ねっ？　こんなふうに。 （菫）もしかしたら 私の　お父さんじゃないですか？ （ユナ・高鍋）えっ？ こら　菫！ （蓮）いや。　絶対　俺の　お父さんだ。 （ユナ・高鍋）えっ？ こら　蓮！ （桃）こんなに　カッコイイのに あんたたちと　おんなじ→ ＤＮＡなわけ　ないじゃん。 よく　考えなよ。→ まっ　私の　お父さんでも なさそうだけどね。 （高鍋）えっ？ 君ら　３人とも　お父さん　別々？ 仰天です。 （近藤）航平。　お前　酒　持ってこい。 もう　その酒癖！ あんた。　あんたの芝居 なかなか　よかったよ。 久々に　今日は　いいもん 見してもらった。 私　満足してんだ　今日は。 ねっ？　分かる？ ありがとうございます。 （光代）おやすみなさい…。 ちょっと　みっちゃん。 そこで寝たら　風邪　ひくから。 旅は道連れ　世は情け。 何で　そんな日本語 覚えてんですか？ っていうか　この状況と 何か　関係が？ たで食う虫も　好き好き。 もう　駄目！ （菫）ああ！？ ああー　もう。　こら。 私のボディーガード とっても　優秀。 たこ焼きも　上手。 しり取りも　上手。 私を捜すのも　上手。 あのね　いつまでも　いると 思ったら　大間違いですよ。 知ってます。 約束は　９９日です。 だから　あなた　クリスマスイブまで 私のそばに　います。 （高鍋）そうだ。 じゃあ　クリスマスは→ スウェーデンの　僕の別荘で 過ごしませんか？ あの　裏山の　モミの木を ２人で　飾るんですよ。→ ああー。　先端は 本物の星が　いいなぁ。→ その夜　夜空で 一番　輝いてる星は→ 僕が　この手で 取ってきますよ。→ わあ。　言うたった。 （一同）すてき！　すごい！ （芹沢）どうして　これ？ （恵実子）人の心は　お金では 買えないって　教えたわよね。→ 残念だけど こんなことをしても→ 何も　変わんないわ。 人の気持ちを　変えることが できるのは→ 同じく　人の気持ちだけ。 それだけは 忘れない方が　いいと思う。 分かったら　これ　収めといて。 いいわね？ （橋爪）３００万で 手を打ちますよ。 （橋爪）治療費　プラス　慰謝料です。 （テソン）そんな金　無い。 嘘　言っちゃ　困るな。 受け取ったんでしょ？　手切れ金。 まさか　それで？ （橋爪）ええ。 どっちかというと そっちを　頂きたくて。 無い。 （橋爪）えっ？ （テソン）そんな金　無い。 （テソン）あっても お前には　渡せない。 （橋爪）そうですか。 残念だなぁ。→ じゃあ　次の手段に 移らせていただきます。 （テソン）まさか！？ 告訴！？ 告訴って　あの　橋爪って カメラマンがですか？ （芹沢）大した騒ぎに ならなかったのが　不満なのかも。 これで　処理してほしいの。 このお金。 今日１日　ユナには かかしを付けておいたから。 でも…。 他に　方法が見つからないのよ。 あなたに頼みたいの。 無理です。 えっ？ 弟さんは　自分のせいで 姉さんが　社長に→ 借りを　つくるようなこと　絶対 喜ばないし　許さないと思います。 俺には　無理です。 これは　ユナのためなのよ。 そうでしょうか？ ユナさんは　弟さんを 心から　信じています。 ひきょうな相手に　屈して お金で　事を　もみ消すなんて→ 彼女も　望んでないと 思います。 だから　俺には　できません。 ちょっと。 だったら　どうやって　ユナを 守るっていうの？ 奇麗事ばっかり 言ってんじゃないわよ！ 失礼します。 奇麗事だろうが　何だろうが。 （小岩井）えー。　昨日の　第１話は おかげさまで　大好評でした。→ みんな！　この調子で　がんがん いくよ。　なっ？　高鍋君。 （高鍋）みんな。 まさか　これくらいで→ 浮かれてるんじゃないだろうな？ 勝負は　まさに　これから。→ 今後も　俺とユナさんで ぐいぐい　引っ張っていくから→ 心して　ついてきてください。 よろしく　お願いします。 （一同）はい。 （小岩井）はい…。 おはようございます。 （高鍋）あれ？　あの たこ焼き　ボディーガードは　今日は？→ おい。　どうした？　うん？ （近藤）んっ？　あー　そのう。 二日酔いです　二日酔い。 （高鍋）それは　お前だろ。→ あいつ　昨日　飲んでないだろ。 お前　臭っ。 そうなんです。 おかしいでしょう。 二日酔いは　治さなければ なりませんよね。 どうなってんだよ？ （桃）やっと　知り合い　見つけて テソンのこと　聞いたら→ 警察　行ったって　言うから。　けど 告訴されたって　どういうこと？ （記者たち）来たぞ！　来た！ あっ　来た！→ 一言　お願いします。　テソンさん！テソンさん…。 （桃）ちょっと！ （記者たち）聞かせてください。 テソンさん。　一言。 （記者たち）告訴されたんですよね。今日は　任意出頭ですか？→ お姉さんは　そのことについて 何と？→ 答えてください。　一言 お願いします。　お願いします。 すいません！　すいません！ 勘弁してやってください。 痛っ！？ （記者たち）一言　お願いします。 お願いします。 桃！ すいません。　すいません。 すいません。　すいません。 （記者たち）答えて…。 おい　おい　おい！→ あっ！？　どけよ　あんた！ 痛っ！？ あっ。　痛い　痛い。　桃。　もう少し 優しく　やってくれよ。 ろくに　ケンカも　できないくせに カッコつけるからだよ。 いったいなぁ　もう！ （テソン）すいません。 迷惑　掛けました。 謝ることなんかないよ。 悪いこと 何にもしてないんだから。 でも…。 あっ　そうだ。　腹　減ってないか？ たこ焼き　食うか？ 大丈夫です。 じゃあ　ラムネにするか。 あっ。　大人だもんな。 ビール　飲むか？ ≪（蓮・菫）ただいま。 （桃）おかえり。 誰？ （蓮）でかっ！ テソン君です。 （蓮）ハハハ！ （菫）私も　私も。 （桃）もう　やめなさい。 （菫）私も！ （桃）駄目。　駄目　駄目。 （テソン）ちゃんと　持って。 （桃）こら！　もう　離れなさい。 テソンが　疲れちゃうでしょ。 桃　やる？ （桃）いやいや。　私は　大丈夫。 （菫・蓮）ねえ！　やろうよ！ （桃）大丈夫！　いい！ おっ。　悪い　悪い。 これ　ちょっと。 食べてみろ。　うまいから。 （テソン）ありがとうございます。 桃の妹と弟　カワイイですね。 まだ　小学生だからな。 何やっても　カワイイもんだよ。 姉さんが　ちょうど　あのぐらい。 俺は　蓮より　少し小さくて。 １０歳と　５歳だったと聞いた。 それから　２０年だろ。 ずいぶん　長い間 離れ離れだったんだな。 姉さんは　立派になって　俺は…。 高校生のとき　弁護士になろうと 思ったんですけど→ 母親が死んで 生活が　大変でした。 大学に行くことが できなかったです。 途中で　諦めました。 航平さん。 あなたの夢は　何ですか？ えっ？　俺？ 俺の夢は…。 （菫）お姉ちゃん　ちゃんとして。 （蓮）駄目駄目じゃん。 （桃）できるか！ ≪（ノック） （桃）開いてるよ。→ ってか　航平　帰ってきた。 はいよ。→ ちゃんと　テソンのこと 送ったの？ ユナさん！？ フフフ。 （菫・蓮）わーお！ （桃）また　来たんですか？ ってか　それ　何？ ああ。　これは　お料理の材料。 （菫）もうちょっと　いれば ユナさんに会えたのにね。→ テソン兄ちゃん。 テソン？ あっ！　ちょっと 待っててください。 私　追い掛けて 連れてきます。 ユナさん？ あっ。　まだ　何を話していいのか 分かりません。 ありがとう　桃。 俺の夢は　誰も見たことがない 星を見つけて→ 名前を付けること。 星？ 最近じゃ　仕事に 振り回されっ放しで→ ろくに　星　見る暇もないけどな。 何とかなるよ。 前　向いて　生きてりゃさ いつか　きっと　いいことあるよ。 なっ？ 姉さん　信じるって　言ってたよ。 世界中の人が　敵になっても 弟を信じるって。 弟思いの　いい姉さんだな。 よかった。 えっ？ 姉さんのそばに あなたのような人が　いてくれて。 姉さんのこと よろしく　お願いします。 ♪♪～ ♪♪～ （桃）そこの天文台で 上司が→ 後輩の見つけた星 横取りしちゃったんです。 それで　航平 その上司に　盾突いて→ 文句　言って　結局　首。 首？ （桃）自分のことは 全然　平気なのに→ 人のことになると すぐ　かっとね。 （菫）ねえ？　お姉ちゃん。 （蓮）おなか　すいた。 （桃）えっ！？ よーし。　ＯＫ。 （女性）寒くなってきたね。 こんばんは。 ♪♪～ ≪（蓮）ねえ。　これ　何ていう料理？≪トッポギです。 ≪（蓮・菫）トッポギ　トッポギ。 トッポギ　トッポギ…。 ユナさん！？ （菫）すごい！　おいしそう。 ホントに　おいしいですよ。 （菫）ねえねえ。　今　何　入れた？ コチュジャンです。 トウガラシの味噌。 （蓮）えっ！？ ユナさん　また　来たんすか？ 何　考えてんすか？　ホントに。 二日酔いに効く料理 作りに来ました。 二日酔い？ かかしが　言いました。 航平　二日酔い。 ああー　二日酔い。　痛え。 どこの　どなたが 飲ませたんでしょう？ うちの大事な　サボテンに。 ああ。 （光代）いらっしゃい。 ヤマティ。 （高鍋）お邪魔しますよ。 何で　また！？ 今日は　お一人？ もしかして　私に　会いに？ みっちゃん。 ユナさん　来てない？ （光代）へっ！？ 航平　会いたさに　しょっちゅう 来てるなんてこと　ないですか？→ 今日も　昨日も その前も　ずっと前も→ 来てるなんてこと　ないっすか？ （光代）まさか。→ ユナさんみたいな　大スターが 航平　会いたさに…。 確かめて　いいですか？ （光代）確かめる？ はーい。　できました。 （一同）おお！　おいしそう！ 何で　俺が！？ （蓮）何か　いいね。　こういうの。 （菫）家族だんらんってやつ？ （桃）あんたたち　恐れ多いよ。 大スターに向かって→ 家族だなんて。 すいません。 うれしいです。 家族　うれしいです。 （蓮・菫）♪♪「だんらん　だんらん だんらん　だんらん」 はい。　どうぞ。 じゃあ　皆さん　召し上がれ。 （一同）いただきます。 どうしたんですか？ （蓮・菫）辛い！ 辛っ！ （高鍋）何じゃ？　この光景は。 まさに　家族だんらんだろ。 どういうこと？ これ　どういうこと？ ユナさん。　本当に　こんなに 辛いのが　二日酔いに→ 効くんですか？ そんなに　辛いですか？ そんなに　辛い？ こ…　これは 嘘つきが直る料理です。 はっ！？ サボテンのくせに　嘘をつくから。 早く。　早く　食べなさい。 「嘘」？　ちょっと。 もう　嫌だって。 もう　辛い。　やめっ！ 飲めないのに 二日酔いには　なりません！ 辛い。　辛い！ ≪（菫・蓮）一つ。 たっ　たっ　たっ。→ 二つ。 たっ　たっ　たっ。　そこまで！ （菫・蓮）一つ。 たっ　たっ　たっ。→ 二つ。 たっ　たっ　たっ。　そこまで！ 痛い　痛い。 （蓮）もう１回　もう１回…。 （菫）もう１回　もう１回…。 ≪ユナさん。 準備できましたよ。 今日も　よく　見えます。 フフッ。 テソンのこと　ありがとう。 えっ？ ああ。　いえ。 あっ。　よく見えない。 ああ！　髪の毛　邪魔です。 何か…。 何か…。 何かって？ よーし。 ああー　奇麗。 航平。　この星　奇麗です。 ホントに　奇麗です。 その星は　アンドロメダ座の ガンマ星です。 この季節　一番　奇麗に見える 双子の星なんですよ。 うん？　見えなくなりました。 どうして？ ちょっ。　今　これ 触ってるからでしょ。 何で　勝手に　触るんですか　もう。 えーと。 危ねっ。 それは　もういいです。 今度は　あれ。 えっ？　どれっすか？ あれ。　もう。 勝手だなぁ　もう。 あれ？　おかしいな。 見えねえな。　あれ？ そこ　どく！ みんな　やるんですよ　最初は。 もう。 やっぱり　あっち。 えっ！？ （菫）何か　あの２人 いい感じじゃない？ （蓮）でも　航平君は ただの　ボディーガードだよ。 （桃）ただの　ボディーガードねぇ。 ああー。　だから　そこ 触っちゃ　駄目です。 あー。　せっかく　見えてたのに。 今のは　あなたのせいです。 直してください。 今　ユナさんが…。 ちょっと。　どいてください。 はい。　どうぞ。 ああー。　めっちゃ　奇麗です。 （蓮・菫）天文台！？ 清里にいたときの後輩がいる 群馬の天文台に　欠員が出て→ その後輩が 俺を推薦してくれた。 向こうも　乗り気で　俺さえ 決心すれば　働けると思う。 １週間以内に　返事をくれって。 だから…。 （桃）ちょっと待って。　じゃあ ボディーガードの仕事　どうすんの？ （菫）ユナさん　怒るよ。 （桃）９９日って　約束でしょ。 （蓮）俺たちは　どうなるんだよ？ 母ちゃん　帰ってこないし→ 航平君　いなくなったら。 ねえ。　俺たちは？ それは。　姉ちゃんには 出発前に　必ず　連絡を取って→ 帰ってきてもらうから。　なっ？ すっかり　行く気だ。 後のことなんて どうでもいいんだ。 人でなし！ バーカ。 （菫）人間のくず。 航平君なんか どこへでも　行っちまえ！ そこまで　言うか？ アジア。 また　あ？ あ…　あ…。　アイダホ。 星。 それ　地名じゃありません。 ああー。　香港。　あっ。 いってえ！？　マジ　痛え。 ユナさん　おはようございます。 （２人）おはようございます。 （高鍋）純吉。 （夏目）ヒジンちゃん 差し入れの件なんだけど→ ちょっと　いい？ （ヒジン）はい。　はい。 ユナさん　ゆうべは 冷え込みましたね。 昨日の　秋の夜長は どのように　過ごされたんですか？ 冷え込んだ？ そうですか。 私は　辛い料理を食べたので ほっかほかでした。 それは　辛いってだけじゃなくて もしかして…。 好きな人と　食べたからとか？ 好きな人？ はい。　好きな人。 はい。　好きな人です。 ああっ…。 私　桃　菫　蓮。 みんな　好き！ 高鍋さん？ はい？ こんなとこで　何してる？ 別に。　芹沢社長に呼ばれて 来ただけですよ。 社長に？ 弟君が　示談に 応じてくれないもんでね。 あんたたちが　ユナさんみたいな スターを　追い掛けて→ それで生きてるのは よく知ってる。 それが　仕事なのも よく分かるよ。 でも　彼には　何の関係も ないことだろ？ まだ　若くて 人生　これからのやつなんだよ。 何で　そんなやつの将来を つぶすようなこと　できるんだ？ あんただって　夢の 一つや　二つ　あったろ？ ≪（芹沢）サボテンの言うことなんか 気にしないでちょうだい。 社長。 これで　示談にしてちょうだい。 社長。 （芹沢）もう　ユナの弟から 手を引いて。 （芹沢）さすが　社長。 話が　早いわ。 約束どおり 告訴は　取り下げます。 何が夢だよ。→ 夢じゃ　おなかいっぱいに なりません。 ♪♪～ 天文台？ はい。 急な話で　申し訳ありませんが→ そういうわけで ぜひ　行かせていただきたいと。 で　ユナさんの　ボディーガード 辞めるってことね？ はい。 止めても　聞かないだろうね。 夢の天文台だもんね。 すいません。 ちょうどよかった。 最後まで　務まるのかなと 思ってたのよね。 ちょっ。　それは　どういうこと…。 （恵実子）で　ユナさんに話したの？ えっ？ （恵実子）自分から言いなさいよ。→ それが　けじめってもんだからね。 はい。 （近藤）正直　残念なんですが。→ 収まるとこ　収まりましたね これでね。　よし。 ♪♪～ 今　何て？ ですから　ユナさんの　ボディーガード 辞めさせていただきたいんです。 えっ？ 天文台への就職の話が　きました。 群馬にある天文台で　今まで何度か行ったことあるんですけど→ 日本でも　最大級の 反射式　望遠鏡が　置いてあります。 近くには　美雪ヶ原っていう 原っぱがあって→ そこで見る星は 本当に降るようで。 ユナさんにも　一度 見せてあげたいですけど。 ああ。 天文台で働くことは→ 俺の長年の夢でも　あります。 最初の約束を　破ることになって 申し訳ないと思いますが→ お願いします。 何か　勘違いしてますね。 私が　あなたを止めるとでも？ えっ？　じゃあ。 ボディーガードできる人 他に　たくさん　います。 気にしないでください。 そうですか。　そうですよね。 いつからですか？　代わりの ボディーガードを　手配しないと。 あしたにでも　返事をして 今週中には。 あっ。　あしたから　近藤　来ますんでよろしく　お願いします。 短い間でしたが お世話になりました。 ありがとうございました。 じゃあ　失礼します。 （ヒジン）航平さん　お別れですか？ そうですか？ （小岩井）何だよ。 どうなってんだよ。 （三上）今日は１日 降ったり　やんだりみたいですね。 （小岩井）やんだら すぐ　やるよ！　気ぃ抜くなよ。 （三上）ヒジンさん。　雨が やみしだい　スタートになるので→ もう少し　お待ちください。 （ヒジン）はい。 《痛っ！？》 《何　笑ってんすか？》 《はい！》 ≪（高鍋）ユナさん。 ユナさん？ 高鍋さん。 （高鍋）どうしたんです？ 今日は　何だか　元気ないですね。 いいえ。 そんなこと　ありません。 いつものとおり 元気もりもりです。　ファイティン。 （ヒジン）オンニ　雨です。 カワイイなぁ。　えっ？ おい。　来たり　来なかったり 休んだり　辞めたり。 どうなってんだ？　航平は。 おい！ お宅の会社は　いったい どういうつもりだ？ 今度は　はしかか？　おたふくか？ それとも　知恵熱か？　うん？ あのう…。 純吉。 （夏目）はい。 ユナさんの動向を　探れ。 （夏目）はっ？ 日本ボディーガード連盟に連絡だ。（夏目）はあ。 （ヒジン）大丈夫ですか？ もう　無理。 ♪♪～ ♪♪～ 《ボディーガードできる人 他に　たくさん　います》 《気にしないでください》 だよな。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ユナさん？ やあ。 「やあ」じゃないっすよ。 何やってんすか？ こんなとこで。 えっと。　今日は　撮影　休みです。 そこの温泉　入りに来た的な。 そしたら　途中で サボテン　見えました。 びっくりです。 温泉。 サボテンには　関係ありません。 まあ　確かに。　もはや サボテンでも　ありませんが。 日が暮れると　寒くなります。 さっさと　帰ってください。 ありがとう。 今まで　そばにいてくれて ありがとう。 こちらこそ。　じゃあ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （高鍋）おのれ　航平！ ユナさんを　さらうとは いったい　何のまねだ！ （菫）高鍋おじちゃん　頑張って。 （高鍋）おう！ （蓮）航平君　待ってろよ！ （高鍋）逃すか！ うわ！？ あっ！？ ユナさん。 はい？ あのう。 髪に　ご飯粒が。　ねっ。 航平！ 痛っ！？ わざわざ　そんなことをしに？ それで　戻ってきましたか？ だって　女優の髪に　ご飯粒ですよ。あり得ないでしょ。 っていうか　普段だったら 大騒ぎでしょ？ もういい！ 最後まで　サボテン　うるさい！ うるさい　うるさい　うるさい！ ああ　そうっすか！ これ　何すか？ お弁当。 帰りに　食べようと思いました。 でも　めちゃくちゃに　なりました。もう　いりません。 （芹沢）「あしたのよるの さつえいには→ かならず　もどります。　ゆな」 韓国里帰りに　お弁当！？ （蓮・菫）いけー！ （高鍋）おおー！　ファイアー！ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～

そこをなんとか２nd＃05

1 (楽子)結婚します！ (西別府)えっ!? (久保田)誰が？ (菅原)ﾗｯｺちゃんがですか？ ああ 私の修習同期がですよ！ 弁護士と検事のｶｯﾌﾟﾙなんです｡ でも あまりない 組み合わせですね｡ まあ 修習同期の結婚は よくありますが｡ でも 立場上は敵同士ですからね｡ ある意味 奇跡のｺﾞｰﾙｲﾝです｡ 愛ですよ 愛！ あっ！ こんな事してる場合じゃなかった｡ 午後から中道先生と会うんでした｡ 例の講習会ですか？ はい｡ 赤星君と一緒にｱﾙﾊﾞｲﾄ頼まれてて｡ ｱﾙﾊﾞｲﾄ？ 行ってきます！ 行ってらっしゃい｡ 行ってらっしゃい｡ (中道)ご存じのように ｾｸﾊﾗには 対価型と環境型があります｡ 対価型は 職場での地位を利用したり➡ 何らかの雇用上の 利益や不利益を示して➡ 性的な要求が行われるもの｡ 例えば…｡ (赤星)｢今日 一緒に 飲みに行こうか？｣｡ ｢えっ ２人でですか？｣｡ ｢別に いいじゃないか｡ 地方に飛ばされたくないだろ？｣｡ ｢そんな…｣｡ (中道)一方 環境型は 性的な言動を繰り返される事で➡ 働きにくい職場環境に なっている事｡ ｢はっ！｣｡ ｢君 結婚しないの？｣｡ ｢いえ 今のところは まだ｣｡ ｢へえ～ 彼氏もいないんだ｣｡ (中道)このような行為が ｾｸﾊﾗにあたるか どうかは➡ 受け手の主観にもよりますが する側に悪意が➡ なかったとしても 受けた方が 不快に感じれば ｾｸﾊﾗです｡ (知佳) ここで 10分の休憩に入ります｡ 幸喜？ (幸喜)違いま～す｡ あっ！ やっべ！ こっ… 待ちなさい！ ど ど… どうしたの？ 幸喜！ ちょっと！ 幸喜！ 幸喜！ やあ 姉ちゃん｡ あんた 何やってんのよ こんな所で｡ 働いてんだよ｡ 嘘つかないで！ もしかして また ろくでもない事してるんじゃ｡ 違うよ｡ 先月から ここの契約社員で働いてるの｡ 本当に!? 本当だよ｡ 姉ちゃんが ここにいるなんて➡ 知らなかったんだよ｡ あっ｡ どうしたの？ 改世さん｡ あっ すいません｡ お知り合い？ いえ…｡ ふつつか者の弟です｡ ああ…｡ 改世幸喜です｡ 姉が お世話になっております｡ ああ… どうも｡ 幸喜？ ｱﾆｷ～！ ああ 久しぶり ｱﾆｷ！ あれ？ ちょっと痩せた？ いや 俺が太ったのか…｡ ﾊﾟｰﾏ かけた？ 俺も いろいろあってな｡ いろいろあったんだ｡ 俺も いろいろと太っちゃった｡ あれ？ 俺 そろそろ行かないと｡ さっきの話すげえ参考になったわ｡ 何？ それ｡ あんた 会社でｾｸﾊﾗしてんの？ そんな訳ないじゃん｡ されてんの｡ えっ？ お… お前がｾｸﾊﾗ？ うん｡ 最近は 女性の上司でも 結構 あるのよね｡ いや 男です｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ えっ…｡ 男の上司なんですよ｡ ﾊﾊｯ…｡ (ため息) 俺 どうしたらいい？ どうしたらいいって…｡ <司法制度の改革で 今や弁護士も就職難の時代｡➡ そんな中 ひそかに一攫千金を夢みつつ➡ 日夜 弱きを助ける 若き弁護士がいた｡➡ 改世楽子 ﾎﾟｲﾝﾄｼｰﾙ集めてます！> (美美 ﾊﾞｰﾊﾞﾗ ｴﾘｶ)幸喜！ お～う みんな 元気だったか？ ねえ ﾒｰﾙの返事 全然 くれないじゃん｡ まあ いろいろある訳よ 俺の人生も｡ また 女の子 だましてたの？ だましてねえよ｡ 借金は？ してませ～ん｡ 東京 出てきたなら 何で すぐ連絡してこないのよ？ だって 正式に社員になってから ちゃんと報告しようと➡ 思ってたから｡ また すぐ つまんない見え張って｡ 男にはﾌﾟﾗｲﾄﾞってもんがあるんだよ｡ な？ ほら｡ ｱﾆｷは ちゃんと分かってるぞ｡ ほい｡ (ｴﾘｶ)これ…｡ (乾杯する音) つまり その指導係の上司が➡ あんたに 日常的にｾｸﾊﾗをしていると｡ うん｡ ほとんど毎日 胸とか脇とか触ってくるし➡ ｢彼女 いるのか？｣とか 聞いてくるし➡ こないだなんか 無理やり ﾌﾟﾛﾚｽ技かけられて｡ それって どっちかって言うと ﾊﾟﾜﾊﾗじゃね？ いや 俺の感触では ｾｸﾊﾗです｡ [ 回想 ] (大牟田)うぃ～ うぃ～｡➡ どうだ？ 改世｡ 先輩 ああ 俺 もう…｡ うぃ～！ あ～ ｷﾞﾌﾞｷﾞﾌﾞｷﾞﾌﾞ… 勘弁して下さい｡ ﾊｯﾊｯﾊ だらしねえな｡ 結構 いい体してんのに｡ 大牟田さん 何で 俺ばっかり こんなに いじめるんですか？ 冗談だろ｡ え？ かわいいんだよ｡ 何つ～か こう… 言い方や触り方に 愛がある！ 気がする｡ (２人)なるほど｡ こないだ 終電逃した時なんか 無理やり ﾗﾌﾞﾎに➡ 連れ込まれそうになったし｡ (２人)ﾗﾌﾞﾎ!? …って事は つまり その先輩｡ 女より男が好きなんだと思う｡ (２人)なるほど｡ 困ってんなら 会社のｾｸﾊﾗ担当に 相談しなさいよ｡ もし 先輩が 本当に そうだったとしたら➡ 個人的な事情を暴く事になるし それは ちょっと➡ 抵抗あるんだよな…｡ 優しいな お前｡ でも 相談しなきゃ 何も変わんないよ？ う～ん｡ あさってさ 研修兼ねての 社員旅行があるんだよ｡ 正社員になるには 行かなきゃ まずいんだけどさ…｡ 俺 今から すっげえ ﾌﾞﾙｰだわ｡ (ため息) 旅行っていえば… はい 大阪行きの切符｡ あっ 一緒に取ってくれたんだ｡ ありがとう｡ 何 何？ お二人でご旅行!? 違います｡ 同期の結婚ﾊﾟｰﾃｨｰに呼ばれてんの｡ ﾎﾃﾙも会場近くに取ったから｡ さすがｱﾆｷ 抜かりないね｡ 同じ部屋だけどな｡ えっ…｡ 嘘だよ バ～カ｡ ｾｸﾊﾗ 反対！ はぁ びっくりした｡ 同じﾎﾃﾙって事でしょ？ ☎ あれ？ つながんないな…｡ 東海林先生｡ 姉ちゃんさ｡ ん？ もしかして 距離恋愛してんの？ はっ？ 何言ってんのよ｡ 東海林先生は 元アニ弁だし➡ いろいろ 相談に乗ってもらってるだけ｡ その気もないのに相談かよ｡ 男はな➡ そういうの すげえ困るんだよ｡ 勘違いするし｡ そういうもんなの？ そういうもんだろ｡ つ～かさ 姉ちゃんって 何で結婚しねえ訳？ 何？ 急に｡ いや それなりに料理はできるし 一応 お堅い仕事してるし➡ まあ 欠点は いろいろあるけど… ﾊﾊｯ｡ まあ 俺が見ても お買い得だと思うんだよね｡ お買い得って…｡ 赤星楽子になっちゃえば いいじゃん｡➡ あの人 マジで 姉ちゃんに惚れてんぞ｡ 俺 ｱﾆｷとだったら 義理の兄弟として➡ うまくやってけるわ｡ あんたの都合は どうでもいいよ｡ 自分の幸せ考えろって言ってんの｡ いや もしね 俺の事 心配してんなら➡ それ すげえ 余計な お世話ですから｡ ﾊﾊｯ｡ 別に 心配なんかしてません｡ あっそ｡ ﾌﾌｯ｡ (缶を潰す音) あ～っ！ ちょっと待って｡ 待って待って｡ 何？ えっ 何 何？ ﾎﾟｲﾝﾄｼｰﾙ｡ セコ！ ﾊﾊｯ｡ 幸喜は知らないかもしれないけど 赤星君って➡ 秘書たちの間で 花婿候補 ﾅﾝﾊﾞｰﾜﾝなんだよ｡ お金持ちだし 見た目だって悪くないし➡ 私より ふさわしい人 たくさんいるよ｡ 要は その気がないって事？ …っていうか 何が運命なのか 分かんないっていうか｡ 分かった頃には ﾊﾞﾊﾞｱだぞ｡ 同期にも後輩にも 俺にも先越されるぞ｡ ﾊﾊﾊ｡ やめてよ…｡ ♬～ (ため息) 病院から連絡があったんですか？ 検査の結果が出たみたいです｡ 明日 聞きに行く事になって｡ (ため息) 先生 私 一人で聞いてきましょうか？ いや 私も行きますよ｡ そんな たかが再検査の結果ぐらい…｡ (葉っぱが落ちる音) あっ… 落ちた！ 葉が落ちた｡ 菅原先生 まだ たくさん ついてるじゃないですか｡ そうですよ｡ 検査の結果が どうでも➡ 私は先生から離れませんから｡ ありがとうございます｡ 日向子から預かってきました｡ 迷惑だと思って 一応 止めたんですが➡ 明日 あの子の誕生日でして…｡ 急な話だし 無視してくれて 構いません｡ もちろん 行きます｡ でも… 次の日 予定があるから あんまり飲めないかも｡ いや… これ 小学生の会です｡ ですよね｡ ﾊﾊｯ｡ 手作りｶｰﾄﾞ 上手ですね｡ 大牟田さんが ｾｸﾊﾗ!? はい｡ 改世君の気のせいじゃなくて？ もしかしたら そうかもしれませんけど➡ でも 俺が不快に感じてるのは 事実です｡ そう…｡ じゃあ 対応を検討します｡ よろしくお願いします｡ あっ それと この話は…｡ 大丈夫｡ 社員のﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰは守るわ｡ ありがとうございます｡ (ﾉｯｸ) (日下)松本｡ あっ…｡ ごめん 話し中だった？ もう終わったよ｡ (知佳)じゃあね｡ ありがとうございます｡ ごめん お待たせ｡ (ドアが閉まる音) かわいいよな 知佳さん｡ あの２人 つきあってんのかな…｡ 社員旅行は 明日 午後１時に集合だ｡ 遅れないように｡ (一同)はい｡ ２日も泊まりかよ…｡ 改世 会議行くぞ｡ 俺の机の資料 取ってくれ｡ はい｡ [ 心の声 ] いやいやいや… ﾊﾟﾝﾂは 我々の必需品な訳だし➡ 見てて おかしい事はない｡ でも…｡ 見たな～｡ はっ！ お前 どんなﾊﾟﾝﾂはいてんの？ えっ？ 仕事の参考だ｡ ちょっと見してみろ｡ いやいや…｡ 減るもんじゃねえだろ｡ いいじゃねえか｡ (日下)大牟田さん｡ １番に電話ですよ｡ 助かった｡ はぁ…｡ あれ？ おう 日下｡ 電話 切れてる｡ おかしいな｡ 外線 入ってたんですけどね｡ 日下さん…｡ (受話器を置く音) どうも｡ ♬～ これで落とそうって訳？ 今週 同期の結婚ﾊﾟｰﾃｨｰに 一緒に行くんです｡ 泊まりがけで｡ ｼﾁｭｴｰｼｮﾝとしては悪くないわね｡ それに そろそろ 急がないとと思いまして｡ 27で なに 焦ってんのよ｡ あ… 嫌み？ 親が 婚約者の当たり つけてるんですよ｡ 婚約者…｡ 赤星家の長男は 代々 30までに結婚して➡ 子孫を残す義務があるんです｡ ちょちょ…➡ あなた 何時代に生きてるの？ 俺だって さんざん抵抗してます｡ だけど 親には親の考えがあって 全然 譲らないし…｡ そっか｡ でも それ 悪くないかもね｡ え？ だって 親の方が人生経験積んでて ずっと人を見る目あるじゃない｡ 冷静に 赤星君にふさわしい相手を 選んでるかもしれないわよ｡ お見合い 何度も断ってる人に 言われたくないですけど｡ ﾌﾌﾌ…｡ (ｵﾘｰﾌﾞを投げ入れる音) …早く｡ 俺たちって 報われない関係が 好きなんですかね？ あんたのは ただのドＭ！ …ったく 一緒にしないでよ｡ 再検査 異常なしでした！ は～！ いや 私も それ相応の覚悟は していたつもりなんですが…｡ よかった～！ 本当に よかったです｡ ご心配おかけしました｡ お祝いしましょう！ お祝い｡ そう思って ｹｰｷ 買ってきましたよ！ さすが 久保田さん！ あれ？ 何か いい事あったんですか？ 幸喜｡ 大変 ご無沙汰しております｡ (久保田)お久しぶりです｡ 幸喜君 元気そうですね｡ 菅沼先生｡ 菅原です｡ ヤメ検先生｡ 姉から話は伺っております｡ どうも 西別府です｡ つかぬ事を お伺いしますが➡ 先生は独身ですか？ は？ そうですけど…｡ すばらしい！ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊ｡ ちなみに 今現在 おつきあいしている女性などは？ ちょちょ… 何やってんの｡ とっとと社員旅行 行きなさいよ｡ ヤメ検先生 いいじゃん｡ もしかして 姉ちゃん ｱﾆｷとの結婚 渋ってんのって…｡ とっとと行きなさい！ 皆さん お邪魔しました｡ もし いい縁談がありましたら 是非 姉に…｡ ああっ｡ (ドアが閉まる音) …ったく｡ (笑い声) 感じのいい弟さんじゃないですか｡ どの辺が!? 地獄の２日間だ｡ いや でも大丈夫 落ち着こう 大丈夫だ｡ あっ 改世君｡ あっ どうも｡ お二人も研修 参加されるんですか？ うん｡ 後でね｡ はい｡ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ やっぱり 仲いいよな～｡ (日下と知佳の笑い声) (大牟田)おう 改世！ おはようございます｡ おはよう｡ ﾌﾌﾌ｡ うっ｡ みっちり しごいてやるから 覚悟しろよ｡ それは どういう意味ですか？ おお お前 いい感じじゃん｡ ﾊﾟﾝﾌﾟってんじゃん｡ ﾊﾟﾝﾌﾟ…？ (日下)改世君！ 触ってみ｡ 松本が呼んでるよ｡ はい｡ すいません｡ 触れよ…｡ ﾊﾊﾊ！ このまま やり過ごして 先にバス乗った方がいいよ｡ はぁ… ありがとうございます｡ 遅くなって ごめん！ (日向子)遅いよ ﾗｯｺちゃん｡ もう お友達 みんな 帰っちゃったよ｡ 日向子 仕事なんだから しかたないだろ｡ 本当に ごめんね｡ これ お誕生日ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ｡ え？ お誕生日 おめでとう｡ これ 私が 子どもの頃 欲しかった ﾄﾞｰﾙﾊｳｽなの｡ 一緒に 作らない？ うん！ はぁ… よかった｡ 行こっ｡ ｽﾘｯﾊﾟ どうぞ｡ ありがとう ございます｡ すいません｡ (日向子)よし｡ じゃあ 次｡ 次は？ ﾃﾚﾋﾞ？ ﾃﾚﾋﾞ 大事｡ よし｡ 気を付けて 気を付けて｡ ﾊﾊﾊ！ 落ちそう｡ ちょっと待って｡ ﾊﾊﾊ！ あ～ 倒れた｡ かわいい～｡ おお～｡ (笑い声) 出来た 出来た｡ あ～ 崩れる 崩れる｡ (楽子と日向子の笑い声) ちょっと待って｡ (笑い声) あ～ 倒れた｡ もう一回 もう一回｡ ♬～ 眠っちゃいました｡ 日向子 ﾍﾞｯﾄﾞで寝るぞ｡ (寝ぼけながら)おやすみ｡ ﾌﾌｯ おやすみ｡ おやすみなさい｡ (乾杯する音) 西別府先生 お料理 上達しましたね｡ 料理番組見て 研究してますから｡ 本当に？ うん｡ 日向子に いろいろ 注文つけられて 大変です｡ ﾌﾌｯ｡ 日向子ちゃん いい お誕生日だったみたいで➡ よかったです｡ 迷惑な時は言って下さいね｡ え？ 僕も日向子も 改世先生の好意に 甘え過ぎかもしれないので｡ そんな事ないですよ｡ 私も楽しんでますし｡ 本当ですか？ はい｡ ♬～ 子どもの頃 こういう お誕生日ﾊﾟｰﾃｨｰが 夢だったな｡ 今日は 日向子ちゃんと一緒に➡ 私も お誕生日気分 味わっちゃいました｡ そうですか｡ はい｡ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] 痛っ！ [ｽﾋﾟｰｶ] はっ！ あっ おはよう｡ おはようございます！ 改世先生 やっぱり強いですね｡ すいません｡ 今日 用事があるって 言ってましたけど 大丈夫ですか？ 用事？ うん｡ (大声で)あっ！ お世話になりました｡ (日向子)おはよう｡ あっ！ おはよう 日向子ちゃん｡ 帰るの？ うん｡ またね｡ (ドアの開閉音) 遅い…｡ [ｽﾋﾟｰｶ] もしもし｡ どうした？ [ｽﾋﾟｰｶ](日向子)ﾗｯｺちゃん 携帯 忘れてったみたい｡ [ｽﾋﾟｰｶ]ええ…｡ もしもし 改世先生？ 赤星君！ ごめんなさい｡ 携帯忘れちゃって 連絡できなくて｡ どこに忘れたんだよ？ ちょっと 想定外の事が起きて｡ (拍手と歓声) おめでとう！ (小松)結婚を決めたのは➡ いつも 価値観や考え方が ずれがちな私を➡ 望月君なら引き戻してくれると 思ったからです｡ のろけかよ！ (笑い声) (小松)違うよ｡ (望月)じゃあ のろけついでに 俺からも ひと言｡ 鬼検事と恐れられてる小松が 自分にだけデレるのは気分いいぞ｡ (招待客)羨ましいな おい！ (拍手) 悪い事言わないから お前らも早く結婚しろ｡ (招待客)余計なお世話だよ！ キス キス！ (一同)キス キス キス キス…！ (拍手と歓声) 幸せそうだね ２人とも｡ しかし あの小松ちゃんでも デレるんだね｡ 意外｡ 別に普通だろ 新婚なんだから｡ あ そっか｡ 改世がデレると どうなんの？ え？ (赤星)俺 見た事ないかも｡ もし ここで強引に迫ったら ｾｸﾊﾗになんのかな？ いや… 赤星君の事は 人として好きだし➡ 不快じゃないから ｾｸﾊﾗにはならないけど…｡ それ聞いて安心した｡ (指を鳴らす音) わ～ すご～い！ 今日のための特別ﾃﾞｻﾞｰﾄだ｡ これ 食べていいの？ 当たり前だろ｡ ええ うわ～｡ すごいな｡ 頂きます｡ あっ ゆっくりな｡ おいしい！ 映画とかで よくあるやつ｡ ベタだけど一度やってみたかった｡ (かむ音) 幸せっ｡ それは…｡ それは よかった｡ [ｽﾋﾟｰｶ] 望月からﾒｰﾙだ｡ 何だって？ 今日のお礼｡ 私の携帯にも小松ちゃんから 何か来てるかな｡ お前 ひょっとしてさ 昨日 どっか泊まった？ 何で？ 今朝 お前の携帯に電話したら➡ 女の子と男が出たから｡ あっ それ 西別府先生と日向子ちゃん｡ 昨日 お誕生日に呼ばれて ちょっと遅くなっちゃって｡ やっぱり 泊まったんだ｡ 酔って眠っちゃっただけだよ｡ じゃあ 何で俺に隠してたの？ 別に 隠してた訳じゃないけど…｡ ごめん 言う必要ないかと思った｡ (ため息) 計画ぶち壊し｡ え？ 俺は お前と西別府先生が 何かあったと思って➡ 今日一日 その事が 頭から離れなかったよ｡ お前が鈍いのは 今に始まった事じゃないけど➡ そういう事がある度 いちいち こっちは ﾀﾞﾒｰｼﾞ受けてんだよ…｡ ごめん｡ 一つ 聞きたいんだけどさ お前たち どうなってんの？ え？ 俺と西別府先生 どっち取るかって事｡ どっちって…｡ もう いいや｡ ♬～ 何やってんだ 俺は…｡ ♬～ (東海林)｢午後には事務所に 顔 出せるよ｡➡ 夕方からは 菱谷物産の担当者と会合｣｡ 日本には どれくらい いられるの？ ｢菱谷物産の買収手続きが 済むまでは➡ しばらく 滞在する事になりそうだ｣｡ 忙しそうで何よりね｡ ｢おかげさまで｣｡ ああ… 私も 東海林君と一緒に ﾛﾝﾄﾞﾝに行っちゃおうかな｡ ｱﾊｯ… 何か言ってよ｡ ｢それは やめといた方がいい｣｡ ﾌﾌｯ… 冗談に決まってるでしょ｡ ｢そうだな｡ じゃあ 来週｣｡ うん｡ (通話を切る音) どうぞ｡ 休みの日に わざわざ すいません｡ ああ いえ｡ どうせ 調べ物する予定でしたから｡ 今日は 日向子ちゃんは？ 夕方まで友達の家だそうです｡ そうですか｡ 昨日は すいませんでした｡ ご迷惑をおかけして｡ いや こちらこそ➡ 日向子のわがままに つきあってくれて ありがとう｡ あっ…｡ 日向子が 電話に出てしまったんですが➡ 大丈夫でしたか？ ああ… はい｡ それなら よかった｡ じゃあ 私はこれで｡ あっ｡ あっ｡ すいません！ いえいえ｡ ♬～ どうぞ｡ どうも｡ [ｽﾋﾟｰｶ] 幸喜？ どうしたの？ とりあえず 無事 生還しました｡ やつれてんね｡ 大変だったんだよ｡ 宿に着くなり➡ いきなり 浴衣に着替えろって 言われて…｡ [ 回想 ] よ～し｡ じゃあ 浴衣に着替えて 卓球大会やるぞ｡ 何で浴衣？ 飛び散る汗 はだける胸｡ これぞ 青春！ あっ 女子はｾｸﾊﾗになるから 服装 自由な｡ じゃあ 解散｡ そのあとも 研修では隣に来られるし➡ 風呂場では個室に誘われるし｡ 個室？ ｻｳﾅだよ！ その度に ほかの先輩が助けてくれたんだ｡ もしかしたら 日下先輩も被害者なのかも｡ あ～あ…｡ 姉ちゃんさ 会社の旅行で 体壊したら 労災下りる？ う～ん どうだろうね…｡ こうなったらさ ｾｸﾊﾗで訴えて 慰謝料もらえばいいよ｡ 本人と必要な措置取らない会社 相手に｡ いや 姉ちゃんさ…｡ 働けなくなったら 逸失利益もﾌﾟﾗｽして｡ そういうのじゃないんだよな…｡ 大事なのは 被害者である君が➡ 社内で不利益を被らないように うまく着地点を見つける事です｡ 着地点？ うん｡ ｾｸﾊﾗ問題は よほど悪質でない限り➡ 会社内で 内々に処理されるのが 大半ですからね｡ そうなんですか｡ その会社で 働き続けるつもりなら➡ 派手に騒ぐよりも 社内で味方を 作っておいた方がいいと思います｡ 味方…｡ (店員１)いらっしゃい！ (店員２)いらっしゃいませ！ 君が 大牟田さんを嫌がってる事は 何となく気付いてたよ｡ やっぱり｡ もしかして 日下先輩も➡ 被害に遭ってるんじゃ ないんですか？ いや｡ 大牟田さん あのとおり ﾏｯﾁｮだし➡ ２人きりで仕事している時なんか 何か身の危険 感じるんですよね｡ あっ いや… 別に 俺は 大牟田さんが➡ ゲイだって言ってるんじゃ ないんですよ｡ まあ だけど➡ 俺 女の子が好きだし 男には興味ないどころか➡ ぶっちゃけ キモいんですよね｡ キモくないっすか？ うん？ あっ すんません｡ 俺ばっか しゃべって｡ いいよ｡ 今日は そのために来たんだから｡ 今日は飲んで下さい｡ 俺が おごります｡ 俺 日下先輩みたいになるのが 憧れっていうか➡ 目標なんすよ｡ 仕事もできて 後輩の人望もあって｡ 悪い｡ いやいやいや 気 遣わないで下さいよ｡ 先輩は 全然 平気です｡ 俺に そんな気がないって➡ 分かってますからね～｡ あるって言ったら？ へ？ 冗談だよ｡ 君の気持ちは よく分かる｡ 生理的な嫌悪感は しかたない事だしな➡ そういうふうに言われる事も 慣れてんだ｡ でも それを あからさまに ぶつけられる事が➡ 平気って訳じゃない｡ それなりに ﾀﾞﾒｰｼﾞは受けてる｡ あの…｡ 大牟田さんが どうかは 知らないけど➡ 君が困っていたから 見てられなくて ﾌｫﾛｰした｡ でも 迷惑なら もう近づかない事にするよ｡ 日下先輩…｡ (日下)大丈夫｡ 慣れてるって言ったろ｡ ごちそうさま｡ (日下)じゃあな｡ 俺って 最低…｡ その先輩 ゲイだったんだ｡ 結局 俺は 日下先輩に ｾｸﾊﾗしたんだよ｡ それって ｾｸﾊﾗになるの？ こっちに悪意がなくても➡ 相手が傷ついたんなら そういう事だろ｡ そっか…｡ 一番 俺に気遣ってくれたのに あんなに悲しそうな顔させて…｡ やっぱ 配慮がないんだよな｡ うん｡ 人の気持ちが分かんないんだよな｡ うん｡ 何かあったの？ 私も 赤星君の事… 傷つけた｡ えっ？ しっかりしろよ～｡ 俺たち バカきょうだいだな｡ うん｡ それもこれも あのエロ先輩のせいだ｡ あの人のｾｸﾊﾗがなけりゃ 何でもなかったのに｡ …っていうか そもそも俺が 毅然としてりゃ よかったんだよ｡ どうすんの？ 訴えるの？ 対決する｡ 松本さん｡ 改世君 どうしたの？ こないだ相談したｾｸﾊﾗについて 一体 どうなってるんでしょうか？ あれは… ｾｸﾊﾗじゃないって 判断したの｡ 何でですか？ 俺が契約社員だからですか？ そういう事じゃないわよ｡ 大牟田さんに話をつけに行きます｡ 一緒に来て下さい｡ 私が？ ｾｸﾊﾗ担当でしょ｡ ちょっと待って 改世君➡ 誤解なんだって｡ 違うんだってば｡ (幸喜)何が違う…？ 落ち着いて｡ ねえ 話聞いて｡ あっ！ ねえ 改世君｡ 大牟田さん ちょっと いいですか？ これから顧問弁護士さんと 会議なんだけどな｡ 弁護士…｡ 先手を打つ気ですね？ 違うんだって｡ は？ そっちが その気なら 出るとこ出ますよ｡ とにかく 俺へのｾｸﾊﾗは やめて下さい｡ 改世君｡ ｾｸﾊﾗって何だよ？ 俺が お前にか!? 分かってるんですよ｡ 俺の事が 好きなんですよね？ 大牟田さん｡ 何 寝ぼけてんだよ｡ ちょっと待って下さいよ｡ 触んな！ 触んなって いつも そうやって ﾍﾞﾀﾍﾞﾀ ﾍﾞﾀﾍﾞﾀ 俺の事…｡ 今のお話 詳しく聞かして もらいましょうか｡ 何のために ｾｸﾊﾗ講習やったのかしら｡ いや… あの でも この件はｾｸﾊﾗではないと判断して｡ そうですよ｡ 改世にｾｸﾊﾗなんて とんでもない！ 言っときますがね 僕は無類の女好きです！ でも 男の下半身に 異様な興味を 持ってるじゃないですか｡ こないだも変なｻｲﾄ見てたし｡ バカ野郎…｡ あれは 大学と共同開発した 新型ｽﾎﾟｰﾂｱﾝﾀﾞｰｳｴｱだよ！ じゃあ 俺をﾗﾌﾞﾎに誘ったのは？ 終電 乗り遅れたからだろ｡ だからって なにも ﾗﾌﾞﾎなんかにね｡ 系列ﾎﾃﾙのﾎﾟｲﾝﾄｶｰﾄﾞが たまってんだよ｡➡ あとちょっとで３割引きの ﾌﾟﾗﾁﾅ会員になんの！ あそこはな ｶﾗｵｹとｼﾞｪｯﾄﾊﾞｽが ついてんだぞ｡ すごくねえ？ みみっちい男…｡ 何だよ… もう お前には関係ねえだろ｡ はあ？ 何よ？ ３割引きって｡ 恥ずかしいったらないわ｡ 私は そのみみっちさに 嫌気が差したのよ！ 知佳さん？ 弁護士さん この人がｽﾄﾚｰﾄで➡ 女好きなのは 私が一番 よく知ってます｡ 女癖も最悪です｡ つきあってたんだ｡ ｾｸﾊﾗとか バカバカしい｡ 俺は女しか相手にしねえよ！ (大声で)いい加減にしなさい！ 男が好きでも 女が好きでも➡ あんたの行為は 丸っとｾｸﾊﾗだって 言ってるでしょう！ ええ…｡ 大体 会社として対応しない事が➡ 一番問題なんです！ あなたも あなたも 認識が甘すぎるわ！ 女ばかりが被害者だと 思わないように｡ 今から もう一度 頭に たたき込んであげる｡ ♬～ あの弁護士さん すっげえ有能だったわ｡ さすが中道先生だね｡ 大牟田さんも 担当の知佳さんも 謝ってきたし➡ これ以上は追及しない事にした｡ 相談に乗ってくれた先輩は？ うん…｡ [ 回想 ] すいませんでした！ 俺 やっぱ 男同士とか無理だし 女の子が好きだし…｡ だけど 先輩に触られたのは キモくなかったんですよね｡ だから できたら これからも➡ 先輩として 相談に乗ってもらえませんか？ 俺 マジで 日下先輩 目標なんすよ｡ ♬～ 分かってもらえたんだ｡ よかったじゃない｡ いい人なんだよな｡ はい｡ 嫌だとｾｸﾊﾗ 嫌じゃなければｽｷﾝｼｯﾌﾟか…｡ 姉ちゃんも 早くどうにかした方が いいぞ｡ 赤星のｱﾆｷにするのか 東海林先生にするのか｡ また そんな事言って｡ それとも あのヤメ検先生？ ちょっと もう だらしないわね｡ しゃんとしなさいよ！ せっかく ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞ計画練ったのに…｡ 勝手に自滅しただけでしょ｡ ま 私もだけど～｡ あ～ 何のために こんなに頑張ってんだろ｡ え？ 誰も褒めてくれないのに…｡ 一人で こんなに あくせく働いてんのに｡ 中道先生は すごいですよ｡ それは みんな 認めてます｡ もっと褒めて｡ 美人で 優秀で 偉い！ ﾌﾌｯ｡ そして 俺は もっと偉い｡ そう思ってないと やってらんない！ そうだ！ よし もう一軒行こう｡ (赤星)行こう｡ 行こう 行こう…｡ 別に いいのに 送ってくれなくても｡ ｺﾝﾋﾞﾆ行くだけだから｡ 持とうか？ あっ ありがとう｡ (笑い声) ♬～ (中道)ただいま～！ 危ない｡ 何で 座ってんだ…？ (酔って はしゃぐ声) 楽しい！ 楽しい！ 中道先生は すごい！ ♬～ 東海林先生… 何してるんですか？ お前 待ってるに 決まってんだろ｡ <それは 更なる嵐の始まりだったのです> ♬～ ♬～ (赤星)これって もしかして 運命なのかな？ ﾗｯｺ｡ (菅原)元彼さんだったとはね｡ (幸喜)今が人生最大のモテ期だな｡ ここが運命の分かれ目だぞ｡ 好きです｡ あの 私…｡ 一緒に 来るか？ ♬～ その町の美しさは 宝石と たたえられてきました｡ ﾄﾞｲﾂ ﾛﾏﾝﾁｯｸ街道 ﾛｰﾃﾝﾌﾞﾙｸ｡ まるで絵本のような町｡ 年に１度の祭り ﾏｲｽﾀｰﾄｩﾙﾝｸで 町は 中世に ﾀｲﾑｽﾘｯﾌﾟ｡ ﾛﾏﾝﾁｯｸ街道の宝石｡

ことばのパーティ.S03E07.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ 始(はじ)まるよ ことばのパーティ みんなで歌(うた)おう 新(あたら)しいことばたち 覚(おぼ)えましょ せえの ことばのパーティ 　　みんなでパーティ 僕(ぼく)らに ほら 教(おし)えてね ことばを使(つか)って 　　　　遊(あそ)んじゃお いくよ ことばのパーティ 　　 みんなで歌(うた)おう 新(あたら)しいことばたち 覚(おぼ)えちゃお ことばのパーティ ことばのパーティ 朝(あさ)ごはんが 終(お)わるところです 終(お)わり 終(お)わり 終(お)わり ああ すりおろしリンゴって おいしくて おいしくて… 何(なに)？ あっ チクタク時計(どけい) 次(つぎ)は何(なに)？ あっ ねえ 捕(つか)まえよう チーターダッシュ チーター走(はし)った ベイリー 来(こ)ないの？ いいんだ　行(い)ってて でも 友達(ともだち)だろ？ ああ うん 友達(ともだち)は すごく大事(だいじ)だよね 終(お)わり 行(い)こう うん チクタク時計(どけい) 今(いま)行(い)くよ チクタク時計(どけい)は針(はり)で 　　　　　時間(じかん)を刻(きざ)むよ こっちでチク あっちでタク どこにいるんだろう？ 近(ちか)くでも 遠(とお)くでも チクタク刻(きざ)むよ お昼寝(ひるね)　遊(あそ)び 　　運動(うんどう)　おやつ 時間(じかん)だよ チクタク時計(どけい)は刻(きざ)む チクタク時間(じかん)を刻(きざ)む くるくるチクタク 　　くるくるチクタク 今(いま) 何時(なんじ)？ くるくるチクタク 　　くるくるチクタク 今(いま) 何時(なんじ)？ 次(つぎ)は何(なに)をする時間(じかん)？ 遊(あそ)ぶ時間(じかん) ティアラをつけて お姫様(ひめさま)ごっこしていい？ ええ いいですよ お姫様(ひめさま) やった 私(わたし) お姫様(ひめさま) 僕(ぼく)は お外(そと)で遊(あそ)びたいな ああ それなら 外(そと)で遊(あそ)んでもいいかも みんなに聞(き)こう ねえ みんな お外(そと)で遊(あそ)んでもいいかな？ うん やった！ みんな ありがとう うん ありがとう またね ルルお姫様(ひめさま)は オモチャが欲(ほ)しいわ はい オモチャですね どうぞお姫様(ひめさま) ボールはイヤ ルルお姫様(ひめさま)は ラフィが欲(ほ)しい ええ はい そうですよね お姫様(ひめさま) ラフィでございます どうぞ まあ ラフィ さて 次に ルルお姫様(ひめさま)が欲(ほ)しいのは… ルル あのさ ずっとお姫様(ひめさま)だったでしょ そろそろ私(わたし)の番(ばん)よ そのティアラ 貸(か)して ルル？ そのティアラを使(つか)わせて 私(わたし)の ねえ 友達(ともだち)だったら 仲(なか)よく順番(じゅんばん)に使(つか)うものよ 私(わたし)の！ ルル 待(ま)って ああ お気(き)に入(い)りの木(き)の下(した)は 気持(きも)ちがいいなあ よし うおー やあ キップ 一緒(いっしょ)に空(そら)を見(み)ない？ やあ そこにいる友(とも)よ 俺(おれ)は海賊(かいぞく) お前(まえ)の宝(たから)を盗(ぬす)んでやる 宝(たから)なんて持(も)ってないよ 海賊(かいぞく)ごっこもしたくない ごちゃごちゃ言(い)うな お宝(たから)を出(だ)さないなら 命(いのち)はないぞ キップ やめて 僕(ぼく)はキップじゃなくて 海賊(かいぞく)キップだ　アホイ！ キップは あまり話(はなし)を聞(き)いていません ねえ 友達(ともだち)なら 相手(あいて)の話(はなし)を聞(き)くべきだよ そうだけど― 海賊(かいぞく)には 友達(ともだち)なんていないんだ さあ 行(い)け 逃(に)げろ わかった　じゃあ逃(に)げるよ 気(き)をつけてよ　僕(ぼく)は海賊(かいぞく)だぞ 私(わたし)だって ルルお姫様(ひめさま)よ 海賊(かいぞく)は強(つよ)いんだぞ お姫様(ひめさま)はもっと強(つよ)いもんね お姫様(ひめさま)パワー でも… ルル お願(ねが)いだから すぐにティアラを返(かえ)して ねえ 海賊(かいぞく)ごっこをやめて えっ ヤダよ だって 海賊(かいぞく)ごっこは… これ 私(わたし)の！ みんなは友達(ともだち)です 友達(ともだち)は大切(たいせつ)ですよ 友達(ともだち)は相手(あいて)の話(はなし)を聞(き)きます 譲(ゆず)り合(あ)いもします なんで？ それはね 相手(あいて)を思(おも)いやるからよ ベイリーのこと思(おも)ってるよ 僕(ぼく)もキップのこと大事(だいじ) フラニーのこと 思(おも)ってる みんなのこと 大事(だいじ)よ 友情(ゆうじょう)は大切(たいせつ)だね うん みんな友達(ともだち) アホイ ごめん しばらく海賊(かいぞく)はやめる ありがとう 友達(ともだち)は話(はなし)を聞(き)いて 一緒(いっしょ)に使(つか)うんだよね どうすればルルに わかってもらえるのかな うごくかべさん？ それいいね うごくかべさん あっちよ おいで 行(い)こう いいよ 今日(きょう)は 友情(ゆうじょう)についてのことばです みんな手伝(てつだ)ってね あっ これは友達同士(ともだちどうし)が 耳(みみ)を使(つか)ってすること これは？ 話(はなし)を聞(き)く そう！ ベイリー 僕(ぼく)はいつも 君(きみ)の話(はなし)を聞(き)いてるよ ありがとう　僕(ぼく)も聞(き)いてるよ これは 友達(ともだち)とオモチャで 遊(あそ)ぶ時(とき)のことばよ これは？ 一緒(いっしょ)に使(つか)う 一緒(いっしょ)に使(つか)う 友達(ともだち)は一緒(いっしょ)に使(つか)う そうよ ルル あっ これ知ってる 友達(ともだち)を抱(だ)き締(し)めるのは どんな気持(きも)ちがあるから？ 思(おも)いやり 私(わたし)はいつも 思(おも)いやりを持(も)ってる キップとフラニーと ベイリーにね だから ティアラを フラニーと一緒(いっしょ)に使(つか)うよ ありがとう ルル 新(あたら)しいことばを 覚(おぼ)えたってことは… ことばのパーティ さあ みんな ロックしようぜ みんなでことばのパーティ 楽(たの)しいことばのパーティ クルクル回(まわ)り 　　おしゃべりしよう ことばの遊(あそ)び 　　楽(たの)しいでしょ 話(はなし)を聞(き)く 一緒(いっしょ)に使(つか)う 思(おも)いやり これはどんなことば？ 友情(ゆうじょう) みんなでことばのパーティ パーティ 楽(たの)しいことばのパーティ パーティ みんなでことばのパーティ パーティ 楽(たの)しいことばのパーティ パーティ ねえ ベイリー こうして座(すわ)ってるのもいいね 空(そら)を見(み)ながらさ ねえ 見(み)て あの雲(くも) 大きな海賊船(かいぞくせん)に見(み)えない？ アホイ 相棒(あいぼう)よ 友達(ともだち)か… フラニー姫(ひめ)は クマのビビちゃんが欲(ほ)しいわ あっ はい はい どうぞ あら どうもありがとう さっ どうぞ じゃあ 次(つぎ)に欲(ほ)しいのは… シールコプターだ フラニー姫(ひめ) シールもらえる あら？ ルルがもらえるみたい 私(わたし)？ ルルは 頑張(がんば)って ティアラを貸(か)したので シールをもらえます シールコプター ありがとう バイバイ お花(はな)のシール もらった やった とってもうれしい ルルは いいお友達(ともだち)だわ フラニーも いいお友達(ともだち) あっ みんなも いいお友達(ともだち)よ ルルがキスしてあげる じゃあね バイバイ またね バイバイ 日本語字幕　平間 久美子

恋する日本語＃09

1 ♪♪～ ♪♪～ （マダム）春は旅立ちの季節。 旅立ちには別れが付き物。 大切な別れに　あなたなら どんな言葉を添えますか？ さて　あなたに　よく似合う→ 恋する日本語を お見立てしましょう。 ♪♪～ （鈴の音） （小さな鈴の音） ♪♪～ （綾）「恋スル日本語アリマス」。 （鈴の音） ♪♪～ （ドアの開く音） いらっしゃいませ。 あ…　すみません。 もう　お帰りになるの？ 音が聞こえたんです。 懐かしい音。 でも　そら耳だったみたいです。 懐かしい音…　恋人との思い出？ とうの昔に終わった恋なんです。 だけど…。 だけど？ 昨日　彼が夢に出てきて。 あら　彼　あなたに 会いたがってるのね。 えっ？ 私が会いたいと思ってるから→ 夢に出てくるものじゃ ないんですか？ 今は　そう考えられている みたいだけど→ 昔は　夢の中に誰かが出てくると その人が→ 自分に会いたがっていると 考えられていたのよ。 彼が　私に…。 ねえ　夢路という言葉 ご存じかしら？ 夢の道ですよね？ 現実に会えない人 思いを伝えられない人が→ 夢の世界にやって来る。 それが夢路。 現実では会えない人。 せっかくだから　あなたの恋の話を 聞かせてくださらない？ もう終わった恋ですし それに　語るほどのものでも…。 それでも　恋は恋。 恋する日本語じゃなくて 別れの言葉ってありますか？ 過去の恋を忘れるための言葉とか。 その恋人とは どんな　おつきあいだったの？ お互いに仕事が忙しくて なかなか会えなかったんです。 なのに　頑張って時間を作って 会うと　ケンカばかり。 私も彼も　気が強くて。 終夜。 「彼が　うちに泊まりに来た夜 ささいなことで　ケンカになった。→ お互いの怒りの炎は→ ぼやから始まった 大火事のように→ 手がつけられないほどに 燃え広がっていく。→ 結局　朝方まで口論を続け 疲れ果てた私たちは→ モーニングサービスが始まった ファミレスに向かった。→ 無事　鎮火」。 よくファミリーレストランで　一晩中→ 仕事の愚痴や　お互いの不満ばかり 話していました。 どうせ　一晩中　話すのなら 愛や恋を語り合えばいいものを。 随分ひどいことも言われたし 私も言ってしまいました。 でも　明け方に 彼が　イチゴパフェを注文するんです。 イチゴパフェ？ いい年をした男性が 恥ずかしそうに。 でも　そこで 私が　スプーンを２つと言うと→ それが仲直りの合図。 そしたら…→ だんだん　ケンカしてたことが ばかばかしくなって→ 器が空っぽになる頃には　お互いに あきれて　笑っていました。 一晩中　何やってたんだかって。 はい　どうぞ。 終夜という言葉を　イメージして 作ったお菓子なの。 こしあんを葛餅で包んでいて→ 夜の闇に浮かぶ夜桜を 表現しているの。 ＜終夜は 一晩中という意味だけれど→ 昔の人は 夜を３つに分けて捉えたの＞ ＜通い婚の風習があった時代では→ 男性が女性と別れて帰るのが 暁だったとか。→ 恋人たちにとっては 暁は別れを惜しむ時間だったのね＞ 忘れるべきですよね。 分かってはいるんですけど…。 別れは　どちらから切り出したの？ それが…。 どんな別れの言葉だったの？ やっぱり…。 私　やっぱり　帰ります。 ごちそうさまでした。 ありがとうございます。 いつの間に…。 まるで　遣らずの雨ね。 遣らずの雨？ 帰ろうとする人を→ まるで　引き止めるかのように 降ってくる雨のこと。 ♪♪～ その彼と別れてから どれぐらいたつの？ ５年です。 随分たつのね。 そうなんですけど… 突然　いなくなってしまったから→ なかなか 別れを受け止められなくて。 心の準備が出来ていなかったのね。 こういう時 どうすればいいんでしょうか？ たとえ 心の準備が出来ていたとしても→ 一度　愛した恋人を忘れる ということは　容易ではないわ。 本気であれば　あるほど。 あ～！ え…？ 最近の傾向だと　別れた恋人とは→ 一切　連絡を取らないという人が 半数を超えているみたいね。 そういえば　職場の若い女の子が 昔の恋人のことを→ パソコンのデータ保存の方法に 例えてました。 データ保存？ 男性は　昔の恋人のことを→ ファイルごとに名前を付けて 別名で保存するけれど→ 女性は　上書き保存するって。 あら。　言い得て妙ね。 女性の方が後腐れなくて たくましい気がします。 でも　昔の恋人と復縁したことが→ あるかという質問を 女性にしたところ→ 約５人に１人が　復縁の経験が あると答えたらしいわよ。 あら。　別れてからも 何度も偶然に再会したので→ 運命を感じて復縁したなんて人も いるみたい。 偶然の再会ですか。 はい。 あ…。 ♪♪～ 「原宿駅前の歩道橋。→ 昔　つきあっていた彼と デートする時→ 私は　いつも ここで待ち合わせをした。→ 何となく懐かしくて 久しぶりに渡ってみたら→ 偶然にも反対側から　彼が 子供の手を引いて歩いてきた。→ 懐かしさと切なさで 表参道が　にじんで見えた」。 この女性の涙には　懐かしさと 切なさだけじゃなくて→ うれしさも含まれてると思います。 うれしさ？ 本当に好きなら 別れた相手の幸せを→ 願うことができると思うんです。 きれい事かもしれないですけど。 それは　相手も同じなんじゃない？ え？ 別れた彼も　あなたの幸せを 願っているんじゃないかしら。 あなた今　誰か　いい人が いるんじゃないの？ あなたのこと 愛そうとしてくれている人が。 でも　別れた彼のことが 忘れられなくて→ 踏みとどまっている。 そんなんじゃないです。 一人の人を思い続けるのも すてきだけど　もう…。 私は大丈夫です。　一人で大丈夫。 ♪♪～ （ドアチャイム） （ため息） あら　今日は　おとなしいわね。 破門…　されました。 あら！ 破門？ 僕は　日本を代表する大作家 大原小也先生の書生なんです。 このお店では　恋のお悩みに…。 もう皆さん　ご存じですよね？ じゃあ　今日で あなたとも　お別れね。 そんなこと 言わないでくださいよ～！ 見捨てないでください。 大原先生の代わりに→ 芥川虎之介先生とか 冬目漱石先生とか→ 紹介してくださいよ～！ 分かった！　分かったから！ ホントですか？　やった！ じゃあ　今日も 張り切ってまいりましょう！ 今日の　お手紙は　こちらです。 え～…。 ペンネーム「失恋なう」さんから 頂きました。 「先日　大好きだった彼に　別れよう と言われてしまいました。→ 『君を嫌いになったわけじゃ ないけど→ 幸せにする自信がなくなった。→ 今でも大切に思ってるけど 責任が持てないし→ もう　疲れたんだ。 君なら一人でも大丈夫だし→ 俺なんかより　もっと　いい男を 探してほしい』」。 何だか 言い訳がましい別れの言葉ね。 そうなんです。 で　ここからが　すごいですよ。 「でも　嫌いじゃないなら 別れなきゃいいと思うし→ 幸せにする自信って何？　逃げてる だけじゃないって感じます。→ 今でも大切に思ってるなんて 建て前にすぎないだろうし→ そのくせ　もう疲れたって どういうこと？→ 全然　納得いきません。 『君なら一人でも大丈夫』って→ 『じゃあ　ほかに　一人じゃ 大丈夫じゃない女でも→ いるの？』って疑ってしまうし 『俺なんかより　もっと→ いい男を探せ』なんて 大きな　お世話」。 彼女の言ってることって もっともな気がします。 これは　大失敗の別れの言葉ね。 「こんな私に→ 恋の処方箋をお願いします」 とのことです。　フ～ッ　長かった。 これは　相当難しいわね。 そんな　駄目駄目な別れの言葉に 対しての処方箋が　こちらです。 オープン！ 「サヨナラ」という言葉を　前向きに 受け止めることができる→ 巧みな言い回しね！ あの～…。 はい！　これは　いきものがかりの 「ＹＥＬＬ」のパクリです。 ♪♪～ これは さすがの僕も知っていたので→ 思わず　先生に　「いきものがかりの パクリっすね！」って言った途端…。 激怒され　破門されたと。 はい。 じゃ　さようなら！ …って帰る場所 なくなったんだったよ。 さよならできない！ 「さよなら」か…。 「さよなら」とは　もともと 「それならば」という意味で→ 今で言う 「じゃあね」みたいなもの。 今生の別れを意味する言葉では ないのよ。 今生の別れに使う言葉じゃ ないんですね。 もう会えない相手には 何て言えばいいんですか？ はい。 「金木犀の季節に→ 彼は　交通事故で 突然　逝ってしまった。→ あれから数年が過ぎたけれど 彼は　今も　私の心の中にいて→ いつも　私を励ましてくれる。→ そんな彼が　ゆうべ 久しぶりに夢に出てきて→ 朝起きたら 枕がびっしょり濡れていた。→ 窓を開けたら 金木犀の香りがした」。 すいません！ ＜枕は　寝具であるだけでなく→ 何かを暗示したり→ 秘めた心や　自分さえも 知らないような恋の行方さえ→ 知っているものとされたの。→ だから　枕の下に宝船の絵を敷いて よい夢を見るようにしたり→ 好きな人に夢で会うために 枕を布団の片側に寄せ→ 恋人の訪れを待つ形で 寝てみたりと→ さまざまな工夫が されていたらしいわよ＞ 私も… 似たようなことしてしまいます。 彼がいないことは 分かってるのに→ 朝になると　ピンクとブルーの おそろいのマグカップを→ 並べてしまうんです。 私　彼のことが 本当に好きだったんです。 彼もきっと…。 彼…　いなくなる直前に プロポーズしてくれたんです。 なのに…。 彼がいなくなってから→ 私は　毎日　彼のことばかり 思っていました。 一生　彼のことを 忘れることはないと思います。 でも…→ 最近　思い出さない日が 出てきたんです。 月日がたつごとに　だんだん そんな日が増えてきて…。 私は　薄情な女なんですよ。 そんなこと…。 なのに　怖いんです。 私が　彼のことを 思い出さなくなったら→ 彼の存在そのものが 消えてしまうような気がして…。 でも　そんなの嫌なんです。 彼との愛をなかったことに したくないんです。 （鈴の音） ♪♪～ あなたが歩んできた 人生という道には→ 彼との足跡が残っている。 それは　消えることはないわ 永遠に。 たとえ　今 あなたの隣に　彼がいなくても。 だけど　あなたは 一人になってしまったことで→ 新しい一歩を踏みとどまっている ずっと。 そんなの　彼が望んでいると思う？ あなたは　これからも 歩き続けなければいけない。 ゆっくりでもいい。 時々なら　振り返ってもいい。 でも　立ち止まらないこと。 生きているかぎり　前に向かって 進んでいくしかないんだから。 夢路じゃなくて　新しい恋路を。 精一杯　生きて 精一杯　恋をしなさいな。 私…　恋をしていいんですか？ あっ！ 雪です。 雪の果てね。 雪の果て？ そろそろ　暖かくなった頃の 降りじまいの雪のこと。 雪に閉じ込められていた思いは 春の訪れとともに解ける。 そして　春は　全てが 新しく生まれ変わる季節。 あなたもよ。 私も？ 差し上げるわ。 ありがとうございます。 ありがとうは　ありがたしという 言葉が変化したものなの。 存在するのが難しい。　つまり めったにないという意味なのよ。 めったにないこと？　奇跡ですね。 そうかもしれないわね。 今　私の周りには　たくさんの ありがとうで　あふれています。 今日　ここに来たこと　この出会い 私に下さった言葉にも→ 全部　ありがとう。 探していたものが見つかりました。 忘れられない恋に 別れを告げるための言葉。 どんな言葉ですか？ ありがとう。 ♪♪～ あっ！ もう　やんじゃった。 じゃあ…　さようなら。 ごきげんよう。 ♪♪～ ありがとう。 ♪♪～ 彼女の恋人って 亡くなられていたんですね。 （鈴の音） ♪♪～ ＜言霊という言葉があります。 かつて　言葉には→ 神秘的な霊力があると 信じられていました。→ 美しい言葉を 心にとどめておくだけでなく→ 実際に　声に出したり 紙に書き起こすことで→ あなた自身も 美しく変わるかもしれません＞ ホントに行っちゃうんですね。 ＜恋する日本語を口にすれば あなた自身も恋をする。→ そして　あなたの言の葉は 青々ともえ→ 更には　美しい花を 咲かせることでしょう＞ あの～　すいません ここ　何屋さんですか？ 古い言葉を扱っているのよ。 日本語というのはね 恋をすることで磨かれた→ 恋をするために 生まれてきた言葉なの。 へえ～。 そんな恋心を→ 美しく彩る日本語を たくさんの人に伝えたい。 そう思って 恋する日本語を集め回って→ このお店に置いているのよ。 せっかく来ていただいて 申し訳ないんですけど→ 今から 仕入れの旅に出られるんです。 ごめんなさいね。 でも　あなたにピッタリの→ 恋する日本語を見つけてくるわ。 では　その時まで　ごきげんよう。 ♪♪～ ＜「鶴瓶の家族に乾杯」。→ ゲストは　歌手の前川　清さん。→ 今回の旅の舞台を選んだのは 何と　鶴瓶さん。→ だんじり祭で有名な 大阪府　岸和田市を 訪ねました。→ ところが…＞

慰謝料弁護士＃05

1 ♪～(クラシック音楽) (袴田)あっ～｡ ♪～(クラシック音楽) ♪～(クラシック音楽) (里奈)は～はぁ～｡ 暇だな～｡ ♪～(クラシック音楽) (電話のベル) ♪～(クラシック音楽) どうしてこんな事が…｡ (電話のベル) (里奈) はい 袴田法律事務所です｡ (電話のベル) あっ はい 少々 お待ち下さい｡ (電話のベル) はい 袴田法律事務所です｡ (電話のベル) (電話のベル) 先生 大変です！ あぁ 篠塚さん➡ パンが焼けました｡ クロワッサンです！ 優雅にクロワッサンなんて 焼いてる場合じゃないんですよ｡ 大ピンチなんです！ えっ!? 一体 何なんですか？ えっ!? (里奈) 行列のできない法律相談所に 行列ができちゃってるんです！ まさか 私のパンの匂いに誘われて｡ そんな訳ないでしょ！ 依頼人ですよ｡➡ さっきから依頼の電話も 鳴りっぱなしなんですよ！ そんな訳ないでしょう｡ ウチに こんなに大勢の依頼人が 来るはずありません｡ (芳江)ちょっと すいません 通りま～す｡ あっ ごめんなさい ごめんなさい うわ～すごい行列！ 早速 効果が現れたみたいね 香苗ちゃん！ (香苗)そ そうみたいですね｡ すいません 大家なんです｡ 芳江さん どういうことですか？ ちょっと まぁ 入って 入って 入って！ はいはい これを見てちょうだい｡ これは 今日発売の『月刊マンデー』！ (里奈) あぁ～香苗さんが連載してる 月刊誌のことですよね？ 香苗ちゃんの漫画 結構 評判いいみたいでね｡ ちょっと 便乗さしてもらっちゃったの｡ ここ！ ｢離婚、慰謝料なら 袴田法律事務所へ｣｡ ♬～ それで こんなに…｡ 思った以上の 宣伝効果だったわね～｡ 先生 バンバン相談聞いて➡ ジャンジャン慰謝料 稼いでちょうだいよ～！ あ 広告料は 後で請求致しますから～｡ そんな 勝手に…｡ お待たせ致しました～！ 最初にいらした方は？ (雅代)私です！ どうぞ 中にお入り下さ～い！ (雅代)失礼致します｡ あっ 皆さんは もう少々 お待ち下さい｡ すいませ～ん｡ ≪あぁ～ん≫ 弁護士の袴田と申します｡ 大塚雅代です｡ 主婦をしております｡ 今回は どのようなご相談で｡ あぁっ あぁ～！ 大丈夫ですか？ すみません…｡ 私…どうしても 主人が許せないんです｡ ああ 落ち着いて 詳しいお話 お聞かせ下さい｡ 主人が…｡ 浮気をしているんです｡ 浮気ですね｡ はい…｡ 皆さん お待ちの間に こちらをどうぞ｡ (孝之)これは？ 袴田先生の手作りパンです｡ (孝之)ああ いただきます！ ≪あぁ～いただきます～≫ うっ…ま…｡ (千春)ずい…｡ すいません 水 もらえますか？ 私も！ 俺にも下さい！ はい すぐにお持ちしま～す｡ 最近は 帰りも遅くて➡ 夜７時を過ぎることもあります｡ ７時というのは 遅いんですか？ 主人は 役所勤めの公務員です｡ 必ず５時半には仕事が終わり➡ まっすぐ帰れば６時半には 家に着いているはずなんです｡ それなのに７時ですよ！ 空白の時間が３０分もあります｡ ３０分…ですか｡ はい｡ (里奈)失礼します｡ あぁ… ありがとうございます｡ 主人には 日頃から その日の予定 行き先を➡ 逐一 報告するように 言ってありますし➡ 携帯電話の中身も 必ず毎晩 チェックしています｡ カバンの中にはＧＰＳを付けて➡ 行動は すべて把握しております｡ ものすごい束縛｡ これぐらい 当然です｡ 最近 ハマっている 海外ドラマを参考にしました｡ 『鋼鉄の女スパイ マリリン』｡ [TV](ﾏﾘﾘﾝ) Ｘ司令官… 素敵なﾐｯｼｮﾝをありがとう｡ 流行ってるの？それ｡ その結果➡ 主人が陶芸教室に 通い始めたことがわかりました｡ その時点で怪しいですよね？ だから私 その陶芸教室に行って➡ 外から主人を 監視していたんです｡ そしたら 案の定…チッ｡ 講師の方は女性でした｡ しかも 講義中にも関わらず➡ 女性講師の手と主人の手が 何度も触れ合っていて｡ それって 陶芸を教えてただけじゃ…｡ 陶芸を教えるだけで➡ 手が触れ合う必要なんて ありますか!? それは あると思いますけど｡ とにかく 私は主人が許せないんです！ 慰謝料…たっぷり 取って頂けますよね？ えっと…浮気というのは➡ その手が 触れたということですか？ ええ…そうですけど｡ 大塚さん 異性と 手が触れたということだけでは➡ 慰謝料を取ることは できないんですよ｡ え？ 離婚事由である 不貞行為くらいないと➡ なかなか 慰謝料は認められないんです｡ ああ…不貞行為というのは➡ 具体的に どういったことですか？ 分かりやすく言うと セックスですよ｡ セセセ…セックス!? あっあっ…大塚さん？ 大塚さん？ そこまで行ったら死刑でしょ｡ そもそも セックスだけが 不貞行為だなんて➡ 誰が決めたんですか？ 私にとっては➡ 異性の手を触ることも 不貞にあたります｡ 法律で そう定められているんです｡ とにかく 今の話だけでは➡ 慰謝料を取るのは難しいかと｡ そんなの話が違います｡ 話というのは？ この漫画のモデル➡ 先生なんですよね？ ここに書かれていることは ウソなんですか!? ｢私に取れない慰謝料は ありません！｣｡ なんじゃこりゃ！ 水…水！ (孝之) これ 何の嫌がらせですか？ 先生なりの 好意だったんですけど｡ 香苗さん ちょっと来て下さい｡ あっ はい｡ どういうことですか？これ｡ あっ これは 主人公の決め台詞です｡ 私は こんな事を言った覚えは ありません｡ いや 実は…この前｡ [ 回想 ] (美里)２月号の 読者投票の順位が出ました｡ ９位です｡ あっ すごい！ ベスト１０入りですね｡ 喜ぶ順位じゃありませんよ｡ １１作品中の ９位なので｡ あっ そうなんですか｡ このまま低空飛行が続くと➡ 打ち切りの話が出る可能性も｡ 打ち切り!? 内容的には 読者の評判もいいんです｡ ただ 主人公が 地味だという意見が結構あって➡ もっと 読者を惹きつける 魅力があるといいと思うんです｡ 魅力…ですか？ 主人公に カッコイイ 決め台詞を言わせるとか｡ 決め台詞 例えば？ 同情するなら 慰謝料くれ！とか｡ どっかで 聞いたような気がしますけど｡ あ じゃあ➡ 僕は死にません！ あなたから慰謝料を取るまでは！ どんな状況なんですか｡ 慰謝料 全額返しだ！ 返しちゃダメでしょ｡ (沙羅)全然 違いますね｡ (美里)えっ？ 私に取れない慰謝料は ありません！ 主人公の決め台詞だったら これ以外あり得ません｡ これで人気急上昇 間違いナシです｡ [ 現在 ] 店員さんの意見を そのまま採用しちゃったんですか｡ でも その店員さん 霊感のようなものが➡ あるような ないような人なんです｡ そんな人… 怪しさしかないでしょ｡ でも このセリフ なかなか良くないですか？ 良くないです｡ 私に取れない慰謝料は ありませんなんて➡ 弁護士は結果を保証しては いけないんです｡ このせいで あんな依頼が…｡ (雅代)どうなんですか!? 慰謝料 取って頂けるんですよね？ やはり お話を聞いた限りでは 難しいかと｡ ということは これは…｡ 虚偽広告という事になりますね｡ えっ!? しかるべき団体に連絡して➡ しかるべき処置を 取って頂きます｡ あ あと この漫画を発行している 出版社にも連絡させて頂きます！ あっ いやいやいや… ちょっと待って下さい！ 何ですか!? 先生なら出来ます！ えぇ!? えっ？ 袴田先生は慰謝料請求の➡ プロフェッショナルです｡ どんな案件でも必ず➡ ご満足頂ける結果を お出しできる方です｡ やっぱりそうなのよね！ ご安心を｡ ちょっといいですか だから 結果を保証してはいけないって｡ 先生 お願いします｡ 連載が始まったばかりの 大事な時期なんです｡ 変なクレームがついたら すぐ打ち切りになってしまいます｡ いや…そんなこと言われても｡ 最悪 慰謝料が取れなかったとしても➡ 何とか依頼人の方に 納得してもらえるように➡ 話をまとめてもらえませんか？ いや でも 無理なものは無理ですから｡ 私 先月分の お給料➡ まだ 頂いてません｡ えっ…｡ 私も…｡ しかるべき団体に相談して➡ しかるべき処置を 取ってもらってもいいんですよ｡ さあ どうぞこちらへ｡ほら先生も｡ 先生いきますよ｡ どうぞ どうぞ こちらお座りください｡ (千春) あの～ いつになったらお話 聞いていただけるんでしょうか？ ごめんなさい｡もう少し お時間かかりそうなんです｡ こんな まずいパン食べに 来たわけじゃないんですけど｡ もう他の所 探そうかな～｡ ちょっと待って～！ 今すぐ ご案内いたしますよ！ え？まだお話の時間かかりますよ｡ 他に行かれたら 広告料がパーでしょ｡ とりあえず 私たちで 話を聞いてあげればいいのよ｡ そんな無茶な…｡ 最終的な判断は 袴田先生が下せばいいんだから｡ 私だって 数々の離婚案件を この目で見てきたの｡ だからって｡ 香苗ちゃんだって 離婚経験あんだから｡ その経験を活かして 話を聞いてあげればいいのよ｡ 次にお待ちの方はこちらへ｡ (節子)あ…はい｡ まず こちらへどうぞ～｡ すいません もうしばらく お待ちくださ～い｡ (孝之)俺 浮気されてるんです｡ だから 慰謝料が欲しくて｡ 浮気というのは いつ頃からですか？ ２か月前ぐらいに 友達が街で 見かけて教えてくれたんです｡ 亜矢が知らない男と ｲﾁｬｲﾁｬしながら歩いてるって｡ あ ２か月くらい前からですね｡ それだけじゃないんですよ！ 他の友達からも 目撃情報があって➡ 特徴聞いたら またそれが違う男らしくて｡ ２股どころか ３股４股かけてる かもしれないんです あいつ｡ あ…｡ちなみに離婚は されるおつもりなんですか？ 離婚？いや…ってか俺達 結婚なんかしてないんですけど｡ え？ ていうか 俺まだ高校生だし｡ 高校生!? その亜矢さんっていう方は？ 彼女です｡付き合って もうすぐ１年になります｡ あ～ 彼女ですか…｡ 先生 依頼人の方を お連れしました｡ はいはい どうぞ そちらにおかけください｡ いいんですか？ 先生なんて言っちゃって｡ こう見えて私 友達の子供の 家庭教師やったことあんの｡ 先生というのは 嘘じゃないでしょ｡ で ご相談というのは？ 主人が浮気をしてるようなんです｡ なるほど｡ちなみに ご主人のご職業は？ 高校教師をしています｡ という事は 禁断の生徒と 教師の恋愛パターンですね？ いや あの…お相手は 生徒ではないんです｡ 何だ つまんない｡ つまんない？ いえ 失礼しました｡ で 浮気相手というのは？ 写真があります｡ ２週間ほど前に 偶然街で 主人を見かけたんです｡➡ 通学路とは 離れた場所だったので➡ 気になって ついて行ってみたら…こちらに｡ 相手の方が 写ってないみたいですけど｡ お相手は…ここです｡ ん？ 主人は 風俗にはまってるんです！ 風俗？ いつまで待たせるんだよ｡ 帰ろう｡ ≪まっずいパンだったしな≫ ≪ホントにまずかったパン｡ 何時間 待たせんだよ！≫ 主人は 会社帰りに よく花を買ってきてくれます｡ それは素敵な ご主人じゃないですか｡ どこがですか！ 若くてかわいい店員目当てですよ｡ 一度 主人が花を買っている所を 目撃した事があります｡ デレデレと鼻の下を伸ばして 花を選んでもらってました｡ その間 私が確認しただけでも７回 その子と目が合っていたんですよ｡ うっ…これだって 浮気に発展する可能性大ですよね｡ あ いや さすがにそれは…｡ その日 主人が買ってきた花を 調べてみたら➡ 花言葉が｢嫉妬｣だったんです｡ これは 挑戦状です｡ あの店員が私と主人との関係を➡ 嫉妬しているというメッセージを 送りつけてきたんですよ｡ 花言葉っていうのは ひとつの花に いくつも種類がありますし…｡ あ あとそうだ！ この前 主人の鞄を調べてみたら➡ 手錠とアイマスクが 出てきたんです｡ 主人は ＳＭの世界にまで 足を 踏み入れようとしているんです｡ ほっほっほっ…｡ あの先生…｡ ちょっとお聞きしたいことが…｡ こっちも助けてほしいんですけど｡ あ 少々 お待ちいただけますか？ こちらに｡ はい｡ (里奈)先生の方 まだ終わんないんですか？ あ…まだまだかかりそうですね｡ どうしてですか？ 依頼人の方々を待たせるのも 限界だったので➡ 私たちが代わりに お話を聞いてたんです｡ 勝手な事はやめてください！ 弁護士でもないのに 法律相談を受けるのは➡ 非弁行為といって 警察に捕まりかねませんよ｡ え～！そうなんですか？ 先生のために依頼人の話を つなぎとめてたわけじゃない！ 交際中のカップルでも 慰謝料って取れるんですか？ 風俗通いも浮気に入る訳？ 慰謝料 取れるの？ どちらとも取れないとは 言いきれませんが…｡ 難しいんですか？ お金にならないとか？ ええ？ お金にならないの？ なんだ 一生懸命 話聞いちゃった｡ バカみたい｡ 私 帰るわね！ (くるみ)すごい 大繁盛だそうね｡ これなら私にも調査依頼が 転がり込んでくる可能性が…｡ 残念ながら あなたの出番はなさそうね｡ え…｡ はぁ お腹すいた～！ あの…｡ (雅代)先生！先生～!! あ どうされました？ えっ 皆さん どうしてこちらへ？ 同じ傷を持つもの同士 話を伺っていたんです｡ そんな勝手に…｡ みなさんご苦労されているようで｡ でも 大丈夫よ！ この先生に任せておけば たんまり慰謝料もらってくれるわ｡ ですから 結果を約束する事は できないんですって｡ 私に取れない 慰謝料はありません！ 私に取れない 慰謝料はありません！ 私に取れない 慰謝料はありません！ (雅代･孝之･千春) 先生 お願いします！ 頑張りましょう 先生｡ では 皆さんにお聞きします｡ お相手の方が憎いですか？ 憎い？ええ まぁ…｡ もちろん 憎いですよ｡ 憎いです！ という事は 徹底的に叩きのめす 覚悟がおありなんですね？ おありなんですね？ はい…｡ おありなんですね？ あります｡ お願いします！ 皆さんの覚悟はわかりました｡ 憎きその相手を 地獄に叩き落してやりましょう!! 梅本さん 出番です！ え？ 彼女はフリーの調査員です｡ 皆さんのお相手の身辺調査を お願いしようと思います｡ あの それって 調査費がかかるんじゃ…｡ 慰謝料を勝ち取るためには 必要なことです｡ 大丈夫 調査費は私のおごりです｡ 梅本さん 今すぐ浮気の証拠を ガッチリ掴んできてください｡ 今すぐですか？ できませんか？ [TV](ﾏﾘﾘﾝ) 何言ってるの？ 私に掴めない証拠なんてないわ｡ マリリンの言う通り｡ 私に掴めない証拠なんて ありません｡ マリリン…｡ ♬～ どうやら女スパイには やすらぎ という文字がないみたいね｡ まずは 旦那さんとの関係が 疑わしい女性を➡ できる限り あげて頂けますか？ わかりました｡ 先生 これにはどういう意味が？ 今回のケースだと 特定の相手との 不貞行為を立証するのは困難です｡ なので 相手の数で 勝負しようと思います｡ もし 裁判になった場合でも この証拠が生きてくると思います｡ 裁判になる可能性も あるんですか？ ご主人の出方次第ですね｡ まあ 裁判になったとしても 問題はありません｡ 人々の目の前で ご主人を叩きのめすだけです！ わかりました！ パッと思い出せるだけでは これくらいですね｡ バスで隣に座った子連れ女性？ はい｡あの 子供を可愛がるふりをして➡ そのお母さんに 近づこうとしていたんですよ｡ それって通りすがりレベルじゃ…｡ 十分でしょう｡ え？ ちなみに今 ご主人は何をされていますか？ はい｡え～っと え～っと ううん！ あっ 今日は半休なので 午後から休みです｡ それは ちょうどいいですね｡ 今日は自由に 過ごしてもらいましょう｡ (雅代)え？どうしてですか？ 解き放たれた旦那さんが➡ どういう行動を取るか 楽しみじゃないですか｡ 単に付き合っている 関係というのは➡ 法律的に保護の対象には ならないんです｡ え？じゃあ 慰謝料 取れないって事ですか？ 最後まで聞いてください｡ 交際中の相手でも 将来 結婚の約束があった場合➡ 婚約不履行に基づく 慰謝料請求が可能です｡ ちなみに ２人の間で 結婚する予定はあったんですか？ いや 俺まだ高校通ってるんで｡ えっ？ そう 高校生なんです｡ あなたの年齢は？ １８です｡ 相手の女性は？ １９です｡ 今は専門学校に通ってます｡ だったら結婚できる年齢ですね｡ 問題ないでしょう｡ ２人の間で 結婚の話が 出たことはありましたか？ 結婚の話ですか…｡ 一緒に式場を見に行ったりとか 会話の中で➡ 将来結婚の約束をしたりとか｡ う～ん…｡ あ でも向こうは 早く結婚したがってました｡ メールでも そういうやり取りはした気が｡ これです｡ これだと 弱いかもしれませんねぇ｡ 向こうからの 一方的な内容ですし｡ そうですか…｡ あ だったら俺の方から プロポーズしてみるとか｡ まあ…それも １つの手ではありますね｡ 返答次第では 立派な証拠になりますから｡ でも それってちょっと 卑怯なんじゃ…｡ 地獄に叩き落したい 相手なんですよね？ 手段を選ぶ必要は ないと思いますけど｡ はい…｡ 風俗通いは 離婚の原因となる不貞行為や➡ 婚姻を継続しがたい 重大な事由に 該当する可能性があります｡ そうなんですね｡ ちなみに 最近 ご主人と セックスされたのはいつですか？ 先生！ なんてこと聞くんですか｡ 風俗通いを始めた結果➡ セックスレスになるのは よくある話です｡ 風俗という不貞行為に加え セックスレスも証明できれば➡ さらに 慰謝料アップに繋がります｡ いつですか？ おとといです…｡ えっ 結構 最近…｡ 今でも週に２回は…｡ お盛ん…ですね｡ だったら もっと具体的に 思い出してみて下さい｡ 風俗通いを始めてから プレイが雑になったとか➡ 勃ちが悪くなったとか｡ 小さな変化でも構いませんから｡ どうしたんですか？先生 急にやる気出して｡ あんなに嫌そうだったのに｡ 皆さんの覚悟が よくわかったので➡ それに従って 行動しているだけです｡ (節子)あ…｡ (携帯の着信音) もしもし？袴田です｡ (くるみ) 梅本です｡現在 花屋店員との 浮気疑惑のある➡ 大塚雅代さんの主人 徹さんを尾行中です｡ [TEL]浮気の証拠は 押さえられましたか？ いえ それはまだ…｡ [TEL]さすがに３人同時に調べるのは 難しかったですか｡ いいえ マリリンは シーズン６ 第２話で➡ １８人の身辺調査を 同時に行っています｡ それに比べたら 余裕です｡ よろしくお願いします｡ ただ いくつか気になる情報が 手に入ってまして➡ それはメールで送りました｡ 引き続き 調査を続けたいと思います｡ 主人の様子はどうですか？ ＧＰＳの位置が 動きまくってるんですけど｡ 思う存分 自由を満喫している様子です｡ 後ほど 証拠をどっさり お持ちできるはずです｡ そうですか｡ 先生！ 言われた通りに プロポーズしてみました｡ 断られました｡ 落ち込む必要はありませんよ｡ あなたの方から 結婚の意志が示せれば➡ 問題ありませんから｡ わかりました｡ 先生！主人のこと 何かわかりましたでしょうか？ ご安心下さい｡優秀な調査員が 現在 調査中です｡ まもなく 証拠を 手に入れられると思います｡ そうですか｡ ♬～ もしかして ご依頼の方ですか？ ええ｡ いつからお待ちでした？ 朝の８時半から｡ 申し訳ありません｡ すぐお話を｡ あ いえ 他の皆さんが 終わってからで結構です｡ 私の話は 大したことないので…｡ いえ 今は先生は パンをこねているだけなので｡ どうぞ｡ どうぞ どうぞ｡ 先生 もう１人ご依頼の方が｡ えっ｡ 朝イチからお待ちだった みたいなので｡ よろしくお願い致します｡ あ わかりました！どうぞ｡ こちらへ どうぞ｡ 失礼します｡ 主人とは 結婚して１５年になります｡ 互いの両親の薦めで 見合いをして結婚しました｡ 皆さん！ 盗み聞きはやめて下さい｡ 弁護士には守秘義務 というものがあるんですよ｡ まあまあ そう固いこと言わないで｡ 芳江さん｡ いつ戻ってきたんですか？ ダメですよぉ｡ ゴシップを聞くのは 私の生きがいなの｡ それまで奪ったら 私 死んじゃうわよ！ 浮気相手は 主人の大学時代からの友人です｡ 主人の紹介で 私も何度か お会いしたことがあります｡ ちなみに ご主人の不倫は いつ頃からですか？ おそらく…➡ 結婚前からです｡ えっ…｡ 相手の方とは 私と出会う前から交際していて➡ 結婚後も その関係が 続いているようで…｡ １５年も不倫関係って…｡ これは なかなかのケースよ｡ 慰謝料 1000万円超えも あるかも｡ すごい！ 1000万か…｡ 密会の回数は 月に１～２回くらいでしょうか｡ 向こうの方にも ご主人がいるので｡ しかもＷ不倫…｡ これはでかい魚よ｡ 逃がしちゃダメよ 先生！ いい加減にして下さい｡もう｡ と言いつつ あなた この手がすっごい弱いわよ｡ ホントは聞きたいんでしょ？ ほら｡ 慰謝料は おいくらぐらいを ご希望ですか？ 慰謝料は…｡ いりません｡ 離婚はされる おつもりなんですよね？ いえ… 離婚するつもりもありません｡ 笑われるかもしれませんが➡ それでも私は… 主人を愛しているんです｡ 主人は優しい人です｡ 夕食の時には 毎日たくさん話をしてくれます｡➡ 旅行にも いっぱい 連れて行ってくれますし➡ 楽しい思い出が たくさんあるんです｡➡ 主人と別れるということは その全てを捨てること｡ 忌まわしい思い出に してしまうこと｡ それだけは… 絶対に嫌なんです｡ では…熊谷さんのご希望は？ 私の希望は…｡ 主人に浮気相手の方と 別れてもらいたい｡ それだけです｡ わかりました｡ 数日以内に 浮気相手の方に 通知書をお送りしておきます｡ 本来ならば 不倫に基づく 慰謝料を請求するところですが➡ 不倫関係を解消するのであれば 慰謝料までは求めない｡ という内容を 記載しておきました｡ 向こうも結婚されているので 守るべき家庭があるはずです｡ きっとすぐに 承諾をいただけると思います｡ 先生 色々と ありがとうございました｡ お礼なら 全てがうまくいった時に｡ ただ 本当に 慰謝料はいらないんですか？ ええ｡ わかりました｡ ♬～ 皆さん！お待たせしました｡ 憎き相手から➡ ガッツリ慰謝料をもらう準備が 整いましたよ｡ 今後の作戦を 話していきましょう｡ どなたから行きます？ あ ああ…お先にどうぞ｡ いや 俺は後で…｡ あ 一番最初に来た 大塚さんから…｡ わかりました｡では こちらへ｡ あ…いや…｡ どうしたんですか？皆さん｡ あ…あの私…｡ もう少し 考えてみます｡ え？ ああ 俺も そうしたいかな…なんて｡ 私も…｡ どうしてですか？ もう証拠だって バッチリ集まっているんですよ？ これは大塚さんの ご主人の写真です｡ 束縛が解かれた途端➡ かなり自由に 動き回っている様子でした｡ お花屋さん 陶芸教室…｡ やはりどの店舗にも 可愛い女性店員がいました｡ 調査員が それぞれの女性に 話を聞いたところ➡ 旦那さんの口実が また嘘くさいんですよ｡ 雅代さん 確か もうすぐ結婚されて➡ １０周年だそうですね｡ そのために雅代さんへの プレゼントを内緒で用意したい➡ なんて言ってたらしいです｡ 花屋では自分で 花を選んで花束を作って➡ 陶芸教室では オリジナル夫婦茶碗を作って➡ あと 例の手錠とアイマスクは➡ 記念日サプライズの手品の為に 用意していたらしいです｡ 日頃から自分を見守って くれている お返しにしたいって｡ でもよくあるんですよ こういう手口｡ 自分にはちゃんと妻がいるから➡ 愛人になってほしいという アピールです｡ ホントに悪知恵の働く 旦那さんですね｡ ♬～ 次は大山さんですね｡ ♬～ 調査員から こんな写真が届きました｡ えっ？ 産婦人科？ 亜矢さんのお腹には お子さんがいるらしいです｡ えっ!? 調査によると妊娠三か月➡ まっ 誰の子か わかったもんじゃありませんがね｡ しかも出産はするみたいです｡ その資金を稼ぐために キャバクラで働き始めたそうです｡ なかなか筋がいいみたいで➡ 結構お客さんから たくさん指名を受け➡ 同伴出勤も しょっちゅうしていたようですよ｡ 同伴…｡ これではっきりしましたね➡ もともと彼女は本気で あなたと結婚したがっていた｡ 婚約不履行を 証明しやすくなりましたよ｡ そして沢田さんの 旦那さんですが➡ 今日も学校終わりで 一目散に お店に向かったそうですよ｡ きれいに撮れてるでしょう｡ これだけで 不貞行為の証拠になります｡ ただ１つだけ お伝えしておきますが➡ ご主人が入っていったお店は➡ ３階の風俗店ではなく➡ こちらの４階の➡ ゲイの方達が 接客してくれる お店だそうです｡ えっ？ そうだったんだ｡ しかも お店に確認したところ➡ 旦那さんが指名していたのは➡ 元教え子の男子らしいです｡ お店に来ても楽しむ様子はなく➡ ずっと彼に対して➡ 説得の様なものを していたと聞きました｡ 就職先を 紹介したがってるみたいで➡ お店の人も 困っている様子でしたよ｡ まっ どういう理由で 入店したにせよ➡ この写真があれば 証拠としては十分です｡ さあ どなたから お話進めていきます？ 私 今日は帰ります｡ どうしてですか？ 今日は 結婚１０周年の日なんです｡ 私もプレゼント用意しないと｡ いや…➡ 旦那さんからのプレゼントなんて ないかもしれませんよ？ 全部 女性店員に 会うための口実なんですから｡ あの人は そんな人じゃありません！ あっ… すみません｡ そうですか｡ 俺も 彼女に謝らないと｡ どうしてですか 謝るのは向こうの方でしょ？ お腹の子は俺の子です｡ いやいや そんなの わかったもんじゃありませんよ｡ だって何股もかけている 彼女だったんでしょ？ 亜矢はそんな奴じゃない！ 全部俺のせいなんです｡ 俺が情けないから…｡ 俺が結婚してやるって 言ってあげてれば➡ キャバクラで 働かなくたってすんだんです｡ だから 俺…➡ 彼女にもう一度 プロポーズしてきます｡ もちろん これから ちゃんと仕事も探します｡ ♬～ そうですか…｡ 私も帰ります｡ どうしてですか？ そのお店で働く男子生徒は➡ 在学中から とても優秀で➡ 主人も目をかけてきた子でした｡ 主人は その子のために➡ 性の問題を解決して➡ 一般の企業で働いていける道を➡ 探してあげてたんだと思います｡ いやいや実はそういう趣味を➡ お持ちだっただけ なんじゃないですか？ それはありません！ 主人は今でも 私をちゃんと➡ 抱いてくれてるって 言ったじゃないですか｡ さっきは一昨日と言いましたが➡ 実は昨日の晩も…｡ ♬～ そういう悩みが あったからでしょう｡ いつもより激しく 私を求めてくれていました｡ ♬～ そうですか…｡ 大変差し出がましい事を 言いますが➡ 皆さん愚かですね｡ 担当弁護士は この私ですよ｡ 私に取れない 慰謝料はありません｡ ♬～ 皆さんには お金よりも➡ 取り戻したいものがある っていうんですか？ はい｡ はい！ あります｡ わかりました➡ だったらしょうがありませんね｡ ♬～ ただいま戻りました～｡ 梅本さんお疲れ様でした｡ お疲れ様です｡ ほんと大変だったわよ～｡ あっ そうだ先生 あの後➡ ずっとターゲットに 張り付いてたら➡ こんな写真が撮れました｡ ♬～ ♬～ 先生は最初から こうなることを わかってたんですか？ そんな訳ないでしょう｡ 私はただ 事実を 皆さんに伝えただけです｡ その事実を受けて どういう決断をするかは➡ 依頼人の皆さん次第ですから｡ (くるみ)ウッフフ… カッコつける前に➡ 調査費の支払い お願いします｡ えっ…｡ 先生のおごりなんですよね？ あっ それは ちょっと待ってもらえます｡ (くるみ)何でですか？ あんなに依頼人の方が➡ 来てたら大儲けのはずですが？ あっ 結局今日の依頼は➡ ほとんど お金になっていないので｡ うち相談だけは➡ タダですもんね｡ こっちがどんだけ苦労してるか わかってるんですか！ いや 後日必ず お支払いしますから｡ よう！漫画雑誌の 広告費の請求書➡ こっちもよろしく！ あっ いや…｡ ♬～ ご主人の浮気相手の方から➡ 正式な返答を頂きました｡ 通知書の内容通り➡ ご主人との不倫関係は 解消して頂けるそうです｡ 先生本当に 申し訳ありませんでした｡ どうして謝られるんですか？ いえ 本来なら 別れさせて欲しいなんて依頼➡ 弁護士さんに お願いするものじゃないですよね｡ まっ 珍しいケースでは ありますが➡ ご協力できる事は たくさんありますから｡ 私こういう事に関して疎くて…｡ 他の弁護士さんにもお願いしたら 断られたこともあったんです｡ こんな無理な依頼を 引き受けて下さって➡ ほんとに感謝しています｡ 気にしないで下さい 本当に困っている方の依頼は➡ 断りたくないんです｡ ♬～ (美里)あれ？例の決め台詞 やめちゃったんですか？ ｢私に取れない 慰謝料はありません｣って｡ ええ 主人公の決め台詞は こっちにします｡ えっ？ ｢本当に困ってる方の 依頼は断りたくないんです｣｡ この主人公には この台詞の方が 合ってると思うんです｡ 私もいいと思います｡ え？ この主人公の決め台詞は➡ これ以外ありえません｡ ♬～ 言う事コロコロ変わりますよね｡ ♬～

ハロー張りネズミ＃05

1 こちらを差し上げます 吉田農場のﾀﾏﾈｷﾞと 佐藤水産の｢手まり筋子｣を 差し上げますお持ち帰りください さて そろそろお時間のようです 今夜はこの辺で失礼します ご機嫌よう さようなら (五郎)あッ あッ ううッ うッ うッ うわッ はッ ああ～！ うわ～ うわあ～！ 何じゃ また！ あッ うわッ… あッ もう 手 手 ヤダ (あくび) ああ イッテエ (河合)あッ おはよう おはようございますって 朝飯 作ってるんですか 冷蔵庫のもの 勝手に使っちゃった このエプロンも へえ～ 何か普通っぽいっすね えッ 何それ いや その～ 霊能者っていうか 河合さんも 普段は こんな感じなんだなって そりゃそうでしょう 普通に生活もするし 恋愛だってしますよ うんッ できた 食べましょ うんッ うん うまいっす 誰にでも 作れるようなものだけどね いや でも このおにぎりは 絶妙な握り具合で すんげえ うまいっす 簡単だなあ 探偵さん えッ？ 男をゲットするには 三つの袋って言うでしょ 何すか それ まずは お袋のような料理で胃袋をつかむ お袋 胃袋 なるほど えッ あと一つは？ 金玉袋 熱ッ！ 熱ッ でしょ あの 聞いてもいいっすか うん？ 河合さんって 普通の人が持っていないような その 力っていうか 霊能力があるわけですよね うん どんな感じなんですか やっぱり 見えちゃったりするんですか？ 何が？ 幽霊が 怖くないっすか？ う～ん もう 慣れちゃったから どうだろう 特に何もしてないしね 幽霊が？ ただ その辺にいるだけだから 普通のは でも もっと怖いっていうか 嫌なのは 人の気持ちが見えちゃうことかな どういうこと？ 念っていうか 人に対する強い気持ちあるでしょ 好きとか嫌いとか そういうのも分かるんですか もっと強くなると 殺したいとか でも いっちばん気持ち悪いのは 性欲 えッ？ う～ッ この女とヤリてえとか それは男でも女でもあるけど へえ～ えッ？ 大丈夫 探偵さんの心は のぞきませんから いやいや 全然 別にそういうわけじゃ 全然… あの 心があれとか… じゃ あの部屋にいるのは 特殊なんですか？ う～ん いわゆる幽霊とは違うから ちょっと厄介かなあ へえ～ <前回 あかつか探偵事務所に 舞い込んだのは> <漫画家 北村ｱｷｺからの摩訶不思議な依頼> <一人娘の七恵ちゃんが おうちで 留守番している時に現れる> <もう一人のママの正体を 突き止めてくれというものだった> <早速 我々が 張り込み調査したところ> <信じられないことが 分かってしまった> <もう一人のママとは この家に すみついた化け物だった> <霊媒師･河合節子さんの 協力を得て> <化け物は北村家の床柱に 宿っていることが分かった> <河合さんの霊能力で 一旦 封じ込めたものの> <その結界は いつ破られるか分からない> <化け物の正体を突き止め> <退治しなければ 大変なことになってしまう> <というわけで ｢ママ､ 淋しかったの｣ 後編スタート> あれ どうなりました？ えッ？ 床柱を誰が どうやって この家に持ってきたか 今 うちのスタッフが動いてます そうですね あッ はいはいはい あの床柱は うちから 発注した建材ではないですね (木暮)では 誰が？ 誰が？ ちょっと待ってください➡ お客様が どこかから見つけて➡ 持ち込まれたみたいですね お客様っていうと 北村さんの当時のご主人ですかね 当時？ 離婚されたと聞いてますが いや うちは そこまでは 分からないですけど多分そうです その方が持ってきたんでしょうね へえ～ あッ あと 七恵ちゃんのことなんですけど 河合さん 言ってたじゃないですか あの子のこと 何だっけ？ ほら 昨日 最初 会った時 《だから ちょっと待っててね》 《(七恵)うんッ》 《探偵さん》 《はい？》 《ちょっと あの子 すごいですよ》 あれ どういう意味っすか？ う～ん まだ知らない方がいいかな 何でですか？ ちょっと早いかな でも俺も ちょっと 気になることがあるんですよね うん？ 何で北村さん 七恵ちゃんのこと 一人で留守番させてんのかなって 普通 ﾍﾞﾋﾞｰｼｯﾀｰとか雇うでしょ そこそこ稼いでるだろうし そうね 何でだろう ♬～なんでだろう？ なんでだろう？ ♬～なんでだ？ なんでだろう？ ♬～なんでだろう？ なんでだろう？ 前は頼んでたらしいんですけどね 《(北村)以前 ｼｯﾀｰさんを 頼んだことがあったんですが➡》 《七恵が どうしても なじまなくって》 なじまなかったのは 七恵ちゃんじゃないかもですよ えッ？ ええ 保育士になる前は シッターをやっていて あのお宅にも 何度か行ったことはありますけど (蘭子)七恵ちゃんが その… あまり心を開かなかったと 聞いていますが そうですね というか その… 本当は こういうこと 話しちゃいけないんですけど はい あの時 登録していた シッターの派遣会社から 私も含めて何人か あのお宅に行ったんですけど みんな ２～３回で 行きたくなくなるんです どうしてですか？ 怖いんです あの家 怖い？ はい 誰も入っていないのに お風呂のシャワーが出ていたり➡ ２階を歩き回る音がしたり➡ 確かに閉まっていたはずのドアが 開いていたり➡ 片付けておいたはずのキッチンに 包丁が散らばっていたり 何か こう あの家そのものが 何かを拒んでいるような うん で 何か分かったの？ やっぱ別れた旦那が 見つけてきたらしいよ あの柱 えッ 旦那って編集者だっけ？ ああ 何か今 独立して アウトドア系の雑誌 作ってんだけど えッ 山？ (園部)ええ 別れた時に慰謝料代わりに 嫁に あの家の名義を渡しましたけど 何か その １階の和室ですか そこに古い柱があるとか えッ あッ あれ見ました？ ああ いや 見てないです あれね 僕が見つけてきたんですよ へえ～ そうなんですか あの家 建てる時に 彼女と結構 意見が食い違って 僕は何ていうかな 新築なんだけど ヨーロッパの山小屋を オシャレにリノベーションした カフェみたいな感じ？ そうしたかったけど 僕が やりたいことは ことごとく却下されて 今考えたら あの頃から うまくいってなかったんですけど ああ で その柱というのは？ 僕 見てのとおり 仕事も趣味も アウトドアなんですけどね 当時 奥多摩と埼玉の 県境のあたりを山歩きしてる時に ≪(園部)人里離れた場所に 廃屋が売りに出てて ≪(園部)あの柱だけは鈍く 光ってるように見えてですね➡ 何か一目ぼれっていうか➡ どうしても 欲しくなっちゃったんですよ で 不動産屋にすぐに連絡して あの柱だけ譲ってもらったんです えッ よく そんなことしましたね えッ 何で？ いや 別に で その柱を ああ だから あの家の 和室に組み込んでもらいましたよ その廃屋の場所って覚えてます？ まあ 大体は 奥多摩かあ かなり山奥みたいですね 山奥かあ はッ なるほどね 何か分かったんですか？ うん？ いや この家の中にいる 霊っていうか 化け物の正体？ う～ん 魑魅かな すだま？ 魑魅魍魎って言葉があるでしょ 難しい漢字の 画数がいっぱいある で この｢魑魅｣の部分を 別の読み方で｢すだま｣と読むのね 分かりやすく説明すると➡ 山とか森とか木や石には それぞれ精霊がいる➡ でも たまに何かしらの影響で➡ 精霊が 邪悪な化け物になることがある➡ そうやって化け物に変化した 精霊のことを魑魅っていうの 何かしらの影響って？ それは分かんないけど とにかく早く その原因が分からないと また あの悪霊が暴れだしかねない うわ～ッ 急ぎます (牧野)はい… えッ 何で？ あの すいません ｢何で？｣って聞いてんの このトーン 何番ですか？ えっと 61… この服 62だよね はい すいません すぐ直します あのさ あなたさ 服好きなんでしょ➡ だから 仕事場にチャラチャラした 服着てくるんでしょ➡ それぐらい服好きなら 何で人の服 間違えてんのよ➡ 何のために 毎日 ﾁｬﾗﾁｬﾗしてんだって話よ➡ 何の役にも立ってないし ≪(牧野)直します ≪(北村)もういい… ここですね う～ん あれ 探偵さん ビビってます？ えッ？ ビビってるでしょ そりゃまあ もちろんビビってますよ でも 行かなきゃですよ 分かってますよ わあ～ッ うわ～！ って もう何なんすか ほら 行きますよ 何なんだよ (男性)ダメだよ 入っちゃ！ うわ～！ ここには誰も住んでねえよ あッ それは分かってるんですけど あの ちょっと用がありまして 用？ 何の用だ いや あの その ちょっと… あの 私達 夫婦でして 都会の生活に疲れたので そろそろ田舎暮らしを 始めようかなって思ってて ねッ そうなのかい？ ああ そうなんですよ 東京の暮らしは うんざりだなあ 空気の綺麗な田舎で暮らしたいな ここも一応 東京だけどな そうですよね で 色々調べていたら この家が 売りに出ていると聞いたので そりゃ もう何年も前の話だ ちっとも売れねえもんだから とっくの昔に不動産屋も手放して 今は このとおりだ へえ～ 何で売れなかったんですかね 売れるわけねえべよ こんなお化け屋敷 まあ 実際 化け物みたいな ばあさんが住んでたしな 化け物？ うん おっかねえババアでよ 何ていうんだ ほら 祈祷師っていうのか 祈祷師ですか うん 毎晩毎晩 気持ち悪い うめき声みたいなのと あとカーンカーンって 不気味な 音が よく聞こえてきてたよ だから この辺の者は 誰も近寄らなかったんだけど そのうち あれだよ 何すか 死んでたんだよ そのばあさん➡ 発見された時は ほとんど腐っていてな➡ ここいらの野良犬だの カラスだのに食われて➡ まあ ひどいありさまだったらしいわ えッ？ あッ 入っちゃ… はッ！ えッ？ 行きましょ あッ はい… うわ～！ もう何なんだよ もう ああ～ これだ 多分 ここが祈祷場で あの柱が こう立ってたはず ああ～ 何に使ってたんですかね わら人形を打ってたのよ➡ 誰かから依頼を受けた祈祷師が➡ ある人間に 呪いをかけて殺すための儀式➡ この時代に そんなのあるかって 思うでしょうけど➡ いるのよ 今でも➡ さっきのおじいさんが聞いた声は その呪いの言葉➡ カーンカーンっていう音は➡ 五寸釘を打ちつける音 《うえええ～！》 何人も何人も ここで呪いをかけていたのよ えッ じゃ あの柱の穴はその釘の跡？ 多分 あの柱には元々 精霊が住んでいたんだけど 祈祷師が呪いを込めた五寸釘を 何本も打ち込んでいるうちに➡ 悪霊に変化してしまった あの家が建てられた頃は 祈祷師の力で あの柱の中に 悪霊は封じ込められていたはず でも あることによって そのバリアが壊されてしまった あること？ 強い霊能力を持った 人間が現れたの あッ そう 七恵ちゃん えッ マジっすか だって まだあんな小さいのに？ だから言ったでしょ とんでもなく 強い力を持った子なの あの子は➡ 恐らく あの家ができた頃は まだ赤ん坊で➡ 何事もなかったはず➡ でも 七恵ちゃんが成長するにつれて➡ 少しずつ 霊能力が芽生えて➡ それに 反応した悪霊が目を覚ました それでも 母親がそばにいるうちは 悪霊も手を出せなかったはずよ でも最近 七恵ちゃんは あの家で 一人で留守番するようになった それを 見計らって悪霊が柱から出てきた じゃ 七恵ちゃんが見た北村さんって ≪(河合)悪霊が北村さんに化けて 七恵ちゃんに近づいたのよ 《あッ ママ お帰り》 《(魑魅)ただいま ななちゃん》 《ママ だっこして》 《フフフッ》 《オムレツ作ってよ》 《いいよ》 《やった！》 《かわいい顔にして》 じゃ あのオムレツも お絵描きも ≪(河合)悪霊が 北村さんに化けていたのね えッ 何の目的で？ 恐らく強力な力を持っている 七恵ちゃんを自分達の世界に 引き込もうとしている (七恵)ママ う～ん 何？ おうち帰りたい しばらく こっちに泊まるのよ ヤダ 我慢しなさい 嫌だ オムレツ作って！ うるさい もう！ ママ お仕事してるの分かるでしょ 静かにしてなさい！ ごめんなさいね 続けて 七恵 いい加減にしなさいよ (魑魅)七恵ちゃ～ん 七恵ちゃ～ん うんッ 七恵ちん どうした？ 一体 どうやったら あの化け物を追い払うことが？ 私一人の力じゃ足りないから 七恵ちゃんに協力してもらう でも まだ５歳ですよ そんなこと 何もしなくていい 私のそばにいてくれるだけで あッ 河合さん あれ うん？ ああ 探偵さん やっといて えッ？ 解くだけなら誰でもできるから マジっすか？ どうやって やるんでしたっけ？ ≪(河合)何でもいい ゲッツ！ ダメだよ 入っちゃ ≪(河合)はい 入りません 帰ります ≪(魑魅)取って～➡ 取って～ 取って 取って～ 七恵ちゃ～ん 取って～ 取って～ 七恵ちゃ～ん (魑魅)取って～ 取って～ 取って～ 七恵ちゃ～ん 取って～ あッ… えッ 誰？ 七恵ちゃんのお友達よ お友達？ だって 七恵ちゃん とっても淋しかったんでしょ 誰も遊んでくれないし➡ ママも構ってくれないし うん 淋しかった ママのこと 嫌いでしょ？ 七恵ちゃんを悲しませるママ おしおきしてあげる ぐわッ！ ≪(牧野)先生？ ぐあッ ああッ ああ～ッ！ 先生？ 先生 ああ～ッ キャッ ああッ 悪いママね ああ～ッ えッ？ ああ～ッ キャッ えッ？ うわッ 先生 先生 大丈夫ですか？ うえ～ッ ああ～ッ 先生？ 先生 うう～ うう～ うう～ッ 先生 先生 大丈夫ですか？ 先生 先生 えッ？ 七恵は？ 七恵ちゃん 一緒に遊びましょう どこで？ こっちに いらっしゃい 七恵はどこ？ えッ 七恵ちゃん？ どこなの？ えッ？ どこにいるの 七恵！ 探偵さん 急いでください えッ？ 思ったより早かったわね はい はい 今 家の前にいます はい とりあえず中に入ってみます はい 七恵ちゃんが仕事場から いなくなったみたいです やっぱりね さあ 始めますか 化け物退治を 何してんの？ えッ 俺 必要ですか？ 必要でしょうよ 何 ビビってんの？ いや 足手まといになるっていうか 俺 車で待ってる方が… 寒いんだから早くしてよ この下 何も着てないんだから！ そうなんすか 早く！ いやいや マジ怖いっすよ ホント うわ～ わあ～ッ 何なんすか！ うるさい！ ひッ… えッ？ うッ 寒ッ 何だ これ ヒートテック着て やるわけにはいかないわよね ホント最悪 えッ 七恵ちゃんの？ 悪霊の誘いに 乗ってしまったみたい じゃ 今どこに？ 恐らく この中にいるわ えッ どういうことっすか えッ？ 殺されちゃったんですか 悪霊に ううん 七恵ちゃんの力も強いから そこまでは できないはず ただ これで 七恵ちゃんの力を借りることは… うッ うわッ！ 来るわよ えッ!? いい？ 七恵ちゃんを救い出すことが先よ そうしないと悪霊と戦えない どうやって？ 私を後ろから支えてて えッ？ やれば分かるから！ はいッ 東方に降三世夜叉明王 南方に軍荼利夜叉明王 西方 大威徳夜叉明王 北方 金剛夜叉明王 中央に大日大聖不動明王 見我身者発菩提心➡ 聞我名者断悪修善 押さえてて！ はいッ 聴我説者得大智恵 知我心者即身成仏～ッ 聴我説者得大智恵 うわ～ッ 知我心者即身成仏～ッ ≪(七恵)ママ～ 来た～ッ ああ～ッ (七恵)ママ～ (七恵の泣き声) 探偵さん はいッ 引っ張り出して はいッ うッ うあああ～！ は 早く つかまえて！ ああああ～ッ ﾅｳﾏｸｻｰﾏﾝﾀﾞｰﾊﾞｰｻﾞﾗﾀﾞﾝ ｾﾝﾀﾞｰﾏｰｶﾛｼﾔﾅｰ ｿﾊﾀﾔｳﾝﾀﾗﾀｶﾝﾏﾝ… ぐうあ～ッ うわああ～ うわ～ッ ﾅｳﾏｸｻｰﾏﾝﾀﾞｰﾊﾞｰｻﾞﾗﾀﾞﾝ ｾﾝﾀﾞｰﾏｰ… うわ～ うう～ッ うッ うわ～ッ うッ うッ うわ～ッ イテッ 来るわよ はいッ うわ～ またかよ～！ 七恵ちゃんをくっつけて！ えッ!? くっつけて！ はい！ ﾅｳﾏｸｻｰﾏﾝﾀﾞｰﾊﾞｰｻﾞﾗﾀﾞﾝ ｾﾝﾀﾞｰﾏｰｶﾛｼﾔﾅｰ ｿﾊﾀﾔｳﾝﾀﾗﾀｶﾝﾏﾝ… (呪文を唱え続ける) うわ～！ 何だよ これ 七恵ちゃん ママ～！ 違うんだ ママじゃない！ うわッ うわッ 何じゃこりゃ～！ うわッ ナマクサマンダバザラダンカン ナマクサマンダバザラダンカン… ああ～ ナマクサマンダバザラダンカン (呪文を唱え続ける) ナマクサマンダバザラダンカン… ヤーッ！ うわ～ッ！ 七恵ちゃん 大丈夫？ 終わったわ ≪(北村)七恵？ 七恵ちゃん！ ママ？ 七恵！ ママッ (泣きだす七恵と北村) ごめんね ごめんね 七恵ちゃん ママ 淋しかった 淋しかったの (北村)もう離さない➡ 絶対に離さないわよ これからは ず～っとママがいるからね もう大丈夫っすかね 悪霊 葬ったの初めてだわ 疲れた うわ～ッ すげえな この人 (かほる)はあ～ ホントに あるんだね そういうことって ホントに こんな２～３ｍぐらい ある手がグワ～って やってきて そこで急にパンって顔に変わる グッて顔になって 河合さんが… (呪文を唱えるマネをする) て言ったら 化け物がバーンって はじけて パチパチって何か… なッ お化けだったろ だから言ったんだよ いいか 世の中には 常識とか科学では説明できない… 言ってねえだろ 小便漏らしてビビってただけ はッ？ 俺もちゃんと働いたろ 床柱のことだって調べた お前 小便 足元まで漏らして 臭えぞ ちゃんと洗ったのか それ言うか 今 臭えぞ お前 臭くないだろ ちゃんと洗ったの？ その悪霊は本当に もういないの？ うん 河合さんは 完全に葬ったから大丈夫だって これからも その家で暮らすんだ うん 北村さんは仕事場 解約して これからは家で漫画を描くって まあ 元々は 二人で暮らすには広い家だし 皆さん このページ ペン入れ 終わったら お弁当頼むよ～ え～ッ ダイエット中だけどさ そば食べていいかな そばなら いいでしょ 何かチラシとか あったでしょ よし ≪(牧野)頼んどきます は～い ななちゃん おいしい？ うん おいしい じゃ その悪霊が住んでいた部屋は？ それがさ… えッ 七恵ちゃんの部屋に？ マジで？ そんな怖い思いしたのに そうなんだよねえ でも七恵ちゃんが どうしても そうしたいって言ったらしいんだ でも これから どうなるんだろう 七恵ちゃん うん？ 霊能力を持ってること伝えるの？ う～ん 河合さんは教えなくていいって そういう特殊な能力は成長するに つれて消えてく人もいるし どんどん高まってく人もいるから 成り行きに任せるしかないと なるほどね 河合さん自身が そうだったんだろうね と 思います そうだ 河合さんとこ 行かなきゃいけないんだ 何しに？ ｢さどや｣あるじゃん 商店街の おう 団子屋 あそこの団子と 乙女餅 大好きなんだって 今度 持ってきてくれって言われて へえ～ お礼がてらというか ギャラの話も したいし 行ってきます お願いします じゃ 私も行こうかな えッ？ 見てみたいじゃない そんなに すごい人なら うん？ いや 別に見た目は普通だよ ダメなの？ ついていっちゃ いや 別に い… いいけど ♬～ あッ ここかな？ あら～ 探偵さん いらっしゃい どうも お約束の団子と乙女餅を… わあ～ 嬉しい あらッ こちらは？ 初めまして あかつか探偵事務所の 蘭子といいます 今回の件も手伝ってもらって ああ 河合です どうぞ上がって お邪魔します 失礼します どうぞ は～い みんな一旦休憩 お団子 食べるよ～ イエーイ！ いいんですか 教えてる途中なのに この子達 私の子供だから えッ？ えッ みんなですか？ そうよ いただきま～す あッ もうコラ 行儀悪い いただきます コラ あきと！ もう あッ 蘭子さん お茶 お願いしてもいいかしら えッ？ キッチンに急須とポットあるから コップ 適当に はい こっちだよ ありがとう 何か すごいっすねえ 何が？ あんな すごい力 持ってんのに だから言ったでしょ 霊能力者だって普通に生活するし 恋愛も結婚もしますよ はあ… 旦那さんは どんな人ですか？ ああ いない えッ？ 浮気ばっかりする しょうもない男で追い出したわよ そこを見る力は なかったんだ そういうこと あッ あの人➡ 蘭子さんだっけ？ ええ ≪(河合)さっき ちょっと のぞいちゃったんだけどさ 探偵さんに例の気持ち 感じてるみたいよッ えッ？ このこの～ 何すか それ 気をつけなさいよ 女も魑魅魍魎と一緒で 扱い次第では あの悪霊みたいになるからね く～ッ ああ もうッ あんた達 手洗ったの？ <いや～ まいった> <ｵｶﾙﾄな事件は もう こりごりだってのに> <次週も また奇々怪々な事件だ> <俺に届いた一通の手紙 何と> <差出人の女性は 手紙が届く前に既に死んでいた> <自殺か他殺か 彼女の死の謎には> <ある地方議員が関わっていた> <女性の支持を集める 一見 爽やかな好青年> <しかし その実態はムロツヨシ> <絶対 怪しい ムロツヨシ> <次回 本格ミステリー…> <巧妙なトリックに隠された 女の悲劇を俺達が暴く>

ウロボロス～この愛こそ、正義。～＃05

1 <(竜哉)龍崎イクオと段野竜哉> <二人には生涯を捧げる 目的があった> <20年前 児童養護施設･まほろばで> <柏葉結子が殺された事件> <その現場から 逃走した４人の男達と> <事件をもみ消した警察官 金時計の男> 例の会社の関連先は ほとんどが ﾍﾟｰﾊﾟｰｶﾝﾊﾟﾆｰだったんだがな その役員が全員 警察ＯＢだった (イクオ)結子先生は あの夜 誰かと言い争ってた 泣きながら 男の人と <警察と極道 表と裏の世界で成り上がり> <金時計の男を捜し出そうとする ２匹の龍 ウロボロスは> <新たな手がかりを求め さまよい続けていた> (美月)聞きたいことは 一つだけです あなたと段野竜哉の関係について 何だよ… これ <そして 事態は> <危険な方向へと進み始めていた> 段野竜哉… ええ 知ってますよね？ 知ってるよ 我孫子会系松江組の若頭 実質 今の新宿の裏社会を 仕切ってる要注意人物だ 有名だからね でも 僕との関係っていうのは ちょっと意味が分からない 今まで あなたが解決した 事件の多くで 裏に段野の存在が ちらついています それに 見たんです 例の中嶋を逮捕した病院から 段野が出てくるのを 僕と段野が 協力関係にあるって言いたいの？ 違うんですか？ だとしたら 今ごろ もっと 羽振りのいい生活してるよ 病院で目撃したのだって 日比野さんの 見間違いかもしんないし じゃなくても ただの偶然だと思うけどね 龍崎さん… とにかく 身に覚えのないことで 問い詰められても 僕には答えようがないよ 悪いんだけど ホントに急いでるんだ ごめんね (ドアが開く) (我那覇)あらら 殺人現場だな こりゃ (忍足)無駄な抵抗はやめておけ 誰だ？ お前ら (我那覇)こっちは お前のこと よーく知ってるぜ 段野竜哉 ≪(忍足)本庁にいる お前の相棒 龍崎イクオのことも こいつも お前らが殺ったのか？ 余計な詮索はいいんだよ さっさと その銃とファイル置け 弾が入ってると思ったのか？ バーカ ああ…ッ (銃声) ヤクザ風情が手間を取らせるなよ 痛かったぞ コノヤロー いい度胸してんな！ ≪(忍足)殺すなよ 我那覇 どこまでつかんでるのか 聞き出す必要があるからな 俺に命令するんじゃねえよ！ 忍足 何なんだよ お前ら 何で俺らを… さあな まあ 恨むなら 柏葉結子を恨んでくれ もういいだろ とりあえず こいつ 半殺ししてよ… その銃には弾は入ってねえだろ… ≪(忍足)我那覇！ 弾の入ってねえ銃ってのは こいつのことか？ てめえ！ 全部 話してもらおうか お前らの知ってることは (蝶野)銃を下ろせ！ 銃を下ろせ！ 段野！ 頭の後ろで手を組め そこの二人 お前らもだ 新宿第一署の蝶野警部補だね ああ？ 俺達は てめえと ご同業だよ もっとも階級は君より上だがね 失礼しました しかし これは… ある事件の捜査中でね ここで見た ことは他言無用で お願いしたい でも どういう状況かぐらいは… 説明する義務ねえんだよ！ 俺達 公安にはな 公安？ ｢サクラ｣ ｢チヨダ｣ 君も警察官なら これで通じるだろ？ あなた方は… 上の社長室で 男が一人 射殺されている➡ あとの処理は 君に任せるよ だが この男は我々が連行する➡ こちらの任務の 重要参考人なんでね 君のことは上に伝えとくよ➡ そうすれば 昇進も ほぼ確実だ 楽しみにしていたまえ (我那覇)行くぞ！ 悪いんですけど その話 お断りしますよ どういうことかな？ 俺は 個人的に この段野竜哉を追ってきたんです 所轄の小僧の分際で… 俺ら刑事と おたくら公安は そもそも犬猿の仲でしょうが つか 最初の銃声聞いてから もう通報もしちまいました➡ そうなると おたくらも 都合悪いんでしょ こいつは 俺の獲物だ お引き取りください これで終わりだと思うな 帰るぞ 我那覇 俺に命令するんじゃねえつうの ああ…ッ ああ… どういうことか説明しろ 段野 大体 何で お前が公安に… 中で人が死んでるってのは ホントっすよ 見てきたらどうです？ いいか てめえ ここ 絶対に動くなよ 公安が？ ああ まんまと ハメられたよ あと一歩で ハイジマの社長殺した 犯人に 仕立てあげられるとこだった 第一署の蝶野が 俺のこと 張ってなきゃ終わりだったな どんな気まぐれで こっち助けたのか知んねえが 桂田社長が タッちゃんに 話そうとしてた情報って… 分からねえよ ただ あの社長は 20年前の事件のことを知ってた それに… 問題は これだ えッ？ 何これ… 何で 結子先生が… だから 分かんねえって！ 何で あの社長が そんな写真持ってる？ 何で 公安が結子先生のこと 知ってんだよ？ 間違いないのは 結子先生が殺されたのは ただの殺人事件じゃ なかったってことだ だから 警察は 事件自体をもみ消したし… 今も網張って 探りいれてくる やつを消して回ってる あいつら 俺達の素性も 全部つかんでる このままだと お前のこと ほかの警察の連中に バレちまうかもな えッ… もしかして もう何かあったのか？ いや… 今のところは何もないけど それより これから どうするの？ もう少しで 結子先生の敵に たどり着けるんだ ここで ビビって 姿くらますわけにはいかねえだろ 公安っつったら つながりがあんのは山城会だな 山城会？ 暴力団の？ うちの最大の敵対組織で 警察とつるんでるって 有名なとこだ 特に 公安絡みのヤマに 手貸してるってな 俺は山城会から 公安のこと探ってみる お前は… 調べてみるよ 結子先生が 本当に 警察にいたのかどうか (教師)ええ～ それでは 皆さんに 北川警視総監から➡ 交通安全について お話をしていただきましょう (北川)皆さん こんにちは (子供達)こんにちは 警視総監の北川貴一郎です 交通ルールが守れるよう➡ しっかりと今日は 勉強していきましょう➡ どうすれば みんなの 安心 安全が守れるか (銃声) 総監！ 車を出せ！ 急げ！ 茶色のビルの最上階 急げー！ (幹部Ａ)副総監！ 聖副総監！ 大変です (聖)何だ？ 北川警視総監が狙撃されました 警視総監が？ はい！ [TV]今日午前 新宿区の小学校で [TV]北川貴一郎警視総監が 狙撃される事件が発生しました [TV]警視庁は新宿第一警察署に 特別捜査本部を設け [TV]捜査を続けています [TV](聖)本日 新宿区 清見沢小学校を訪問し [TV]交通安全指導を行っていた 北川貴一郎警視総監が [TV]何者かによって狙撃された [TV]犯人が撃った弾は 北川警視総監の右脇腹を貫通 [TV]命に別状はないが 現在も意識は回復していない 記者の諸君 そして カメラの向こうにいる 全国民の皆様にお伝えしたい 今こそ 我々 警察組織の 変革のときであると (記者)変革とおっしゃいますと？ 現在 犯罪の多種多様化により 検挙率は低下し その中で 今回の事件が発生した [TV]我々 警察の捜査手法を たとえた言葉に [TV]｢虫の目｣ ｢鳥の目｣ という言葉がある [TV]虫のごとく地面をはい回る 虫の目捜査と [TV]総合的見地から事件を俯瞰する 鳥の目捜査 [TV]だが 我々は 今後 ｢第三の目｣ をもって捜査に当たっていく 第三の目… [TV]これまでの警察よりも 強い力を行使し [TV]どのような犯罪も 徹底的に暴き出す [TV]いわば ｢神の目｣だ 神の目？ おいおい 危ねえこと言い出してんぞ (日比野)神の目か [TV]そして 今回の犯人に告ぐ [TV]警視総監の命を狙った 貴様は同時に [TV]国家権力をも敵にした [TV]どのような手段をもってしても 我々の手で必ず検挙する [TV]全国29万1475人 すべての警察官が [TV]貴様の存在を ひねりつぶす 覚悟しておけ 《[TV]貴様の存在をひねりつぶす》 《(男)君達のちっぽけな人生を 握りつぶすことも簡単なんだよ》 本気ですか？ ああ 山城会の会長の動きを おさえとけ うちの敵対組織ですよ もうすぐ 直参になれるっていうのに そういった無茶なことはやめて… 深町 頼んだぞ それから もう一つ 頼まれてくんねえか 《≪(結子)竜哉にも 他のみんなにも伝えといて➡》 《これから 何が起こっても》 《強く生きろって》 《約束だよ イクオ》 えッ？ ゼロ？ (蝶野)通称だけどな 俺の会った二人は 間違いなく ゼロって呼ばれてる連中だ➡ 公安の中でも 特に極秘裏に動いてるやつらで➡ 活動実態も人員数も 完全な非公表➡ 警察の闇の そのまた闇に潜んでる 何で そんな人達が段野を？ さあね こっちは駆けつけた 県警の連中に死体のこと説明して 上から こってりしぼられて 散々だったしな 段野への追及は？ どうも根が深そうなんでね 今は泳がしとく そういう そっちはどうよ？ 龍崎に探り入れたんだろ？ ええ でも きっぱり否定されました 何だよ あんまり突っ込んで 調べたくなさそうな顔だな そういうわけじゃありません 仲間を疑うのが心苦しいだけです ホントに仲間ならいいけどな (小夏)何してたの？ こんなとこで ちょっと調べ物を 一人で？ 特捜本部 抜け出して？ あの 過去の事件の資料を 参考にしようかと イクオっちさ 普段 とぼけてんのに 時々 全然 別人に見えるときあるよね そうですか？ 人事課なめちゃダメだよ 人を見る目は確かだもん まあ 詮索する気はないけどね じゃあ お疲れ あの 小夏先輩 うん 何？ 人事のデータで アクセス制限が出るのって どういう場合ですか？ もしかして 人事データ 調べてたの？ いや 何ていうか 昔 お世話になった人が警察官で 今 どこに勤めてるのかなって 興味本位で 閲覧規制されてたってことなら 警視監以上の階級の人が 特別なコードを入力しないと アクセスできないよ 警察の中でも 見れるのは15人くらいかな で その人 どんだけ大物なわけ？ すいません ありがとうございます (三島)どういうこったよ？ 前回の事件は間違いなく 中嶋の単独犯ですけど その裏で動いた人間がいるんです 《(中嶋)送られてきたんです 警察の不正を暴く書類がね》 《この腐りきった警察組織の 粛清を願っているんだって》 粛清だ？ ただの妄想じゃねえのかよ？ 分かりませんよ でも 今回の総監狙撃も含めて 警察の内部で何かが 動き出しているのは確かです そんなこと 所轄の俺に言われてもな 聞いてくれるだけで十分です もし 私の身に何かあったら 三島さんに あとを託しますけどね お前なあ… 相澤光代… 結子先生がガキのころ暮らしてた あさがお学園の元職員だ 今は この幼稚園の 園長やってるってよ (光代)よく覚えてるわ 結子ちゃんのことは 柏葉結子さんとは あさがお学園を 出るまで ずっと？ ええ 結子ちゃんが ５歳で園に入ってから 18歳まで一緒に生活していたの➡ 当時は 今と違って まだまだ設備が不十分でね➡ 職員の数も少なかったし➡ 子供達には つらい思いをさせたと思います 彼女も思春期のころは ずいぶんと荒れて… 言葉遣い メチャクチャ悪かったっすからね ちょっと何言ってんの でも 心の強い優しい子だった 施設を出たあと 警察学校に入って 婦警さんになったの これは そのときの写真ね どうして警察官に？ 昔の自分みたいに 荒れてる子供達が 道を踏み外さないように 守りたいからって 婦警だったころは 交流があったんですね では 彼女が警察を辞めてからは？ 辞めたって話は 聞いたことがないけれど でも 警察官になって ５年くらいたったとき 訪ねてきて こう言ったの 多分 もう会えないって もう会えない？ 警察の中でも 少し変わった 部署に移ることになったから 人間関係を 切らなきゃいけないって 何か危険な仕事に就くことに なったんじゃないかって 心配してたんです でも そのあと あさがお学園も 閉鎖することになって 私達職員もバタバタしていたから じゃあ それからあとは一度も？ 一度だけ会いました➡ ホントに偶然だったんだけれど➡ 何年かたってから 確か クリスマスの時期に 《(光代)結子ちゃん？》 《相澤先生…》 《(光代)ずっと心配してたのよ》 《ごめんなさい》 《あさがお学園もなくなったから 連絡の取りようもなくて》 《元気でいてくれてよかった》 《警察のお仕事は？》 《続けてますよ》 《前も話したとおり ちょっと 変わった部署で働いてて》 《そう もしかして 結子ちゃん 結婚も？》 《えッ？ あッ 違います》 《これは 自分が面倒みてる 子供達にですから》 《面倒みてるって？》 《これも仕事の一環です》 《やんちゃなやつらばっかりで》 《やってみて初めて 昔の 先生達の苦労を思い知ってます》 《でも 今年は 精いっぱい お祝いしたくて》 《みんなで祝えるのも 今年で 最後になるかもしれないし》 《結子ちゃん？》 《でも よかったです こんなふうに先生に会えて》 あのときの結子ちゃん 何かすごく悩んでるように見えた あなた達 結子ちゃんが まほろばっていう施設で 子供達の面倒をみてた って言ってたわね？ ええ 俺達は そこで 結子先生と暮らしていたんです 結子ちゃんは 今 どうしてるの？ 結子先生は… 亡くなりました 亡くなった？ ええ 急な病気で 20年前の冬に そう… そんなに前に 間違いねえ 結子先生は 公安の人間だ それなら全部 つじつまがあうだろ 公安の二人が 結子先生のこと知ってたことも 園長さんが言ってた 特殊な部署って話も それと お前が見た 結子先生が 銃を持ってたってことも やっぱり 公安の連中から 調べんのが先決だな おかしいよ 何か ああ？ 結子先生が公安なら どうして まほろばで 僕らと一緒に暮らしてたの？ それに 20年前の事件だって もしかしたら 結子先生が… だから それを調べんだろうが 公安が俺達の素性 つかんでるんなら もう一刻の猶予もねえんだ 立ち止まってる 時間なんかねえぞ イクオ この間 日比野さんに聞かれたんだ タッちゃんと どういう関係なんだって 何だよ それ 僕達の関係を疑ってる 僕が担当した過去の事件 洗ったみたいで 何で それ早く言わねえんだよ 結子先生の写真のことで それどころじゃなかったし… 別に確証つかんでるって わけじゃねえんだろ そうだけど… このままじゃ まずいと思う だったら お前の相棒も 始末するしかねえな タッちゃん！ 俺達の目的は 結子先生の敵とることだ それの邪魔になるんだったら 殺るしかねえ 覚えてんだろ 最後のクリスマスパーティー さっき 園長さんが言ってた 結子先生は 俺達のために プレゼント用意してくれたんだ 《何だよ ﾙｰﾋﾞｯｸｷｭｰﾌﾞかよ》 《ﾒﾁｬﾒﾁｬほしかったくせに～》 親のいない俺達のために 本当の母親みたいに それだけで十分だよ 俺は (携帯着信) はい ☎龍崎さん 今どこですか？ 総監狙撃事件の犯人について 有力な情報があがりました 広域指定暴力団の山城会です 山城会？ 組織的に総監を狙ったってこと？ ≪(鷲尾)一斉家宅捜索は22時➡ 総監狙撃の実行犯 および 共謀共同正犯として 山城会会長 山城重禎の逮捕を最優先とする➡ なお 相応の抵抗が予想されるため 全捜査員 防弾チョッキ着用 拳銃の携帯も許可する では 各班に分かれ準備を… (三島)その前に ちょっといいっすか？ (鷲尾)何だね？ 山城会がクロだって情報は どっからわいてきたんすか？ 俺らの地取りじゃ そんな話は出なかったんだが (蔵)ちょっと課長… うっせーよ さる筋からの有力な情報だ 所轄の捜査員が 詳細を知る必要などない あんた そんな あやふやな命令で 捜査員 命張らせようって いうんですか？ (鷲尾)何!? (都美子)三島警部！ これは 聖副総監からの指示です 我々も情報の詳細を つかんでるわけではありません (鷲尾)橘！ 捜査の根拠となる情報は 私が 責任を持って開示を要求します 今は 事件解決のために 力を貸してください ご指示のとおりに 会議は以上だ 各班 準備に入れ (一同)はい (蝶野)相変わらず 突っかかりますね (東海林)まずいっすよ あんまりにらまれると 気に食わねえんだよ (神取)何がっすか？ 神の目とかぬかしやがって➡ 警察権力 乱用するような 捜査のやり方がよッ (幹部Ａ)各県警にも 一斉家宅捜索の通達が完了 (Ｂ)これだけ大がかりなら すぐに決着がつきますね そうか ご苦労さまです 聖副総監 何か？ 今夜の大捜査に向けて 陣中見舞いをと お気遣い 感謝します しかし ずいぶんと性急に 事を進めてるようですが 我々は情報をつかんでいる どのみち 相手は反社会組織です たたけば ほこりは出るでしょう なるほど となると 今後は 自由自在に国家権力を駆使し 疑わしき者は たたきつぶせるってわけですな 日比野監察官！ あなたが 口を出すことではないでしょう 私は監察です 神の目が正しく機能するか否か 興味深く拝見してますよ (ｶｵﾙ)ｵﾑﾗｲｽ８ ｶﾚｰﾗｲｽが10 ﾋﾞｰﾌｼﾁｭｰが７ ﾁｬｰﾊﾝ９ 回鍋肉飯が７ 野菜炒めが４ サンドイッチが５ よし しめて64品です すいません こんな時間にお願いしちゃって (ﾏｽﾀｰ)稼ぎどきだしな 運ぶの手伝おうか？ すぐ近くですし 台車用意してますから 手伝います うん 本店に移っても 結局は雑用ですね うん この間のこと 蒸し返してもいいですか？ 私は 龍崎さんは 嘘をついてると思ってます どうして？ 私が問い詰めたとき すごくはっきり否定したから いつもの 龍崎さんらしくないなって きっと 誰かに 追及されたときのために 用意してた 答えなんじゃないかって 信用されてないね 本当に そう思いますか？ もし 龍崎さんを心底疑ってたら もっとコソコソ調べます こんなふうに 疑ってるなんて言いません 日比野さん… 私は 疑いたくなんかないんです 龍崎さんを 刑事として認めてるから でも… 今は 信じきることができません 少し分かる気がする えッ？ 僕も今 同じような気持ちだから 少し怖くなったんだよね ずっと自分が信じてきたものが もしかしたら 全部 幻だったんじゃないかなって ごめん 何言ってるか分かんないよね ええ 全然 分かりません 私は これ以上 龍崎さんを追及しません でも… でも？ もし あなたが 本当に 段野竜哉と 反社会組織と関係があるなら 私の前からいなくなってほしい たとえ どんな理由があっても 山城会の会長から？ (桐乃)ああ ついさっき 連絡が入った 都内に潜伏してるから かくまってほしいとさ➡ 自分は警察にハメられたって 泣きわめいてたよ 敵対組織に助け乞うぐらいだから よっぽど追い込まれてんだろうね 何で それを俺に？ あんたが山城のこと 嗅ぎ回ってんの 気づかない私だと思ったかい？ 山城の居場所と携帯の番号だ 詳しい話は あとで聞くから さっさと連れてきな 新宿第二署の者だ さっさとドア開けろ 警視総監狙撃事件関与の疑いで こちらの事務所に 家宅捜査の令状が出ています 皆さん そのまま 動かないでください 山城はｸﾗﾌﾞNINEのVIPﾙｰﾑに 逃げ込んでるってよ サツが勘づく前に連れ出すんだ 大丈夫ですか もしワナだったら… いいから急げ！ 分かりました ああ… 何だよ どうしたよ 山城会長が木場のｸﾗﾌﾞNINEに 潜伏してると情報が入りました 本庁組は ただちに そちらに急行します 本庁組 木場のｸﾗﾌﾞNINEに急行！ (一同)はい 俺らは居残りかよ しょうがないっすよ おいしいとこ持ってかれんのは (蝶野)おい 龍崎 お前も本庁組だろ 行ってきます 竜哉さん！ お前は近くで待ってろ 逃げられるようにｴﾝｼﾞﾝかけとけ はい Ａ班はﾊﾞｯｸﾔｰﾄﾞ Ｂ班はﾎｰﾙとＶＩＰﾙｰﾑを捜索 一般人に被害が出ないように 細心の注意を払って！ ≪お前 一緒に来い➡ お前ら 階段行け チッ (バイブレーター着信) ☎イクオ 今どこだ？ NINEっていうクラブ 山城は２階のVIPﾙｰﾑだ 俺が連れて逃げるとき お前 警察の目くらましてくれ まずいって 逃げ切れないよ 公安の情報が必要なんだよ！ 結子先生の敵討つためにはな タッちゃん… 頼んだぞ (銃声) 下がれって言ってんだよ！ 下がってろよ コノヤロー！ 会長には手出しさせねえぞッ やめなさい この状況で 逃げられるわけないでしょう 山城会なめんじゃねえ やられたら やり返すまでだ！➡ どうなんだ コノヤロー！ クッソ… 大体よ うちの組 散々 利用してきたのは てめえら警察じゃねえか どういうこと？ 知ってんだ 俺は 警視総監狙撃だあ？ てめえらの親玉 撃たしたのはよ 黒幕は お前達 警察じゃねえか！ きたねえよな お前ら！ 俺ら ヤクザなんて目じゃねえ この国で一番 どきたねえのは お前ら 警察だろうが！➡ どうなんだよ！ ふざけないで 私達は… 警察は あなた達に 非難されるような組織じゃない！ そうか！ それじゃよ ここで死んでも 本望だろ？ 龍崎さん… 大丈夫？ (呼び出し中) ☎(山城)俺だ おい あんた 今 どこだ？ ☎取り引きする気になったのか？ ああ？ (山城)さっき話したとおりだ まほろばに関わってた医者の 情報は全部 息子に預けてある まほろば？ あれが世間に知れたら あんたらだって やばいんだろ！ おい あんた誰と間違えてんだ 俺は我孫子会の… ☎(物音) 山城！ どこにいるか言え！ はっけ～ん おい 動くな！ お前らも 山城会の関係者か？ うるせーな 俺らは お前さんらと ご同業だよ 一足遅かったようだね 我々も今 到着したんだが 山城会のトップは 倉庫の中で 自らの命を絶っていたよ ≪(刑事)どういうことですか？ (我那覇)言ったとおりだ さっさと確認してこい あとは 山城会長の一人息子か あんなの ただのチンピラだろ わけねえよ もう大丈夫です うん あの ありがとうございました 当たり前でしょ コンビなんだから ≪(幹部Ｂ)死因は 銃による自殺でした➡ 遺体のそばには 自分達が➡ 総監狙撃を行ったという 遺書も残されておりまして (日比野)不審な点は何も？ と言うと？ いや 結構 引き続き 聖副総監の動向を 探っといてください はい あの… 私の関わった 不正流用の件はホントに？ 私は 清濁 併せのむ立場なので さて 次はどうでる？ 山城を始末したのは 例の公安の二人組だ 山城会は 公安とツーカーだった 総監狙撃事件なんて 起こすわけねえんだよ なのに… 20年前と同じだね 警察の手で… まだ終わってねえよ 山城隼人… 山城会長の一人息子は 今も行方が分かってねえ そいつは まほろばに関する 情報を握ってる 山城が言ってた医者ってのが 何のことか分かんねえが 見つけ出すんだ 今度こそ 公安より先に タッちゃん つきあってくれるよな？ イクオ 何で今さら そんなこと聞くの？ ちょっと気になっただけだよ 俺達にとって何が大事なことか お前の中でブレてねえかってな また連絡する お疲れ 聞いたよ 何かイクオっち 査問にかけられちゃうって 無許可の発砲でしたから (都美子)失礼します (幹部Ａ)そこに かけなさい 《≪(男)君達のちっぽけな人生を 握りつぶすことも簡単なんだよ➡》 《警察組織はね》 龍崎くん？ (幹部Ａ)おい 何やってる？ (ノック) 失礼します 日比野監察官 あなたのことは お呼びしていませんが ええ ただ 今回の件について➡ 彼の出向を決めた者として 多少の擁護をしたいと 嘘だ…

まれ＃128

1 (圭太)双子!? (希)子どもや２人もここに…！ 双子！ 妊娠が分かってから１週間｡ 希は 仕事をｾｰﾌﾞしながら 働いております｡ １つずつで よろしいですか｡ お名前 何ですか｡ ♬｢大きな花を｣ ♬｢さかせよう｣ ♬｢今はまだ小さなつぼみでも｣ ♬｢すこしずつ ひらいて｣ ♬｢そして花がさくよ｣ ♬｢このゆめのように｣ ♬｢空が広く青いほど｣ ♬｢伝えてくれる｣ ♬｢ふるさとのあたたかさを｣ ♬｢どうか おぼえていてね｣ ♬｢一人じゃないことを｣ ♬｢大切な仲間たちは｣ ♬｢あなたを待っているよ｣ ♬～ ♬～ (亜美)漫画っすね あの男｡ (藍子)かわいいわいね｡ (井田)いいなあ 子ども…｡ 亜美ちゃん 俺ちも そろそろ…｡ 妄想は やめてもらっていいっすか｡ (はる)双子かいね 希ちゃんとこ｡ (一徹)予想の斜め上をいくさけな いぃつも姉ちゃんは｡ (久美)店も女将さんも 続けるげんろ 大丈夫かいね｡ (文)どこ行くが｡ (元治)希に ｼﾞｬｶﾞｲﾓをっちゃ…｡ あるやろ ｼﾞｬｶﾞｲﾓぐれえ あっちにも｡ (徹志の泣き声) ｵﾑﾂけ？ (みのり)でも さっき 替えたばあかしやけど｡ (一徹)眠たいんじゃねえけ｡ 上で寝かしてくるわ｡ (みのり)あっ 本当け ありがとう｡ いいお父さんやがいね｡ 最初や肝心やさけね｡ どういう教育したんけ｡ ほやけど 圭太は ちょっこり心配やね｡ 気ぃ利かんとこあるさけね あの子は ちょっこしね｡ 注意しに行かんでいいさけね 圭太に｡ 希も一徹も 私らちの孫じゃないげさけ｡ 余計な口出しせんとくまや｡ 何 びっくりした顔しとるがいね｡ 私らちも 時々 本当の孫かと錯覚するわ｡ 希ちゃんも みのりちゃんも いいねえ｡ 一子なんか ﾌﾗﾌﾗ ﾌﾗﾌﾗ➡ 結婚かって いつになるやら 分からんわいね｡ (一子)こんにちは！ 一子！ 帰ってきたんけ！ 金沢のｽｲｰﾂ特集 第２弾｡ お～！ 圭太は？ 組合行っとるわ｡ 寒かったやろ 入って入って｡ ありがとう｡ あっ！ ｺﾗﾑ読んだよ！ ｢両方選べばツケが来る!?｣｡ あっ どうやった｡ まんで面白かったわ｡ みのりも褒めとったよ｡ ほうけ よかった！ あ～ 何か懐かしいわ｡ おめでとえ 子ども｡ ありがとう｡ ちゅうか… 結婚も おめでとう｡ 前に ﾏ･ｼｪﾘ･ｼｭ･ｼｭで おめでとうっちゅうた時は➡ うち まだ人生こじらしとったさけ｡ いっぺん ちゃんと言うときたくて｡ これ 素直に 聞いてもらいたいげんけど…｡ いろいろあったけど➡ 希と圭太の事は 本当に めでたいと思とるよ｡ ありがとう｡ ねえ あれ見してくれんけ｡ 母子健康手帳とか ｴｺｰ写真とか何やら｡ あん？ ほら うち まだ見た事ないさけ｡ 何事も取材｡ はあ～ や～け 元カノに見られるがは｡ ほんな事ないよ｡ 待っとって 持ってくるさけ｡ いや～ 本当 懐かしいわ｡ よいしょっと｡ 貧乏ﾊﾟﾃｨｼｴと漆職人の間に 子どもが…｡ (圭太の歌声) (外れた音程で) ♬｢こんにちは 赤ちゃん｣ ♬｢あなたの泣き…｣ あっ… お邪魔してます｡ ま… 希は？ ああ すぐ戻ると思うけど｡ ほんなら…｡ あっ 圭太！ 子ども おめでとう｡ 双子ねんて？ ああ うん｡ 親方にもなるし 頑張らなね！ ｺﾗﾑ 連載始めてんてな｡ すげえな｡ いや～ ﾈｯﾄやさけ 割とﾊｰﾄﾞﾙ低いげよ｡ よかったがい やりてえ事 見つかって｡ 怒られたもんねえ ｢お前 都会に流されとる｣ちゅうて｡ あれは 俺や小さかったさけ｡ ううん｡ 昔ねえ うちの野心は黒かってん｡ 真っ黒で どうしても心から出ていかんで｡ ほんでも 今は白いげん｡ 野心はあるけど 真っ白で 形も見えとる｡ いや～ 心や楽やよ 白いがは｡ ごめんえ 黒かった時代に いろいろ振り回してしもた｡ 一子 持ってきたよ！ お～ これけ！ 圭太 お帰り｡ ただいま｡ なして２つ？ 双子やさけ 一人に一つ｡ 試食いかがですか｡ あっ 試食いかがですか｡ よかったら食べてみて下さい｡ うまいけど またにするわ｡ あっ… よろしくお願いします！ (文)希｡ あっ｡ 朝市終わったんけ｡ 張り切っとるな｡ 産休までに ちょっこしでも頑張っとかな｡ 試食いかがですか｡ あっ 試食いかがですか｡ これ うめえな！ 毎度！ 宅配です｡ あっ！ おはようございます｡ すいません 中まで運んでもらえますか｡ 分かりました 中やね｡ ありがとうございます｡ ♬～ これ… 持って大丈夫かね？ いらっしゃいませ！ ﾌﾟﾁ･ｿﾙｼｴｰﾙです！ あっ！ だいぶ でこなったねえ｡ いい子や生まれるといいね｡ ありがとうございます！ あん？ 無理をしないように 気を付けながら➡ 店を軌道に乗せようと ふんばる希ですが…｡ 低空飛行のまま 産休前の 営業最終日でございます｡ いらっしゃいませ！ (都) 中で食べられるのね よかった｡ お好きな席にどうぞ｡ 朝市に いらしたんですか｡ そうなの ちょっと観光で｡ あなたも大きいのね｡ 何か月？ ７か月なんですけど 双子なので｡ そうなの！ へえ～ 楽しそうだけど大変だ｡ んっ！ これ おいしい！ ありがとうございます！ 何か このｹｰｷだけ本格的じゃない？ この店 本当は伝統的なﾌﾗﾝｽ菓子の 店にしたいんです｡ そうなの｡ はい｡ それを 能登の食材で食べて頂きたくて｡ それで地元でお店やってるんだ｡ 最初から能登って決めてた訳じゃ ないんですけど…｡ ん？ もともと おいしい食材を➡ 能登の空気とか においとか 海とか➡ そういうものと食べると もっとおいしい！ そういう事に気が付いてきて➡ 今は ここで お店を出せて よかったって思ってます｡ あっ… すいません｡ 何か語ってしまって｡ ううん｡ でも 子ども産んだあとは お店どうするの？ やるつもりです｡ まあ 実は 今日から 半年休むつもりなんですけど｡ そっか…｡ 重なりがちだもんね 女は 仕事が乗ってくる時期と子どもと｡ そうですね｡ 私は まだ決めきれないんだよね 仕事をどうするか｡ うん おいしい｡ よかったね｡ ごちそうさまでした｡ ありがとうございました｡ じゃあ｡ はい｡ ♬～ 苦しい…｡ なしたん ほの顔｡ 何か お父さんの執念をっちゃ 感じるげんけど｡ 徹さん？ 誕生日 8月10日やろ｡ おんなし日に 生まれさそうとしとるような…｡ まさか｡ 10日って もう明日やがいえ｡ (弥太郎)ほして いい加減に名前や決めたんか｡ 俺は漆っぽい名前の方や いいっちゅうとるげんけど｡ 漆っぽいって何｡ 特殊な名前は よくないげんよ｡ 下手に親の思い しょわせた子どもは➡ 苦労するげさけ｡ いや 名前は大事やろ➡ 親からの最初のﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄねんさけ｡ 独り善がりのﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄは 迷惑なだけやよ｡ 希 あんまり興奮せん方や…｡ うちかって➡ 自分の名前好きになるがに➡ どんだけ紆余曲折やあったか もう…｡ いたっ！ 陣痛か!? (弥太郎)早よ湯沸かせま！ (井田)ここで産まんわいね！ (藍子)圭太 車！ 慌てたら駄目やよ すぐには産まれんさけね｡ 井田さん ｺﾞﾙﾌﾎﾞｰﾙ取ってきてくれんけ！ (井田)ｺﾞﾙﾌﾎﾞｰﾙ！ 俺の部屋！ (井田)何でｺﾞﾙﾌﾎﾞｰﾙや要るげ｡ ８時１５分になりました。 台風の情報をお伝えします。 強い台風１５号は、 午前６時過ぎに熊本県に上陸し 九州北部を北上しています。 九州北部を中心に非常に強い風が 吹き猛烈な雨が降っていて、

保育探偵２５時～花咲慎一郎は眠れない！！～＃08

1 おっ 晃太！ 先生たち みんな 描いてくれてるんだね｡ でも これじゃさ 鈴奈先生と その仲間たちって感じだな これ｡ 園長先生 しかたないですよ｡ 晃太君は 鈴奈先生が いちばん好きなんだもんね｡ ほんと？ 嬉しい！ 先生も 晃太君のこと大好きだよ｡ ちなみにさ 晃太 園長先生 どれだ？ これ｡ えっ ちっちゃい！ 園長 存在感 うすっ！ 虫ですよ 虫！ 虫って言いすぎでしょう｡ なんだ これ… もうちょっと 大きく描いてよ 晃太｡ ♬｢恋する ﾌｫｰﾁｭﾝｸｯｷｰ｣ ♬｢ｶﾓﾝ ｶﾓﾝ ｶﾓﾝ ｶﾓﾝ ﾍﾞｲﾋﾞｰ｣ ♬｢私を見て｣ ｱｯﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ どうしたの？ 敏江先生 いつもと雰囲気 違うね｡ やだ！ 褒めるなら もっと➡ きれいだ って 直球で言ってくださいよ！ 痛い！ そんなこと 誰も言ってないけどさ｡ どうしたの？ 今日は｡ 私たち➡ 今日 合ｺﾝなんです｡ 合ｺﾝ！ そう！ 私と敏江先生と 鈴奈先生で参加するんですけど➡ 私の同級生が 友達を連れて くることになってるんですよ｡ ２人が 私のために 企画してくれたんです｡ 頑張らなきゃ！ へぇ 合ｺﾝ行くんだ｡ 違うの｡ あくまでも あくまでも 敏江さんのためなの｡ 私と鈴奈さんは お料理目当て｡ 鈴奈先生 そうですよね？ はい｡ 人気のお店の 予約が取れたんですよ｡ そうなの｡ お料理がﾒｰﾝなのよ 仁志君！ はぁ？ お料理なんて二の次でしょ｡ 問題は ﾒ ﾝ ｽﾞ！ ｲｹﾒﾝが来るといいね｡ あぁ だから➡ ｲｹﾒﾝ目当てじゃないんだってば！ 園長 保育士って 出会いがないんですよ｡ 特に ﾆｺﾆｺ園は夜勤もあるし｡ まぁ いい人が 見つかるといいですね｡ 城島だ｡ [TEL] 園長は 都合が悪くなると➡ すぐ逃げるんですよね｡ もしもし 城島？ 仕事？ 城島！ 遅いよ ﾊﾅちゃん｡ 座って 座って｡ 依頼人がね お待ちかね｡ どうも はじめまして｡ 花咲です｡ で 仕事は？ 浮気調査｡ どうせ 組関係か警察？ いやいや 普通のｻﾗﾘｰﾏﾝ｡ ほんとか？ だった｡ だった ってなんだよ？ 亡くなった主人の 浮気調査をお願いしたいんです｡ え？ 主人は➡ ひと月前に ｶﾞﾝで死にました｡ 体調 崩して入院して ３日目に あっさり｡ どうして 亡くなられた ご主人の浮気調査を？ 主人の結婚指輪を 取り戻したいんです｡ 結婚指輪？ いくら捜しても 見当たらないんです｡ どうせ 浮気するときに➡ 外したまんま 忘れちゃったんでしょう｡ あの どうして浮気されてたと 思われてるんですか？ 浮気ですよ｡ ここのところ 残業だなんて言って➡ 外泊することが 何度もありましたから｡ ちょっと信じらんない！ ﾉﾘｺ！ 本当に探偵に頼むなんて どういうこと？ 何？ この子 誰？ 娘です｡ ここは 大人の席よ｡ 外 出てなさい！ お父さんが 浮気なんか するはずないでしょ！ とにかく お願いします｡ さぁ 行くわよ｡ やだ！ 離して！ 来なさい！ やだ 離して！ なんか ｷﾞｸｼｬｸしてるねぇ｡ あっ これ報酬のね 30万ね｡ 城島 今回 悪い… 断るわ｡ えっ なんで？ せっかくの依頼だよ｡ ﾔｸｻﾞ絡みじゃない 安全な仕事だよ｡ おかしいじゃない｡ 絶対 おかしいよ｡ だって 死んだ夫の浮気調査なんて➡ 怪しい におい ﾌﾟﾝﾌﾟﾝするじゃないの｡ まぁ 山内の支払い 今月は まだ余裕あるし…｡ 今回 ﾊﾟｽ｡ 偉くなったもんだねぇ｡ ｶﾂｶﾂだったくせにねぇ｡ ああ 何とでも言ってくれよ｡ [TEL] [TEL] え？ 30万？ 何？ これ｡ お前を助けるために 盗撮した写真の代金だよ｡ 覚えてんだろ？ え？ 支払期限は ３日後です｡ えっ そりゃないだろ！ お待たせしました｡ 支払えなければ あのﾋﾞﾙから 出て行ってもらいます｡ ちょっと待ってくれよ｡ なんで いつも そんな急に 無茶なこと言うんだよ｡ ｺﾞﾁｬｺﾞﾁｬ うるせえな！ うわっ ああ 冷て！ もう ﾋﾞｯﾁｮﾋﾞﾁｮで気持悪いな！ 城島！ 城島！ さっきの…｡ さっきの仕事 やる！ え？ やる！ 怪しい においが ﾌﾟﾝﾌﾟﾝするんじゃなかったの？ 鼻が… 鼻がおかしかったかな？ どうしようかなぁ もう｡ なぁ 城島 さっきは悪かったよ｡ お願いします このとおりです｡ 仕事ください！ 最初から そう言えばいいのに｡ はい これ報酬の30万｡ 仲介料２万円 そしてね 亡くなったご主人の職場関係➡ あと 行きつけの店のﾘｽﾄ代として➡ ３万と700円 引いといたから｡ 何だい その半端な700円ちゅうのは｡ 気分で決めてないか？ はい ﾘｽﾄ｡ ご主人 平凡な営業ﾏﾝだったらしいよ｡ よし ３日で片づけなきゃな｡ わっ！ 何すんだよ！ 臭い｡ え？ ﾊﾅちゃん 臭いよ もう｡ 何なんだよ！ 臭い 臭い 臭い｡ 違う これ山内がかけたんだよ！ 臭い 臭い｡ かけすぎだろ｡ 行くよ もう！ んだよ！ 同じ営業部の この人から当たるのね｡ あっ ｷﾐ 何してんの？ おじさんの監視｡ 俺の？ 探偵なんて信用できないもん｡ だいたい お父さんは 浮気なんかしてないんだから｡ あのね 遊びじゃないんだよ｡ もう帰りなさい｡ 嫌だ！ ﾀﾞﾒだって｡ おじさん忙しいんだから 帰りなさいよ ほら｡ ほら！ ﾌﾝ！ なんだよ｡ 来た！ 堀口さん！ 堀口さん！ すみません すみません｡ 堀口さん すみませんね｡ あの… 私 こういう者ですけど｡ ほぅ 探偵なんて初めて見たよ｡ 何か？ あの… 営業の飯田課長について お話をお伺いしたいんですけども｡ あぁ ｲｲｹﾝね｡ いいかげんな飯田憲一｡ 略して ｲｲｹﾝ｡ え？ あっ！ なん… 帰れって言っただろうが｡ なんだよ その帽子とﾒｶﾞﾈ｡ 変装か？ 気づかなかったくせに｡ それでも探偵？ じゃあ 俺 急ぐんで｡ あぁ すみません すみません｡ その飯田さんなんですけども｡ 亡くなる前 あの人 営業部じゃなかったよ｡ え？ ３か月くらい前➡ 資料室に異動になっちゃって｡ はぁ｡ 死んだ人のこと 悪く言いたくないけど➡ お荷物部署の資料室｡ 左遷されたって噂｡ 何か やらかしちゃったんじゃないの？ ｲｲｹﾝだからな～｡ あの… その資料室で➡ 誰か 仲のよかった女性とか 知りませんか？ え？ 俺 今 急いでんだよな～｡ それに… 個人情報だからな～｡ はい そうですね｡ そうですね｡ (咳払い) これで なんとかお願いします｡ 綾小路麗子って社員｡ 私と飯田さんが仲よし？ えぇ｡ 資料室では いちばん親しかったと お聞きしたもんですから｡ 誰がそんなこと言ったのよ｡ 違うって｡ あ… でも ほら 仕事が一緒だったら➡ お互いに ﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄの話したり するじゃないですか｡ 仕事帰りに飲みながらとか｡ まさか｡ あの人 退社時間になると すぐ帰っちゃったし｡ だいたい 超がつくほどのﾄﾞｹﾁだもん｡ 昼飯食べないで貯金してたって噂｡ 営業部にいた頃は 後輩や部下に ご飯ご馳走してたっていうから➡ 期待してたのに ｶﾞｯｶﾘ｡ 人間 光が当たらなくなると ああも変わるのね｡ ちょっと！ どうも ありがとうございました｡ あっ！ でも 総務部の女の子が ﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝにﾁｮｺﾚｰﾄあげてたけど｡ 誰？ それ誰!? 教えて｡ ここまで出てきてるんだけど ご飯が喉に詰まっちゃって➡ 出てこないんだよね｡ ちょっと おじさん お茶ﾀﾞｯｼｭ｡ 俺？ ここまで出てんのよ ここまで｡ もう早く！ わ… わかったよ｡ どこに売ってんだよ｡ 早くしないと忘れちゃうかもな｡ 義理ﾁｮｺ配っただけよ｡ ほんとに本命じゃないのね？ 当たり前でしょ｡ なんで私が｡ でも 飯田さんって 結構なｲｹﾒﾝですよね？ まぁ 昔は結構 ｲｹてたかもね｡ うん うん｡ でも今は ｷﾓﾒﾝ｡ 資料室 行ってからは全然ﾓﾃなかった｡ っていうか嫌われてた｡ え？ どうして？ だって たまに自分で 鏡の顔見ながらﾆﾀﾆﾀ笑ってんのよ｡ 気持悪いでしょ？ ちょっと おばさん 何言ってんの！ 自分のこと鏡で見てみなさいよ｡ この子 何？ あなたの助手？ すみません！ こら 何言ってんだ｡ 離してよ 鏡見せてやんだから！ すみませんでした｡ ねぇ ちょっと！ こら！ お前どっちなんだよ？ お父さん ﾓﾃないほうがいいんだろ？ いいけど よくない｡ とにかく お父さんのこと➡ 悪く言われたくないの！ いいから ほら落ち着け｡ 離してよ 嫌だ 嫌だ やめて！ 落ち着けって ほら！ お巡りさん お巡りさん この人 痴漢です｡ まさか 花咲さん…｡ そんなわけないでしょ｡ そうですよね｡ なんで信用すんの？ 今日もまた 探偵ですか？ まあね｡ そうですか ご苦労さまです｡ はい｡ はい では！ ったく お前… ﾁｸｼｮｳ！ 次は？ 今日は終わり｡ これから別の仕事 行かなきゃいけないんだよ｡ 別の仕事？ こう見えて➡ 保育園の園長先生なの｡ へぇ～｡ だから 今からｷﾐのお母さんとこに 報告しに行かなきゃ｡ ねぇねぇ お母さんには 今日 私がついてったこと内緒ね｡ 絶対だよ｡ 勝手すぎんだろ おい｡ 今のところ➡ 浮気の相手らしき人物は いないようでしたけど…｡ 実は ご主人➡ 資料室に 異動されてたみたいです｡ 異動？ そんな大事なこと 隠してたなんて…｡ どうされますか？ このまま 調査続けますか？ もちろんです｡ 早く 指輪を見つけてください｡ あの… どうして そんなに 指輪を見つけてほしいんですか？ それを話さないと➡ 探しては いただけないんでしょうか？ いや…｡ 別に そういうわけじゃ ないんですけど…｡ あ じゃあ… 私はこれで｡ 頑張ってね！ 頑張るよ｡ あ 来た来た｡ こっち こっち！ ごめん ごめん｡ お待たせ！ どうも｡ どうも｡ じゃあ 紹介するね｡ こちら 敏江さんと鈴奈さん｡ はじめまして｡ どうも｡ で こちらが 高校の同級生の中井君｡ よろしくお願いします｡ で そのお友達の…｡ 坪井です｡ 川口です どうも｡ こちらこそ よろしくお願いします｡ お腹空いたし 入ろう！ 行こう 行こう｡ どれ？ あそこ あそこ｡ あぁ 集中できねえ…｡ 合ｺﾝが 気になってるんじゃないの？ ねえ 南ちゃんとは どういう関係なの？ どういう関係って…｡ ﾌｧﾐﾚｽで ご飯食べるくらいだけど｡ 男女交際してるんじゃないの？ 表現が古いですって｡ っていうか つきあってたら 合ｺﾝ 行かないでしょ？ でも ご飯は一緒に行くんだ｡ わからないわ～ 最近の若い人の感覚｡ でも 園長だって ほぼ毎日 理紗さんのとこに行ってるのに➡ つきあってないじゃないですか｡ 園長はね もうすぐ 理紗さんのお店で➡ 壁ﾄﾞﾝなのよ｡ ﾌｪ！ くしょん…｡ 誰か噂してるな これ｡ こんばんは｡ また 来ま～す｡ こら こら｡ 人の顔見て 引き返すなんて 失礼でしょ｡ いや 違う 違う…｡ ﾊﾅちゃん いらっしゃい｡ あ 理紗ちゃん｡ 理紗さんに 気持を伝えたそうじゃないの？ ﾌｪ！ まっ 伝えたっていうか… まあ ちゃんとはね｡ まあ あの… ちゃんと…｡ 隠さなくでもいいでしょ？ いや 別に…｡ ちゃんと 守ってあげるのよ｡ え？ ﾊﾅちゃん 理紗さんのこと よろしくお願いします｡ いや… 何だよ それ｡ いいの いいの｡ それじゃあ 私は帰るね｡ お邪魔でしょうから｡ 何…｡ あ 麦子さん また来てください｡ もちろん｡ どうも ありがとうございました｡ またね｡ さっきね 麦子さん 私にも頭を下げたのよ｡ え？ ﾊﾅちゃんを よろしくって｡ へぇ～｡ あのさ➡ 結婚指輪って そんなに大切なのかな？ え？ 結婚指輪？ え… 大切に 決まってるじゃないですか！ 愛情の証しなんですよ｡ いや… それ 依頼人の話なんだけどさ｡ 亡くなった旦那が持ってた 結婚指輪を➡ どうしても 取り返したいって言うんだ｡ 取り返す？ うん｡ 誰から？ 旦那が浮気してたって 思ってるんだよ｡ その浮気相手が 結婚指輪 持ってるんじゃないかって｡ ああ そういうこと｡ でも なんで そんな浮気夫の結婚指輪なんか➡ 今さら 欲しいと思うのかね？ その指輪には よっぽどの 思い出があるんじゃないの？ 浮気なんかじゃ捨てられない 思い出ってこと？ はい｡ これ食べて 頑張って｡ ｽﾃｰｷ丼！ 上にかかってるのは そらまめのｿｰｽなのよ｡ 春らしいでしょ｡ すごい おいしそう！ じゃ いただきます｡ うん おいしい！ これも 500円ですか？ うん… ｳﾌﾌ｡ うん｡ へ～ 24時間営業の保育園｡ 夜勤 大変でしょ？ でも 子どもたち かわいいから｡ ねえねえ 川口さんは お休みの日は何してるんですか？ ﾌｯﾄｻﾙとか｡ え～ すごい！ ｽﾎﾟｰﾂ好きなんだ｡ 足速いの？ まあ 普通｡ 鈴奈先生は子どもたちから いちばん人気あるんじゃない？ 優しそうだし｡ ううん｡ うちでいちばん人気は 園長先生なの｡ へ～｡ 俺が園児だったら➡ 絶対に初恋の相手は 鈴奈先生だったと思う｡ 何言ってんの？ やめてよ｡ 子どもたちかわいい？ うんうん かわいい！ うん｡ そうなんだ｡ 川口さんは子ども好き？ もちろん 大好きだよ｡ そっか ﾌﾌﾌ｡ かわいいよね 子ども｡ うん かわいい｡ 特にね…｡ すみません｡ ﾃｷｰﾗください！ あっ すぐどかします！ びっくりした｡ 園長！ もう寝ぼけて｡ ごめんなさいね｡ びっくりした｡ ちょっと見てきますわ｡ 晃太の初恋は鈴奈先生か｡ ﾉﾘｺ？ どこ行くの？ 別に関係ないじゃん｡ 関係なくないでしょ！ どこに行くのか ちゃんと言いなさい｡ お父さんの潔白を証明するの｡ 何言ってるの｡ 子どものくせに 余計なことはやめなさい！ 何よ！ お母さんなんて仕事ばっかで➡ お父さんの病気にも 気づかなかったくせに｡ お父さんがかわいそうだよ！ 晃太君おいしいね｡ うん！ よく噛んで食べてね｡ は～い｡ おはようございます｡ おはようございます｡ どうだったの？ 昨日の合ｺﾝは｡ 前菜60点 ﾒｰﾝ･ﾃﾞｨｯｼｭ85点 ﾃﾞｻﾞｰﾄ75点｡ ｹｰｷの甘さが もう少し控えめだったら➡ 85点だったんですけどね～｡ あれ？ 料理は二の次だって 言ってたんじゃないの？ 察してくださいよ｡ ﾀﾞﾒだったの？ (ため息) そっか 残念だったね｡ それが残念じゃない人もいて｡ え？ おはようございます！ (一同)おはようございます｡ 南ちゃん 南ちゃん ちょっと来て｡ 昨日 あのあと ﾒｰﾙでﾃﾞｰﾄに誘われちゃったの！ ほら｡ ｢今日 鈴奈ちゃんに 会えて楽しかった｡ 良かったら 明日また会えないかな？ PM６時LOVEの前で｣？ そうなの！ よかったじゃないですか！ それでね 南ちゃん 悪いんだけど…｡ あぁ 任せてください｡ 遅番は私が代わりますから｡ ほんと？ ありがとう！ 鈴奈先生！ あ～ 晃太君 おはよう！ 先生 こっちでまた絵描こうよ｡ おっ いいよ ちょっと待っててね｡ 先行ってて｡ うん！ 晃太君 遊ぼう｡ 先生と絵を描くんだもん！ じゃあ 私も絵を描く｡ あぁ 思い出すな 初恋｡ 昭和の話ですか？ そりゃ昭和ですよ｡ 私はｾﾋﾟｱ色ですよ｡ えぇ ｾﾋﾟｱだって｡ ｾﾋﾟｱ？ さあ… あっ ちょっと ひと眠り… できないんだ｡ ちょっと俺 また出かけるわ｡ え？ よし｡ 遅い！ どんだけ待たせんの？ 今日もついてくんのか｡ 学校は？ 土曜日だもん｡ いいでしょ？ 今日はどこ行くの？ えっとね…｡ 頂上まで登れるかな？ 絶対登れるってば｡ ほんとに？ ねぇ そうだよね？ 山登り… 最近また流行ってるんだよね｡ お父さんも 山登りしてたんでしょ？ うん 大学の時 山岳部だったんだ｡ だから 家族で いろんな山に登ったの｡ 最後に登ったとき…｡ ⦅ﾉﾘｺ もう戻ろう｡ この足じゃ頂上まで行けないって｡ やだ｡ あなた？ ﾉﾘｺ 乗れ｡ え？ どうしても行きたいんだろ？ 連れてってやる｡ 頂上の景色が見たいんだろ？ うん⦆ 春になったら➡ また３人で行こうって 約束したのに…｡ そうだったんだ｡ お父さんが絶対浮気するはずない｡ お母さん どうかしちゃってるよ｡ 探偵まで雇って｡ ﾊﾊﾊﾊ！ いや ほんとだよ｡ あっ かわ…｡ いいｶﾓ見つけたんだって｡ おう おう ちょろい ちょろい…｡ もうちょろそうなやつだよ｡ うん いや保育士｡ いや 簡単に 信用してくれそうだもん｡ おう ﾊﾊﾊ いや ﾏｼﾞだって｡ ちょっとどういうこと？ ほんとに ほんとに｡ あっ おかえり！ ﾄｲﾚｯﾄﾍﾟｰﾊﾟｰ 安かったでしょ？ あっ はい｡ ねっ よかった～｡ あの 鈴奈さん｡ ん？ どうしたの？ いや 何でもないです｡ そう｡ 最近 来ねえと思ったけど 亡くなっちゃうなんてね｡ ここによく来られてたと 思うんですけど➡ どなたとでした？ いや いつも１人だったよ｡ 家族の話ばっかりする人でね➡ 前の奥さんじゃ苦労したみたいで｡ えっ？ 前の奥さん？ え？ あの人 ﾊﾞﾂｲﾁだったでしょ｡ いや そんなはずは…｡ 大丈夫か？ ﾊﾞﾂｲﾁなんて聞いてない｡ お父さんが私に 隠し事してたなんて…｡ おじさん➡ 男の人って浮気するとき 指輪 外すの？ それは…｡ お父さん 浮気してたらどうしよう｡ 私 絶対許せない｡ お父さんも相手の人も｡ どうするんだ？ まだついて来るのか？ この先 もっとつらいことが あるかもしれないぞ｡ 行く｡ この男➡ 最近 このへんで 何度か 見かけたって情報があって｡ ああ 何度かここにも来たよ｡ はい 270円｡ 200… 270…｡ １人だったでしょ？ いや ２人｡ 男の同僚とか知り合いとか そんな感じだよ｡ 女｡ えっ｡ そこのみっちゃんっていう お好み焼き屋で働いてる｡ えっ？ ﾊﾟﾝﾂとｼｬﾂ 買ってた｡ 歯ﾌﾞﾗｼも｡ あっ あと➡ 結婚指輪がどうたらこうたら こうたらって｡ おい！ 何あんた➡ 客の個人情報 ﾍﾞﾗﾍﾞﾗしゃべってんだよ｡ だって あんたが教えろって｡ おい ﾉﾘｺちゃん！ ﾉﾘｺちゃん｡ ごめんね まだ準備…｡ すみません｡ 私のこと知ってるんだ｡ 何言ってるの？ 知らないわよ｡ 父が生前 お世話になりました｡ 生前？ ｹﾝちゃん亡くなったの？ なれなれしく ｹﾝちゃんなんて呼ばないでよ！ ﾉﾘｺちゃん！ ちょっとｹﾝちゃんはね…｡ すみません｡ ﾉﾘｺちゃん！ どこ行くんだよ｡ まだ浮気って 決まったわけじゃないだろ？ ほら｡ こうなったら徹底的に調べる｡ [ｽﾋﾟｰｶ]365…｡ ご確認ください｡ 450円になります｡ おじさん 払っといて｡ 500円で｡ はい｡ お父さん ほんとにﾊﾞﾂｲﾁだったんだ｡ こんなこと 慰めにもならないけどさ➡ 離婚歴のある人なんて たくさんいるよ｡ まあ 俺もそうだし｡ えっ？ どうした？ お父さんと お母さんが結婚したの➡ 私が２歳のときだ｡ 認知？ 私の名字が違う｡ えっ？ 私… お母さんの連れ子？ 私… ずっと騙されてたの？ お父さんもお母さんも ｳｿついてたの？ ♬～ おかえりなさい｡ (２人)おかえりなさい｡ ちょっと園長！ ちょっとだけ この子 見てもらっていいかな？ 家出娘じゃないでしょうね｡ 大丈夫です｡ ちゃんと帰しますから｡ ったく もう… ｼﾞｭｰｽ飲む？ 中 入ってて｡ 俺 ちょっと出ますから｡ はい｡ ﾉﾘｺちゃん｡ ちゃんと調べてくるから｡ 待ってて｡ うん 頑張る｡ じゃ お疲れさまでした｡ いってきます！ いってらっしゃい｡ 私もﾃﾞｰﾄがしたい 南ちゃん｡ こんにちは｡ こんにちは｡ ≪ｹｲｼﾞ君 ﾐﾐちゃん お母さん 迎えに来たよ｡ は～い｡ は～い｡ どうしたの？ ねえ ﾃﾞｰﾄって何？ ﾃﾞｰﾄ？ 好きな人同士がご飯食べたり➡ 映画観たり 遊園地行ったり｡ えっ 好きな人って？ ね 何かあったの？ ｳｿついてたんだ 鈴奈先生➡ 僕のこと大好きだって 言ってたのに｡ 大人は みんなｳｿつきなの｡ 信じるほうが間違いだよ｡ ｳｿつき｡ 先生のｳｿつき｡ ねえ だったらさ…｡ (扉の開く音) あっ 先ほどは はぁ…｡ あんた さっきの…｡ ほんと誤解なんだよ｡ わかってます｡ はぁ… 飯田さんの娘➡ ﾉﾘｺちゃんの顔 ご存じでしたもんね｡ まあ もし 浮気してたとしても➡ 飯田さん 相手に娘さんの写真➡ 見せるような人じゃないと 思います｡ 当たり前だよ｡ ｹﾝちゃんは そんなことしない｡ そもそも 浮気なんかしない｡ それは 幼なじみの私が保証する｡ よかった｡ あんたを見込んで お願いしたいことがあるんだ｡ 預かってるものを 奥さんと 娘さんに返してほしいんだ｡ この指輪…｡ ｹﾝちゃんはね…｡ もしもし？ えっ 弟さんが事故？ お金が必要？ あ～｡ どうしたの？ あ 仁志君じゃ頼りないからな｡ いっつもすぐやられちゃうし｡ そんなことないって！ 俺ね 最近 ﾊｲｷｯｸ覚えたんだ｡ まあ…｡ あ～ じゃ 仁志君 一緒に来て｡ あっ 小夜子さん ちょっと 買い物行ってきていいですか？ いいわよ｡ 私 晃太君のお迎え 待ってるだけだから｡ じゃ 仁志君 来て｡ あっ ちょっと➡ えっ ちょっと待って えっ…｡ お腹減った｡ ん？ ﾊﾟﾝ買いに行ってもいい？ あっ じゃあ 私行ってくるから あなた ここにいて｡ はい｡ 敏江さん｡ はい｡ 私出かけるから 子どもたちのこと よろしくね｡ はい いってらっしゃい｡ はい よいしょ｡ 敏江先生 天井で変な音がする｡ 変な音？ うん｡ おかしいわね｡ 先生｡ ３階から何か聞こえるよ｡ えっ？ 園長はいないはずだけど｡ まさか 泥棒？ あっ ちょっと！ 何してんの？ ちょっと開けて｡ ≪ﾉﾘｺちゃん 晃太君 開けなさい｡ (２人)やった～！ ≪開けなさい ちょっと｡ (２人)やった やった！ そうだったのか｡ ちょっと このｹｰﾀｲ借ります｡ 川口さん ごめんなさい 遅くなって｡ こっちこそ 急に変なこと 頼んじゃって ごめんね｡ ううん それより弟さん ｹｶﾞなかったの？ うん｡ あ～ よかった｡ あ でも とにかく➡ ぶつかった相手がﾔｸｻﾞで 脅されちゃってさ｡ え？ 俺にとって家族って 弟しかいないから｡ あっ ねえ これ使って｡ あ ごめんね｡ 少ないけど でも これが 私にできる精一杯だから｡ 必ず返すから｡ うん｡ ≪ちょっと待った！ その男 鈴奈さんを騙すつもりです｡ え？ はあ？ 南さんが そいつの電話を 偶然聞いたんだよ｡ 簡単な女がいるって言ってたって｡ えっ… ｳｿでしょ 川口さん｡ ちょっ… いや 冗談だよ 冗談｡ 冗談？ だから 弟が事故ったのも｡ 家族が弟だけだってのも 全部 冗談｡ ﾌｯ… ってか俺 弟とかいねえし｡ ﾌｯ｡ じゃあ 今日➡ 私をﾃﾞｰﾄに誘ったのは？ 保育士って出会いがないって 言うから構ってやっただけじゃん｡ そんな… ひどいよ！ (泣き声) じゃ｡ お前 いい加減にしろよ！ おい！ お前 弱いな｡ なにすんのよ～！ 女をﾊﾞｶにするんじゃないよ！ 南ちゃん… なんか俺 ﾄﾞｷﾄﾞｷしてる｡ ≪ﾉﾘｺちゃん 晃太君開けなさい！ (ﾄﾞｱを叩く音) もう お願い開けて！ ﾉﾘｺちゃん開けなさい！ どうしたの？ 敏江先生 何があったの？ すみません ちょっとの隙に ﾉﾘｺちゃんが…｡ ≪大人は子どもをﾊﾞｶにするな！ ≪ﾊﾞｶにするな！ ちょっと！ 開けなさい！ こんなことして いいと思ってんの!? 大人は子どもにｳｿをつくな！ ｳｿをつくな！ 見つかりましたよ｡ よかった｡ ありがとうございました｡ 夏子さん ご主人 浮気なんかしてませんよ｡ もういいんです｡ この指輪を持ってた人が 浮気相手なんでしょ｡ 違います｡ それを持ってた人は➡ 指輪のｻｲｽﾞ直しを頼まれたんです｡ ｻｲｽﾞ直し？ ご主人 亡くなる３か月前から➡ 自分の残りの時間を 知ってたんです｡ えっ？ 痩せて 指輪が抜けそうになったから➡ ｻｲｽﾞを小さくしてくれって 頼んで➡ そのまま…｡ あの人が余命を知ってた!? ｳｿです そんなの｡ 夏子さん➡ ご主人が 部署を異動されたのは➡ 定時に戻って 家族との時間を 大切にしたかったから｡ 昼食もとらなかったのは 苦しくて喉を通らなかったから｡ 外泊したのは どうしても 苦しくてしかたないときに➡ そんな顔を 家族に見せたくなかったから｡ そんな… どうして 打ち明けてくれなかったの？ そこまでして隠して 何をしたかったっていうの？ それは…｡ [TEL] すみません｡ [TEL] もしもし｡ えっ!? ﾉﾘｺちゃんが立てこもった!? ﾉﾘｺが!? こんなのあったよ 食べる？ うん｡ ≪ﾉﾘｺちゃん 晃太君 お腹空いてない？ ﾊﾟﾝ買ってきたよ｡ 晃太君 開けて！ どうしたんですか？ ﾉﾘｺちゃんと晃太君が➡ 中に入って鍵閉めちゃったのよ｡ え～!? ちょっとすみません｡ 晃太君 何があったの!? ≪先生のｳｿつき！ えっ!? 僕のこと大好きだって 言ってたくせに！ ﾃﾞｰﾄしたんでしょ！ ちょ… それは｡ ｳｿつき！ 大人は みんなｳｿつきだ！ 晃太君…｡ 遅くなりました！ 園長｡ どう？ おいﾉﾘｺちゃん 開けてくれよ｡ ﾉﾘｺ！ よし！ ﾉﾘｺちゃん！ うぅ… ほら開けてくれ！ すみません ﾉﾘｺ ﾉﾘｺ あなたの言うとおりだった｡ お父さん浮気なんかしてなかった｡ 戸籍見たよ｡ えっ？ 私 お父さんの子じゃ ないんでしょ？ 何言ってるの｡ あなたは 私とお父さんの子よ！ 確かに あなたが生まれた時➡ お父さんには 別居中の奥さんがいた｡ だから すぐには 結婚できなかった｡ だけど あなたは間違いなく 私とお父さんの子どもなの！ どうしてそれがわからないの！ ｳｿだ！ 全部ｳｿだ！ 私はもう何も信じない！ お母さん ちょっとすみません｡ ﾉﾘｺちゃん ﾉﾘｺちゃん！ うぅ～！ うぅ…｡ うわぁ～！ ｳｿなんかじゃないよ！ ｷﾐのお父さんを 思い出してごらんよ｡ いつも笑顔だったろ？ ｷﾐのお父さんはな 最後まで ｷﾐたちの前で笑顔でいるために➡ 必死で病気と闘ってたんだよ！ お父さんからです｡ なんか緊張しちゃうな｡ [TV]もう撮ってるよ｡ お父さん｡ [TV]えっ もう始まってんの？ あなた｡ お母さん ﾉﾘｺ 見てる？ お父さんです｡ あぁ え～と…｡ お父さん もうすぐ➡ ２人とお別れしなくちゃ いけないんだ｡ [TV]病気のこと 黙っててごめん｡ 心配かけたくなかったし➡ 最期まで３人で 笑って過ごしたくて➡ こうすることを選びました｡ [TV]あっ やっぱ お母さん 怒るよな｡ 夏子 ごめんね｡ ﾉﾘｺ｡ この指輪 もらってくれないか？ [TV]ﾉﾘｺが生まれた日に 絶対結婚しよう ｡ 幸せな家庭を築こうって➡ お父さんとお母さんが 誓い合った指輪なんだ｡ [TV]今でも 昨日のことのように思い出すよ｡ あっ そうだ｡ ほらﾉﾘｺが 生まれたときの写真｡ かわいいだろう？ [TV]夏子 ﾉﾘｺ｡ [TV]夏子 ﾉﾘｺ｡ 今までほんとにありがとう｡ うまく言えないけど ２人と家族になれて最高です｡ [TV]あっ えっと それから…｡ あっ｡ [TEL] あっ ﾉﾘｺだ｡ もしもし？ えっ？ 新しいｻﾞｯｸ？ お母さんに言ってよ｡ お父さんのお小遣いじゃ 買ってあげられないよ｡ [TV]えっ？ うん そうだな｡ 春になったら ３人で山に行こうな｡ お母さんのおにぎり持ってさ｡ お父さん｡ お父さん！ お父さん ごめんなさい｡ 疑ったりして ごめんなさい｡ お父さん｡ 晃太君｡ 先生｡ 先生 晃太君のこと大好きだよ｡ だけど 優斗君も 空君も ｺﾃﾂ君も➡ 先生 みんな大好きなの｡ だから… だから 本当にごめんなさい｡ うん わかった｡ 晃太君｡ ありがとう｡ 先生…｡ 園長！ もう どうするんですか ﾍﾞﾋﾞｰﾍﾞｯﾄﾞの脚！ ﾌｪ！ 壊す必要ありましたか？ あ～｡ すみません｡ ほんとに もう…｡ お母さん 早く！ は～い お待たせお待たせ｡ はいはい おにぎり持った？ もちろん お父さんの分もちゃんと…｡ 水筒忘れた ごめん｡ ちょっと！ ごめんごめん はい｡ 帽子忘れた！ ちょっと！ 上手 もう１回 もう１回 もう１回｡ ねえねえ｡ うん？ 今日は 鈴奈先生に べったりじゃないのね｡ もしかして 私➡ またﾌﾗれたってことですか？ あっ う～｡ やめてくださいよ まだ傷は癒えてないんですよ｡ あのｷｯｸ教えて？ お願い｡ だから知らないってば｡ もう 早く資格の勉強しなさいよ｡ いいじゃん 俺もあんなかっこいい ｷｯｸやってみたいんだよ｡ もう｡ 何 ｷｯｸって？ 南ちゃん すごいんですよ 走って➡ た～っ！ ってのが すっごかったんですよ！ おはようございます｡ あっ おはようございます｡ ﾊﾅちゃんは？ 朝食作ってきたの｡ 向こうで大工仕事でも してると思います｡ 大工？ (いびき) あぁ…｡ (笑い声)

相棒１２th＃14

1 (上野寛子)拓馬？ いないの？ 拓馬…？ (悲鳴) ♬～ (米沢 守)ゆっくり｡ (杉下右京) ちょっと よろしいですか？ (米沢)ロープを外そうと 抵抗した痕があります｡ 首つり自殺を装ってましたが これは殺人ですね｡ (伊丹憲一)息子さんは この部屋に 一人暮らしだったんですね？ はい…｡ ここ２週間ほど 会社を休んでいると→ 昨日 上司の方から 連絡がありまして→ 様子を見に来たんです｡ お勤めは どちらの会社ですか？ 警部殿…｡ 今 私が聴取してますから｡ これは失礼｡ えーと… お勤めは どちらの会社ですか？ (甲斐 享)僕らが来た時に ちょうどお母さんがいらして…｡ (芹沢慶二)その前に ２人は どういう関係？ 今日が初対面です｡ 知り合いに頼まれたんです｡ 店の客にストーカーされてる 彼女の相談にのってほしいって｡ ストーカー？ ええ｡ 上野さんは 君のストーカーだったの？ (浅香実由紀)警察の人に 直接→ やめるように 言ってもらおうと思って→ この刑事さんに 一緒に来てもらったの｡ カイトくん 今日は何曜日でしょう？ ああ 今日は木曜日です｡ ええ 平日の昼間｡ 普通なら 上野さんは 会社に行ってる時間ですねぇ｡ あっ…｡ 君 彼が会社に行ってないのを 知ってたの？ あ… いや…｡ では あなたは→ 上野さんが部屋にいるかどうか わからないのに→ 警察官を連れてきたわけですか？ あ あの… だから…｡ 君が僕をここに連れてきたのは→ 上野さんと会わせるためじゃなく 遺体を発見させるためだった｡ いや まさか こんな事になってるなんて…！ ちょっと待った｡ あとは我々が｡ 通報 ご苦労さん｡ 特命係はここまで｡ 少し考えれば 彼女の思惑には 気がついたはずですけどね｡ えっ？ ああ… すいませんでした｡ カイトくん｡ はい｡ この靴 イーニアスですよ｡ ああ 本当だ｡ 2010年秋の限定モデルですねぇ｡ 僕 これの黒を持ってます｡ へぇ～｡ それが何か？ ♬～ 上野拓馬さんの部屋にあった｡ 付き合ってたのか？ まさか！ 半年前に一度だけ デートしてあげたの｡ 遊園地の年間パスポートを 買ってくれたのはいいんだけど→ 次はいつ行くって しつこくて｡ あの頃は 本当にストーカー状態だった｡ ケンちゃんに相談したら…｡ ケンちゃんって誰？ 三木賢三｡ 元カレ｡ (三木賢三) 二度と実由紀に近づくな！ もういいよ！ わかったよね？ そうはいかねえ｡ 慰謝料 払ってもらわないとな！ それ以来 上野さんは ケンちゃんのＡＴＭになった｡ ＡＴＭ？ 金を引き出す相手って事？ (ため息) なんで 刑事を連れて あの部屋に行ったんだ？ ケンちゃんと 連絡がつかなくなったって→ 今カノが私に言ってきたの｡ 土曜日にＡＴＭに行ったまんま 帰ってこないって言うからさ…→ ケンちゃん 上野に やられちゃったのかと思って｡ (井口知世) 上野の上司が参りますので→ 少々お待ちください｡ 失礼ながら→ 情報セキュリティマネジメント というのは→ どういうお仕事なんですか？ (知世)クライアントの社屋内で 収まりきらなくなった書類を→ お預かりして 保管管理しております｡ 確かに 決算書類や伝票の類いは かさばりますからねぇ｡ 医療機関からは カルテや レントゲンフィルムなど…｡ なるほど｡ 白鳥美容外科…｡ そこもクライアントですか？ えっ？ いじってませんよ 私…｡ (炭谷善也)お待たせいたしました｡ 炭谷と申します｡ 警視庁の杉下と申します｡ 同じく 甲斐です｡ 上野くんのお母さんから 連絡がありました｡ 部屋で 亡くなっていたそうですね｡ 上野さん ここ２週間 会社を休んでいたんですよね？ 14日の朝 インフルエンザにかかったと→ 上野くんから電話がありました｡ ゆっくり休みなさいとは 言いましたが→ さすがに２週間も欠勤が続くのは おかしいと→ 実家のお母さんに 問い合わせの電話を入れたんです｡ 彼のデスクを 見せてもらえますか？ ああ どうぞ｡ わかるもんかねぇ…｡ 上野さんが 特に親しくしていた方は→ いらっしゃいますか？ (炭谷)いません｡ 彼は人付き合いが苦手で…｡ 上野！ 昼飯 一緒に行くか？ (上野拓馬) あ いや… いいです｡ (炭谷)仕事も １人で もくもくと働くタイプでした｡ 上野くんの机です｡ ちょっと拝見しても よろしいですか？ どうぞ｡ ≪炭谷さん！ (炭谷)はい｡ すぐ戻ります｡ ♬～ あれ？ 携帯のアダプターが どうかしましたか？ ああ いや…｡ 上野さんの部屋に スマホがなかったんです｡ お母さんの話では 彼は暇さえあれば→ スマホで ゲームをやっていたって｡ 上司の方の話でも そのような感じでしたねぇ｡ 犯人は 上野さんの死を 自殺に見せかけようとした｡ でも スマホを持ち去ったら 事件性を疑われます｡ ええ 確かに そうですね｡ 気になります？ ああ いえいえ｡ 司法解剖の結果が出ました｡ やはり他殺でした｡ 死亡したのは ４日前 日曜日 26日の夜から未明にかけてです｡ おや 人工軟骨？ つまり 被害者は 顔に 医療処置を受けていたんですね｡ 美容整形ですな｡ 美容整形？ 鼻と顎に シリコン製の人工軟骨｡ 小鼻と まぶたの裏側に→ 美容整形で使用する特殊な糸が 縫い込まれていたようです｡ 現場で遺体を見た時 まったく気がつきませんでした｡ 解剖の段階で 髪の毛に隠れた部分や口の中に→ メスで切開した痕が 見つかったそうです｡ その切り口も ごく小さく→ 高い技術レベルの美容整形が 行われていたようですね｡ 男性の整形は 韓国や台湾では よく聞きますが→ 日本では 珍しいのではありませんか？ 北山影虎の件は ご存じない？ 新民党の国会議員が どうかしましたか？ イケメン新人議員が 実は整形顔だったそうです｡ そういえば ワイドショーで やってましたね｡ ところで 上野さんですが→ 整形前は どんな顔だったのでしょうねぇ｡ それ 事件と関係あります？ ああ これは失礼｡ 個人的な興味で→ プライバシーの詮索は よくありませんね｡ では 僕はこれで｡ お先に｡ えっ？ ああ お疲れです｡ (ドアが閉まる音) 見に行きましたな｡ はい？ 私の経験値から言うと 杉下警部は好奇心には勝てない｡ (チャイム) 夜分にすみません｡ ≪(伊丹)三木賢三だな？ ≪(もみ合う音) ♬～ (三木)この野郎！ (三木)なんなんだ てめえよ！ (伊丹)てめえ こっち来い！ こっち来い！ おら！ なんにも見えないじゃねえかよ これじゃあ！ おら！ ああー！ ああー！ うわあー！ うわっ 冷てぇ…！ 芹沢！ 確保！ 三木！ うわあー！ これ… 入手困難な プラチナチケットじゃん！ はあ～｡ え？ 何が知りたいの？ そんなんじゃないですよ｡ 彼女が見たがってるって 先輩 言ってたから｡ 嘘…｡ はい｡ ありがとう！ やべぇ！ これから 三木賢三の取り調べだよ！ あっ 先輩！ は？ 上野さんのスマホの電波って 当然 調べてますよね？ 電源 切られてる｡ 使用履歴はね 今 取り寄せ中！ なるほど｡ (角田六郎)コーヒー 淹れといた！ わあ｡ 熱々｡ お菓子もあるよ｡ ああ 肩 ももうか？ もういいっすよ｡ 気にしないでください｡ すまなかったね｡ 俺が妙な事を頼んだせいで→ 遺体の第一発見者に なっちまったんだってな｡ おはようございます｡ おはようございます！ カイトくんの知り合いというのは 課長でしたか｡ いや たまに行くスナックのママの 友達の友達に頼まれてさ→ 困ってる子がいるから 助けてほしいってね｡ 市民を助けるの 警察官の役目でしょう｡ なあ？ そうですよね｡ カイトくん｡ はい｡ 君 ちょっと これを見てもらえますか？ なんですか？ 上野さんの実家に行って お借りしてきました｡ やっぱり行ったんだ｡ 君 どう思います？ どうって？ これが高校の卒業式の時｡ 二十歳の成人式｡ これ 新入社員の時｡ ５年前 去年→ そして 今年のお正月と なるわけですがね→ 僕には どこからが 美容整形以後なのか→ まったく 区別がつかないのですがねぇ｡ うん… 確かに｡ 全部同じ顔に見えますね｡ やはり 専門家に見ていただかないと→ わかりませんかね｡ ほう～ 案外 短い時間で終わるんですねぇ｡ 目や鼻の場合 30分程度とありますねぇ｡ 入院も必要なく 日帰りで受けられますか｡ う～ん…｡ 鼻を高くするのに42万｡ 顎の輪郭は84万…!? 高っ！ (白鳥聡美)うちは 決して 高いほうではありませんよ｡ 院長の白鳥です｡ クラウン倉庫の 情報セキュリティマネジメントを→ 利用されていますよね｡ ええ｡ 税務関係の書類や 古いカルテなどを預けています｡ そこの社員の上野拓馬さんを ご存じでしょうか？ 書類が必要になった時に 届けてくれる担当者でしたが→ 事務の者が応対していたので 私は直接の面識はありません｡ 亡くなられたそうですね｡ 担当者が変わると 会社から連絡が来ました｡ 上野さんは 先生の患者さんでは なかったのですか？ えっ？ 先生は 美容整形の世界では→ トップクラスの技術をもつ お医者様だと→ ここに書かれています｡ 上野さんが受けた整形手術も→ 非常にレベルの高いもの だったそうです｡ てっきり 先生がなさったものだと 思ってしまいました｡ 違います｡ 上野さんが この病院に かかった事はございません｡ カイトくん｡ はい｡ 美容整形の専門家として お話を伺いたいんですが…｡ えー これなんですが…｡ 素人目には 過去から現在に至るまで→ どこも変わったようには 見えないのですがね→ 一体 どの段階で 上野さんは→ 整形手術を 受けているのでしょう？ うーん…｡ 写真だけでは断言できませんが→ この写真とこの写真を比べると わずかですが→ 鼻筋が高くなっているような気が いたします｡ 就職活動のために→ 顔の印象を良くしたいと望む 学生もいますから→ 彼も そうだったのかも しれません｡ 僕には区別がつきませんがねぇ｡ うん 俺も｡ 美容整形を受けにくる 患者さんの多くは→ 周囲には気づかれたくないと 言います｡ あからさまに 印象の 変わってしまうような整形を→ 望みません｡ 見た目が変わらないのに→ 整形する意味なんて あるんですかね？ 整形は 自分自身のために 行うものです｡ コンプレックスを解消し 自分に自信を持つ事で→ 社交的にも前向きにもなれる｡ 私たち美容整形外科医は→ 患者さんの顔や体つきを 治しているのではなく→ 心を治しているんです｡ 整形したのに 顔が変わっていない｡ 社交的な性格にもなっていない｡ 果たして 上野さんは 本当に整形をしたんでしょうか？ 遺体の顔には 痕跡がありましたからね｡ それは間違いないでしょう｡ 遺体の顔…？ え？ (芹沢)あれ？ あっ！ (伊丹)出た出た｡ 何を嗅ぎ回ってるんだよ？ そちらが 教えてくださるんだったら→ こちらも教えますが｡ 行くぞ｡ はい｡ プラチナチケット…｡ あ あ… やっぱり そうくるか…｡ 三木賢三の証言によると→ 土曜日の昼過ぎ このビルの前で 偶然…｡ (三木)おう！ 久しぶりだな！ そろそろ お前に会いたいと 思ってたとこなんだよ｡ また用意しといてくれよな｡ あ… たぶん人違いです｡ 私は あなたを知らないので｡ (三木)何とぼけて…！ おい！ カイトくん 行きましょう｡ はい｡ どうも｡ どうも…｡ 上野さんは このように→ かかとを潰して履く癖が あったようですね｡ しかし このイーニアスだけは かかとが潰れていません｡ 本当だ｡ それに この靴だけ→ すり減ってる方向が逆ですね｡ ええ｡ という事は この靴は…｡ 上野さんのものではない｡ という事になりますね｡ ごめんください！ (藤田真奈)いらっしゃいませ！ 藤田真奈さんは いらっしゃいますか？ (真奈)私です｡ 警視庁特命係の杉下と申します｡ 同じく 甲斐です｡ 突然なんですが 藤田さんは→ 2010年10月５日に イーニアス南青山店で→ 26.5センチの革靴を 購入されてますね？ はい｡ そして 去年の４月21日には→ 中敷きも交換されています｡ 誰かのプレゼント だったんですか？ ええ｡ 児玉則彦くんに｡ 近所に住んでる幼なじみです｡ その方は 今は どちらにいらっしゃいますか？ 日本にはいません｡ 彼は バリスタを目指して→ 青山のカフェで 働いてたんですけど｡ ああ コーヒーの専門家ですね｡ そうです｡ ３か月前からは イタリアに 研修に行ってるんですよ｡ おばさん！ (児玉加津子) どうしたの？ 真奈ちゃん｡ 警察の人が 聞きたい事があるんだって｡ えっ…？ 警視庁の杉下と申します｡ 同じく 甲斐です｡ 息子に何かあったんですか？ 違うの｡ 則彦くんの友達に→ 上野さんって人 いる？ 上野？ ほら おばさんと一緒に プレゼントした あの靴が→ この人の家にあったんだって｡ さあ… 私には 見覚えありませんけど…｡ 息子さんの他に ご家族は？ 主人は 大工をやっていたんですけど→ 20年前 現場の事故で 亡くなりました｡ ３年前には 姑も亡くなりまして→ 今は 親子２人きりです｡ 息子さんがご不在で お寂しいですねぇ｡ ええ｡ イタリアに 研修に行かれてるとか｡ ええ まあ…｡ 連絡先を教えてもらえませんか？ は？ あ… ローマとかミラノとか｡ ええ…｡ おばさん？ はあ… ごめんね 真奈ちゃん｡ 実は 研修に行ってるっていうのは 嘘なの｡ えっ？ 則彦はね この家を出て行ったの｡ (児玉則彦) いちいち 俺に頼るなよ！ カイトくん｡ はい｡ 米沢さん呼んでもらえますか？ わかりました｡ (ノック) お話とは なんでしょうか？ どうぞ こちらへ｡ 上野拓馬さんの部屋で 発見された遺体は→ 上野拓馬さんでは ありませんでした｡ はあ？ あの遺体は児玉則彦さんです｡ 何をおっしゃってるのか まったく理解できないんですが｡ 杉下警部に呼ばれて→ 児玉則彦さんの実家に 行ってきました｡ ３か月前まで 児玉さんが使用していた→ ヘアブラシに付着していた 毛根のＤＮＡと→ 被害者のＤＮＡが一致しました｡ こちら｡ 一致って 遺体の顔と違うでしょ｡ 整形していたんです｡ 児玉さんが 上野さんと同じ顔に｡ そんなバカな…｡ 同じ顔に整形をした男が存在し→ その男が 本人の代わりに 殺されていた｡ これを思いついた時には→ 僕自身 戸惑ってしまうぐらいでした｡ 殺されていたのは 上野さん本人じゃなく→ 同じ顔の男？ そうです｡ (伊丹)じゃあ 三木賢三が 会ったっていうのも…｡ たぶん人違いです｡ 私は あなたを知らないので｡ 児玉さんでしょう｡ 知り合いが見ても間違うほどに 同じ顔になっていたんです｡ 遺体が別人なら→ 本物の上野拓馬は 今 どこで何してるんですか？ そこまでは まだ わかりかねますが…｡ ≪あっ！ どうも｡ (芹沢･伊丹)おう｡ 児玉則彦さんの クレジットカードの明細書です｡ 実家を出たあと ここ３か月の支払い先は…｡ 児玉則彦さんは私の患者です｡ 最初は目を治しました｡ 次に 鼻の形を整えたいと言われて そのあと 顔の輪郭｡ すべて 児玉さんの要望に従って 手術を行いました｡ その結果…→ この顔が→ 上野さんと同じ顔になったって いうんですか？ そうなりますね｡ そんな事ありえないでしょ！ 先生が 意図的に→ 彼の顔を 上野拓馬と同じ顔に 変えたんでしょ？ なんで そんな事をする必要が あるんですか？ 上野さんは 三木賢三という男に たかられていました｡ 29 30！ おっ なんだよ！ いつもは ２～３万しか持ってないのに→ 今日はすごいじゃないか！ これで終わりにしてください｡ お願いします｡ (三木)俺とお前は死ぬまで友達だ｡ また来るからね｡ ヘヘヘヘ…｡ (伊丹)追い詰められ 三木から逃れるためには→ 自分が死んだ事にするしかない｡ そう考えた上野さんは→ 仕事で出入りしていた 美容整形外科医のあなたに…｡ 僕と同じ顔の人間を 作ってください｡ 同じ顔を作れって？ ＳＦじゃないんだから｡ できませんか？ 杉下警部…｡ 同じ顔を作る事はできませんか？ 技術的には可能です｡ ですが いくら技術があったとしても→ 医者が勝手に顔を作り替える事は できません｡ 患者さんが望んだとおりの顔に しなければ→ 手術直後に 訴えられてしまいます｡ 確かに そうでしょうねぇ｡ 私は 児玉さんの希望どおり 整形手術を行っただけです｡ できあがった顔が→ 上野さんそっくりな顔に なっていたというなら→ それは 私ではなく 児玉さんの意思です｡ あの… これは…？ 顔を整形していますが ＤＮＡ鑑定は一致しました｡ 間違いなく 息子さんの則彦さんです｡ ♬～ 則彦…｡ (加津子)どうして…？ ねぇ… 何があったの？ 則彦！ 部屋からスマホを持ち去ったのは 上野自身だった｡ 上野は 同じ顔になった児玉さんを 殺害して…｡ ああ…！ 自分が自殺をしたように 見せかけて→ 姿を消す時に スマホを持ち去った｡ 問題は 児玉さんが なぜ→ 上野さんと同じ顔に整形したのか という事ですねぇ｡ 白鳥先生の言うように→ 医者が勝手に 患者の顔を 変える事はできません｡ 本人の同意が必要ですからね｡ ええ｡ (月本幸子)お待たせしました｡ (幸子)どうぞ｡ おお～！ あっ ちょっと 女性の意見を聞かせてください｡ どっちが… まあ いい男ですか？ (幸子)こっち？ いや でも こっちもいいですよ｡ うん… やっぱり そうですよね｡ 彼 整形したんですけど→ わざわざ整形するほどじゃ ないですよね？ (笛吹悦子)えっ 整形したの!? うん｡ でも その理由がわからない｡ まあ 自分の顔へのコンプレックスは→ 人には わからない事ですからねぇ｡ ああ 私もあるなぁ 自分の顔で 好きなとこと嫌いなとこ｡ えっ お前あるの？ あります～！ (悦子)まあ でも 親からもらった顔ですからねぇ｡ そう思って 諦めましょう｡ (悦子)そうですね｡ じゃあ 早速 いただきます｡ (幸子)どうぞ｡ 確かに 親からもらった顔ですねぇ｡ (真奈)お待たせしました｡ 子供会のお祭りの時の写真に 写っていました｡ 拝見します｡ これです｡ この方が 則彦さんのお父さん？ (真奈)はい｡ (配達員)お届け物です｡ (真奈)ありがとうございます｡ ハンコお願いします｡ (真奈)はい｡ ありがとうございました｡ ありがとうございます｡ えっ!? どうしました？ 則彦くんからです｡ 開けてもらってもいいですか？ あ はい｡ ♬～ (真奈)今日 私の誕生日なんです｡ 則彦くん… 毎年 忘れずに プレゼントくれるんです｡ ちょっといいですか？ はい｡ ♬～ ≪杉下さん！ 上野拓馬が スマホを利用していたのは→ 13日まででした｡ つまり 14日以降は使われていない｡ ええ｡ そして 会社を休み始めたのは→ 14日からです｡ なるほど｡ で お願いしたものは？ ええ｡ やはり この遊園地で撮った 写真だったんですね｡ ええ｡ 実は児玉さんもここに来ています｡ 日曜日の午後 この売店で ぬいぐるみを購入し→ 今日の着日指定で発送しています｡ 上野さんと児玉さん→ ２人が この遊園地に来ているのは 果たして偶然でしょうかねぇ｡ はい ありがとうございます｡ いってらっしゃいませ！ カイトくん！ はい｡ この遊園地の年間パスポートは お客様の顔なんです｡ 顔？ 年間利用料金を払う時に 顔を登録していただきます｡ 入場の際には こちらのカメラに 顔を向けていただきますと→ 登録されている顔と一致するかを 機械が自動検索します｡ カイトくん｡ 目的は これだったのかもしれませんね｡ (操作音) (ロック解除音) (炭谷)ここが お預かりした書類を 保管するフロアです｡ (米沢)各部屋が 倉庫になってるんですか？ はい｡ クライアントごとに１部屋ずつ｡ ご契約いただいた場合は お宅様の会社の書類は→ こちらの４号室で保管します｡ 顔認証システムですか？ (操作音) ｢認証しました｣ どうして…？ この部屋の担当者に 開けてもらいました｡ こちらの顔認証には 部屋ごとの担当者１名と→ その上司の方の顔が 登録されていますね｡ つまり 預けた書類に 触れる事ができるのは→ その２名のみというのが→ こちらの保管体制の 特徴だそうですね｡ 米沢さん どうもありがとう｡ (米沢)警察を定年して 何かビジネスを始めた時に→ こちらを利用させていただきます｡ 失礼します｡ (炭谷)なんなんですか！ 私をだまして 何がしたいんですか！ 炭谷さんのほうが 先に僕らをだましたでしょ｡ 14日の朝 上野さんから電話があったって→ 言ってましたよね？ 14日の朝 インフルエンザにかかったと→ 上野くんから電話がありました｡ でも 上野さんのスマホは→ 13日を最後に 一度も使用されていないんです｡ 彼の自宅には 固定電話はありません｡ 本当は 電話なんて かかってきて ないんじゃないですか？ 上野さんは 暇さえあれば ゲームをやっていたそうですね｡ (炭谷)上野！ 昼飯 一緒に行くか？ あ… いいです｡ そんな彼が ２週間も→ まったく スマホを 使わないというのは おかしい｡ 違いますか？ 私は何も知りません｡ 炭谷さん｡ 上野さんが担当していた 白鳥美容外科クリニックの書類は→ こちらの９号室に 保管されているそうですね｡ こちらの顔認証には→ 担当の上野さんと 上司のあなたの顔が→ 登録されているはずですね｡ ９号室の扉を 開けていただけますか？ お願いします｡ お願いします｡ どうしました？ (操作音) ｢認証できませんでした｣ おやおや 開きませんね｡ どういう事でしょう？ やっぱり 上野さん 無断で 登録を変えていたんですね｡ 後ろめたい事をする時に→ 急に上司が来たら まずいですもんね｡ ３週間前 上野さん→ 何度か通話をしている相手が いるんです｡ 番号を確認したところ 週刊誌の記者でした｡ 上野さん→ 白鳥美容外科が ここで 保管している書類の中から→ 過去の患者のカルテを見つけ 有名人のものを選び→ そして 30万円で 記者に売っていたんです｡ 当時 上野さん→ 三木賢三という人物に 執拗にたかられ→ 追い詰められていました｡ 週刊誌が発売され 白鳥先生は→ この倉庫からの情報漏えいを 疑ったはずです｡ 責任者である あなたに→ 調べるように 命じたのではありませんか？ 炭谷さん！ (バインダーが落ちる音) そうです…｡ 上野を問い詰めたら…｡ (上野)すいません 本当｡ すいませんでした！ (炭谷)お前 何やってるんだよ！ うちの信用が台無しじゃないか！ ごめんなさい｡ すいません！ バカ野郎！ (上野)すいません｡ ごめんなさい｡ (ぶつかる音) 謝って済む問題じゃないだろ！ 上野！ 上野？ おい…！ ど… どうしよう…｡ (キー操作音) (操作音) ｢認証できませんでした｣ えっ？ (操作音) ｢認証できませんでした｣ な… なんで…？ (炭谷の声)その時 初めて→ 上野が私の登録を消していた事に 気づきました｡ システムが認証しない場合 ドアそのものを壊すしかない｡ でも そんな事をしたら 他の社員が気づいてしまう｡ ９号室の扉を開けるためには→ どうしても 上野さんの顔が必要でした｡ そこで あなたは→ 禁断の行為へと誘ったのですね あの人を｡ (チャイム) また あなたたち…｡ この間も言ったとおり→ 私は 児玉さんの希望どおりの 手術を行っただけです｡ そのようですね｡ 児玉さんは 自ら望んで 顔を変えたようです｡ そして 彼には そうしたい理由がありました｡ 20年前に亡くなった 児玉さんの父親です｡ お母様に話を聞いてきました｡ はい｡ カッとなると 見境なく暴力を…｡ 私だけじゃなく 幼かった則彦にも…｡ (児玉の父親) おい！ てめえ この野郎！ なんだ その目はよ！ おい！ ふざんけんなよ！ おい！ おい！ 今で言うＤＶです｡ つらい体験だったのでしょうねぇ｡ 児玉さんの家には 父親の遺影すら ありませんでした｡ ところが 最近の児玉さんの顔は 父親にとてもよく似てきました｡ 鏡を見るたびに→ そこに父親がいるような錯覚に とらわれる｡ 年を追うごとに似ていく事が嫌で→ 自分の顔を変えたいと 考えるようになりました｡ 父親に似ていない顔ならば どんな顔でも構わない｡ 今と違う顔なら どんなのでもいいんです｡ 先生にお任せします｡ 変えてください｡ そんな時 北山議員の整形の 記事が出ました｡ (炭谷)調査の結果→ 情報漏えいは 当社からではありませんでしたが→ 今後は 私がこちらの担当に 戻らせていただきます｡ 炭谷さんなら安心だわ｡ 実は 私 セキュリティ設備の 性能調査も担当してるんですが→ 先生は 以前 整形した顔を機械が見破れるか→ 試してみたいと おっしゃってましたよね？ どうでしょう｡ 先生の技術で 顔認証システムに 挑戦してみませんか？ うまい言い方をしたものです｡ 美容整形の技術を駆使して 機械をだませるか｡ 技術に自信のある あなたは→ 大いに 興味をそそられたでしょうねぇ｡ もちろん 顔認証の仕組みについても→ 研究なさったのでしょう｡ 同じ顔と認識されるためには 少なくとも→ 瞳の位置が同じでなくては なりません｡ 骨格も近いほうが望ましい｡ 偶然にも該当する人物が 患者の中にいました｡ 児玉さんです｡ しかも 彼は→ どんな顔になっても構わないと 思っている｡ 願ってもない存在でした｡ (聡美)わかりました｡ あなたの顔を まったくの別人に してさしあげます｡ (児玉)よろしくお願いします｡ ♬～ (聡美)11番｡ ≪はい｡ ♬～ 希望どおり 今までとは違う顔に なった自分に→ 児玉さんは とても満足したはずです｡ まさか 他人と同じ顔に なっているとも知らずに｡ そんな彼に あなたは こう持ちかけたのでしょうねぇ｡ 整形した顔を 機械がどう判断するのか→ 実験に協力してほしいと｡ いらっしゃいませ｡ こちらに顔を近づけてください｡ 認証されました｡ どうぞ いってらっしゃいませ｡ テストは成功しました｡ あなた方は 児玉さんを→ クラウン倉庫の９号室の前に 連れていき…｡ ｢認証しました｣ 遊園地のよりもさらに→ 顔特徴点検出処理能力の高い 機械に→ あなたの整形技術は 勝ったんです｡ 児玉さんが開けた扉の 向こうには…｡ (聡美)なんなの これ…｡ 先生 一体どういう事ですか？ あの顔 僕の顔と一緒…｡ ああ… ああ…！ (聡美)炭谷さん！ ♬～ (炭谷)この顔は もう必要ない！ うわああ！ (ぶつかる音) おい 起きろ！ おい 起きろ お前！ 無駄よ！ 生体認証は 死んだ人間では作動しないわ｡ 私は関係ないからね｡ 何も見なかった事にする｡ (叫び声) そのあと 炭谷は→ 児玉さんの遺体を 上野さんの部屋に運び→ あたかも上野さんが 自殺をしたかのように偽装した｡ 全部 炭谷がやった事よ｡ 私には関係ない！ 確かに 先ほど連行された炭谷も そう自供しています｡ でも 関係ないって事は ないでしょ｡ あなたが顔を変えたから 児玉さんは殺されたんです｡ 変えてほしいと望んだのは 児玉さんよ｡ どんな顔でもいいから変わりたい｡ そこまで思い詰めた 児玉さんの気持ちを→ あなたはご存じだったはずです｡ その児玉さんを あなたは実験台にしたんですよ！ そんな事わかってる！ でも やってみたかったの｡ 完璧に同じ顔が作れるか やってみたかった…｡ ご覧なさい ご自分の顔を｡ 医師でもない 人間でもない 今のご自分の顔を→ ご覧なさい！ 則彦さんは お母さんのために 顔を変えたんです｡ えっ…？ 則彦さんが家を出る前日→ ささいな事で親子げんかをしたと おっしゃっていましたね｡ いちいち 俺に頼るなよ！ ごめんなさい｡ その時 あなたのおびえる姿を見て→ 則彦さんは気づいたんです｡ 父親と同じ顔が お母さんを怖がらせている｡ え…？ 整形前のカウンセリングで→ 息子さんは こう言ったそうです｡ 今の顔のままでは 母とは暮らせません｡ この顔が 20年前のつらい生活を 思い出せてしまう｡ 母のためにも 顔を変えたいんです！ 私のために…？ ええ｡ 則彦さんは 嫌になって家を出たのではなく→ 新しい顔になって お二人のもとに 戻ってくるつもりだったんです｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ 則彦…｡ (嗚咽) 則彦…！ (嗚咽) 則彦…｡ ♬～ ♬～ 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。 ≫こんばんは。 ≫ここから 「報道ステーション」です。 ちょっと聴いていただけますか。

幕末グルメ・ブシメシ！１st＃03

1 (ドアが閉まる音) <時は幕末 所はお江戸｡➡ 参勤交代で江戸に来た 酒田伴四郎｡➡ 殿様のお召し物を支度する 衣紋方ではありますが➡ 仕事は少なく 暇ばかり｡➡ 今日は ｢きじや｣が 何やら騒がしいご様子｡➡ 大食い大会？ 町人たちや お相撲さんが➡ すごい勢いで食べております> (平三)負けるな！ もっといけ！ よし！ (伴四郎)お代わり｡ (お羽)は～い｡ なんと うまい｡ (平三)毎日毎日 米 汁 漬物｡➡ 米 汁 漬物｡ 米 汁…｡ (五郎右衛門)聞き飽きました｡ 干物は？ 買えませんよ｡ 米や味噌まで値上がりしてる このご時世 魚など贅沢品です｡ 小林先生の話では ﾍﾟﾙﾘが浦賀に現れてからこっち➡ 漁師たちは恐れて漁に出ず➡ 江戸の魚が べらぼうな値段に なっておるそうです｡ せめて ﾒｻﾞｼの一本も食わねば 仕事にも身が入らん｡ 確かに たまには好きなものを 腹いっぱい食いたいですなぁ｡ そういえば 先日 ｢きじや｣を訪れた際…｡ ｢きじや｣？ ｢きじや｣とは しゃも鍋の｢きじや｣か？ お主 抜け駆けして しゃも鍋を 堪能してきたというのか？ このご時世に！ たまたまです｡ その｢きじや｣に 催し物の張り紙がありまして｡ 催し物｡ うん ちょうどいい｡ 伴四郎 腹いっぱい食わせてやる｡ (平三)そうだ 伴四郎！ 食え 食え 食え！ 食いまくれ～！ (太鼓の音) (主人)やめい！ １等は 松平家家中 酒田伴四郎殿｡ ようやった 伴四郎！ 景品は 豪華 魚介の盛り合わせでございます！ よ～し よしよしよし｡ ﾊﾊﾊﾊ…｡ これで わびしい食事とも おさらばよ｡ はて 宇治井殿は この景品 どうなさるおつもりで？ 分かっておる｡ 均等に山分けじゃ｡ それは困ります｡ ん？ 大食いの催しに 参加を促したのは私です｡ そして １等を取ったのは伴四郎｡ 我々が山分けするのは 分かりますが➡ 宇治井殿は 何もしておりません｡ 確かに！ 伴四郎 この景品は ２人で山分けしよう｡ そうだな｡ 応援！ わしの力強い応援あってこそ 伴四郎も力を発揮できた訳じゃろ｡ それが どれほど尊い事か｡ お主ら それが分からんか？ 寂しい人間よのう｡ もう一度 勝負しろ｡ えっ？ 貴様のような痩せぎすが あれほど食える訳がない｡ 何ぞ ｲﾝﾁｷでもしたのだろう 卑怯者が｡ こやつは 童の頃から 痩せの大食いでの｡ 箸を取り上げでもせん限り➡ １升からの飯を ﾍﾟﾛﾘと食うてしまうほどで｡ 藩から禄を頂いている この小車が➡ ｲﾝﾁｷ相手に 負けを認める訳にはいかん｡ まあ しかし 大食いが終わったばかり｡ 無理をすると胃が破れて…｡ 構いませんよ｡ 伴四郎｡ ｲﾝﾁｷ呼ばわりされて 引き下がる訳にはいきません｡ お代は 負けた方が払う約束で よろしいか？ ﾊﾊｯ 見た事か｡ 潔く負けを認めればよいものを｡ 負けてはおらん！ しかし 結果は見てのとおり｡ うん｡ 今日は調子が悪かった｡ 朝げに １升の飯を食うたしな～｡ ﾊﾊｯ 負けず嫌いとは あやつの事じゃ｡ あの～ お代を｡ いや お代は あの小車… あっ！ あいつ～｡ ♬～ あっ これは｡ 何じゃ またお主か｡ 酒田殿は？ 伴四郎なら中じゃ｡ 勝手に入れ｡ かたじけない｡ お主…➡ 暇なのか？ は？ いい年をして 飽きもせず 毎日のように入り浸り…｡ 暇人は いいのう｡ 殿… 毎度 屋敷を空けて 騒ぎにはならんのですか？ わしなど おらねばおらぬなりに 事は進む｡ 我が藩には 優秀な重役衆がおるからのう｡ しかし 殿…｡ 殿ではない｡ わしの事は ただの中間だと思ってくれ｡ いや また失礼を働くような事が あっては…｡ そんな事 いつまでも 根に持っておられるか｡ わしの事は…｡ 哀れで惨めな 哀川惨助 そう呼べ｡ 根に持ってる…｡ まあ 崩せ｡ えっ？ あ… 失礼します｡ ｱﾊﾊﾊ｡ では 惨助殿 今日は どうされました？ おっ｡ この度な 立石の藩邸で 相撲の催しをする事になったんだ｡ 相撲？ そう 相撲じゃ｡ 我が藩からも代表を選び出しての 一番勝負じゃ｡ どうじゃ？ こう… 何か たぎらんか？ ｱﾊﾊ たぎりますなぁ｡ ｱﾊﾊﾊ｡ でも 私には無理ですよ｡ 相撲は大好きですが 藩の代表となると…｡ 我が藩の代表は 竹若に決まっておろう｡ ああ… なるほど｡ では 何なのです？ 相手方に偵察に行ってくれんか？ ず～っと暇じゃろ？ え～？ お主に文を託す｡ 表向きは この文を届けに➡ その実は 相手方の様子をうかがうため➡ 立石藩に向かってくれんか？ 偵察など 大げさではありませんか？ いや まあ 確かにな｡ 一見 たかが相撲じゃ｡ 勝てば それでよい｡ しかし…｡ もし 万が一にも 負けるような事になれば…｡ 何です？ いやいや 忘れてくれ｡ お主に迷惑はかけたくない｡ 邪魔したな｡ わ… 分かりました｡ 一度だけですよ｡ おお すまん｡ すまん｡ 助かる｡ こちらが 殿からの文でございます｡ 確かに 受け取りました｡ どうです？ 茶の一杯でも｡ あ いえ お構いなく｡ 私は これで｡ ♬～ 小車？ お主 どうして ここへ？ 我が藩と立石藩とで 試合が催されるというので｡ 高野藩では敵方を恐れ 偵察まで出すのか｡ 肝の小さいことよ｡ 世話係に とやかく言われたくない｡ 世話係ではない！ 今日は たまたま体調が悪く➡ 稽古を休んで 世話係を買って出ただけだ｡ ｱﾊﾊ｡ しかし 私よりも食の細いお主が➡ 巨漢を押しのけ 藩の代表という事もなかろう｡ おっ バカにしておるな？ ああ｡ 勝負だ！ 相撲で勝負しろ｡ 大食いの次は相撲か｡ よかろう｡ ♬～ おじけづいたか？ …まさか｡ はっけよい｡ のこった！ (親方)何をしておる！ 親方…｡ (親方)誰だ？ 冷やかしに のぞいておるやつが いたので➡ もんでやろうと思いまして｡ 生意気な…｡ 世話係は 身内の世話だけしておればよい｡ ですよね？ 雲海殿｡ うん｡ 世話係ではありません！ わしが必ず藩の代表となり➡ 小車の名を 世間に轟かすつもりです｡ 意気込みだけは立派だな｡ ねっ？ 雲海殿｡ お客人 これから この小車を かわいがらねばなりません｡ お帰り願えますか？ はい｡ 承知した｡ 小車 この間の大食い延長戦の お代を払え｡ 私が立て替えておるのだ｡ お代？ はて｡ おい｡ (雲海)お客人！ お帰り願えますかな｡ お帰り願えますかな｡ 立たんかい！ おう どうだった？ 気になる力士はおったか？ 確か 雲海というのが 一番強そうでしたが｡ あ～ やはり立石は 雲海を代表に立てるか｡ ｱﾊﾊﾊ｡ なら 問題ない｡ ほかに めぼしい力士は？ いや 特に｡ いけすかない力士は おりましたが｡ お代も払わずに ごまかしたのか 小車のやつ｡ ああ｡ たちの悪い｡ 育ちも知れるわ｡ いよいよ負けられんな｡ 勝とうが負けようが どちらでも構いません｡ もう 一切関わりたくない｡ 阿呆が｡ ここぞの今 高野藩の勝利に 貢献できれば褒美➡ いや 出世の道もあろうに｡ また 出世話ですか｡ 相撲の勝敗で出世など…｡ いや そうとも言えん｡ 我が藩の殿は 頭の堅い重役衆とは違う｡ 幕府の顔色ばかりではなく➡ 他藩との交流にも 気を配っておられる｡ 今度の試合が その一環だとすると➡ 勝敗次第では 藩の主導権争いに関わるぞ｡ そうか！ お主が届けたという文も➡ 公にはできない 交渉ごとかもしれん｡ まさか…｡ そうでなければ➡ 御用方を通して 正式に やり取りされるはずじゃ｡ 絶対に負けられぬ戦いが そこにはあるのじゃ！ (お菊)これは？ 立石藩との相撲勝負に備えて ｽｯﾎﾟﾝで精をつけてはいかがかと➡ 私こと当藩の衣紋方 宇治井平三が 仕入れてまいりました｡ (庄兵衛)また首を突っ込もうと いうのか？ 衣紋方の分際で｡ 分際とは何だ 賄方の分際め｡ 確かに 精がつきそうだね｡ じゃあ 締めておくれ｡ 何してんだい ほら｡ いや…｡ ♬～ 与一！ ｷｬｯ｡ 情けないねぇ 男どもが｡ ♬～ いくよ！ (親方)我が立石藩の代表は 雲海殿！ いや～ 雲海殿に勝てる力士は 当藩には おりませんからなぁ｡ なあ？ 皆の衆｡ お待ち下さい！ この小車に いま一度 代表になる機会を設けて頂きたい｡ 代表になれば 相手は 高野の竹若だぞ｡ 勝てる訳があるまい｡ ですよね？ 雲海殿｡ 身の程知らずが｡ 少なくとも お主になら勝てる｡ あぁ？ わ… 分かった！ 雲海殿 お手を煩わせて 申し訳ありませんが➡ 相手をして頂けませんか？ はっけよ～い…｡ <｢おめえら 聞いたか？ 高野と立石の相撲勝負｡➡ 代表が 出そろったってぇ話だぜ｣｡➡ ｢どうせ 高野は竹若 立石は雲海で決まりだろ？｣｡➡ ｢だが 高野の竹若に勝てる力士は そうそう出ねえよ｡➡ また つまらん勝負になりそうだ｣> 小車｡ 何じゃ また冷やかしに来たか｡ そんな暇はない｡ 暇じゃろ 衣紋方風情が｡ そういえば お主 立石の代表に なるんだったな｡ かなったのか？ まさか…｡ ﾌﾌｯ｡ 雲海は まだ ｶﾞﾀｶﾞﾀと ぬかしておるのでな➡ 稽古場は明け渡してやったわ｡ 負けられん｡ 代表戦に勝ち 名を上げるまでは｡ なぜ そこまでして 名を上げたいのだ？ 迷子札？ よいではない…｡ わしには 幼い頃に生き別れた母が おってな｡ まだ幼かったあの日➡ 江戸は 祭りの人出で ごった返しておった｡ 気が付けば… 母の手を離れ➡ それきりよ｡ 母は わしの手を わざと離したのではないかと➡ 何度も考えた｡ もう 江戸には おらぬのではないかとも｡ 名を上げ 母の目に留まり➡ いつか会いたいと ここまで来たが…➡ やっとの思いで手に入れた 最後の機会｡ これを逃せば もう 母には…｡ (泣き声) つらかったろう…｡ これで涙拭け｡ (泣き声) お主が拭け｡ ああ ありがとう｡ 私にも 国元に残した娘がおる｡ 娘と生き別れる事を思うだけで つらくて さみしくて…｡ 母が 我が子の手を わざと離すなどあろうはずがない｡ 小車！ 母上は必ず見つかるぞ｡ 敵方のわしを励まそうというのか｡ あっ…｡ おい 伴四郎｡ 惨助…｡ すまん 失礼する｡ お～｡ 知っておるか？ この小車という力士｡ 知りません｡ 無名の力士で奇襲戦法とは こざかしい｡ こんなもの 我が藩の竹若には通用せん｡ 猪突猛進で 身も心も折れる事はない｡ ぶちかまして ｲﾁｺﾛよ｡ ｲﾁｺﾛですか｡ おうよ｡ しかし これも 我が藩の行く末を見据えての事｡ 小車には気の毒だが 負けてもらうしか…｡ 行く末？ 我が藩の？ はい｡ 相撲の勝敗によって 我が藩の命運が…｡ 命運？ え？ え？ 違うのですか？ 相撲の勝負に負ければ 我が藩の行く末は暗いと｡ いや 行く末というか… 裸踊りよ｡ 裸踊り？ 負けた方の藩主が➡ 裸踊りを 披露する事になっておっての｡ 相手方 立石藩の浅野近道ってのが➡ これが また 性根の ねじくれ曲がった男でな｡ ﾍﾗﾍﾗﾍﾗﾍﾗ 余裕を見せてくるもので つい 粋がってな 約束してしもた｡ そんな事ですか…｡ そんな事よ｡ 大恥じゃろ 負けたら｡ では あの文は？ ああ… あれな｡ (近道)あ～っ 茂照め！ バカにしおって～！ ｱﾊﾊﾊ！ ｱﾊﾊﾊ！ どうした？ 伴四郎｡ 失礼｡ 野暮用を思い出しまして｡ ≪ｱﾊﾊﾊ！ ♬～ おっと｡ (すず)ﾂﾙﾂﾙ逃げますから 気を付けて下さいね｡ すず｡ はな！ 今日は はなも一緒か～｡ はい 父上！ ♬～ 焦がさぬよう 気を付けて下さいね｡ 分かっておる｡ ♬～ (すず)生姜は万能薬です｡ 体が温まって 元気が出ますよ｡ なるほどな～｡ はい｡ おいしい！ ♬～ 味噌は たっぷり塗ってね｡ できた｡ のう すず はなよ｡ ≪(小車)邪魔をする｡ よく来たな｡ ちょうど 支度ができたところだ｡ 敵方をもてなしたいとは どういった了見だ？ 田楽？ 蒟蒻か？ おう｡ もっと精のつくものが 食えるのかと思ったが｡ もしや お主 敵方のわしを ふぬけにでも しようというのか？ そのとおり｡ 何じゃと？ お主は 力み過ぎておる｡ 気持ちが前に出過ぎて 気負い過ぎて｡ それでは 飯も喉を通らん｡ 体も動かん｡ 分かっていても 力が入るのじゃ｡ 母を思うとな｡ 硬くなっても折れるだけ｡ 力を抜けば 折れる事などなかろう｡ 蒟蒻のようにな｡ 柔よく剛を制す｡ なるほどな｡ (笑い声) ♬～ いや うまかった｡ ごちそうさまでした｡ 飾りにしたのは 菖蒲の葉｡ お主の勝利を祈っておる｡ 相手方を応援する気か？ 何か問題でも？ つかみどころがないようでいて かみ応えはある｡ お主は 蒟蒻のような男じゃのう｡ お～？ (笑い声) <｢おめえら 聞いたか？ 高野と立石との一騎打ち｣｡➡ ｢そういや 今日だったな｣｡➡ ｢噂じゃ 負けた方の藩主は 裸踊りを披露するとか｣｡➡ ｢年寄りの裸なんて 誰が見てえんだか｣> (太鼓の音) (行司)東 立石藩｡➡ 小車｡➡ 西 高野藩｡ 立石の殿様は ふざけてんのか？ あんなやつが 竹若に勝てるはずがない｡ それに あれを見ろ｡ 迷子札ではないか？ (笑い声) やめるの 今のうちだぞ｡ こりゃ うちの勝ちで決まりだね｡ (行司)手をついて 待ったなし｡➡ はっけよ～い｡ (行司)のこった！ のこった！ ♬～ こしゃくな…｡ ♬～ やあ～っ！ (行司)しょ… 勝負あり！ よっしゃあ～！ やった！ おい 小車！ おい！ やっ…｡ ちょっと やめ…｡ 違う 違う 違う！ 喜んでない！ 喜んでない！ 喜んでない！ 伴四郎…｡ 持ってけ 持ってけ！ 高野と立石の➡ 裸踊りをかけた相撲対決でい！ くそ～ もう～！ 小吉…｡ 字が読めんのか｡ 小吉ではない｡ 小車じゃ｡ いいや 小吉じゃ｡ ♬～ 次！ ♬～ ｱﾊﾊﾊ｡ いや～｡ うわ～っ！ 伴四郎｡ はい？ 寒い｡ えっ？ 寒いのじゃ 伴四郎｡ 裸踊りで 体が冷えてしもうた｡ 相撲など取って 体を温めたい｡ はっけよい のこった！ (歓声) お主 立石との相撲 見に来ておったろ｡ す… 相撲？ さあ｡ お主 小車の応援しとったのう｡ めっそうもない｡ 正直に申せ｡ 実は あの 小車というやつは かわいそうなやつで…｡ おかげで 我が藩は 面目 丸つぶれじゃ｡ いてっ｡ 大変 失礼しました！ 成り行きゆえ つい…｡ 勝つのは 気持ちいいのう｡ ただ見てるより よっぽど面白い｡ ﾊﾊﾊﾊ！ またやろう 伴四郎！ 御免！ ｢拝啓 すず殿 はな坊｡➡ 江戸は 力強い町です｡➡ このまま平和に平穏に➡ 勤番生活を全うできると よいのですが…｣｡ あの中間…｡ ♬～ ♬～ ♬～ 世界が驚がくした あのテロの時も…｡ ﾌｪﾙﾒｰﾙの世界的名画が 盗まれた時も…｡ 宇宙で初めて起きた 爆発事故の時も…｡ (爆発音)

レディ・ダ・ヴィンチの診断＃02

1 ≪うぅ～ うぅ～…｡ ≫うぅ～ うぅ～…｡ ≪痛いよ～ 痛いよ～｡ ♬～ 下ろします｡ １ ２ ３｡ ≫頭部を強打しています｡ ≪バイタルは？ ≫血圧８０の５０ 脈拍１２０｡ ≪意識レベルは？ ≪３００です｡ ♬～ (橘志帆)あぁ…｡ ふぅ…｡ あっつい！ (真央)大丈夫？ 手伝おうか？ 平気 平気｡ もう出来たから｡ あっつい｡ チン！ おっ｡ はい お待たせ～｡ はいはい～｡ よく焼けてるね｡ う～ん？ このほうがね➡ 中まで香ばしいしね｡ 貸して ほら｡ はい｡ 削れば食べられるから｡ [TV] 今朝は 東京オリンピック出場を目指す➡ 競泳の南野和己選手に注目です｡ 次のオリンピックは東京か｡ うん｡ [TV](南野)メダルっすか？ もちろん金メダル｡ 当然っすね｡ ４年後｡ 真央は１４歳｡ 中学生か｡ うん｡ 一緒に観にいきたいね｡ よいしょ｡ (２人)いただきま～す｡ ♬～ (潮崎) な～に ちんたら泳いでんだよ｡➡ 世界選手権の選考 始まるんだぞ？➡ なあ｡ 気合い入れろよ｡ うるせぇな｡➡ 俺なりの調整があるんだよ｡ おい｡ (夏海)ついに 岩倉先生も➡ 日の丸をつける日が来るんですね｡ (岩倉葉子) 大げさよ｡ 選手じゃないんだから｡ あっ うちの期待の星が来ました｡➡ おい 南野｡➡ こちらは東光大学病院の➡ 岩倉先生と村上先生だ｡➡ 岩倉先生は今度 うちのチームドクターになられる｡ あっ まだ調整中なんですけどね｡ テレビ番組のレギュラーなんか やってるもんですから｡ はははっ｡ (夏海)あれ 知りません？➡ ｢お助けドクターＳＯＳ｣｡ ちょっと 村上先生｡ 聞いたことあるでしょ？ お天道様は ごまかせても…｡ (南野)あの 俺 まだ練習あるんで｡ あはっ 緊張してるんですかね？ 彼｡ テレビに出る人を見て｡ あははっ｡ では トレーニングルームに ご案内します｡ ♬～ (結衣) あの 競泳の南野和己ですか？ (夏海)今日から検査入院してる｡➡ 競泳日本代表のチームドクター➡ 岩倉先生に助けを求めてきたのよ｡ (結衣)私 大ファンなんですよ｡ そういえば この子➡ 最近 テレビなんかで よく見るわね｡ (結衣)東京オリンピック 期待の注目選手ですから｡➡ アイドル並みのルックス ファンを魅了するビッグマウス➡ それでいて 幼い頃に父親を亡くし➡ 新聞配達をしながら 母親を助けていたという苦労人｡ (田丸綾香) お父さん いないんですか？ (結衣)きゅんときた？ けなげさに 母性本能をくすぐられるよね｡ (藍)植松先生 入れ込んでますね｡ 大騒ぎしないように｡ くれぐれも極秘でお願いよ？ 本人は家族やコーチにすら 知らせてないんだから｡ そんなに ないしょにするって よほどのことですね｡ 症状は？ 全身のけん怠感と筋力低下｡ 最近では 思うように体を 動かせないこともあるらしいわ｡ オリンピックを目指そうって 選手がですか？ だからセカンド･オピニオンが 欲しいのよ｡ (藍)セカンド･オピニオン？ 他の病院で もう➡ 診断済みなんですね｡ 城北神経研究センター｡ 藤島センター長のね｡ (結衣)藤島先生なら➡ 間違いないですね｡ う～ん まあ 私と一緒に➡ ｢お助けドクターＳＯＳ｣に 出演してるぐらいだからね｡ で 診断は？ ＡＬＳ｡ ＡＬＳ？ (雪野)筋肉質の人は 発症時にわかりにくいのよ｡ ｢ＡＬＳ 筋萎縮性側索硬化症｡➡ 筋肉の萎縮と 筋力低下を来す神経変性疾患｡➡ 根本療法はなく 対症療法のみ｡➡ 進行を 多少遅らせることはできるが➡ それでも３年から５年で➡ 呼吸筋が まひを起こして 呼吸ができなくなる｣｡ (雪野)このままじゃ オリンピックどころか…｡ 南野さんに話聞いてきま～す｡ 待ちなさい｡ はい？ 南野和己は➡ この私に診てほしいと 言ってきたの｡ あなたじゃないのよ？ 指名のない医者は➡ 外来でも診ときなさい｡ ♬～ 橘先生って熱心ですよね｡ 患者さんへの思いが強い｡ 何？ 急に｡ なぜ 脳外科じゃなく➡ 解析診断部なんかに いるんですか？ あなたみたいな オペの天才がいるべきなのは…｡ 新田先生は なぜ解析診断部に？ 私は…｡ 橘先生！ 待ってください｡ やっと来た｡ 行こか｡ はい｡ じゃあ 新田先生 また｡ 何してたの？ 追いかけてました｡ あっ メーク直ししてきたでしょ｡ えっ 直してないですよ｡ 南野選手に会うからですか？ 先生｡ 前の病院で診断された 南野さんの検査報告書➡ 特に不備は見当たりませんね｡ 画像やホルモン値を含めた➡ 血液検査も ちゃんとされてるし｡ う～ん…｡ 診断の決め手は➡ 全身の 筋線維束性収縮ね…｡ あの 今からどこ行くんですか？ 岩倉先生たちは部長室で 協議診断していて➡ しばらく出てこない｡ えっ まさか… さっき 手を出すなって➡ 言われたばかりじゃないですか｡ 手は出さないけど 口は出す｡ はぁ～ もう～｡ ＡＬＳだなんて信じてないから｡ でも前の病院で そう診断されてるけど｡ だったら それが間違ってんだよ｡ あんたら 医者だろ 何とかしてくれよ｡ 次の東京オリンピックで 絶対メダル取りたいんだ｡ そう言われても…｡ わかったわ｡ じゃあ ＡＬＳじゃない病気を 探りましょう｡ 頼むよ｡ 随分 水飲むのね｡ 何か 喉渇いて｡ 南野和己は かたくなに ＡＬＳではないと主張している｡ ＡＬＳ以外で考えられる 病気の可能性は？ 主な症状は 全身のけん怠感と筋力低下｡ ギランバレー症候群｡➡ 筋肉を動かす運動神経が障害され 筋力低下が見られます｡ (雪野)でもギランバレーって 急性発症でしょ？➡ 発症速度は今のところ 穏やかだから合わない｡➡ CIDPのほうが説明はつく｡ 重症筋無力症も当てはまりますね｡ うん｡ 他には？ (藍)とりあえずは こんなところですかね｡ ｢ギランバレー CIDP 重症筋無力症｣｡ まずは その線から当たりますか？ う～ん… まあ べつにいいや｡ えっ？ この程度なら 岩倉先生たちも行き着くはず｡ ほっといても 髄液検査くらいするわよ｡ じゃあ 他にも候補を…｡ それより➡ 私たちには行くべきところがある｡ 行くべきところ？ ♬～ ここですか？ そうよ｡ 南野さんを取り巻く環境が➡ 病気の原因に なってるかもしれない｡ 私たちは それをじっくり観察する｡ 見て さすが一流選手｡ 最後の伸びが違うわね｡ 詳しいですね｡ これでもね➡ 日暮里三中の ５０ｍクロールの記録持ってるの｡ 三中のバショウカジキって 呼ばれてたのよ｡ バショウカジキ？ 知ってる？ バショウカジキ｡ 世界最速の魚｡ 時速１０５kmで➡ あっ 一部では１１０km/h っていう話もあるんだけど｡ 背びれが こういうふうに…｡ ≪(潮崎)すいません｡➡ 一般の方は ここ入れませんよ｡ 出てってください｡ すいません｡ 入り口が開いてたもんで➡ そのまま入ってきちゃいました｡ やっぱり 先に受付で 言ってからのほうが良かったのよ｡ 田丸先生 謝って｡ えっ？ 早く｡ すいません｡ (潮崎)岩倉先生がﾁｰﾑﾄﾞｸﾀｰになる話 聞いてますよ｡ で 選手の皆さんの 現在の健康状態を確認してこいと｡ 問題ありません｡ 日頃から管理してますから｡ あぁ 南野選手は？ 私 ファンなんですよ｡ (潮崎)しばらく休みです｡ 田舎の お母さんの体調が悪いとかで｡ あぁ～ 田舎のお母さんがね｡ うん｡ それにしても期待されてますよね 南野選手｡ (潮崎)ええ 才能もあるし 努力も惜しまない｡➡ 世間ではビッグマウスなんて いわれてますけどね｡ 本当は気の優しいやつで とても繊細なんです｡ ふ～ん｡ そういえば さっき ﾉｰﾄに書かれてたのって何ですか？ (潮崎)あぁ タイム表です｡ う～わ これは丁寧に取ってますね｡ ほら せっかくだから 田丸先生も見せてもらいなさい｡ 潮崎コーチ あそこにある トロフィーって何ですか？ 棚の上にある｡ あぁ～ あれですか｡ 見せていただいても？ あぁ～ どうぞ｡ すいません｡ (潮崎)はい どうぞ｡ それ 写メ｡ えっ？ (潮崎)どうぞ どうぞ｡ うわ～ たくさんありますね｡ また こんなことして｡ やはり ｺｰﾁの指導がいいんですね｡ (潮崎)いや～ もう 選手の頑張りですよ｡ 私なんて｡ また ご謙遜を｡ カシャ！ はくしょん！はくしょん！ いやいや 何でもないです➡ いや 何でもないです｡ あっ こっちは何ですか？ これは… はくしょん！ カシャ！ 言えば 借りられたんじゃないんですか？ 借りられるわけないじゃない｡ ライバル国のスパイだ つって➡ 撃たれるわよ｡ まあ 撃たれはしませんけど｡ でも意外でしたよね 南野さんが実は繊細だったなんて｡ ほんとの自分を隠し続けるｽﾄﾚｽは かなりのものね｡ ストレスが原因の病気ってことも｡ 十分ありうる｡ うん｡ 髄液検査の段取りは？ (結衣)これから腰椎穿刺して すぐに回します｡ (夏海)南野選手を救ったとなれば 岩倉先生の名声は増すばかり｡➡ 日本代表のﾁｰﾑﾄﾞｸﾀｰどころじゃ ありませんね｡ えぇ～ これ以上 テレビ出演が 増えても困るんだけどね｡ ふふふっ｡ [TEL](着信音) (結衣)あっ 南野君の準備 できたみたいですね｡➡ はい 植松です｡ あっ 藤本君 お疲れさま｡ これから そっちに…｡ えっ？ うん わかった｡ すぐ行くから｡ どうしたの？ 南野君が｡ えっ？ (藤本)はぁ～ どうする？ (渡辺)参ったな｡ (夏海)いなくなったって どういうことよ｡ (藤本)いや 僕らが来たときには もういなくて｡ あっ 病院の外には出ていない｡ 手分けして捜すのよ｡ (藤本･渡辺)はい｡ もう…｡ ちょっと あなたたちもよ｡ はい｡ えぇ～｡ (北畠)新田先生｡ ふっ｡ 新田先生｡ 北畠院長｡ 隣 座っても？ どうぞ｡ どうですか 橘先生は｡ うまくやってますか？ 院長は なぜ➡ 橘先生を解析診断部に ﾍｯﾄﾞﾊﾝﾃｨﾝｸﾞしたんですか？➡ 脳外科にいてこその人じゃ ないですか｡ (北畠)ほう｡ 随分 橘先生に 思い入れがあるみたいですね｡➡ 同じ外科医として 重ねる部分があるんですかね｡ 確かに似てるかもな｡ 新田先生のオペの腕は 橘先生に劣らない｡➡ その若さで大したもんです｡ 腕が良くても➡ オペができなければ 意味ありません｡ 橘先生も➡ 私と同じように 組織から追い出されたんですか？ 戻りたいんですか？ 心臓外科に｡ 戻りたいと言ったら➡ 戻してくれるんですか？ (北畠)解析診断部は まだ立ち上がったばかりです｡➡ 新田先生のような優秀な方の力が 必要です｡ (雪野)はぁ～｡ 高杉先生｡ (高杉)必ず俺が戻してやるから｡ どうやって？ 簡単に言わないで｡ どこに？ 解析診断部｡➡ 他に行くとこなんてないでしょ｡ そういえば➡ 解析診断部の患者がいなくなった って騒いでた｡ 見てない… はい｡ 渡辺さん どうしたんですか？ 南野さんがいなくなったんです｡ 南野さんが？ (渡辺) 腰椎穿刺の予定だったんですけど｡ [TEL] 今 解析診断部総出で捜してます｡ すいません｡➡ ロビーには いませんでした｡ 橘先生｡ 多分 あそこね｡ えっ？ ここですか？ あっ まさか自殺？ 自分を偽るストレスに 耐えきれなくて｡ あんなにメダルに執着してるのに 自殺なんかしないわよ｡ あぁ 新田先生｡ 新田先生も南野さんを捜しに？ ここか屋上しかないでしょ｡ うちの病院で誰の邪魔もされずに トレーニングできる場所｡ そういうこと｡ あぁ ちょっと｡ あっ…｡ あぁ～｡ あぁ～｡ ≪うまく体が動かない？ 大事な検査サボってまで 練習？ (南野)ルーティンなんだ｡ この時間はトレーニングする｡ 何がトレーニングですか｡ 命に関わるかもしれないのに｡ (南野)しかたないだろ｡ 俺は水泳選手なんだ｡➡ これが俺の仕事だ｡ (雪野)怖けりゃ怖いって 正直に言えば？➡ 誰でも怖いわよ｡ ALSの確定診断が されるかもしれないんだから｡➡ 恥ずかしいことじゃない｡ だから そんなわけねぇだろ｡ だったら 言い訳してないで ちゃっちゃと検査してよ｡ みんな 君を捜して 病院中 駆けずり回ってる｡ それぞれ仕事があるのに いい迷惑だと思わない？ 今 戻ろうと思ってたとこだよ｡ あっ そう｡ じゃあ 戻る前に そこ座って｡ 何で？ まだ つべこべ言う？ 足組んで｡ どっちの？ どっちでもいい｡ 何をするんですか？ 力抜いてね～｡ けん反射の診察｡ はい どうも｡ 病室 戻っていいわよ｡ ♬～ あぁ それから➡ 病院にいる間は トレーニング禁止だから｡ 外出も禁止｡ トイレ行くときも 看護師に声かけてからにして｡ 後 食事のとき以外の水も禁止｡ 飲み過ぎは 検査結果に影響するからね｡ ♬～ ひどいじゃないですか｡ 他に言い方あるんじゃないですか｡ けん反射 なかったですね｡➡ ＡＬＳなら過敏に出るはずなのに｡ ＡＬＳじゃない可能性がある｡ 希望が出てきたってことよ｡ ♬～ 待ってください｡ 待ってください 南野さん｡ 私 わかる気がするんです 南野さんの気持ち｡ お前なんかに何がわかんだよ｡ 私も 小さいときに 親を亡くしました｡ 私の場合 両親ですけど｡ 頼れる親戚もなくて 児童養護施設で育ちました｡ 施設出るために 必死で勉強して➡ 奨学金で医大に進んで➡ 南野さんの水泳みたいに 私は医者になることが全てでした｡ 俺の水泳と一緒にすんなよ｡ ごめんなさい｡ でも➡ 夢かなえたんだな｡ まだ研修医ですけど｡ いつも不安になります｡ いい医者になれるのかって｡ でも 後戻りできない｡ 帰る場所なんてないから 進むしかないんです｡ 進むしかないか｡ 橘先生たち ずけずけ無神経ですけど➡ みんな 南野さんを救いたいって 真剣に思ってるんです｡ だから 私たちのことを信じてください｡ ≫(結衣)いた～｡ 捜し回ったのよ もう｡➡ まさか あんたが 連れ回してたんじゃないでしょうね｡ 違いますよ｡ (結衣)どうだか｡➡ 南野君 こんな小娘に だまされちゃだめよ｡ これから腰椎穿刺されますよね｡ 私もお手伝いを｡ (結衣) 結構｡ 研修医ごときがいても➡ 足手まといなので｡ (結衣)行きましょ 南野君｡ (南野)そんな腕組まなくても｡ (結衣)またどこ行っちゃうか わからないじゃない｡ (夏海)じゃあ 始めますね｡ 痛かったら言ってください｡ ちょっと待って｡ 筋線維束性収縮…｡ いいわ 始めて｡ (夏海)はい｡ (夏海)ちょっと押されますね｡ (結衣)大丈夫ですよ～｡ ♬～ ＡＬＳじゃなければ 助かりますよね 南野さん｡ 何の病気かは まだ これから 探さなきゃいけないけどね｡ (結衣)全く正常｡ 髄液には どこも異常が見られませんね｡ 髄液検査 陰性だったんですか？ 残念だけど やっぱりＡＬＳね｡ 藤島先生の診断どおり➡ 筋線維束性収縮も確認したし｡ 間違いない｡ えっ？ でも ＡＬＳじゃないかもって｡ ＡＬＳじゃない？ 何言ってんの？ けん反射がなかったんですよ 橘先生の診察で｡ (夏海)何でよ｡ ＡＬＳは けん反射があるもんじゃない｡ 診察のしかたが 悪かったんじゃない？ 私が診てあげるわ｡ きちっと正確にね｡ ≪(足音) (南野)何だよ そんな大勢で｡ 打けん器｡ はい｡ 足をこっちに出して 座って｡ (南野)またやんのかよ｡ はい 力抜いて｡ トン！ あっ…｡ けん反射がある｡ こんなの ありえないですよ｡ 髄液検査でも裏打ちされてる｡ 間違いないわね｡ (南野)説明してくれよ｡ 何なんだよ さっきから｡➡ 髄液検査で何かわかったのかよ｡ (結衣) 髄液に異常はありませんでした｡ (南野)どういうことだよ｡ やはり➡ ＡＬＳの可能性が｡ もういいわ｡ ♬～ 待ってください｡ 戻ってください｡ 診断 まだついてません｡ 放せよ！ もういいって！ほっといてくれよ｡ (南野)あれ？ 南野さん？ (南野)力が は… 入らない｡ どうされました？ (南野)入らない…｡ 田丸先生 ストレッチャー｡ はい｡ 南野さん 大丈夫ですか？ 何だよ これ｡ 手足のまひが進行してる｡ マジかよ｡ ≪あれって 水泳の南野和己じゃない？ 似てるけど｡ ほら｡ ≪本人じゃね？ ≪南野だって！ ≫南野和己がいるぞ！ やめてください｡ 撮らないで｡ カシャ！ピピッ！ 撮らないで｡ ≫(宮部)橘先生？ 誰？ (宮部)ｾﾛﾆｱｽ製薬のMR 宮部です｡➡ はじめましてですよね｡ 宮部君 ごめん➡ そこで こうやって｡ こうやって｡ (宮部)はい｡➡ 田丸先生から いろいろ伺っています｡➡ 何度か…｡ 撮らないで！やめて｡ 撮らないで｡ ちょっと どいてください｡ 宮部君 足持って｡ (宮部)はい｡ 南野さん 起こしますよ｡ はい １ ２ ３｡ ≪下がってください｡ 道開けてくださ～い｡ ストレッチャー 通りま～す｡ 通りま～す｡ ♬～ とにかく 今は安静にしないと｡ ゆっくり休んでくださいね｡ (宮部) 田丸先生 随分と親身ですね｡ 好きなんじゃない？ えっ？ (佐々木)何なんですか これは｡➡ ＳＮＳで大騒ぎですよ｡ おかげで 電話での問い合わせが殺到して➡ 事務室はパンク状態です｡ 岩倉先生も➡ なぜ 受け入れる前に ひと言 言ってくださらなかったんです？➡ 病院側としての対応もあるのに｡ たかだかセカンド･オピニオンの 検査入院じゃない｡ そんなに大げさにして どうすんのよ｡ [TEL](ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞ) (佐々木)はぁ… はい 佐々木です｡ えっ？ マスコミがもう？➡ ちょっとテレビつけてください テレビ｡ あぁ はい｡ [TV] 日本代表の南野和己選手が…｡ (夏海)あっ うちの病院｡ [TV] 東光大学病院前から お伝えしています｡ [TV] 病院側からの 正式な発表はないのですが➡ 一部では 重病だと うわさされています｡ [TV] あっ すいません ちょっといいですか？ [TV](宮部)あぁ はい｡ (結衣)宮部君だ｡ [TV] お話伺っても…｡ (佐々木)はぁ～！ (藍)えっ 何してんすか？ (佐々木)念を送ってんだよ 念を｡➡ 余計なこと言わないように｡ [TV] 病院内の様子はどうですか？ [TV] 大騒ぎっす｡ [TV] 大騒ぎ？ [TV](宮部)そうっすよ｡ 僕が病室まで運んだんですけどね｡ (佐々木)あぁ～ 余計なことを｡ バタン！ (佐々木)これでマスコミが 病院に押し寄せたら➡ それこそ 通常業務に差し障りますよ｡ ≫(北畠)おや？ これは これは 皆さん おそろいで｡➡ 岩倉先生｡ 何よ｡ (北畠)さすがですね｡ (佐々木)はっ？ (北畠)南野選手のような有名人が 入院していれば➡ この東光大学病院の いい宣伝になります｡➡ 迅速に南野選手の受け入れを 実行された➡ 岩倉先生のけい眼には 感服しました｡ う～ん まあね｡ 原因不明の病気を突き止める という➡ 解析診断部の創設意図にも 合致している｡ すばらしい｡ 世間から注目 集めますね｡ まさか そこまで計算して｡ 当たり前でしょ｡ 私を誰だと思ってんのよ｡ 注目を集める ということはですよ➡ どういうことなのか 当然 わかっていらっしゃいますよね｡ えっ？ (北畠)下手打つと➡ 解析診断部の評判は がた落ち｡➡ 部長である岩倉先生 個人にも バッシングが｡➡ 私はもちろん そんなこと考えていませんよ｡➡ 岩倉先生はじめ➡ 解析診断部の皆さんを 全面的に信頼していますから｡ では｡ (佐々木)あっ 院長｡ 明日 朝から全員で カンファレンスするから｡ (結衣･夏海･藍)はい｡ 田丸先生｡ はい｡ ちょっとお願いがあるんだけど｡ お願い？ 嫌な予感｡ 今度 ランチごちそうするから｡ う～ん ずっと気になってたのよね➡ ここと ここ｡ どっちも試合の次の日なんだけど➡ 他の日に比べて極端にﾀｲﾑが遅い｡ 練習熱心な南野さんが➡ 試合翌日とはいえ 手を抜くことは考えにくい｡ ということは 何か理由があるはずなんだけど｡ それで 何で私が？ 全部 本気で泳いで タイム差がどれだけ出るかの実験｡ 橘先生が 泳いだらいいじゃないですか｡ バショウカジキなんでしょ？ 田丸先生のほうが➡ 南野さんに 私より年が近いじゃない｡ で 何やるんですか？ ５０ｍクロール １０本｡ １０本!? ピーッ！ テーク ユア マーク｡ ピッ！ ♬～ ピッ！(ｽﾄｯﾌﾟｳｵｯﾁの操作音) １分７秒｡ 何か遅いわね｡ だったら自分で泳いでくださいよ｡ 残り９本で～す｡ 本気で１０本 泳がせる気ですか？ はい｡ えぇ～！ うっ… うぅ～ もう だめ～｡ はぁはぁ…｡ ≫(ﾄﾞｱの開閉音) (潮崎)橘先生 こんなことで ほんとにわかるんですか？ 南野がＡＬＳじゃないって｡ 大丈夫なんですか？ 落ち着いてください これも診断に必要なことですから｡ 落ち着いてられないですよ｡ そうだ｡ 潮崎コーチ➡ お聞きしたいことが｡ 何ですか？ 南野選手 過去に けがしたことありますか？ 南野のけがですか？ はい 思い出せるもの 全部教えてください｡ リオの選考会直前➡ 自転車で転んで 左手首の骨折を｡ そのせいで 選考会には出られなくて｡ けがをしたのは 左手首だけですか？ ええ そのはずですけど｡ 他に打撲したとかは？ 確か 頭も打ったとも 言ってましたけど➡ ヘルメットしてましたし 何ともないはずです｡ 頭？ 村上先生 何でそろってないの？ 私 昨日言ったわよね｡ (夏海)はい｡ ちょっと里見先生｡ えっ？ (夏海)橘先生と田丸先生は？ (藍)えぇ～ 私に聞かれても知りませんよ｡➡ あっ 来た来た 来た来た｡ (夏海)遅いじゃない 何してたの？ 南野さん ＡＬＳじゃないかもしれません｡ はぁ？ 過去に自転車事故で 頭部を強打したことがあるんです｡ 頭部を強打？ もし外傷が原因だとしたら？ 考えられるのは 頸椎症 頸椎椎間板へルニア｡ 外傷性のキアリ奇形｡ 前の病院では 頸椎Ｘ線しか撮ってませんね｡ (結衣)Ｘ線写真じゃ 頸椎症や キアリ奇形はわからないわ｡➡ 首の病気を全く疑わなかったのね｡ このころには既に➡ 筋線維束性収縮が 舌にも出てたからですね｡ 普通 首の病変で この症状は舌には出ませんから｡ とにかく まずはＭＲＩを｡ 所見があれば 手術して確かめるしか方法はない｡ ほんとにそれでわかんのか？ 全てはＭＲＩの結果しだいです｡ 頸椎症かキアリ奇形なら 外科手術での治療が可能です｡ また泳げるようになんのか？ はい｡ うっ…｡ 南野さん？ ちょっと 体が…｡ あっ…｡➡ あっ… 痛い｡ 助けて 田丸先生｡ ≪どうした？ (南野)はぁはぁ…｡ 失礼します｡ ちょっと触りますね｡ (南野)はぁはぁ はぁ…｡ 緊急採血する｡ すぐに準備して｡ はい｡ 南野さん しっかりしてください｡ ♬～ ≫(足音) ≫どうなってるの？ 今度は｡ 突然 全身の痛みを訴えて 血尿｡ 血液検査の結果です｡ 血中ＣＫ １万超えてます｡ １万？ 既に腎機能障害も出始めました｡ 先ほど 大量補液を開始しました｡ ＡＬＳでもなく 頸椎症でもキアリ奇形でもない｡ 何が原因なんでしょうか｡ ♬～ ≪(真央)また考えてるの？ いつも大変だね｡ ＡＬＳの疑いはなくなった｡ 他に出した候補も全部違う｡ 試合後のタイムの悪さ➡ 頭部打撲による疾患の可能性➡ 血中ＣＫの急激な上昇｡ 材料は そろってる｡ なのに つながらない｡ そろってるのに つながらないなんて おかしいね｡ そうなのよね｡ おかしいの｡ 材料に間違ったものが 入ってるんじゃない？➡ このパズルに 関係ないピースが混じってる｡➡ だから いつまでたっても パズルは完成しない… とか？ 間違ったピース｡ ♬～ ♬～ (回想)⦅何が原因なんでしょうか｡⦆ ⦅ＡＬＳでもなく 頸椎症でもキアリ奇形でもない｡⦆ ⦅どっちも 試合の次の日なんだけど…｡⦆ (南野)⦅東京オリンピックで 絶対メダル取りたいんだ｡⦆ ⦅随分 水飲むのね｡⦆ (南野)⦅何か 喉渇いて｡⦆ ⦅前の病院で診断された 南野さんの検査報告書➡ 特に不備は見当たりませんね｡⦆ あっ… ふぅ～｡ 目が覚めました？ まだ生きてるみたいだな｡ 次から次に 何で俺ばかり こんな目に｡ 時間がかかっても きちんと治療すれば…｡ 治る保証あんのかよ？➡ 東京オリンピックで メダル取らなきゃ意味ねぇんだよ｡ おやじが死んでからも➡ 水泳続けさせてくれた おふくろに恩返しできねぇ｡➡ はぁ～ 今までの努力が全部 水の泡だ｡ 何で 俺ばかり｡ ｷﾝｺｰﾝ ｷﾝｺｰﾝ…(心電図の音) 南野さん？ ピピピッ… ピピピッ… 不整脈を起こしてる｡ 心室細動｡ ピピピッ… ピピピッ… しっかりして 南野さん｡ どうしました？ ＣＰＡ｡ 救急カートとＤＣを｡ ≫わかりました｡ 南野さん しっかりして｡ (藤島)南野和己さんの 血液検査ですか？➡ 検査室で検査技師が ちゃんと行なってますよ｡ あの 藤島先生➡ たいへん失礼なんですが 検体を取り違えたりってことは？ そんなことは ありえません｡ あははっ…｡ あの…｡ あっ どうも｡ 南野さんの 血液検査のことなんですけど｡ 何か？ あの日 採血した検体 僕が運んだんです｡ あの… 検査室に運んだときに➡ ちょうど 技師さんの シフト交代時間と重なって｡ あっ ちゃんと 申し送りはしたんですけど➡ ひょっとして 処理に時間がかかったのかも｡➡ 失礼します｡ ありがとうございました｡ なるほど｡ それかな｡ (雪野)今は落ち着いてるけど このままだと次また何が起こるか｡ ≪(自動ﾄﾞｱの開閉音) 橘先生｡ 遅かったわね｡ どこ行ってたの？ ちょっと 聞いてるの？ Ｔ波減高 Ｕ波増高｡ 一見して ＱＴが延長しているように見える｡ これ見て何か気付きませんか？ Ｔ波減高 Ｕ波増高 ＱＴ延長？ 低カリウム血症｡ すぐにカリウムの投与を｡ 南野さんはＡＬＳなんかじゃない｡ 低カリウム血症だったんです｡ 低カリウム血症は 下痢や おう吐 全身けん怠感 筋力低下➡ しびれ ひどくなると 心不全や不整脈を起こして➡ 死に至ることもあります｡ 初期症状はＡＬＳに似てますね｡ なぜ 血液検査で わからなかったのかしら｡ 藤島先生が見過ごすとは 思えないけど｡ 血液検体が すぐに処理されてなかったの｡ だから もともと 低カリウム状態だったのが➡ 時間経過で上昇し 正常値に収まってしまった｡ (夏海)血液検体が すぐ処理されなかったって➡ 単純な人為ミス？ でも なぜ低カリウム血症に なったんでしょうか？ 恐らく利尿薬ね｡ 低カリウム血症の原因で最も多い｡ 利尿薬 体内の水分を 強制的に尿として出す｡ カリウムまで排出させたのね｡ だから 低カリウムに｡ 同じように マグネシウムも不足して➡ 筋線維束性収縮も起こった｡ (藍)それがＡＬＳの 診断根拠になってしまったのね｡ (結衣)ちょっと待ってください｡ けん反射は どうなんですか？ 低カリウム血症なら 出ないはずですよ｡ だから 私が最初に検査したときは 出なかったの｡ ２度目の検査で急に戻ったのは 入院中で水分制限をしたから｡ そうか 脱水状態だと 反射が出やすくなるから｡ 謎は全部解けましたね｡ 低カリウム血症は カリウムの補正で完治する｡ はぁ～ 良かった｡ これで南野さん 助かります｡ でもね 問題は別にあるのよ｡ えっ？ 南野和己が なぜ 利尿薬を使っているか｡ アスリートが利尿薬を 常用する理由は１つ｡ ≫あっ いたいた｡ 橘先生 田丸先生｡ だいぶ体調良さそうね｡ 先生たちのおかげだよ｡ 筋力が落ちてるから また鍛え直しだけど➡ すぐ復帰してみせる｡ さすが 一流選手はメンタルがタフね｡ この調子だと きっと世界新記録が出るわ｡ 保証する｡ あぁ…｡ 東京オリンピックじゃなくて➡ さんずの川でだけど｡ 問題です｡ 金メダルと命 どっちが大切でしょうか？ あなたの体は もうぼろぼろよ｡ ドーピングのせいでね｡ あなたが死にかけたのは ドーピングを隠蔽するため➡ 競技前に利尿薬を服用し➡ 体外に排出させることが 常態化していたことにあった｡ それが 低カリウム血症を引き起こした｡ ちょっと待ってくれよ 俺がドーピング？ そんなわけねぇだろ｡ 冗談きついよ 先生｡ 証拠でもあんのかよ｡ 証拠？ うん あったら見せてくれよ｡ ないんだろ？ そんなもん｡ そうね 残念だけど…｡ ♬～ ふっ あるんだな これが｡ ないって言うと思った？ 証拠は 潮崎コーチがつけていた あなたのタイム表よ｡ 正確に細かく記録されてる｡ 潮崎コーチの あなたに懸ける思いが➡ ひしひしと伝わってくるわ｡ ただのタイムじゃねぇかよ｡ これの どこが証拠なんだよ｡ ただの？ いい？ 極端にタイムが落ちている ここ➡ それと ここ｡ どちらも試合の次の日｡ こっちは日本選手権➡ そして こっちは アメリカ選抜遠征｡ 疲れが出ただけだろ｡ 疲れ？ いつもの練習のきつさに比べたら 試合なんて楽勝でしょ？ タイムなんて その日の出来による｡ 確かに｡ でも この落ち方は尋常じゃない｡ 他の日に比べて５秒近く落ちてる｡ 実験したのよ｡ 実際に ５０ｍクロール １０本泳いで➡ 全部 タイムを計ったわ｡ まあ 素人だから 最初の３本だけ見たけど➡ タイム差は それほどなかった｡ 最初の３本だけ？ ど素人の田丸先生ですら そうなのよ｡ 水泳選手のあなたが ５秒も 落ちるなんてありえないでしょ｡ 軽く流したんだよ｡ それも却下｡ 入院中でも 練習に執着するあなたが➡ タイムを計るときに 手を抜くはずがない｡ この 極端に タイムが落ちている日は➡ 低カリウムで 体が思うように動かないとき➡ つまりドーピングを抜いたときよ｡ さすがにドーピング漬けは 体に悪いと思ったのね｡ 試合直後から数日間は ドーピングを抜いていた｡ これが証拠｡ まだ言い逃れする？ ふっ｡ あぁ～あ バレちゃったか｡ そうだよ 俺はドーピングしてるよ！➡ けどな テストに引っ掛からなきゃ やってないのと同じなんだよ！ 何がなんでも オリンピックで メダル取るって そういうこと？ 結果が全てだ！➡ 俺はメダルを取ることだけを 目標にやってきたんだ｡ 田丸先生 俺も あんたみたいに夢かなえるよ｡ お母さんのために 泳いでたんじゃないの？ さあね｡ ふぅ～ しょうがないわね｡ 田丸先生 もう諦めよう｡ えっ？ だって 言えることは言ったもん｡ 後は私たちが どうこう できるもんでもないでしょ｡ 結局 本人しだいなんだから｡ 死んでもメダル取りたい っていうなら➡ そうすればいいのよ｡ そんな｡ あなたの気持ちは わからない｡ でも あなたの母親の気持ちは 少しはわかる｡ 私にも子供がいるから｡ 母親にとってはね 子供が金メダルなの｡ かけがえのない 世界で一番大切なもの｡ そんな大切な子供が➡ 自分より先に死ぬなんて 耐えられない どんな親でも｡ あなたが ドーピングに走ったのだって➡ ほんとは お母さんに 恩返ししたかったからなんでしょ｡ 練習に打ち込むあなたの姿は➡ 純粋だった｡ ♬～ 南野さん｡ 何度でも やり直せます｡ 夢があれば｡ ♬～ ♬～ おかえり｡ ただいま 真央｡ 絵描いてたの？ うん｡ ふぅ～｡ ふふっ｡ [TV](南野)私 南野和己は➡ 試合に勝ちたい➡ オリンピックでメダルを取りたい という気持ちが強く➡ ルール違反であることを 知っていながら➡ ドーピングをしてしまいました｡ [TV](南野)ドーピングをする自分を 許せない気持ちもありましたが➡ それ以上に…｡ これで良かったのよ｡ [TV](南野)欲望に負け ドーピングをしてしまいました｡ [TV](南野)ドーピングは…｡ はい｡ [TV](南野)スポーツ選手として➡ 絶対に 踏み越えてはいけない一線です｡ (結衣)ショック 南野君がドーピングだなんて｡ (夏海)岩倉先生の チームドクターの話も➡ なくなったわ｡ 水泳連盟も➡ それどころじゃないですもんね～｡ (夏海)はっ！ あっ！ ♬｢ミラクル｣ あっ｡ えっ？ あっ…｡ ♬～ これ もらっていい？ えっ？ あっ いいですけど➡ もう選手生命 終わりですよ 彼｡ もう１度 はい上がってくるわよ きっと｡ ♬～ ♬～ ♬～ 本当に これで良かったのかね？ えっ？ あの水泳選手 再起できると思うか？ ♬～ お前は あの男から夢を奪った｡ あのままだったら 彼は死んでいたわ｡ お前と関わった人間は➡ みんな不幸になる｡ ♬～ ≫あっ 新田先生➡ ランチ 一緒にどうですか？ 橘先生のおごりですよ｡ うん｡ ≪橘先生｡ 新田先生 こっちですよ｡ はぁ～ 何食べよっかな～｡ ５０ｍ１０本は きつかったからな～｡ １,０００円までだからね｡ えぇ～｡ ドリンク込みで｡ えぇ～｡ えぇ～！じゃないよ 1,000円も出してあげるんだよ｡ 意外とけちですよね｡ 何でも食べな｡ う～ん｡ (藍)集団での発症 症状からすると食中毒｡ (雪野) ただの食中毒じゃありませんから｡ １人だけ 症状の全く出てない子がいます｡ あるわよ ばっちり突き止める方法｡ チャレンジテストですか｡ (藍)危険すぎませんか？ (雪野)でも それしか方法はない｡ 私の指示が聞けないの？ 患者さんを救うためなら｡

美丘～君がいた日々～＃05

1 （峰岸美丘） あれ？　学校どっちだっけ？ 助けて！ （橋本太一）　美丘？ 太一君…。 どうした？ 病気が進行して　記憶障がいが 出て来ちゃったみたい。 おとうさんと　おかあさんに→ 美丘さんと付き合うことを ちゃんと認めてほしいんです。 私からも　お願い！ （峰岸佳織）　美丘！ おかあさん あなたのために　いってんの！ こんなに　お願いしてんのに→ それでも許してくれないん だったら　私　この家　出る。 家　出るって　どういうこと？ この家　出て→ 太一君と一緒に暮らすの。 （峰岸　始）　お前　何　言い出すんだ。 美丘が　家を出て　俺と一緒に 暮らしたいっていって…。 （橋本一郎）　バカ野郎！　お前 何　寝ぼけてんだよ！ じゃあ　一緒に暮らして 美丘さんに　もし何かあったら→ どうするんだ？ お前の責任になるんだぞ。 あんなに必死に 私達から離れて行こうとしてる。 時給８００円で→ 朝９時から夕方まで 働くとしたら…。 １・２…。 何　やってんの？ あぁ…　見れば分かるでしょ？ バイト　探してんの。 バイト？　美丘が？ そう。 私　真剣に考えてるんだからね。 どうしたら　太一君と ずっと一緒にいられるのかなって。 アルバイトして ちゃんと　お金をためて→ ２人で一緒に暮らす部屋を 借りるの。 でも　そんな簡単に行かないだろ。 はぁ～。 ウチも　「一緒に暮らしたい」って いったら　大反対されたからな。 えっ？　太一君　おとうさんと おかあさんに　いったの？ まぁ。 へぇ～！　何だよ やる時は　やるじゃん！ この　この　この…！ 痛い　痛い！　痛い　痛い…。 じゃあ　太一君も　はい 頑張って探してね。 あっ　これなんか いいんじゃない？ 時給２０００円。 えっ？ 経験もいらないし キュートな女のコ　大歓迎だって。 私に　ピッタリじゃない？ フロアレディーって これ　キャバクラだよ。 ダメだよ　ここは。 何でよ！　ちょっと貸してよ。 待って…！ ちょっと～。 （峰岸）　アルバイト？ [TEL]　ええ。 あの子の部屋にあったの。 勢いで　同棲したいなんて 言い出したんだと思ってたけど→ 美丘　本気なんだな。 いくら　会うなっていっても 学校に行けば会えるのよね。 いっそのこと…→ 学校やめさせたほうが いいんじゃないかしら。 佳織。 [TEL]　だって…。 いつ　また　この間みたいな 記憶障がいが→ 起こるかもしれないし…。 このまま　橋本君と 付き合ってたら　本当に→ 家から出てっちゃうかもしれない。 こういうのは　反対すればするほど 反発するもんだよ。 少し様子を見よう。 （ノック） すいません　峰岸さん ちょっと　いいですか？ うん。 悪い　切るよ。 ♪♪～ 太一君ってさ　小学校の時から お小遣い　全部→ 貯金箱に　ためてるタイプでしょ？ は？ しかも　ブタの貯金箱。 そ　そ　そんなこと…。 フフフ…！　あぁ　やっぱり。 そうだと思ったんだよな。 美丘は　どうなの？ 私？ 私はね　あればあるだけ 使っちゃうからなぁ。 だろうね。 まぁ　頑張れば　何とかなるでしょ。 太一君と力を合わせて ２人っきりで生きて行くの。 そのためなら　私 どんなことでも頑張れる気がする。 うん　分かった。 俺も考えるよ　ちゃんと。 よし　じゃ　まず 俺の貯金　全部使って→ で…　でも　そんなないから バイトして。 うん　きっと何とかなるよ。 あれ？ 太一君！　こっちこっち！ えっ？ [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　『カントウラジオ』が 実況生中継でお送りしている→ 明知大学　対　ジョウナン大学の 優勝決定戦。 [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　いよいよ　９回裏…。 すごいよ　優勝決定戦だって！ これで勝ったら まさかの初優勝だもんな！ すごい　９回裏 逆転　チャンスだってよ！ かっ飛ばせ　かっ飛ばせ　『明知』！ かっ飛ばせ　かっ飛ばせ　『明知』！ [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　カウントは　１ストライク　３ボール ピッチャー　ササキ　投げました。 [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　バッター　ヤマナカ　空振り。 あぁ～…。 [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　カウントは　２ストライク　３ボール 明知大学　追い込まれました。 ≪まだ終わってないから！ まだ終わってないから！≫ [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　ジョウナン大学　２年連続の 優勝に　王手をかけました。 （ホイッスル） かっ飛ばせ　かっ飛ばせ　『明知』！ [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　投げました。 [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　打った～　大きい！ 打球は　レフトスタンドへ　一直線。 [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　ホームラ～ン！ [ｽﾋﾟｰｶ]（ラジオ）　明知大学 劇的サヨナラホームランで初優勝です！ （歓声） お～！ お～！ 邦！ （邦彦）　太一!? ♪♪～ しっかし　びっくりしたよなぁ。 こんな…　こんな抱き合って 顔　見たら　太一だしよう。 俺だって。 （洋次）　こうやって６人そろうの 何か　久しぶりだな。 （直美）　うん。 （邦彦）　あぁ～！ いろいろあったけどさ→ 俺　やっぱり こういうの好きだなぁ。 まぁな！ ここで会ったのも 何かの縁って感じで→ これから祝杯でも パ～っと挙げちゃいますか！ 挙げちゃう？ うん　いいんじゃない？ ねっ。 （麻理）　あ…　私　やめとく。 （直美）　麻理…。 私がいると　みんなに 気　使わせちゃうから。 じゃあ　お先に。 麻理　ちょ… そんなこといわないでさ。 待って　麻理ちゃん。 帰るんなら私だよ だから　みんなと行って。 いいの　別に 美丘さんのせいじゃないもの。 美丘さん？ ＜美丘…　君に残された時間は→ 本当に短かったんだね＞ ＜あの頃の僕は　「君と少しでも 長く　一緒にいたい」→ 「君と２人で暮らしたい」と 本気で思っていたんだ＞ ＜それが　どれだけ　バカげた 考えなのかも知らずに…＞ 美丘！ （麻理）　美丘さん！ ♪♪～ （高梨） 少し無理をしたんでしょう。 自律神経障がいで　脳貧血を 起こしたんだと思います。 念のため　今夜　ひと晩 入院したほうがいいでしょう。 はい　分かりました。 今日は　おとなしくしてるんだよ。 うん。 じゃ　失礼します。 ありがとうございます。 ありがとうございます。 美丘　気分　どう？ うん。 みんなは？ ん？　みんな？ みんなに謝らなきゃ。 私　迷惑かけちゃったから。 （麻理）　太一君。 美丘さんって…→ 病気なの？ （直美）　えぇ？ ただの貧血とかじゃ　ないの？ もしかして　お前 それを俺らに隠してたのか？ それで　ずっと俺らの前で 様子が　おかしかったってわけ？ ごめん。 （足音） あの…！ すいません　今日は。 今日は　お世話になりました。 美丘が皆さんに　お会いしたいって いってますから。 よっ！ 大丈夫？ ごめんね　迷惑かけて。 美丘ちゃん そんなこと　気にしないで　なぁ！ もう平気なの？ ひと晩　入院すれば　大丈夫だって。 よかった　美丘さんが倒れるなんて びっくりしちゃった。 麻理ちゃん　来てくれたんだ！ 当たり前じゃない 目の前で倒れたんだから。 麻理ちゃんが 助けてくれたんだよね。 ごめんね　ありがとう。 お礼なんて。 ありがとう　麻理ちゃん。 美丘ちゃん　早く　よくなって また　みんなで盛り上がろうよ→ パ～っとさぁ！ （洋次）　お客様　「パ～っと」は ございません　ここは病室です。 （直美）　静かにしてください。 （洋次）　分かりました？ （邦彦）　分かりました…。 いや　でも　よかった 大したことなくてホッとした。 うん　ありがとう。 （邦彦）　じゃ　静かに ２人で盛り上がっちゃう？ （邦彦）　俺　今日　泊まって行くよ。 ♪♪～ （高梨）　どうぞ。 すいません。 あの子のあんな笑顔 久しぶりに見たような気がして。 今日は　お友達が　たくさん来て にぎやかでしたね。 友達ならいいんですけど。 あの中に　お付き合いしてる 男のコがいるんです。 はぁ～　まったく…。 （高梨）　それは悪いことじゃ ないんじゃないですか？ 最近の美丘さん　前よりも 明るくなった気がしますよ。 でも　あの子　家を出て→ 「彼と暮らしたい」なんて 言い出してるんです。 同棲ということですか？ はい。 先生　病気の体で　親の目の 届かない所で暮らすなんて→ 絶対　よくないことですよね。 確かに　簡単に答えの出る問題じゃ ありませんね。 でも…→ 残された時間をどう使うか→ これには　正解がありません。 元気そうで　ホッとしたよね。 うん　焦ったわ　マジで。 前に…。 太一君　図書室で脳の病気のこと 調べてなかった？ ((お前さ　脳の病気なんて調べて どうすんだよ)) （邦彦）((医学部とか 目指しちゃうのかよ～)) ((何でもないよ)) 美丘さんの病気と 何か関係あるんじゃないかな？ でも　そんな 重い病気とかじゃねえよな？ （直美）　うん　さっき　あんなに 元気そうだったし。 （洋次）　うん。 今日は　みんなに会えて 楽しかったなぁ。 うん。 入院してんのに楽しいなんて 変だよね。 そろそろ行かないと。 うん。 ずっと　いられたらいいんだけど。 太一君。 ん？ また明日。 うん。 …って　明日　会えんのかなぁ。 明日。 （ノック） この患者の　わがままには あまり付き合わないほうがいいよ。 こっちが振り回されるからね。 遅くまで　すいません。 じゃあね。 うん。 気をつけて。 はい。 ♪♪～ 彼のことでは　随分　おかあさんを 困らせてるみたいだね。 お母さんは　分かんないんだよ 私の気持なんて。 分かってないのは 君のほうかもしれないよ。 君の病気が見つかってから おかあさんが　ここ以外に→ どれだけの病院を回ったか 知ってる？ えっ？ （高梨）　僕は　そのたびに データや資料を貸し出して→ 紹介状を何十通も書いた。 「どうやってでも→ 娘の病気を治せる先生を 見つけるんだ」って。 「誰が何といったって 娘は　治るんだ」って。 とっても強い気持でね。 君の意志が強いのも おかあさん譲りなんだろうね。 おかあさんが考えてるのは 君の幸せ→ それだけなんじゃないかな。 先生も普通の大人なんだね。 誰も私の幸せなんて分かんないよ。 トイレ。 （峰岸）　落ち着いてんのか？ うん…。 あの…。 君→ また美丘と一緒だったのか？ あの子は普通の体じゃ　ないの。 無理させたら こういうことになるんです。 すいません。 でも…→ 僕は　決して 中途半端な気持じゃないんです。 あれから真剣に考えました。 僕が　美丘さんのために できることは何なのか→ 彼女を支えるには どうしたらいいのか…。 それで　僕は…。 やっぱり　ずっと美丘さんの 側にいたいって思ったんです！ 「側にいたい」って？ えっ？　まさか あなたまで同棲したいなんて？ 美丘さんが ２人で暮らすことを望むのなら→ 僕も　そうしたいって 思っています。 そんなこと　許せるわけないだろ。 美丘…。 あの子のことを こんなに思ってくれてるのは→ ありがたいって思ってます。 でも　お願いします。 私達から 美丘を奪って行かないで！ 美丘は…　我々にとっても→ たった１人の大切な娘なんだよ。 ♪♪～ 美丘。 話…　聞いてたんでしょ？ もう　橋本君と会うのは やめなさい。 どうして？ 私には時間がないんだよ？ 記憶だって　だんだん なくなってっちゃうんだよ？ 一番好きな人と 一緒に暮らしたいと思っちゃ→ いけないの？ （峰岸）　お前は　それで いいかもしれない。 でも　それが 彼にとって　どういうことか→ ホントに分かってるのか？ 分かってるよ　そんなの！ 太一君だって同じ気持だよ！ 残された時間 ２人で一緒に過ごしたいの！ その時間の後も…→ 彼は…　生きて行くんだぞ。 大きな重荷を背負って…→ 生きて行くんだぞ。 ♪♪～ ただいま。 （橋本容子）　おかえり　ご飯は？ あぁ　いいや。 （容子）　ねぇ。 あんた　まだ美丘さんと 会ってるんじゃないでしょうね？ （橋本結衣）　ねぇ　お兄ちゃん→ 今日は美丘さん 連れて来なかったの？ 何で？ だって　この間 すっごい楽しかったしさ→ あんな　お姉ちゃん 欲しいなぁって。 えっ？ 結衣　余計なこと話してないで 早く　ご飯食べちゃいなさい。 じゃあ　おかわり！ （容子）　よく食べるねぇ。 （結衣）　エヘヘ。 （橋本） ≪太一　ちょっといいか？≫ ああ。 何？ お前　まだ　美丘さんと一緒に 暮らそうなんて考えてんのか。 お前は何にも分かっちゃいないな。 そこまでして　一緒にいたいほど 好きな人を…→ 失うんだぞ。 そんな辛いことないぞ。 これ以上　深入りしても→ お互い　傷つくだけだ。 今のうちに 離れたほうがいいんだ。 （峰岸）((その時間の後も 彼は生きて行くんだぞ)) ((大きな重荷を背負って 生きて行くんだぞ)) 美丘。 パジャマ持って来たのよ。 着慣れたもののほうが よく眠れるんじゃないかと思って。 ありがとう。 あと　これ　着替えね。 明日　ちょっと 涼しくなるみたいだから→ カーディガン入れておいた。 こうやって　お母さんに 何でもやってもらってたら→ いつまでたっても 何もできるようにならないね。 ハハハ…。 いいのよ 美丘は　そんなこと気にしなくて。 おかあさん ず～っとやってあげるから。 ねっ。 私　お母さんに甘えたまま→ 大人になれないまま→ 死んじゃうのかな？ 掃除とか　洗濯とか　料理とか→ そういうのって　いつか結婚して→ 子供ができたりして→ 誰かのために 何かをしてあげたいって思って→ 自然と　できるようになるのかなと 思ってたけど…。 もう　それも無理だしね。 はぁ…。 着替えたら　早く寝なさいよ。 おやすみ。 ♪♪～ ((私達から 美丘を奪って行かないで！)) [TEL]（メールの受信音） 「どこ」って… 病院に決まってるだろ。 [TEL]（メールの受信音） よっ！ 美丘！ 何やってんだよ　こんなとこで。 病院　抜け出して来たの？ 太一君も下りて来れば？ はぁ？　いや　ダメだよ　もう！ そんな…。 早く帰んなきゃ。 じゃあ　いいよ　１人で行くから。 行くって　どこに？ 「どこ」って…　星　見に！ は？ ((私　お母さんに甘えたまま→ 大人になれないまま→ 死んじゃうのかな？)) はぁ…。 ♪♪～ うわ～！ やっぱり　星　いっぱい出てる！ ここで太一君と出会ったんだよね。 えっ？ あっ　ああ。 ♪♪～ こうやって　星を眺めて→ 隣に太一君がいて…。 ここにいると　世界に ２人きりしかいないみたいだよね。 うん。 ず～っと覚えていたいけど→ これも忘れてっちゃうのかな？ ねぇ　太一君。 ん？ もう　この際さ 駆け落ちでもしちゃおっか？ えっ？ ２人きりで 行き着くとこまで行くの。 いいよ。 えっ？ 何だよ。 いや…　太一君らしくないこと いうからさ。 俺だって…→ このまま　２人で どこかへ行けたらいいって思うよ。 だけど…→ 俺　分からなくなっちゃったんだ。 少しでも長く　ずっと一緒にいたい っていう気持は→ 美丘のお父さんとお母さんも 同じなんだよな。 ２人で暮らすってことは→ 美丘を両親から 引き離すってことなんだ。 ♪♪～ グリグリグリ…！ 痛い！ 太一君は　やっぱり　太一君だね。 あぁ　ごめん。 ううん。 家族や　友達や…→ いろんな人の気持を ちゃんと考えてる。 やっぱり私が好きになった 太一君なんだなぁと思って。 ♪♪～ 美丘…。 どこ行ってたの？ すいません　あの　僕が…。 太一君は悪くない　私が勝手に…！ 太一　お前は　何やってたんだよ!! （橋本）　申し訳ありませんでした。 （峰岸）　どうか　もう 頭を上げてください。 （峰岸）　誘い出したのは 美丘のほうなんですから。 申し訳ありません。 すみません。 確かに　もう　こんなことが あっては　困りますし→ 太一君や　ご家族に→ これ以上　ご迷惑を おかけするわけにはいきません。 ましてや 同棲などという話になれば→ 太一君に どれだけ負担をかけてしまうか…。 太一君　君の気持は分かる。 でも…→ 美丘とは もう　会わないでほしいんだ。 どうか　お願いします。 （橋本）　いいな　太一。 もう二度と美丘さんと会うな。 （橋本）　分かったな？ ほら　ちゃんと返事しなさい。 分かりました。 私　ホントに楽しかったんだ。 太一君と一緒にいると→ いつの間にか　病気のことなんて 忘れちゃってた。 だからかな？ 「もっと一緒にいたい」→ 「太一君と２人で暮らしたい」って 思ったの。 みんなに反対されてもいい。 誰にも 分かってもらえなくてもいい。 ２人きりでいられれば　それで 何もいらないって思ってた。 でも…→ 私達は　２人きりで 生きてるわけじゃなかったんだね。 お母さんは…→ いつも私のことを 一番に考えてくれてて→ 自分のことなんて 全部　犠牲にして→ 何よりも　私の体のことを 心配してくれてた。 お父さんは…→ 私の思うようにさせてくれて→ いっつも温かく見守ってくれて→ そんなこと 分かってたはずなのにね。 太一君は　私のことも→ 私と　私のお父さんと お母さんのことも→ ちゃんと考えてくれてる。 私も　太一君と→ 太一君の家族を 苦しめたくないって思った。 私は １人で生きて来たわけじゃ　ない。 ２人きりで 生きられるわけでもない。 それが　ホントに よく分かったんだ。 だから…。 もう太一君とは会いません。 美丘…。 （橋本）　太一→ 美丘さんが あれほど覚悟を決めたんだ。 お前も男なら　スッパリ諦めろ。 僕は…。 僕は…。 もう会わないなんて　できません。 バカ　何いってんのよ　あんた！ できないよ!! 美丘と　もう会わないなんて そんなことできない。 約束したんだ ずっと　側にいるって。 １人にしないって！ （ドアが開く音） ごめんね　太一君…。 （容子）　本当に申し訳ありません。 もう美丘さんとは 会わないように→ 息子には よくいって聞かせますから。 よろしくお願いします。 じゃあ　行こうか。 あの…。 一番反対していた私が→ こんなことをいうのは おかしいんですけど…。 佳織？ ２人を許してやるわけには いかないでしょうか？ 何　言い出すんだ？ 私は　ずっと 美丘と太一君のお付き合いを→ 頭ごなしに反対して来ました。 それも　すべて　あの子のため。 そう思って来ましたけど→ 答えは １つじゃないのかもしれない。 昔は私も　美丘に→ いろいろな経験をさせてやりたい って思ってたんです。 いろいろな所へ行って いろんな人に会って。 でも　病気になってから→ そんな気持 すっかり忘れてしまって。 一日中　体の心配ばかりして→ あの子に 一日でも長く生きてほしくて。 それは　仕方ないことじゃないか。 私は…→ あの子には　あの子の人生が あるってことさえ→ 忘れてしまったんじゃないかって。 こんなこと…→ 絶対に　口にしたく ありませんでしたけど→ 美丘は　結婚も　出産も　子育ても→ 女の幸せといわれていることを 経験することは→ 多分…→ できません。 （佳織の声） だったら　せめて　好きな人と 一緒に暮らす幸せだけでも→ 味わわせてやりたい。 女としても 生きる喜びを知ってほしい→ そう思ったんです。 ♪♪～ 今…　私　どんなに身勝手で→ とんでもないこと　お願いしてるか 承知してます。 でも　２人が一緒に暮らすことを→ 許してやるわけには いかないですか？ お願いします。 佳織…。 ♪♪～ （高梨）　どうしたんだ？ この世の終わりみたいな顔をして。 先生。 医者としては　２人には 笑顔でいてほしいんだけど。 おとうさんと　おかあさんが 君達のことを捜してるよ。 （橋本）　ほら　太一も座れ　お前。 太一君　もう一度だけ聞くよ。 美丘と２人で暮らしたいと 思う気持は　真剣なんだね？ はい。 これから起こる　どんなことも 覚悟はできてるんだね？ はい。 娘を…→ よろしくお願いします。 お父さん…。 太一君のご両親も 許してくださったんだよ。 ２人が一緒に暮らすこと。 えっ　でも　どうして？ おかあさん　初めて見た。 あんたが あんなに強い意志を見せたの。 だから　その気持を 信じてみようと思ったのよ。 ２人の生活費はよ 半分ずつ　あれするから…。 お前　だけど　アルバイトして ちゃんと返せよ。 はい。 （峰岸）　美丘は　アルバイト禁止だぞ。 それから できる限り　学校も続けなさい。 ありがとう　お父さん。 （峰岸）　美丘…。 おとうさん達を説得したのは→ おかあさんだよ。 お母さんが？ 美丘　１つだけ おかあさんと約束して。 ２人だけで　頑張ろうなんて 思わないで。 弱音吐いてもいいの 後悔してもいいの。 辛くなったら いつでも私達　親を頼って。 絶対に遠慮をしないで 「助けて」って　いうのよ。 お母さん。 ありがとう。 ありがとうございます！ いやいや…。 ありがとうございます。 太一　いつまで頭下げてんだよ お前　みっともねえなぁ。 （橋本）　それだけ　お前 俺に似てんじゃないかよ。 （容子）　似てる～！ ♪♪～ ♪♪～ はぁ…。 ♪♪～ （容子）　これが普通の結婚だったら どんなにいいかねぇ。 何いってんだよ　今さら。 これから 迷惑かけるかもしれないけど→ 俺　頑張るから。 太一！　おい！ おら～！ おらおら～！ お母さん…。 ありがとう。 私　お父さんとお母さんの子供で よかったな。 まぁ　お父さんとお母さんは→ 私が子供で　よかったかは 分かんないけどさ。 よかったよ。 私達の娘が　美丘でよかった。 ♪♪～ ＜太一君…＞ ＜あの時ね　初めて思ったんだ＞ ＜私は　独りで 生まれて来たんじゃ　ない＞ ＜家族や　たくさんの人に 支えられて→ 今　ここに 生かされているんだって＞ ＜この星に生まれたことも奇跡＞ ＜生きていることも奇跡＞ ＜あなたに会えたことも→ 奇跡なんだね＞

べっぴんさん＃132

1 この話 はよ したいな｡ ♬～ (はな)<昭和48年9月｡➡ すみれと 紀夫君の孫 五十八さんと 私のひ孫➡ 藍が この世に誕生しました> (足立)紀夫さん｡ (紀夫)うん｡ お孫さんのお誕生 おめでとうございます！ (中西)おめでとうございます！ ありがとう｡ いや… ほんまに めでたいなぁ｡ (すみれ)もう ﾃﾞﾚｯﾃﾞﾚなのよ 紀夫おじいさんは｡ わしと中西部長からの お祝いです｡ お～ お祝い？ ありがとう わざわざ｡ さくらと健ちゃんに渡しておくわ｡ これは ﾃﾞﾚﾃﾞﾚおじいちゃんに ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄです｡ 僕にか？ そうです｡ 開けて下さい｡ あっ！ まあ～ ８ﾐﾘｶﾒﾗ？ (足立)そうです｡ これで ようさん 藍ちゃんの成長 撮って下さい｡ タケちゃん 中西君 ありがとう！ ああ もう とんでもねえです！ 気が利くなぁ～｡ すみれ｡ これで 目いっぱい 藍を撮ろうな｡ はい｡ わぁっ！ ♬～ ♬｢『雨上がりの空に 七色の虹が架かる』｣ ♬｢って そんなに単純じゃない｣ ♬｢この夢想家でも それくらい理解ってる｣ ♬｢たとえば 100万回のうち たった一度ある奇跡｣ ♬｢下を向いてばかりいたら 見逃してしまうだろう｣ ♬｢さぁ 空に架かる虹を今日も信じ｣ ♬｢歩き続けよう｣ ♬｢優しすぎる嘘で涙を拭いたら｣ ♬｢虹は もうそこにある｣ ♬｢きっと 虹は もうここにある｣ (健太郎)進めさせて頂いていた 文具ﾒｰｶｰ 松本と➡ ｻﾐｰちゃんのﾗｲｾﾝｽ契約が 締結されました｡ (君枝)ﾗｲｾﾝｽ契約って…｡ ｻﾐｰちゃんを そちらの商品に使うてもろうて➡ そのかわり その商品が売れる度に お金を支払って頂くという事です｡ (良子)そんな契約を 文具ﾒｰｶｰと？ ｱﾒﾘｶでは 常識です｡ 若い世代がする事を 見てって下さい｡ 子どもの頃から 母や すみれさんたちが働いて➡ ｷｱﾘｽを作っていく様を 見てきました｡➡ 会社を大事に思う気持ちは どの 社員にも負けてないと思うてます｡ 頑張りますので 見てて下さい｡ (良子) どんどん 変わっていくねぇ｡ (明美)いいとは思わんけど きっと いいんやろな｡➡ 分からんけど…｡ そのうち 引退する身やしな｡ (龍一)来た～｡ (勝二)あれ？ (龍一)いらっしゃい｡ (客 A)私 ﾎｯﾄﾄﾞｯｸﾞ 下さい｡ (客 B)私は ﾒｷｼｶﾝﾋﾟﾗﾌ｡ (龍一)ｱﾒﾘｶ １！ ﾒｷｼｺ １！ (勝二)えっ？ ｷｱﾘｽ 随分 変わってしもとうなぁ｡ ほんま｡ いいと思うもの 見当たらんかったわ｡ 肌着もなかったしね｡ うん…｡ すいません お話し中 失礼します｡ ｷｱﾘｽの坂東と申します｡ あの～ 肌着 ございますよ｡ えっ？ 少々 お待ち下さい｡ お待たせ致しました｡ こちらで よろしいですか？ そう！ これよ これ！ わぁ～｡ いい肌触り｡ (客 A)でしょ？ ありがとう｡ いえ｡ また あんな事やっとるわ｡ 大きい会社になっても 変わらないねぇ｡ ありがとうございます｡ (さくら)そんなﾋﾞｼﾞﾈｽのために ｻﾐｰちゃんを つくったんやない｡ さくら？ 生まれてくる赤ちゃんの 初めての お友達になってくれたらって…｡ ≪(君枝)こんにちは｡ あっ は～い｡ よいしょ～｡ は～い ﾌﾌﾌﾌｯ｡ 藍ちゃん ばあばですよ～｡ あ… 仕事は…？ 昼休み｡ ごはんは？ そんなん気にしないで｡ 私は 藍の顔が見られれば それでいいんやから｡ でも そんな…｡ お握りぐらいしかできませんけど｡ ああ… そう？ ごめんね｡ ほんまに おむすびだけ という訳には いかへんやろうな｡ 藍ちゃん ねんねしました…｡ どうぞ｡ あっ ありがとう｡ …たら お言葉に甘えて 頂くわ｡ わぁ～ こんなに たくさん｡ 気を遣わなくていいのよ｡ 大したおかずやありませんから｡ そしたら ありがたく頂きます｡ 頂きま～す｡ ねえねえ もう少し 片づけたら どう？➡ 赤ちゃんがいる家やからね｡ そうですね｡ ちょっと 疲れてしまって…｡ うちやったらねぇ➡ 私が全部してあげるのにね｡ また 夕方 来ようかな｡ ≪(紀夫)ただいま｡ ≪ただいま～｡ おっ 君枝さん｡ どうも｡ ああ 君ちゃん 来てるの｡ うん｡ ただいま 藍ちゃん｡ 藍 ただいま～｡ (さくら)お帰りなさい｡ ただいま｡ 大丈夫？ うん｡ さくら 見てくれ｡ これなぁ タケちゃんと➡ 中西君から もろうたんや｡ すごいやろ？ ８ﾐﾘﾌｨﾙﾑのｶﾒﾗやで｡ (さくら)ﾌﾌﾌ… すごい！ これで 藍の姿を ようさん撮ったるからな｡ 母さんが？ そうなの｡ 健ちゃんから言うてくれる？ ああ そやなぁ｡ 何？ その 言う気のなさそうな感じは｡ あ… いや そんな事…｡ お願いよ｡ 分かったよ｡ 言う｡ 明日も お昼に来るって言うてるの｡ その前に 会社で言うてほしいねんけど…｡ ああ 言う｡ えっ？ ああ 風邪ひくわよ｡ おしめ たまってた分 洗っておいたわよ｡ すぐに洗わないと駄目なのよ｡ 何や｡ ２人 何かあったのか？ (さくら)ううん 何も｡ そうか｡ なあ 今度の日曜日 勝二さんの店で 上映会やるから➡ みんな 呼んでくれ｡ 分かりました｡ <そして 次の日曜日> う～ ﾎｯﾎｯﾎ｡ 早かったか｡ あっ 健太郎｡ 藍は？ さくらちゃんは？ 今日は 留守番やて｡ えっ 何で？ 疲れたからって…｡ ああ…｡ 子育てしてるんやから 疲れるわぁ｡ 気持ちよく 休ませてあげなね｡ (明美)そや そや｡ まあ いいわ｡ 後で行くから｡ (昭一)ｾｯﾄ ＯＫやな｡ よ～し そしたら 上映会 始めます！ (拍手) よっ！ ﾋｭ～ ﾋｭ～！ 何やろ？ ｻﾐｰちゃんの絵本…｡ さくらの手作りよ｡ かぁいらしいなぁ｡➡ 龍の時も こんなんあればなぁ…｡ うん 思い出すねぇ｡ 私たちが子育てしてた頃は ほんまに 物のない時代で…｡ おしめ ひとつとっても 今とは 全然違った｡ 子育てが便利に 赤ちゃんに よりよくできるのは➡ 明美さんのおかげやろねぇ｡ そないな事…｡ あるよ～ ﾌﾌｯ｡ ねえ 何か… 何かな…｡ ん？ 何 何？ 何か こう… 残せないかな？ こうして 知識を映像に｡ そしたら もっと もっと➡ こう 分かりやすく いろんな人に 伝えられるんやないかなぁ？ 知識を映像に…？ ｢ｷｱﾘｽｶﾞｲﾄﾞ｣？ そう｡ 映像版の｢ｷｱﾘｽｶﾞｲﾄﾞ｣｡ いい！ いい！ ﾜｸﾜｸするわ｡ そやね｡ <変わりゆく時代の中 今を生きる｡➡ 未来を生きる誰かのために 残せるものがある｡➡ その事に 心躍らせる すみれたちなのでした> <このころ ｵｲﾙｼｮｯｸが 日本を襲い 景気を直撃しました> <便乗値上げが相次ぎ 急速に ｲﾝﾌﾚが加速> やっと買えたわ ﾄｲﾚｯﾄﾍﾟｰﾊﾟｰ｡ 何の騒ぎ？ 向こうの角のｽｰﾊﾟｰの列や｡ <ﾄｲﾚｯﾄﾍﾟｰﾊﾟｰや洗剤など ほとんどの物資は 買い占められ➡ 町からは 物が無くなり➡ ﾃﾞﾊﾟｰﾄのｴﾚﾍﾞｰﾀｰや ｴｽｶﾚｰﾀｰは 運転中止｡➡ 省エネ対策の一環として➡ ﾃﾚﾋﾞｼﾞｮﾝ放送の日中 深夜の放送中止など➡ 人々の暮らしは 急激に変わり➡ 戦後から続いていた 高度経済成長が➡ この時期 終えんを迎える事となったのです> (ﾃﾚﾋﾞをたたく音) 強いわ 強いわ｡ (ﾃﾚﾋﾞをたたく音) (紀夫)あれっ？ 関口知宏さんのｲｷﾞﾘｽ鉄道の旅｡ 20日間の旅を一日ごとに 日めくりでお伝えします｡ 今日は その10日目｡ どんな出会いと発見が 待っているのでしょうか｡ この日は ｱﾊﾞﾃﾞｨｰﾝから出発｡ 朝７時｡ 少し眠そうな関口さん｡

極悪がんぼ＃04

1 (小清水)逮捕された？ そうですか｡➡ それは 困ったことになりましたねぇ｡ (金子)あの女が 勝手に 一人で 下手 打ちよったんですわ｡➡ もう 面倒 見きれんと 思いますがのう｡ ☎(小清水)そういえば ずいぶんと 落ち込んでいましたからねぇ｡➡ 誰かに よっぽど➡ 追い詰められたんじゃないかって 心配してたんですよ｡ (金子)いや｡ でも それは あのう｡ 自業自得っちゅう｡ (小清水)今回は 金子君に 任せようかな｡ (金子)えっ？ いや｡ その｡ いや｡ あの｡ わしですか？ 君なら うちの看板に 傷が付かないよう➡ うまく 立ち回ってくれそうですからね｡ いや いや いや｡ ああ｡ でも…｡ ほんじゃ まあ 頼みましたよ｡ 所長｡ あの｡ ☎(通話の切れる音) しょ…｡ ☎(不通音) 何が ｢ほんじゃ｣じゃ｡ この妖怪くそじじいが！ (冬月)ほんじゃ そういうことで｡ 待たんかい｡ 待たんかい｡ わりゃ 元 警察の お偉いさんじゃろうが｡ えっ？ 裏から 手 回して 釈放ぐらいは できるやろうが｡ (冬月)もう 身柄が 拘束されてるんですよ？ 神崎が 何を しゃべるのかは 全て あいつの腹しだいですよ｡ 何？ (抜道)所長は ああ言うてはるし 金子に 任すわ｡ (夏目)わしらの 出る幕じゃ ないけえのう｡ 貴様らも ケツ まくる気か!? 自分で まいた 種でしょ？ ご自分で 刈ってもらわないと｡ フッ｡ [TEL] (豊臣)よう｡ 金子ちゃん｡ もうかってる？➡ えっ？ 逮捕？ ああ｡ 身柄 取られちゃったんだ｡ (豊臣)うわー｡ そうなると 微妙だな｡ 被害届の方は わしが どうにか するけえ｡ とにかく あの姉ちゃんが➡ 余計なこと しゃべらんようにしたいんじゃ｡ ああ｡ よろしく 頼むわ｡ 先生｡ (チャイム) (豊臣)大変だったね｡ 取り調べは もう 済んだの？➡ じゃ 事件のことは まだ 何にも 話してないんだ｡➡ セーフ｡ (薫)何が セーフですか？ こんなことに なるなんて 私 もう 駄目｡ (豊臣)心配ないって｡ 何にも 悪いことしてないのに➡ 捕まる人なんか いないんだから｡ えっ？ たまたま 歩いてたら 犯人扱いされたんだろ？ いやー｡ (豊臣)脅迫もさ 住居侵入もさ➡ その奥さんが そう言ってるだけで 証拠は 何にもないんだから｡ いるんだよね｡ そういう 何か もう➡ 旦那と うまくいかなくてさ➡ その欲求不満を 他人に ぶつける 超 迷惑な人｡ ちょっと 待ってください｡ 私 確かに 脅迫はしてません｡ でも 住居侵入…｡ (豊臣)自分を 責めるんじゃないよ！ えっ？ (豊臣)駄目だ！ 自分を 責めちゃ！➡ どんな つらいことがあっても 前向きに 生きる｡ 君は そういう子だったろ？ でも 飛騨さんの 郵便物…｡ (豊臣)郵便物 拾ったぐらいじゃ 罪になりません｡ 拾った？ (豊臣)拾った？ 拾った 拾った｡➡ 拾ったものは 交番に届ける｡ そういうふうに 小学校んときに 教わっただろ？➡ まあ 猫ばばしようってんなら ともかく｡ 届けるつもりは あるんだから｡ いや｡ でも もう…｡ あるんだろ？ あるかな？ なら よかった｡ 冤罪確定だ｡ えっ？ (豊臣)日本は 法治国家だからさ➡ 君が 自分から 変なこと 言わないかぎり➡ 捕まることはないから｡ 分かってるよね？ [外:2173BC364D7753FC7759E51871BD8378](飛騨)うっ！ [外:2173BC364D7753FC7759E51871BD8378](満利子)ああっ！ ひどいことを するもんじゃ｡ ああ｡ それでも 奥さんは➡ ご主人とは 別れとうないそうじゃのう？ (満利子)当然です｡ こんなもので いくら 脅したって｡ ああ｡ 人聞きの悪いこと 言わんでくださいや｡ わしゃ ただ こんなんが ネットで 日本中に 出回ったら｡ (満利子)えっ？ 議員をしとる お父さまが➡ 迷惑じゃろうと 思いましてのう｡ いや｡ まあ それより➡ 大事な末娘が 旦那の暴力で 苦しんどるっちゅうの 知ったら➡ もう 結婚生活は 続けさせてくれんでしょう｡ いえ｡ あの｡ 父にだけは｡ じゃったら 取り下げてもらえんかのう？ 被害届｡ (豊臣)あら｡ ああ｡ やっぱり 降ってきちゃったんだ｡ ヘヘヘ｡ (豊臣)あっ｡ はいはい はいはい はい｡ ああ｡ 乗って 乗って｡➡ いやー｡ 薫ちゃんが ちゃんと 言い付け 守ってくれたから➡ 釈放手続き 早い早い｡ さすがは 日本一の 悪徳弁護士じゃのう｡ そんな 褒めないでよ｡ ほら｡ 薫ちゃん｡ 金子ちゃんが 被害届 取り下げてくれたんだから➡ ちゃんと お礼 言わないと｡ ありがとうございます｡ われの釈放に 掛かった 手間賃じゃ｡ 250万!? えらい 手間が かかったけえのう｡ 払うわよ｡ 払えばいいんでしょ？ 取りあえず 200万｡ 私の全財産よ｡ うーん｡ 50万 足らんじゃろう？ 後は 仕事で｡ アホか｡ ポリに捕まるような 能なしと 組むやつが どこに おるんじゃ？ ああ｡ これじゃ 先生に払う 弁護料が 足りんわ｡ 月末までに 何とかします｡ 週末には 払ってもらわないと｡ 金 無いんだったら 借金すればいいじゃない｡ 払わないと あんたの悪事 告発しちゃうよ？ 借金できる場所は いくらでも あるじゃろう｡ ♬～ ♬～ ♬～ (高利)よう お越しくださいました｡➡ うちは 弱者救済っちゅうんを 社是にしとりましてのう｡➡ 基本的に 名前さえ 書ける人じゃったら➡ 誰でも お貸ししよう 思うとるんですわ｡ はあ｡ (花瑠子)どうぞ｡ あっ｡ どうも｡ でも あの｡ 私 連帯保証人が➡ いないんですけど｡ (高利)えっ？ (花瑠子)あら｡ 駄目ですか？ (高利)そら 困ったのう｡ 最近は 踏み倒しよる客も 増えとるし｡ (花瑠子)あっ｡ そういえば 代行してくれる 会社が｡ (高利)おお｡ その手があったわ｡ (花瑠子)うん｡ 代行？ 連帯保証人のですか？ (花瑠子)うん｡ (花瑠子)どうぞ｡ こちらの ビルでーす｡ 近っ！ あっ｡ どうも｡ (跳田)神崎さんじゃろ？ (跳田)お隣さんから 連絡 もろうとるで｡ さあさ 入りんさい｡➡ どけよ｡ 分かっとるだろ？ お客が 来てんのが｡ 夏目さん？ (夏目)な… 何じゃ？ おどれ｡ 夏目さんも 借金？ (夏目)アホか｡ おどれと 一緒にすんな｡ 何じゃ？ この嬢ちゃん 夏目の 知り合いなんか？ 知らんわ こげなやつ｡ ハッ｡ 事務所の 後輩です｡ (跳田)後輩!? 何じゃ｡ それを 早 言わんか｡➡ 茶でも 飲もうや｡ あっ｡ やめんか｡ 跳田｡ (跳田)ええじゃろが｡➡ わしらは がきのころからの だちなんじゃけえ｡➡ その だちの後輩なら➡ わしにとっても カワイイ 後輩っちゅうこっちゃ｡ ハァー｡ えっ？ じゃあ 大安ローンと グルなんですか？ ハハハ！ おもろい 姉ちゃんじゃのう｡ 事件屋 やっとんのに そがいなことも➡ 知らんかったんか？ (夏目)フッ｡ こいつは ただの 能なしじゃけえ｡ (跳田)昔と違うて 金貸しも おいしい金利を 取れんのじゃ｡➡ そこで 連帯保証人の わしが➡ 借金を 立て替えたっちゅうことにして➡ やつらに代わって 取り立てを してやっとんのじゃ｡ それって 保証人代行じゃなくて 取り立ての 代行なんじゃ？ (跳田)うわー！ この姉ちゃん うまいこと 言うわ｡➡ わしら 連帯保証業者は 出資法も 貸金業法も 関係ないけえのう｡ ごっつい 金利で 合法的に 取り立てられるっちゅうわけじゃ｡ 悪魔だ｡ (跳田)で 幾ら 借りたいんじゃ？➡ 保証人に なったるで｡ 嫌ですよ そんなの｡ 絶対 嫌だ｡ (跳田･夏目)ハハハ｡ おう｡ 神崎｡ もう ええじゃろうが｡ いねや｡ でも お金は 必要なの｡ あっ｡ 夏目さんが 私の保証人に｡ アホか｡ おどりゃあ｡ そんなら ２人で うちの仕事を 受けたら ええじゃないの？ 仕事？ (跳田)うん｡ (夏目)ちょっ｡ 跳田｡ 黙っとれ｡ (跳田)逃げ回っとる 債務者を➡ 捜すだけの おいしい仕事じゃ｡ やります｡ おおー｡ (夏目)おどれには 関係ないで｡ お願い｡ 何でも するから｡ 駄目じゃ 駄目じゃ｡➡ おう｡ 帰れ 帰れ｡ いや｡ お金が 必要なの｡ (夏目)放さんかい｡ だったら 金子に 言い付けるから｡ 何？ 夏目さんが おいしい仕事 独り占めしてるって｡ (夏目)ちょっと 待てや｡ あんなんに 知られて➡ いっちょがみされて たまるかいな！ だったら 私も かませて｡ おどれ この わしを 脅す気か？ そうでもしないと やってられないんだよ｡ (夏目)借金を 踏み倒して 逃げとるんは その男じゃ｡ 藤原｡ この人の居場所を 突き止めればいいの？ (夏目)ばくちで 借金 こしらえて １年以上 逃げ回っとるらしいわ｡ じゃあ もう 県外に 逃げてるんじゃ？ (夏目)いや｡ 市内に 潜伏しとるはずじゃ｡ 車のナンバー？ (夏目)２日前 車に乗っとる 藤原を 見掛けたそうなんじゃ｡ あっ｡ これ ｢わ｣ナンバー｡ レンタカーだよ｡ んなことは 分かっとるわい｡ 女が 運転しとったらしいけえ そいつに 借りさせたんじゃろ｡ じゃあ レンタカー屋で その女の居場所を？ それも 跳田が とっくに やっとるわい｡ ああ｡ 今は➡ よっぽどのことが ないかぎり 個人情報は 出しゃせんのじゃ｡ そっか｡ そうじゃ｡ よっぽどのことが ありゃええんじゃ｡ えっ？ (キリコ)写真の加工？ (夏目)おう｡ この車➡ 後ろから ぶつけられたように 加工できんかのう？ (キリコ)んなもん どっかで ぶつけてくりゃええじゃろ｡ (夏目)フフフ｡ わしの 愛車なんじゃ｡➡ 頼むわ｡ 謝礼は 弾むけえ｡ (キリコ)チッ｡ あっ｡ すんごい リアル｡ (夏目)ああー｡➡ さすがの腕前じゃのう キリコ｡ (キリコ)手ぇ どけぇや｡ (夏目)ヘッ｡ 照れんでも ええじゃろうが｡ 冬月なんぞ 口先だけの男じゃ｡ どうじゃ？ 今夜あたり 一発｡ (キリコ)どかせ 言うとるじゃろが？➡ 切り刻んで 金暮湾に 沈めちゃろか？ ああっ｡ 今度 冬君 連れてくるけえ｡ あっ｡ 何じゃ？ 弁護料を返す 当ては できたんか？ 今 夏目さんの仕事を 手伝わせてもらってるんです｡ ほう｡ こんな能なし 使うて 仕事しよるんかい？ ああ｡ 昔のだちに 頼まれた ちょろい 仕事じゃ｡➡ こいつが 金魚のふんみてえに 後をついてきて 困っとんのじゃ｡ すいません｡ どうも｡ フフッ｡ (夏目)ほんじゃのう｡ ほんじゃのう｡ (キリコ)ああ｡ いらっしゃい｡ 何を たくらんどんのじゃ？ あの ぼけどもは｡ (キリコ)守秘義務があるけえ｡ ああ？ ♬～ (夏目)よう 見てみぃや｡ おかま 掘られとるじゃろうが｡➡ あんたんとこの レンタカーに 当て逃げされたんど｡➡ どうしてくれるんじゃい？ (従業員)いや｡ でも うちの車には 傷なんか｡ 修理して ごまかしたんじゃないの？ (従業員)いや｡ でも うちは 車を 貸しただけじゃけえ｡ まずは 運転しとった お客さんと 直接 話し合うてもらえんやろか？ (夏目)しゃあないのう｡ じゃあ 教えてくれぇや｡ そいつの住所｡ (早苗)藤原？ (夏目)ああ｡➡ あんたが借りた レンタカーに 乗っとったじゃろ｡ (早苗)ああ｡ 確かに レンタカーは 借りたけど｡➡ うちは 藤原なんて人 知らんわ｡ とぼけんな｡ かくまっとろうが｡ (早苗)知らん 言うとるじゃろ｡ 帰らんと 警察 呼ぶで｡ ≪(藤原)おい｡ 乾き物 買うてきたで｡ あっ｡ (早苗)あんた 早 逃げ｡ (夏目)藤原！ (早苗)だ… 駄目 駄目｡ 邪魔じゃ｡ (早苗)駄目｡ (藤原)ハハッ｡ ああっ！ ああ｡➡ ああ｡ あっ｡ うわー｡ ああー！ ヘヘッ｡ (夏目)うおー｡ これで 正当防衛の 成立じゃ｡➡ うん｡ (藤原)ああー！ (夏目)藤原｡ 年貢の納め時じゃ｡ (藤原)許してつかぁさい！➡ 金は 返すつもりじゃったんじゃ｡ ホンマじゃ！ ≪(夏目)ほら｡ 行くぞ｡ ♬～ (跳田)それにしても 驚いたわ｡➡ お前が こがいに 仕事が 早いとはのう｡ (夏目)ハハハ｡ ほんじゃあな｡ 藤原｡ 楽しんでこいや｡ あのう｡ 藤原さんは どこに？ まさか 金暮湾に 沈めちゃうの!? (夏目)うーん｡ (跳田)ハハハ！➡ おもろいこと 言うのう｡ この姉ちゃんは｡ 死んだら 金が入らんじゃろ？➡ 生かしたまま しゃぶり尽くさにゃ｡ (跳田)おう｡ (夏目)おう｡ あれ？ (夏目)か… 金子!? やあ｡ 夏目君｡ それに 神崎君｡ 待っとったで｡ な… 何で おどれが？ ヘヘヘ｡ いや｡ どうも どうも｡ うちの若い者が お世話になったようで｡ (跳田)何じゃ？ 夏目の上司か？ ええ｡ まあ そんなとこですわ｡ 彼が 新しい顧客 見つけた いうんで それで 社長さんに➡ ご挨拶だけでもと 思いましてのう｡ (跳田)そら わざわざ すまんかったのう｡➡ 仕事も ぶち 早いけえ 専属契約でも 結ぼう➡ 思うとったんじゃ｡ 専属？ いやー｡ 夏目君｡ いやー｡ わが社のために➡ こんなに すてきな お客さま 見つけてくれて➡ ホントに うれしいなぁ｡ ありがとう｡ フフフ｡ (跳田)取りあえず 約束の金じゃ｡➡ 藤原の借金は 400万じゃけえ 取りハンで 200じゃ｡ 取りハン？ 何じゃ？ 不満か？ いや｡ えー｡ わが社の規定では｡ その｡ 新規の お客さまの場合はですね…｡ (夏目)ええんじゃ これで｡ だちの仕事じゃけえ｡ (跳田)おう｡ ご苦労じゃったのう｡ どういうこっちゃ？ 新規は 取りナナ いうて 決まっとろうが｡ そやから あいつは だちじゃけえ｡ だちじゃ いうて 目が曇っとるんと 違うか？ わりゃ あんな外道も 見抜けんようになったんか？ (夏目)ああ？ どういうこと？ 貴様ら あいつに 安う パシリに 使われただけじゃろうが｡ アホか｡ あいつが わしに そんなことするかい｡ まだ 分からんのかい？ (藤原)何じゃ？ あんたら｡ 金は ちゃんと 返したじゃろうが｡ その借金のことで ちょっと 聞きたいことがあってのう｡ (藤原)もう 勘弁してつかぁさい｡ これ以上 鼻血も 出んのじゃ｡ (早苗)ほうよ｡ この店の 土地の権利書 売って➡ やっとのことで 1,000万 つくったんじゃ｡ (夏目)何じゃ!? (薫･金子)1,000万!? へえー｡ 借金は 1,000万 あったんか？ ああ｡ ヘヘヘ｡ うん？ 友達じゃ いうて このざまかいな｡ えらい 安う 見られたもんじゃのう｡ ヘヘヘ｡ (高利)いやー｡ しっかし こんなに うまくいくとは➡ 思わんかったのう｡ (跳田)ホンマじゃ｡ あんまり ちょろいけえ 今度から 事件屋じゃのうて➡ 便利屋っちゅうて 呼んでやろうかいな｡ (高利)アハハ｡ (跳田)アハハ｡➡ おう｡ 夏目｡ 今日は ご苦労じゃったのう｡ (夏目)もう とぼけんでええわ！ 藤原が 白状したで｡ いったい どうなっとるんじゃい!? まあ まあ まあ 夏目君｡ (夏目)放せ｡ 止めんなや｡ いや いや いや｡ 暴力は ようないじゃろう｡ ねっ？ のう？ 跳田はん｡ うちの スタッフが 恥 かかされて➡ このままっちゅうわけには いきゃあせんで｡ 恥？ おう｡ きっちり 相場どおりの報酬を 払うてもらわんと｡ のう？ 金子はん｡ 金貸しも 事件屋も➡ 相手に 恥 かかせて 何ぼじゃないんけ？ ああ？ (跳田)はめられたやつが➡ いくら 恥 かいて べそ かこうが➡ 知ったこっちゃないっちゅうんが わしらの 稼業じゃろう｡ いまさら 負け犬の遠吠えは 聞きとうないで｡ 何じゃと？ こら｡ うん｡ あんたの 言うとおりじゃ｡ はあ？ 金子｡ うん｡ お前の負けじゃ｡ 帰るで｡ いや｡ ちょっと｡ のう？ 跳田｡ おどりゃあ わびるつもりは ないんかい!? 負け犬に わびなんぞ 入れられるか｡ うちの メンツが 丸つぶれってとこですかねぇ｡ 単に この２人が 下手 打ったって 話じゃ 済みませんよ｡ (抜道)跳田に はめられた いう 噂は すぐに 広まるやろしなぁ｡ でも 200万は もらったわけだし 今回は もう いいんじゃ？ (冬月･金子･抜道)よくないんじゃ｡ 本来なら 700万のヤマが 200万に なったんだ｡ 安目を売ったが 最後➡ この世界じゃ 生きていけないんだよ｡ (抜道)誰も うちを 使うてくれんようになるしな｡ あんな外道に ええように されよってからに｡ 貴様ら どう けじめ つけるつもりじゃ？ まあ 取りあえず 所長に 報告を｡ (夏目)ちょっと 待ってくれぇや｡ これは わしと 跳田の問題じゃ｡ けじめは わしが つけるけえ｡ でも もう 手遅れなんじゃ？ (夏目)２日じゃ｡➡ ２日で 何とかする｡ 忘れ物じゃ｡ この姉ちゃんも 一緒じゃ｡ 失敗したら おどれら こっから 出てってもらうけえのう｡ ♬～ ちょっと 夏目さん｡ うるせえんじゃ｡ 消えんかい｡ でも 私も このままだと｡ (夏目)おどれのことなど➡ 知るかい！ いったー｡ ああ｡ 何とかしなきゃ｡ ≪(花瑠子)こちらの ２階で 代行してくれますから➡ 手続き 終えたら また いらしてくださいね｡ ≪(女性)ああ｡ ご丁寧に ありがとうございます｡ ≪(花瑠子)ううん｡ ≪(女性)助かりました｡ (花瑠子)きゃわいい｡ ≪(花瑠子)また 後でね｡ (男性)《おい｡ 今日こそ➡ 耳 揃えて 返してもらえるんじゃろうのう？》 (母)《でも 私には 身に覚えのない お金で》 (男性)《アホか｡ 借用書 見てみぃや》➡ 《われの はんこが 連帯保証人の欄に➡ ついちょろうが》 (夏目)ハァー｡ あのう｡ 話が｡ (夏目)消えろ 言うたじゃろ｡ これは わしと 跳田の｡ 跳田を かたに はめられるかもしれないの｡ ど素人が｡ ふん｡ 何を 抜かしとるんじゃ？ 素人だから 気付くことだって あるよ｡ 大安ローンで 借金してる人には➡ 跳田が 連帯保証人に なってるはずだよね？ 当たり前じゃ｡ あいつら はなから 出来レースを｡ 連帯保証人には 借金を支払う 義務がある｡ 大安ローンにある 借用書が 手に入れば➡ 跳田を 追い込めるんじゃない？ 私の母は 親戚の 連帯保証人になって➡ 自分の店を 取り上げられた｡ 跳田だって 連帯保証人だよね？ (茸本)《協力？》 《当たり前でしょ？》 《そもそも あんたが 金髪に ちくんなきゃ➡ 事務所に 知られずに 済んだんだからね》 (夏目)《当然 わしらにも 協力するよのう？》 (茸本)《でも 何すりゃ いいんすか？》 (茸本)見たところ 監視カメラは なかったけど｡➡ でも 入り口のドアには➡ 暗証番号式の鍵が 付いていました｡ 《取りあえず 20万円で》 《じゃあ 身分証明書を 見せてくれるかのう》 (高利)《あっ｡ 花瑠子ちゃん》 (花瑠子)《うん？》 《これ コピー 取って》 (花瑠子)《はい》 (高利)《それから 借用書 出してくれるかのう》 (花瑠子)《はーい》 ♬～ 《どうぞ｡ それと 免許証 お返しします》 (花瑠子)《失礼します》 《お待たせしました》 (花瑠子)《ご利用 ありがとうございます》 《あっ》 (茸本)借用書は 100％ 女性事務員の デスクっすね｡ ああ｡ ハハハ｡ ほんで ドアの暗証番号は？ 分かりません｡ (夏目)ああ？ それじゃ 意味ないでしょ!? (夏目)くそったれが｡ ホントに 使えないなぁ｡ ちょい ちょい ちょい ちょい｡ それ 俺が借りた金｡ 私に 借金してること 忘れたの？ いや いや いや｡ そこの取り立て めっちゃ 厳しいんだよ｡ ここの バイト代だって めっちゃ 安いしさ｡ (キリコ)何か 言うたか？ (茸本)いいえ｡ 何も｡ あれ？ この電話番号は？ 社長の？ (茸本)ああ｡ それ 女性事務員の｡ しかも こんな 巨乳なの｡ あ痛っ｡ 仕事中に 何しとんじゃ？ この すけこましが｡ いや｡ 向こうが 勝手に➡ 書いたんだよ｡ それに この子 100％ 社長と できてるし｡ (キリコ)よう おるよなぁ｡ 顔だけ ようて 頭 空っぽの➡ すけこましに いかれてまう クルクルパーな女って｡ 何で 私 見てんのよ!? そうだよ｡ (茸本)えっ？ あんたの取りえって 料理と それだけだもんね｡ フッ｡ でも 大丈夫？ 花瑠子さん 社長の愛人でしょ？ (花瑠子)うん｡ 聞いてよ 和磨｡ (茸本)うん？ ホンマは もう あの たこ社長とは 終わりにしたいんよ｡➡ どケチじゃし 人の においばっか 嗅ぎよって ぶっち キモいし｡ あっ｡ でも 会社を 辞めさせてくれんのよ｡ あっ｡ やっぱ ええなぁ 若いって｡ ああ｡ 本気で 辞めたいんだったら 手 貸してあげてもいいよ｡ ホンマに？ その代わり 僕の お願い 聞いてくれる？ あっ｡ んなもん 何回でも 聞くわ｡ おいで｡ (茸本)あっ｡ ちょっと｡ (花瑠子)おいで｡ (茸本)ちょっと 待って｡ ちょっと 待って｡ ああー｡ ≪(小清水)遊んどって 看板料が 払えるなんて➡ 結構な ご身分ですなぁ｡ ハハハ｡ 貧乏 暇なしっちゅうのは アホの…｡ 所長!? いいから いいから｡ 読書を 続けて｡ ああ｡ いや｡ これは あの｡ 冬月の｡ ハハハ｡ お茶 入れましょうね｡ ええ｡ あっ｡ いやいや いやいや｡ わしが やります｡ いいから いいから｡ ねっ？ いや｡ 立ち寄る予定は なかったんですが｡ 変な噂を 小耳に挟んだもんで｡ 噂ですか？ 何でも ハイエナ保証とか いう 会社に うちの所員が➡ かたに はめられたって｡ 地獄耳が｡ 何が ありましたか？ いや｡ あの｡ 夏目と あの姉ちゃんが 下手 打ったんですわ｡ で わしらも ゆうべ それ 聞かされて➡ たまげてるところですわ｡ 聞いていた噂とは 違うなぁ｡ はあ｡ 先方は 君の名刺を 見せびらかしていたって➡ 聞いてますが｡ えっ？ えー？ いやー｡ でも それは あの｡ そもそもの 始まりは…｡ そもそもも へちまも ありません！ いっちょかみ しておいて➡ 人ごとってわけには いかないでしょ？ 自分だけ 鬼になりたくないって 子供は 鬼ごっこには➡ 入れてもらえないもんなんですよ｡ はい｡ [ﾏｲｸ](キリコ)♬｢尽して 泣きぬれて そして 愛されて｣ (男性)歌姫｡ (キリコ)♬｢時が ふたりを｣➡ ♬｢離さぬように｣ (女性)ちょっと 鼻の下 伸びてる｡ おう｡ あの２人は どこ 行ったんじゃ？ [ﾏｲｸ](キリコ)忙しいんじゃ｡ 人捜しなら 交番 行かんかい！➡ ♬｢このまま あなたの｣ おう｡ あいつら 何を たくらんどるんじゃ？ (夏目)チッ｡ 遅いのう｡ いつまで 仕事しとるんじゃ｡➡ チッ｡ (夏目)何 見とんのじゃ？ 最初っから 変だって 気付いてたんですか？ (夏目)おどれと 同じじゃ｡ えっ？ あいつは 金魚のふんじゃ｡ ケンカもできん 臆病者で｡ がきんころは いっつも わしの後ろに 隠れとった｡ くそだめみてえな 貧乏一家の せがれじゃけえ➡ わしも あいつも➡ 周りと 同じことしとったら 飯も 食えんかった｡ じゃけえ がんぼのしかた わしが 教えてやったんじゃ｡ 信じてやりたかったんだ｡ 跳田のこと｡ アホか｡ おどれは 何 抜かしとんじゃ｡ いいじゃん それでも｡ じゃかあしいわい！ ♬～ ♬～ 冬月が 言うとったとおりなんじゃ｡ 安目を売ってしもうたら わしらは もう 生きてはいけんのじゃ｡ 信じるも 信じんも くその足しにもならんわ｡ でも…｡ 無駄話は ここまでじゃ｡ ♬～ ♬～ あの｡ 私も 行きます｡ おどれは また 警察に 戻りたいんかい？ いいえ｡ こっから わし 一人の 仕事じゃけえ｡ (操作音) (解錠音) フッ｡ やるやんけ｡ あの すけこまし｡ ♬～ ♬～ おっしゃ｡ ≪(足音) ≪(操作音) ≪(解錠音) ≪(ドアの開く音) (夏目)おりゃあー！ うん｡ くっ｡ 何が ｢おりゃあー｣じゃ｡ この アホんだら｡ な… 何で おどれ おるんじゃ？ 私は 止めたんですけど｡ 色々 あったんじゃ こっちも｡ 貴様ら 借用書 かっぱらって どうするつもりじゃ？ んなもん 売り飛ばすに 決まっとろうが｡ アホが｡ 借用書っちゅうのはのう この会社から 債権が きちんと➡ 譲渡されたっちゅうことに せんかぎり➡ ただの紙くずなんじゃ｡ ああ｡ ハァー｡ キリコに 作らせたけえ 後は ここの社判 押しとけや｡ 待てや｡ 金子｡ 手間 かけたのう｡ 知らん｡ 何も 知らん｡ ああ？ わしゃ 今日 クラブで 飲んどって➡ 全部 お前と この姉ちゃんが やったことじゃ｡ じゃが｡ ええから そうせんかい｡ 勘違いすんなよ｡ わしはのう あの妖怪じじいの➡ 命令に 従ったようには 死んでも 思われたくないのじゃ｡ ♬～ (夏目)何しとるんじゃ？ [TEL](呼び出し音) 念には 念を入れておこうと思って｡ [TEL](呼び出し音) おう｡ あっ｡ もしもし？ 神崎です｡ (豊臣)よう｡ 薫ちゃん｡ もうかってる？ フフッ｡ んなわけ ねえか｡ ハハハ｡ ちょっと 相談が あるんですけど｡ その前に 何か 忘れてない？ 弁護料の 支払期限 あしたなんですけど？ あのう｡ もし 私が その期限を 守れなかったら➡ 告発するって 言ってましたよね？ あした 朝一で しちゃおっかなぁ｡ ハハハ｡ 告発って 誰でも できます？ ああ｡ そりゃ できるさ｡ 誰でも？ もちろん｡ 名前さえ 書ければね｡ ≪(跳田)おはようさん｡ ≪(社員)社長｡ (跳田)夏目｡ (夏目)おう｡ 跳田｡ 待っとったで｡ (跳田)何じゃ？ また 恥 かきに 来たんか？ 逆じゃ｡ おどれに けじめ つけさせに 来たんじゃ｡ 何じゃい？ こりゃ｡ 大安ローンで 焦げ付いてる 借用書の コピーです｡ 連帯保証人は 全部 跳田さんになってます｡ (夏目)博多で 金貸ししとる だちが おってのう｡ (跳田)何で これを？ (夏目)わしは だち思いじゃけえ｡➡ そいつに この原本を 売ってやったんじゃ｡➡ 身元の しっかりした 連帯保証人がおる いうて➡ 喜んどったわ｡ さっき 全部 計算したら １億以上 ありましたよ｡ いちお…｡ そんなもん 大安ローンが➡ 認めるはずないわ｡ (夏目)それがのう➡ 社長が ちゃんと 債権の譲渡に 同意してくれとんのよ｡ (花瑠子)社長｡ 社長｡ (高利)ああ｡ 花瑠子ちゃん｡ (花瑠子)うーん｡ (高利)ゆうべ また すごかったで｡ お客さんやで｡ (高利)えっ？ (伊集院)おはようさん｡ (高利)何じゃ？ あんた｡ (花瑠子)金暮署の 刑事さんじゃ｡ 社長に 話があるんやて｡ ウフッ｡ あんたが 連帯保証代行業者と グルになって 暴利を得とる いう➡ 告発があってのう｡ (高利)告発!? じゃけえ 署まで 一緒に 来てもらえるかのう？ (高利)いや いや いや｡ ちょっと 待ってや｡ [TEL] (高利)あっ｡ あっ｡ 電話｡ もしもし？ (跳田)おう｡ 高利｡ どこに おるんじゃ？ ちょっと 顔 貸せや｡ いや｡ それが 何だか 知らんけど 警察が｡ あっ｡ もしもし？ 金暮署の 伊集院じゃ｡➡ この おっさんと 話したかったらな 警察に 電話してくれんかのう？ もしもし？ もしもし？ 何じゃ？ 警察って｡ どないなっとんのじゃ？ わやじゃのう｡ ここに 手入れが入るんも➡ 時間の問題かい？ あっ｡ でも 確か 連帯保証人って 逮捕されてからも➡ 支払いの義務は 続くらしいですよ｡ いや｡ ちょっと 待ってくれ｡➡ 夏目｡ このとおりじゃ｡ 助けてくれ｡➡ わしら ずっと まぶだちじゃったやないか｡ いつも 一緒に 悪さ しとったじゃないか｡➡ 俺は お前がおったけえ お前が いっつも かぼうてくれたけえ➡ ここまで これたんじゃ｡ 頼む｡ 見捨てんでくれ｡ はあー！➡ はめられたやつが 恥 かいて べそ かこうが➡ 知ったこっちゃないっちゅうたんは おどれじゃろうが！ ♬～ 跳田｡ 往生せえや｡ ♬～ あっ!? あっ！ ♬～ (跳田)ああー｡ わりゃあー！➡ うん！ 夏目！ ああっ!? (跳田)ううっ｡ (夏目)相変わらず 臆病じゃのう｡ 急所に 刺せんのかい？ (跳田)何!? (夏目)そんな へたれじゃけえ➡ おどりゃあ いつまで たっても 金魚のふんなんじゃい！ あっ!? (跳田)うっ｡ この ぼけが！ やったるわ！ (殴る音) (跳田)ううっ｡ いつまで 青春ドラマ やっとんじゃい！ あんた 死にたいんか!? (夏目)これは 迷惑料じゃけえ｡ ホントに ２日で 決めるとはねぇ｡ (抜道)１億の借用書 さばいて 1,500万の もうけやったら➡ 御の字やな｡ ハハハ｡ これっぽっちかい？ 冗談じゃ｡ フッ｡ (抜道)うらやましいな｡ これで 看板料も 精算か｡➡ ええなぁ｡ われは タダ働きかい｡ 弁護料 返す めどは 付いたんか？ ♬～ ♬～ ハァー｡ (夏目)おう｡ 神崎｡ (夏目)ああ｡ えっ？ でも それは｡ 今回のことは おどれが描いた 絵じゃけえ｡ 貧乏人ちゅうんは 金で 変わってしまうんかのう？ えっ？ ええわ｡ このことは 他言無用じゃ｡ バレたら 許さんけえのう｡ フフフ｡ ウフフ｡ ♬～ (女性)金子さん｡ 久しぶりやね｡ フフッ｡ ≪(女性)鬼切さん もう おもろい人なんじゃけえ｡ ≪(鬼切)こない ど田舎の 事件屋が 何ぼのもんや？➡ アハハ｡ ≪(男性)せや せや｡ 何者じゃ？ あの おばはん｡ (女性)大阪の 事件屋さんって 言うとったけど｡ 事件屋？ うん？ ≪(女性)あれ？ もう ない｡ ≪(鬼切)もう１本 入れてや｡ (女性)うわー｡➡ ありがとうございます｡ (鬼切)ああー｡ (女性)はーい｡ (鬼切)フッ｡ 《金の つくり方を 知らんかったっちゅう➡ 重い罪を 犯しとるがのう｡ 無能とは 罪じゃけんな》 《世の中 お金が 全てじゃないでしょ!?》 《私にも お金をつくる 方法 教えてください》 《金は 目の前に あるじゃないか》 『極悪がんぼ』は ドラマです｡ 法律に 触れることが➡ たくさん 出てきましたが 本当に やったら 捕まります｡ もちろん 被害にも 遭わないように➡ 皆さん お気を付けください｡

龍馬伝＃13

1 吉田東洋を… 斬れ！　龍馬！ 斬ってくれ！　東洋を…！ （冨）おまさん…。 どういて…→ どういて　そんな恐ろしいことを！ おまさんは…　私の旦那様は→ 賢うて　穏やかで 優しいお人ぞね！ お願いですきに→ そんな恐ろしいこと 言わんとってつかあさい！ わしは… 奴に　足蹴にされたがやぞ！ どうか　大殿様に　お取り次ぎを！ 触るな！ わしは　おんしが大嫌いじゃ！ 吉田東洋がおるかぎり→ 土佐勤王党は… 何ちゃあ　できんがじゃ！→ わしらが　命懸けで　攘夷を 実行するつもりじゃゆうことを→ 奴らに　思い知らせてやらんと いかんがぜよ！ （龍馬）分かった　武市さん！ わしが　直接　吉田様に会うて→ あの人の腹の中を 確かめてくるきに！ けんど　もし…→ もし　わしの前で　吉田様が おかしなことを言うたら…。 その場で斬ります。 ♪♪～（テーマ音楽） ♪♪～ ♪♪～ 坂本を殺すがじゃ　岩崎！ 岩崎！ これじゃ。　これじゃ　岩崎。　ハハハハ！ これをな 酒にでも混ぜて　奴に飲ましや。 ハハハハハハ…！ （弥太郎）後藤様…。 もろうたばっかりの嫁と 別れとうはないろう。 喜勢…！ 龍馬…。 龍馬。 何を　ぼんやりしちゅう。 おお　弥太郎。 おやじ　わしにも茶をくれ。 へい。 のどが　カラカラじゃ。 勤めの途中かえ？ ああ　そうじゃ。 郷廻ゆう役目は　どうぜよ。 悪さしゆう者を探して 捕まえるゆうがは→ 大変そうじゃのぉ。 あほ！ わしに　大変な仕事ら　ないき。 相変わらずじゃのぉ！ こちらへ　どうぞ。 あ…　ああ。 ちっくと　茶を飲み過ぎた。 小便してくる。 ふ～…　厠　厠。 落ち着きや…　落ち着きや…！ 落ち着きや…。 ≪裏で　子供が遊びよったけんど。 へい。　あれは　うちの子で。 元気でえいのぉ。 ありがとうございます。 おお　すまん　すまん。 子供と遊んじょった。 わしは　もう行くぜよ。 お役目があるきにの。 ああ。 ほんなら…。 ああ　弥太郎。 おまん　お喜勢さんを 大事にしゆうかえ？ え…。 あんな　かわいい嫁を もろうたがじゃき→ はよう　子供　作りや。 大きな　お世話じゃ。 ああ　ほんならの。　ハハハハ！ あ…！ （悲鳴） お客さん　どういた？！ どういたがですろう　お客さん？！ どういたですろう？！ お侍さん！ ああ…！ お客さん！ しっかりしいや！ ああ…！ ≪温かいがと　取り替えろうか？ ≪いや　これでえい。 飲むな！　飲むな！ この茶　飲むな！　龍馬！ どういた　弥太郎？！ どういた　弥太郎…　おい！ ああ～！　触るな！ 何じゃ？！ 弥太郎！　どういうことぜよ？！ 弥太郎！ 後藤象二郎様に 命じられたがじゃ！ 後藤…　象二郎？ 吉田様の甥っ子ぜよ！ ちゅうことは…→ 吉田様が　おまんを殺しと お命じになったがじゃ！ わしはのぉ　龍馬！ おまんを 助けたかったわけじゃないき！ 悔しかったがじゃ！ この土佐じゃ… やっぱり　下士は　虫けらながじゃ。 上士に命じられて 虫けらが　虫けらに毒を盛る。 こんな　滑稽で…→ こんな　惨めなことがあるかえ…！ ≪（春猪）龍馬叔父ちゃ～ん！ もう　起きや。 ああ…　もう　朝かえ？ はよ　起きや。 ああ…　分かった　分かった。 さっき　才谷屋さんから 使いの者が来てねえ。 えい品が出たき 見に来んかゆうて。 ええ！　反物はあるろうか？ きれいな　簪は？ こら　はしたないことを言いな。 男物の　えい帯があるとは 言うちょった。 ほんまかえ！ ほしたら　今日は→ みんなで　才谷屋さんに。 行こう　行こう！ 本家が質屋やったら えいことあるねえ。 おまんも来い　龍馬。 あ…　わしは　遠慮させて頂きます。 今日は　用事がありますきに。 （東洋）おまん　ゆんべは どこ行っちょった？ 使いの者が　おまんが おらんゆうて→ 戻ってきたぜよ。 ゆんべは…→ 女のところに行っちょりました。→ 申し訳ございません。 吉田様。 吉田様の知り合いと申す 下士が来ちょります。 誰ぜ。 坂本龍馬と名乗っちょります。 何？！ 何の用じゃ。 武市半平太を 足蹴にされたと聞きました。 それが　どういた。 武市は　下士を束ね→ 今や　ご上士を 脅かす力を持っちゅうがです。 このままでは 土佐は　真っ二つになりますろう！ 何じゃと！ 下士の分際で　何を言うがじゃ！ 待ちや！ 何が言いたいがじゃ。 …武市半平太を　お城に入れ お役目を　お与え下さい。 （象二郎）何？ 下士も　政に加え→ 意見を述べる機会を 与えて下さったら→ 喧嘩になることはないですろう！ ハハハハハ！ おんしは　つくづく　面白い男じゃ。 けんどの 能力があると思うたら→ わしは　下士やち どんどん　引き上げちゃるぜよ。 武市を足蹴にしたがは 奴が　無能やき。 わしはのぉ→ 誰よりも　土佐のことを 大切に思うちょるがじゃ。 それでも…→ わしを　殺すがか？！ 貴様！ （象二郎）斬るつもりながか！ 象二郎！　おまんは 引っ込んじょれ！ おんしやち　土佐で生まれ 土佐で育ったがじゃろう。 武市など捨てて わしのもとに来い。 吉田様は　立派な　お方です。 武市さんを ただ　嫌うちゅうわけでも→ 弥太郎に　毒を盛らせるような 人ではないことは→ 分かっちょりました。 けんど…　わしは違うがです。 わしは　もう→ 土佐だけのことを 考えるゆうがは　できんがです！ 申し訳ございません。 叔父上…　叔父上！ （弥之助）わあ！ 具が　ようけ入っちゅう！ （弥次郎）お父やんが　博打に勝つと えいことがあるろう。 （美和）たまには こういうことがあるき→ お父やんは 博打をやめられんがじゃ。 （弥次郎）どういた　弥太郎。 ごちそうに　腰が抜けたか？ 喜勢。 はい。 もし　わしが お役目で　しくじってしもうたら→ おまん　どうするがぜ。 えっ？ 弥太郎！ 何か　しくじったがか。 どうするがじゃ　喜勢！ 私は　おまさんの女房です。 どこまでも　ついていくぞね。 どこまでも…。 実はの…。 実は　何じゃ。 後藤様の…　いや　吉田様の ご命令に背いてしもうた。 吉田？ 吉田東洋様じゃ！ 必ず　やり遂げろと言われたことを わしゃ　できんかった…！ 何の話じゃ？ （弥次郎）分かるように言いや！ 逃げろう　喜勢。 みんなで　土佐から逃げるがじゃ！ やっと　わしは　運が向いて…。 吉田様に背いて ただで済むと思うがか！ おまんのやったことじゃろうが！ もう　えい！ あほが！ 喜勢！　２人で逃げろう。 嫌ですき！ えっ？！ 私は　土佐から出とうない！ 今　どこまでも　ついていくと…！ 嫌やき！ 今のうちに　食べんさい。 わしら　どうなるか分からんぞ！ はい！ （戸の開く音） 御免。　岩崎弥太郎。 吉田東洋様より届いた お達しを読み上げる。 申し訳ありません… 申し訳ありません…。 これ！　頭を下げい！ ははっ。 「岩崎弥太郎儀　右の者→ 後藤象二郎が一件を　しとげざるは 言語道断に候えども→ 諸々の事情に　かんがみて 不問とするものなり」。 えっ？！ では。 ありがとうございます！ （美和）許す…。 （弥次郎）なんちゅう 優しいお方じゃ　吉田様は。 兄やんは　何をやったがじゃ？ 知らん。 ああ…！ あ～！ フフフフフフ！ （戸の開く音） よう来てくれた。 大石　那須　安岡。 誰っちゃあに つけられちゃあせんですき。 おまんらに 大仕事を頼みたいがじゃ。 ♪♪～ 龍馬。 勤王党の吉村虎太郎が→ 脱藩したがじゃ。 え？！ わしらも 土佐を捨てるがぜよ　龍馬！ 脱藩の道は　考えちゅう。 檮原から韮ヶ峠　あるいは 九十九曲峠を抜けて　長浜へ出る。 それから　海を渡って…。 ちっくと待ってくれ　惣之丞！ まだ　迷いゆうがか！ 土佐を捨てるゆうことは→ 親兄弟も捨てるゆうことぜよ！ 今しかないがやき　龍馬！ ♪♪～ ≪（春猪）龍馬叔父ちゃ～ん。 う～ん…。 もう起きや。 分かった　分かった…。 ああ　おいしい！ いつ来たが？　乙女叔母ちゃん。 ゆんべじゃ。 夜中に　ドンドン　戸をたたくき 誰かと思うたちや。 おまんは　もう　岡上の嫁ぜよ。 旦那様と喧嘩する度に 戻ってくるがは　いかんぞね。 夫婦ゆうがは いろいろあるろう？ 兄やんたちやち　そうじゃろうが。 え？！ 何が　あるがか？ いや…。 そういうたら　吉村殿のところの 虎太郎が脱藩したゆうて→ 大騒ぎになっちょった。 （千野）そうちや！ 私も　それ　聞きましたき。 私も！ 吉村様のお身内は どうなるがじゃ？ ただでは済まんですろう。 お役目は解かれ　下手をしたら お取りつぶしじゃ。 （春猪）ええっ…。 （伊與）なんということじゃ…。 （権平）まさか　龍馬は そんなことはせんろうのぉ。 （乙女）…龍馬？ …えっ？ 兄上が　脱藩ら おまんは　するわけないゆうて。 何を…　何を言うがですか　兄上。 いや…。 ごちそうさまでした。 今日は　剣術の稽古じゃ。 龍馬さんは…　土佐で 道場を開くがですろう？ 先のことは　まだ分からんがです。 …行って参ります。 もしかして　龍馬さんは…。 （千野）おまさん？ おまさん！ 何をしゆうがですか　おまさん！ 龍馬さんに黙って　そんなこと！ やめてつかあさい　父上！ おまさん！ やかましい！ おまさん　やめてつかあさい！ 父上！ おまさん…！ 何ぜ　これは…！ 脱藩の…　道筋…。 （春猪）嘘じゃ…　嘘じゃ！ おまさん！ 許さん… そんなことら　許さん！ お待ち下さい　兄上！ どういて　止めるがぜよ？！ 龍馬が…→ 龍馬が 願うちゅうことやったら…！ 何を言いゆう！ みんなも見たろう？ さっきの龍馬の顔。 龍馬は ずっと　我慢しちょったがじゃ！ 乙女…　脱藩は お殿様に対する　大罪やぞ！ 捕まったら　死罪ぜよ！ あいつは　誰かに たぶらかされたがじゃ！ あの子が　そんな恐ろしいことを 考えるわけないちや！ お乙女さんやち 知っちゅうろうが！ そうじゃ…！ 私の知っちゅう　龍馬は…→ 何か　とてつもないもんを 持っちゅう男じゃき。 土佐には収まりきらん→ とてつもない　大きゅうもんを 持っちゅう男じゃき！ 見つけたがじゃ　龍馬は。 自分が　成し遂げるべき道を→ やっと　見つけたがじゃ！ 何を言いゆう！ あいつは 泣き虫で　寝小便たれで…→ 何をやらせたち　物にならん奴 やったじゃないかえ！ （乙女）それは　昔の話じゃ　兄上。 龍馬を　土佐に 閉じ込めておきたいゆうがは→ 私らの　わがままですろう！→ やりたいことがあるのに→ 一生 道場主として生きろゆうのは→ むごいぜよ！ やっと見つけたがです… あの子は。 自分の進むべき道を…！ ♪♪～ 吉田東洋様は 悪人ではないがぜよ。 確かに　武市さんとは 考え方が違うかもしれん。 けんど　あのお方は　深う 土佐のことを考えちょります。 …それが 東洋を斬れんかった訳かえ。 ≪もう　えい　龍馬。 東洋が生きちゅうと聞いて わしは　ほっとしたぜよ。 えっ…。 おまんの言うとおり→ 考えが違うきゆうて　殺すゆうがは 間違うちゅう。 わしは　おまんに助けられた。 冨にも　謝らんといかんのぉ。→ あいつにも 心配を　かけてしもうたき。 （物音） いかんぜよ　武市さん。 吉田様を　殺してしもうたら→ わしの知っちゅう　武市さんは もう　おらんようになってしまう。 子供のころから　一緒に遊んだ 龍馬の頼みじゃ！ お願いします　武市さん。 やめてつかあさい…！ 頼むき…！ あれは　いつじゃったか…→ ２人で　スズメを捕まえようと したことがあったのぉ。 確か　わしが 誰かに聞いてきたがじゃ。 米を酒に１晩　つけて それを　庭に　まいちょけば→ ついばんだスズメが　酔っ払うて 千鳥足になるき→ 面白いように捕まえられると。 けんど そのとおり　やってみたら…。 ハハハ…　スズメは　全部食うて　そのまま どこかへ飛び去ってしもうた。 わしと　おまんは ２人で　それを見送ったがじゃ。 ハハハハハハハ…。 あほじゃったのぉ　わしらは。 人ゆうもんは　年を取って それなりに賢うなると→ 同じものを　ずっと一緒に 見続けることは　できんがじゃ。 ２人で　スズメを見送った あの時とは…→ もう　違うがぜよ。 ♪♪～ これだけあったら　えいろう。 はい。 竈の火が消えてしまうき はよ　行き。 はい。 喜勢。 はい。 …わしらは　ずっと一緒じゃよな？ はい。 おお　弥太郎。 元気にしちょったかえ？ 龍馬　何しに来たがじゃ。 ちっくと　おまんの顔が 見とうなっての。 何？ あ。　何ぜ　これ？ 見て分からんがか。　算盤じゃ。 おまん　算盤ができるがか！ 奉行所の門に　落書きして→ 牢屋に　ほうり込まれたことが あったじゃろうが。 おお。 あの時 同じ牢におった　年寄りから→ 商売の極意ゆうもんを教わったき。 商売？ 同じ品物でも　客によって値打ちが 違うゆうがが　面白うてのぉ。 そんな話は　初めて聞いたがぜよ。 わしも　商売には 大いに興味があるきのぉ。 わしの本家は　質屋の才谷屋じゃ。 あそこの帳場が わしの遊び場じゃった。 言うてみたら　わしにも商人の血が 流れちゅうゆうことぜよ。 なるほど。　おまんの世渡り上手は そこから来ちょったか。 うん？ 道理で　心得ちゅうはずじゃ。 人から嫌われん術を。 …世渡り上手なら→ ずっと　土佐におるき。 何？ …いや。 何ちゃあないき。 忙しいところ 邪魔して　すまんかったの。 ほんなら　帰るき。 …うん。　ハハハハハハ！ おい　龍馬。 おまん…　何しに来たがじゃ？ さっき　言うたじゃろう。 おまんの顔を見に来ただけじゃ。 ほんならの。 あ…　姉やん。 どこに行っちょったが？ こんなに遅うまで。 何をしゆう？ おまんの袴を　直しよったがじゃ。 え？ 丈夫にしておかんと→ 長旅は　無理じゃきにね。 これも持っていきや。 母上と　お千野さんが 作ってくれたがじゃ。 春猪も手伝うての。 姉やん…。 それから…→ ここにある刀は　兄上からじゃ。 え…。 坂本家に　代々　伝わる 肥前忠広ゆう　名刀じゃそうじゃ。 持っていきや。 はあ…　出来た！ これなら　大丈夫じゃ！ 姉やん…。 わしは…。 わしは…！ 何ちゃあ言わんでえい　龍馬。 …体にだけは　気ぃつけや。 えい刀を　もろうたきゆうて むやみに抜いては　いかんぞね。 おまんが　どこにおっても→ 私らは　いっつも おまんのことを思うちゅうき！ ごめんちや…。 ごめんちや…！ 姉やん…！ 達者でな…。 龍馬　達者でな！ ごめんちや…！ ♪♪～ ごめんちや…。 ごめんちや　姉様…　春猪…！ ごめんちや　母上…！ ごめんちや…！ ごめんちや　兄上…！ ♪♪～ ごめんちや…！ ♪♪～ ≪龍馬叔父ちゃ～ん。 もう　起きや。 ♪♪～ これを食うたら 才谷屋に行ってくるき。 ご上士様たちは 表では　威張っちゅうけんど→ 台所は　案外　火の車ぜよ。 どこも　お宝の一つや二つ 才谷屋に質入れしちゅうはずじゃ。 その借金台帳があったら 龍馬が脱藩したからゆうて→ そう　やすやすと 坂本家に　手は出せん！ おまさん…！ わしらには わしらの戦い方があるがぜよ！ ♪♪～ （弥太郎） ＜龍馬が　沢村惣之丞と共に→ 脱藩したと聞いたがは→ その日の夕方じゃった＞ ＜そして 龍馬がおらんなった　土佐で→ 恐ろしいことが始まったがじゃ＞ ♪♪～ 誰ぜ　おんしら！ わしを 吉田東洋と知っての振る舞いか！ ♪♪～ （冨）雨が強うなってきましたね…。 おんしら　武市の手の者か！ ♪♪～ ああっ…！ う…　うう…。 武市…！ 大ばか者が…！ （雷鳴） ♪♪～ 知らん土地を あっちこっち　見て回るがは→ なかなか　面白かったがぜよ。 イエス！ これが　攘夷じゃ！ もう　日本人同士で 喧嘩しゆう場合じゃないがぜよ。 勝　麟太郎にございます。 わしも 先生のお役に立ちたいがです！ 誰が　殺したがじゃ？！ （象二郎）坂本龍馬を ひっ捕らえてくるがじゃ！ まだ　やるかえ？ 龍馬！ ＜高知市内にある　水谷山。→ その中腹に 和霊神社があります。→ 脱藩する前　龍馬は　１人で この神社を訪れたといいます＞ ＜高知城下を出た　龍馬は→ 国境の梼原に　たどりつきます。→ ここから 多くの志士たちが脱藩しました＞ ＜険しい山道を 夜通し歩き続けた　龍馬。→ 龍馬の脱藩を助けた 那須信吾の手紙には→ 那須家に立ち寄り→ 脱藩したと記されています。→ 町に残る　茶堂。→ 地元の人々が 旅人を　今も　もてなしています。→ 梼原での　ひとときが→ 決死の覚悟で脱藩する 龍馬の心を　癒やしたのです＞ ♪♪～

パーフェクト・リポート＃07

1 （拍手） （光輝）久しぶりですね　蒼山さん。 （蒼山）光輝君。 （澤村）《なっ　成美？》→ 《おい　成美！》 ♪♪～ 何で　そんな顔するんですか？ （光輝）俺に 会いたかったんですよね？ 弁護士の人から聞きました。 ただ…→ 様子だけでも知りたくて。 メモ　取るなら取ってください。→ 今は 宅配ピザ屋でバイトしてます。→ 月収１２万。→ まあ　ぜいたくはできないけど 何とか食ってます。→ 家は　蒲田にある　ぼろアパートで 家賃は５万。→ これが今の俺の全てです。 ちゃんと働いてるのね。 （光輝）これで満足ですね？ もう　二度と 俺に会いに来ないでください。 （光輝）また　その顔だ。 あなたの　その戸惑った顔 見てると→ 嫌でも思い出すんですよ。 変えられない過去なら 忘れるしかない。 前に進むためには それしかないでしょ。→ 過去に引きずられるなら １人で　どうぞ。 俺を巻き込まないでください。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （シャッター音） （奥澤）黄田さん 旅行でも行くんですか？ （黄田）たまには　楓と のんびり出掛けようと思ってさ。 （白石）へえ　いいね。 （シャッター音） （桃井）いよいよ　あしたですね 赤坂さん　戻ってくるの。 （紫村）また　赤坂さんにメールかよマメだねえ。 （白石）かえって　そういうの 迷惑なんじゃないのか？ （桃井）でも　学校　休んだときとか その日　クラスで何があったか→ 気になったりしませんでした？ （黄田）学生気分か。 （桃井）あっ　すいません。 いや　でも　そういうつもりじゃ…。 （正俊）今日から密着だから 直接　現場に　顔　出すよ。→ じゃあ。 [TEL]（操作音） （正俊）母さん　行ってくる。 （良子）あっ。 （正俊）お前 あしたで東京に帰るんだっけ？ （赤坂）ああ。 （良子）１週間なんて→ あっという間ね。 さみしくなるわね。 （赤坂）ごちそうさま。 （正俊）なあ→ 後で　アラキ亭に　顔　出さないか？（赤坂）アラキ亭？ （良子）ほら　海辺にある食堂の。→ ご主人が　お年だから お店を閉めるそうなのよ。→ その最後の３日間 ルポにするんだって。 （赤坂）相変わらず暇そうだな 地方紙の記者は。 （正俊）つれないこと言うなよ。 あそこのオムライス 好きだったろ？ そんなの子供のころの話だろ。 （良子）大丈夫なのかしら？→ ゆうべも　ひどく うなされてたみたいだから。 ♪♪～ ♪♪～ [ﾃﾚﾋﾞ]（赤坂）《「３０代とみられる 男性が…」》 （赤坂）《死ぬな。　死ぬな！》 （赤坂）《では 取りあえず　お話だけでも》 [TEL]（森山）《せかすのは やめてください》 （赤坂）《なぜ ちゅうちょするんですか？》 （美代子）《自分の責任で 死んだかもしれない相手を→ 容赦なく取材するのが 記者という仕事なんですか？》 ♪♪～ ♪♪～ へえ　来年で５０周年なんだ。 （黒井）式典で　各部署を紹介する 密着ドキュメンタリーを流す。→ 報道局の分を遊軍に頼みたい。 面白そうじゃない。 （黒井）面白い？ 踏ん反り返ってるやつの裏の顔 暴ける　いい機会だわ。 （黒井）余計なことはするな。 赤坂も　あしたで復帰だったよな？ その程度の仕事が リハビリには　ちょうどいいだろ。 へえ　気にしてたんだ。 （黒井）お前とは違って 優秀だからな。 消えると損失が大きい。 ひねくれた言い方ねえ。 「心配してた」って伝えておくわ。 というわけで　報道局員全員分の コメントを　押さえるわ。 （白石）全員分って ８０人以上いるんですよ？→ 記者クラブに出払ってるやつも 多いし→ もう　どれだけ　手間が　かかるか。 子持ちと女好きは機材の準備して。２班態勢でいくわよ。 （桃井）はい。 社会部からヘルプ要請です。→ 波多野　恵子の張り付きに うちからも　１人　出してくれって。 （紫村）波多野　恵子って 女子マラソンの？ （黄田）オリンピックの 金メダリストだろ？ （白石）彼女　民自党の前幹事長の 隠し子だって噂が出てる。→ うちだけがつかんだネタで 証拠探しに躍起になってる。 （桃井）これ　社会部の 部外秘資料じゃないですか。 「部外秘」って見ると　反射的に 手が　ひゅって伸びるんだよ。 スクープ待ちの張り付きは→ 長丁場になるなあ…。 ♪♪～ 僕　行きます。 あっ　そう。 お願いね。 [TEL] もしもし。 [TEL]（赤坂）赤坂です。 どうしたの？　出世虫。 休暇を 延長さしてもらえませんか？ 分かった。 で　１つぐらい覚えたの？ マジック。 そんな気分になれませんよ。 つまんないやつね。 さっきの件は総務に伝えておくわ。 よろしくお願いします。 では。 出世虫　休暇　延長するって。 （桃井）なのに マジックの話　してたんですか？→ 普通 頑張れとか大丈夫とか言うでしょ。 心が折れてるやつに 頑張れってのは禁句らしい。→ 俺の周りでも 悲惨な現場を目の当たりにして→ 続けられなくなったやつが 結構いる。 （奥澤）まさか 永遠に戻ってこないってこと…。 根が深そうだ。 じゅうぶん　あり得る。 ほらほらほら　無駄話は終わり。 ただでさえ 人手も時間も足りないんだから→ ほらっ　はい　動いて。 （白石）ちょっと　もう　俺たち→ 牛や馬じゃないんですからね。 はい　どうどうどう。 早く　早く。　はいはいはい。 （ため息） ♪♪～ （奥澤）あっ　梅野さん　梅野さん ちょっと　いいですか？ （梅野）はい？ （奥澤）梅野さんの仕事の原点って→ 何ですか？ （梅野）俺の原点？ （奥澤）はい。 （梅野）学級新聞。　小学校のとき→ 廊下に張り出したら　みんなが…。 ≪（黒井）梅野→ さっきのファクスの情報 裏　取ったのか？ （梅野）あっ　すいません すぐ　やります！　邪魔　邪魔。 （奥澤）え～。 あっ　ちょっといいですか？ （紫村）張り切ってんな　オクミー。 ありがとうございました。 ≪子持ち。 （黄田）えっ？ こんなのあったわよ。 （黒井）何　勝手に触ってんだよ。 あんた　こんな物　飲んでんだ？ 体が資本の仕事だからな。 （黄田の　ため息） ≪（吉崎）ふざけるな！ お前のせいでな→ スクープ　逃したんだ！ （桃井）本当に　すいませんでした。 （小宮）もう 遊軍のヘルプは必要ない。→ 蒼山に伝えとけ。 （奥澤）どうしたの？ 確か　波多野　恵子の張り付き→ 行ってたよね？ 僕　とんでもないことしちゃって。 （近藤）《来た》 （吉崎）《よし→ 家に入る瞬間 突撃インタビューだ》 （近藤）《今だ》 （自転車の倒れる音） （吉崎）《バカヤロー！》 （桃井）僕は どうせ駄目駄目なんです。 最悪。　何？　そのテンション。→ わたしが先に撮る。 （紫村）カメラ　回ってるよ。 （奥澤）仕事の原点は ふっと訪れると思います。 わたしの場合は→ 初めて　取材相手に 深～く　かかわれたときかな。 まあ　まだ分かってない人も いるみたいですけど。 （奥澤の笑い声） （桃井）人のことバカにして→ 俺　帰ります。 （紫村）オクミー→ 桃井のこと励ましたかったんだろ ホントは。 （奥澤）何　言ってんですか。 （紫村）照れんなよ。→ 今日の取材だって 張り切ってたじゃん。 わたし　仕事に甘かったって 気付いたんですよね→ この前　赤坂さんに怒鳴られて。 そのときはムカついたけど。 だから 少しは成長して帰りたいなって。 ほら　もう残り１カ月だから 遊軍にいるのも。 （紫村）そっか　オクミー　３カ月の 研修だったもんな。　さみしい。 （奥澤）だから　桃井君には関係なくわたしの本音です。 ≪（ドアの開く音） ありがとう。 （記者）そういえば→ 赤坂　どうしてます？ まだ　休んでるわ。 （記者）ちょっと 気になること　あったんですよ。 何よ？　それ。 亡くなった秘書の森山のことで→ 噂を聞いたんですよ。 生前　赤坂を調べてたって。 調べてた？ （記者）ええ→ 赤坂の評判を 聞き回ってたらしいんです。 [TEL]（バイブレーターの音） （黄田）どういうことなんすかね？ そういえば　出世虫に→ 森山との関係について ちゃんと聞いたことがなかったわ。 前に白石さんから聞いた話だと→ 森山さんの方から 突然　接触してきたんですよね？ ネタ元の刑事には　そう聞いた。 何で　出世虫のこと 調べてたのかしら？ 森山の秘書仲間に当たってみるわ。 （黄田）ちょっと まだ　半分以上　残ってんすよ！ （黄田の　ため息） ♪♪～ ♪♪～ [TEL] 赤坂です。 ねえ　あんたの出勤簿だけ 見つかんないんだけど→ まだ　出してないんじゃないの？ 休暇に入る前に渡しましたよ。 [TEL]えっ？ で…→ どうなの？　調子。 （赤坂）頭痛とフラッシュバックが 続いてます。 正直　戸惑ってますよ どうしたらいいのか。 そう。 [TEL]（赤坂）蒼山さんは どうだったんですか？ えっ？ １１年前→ 澤村　武が　死んだとき。 （泣き声） （泣き声） 砂漠で→ 独りぼっちで→ 雨ごいしてるような気分だったわ。 えっ？ 取材に行きたいのに→ 体が動かなくて。 どうやって→ 乗り越えたんですか？ [TEL]分からない。 [TEL]気が付いたら現場にいた。 それじゃあ答えになってませんよ。 そうね。 迷惑　掛けて　すいません。 できるだけ早く戻りますんで…。 [TEL]つまらない心配なんか しなくていいわ。 [TEL]あっ　あったわ　出勤簿。 悪かったわね。 いえ。 じゃあね。 （ため息） 砂漠の雨ごいか。 あっ　帰ったんじゃなかったの？ （桃井）何となく落ち着かなくて。 聞いたわよ→ スクープ　つぶしたんだって？ はい。 今の電話　赤坂さんですよね？ どんな感じでした？ どうすれば前に進めるか 聞かれたわ。 必死に　もがいてるみたい。 赤坂さんも頑張ってるんですね。 奥澤さんも 色々　考えてるみたいなんです。 何やってんですかね　俺。 うじうじしてても 仕方ないじゃない。 自分がやれること やるしかないでしょ。 ♪♪～ ♪♪～ ≪（白石）すいません 丹波代議士のお車ですよね？ キャピタルテレビの者ですが→ 亡くなった 秘書の　森山　秀明さんについて→ ちょっと　お話　伺いたいんですが。 （チャイム） （黄田）ホントに 大丈夫なんですか？→ 赤坂のやつ こないだ　結構　言われてましたよ。 門前払いは覚悟してるわ。 （美代子）あなた キャピタルテレビの。 黄田です 先日は　ご迷惑をお掛けしました。 蒼山と申します。 赤坂の→ 上司です。 どうぞ　お入りください。 （美代子）赤坂さんは どうされていますか？ 事情があって休暇を取っています。 （美代子）そうですか。 （黄田）お伺いしたのは→ ご主人が　生前　赤坂について 調べていた可能性が→ 出てきたからです。 何か　ご存じのことは ありませんか？ 実は　おっしゃるとおり→ 主人は 赤坂さんを調べていたようです。 遺品の中から→ 赤坂さんの資料が出てきたんです。 拝見しても　よろしいですか？ （美代子）どうぞ。 ♪♪～ ♪♪～ （男性）オムライス　下さい。 （店主の妻）あっ　オムライス→ はい　ありがとうございます。 （正俊）失礼ですが どのくらいの頻度で？ （男性）そうね　だいたい　月に…。 （正俊）ありがとうございました。 （女性）失礼します。 （店主の妻）オムライス　１つ。 （店主）はいよ。 （正俊）おう。 （赤坂）デジカメ　買いなよ。 （正俊）バカヤロー→ このアナログ人間に 使えるわけないだろうが。 じゃあ　俺　帰るわ。 （正俊）なあ→ けさの俺の記事　見てくれたか？ ほら。→ 店の親父　すごく喜んでくれてな。 （正俊）お前も ちょっと取材に付き合え。 東京に帰るの延期したんだろ？ （赤坂）冗談じゃないよ。 （正俊）どうせ暇だろ？ 部屋に閉じこもってばかりじゃ 体に毒だ。 そういうことか。 （正俊）えっ？ 俺に気晴らしさしたくて 呼び出したんだろ？ 細かいことは気にするな。 ほら　行くぞ。 分かってんのかよ？ 俺は　東京で仕事ができなくなって戻ってきたんだよ。 リハビリのつもりで 気楽に手伝ってくれればいいんだ。 （赤坂）どうせ　なくなる店だろ？ そんな記事→ 誰が見るんだよ。 俺の仕事を侮辱するな！ どんな小さな記事にも→ 何かを伝える力はある。→ 俺は　そう信じてる！ 病気だか何だか知らないが→ お前　大事なものまで 見失ってんじゃないのか？ （桃井）どんな雑用でも 構いません→ お手伝いさしてください！ （紫村）あ～　もう ２人じゃ　こなせねえよ。 （梅野）黒井さん！→ 黒井さん エンスポに抜かれました！ （梅野）前幹事長の妻が 隠し子だと認めました。 （吉崎）申し訳ありません。 さっさと ほかのネタ　探してこい！ （梅野）はい。 あの　僕…。 （近藤）二度と　俺たちの前に→ 顔を出すな！ （紫村）あの　桃井も　わざと やったわけじゃないんですから。 （吉崎）こいつが 余計なことしなけりゃな→ 俺たちがスクープを とれたんだ！→ ずっと追ってきて→ やっとつかんだネタだったんだ。 ♪♪～ 俺　１人で　取材　続けます。 もう　いいじゃん→ スクープ　出ちゃったんだよ？ 取材　続けても　しょうがないよ。 （桃井）続けたいんです。 何で　そんなに頑張んの？ 負けたくないんです。 波多野　恵子が行きそうなとこ 調べてきます。 ♪♪～ （赤坂）「歴史的大敗を喫した 衆院選から一夜明け→ 民自党本部では党三役が…」 （美代子）《わたしは 赤坂さんの取材が→ 主人を追い詰めたんだと 思っていました》→ 《でも　その資料を見たら→ そうじゃなかったのかも しれないと思えてきて》 （紫村）なあ　桃井のやつ　マジで どうしちゃったんだろうな？ （奥澤）「負けたくない」って 桃井君らしくないですよね。 どうしたんだろう？ （紫村）まあいいや。　それより→ あしたから　インタビューの テープ起こしがあるんで　皆さん→ ちゃんと手伝ってくださいよ。 （白石）日曜だろ？ 予定　入れちゃったよ ポン太の健康診断。 はあ？ 黄田さんは無理っすよね？ （黄田）お前 流れ星　見たことあるか？ （紫村）そんなの 当たり前じゃないすか。 （黄田）だよなあ。 俺　ショックでさあ→ 楓が見たことないって。→ 俺は父親として失格だ。 というわけで→ 何が何でも　あしたは 楓と流れ星を見に行きます。 いいわね　流れ星。 場合によっては　出張扱いで→ 経費で落とすわよ。 えっ？ （良子）あんた　昨日　お父さんと ケンカしたんだって？→ お父さん 取材に行く前　気にしてたわよ。 ≪（黄田）こんにちは～。 来ちゃった。 （楓）来ちゃった。 何で？ （黄田）一生に一度は 言われてみたかったんだよな→ このせりふ。　まさか 自分で言うことになるとはな～。 （楓）な～。 （黄田）ハハッ。→ 冗談だよ。 楓が 流れ星　見たいって言ってな→ この辺は 星が　よく見えるっていうからさ。 ついでにな。→ しかし→ いい所だな　ハハッ。→ こんな所で育ったふうには 見えないな。 まあ　俺　海　嫌いなんで。 （良子）あら　お友達？ （黄田）あっ　キャピタルテレビで 赤坂君に　お世話になってます→ 黄田と申します。 （良子）まあ　こちらこそ→ お世話になってます。 （楓）娘の楓です。 （良子）あら～　カワイイわね。 （ため息） ふ～ん→ 「ポン太の健康診断」って これのこと？ （舌打ち） （白石）昨日 政治部の連中に当たったら→ 赤坂が　ひそかに　丹波代議士の 献金疑惑を追っていたことが→ 分かったんです。 献金疑惑？ 秘書の森山が死んだ裏に→ 何か隠れた真相があるような気が するんですよ。 実は わたしも　森山を知るために→ 丹波代議士との関係を 洗い直してたの。 お互い 赤坂のために動いてたってわけね。 記者を続けていれば→ 陰惨な事件や事故に 出くわすことは　避けられない。 心が折れそうになることに 直面するのも→ 珍しくない。 中には いや応なく退いていく者もいます。 （白石）できれば→ 赤坂には　つぶれてほしくない。 何ですか？ あんた→ ホント　変な親父よね。 食えなくて　ゆがんでるのかと 思えば→ 妙に熱いところもある。 心外だなあ。 誰が　どう見ても あなたほど変じゃない。 ♪♪～ ♪♪～ ≪（奥澤）また　赤坂さんにメール？ 何で？ （奥澤）桃井君　へこんだら→ めんどくさいから。 勘違いしないでよ！ （奥澤）ねえ　桃井君 誰に負けたくないの？ （桃井）えっ？ （奥澤）いや　気になっちゃって。→ 桃井君って 闘争心とかなさそうじゃん。 （桃井）奥澤さんです。 （奥澤）わたし？ （桃井）何か　俺　奥澤さんが 「成長したい」って言ったとき→ 悔しかったんです。 （奥澤）悔しいって何で？ だって 奥澤さん　「成長」って言葉が→ 一番　似合わないと思ってたから。 だから　俺も頑張んなきゃって。 バカにしてるでしょ？ 褒めてるんですよ。 そう。 （桃井）あの人　さっきも話してた。 ああ　ジム友達じゃないの？ 奥澤さん。 （奥澤）んっ？ （桃井）写真　撮っていいですか？ （奥澤）いいよ。 （桃井）あっ　奥澤さん もうちょっと　ご自分の左で。 左？ （桃井）はい。 ここ？ （桃井）はい。　はい　そこで。→ はい　お願いします。 （奥澤）はい。→ 奇麗に撮ってね。 （桃井）はい　チーズ。 [TEL]（シャッター音） （黄田）それじゃあ 息子さんを　少しお借りします。 （良子）ねえねえ　傘→ 最近　天気が変わりやすいから。 （黄田）あっ　すいません。 （良子）これ　ついでに お父さんに届けてあげて。 （赤坂）食堂で　取材を してるんだろ？　傘ぐらいあるよ。 （良子）昨日　ケンカして 気まずいんですよ。 余計なこと言うなよ。 （楓）雨　降ったら見えないね 流れ星。 （良子）大丈夫　今夜は晴れよ。 夕刊に　そう出てた。 えっ？ （黄田）さっきの話 お兄ちゃんには内緒だぞ。 （楓）うん　内緒。　ね～。 （黄田）ね～。　フフッ。 いい父親なんですね。 えっ？ （赤坂）娘さんに 流れ星　見せたいなんて。 （黄田）ハハッ。→ 親父さん　記者なんだってな。→ おふくろさんに聞いた。→ 親父さんみたいになりたくて 記者になったのか？ 逆ですよ。 こんな小さな町で ちまちました記事　書いて→ 誇らしげな親父が うっとうしかった。 俺は　もっと でかいスクープを連発して→ 世間を驚かすような記者に なりたかった。 でも　実際は 俺の報道が人を傷つけた。 分からなくなりましたよ→ この仕事の意味が。 ≪（ざわめき） （正俊）あっ　すいません→ コメントを 幾つか頂きたいんですが。 （男性）すごい　おいしかったです。 （女性）うん　おいしかったです。 （正俊）そうですか。 （男性）はい。　よかったよね。 （女性）何か 今日で　おしまいだって…。 （男性）そうそうそうそう。 （正俊）ええ　そうなんですよ。 （男性）妻と初めてデートしたのが このアラキ亭なんですよ。 （女性）で　店がなくなるって聞いてもう一度　来ようと思って。　ねっ？ （正俊）ありがとうございました。 （男性）いえいえ。 （正俊）え～っと→ あっ　すいません 城陽新聞の赤坂です。 （店主の妻）お待たせいたしました。はい　どうも→ お待ち遠さま。 （男性）あ～　来た来た。 ≪（店主）はい　お母さん。 （店主の妻）はい。 （店主）海鮮丼　できたよ。 （店主の妻）はい　どうも。 （店主）息子の友達が 来てくれたんですよ。 （正俊）あっ　そうですか。 （男性）新聞で この店　閉めるって知って→ それで　友達　誘って やって来たんですよ。→ 昔と→ 全然　味　変わってないですね。 （赤坂）《そんな記事→ 誰が見るんだよ》 （正俊）《どんな小さな記事にも→ 何かを伝える力はある》→ 《俺は　そう信じてる！》 ♪♪～ （正俊）《病気だか何だか 知らないが→ お前　大事なものまで 見失ってんじゃないのか？》 （店主）ありがとうございました。 （店主の妻）お元気で。 （店主）はい　どうぞ　お気を付けて。 （店主の妻・店主） ありがとうございました。 父さん。 （黄田）どう？　楓。 （楓）カワイイ。 （黄田）カワイイ？ （楓）うん。 ♪♪～ ♪♪～ ≪（ドアの閉まる音） 俺が記者になって 初めて書いた記事だ。 （正俊）この店は 俺の記者としての原点だ。 （正俊）この店の最後を お前と見届けられて→ うれしかったよ。 （正俊）長い間　お疲れさまでした。 （店主）あ～　ホントに　もう。 続けてきて　ホントに　よかった。 ありがとうございました。 （正俊）いや…→ こちらこそ→ ありがとうございました。 （黄田）いい親父さんだな。 （赤坂）ええ。 （楓）雨　やっぱり降らなかったね。 （赤坂）いや→ 降ったよ　少しだけ。 （楓）えっ？ お兄ちゃんね→ 雨ごいしてたんだよ　ずっと。 （楓）んっ？ 分からないよな。 （楓）あっ　流れ星。 （黄田）えっ？ （楓）えっと→ パパが幸せになりますように。 （黄田）楓。 パパは　楓がいるだけで じゅうぶん幸せだよ。 ヘヘヘッ。 ♪♪～ （ノック） （赤坂）どうぞ。 （黄田）蒼山さんからだ。 （赤坂）えっ？ （黄田）渡したぞ。 ≪（ドアの閉まる音） [ﾃﾚﾋﾞ]（赤坂）「今回の大敗は→ 不正や汚職が絶えず 大臣の辞職が相次いだ政府への→ 国民の答えと言えるでしょう」→ 「ただ　忘れてならないのは→ 内閣を選ぶ国会も→ わたしたち国民が 選挙で生んだものです」 懐かしいな。 [ﾃﾚﾋﾞ]（赤坂）「わたしたち有権者が→ 一人一人の１票に 責任を感じないかぎり→ この国の政治は　いつまでも 変わらないのではないでしょうか」 何で　こんな物？ 「この資料とＤＶＤは→ 森山さんの遺品から 見つかったものです」 「あなたが報道した想い 届いてたんじゃない？」 （赤坂）《あなたは誰ですか？》 [TEL]（森山）《名乗ることは できません。　赤坂さんの→ 政治部のご活躍を知る者です》 （黄田）色々と お世話になりました。 （正俊）こちらの方こそ→ ありがとうございました。 ホントに 何やってんのかしら？　あの子。→ 起きてるはずなんですけど…。 俺も戻ります。 あんた　大丈夫なの？ 戻って　やり遂げなきゃ いけないことがあるんだ。 そうか。 帰りがてら読むよ　けさのルポ。 最終回だろ？ うん。 じゃあ　いってきます。 （良子）うん。 （正俊）うん。 [TEL]（メールの着信音） ♪♪～ （奥澤）桃井君　どうする？ 今日も　張り付き　行く？ 行きます。 （奥澤）よし　付き合うか。 （赤坂）もう　張り付く必要はない。 赤坂さん。 （赤坂）桃井。→ お前 スクープの種　つかんでるぞ。→ お前が送ってきた　この写真→ この男は　民自党の 選挙対策委員会の本部長代理だ。→ 新人が立候補する場合 彼が選挙をプランニングする。 （白石）波多野　恵子が 次の選挙に出馬するってことか。 父親である前幹事長が 自宅療養中ってことは→ そこに 出馬の動機があるかもしれない。 裏を取って直撃しよう。 戻ってきて　いきなり仕事？ ずいぶん愛想がないわね　出世虫。 働き虫の　あなたに 言われたくありません。 虫虫コンビ。 森山さんの件も取材を続けます。 最後まで　やり遂げるつもりです。 そう。　分かった。 行こうか。 （奥澤）いってきます。 （白石）いってらっしゃい。 ありがとう。 また　騒がしくなりそうですね。 そうみたいだね。 波多野さん お話　聞かしてもらえませんか？ （波多野）いえ 全て新聞に書いてあるとおりです。 （桃井）隠し子騒動の件では ありません。→ 次の選挙のことです。 波多野さん→ 立候補されるんじゃ ないんですか？ （赤坂）待ってください。 波多野さん お答えいただけませんか？ 政治家になって お父さまの意志を継ごうと→ 思ったんじゃないんですか？ それが　あなたなりの→ 親孝行なんじゃないんですか？ ♪♪～ [ﾃﾚﾋﾞ]（波多野）「承諾の意思を→ 明日 正式に党に伝えるつもりです」 眼鏡がつかんだスクープよ。 このネタを　どうするかは そっちで決めて。 本当に申し訳ありませんでした。 （黒井）帰ってきたのか　赤坂。 （赤坂）ご心配をおかけしました。 （黒井）自力で→ はい上がってくると思ってたよ。 戻ってこれたのは 俺１人の力じゃありません。 失礼します。 ５０周年のＶ　納品してきました。 （奥澤）桃井君　言ってたよね？→ 「わたしに負けたくない」って。→ つまり　わたしのおかげだよね？ （桃井）えっ？ （奥澤）ねっ？ （白石）桃井　否定していいんだぞ。 （黄田）そうだぞ。 （桃井）はい。 （紫村）あの　すいません。→ 俺　５０周年のＶ １人で編集したんですよ？→ 何か　俺にないんすか？　その 金一封とか　ご祝儀とか　何か。 はい　ご褒美。 （紫村）あっ　またか。 で　出世虫→ 長い休暇　取ってて 何か　お土産とかないわけ？ （ため息） ♪♪～ ♪♪～ （白石）あら？→ Ｍａｖｅｒｉｃｋのだろ？　それ　ゆで卵。 僕　おなか　すいたんで それ　食べていいっすか？ あっ　じゃあ　ピザでも取る？ マスター　くれたの？ （紫村）ピザ？ ピザ　いいじゃないですか。 （奥澤）メニューは この辺にあると思います。 （紫村）今日は ピザパーティーだ～！ 傷害事件が起きた。→ 東蒲田駅前広場で→ ２０代前半の男が　同年代の男性を ナイフで刺して現行犯逮捕だ。 何よ　それ。 うちで取材やれってこと？ 容疑者は→ 澤村　光輝だ。

勇者ヨシヒコと魔王の城＃02

1 待て！　さぁ　持ってる食料 全部　いただこうか。 （ダンジョー）そう簡単に　とれるかな？ （メレブ）やめとこう　おっさん。 相手　強いよ。 それに見てみ。　あの目。 仏が言ってた 魔王に心を操られた人間だ。 （ムラサキ）人間の目じゃないよ…。 （ヨシヒコ）確実に負けますね。 食料を渡して 許してもらいましょう。 甘い。　渡しても　渡さなくても 殺すつもりだ　ヤツらは。 来い！ （刀のぶつかり合う音） うぅ～！ ダンジョーさん！ 大丈夫かよ　おっさん！ おっさん　死んじゃうって！ ダメだ！　コイツら　殺しの職人だ。 しかも　５人がかりじゃ どうしようもない。 すまんな。 俺たちも腹が減ってるもんでな！ （ダンジョー）やめろ　ヨシヒコ！ お前の敵う相手じゃない。 それは やってみなくては　わかりません。 （メレブ）許してもらおう。 めっちゃ土下座して。　なっ？ 嫌です。 ヨシヒコ…。 いいだろう。　かかれ！ やれ！ やめて！ （カラスの鳴き声） さて…。 どうした？ いや　あの…　５時なんで。 えっ？　えっ？ ５時なんで…　お疲れさまでした。 ちょ…　待て待て！　何？　何？ その　お疲れさまでしたってのは。 いや　一応 ９時～５時ってことなんで。 契約はね。 でもさ　こういう状況だからさ ちょっと残業していこうよ。 基本　僕ら　残業なし派閥なんで。 そんなもんで　派閥　作るなよ。 いやいやいや… とどめじゃん？　だって　もう！ なんか　もめてるみたいですけど 大丈夫っすか？ 大丈夫です。 ちょっと静かにしてもらえますか。 はい　すみません。 すみません。　次　バイトあるんで→ 帰らせてもらっていいすか？ なんで　次入れてんだよ。 俺ら　これから 友達と飲みに行くんで。 飲み会ならさ 少し遅れてもいいじゃん。 ダメっすよ。 飲み会は　むしろダメっすよ！ えぇ～！？ お前は？ あ…　僕は野暮用です。 野暮用ならさ 少し残っていけばいいじゃん。 いや　めちゃくちゃ大切な 野暮用なんで。 なんだろう？ 大切な野暮用って　なんだろう？ あの　大丈夫ですか？ 大丈夫です！ しかし　皆さん 困ってるようですし。 大丈夫っつってんじゃん！ だって　そんなこと言ったって→ 社員にしてくれるわけじゃ ないっすよね。 それはさ 僕が判断することじゃないよね。 すみません　マジで次やばいんで お疲れっす。 お疲れっす。 みんな…　みんなさ　あの…。 とどめ刺していこうよ。 嘘でしょ！？ 嘘だって言って。 １対４なら なんとかなりそうだな。 やっぱ　バイトはダメだな。 言っておくが　俺自身は→ さほど強くない。 ならば しばらく眠ってもらいますよ。 うわぁ～！！ 魔法を倒せって言っても→ その肝心の魔王は どこにいるのかね？ そう簡単にわかったら 冒険の意味がない。 にしても　キリないでしょ　これ。 ねぇ　そろそろ屋根のあるところで 寝たいんですけど。 贅沢言うな。 そんなもん　村でもないかぎり…。 あっ　村だ。 あらま。 やった　髪洗える！ どういうことだ？ 何者かに襲われたあとか。 そのわりには　きれいだな。 村の方！　どなたか　村の方！ いないのかな？ どなたか　いらっしゃいませんか 村の方。 バツ！　バツ　バツ！ バーツ！ １　１！　１　１　セーフ。 １　セーフ　１。 （メレブ）あっ　来た。　うわぁ…。 あっ　怒ってる　怒ってる 怒ってるよ　これ。 バカなの？　お前 静かにしろって言ってんだよ。 そういうことですか。 なぜ静かに…　１　１。 今　儀式の最中だ。 儀式？ よろずの神々 アマテラスオオカミ。 あれは？ １年に一度 裏山の洞窟に住む山神様に→ おなごを１人　生贄として 差し出さなきゃならん。 今年も　その時期だ。 生贄？ 山神ということは 神様ですよね？ どうして 神が生贄を求めるのですか？ その昔 村が魔物に襲われたとき→ 村のおなごが　山神のもとへ 助けを願いに出向き→ 魔物を鎮めた。 その年から毎年　村のおなごが 山神のもとへ出向くのだ。 おなご　超悲惨じゃん。 バカげた話だ。 何か　おかしなカラクリが ありそうだな。 が　しかし 我々には関係のないこと。 さっ！ うまい食材でも見つけようぜ。 そんなのおかしい。 誰と話せばいい？ え？ 誰と話せば やめさせられるんですか？ ヨシヒコ　放っておけ。 ダメです。　絶対にダメです。 そこまで言うなら→ そなたたちが出向いて 話をつけてきたらいい。 山神と？　ヤダ　怖い。 ちょうど　山賊を恐れ→ 生贄を連れて出るのを 拒否るヤツが続出だったんじゃ。 生贄の娘を狙って　山賊たちが 襲ってくるという訳か。 山神にたどり着くのも 命がけだな。 私が山賊たちを退け 山神に話をつけます。 そこで山神が　もう生贄は いらないということであれば→ この儀式は　これきりにすると 約束してください。 そう簡単に村の決まりをさ。 いいよ　別に。 おっと　柔軟　ゆるかった。 えっ　そんなこだわりないんだ。 行くんだったら　生贄を 連れていかなければならん。 生贄を連れなくば 祠は開かん。 いいか？　山神様の祠に着くまでは けして　駕籠から出んようにな。 清めた体が汚れるからの。 （オシナ）はい　おばば様。 少し辛抱してください。 あなた目当てにやってきた山賊は 私たちが退治します。 よろしくお願いいたします。 あなた様　お名前は？ ヨシヒコです。 ダンジョーだ。 ムラサキ　本当は行きたくないです。 余計なことを言うな。 メレブ　魔法使いだ。 私は　オシナと申します。 村のために山神様のもとに お連れください。 私は　その山神を説得し→ あなたを この村へ連れ帰るつもりです。 そんな… なんと　お礼を申せばよいやら。 行きましょう。 はい。 台　台　台！　台が…。 一度　一度置きましょう。 おい　なんだよ　あれ。 （ダンジョー）魔王が操りし魔物たちだ。 噂には聞いてたけど ホントにいんだな。 倒しましょう。 いや　待って待って　行くな。 どうしてですか？ 俺　村で魔物の噂　聞いて→ かなり勉強したけど あれ　かなり強いよ。 強くとも　戦わねば。 いやいやいや！ あれは　かなりもっと レベル上がってから→ 出会うべき 戦うべき相手です　はい。 順路を間違えると　たまに こういうことになります　はい。 そうだな。　なんか強そうだから 避けていこう。　ね　ね？ 勇者なら勝てますよ。 いやいや　甘いから！ すぐ全滅して 目覚めたら教会だぜ。 そして　メチャクチャお金　取られっぜ。 お　お前　何言ってんだ？ でも　あの岩みたいなヤツだったら 倒せそうだけどな。 バカ。　ちょっと もう一度言わせて　バカ。 アイツ　そこそこ強いから。 力ためてくるタイプだから。 今　様子を見ているだけだから。 わかりました。 今回は　オシナさんを無事に 生きたまま帰すことが務め。 遠回りしましょう。 うん　それがいい　それがいい。 大丈夫。　あとで嫌でも 戦うことになるから。 うわっ　気づかれた。 ちょっと　逃げて　逃げて　逃げて！ （サウダ）我が名は　サウダ。 生贄の娘をいただきに参上した。 勇者ヨシヒコだ。 オシナさんは誰にも渡さない。 ならば斬り捨てるまで。 １人でとは　いい度胸だ。 俺が相手になる。 お前らなど　俺１人で十分だ。 やっぱり　やめなさい　サウダちゃん！ ちょっ　ちょっと待たれい。 どうも初めまして。　サウダの母です。 すみません　この子→ どうしても山賊になる 山賊になるって　きかないもんで。 ホントは気のいい子なんですよ。 ちょっと　やめてって　母さん。 余計なこと言うなって。 だって　そうじゃない。 何度も野良犬　拾ってきて 飼ってくれ飼ってくれって。 帰れよ。　もうここは 俺１人で大丈夫だから。 １人で　なんにもできないから 来てあげてるのよ。 今朝だって 「お母さん　靴下どこ？」。 敵の前で恥ずかしいだろ。 そういうこと言うなよ！ すみませんね　皆さん。 この子　どうしても 皆さんを殺して→ その中の娘さんが 欲しいらしいんです。 ホントに　いい子なんでね。 もし　よろしかったら 殺されていただけると→ 母親としては 嬉しいかぎりなんです。 お母さんの気持は わかるんですが→ 我々も　殺されたくない気持も ありまして。 ですよね　わかります。 母さん　いいかげんにしろって。 そんなこと言わなくても 俺　コイツら殺せるから。 殺せるかな？ 皆さん　どう思います？ どうでしょうかね。 戦うとなれば こちらも４人がかりですし。 サウダ君　相当強くないと→ う～ん…　こちらが 勝ってしまうかなという。 バカなことを言うな！ 俺は先生のもとで ３年も剣術の修業をしたんだ。 １０人がかりで来られても 倒せるくらいの力は持っている。 もう　言い出したら きかない子なんだから。 あの…　皆さん。 息子の大事な 初陣なものですから→ どうかこれで　穏便に 殺されてはいただけませんか？ なんで　殺す人間に米を？ 母さん　そんな贈り物とか しなくても勝てるからね。 わかったわ。 思う存分　戦ってちょうだい。 ワハハッ　かかってこい　雑魚ども！ 危ない　もう。 痛い痛い　怖い。 あぁ～　怖い怖い。 痛い痛い　怖いわね　怖い。 あぁ～　痛い痛い。　危ない危ない。 あの…　お母さん！ やりづらいですね　やっぱり。 そうですよね　すみません。 黙ってるようにします。 というか　やっぱり お母さんの前で息子さん→ 斬れないですよね。 ですよね。 さぁ　どうしましょう。 だから　母さんは帰れって！ 母さんだって 帰れないでしょうよ！ 山の事故で お父さん死んじゃって→ 家族もう お前しかいないんだから。 そんなこと言って　この前 変な男　連れ込んでただろ！ あれは　いつもキノコくれる おじさんでしょうが。 惚れてんだろ？ 知ってんだぞ　アイツに。 は？　そんなことない。 キノコだけの関係です。 嘘つけ！　この前→ 竹藪で抱き合ってるとこ見たんだ。 あれは　竹藪から たまたま　ヘビが出てきて→ キャッってなって　偶然こう…。 そのあと１分間ぐらい 抱き合ってただろう！ ヘビが出てきて　キャッってなって→ １分も抱き合うヤツが どこにいるんだよ！ お母さんだって恋したいわよ。 女なんだから！ アイツが父親になるなんて 俺　絶対イヤだからな！ あの　すみません。 すみません　お恥ずかしいところを お見せしまして。 もう　あれですから 先をお急ぎください。 すみません そうさせてもらいます。 キノコのおじさん… いい人だと思うよ。 お前　知らねえだろ！ ああ…　思っていたより→ 山賊は　はるかに多いな。 （ムラサキ）倒しても倒しても 出てくんじゃん。 こっちも　もう持たないよ。 山神の祠まで　あと少し。 最後の力を振り絞りましょう。 つか　お前　何してんだよ？ こっちが戦ってるときに。 俺は呪文唱えてんだよ。 いいよ　ハナブーはもう！ 戦ってる相手の鼻が 上　向いたって→ 戦いに影響ないからね。 バカか　ムラサキ。 俺は　山賊との戦いを 積んでいくなかで　いつしか→ 戦闘の呪文を覚えたよ。 本当ですか　メレブさん。 本当だよ。 それは　ありがたいな。 どんな呪文だ？　見せろ。 いいか　見てろ。 何も起こらないぞ。 ムラサキ　今　何か思ったろ？ 急に　どらやきが食べたくなった。 だろ？　よし！ どういうことだ？ この呪文にかかった者は 急に甘いものが食べたくなる。 俺は　この呪文を→ スイーツと名づけたよ。 いや　スイーツはいいんだけど どうでもいい呪文だよね。 言ったら　ハナブーより どうでもいいよね。 バカか　ムラサキ。　ムラサキ　バカか。 戦ってる最中に　相手が急に 甘いもの食べたくなってみろ。 うわっ　甘いもん食べてぇ。 そう思ってるうちに斬ればいい。 んな　アホな話あるかよ！ すごいです　メレブさん。 お前　なんでも感心するな。 娘をいただくぞ！ そうはさせるか！ スイーツ！ 早く娘を渡さないと…。 いかん…　大福が食べたくて 仕方がない。 大福…　大福…。 ハッ！ ぬお～！ おお～　ちょっと　どうよ　これ。 メレブさん　これで無敵ですよ。 うん　まあ　無敵ではない。 メレブさん 私に　スイーツをかけてください。 よかろう。　スイーツ。 あぁ～　甘いものが食べたい！ 甘いものが食べたい！ あぁ～！ 寝る。 あっ　ストップ　ストップ！　たんま！ ちょっと下ろす　限界限界　痛い！ あぁ　もう限界だよ。 さっき　足くじいたよ。 そもそもさぁ　魔王退治の旅なのに 生贄　運んでるの　おかしくね？ しっ！　お前　聞こえるだろ。 すまん…　ぶっちゃけ　あと３人 山賊が来たら　俺は力尽きる。 すみません　皆さん。 構いませんよ。 私が言い出したことです。 私　ここからは 自分の足で歩きます。 いけません。 外に出たら　けがれるって…。 構いません。 すまん　本当にすまん。 つい　弱音を吐いてしまった。 だが俺たちは　まだ戦える。 俺たちに任せろ。 皆さん…。 困っている人を 命をかけて助けるのが勇者の務め。 私は　あなたを命をかけて守り お助けいたします。 ヨシヒコ様…。 お人好しにも　ほどがあんだろ。 俺も命をかけて。 同じく。 みんな…。 皆さんには なんと　お礼を申したらよいか…。 ただ　せめて　山神の祠まで 私も歩かせてください。 いけません　オシナさん。 出てはいけない！ 汚れるなど迷信に過ぎませぬ。 私　歩きまする！ はい…。 あの…。 どうなさいました？ ああ…　なんでもないです。 さぁさぁ。 どうされたんですか？ さあ　まいりましょう！ ちょっと待ってください。 みんな　どうしたんですか　急に。 命をかけて守るって さっき言ったじゃないですか！ 確かに　オシナさんは　ブスだ！ それはもう まぎれもないブスですよ！ でも　ブスだって関係ない！ ブスだって人間だ！ 私は　命をかけて守ります。 うん　わかった。　それ以上　言うな。 いいや　言いますよ。 みんなに気合いを入れるためにも。 うん　それはいいよ。 気合い入ってる…。 なんですか？　私は 間違ったことを言ってますか？ うん　うん　全然　間違ってない。 っていうか　あの… 怖いくらい間違ってないんだ。 オニ間違ってない。 間違ってないゆえに→ ちょっと黙ろう。 なんなんですか？ メレブさんも　ダンジョーさんも。 オシナさんがブスだから命をかけるのに バカバカしくなったんでしょう！ そんなこと言ってねえだろ！ バカバカしくなんか　なってねえよ！ ねぇ　ダンジョーさん？ なったんかい！ バカバカしくなったんかい！ なるわけないだろ！ オシナさんは　ブスだ！ ただ　ブスな生贄だっているんです！ 生贄が　きれいだというのは 我々の勝手な思い込みだ。 ブスだって人間！　ブスだって守る！ それが勇者だ！ オシナさんがブスなのは ブスだと思うから…。 何度も　ブスブス言ってんじゃねえよ！ オシナさん　あなた…。 きれいですよ…。 なんで　笑ってるんですか？ さあ　行きましょう。 オシナさん。 たとえ　あなたがブスでも　私は戦う。 はい。 さあ　行こう。 （ダンジョー）なんか　すっかり 山賊まで現れなくなったな。 まるで　オシナさんがブスだから 現れなくなったみたいな言い方→ やめてください。 誰も　そんなこと言ってないだろ。 オシナさん。　ブスだってこと 気にしないでください。 はい。 自分が　いちばん傷つけてるの わからないかな。 早く着かないかな　山神の祠。 あっ　あの坂をのぼったところに 祠があります。 ああ　さっさと 山神に話つけて　帰ろう。 お気をつけください。 うん？ 祠の入り口には　祠への侵入を阻む 化け物がいるんです。 化け物？ それは　オシナさんではなくですか？ いや…　私ではなくて…。 人間を　いとも簡単に殺してしまう 獰猛な化け物がいるんです。 え～っ？ あれです。 あの木の幹に抱きついている…。 （ダンジョー）おお　あれか。 あれは　はるか遠き国に住む コアラという動物でな。 人になついて　抱っこしたりすると ムチャクチャ　かわいいんだ。 確かに　超かわいいよね。 確かに　ものすごく抱っこしたい。 たぶん　オシナさんの勘違いでしょう。 どれどれ…。 いけません！ いとも簡単に殺されると…。 あ～っ！！ クソッ…　キラーコアラめ！ 抱っこされるな。 抱っこされたら負けだ！ うっ…　うわ～っ！ キャーッ！　キャーッ！　キャーッ！！　キャーッ！！ うっ…　イタタタタタタ…。 （ダンジョー）やっと寝たか…。 行きましょう　山神のもとへ。 山神よ！ 生け贄を連れてまいった！ 話がしたい！ ほら　やっぱ　いないんだって。 山神！ いないのか？ いるわけねえって。 もう帰ろう！ 山神！ 山神！ なんだよ　いるよ。 いたよ　本当に！ なぜ　今まで　返事をしなかった？ 面倒だったからです。 面倒だと！？ 遠路はるばる 生け贄を運んだんだぞ！ はい！　ご苦労さまです。 それでは　お帰りください。 なになに？　そのフワッとした 気のない感じは。 う～ん　だって　ブスなんだもん。 山神よ！ ブスだと 生け贄を受け取らぬと申すか？ いやいやいや。 そういうと語弊があるけどもね。 まあ　そういうことです。 と…　いうことです。 よかったですね。 これは　喜んでいいのでしょうか？ いいでしょう…　ねぇ…。 それよか　話すことあるだろ。 あっ！ そっちメインでしょ。 山神よ！　私は あなたと話がしたいのだ。 あの村から もう　生け贄を取るのはやめろ！ はい　やめます。 年々　レベル落ちてましたけど ここまでくるのであれば→ はい。　もう　いりません。 本当に　オシナさんを 連れて帰ってもいいんだな？ 逆に　連れて帰ってもらわないと 困ります。 少し複雑ですが→ 皆さんのおかげです。 本当に　ブスでよかった。 ヨシヒコ　人助けもいいが→ これからは　人を見て 引き受けてくれんか？ コイツに　そんなこと言っても ムダですよ。 さ～て　一件落着したところで… 父の仇！ あの…　引っ込むやつも そこそこ痛いんで！ 恒例の行事みたいに刺すのは やめてください！ （仏）ヨシヒコー！ 仏だ。　たぶん　また仏だ。 どこ？　仏　どこですか？ あそこだ。　あそこに見えるだろ。 やはり　私には見えない。 おい　ちょっとよぉ　なぁ！ なぁって！ もう…　主人公に見えないって やっぱこれ　問題あるぜ　これ。 怒ってるよ　また。 ふてくされるから　これつけろ。 （仏）ホントよぉ…。 あ　見えた。 もうさ　次回からは 裸眼で見えようぜ。　仏だし…。 努力します。 うん。　努力します　はいいが→ ヨシヒコよ。　今週は 私が命じた魔王退治とは→ なんら関係のない働きをしたな。 すみません。 困ってる人を見ると　つい…。 それはそれで　あれじゃない？ あの…　いいんだと思うよ。 ただし　ヨシヒコよ！　えぇ！？ あまり　寄り道が過ぎると→ 魔王の手は どんどん広がる一方だぞ。 心得ております。 次は　東に向かえ～！　ヨシヒコよ。 え？　東というのは？ 何？　どういうこと？ 東は東でしょうよ。 東とかさぁ ざっくり言われてもなぁ…。 お前　ざっくりってさ　お前さ…。 仏に向かって ざっくりとか言うな　バカ野郎！ （仏）バカ野郎！ もう少し詳しい情報があると→ 助かります。 何？　情報？ いやいや　そんなの 仏のお告げに　あれだよ　お前…。 情報なんかねえよ。 まぁ　いいよ！　お前らさ とにかくさ　東に向かえよ！ そしたら　なんかあるからさ。 なんかって何？ うるせぇ！ お前みたいなヤツは　バカ！ （仏）お前…　嫌いだよ！ ハハハ…。 （仏）ハハハじゃねえよ　バカ野郎！ 笑ってんじゃねえ！ お前に話してんじゃないんですぅ。 ヨシヒコに話してんですぅ！ あ～　ムカツク　やっぱ。　仏なぁ。 スーッと消えますぅ！ 魔王が　東に住まうということか。 アイツの情報　ちょいと疑わしいよね。 とにかく　行ってみましょう。 兄様…　ヒサは心配です。

とと姉ちゃん＃071

1 <寂しそうに去ってゆく お父ちゃんの背中に➡ 私は 声をかける事が できませんでした> ♬～(ﾗｼﾞｵ) (清)ふぁ～｡ (常子)お疲れですね｡ このところ 会社の方が忙しくてね｡ ああ… お体 気を付けて下さいね｡ (美子)おばあちゃま 今日は 朝食 どちらで召し上がりますか？ (滝子)じゃあ みんなと一緒に食べようかね｡ はい｡ ♬～(ﾗｼﾞｵ) (ﾗｼﾞｵ)｢臨時ﾆｭｰｽを申し上げます｡ 臨時ﾆｭｰｽを申し上げます｡➡ 大本営陸海軍部 12月8日午前6時発表｡➡ 帝国陸海軍は 本８日未明 西太平洋において➡ ｱﾒﾘｶ･ｲｷﾞﾘｽ軍と戦闘状態に入れり｣｡ ｱﾒﾘｶやｲｷﾞﾘｽとも 戦争が始まるの？ (君子)終わるどころか どんどん大きくなっていくわ｡ 私たちは どうなっちまうんだろうね｡ <12月8日 日本軍の真珠湾攻撃により➡ ついに 太平洋戦争が始まったのです> ♬｢普段から｣ ♬｢ﾒｲｸしない 君が｣ ♬｢薄化粧した朝｣ ♬｢始まりと終わりの狭間で｣ ♬｢忘れぬ約束した｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢真実には ならないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬～ <昭和17年4月➡ 東京 川崎 名古屋など 日本本土に 初の空襲があり➡ 戦争は 激化の一途を たどっていきました> <政府からの締めつけや検閲は より厳しくなり➡ 甲東出版では 国の顔色をうかがって➡ 出版せざるをえない状況が 続いていました> 確認 お願いします｡ 私の赤字 どこか おかしかったですか？ (五反田)いや そうじゃないよ｡ こんな戦意高揚の 退屈な読み物ばかりじゃ➡ 読者も つまらんだろうと 思ってさ｡ (谷)めったな事 言うんじゃない｡ いや でも 読んでみて下さいよ｡ 愚痴も言いたくなりますよ｡ そうは言っても 出版禁止になったら 飯は食えん｡ (相田)しかし この質の悪い紙は どうにかなりませんかねえ｡ (谷)紙を回してもらうだけでも ありがたい｡ どの業界も 物資不足は深刻なんだ｡ ほら ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ言ってないで これ 割り付け｡ (相田)はい｡ 長い間 お世話になりました！ (隈井)すまねえな｡ 達者でな｡ へい｡ (にぎわう声) ♬～ (清)ただいま…｡ お帰りなさいまし｡ 今日は 随分と お早いですね｡ うん…｡ 組合から 急な発表があってね｡ 発表？ ご気分は すぐれませんか？ 私の事は いいから➡ 用件を言いな｡ 私は 情けない男です｡ お母さんから この青柳商店の事を 任せられたのに➡ 結局 私一人では 決める事ができませんでした｡ 200年の伝統を誇る青柳商店の 看板を背負うのに➡ 私の器は 堪えきれなかったんです｡ (清) これから 私たちが どうするか➡ お母さんが 決めて下さいませんか？ 一体… 何をだい？ ２か月後 深川の木材商は…➡ 個人営業を禁じられる事に なりました｡ (隈井) 個人営業ができねえって事は 個人じゃなきゃ➡ 営業は できるって事ですかい？ 陸軍の下請けで お国のための営業なら➡ 続けてもいいと 検討されているらしい｡ でも それを拒むなら…➡ 店を畳むしかない｡ 青柳を潰すか➡ 続けるか…➡ 私に決めてほしい っていう事かい？ 悩む事なんかありませんよ！ 何でもいいから 続けていきましょうよ！ 何があっても この青柳 潰す訳にはいかねえんだ！ ああ…｡ そうしよう｡ (隈井)ええ｡ (清)はい｡ 青柳商店が 陸軍の下請けになるんですか？ ええ｡ おばあ様が ご自分で お決めになった事なの｡ ♬～ おばあ様は 本当に この店を続ける気が➡ おありなんでしょうか？ あなたの気持ちは分かるけど 今は そっとしといてあげて｡ でも 陸軍の下請けって➡ 何もかも 陸軍の言うとおりにするだけで➡ おばあ様や清さんは 何もできなく なるのではありませんか？ そんなふうに続けても おばあ様は きっと傷つかれてしまいます｡ 200年守り続けた この店を やめるという事は➡ とっても つらい決断なの｡ お体の悪い おばあ様を 苦しめる事は➡ よくない事だと思うわ｡ ♬～ よっちゃん｡ それって…？ おばあちゃまの浴衣｡ 浴衣？ みんなで一緒に お祭りに行く 約束したでしょ？ うん｡ その時までに 仕立てるつもり｡ ♬～ (医者) うん… ちょっといいですか？ 痛いですか？ いいえ｡ うん… じゃあ 横になりましょう｡ あ～ ゆっくり ゆっくり ゆっくり… はい そうそう｡ ゆっくりで いいですからね｡ はい そうです｡ 問題ないでしょう｡ そうですか｡ よかった…｡ このところ 食が細くなって いたので 心配していたんです｡ ほら 言ったとおりじゃないか｡ 心配性なんだよ 君子は｡ すみません｡ ﾌﾌﾌﾌ｡ 今日は ありがとうございました｡ ありがとうございました｡ さっきは ご本人の前なので ああ言いましたがね➡ あんまり 思わしくないですね｡ どれだけ… 悪いんですか？ もう少し 様子を見てみますが…｡ (雷鳴) お母様！ (君子)大丈夫なんですか？ ﾌﾌﾌ… 私の事を 祈ってたんだとしたら➡ やめとくれよ｡ こんなに ﾋﾟﾝﾋﾟﾝしてるからねえ➡ 祈るのが もったいないよ｡ お母様は お祈りされないんですか？ 祈りに来たんじゃないんだ｡ ただ 懐かしくてねえ…｡ 最近 やたらと 昔の事を思い出しちまって➡ こういう なじみの場所に 来たくなるんだ｡ ここには 君子と 何度も来たねえ｡ はい｡ [ 回想 ] はぁ～ また大凶だった｡ (滝子)安心おし 君子｡ お前に何が起きようが 私が守ってあげるから｡ はい｡ 覚えてます？ おみくじ｡ おみくじ？ ええ｡ 私が大凶を引いたら お母様が➡ ｢安心おし｡ 私が守ってやる｣って｡ ああ… そんな事も言ったねえ｡ ﾌﾌﾌ… 格好つけも いいとこだねえ｡ もうろくした今となっちゃ➡ そんな事も かなわなくなっちまった｡ ﾌﾌﾌﾌ… 嫌だねえ 年を取るってのは｡ ﾌﾌﾌﾌ…｡ ♬～ ただいま｡ お帰りなさいまし｡ どうした？ 怖い顔して｡ 先ほど 組合を通じて➡ 陸軍からの通達がありました｡ 通達？ 裏に工場があり 広さも立地も好条件なので➡ この青柳を 個人営業の停止に伴い➡ 事務所として借り入れたいと｡ 冗談じゃないよ｡ 店は閉めないよ｡ 陸軍の下請けとして➡ 店を続けていけるって 話だったじゃないか｡ どうやら 陸軍のもとで 営業が許されるって 先日の話も➡ 正式に まだ 決まった話じゃないようです｡ 深川の木材商は 間もなく➡ お国が 全て 廃業にするという うわさです｡ あくまで うわさですが…｡ そんな…｡ <青柳を どうするのか｡➡ 滝子は 決断を迫られていました>

絶対零度２nd～特殊犯罪潜入捜査～＃05

1 （高峰）何か起こるとしたら この場所よ。 （磯村）３０ｍ先から誰か来る。 （男の子）ヤッホー。 （男の子）イェーイ。 （主婦）怖いわね。 （主婦）また不審者？ （主婦）最近　多いわよね。 （主婦）近くでしょ？ 車に 乗せられそうになったんですって。 （主婦）子供が不審者に連れ去られ かけたそうじゃないですか。 何かあってからじゃ遅いんですよ。 パトロールを 強化してはいるんですが。 [ﾏｲｸ]（前島）犯行後 逃走しやすそうな場所。→ そのような危険な場所には 共通点があります。→ これは　かつて 奈良のニュータウンで→ 児童が連れ去られた現場と→ 川崎の住宅街で　児童が ナイフで切りつけられた現場です。 （桜木）似てる。 [ﾏｲｸ]（前島）いずれも遮蔽物があり→ 犯行が目撃されにくい場所です。→ 犯罪が起こる場所には→ 人けがなく　見通しが悪く 昼と夜では姿を変える。→ 同じ要素を含んでいます。→ 各地域で　犯罪を誘発しやすい 環境因子を全て明らかにして→ データベース化します。→ それを基に 能動的に防犯を進めれば→ 犯罪抑止に効果があると 考えています。 （出席者）危ない場所を 分かっていても→ 防ぎきれないのが 現状だと思いますが。 （出席者）パトロールを 増やすにしても→ 限界がありますよね。 確かに。 （前島）皆さんの おっしゃるとおりです。→ ただ　研究から導き出したデータをどう生かすかは→ 現場の皆さんの 仕事じゃないんですか？ （前島）さらに詳しい研究資料が 必要な方は→ いつでも言ってください。 以上です。 （高峰）前島さん。 おう。 （高峰）ご無沙汰してます。 （前島）プロファイリング研修 以来だから　半年ぶりか。 （高峰）はい こちらが長嶋室長です。→ 倉田係長です。 （前島）前島です。 （長嶋）非常に興味深い内容でした。 （前島）ありがとうございます。 （倉田）うちの捜査員が→ 捜査に役立てたいと 言ってるので→ 他にも 資料を貸していただけませんか？ （前島）もちろんです。→ あっ　そうだ 依頼した件　どうなった？ 前島さんが特に危ないと 指定した場所ばかりで→ 事件が発生しています。 やはり　そうか。 （高峰）ただ　なぜ→ 都市の死角を狙って 犯行を繰り返すのかは不明です。 （倉田）各所轄でも 対応に困っていたようです。 （前島）あらためてお願いします。 特殊班で 詳しく捜査してもらえませんか？ （長嶋）事実が明らかになれば→ ご自身の研究が 犯罪に利用されていると→ 裏付けることになりますが。 犯罪を止める方が先決です。 分かりました。 （前島）お願いします。 （白石）おっ 前島さんの研究資料か。 はい　私たちの捜査の 参考にもなると思って。 （磯村）あの人も あんな言い方しなくてもな。→ 現場の人間は　かちんとくるよ。 （白石）研究者ってのは 偏屈なもんだ。 あっ。 （白石）おっ。 もう　机が狭いんだよな。 （瀧河）勉強する前に やることがあるだろ。 えっ？ （瀧河）限られた空間を→ うまく使えないのは 空間認識力が弱いからだ。 まずは片付けができるようになれ。 この方が落ち着くんです。 （瀧河）整理整頓が できない人間は→ 色のコーディネートができず バランスの悪い格好になる。 （白石）どうりで いつも変な格好してるわけだ。 あっ。 ハハハハハ。 ちなみに片付けられない状況が 常習化すると→ 自分の 痩せてるイメージができずに→ 太りがちになる。 （猪原）太りがち？ （三井の　せきばらい） （三井）私の机　奇麗でしょ？ （猪原）何これ。 （磯村）う～ん それだけが原因かな。 とにかく いらない物は捨てて　片付けろ。 （長嶋）捜査だ。 あっ　はい。 （長嶋）この３カ月　町田市　板橋区 江戸川区　世田谷区管内で→ 事件が多発している。→ その共通点が浮かび上がった。 共通点？ （長嶋）いずれも 科警研の前島研究員が→ 犯罪多発地点と 指定した場所を狙って→ 何者かが犯行を繰り返してるんだ。 （倉田）これまでは様々な所轄を またがっての犯罪だった故に→ 同一犯と結び付けていなかった。 今回　あらためて調べてみると→ 不審な点が 幾つも浮かび上がったんです。 前島研究員からも　詳しく 調べてほしいと依頼があった。 これは連続事件の可能性が高い。 連続事件。 （長嶋）次の犯罪を 未然に防ぐために→ 特殊班が 総力を挙げて捜査に当たる。 ♪♪～ ♪♪～ （高峰）これが　ここ３カ月の 町田市　板橋区　江戸川区→ 世田谷区管轄で起きた 犯罪発生マップです。 犯罪が多発しているのは いわゆる都市の死角。→ もともと 犯罪が起こりやすい場所ですが→ 特に不審なのが犯罪件数。 ひったくり　車上荒らし 痴漢　児童連れ去りなど→ 特定の罪種だけが 通常の５倍以上　発生しています。 ５倍も？ 偶然の範囲内じゃないですね。 （高峰）町田市の谷生地域で 一定期間　犯罪が多発した後→ 突然　他の地区へと移行。 人為的なものが働いています。 （倉田）それと　これを見てくれ。→ 多発した周囲１ｋｍの防犯カメラを 片っ端から調べたら→ 町田市と江戸川区の　それぞれの 事件が発生した時刻に→ 同じ偽造ナンバーの車両を 見つけた。 （白石）４０代男性は同じ男ですね。 こいつが前島さんの情報 悪用していたのか？ （磯村）でも　あの研究内容は 警察内部の情報ですよね。 それが外部の人間も 知り得ることができるのよ。 これは？ （長嶋）前島研究員が研究の傍ら→ 個人的な活動として 地域住民に呼び掛け→ ボランティアスタッフと共に 作ったものだ。 （高峰）研究が より身近なものになればと→ 地域に根差した防犯マップ作りの 活動を　長年　行っているの。 （白石）こういう草の根活動を やっていたのか。 あの偏屈な研究者が。 （長嶋）この防犯マップの 危険度５の箇所に→ 犯罪発生マップを 重ね合わせると→ 人為的に 事件が多発している場所と→ 符合するんだ。 じゃ　犯人は　これを使って。 （長嶋）いや 世田谷地区は　まだ作製中で→ 公になっていないにもかかわらず 危険度５の場所で事件が起きてる。 前島さんの活動に参加している 誰かが→ 犯行を 繰り返していることになりますね。 何で　そんなことを。 （倉田）世田谷署には→ 危険度５の場所を警戒するよう 伝えた。 （長嶋）その間に俺たちは 真相解明に動く。 都市の死角で犯罪を起こす理由は 何なのか　あぶり出してくれ。 （一同）はい。 吉沢　楓　大学生か。 孫のために参加か。 前島さんには　潜入して探ることを話したんですか？ （磯村）特殊捜査員は いかなる場合でも顔バレ禁止。 同じ警察なのに？ それが　うちの捜査のやり方だ。 前島さんも分かってて 特殊班に任せると言ってくれたの。 （瀧河）あと　世田谷　尾ノ原地区は 高峰さんが住んでいる地域だ。→ 子供連れの参加者が多い。 協力してもらうことにした。 じゃ　高峰さんは　お子さんと。 旦那は出張中だから 娘と２人で参加するわ。 （高峰）近くにお住まいですか？ （女性）ええ　そうなんです。 （高峰）へえ　いいですよね　地域で こういう交流が持てるのって。 （女性）ホント。 顔は　お見掛けしても→ お話しをするのは 初めての方が多くて。 （高峰）そうですよね。→ えっ　皆さんは　何度か 参加されたことがあるんですか？ （女性）いえ 今回が初めてなんです。 こんにちは。 （一同）こんにちは。 あっ　今日は 参加してくれて　ありがとう。 いえ　近くに住んでますから。 それに娘のためにもなると思って。 こんにちは。 （詩織）こんにちは。 [無線]防犯カメラに写ってた男は いません。 [無線]目的の男と つながっている人物が→ 潜んでいる可能性はあるぞ。 （磯村）不審な人物は 現時点ではいません。 白石さんと桜木は内部の人間→ ボランティアスタッフに 探りを入れてください。 こんにちは　吉沢です。 （梶田）あっ　こんにちは。 （加奈）よろしくお願いします。 主なスタッフは３人。 [無線]（瀧河）帝東大学の建築学科に 所属する大学院生　戸山　加奈。→ 子供を持つ主婦の　木田　智子。→ スーパーで働いている　梶田　真之。 （前島）皆さん　それでは→ 各班　自分の担当区域を 調査した結果を→ 発表していきましょう。 （一同）は～い。 （前島）いい返事だ。 じゃ　Ａ班からお願いします。 （一同）はい。 （前島）チェックリストから 危ないと思ったんだね？→ じゃ　具体的に どこが危ないと思ったかな？ 周りがブロックで囲まれていて 見えにくいから。 僕が調べていて 危ないと思った場所と→ おんなじだ。 （詩織）はい。 はい　どうもありがとう。 じゃ　次　お願いします。 （白石）あっ　皆さんで→ いつも前島先生の活動を 支えていらっしゃるんですよね。 （加奈）あっ　私は時間があるときに手伝ってるだけなんで。 （智子）梶田さんは 毎回　参加されてますよね。 （梶田）ええ　まあ。 確かスタッフ名簿に書かれていた お仕事は。 （梶田）スーパーの店長だよ。 土日は お忙しいんじゃないですか？ 自分でシフト組みますから　はい。 [無線]梶田に　明らかに 動揺の兆候が見て取れる。→ 重点的にマークしてみる 価値はあるわ。 今日で半分が出来上がりました。 来週には完成します。→ 次回も よろしければ参加してください。 （一同）は～い。 （前島）本日は ありがとうございました。 （前島）ボランティアに 参加していただいて助かります。 いえ　自分の住んでいる町の 防犯マップをみんなで作る。 いいですよね。 どういう場所が危険かが 体感できて→ 危険予測能力も身に付くんです。 あと地域の交流も深まる。 そんな目的もあるんですか？ 地域共同体が崩壊していると 犯罪が起こりやすくて→ 例えば　あいさつ運動など→ 積極的に 地域の交流が行われていると→ 犯罪は起こりにくいんですよ。 へえ。 ≪（梶田）前島さん　調査結果の資料まとめておきます。 いつも悪いね。 （梶田）いえ。 私も手伝いますよ。 いや　いや　いや　いや　いや １人でできますから。 （前島）ありがとう。 [無線]梶田が 毎回　熱心に参加してるのは→ 情報をつかむための 可能性があるわ。 （詩織）前島先生。 （前島）んっ？ （詩織）地図が完成したら→ みんなが安心して 生活できるようになるんだよね。 ああ　そうだよ。 ママのお仕事もね みんなの安全を守ることなの。 出来上がったら ママも　うれしいって。 （前島）ふ～ん。 （詩織）お仕事の役に立ったら→ ママ　少しは楽になるかな。 （前島）うん きっと楽になるはずだよ。 （加奈）吉沢さん ちょっと手伝ってもらえます？ あっ　はい。 ねえねえ　時間ができて　ママ お休みがとれたりもするかな。 ああ　夏休みか。 ママと どっか行きたいとこでもあんの？ そっか。 頑張って最後まで作ったら→ ご褒美で ママ　連れてってくれるよ。 頑張る。 （前島）うん。 何を頑張るの？　んっ？ （詩織）内緒。 （高峰）あっ。 ねっ。 （前島）ねっ。　フフ。 [無線]梶田が　前島さんが 事前に調べ上げた資料と→ 地域の人たちで作った資料 コピーして持ち出した。→ デジカメの写真データも→ ＳＤカードに落として 持ち出してるぞ。 引き継いで追跡監視を行います。 こっちも　やつの周辺　洗ってみる。（瀧河）了解。 （智子）お疲れさまでした。 （加奈）また来週ね。 私も　こっちなんです。 （加奈）えっ？ あっ　そうなんですか？ はい。 （白石）あっ　あっ　あっ　あっ いや　乗せましょう。→ よいしょ　よいしょ　よいしょ。 （智子）すいません　どうも。 （白石）おっ　大丈夫かな。 いや　いやいや。 梶田さんは　いつも １人で参加されてるんですか？ ええ。 （白石）あっ　いえいえ→ 若いのに なかなか感心だなと思いまして。 （店員）いらっしゃいませ。 （店員）いらっしゃいませ。 ♪♪～ （梶田）よし。　すいません。 （磯村）すいません。 （店員）あっ はい　ありがとうございます。→ １２０円になります。 （瀧河）あっ　すいません。 [無線]分析班 東京都　足立区　旗森　５の１０の８→ ＯＳビル８階を調べてください。 （竹林）テナントに入ってんのは 都市開発デザイン研究所っていう→ 会社っすね。 了解。 梶田さんって いつから参加されてるんですか？ 結構　長かったりします？ さっきから→ 梶田さんのことばっかり 聞きますね。 あっ　えっ　実はタイプなの。 えっ？ えっ？ あっ　だから 詳しく教えてもらえません？ あっ　あっ　そうだったんですか？ はい。 やだ　梶田さんですか？ はい　すいません。 （大森）都市開発デザイン研究所 社長　窪田　修輔　４５歳。→ 遊休地や空き建物の活用。→ 土地の有効利用を コンサルティング。 [無線]（大森）表向きは まっとうな会社よ。 （磯村）防犯カメラの男を確認。 この会社が どう犯罪に関与しているか探る。 こちらでも潜入捜査を始めます。 （磯村）高野　浩一と申します。 高野　浩二と申します。 （竹林）奈良の地主の兄弟って 設定なんですって。 （窪田）この一角を平地にして 開発される。 （磯村）それをそちらに コンサルティング→ してもらいたいんです。 （窪田）なるほど。→ 奈良の 高野興産株式会社さんですか。 （磯村）ええ どうぞ　よろしくお願いします。 （窪田）どうして　わざわざ　うちに。 関西の　どの企業に相談しても→ みんなショッピングセンターを 造りたい言うんです。 先祖代々から 受け継いだ土地なんで→ もっと地域の需要に 根差したものを造りたいんです。 （窪田）なるほど。 （ノック） （竹林）やっぱ　大仏　入れた方が よかったっすかね。 それに弟が　そちらが造った 八王子の公園住宅？→ これをまた えらい気に入ってるんですわ。 他に どういう開発に携わってるか→ ビジネスパートナーとして 教えてもらえませんか？ （窪田）ええ　分かりました。 お待ちください。 ♪♪～ 梶田を詳しく調べたら→ 多額の借金があることが 分かりましたよ。 ギャンブルに　はまって つくったようです。 （倉田）そうか。 （大森）競艇の張り込みで→ １万円　負けたでしょ。 どうして　それを？ 猪原さん特製の超小型カメラが 仕込まれてるのよ。 いつの間に？　あっ。 （大森）これは いろんな物に応用ができるの。 他にも桜木の周りに忍ばせたわ。 えっ？ （大森）全ての行動は丸見えよ。 えっ　どこ？ ねえ　どっ　どっ　どっ　どこに…。 お楽しみのところ　すいません。 社長室の監視カメラ 設置完了しました。 ♪♪～ 剥製？ [無線]（瀧河）窪田と会っている男は 尾上　哲也。 建設族の大物代議士 豊川　尚男の秘書だ。 （倉田）背後に政治家がいるのか。 きな臭いな。 [無線]（磯村）それと防犯カメラに 窪田と写っていた２０代男性は→ 窪田に雇われて 建設現場で働いています。 調べたら ２人とも借金がありました。 つながったな。 梶田にも借金があった。→ 窪田は借金を抱えてる人間を 利用してる可能性が高いな。 犯罪が集中的に起こっている その場所に→ 彼らが狙う理由が あるのかもしれません。 何だろう。 ≪（殴る音） ≪（男性）あっ。 ≪（殴る音） （男性）やっ　やめろ　誰だ。 うわっ　あっ。→ うわっ　あっ　助けてくれ　ギャー。 世田谷　仙原で　事件が起きた。 警棒のような物で ホームレスが殴打され→ 意識不明の重体　殺人未遂事件だ。 殺人未遂？ 前島さんが指定した 危険度５の場所ですか？ ああ。 これまでの犯罪に殺人未遂は 含まれてなかったんですよね。 エスカレートしてるんですか？ （高峰）この３カ月　対象区域の→ 危険度５の場所で起きた 殺人未遂事件の中から→ 警棒で何度も殴った手口を 調べたら→ 板橋　江戸川で 同じ手口の事件があった。→ そして今回は世田谷。 （倉田）被害者は全て男性。→ ３件とも事件現場は 細い入り組んだ路地で起こってる。 その一連と事件は 関係あるんでしょうか。 犯罪の質は違うが共通点もある。 何か見落としていることが あるのかもしれんな。 （長嶋）いずれにせよ 現時点では動きようがない。→ 捜査を続けて→ 確証をつかむしかない。 （一同）はい。 （長嶋）おっ　いいところに来たな。 （長嶋）お手製の 赤ぶどう酢ドリンクだ。 ありがとうございます。 （長嶋）赤ブドウに含まれてる ポリフェノールは→ 脳機能の低下を防ぐのに 効果がある。→ それに酢を加えたんだ。 体にいいんだぞ。 （高峰・桜木）いただきます。 （高峰）んっ？ （長嶋）酢の量　間違えたかな。 どうした　カメ 前島研究員のことか？ あっ 前島さんが作った防犯マップ。 あれが悪用されているかぎり→ 本来の意味は なくなってしまうんですよね。 地域の人たちと一緒になって 作り上げた物だからな。 犯罪を未然に防ぎたいという 思いが込められてる。 でも俺たちの手で 本来の機能を取り戻すんだ。 はい。 前島さんの資料→ あらためて分析し直してみます。 （長嶋）そうか。 この件　深沢に 連続殺人未遂事件として→ 捜査協力を要請しておいたぞ。 ありがとうございます。 もう１杯　飲むか？ いや　私は結構です。 あっ　私も結構です。 そう？　体にいいんだぞ。 じゃあな。 （高峰）ごちそうさまです。 （長嶋）はい　ご苦労さん。 お疲れさまです。 （高峰）お疲れさまでした。 詩織？ うん　今日も遅くなる　ごめんね。 あした… 分かった　じゃあね　おやすみ。 そういえば あしたは残りの地図作りですね。 詩織が どうしても最後まで作るって。 私と白石さんで 梶田を監視しておくから→ 深沢に何か分かったことがないか 聞いといて。 分かりました。 （深沢）警棒殴打事件　鑑識の結果 板橋と江戸川で起きた事件と→ 同様の凶器だということが 分かりました。→ これが詳しい捜査資料です。→ 被害者の接点はなく 物取りや怨恨の線もない。 （深沢）通り魔的な犯行ですね。 やはり共通点は　前島さんが 危険だと指定した場所で→ 事件は起きていることか。 マークしてる人間がいる。 確証をつかんだら そっちに捜査を引き渡す。 人手が足りないときは 部下を回します。 すっかり上司らしくなってきたな。 （倉田）どうした　桜木。 この板橋で起きた最初の事件→ どうして被害者は　夜の９時すぎに現場にいたんでしょうか。 住んでいるのは調布なのに。 こういう細い路地って 自分が住んで詳しいからこそ→ 近道に使ったりしません？ （倉田）ちょっといいか？→ ２人目の被害者は 地元に住んでるサラリーマン。→ ３人目も その地に住み着いたホームレスか。 （深沢）住んでなくても 路地を使うことはあるが→ 確かに気になるな。→ こっちでも調べてみる。 はい。 （倉田）それと　ずいぶんと 情報があがってこないが→ どうなんだ　塚本の捜査は。 （深沢）塚本さんを撃った 畑山　昭子ですが→ 東京都内にいるという目撃情報を つかんでいます。→ 今　足取りを追ってるところです。 （深沢）お前　この前まで→ 塚本さんの事件の話をすると おびえたような顔してたけど→ それが　なくなったな。 （倉田）ようやく刑事として 塚本の事件とも→ 向き合えるように なってきたんだろ。 あっ　私　あの　防犯マップ作り まだ間に合いそうなんで→ いってきます。 （男性）ちょっと ちょっと待ってください。→ ちょっと困りますよ 応接室で　お待ちください。 （磯村）窪田さん 驚かしたいんですよ。 うわっ。 （瀧河）ほんの気持ちです。 （男性）いや　でも。 （磯村）あなたも→ これ見て驚いたでしょ？ （瀧河）窪田さんの→ その顔が見たいんです。 （男性）えっ　あの。 ♪♪～ [無線]（本間）窪田が帰ってきました。 （男性）どうしましょうか。 （男性）う～ん。 （女性）社長。 （男性）あっ　社長。 （窪田）何？ （窪田）勝手に入って 何やってんですか。 うわっ。 すいません 驚かせよう思いまして。 社長さん　お好きでしょ。 （窪田）えっ？→ いや　だからって 勝手に入られては困りますよ。→ 外しますよ。 せやから　やめとけ言うたやろ。 （瀧河）兄ちゃんも乗ってたやないか。 何を言うてんねん　お前が 言いだしたら聞かへんからな→ 俺が引いただけやないかい。 （瀧河）いっつも　これですわ→ すぐ人のせいにする。 だから女にモテへんねん。 それとこれとは別やろ。 （窪田）いや　まあまあ　ちょっと ちょっと　まあ　まあ　まあ　まあ→ お二人とも落ち着いて　ねっ。 [無線]（瀧河）自分は 窪田さんが喜ぶと思って。 （猪原）はい　はい　はい　はい どうですか？　調子は。 （竹林）いや　ホント神業っすよ。→ 鹿の目にカメラ仕込むなんて もう　アイデアが　すごい。 （三井）捜査が終わったら ちゃんと戻ってきますよね。 大丈夫よ　カメラも外して 元通りにしてあげるから　うん。 （竹林）えっ ちょちょちょちょちょ。→ 念のため確認していいですか？ （猪原）うん。 あの鹿の剥製って。 私の私物です。 うん　ＯＫ。 （三井）失礼します。 （一同）おかえりなさい。 （竹林）んっ？ あっ！　窪田　いました。→ 板橋で起きた警棒殴打事件の 周辺の防犯カメラ→ 片っ端から調べてたんすよ。　ほら。 やっぱり この事件も　やつらの仕業ね。 でも　これには　窪田が 使ってる男が　同乗してないな。 （智子）駐車場があるね。 みんな　ここチェックしとこうか。 （一同）は～い。 （加奈）この辺も危なそうだね。→ みんな カメラ持ってる人　写真　撮ってね。 （前島）では皆さん 調査の方　よろしくお願いします。 （一同）は～い。 （前島）じゃ　行こう。　よし　行こう。 例の警棒殴打事件 やっぱり連続事件でした。 危険度５の場所を狙った以外 動機も見えないって。 そう。 前島さんには後で私から話すわ。 （白石）ああ 他の班は調べ終えました。 （高峰）お疲れさまです。 （加奈）Ａ班は　どうですか？ （高峰）あと　もう少しです。 あっ じゃ　私　前島さん呼んできます。 ♪♪～ ねえ。 前島さん。　前島さん？ 梶田は？ 前島さんが調べ上げた資料を コピーして帰った。 現金なやつだ。 （看護師）意識が戻りましたよ。 どうして病院にいるんだ。 気を失って倒れたんです。 詳しい検査のために しばらく入院してほしいそうです。 科警研のお仕事に防犯マップ作り。 無理が たたったんじゃないでしょうか。 大丈夫？ ごめんね　詩織ちゃん もう大丈夫だよ。 早く　地図　最後まで作ろうよ。 詩織　それは 前島さんの体が良くなってからね。 さて　私たちは そろそろ帰りましょうか。 （一同）はい　お大事に。 （前島）すいません ご心配おかけして。 失礼します。　行こう。 （高峰）詩織 ママね　今日も遅くなりそうなの。 （詩織）事件が　いっぱい起きて 忙しいの？ だから　ママが　お仕事 頑張んないといけないんだよね。 ごめんね。　今日も　おばあちゃん 来てくれるから。　ねっ。 詩織ちゃんは 私が送っていきますよ。 （高峰）すみません。 気を付けて帰ってね。 （白石）おじちゃんと帰ろう。 （高峰）お願いします。 ♪♪～ どうした　何かあったのか？ ゆうべ　前島さんが 危険度５をつけた場所で→ 殺人未遂事件があったんです。 どこで起きたんだ。 世田谷区　仙原の　細い路地です。 昨日　その辺りを調べ直していた。 そこにも行っておけば。 （高峰）同様の事件が→ ひとつき半前から ２件　起きています。 一連の事件と 関連していると思われます。 早く止めないと また事件が起きる。 必ず犯人を捕まえます。 （瀧河）監視をＢ班と交代しました。 窪田は前島さんの防犯マップを 何度も確認してるわ。 パソコン画面　調べてみますよ。 鹿の目　ズーム。 あれ　桜木は？ （白石）板橋で最初に起きた 警棒殴打事件の現場が→ どうしても何か引っ掛かるらしい。調べてくるそうだ。 最初の現場。 （倉田）事件が多発してる場所の→ 隠された意味が分かったぞ。 その地区周辺の空き地→ 空き店舗の多い商店街 雑居ビルなど→ いずれも土地の売却を拒否してる 地主がいる。 （竹林）こっちの情報も すげえっすよ。→ 町田　江戸川　板橋 事件が起きてる場所に再開発計画。 （瀧河）世田谷にも再開発計画。 （倉田）都市の死角は 前島さんが言っていたように→ 人けがなく　見通しが悪く 昼と夜では姿を変える場所だ。 窪田たちが　再開発を 進めてる場所と　妙に符合する。 （白石）なるほど そこに目を付けたのか。 （高峰）科警研の前島さんが 危ないと指定した場所で→ 事件が頻繁に起これば 地域住民は敏感に反応する。 （瀧河）窪田たちは住民に→ このまま放っておけば 地域の安全性が損なわれると→ 話している可能性が高いですね。 （磯村）犯罪が 起こりやすい場所を→ 再開発により一掃する。 子供の未来のためにってか。 （高峰）たとえ 地主が拒否し続けても→ 地域住民が認めない。 地主は追い込まれる。 いうならば新手の地上げね。 建設会社からの多額の金が→ 都市開発デザイン研究所を 通じて→ 豊川の秘書の元に流れるって 仕組みか。 深沢さんが　いらっしゃいました。 （深沢）警棒殴打事件 第一の被害者が→ 口を割りましたよ。 借金を抱えていて→ 窪田に　金をやるから 事件を起こせと言われたそうです。 板橋の現場の被害者は→ 窪田に使われていた男？ （倉田）だから監視カメラには→ 逃亡する窪田しか 写ってなかったのか。 その男は どんな事件を起こそうとしたの？ 児童連れ去りですよ。 脅しのために警棒を持参して 子供を物色しているときに→ 突然　何者かに襲われた。 警棒も奪われて 何度も殴られたそうです。 何者かに警棒を奪われた？ ここだ。 [TEL]（バイブレーターの音） 板橋の現場の被害者は 窪田の手下だった。 それと　やつらの動機も分かった。 新手の地上げだ。 [TEL]（倉田）桜木　聞いてるのか。 あっ　すいません→ あの　今から送る写真を 見てもらいたいんです。 [TEL]板橋の現場写真が 似てると思ったんです。 でも　実際　来てみると ホントよく似ていて。 前島さんが　今日　倒れた路地と。 （高峰）桜木　前島さんが倒れる前の詳しい状況　教えて。 詩織ちゃんのことをじっと見た後 何だか辺りを見渡してたような。 その後に倒れたんです。 高峰。 （高峰）前島さんを→ 詳しく調べる必要があります。 （高峰）前島さんは ひとつき半前から→ 事件が多発している場所を 調査している。 おそらく　そのとき→ 児童を連れ去ろうとした 板橋の現場に遭遇した。 [無線]でも捜査を依頼してきたのは 前島さんなのに　どうして。→ 嘘や　ごまかしの兆候は あったんですか？ 一切なかったわ　ただ 心的外傷への自己防衛として→ 一時的に解離性障害を起こして 現実の記憶を失い→ 過去のトラウマを 追体験するケースがあるのよ。 ♪♪～ ♪♪～ 「東京都　台東区在住の 前島　瑞貴ちゃん　７歳が→ ナイフで切りつけられて 殺害される」 「第一発見者は６歳の弟」 （瀧河）板橋の事件に遭遇して→ フラッシュバックで過去の記憶が 呼び覚まされた可能性がある。 「逮捕された犯人は　あの場所なら 人目につかないと答えた」 （高峰）おそらく 細く入り組んだ路地→ 目の前にいる子供 さらに　その場に居合わせる男性→ この３つが　かぶさると 一時的に過去の追体験が始まる。 詩織ちゃんのそばで 倒れたときは→ 大人の男性が 前島さんの近くにいなかった。 だから事件は 起こらなかったってことですか？ 前島さんは　目の前で惨殺された お姉さんを救うために→ 犯人だと思い込んだ男を 襲っている。 窪田の方にも動きありっす。 やつらは世田谷方面に向かってる。（瀧河）了解。 何か起こるとしたら　この場所よ。 （瀧河）周辺にカメラを仕掛けて 対象が来るのを待ち伏せる。 磯村さんと高峰さんは　ここで 全体の動きを把握してください。 できれば来ないでほしい。 事件に集中しろ。 そんなんじゃ 犯人を取り逃しちまうぞ。 （瀧河）この事件は 俺たちの手で止める。 はい。 （磯村）４号方面 ３０ｍ先から誰か来る。 [無線]（瀧河）対象を 見間違えないでください。 （磯村）対象を確認 前島さんじゃない。 （磯村）窪田に使われていた男だ。 現行犯で捕まえるぞ。 （高峰）詩織？　何で　ここに。 詩織が　詩織が犯人の近くにいる。 詩織ちゃんが？ [無線]（瀧河）まだ確認できてない。 ♪♪～ （磯村）まずい 犯人が詩織ちゃんを狙ってる。 [無線]（磯村）３番カメラの 路地に入った。 ♪♪～ ♪♪～ （放電音） ≪（殴る音） （男性）ぐっ　あっ　あっ　あっ。 （高峰）詩織。　詩織　詩織。 （瑞貴）《あっ》 ♪♪～ ♪♪～ 《あっ》 前島さん。 （高峰）詩織？ どうして　１人で　こんな場所に？ んっ？ （詩織）ごめんなさい。→ でも私の班が調べ終えないと 地図が完成しないんだよ。 出来上がったら→ みんなが　安心して 生活できるようになって→ ママのお仕事も 少しは楽になるよね。 （詩織）だから　地図を 早く最後まで作ろうと思って。 ごめんね。 ♪♪～ （瀧河）逃走を図ろうとした 窪田を逮捕。→ 同時に梶田も逮捕しました。 あと１つ→ 被害者のホームレスの意識が 戻ったそうです。 あっ　あ痛。 ♪♪～ 確か調査の途中だったはずだが。 一連の事件は　無事　解決しました。 えっ？ 重体だった被害者のホームレスも 意識が戻ったそうです。 そうか。 殺人事件にならなくてよかった。 ホントによかった。 ありがとう　犯人　逮捕してくれて。 あっ　そうだ。 （前島）ちょっと くしゃくしゃになっちゃったけど。 地図が完成したら詩織ちゃんと。 ママと一緒に行きたいって。 どうしたんだ　そんな顔して。 事件　解決したんだろ？ ♪♪～ ♪♪～ （高峰）前島さんを 警察病院に収監しました。 （長嶋）そうか。 （倉田）幼いころの前島さんを 診察した医師と連絡が取れた。→ ６歳だった前島さんが 近道だと言って→ たしなめるお姉さんの手を取って 路地に入り→ 事件に巻き込まれたそうだ。→ 事件後　ＰＴＳＤになった 前島さんは　大人になるまで→ かばんに武器を忍ばせていないと 夜道さえ歩けなかったらしい。 板橋の事件で 過去の追体験をしているとき→ 犯人から警棒を奪った。 それで自覚もなく　かばんの中に 警棒を忍ばせていたのか。 （磯村）やるせないですね。 つらい経験から→ 誰よりも 犯罪を未然に防ぎたいと思って→ 活動していたのに。 でも　前島さんが 今まで　やってきたことは→ 無駄じゃないですよね。 悲しい犯罪だけど 前島さんの活動は→ 地域に根付いていると 信じたいです。 ああ。 それに　これで終わらせない。 えっ？ （長嶋）前島研究員の ノウハウを基に→ 警視庁で各自治体や所轄に→ 防犯マップ作りの活動を 推進していく。 娘と一緒に最後まで→ 私の住む地区の防犯マップを 完成させたいと思います。 前島さんの思いは 私たちと同じですよね。 その思いを引き継げばいい。 はい。 （深沢）押収した 窪田のパソコンなどから→ つながっている代議士まで 逮捕に　こぎ着けそうですよ。 後は頼むぞ。 ただ　窪田の手下の１人が 妙なこと言ってるんですよ。→ 借金を抱えたのは　突然 貯金がゼロになったからだって。→ ごまかしてるとは言い切れない 証拠が挙がってきてるんですよ。 いつも謎が１つ残るな。 （深沢）えっ？ ここのところ 扱った事件　全て　そうだ。 （沢田）《大きな視点で見れば 価値は逆転する》→ 《俺は　それを ある人から学んだんだ》 ♪♪～ ♪♪～ ＜８月１０日に発売する　『絶対零度 特殊犯罪潜入捜査』のメーンテーマ→ ＬＯＶＥ　ＰＳＹＣＨＥＤＥＬＩＣＯの 『Ｉｔ’ｓ　Ｙｏｕ』のＣＤを→ 抽選で５０名さまに プレゼントいたします＞ ＜皆さま　奮ってご応募ください＞

咲～Saki～＃01

1 [ｽﾋﾟｰｶ] ピンポンパンポーン… (図書委員) 返却は ２週間後になります｡ (宮永咲)はい｡ ゴォーーッ(風の音) ♬～ ♬～ ♬～ (和)これ あなたの？ はい… あっ すみません｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (和)それでは…｡ あれ？ ♬～ ♬～ ≪(まこ)入部希望者かの？ あっ… いえ｡ (優希)麻雀部に入りたいのか 大歓迎だじょ｡ ねっ 先輩｡ (まこ)季節外れじゃが➡ 部長も喜ぶわ｡ まあ 入りんさい｡ えっ…｡ (優希)ほらほら 行くじょ 行くじょ 行くじょ➡ ほら あっちだじょ｡ あっ…｡ あっ…｡ (まこ)和 知り合いなん？ (和)いえ｡ いつも ベンチの所で➡ 本 読んでる方ですよね｡ あっ はい｡ (優希) なんか うちに入りたいんだって｡ あっ いえ 違うんです｡ あの… これ➡ 落としましたよね？ (和)あっ…｡➡ ありがとうございます｡ (優希)な～んだ せっかく 部員が増えると思ったのに｡ じゃあ 私は これで｡ (まこ)待って｡➡ あんた 麻雀できるん？ 麻雀？ ルールは 分かりますけど｡ (まこ)ちょうどええわ 入って｡➡ あの調子じゃ 部長も なかなか 起きんけぇね｡ (優希)やろ！ やろ やろ！ でも 私…➡ 小さい頃 家族と やったことがあるくらいで｡ (まこ)まあ まあ まあ 部長が起きるまでの つなぎじゃ｡ (優希)ほら 早く 早く｡ ふふっ｡ でも…｡ (まこ)点数は 30000点を基準に➡ プラスマイナスで 計算するからの｡➡ もちろん いちばん プラスになった人が勝ちじゃ｡➡ いわゆる 25000点持ちの➡ 30000点返しで ウマはなし｡➡ ルール知ってるなら分かるじゃろ｡ はい｡ (優希)お手並み拝見だじょ｡ お手柔らかにお願いします…｡ (まこ)ええじゃろ 自動雀卓｡ うちの店から持ってきたんじゃ｡ ｢うちの店｣？ (まこ)うち 雀荘やっとるんじゃ｡➡ いつでも 遊びに来んさい｡ 名前 まだじゃったの｡ 染谷まこ ２年じゃ よろしくの｡ １年の宮永咲です｡ よろしくお願いします｡ 原村和です｡ 私も １年です｡ 同じ年なのに…｡ 何か？ あっ いえ…｡ ♬～ (優希) のどちゃんは すごいんだじょ！➡ 最強の中学生だったんだ｡ えっ？ (まこ)全国中学生麻雀大会の 個人戦 優勝者じゃ｡ そうなんだ｡ (優希)高校の大会でも➡ どこまでいくか楽しみだじょ｡ (まこ)この大会に向けて うちら麻雀部も 特訓中じゃ｡ (優希)あっ 私 片岡優希ね｡ 私も １年｡ あの～ さっきから食べている それは｡ タコスだじょ｡ １個 食べる？ 力 出るじょ｡ あっ いえいえ 大丈夫です｡ ♬～ あっ それ ロンだじぇ｡ えっ… 早い！ (まこ)優希は 早さだけが 取り柄じゃけぇ➡ 東場では稼ぐけど 南場では失速するタイプじゃ｡ (優希)天才なんだけど 集中力が持続しないのだ｡ (和)飽きっぽいの間違いじゃ｡ (優希)それだ｡➡ はい 2000点｡ はい｡ (まこ)にしても…➡ 明らかな ピンズ待ちじゃろ｡ (優希)もろ 初心者だじぇ…｡ ♬～ (まこ)リーチ｡ あっ それ ロンです｡ (まこ)三色 諦めて アガりかい…｡ ダメでした？ (優希)ダメじゃないけど…｡➡ やっぱり 素人だじょ…｡ (和)おかげさまで 私がトップですね…｡ (まこ)和は 負けんのう｡ じゃあ 私は…｡ (優希)よっしゃ ２回目➡ いくじぇ～！ ♬～ (和)ツモ…｡ パチ！ 1000 2000です｡ (まこ)マジかい…｡ のどちゃんの勢い 止まらないじょ…｡ (和)ロン｡ 3900です｡ (優希)げっ!? また…｡ ♬～ あっ ツモです｡ 1300 2600です｡ (優希) じぇ！ 高い手 張ってたのに！ (まこ)これで ２回目の半荘 終了｡ (優希)あぁ～あ タコスが 切れてきて 調子出ないじょ｡ カタ カタ(ｷｰﾎﾞｰﾄﾞ操作音)(まこ)今 回も 和の圧勝じゃの｡ じゃあ 私は これで｡ (優希)えっ？ あっ ええ～ ちょっと ダメ｡➡ 勝ち逃げは ずるいじょ！ でも 私 勝っても負けてもいませんから｡ (まこ)確かに プラマイ０じゃな｡ (優希)でも 部長が 起きるまでの約束だじょ！➡ 次で 終わりにするから！ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] ｷｰﾝ ｺｰﾝ ｶｰﾝ ｺｰﾝ…(ﾁｬｲﾑ) (優希)全然 手が進まないじょ…｡ (まこ)やればやるほど 調子落ちとるの 優希｡ (優希)タコス補充すれば 次の半荘では 復活するじょ｡ えっ 次もあるんですか？ ≫(久)あぁ～あ…➡ がっつり寝ちゃった｡ えっ…｡ ん？ 学生議会長？ (和)竹井久さんは 麻雀部の部長でもあるんです｡ そうだったんですか｡ (久)あなたは？ １年の宮永咲です｡ (まこ)部長が寝とる間 入ってもらったんじゃ｡ (久)へえ～ ありがと｡ 宮永さんは 何部？ あっ 特に 部活には入ってなくて｡ ふ～ん… まあ 続けて続けて｡ (久･心の声)≪へえ～ きれいな手 張ってるわね｡➡ リャンピンか ウーピンが来れば タンヤオ ピンフ 三色…➡ 最低でも 7700か≫ カチ(ﾏｳｽのｸﾘｯｸ音) (久)≪ふ～ん 半荘２回で プラマイ０なのね…≫ ロン｡ 1000点です｡ ≪えっ… 1000点？≫ (久)≪キューマン ツモって ローマン切り？≫ ≪なんで わざわざ 三色と タンヤオを消して 安い手を？➡ 見たところ キューマンが 危険牌ってわけでもないし…｡➡ 理解できない この子の打ち方…≫ カタカタカタ… (まこ) これで ３回目も終わりじゃの｡ (優希)ああ～ また のどちゃんがトップか｡ 会長も起きたので 私は 帰りますね｡ (優希)えっ もう帰っちゃうの？ すみません｡ ガチャ バタン(ﾄﾞｱの音) (久)今の子の点数は？ (優希)プラマイ０っぽ～｡ えっ…｡ ≪ってことは ３連続プラマイ０!?≫ (まこ)結局 今回も 和の圧勝じゃ｡ (久)圧勝？➡ 何 甘いこと言ってんの｡ スコア見て 気づかないの？ (和)まさか ３連続プラマイ０が 故意だとでもいうんですか？ ≪ ゴロゴロゴロ…(雷鳴) (まこ)いやいや これは➡ たまたまじゃろ｡ (優希)そうだじょ➡ 麻雀は 運の要素があるから➡ プロでも トップ率３割いけば 強い方…｡ (まこ)ましてや プラマイ０なんて 勝つより難しいわ｡➡ それを毎回なんて｡ (久)不可能って言いたいの？➡ でも… もし 圧倒的力量差だったら？ ♬～ (優希)狙って プラマイ０なんて ありえないじょ｡ (まこ)偶然じゃろ｡ (優希)のどちゃん？ ゴロゴロゴロ… ♬～ ゴロゴロゴロ… ザァーー…(雨音) 傘 傘…｡ ≫ タッタッタッ…(足音) ≫(和)宮永さん！ 原村さん？ ３連続プラマイ０➡ わざとですか？ 私が打つと いつも あんなふうになっちゃうんです｡ なんで そんな打ち方を…｡ 家族麻雀で…｡ えっ？ 負けると お小遣いを減らされちゃうから➡ 負けないことを覚えて｡ 勝つと 両親の機嫌が悪くなるから➡ 勝たないことを覚えました｡ 宮永さん…｡ ピシャーン！(雷鳴) もう一回…➡ もう一局 打ってくれませんか｡ ≪ ザァー… 雨も強うなってきたし ちょうどええじゃろ｡ やむまで もう一回じゃ｡ でも…｡ (久)これで 最後にするから｡➡ 部活も入ってないんなら 暇でしょ？ まあ そうですけど…｡ (優希)部長は入らないの？ (久)私が入っちゃうと みんな 飛んじゃうから｡ (まこ)ふふっ 言ってんさい｡ (久)今度は ルール変更ね 東風戦で 赤４枚｡ 東風戦…｡ 分かるわよね？ 普通に行われる半荘戦が➡ 東１局から 南４局｡ 東風戦は 東１局から 東４局だから➡ その半分ってこと｡ (優希) ふふっ 東風戦なら負けないじぇ｡ (まこ)赤は知っとるよな？➡ 赤く塗られた ｢５｣の牌➡ これが４枚入るんじゃ｡ 持ってるだけで ドラ扱いになるんですよね｡ (久)そう｡ 分かってるなら問題ないわね｡➡ それじゃあ 始めようか｡ (和)≪４連続プラマイ０なんて ありえない…｡➡ 絶対にさせません≫ ♬～ いくじぇ～｡ 親のリーチ！ (和)≪早い…≫ (まこ)≪２巡目で…≫ ≪こがぁなん読めんわ≫ (優希)はい 来た！ ド～ン！ リーチ 一発ツモ ドラ３！ 親ッパネ！ (まこ) おい おい おい… いきなりかい｡ ≪赤ドラがあることで 大きく点が跳ね上がる≫ ≪運の要素が強くなり そのうえ 東風戦という短期決戦≫ ≪プラマイ０の調整は 難しいはず…｡➡ どうする？ 宮永さん≫ ♬～ (和)ロン｡ (優希)じぇ！ 8300です｡ (優希)今 染谷先輩が➡ 捨てたじゃん！ 直撃狙いです｡ (優希)うう～…｡ ♬～ (優希)それだ！ ロン 1000点｡ なぬ…｡ ≪早アガりで逃げる気ね≫ ♬～ ロン｡ タンピンドラドラ… 11600｡ ♬～ (久)≪彼女が プラマイ０にするには➡ 29600点から 30500点の僅かな範囲に➡ 収めなくてはいけない≫ ♬～ (和)≪また プラマイ０に近づいてきてる≫ ♬～ (まこ)ツモ｡ メンホン ツモ 中ドラ１｡➡ 3100 6100｡ ≪そう簡単にはいかさんぞ≫ ≪東風戦だから これが最終局≫ ♬～ (久)≪プラマイ０まで 5100点≫ (久) ≪来た｡ メンホン テンパイ｡➡ ウーピンか パーピンが出れば 5200で プラマイ０が完成≫ 通るかな？ (久)≪ウーピン!?≫ ≪スルー？≫ (久)≪山越しの赤ウーピンも スルーした≫ ≪優希のウーピンでアガれば １位になり➡ オカの2000点が 加算されてしまう≫ ≪和の赤ウーピンでアガれば ２位だけど プラス２になる｡➡ やっぱり この子 プラマイ０しか見えてない≫ (和)≪おそらく 宮永さんは プラマイ０で終われる➡ 5200点を狙っている｡ ですが…≫ (和)リーチ｡ ≪リーチ棒が出たら どうするのでしょう？≫ ≪リー棒≫ (まこ)≪ふっ…➡ 和も 意地が悪いのう≫ ≪1000点増えたことで 5200点では アガれなくなった≫ ≪プラマイ０にするためには 4100点から 5000点まで≫ ≪その条件に合うのは…➡ ７０符２飜だけ≫ (和)≪私のリーチをかわして ４０符３飜の手を➡ ７０符２飜に変えられますか？≫ (久)≪無理だ｡ 部の記録を見るかぎり➡ ７０符なんて 1000回に１回出るか…≫ ≪しかも ２飜で作るとなると もっと難しい≫ ≪役萬以上のレア｡ しかも 今 このとき➡ それを狙って作るなんて 不可能だじぇ≫ ≪終わったのう≫ ♬～ ≪いや まだだ≫ ♬～ カン｡ ♬～ ≪西 アンカン!?≫ ≪７０符２飜でアガるには 運が必要｡ それも…≫ ♬～ (久)≪この空間を支配する 超人的な豪運が≫ ♬～ ≪人は それを奇跡と呼ぶ≫ リンシャン ツモ｡ ♬～ (久)≪奇跡を可能にするのは…≫ ７０符２飜は… 1200 2300です｡ ≪神か… 悪魔か…≫ (優希)また プラマイ０…｡ (まこ)これで ４連続…｡ ≪この子がいれば 団体戦で 全国 狙えるかもしれない≫ ♬～ お先に失礼します｡ ♬～ (久)宮永さん｡➡ 麻雀部に入らない？ ごめんなさい｡ ♬～ 私 あまり 麻雀好きじゃないんです｡ ♬～ 毎回 プラマイ０なんて 人間にできることなの？ 宮永さん 今日は勝ってみて｡ すごいじょ 咲ちゃん！ 私は認めません｡➡ 宮永さんの麻雀を｡ 私を➡ 麻雀部に入れてくれませんか？ リーチですわ｡ やはり 本命は➡ 龍門渕高校｡ 見せてあげましょう 私たちが最強だということを｡ うちは雑魚だって｡ 全国 行きたいっすね｡ 終わる頃には 評価も変わっていよう｡ やっぱり 麻雀って楽しいよね｡➡ いろんな人と打てて すっごい楽しい｡ 劇場で待ってるじょ～｡

昼顔～平日午後３時の恋人たち～＃07

1 (紗和)＜体が ２つに 引き裂かれそうでした＞ ＜でも 奥さんの顔を 知ってしまった 今➡ 振り返れば そこは 地獄＞ ＜しょせん 私は 悪女に 成りきるほど➡ 強くないのです＞ (利佳子)泣いても いいわよ｡➡ 私も あの人と 別れて つらかったの｡➡ ２人で 慰め合いましょう｡ (紗和)すいません｡ 甘えて｡ (利佳子)言わないわよ そんなこと｡ えっ？ (利佳子)目を腫らして 帰ったら➡ どんなに 鈍感な ご主人でも おかしいと 思うでしょ？ 分かってますよ そんなこと｡ しっかりしなさいよ｡ 私みたいに バレたら どうするの？ お宅の夫婦は 遊びがないから 即 終了するわよ｡ あなたは 今の生活を 全て 失い➡ ご主人は 人間不信に陥る｡ どんなに つらくても 墓場まで 持ってかなきゃ｡ 利佳子さんは つらくないんですか？ 普通の恋なら 失恋した かわいそうな自分に 浸って➡ 大泣き できるわよね｡ 友達に愚痴ったり やけ食いしたり 傷心旅行に 行ったりして➡ 発散できるわ｡ でも 不倫の恋は➡ 別れた後でさえ 人に 知られるわけには いかない｡ 彼と出会う前の 味気ない 日常に➡ 何事も なかったように 戻るしかないの｡ つらくないわけ ないわ｡ でも それが 不倫でしょ？ ♬～ そうよ｡ いつものことを いつものように するの｡ いつものことを いつものように｡ ♬～ ≪(乃里子)裕一郎｡ 見て｡ ねえ｡ ≪(乃里子)裕一郎｡ (北野)うん？ (乃里子)ねえ｡ 早く｡ (北野)何？ (乃里子)私の論文が➡ プロフェッサー ニューキに 褒められてるの｡ (北野)ニューキ？ (乃里子)うん｡ ねっ？ (北野)｢breakthrough in the study｣か｡ すごいな｡ (乃里子)ご褒美｡ (乃里子)私 無理するの やめた｡➡ 普通の奥さんって つまんないもんね｡➡ 裕一郎と 私は 夫婦だけど 一緒に研究してきた 同志でしょ？ (乃里子)普通の人には 割り込めないよね？ (北野)そうだな｡ (乃里子)大事にしてよね｡ 特別な 奥さんなんだから｡ (乃里子)もっと｡ (拍手) (京子)こちらです｡ どうぞ｡ もう 大評判ですよ｡➡ ｢表紙のアートは 誰が 描いた？｣って｡ (田村)問い合わせも じゃんじゃん 入ってきてますよ｡ (滝川)いやぁ｡ さすがです｡➡ おかげで アクセス数 めちゃくちゃ 増えてますよ｡➡ 私情を排して あなたに 頼んで よかった｡ (滝川)あっ｡ できてる？ 用意｡ (京子)スタンバイ ＯＫです｡ 行こう｡ 行くよ｡ さあ 噂のアーティストと すご腕 エディターとの➡ 歴史的 瞬間だよ｡ どうぞ｡ (滝川)はい｡ (ｽﾀｯﾌ)預かります｡ (滝川)どうしたんです？ ちょっと｡ 笑って｡ 笑顔で｡ ハァ…｡ (陽菜)どうしたの？ お姉ちゃん｡ びちゃびちゃ｡ やだ｡ 傘 持ってないなら 連絡すればいいのに｡ (陽菜)お母さん｡ 携帯 ないんだもんね｡ あっ｡ そっか｡ ごめん ごめん｡ (真菜)自分で できる｡ シャワー 浴びたら？ 今日は 真菜の好きな➡ チキンカツと お芋のスープと 陽菜の好きな お豆のサラダよ｡ (陽菜)やった｡ (真菜)私 もう チキンカツ 好きじゃない｡ えっ？ お芋のスープも 好きじゃない｡ どうかしたの？ どうもしてないよ｡ 嫌いになっただけ｡ 真菜？ ≪(ドアの開く音) ≪(俊介)ただいま｡ おかえり｡ (俊介)ハァ｡ 夕立で 余計 蒸し暑いな｡ (俊介)あっ｡ はむすけ みはむ ただいま｡ パパでちゅよ｡ ＜また 何の変哲もない 日常が 戻ってきました＞ (俊介)新聞の回収袋 入れといたよ｡ ああ｡ ありがとう｡ もう 月末か｡ ＜こうしていると➡ あの人とのことは 幻だったような 気がします＞ ＜平凡な主婦が 昼寝の間に見た 一瞬の夢＞ ＜夢なんかじゃない＞ ＜ただの夢なら こんなに 苦しいはずが ありません＞ コンビニ 行ってくる｡ (俊介)えっ？➡ 腹 減ってんのに｡ すぐ 帰るから｡ ♬～ ♬～ ♬～ あっ｡ 紗和ちゃん｡ (乃里子)おーい｡ ＜神様は 簡単には 許してくれないようです＞ ≪(乃里子)紗和ちゃん｡ あっ｡ 昨日 ごめんね｡ 急いでたから｡ (乃里子)ううん｡ いいの｡➡ でも こないだも 急に 行っちゃったから➡ どうしたのかなって 思ってた｡ ああ…｡ ありがとう｡ ちょっと 気分 悪くなって｡ (乃里子)私が 自分の話ばっかり しちゃったからかな｡ そうかも｡ (乃里子)ひどい｡➡ でも 聞いてもらったおかげで 夫とは うまくいってるの｡ そうなんだ？ (乃里子)うん｡➡ 利佳子さんの 言うとおり 詮索しないで 甘えたら➡ すんなり ぎゅってしてくれた｡ よかったじゃん｡ ご主人に 好きな人が できたなんて➡ やっぱり 気のせいだったんだよ｡ (乃里子)ハァ｡ それは ないな｡ 私 勘は 外してないと思う｡➡ 絶対に 好きな人は いたと思う｡➡ 勢いで 深い仲になった 相手かも｡ まさか｡ 不器用なんだから 簡単に そんな関係に ならないよ｡ アハッ｡ 紗和ちゃん おかしい｡ まるで うちの主人のこと 知ってるみたいに 言うのね｡ えっ｡ 何となく｡ 高校の生物の先生って いうから｡ 私 高校の教師って 言ったっけ？ 聞いたよ｡ この間｡ (乃里子)そっか｡ (北野)夏休み中に お前と ちゃんと 話したいと思ってな｡ (啓太)ちゃんと？ あんたと？ 何を？ (北野)木下｡ お前は 大事なものを 失ってる｡➡ 俺は 担任として お前を このまま 卒業させたくない｡ (北野)お母さん 出てったこと まだ 消化できてないのか？ (北野)先生 考えてみたんだけどな お母さんも きっと➡ お前のこと 忘れたわけじゃないと 思うんだ｡ (啓太)んなわけ ねえだろ｡ (啓太)若い男と べたべたして 俺のことなんか➡ はるか かなただよ｡ (北野)いや｡ (北野)新しい生き方 選んだとしても➡ きっと 後悔してるし 苦しんでると思う｡ (啓太)先生｡ 誰の話 してんの？ どういう意味だ？ 校長に 聞けば？ ハッ｡ (滝川)よし｡ いってきます｡ 待って｡ (滝川)うん？ 携帯を 返して｡ 真菜や陽菜と 連絡 取れなくて とっても 不便なの｡ 用事があるなら 固定電話を 使えば いいじゃないか｡ 真菜たちにも 家に かけさせなさい｡ そんな…｡ 友達とも メールも できないじゃない｡ わざわざ メールするような 緊急の用件なんて あるのか？ お願いします｡ 携帯を 返してください｡ あっ｡ それと クレジットカードなんだけど➡ 君の家族カード 全部 止めたから｡ これからは 生活費の範囲内で うまいこと やりくりしてくれ｡ 足りなくなったら 言ってちょうだい｡ 一生 閉じ込めるつもり？ 君の夫は そんな 陰険な人間じゃないよ｡ 陰険じゃない｡ 携帯も カードも 取り上げて 復讐するなんて｡ 気に入らなかったら 出ていったって いいんだぞ｡ 私が 子供たちを置いていけないの 分かってるくせに｡ どうした？ いつも 穏やかな君が 怖い顔してるよ｡ 駄目 駄目 駄目｡ 笑って｡ 美人が 台無しだよ｡ いいか？ 君は いつも にこにこ 笑ってりゃ いいんだ｡ それ以外に できることは ないんだからさ｡ ♬～ どうして 穏やかに 笑っていられたか 分かる？ えっ？ どうして 私が 毎日 一生懸命➡ 黙って 家事と子育てを していられたか 分かる？ まともに 話も聞かず 子供のことは 任せっ放しで➡ 口出しだけする あなたに 文句も言わず➡ ｢いってらっしゃい｣って 言えたか 分かる？ 黙りなさい｡ 何かにつけて➡ ｢俺が 金を稼いでる｣って 偉そうに言って｡ 私のことは 顔だけの つまらない女だと バカにして➡ 外で 遊んできた あなたの洋服に➡ うれしそうに アイロン かけられたか 分かる？ 黙れ｡ 不倫してたからよ｡ 外で 優しくしてくれる人が いたからよ｡ 謝れ！ お前 今度のことで 俺に 一度でも 謝ったことがあるのか？ この家に いたかったら 土下座をして➡ ｢置いてください｣と 言え｡ 謝りません｡ 何だと？ お前 あんな男と 浮気をしておいて➡ 開き直るつもりか？ あの人だけじゃないわ｡ 出会い系で 知り合った 他の男とも 会ってたわよ｡ 何…｡ あなたに 比べると➡ 能力も お金もない 男ばっかりだった｡ くずみたいなのも いたわ｡ でも どんなに くだらない男でも➡ あなたみたいに 私を 見下しは しなかった｡ バカか？ お前 バカか！ やりたいがために 下手に 出ていただけなのが➡ 分かんないのか！ それでも よかったの｡ たとえ 一瞬 体を 求められるだけでも➡ 来る日も 来る日も 生返事だけの 15年間より➡ 100倍 よかったの！ 出ていけ｡ ＜妻にとって 恋は 魔物です＞ ＜深く 傷ついて 何もかも 失わなければ➡ それには 気付かないのです＞ (慶子)紗和さんにね…｡ (俊介)うん｡ (慶子)浮気のこと 話したわ｡ (俊介)何で？ (慶子)だって➡ 嫁を信頼して 家族になんなきゃ できるもんも できないでしょ？➡ そのためには お父さんの恥も➡ 洗いざらい 言った方が いいかと思って｡ 浮気って 親父の？ 何だ｡ 他に 誰が いるのよ？ (俊介)いや｡ 誰も いないけど｡ (慶子)ちょっと｡ 手 振ってるわよ｡ (俊介)いいの いいの｡ (慶子)いいって？ (俊介)ちょっと｡ 何？ 君｡ (美鈴)課長｡ 誰ですか？➡ 奥さまじゃないですよね？ (俊介)｢奥さん｣って｡ おふくろだよ｡ (美鈴)何だ｡ 奥さまだったら 挨拶しようと 思ってたのに｡ (俊介)ちょっと…｡ (美鈴)えっ？ ちょっと ホント 勘弁してよ｡ (美鈴)遊びだったんですか？ 私のこと｡ いや｡ だから そう言われても…｡ 何か したわけじゃないし｡ (美鈴)エッチ してないからって➡ 潔白だって 言えると 思ってるんですか？ 初めまして｡ お母さま｡ 笹本課長には いつも お世話になっております｡➡ これからも しっかり お支えします｡ では｡ あっ｡ ご苦労さま｡ 会議の件 分かったから｡ ああ｡ あのう｡ 部下だから｡ ハァー｡ まさか 俊介｡ あんた あの子と？ 違うよ｡ (慶子)許さないわよ｡ 会社の女となんて｡ お父さんと 同じじゃない｡ (俊介)やめてよ｡ もう 何でもないって｡ (慶子)じゃあ こっち 見なさい｡ お母さん 見なさい｡ ホントに 今の子と 何にもないのね？ ない… よ｡ 何て子なの｡ いらっしゃいませ…｡ 忙しそうね｡ (慶子)許さないわよ！ お母さん 浮気だけは➡ 絶対 許さないんだから！ お金 貸してくれない？ えっ？ (校長)身に覚えは？ (北野)いえ｡ 女性とは 会ったこと ありますが そのような関係では ありません｡ (慶子)くっ｡ (俊介)痛い 痛い…｡ ちょっと｡ (校長)スキャンダルは 教師にとって 命取りだ｡ 謝って 帰るしかないですよね｡ ご主人に 迎えに 来てもらいましょう｡ (校長)《先方の女性に➡ どんな迷惑が 掛かるか 分からないぞ》 待って｡ 最後の チャンスかもしれない｡ 最後の チャンス？ 主人と別れて 自分で生きていく｡ 何 言ってるんですか？ 利佳子さん いつも 家庭は 壊しちゃ駄目って➡ 言ってたじゃないですか｡ ≪(チャイム) ご主人じゃないですか？ きっと ここだと思って｡ はい｡ (慶子)あら｡ また いらっしゃってたの？ ホントに 仲がいいのね｡ すみません｡ 今日は 家出してきたんです｡ 家出？ 冗談ですよ お母さん｡ 利佳子さん｡ ちょっと ご主人と ケンカしちゃっただけです｡ ああ そう｡ ケンカぐらい するわよね｡ 一緒に 食べましょう｡ あっ｡ ケーキですか？ 驚いてないで お茶 入れてちょうだいよ｡ えーっ｡ だって お母さん➡ ケーキなんか 買ってきたことないから｡ そんな 人を ケチみたいに 言わないでよ｡ 今日は あなたと おしゃべりしたくて 来たのよ｡ おしゃべり…｡ で どうして ケンカしたの？ ええ｡ お母さん｡ 夫婦のことに 立ち入るのは｡ もしかして 浮気？ やっぱり｡ ああー｡ もう どうして➡ 男っていうのは どいつも こいつも｡ ｢どいつも こいつも｣ですか？ 恥ずかしながら 嫁には 話したんだけどね➡ 私の 亡くなった主人も 浮気してたのよ｡ 私はね 耐えて 添い遂げましたけどね｡ ちょっと お母さん｡ いきなり そんな話は｡ いいじゃないの｡ こちらも 同じことで➡ 悩んでおられるんだから｡ 紗和さん｡ あなたも 俊介の浮気で 悩む日が 来るかもしれないわよ｡ えっ？ 俊介さん 浮気してるんですか？ いえいえ いえいえ｡ もしもの話よ｡ 例え話｡ そうなったら 私 あなたの味方するわ｡ 相手の女と きっぱり 別れさせますからね｡ 理解ある お母さまで 紗和ちゃんが うらやましいわ｡ でしょう？ ただ 私 我慢のし過ぎは よくないと 思うんです｡ 離婚しない｡ そのためだけに 一緒にいるのは 偽りですから｡ 子供は どうするんですか？ もちろん 一番に考えなきゃ いけないわ｡ でも 形だけ 夫婦のふりをしている➡ 両親のそばには いたくないんじゃないかしら｡ ちょっと待って｡ あなた 本気で 別れるつもりなの？ それだけは よした方が いいわよ｡ そうですよ｡ これから どうするんですか？ あんな ぜいたくな暮らし してた人が➡ それを失って 生きていけると 思うの？ 絶対に 無理だって 思ってたわよ｡ でも 今日 主人に 殴られたとき 私は こんな人に 殴られて➡ へらへらしてる女じゃないって 思ったの｡ 殴られたの？ 今まで 勝手に 自分を 見限ってたけど➡ その気になれば 働くことだって できると思う｡ 甘いよ｡ 働くって どういうことだか 分かってんの？ 私なんて 毎日 働いて 月に ８万しか もらえないのよ？ それで バイオリン 習ってる子供を 育てられると思うの？ ちょっ ちょっ｡ 紗和さん｡ 熱くなり過ぎ｡ いいんです！ この人 私を 引きずり込んで 散々 振り回してきたんですから｡ どういうこと？ お母さん 黙っててください｡ えっ…｡ 家に 戻んなさいよ｡ 真菜ちゃんと 陽菜ちゃんに 悲しい思いさせたら➡ 許さないから｡ ずっと 牢獄に いろっていうの？ 携帯も カードも 取り上げられて 外出できない家に➡ しがみつけって いうの？ まあ｡ 浮気とＤＶの上に そんな ひどいことまでする ご主人…｡ 違う｡ 逃げて 別れるんじゃなくて ちゃんと ご主人と 話し合って➡ 分かってもらうしかないって 言ってんの｡ 甘いのは 紗和ちゃんよ｡ 何事も なかったように➡ 元の生活に 戻る方が 逃げなのよ？ 子供は 成長するの｡ カワイイままじゃない｡ 父親と母親の 心を見抜く力を 持つの｡ だから 決断した方が いいって…｡ 私に 子供が いないから➡ 分からないって 言いたいの？ そんなこと 言ってない｡ そうよ｡ 言ってないわよ｡ 子供は これからよ｡ 今 そんな話 してません｡ 何なの？ その 口の利き方は｡ さっきから 聞いて…｡ (俊介)あっ｡ ごめんなさい｡ あれ？ あれ？ どうしたの？ おかえり｡ (俊介)ただいま｡ (慶子)ちょっと おしゃべりをね｡ (俊介)いや｡ おしゃべりじゃないよね 今の｡ 女だけだと 時には あれぐらい やりますよ｡ (俊介)｢やりますよ｣って それにしても｡ ああ｡ 楽しかった｡ じゃあ 私は これで｡ お邪魔しました｡ (俊介)ああ｡ (俊介)ああ｡ そっか｡ 女同士って 楽しいんだな｡ 何が ｢楽しいんだな｣よ｡ ホント 調子いいわね あんた｡ えっ？ (慶子)紗和さん｡ さっき 言ったのは 例え話じゃないから｡➡ 私 これ食べたら 帰るわ｡ いただきます｡ (慶子)いただきます｡ ＜あんなに 誰かに 好き放題 言ったことは ありません＞ ＜確かに 不倫は 私を 強くしました＞ ＜あの人は 変わらずに 過ごしているのでしょうか？＞ ＜それとも…＞ (北野)あっ｡ (智也)ああ｡ 先生｡ (北野)どうも｡ (智也)紗和ちゃんは➡ ３時までって 言ったろ｡ (北野)知ってます｡➡ あのう｡ これ｡ あした 渡してもらえませんか？ (智也)ラブレター？ (北野)いえ｡ (智也)どうしたの？ 真面目な顔して｡ (北野)ずっと こんな顔です｡ すいません｡ お願いします｡ (智也)もしかして 別れたの？➡ 紗和ちゃんも 様子が 変だったけど｡ (智也)俺には 隠さなくていいじゃん｡➡ つらいよな｡➡ 男だって 別れを 引きずること あるよな｡ (智也)もう一度 自分のものにしなきゃ➡ 諦めが つかねえ｡ (北野)でも それを望んじゃ いけないときもある｡➡ どんなことしても 諦めを つけなきゃ いけないときもある｡ (智也)あんた くそ真面目で ださいと 思ってたけど➡ カッコイイんだな｡ ≪(滝川)利佳子が 家を 飛び出しました｡ ≪(滝川)ここに 来るかもしれません｡➡ 来たら 追い返してくださいね｡ (加藤)もう 彼女とは 会わないって 言ったはずです｡ ≪(滝川)ですよね｡➡ 画伯も やっと 脚光 浴びてきたのに➡ あんなのに 関わってる場合じゃ ありませんもんね｡ (滝川)利佳子は もともとは 私が 街で スカウトした➡ 読者モデルでした｡➡ 若いころから 妙に 男を 惑わせる魅力が ありましてね｡➡ 行き交う男たちが 皆 必ず 彼女を 振り返りました｡ 私は あいつが 欲しくなりました｡ 最初は 年上の おっさんに➡ まったく 興味を 示しませんでした｡ このとおり イケメンでも 何でもありませんしね｡ でも 私には いやらしい話➡ 仕事上の権力と 実家の財力という 武器があった｡ そいつを 餌にしたら 案外 簡単でしたよ｡ 歯応え なかったな｡ うん｡ そういう意味では 普通の女です｡ ええ｡ どこにでも いる｡ (加藤)そこしか 見てないからじゃないんですか？ えっ？ (加藤)いえ｡ (滝川)ちょっと｡ 言いたいことが あるなら➡ はっきり おっしゃってくださいよ｡ これでも あなたの才能を 世に 送り出した 理解者ですよ？ (加藤)あんたにとって 彼女 何ですか？ 何を いまさら｡ 妻でしょう｡ ≪(加藤)違うな｡ 人形だよ｡ ≪(加藤)あんたは 妻という人形が 欲しかった｡➡ 美しくて 従順で 人に うらやましがられる 人形｡➡ 普段は 棚で ほこりを かぶってるが➡ 客が 来たときだけ 奇麗にする 人形｡ (滝川)ふーん｡ よほど 利佳子に ほれてたんですねぇ｡➡ 本気だったんだ｡➡ でも 差し上げませんよ｡ まだ 元手 全然 回収してないし｡ (加藤)そんなことは 望んでません｡➡ 置く場所もない｡ ただ…｡ (滝川)うん？ ただ 何ですか？ 僕は 彼女が 人形じゃないことを 知ってます｡ ♬～ (加藤)首にしてください｡ しないよ｡ ずっと 俺の下で 働いてもらう｡ あんたが どんなに 売れてもだ｡ ふん｡ ハハハ…｡ ≪(ドアの開閉音) ただいま｡ (陽菜)おかえり｡ 遅いよ｡ ごめんね｡ 連絡 できなくて｡ 今 ご飯 作るからね｡ (真菜)もう 食べた｡ 偉いじゃない｡ 自分で 作ったのね｡ もう お母さん 帰ってこないと 思ったから｡ そんなわけ ないでしょう？ 果物 切ろうか？ 無理しないで｡ 男の人のとこ 行けば？ (陽菜)誰？ 男の人って｡ あっ｡ 誰だろうね？ 陽菜｡ 今日の絵日記は？ (陽菜)まだ｡ 眠くならないうちに お部屋で 書いてきて｡ (陽菜)はい｡ 終わったら➡ ラ･フランスに バニラアイス 載せてあげるから｡ (陽菜)はい｡ ≪(ドアの開閉音) どうしたの？ 真菜｡ 最近 おかしいわよ｡ おかしいのは お母さんでしょ｡ 何度も 遅くなるし➡ こないだは 公衆電話のとこで 泣いてたし｡ 見てたの？ あれは おばあちゃんに…｡ 嘘つかないでよ｡ 男の人と 別れたんでしょ？ 何も知らないと 思ってたの？ 私 全部 分かってたよ｡ お母さんが 男の人と会ってたの｡ だって そういう日は お化粧も 服も 違ってた｡ おかずも 多かった｡ それに お父さんに優しかった｡ 真菜｡ 触らないで｡ 黙ってようと 思ってたのに｡ 私さえ 誰にも言わなければ｡ みんなが 幸せになるなら 我慢しようと 思ってたのに｡ お母さんなんて 大嫌い｡ もう 顔も見たくない！ (コップの割れる音) ≪(ドアの開閉音) これを？ (智也)とにかく 渡したからな｡ (智也)すいません｡ (北野)｢連絡しないと 言っていたのに すみません｣➡ ｢実は 車上荒らしをした 生徒が➡ 君と僕が 一緒に 森林公園に 行ったところを見ていたそうです｣ (北野)｢迷惑が掛かることは ないように 気を付けますが➡ 念のために 知らせました｡ お元気で｣ ≪(ツクツクボウシの鳴き声) (北野)｢追伸｡ ツクツクボウシの声は➡ 僕には 『おいしいツクツク』と 聞こえます｡ 北野 裕一郎｣ ＜あの人らしい きちょうめんな 文字が 並んでいました＞ ＜何の愛想もない 手紙だったけど➡ 最後に ツクツクボウシのことが 書いてあった＞ ＜それだけで 会えなくても 幸せだと 思いました＞ ≪(ツクツクボウシの鳴き声) ≪(ツクツクボウシの鳴き声) ≪(乃里子)どうしたの？ 裕一郎｡ (北野)いや｡ ことしは ツクツクボウシが早いなと思って｡ (乃里子)ああ｡ アブラゼミの 個体が 減ってるからよね｡ (北野)うん｡ (乃里子)今日は 夏期講習ないの？ (北野)ああ｡ (乃里子)じゃあ 映画 見に行こうよ｡➡ 久しぶりに デートしよう｡ (北野)ああ｡ ☎(呼び出し音) ☎(滝川のｱﾅｳﾝｽ)滝川です｡ ご用件を お話しください｡ 私です｡ 真菜と 陽菜を よろしく お願いします｡ 《離婚届は 机に置いていきます》 《冷蔵庫に 当面の食事は 用意してあります》 《事務的なことは あらためて 話し合わせてください》 うっ!? (峰子)今日は➡ いい顔してるじゃない｡ えっ？ (峰子)最近 何か あったでしょ？ 何か 元気なかったよ｡ 何にもないですよ｡ もう 毎日 暑くて｡ (峰子)まあね｡ いらっしゃいませ｡ いらっしゃい…｡ どうしたの？ いや｡ 早く終わったから 一緒に帰ろうかなと思って｡ もうすぐ 終わりだろ？ そうだけど｡ 主人です｡ 峰子さん｡ (俊介)ああ｡ 峰子さん｡ 面白かったね｡ この女優 愛人役に ぴったりだったね｡ (北野)ああ｡ (乃里子)今夜 何 食べる？ [ﾏｲｸ](ｱﾅｳﾝｽ)次は 六浦ﾊﾟｰｸﾀｳﾝ前｡ (北野)ああ｡ (乃里子)何 聞いても ｢ああ｣ばっかりなんだから｡ [ﾏｲｸ](ｱﾅｳﾝｽ)ｽｰﾊﾟｰ 夕照｡ ｽｰﾊﾟｰ 夕照｡ ご利用の方は こちらで…｡ (乃里子)買い物して 帰ろう｡ (チャイム) お待たせ｡ (俊介)うん｡ ママも 大変だな｡ 毎日 こんなとこで パートして｡ こんなとこって｡ 私 結構 楽しんでるから｡ (俊介)そっか｡ (せきばらい) (俊介)家 そろそろ 本気で 探さなきゃな｡ どうしたの？ 変だよ｡ 急に 迎えに来たり 突然 家 探そうなんて｡ (俊介)そうか？ (俊介)実は 昨日の➡ おふくろが見た 部下のことなんだけど…｡ まるっきり 何もないわけじゃないんだ｡ いや｡ 誓って 不倫とか そういう いかがわしい関係じゃない｡ 向こうに 言い寄られてんだ｡ パパが？ (乃里子)どうしたの？ 裕一郎｡ 早く｡ [ﾏｲｸ](運転手) 降りられないんですか？ (俊介)困ってんだよ｡ 部下だから 邪険にも できなくてさ｡ いいじゃん｡ モテないより｡ (乃里子)何してるの？ スーパー 行くよ｡ 他のとこ 行かないか？ (乃里子)何？ 何か あるの？ 誰か いるの？ しかし ママが 嫉妬深くなくて よかったよ｡ えっ？ (俊介)山本 覚えてる？ うん｡ (俊介)あいつの嫁さんさ➡ すごい 焼きもち焼きでさ｡ 誰か いるの？ いや｡ 違う｡ (乃里子)だったら 行くよ｡ ねえ？ ツクツクボウシの声って どう聞こえる？ (俊介)えっ？ ｢ツクツクボウシ｣じゃないの？ 私さ 子供のころから ｢ﾂｸﾂｸ｣が 後に聞こえるんだよね｡ (俊介)うん？ どういうこと？ (俊介)どうした？ 忘れ物した｡ ごめん｡ ちょっと 取り 行っていい？ (俊介)うん｡ ≪(乃里子)紗和ちゃん｡ (乃里子)紗和ちゃん｡ 呼んでるよ｡ 知り合いじゃないの？ ♬～ ♬～ こんにちは｡ びっくり｡ ご主人？ そう｡ 主人｡ そちらも？ (乃里子)そう｡ 映画 見てきたの｡➡ 夫婦で行くなんて すごい 久しぶりだった｡➡ あっ｡ こちら 紗和ちゃん｡➡ ほら｡ このスーパーで 親しくなった 友達｡ (北野)あっ｡ 初めまして｡ いつも 奥さまには お世話になってます｡ あっ｡ 乃里子さんと 北野先生｡ (俊介)ああ｡ (北野)どうも｡ (俊介)どうも 初めまして｡ (俊介)あっ｡ お近くですか？ あっ はい｡ あのう｡ ４人で お茶しません？➡ あっ｡ そうだ｡ 紗和ちゃんち すぐ そこよね？ お邪魔していい？ いや｡ うちは 散らかってるから｡ 迷惑だよ｡ すいません｡ いいじゃない｡ 次は うちに来てくれていいし｡ そういう 付き合いも いいですよね？ ご主人｡ ええ｡ まあ｡ こう見えて➡ 女房 部屋は 奇麗にしてあるんですよ｡ ちょっと｡ (俊介)なっ？ うん？ いつも 開けっ放しじゃ 物騒じゃない？ 絵を盗まれるわよ｡ 別に いいよ｡ こっちも 泥棒だ｡ 主人に 私を盗んだって 言われたの？ だったら もう 泥棒じゃない｡ 離婚届 置いて 出てきた｡ 主人に ずっと➡ ｢こいつは 顔だけだ｣ ｢頭が悪い｣って言われてきたけど➡ あの人は 正しいわね｡ いつも 賢いふりして 生きてきたけど➡ とうとう メッキが 剥がれたわ｡ 私は バカよ｡ ♬～ ♬～ ♬～ (滝川)んっ！ んーっ！ んーっ！ (乃里子)ありがとう｡ (俊介)はいはい｡ どうぞ｡ すいません｡ (俊介)ここですよ｡➡ はい｡ どうぞ｡ (乃里子)お邪魔します｡ (俊介)はい｡ ちょっと 狭い｡ 狭いですけど｡ (乃里子)えっ？ そんなことない｡ あっ｡ すてきな おうち｡ どうぞ｡ ♬～ ♬～ ♬～ ＜誰も助けてくれる者は いません＞ ＜私たちは しるべのない深い森に ２人で 足を踏み入れました＞ ♬～

３人のパパ＃02

1 (拓人)は～い えッ？ どちら様… ですか？ (華)はッ？ えッ？ (朔)あッ 華ちゃん キレイになった はじちゃん 久しぶり もう相変わらず ウッソー あの華!? モデルか何かだと思ったよ ウフッ ちょっと 持ち上げすぎ でも ケバくなったんじゃね？ たっくん ホント成長しないね してます 高校の時とは ひと味違います 頭のてっぺんから つま先まで… てっぺんは違います 今は坊主じゃありませ～ん 髪形よりも頭の中身 お前 俺のことバカにしてんの？ お前って言うんじゃないよ 懐かしいね この感じ (２人)どの感じ!? 仲いい感じ (２人)仲良くない！ あッ 恭平君 久しぶり (恭平)おお 華ちゃん ここで待ってて ちょっと来～い すぐに帰ってもらえ えッ？ どう説明すんだよ？ この状況 確かに えッ 俺？ で 何しに来たんだよ？ 挨拶 この近くに越してきたから えッ そうなの？ あともう一つ 大事な報告があって (晴大の泣き声) 何 赤ちゃん？ 帰れ はッ？ いいから帰れ 今 取り込み中 隠し子 いるとか？ 帰れ！ 危険すぎる このままだと いつか絶対 誰かにバレる 無理じゃない？ 人に知られずに預かるなんて じゃあ どうすれば？ 明日から それぞれ仕事が始まる １週間 動きが取れない 週末に案を持ち寄って それを実行に移す １週間… とりあえず１週間は預かろう そうか！ 明日 会社 バカか お前は 誰が晴大の面倒を？ あるよ 何が？ 託児所 たっくんの会社に ナイス 俺が会社に連れて行くってこと？ 絶対無理 ないよ 何が？ お金だよ！ 晴大に必要なものが何も買えない 出してやるから買ってこい いいの？ うん 恭平 サンキュー 恭平 気前良すぎじゃない？ ３･４･３の法則を 実現させるためだ 何それ？ 蜂の巣になぞらえた組織論だ 何それ？ どこの組織も 積極的な働き蜂 言われて動く流され蜂 何もしない怠け蜂の ３つに分類される 金を出したことを 大義名分にして たっくんを働き蜂にするんだね １週間 丸々 赤ちゃん預けられるなら １万や２万 安いだろ へえ 麦茶とかジュースを 哺乳瓶じゃダメなんですか？ (店員)あると便利ですよ まッ いっか 他には？ こちらになります あッ おしゃぶり はい あると便利ですよ あッ それもあると便利ですよ 全部お買い上げ 惚れてまうやろー！ 次は だっこひもです おお～ これなら だっこしながら 手を使えますね あると便利ですよ 便利です 次行きましょう おおッ これだ これですよ！ あると便利ですよね？ あると便利ですよ はあッ!? うんッ？ ｢あると便利ですよ｣って 帰り道もラクチンで ふざけんなよバカ １週間っつったろーが さすがにねえ まあいいじゃん 恭平 あとで半分払う たっくんは払わなくていいよ えッ いいの？ これが意味すること 分かるよな？ えッ 何？ えッ ええッ？ (美奈子の鼻歌) ヤッベー 遅刻だ遅刻 (美奈子)今日はさすがに遅刻やろ 間に合わせます！ どないや うぇ～い (晴大の泣き声) (晴大の泣き声) すいません 託児所ってここ… 華!? 何で？ 今日から ここで働き始める 渡辺華です 昨日 その報告しようと 思ってたのに 追い返すから で やっぱ隠し子？ 親戚の子？ う うん 預かれるわけないでしょ だよな じゃあいいよ あッ 待って 一応頼んでみるから 許可出たら… ああ ごめんね 許可出たら 自分の上司に 事情を説明して手続き踏んでよね 上司に？ ≪(華)当たり前でしょ たっくんと似てるかもね えッ!? だって親戚の子なんでしょ？ ああ… そうね 華ちゃんがいた？ おい どうすんだよ 周りに広まるのも 時間の問題かもね 彼女の るいちゃんにも 終わった うまくごまかせたし安心してよ ごまかした？ 何て？ 親戚の子 めちゃくちゃ危険じゃんか でもまあ 華ちゃんが 預かってくれるなら 楽できるね いやいや 行き帰りだけでも大変だったから １日ぐらい どっちかが… 高かったな～ ベビーカーと ベッド 分かったよ (晴大の泣き声) よし完成 新しいベッドだぞ ああ やっぱり置くとダメか ベッドより だっこの方がいいの？ 賭けてみる？ 何日もつか できれば週末まで頑張ってほしい 父親になる自信をつけて １人で赤ちゃんを 育てていってほしいから あと１日 たっくんみたいながさつな人間は 行動に無駄が多い その分 心身の消耗が 普通の人よりも激しい ざっと見積もって あと２日 まあ水曜日は乗り越える 貯金もなかった自分が悪いんです 自分の父親みたいになりたくない って気持ちもあって 母親と おなかにいる俺を捨てて 一度も会ったことがなくて だから 自分の子供かもしれない 晴大と向き合うことで 父親って どんなものなのか 知りたいんです あッ 何か しんみりしちゃいました？ 栄養補給です 週末まで １人での子育てを耐え抜いて… みせます！ ああ もう 寝ぐせが直らんよ (晴大の泣き声) 晴大～！ (晴大の おならの音) (晴大の泣き声) 晴大～ うう～ おむつ替えたし ミルクあげたでしょ もう ああ～ う～う～ 晴大～ 何で泣いてるのか 教えてくれよ～ (晴大の泣き声) 今からミルクあげるからね… おい たっくん！ すみませ～ん (上司)来るのが遅い！ すいません あと 昨日の会議で居眠りしてたろ すみません！ 迎えが遅い すみません おかえり すみません… はい (ため息) まだ… 分かりません！ よーしよしよし 頼むよ 寝てくれよ～ こっちが泣きたいよ～ よいしょ あれッ？ (ドアが開き 晴大が泣き始める) ただいま ちょっと恭平 ああ 今日も夜泣きかよ ドアの音のせいだよ いやいや ドア開けなきゃ帰ってこれねえし (舌打ち) はじ 木曜になった 俺の勝ちな ベビーカー代 もろもろよろしく えッ？ 賭けてたの たっくんが何日もつか ふざけんなよ！ 何？ ふざけんなよ！ ムキになりすぎ ムキになるよ こっちは真剣なんだよ 毎晩 夜泣きされるし そのせいで仕事ミスするし 自分の時間は なくなるし 色々我慢してんだよ！ 何笑ってんの？ 何か おかしかったし おい やめろって 離せよ！ ああ… おい ウソだろ ごめん お前 ふざけんなよ 言っとくけどな 俺達の部屋にも 夜泣きは聞こえてくるし お前がぶちまけた粉ミルク 掃除してんのも 放置した食器洗ってんのも 結果 俺らだからな お前だけが我慢してると思ったら 大間違いなんだよ それ 自分以外見えてない証拠だからな 慣れないこと やめない？ 空気悪いし 冷める 熱くなって ダッサ はじちゃんだって ダセえから はッ？ カッコ悪いことから 逃げてばっかなの ダセえから 僕が ダサい？ はあ～ッ!? (泣き出す晴大) 言わせてもらうけどさ 何でもﾏﾖﾈｰｽﾞかけるの気色悪い 気付いてた？ 気付かないよね 掃除し忘れるぐらいだもんね おい はじちゃん そのｷｬﾗ ﾎﾞｹてるつもり？ 自信がないからって おちゃらけて自分を下げて それって楽な生き方してるだけ 言葉に加減を… 何させても中途半端 今回もそう 要領悪いせいで 人一倍疲れて ここで爆発されても 困るんだけど！ 生きるセンス ゼロ！ …って恭平が言ってた 俺のせいにすんなよ もういいよ たっくんが消えた!? 晴大君の迎えに来なくて 残業もしてないらしくて チッ 逃げやがった 恭平君も たっくんに連絡してみて 私は晴大君を連れて家に行くから ありがとう 華ちゃん それじゃ またあとで (るい)あとで会う華ちゃんって？ るい！ るい るい… るい で… 誰？ 華ちゃんは高校の同級生で そう これから うちで プチ同窓会を へえ～ 私も行こうかなプチ同窓会 いやいやいやいや 空気読もうよ そこは 冗談 恭平が 浮気なんて幼稚なこと するわけないもん 分かってんじゃん でも もし してるとしたら バレないようにしてね かっこつけて ああ言ってましたけど バレたら確実に殺されます 浮気してた上に 赤ちゃんが自分の子かもしれない なんて知られたら 婚約が マイベスト人生プランが… すいません 余談です たっくんは？ 悪いな 来てもらっちゃって 華ちゃん？ 親戚の子 置いていなくなるなんて たっくんもホント… うううう～ッ！ 《ﾎﾞｳﾙとかない？ 冷ましたいから》 《下の棚》 《え～っと…》 《ちょっと待って》 《何これ？》 見られちゃった ｢ちゃった｣じゃねえよ ｢ちゃった｣じゃ！ モメてる場合じゃないでしょ このことは誰にも… 今は たっくん 私が晴大君を寝かしつけるから たっくんを捜してきて 連絡つながらないし どこにいるか分からないし 男でしょ あてがなくても走って捜すとか 効率悪いだろ それ そのうち帰ってくるよ ３人の関係って そんなもんなの？ うん そうだよ たっくんにも幻滅したけど ２人とも最低だよ 誰が父親か分からないのに たっくん一人に押しつけて これには色々理由がね どんだけ無責任なのよ ２人のこと 自慢の友達だって言ってたんだよ 高校時代の話だけど だからって話だよね 出た 流され蜂 うるさい 怠け蜂 今 会っても気まずいだけ 放っておいて根に持たれる方が 先々 気まずいだろ まあ それもそうか たっだいま～ お前 どこ行ってたんだよ おい おい ちょっとどうした？ おい 飲んでる よね？ 飲まなきゃ やってられませんわ ちょっと ここに… おい 立たせて！ 自分で立て！ はじ 椅子 吐く その持ち方 吐く ここで吐くなよ スナックで 知らねえおっさんと 飲んでました 晴大 迎えに行かないで 自分のために時間使ったんです 自分探しで～す そのおっさん 家にも会社にも 居場所ねえって泣いてんの ｢俺みたいになるなよ｣ って言われたら 泣けてきちゃって だってさ 俺の将来 あのおっさんじゃん 金もねえし 会社にも居場所ねえし 一緒に住んでる２人からは バカにされてるし 酒癖悪いし 飲むなよ 自覚してるなら 酒が足りねえぞ！ 足りねえんだよ 酔えねえんだよ 自分の人生に 恭平みたいにエリートでも はじちゃんみたいに センスもなくってさ 誰からも 必要とされてねえんだもん 俺 てかさ そもそも父親って 何なんですか？ 俺には父親がいねえから さっぱり分かんねえよ そんなんで 晴大のことが愛せるわけが… 赤ちゃん 届けてくれたの 華 ごめん 私の前に 晴大君に謝るべきでしょ たっくんを待ってる間 ずっと泣いてたんだよ 今日だけじゃなくて 託児所にいる間もずっと でも たっくんが迎えに来ると 泣きやむの 誰に頼るべきか しゃべれなくたって分かるの 父親がどうだとか 愛せる愛せないなんて 晴大君には関係ない たっくんが どんなに無関心になっても 晴大君は そうはいられないんだよ 帰るから 華ちゃん ごめんな 愛してやれなくて ごめんな (晴大の泣き声) おい おい 俺 今 酒臭いから 大丈夫 明日から ちゃんとするから (晴大の泣き声) (晴大の泣き声) (晴大の泣き声) ｢晴大は２人で世話してください｣ ｢今の俺にはできません｣？ (２人)はあッ？

スーパーモンスターズ.S01E07.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ ボクらはモンスターズ スーパーモンスターズ 日(ひ)が沈(しず)む モンスターズ･タイム！ グローブの あたらしいエサ グローブはどこ？ しらない いないわ ケージの入(い)り口(ぐち)が あいてる ここには いない 同(おな)じく しらない もしかして遊(あそ)んだあと 閉(し)め忘(わす)れたかも グローブをさがそう いたわ！ ああ よかった ケージを閉(し)め忘(わす)れて ごめん みんな もっと気(き)をつけなきゃ そのとおりよ ペットは飼(か)い主(ぬし)なしには 生(い)きていけないんだから なんか言(い)ってるぞ それが言(い)いたかったのか 日(ひ)が沈(しず)む モンスターズ･タイム！ ドラクだ！ カティアよ ロボだよ フランキーだぞ！ ゾーイ！ クレオよ スーパーモンスターズだ！ グローブってば おなかが 空(す)いてるのね でも わたしたちの食(た)べ物(もの)はダメ グローブにはハモンスターの エサがあるからね そうだ 獣医(じゅうい)さんから 新(あたら)しいエサを もらったの 絶対(ぜったい)に まもってほしい エサの量(りょう)は― “ひと晩(ばん)に ひとさじ”よ おぼえた？ “ひと晩(ばん)に ひとさじ” そのとおり 今晩(こんばん)は だれがエサをやる？ じゃあ クレオ グローブ “ひと晩(ばん)に ひとさじ”よ よく 見(み)つけたね キミには かなわないよ じゃあ ごほうびに少(すこ)しだけな かわいい子(こ)は だあれ？ そう　あなたのことよ ほんのちょっとなら いいわ かなしそうだね おなかが空(す)いたの？ 二人(ふたり)の ひみつだよ？ もう少(すこ)しだけなら 平気(へいき)よね いつもと何(なに)かが違(ちが)う 少(すこ)し大(おお)きくなった？ うん デカくなってる なんで こんなことに？ グローブ いい場所(ばしょ)を さがしてあげる 倉庫(そうこ)はどう？ いいわね 今(いま) 助(たす)ける方法(ほうほう)を考(かんが)えるから 少(すこ)し ここにいてね あら イヤだ いったい何(なに)がおきた？ カティア 魔法(まほう) 間違(まちが)えちゃったの？ わたしじゃない　ホントよ まてよ 変(か)わったのは グローブのエサだけだ… でも あげたのは ひとさじだけよ もう少(すこ)しあげた ほしがってたの じつはボクも あげた 他(ほか)にも だれか エサをやった？ こんなことに なるなんて… 約束(やくそく)を やぶれば― 結果(けっか)を 覚悟(かくご)しなきゃならない 恐(おそ)ろしいぞ はやくグローブを出(だ)さなきゃ カティア 小(ちい)さくなる魔法(まほう)はないか？ ちょっと まって どうか魔法(まほう)よ グローブを星(ほし)みたいにして まぶしい 星(ほし)みたいに小(ちい)さくってことよ くるくる魔法(まほう)よ さかさまに まきもどせ これも 違(ちが)うわ まかせとけ よっしゃ とりあえず 外(そと)に出(だ)しましょう グローブ　おいで ジェキル博士(はかせ) 助(たす)けてくれないか？ みんな 下(さ)がって これで動(うご)けるわ でも町(まち)にむかってるぞ ハモンスターを追(お)って グローブ　どこ？ もどってきて まずいわ エスミー まあ 驚(おどろ)いた みんな　ジェキル博士(はかせ)だ 助(たす)けにきてくれたぞ どうも グローブは 大(おお)きくなり続(つづ)ける？ 心配(しんぱい)しないで グローブは大丈夫(だいじょうぶ)よ 今(いま)は巨大(きょだい)になってるだけ みんな 集(あつ)まって 体(からだ)がちぢむ魔法(まほう)のクスリを つくるわよ すごい 頼(たよ)りにしてるぞ まかせといて ほら グローブ いいものを もってきたぞ いい ドラク 一度(いちど)に一回分(いっかいぶん)ずつよ 薬(くすり)がきいたわ いいぞ あと少(すこ)しだけよ グローブ　ダメ！ どうしよう どこに行(い)った？ まって！ なんてこった どうしたら いいんだ？ 日(ひ)の出(で)までには何(なん)とかして ハムスターの大(おお)きさに もどさないとな 大(おお)きくする方法(ほうほう)は１つだけ 新(あたら)しいエサ？ かしこいわね 日(ひ)が昇(のぼ)る ドラクだ！ カティアよ ロボだよ フランキーだぞ！ ゾーイ！ クレオよ スーパーモンスターズだ！ 元(もと)にもどった！ これからは もっと 注意(ちゅうい)するよ みんなでね エサの量(りょう)は かえない “ひと晩(ばん)に ひとさじ”よ ごめんね グローブ これも あなたの 体(からだ)のためなのよ バイバイ ママ バイバイ ママ ふれあいどうぶつえん ふれあいどうぶつえん クレオ ふれあい動物園(どうぶつえん) 楽(たの)しみね うん まあね もう 待(ま)ちきれないわ キミみたいな モンスターアニマルが いっぱい いるぞ こんな動物(どうぶつ)ばっかりなら いいな グローブは好(す)きだもん でも それはないわ いろんな種類(しゅるい)のが いるはずよ グリフィンがいるかも このフェニックスもね そんな動物(どうぶつ) きいたこともない 大丈夫(だいじょうぶ)だよ　楽(たの)しいって こわがることないわ こわくないわ　ぜんぜん 動物(どうぶつ)は もう十分(じゅうぶん)なの アンリとグローブでね ふれあい動物園(どうぶつえん)へ出(で)かけるぞ みんな遠足(えんそく)が 楽(たの)しみなのね もちろん 待(ま)ちきれない その前(まえ)に そろそろ あの時間(じかん)だ 日(ひ)が沈(しず)む モンスターズ･タイム！ ドラクだ！ カティアよ ロボだよ フランキーだぞ！ ゾーイ！ クレオよ スーパーモンスターズだ！ ふれあい動物園(どうぶつえん)へ 出発(しゅっぱつ)だ ワクワクする ジェキル博士(はかせ)は おぼえてる？ グローブの獣医(じゅうい)さんで ここを運営(うんえい)してるの ようこそ グローブと スーパーモンスターズ どうぞ　案内(あんない)するわ やったー！ 楽(たの)しんできて わたしたちは ここで待(ま)ってるよ クレオ　緊張(きんちょう)してもいいのよ しらない動物(どうぶつ)に 用心(ようじん)するのはいいことよ でも ここの動物(どうぶつ)は おとなしいし― 人(ひと)やモンスターにも なれてるわ ナマケモンスターの モラセスよ やさしくて いたずらっ子(こ) でも すごく動(うご)きがおそいの ボクが 変(か)えてみせる ほら 走(はし)ろう ロボ 気(き)をつけて 人(ひと)なつっこいけど やさしく接(せっ)してね 驚(おどろ)かせないよう ゆっくり近(ちか)づくの 見(み)てて エサをあげても？ もちろん 動物(どうぶつ)にあげていいのは このエサだけよ でないと病気(びょうき)になることも ツノウサギのジェリーだわ あいさつする？ ツノウサギは小(ちい)さいけど とっても高(たか)くとべるの これは とべるかな？ やるね じゃあ これはどうかな？ フェニックスだ あれはフィービー 輪(わ)をえがいて飛(と)ぶの 一緒(いっしょ)に飛(と)べるね サイコー これはグリフィンの赤(あか)ちゃん 新顔(しんがお)のグリフィーよ はやく飛(と)びたいのね もうちょっと はやく動(うご)かない？ 一緒(いっしょ)に やろう ほら 行(い)くよ キミならできる クレオ　グリフィーよ はじめまして グリフィーが呼(よ)んでる いいけど… こわくないわ 新(あたら)しい友達(ともだち)ね クレオ エサを食(た)べたい？ ダメ！ ダメよ　はなして いたい！ どうしたの？ 何(なに)があった？ グリフィンが ひっかいたの あら まあ すわって　ケガを見(み)るわ もう二度(にど)とあんな動物(どうぶつ)と 遊(あそ)びたくないわ はい 指(ゆび)は どう? まだ いたい？ ううん あんまり わたし ここにいてもいい？ 動物(どうぶつ)たちから はなれてたいの キミが それでいいならね いいの 楽(たの)しすぎる アンリ　よく手(て)なづけたわね でも お昼寝(ひるね)の時間(じかん)よ いい魔法(まほう)があるわ パチンと指(ゆび)をならせば ハネヤギさんはスーヤスヤ あったかそうなパジャマね ベッドも つくってあげない？ パジャマが似合(にあ)ってる それに かわいくて おとなしいのよ ホント？ ハネヤギは もっとも おとなしい動物(どうぶつ)なの クレオも おいでよ ハネヤギに おとぎ話(ばなし)をするの 大丈夫(だいじょうぶ) わたしはここでいいの 行(い)こう　こわくないわよ 大丈夫(だいじょうぶ)よ 好(す)きだって言(い)ってるだけ グリフィー あなたなの？ かわいそうに　冠(かんむり)に クチバシが あたったのね ごめんね いじわるしたんじゃないの お互(たが)い わざと やったんじゃないわ 気分(きぶん) なおった？ わたしは飛(と)べないけど あなたは練習(れんしゅう)して 風(かぜ)をふかせて手伝(てつだ)ってあげる 用意(ようい)はいい？ あきらめずに 動物(どうぶつ)と接(せっ)してくれて― とても うれしいわ 先生(せんせい)の言(い)うとおり みんな やさしいわ とくにグリフィーがね 新(あたら)しい友達(ともだち)よ 飛(と)べたのね やったわ グリフィー そろそろ動物(どうぶつ)にさよならして スクールにもどるぞ またな また 会(あ)おうね また くるよ バイバイ おやすみなさい 今(いま) バイバイするだけよ また すぐにくるわ 約束(やくそく)する 今日(きょう)はありがとう すごく楽(たの)しかった！ どういたしまして 動物(どうぶつ)とか 世話(せわ)のしかたを 教(おし)えられて うれしいわ 日(ひ)が昇(のぼ)る ドラクだ！ カティアよ ロボだよ フランキーだぞ！ ゾーイ！ クレオよ スーパーモンスターズだ！ 日本語字幕　礒崎 渚

大切なことはすべて君が教えてくれた＃05

1 （夏実）＜前回までの物語＞ （修二）夏実がいない 人生は　あり得ない。 （夏実）わたしも　修二がいない 人生は　あり得ない。 （ひかり）「もう 普通の生徒にも　戻れない」→ 「壊したのは　わたしだから」→ 「でも　先生　会いたいよ」 （鶴岡）先生と　出ていってから 佐伯さんが　戻ってこないって→ おっしゃってるんですが。 （ひかり）わたし　生徒に戻れる？→ そうすれば 先生は　幸せになれる？ （修二）学校に　言おうと思う。 （夏実）あの子は→ 納得してるんでしょ？ いまさら　言わなくても。→ あの子だって。 佐伯の名前は　出さない。 なかったことには　できない。 （辰哉）これ　柏木じゃね？→ どういうことか ちゃんと　言えよ！　先生！ 僕は　生徒と　関係を持ちました。 （直輝）夏実ちゃんは どないなんのや！？→ 一番　大切にしな　あかんのんは 夏実ちゃんやろ！ （殴る音） （生徒たち）キャー！ （ひかり）違う。　違うの。 （生徒）柏木　帰れよ！ お前　学校　辞めろよ！ （生徒）もう　いらねえよ　お前。 （生徒）帰れよ！ （生徒）どんだけ 空気　読めないの？→ よく　俺らの前に 出てこれるよな？ （生徒）顔　見るだけで ムカつくんだよ！ （生徒たち）消えろ！　消えろ！ 学校　来んな！　ふざけんなよ！ （生徒）聞いてんのかよ！？ 消えろっつってんだよ。 （生徒）学校は 先生と生徒が　来る場所です。→ 女子と　やった男が 来る場所では　ありません。 （生徒たちの笑い声） （生徒たち）だっせー。　倒れてんだ。 （生徒たちの罵声） ≪（夏実）やめなさい！ あんたたち！　何やってんの！？ （生徒）上村先生　許すんですか？ （生徒）何で　先生が→ かばうんですか？ （生徒）意外に　大丈夫なんだ？→ 大人って　結構 何でも　ありなんだね。 （生徒）最低！ やめてくれ！ 夏実に言うのは　やめてくれ。 頼む。 （生徒）この期に及んで 夏実ですか？ 上村先生は　悪くない。　頼む。 僕は…。 僕は　いい。　この人を 傷つけるのは　やめてくれ。 （生徒たちの笑い声） （生徒）何　言ってんの？ （生徒）お前が　言うのかよ！？ （生徒）最低。 （生徒）一番　傷つけてんのは あんただろ。 （夏実）《一番 憎んでいいはずの　わたしが→ 一番　修二を 救いたいと思った》→ 《これが　愛なら→ 愛って　苦しい》 ♪♪～ （鶴岡）近日中に　処分を含め 対応を　決定しますので→ まあ　それまで　先生方。 （鶴岡）生徒たちの動揺は 計り知れません。→ どうか　よろしく　お願いします。 （教師たち）はい。 （中西）ああ。 （夏実）ああー。 ≪（チャイム） （夏実）ハァー。 ≪（ノック） （夏実）はい。 （金子）会議　終わりました。 （夏実）すいません。　かえって 皆さんに　気を使わせてしまって。 そうじゃないの。 あのう。 年上として　何か 言ってあげられたら　いいんだけど。 わたし…。 （鶴岡）渡辺さんと　牧田さんの 問題のとき→ 先生は　言ったそうですね。 あしたからも　学校に来ることが 償いだと。→ 傷つけてしまった人から 逃げては　駄目だと。 はい。 （鶴岡）わたしも　そう思います。→ いずれ 処分は　下さなければならない。 でも　今　あなたは　ここにいて→ 大切な生徒たちと この学校を　どう傷つけたのか→ 身をもって 感じなければならない。 はい。 でも　わたしは 君のことを　知ってるし。 軽蔑しきれない。 何か　あったはずです。 事情を　聞かせてくれませんか？ （辰哉）来てるんですよね？ 学校に。 （中西）来てる。　職員室にいる。 （生徒たち）えっ？　何で？ 何で　来んの？ （中西）君たちは　どう思った？→ 「ああ。　柏木なら やりそうだな」って　思ったか？→ わたしは　信じられないよ。 毎日　柏木先生を　見てきたから。→ 教師歴　うん十年の　わたしでも かなわないと思うぐらい→ 柏木先生は　いい教師だった。 違うか？→ 確かに　ショックだ。 わたしだって　動揺してる。 嫌悪感も　抱くと思う。 でも　後から聞いた 言葉だけ　信じて→ 自分の目で　見てきたことを 忘れてしまうのは　どうだろう？→ わたしは　自分が見てきたことを 信じたいと思う。 （広稀）でも　柏木に　裏があって 実際　最低なやつだったら→ どうすんの？ （中西）そりゃあ…。→ 人間不信に　なるなぁ。 （中西）でも　そうなるのは 自分で　確かめてからだ。 ♪♪～ （望未）あっ。　ひかり？ 今　家？ （ひかり）うん。 [TEL]（望未）大丈夫？ （ひかり）うん。　先生は？ （望未）来てるけど 半端なく　きついね。 （ひかり）そう。 [TEL]（望未）まあ　当然だよね。 ひかりが　気にすることないよ。 また　電話すっから。 そっちも　いつでも　電話して。 うん。　ありがと。 [TEL]（望未）じゃあね。 [TEL]（通話の切れる音） 《帰ろう》 （ひかり）《悪いのは わたしなの！》 《佐伯》 ♪♪～ ♪♪～ （由梨）もうちょっとで 焼けるから。　お茶にしよう。 （ひかり）この　におい　懐かしいな。 （由梨）昔　よく ひかりと　お菓子作りしたわね。 うん。　お姉ちゃんって 意外に　興味なくて→ 食べる専門だったよね。 （由梨）コーヒーにする？　紅茶？ わたし　学校に行きたい。 駄目よ。　何　言ってるの？ 言わなきゃいけないことが あるの。 忘れなさい。 （ひかり）えっ？ （由梨）誰にだって 思い出したくない→ 傷の一つや　二つ　あるわ。 でも　みんな　忘れて　生きてる。 忘れるから　生きていけるのよ。 （ひかり）そうやって 忘れようとするから　駄目なの！ （ひかり）忘れられないことだって ある。→ お母さんが 一番　分かってるでしょ？ 無理に　忘れようとするから 苦しくて　つらくて→ いろんなものが 壊れちゃったんじゃない。 忘れなくて　いいんだよ。 忘れたくないなら。 わたしは　忘れないよ。 （陽子）だって 買っちゃったんだもん。→ どうすんの？ （理沙）ヤバいよ。　まずいよ。 （純平）よりによって 何で　こんな　でかいやつ。 （理沙）あっ！　ちょっと。 隠して。　隠して。 （夏実）あれ？　時間　過ぎてるよ。 ボールも出さないで 何やってんの？ （涼子）先生。 あっ。　買っちゃった？ ありがとう。 何かな？　うれしい。 そうねぇ。　うーん。 しばらく　預かっといてくれる？ （涼子）でも…。 さっ。　始めよう。　ボール　出すよ。 ランニングして　フットワーク。 終わったら　ツーメンね。 （生徒）はい！ さあ　さあ。　急いで！ ゴールも出してね！ （生徒）はい！ 急いで。　急いで。 ああー。 ≪（ノック） はい。 あっ。 （直輝）先生　大丈夫？ うん。　ごめんね　途中で。 ちょっと　お昼 食べ過ぎちゃったみたい。 （直輝）あっ。 それも　あるんやけど。 その…。　大丈夫なん？ 大丈夫。 フフッ。　じゃあないか。 何で！？ 夏実ちゃんは　俺らの前でも→ 怒ったり　泣いたりしても ええんと　違うん？ ウフフ。　だよね。 でも　責められまくってる 修二を　見たら→ 何か　怒れなくなっちゃった。 甘いよね　わたしも。 好きやから？ ウフフ。　分かんない。 すっごく　ムカつくし ホントに　許せない。 でもね　みんなに軽蔑される 修二を見ると　すごく　つらいの。 ♪♪～ 読んでってもいい？ 今の気分やと。　そやな。 ２１巻。　全国　決めるとこ。 じゃあ　わたしも。 ♪♪～ （生徒たち）《消えろ！　消えろ！ 学校　来んな！　ふざけんな！》 ♪♪～ バカ。 泣きたいのは　こっちよ。 フフッ。 だよな。 長い　１日だったね。 ごめん。 生徒が　ああいう態度になるのは 仕方ないよ。　ショックだもん。 分かってる。　当然だ。 でも　確かめなきゃいけないのよ。 えっ？ わたしは　修二のことを 誰よりも　知ってる。 修二は 生徒と寝るような　男じゃない。 あの夜　何があったの？ 何もないよ。 ただ　街で会って　うちに来て→ そういうことに　なったんだ。 あの子を　かばうのね。 そうじゃない。 それが　事実だから。 分かった。 自分で　確かめる。 《人が　誰かを　大切に思う。 それが　愛だと思ってた》 《けど　そんな単純じゃない》 《修二のことは　やっぱり　大切》 《でも　死ぬほど　憎い》 （孝一）うちの店ね いい酒　揃えてんすよ。 ええ。 （孝一）交換条件ってのは どうですか？ えっ？ あの日→ 俺が　何をしたのか　教えます。 その代わり　修二が　何をしたかも 教えてください。 あっ。　それは…。 俺ね。 母親を殴ったんです。　思いっ切り。えっ？ （博一）《孝一！》 （孝一）《わあーっ！》 《兄ちゃん！》 （博一）《孝一！》 （孝一）《何も 分かってねえくせに！》 《兄ちゃん！》 （孝一）《毎日　くそみたいによ！》 （博一）《やめろ！》 （孝一）《誰が　毎日　ケース→ 積んでると　思ってんだよ！》 （博一）《やめろ！》 《兄ちゃん！》 （博一）《孝一！》 （孝一）《俺だぞ！》 （孝一）俺　いい兄貴だって 言われてるでしょ。 ええ。 優しくて 面倒見がよくて　まじめで。 まじめねぇ。 優しくて　まじめ。 みんな　そうやって　言うんですよ。 ほかに　俺を 褒める言葉　ないでしょ。 修二が　あなたみたいな人を 連れてきたときにね→ 分かったんです。 （孝一）《修二》 《全部　お前のせいだよ》 《全部　お前が　原因だよ》 《俺はさ→ お前が　憎くて しょうがないんだよ》 （孝一）家　出て 好きなこと　やってんのに→ 親は　あいつの話ばっか　するし。→ おまけに　こんな 奇麗な嫁さん　連れてきて。 お前のせいだ。 お前が　原因だ。 お前が　憎いって あいつに　そう言いました。 何で？ フッ。 嫉妬ですよ。 ただの嫉妬。 俺の人生　地味なのは　俺のせい。 悪いことしたと　思ってます。 で？ えっ？ 修二は　何をしたんですか？ ハァー。 俺は　言ったよ？ いや。　でも…。 償いたいんですよ！ 何か　あったんだったら 助けてやりたいと　思ってるんです。 修二　生徒と寝てました。 えっ？ あいつが？ あっ。　いえ。 フッ。　フフフフ。 あっ。 あいつ　そんなこと　すんの？ いや　あの。　修二は…。 フフフフ。 いや。　ごめんね。 夏実ちゃん　つらいのに。 フフフフ。 いや。　何でだろう？ 俺　今　すげえ　ほっとしてる。 うん。　ハハハ。　えっ？　修二が？ 《修二は 愛されていただけでは　なかった》 《わたしの知らない　修二が まだ　いるのかもしれない》 （亜弥）じゃあ　これね。 ちゃんと　飲んでね。 （ひかり）うん。 （亜弥）ごめんなさい。 （ひかり）えっ？ （亜弥）あなたに　言われたことを よく　考えた。 （ひかり）《自分を責めてる。 わたしのためじゃない！》 少しずつ　変わっていけたらと 思ってる。 わたしも。 ごめんね。 あっ。　先生。 やっぱり あなたに　聞くべきだと思って。 話してくれない？ 修二と会った　夜のこと。 でも…。 余計な気遣いとか　いらないから。 修二が　あなたに→ どんなふうにしたか 言ってくれていいから。 わたし　聞かないと。 このままじゃ。 （亜弥）大丈夫？ 具合　悪いの？ 大丈夫です。 それより　話を。 （亜弥）あっ。　少し　休みましょう。 疲れてるみたいだから。 ごめんなさい。 （亜弥）こっちへ。→ どうぞ。 ≪（ドアの開く音） （亜弥）貧血だと思います。→ 時間があったら　一度 診察に　いらしてください。 すいません。 先生。 また　今度にする。 ♪♪～ （ひかり） 行かなきゃいけないの！→ 言わなきゃいけないことが あるの！ （由梨）今　あなたが行っても 迷惑　掛けるだけでしょ？ これ以上　大事なものを 壊したくない！ いってきます。 （生徒）わたし　先生と話したい。 先生！ （辻本）柏木と　話　させろよ！ そのために　いるんだろ？ ≪（辰哉）俺らだって　今まで 見てきた　柏木　信じたいよ。→ でもさぁ　ちゃんと　聞かなきゃ 俺らだって　判断できねえよ！ （中西）分かってる　分かってる。 お前たちの気持ちは　分かってる！ （中西）なっ？ すいません。 少し　いいですか？ （中西）うん。 ♪♪～ 答えるから。 何でも　聞いてくれ。 （優奈）先生が　今まで わたしたちに　見せてきた顔は→ ホントの 先生の顔じゃないんですか？ ホントの　僕かといったら たぶん　違うと思う。 教師としての顔を つくってきたと思う。 （万里）実際は→ 女子生徒を　そういう対象として 見る人なんですか？ それは　ない。 そんなふうに　見たことはない。 じゃあ　どうして　佐伯さんと 関係を→ 持つことに　なったんですか？ （夏川）そうだよ！→ 佐伯を　女として見てっから そういうことに　なんだろ！？ （生徒たち）そうだよ。 おかしいんじゃないですか？ （生徒）先生。　どうなんですか？ （生徒）説明してください。 （生徒たち）先生。　先生。 おかしいじゃないですか。→ 答えてください。 どういうことなんですか？→ 先生。　答えてください。 先生。 （辰哉）本音で言えよ　先生！ （生徒）何で　黙ってんだよ？ （生徒）答えてください。 佐伯さんのことを→ 女性として　見た。 魅力が　あった。 だから　関係を持った。 （生徒）やっぱな。 （生徒）あり得ない。 （広稀）やっぱ　最低だよ。 中西。　残念だな。 （ひかり）違う！ 佐伯。 先生。 わたしのこと　知ってるから…。 そんなふうに 言ってくれるんでしょう？ わたし…。 先生とは　寝てない。 先生は…。 何もしてない。 （生徒）えっ？　だって　今…。 （生徒）よく　分かんない。 （生徒たち）写真は？　えっ？ わたし　病気なの。 薬を飲まないと 女で　いられない。 生理も来ないし 胸も　大きくならない。 女らしい体に　ならないの。 （ひかり）わたし→ お姉ちゃんみたいに なりたかった。 お姉ちゃん　美人で　優しくて→ みんな　大好きだったのに。 事故で　死んじゃって。 それから　毎日　お父さんも お母さんも　頑張ってきたけど。 やっぱり　駄目で。 （由梨）《いいわね？　あなたは。 楽になって》 （正則）《すまない　ひかり》 《ごめんな》 ♪♪～ ♪♪～ （由梨）《ハァー》 ♪♪～ （ひかりの泣き声） 《ハァー》 ♪♪～ ♪♪～ （女性）《マジ　ウケんだけど》 （女性）《アハハハ》 （女性）《ヤバくない？　それ》 （望未）《へったくそだね》→ 《やってあげよっか？》 （ひかり）メークしてもらったら ちょっと　お姉ちゃんに似てて→ うれしかった。 （ひかり）「こんな　わたしでも→ 女として　見てくれるの？」って 驚いて。 でも　だんだん　うれしくなって。 （男性）《これ　君の？》 （ひかり）《ああ》 （男性）《よかった》 （ひかり）《すいません》 （おなかの鳴る音） （男性）《フフッ》→ 《おなか　すいてんだ。 ご飯でも　行く？》 （ひかり）柏木先生に ちょっと　似てた。 （ひかり）その人は　優しくて 話してても　楽しかったし。 一緒にいると　さみしくなかった。 （ひかり）あったかいなって思って。後は…。 もう　いいじゃん！ もう　いいよ。 その先なんか だいたい　分かってんでしょ。 ♪♪～ ♪♪～ （万里）先生には　何で　会ったの？ 何でだろう？ 何で　会えたんだろ？ ♪♪～ （ひかり）同じ服を着てるのに→ やっぱり お姉ちゃんとは　違う。 （ひかり）わたしは　何か→ 汚い。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （店員）《いらっしゃいませ》 ♪♪～ 奇跡だって　思った。 ♪♪～ ♪♪～ （ひかり）柏木先生は　わたしが 生徒だって　気付いてなかった。→ それで　他人のふりして 話し掛けることができた。 何　話したんだろう。 夢みたいで よく　覚えてないの。 ただ 先生は　ちょっと　疲れてて。 何だか　悲しそうだった。 （ひかり）いつもの先生とは 少し　違ってたけど→ やっぱり　優しくて。 わたしが知ってる 先生のままで。 隣に座ってるだけで 幸せだった。 このまま　時が 止まってしまえばいいって→ 本気で思った。 ♪♪～ （男性）《おおっ》 《あっ。　大丈夫です》 《大丈夫です》 ♪♪～ （ひかり）先生の背中を 見たとき…。 見ず知らずの人と　そういうことをしたのを　思い出した。 知らない男の人の→ 肌の　においが…。 この辺に 残ってるような気がして。 すごく　嫌で。 ♪♪～ 先生に　消してもらいたかった。 ♪♪～ ♪♪～ （ひかり）朝が来たら→ 先生が　起きる前に いなくなろうと思ってた。 でも…。 何か　これが 夢じゃなかったっていう→ 証しが　欲しくて。 [TEL]（シャッター音） ごめんなさい。 全部　わたしが壊した。 ごめんなさい。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 何だったのって感じね。 どうしたの？ 俺には　いつも　夏実がいる。 傷つけたのが　俺でも　夏実は いつも　俺のそばにいてくれて→ こうして　待っていてくれる。 俺は　自分の罪も忘れて ほっとしてしまうんだ。 それで　いいじゃない。 今までどおりで　いいじゃない。 佐伯には　誰か　いるのかな？ えっ？ 今の佐伯には　こんなふうに→ 待っていてくれる人が いるのかな？ 佐伯が　あした この坂を上るとき→ 味方に　なってくれる人は いるのかな？ いるとしたら　それは…。 修二。 俺なんじゃないかな。 （男性）すいません　朝早くから。 （スタッフ）いいえ。　お仕事ですもんね。 （スタッフ）大丈夫ですよ。 おなかが　大きくても→ お似合いになる　ドレス たくさん　ありますから。 （女性）よかった。　急に おなか　大きくなってきちゃって。 （医師）《妊娠してますね。 ７週です》→ 《心拍の方も　確認できましたよ》 （さやか）ごめん。 急に　式の変更が　入っちゃって。 ううん。 朝早く　ごめんね。 （さやか）どうした？ これ　渡しとこうと思って。 ♪♪～ （生徒）マジ　ヤバいんだって。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 《愛は　単純じゃない》 《だけど　人が 誰かを　大切に思う→ それだけの ストレートな愛もある》 おはよう。 《もしかしたら　修二は 初めて　自分から→ 誰かを 愛し始めたのかもしれない》 《だとしたら　わたしが 修二に　してあげられることは…》 ♪♪～ 《結婚を…》 （生徒たち）おはようございます。 おはよう。 《やめることしかない》 ♪♪～

刑事１１０キロ２nd＃06

1 ♬～ (小田島克也)奈津美！ (小田島奈津美)何？ (小田島)２階で音がしたんだが 見てきてくれないか？ えっ？ わかった｡ (雷鳴) (リモコンの操作音) ｢…全焼させた火事で その焼け跡から→ 今日 焼死体が発見されました｣ ｢遺体は…｣ (雷鳴) (雷鳴) ♬～ どうして…？ さらばだ 醜い悪女め｡ (雷鳴) 嫌だ… 何これ！ うっ…！ あっ…！ ああ…！ 助けて…｡ (雷鳴) ♬～ ♬～ 立花雅彦｡ もしもし 立花君か？ 私だ 小田島だ｡ 次の個展の件で打ち合わせしたい｡ すぐに来てくれ｡ 大至急だ｡ (雷鳴) (雷鳴) (雷鳴) ♬～ ♬～ (木内光義) 失礼します｡ お疲れさまです｡ 被害者は？ (林 弘太郎) 小田島奈津美さん 48歳｡ こちらの画家 小田島克也さんの奥様です｡ (林)死因は まだわかりませんが 外傷がなく→ 事故 病死の可能性があります｡ (黒川あゆみ)小田島先生は 目がご不自由なんです｡ ああ…｡ 目が不自由で画家… 小田島…｡ 立花君 誰？ (立花雅彦)はい 刑事さんです｡ ですよね？ はい｡ 京都府警捜査一課 特別班の木内と申します｡ (鬼久保 巌) 一課長付けの特別班です｡ 小田島先生の名声に配慮して 一課長がよこしたんでしょうね｡ 盲目の画家と珍しがられて 一時もてはやされただけだ｡ 警察に通報されたのは 小田島先生ですか？ 私です｡ 立花と申します｡ 奥様のご遺体を見つけたのは 私と黒川君です｡ 黒川あゆみです｡ 私たち 小田島先生の マネージメントをしております｡ 近々 先生の個展があるらしい｡ その打ち合わせに来て 遺体を発見された｡ (花沢太郎)その打ち合わせ→ 小田島先生からの 呼び出しですね？ それって 急な呼び出しでした？ 何時頃かわかります？ 何決めつけてんだ 相撲部屋！ だって 奥さん パジャマ姿じゃないですか｡ それに 髪も濡れている｡ という事は 風呂上がりですよね｡ 人が来るとわかっていて パジャマ姿はありませんよね｡ つまり 奥さんは その打ち合わせの事を→ 知らなかった｡ という事は→ その打ち合わせは 急な打ち合わせ｡ 他に家の人は いらっしゃらないようですから｡ 立花さんと黒川さんを 呼び出したのは→ 小田島先生ご本人 という事になる…｡ 個展の作品を 差し替えようと思い立って→ 黒川君と立花君にご足労を願った｡ それがどうした？ 電話で用件 話せますよね？ なんで わざわざ家に？ 何？ それが 小田島先生のスタイルですから｡ 私たち どんなご用でも→ いつもご自宅に 伺うようにしてるんです｡ 今日が特別じゃありません｡ ああ そうなんですか｡ で その呼び出しは何時頃？ 鑑識さんが まだ作業中だ｡ ドスドス ホコリを 立てるんじゃない 相撲部屋！ ああ どうもすいません｡ ねえ 小田島先生｡ 個展から外す作品というのは これですか？ この 真ん中から 切っちゃってるやつ｡ そうだ｡ それがどうした？ いやあ その なんていうか→ いかにも これ どうしたの？ 的な 配置だなと思って｡ 思わず近寄っちゃいますよね｡ こういうのが ドーンと 部屋の真ん中にあったら｡ なのに 奥さんのご遺体はドア前｡ 立花さん 小田島先生からの 呼び出しの時間は？ はい…｡ ９時ちょうどです｡ すぐに黒川君と 車を飛ばして こちらに…｡ 到着したのは何時頃ですか？ 多分 ９時40分くらいです｡ すると…｡ 先生が｢妻がいないから 捜してくれ｣とおっしゃった？ そして このアトリエで 遺体を発見した｡ あっ！ あっ！ ああ…！ 奥様！ 奥様！ 大丈夫ですか!? どうした？ (あゆみ)先生！ 奥様が…！ (小田島)どうした？ 奈津美！ なんだか におうなあ…｡ 花沢！ 花沢？ 君は 花沢というのか？ はい｡ 京都府警捜査一課長付 特別班刑事 花沢太郎です｡ よろしく｡ 無礼なデブだな｡ あれ？ どうして私が デブだってわかるんです？ あっ！ もしかして 目が見えているとか｡ 花沢！ すいません｡ 君が来てから この部屋の熱量が上がった｡ そっちの刑事君が 君を相撲部屋って呼んだ｡ そうなんですよ｡ デブは放射熱がすごいんです｡ 先生も記憶力すごいですね｡ 君は 私が妻を殺したと 言いたいようだが…｡ とんでもない！ (小田島)目の見えない私が→ どうやって殺せるというんだ？ そのとおりです｡ あっ 違った…｡ いえ あの… 失敬｡ 謝れ 相撲部屋！ どうもすいませんでした｡ あれ？ でも なんで殺しだと 思われるんです？ 小田島先生｡ さっき におうと言っただろう｡ ああ… それはですね… こっちかな？ ったく 毎度 ペースを乱しやがって！ 普通 太った人って いい人なんですけどね｡ 世を忍ぶ仮のデブだ｡ あの体形にだまされるな｡ おい 花沢 どこ行くんだ？ あっ！ これこれ｡ このにおいです｡ 冷えてもなお香ばしい 小麦のにおい｡ あれ？ こっちからもにおうな｡ あっ！ ピザです！ 木内っちゃん ピザです！ ミックスかな？ あれ？ なんか変ですよね 木内っちゃん｡ ああ 両方 生焼けだな｡ しかも この状況から見て 晩ご飯は食べ終わってますね｡ あと片づけもバッチリだ｡ 先生 これは奥さんが？ ああ｡ そして そのあと 今度は ピザとトーストを焼いた？ 私が焼いた｡ 小腹がすいたんだ｡ ああ 先生 奇遇ですね｡ 私も よく小腹がすくんです｡ 私だけじゃない｡ 立花君と黒川君にも→ 食べさせてやりたいと思ったんだ｡ うん｡ でも なんでか 両方とも生焼けで終わった｡ なんでだろう？ (小田島)何が言いたいんだ？ おい 君！ 待ちたまえ！ (あゆみ)先生！ まるで見えてるみたいですね｡ ええ このお屋敷の中で→ 先生がお一人でやれない事は 何ひとつありません｡ そんな事が可能なんですか？ 失明されて30年間→ 家具の配置から 絵筆一本の置き方まで→ 同じ場所に １ミリも違わずに→ 奥様が ずっと 維持されてこられました｡ だから 先生は 何がどこにあるのか→ 手に取るように おわかりになって らっしゃるんです｡ この空間は 先生と奥様が→ 血のにじむような努力の末に 作り上げられた世界です｡ 目が見えないのに 見えているというか…｡ 見えないのに 見えている…｡ 先生は 全てを見ているんじゃないかと｡ 心の目 心眼で…｡ 今度は 何やってんだ？ リモコンを見ておられます｡ ええ？ 小田島先生 ６月なのに暖房ですか？ 寒がりですねえ｡ それは 春先の設定だ｡ 今は使ってない｡ だとしても 30度って…｡ これ 電気代かかるでしょう？ 刑事っていうのは 色んなものを見るんだな｡ はい｡ それが仕事ですから｡ 私も 若い頃は 色んなものを見たがった｡ だが 見れば見るほど惑わされ 真実は見えなくなるものだよ｡ へえ～ そうなんですか｡ 私は 画家の仕事の事は よくわかりませんが→ 刑事の場合…｡ 刑事の場合は なんだ？ おい｡ 言いかけてやめるな｡ なんで ボリュームが ゼロなんですか？ 小田島先生｡ 立花君と黒川君が来た時に→ インターホンの音を 聞き逃さないように→ 音量を消したんだ｡ ええ!? でも その時は まだ 奥さん 生きておられたんですよね｡ それとも その時には もうすでに 奥さんは亡くなっていて→ 先生が ご自分で 玄関を開けるために→ ボリュームを下げた？ いや うるさいんだったら テレビ自体消せばいいんだよな｡ なのに 先生は テレビは消さずに ボリュームだけをゼロにした｡ これ なんでだろう？ (小田島)細かいデブだな…｡ 先生 聞こえましたよ｡ ｢体はでかく 神経は細かく｣が 私の信条でしてね｡ あれ!? 今度は なんだよ？ 花沢君｡ こんなところにバスタオルですよ｡ 小田島先生！ バスタオル？ あっ 湿ってますね｡ 髪の毛だ｡ 長髪です｡ っていう事は 奥さんのものですね｡ 伺おう｡ それで？ 奥さんは 風呂から上がって ここで 髪を拭き→ 何かの急用でアトリエに行き 亡くなった｡ 急用か…｡ どうして そんな事がわかる？ だって このソファ 布製ですから｡ 私も よく おふくろに叱られるんですよ｡ 布製のソファに 湿ったﾊﾞｽﾀｵﾙをかけるんじゃない｡ ソファが湿気る！ ソファにカビが生える！ って｡ 女性はね そういうところ細かいんですよ｡ だけど 奥さんは それをした｡ なぜだろう？ わからないかい？ ええ さっぱり｡ わかるんですか？ 先生｡ すぐに 戻るつもりだったんだろうさ｡ なるほど…｡ だから 何気に ここにかけた｡ まさか 奥さんは そのまま死ぬなんて→ 夢にも思わなかったでしょうから｡ だとしたら…→ 何をしに アトリエに 行ったんでしょう？ 奥様は｡ 絵の具の補充か… アトリエの掃除か…｡ またまた…｡ せっかく お風呂に入ったのに→ そのあとで 絵の具に触ったり 掃除したりはしないでしょう｡ まあ 先生が奥さんに→ 何か急な用事を言いつけた というのなら 話は別ですけど｡ あの すみません 刑事さん｡ さっきから 失礼じゃありませんか？ 奥様は 何かの用事で アトリエに行かれて→ そこで亡くなられた｡ 先生は 奥様の気配が消えたので 心配になられて→ 私たちに捜させた｡ なんにも不自然じゃありません｡ はあ…｡ いや でも こうも考えられませんか？ 小田島先生は 奥さんの遺体を 発見させるために→ 打ち合わせを口実にして 黒川さんたちを呼びつけた｡ いや だって…→ 先生の目は 発見者になるには 不向きですから｡ しかし 君 この目では 殺人者にも不向きだよ｡ でも 先生には 心眼がおありになります｡ 私 持ってるんですよ 先生の画集｡ 『心眼の世界』小田島克也｡ ハハハッ…！ また来てもいいですか？ 先生｡ ああ… 歓迎するよ 花沢君｡ ♬～ ｢小田島克也 京都府出身｣ ｢30歳までは 現代印象派の売れない画家｣ ｢しかし 失明を機に→ 既成概念に囚われない 独特の作風で画壇の評価を得て→ 盲目の画家として マスコミにも取り上げられ→ 一躍有名になる｣ (錦織玲子)『心眼の世界』か…｡ 本当に これ 見えてるみたいねえ｡ (権田千夏) 違います｡ 小田島先生は→ 心の目で描いてるんです｡ だから 見る側にも 心の目が必要なんです｡ あれ!? 何？ 権田 ファンなの？ 実は 私 この絵のレプリカ持ってます｡ 目が見えるから 既成概念に囚われる｡ 見えなくなれば 解放される｡ 物の本質的な形や色がわかる｡ 芸術は感性だ！ 絵を見るな！ 絵を感じろ!! 権ちゃんって 不思議ちゃんだったんだね｡ 私じゃありません｡ 小田島先生の言葉です｡ (電話) 一課 錦織｡ わかった…｡ 殺しで決まりね｡ 引き続き 検視を進めて｡ 小田島奈津美の血液中から→ アルカロイド系の猛毒 グラトキシンが検出された｡ 毒？ 食べ物か飲み物に 毒を混ぜて殺した｡ 毒殺なら 目が不自由でも…！ 課長｡ でも 木内っちゃん そんな単純な手口じゃ→ 自分がホシだって 言ってるようなものですよ｡ そのとおり｡ 事態は もっと複雑よ｡ 被害者の胃には 未消化の夕食が残ってたけど→ グラトキシンは検出されてない｡ 食べ物や飲み物には混ぜずに 毒を持った｡ 一体 どうやって…？ 被害者の死亡推定時刻は…｡ ゆうべの午後８時から10時の間｡ いや もし 小田島克也が犯人なら→ マネジャーたちを呼びつけた 午後９時には→ 被害者は死んでたはず｡ 僕も そう思います｡ 被害者が死んでないと→ 発見者を呼んでも 意味がありませんから｡ 問題は 毒殺のトリックと 毒の入手経路ですね｡ あと…｡ 動機だな｡ 夫唱婦随で30年やってきた 夫婦の間に何があったのか…｡ 小田島克也が 犯人だとしての話ですが｡ そうね…｡ しかし 失明してて 本当に 殺人なんて出来るのか？ う～ん？ なんですか？ この絵 他のに比べて 随分 タッチが違うわね｡ なんていうか こう…→ のたくってる｡ 暗澹｡ 陰々滅々｡ (玲子)３年前の作品か｡ 小田島夫婦の交友関係 調べて｡ 特に この絵が描かれた ３年前 徹底的に｡ (木内･千夏)はい｡ ♬～ すみません…｡ ♬～ あっ…｡ ああっ…！ 遅い!! すみません！ 奈津美は もっと早かったぞ｡ 駄目だ…｡ ひらめきが逃げた｡ 遅いんだ！ バカ!! 私が… 私が先生の目になります！ これからは 奥様の代わりに 精いっぱい 私が…｡ ここは地獄か？ ♬～ どんな顔で そういう事を してるんだ お前たち女は!! (チャイム) ≪こんにちは！ 京都府警の花沢です｡ こんにちは｡ 近くに来たので 弁当をお持ちしました｡ 先生お一人では ご飯の支度とか 大変かなと思いまして｡ 気が利くじゃないか…｡ ♬～ で 交番勤務20年の結論から 言いますと→ この牛煮込み弁当が この界隈では 一番うまいんです｡ どうですか？ この煮込んでなお 失われない肉汁の奇跡｡ 不思議な男だな｡ はい？ 私ですか？ この間は なんて不遜で 嫌な奴だろうと思ったが→ 今日は 思いの外 和ましてくれる｡ デブと食べると 大概の人は和みますからね｡ いや 違う｡ 食事をともにすると 警戒心が薄れるからだ｡ はい？ 君が弁当を持ってきたのは 私の箸使いを観察するためだ｡ 君は 私の目が 本当は 見えてるんじゃないかと→ 疑ってるんだろう？ 図星だったか｡ ハハハ…｡ はあ…｡ 奥さんは毒殺でした｡ 猛毒のグラトキシン｡ 殺しで決まりです｡ そうか｡ しかも 先生には動機がありますね｡ 奥さんは マネジャーの立花さんと→ ３年前から 浮気を繰り返していた｡ あれは たちが悪かった｡ 先生が見えないのをいい事に…｡ (千夏)ひどい…！ 小田島先生は お二人の事を…？ 見抜いて おられたんじゃないかな？ そういうのは 絵に出るから｡ (画商)その直後に描かれた絵です｡ (画商)タイトルは 『悪女』｡ (小田島)妻の裏切り？ 無論 気づいていたよ｡ 視覚が失われると 他の五感が研ぎ澄まされる｡ だが 私は知らぬふりを続けた｡ 私はな 自分の心が 苦しく のたうつさまを→ 創作に利用した｡ 『悪女』は そうやって生まれた｡ あれは 会心の出来だった｡ だが 不幸な事に 私は その絵を見る事が出来ない｡ みんな 画家が視力を失ったのは 不幸だと言う｡ だが 一番不幸で悔しい事は…→ それを乗り越えて作り上げた 作品が見られないという事だ｡ この世で一番 見たくてたまらないものが…→ 見られない！ いや あの… それがですね… 私の上司がですね→ 小田島先生の目が 本当に見えないのかどうか→ 花沢 確かめろ！ って…｡ なんだと？ あっ…｡ そんな失礼なお願い 出来ません！ って 私は言ったんですけどね｡ 先生 どうか 眼科の検査を 受けて頂けませんでしょうか？ お願いします！ ハハハ…！ 利口なふりをしているバカなのか バカを演じている利口なのか…｡ 断る｡ そこをなんとか お願いします！ 結局 そこに 行き着いちゃうんですよ｡ 断る｡ 下劣な考えは捨てたまえ｡ 私も知りたいんです｡ 心眼で 人が殺せるかどうか｡ ものは言いようだな｡ ♬～ 対光反応ないですね｡ この機械で検査しましょう｡ ♬～ あっ 課長！ 花沢！ 何勝手な事してるんだ！ しかも 私の名前まで 勝手に使って！ 花沢さん 気持ちはわかりますけど→ こういう捜査手法は 下手をすれば人権蹂躙になります｡ すいません｡ でもですね…｡ デモもデブもない！ あっ 先生｡ いかがでしたか？ 小田島克也さんの目｡ 本当は見えてる？ 見えてない？ どっち？ 課長！ そりゃないでしょう｡ ご本人の主張どおり 緑内障です｡ 光も感じない光覚のない状態｡ つまり 完全な失明状態です｡ では｡ あっ そうですか…｡ 課長 やはりシロです｡ 失明してる人が どうやって殺しを？ 無理です｡ でも 動機はある｡ 痛っ！ ♬～ いやあ 炭水化物って いいっすね！ アハハハッ！ (木内菜穂子)何言ってるの｡ だからさ なんで お前が 毎晩 混じってるの？ ん～ いいじゃない パパ｡ 花ちゃんと食べると 美味しいもの｡ (木内かなえ)だよね 花ちゃんって 本当に美味しそうに食べるもん｡ そう？ (木内こずえ)違うよ｡ ママの料理が美味しいんだよ｡ (菜穂子)なんていい子なの～！ (木内さちえ) さちえ 花ちゃん大好き！ うわ～ フワフワ！ お相撲さんみたい！ ごっつあんです！ ハハハッ！ こらこら ご飯の時は 少し静かにしましょうね｡ (菜穂子)え？ どうした？ ママ 電気｡ (菜穂子)ちょっと待って｡ (菜穂子)痛い！ ちょっと待って｡ 停電かな？ これ｡ (菜穂子)あれ？ 点かない？ (菜穂子)点かない！ あれ？ 懐中電灯 どこ行ったかな｡ え？ あれ…｡ 点いた｡ すいません｡ 僕の仕業です｡ ですよねえ｡ 何が？ これで謎が解けました｡ 暗闇のトリック？ ええ｡ 友達の家で 実験してみたんです｡ 夜 突然 電気が消えて 真っ暗になったら→ 人は とっさに どんな行動をとるか｡ 壁のスイッチをですね パチパチ何度も押すんですよ｡ あの夜 先生は奥さんに 何か用事を言いつけて→ アトリエに向かわせた｡ アトリエの中央には→ いかにも どうしたの？ 的に 切り裂いた作品を置き→ 奥さんが そこに行くように誘導した｡ そして 先生は エアコン テレビ 電子レンジ トースター→ 家電のスイッチを一斉に入れた｡ 重要なのは たくさんの電気を 一度に使う事です｡ ブレーカを落とすために｡ そして 奥さんは→ とっさに 壁のスイッチを探して 押した｡ 痛っ！ 先生が そこに 猛毒のｸﾞﾗﾄｷｼﾝを塗った毒針を→ 仕掛けた事も知らずに｡ 痛っ！ あっ…！ 助けて…！ (雷鳴) 鑑識に言って 奥さんの指先を 調べてもらいました｡ 奥さんの右手人差し指の先には→ まさに 針でついたような 傷がありました｡ そして そこには→ 微量のグラトキシンが 付着していました｡ 小田島先生ならではの 暗闇を利用したトリックです｡ 先生が ピザとトーストを焼いたのは→ 小腹がすいたからではなくて→ 先生を裏切っている奥さんを 殺すためだったんですね｡ 心眼の殺しです｡ 毒針の仕掛けは どこです？ お屋敷の外では 不自由でしょうから→ まだ お屋敷の中に 隠しておられますよね？ 家宅捜索令状を取ったあとでも いいんですが→ 出来れば 今 教えて頂いたほうが→ 先生のためにも よいのではないかと｡ (拍手) お見事だ｡ どうやら君は バカのふりをする利口な男｡ ハハッ｡ …のつもりでいるらしい｡ はい？ 百歩譲って 君の推理どおりだとしよう｡ だけど 花沢君→ その毒針を仕掛けたのが 私だという証拠は どこに？ そういう事 言います？ 反論しよう｡ 妻に殺意を持ってる誰かが この家に入り込み→ 毒針の仕掛けをしたという 可能性はゼロではない｡ そいつは 私の鼻先を通り…｡ 階段を上り ２階のアトリエに 行ったのかもしれない｡ 私は失明してる｡ 侵入は容易い｡ ここへきて そういう事 言います？ 君が なんと言おうと ピザとトーストは→ 私が小腹がすいたから焼いたんだ｡ 私は炭水化物が 大好きなんだ｡ しかし 君の言うとおり 電力オーバーで→ ブレーカが落ちて 生焼けになってしまった｡ 実に もったいない事をした｡ そうだ！ なんですか？ そういえば あの夜→ このうちに人の気配がしていた｡ そんな むちゃくちゃな事…｡ あっ！ 確かに あの夜 ここに誰かがいた｡ 私の鼻先をかすめて→ ２階のアトリエに 上がった気がする｡ ああーっ！ なんて事だ！ 犯人は 目と鼻の先にいたというのに→ 私は そいつが誰かわからない！ 実に悔しいよ 花沢君｡ 犯人は 目の見えない私の前で 私の妻を殺したんだー！ ハハハハッ…｡ ハハハハハッ…｡ ハハハハハハハッ…｡ ハハハハハハッ…｡ (ため息) ♬～ 黒川さん？ ♬～ 黒川あゆみさん｡ 小田島先生の奥さん殺害の件で お話をお伺いしたいんですが｡ (鬼久保)いやあ 驚きましたねえ｡ 小田島先生の奥さんと マネジャーの立花雅彦さんが→ ３年前から 不倫関係にあったなんてね｡ あなた ご存じだった？ はい｡ いやあ 驚きましたね｡ そのあなたと小田島先生にも 不倫の噂があるなんてね｡ 出来てるのか？ あんたら｡ しかも あんた なんかあったら すぐ駆けつけられるように→ 小田島先生から 鍵預かってるそうじゃないの｡ はい｡ ｢その上にだ あんたのいとこは→ 鴨川大学の生物学の研究室に 在籍している｣ ｢実験で アルカロイド系の毒物を 扱う事も多い｣ ｢もちろん グラトキシンもだ｡ そうだね？｣ (あゆみ)｢はい｣ 小田島先生は 目がご不自由だ｡ 鍵さえ持っていれば 入室は簡単だ｡ 毒は いとこから手に入れた｡ 本妻を亡き者にすれば 自分が後釜に座れる｡ 怖いな あんた｡ はい｡ (鬼久保)はい？ (鬼久保)それは つまり… どういう事かな？ 私が 先生の奥様を…｡ 奥様を殺しました｡ 課長！ 一応 筋は通ってる｡ けど 犯人は 小田島先生なんです｡ ｢申し訳ありませんでした｣ 嘘は駄目です！ 黒川さん！ (鬼久保)一係の取り調べ中だ！ 邪魔するな 相撲部屋！ 僕のせいでしょ？ え？ 聞いちゃったんでしょ？ 毒の事｡ あの時は 亡くなった奥さんの 靴かなって思ったんですけど→ あれ あなたの靴だったんですね｡ 奥さんは 毒殺でした｡ 猛毒のグラトキシン｡ 先生は あなたを通じて 毒を入手した｡ あなたは 毒の種類を聞いて 先生の仕業だと確信して→ かばうために 嘘の供述を…｡ 違います！ 私が奥様を殺したんです！ 何…!? あの家 古いですもんね｡ ネズミ退治に 猫いらずをくれって言われたら→ 手配しちゃいますよね｡ だって グラトキシンは 猫いらずの材料ですからね｡ 私が奥様を殺したんです｡ グラトキシンを使って 奥様を…｡ じゃあ どうやって奥さんに それを盛ったって言うんですか？ 食べ物からは 一切検出されていないんですけど｡ 私が… やりました｡ 黒川さん｡ あなたにかばわれても 先生は喜びません｡ 私が… 私が先生の目になります！ これからは 奥様の代わりに 精いっぱい 私が…｡ ここは地獄か？ (小田島)どんな顔で そういう事をしてるんだ！ お前たち女は！ 先生は暗闇を使って 奥さんを殺しました｡ 暗闇のトリックは 先生のプライドだと僕は思います｡ それを あなたがかばっても 先生は怒るだけですよ｡ (嗚咽) ♬～ じゃあ！ お… おい！ どこ 行くんだ？ 現場百遍｡ 聞き込みだ｡ 任意聴取よね｡ ご協力ありがとう｡ 帰って結構｡ 課長！ (玲子)この件は 一課長の私が預かる！ ♬～ いや ほんでやな→ わしの好きな女優さんが 出てきた瞬間に→ 消えてしもたんや｡ 慌てて表見たら→ あっちゃもこっちゃも みんな 消えてるやんか｡ 往生したって兄ちゃん ほんまに｡ 停電が… この町内で？ そや｡ まあ 時間は短かったから よかったんやけどな｡ 送電線に なんか 雷が落ちたみたいやねん｡ そやけどやで わしみたいに ドラマが好きやのに→ それ 見られへん｡ それ 殺生やで ほんま 兄ちゃん｡ 停電… 暗闇…｡ あっ！ ♬～ うっ…！ それで？ 現場百遍｡ 聞き込みをかけたんですよ｡ それと 覚えてらっしゃいます？ 事件当日の夜は 雷がゴロゴロと｡ そういえば聞こえたな｡ だから どうした？ その雷が 送電線の近くに落ちましてね｡ あの夜 この町内が 短い時間でしたが→ 停電して真っ暗だったんですよ｡ だから 何？ 用件を言いたまえ 花沢君｡ その停電 何時から何時までだと 思います？ 小田島先生｡ さあな｡ 見えない私には わからんよ｡ 意味のない事だ｡ ところが 私には大ありで｡ 停電は 午後９時２分｡ 先生が 立花さんと黒川さんを 呼び出した直後｡ 復旧したのは 午後９時38分｡ 立花さんと黒川さんが ここに到着したのが→ ９時40分ですから まさに 到着の直前｡ ２人が ここに来た時 奥さんのご遺体を除いては→ このアトリエには なんの異常もなかった｡ という事は 毒針の仕掛けを 取り外し 隠すなどの隠蔽工作は→ 立花さんと黒川さんが ここに到着するまでに→ 完了していた という事になるんです｡ わからんな｡ だから なんだというの？ つまりですね→ この部屋に忍び込んで 毒針の仕掛けをした犯人は→ 暗闇のトリックを使って 奥さんを殺害したんです｡ ところが その直後に 犯人も 突然の停電に見舞われましてね｡ だから 真っ暗闇という状況の中→ 犯人は 毒針の仕掛けを 取り外すなどの隠蔽工作を→ しなければ ならなくなってしまった→ という事なんです｡ だから 何…！ 不思議ですよね｡ 犯人は どうやって→ 予想もしなかった 突然の停電の暗闇の中で→ スムーズに 隠蔽工作が出来たんでしょうか？ 毒針を外すなんて危ない工作を｡ 答えは一つです｡ 犯人は 真っ暗闇の中でも それを問題なくやれたんです｡ なぜなら 彼は 暗闇に慣れているから｡ 暗闇は 犯人にとって 30年間 住み慣れた日常だからです｡ 雷で… 停電…｡ 犯人は 小田島先生 あなたです｡ あなた以外に あり得ないんです｡ ♬～ あの夜 この部屋は ２度 暗闇になったというのか｡ １度目は 私が作った闇｡ 嫌だ…｡ ２度目は 雷で…｡ (雷鳴) 悪い事は…→ 出来ないもんだなあ｡ 見えない事が証拠になったか…｡ 私は よっぽど 暗闇に好かれているらしい｡ 毒針の仕掛けは 庭の花壇に植えた｡ シャクヤクの花の根っこだ｡ 指刺さないように これ 使いたまえ｡ ありがとうございます 先生｡ 浮気ぐらいで 30年も 尽くしてくれた妻を殺すなんて→ ろくでなしだと 君は思うだろうなあ｡ 妻はね きれいな顔をしていたんだよ｡ 私に見えるのは 私を心から愛し→ 全てを捧げてくれた 美しく清らかな顔だ｡ (小田島の声)しかし それが 裏切りを知ってから→ どんどん醜くゆがんでいった｡ 原形をとどめないほど 醜くおぞましい顔に…｡ 私は その顔を消したかった｡ 消すために殺した｡ でも…｡ でも？ 本当は奥さんも 先生を裏切る事に→ 苦しみを 抱えていたのかもしれません｡ 奥さんの顔 きれいでした｡ 黒川さんも きれいな顔をしています｡ 黒川君？ 打算なく 先生に 寄り添おうとしている顔です｡ 本当にきれいな顔です｡ もう女の顔は こりごりだよ｡ (小田島)しかし もし奇跡が起きて→ もし一瞬でも目が見えるなら→ 私には ぜひとも見たいものがある｡ ご自分の作品ですか？ いや｡ 君の顔だよ｡ 花沢君｡ どんな男なんだ 君は｡ ただのデブです｡ 見せてくれないか？ どうぞ｡ ♬～ ちょっと痛いです｡ ｢昨夜 盲目の画家として知られる 小田島克也が→ 妻の奈津美さんを殺害したとして 逮捕されました｣ ｢小田島容疑者は→ 既成概念に囚われない 独自の作風で→ 心眼の世界を描く画家として 多くのファンを持ち→ 画壇の評価も得ていました｣ (秋葉康祐)お嬢様 その絵は いくらしたんですか？ 大枚叩いて買ったはいいが その殺人犯の絵は→ いくらで売れるんだ？ 結局 丸損か？ ハッ｡ (秋葉美由紀) これ 私の通帳なんですけど→ どうして こんなに減ってるんですか？ この通帳のキャッシュカード 返してください｡ (秋葉)ほら｡ もう役に立たんわ そんなもん｡ 泥棒と一緒ですね あなたは｡ お前こそ 詐欺師じゃないか｡ 詐欺師？ 資産家の娘だっていうから お前みたいな→ 世間知らずの役立たずと 結婚してやったっていうのに→ 親父の資産なんか ほとんど残ってないじゃないか｡ あなたが 使ってしまったんじゃ ないですか｡ 父が持っていた土地を 切り売りして｡ 俺が売って何が悪い？ 全て お金のために 私と結婚したんですね｡ 他に何がある？ 愛されたとでも思ったか お嬢様は｡ どこの女に 入れあげてらっしゃるの？ (秋葉)はあ？ 知ってますよ｡ 宝石買ってあげたり マンションを 借りてあげたりしてるの｡ お前に言われる 筋合いはないんだよ｡ 私は 秋葉家の娘です｡ あなたが使っているお金は 全て秋葉家の…｡ 知ってるんだぞ 俺は！ 何をですか？ お前こそ 男に入れあげてるだろうが！ 毎日いそいそと どこかへ出かけてるようだが→ いるんだろ？ そこに男が｡ お前みたいな つまらん女と付き合ってる→ 男の顔が見てみたいよ｡ 余程のまぬけ面を晒した 男なんだろう｡ 言っとくが 離婚なんかしないからな｡ する時は 秋葉家の資産を 全部 食い潰した時だ｡ ハッ｡ ご苦労さまです｡ お疲れさまです｡ ご苦労さまです｡ ご苦労さまです｡ ご苦労さまです｡ この包丁… おい｡ あっ すいません｡ この包丁が凶器ですか？ いえ｡ 血痕が付着していないんですよ｡ 凶器ではないと？ ええ｡ ここに 置いてあったそうです｡ 置いてあった…？ それ 君の靴？ (鑑識官)いや 違います｡ だよねえ｡ (鑑識官)はい｡ (鬼久保)何をやってる！ 迅速機敏にやれ!! (刑事たち)はい｡ 初動捜査が全てを分けるんだ！ 捜査一課といえば警察の花形だぞ｡ 俺に いちいち指示されなくても 自分で考えて動け！ (刑事たち)はい｡ 林！ (林)はい｡ 奥さんを休ませてあげなさい｡ ご主人を失ったばかりで ｼｮｯｸを受けてらっしゃるだろう｡ はい｡ 申し訳ありません｡ ありがとうございます｡ いいえ｡ 随分 張り切ってるね あの人｡ 珍しいな｡ おう 特別班 来てくれたか｡ 待ってたぞ｡ えっ？ う～ん 相変わらず立派だなあ 花沢｡ ハハハハ…｡ ｢花沢｣って…｡ 名字で呼んだな｡ 林！ 木内君と花沢君に 確認事項を説明してくれ｡ はい｡ こちらです｡ おい 相撲部屋 こっちだ｡ はい…｡ えっ？ 代わりに言ってやった｡ ありがとう 木内っちゃん｡ 落ち着いた｡ 被害者は 秋葉康祐｡ この家の主人で→ 秋葉経営コンサルティングの 社長です｡ 凶器は そっちのペーパーナイフです｡ えっ？ 奪われたものは？ その鏡台の右の開き戸の中に 現金が｡ そうですよね？ 奥さん｡ (美由紀)はい｡ その奥です｡ 金額は？ 300万円です｡ それが なくなっているんですね？ はい…｡ すいません… よいしょっと｡ 宝石類… 宝石類は？ それには 手をつけられていませんでした｡ あの… 奥さん｡ はい｡ お出かけだったんですよね？ ええ｡ どなたかと お会いになってたんですか？ いいえ そういうわけでは ありませんけど…｡ いや だって きれいな外出着ですし→ お顔も キラキラ光ってるじゃないですか｡ 顔？ あっ… これ ラメ入りの フェースパウダーです｡ ラメ？ (美由紀)出かける時は いつもつけています｡ どちらに お出かけだったんですか？ 午後７時頃 家を出て→ 一乗寺に ライトアップを楽しみに…｡ それで 午後９時頃 帰宅しました｡ 一乗寺のライトアップをですか｡ 帰ってきたら 家の中が荒らされて→ 主人が あんな事になっていました…｡ 大変 お気の毒でした｡ あの… 奥さん 一乗寺のライトアップへは→ お一人で行かれたんですか？ はい｡ ライトアップが好きなので いつも一人で行きます｡ いいご趣味をお持ちで｡ 花沢 木内 ちょっといいか｡ はい｡ すいません｡ すいません｡ 気をつけろ…｡ この現場を見て 何か思い当たる事はないか？ 思い当たる事？ (鬼久保)ああ｡ いや 特には…｡ そうか｡ 君たちなら いち早く気づいてると 思ったんだが…｡ と言いますと？ あいつの現場に似ている｡ あいつ？ 誰の？ 秋葉康祐を殺害したのは 霜村和幸ではないか？ (一同)えっ？ 霜村和幸？ (鬼久保)そうだ｡ (千夏)窃盗の常習犯です｡ ２か月前に出所し 出所後すぐに 新たに起きた強盗事件の→ 被疑者として逮捕されましたが 証拠不十分で釈放｡ あいつがやったのは 間違いなかったんだが→ 送検するに至る証拠がなかった｡ あと１日 俺に取り調べさせれば 必ず自白させてやったんだが…｡ 鬼久保さん 随分 気合入ってるね｡ ですね｡ なんででしょう？ 被害者の奥さんが 美人だからだろう｡ (花沢･千夏)えっ？ (玲子)どうして 秋葉康祐の殺人は 霜村だと断定出来るの？ 手口が全く同じなんだ！ ２階の 鍵をかけ忘れた窓から侵入し→ 台所から持ってきた包丁を→ リビングと 玄関に それぞれ１本ずつ置き→ 引き出しを引いて 中身を 全部床にばらまいてから物色する｡ 盗むのは 現金だけで→ 足がつく宝石類には 一切手をつけない｡ 間違いありません｡ それまでの霜村の手口と同じです｡ 霜村の居場所は わかるの？ (鬼久保)林！ はい｡ 先ほど 保護司に連絡してみたんですが→ 出所しても挨拶がなく 居場所は わからないそうです｡ もう調べさせたの？ 手際がいいのね｡ じゃあ まず 霜村の居場所を捜しましょう｡ わかった！ 霜村の ムショ仲間 窃盗仲間を当たって→ 居所を捜せ！ (一同)はい｡ 権田 被害者 秋葉康祐の 怨恨関係を調べて｡ 木内 花沢は 霜村の行方を追って｡ わかりました｡ おい 花沢 行くぞ｡ あれ？ 花沢は？ 行っちゃいましたよ｡ あいつ…！ おう｡ (警察官)お疲れさまです｡ 花沢！ ご苦労さまです｡ 失礼します｡ どうぞ｡ あっ すいません｡ ああ 木内っちゃん｡ 何やってるんだよ？ あっ これ？ この間 逮捕した 小田島克也の絵｡ 奥さんが片づけたいっていうから 手伝ってんの｡ 片づけたい？ そこに飾ってあったんですけど→ あんな事件が起きてしまって 主人とケンカに…｡ ケンカに？ なりそうだったので 外したかったんです｡ どうして ケンカに なりそうだったんですか？ 私は この絵 気に入っていたんですけど→ 殺人犯の絵になってしまったので 縁起が悪いだろうって…｡ 奥さん｡ はい｡ ゆうべ 一乗寺のライトアップを 見に行って 帰ってきた時→ びっくりしたでしょう？ そりゃ もちろん｡ 主人が床に倒れていましたから｡ いや そうじゃなくて 玄関で｡ 玄関？ 玄関に 包丁 置いてありましたよね｡ ああ… そうでした｡ びっくりして 心臓が止まるかと思いましたわ｡ ですよね｡ でも 靴は ちゃんと→ 隅のほうに きちんと並べるんですね｡ ピンクのハイヒール｡ はい｡ いつ お客様がいらしても 失礼がないように→ 脱いだら すぐに片づけるのが 習慣になってるものですから｡ 心臓が止まるほど驚いても…｡ 靴を並べてしまう…｡ 習慣って すごいですね｡ ええ… すごいですね｡ 奥さん｡ はい｡ ハンドバッグは 持っていかなかったんですか？ ハンドバッグ？ ええ｡ ライトアップを 見に行った時に｡ 持っていきましたけど｡ あれ？ ありませんでしたよ ハンドバッグ｡ 随分 探したんですけどね この部屋を｡ 奥さんは帰宅して すぐに ご主人の遺体を発見して→ 警察に通報されたんですよね｡ その時に ハンドバッグが なかったもんですから→ もしかしたら→ 持っていかなかったのかなと 思いまして｡ あ… 動転してしまって よく覚えてないんですけど→ この部屋になかったという事は 片づけたんですね きっと｡ ほう 片づけた｡ 目の前に ご主人の遺体があっても…？ ええ｡ それは多分…｡ 習慣で？ ええ 習慣で｡ 習慣…｡ 習慣です｡ 花沢 お前 まさか→ あの奥さんが 犯人だと思ってるのか？ 秋葉康祐ですが 関係者は皆→ 秋葉家の資産目当てで 美由紀さんと結婚したと→ 言っています｡ 資産目当て…｡ しかも 秋葉康祐には 入れあげてるホステスがいて→ いくつも高価なプレゼントをし→ マンションの家賃も 支払っています｡ 夫婦仲よくないって事ね｡ 鑑識の結果 出てる？ はい｡ どうぞ｡ 霜村情報は？ まだ 居所はつかめないそうです｡ 身柄を早く拘束しないと→ また次の事件を起こさないとも 限らない｡ 一刻も早く見つけ出して｡ わかりました｡ えっ？ なんで？ あら…｡ あっ 来ちゃいました｡ 犯人 捕まったんですか？ いや～ それが まだなんですがね…｡ そうですか｡ 奥さん｡ はい｡ どうしても わからないんです｡ 何がでしょうか？ 犯人は どうして 包丁を 使わなかったんでしょうか？ うちの人が帰ってきたら 脅かすために→ 玄関にも リビングのテーブルの上にも→ 包丁を置いてあったのに→ 凶器はペーパーナイフですよね｡ それは きっと その包丁を取る前に→ 主人が捕まえようとして 争いになり→ 犯人は 偶然 そこにあった ペーパーナイフを手にして→ 殺害したんじゃないでしょうか｡ そうかもしれませんね｡ いや でも そのﾍﾟｰﾊﾟｰﾅｲﾌなんですけどね→ 昨日 うちの鑑識の報告書を読んだら→ 指紋が付いてないと 書いてあったんですよ｡ フッ… 犯人は 手袋をしていたんでしょ？ 他の場所にも 指紋はなかったんですよね｡ だったら…｡ いえ…｡ 犯人のではなく 奥さんの指紋です｡ はい？ 奥さんのペーパーナイフですよね｡ だったら なぜ 奥さんの指紋が付いていないのか→ 不思議に思いましてね｡ あっ…｡ わたくし こう見えても 几帳面なんです｡ 使ったら すぐに布で拭くんですの｡ ほう 几帳面ですか｡ ちょっと失礼｡ ♬～ でも 奥さん あんまり 掃除 好きじゃありませんね？ ほら｡ そこは たまたま 掃除するのを忘れただけです｡ たまたまですか｡ ♬～ なんですって!? ですから→ 秋葉康祐を殺害した犯人は あの奥さんなんです｡ あんた 何言ってんの!? でも 確かに 夫婦仲は最悪ですし…｡ 花沢が言うように 靴やハンドバッグの事→ それに ペーパーナイフに→ 指紋が付いていなかった事などを 考えると 花沢の言う事も…｡ お黙りなさい！ ３人とも… こっち来て｡ あんたたち 自分が何言ってるか わかってんの？ ですから あの奥さんが…｡ 現場 どうなってたの？ 霜村の犯行と同じような 現場だったんでしょ？ 手口が全く一緒だったんでしょ？ そうです｡ じゃあ その…→ 子爵の子孫だとかいう お嬢さん奥さんがよ→ 自分で夫を殺したあと→ 霜村がやったように 現場を偽装したっていうの？ いや あの奥さんに それは無理です｡ 世間知らずのお嬢様 って感じでしたし…｡ だから 誰が偽装したの？ いや それは…｡ 霜村の手口 マスコミに公表した？ してません｡ じゃあ 手口知ってんのは誰？ えっ!? あっ…！ 警察関係者って事です…!? あっ イテッ…！ (千夏)キャッ！ ぐっ…！ おっ…！ あんたたちの言うように 奥さんが犯人だとしたら→ 現場を偽装したのは 霜村の手口を知ってる警察関係者｡ そういう事になる！ あんたたち それがわかってて→ 奥さんが犯人だなんて 言ってんの!? そういうのね 軽々しく言うんじゃないの！ 大変な事なのよ！ わかった？ はい…｡ いや でも あの人…｡ (玲子)やめなさい デブ！ あっ…｡ もう…｡ うう～ うう～ うう～…｡ 確かに 警察関係者が 現場を偽装なんて→ あってはならないですよね｡ うん｡ それに 奥さんには アリバイがあるんですもんね｡ 犯行時刻には→ 一乗寺のライトアップを １人で見に行ってた｡ でも 権ちゃんさ→ 一乗寺のライトアップ １人で見に行ったりする？ １人でなんて行きませんよ｡ 課長じゃあるまいし｡ あっ…｡ 課長じゃあるまいし？ (３人)ねえ パパ どっか連れてって｡ そうよ パパ｡ たまには出かけなきゃ｡ あっ ねえ 今度の日曜 嵯峨野に行かない？ 行く～！ (３人)行く～！ 嵯峨野か｡ ほら トロッコ列車もあるし みんなも喜ぶと思うし｡ (４人)喜ぶ～！ うるさいんだよ｡ 行く！ トロッコ列車 乗る～！ さちえも行く！ 花ちゃんも行く！ だから なんで お前が行くんだよ！ いいじゃない｡ みんなと行けば 楽しいし｡ けんちゃんも行く！ けんちゃん？ けんちゃんって誰？ 幼稚園のお友達｡ さちえの彼氏｡ 彼氏？ う～ん やっぱり そうだよね…｡ 何が？ いや 誰かと行くでしょ 普通｡ 一乗寺のライトアップか｡ うん｡ だったら どうして １人で行ったなんて言うんだろ｡ 言えない相手と 一緒だったんでしょう｡ 言えない相手…｡ 男か？ うん｡ ♬～ キラキラしてる｡ やっぱり 男かな？ ラメです｡ あっ…｡ 木内っちゃん 尾行 気づかれてないよね？ 気づいてて あんな楽しそうに歩くか？ だよね｡ ♬～ 教会？ ♬～『第九』 (本田幸樹)大きな口で｡ ♬～『第九』 地域のコーラス部だそうだ｡ コーラス部？ うん｡ ♬～『第九』 あっ 木内っちゃん！ ♬～『第九』 鬼久保警部！ ♬～『第九』 (鬼久保)いや～ すまん すまん｡ 鬼久保警部 コーラス部だったんですか？ そうなんだ｡ コーラス部だったんですか｡ 今 そう言ったろ｡ おい…｡ 奥さんもですか？ (美由紀)はい｡ という事は…｡ お二人は 前から お知り合いだったんですか？ すまない｡ 実は そうなんだ｡ ね？ ええ｡ ｢ね？｣って…｡ つまり 現場検証の時も お知り合いだったわけですか？ コーラス部の｡ 実は そうなんだ｡ だが そういう事を いちいちベラベラ喋るのも→ 男としてどうかなと思ってね｡ すまん…｡ じゃあ お二人は…？ ああ そうなんだ｡ 私と美由紀さんは コーラス部で 運命的な出会いをしたんだ｡ それは まさに 宿命というのか→ 神がくださった 最高のプレゼントというのか…｡ ね？ 美由紀さん｡ ええ｡ 花沢 木内 ちょっと…｡ この事は 内密にしてもらえないか？ 愛というものは 時と場所も事情も選ばない｡ ふいに突然 燃え上がる｡ これは仕方のない事だ｡ 実は ご主人が亡くなった 事件の夜も→ 私と美由紀さんは 一緒だったんだ｡ 事件の夜も？ そうなんだ｡ じゃあ 奥さんは→ １人で 一乗寺のライトアップを 見に行ったというわけでは…｡ そうだ｡ 私が一緒だった｡ ね？ はい｡ つまり 鬼久保警部が 奥さんの アリバイの証言者になると…｡ ♬～ 何か？ ラメですね｡ あっ… ええ｡ ♬～ (林)えっ…？ なんすか？ いいから来い｡ はあ？ (林)コーラス部？ そうだ｡ 本当に前から通ってたのか？ ああ… 事件がない時は必ず→ 帰りに ちょっと教会で 歌ってくるわ アハハ って→ なんかご機嫌で｡ ご機嫌で？ はい｡ 昼休みも飯抜きで→ ちょっと行ってくるわ アハハ って→ 教会に走って行ってましたよ｡ それは鬼久保さんの事ね？ 誰かと間違ってないね？ いや そうですって｡ あの人 前は 筋肉オンリーだったんですけど→ 今じゃ コーラス命なんです｡ あの人 そんなに歌が好きだったのか｡ いや そうじゃなくて｡ そうじゃなくて？ コーラス部に いい人がいるみたいで→ なんか いつもコーラス部に行く時は→ ウキウキしてて 鼻毛切ったり→ 口臭スプレー シュッて やったりしてるんですよ｡ シュッて？ マジか？ マジですよ｡ という事は やっぱり…｡ 何…？ 鬼久保が…!? 不倫って… その奥さんと 鬼久保さんがですか？ びっくりだけど 本人たちが そう言ってる｡ 事件の夜も 一緒だったそうです｡ って事は 鬼久保が 秋葉美由紀のアリバイを→ 証言するって事になるの？ そうです｡ (ため息) (林)あっ お疲れさまです｡ ♬～ 鬼久保｡ ちょっといい？ なんだい？ あなたが 秋葉美由紀の アリバイ証言者だそうね？ えっ…？ 恥ずかしながら そのとおりだ｡ 秋葉康祐が殺害された夜 秋葉美由紀は 俺と一緒だった｡ そう…｡ すまない｡ 美由紀さん… 彼女と その→ そういう関係になった事に ついては→ 事件解決後 改めて報告する｡ それなりの覚悟は出来てる｡ そのかわり この事件は 必ず 俺が解決する｡ 一刻も早く 霜村を見つけ 身柄を拘束し→ 俺が取り調べる！ しかし 現場が 霜村の手口と同じというだけで→ 霜村の指紋が 残ってるわけでもなく→ 確たる証拠はない！ この間の取り調べで あいつのやり口はわかってる｡ 今度こそ 俺が取り調べて 必ず あいつを自白させる｡ あいつが 真犯人に間違いはないんだ！ わかるだろ？ 錦織｡ こいつが犯人だと わかっていながら→ 送検出来ない悔しさを｡ あの時 起訴していれば→ 美由紀さんのご主人が 殺されるような事はなかったんだ｡ 悔しいんだよ！ だから 必ず 霜村を逮捕する！ この俺が！ じゃ ともかく… 霜村の行方ね｡ 頼むわ｡ わかった｡ 任してくれ｡ (電話) はい 錦織｡ なんですって…!? もう一度 言って！ そう…｡ わかったわ｡ ありがとう｡ ♬～ (パトカーのサイレン) ♬～ すいません 何度も｡ (美由紀)なんでしょうか？ あの… 奥さんと鬼久保警部は→ そういったご関係という事で 間違いはありませんよね？ はあ？ それ 一体 どういう意味でしょうか？ まだ 私の事を 疑ってらっしゃるの？ あなた方の上司である 鬼久保警部さんが→ 私のアリバイを証明して くださったんじゃないんですか？ そうですよね｡ まあ それはそれとして→ あの もう一度 現場のほうを 調べさせて頂きたいんですが→ よろしいでしょうか？ どうぞ｡ ああ どうもすいません｡ 失礼します｡ えーっと 奥さん！ はい｡ ちょっといいですか？ 盗まれたお金は どこに しまってあったんでしたっけ？ ここです｡ ちょっと失礼｡ この化粧セットの奥ですね？ (美由紀)ええ｡ ♬～ うーん…｡ ああー！ キラキラしてる｡ これ ラメですね？ あっ ええ…｡ あっ… どうしよう 手に付いちゃった｡ ごめんなさい｡ すぐに おしぼりを｡ 奥さん！ あっ はい｡ この手に ラメが付いたという事は→ この中に入れておいたお札にも→ ラメが 付着しているかもしれない｡ お札に ラメ…？ ええ｡ (玲子)女の家？ ありがとう｡ 霜村の女の家が わかったわ｡ 霜村の女…？ 鬼久保警部 家宅捜索令状が出たら すぐに向かって｡ 家宅捜索…!? 何を捜すんだ？ あの 凶器のペーパーナイフは 現場に落ちていたし あとは…｡ 盗んだ金よ｡ 盗んだ金!? 金なんか どれも一緒だろ｡ ナンバーでも控えていたのか？ ラメが付いてるはずなの｡ ラメ…？ あの キラキラしてるやつか？ (林)そうです｡ 秋葉美由紀が 盗まれた金を隠してた場所には→ 化粧道具が一緒に入ってて 辺りにラメがこぼれてた｡ とすると 一緒に入ってた札にも ラメが付着してるはず｡ なるほど｡ じゃあ その霜村の女の家に ラメの付いた札があれば→ 霜村の逮捕状は取れる そういう事か？ そのとおり！ ああ わかった｡ (パトカーのサイレン) (鬼久保)行くぞ！ はい！ ラメの付着した札束だ｡ 捜せ！ (一同)はい！ リビングと台所から始めろ！ (一同)はい！ ♬～ まだか？ 林 こっちの部屋 調べてみろ｡ いちいち細かい事 指示させるな｡ はい！ ♬～ 林 手を抜くな｡ 一つずつ くまなく調べるんだ｡ 例えば そこの鏡台とか その引き出しとか｡ よく調べろ！ はい！ ♬～ ありました！ 何!? 100万円です！ (鬼久保)その札束に ラメは付着してるか？ (林)光ってます！ よくやった 林｡ これで 霜村に逮捕状が取れる｡ 秋葉康祐を殺害したのは霜村だ！ (一同)はい！ 鬼久保さん｡ なんだ デブ｡ 何しに来た？ 特別班に用はない｡ もう ラメが付着した札束 見つけた｡ 残念ながら 犯人が盗んだ札束には→ ラメなんか付いてなかったんです｡ 何を言ってるんだ｡ 現に ここに…｡ ラメを引き出しに ばらまいたのは 僕です｡ 何…？ 僕がやりました｡ ♬～ お前が…？ つまり 犯人が金を盗んだ時→ ラメは ばらまかれていなかったんです｡ だから 一万円札に ラメは付いてないんです｡ おう おう おう…｡ おう じゃあ なんで ここに ラメの付いた100万円がある？ 鬼久保さんが入れたからです｡ バカな事 言うな！ デブ！ 俺がそんな事するはずが ないだろ！ 見苦しいわよ 鬼久保！ (鬼久保)錦織…｡ この部屋は 霜村の女の部屋でも なんでもない｡ うちの女性警察官の部屋を 借りたのよ｡ 何…!? しかも 隠しカメラをつけてある｡ あなたがやった事は 全て録画されてるわ｡ なんだと…!? あなたが鏡台の引き出しに 100万円を隠す姿が→ 隠しカメラに録画されてるわ｡ (玲子)証拠がどうこうなんて みっともない事 言ってないで→ さっさと自首しなさい｡ (鬼久保)バカを言うな！ そういう話は 霜村を見つけてからにしろ！ あいつを逮捕して 取り調べれば 必ず犯行を自白する！ 往生際が悪いわね｡ 権田 言ってやりなさい！ はい！ 昨日 鹿ケ谷川で死体が発見され 検視したところ→ ２週間前の落雷で 亡くなっている事がわかりました｡ ２週間前…？ あの停電の日です｡ 停電…？ ♬～ (千夏)川沿いを歩いていた男が→ 雷に打たれ 即死｡ 昨日 鹿ケ谷川の下流で 発見されました｡ それがどうした…？ その遺体は 霜村和幸でした｡ (千夏)ですから 霜村は→ ２週間前の あの停電の日 落雷で亡くなっていたんです｡ つまり 秋葉康祐が殺害された時 もう 霜村は亡くなってた｡ 霜村に 秋葉康祐を殺す事は 出来ないんです｡ 鬼久保さんが 秋葉康祐の 殺害現場を偽装したんですね？ 霜村和幸に罪を被せるために…｡ ハハ…｡ あなた｡ ああ？ (刺す音) うっ…！ お前…｡ 秋葉美由紀は ご主人を殺害したあと→ 鬼久保さんに 助けを求める電話をした｡ (美由紀)もう どうしていいか わからないの｡ 助けてください 鬼久保さん｡ 鬼久保さんは 秋葉美由紀の一大事なので→ すぐに秋葉家に駆けつけた｡ (美由紀)本当にごめんなさい｡ あなたしか 頼れる人がいなくて…｡ (鬼久保) わかってますよ 美由紀さん｡ ♬～ そして 鬼久保さんは→ 現場を偽装するよう 指示を出した｡ その返り血がついた洋服を 外出用に着替えてください｡ そして 出かける時と同じような 化粧をしてください｡ それから 外出用の靴を 玄関に並べておいてください｡ どういう事でしょうか？ このわたくし 鬼久保が→ 美由紀さん あなたをお守り致します｡ 鬼久保さんが わたくしを…？ ♬～ 鬼久保さん…｡ ♬～ 霜村和幸の犯行に見せかけるため ２階の窓を開け…｡ ♬～ 引き出しの中身を 床に ばらまき…｡ 台所から包丁を２本取り出し→ 玄関とリビングに置いた｡ これでよろしいでしょうか？ 美由紀さん…｡ はい｡ きれいです｡ あ…｡ 鬼久保さんったら…｡ (鬼久保) 美由紀さんのような純粋な人が→ あんな男のために 逮捕される事はないからな｡ 俺が 彼女を守ってあげたかった｡ 心から そう思った｡ 京都府警のベテラン刑事が 色恋に惑わされるなんて…→ 呆れたもんね｡ (鬼久保)林！ な… なんすか？ 手錠だ｡ お前がかけろ｡ ♬～ 林！ ♬～ 林…｡ ♬～ おい 相撲部屋｡ はい｡ いつ 俺が共犯だと気づいた？ たった今です｡ たった今…？ 鬼久保さんが 現場を偽装したなんて→ 最後の最後まで 間違いならいいと願ってました｡ 残念です｡ そうか…｡ だから デブは嫌いだ｡ ハハハ… ハハハハ…｡ ♬～ (玲子)バカな事やったわね｡ うん… バカな事やった｡ (玲子)なんで？ 俺はよ あんたに負けて→ 現場の最高峰である 捜査一課長の座をつかめなかった｡ だったら これから どうする？ 何を目指せばいい？ なんも見えなかった｡ だったら これから→ 愛する人と ささやかな幸せを育むのも→ いいかなと思ってさ｡ それが 秋葉美由紀…｡ 運命だと思ったんだ｡ だから 偽装を？ 残念だ｡ これで 年末に 美由紀さんと一緒に→ 『第九』を歌えなくなった｡ 夢だったんだが…｡ もう一つ 残念な知らせがあるの｡ 残念な知らせ…？ あっちは梅雨明けしたみたいよ｡ 本当に？ うん 30度ぐらいあるみたい｡ うわ 暑いね｡ (美由紀)水着を選んで｡ いろいろ持ってきたから｡ 秋葉美由紀さん 秋葉康祐殺害事件について→ 詳しい話を聞かせて頂きます｡ 署までご同行願います｡ 残念でしたね 奥さん｡ 色仕掛けで刑事をだましても 駄目なんです｡ 警察は 鬼久保さんだけではありません｡ 鬼久保のドジが…｡ 役立たずなんだから｡ ドジ…｡ (玲子)バカねえ｡ フッフッフッフ…｡ ハハハハハハ…｡ (笑い声) 何 確認してんだ？ さあ…｡ 課長 どこに行ったんだろうな？ 本部長室です｡ なんか 大事な決め事があるとか 言ってた｡ えっ？ 大事な決め事？ なんだろうなぁ？ なんか 一係の係長の席が 空白になったので→ その後任を 決めてるんじゃないですか｡ ああ… あっ そうなんだ｡ ハハハハ…｡ あっ 課長！ えっ？ 違った｡ あー！ うん？ よせよ 花沢｡ あっ 帰ってきた 本当に｡ 課長が帰ってくる…｡ 課長！ え～っと…｡ はい｡ 花沢｡ えっ 僕ですか!? えぇっ!? いやいや いやいや…｡ そりゃ 一番年長ですけど｡ えっ…？ あんた この間のコンビニ強盗の 報告書 まだでしょ？ さっさと出しなさい｡ はい｡ 以上｡ えっ 以上!? 何？ あ いえ…｡ ♬～ まあまあ 木内っちゃん…｡ 人生七転び八起き｡ 僕のようなデブでも→ 立派に ちゃんと 人生を生き抜いてるんですから｡ 明日に向かって 頑張りましょう｡ ねえ 木内っちゃん｡ ♬～ 木内っちゃん！ ♬～

リバーデイル.S01E08.JA

1 前回までは… ３週間分の給与しか払えない デカい入札を狙ってる ドライブイン跡地の開発だ フレッドとキスした 別の方よ フレッドとの契約書で 私のサインを偽装した パパはジェイソンが嫌い そして娘が彼の子を妊娠 好きなだけいて アリスの娘だもの 住む場所は？ 何とかする 会社の資材を内緒で売ってた 誰かが溺れていれば 助けようとする だが道連れになるな “ジェイソン” クーパー家は― 理想的な家族だ 親は高校の恋人同士 子供は美人姉妹の ポリーとベティだ ジェイソンの事件で変わった ついに１人が語り始めた 失踪(そう)前の彼に 一番近かった人物だ ポリー･クーパー ２人の仲が 世紀の悲恋に発展した経緯 あいまいな理由で 親に別れさせられたが― 束の間だったこと 理由はポリーの妊娠発覚 ２人が密かに婚約し― 祖母に指輪をもらったこと 一緒に駆け落ちを― 計画したこと そして その夢が 燃え果てたこと… それが最後の日？ ポップの店で言われたの 死を偽装してから向かうと でも その前に 私が施設に送られた ジェイソンの友人は 彼がドラッグを売っていたと 一度 運んだだけよ 彼は… 私たちは お金が必要だった 新生活のために アメフトのスター選手が 運び屋に？ ガラの悪い地区のバーで ギャングと取引したの ヘビか？ 北部の ある住所に ドラッグを届け― お金をもらうことに あの車のドラッグか ええ 燃えてしまった 彼との大事な物も全部 おばあ様がくれた指輪も 彼が持ってくれてたのに… 保安官　今夜はここまでに ポリーを休ませるわ また連絡する お見送りを どうも 大丈夫だからね 来て 俺を狙うな そっちじゃない 何すんだ 左だって！ ちくしょう 間違って俺を殺しすぎだ 戦争は地獄さ 違う　他人こそが地獄だ もう遅いから… 部屋が臭(にお)うぞ　窓を開けろ 分かった 落ち着いたか？ もう すっかり 俺たち 寮のルームメイトみたい じゃあ俺は寮長か？ ３人目のルームメイト 明日は大変なんだ 建設工事の初日だろ？ ああ　そうだ すまない 大事なドライブインの跡地に 美しいものを期待してます それはともかく デカいものになる おやすみ 父さんも “リバーデイルへようこそ” 姉は“望まれない子だ”と しかも ブロッサム家には狙われるし 怒らないで 平気よ ポリーだけが欲しい家と 子供だけが欲しい家 こいつは難問だな あり得ない状況でしょ ベティ 私のあり得ない状況は― “ヴァニティ･フレア”と エルトン･ジョンから― 同時にオスカー･パーティに 招かれたこと これは少し厄介なだけ でも 私がいいことを 考えついたわ とても簡単よ うちで ベビーシャワーを開くの 行くわ ポリーを 安心させたいんでしょ？ ええ　できれば親の祝福を だから 少しずつ進むの ポリーとご両親も 人前ならケンカせずに― 自然と歩み寄るはず 俺も行くの？ 当然よ　ベティの彼氏でしょ 皆 落ち着いて ただの言葉に反応しすぎ ベティ　どうする？ エリザベス･クーパー ママ？ 来なさい あなたも 今すぐ ビク　今日の作業を説明する 申し訳ないが 作業員を引き揚げる これから工事なのに？ クリフ･ブロッサムから デカい案件に誘われた この先２年の仕事を 保証すると 部下のためだ 困るよ　ビク すまん　フレッド 保安官から聞いたわ ポリーをかくまったのね あんな施設よりマシ 私のせいです ポリーをうちにと提案を 彼女は恩人よ 養子縁組を強いる ママたちと違う ポリーと子供のためなの ママが選べるのは― 姉さんの人生に 関わるか否かだけ ヴェロニカの家で ベビーシャワーを やるべきじゃない そう？ 名案だと思うけど 優しいお祖母ちゃんに なるなら大歓迎よ でなければ― 来ないで ドン 作業員を数人貸してくれ 着工のために２人だけでも… 確認したさ かけ直す どうかした？ 何でもない バルとのデートは？ 楽しかった　ピザ食べて 仕事のトラブル？ クリフ･ブロッサムだよ うちの作業員が 奴に釣られて― 全員 辞めた そんな奴ら こっちから願い下げだろ 父さん どうしたの？ 問題があるなら話してよ 会社が うまくいってない 長いことな 大きな仕事はご無沙汰だった だから 今回に賭けてるのに― 作業員がいない 毎日が大赤字だ 機材を導入したり 遅れてる支払いも… なぜ ずっと黙ってたんだよ ここまで悪くなるとは 汗水垂らして働いても 一歩間違えば全て失う 父さんは何も失わない 父さんは何も失わない NETFLIX オリジナル作品 NETFLIX オリジナル作品 NETFLIX オリジナル作品 一緒に解決しよう 一緒に解決しよう ベビーシャワーなんて 本気？ 名案だわ ママとパパは？ あなたは来てほしいの？ ええ　せめてママには それなら何とかして呼ぶ でもケンカになる ならないわ 家族全員で 姉さんを支える ブロッサム家も シェリルは招待したわ おばさんも 姉さんを 〝母親に不適格だ〞と じゃあ この機会に 違うと証明できる ヴェロニカ 話せる？ いいわ ちょっと失礼 あの両家を うちに呼んだら― 血を見るわよ ずっと昔から 敵対してるんだから それに― ブロッサム家にパパが 購入者だとバレたら― 戦争になるわ うちと？ 建設を止めて 土地を奪いに来る フレッドと私の努力が… 彼はパパのこと 知らないの？ とにかく― 今ベビーシャワーを やるのは― 時機が悪いの アリスも来たがらないわ そうなの できればママから 説得してほしい 同じ母親として 嫌よ お願い　ポリーのためよ フレッド うちの工事初日に 引き抜きを？ 好機が 自ずと訪れたまでだ よく言うぜ 次は何だ 開発か？ あそこは うちの土地だった メープル帝国のな それを 買い戻そうとした矢先 君の謎のボスに 盗まれてしまった 代わりに俺を標的に？ 彼は陰でこそこそ 取り引きを進めて― 猛スピードで 大工事を進めてる その資金は 限られていると見た 資金を尽かせるのが 狙いか そして安く買い戻す 賢いな どうも おかげで俺までピンチだ 会社と生活が 脅かされてる 息子の未来も たとえ大富豪だろうが 全力でやり返してやる そんな力が？ 車をどけろ どうだった？ あの男を― ぶん殴らなかっただけ マシだ 奴は購入者を恨んで 俺たちを巻き添えに その謎の購入者の正体を クリフは？ 奴も知らない 今度は何だ 何してる？ 新しい作業員が働きに来た ありがたいが 他にやることがあるだろ 学校とかアメフトとか 次が見つかるまで 練習後と週末に働くよ 夏の間 手伝っただろ こいつらも… 体力なら任せて 例外もいるが 願ってもないことよ よし　行くぞ さぞ いい気分でしょ さぞ いい気分でしょ 〝ポップの チョコレート店〞 〝ポップの チョコレート店〞 〝ポップの チョコレート店〞 私の娘の面倒を見て― 私の娘の面倒を見て― あざ笑うために呼んだの？ あなたの力になるためよ あなたはポリーを― どうしたいの？ 娘を取り戻して 家族一緒に暮らしたい じゃあ 現実を受け入れて あの子はまだ10代よ 学校も卒業してないし 子供の父親は殺された おままごとや お祝いがしたいならご自由に でも現実は変わらない そんな子に― 子育てができる？ 母親は毎日してる 私たちもやった ベビーシャワーに来て ポリーを支えてあげて でないと一生後悔するわよ 楽しいな　岩運びだ ケラー　いい調子だな 頼りになる 仲間でよかった 触れ合う競技のが 好きだけどね ボクシングとか よし 一輪車の扱いがうまい 音楽でコケても こっちの道がある 冗談じゃなく夏の間やってた 父さんはこの仕事が好きで 俺は父さんが好きだ 分かるよ お前の父さんはすごい よく知ってる 父さんは何でもやるし いつも俺を支えてくれる だから父さんを支えるために 喜んで岩を運ぶんだ だよな　俺も世話になった 他の誰よりも そうさ お前たち　今日は助かった ヘルメットを置いて ソーダを飲め 携帯を取ってくる “アンドリュース建設会社” おい！ そこから離れろ 大丈夫か？ 無理に動くな 誰にやられた？ 分からない でも― “工事を続けるなら また来る”と 何があった？ ムースが うちの機材を 壊してた２人組に― 痛めつけられた 誰の仕業だ ブロッサムに決まってる 工事を止めるためだ 彼がチンピラを送り込み 子供を襲わせたと？ 多分 違うよ 縄張りをなくした ヘビが― 逆恨みしたのかも ヘビ？ そうさ 俺は絡まれたことなかったぞ ヘビのタトゥーか ジャケットを？ 見る暇なかった ブロッサムとも話すが 犯人が不明では何とも これがブロッサムなら 助けるくせに アーチー 本当のことだ いいから黙ってろ ママと話した？ 来るって？ 招待は… してある いいじゃない 来なくて損するのはママよ ベティ　決めたわ この子の代母になって 私でいいの？ ステキ 私に何かあったら― あなたが この子を守って うれしいわ　姉さん こんなのおかしい 間違ってる 最悪だね　ひとまず話そうよ それどころじゃない 無茶はしないでね 悪いけど行かなきゃ ムースは大丈夫なの？ ヘラジカ(ムース)だから平気だ ジャグ メールしたのに 昨日のこと ジャグに聞いた “建設現場”って言葉で 先が読めた あのヘビの奴らを 探すぞ ムースを痛めつけたのは 彼らなの？ まだ確かじゃない でもやる価値はある 案内人もいる どこに行くの？ 奴らがたむろするバー 犯人を見つけたら 保安官を呼ぶ アーチー 彼らは危険よ ドラッグの売人なの 何だと？ 誰が言った？ 姉さんよ ジェイソンは 奴らのドラッグを運んでた 父さんの話を聞いたろ ブロッサムに狙われてると それを保安官は無視した 放っておけないよ そのバーは絶対やめとけ ジャグヘッド 一緒に来るか？ 世話になったな 大人しくしてろ 誰とも目を合わせるな 犯人がいたら 店を出て保安官を呼ぶぞ “巨大白蛇” ムース　いたか？ まだ分からない 俺たち死ぬかも ほら払え 次は取り返す だといいな 奴か？ どうかな 似てるけど 大変だ おい 何だ 死にてえのか？ アーチー　よせ 何だよ ガキを殴るのか またブルドッグが 騒ぎに来たか よせ！ そこまでだ 放してやれ 後は俺に任せろ おい 赤毛 お前は残れ 大丈夫だ 何のマネだ？ 父さんの機材を 壊した奴らが― この中にいると思ったんだ でも おじさんに会って 分かった あれはクビにした父さんへの 仕返しだろ 俺の息子より想像力がある 父さんは崖っぷちだ 俺がやると思うか？ 復讐(ふくしゅう)の機会を待ってたと？ バカ言え 人生は短いんだ お前にもいずれ分かる お前が来た時に呼んだ 乗ってろ ようこそ うれしいわ 来たわよ うれしいわ ありがとう よく来てくれたわ 柄じゃないのに 何だって？ ベビーシャワーだぞ 一度は経験したかった ママ 姉さん　ママが来たわ 元気そうで何よりだわ 母子ともに ママ 来たわよ ただの高級ベビーカーよ 高かったでしょ お礼に私を代母に 冗談よ でもないけど ローズおばあ様 料理を取りましょ ポリー あなたに謝るわ 赤ん坊のことを 最初に聞いた時― 私は その子だけを 歓迎してしまった どうか許して 楽しいことを考えましょ 出直すどころか ヘビになってたとは 生きてくためさ 職に就けなくて なるほど 俺が苦しむのは自業自得か 俺が襲うとでも？ 息子が世話になってる親子を 俺は― 本当に気の毒に思ってる 状況は？ 作業員もカネもない どん底だ 仲間の奴らに 犯人の心当たりを聞いてみる ありがたい お前なら きっと大丈夫だ だが 息子から目を離すな この首飾りは 赤ん坊のオーラから― 性別を予知するの おばあ様は認知症で 先祖がロマ 何ですか？ 赤ちゃんは大丈夫？ 赤ちゃんたちよ 双子だわ 男女のね くだらないオカルトね でも来てよかった ステキね ありがとう 次はママのよ 私のライトだわ 昔 使ってた よく残ってたわね 取っておいたの 気に入ってたでしょ いつか子供にあげて いい贈り物ね 私たちのも開けて 彼をかばってたのか 落ち着け　どうした？ アーチー ジャグの父親がヘビだとは？ 知らない だから止めたのか 父さんへの裏切りだ アーチー　説明するから 今はやめて ポリーのお祝いよ ２人とも場をわきまえて アーチー 聞きたくない 来て それは先祖伝来の品なの 曾祖父が大事にしてたわ 格調高いでしょ ポリー　うちに来て 娘の招待は冗談ではないの ソーンヒルは あなたを待ってるわ 子供にも あなたにも 不自由はさせない 厚かましい人ね シラミの湧(わ)いた トロイの木馬と― 白紙の小切手で 娘をさらうの？ 娘が大事なら― なぜ のけ者にして 追い出したの？ お宅から離すためよ 恥じたからではなく？ なぜ一緒に 暮らしていないの？ 娘はやらないわ あんな ゆがんだ不快な家には 彼女のためよ シェリル　逆効果だわ うちに来た方が幸せ 何様のつもり？ もうやめて　２人とも 騙(だま)されないで だから彼は死んだの このくだらない いがみ合いのせい 触らないで 私たちの未来を― ２人が壊したの だから彼は死んだ ポリー ママ 姉さんと話して ポリー　ごめんなさい あの女が… ママは私を― 遠ざけた 私が行かなければ 彼も生きてたかも あなたの体も危なかったわ 私は孤独だった あんな場所で いつもあなたを想ってる 愛されてないなんて 思わないで ポリー　帰ってきて もう寂しい思いはさせない 帰ってほしい？ 心から思ってる でもパパは？ パパは… 受け入れてくれるわ また予約を取ったりしない？ 予約って何のこと？ 施設に入る前 パパが医者の予約を “喜んで 費用を払うから―” “過ちと共に生きるな”と そんな 私の意見も聞かずに 父さんのためだった 無謀だ 構わない　ここは俺の出番だ 父さんを助けたい もう十分だ これだけは言っておく 俺はいい人生を築こうとした 家庭を築くのは失敗した でもお前の人生は― 守ろうと努力してる できてるかは分からんが お前の年の頃から ずっとレンガを積んできた それが俺だ 俺の全てだ 俺 思ったんだ いつか俺に子供が出来て― その子が音楽を 一切やりたがらず― こう言うんだ “じいちゃんみたいに 家を建てる” それってカッコいいだろ 最高だ 父さんの遺産を― 俺も遺したい “ペンブルック” やっと姉さんが寝た 散々だわ 父さんのこと話すべきだった なぜ隠してたの？ 恥ずかしくて ジャグヘッド 付き合うなら あなたのことを知りたい あなたの全てを 分かった よかった お父さんに会いましょう ジェイソンの話が聞けるかも 行こう ジャグヘッド 父さん　ベティだ 俺の父さん お会いできて光栄です 俺もだよ まあ 座ってくれ あいさつに寄ったんじゃない 今日来るとは思ってなかった ヘビとドラッグの関係を 知ってる 何だと？ 誰に聞いた？ ジェイソンの彼女 私の姉です 奴は逃亡資金を欲しがってた 怪しまれない見た目だから 手を組んだんだ 警察には話した？ どうかな もうポリーが話したよ 捜査も時間の問題だ ジェイソンと話したことは？ 仲間が預けたブツが消えた時 持ち逃げしたかと でも 川で遺体が 見つかったのね 他にも質問が？ 父さんは彼の死に関係が？ 俺にできると思うか？ こんな世の中じゃね もう何が正しいのか 分からない 俺がダメ親父なのは 認めるが― 人は殺さない お父さんを信じる？ 信じるよ 君は？ あなたを信じるわ “３番街” 面白い展開になっています ライナーのいい当たりです アリス ポリーが妊娠した時 何と言ったの？ 予約を取ったの？ 医者の？ 自分が負担するからと？ 私に内緒で？ あの子の過ちを正すために？ アリス 最低 あなたはポリーに― 私と同じことをしたの？ だから君に言わなかった こうして過剰反応すると 分かってたから 君は 準備が出来てなかった ポリーもそうだ あの子を施設に送ったわ それで十分でしょ 問題は今 起きているんだ 娘の人生が破滅しかけてる あの過ちのせいで… あの家族のせいでな ポリーはこの家に 帰ってくるの 冗談じゃない！ 私は絶対に面倒を見ないぞ ブロッサム家の子孫なんて 出てって 行かない 出てって 今すぐ 出てってよ！ でなきゃ お互い後悔するわよ 私が何をしでかすか 分かるでしょ おやおや 周りがどう思うかな もう どうだっていい 二度目は頼まないわ 出てって ポリーに会わせたくない お前を信じるべきだった ごめん 怖かったんだ 父さんたちが あんなことしたと― 信じたくなかった だって― 自分の父親だから もういい　分かったよ でも俺には何でも話せ お前は― 兄弟も同然だ グッとくるささやきだ お前は俺の兄弟だ お前と 親父さんの力になりたい 奇跡を祈ってくれ 警察が 俺たちをかぎ回ってる これは万一のための保険だ ほらよ 安全な場所に隠せ ケラーのガキは？ 俺を疑ってない 保安官への大事なルートだ どうした　何か問題でも？ 本気で俺にほれてる 切ない話だぜ だが役割は果たせ 俺もやる あちこち電話をかけて― 空いてる作業員を集めてる それまでは２人でやるか その必要はない 作業員が要るって？ 俺たちも職探し中さ 俺は最高の現場監督だぜ 今度は失望させない 問題が起きたら？ 俺たちに任せろ 時間がない 始めよう 手続きを済ませてくる ガキを襲った奴らを 調べたら― よそ者だと分かった なぜ私に話すの？ 奴らはモントリオールの ムショにいたそうだ あの町で ビジネスをする人物が ハイラムなの？ なぜ… フレッドとの仲を 知ったんだろ だが一番の疑問は― 誰がチクったか ママは知らなかったの パパの独断だったと 本当にパパを追い出したの？ ママは本気よ 姉さんと子供か 子供たちを― 守るために だから― もう帰れるのよ “ソーンヒル” ごめんね　ママ ダメだった ポリー　よく来てくれたわ 子供のためです もちろんよ　正しい選択だわ 安心して 日本語字幕　中澤 みのり

孤独のグルメ４th＃04

1 《井之頭:小宮…｡ これが駅前》 《何もなし》 《あぁ こっちじゃない｡ こっちだ》 《地図 送ってもらってよかった》 《しっかし なんにもない》 ＜時間や社会にとらわれず 幸福に 空腹を満たすとき➡ つかの間 彼は➡ 自分勝手になり 自由になる｡ 誰にも邪魔されず 気を遣わず ものを食べるという➡ 孤高の行為｡ この行為こそが➡ 現代人に平等に与えられた➡ 最高の癒やしと➡ いえるのである＞ 《床屋を越えて➡ 肉屋を越えて…》 《あった｡ 角屋》 《今日も蒸すなぁ｡ 角屋は閉まってるし》 (谷村)あぁ 井之頭さんですか？ あぁ はい｡ お待たせしてすみません 谷村です｡ あ～ 今来たところです｡ すみません…｡ あっ よろしくお願いします｡ 《ｲﾆｯﾂｨｵ｡ ｲﾀﾘｱ語で 始まり》 店は ここからすぐですので｡ あぁ はい｡ びっくりしたでしょ？ え？ いや なんにもなくて｡ ﾌﾌｯ あぁ いえいえ｡ ﾌﾌｯ じゃあ｡ 《ﾄﾞｷｯ… 顔に出ちゃってたか》 あそこです｡ 《ｱｷﾃｿﾎﾟとしか読めない…》 何か？ あぁ… 大通り沿いなんですね｡ はい｡ じゃあ｡ どうぞ｡ 失礼します｡ まだ 内装も何も できてなくて…｡ あ すみません｡ 今 電気つけます｡ 居抜きの店舗なんですね｡ そうです｡ ほんとは 一から自分の思うように やりたかったんですが➡ 現実は そうもいかなくて…｡ どうぞ｡ こんなもんで 申し訳ないんですが｡ いただきます｡ ｵｰﾌﾟﾝは 再来月を予定してまして｡ 時間がなくて 申し訳ないんですが➡ ﾒｰﾙでお送りしたものを 全部 揃えていただくことは➡ 可能でしょうか？ ええ 大丈夫です｡ で… 予算は あれが精いっぱいなんですが➡ 大丈夫ですかね？ ええ｡ あ～ よかった｡ いや 正直 ﾋﾞﾋﾞってたんですよ｡ え？ いや… 金額が ひと桁違うって言われたら➡ どうしようって…｡ そんなことは…｡ ここ 地元なんですか？ ええ｡ 高校出てからは ずっと➡ 麻布のｲﾀﾘｱﾝﾚｽﾄﾗﾝで 修業してたんですけど➡ やっと 独立のめどが立ちまして｡ で 始めるなら 地元がいいなぁって…｡ ここが はじまりということで➡ ｲﾆｯﾂｨｵなんですね｡ そうなんです｡ それに…｡ (今日子)あっ ご苦労さまです｡ あ… 妻の今日子です｡ こちら 井之頭さん｡ 井之頭です｡ お世話になります｡ この子の ｲﾆｯﾂｨｵでもあるんです｡ あ… ｺﾝｸﾞﾗﾁｨｵｰﾆ｡ あっ これ… 打ち合わせが終わったら食べて｡ あぁ どうぞ 食べてください｡ 私 あの…｡ 寸法とか 測りますんで｡ いえ そんな…｡ ほんと かまいませんから どうぞ｡ すみません｡ 朝から 何も食べてないもんで…｡ 失礼します｡ よし｡ お～ おかず かなり奮発したんじゃないの？ ｶﾙﾋﾞとﾛｰｽが安くなってたの｡ ほぉ｡ このｶｳﾝﾀｰは そのまま使いますか？ はい｡ にしてもさぁ 牛だよ｡ 豚肉でいいのに｡ はい どうぞ｡ ありがとう｡ でもさ ﾕｳちゃんには精つけて 頑張ってもらわないと｡ 大丈夫だよ｡ じゃあ いただきます｡ はい｡ おっ うまい｡ ほんと？ よかった｡ こっちも… うん｡ おいしい？ うん うまい｡ いっぱい食べてね｡ うん｡ ちょっと…｡ 付いてる もう｡ 《ｶﾙﾋﾞにﾛｰｽに白い飯｡ ﾒﾁｬｸﾁｬ腹が減ってきた》 《終わったら絶対 焼き肉｡ 決まり》 装飾品のほうは手元に入りしだい お届けにあがりますので｡ できるだけ安くお願いします｡ お金がないもので｡ 余計なこと言うなよ｡ だってほんとのことでしょ｡ できるかぎり 努力させていただきます｡ よろしくお願いします｡ お願いします｡ 失礼します｡ 《焼き肉 焼き肉｡ 全身焼き肉態勢なんだが｡ う～ん｡ この地で深追いせず 八王子に戻るのが得策か》 《もう少しで駅だ｡ いかん ﾄｲﾚにも行きたくなった｡ あれ？ こんなとこに 焼き肉屋があったっけ？ 全然 気づかなかった》 《お～ いい匂いしてる》 《畑の脇の焼き肉屋｡ いいかもしれん｡ 焼かせてもらおう｡ たのもう！》 (２人)いらっしゃいませ｡ そちらのﾃｰﾌﾞﾙどうぞ｡ 《さてさてさて》 何もやってないのに すっげえうまそうに飲みましたね｡ うるせえよ 仕事したよ ちゃんと｡ 豚足です｡ お待たせしました｡ 《ん？ 豚足があるのか｡ 牛の前に豚 新しい攻め手》 いらっしゃいませ｡ すみません｡ とりあえず 豚足ください｡ え？ あぁ はい｡ お飲み物は？ ｳｰﾛﾝ茶お願いします｡ はい｡ 豚足まだある？ あるよ｡ あの ﾄｲﾚどこですか？ そっちの奥になってます｡ 奥の左ね｡ はい｡ 《ほう 満席｡ この店 当たりなんじゃないか？》 《予約？ そんな人気店》 お待たせしました 豚足です｡ 《豚足… 久しぶり》 いただきます｡ 《酢味噌と塩｡ う～ん 塩からかな》 う～ん｡ 《うまい｡ 忘れてた この感じ｡ これは いい豚足だ》 《酢味噌もやっぱり うまい》 《おっと 豚足焼いてるよ｡ 何でもありだな》 ちょっとごめんなさいね｡ あれ 女将さん それ何？ これ？ 文鎮｡ (２人)文鎮？ すみません｡ はい｡ あの 豚足って 焼いてもいいんですか？ あっ お好みですね｡ やわらかいのがお好きな方は 焼いてもいいんじゃないですか？ 九州の福岡のほうじゃ 焼くみたいですしね｡ へえ｡ 火 つけましょうか｡ あ じゃあ お願いします｡ はい｡ はい 少々お待ちくださいね｡ 《もういいかな》 ありゃりゃ｡ 《おっ いい！ 焼き豚足 焼くと こんな感じになっちゃうんだ》 《いいぞ いいぞ 焼き豚足》 熱っ｡ 《名残惜しい｡ 俺は 今 犬だ｡ よし ｴﾝｼﾞﾝがあったまってきたぞ｡ 今日は 焼き肉の王道を いこうじゃないか｡ ﾛｰｽとｶﾙﾋﾞ ﾛｰｶﾙ攻撃だ｡ ん？ ﾋﾚ？ ﾋﾚとは》 はい ﾛｰｽにﾊﾗﾐね｡ すみません｡ はい｡ あの ﾋﾚっていうのは？ ﾋﾚっていうのは？ ﾋﾚっていうのは ｶﾙﾋﾞのなかでもﾋﾚに近くて➡ 最もやわらかい部位です｡ ｶﾙﾋﾞなんですね｡ そうです｡ うちでは いちばん よく出ますね｡ あ～ ありがとうございます｡ 《ん～ ｶﾙﾋﾞをこえたｶﾙﾋﾞが➡ こんなところで 俺を待っていたとは》 《あぶりﾚﾊﾞｰ ｺﾘｺﾘ｡ いやいや 今日は ﾎﾙﾓﾝ系にはいかない｡ ん？ 何？ そうくる？》 あっ すみません｡ はい｡ あの生たまごっていうのは お肉とのｾｯﾄなんですか？ そうです｡ ﾀﾚじゃなくて 生たまごにつけて 食べるんです｡ 上ﾛｰｽがお勧め｡ あ～ じゃあ その 上ﾛｰｽとのｾｯﾄと➡ え～ あと ﾋﾚと｡ ﾋﾚ｡ え～ ご飯｡ ﾗｲｽね｡ ﾗｲｽと えっと ﾅﾑﾙの三種盛り｡ ﾅﾑﾙ 三種盛り｡ それから 味ﾈｷﾞもください｡ 味ﾈｷﾞと｡ はい かしこまりました｡ 《ﾛｰｽ すき焼き風 この店 何者？》 お待たせしました あぶりﾚﾊﾞｰです｡ おっ！ にんにく醤油と ごま油で お召し上がりください｡ はい｡ 《お～ ﾋﾞﾝﾋﾞﾝにそそるな》 空いてるお皿 お下げしますね｡ うん｡ あっ あと こいつも下げちゃって｡ ﾌﾌ｡ ごゆっくりどうぞ｡ はい｡ 《ﾌｯ》 いらっしゃいませ｡ 生 豚足 あと ﾋﾚを塩で２ あと ﾛｰｽ ﾊﾗﾐも 両方塩で｡ はい かしこまりました｡ 《おおっ！ 流れるような注文 あやつ できる》 網 かえますね｡ あ すみません｡ 《豚足あぶっただけだから いいのに》 お待たせしました｡ 《ﾋﾚ でか厚！ 霜降りまくり｡ よ～し 焼くぞ 焼くぞ！》 《う～ん この香り ﾃﾞﾝｼﾞｬﾗｽ》 《うわぁ ﾋﾚ ﾊﾗﾎﾛﾋﾚ｡ 何これ ﾋﾚﾊﾚ》 ♬～ うん！ 《おぉ ほっほう…》 《これは たまらん｡ これは うますぎる》 《俺 今 どんな金持ちより 幸せだ》 どうも ごちそうさま｡ ありがとうございました｡ 《ちょいと ﾅﾑﾙで落ち着こう》 《うん…》 《えっ にんにく？ にんにく効かした ぜんまい 初めて｡ これ いいじゃない》 《うん うん！》 《で ﾋﾚに戻る》 《ここで 味ﾈｷﾞ》 《う～ん！ おっ おぉ こうなる｡ これもまた ありがたき幸せ｡ うまい焼き肉って 身も心も 前のめりになってしまう》 《このﾛｰｽもでかいよなぁ》 《まだかな？》 《こんなもんか…》 《お～ すき焼きだ！ 一気に口の中が 高級すき焼き店になった》 《ﾛｰｶﾙ攻撃を はるかにこえた➡ 焼き肉と すき焼きの 異次元合体殺法｡ こんな攻め方があったか｡ 俺は まだまだ甘ちゃんだ》 《しっかし うまい！ とろける～》 《よし 食おう｡ うまさの武者修行だ｡ とことん食いまくろう》 お待たせしました｡ ごゆっくり どうぞ｡ ♬～ すみません｡ はい｡ ｳｰﾛﾝ茶と ﾕｯｹｼﾞｬﾝｽｰﾌﾟ ください｡ はい かしこまりました｡ あいてる お皿 お下げしますね｡ 《上ﾛｰｽの肉汁が絡んだ これを➡ こうでしょう》 ♬～ 《大高級たまごかけご飯》 あ～｡ お待たせしました ﾕｯｹｼﾞｬﾝｽｰﾌﾟです｡ 《あ… うっかり飯食っちゃった》 すみません｡ はい｡ 半ﾗｲｽ おかわりください｡ はい かしこまりました｡ 《あ～ しみるな》 ♬～ いえいえ 私じゃないですけど…｡ なんすか…｡ ♬～ 《豚足に始まり 何もかもうまかった｡ まさか こんな店とは➡ 思いもよらんかっとってん ちんとんしゃん》 あ～ ごちそうさまでした｡ 《言われなくても ｸｯﾊﾟにしてｸｯﾊﾟよ》 《何もないと思った小宮に➡ その名のとおり 小さな宮殿があった｡ 畑の脇の肉の宮殿｡ あ～ 食った》 《あ 歩いたら 急にきた｡ 学生じゃないん だから➡ 食いすぎだ｡ あ～ 苦しい》 ＜CMのあとは ｢ふらっとQUSUMI｣｡ ﾛｰｽﾄﾋﾞｰﾌと上ﾋﾚと あの白い飲み物＞ ＜原作者 久住昌之が➡ 実際に お店訪問＞ ＜今回 訪れたのは もちろんここ 焼肉 大幸園＞ いい匂いが もうしてるんですけど｡ ＜ そして 飲み物は…＞ やっぱり 人気なのが➡ こちらには 書いてないんですけど…｡ 虎ﾏｯｺﾘ｡ え～！ え～！ 虎ﾏｯｺﾘっていうのは｡ あっ このｶﾙﾋﾟｽおいしい｡ ＜大幸園の人気ﾒﾆｭｰ…＞ まわりを炙ってあるだけ 中は中心まで焼かないで｡ え～！ ＜焼き肉屋のﾛｰｽﾄﾋﾞｰﾌ いいですね＞ お～｡ おいしいですね｡ ありがとうございます｡ ﾛｰｽﾄﾋﾞｰﾌ ほんと たたきみたいだね｡ ん～｡ (笑い声) いい｡ (笑い声) 失礼いたします｡ 火つけさせていただきます｡ 給料泥棒が２人もいるのか｡ 姉弟なんです｡ えっ 姉弟なんですか？ はい｡ へぇ｡ ＜五郎さんが頼んだﾋﾚｶﾙﾋﾞより 更にやわらかい上ﾋﾚ＞ この厚さ見てくださいよ｡ もう 座布団かと思ったよ｡ ＜ うらやましいかぎりの 厚みある上ﾋﾚ➡ お味は どうでしょう？＞ ん～ これは おいしい｡ 口の中で溶けていく感じですね｡ やっぱ ただﾚｱなだけじゃなくてね➡ ちょっと焦がしたところも ﾎﾟｲﾝﾄかもしれないね｡ すごいおいしい そこんとこが｡ ほんとに これはおいしい｡ 飲み込むまで 口の中 幸せって感じね｡

軍師官兵衛＃13

1 (松寿丸)私が 人質に参ります｡ 松寿丸は 織田への同盟の証しとして➡ 人質となり 姫路を旅立っていった｡ (職隆)松寿！ 羽柴様 ご到着！ (秀吉)官兵衛！ そして ついに 織田の中国攻め総大将として➡ 秀吉がやって来た｡ (善助)お道 お道 お道！ ほれ ほれ！ おなかの子に障るではないか！ (お道)なんの これしき！ やめろ やめろ！ ほれ！ 大丈夫でございます｡ (善助)何じゃ？ 何じゃ その顔は｡ 何じゃ 申してみぃ｡ (官兵衛)皆 控えよ！ 羽柴筑前守様である｡ (秀吉)官兵衛 構わん 構わん｡ さ 皆の衆 作業を続けよ｡ 善助｡ (善助)はっ｡ 皆 続けよ～！ (一同)はっ｡ (秀吉) しかし 官兵衛 何の騒ぎじゃ？ 引っ越しでございます｡ 引っ越し？ この姫路城は あなた様に献上致します｡ 今 何と申した？ 今より この城は➡ 羽柴様のものでございます｡ どうぞ お好きなように お使い下さい｡ この城を 丸ごと わしにという事か？ はい｡ 家臣の家屋敷も全て空けました｡ 手狭で恐れ入りますが ご家来衆で お使い下さい｡ 官兵衛よ そのような話は聞いた事がない｡ 戦に負けた訳でもないのに 城を 丸ごと明け渡すとは 前代未聞！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ さすが官兵衛！ あっぱれな覚悟じゃ！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ 恐れ入りまする｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬～ ♬～ 官兵衛にございます｡ お呼びでしょうか？ 官兵衛 入れ｡ はっ｡ 今日の贈り物 誠 うれしかったぞ｡ これは ささやかな返礼じゃ｡ この秀吉と官兵衛が➡ 兄 弟であるという誓いを したためた｡ 秀吉様…｡ 今日より 官兵衛と わしは➡ 義兄弟の契りを交わした｡ 官兵衛よ 異存あるまいな？ ある訳がございませぬ！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ よかった｡ 官兵衛！ 末永く頼むぞ！ はっ！ 粉骨砕身 必ずや 秀吉様のために➡ 播磨平定をしてみせまする！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ (お福)あ～ 嘆かわしい｡ このような狭い所に…｡ なにも ここまでしなくとも…｡ (光)播磨平定がなれば➡ 元どおりになりますよ｡ それまでの辛抱じゃ｡ お～ 狭いな！ 狭い！ 許せ 光｡ 城はないが 我らの前途には 天下が開けておるぞ！ これほど楽しそうな殿を見るのは 久しぶりでございます｡ 光 これを見よ｡ 秀吉様から頂いた｡ 義兄弟？ そうじゃ｡ 秀吉様は これほどまでに この官兵衛を思うて下さる｡ ありがたい事だ｡ これは 末代までの家宝だ｡ はい｡ ﾌﾌｯ ﾌﾌﾌﾌﾌ｡ (職隆)そつじながら 何をしておいでかな？ (半兵衛)この城を攻めるには➡ いかにすればよいかを 考えておりました｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ どう攻められます？ やはり やめました｡ 何故でござる？ このような小さな城➡ 落とすのは たやすかろうに｡ 城は小さくとも 黒田家の兵は強いと聞き及びます｡ 無駄な戦はせず 調略した方が得策かと｡ 調略も 難しいと存ずるが…｡ 確かに｡ 黒田家は 官兵衛殿を中心に➡ ご家来衆の結束が 固いようでござる｡ う～ん 一筋縄ではいきませぬな｡ よく分かっておいでだ｡ ところで 貴公➡ どなたでござる？ 父上！ 何か よい事がございましたか？ いや…｡ 面白い人物に会うた｡ (光と職隆の笑い声) しかし やはり狭いのう｡ 十分でございます｡ 官兵衛は出かけておるのか？ はい｡ 羽柴様に拝謁するよう➡ 播磨中を 説いて回るおつもりのようで➡ 本日は 三木城へ行っております｡ (職隆)相変わらず忙しいことじゃ｡ 羽柴様が播磨へ来られると 決まった時から➡ そわそわして 今か今かと➡ まるで 好いたおなごを待っている かのようでございました｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ 官兵衛らしい｡ 昨日は昨日で➡ 羽柴様と義兄弟の契りを 結ばれたようで➡ 有頂天でございました｡ 少々 やけまする｡ 義兄弟？ 誓紙を頂いたとか｡ あ～ そうか｡ 城を明け渡した事といい➡ 御着の連中が 何と思っておるかのう｡ (小河)官兵衛が 姫路城を丸ごと➡ 羽柴殿に 明け渡したそうでございます｡ (政職)うむ…｡ (江田)殿もご存じで？ うむ…｡ (左京進)さような大事な事を なぜ お聞かせ下さいませぬ!? あ～ 急いでおったのじゃ｡ 官兵衛が 是非 そうしたいと申しての｡ 官兵衛め 出過ぎたまねをしおって！ 戦に負けた訳でもないのに 城を明け渡すなど➡ 聞いた事がございませぬ｡ それにしても 織田の軍勢が入った事で➡ 毛利や宇喜多が出てくる｡ このままでは 播磨は➡ よそ者同士の 戦場になるだけではあるまいか｡ 我らは 官兵衛の口車に乗せられ➡ 危ない橋を 渡るはめになったのやもしれぬ｡ そう言うな｡ 官兵衛は 斎に代わって 松寿を差し出してくれたのじゃ｡ その官兵衛が わしを ないがしろにするはず あるまい｡ わしは官兵衛を信じておる｡ 羽柴秀吉様が姫路に入られました｡ つきましては 別所長治様には ご足労の上➡ 羽柴様にお会いして頂きとう 存じまする｡ (賀相)何故 姫路になど 行かねばならぬ｡ 姫路は 小寺の城ではないか｡ 我が別所家は 織田と手を組んだが 小寺の軍門に下った訳ではない｡ 武士の面目に懸けて 姫路になど行く訳にはまいらぬ｡ 恐れながら申し上げます｡ 我が殿は➡ 姫路城を羽柴様に献上致しました｡ なんと…｡ 織田信長公ご名代 羽柴秀吉様に➡ ご挨拶をお願い致しまする｡ (重棟)小寺と別所は もはや 敵ではない！ 我らは 共に織田方に ついたのだ｡ 目通り致すは 当たり前であろう｡ (長治)官兵衛殿 必ずや 姫路に参ります｡ お待ちしております｡ 姫路城には 秀吉に拝謁するため➡ 播磨のおもだった地侍たちが 続々と訪れていた｡ 神吉城主 神吉頼定殿｡ (神吉頼定)初めて御意を得ます｡➡ この神吉頼定 羽柴様のため 一心に働く所存でござる｡ 神吉頼定 頼んだぞ｡ ははっ｡ (蜂須賀)播磨のおもだった者で まだ来ておらぬは どこじゃ？ (三成)別所 小寺 上月 福原の ４家でございます｡ 上月 福原は 宇喜多に属しており➡ その宇喜多は 毛利に くみしておりますゆえ➡ 来る事はありませぬ｡ (小一郎)残すは 別所と小寺か｡ 戦わずして 播磨の大半が 手に入れられそうじゃな｡ 官兵衛 お主の働きのおかげじゃ｡ ありがとうございます｡ (近習)三木の別所殿が お越しでございます｡ (秀吉)分かった｡ 三木城主 別所長治殿｡ それがし 三木城主 別所長治が叔父➡ 重棟にございます｡➡ 長治 はやり病に 伏せっておりますゆえ➡ 名代として参上つかまつりました｡ そうか… 病ならば しかたがあるまい｡ 我ら別所は 織田様と共に戦う決意に➡ 変わりございませぬ｡ 何なりと お申しつけ下さい｡ 必ずや 羽柴様のお役に立ちまする｡ 兄の賀相が ごねておるのでござる｡ 行くなら 自分を斬ってから行けと 長治をとどめだてして…｡ それで しかたなく それがしが…｡ 賀相殿は➡ 織田に味方すると決めた事 悔いておるのではあるまいか？ めっそうもない｡ 少し 迷っておるようで…｡ いや 心配は無用でござる｡ それがしが なんとか致す｡ (近習)御着城より ご挨拶でございます｡ 御着城主 小寺政職が名代 小河良利でござる｡➡ あいにく 主 政職は はやり病にて 伏せっておりますゆえ➡ 本日は 参上できませぬ｡ そうか…｡ 播磨風邪が はやっておるようじゃな｡ 皆の者も気を付けよ｡ ♬～ 病と聞き及びましたが…｡ 秀吉様は 度量の広い方でいらっしゃいます｡ されど こたびの事では さすがに 気を悪くされておられます｡ (政職) 姫路城を明け渡したであろう？ その事で 家中で とやかく言う者がおるのじゃ｡ 織田に賭ける我らの覚悟を 示すためでございます｡ 殿も ご承知のはず｡ わしは おことを信じておる｡ されど 皆が言うのじゃよ｡ 秀吉は足軽上がり｡ 小寺家とは格が違う｡ 秀吉が会いに来るのが筋じゃとな｡ わしから会いに行ったのでは 面目が立たんのじゃ｡ それでは 秀吉様から 義兄弟と見込んで頂いた➡ それがしの面目も立ちませぬ｡ 義兄弟？ はい｡ 誓紙を頂きました｡ それがしが織田家の重臣である 秀吉様と よしみを通じるのは➡ 当家のためにもなりまする｡ 殿｡ 何とぞ 姫路まで足をお運び下さい｡ お願い申し上げます｡ 義兄弟なら わしが行くまでもなかろう！➡ 秀吉の相手は おことに任せる！ わしなどに気兼ねせず 好きにするがよい！ 殿… 殿！ 播磨の地侍どもめ｡ 一筋縄では いかんやつらばかりだ！ 小寺には官兵衛殿➡ 別所では重棟殿が抑えになります｡ 両名をつなぎとめておく事が 肝要でございます｡ そうか…｡ 重棟には娘がおったな｡ 官兵衛殿には ご子息がおります｡ ちと若いが よい組み合わせかもしれぬ｡➡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ ん～！ あっ！ (虎之助)立て！ ほら！ (松寿丸)まだまだ！ えい えい！ えい！ 立て！ や～！ (虎之助)えい！ すぐ拾え！ や～！ えいっ！ (市松) さあ 立て｡ 次は わしが相手だ｡ えい えい えい！ えい！ (おね)市松！ 虎之助｡ 松寿は まだ10歳なのじゃ｡ 少しは手加減しなさい｡ (２人)はい｡ 手加減は無用です｡ 無理するな｡ けがするぞ｡ 平気です｡ 姫路で いつも稽古していた又兵衛は➡ もっと強うございました｡ (虎之助)何！ 母は 手加減して稽古しては 戦で役に立たぬと➡ いつも申しておりました｡ 本気でやらねば 身につかぬと｡ そうか…｡ 私が間違っていた｡ お前を育てた母御に 是非 会いたいものじゃ｡ 分かった｡ 存分にやりなさい｡ はっ｡ (虎之助) よし 次は わしが相手じゃ｡ えい えい！ (虎之助)や～ や～！ (又兵衛)えい えい！ えい えい！ えい え～い！ (おゆう)又兵衛も 相手がいないと 張り合いがないでしょうね｡ 信長による 石山本願寺攻めは➡ 既に７年に及んでいた｡ 戦いは泥沼の様相を呈し➡ 死者の数だけが いたずらに増えていった｡ 我が陣中に 門徒と通じている者が おるようでございます｡ (荒木)何？ 本気で戦おうとしない者や➡ 戦になると 逃げ出す者などもおり➡ 士気は下がる一方でございます｡ 噂では 月の出ぬ夜には 本願寺と行き来する船があるとか｡ 何だ それは？ 門徒にくみする我が方の者が➡ ひそかに 兵糧を運び入れているとか｡ 清秀！ それが誠の話か すぐ確かめろ！ 誠なら 厳しく取り締まるのだ｡ そんな事が上様のお耳にでも 入ったら ただでは済まぬぞ｡ (清秀)はっ｡ この不毛な戦は いつまで続くのでしょうか？ それがしにとって 一向宗門徒は ﾃﾞｳｽの憎き敵ながら➡ おのが信心を守って 死んでいく姿は➡ 見ていて なんとも やりきれませぬ｡ 南無阿弥陀仏… 南無阿弥…｡ (右近)この長戦の果てには➡ 何か 恐ろしき事が待っていると 思えて しかたがありませぬ｡ 天正5年11月20日｡ 信長は 時の正親町天皇より➡ 従二位右大臣に任命された｡ 源実朝以来 およそ360年ぶりの事であった｡ (光秀)右大臣就任 祝着至極に存じ奉ります｡ おめでとうございます｡ (信長)官位など どうでもよい｡ それより➡ 本願寺が一向に片づかぬが どうなっておる？ (信長)村重｡ はっ｡ 木津川の敗戦以来 本願寺の士気が上がり➡ いささか攻めあぐねておりまする｡ 恐れながら 上様 ここは ひとまず➡ 本願寺と和睦されては いかがでございましょう｡ 何だと？ 戦が長引き 兵も疲れております｡ ここは 一旦 兵を退き 構えを立て直した上で…｡ 臆病風に吹かれたか 村重！ いえ 決して そのような事は…｡ 兵糧だ｡ 毛利が運び込む兵糧を断つのだ｡ …はい｡ されど 木津川の戦で 我が方の船は➡ ことごとく焼き沈められ 完膚なきまでに たたかれまして｡ (信長)策がある｡ (光秀)と申されますと？ (光秀)何やら 一風変わった船でございますな｡ この周りを覆っているものは？ 鉄だ｡ 鉄にございますか！ (信長)鉄の板で船を覆い尽くす｡ 既に九鬼嘉隆に造らせておる｡➡ もはや 敵の火を恐れる事はない｡ 更に この船には 南蛮渡来の大砲を積み込む｡➡ 毛利の水軍など 吹き飛ばしてくれる｡ (光秀)鉄の船に大砲とは 上様だけにしか➡ 思いつかぬ事でございます｡ 恐れ入りました｡ 毛利の後ろ盾がなければ 本願寺など袋の鼠｡ 門徒どもを 根絶やしにしてくれるわ｡ これはこれは 半兵衛殿｡ 先日は失礼致しました｡ よくぞ… よくぞ おいでになられた｡ 突然 お邪魔して 申し訳ありませぬ｡ 播磨の形勢など ご意見を伺おうと思いまして｡ ｱﾊﾊ いや それがし 隠居の身の上➡ 大して お役に立つ話は…｡ 一歩引いた所からでしか 見えない景色というのもあります｡ ｱﾊﾊ なるほど｡ では いかがでござろう｡ 一杯やりながらというのは？ 異存ございませぬ｡ やはり 御着の殿は 腰を上げませぬか｡ 案じてはおったのだが…｡ 案じておられたとは？ 官兵衛が 秀吉様と➡ 義兄弟の契りを交わした事が 殿のお耳に入り➡ へそを曲げられたのではないかと｡ 子どものようなお方で ございますな｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ さよう｡ 我が主君ながら そういうところが おありになる｡ う～ん こうなると なかなか手ごわいですぞ｡ 少し 時を置いた方が いいかもしれませんな｡ 分かりました｡ 手だてを考えましょう｡ 時に… せがれは お役に立っておりますか？ はい｡ 我らが播磨に入れましたのも➡ 官兵衛殿のお働きあればこそ｡ 秀吉様も喜んでおられます｡ あ～｡ ならば よいのですが…｡ 何か心配事でも？ あれは 幼い頃から 思い込んだら いちずなところがありまして➡ 物事に夢中になるあまり➡ 厠へ行くのを 忘れるほどでござった｡ 今 夢中になっておるのは 秀吉様のようでござる｡ まるで 子どもの頃のように…｡ それが 拙者には➡ 危うく見えてしまいます｡ いくつになっても 子は子｡ いらぬ心配とは思いますが…｡ 松寿丸に縁組みの話が出た｡ 松寿に？ 秀吉様が お仲立ち下さる｡ 相手は 別所重棟殿の娘だ｡ もちろん まだ ２人とも子どもゆえ➡ 先の話だが…｡ 人質に出て この先どうなるかも 分からぬのに➡ 先の事など考えられませぬ｡ そう言うな｡ 黒田 別所 両家にとって よい話だ｡ 秀吉様の播磨平定のためにも➡ わしは お受けしようと思っておる｡ ≪(秀吉)官兵衛 おるか？ 秀吉様！ こちらでございます｡ お～ もうやっておったか｡ はい｡ わしも一緒に構わんか？ もちろんでございます！ お～！ 光殿 相変わらず美しいのう｡ 松寿は 息災じゃ｡ 心配するな｡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ 光 支度を頼む｡ あまり お過ごしに なりませぬよう…｡ 官兵衛｡ あ～ ありがとうございまする｡ 秀吉様も｡ (秀吉)お～ すまん｡➡ 官兵衛 これで 播磨のほとんどが我らについた｡ 上様も 大層喜んでおられる｡ しかし 御着の殿が いまだに…｡ 気にするな｡ ここまで来られたのも➡ 官兵衛 お主のおかげじゃ｡ もったいないお言葉｡ 必ずや 御着の殿を説き伏せ➡ 秀吉様の前に 連れてきてみせまする｡ そうでなくては 義兄弟の契りを 交わして頂いた事に➡ 申し訳が立ちませぬ｡ 官兵衛よ そう せくな｡ さ 飲め！ ほれ｡ 頂きまする｡ うまいじゃろう｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ (九郎右衛門) 御着の殿は いかがでした？ 竹中様が お待ちでございます｡ 半兵衛殿が？ 面目ありませぬ｡ どうしても嫌だと｡ このままでは 秀吉様に合わす顔がございませぬ｡ 秀吉様と義兄弟の契りを 結ばれたと聞きました｡ …はい｡ その誓紙を見せては頂けまいか？ はい｡ お待ちを｡ 何を！ あっ…｡ そのような くだらぬものがあるから➡ 周りが見えてこぬのでござる｡ くだらぬもの？ 秀吉様から頂いた誓紙を➡ くだらぬものと申されるか！ 官兵衛殿は 何か大きな考え違いを しておられるようでござるな｡ 何を言っておられる！ 誓紙など ただの紙切れ｡ そのようなものに こだわって 何になる｡ お主は 今 秀吉様のためにと 焦ってばかり｡ 秀吉様のために手柄を立てて➡ 喜んで頂こうとしているだけでは ござらぬか｡➡ それでよいのか？ もともと目指していたものは 何でござる？ お主は 何のために 播磨中を 駆けずり回っているのか!? 紙切れよりも 大事な事があるはず｡ 大義の前に つまらぬ面目など無用｡ ♬～ (せきこみ) (せきこみ) (誓紙が燃える音) 何！ 半兵衛に誓紙を燃やされたと？ 申し訳ございませぬ｡ 時々➡ 人の思いも寄らぬ挙に出るんじゃ あの半兵衛というやつは｡ おかげで 目の前の霧が 晴れたようでございます｡ どういう意味じゃ？ 肝心な事は 秀吉様と 我が主 小寺政職様が➡ お顔を合わせ お味方である事を 確かめ合う事でございます｡ 小寺殿を 説き伏せる事ができたのか？ できませぬ｡ それゆえ➡ 秀吉様に会いに行って頂きとう 存じまする｡ わしがか？ どちらが会いに来るなどと➡ つまらぬ面目にこだわっていては 前に進みませぬ｡ 官兵衛よ 口が過ぎるぞ｡ わしは 上様の名代じゃ｡ 御着に のこのこ 出かけていく訳にはまいらぬ｡ そのような事をしたら ほかの者たちに示しがつかぬ｡ それがしに考えがございます｡ ♬～ (門番)荷を改めさせて頂きます｡➡ これは何でございましょう？ (善助)殿への献上品じゃ｡ よいか？ (門番)はっ｡ 通るぞ｡ 官兵衛 おことも しつこいのう｡ わしは 行かぬと言ったら 断じて行かぬ！ (政職)何じゃ？ この汚らしい男は｡ (秀吉)それがし 羽柴筑前守秀吉と申します｡ ふざけるな！ どういうつもりじゃ 官兵衛！ 本物でございます｡ 本物？ わしをからかっておるのか！ まさか…｡ 本物が あんな汚い身なりを…｡ ん？ こうでもせんと 小寺殿に お会いできぬのでな｡ こんな格好で 失礼致す｡ それがしも 小寺殿と同じ はやり病に かかっておった｡ それが治ったゆえ こうして はせ参じたのでござる｡ あ いや… それは… 病が癒えて よかったでござる｡ いや… あ… 挨拶が後れ申した｡ それがし 御着城主 小寺政職でござる｡ 官兵衛｡➡ お主の言うとおりにしておいて よかった｡ 小寺殿のお顔を拝して 得心がいった｡ 織田に 二心を持つお顔ではござらん｡ はい｡ 小寺殿 これより 播磨の西へ兵を進める｡ ここは ひとつ お力をお貸し願いたい｡ はい 喜んで｡ かたじけない｡ それと もう一つ お願いがござる｡ この官兵衛を この秀吉に しばらくの間 お貸し願いたい｡➡ 播磨平定のために➡ 大いに 働いてもらわねばならんのでな｡ よろしいかな？ 異存など あるはずもござらぬ｡ 官兵衛｡➡ 羽柴様の手足となって働くのだぞ｡ よいの 官兵衛！ はっ｡ かたじけない！ ♬～ 秀吉率いる8,000の軍勢は 西播磨へ兵を進めた｡ そして 毛利にくみする福原助就の居城➡ 福原城の攻略に取りかかった｡ さて どう攻める？ 官兵衛殿の考えを伺いたい｡ はっ｡ この戦 秀吉様の播磨における➡ 初めての戦いとなります｡ うむ｡ それゆえ 大勝利を収め 播磨中に あなた様の強さを➡ 知らしめる事が肝要かと存じます｡ 地形を見るに 城の南は深い森に覆われ➡ 逃げるには うってつけ｡ どういう事じゃ？ 四方全て 取り囲んでしまうと➡ 逃げ場を失った敵は 死に物狂いで逆襲し➡ それだけ こちらにも多くの損害が出ます｡ それゆえ 三方を取り囲み➡ あえて 逃げ道を 一つだけ 残しておくのでございます｡ なるほど｡ さすれば 敵は城を捨て➡ そこに逃げ込むという訳か｡ 囲師必闕でござるな｡ はい｡ 囲師必闕と申したか？ どういう意味じゃ？ 孫子の兵法にございます｡ 兵を失わずに勝つには➡ よき戦法かと存じます｡ (秀吉)半兵衛！ 官兵衛！ この戦 全て お主たちに任せる｡ 必ずや 敵を討ち破ってまいれ｡ (半兵衛 官兵衛)はっ｡ 半兵衛殿が おっしゃった➡ 紙切れよりも大事な事が 分かりました｡ 天下統一｡ 天下統一がなれば 戦は なくなります｡ さよう｡ この乱世を終わらせるのです｡ 乱世を終わらせる…｡ それこそが拙者の大義｡ 一度は世を捨てた身ながら➡ 秀吉様のもとへ はせ参じたのも その大義のため｡ この乱世を➡ 天下太平の世へと 作り替えるのです｡ これほど面白い仕事はござらぬ｡ そのために 我々軍師は働くのです｡ 我々？ それがしもですか？ そう あなたも｡ 軍師 官兵衛殿｡ それがしに先鋒を！ 上月城の家臣を皆殺しにせよ｡ (宇喜多)景貞の首を取れ｡ (力)この世の地獄を見ました｡ 身内で命を奪い合うような むごい事もなくなります｡ (鹿介)我に七難八苦を与えたまえ｡ 上様のお力でございますね｡ お許しを！ ははっ！ 生きるのです｡ 生きよ！ <中山道の宿場町として栄えた…> <町の西にある菩提山には➡ 竹中半兵衛の居城がありました> <若くして 菩提山城の ２代目城主となった➡ 半兵衛｡ 以降 幕末まで➡ 竹中家が この地を治めました> <半兵衛は 私利私欲がなく 信義にあつい人物として➡ 今も地元の人々に慕われています> <天才軍師として 名を知られた半兵衛｡➡ 合戦の陣形などを伝える 兵法書は➡ 代々 大事に伝えられてきました> <半兵衛は 官兵衛とともに 両兵衛と呼ばれ➡ ２人で秀吉を支えていくのです> 日本のよきものが そこかしこに息づく町 京都｡ この町に 世界のＶＩＰを迎える 究極の宿があります｡

あまちゃん＃017

1 ≪(春子 夏の笑い声) (アキ)ただいま｡ (春子)ああ お帰り アキ｡ 誰か来てるの？ 来てないよ｡ 何で？ 笑い声が聞こえたから｡ (夏)どれ そろそろ寝るべ｡ えっ？ お風呂入ります｡ えっ？ もう いい加減 仲直りしてくんないかな｡ 面倒くさい｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) (美寿々)今日も夏ばっぱ休みか｡ (かつ枝) うん｡ 体も しんどいだろうし➡ アキが いねえんじゃ 浜さ出でも 面白くねえもんなあ｡ はあ～ だったら いい加減 許してやりゃあいいのに｡ [ 回想 ] 海をなめてかかる奴➡ 目上の人間の言う事 聞けねえ奴は 潜る資格ねえ！ 海女失格だ！ (ユイ)そっか｡ 一度 言ったら 聞かない感じするもんね➡ ﾘｱｽのおばちゃん｡ うん…｡ どんなに仲良くても ｷﾞｽｷﾞｽするんだね｡ うちも 昔は仲良かったもんな…｡ いつも ああなの？ お兄さん｡ 顔合わせると 大体 言い合いが 始まって ああなる｡ そうなんだ｡ ２か月で帰ってくるからだよ｡ 何で そんなに 東京に こだわるの？ うん？ あっ ごめん｡ 私も お兄さんと一緒で➡ 東京から逃げてきた 負け犬だから｡ でもね わざわざ東京行かなくても➡ ﾈｯﾄ使えば 欲しいもの 大抵 買えるし…｡ もう 東京も田舎も 変わんないって感じするけど｡ むしろ 自然とか 海とか おいしい食べ物とか｡ 都会には ないもの いっぱいあるし｡ 今日 なまってないね｡ あっ そうだね｡ 最近 浜に出てないから 戻っちゃったのかも｡ そっちの方がいいよ｡ アキちゃんが なまってるのなんて 嘘だし 不自然だし…｡ 何か バカにされてるような気がする｡ そんな… そんなつもりじゃ｡ ごめん 怒った？ 今のは言い過ぎ｡ だけど 半分は本心｡ ﾈｯﾄ使えば 欲しいもの買えるとか 田舎も東京も変わんないとか➡ 私は言えない｡ そんなの 田舎者の負け惜しみだもん｡ 自然がいいとか 海がきれいとか 東京から来た人が言うのは分かる｡ でも 私は言えない｡ だったら 都会が好き｡ 私は ビルが好き｡ 地下鉄が好き｡ ﾈｯﾄｶﾌｪが好き｡ ｱﾊﾊｯ 行った事ないけど…｡ だから 行きたい｡ この目で見たい｡ 地方出身者でも同い年の子とか 年下の子とか 全然頑張ってるし➡ ﾁｬﾝｽがあれば 明日にでも出ていきたい｡ 私は お兄ちゃんとは違うの｡ 行ったら 絶対 帰ってこないんだ｡ 夢があるから｡ (ため息) 言っちゃおうかな…｡ え？ 誰にも言わないでね｡ うん｡ 私… ｱｲﾄﾞﾙになるの｡ 東京行って ｱｲﾄﾞﾙになるの｡ <｢何 言ってんだ この子は｣｡➡ 開いた口が塞がらないとは この事です｡➡ ｢バカなのか？➡ 毎日 あんな 分厚いｽﾃｰｷばっか 食べてるから➡ どうかしちゃったのかしら｣｡➡ とりあえず アキは 聞こえてないふりを装いました> (ユイ)ｱｲﾄﾞﾙになりた～い！ はあ～ ﾊﾊﾊｯ｡ <聞こえない作戦 失敗です> ｱｲﾄﾞﾙ？ 来ちゃった｡ じゃあ また明日ね｡ ♬～ <ユイは かわいい｡ そして 自分が かわいい事を知っている｡➡ その事に 何の迷いも 戸惑いもないんだ> …かっけえ｡ (栗原)ほら 私だけ年食ってるし 顔むくんでるし…｡ (菅原)いんや かわいいって｡ かわいく むくんでらって｡ (栗原)ﾎﾝﾄに？ うん｡ (大吉)え～ 言うまでもなく➡ この｢ミス北鉄ｺﾝﾃｽﾄ｣の目的は 町おこしです｡ え～ 赤字続きの 北三陸鉄道ﾘｱｽ線の再興と➡ 地域活性化のｼﾝﾎﾞﾙとして➡ １年間 北鉄および 市の各種ｲﾍﾞﾝﾄに参加して➡ Ｐ.Ｒ.活動に励んで頂きます｡ (弥生)賞金は？ えっ？ なんぼ もらえるの？ んだ｡ お金は 特に考えてないね｡ バカか おめえ！ 今どきの娘が タダで 水着になる訳ねえ！ 水着!? ちょ… ちょっと待った｡ 水着審査があるの？ (吉田)ええ｡ まあ ﾐｽｺﾝですから｡ それは聞いてなかったね 栗原ちゃん｡ 本当は辞退するつもりだったの｡ 何で？ ﾃﾞﾋﾞｭｰしたあとに そういうの発掘されたら嫌じゃん｡ ミス北鉄とか 正直 ダサいし…｡ 下積み時代に 鉄道ｵﾀｸのｱｲﾄﾞﾙだったとか➡ 私的には消したい過去だからね｡ そんな先の事 考えてんだ｡ 田舎で 運 使い果たしたくないしね｡ だけど お兄ちゃんの事もあって 断れなくなっちゃった｡ お兄ちゃん？ 聞いてない？ お兄ちゃん 大吉さんの紹介で 仕事決まったみたい｡ さあさあ…｡ (ﾋﾛｼ)あ… 足立です｡ よろしくお願いします｡ はいはい 足立先生の息子さんね｡ あの このとおり 暗えし 顔色悪いけど➡ 頭いいし 真面目だし 何しろ ﾊﾟｿｺﾝ得意みてえだから｡ なっ？ はい｡ よし｡ じゃあ まず ｼﾞｵﾗﾏを｡ まず ｼﾞｵﾗﾏじゃねえべ バカこの！ ﾊﾟｿｺﾝ得意だっつってんだから➡ まずは ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞだべ！ バカこの！ 観光協会で？ そっ ｳｪﾌﾞ担当だって｡ 出来ました｡ 速っ！ うん｡ そうそう こういうのをね ｲﾒｰｼﾞしてたの｡ 偉そうに 半年も待たせやがって｡ ﾏｯﾌﾟ上を ｸﾘｯｸすると➡ それぞれ 観光ｽﾎﾟｯﾄの案内が 表示されます｡ うわっ ｼﾞｵﾗﾏいらなくなっちゃう｡ ﾄｯﾌﾟ画面に ｢ミス北鉄ｺﾝﾃｽﾄ｣の 告知を貼りました｡➡ 写真を ｸﾘｯｸすると 投票できるんです｡ …で 足立君は 誰さ投票したの？ アキちゃんっす…｡ (２人)じぇじぇ｡ だって か… かわいいじゃないですか｡ じぇじぇ｡ それは あれだべ？ あの～ おたまじゃくしが かわいいとか➡ ﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰが かわいいとかって そういう類いの かわいいだべ｡ 普通に かわいくないですか｡ (２人)じぇじぇじぇじぇ｡ (ﾏｳｽを連打する音) あっ １人１回です｡ 組織票が入っちゃうんで｡ あっ ごめんなさい｡ だから とりあえず 参加する事にした｡ そっか｡ お兄ちゃんのためか｡ ためっていうか せっかく決まった 再就職だし➡ お兄ちゃんが しっかりしてくれないと➡ ユイも 家 出れないからさ｡ まあ やるからには ｸﾞﾗﾝﾌﾟﾘ狙うけど｡ <本気なんだ｡➡ ユイは ﾎﾝﾄに卒業したら 東京に行くんだ｡➡ 夢をつかむために 着々と その準備をしているんだ> かっけえ…｡ うん｡ かっこいいね｡ <それに引き換え 私は➡ 華もないし 存在感もない｡ かわいいなんて➡ 最後に言われたのは いつだろう？➡ 海女になったのは いいけど➡ ウニ一つ 満足に取れない｡➡ しかも 今は謹慎中で 海に潜る事さえ許されない｡➡ ただ 時間だけが過ぎていく> 何だよ｡ …ううん｡ <浜へ出なくなってから 眠れない夜が増えました> <家の中を 探検する事はありましたが➡ ２階へ上がるのは この時が初めてでした> <天野家に限らず 古い漁師の家は➡ 独特な造りになっています｡➡ 金庫を隠すための 屋根裏部屋があったり➡ 廊下が複雑に入り組んでいたり➡ 隠し部屋があったり> <そこは 1984年の夏で 時間が止まっていました｡➡ ﾁｪｯｸ柄の変な髪形の若者たち➡ 肩ﾊﾟｯﾄﾞの男➡ 猫の免許証➡ 1984年といえば こんな出来事がありました> ♬～ ♬｢咲きほこる花は｣ ♬｢散るからこそに美しい｣ ♬～ <そこは 春子が 18歳まで使っていた部屋でした｡➡ アキは 躊躇しました｡➡ 同じ年頃の少女として➡ 軽い気持ちで立ち入っては いけない領域のような気がして…> (引き戸を開ける音) ≪ただいま～｡ やだ… こんなとこで寝てんの｡ お帰り｡ あら まだ起きてたの？ うん 眠れなくて｡ 早く寝ないと 明日お祭りだよ｡ おやすみ｡ おやすみ｡ <そうです｡➡ 明日は待ちに待った 北三陸秋祭りなのです> 春の陽気に包まれる ここは➡ 東京から ちょっと離れた里山｡ 実は 宝の山！ (滝沢)あ～！ いっぱい｡ すっげ～ 生えてる｡ (滝沢)すっごい量！ 本当だ じゅうたんみたい｡ 土手いっぱいの つくし｡ 水辺には せり｡

ベター・コール・ソウル.S01E06.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 “お手洗い” マイク 久しぶり やあ 迎えをどうも いいのよ 車は道に止めてある その前に ちょっとトイレに… じゃあ 外で待ってる ああ すみません 誰かいるか？ ベター･コール･ソウル 高く もっとか？ 任せとけ よし　おしまいにしよう おじいちゃんは疲れたよ たくさん遊んだろ　休もう 休憩だ ほら いい子だな ええ とても それで どう？ 西部は 広々としてて 気に入ったよ そうね 全然 違う どうしてた？ 何とかやってるわ 慣れてきた ケイリーは？ 徐々にね “パパはどこ？”って 今でも聞かれるわ 寂しがってる そうか いつまで ここに？ この町に— ずっといるつもりだ 時間がかかったが 立ち直った あの頃とは違う 信用してくれ 君やケイリーの そばにいたい 立ち直ってよかったわ 何だ？ どうした？ 聞きたいことが 前に進むべきなのは 分かってる でも気になるのよ 何が？ 亡くなる数週間前から マティの様子が— 変だった 変とは？ 何ていうか ふさぎ込んでたわ 食欲もなく ろくに寝てなかった ささいなことで 怒ったりも 仕事で何かあったのかと 思ったけど— 私には 話してくれなかった 警官は秘密主義だ 違うわ あれは— “男は弱音を吐かない” なんてレベルでなく もっと深刻だった 何か悩みを抱えてると 感じなかった？ いや　俺の目には いたって普通だった そうは思えなくて— 私は途方に暮れてる でも… 亡くなる３〜４日前に 彼が電話をしてたの 夜中の２時半に 目を覚ましたら— １階から彼の話し声がした 階段の所で聞き耳を立てたの 彼 興奮してたわ 今にも 叫び出しそうな感じだった マティは 感情的なタイプじゃなかった でも あの時は ひどく怒ってたわ 何て言ってた？ よく聞き取れなかった 内容は分からない 何の電話だったか 朝 聞いてみたけど— 答えなかったわ でも— 相手は あなただと思った 俺？ 他に誰が？ 浮気かとも思ったけど あり得ない 分かってる でも 仲のいい あなたになら— 何でも相談したはず それに あの時の 彼の声や話し方から— 相手は あなただと ステイシー　勘違いだ あの頃 マティと 深夜に電話した記憶はない 情報提供者かもな いいか 繰り返し考えるんだろ？ “気づいていれば 何とかできたかも”と 俺だって同じだ 毎日 考える もう自分を責めるな マティは死んだ それだけだ そうね それだけよね そろそろ ケイリーに夕食を食べさせ— 寝かせないと そうか 分かった 子守が必要な時は言ってくれ 助けになりたい またね どこへ？ “タクシー 運転者登録証” “タクシー 運転者登録証” フランシスコか 町のことは？ 詳しい どのくらい？ 自分で縫ったのか？ 悪くはない 訳アリか 皆 そうだろ 少しチクっとするぞ これで大丈夫だろう いいか　無理はしないように 清潔にして 濡らさず 治癒するのを待て この先にある薬局で つり包帯を買うといい ここにないのか？ 動物用の エリザベスカラーならある 使ってみる？ 500ドルだな？ 500ドルだ 痛み止めを 出すこともできる バイコディンと同じ成分で １錠25ドルだ だが動物用だから 15ドルにまけよう 俺はアスピリン派だ 少し持っていけ タダでいい 気に入るかも 最近 この町に？ ああ 住む予定？ なぜ？ 特に理由はないが— ニューメキシコに移住するなら ツテがあるぞ 仕事を紹介する その手の仕事は探してない だが… どうも こんな所ではなく 家で話すこともできた 本当にこれが望み？ 弁護士を マイク いくつか質問を したいだけなんだ 弁護士を 別に逮捕したわけじゃない 帰っても構わないが 協力してくれると助かる 警官同士 弁護士を いいだろう 誰を呼ぶ？ “遺言書なら マッギルに電話を” エルマントラウトは？ あちらです こんにちは マッギルだが依頼人は？ 何だ？ “マトロック”か マトロック風の ポール･ニューマンだ 依頼人は？ “バーニー･ファイフ”だぞ 残念　違う番組だ 市長の駐車シールが 不足してた？ なぜ ここにいる？ 頼まれたコーヒーだ 楽しめよ これで１時間分 請求する あんたのだ 気が利くね なんで持ってこさせた？ こういうことだ あの２人は フィラデルフィアから— 俺に会いに来た これから ここで話している間— 若い警官がメモを取る 話が終わり メモ帳を 上着にしまったら— コーヒーを 上着にかけてくれ ちょっとした事故だ なぜ そんなことを？ そのために あんたを呼んだ 警官に暴行させる気か？ ぬるいコーヒーを 少しこぼせと頼んでるだけだ それが“暴行”だとは 思わんがな あんた 弁護士だろ そうか　俺もバカだな メモ帳を盗むために 俺に協力しろと言うんだろ どうかしてるよ 冗談じゃない あんたは俺に借りがある あの失踪事件の時 助言してやったろ 借りなら きちんと返す 俺は正々堂々と 法を守る弁護士として助ける それが今 あんたには必要だ あの２人の警官が— 慎重を期し 公明正大に進めるようにする あんたも俺に きっと感謝するだろう だが コーヒーの事故は 起こらない 断る 君たち　準備が整った アルバカーキ警察の刑事も 同席するが問題ないか？ どうぞ では 弁護士を呼んだぞ 話してくれ よし ホフマンとフェンスキーの件だ 何でも話してくれ 待ってくれ ホフマンとフェンスキーとは？ 依頼人のことは何も知らない 最初から教えて ウソだろ？ 彼のキラキラした瞳と グルメなところに— だまされないで 彼は実に無口な男なんだ 話してくれる気に なったかな？ まずは創世記から始めよう いいだろう サンダーズと私は フィラデルフィア市警の刑事で マイクも約30年 勤めた イーグルスの本拠地か 彼の息子のマティも警官で— まだ２年目の新人だった 優秀だったよ ああ ９か月前 発砲の通報を受け 彼は現場に向かった 相棒のホフマンと フェンスキー巡査部長もいた だが思わぬ事態に 待ち伏せに遭い マティが殉職した 応戦したが 犯人は逃亡した 手がかりを追ったが 結果は芳しくない それは気の毒に 捜査に進展が見られないまま ３か月前— ホフマンとフェンスキーが 殺された 今度も待ち伏せのようだ そこで こう考えたんだ ホフマンとフェンスキーが 不正に関わったせいで— マティは殺された 弁護士として発言するが 依頼人と何の関係が？ これは最後の賭けだよ 確実な証拠や糸口があれば ここまで来ない あの２人が何に関わってたか 知らないか？ マティ殺しの犯人を 挙げたいんだ ホフマンたちのことは よく知らない たまに見かけた程度だ ２人が死ぬ前に バーで会ったよ “マクルーアズ”だったかな 他にもいたか？ 警官が集うバーだぞ 彼らの連れは？ 分からない 俺はボロボロだったし 最近はどうだ？ ボトルの底からはい出て 踏ん張ってる だが こうして蒸し返されちゃ 意味がないな アルバカーキに来たのは いつ頃？ 事件の直後かな？ 確か翌日だ ホフマンたちが死んだ日の？ 事件を聞いて とどまろうとは？ もう列車で移動中だった 葬儀にも帰らなかった ホフマンは息子の相棒だぞ ホフマンとフェンスキーとは バーで話したのか？ いや　特に親しくもないし 俺に懸けてたのに 残念だったな 終わりか？ 以上かな？ 失礼する マイク　協力どうも 数日 滞在するから 何か思い出したら連絡を 西部を楽しむよ あの… クソ！ 申し訳ない　何か拭く物を おい　自分でやるよ まったく… 今 ここで見る気か？ コントみたいなマネまでして 欲しい情報が？ 知りたいか？ 捜査妨害で捕まるのは ゴメンだね 他に質問は？ なぜ分かった？ 何が？ つまり… どうして俺がコーヒーを こぼすと分かった？ 何だよ その妙な笑いは どういう意味だ？ あんたは無口なタフガイだよ でも刑事たちは あんたが ２人を殺したと思ってるぞ そうだな “時間？” “電話の記録” “３か月後 ステイシー転居” 俺だ 話がある 警察に電話を？ 何？ フィラデルフィア市警に 電話を？ ええ なぜだ？ ホフマンたちのことよ 何のことだ おかしいでしょ マティが殺された半年後に 相棒と上司が死ぬなんて マティを殺した犯人と 同一人物にやられたのかも 何を話したんだ？ マティが不正に 関わってたと？ よくそんなことが言えたな 違う　お金を見つけたことを 話したの ここに越した後 スーツケースから出てきた きっとマティが隠したの 6000ドルもあった 一体 何のお金よ 余裕のない暮らしを してたのに どうして俺に相談しない？ 言えなかった　苦しめるもの 息子を殺され その息子に— 疑念を持つなんてツラすぎる そもそも無理だった 毎晩 飲み潰れてたわ 自分だけ 家族を失ったみたいに 不正の有無は どうでもいいの 彼を殺した犯人を 一生 独房に閉じ込め— 遺体は ゴミ箱に捨ててやりたい 何が暴かれようと構わない 彼が不正をしてたら 何だって言うの？ 彼を愛してる でも帰ってこない マティは潔白だ なら 隠し事しないで 今ここで あの電話について教えて 今度は ごまかさないで あれは親子の会話だ あなただったのね 潔白だった！ 分かったな しっかり覚えとけ 俺の息子は 不正などしてない！ “フィラデルフィア市警” マイク ホフマン やあ　マイク 調子は？ よう　君たち 久しぶりですね やっぱりお前らだったか 閉店だ　マイク そうか　分かったよ 家まで送ろう 大丈夫だ タクシーを呼ぼう いや　大丈夫だよ 心配するな 車は売ったから 歩いて帰る どうも ニューメキシコ州 アルバカーキ 行ったことは？ ない そこに向かう タランチュラがいるから 俺は行かない そうか　目を光らせておくよ 元気で じゃあな マイク おい 送ろうか？ 歩くよ 止めろ どうした？ 死ぬほど寒いから 送っていくよ ほら　乗って 歩く いいから 送らせてくれよ 寒いだろ さあ 乗って ほら 気をつけて すぐに家に着くからな 何する？ おい 返せ　俺のだ 後でな 自分の足を撃ったら困る マイク 何だ？ 起きてるか？ ああ かなり飲んだんだな 禁酒法が施行される前の 飲みっぷりだ バーで妙なことを言ってたろ “やっぱり お前らだったか”って 何の話だ？ 俺たちに 打ち明けたいことでも？ 殺しただろ マティを殺した 何もしてないのに殺した マティが何かするかもと 恐れたんだろ ジャンキーのたまり場に— 呼び出し 偽装した ジャンキーに撃たれたように だが お前らだった 俺は分かってるぞ 証明してみせる 降ろそう 何だ？ ほら　降りて 頭をぶつけるな こっちだ 一歩一歩ゆっくり ここで待ってな 何もかも丸く収めよう どうする？ 悲しいよな 息子が殺されちゃ ツラくてたまらない それで銃を口に突っ込む 悲劇だが 皆 納得するはず どうせ死ぬほど飲んでた 手助けさ 賢いな 俺でも同じことをする マイク 見て見ぬふりをする あり得ないほどの大金を持つ 売人を逮捕した際— 金が証拠品として 保管されないことがある くすねるんだ　皆がやる そうすれば安全だ シーザーの暗殺と同じで 皆が有罪だよ マティは違った 俺は やってた 他の連中も同様だ それが普通でな 相棒を売れば 自分の首を絞める うまくやるために同調する あなたは流された そうだ ああ　俺は不正をした だけど マティはしなかったの？ ああ しなかった ホフマンが先に取り込まれた おそらくギャングからの 見返りだ　賄賂だろう ホフマンはマティを誘った 相棒だから当然だ マティは君の想像どおり— 苦しんだ そして俺に— “不正を報告したい”と させたの？ 密告しようとして口封じに？ そうじゃない 俺はマティに… 警官は何を一番恐れると？ 撃たれるよりも怖いのは— 刑務所だ 自分がぶち込んだ奴がいる “密告は仲間への脅しだ お前の身が危ない” 俺は そう言った “お前がわきまえれば—” “誰も傷つかない” “だが密告すると疑われたら 危険だ” “妻も子供もいて—” “責任がある” “金を受け取って 有効に使え” 何度も… 言って聞かせた だが聞かなかった 頑固な子だった それに強かった そのせいで殺された 俺は話したよ 俺もホフマンと同じように 不正をしてると それが あの夜の会話だ マティはショックを受け 泣きわめき 怒った 俺を尊敬してたのに… 他の連中と同じクズだと 知らされたんだ 傷つけた 息子を傷つけた マティは金を受け取ったよ うまく立ち回ってみせたが— あの２人には 信用されなかった 俺が金を受け取らせ— ２日後に殺された あいつは 誰よりも強い人間だ 自分の身が危険でも 決して屈しない だが父親のせいで— 自分の心に反することを するハメになった しかも無意味だった 息子をおとしめ— 自分と同じにした そして あいつは殺された ホフマンとフェンスキーが— マティを殺したのなら 誰が２人を？ お義父さん　何があったの？ 分かってるだろ 問題は… 受け入れられるか？

逃亡弁護士＃04

1 （二ノ宮） 自分の心の中の正義を貫くんだ。 （成田誠）先生！ （真船丈）この事件が→ 法曹界のうみを一掃する きっかけになるかもしれません。 （連光寺）既に　小早川の行方 知ってるんじゃないですか？ 真船という男を 信用してはいけません。 （二ノ宮絵美）もう　成田を 逃がしたくないんです。 ♪♪～ （回想） ((僕は　どうしても小早川さんを→ 見つけなきゃいけないんです。)) ((彼女は僕と会ってる！)) （美由紀）((会ってません。)) ((水商売か…。)) ((何か　わかったんですか？)) ((土曜日の正午　池袋西口公園。→)) ((来れる？)) 土曜日の正午 池袋西口公園ですね。 ありがとうございます。 （連光寺） どこに電話したんですか？ （五十嵐）おぉ…　おぉ…。 土曜日の正午に何が？ （五十嵐）ははははっ… 何もない　何もない　何もない。 デートの約束。デート？ ないしょ。　ないしょだよ。 （浅沼）あっ　事務長　すいません。 うん。 （浅沼）２～３ 確認していただきたいことが。 ♪♪～ 土曜日…　後３日。 ♪♪～ おぉ…。→ ごめんな。　何か　よろしくな。 よろしく頼むよな。 ねえ　もう早く行こう　大介。 わかったよ。→ 頑張れ　若者～！ 頑張れ～！ ♪♪～ ♪♪～ お釣りはいいわ。 ちょっ…　何すんのよ。 何すんのよ！ 嫌！嫌！やめてよ…。 嫌～っ！嫌～っ！ 嫌！嫌…　ちょっと～！ 何すんのよ。 誰か！私のバッグ！お金～！ 嫌～っ！私の！ ≪（足音） ♪♪～ ちょっと待って。 （公太）放せよ！ ちょっと待てって。 放せよ！ ちょっと！ んっ！ はぁ　はぁ　はぁ…。 わぁ～　きれいだね。 （榎木）ジャンジャジャ～ン！→ ちょっと見て見て！見て　見て。→ 今度の土曜日のサッカーのチケット もらったんだ。→ しかも　日本代表戦。 一緒に行ける？ （律子）サッカー　興味あった？ （榎木）何　言ってんだよ。→ こう見えても　昔 プロ　目指してたんだよ。 えぇ～　初耳。 （まどか）私… お姉ちゃんが行くなら行こっかな。 えっ？ ほんと？ そりゃ　うれしいなぁ。→ 絵美ちゃんは？ いつですか？ （榎木）土曜日の１２時 キックオフ。 土曜日の１２時ですか。 だめ？ あっ…　その日は　ちょっと。 （律子）しょうがない　しょうがない。 すいません。 （律子）いいの　いいの　いいの。 ごめんね。 （律子）すいか食べよ　食べよ みんなね～　ほら。 ((知ってるなら教えてください。 成田は　どこに？)) （志穂） ((土曜日の正午　池袋西口公園。)) ♪♪～ （西田）山崎さん　どうします？ いったん戻りますか？ （山崎）いや… ちょっといいか？ ≪（里香）やめてください！ （酒井）うるせぇ　静かにしろ！ （里香）やめて！ （岩村）このまま 帰るわけにはいかないんですよ。→ せめて利息だけでも 払っていただかないとね。 （酒井）いい仕事　紹介してやるよ。 放して！ こらぁ！ 誰だ　てめぇ。 この女性　嫌がってますけど。 （酒井）はあ？　聞こえねぇよ。 （岩村）部外者は引っ込んどいて いただけますでしょうか。 あなた方がしていることは 脅迫罪に当たります。 ああ！？ 何だと！？ これは　暴行罪になります。 てめぇ　何　法律　語ってんだよ！ バシッ！ ♪♪～ 何だ　その目は。　ああ！？ バシッ！ ガン！ いった…。 （岩村） 警察でも何でも呼んでくださいよ。 こっちにはね　優秀な弁護士先生が 付いてるんですよ。 ≫（山崎）おい　君たち！ 何をしてるんだ。 （酒井）岩村さん　ヤバいです。 行きましょう。 （七瀬）どうした　里香ちゃん 大丈夫？ 私は大丈夫です。 それより…。 大丈夫ですか？ 大丈夫です。　何ともない。 ごめんなさい　私のせいで…。 おい！こっちだ　こっち。 事務所　運ぼう。 ≫はい。 いや…。 里香！→ 社長。　里香は？ （七瀬）公太。 （公太）里香は大丈夫なんですか？ 大丈夫だよ。 里香…。 大丈夫か。 ((嫌～っ！嫌！嫌…。)) （里香）私は平気。 この人に助けてもらったから。 ありがとうございます！ いえ。 僕は何もできませんでした。 助けてくれたのは　あの方です。 （公太）いたのかよ。　何しにきた？ さっきの連中は何者だ。 おれの質問に先に答えろ。 （七瀬）公太。　お父さんに そういう言い方はないぞ。 何しにきたって聞いてんだよ。 （七瀬）公太！ （山崎）いいんです　社長。 今日は　母さんの命日だ。 ♪♪～ 似合わないまね すんじゃねぇよ。→ もういいから帰れよ。　早く帰れ！ （七瀬）いいかげんにしろ！ （山崎）いいんです。　帰ります。 ♪♪～ （公太） 社長　里香を寮まで送ってきます。 （里香）私は　大丈夫だから。 （公太）何　言ってんだよ。 会社の人に 迷惑　掛けちゃだめだよ。 私は　１人で帰れるから。 ねっ。 わかったよ。 じゃあ　気を付けて帰れよ。 （七瀬） ほんとに　１人で大丈夫かい？ （里香）はい。 いろいろ　すいません。 （七瀬）そんなこと 気にしなくていいんだよ。 あの…。 これが　会社の寮です。 すいません。 案内までしてもらっちゃって。 こちらこそ　助けていただいて。 あっ…　いえ。 川島さん…　でしたよね？ あっ　はい。 川島さん お仕事　探してたんですね。 ちょうど 前の仕事　辞めたばっかりで。 そうだったんですね。 あっ　こちらです。 どうぞ。 失礼しま～す。 おじゃましま～す。 一とおりの寝泊まりはできます。 私と公太は隣に住んでるので→ 何かあれば。 あっ…　ご丁寧にどうも。 じゃあ　私は　これで。 あっ！あの…。 お金のこと…　困ってるんですか？ えっ？ すいません　こんなこと急に。 でも　場合によっては 助けられるかもしれないし。 公太君　何か…。 私が悪いんです。 里香さんが？ 私が　悪徳商法に引っ掛かって 借金を作っちゃったんです。 それが　さっきの。 （里香） サンライズリースっていう→ この界わいの暴力団がやってる 闇金だったんです。 でも　公太が　その借金を肩代わり してくれるって言いだして。 （里香）彼は　ああ見えて すごく優しい人なんです。→ 私が　体　弱くて働けないから ２人分も一生懸命働いてくれて。 借金のこと　弁護士に相談は？ それが　だめなんです。 サンライズリースと　その暴力団は優秀な弁護士と　つながってて→ 法律を盾に 追い込んでくるらしいんです。 じゃあ　さっきいた 公太君のお父さんに相談は？ それは…。 はぁはぁ　はぁはぁ…。 大丈…　大丈夫ですか？ はぁはぁ…　大丈夫です。 はぁ…　大丈夫　大丈夫…。 はぁ…。 里香さん！里香さん！ （看護師）付いててあげてください。 ありがとうございます。 妊娠してたんだね　彼女。 ああ。 お陰で助かったよ。 もう帰っていいから。　ありがとう。 借金のこと　聞いたよ。 はあ？ まずは 弁護士に相談してみるべきだ。 お前　説教する気か？ お父さんも　いるだろう？ だから そんなことしたって意味ねぇの。 おやじは　一般市民は守るくせに→ 自分の家族は 全く守ろうとしねぇやつだったよ。 どういう意味？ おやじは　刑事やってたんだよ。 あいつが　おふくろを殺したんだ。 おふくろは→ おれが生まれたときから ずっと病弱だった。→ けど あいつは家に帰ってこなかった。→ おふくろが　危篤んときも 捜査とか何とかで→ 顔を見にこようともしなかった。 結局　死に目に 立ち会うことすらなかった。 最近　刑事辞めて 暇な部署に異動した途端→ 急に おれに構うようになってきたんだ。 そんなやつに 借金の話をしたところで…。 ♪♪～ だからといって…。 ひったくりは　犯罪だよ。 お前　あんときの！ いくら　里香さんのためとはいえ 彼女　悲しむぞ。 早いうちに　自首したほうがいい。 公太君。 うるせぇな！ お前には関係ねぇだろ。 もういいから　帰ってくれよ。 ♪♪～ なあ　早苗…。 おれは　父親失格かなぁ。 ♪♪～ ≪コンコン！（ノックの音） コンコンコン！ ≪（ドアの開閉音） はぁ…　どうしたの？ どうしたじゃねぇよ！ 殺人犯　成田誠。 ♪♪～ やっぱ　そうか。 指名手配のポスターを見たんだ。 逃亡中なんだろ？ 今度は うちの会社に潜伏する気か。 里香に何かしたら ぶっ殺すからな！ 違う　おれは　やってない。 実際に罪を犯してる君とは違う。 はあ？ おれは無実だと胸を張って言える。 てめぇ 自分の立場　わかってんのか！ ピピピッ 今すぐ 通報してやってもいいんだぞ。 待ってくれ。 ひとには自首を迫りながら てめぇは何だ！ せめて…　せめて　あさってまで。 はあ？ あさっての土曜日の正午 ある人に会う。 その人に会えれば おれの無実が証明されるんだ！ だから　せめて…。 そんなこと信用できるか！ １年間　ずっと捜してたんだ。 ずっと捜してた人に やっと会えるんだ。 やっと真実に たどりつけるかもしれないんだ！ ピピピッ ♪♪～ ((迷惑　掛けちゃだめだよ。)) （里香）((私は大丈夫だから。)) ♪♪～ ありがとう。 里香を助けてくれた礼だ。 それに　お前が捕まろうが おれには関係ない。 そのかわり…。 おれの罪は見逃せ。 里香には絶対言うな！ わかったな。 ≫ウーー…（サイレンの音） お待たせ。 ごめん　遅くに。 それで　話っていうのは。 実は→ 三枝事務官から 聞かされたことなんだが→ この事務所の内部に 裏切り者がいるかもしれない。 裏切り者？ この事務所の人間の誰か…。 つまり 裏切り者がデータを改ざんし→ 成田に罪をかぶせたかもしれない。 横領の真犯人は 別にいるってことですか。 ♪♪～ 二ノ宮先生から 何か聞かされてなかったか。 何も…。 そうか。 まあ　とにかく　検察のほうは→ 成田が横領を知られたことで→ 二ノ宮先生を殺害したと 断定している。 だが　もし　本当に 横領犯が成田以外にいるなら→ あいつが二ノ宮先生を殺す動機は なくなるってことだ。 絵美ちゃん。 ≫コンコン！ （五十嵐）あの～　おぉ　絵美ちゃん→ あの～　頼まれてた資料 メールしといたから。 （連光寺）あっ　どうも　ありがとう。 （浅沼）後 こちらの確認もお願いします。 （五十嵐） どう？　絵美ちゃん　調子。→ 今度さ　時間があるときさ 飯でも食いにいこうよ。 （浅沼）あっ　いいっすね。　僕も 最近　いい店　見つけたんですよ。 ♪♪～ （二ノ宮） ((絵美　お前　成田　どう思う？)) ((えっ？　ふふっ。)) ((何言ってんの？　どういう意味？)) ((いいやつだろ。)) ((成田さんと お見合いでもさせる気？)) ((もう冗談　やめてよ。)) ((一度な→ 聞いときたかったんだよ。)) ((もし おれに万が一のことがあったら→ お前　どうする？)) ((万が一って？)) ((そのときは　成田を頼れ。)) ((あいつは何があっても おれたち家族を裏切らない。)) ((だから　信じてやれよ。)) ((うん。　ふふっ　何言ってんの。)) ♪♪～ 成田を…　信じる…。 ♪♪～ ≪（七瀬）川島君！ ちょっと聞きたいんだけど→ 公太が無断欠勤でさ 何か聞いてない？ 特に何も。 あっ　実はさ　これなんだけど。 ((ちょっ…　何すんのよ。)) （公太）((放せよ！)) （七瀬）この自転車 公太が使ってるのに似てんだよねぇ。 ♪♪～ （西田）山崎さん。→ どうしたんですか？ えっ？　ああ。 （西田）その自転車に 見覚えでもあるんですか？ いや　何でもないよ。 ♪♪～ （岩村）山崎さん。 コンコン！ 公太君。 くっ…　はぁ…。 うっ…。 ((おやじは　刑事やってたんだよ。)) ((早く帰れ！→)) ((あいつが おふくろを殺したんだ。)) うっ…　くっ！ うっ…。 カン！ 何してるんですか。 その自転車　どうするんですか。 君には関係ない。 ちょっと待ってください。 何だ。　用がないなら　どいてくれ！ 待ってください。 だから　何なんだ　一体。 証拠隠滅する　おつもりですか？ 連中が口止め料を？ （星野）((最近　この辺りで ひったくりが頻発してることは→ 警察の方なら　ご存じですよね？)) ((それが　どうした？)) （星野） ((あれ　犯人　息子さんですよ。)) ((まあ　でも　ご安心ください。 通報する気はないですから。→)) ((ただし お父さん次第　ですがね。)) （山崎）金以外にも 取り締まりで便宜を図るよう→ 見返りまで要求してきた。→ そうすれば 公太を見逃してやると。 それで　どうしたんですか？ 決まってるじゃないか… 取り引きに応じた。 言いなりになるんですか？ おれが断っても 公太を脅迫するだけだ。 おれ１人が 脅迫に応じれば　十分なんだ。 ですが… あなたは警察官なんですよね？ いくら息子さんのこととはいえ→ 犯罪を隠ぺいしても いいんですか？ たとえ警察官だとしても おれは公太の父親だ。 それに…　早苗との…。 妻との約束なんだ。 公太の母親は　もともと病弱で 出産は難しいと医者に言われてた。 だが…　２人で話し合って 公太を産むことを決めた。 （山崎）案の定　出産後 早苗は体調を崩して病に伏した。→ でも　このことは　公太には 黙っておこうと妻と決めたんだ。 （山崎）たとえ　うそをついてでも… あいつを守る。 それが妻と交わした約束だ。 親というのは子供のためなら 何だってしてやれるんだ。 だから　おれは恥じない。 それでも　あなたは間違ってる。 他人の君が踏み込む話じゃない。 おやじ…。 （山崎）どうしたんだ？　その傷は。連中か？ （公太）里香の病院まで来やがって それで　もめた。→ 里香には手ぇ出さないって 約束だったのに…。 金なら父さんが払う。 そう言え。 はあ？ おやじの金なんか使えるか！ おれ　自首するわ。 （山崎） 冗談じゃない　そんなことは許さん。 （公太） 連中は里香も脅しはじめたんだ。→ もう　こうするしかねぇんだよ。→ あいつと　子供を守るためには。 今　何て言った…。 子供？ なぜ　言わない？ 言う必要があったか？ 親子なら何でも話すべきだろう！ ああ　わかったよ。 じゃあ　よく聞けよ。 里香はな　体が弱いのに→ おれの子供を産む って言ってくれたんだ。 だから　死んでも守るんだよ 家族を　おれは！ あんたみてぇな　おやじになんか ならねぇんだよ。 警察には行かせない。 お前たちの将来　父さんが守る。 今更　何言ってんだよ。 おやじの守りてぇのは 世間体だろ。 警察官としての立場だろ！ 悪かったなぁ 息子が犯罪者になっちまってよ！ 違う！ いいから　そこ　どけよ！ パン！ 何すんだよ！ 公太君　やめろ！ やめろ　やめるんだ。 （山崎）これは親子の問題だ。 君は帰れ。 帰りません。 山崎さん　あなたがほんとに→ 公太君の将来のことを 考えているなら→ 今　あなたがやろうとしてることは 父親として間違ってる。 僕は 公太君の決断が立派だと思います。 相手は暴力団です。 彼らは見境なしに人を傷つける。 １回だけじゃない。　たとえ相手が 病弱な女性でも同じです。 息子さんに前科が付いても→ 警察官としての　あなたの経歴に 傷が付いたとしても→ 守るべきものは 家族なんじゃないですか。 それを公太君は わかってるんですよ。 それと… 公太君も警察に行く前に→ 自分の力で　できることは したほうがいい。 どういう意味だよ？ 決着を付けにいくんだよ。 ♪♪～ お待たせ。 ♪♪～ 社長に事情を説明して借りてきた。 ほんとに　うまくいくんだろうな？ もし　うまくいかなかったら おれは　あんたのこと　通報するぞ。 ああ　約束する。 絶対に　うまくいく。 山崎公太君の 債務整理をしにきました。 （星野）債務整理？　はははっ… お前　一体　何様なんだよ　ああ？ （酒井）いいから　さっさと おやじの金　持ってこいよ！ 私が代理人です。 話は私にしてください。 それに今の発言は 十分　恐喝になります。 出資法違反だけじゃ もの足りませんか？ （星野）こっちにだって 弁護士ぐらい　いるんですよ。→ それに出資法違反ったって どこに証拠があるんです？ そうですか…　それでは あらかじめ　ここに来る前に→ 彼の診断書を用意しましたから まずは傷害罪から話を進めますか。 （星野）診断書なんて金を出せば いくらでも用意できますよ。→ それが証拠になりますかね。 日本の法定原則の１つ 自由心証主義。 裁判では証拠の証明力評価は→ 裁判官に 委ねられるというものです。 この状況で 公太君の証言と　そちらの証言→ 裁判所は どちらを信じるでしょうか。 （岩村）ふざけるな！借りた金 返すってのが当然だろうが！ 違いますね。　不法原因給付… つまり本件のような→ 不法な原因のための給付では 返還を請求することはできません。 あなた方は初めから→ 違法な取り引きだと 認識したうえで→ 金を貸したんですから 返せとは言えない。 話は以上です。 後は書面で連絡します。 じゃあ　行こうか。 そいつの父親が どうなっても　いいのかよ。 どういうことです？ そいつの父親が こっちの裏取り引きに応じて→ ばか息子の犯罪を 隠ぺいしようとした。 それは　あなた方の策略に はまっただけでしょう。 そのとおり。 しかし事情は　どうであれ→ 警察官が そんなことをしでかしたと→ 公にでもなったら？ おやじは関係ない。 そんなの　やだよな？　僕ちゃん。 ≪（ドアの開閉音） ♪♪～ おやじ…。 （星野）ははははっ…。　あぁ！→ やっと話のわかる人が 来てくれた。 ねえ　山崎さん。→ おたくの坊ちゃん　全然　教育が なってないみたいだけど。 あぁ…　それとも　約束の金 持ってきてもらいました？ そんなものはない。 えっ？ （山崎）ここには 自分なりの　けじめを付けにきた。 （山崎）今から息子と共に 警察へ行き　すべてを話す。 そんなことしたら あんた　終わんぞ。 えっ！？ 警察辞めなきゃなんねぇぞ。 たった今　辞表を出してきた。 まだ話があるか！ 何で警察辞める必要があんだよ。→ なあ　おやじにとって仕事って そんなもんだったのかよ。→ おれのことなんて ほっときゃいいだろ。→ 母さんときみたいに　ほっときゃ。 山崎さん もう話してあげたらどうです？ 何のことだよ？ 山崎さん。 おやじ　何なんだ？ 母さんは 自分の命と引き換えに→ お前を産んだんだ。 何だよ　それ…。 里香さんと同じだ。 （公太）じゃあ　あれか？→ 母さんが死んだのは おれのせいだったってことか…。 （公太）何で黙ってたんだよ！ 悪いのは　おれじゃねぇかよ！ 母さんが死んだのは おれのせいじゃねぇかよ！ （山崎）おれも母さんも→ お前に　そんなふうに 自分を責めてほしくなかった。 （山崎）子供には何も気にせず すくすくと育ってほしい。 だから…。 （早苗）((ねえ　あなた。→)) ((もし　私に何があっても→ この子には何も背負わずに→ 伸び伸び育ってほしいわね。)) ((あぁ…。)) （山崎）母さんは→ お前を産んだことを 後悔してないはずだ。→ お前は　私たちが願ったとおりの→ ひとを思いやる子に育ってくれた。 お前は私の誇りだ。 母さんの出産のことは→ 本当は ずっと黙っておくつもりだった。→ でも　同じ状況で 親になろうとしているお前なら→ きっと　その気持ちをわかってくれる そう思ったんだ。 これまで　ずっと黙ってて…。 すまなかった。 でも　こうする以外になかったんだ。 それが母さんとの約束だから。 公太君。 おれは両親がいない。 だから君が　うらやましいよ。 君には目標にすべき 立派な父親がいる。 お父さんのような　父親になりな。 ♪♪「Ｓｔａｎｄ　Ｕｐ　Ｆｏｒ　Ｌｏｖｅ」 ♪♪～ おやじ…　ごめん…。 今まで本当に　ごめん！ それと…。 ありがとう。 ♪♪～ （山崎）お世話になりました。 いえ…。 ♪♪～ 明日　頑張れよ。 ああ。 応援してるから。 ありがとう。 ふぅ～…。 いよいよ　明日か…。 成田…。 ♪♪～ はぁ～。 ♪♪～ （無線）どうしますか？ 正面入り口です。 （無線）二ノ宮絵美が 公園に入ってきました。 （刑事）二ノ宮絵美が現れました。 （伊崎）構うな 成田に集中しろ。 ♪♪～ （亮子）検事 やはり　二ノ宮絵美が来ています。 あそこです。 ♪♪～ １２時を過ぎた。 成田は既に離れた可能性がある。 全員　直ちに 周辺のせんさくに当たれ！急げ！ ≪ウーー… ♪♪～ おにいちゃんに渡して って言われた。 はい。 ♪♪～ 誰に？ わかんない。 [TEL]（マナーモード） [TEL]（男）成田だな。 （伊崎）早く成田を確保するんだ！ ♪♪～（店内のＢＧＭ） ♪♪～ ≫ウーー… はぁ　はぁ…。 はぁ　はぁ　はぁ…。 裏口　出ました。 [TEL]　裏口を出たら右に行け。 ♪♪「ＥＳＣＡＰＥ　遊　ｔｕｒｎｉｎｇ　成田誠」 ♪♪～ 次は　どこに…。 [TEL]　目の前の通りに出たら 左に曲がれ。 [TEL]　その先に シルバーのワゴンが　とまってる。 はい。 ♪♪～ ウーー… ♪♪～ 助けてくれて ありがとうござい…。 浅沼。 久しぶりだな。 小早川美由紀の居場所を知ってる。 今から連れていくよ。 [TEL]（メール着信音） ♪♪～ おい　来てみろよ。 ♪♪～ うちの弁護士先生に連絡しろ。 （連光寺）「連光寺です。→ 先日話した 事務所費の横領の件だけど→ 真犯人がわかった。→ やはり 成田はこの件に関して無関係だ。→ 真犯人は別にいる」。 [TEL]　プルルル…（呼び出し音） [TEL]（着信音） （連光寺） 「事務所費を横領していた真犯人→ それは」…。 浅沼です。 （心の声）≪浅沼先生…。≫ えっ？　成田誠が？ 実は今→ その成田と一緒なんですよ。 ♪♪～ ちょっと仕事先で トラブルがあったみたいだ。 大丈夫か？ 問題ない。 それより今は 一刻も早く行こう。 小早川美由紀の所へ。 頼む。 ♪♪～ 小早川さんに会わせてくれ。 （浅沼）彼女は　お前を怖がってる。 彼女の父親は　私の親友だった。 私は成田を犯人だとは思ってない。 父を殺したんですか？ 一体　誰を信じればいいの？ （浅沼） 小早川さんに会いたいんだろ？→ だったら　ひとに説教する前に 土下座して頼めよ！ [TEL]（浅沼）成田なら今　一緒にいる。

お義父さんと呼ばせて＃02

1 (大道寺保)結婚してください！ (花澤美蘭)待ってた その言葉｡ よろしくお願いします｡ 結婚するから 私｡ (花澤紀一郎)あぁ～！ ニチバ産業 どうなったんだよ｡ (小松川)ここにきて 競合がいるらしくて｡➡ この帝洋物産ですよ｡ 例のニチバ産業の件 どうなってる？ 理詰めで追い込め｡ そうすれば 必ず折れる｡ この人 大道寺保さん｡ 私の彼氏｡ はい？ ５１になります｡ 私と一緒？ (葉理男)同級生って｡ 私は本気です｡ もういい 出ていきます｡ 今日は帰んなさい｡ やっぱり 結婚っていうのはさ 俺たちだけがするもんじゃないよ｡ みんなに祝福されなきゃ｡ (静香)手紙 持ってきましたよ｡ 俺は あの男との交際だけは認めない｡ あの男のことだけは 絶対に認めないからな！ お義父さんに 気持ち 伝わったかな？ よし もう一押し｡ 新しいの…｡ ♬～ はぁ～｡ ≪ウォ～ン！ (ナレーション) ＜太郎が遠ぼえしている｡＞ ＜ こんなことは 太郎が生まれて初めてのことだ｡＞ ≪ウォ～ン！ ＜何だか嫌な予感がして…｡＞ ≪ウォ～ン！ (真理乃)もう～ うるさいな 太郎｡ ＜家族の誰もが…｡＞ (昭栄)がぁ～…｡ もう～！ (昭栄)がぁ～…｡ ＜ あまり よく眠れなかった｡＞ ぐぅ～…｡ ＜保っちゃんの身に 何もなければいいが｡＞ ♬～ ♬～ はぁ～｡ ♬～ クゥ～ン いびき？ (葉理男)いびきだけじゃないよ！ 俺のベッドも毛布も 勝手に取るし➡ もう 勘弁してよ｡ 全然 眠れないよ！ (真理乃) 昨日は太郎も遠ぼえしてたしね｡➡ うるさかった～｡ で じいちゃんも遠ぼえしてたと｡ (昭栄) いびきが何だ｡ 戦争中はな➡ ジャングルで 爆弾の音を聞きながら寝たもんだ｡ じいちゃん ７９だよね？ 戦争には行ってないよね｡ 行った人に聞いたの｡ 何だよ それ！ あのさぁ｡ あっ ごちそうさまでした｡ ごめん ヤバい お母さん ちょっと ごめんね｡ (葉理男)ねえ とにかくさ 部屋 何とかしてよ ねえ｡ うん｡ (葉理男)じゃないと俺 出てくよ｡➡ いや 聞いてる？ 待ちなさい 美蘭｡ あっ ごめん➡ ちょっと急いでるからさ｡ この先 どうするつもり？ えっ？ えっ じゃないわよ｡ 大文字さんのこと｡ 大道寺ね ちなみに｡ このまま ごまかして済むと 思ってるわけじゃないわよね｡ そう言われても…｡ 私も 結婚には反対してるのよ｡ えぇ～ そんな～｡ 私だけじゃない｡ 葉理男も真理乃も 賛成は してないはずよ｡ べつに あの２人は…｡ 結婚したら 義理とはいえ兄弟になるのよ｡ それでいいの？ まあ それは…｡ とにかく 軽い気持ちで結婚なんて 考えるもんじゃありません｡ しっかり みんなを 説得できないかぎり➡ 私も許しませんから｡ ♬～ 今日 きめるぞ｡ ♬～ 行くぞ｡ ♬～ どうか うちの小松川を 男にしてやってください｡ お願いします｡ (車田) 部長さんの接待 最高だったよ｡ 朝一で待たれて これ されちゃあ➡ 負けたよ やまびこさんには｡ 担当部長！ オマール君は やまびこさんに預けた｡ ありがとうございます！ ありがとうございます！ ありがとうございます！ ニチバ産業の新商品➡ 車内の簡易トイレ オマール君｡➡ 帝洋物産を差し置いて うちが受注できたんすね｡ いいか これがビジネスだぞ｡ ううっ…｡ 真心さえ通じれば 帝洋にだって勝っていけんだ｡ 部長！ 自分は一生 部長についていきます！ 大げさなんだよ お前は｡ 部長！ 皆まで言うな 皆まで｡ お前の気持ちは もうわかったから｡ 部長～！ 皆まで言うなって｡ バス出ちゃいましたけど｡ ばか野郎 お前 そういうこと 皆まで言えよ お前｡ (小松川)あぁ～｡ ちょっと待って！ お前 １時間に1本しかないんだぞ｡ 待って！ (真理乃) 何で 遠ぼえなんかしたんだろう｡ 何か訴えてるんだよね｡ 秘密の悩みでもあるのかな～｡ まさか｡ ねえ それより どうすんの？ お兄ちゃん 本当に出てくよ あの人 神経質だから｡ じゃあ あなた 同じ部屋になる？ やだよ～｡ (昭栄)リフォームで 部屋を分けるしかないな｡ (真理乃)聞こえてたの？ 老人ホームなんて 簡単に見つからん｡ 当分いるぞ 俺｡ (真理乃)開き直って脅さないでよ｡ (静香)リフォームねぇ｡ ≪ピンポーン！(ｲﾝﾀｰﾎﾝの音) (昭栄)おっ 早速 業者が来たか｡ (静香)まだ 呼んでもいないじゃないですか｡➡ はい｡ (砂清水) お久しぶりです おかあさん｡ あっ…｡ (砂清水)砂清水➡ ＬＡから帰ってきました！ はははっ こんにちは｡ (砂清水)あぁ どうも こんにちは｡ 美蘭さんは お元気ですか？ おはよう｡ あっ おはようございます｡ おはようございます｡ おはようございます｡ おはようございま～す｡ おはようございます｡ ≪おはようございます｡ はぁ～｡ お父さんは ともかく➡ お母さんが反対したのは ちょっと意外で｡ いつもは 私の意見 尊重してくれるんだけどね｡ でも お義母さんの 言うとおりだと思うよ｡ やっぱ結婚っていうのはさ 家族みんなに認めてもらわなきゃ｡ うん｡ でもさ ミーちゃんの家族って すばらしいと思うんだよね｡ だって ホームに入っちゃった おじいちゃん➡ わざわざ連れ戻してきたんだろ？ なかなかできることじゃないよな｡ いや わざわざ出戻ってきたんだけど…｡ えっ？ あっ ううん｡ とにかく 結婚したらさ➡ 俺も ミーちゃんとこの家族の 一員になるわけじゃない｡ あのさ もう１度 ご両親に会わしてもらえないかな｡ あぁ～ いや でも…➡ お父さん 相当かりかり きてたから｡ それは 一拍置いたほうが いいと思うな｡ そっか｡ ♬～ でも わかった｡ そこまで言ってくれるんなら➡ う～ん… うん！ まずは ともかく うちの兄妹 説得してみる｡ ほんと？ うん｡ じゃあさ ２人と 外で どっかで会おうよ｡ 俺も じっくり話してみたいし｡ 店 探しとくよ｡ うん ありがとう｡ そうだな ２人と会うのがいいな うん｡ ニチバ産業 どうなった？ (柳本)うまくいきました｡➡ 今日の午後一で発表します｡ 会社ってところは➡ どんな秘密が 隠されてるともかぎらん｡ 今一度 よく検証しとけ｡ わかりました｡ はぁ～ あぁ あぁ～｡ おかしいと思うでしょ？ 話 聞いても｡ (希和)はい 常務と同い年で バツなし 独身っていうのは…｡ 何か絶対 秘密あるよね｡ でも 娘さんが枯れ専だったとは｡ 枯れ専？ 枯れた男の人専門って意味です｡ あぁ 最近 若い人の間で増えてますよ｡ う～ん｡ (愛)お疲れさまです｡ ≪ピンポン！(ｴﾚﾍﾞｰﾀｰの到着音) 全然わからないな そんなの｡ ≪(砂清水)アントニオ！ 常務 あの 僕…｡➡ ちょ ちょっと…｡➡ やっぱり アントニオ常務は かっこいいな｡ (愛)あの方 資源課の人ですよね｡ (水嶋) そう 娘さんの知り合いらしいよ｡ それで常務を慕ってるって｡ へぇ～｡ えっ？ タイプ？ はははっ 全然｡ あははっ｡ そうだよね｡ あははっ｡ はははっ｡ ♬～ どういうことですか！ べつに決まったわけじゃないんだ｡ ちょっと 近い近い…｡ 相手は➡ ５１歳のじじいだって いうじゃないですか｡ あのさ あの 俺も…｡ ありえない！ だまされてんです 美蘭ちゃんは｡ ピュアだから 彼女は！ アントニオ常務！ あのさ あの➡ アントニオか 常務か どっちかにしてくれない？ 絶対 何か裏があるはずです｡ あれ？ えっ でも 君さ➡ 美蘭に振られたよね 確か｡ いや あれは…➡ 若気の至りです｡ どっちの？ 常務！ とにかく これだけは言えます｡ この砂清水誠 美蘭ちゃんのためなら…｡ [TEL] ふぅ～｡ 死ねる！ はい｡ ごめん➡ ちょ 何 何 何？ シャネルが何？ んんっ！ふぅ～｡ 死ねる！ はい… ちょっと うるさい｡ 静かにして｡ あっ はい｡ ♬～ よ～し やるぞ 俺は！ おぉ～ お疲れ｡ おい｡ (千代)部長 すごいですね 競合で帝洋に勝つなんて｡ だろ？ 年間３,０００万の 売り上げゲットだぞ｡ ３,０００万だぞ お前｡ 何か 俺の人生 ついてきたよ ほんとに｡ ははっ｡ でも 何か うまくいき過ぎて 裏があるっていうか➡ オマール君に秘密みたいなの ないでしょうね？ えっ それ どういう意味？ 欠陥商品みたいなこと？ あるわけないじゃん｡ だって 俺のここで…｡ ピンポン！ きっちり試してんだから ｵﾏｰﾙ君｡ ははっ ははっ｡ 部長｡ どうした？ (千代)これって ニチバ産業➡ 帝洋に ３００億で 買収されちゃったってことですよね｡ ああ｡ (小松川)ちくしょ～｡➡ あいつらが狙ってたのは オマール君じゃない｡➡ 会社丸ごとだったんですよ｡ (千代)でっかい秘密だな こりゃ｡ (河野)恐るべし 帝洋｡ ３００億か｡ さすが やることでっけぇな 総合商社は｡ オマール君 試してる場合じゃないぞ これ｡ さい先悪いぞ これ｡ ♬～ 秘密？ うん｡ なきゃおかしいでしょ ほんとはバツがあるとか｡ あぁ～ あれだ｡ うちの財産狙いだ｡ ねぇ｡ あぁ もう 絶対そうだ 狙ってんだ うちを｡ ねぇ｡ もう１回 会ったらどうですか？ えっ？ あれこれ詮索するより➡ 直接 聞いてみれば いいじゃないですか｡ まあね そりゃね そうだけどね…｡ 結局 まだ どんな人かも よくわからないし➡ どういう訳で 美蘭を好きになったのかも➡ 何も聞いてませんよ｡ うん｡ まあ 秘密の１つや２つ➡ 大人ならあると思いますけどね 誰だって｡ ドン！ 反対なの？ 結婚｡ いや べつに どうでもいいけど どん！ってやるの やめて｡ どうでもいいなら いいじゃん ねっ｡ う～ん まあ でも➡ あんな義理の弟が欲しいか って言われたら いらないね 絶対｡ ドン！ ちゃんと会って話せば➡ 好きになるから ねっ｡ (葉理男)わかった わかったから どん！やめて｡ どん！した？ 今｡ した｡ だってさ 砂ちゃんのほうが １００倍いいじゃん｡ 砂ちゃん？ うん｡ 砂清水さんね｡ 帰国したらしいね｡ あんな人いないよ 下から慶応で アメフト部で➡ 帝洋物産 入ってて おまけに車はレクサスって｡ どうでもいい｡ 第一 お姉ちゃんに ほれてんだよ｡ １９のお姉ちゃんに 一目ぼれしたって｡ そんな人いる？ いや いないよ～｡➡ 今日だってさ 会社行く前に 成田から直行だよ｡ で 事情を聞いたら号泣だよ｡ (回想)⦅け… 結婚？ 結婚？⦆ (静香)⦅いえ まだ 決まったわけじゃないんですけど｡⦆ ⦅５１歳!? ５０… ５１歳？⦆ (静香)⦅美蘭のほうから 好きになったらしくて｡⦆ あの人 ちょっと おかしいんだよね｡ でも そんなことは どうでもいいんだけどさ｡ お願い とりあえず 顔出すだけでも｡ う～ん｡ 去年 お父さんが買ってきた シャネルのバッグ くれる？ うん べつにいいよ 趣味じゃないし｡ ＯＫ～ ダン！ じゃあ まあ 顔だけ出すわ｡ さっぱり｡ はい ４名で それじゃあ 失礼しま～す｡ は な ざ わ き い ち ろ う｡ だ い ど う じ た も つ｡ ⦅お父さんは ともかく➡ お母さんが反対したのは ちょっと意外で｡⦆ ⦅いつもは 私の意見 尊重してくれるんだけどね｡⦆ ♬～ は な ざ わ し ず か｡ ♬～ ♬～ (真理乃) まだ こんなお店あるんだ｡ あの人さ 接待先とかしか お店 知らないの｡ これでも 頑張って 探してくれたんだと思うよ｡ いや まあ べつに いいんだけど｡ (葉理男)そうだよ 悪いよ ただのおじさんなんだからさ｡ [TEL](着信音) ちょっとごめん｡ あぁ どうも どうも｡ [TEL] あっ あぁ…｡ 今日は わざわざ ありがとうございます｡ あっ あの➡ 先日は ほんとに どうも すいませんでした｡ えっと 葉理男君に真理乃ちゃん｡ はい｡ はい｡ 今日は あの 大いに食べて 飲んで➡ あの 大いに語り合いましょう｡ (葉理男)大いに…｡ ごめん！ ちょっと今 会社から連絡あって➡ 顧客のサーバーが ダウンしたらしくて➡ すぐ行かなきゃいけなく…｡ (葉理男)えっ!? ほんとごめん ほんとごめん｡ まあ でも せっかくだからね➡ 今日は ゆっくり 後は若い人たちで｡ …って まあ 若くないけど｡ はははっ｡ ちょっと わかってると思うけど あれ だめだからね｡ わかってるよ｡ 後は頼んだよ➡ 得意の接待で｡ ねっ ねっ｡ じゃあ そういうことで ほんとごめんね｡ (葉理男)ちょっと｡ (真理乃)えっ お姉ちゃん？ ごゆっくり｡ じゃあ まあ よろしくお願いします｡ (葉理男) あぁ よろしくお願いします｡ じゃあ あの まず飲み物はどうしますか？ あっ 私 ワイン｡ ワイン…｡ (葉理男)何にされます？ へぇ～ キャピタル電機のマーケティング｡ ええ｡ 仕事 楽しい？ いや べつに｡➡ 何ていうか 給料分は働いてます って感じですかね｡ ふ～ん｡ 他に 何かやりたいことでもあるんだ？ いえ 特には｡ ほぉ～｡ (葉理男) まあ サラリーマンやるなら➡ 安定性とﾌﾞﾗﾝﾄﾞで選んどいたほうが いいかなってぐらいで｡ あぁ 安定性とブランドだよね やっぱね｡ ふ～ん｡ 真理乃ちゃんは ワイン 好きなんだ？ うん｡ ふ～ん｡ あれ 真理乃ちゃんってさ あれ モデルやってんだよね？ あぁ まあ｡ やっぱ 何かショーとか出てんの？ (真理乃) いや まあ 雑誌のモデルなんで｡ あぁ そう｡ でも やっぱり夢は あれ？ ｢パリコレ｣とか ああいうのに 出るのが夢？ ふふっ｡ (真理乃)いや べつに｡ 普通に大学出て働くと思いますよ｡ あぁ そうだよね｡ 普通に もう➡ 大学行っちゃあ 働いちゃったほうがいいもん｡ ふ～ん｡ おいしい｡ (葉理男)３０年 ずっと営業一筋？ ははっ｡ (葉理男)よっぽど面白いんですね｡ いや 面白いっていうか…｡ あれ 葉理男君は あんまり仕事 楽しくない？ う～ん あぁ もうちょっと やりがいのある仕事っていうか➡ 僕にしかできないことやりたいな とは思うんですけどね｡ へぇ～｡ 彼女は？ モテるでしょ？ 恋愛ってコスパ悪くないですか？ コスパ悪くない？ (葉理男)お金もかかるし 時間も取られるし➡ だったら今は 自分の好きなこと やってたほうが楽しいかなって｡ へぇ～ そりゃ楽しそうだ｡ (真理乃)反対？ いや べつに 反対はしてないですよ｡ えっ そうなの？ それ うれしいな｡ (真理乃)お姉ちゃんが 枯れ専だったのは意外だけど➡ まあ そういうの わからなくもないっていうか｡ へぇ～ そうなんだ｡ でも 普通は お金があるとか 業界に顔が利くとか➡ もっと つきあうメリット 考えると思うんだけど｡➡ まあ そのへんが お姉ちゃんらしいなって｡ へぇ～ じゃあ 真理乃ちゃんは➡ 彼氏とか つきあうとき メリットとか考えんの？ 当たり前じゃないですか｡ 誰だって 本音はそうでしょ？ みんな そうだよ そりゃ｡ [TEL] やっぱり世代の違いなのかな｡ (千代)部長 お電話です｡ あっ じゃあ こっち回して｡ はい｡ はい もしもし お電話代わりました｡ [TEL](昭栄)あぁ 俺だ｡ 久しぶり｡ はっ？ 何かさ このパンフレットのさ この部分見てさ➡ お前んとこも リフォームやってんのかって｡ あっ よく見つけたね こんなの｡ もし やってんだったら➡ このフォーチュンホームに リフォーム頼むから➡ お前 責任者として来い って言うのよ｡ でも これ 直接関係ないでしょ？ まあ あんまり関係ないんだよね｡ リフォームの部品の一部分 やってるだけだから｡ だけどさ これチャンスっていえば チャンスだと思うんだよね｡ もし ほら おじいちゃんのお墨付きが付けば➡ 俺 大手振って ほら ミーちゃんちに行けるわけだし｡ えぇ～ どうせ たかるつもりなんじゃないの？ じいちゃん｡ ふっ たかられた｡ たか… たかられた？ もう？ たかられた もう｡ えっ!? ほら｡ ちょちょ ちょ… ｢吉祥寺 小ざさ 羊羹➡ 群林堂 豆大福 浅草 亀十 どら焼き｣？ まあ でも こんなの お安い御用だよ｡ とにかくさ 土曜日 もっかい ミーちゃんち行こうと思うから➡ 頼む つきあって｡ あぁ～｡ あっ ていうか 昨日ごめんね どうだった？ 今日も朝早かったから まだ どっちとも話してないんだけど｡ うん まあ ばっちりっちゃあ ばっちり｡ おっ｡ いいことは言ったよ 俺は 一応｡ このあとは ニチバ産業の 内々の懇親会です｡ ここには 同期のニチバの新社長になる➡ 宇津井さんも見えます｡ あのさぁ｡ はい｡ ５１歳まで結婚できないのってさ どんな秘密があると思う？ 難しいですね あんまり 考えてみたことないですけど｡ う～ん ほんと困ってるのよ 絞りだしてみて｡ はあ う～ん…➡ 競輪 競馬 パチンコなどの ギャンブル狂い 多額の借金癖➡ 女と遊び過ぎての浮気三昧 殴る蹴るの壮絶な暴力➡ 犯罪歴 極めて特殊な性的指向…｡ もういい もういい➡ もういい うん｡ いや 何か 全部当てはまってそうだよ｡ 気分悪くなってきたよ｡ 女将さんは ご結婚は？ あぁ～ 残念｡ (宇津井)おう！ 宇津井 久しぶり～｡ (宇津井)おう アントニオ➡ じゃなかった 花澤 久しぶり｡ う～ん イタリー以来か？ ああ｡ あっ 何だか悪いね｡ 何か めんどくさい仕事 押しつけちゃって｡ いや～ 何言ってんだよ｡ 昔からだろ それは｡ はははっ！ あっ まあ まあ こっちへ｡➡ 今日は 前のニチバ社長と 主要役員➡ 後は 何人かの部長と 取引先を数人呼んでる｡➡ まあ 単なる顔見せだ｡ ５分で帰ってもらっていいよ｡ じゃあ そうさせてもらうわ｡ ちょっとね 疲れててね｡ (宇津井)お待たせしました｡➡ 是非 うちの常務が挨拶したいと 駆けつけましたので➡ お時間を 少々いただけますでしょうか｡➡ あっ 申し訳ありません 花澤 ちょっと次がありますので➡ 乾杯の挨拶だけ させていただきます｡ いや もう少し いさせてもらうかもよ｡ えっ？➡ あはははっ｡ いや～ うれしいよ｡ つきあいの悪いお前が こんな ゆっくりしてくれるなんてな｡ いやいや いや ねっ たまには こうして➡ 現場の声も聞かないとね｡ う～ん｡ あっ これですよ これこれ これ 絶品なのが｡ わかさぎですね これね｡ ほんとに おいしいんですけどね これ｡ あっ どんどん いっちゃってください もう｡ ≫(車田)失礼します｡ 常務➡ 新規開発部の車田と申します｡ 是非 一献｡ あっ では 頂きます｡ 珍しいよ～｡ こいつ こういう日本式が大嫌いでね｡ いつもはワインしか 飲まねぇんだよ｡ いえいえ 大丈夫ですよ｡ ところで あの… あの方は？ 私と変わらない…｡ (車田)取引先の➡ やまびこ商事の人です｡ 随分 熱心にやってくれましてね｡ ほう｡ 新社長➡ さあさあ さあ… 新社長 どうぞ｡ えっ 俺？ 新社長じゃないですか｡ あはははっ｡ おめでとうございます｡ あぁ～ ありがと ありがと…➡ で 誰？ あはははっ｡ (車田)あの方 顔に似合わず すっごい達筆｡ それで まめに 礼状くれるんですから➡ そりゃ やられちゃいますよね｡ なるほどね｡ あの方 独身ですよね？ ええ｡ こっちのほうは？ さあ～➡ おねえちゃんのいる店 そんな好きでもないし➡ 仕事一本の 真面目な人じゃないですか？ ほう… 秘密がないのか｡ えっ？ 秘密？ あっ いやいや いや｡ あの方の？➡ ありますよ そりゃあ｡ こっち呼びます？ いや べつに 呼ばなくても…｡ (宇津井)あはははっ！でもさ 買収先の社長 つってもさ➡ ラインからは 要するに外されたわけだからさ｡ でも まあ 出世コースで きゅうきゅうとしてるよりはいいよ｡ きゅうきゅうとして 生き残った口なんですかね？ あはははっ その最たるもの｡ あぁ～ そうですか｡ (宇津井)まあ 社長の 金魚のふんだよ 俺に言わせりゃ｡ でも あれでしょ？ あの ご家庭は円満なんでしょ？ 知らねぇ｡ 知らねぇって｡ だけどさ こっちのほうは お盛んみたいでさ｡ 賢いから めったなことでは バレないようにやってると思うよ｡ えっ えっ でも あの 奥様 あんなにお美しいのに｡ 女房と畳は新しいほうがいいって いつも言ってるよ あいつ｡ あはははっ！ 何すか それ➡ 女房と畳は新しいほうがいいって｡ (車田)大道寺さん｡ はい｡ (車田)こっち こっち｡ そちら…｡ (車田)そうそう そうそう｡ はい？ (車田)さあさあ さあ…｡ (宇津井)ご指名です｡ 失礼します｡ はいはい わかりました 向かいます｡ さあ どうぞ｡ どうぞ どうぞ どうぞ…｡ 失礼します｡ 大道寺さん｡ はい｡ そろそろなんじゃない？ はっ？ (車田)何 すっとぼけてんの｡ いついくか いついくかって うずうずしてるくせに｡➡ ははははっ｡➡ 取って置きのを お見せしますから｡➡ さあ 常務もお待ちだよ｡ じゃあ あの…➡ お盆 用意してもらえますか｡ (車田)待ってました！ (拍手) お盆？ お盆｡ ♬ そりゃ ♬～(かねと三味線と太鼓) ♬ かっぽれ かっぽれ (一同)♬ 甘茶でかっぽれ ≪♬ ヨーイトナ ヨイヨイ ≫♬ 沖の暗いのに ♬ 白帆がぇ～あ～ェ見ゆる ≪♬ ヨイトコリャサ ≫♬ あれは紀伊の国 ≫♬ ヤレコノコレワイサ ≫♬ ヨイトサッサッサ ♬ みかん船じゃえ ♬ サテ おかわり おかわり ≫♬ かっぽれ かっぽれ (一同)♬ 甘茶でかっぽれ ≪♬ かっぽれ かっぽれ (一同)♬ 甘茶でかっぽれ ≪♬ かっぽれ かっぽれ (一同)♬ 甘茶で (歓声) (拍手) ≪♬ かっぽれ かっぽれ (一同)♬ 甘茶で (歓声) (拍手) ちょっと ねえ どういうこと？ 家に呼んだって｡ 担当者が来るのは当然だろうが｡ 担当者？ いやいや 違う違う うん｡ ただ リフォームの部品を 扱っている会社の人でしょ｡ 来たいっていうのに しょうがないだろ｡ リフｫームしなきゃならんうちしか 建てられん➡ 自分のかい性を恨め｡ な… なん…｡ まあ いいじゃないですか｡ それとも何か➡ 会ったら都合の悪いことでも あるんですか？ こっちにあるわけないよ｡ じゃあ いいじゃない｡ いや ほんとに… ちっ｡ えっ？ まだ会社？ まだ顧客のサーバー直んなくて 休日出勤してるの｡ まだ もうちょっと かかると思うな～｡ [TEL] 終わりしだい すぐ帰るから｡ ちょっと 待ってよ じゃあ 俺 １人で行くの？ まあ とりあえず おじいちゃん 待ってるから 行くけどさ｡ 俺 １人じゃ緊張しちゃうから できるだけ早く来てね｡ [TEL] あぁ～ ねえ あのさ｡ えっ？ 大丈夫だとは思うけど➡ 絶対バレたらアウトだからね｡ あの秘密だけは｡ わかってるよ 大丈夫だよ 大丈夫｡ それじゃあね｡ ちっ 参ったな 行くか とにかく｡ クゥ～ン お前も不安なんだろ なぁ｡ だから ほえてんだろ ずっと なぁ｡ ≪ピンポーン！ (静香)は～い｡ ≪ピンポーン！ あっ どうも｡ あっ こんにちは｡ すいません 今日は｡ いえ とんでもないです｡ あの 先日は本当に ありがとうございました｡ (静香)いいえ どうぞ｡ はい｡ あれ？ こんにちは｡ おう こんにちは｡ こんにちは｡ こんにちは あははっ｡ (昭栄)おう｡ こっち こっち｡ はいはい ただいま｡ ワン！ かわいい｡ (静香)あははっ｡ どうぞ｡ おじゃまします｡ あぁ～｡ (葉理男)あぁ あぁ あぁ…｡ すいません すいません｡ (静香)あははっ どうぞ｡ すいません ちょっと緊張しちゃって｡ (静香)あははっ｡ 急ごう ただいま！ よいしょ こらしょ どっこいしょ｡ (真理乃)へぇ～ じいちゃんが 呼んだんだ｡ いたんだ｡ いたよ｡ 悪い？ べつに｡➡ そんなこと言ってないじゃん｡ 悪い？ 悪い？ ねえ｡ よいしょ｡ あの～ ちょっと狭くなりますけど この真ん中に壁作って➡ こう部屋を２つにするとかで どうでしょう？ う～ん きっちり全部 持ってきたな｡ 会社はしょぼいが 仕事はできるな あんた｡ ありがとうございます｡ あの… 念のために 言っておきますけども➡ あの～ 本当の担当者は 別ですから｡ 私は様子を見にきただけで｡ うん｡ 総監督ってことでいいよ｡ あの 意味わかりますか？ 担当者 別｡ 私 様子見｡ うん｡ ２つ関係ない｡ だから 総監督だぞ｡ ＯＫ？ ＯＫ｡ へへっ｡ (葉理男) 俺の部屋 大丈夫だろうな｡ じゃあ 材料と工事は発注しときますんで｡ うん ご苦労｡ これからも見にこいよ 監督｡ ははっ はい｡ おぉ～ かわいいね｡ タダでとは言わん｡ ふふっ｡ おい 高いぞ これ｡ あっ いや それは まずいです｡ おじいちゃん｡ それ まずいです｡ 気にするな｡ 金はうなるほどある｡ 今度はな 福砂屋のカステラ頼むぞ｡ あぁ…｡ (昭栄)３,０００円のほうな｡ それは わかりましたけど これは結構ですんで➡ まだ仕事中ですんで｡ おじいちゃん ほんと ほんと➡ おじいちゃん おじいちゃん｡ (昭栄)うん！ はい｡ はははっ｡ はぁ…｡ さあ ほい｡ すいません ありがとうございます｡ １杯だけ はい｡ あぁ～｡ う～ん｡ ほれ｡ ありがとうございます｡ [TEL](ﾒｰﾙ 着信音) [TEL] はっ！ 嫌な予感 的中｡ じいちゃん これ あんこ食いながら➡ ﾜｲﾝ飲むって おかしいでしょ だって｡ (昭栄)いけるじゃんか｡ 何か盛り上がってるね｡ 全く ひとの家に上がり込んで➡ 一家のあるじに挨拶もなしだね｡ おとうさん｡ (葉理男)下にお茶菓子あります って言ったら 今 来るって｡ そう｡ お父さんのマルゴー➡ 開けてたよ｡ はぁ？ はぁ？ はぁ？ はぁ!? ≪(戸の開閉音) どうも｡ (静香)あっ… どうぞ そちら｡ あぁ はい｡ ふふっ ふふふふっ｡ (昭栄) おい｡ ワイン もっとくれるか？ (葉理男)あぁ… うん｡ 奥さん お構いなしでね｡ あぁ～あ｡ やっぱ いい家だな ここな｡ あははっ 葉理男 真理乃！ 来い！こっち ほら｡ 飲もうぜ 一緒に おう｡ (静香)何だか 今日は随分ご機嫌｡ 来い！おら｡ [TEL](着信音) ≪クゥ～ン [TEL] ワン！ワン！ ちょっと君 私に 何か 話すことがあるんじゃないか？ えぇ？ ねぇ 仮にも 先日 あんなことがあったあと➡ ただ ずるずる うちに来られても困るんだが｡ おとうさん｡ あぁ 話すことは➡ いっぱい ありますよ｡ ちっ！はぁ～｡ 何かさ 何か うそくさいんだよ あんたたちね｡ はっ？ 葉理男！ はい｡ お前よ あれでは おかしいだろ お前｡ お前 親のコネで お前 会社 入ったんだろ？ そんななのに お前 自分のやりたい仕事じゃないとか➡ お前 自分にしかできない仕事？ お前 入社２～３年目で お前｡ 大体な お前 面白い仕事とかな➡ その人にしかできない仕事なんて お前 こんだけしかないんだよ➡ こんだけしか｡ なっ？ 大体 お前 あれだよ➡ 自分に折り合いつけて もっと やんなきゃだめだよ➡ こつこつとよ｡ 俺なんかよ お前 プライド お前 まるごと ははははっ➡ 大根おろしみたいに くっちゃくちゃにしてたよ｡ ははっ はぁ～｡ それでもやんだよ お前➡ 仕事なんだよ お前｡ 真理乃！ (真理乃)はい｡ お前よ～ お前 男とつきあうの お前➡ メリットが欲しいって お前 おかしいんじゃねぇか お前｡ 何で お前 そんな損得感情で お前 つきあっちゃうってよ｡ お前 あれだろ？ お前 大したモデルじゃねぇんだろ？ なぁ？ だったら あれだよ お前➡ エージェントに だまされちゃってさ➡ 海外にでも 売り飛ばされちゃえよ お前｡ ♬ ドナドナドナドナ 子牛を乗せて …ちゅうやつだよ 全く しょうがねぇ ほんとによ｡ はぁ～あ｡ お義母さん！ はい？ もう俺は すんごい わかんないんだけどさ➡ 奥さんはさ この男のさ どこがいいの？ はぁ～｡ 何で 結婚したの？ どこ 好きになったのよ｡ 大体ね この男はね➡ 見えと体裁だけで生きてんのよ？ ねぇ｡ あのね ははっ➡ 女房とね 畳みは きれいなほうが…➡ きれいか？ 何だ あれ 新しいか｡ いいかげんにしろ！ お前に そんなこと言われる筋合いはない｡ あはははっ｡ 何 偉そうに 説教してんだ➡ この かっぽれ野郎！ かっぽれ！ かっぽれ｡ あぁ～あ はぁ～｡ とにかく俺ね➡ あんたらが嫌いだな 大っ嫌い！ ほんとに嫌い｡ ただいま～｡ ♬～ よく言った！ あぁ～｡ 遅かった～｡ 気持ち悪ぃ｡ 申し訳ないっす｡ うえ～！あぁ～ くそ 出ない｡ うえ～｡ あぁ～ 出ない｡ くそ｡ あぁ～ 何やらかした 俺｡ ヤバい｡ (真理乃)酒癖 悪い？ (葉理男)ていうか➡ ワイン飲んだときだけ ああなっちゃうんだって｡ 今日のは ほんと謝る｡ ほんと すいませんでした｡ 申し訳ない｡ あっ｡ すいません｡ あっ ありがとうございます｡ あぁ～｡ 陰陽師さん｡ いや 大道寺です｡ さっき 私に➡ 主人の どこが好きになったのか って聞きましたよね｡ すいません 何にも覚えてなくて｡ あなたは？ どうして 美蘭を好きになったの？ あぁ… いや｡ 親として聞かせてください｡ ♬～ あの…｡ 中華屋が｡ えっ？ あぁ いや あの 中華屋っていうか あの➡ ラーメン屋が うちの近所にあるんです｡ ええ｡ ラーメンとギｮーザぐらいしかない もう小汚い店なんですけども➡ 俺 たまに そこ行って➡ 飲むんです｡ あっ そこで ビールです｡ ビールなら全然 大丈夫なんで｡ はあ｡ 仕事で うまくいかなくなったときとか➡ そういうとき➡ そこに行って飲むんです｡ 居酒屋とかだと あの 周りの人たちが➡ 楽しそうにしてるんで あんまり➡ そういうの見るの 好きじゃないんで｡ そこの店だったら みんな➡ ただ黙って 飲んで 食って➡ 静かにしてるんで｡ 私も… ただ黙って➡ 何本か飲んで 区切りつけて 家に帰るんです｡ で あるとき➡ ミーちゃんと デートしてたとき…➡ あっ ミーちゃんって呼んでます 美蘭さんのこと｡ ミーちゃんが どうしても➡ 俺の行きつけの店 行きたいって言うんで｡ あの… 俺 あんまり 店 知らないんですよ｡ 知ってる店 つったら➡ 仕事の接待とかで 使ってる店なんで➡ あんまり そういうとこ ミーちゃんに➡ 連れていきたくなかったんで｡ で…｡ どうしても 俺の行きつけの店 行きたいって言うから➡ 連れてったんです｡ ⦅あっ 座んな｡⦆ ⦅うん｡⦆ ⦅ギョーザとビールとかで いいかな｡⦆ ⦅うん｡⦆ ⦅すいません ギョーザとビール｡⦆ ≫⦅はいよ～｡⦆ そしたら➡ そこのギョーザ食って ミーちゃん➡ 笑ったんです｡ おいしいって言って｡ ♬～ ⦅うん！おいしい！⦆ 俺 その笑顔 見たとき➡ オーバーかもしれないですけど➡ 世界が違って見えたっていうか｡ いつもの➡ ギョーザとラーメンの匂いが 染みついた壁まで➡ 何か ぱ～って 花が咲いたみたいになって｡ そのミーちゃんの笑顔 見たとき…｡ ♬～ この笑顔だけは 手放したくないって思いました｡ この笑顔のためだったら➡ 何だってできるって思いました｡ そんなこと思ったの 初めてでした｡ そう｡ はい｡ お話 ありがとう｡ ♬～ もう何で飲んじゃうかな …っと！危ない もう｡ (静香)とにかく これから毎週 来るみたいですよ｡ リフォームの状況 見に｡ いや だって➡ 関係ないでしょ あいつは｡ だって➡ おじいちゃんが 呼びつけるんですもん｡ 嫌と言えないでしょ｡ それにしたって ねえ あれは ないぞ？ 大嫌いだ つったんだぞ うちの家族が｡ でも 案外 間違ってなかったかも しれませんよ➡ あの人の言うことも｡ ワインで悪酔いが秘密か～ あの男の｡ 秘密の１つや２つ 誰にだってありますって｡ ♬｢Yell｣ 寝よっか｡ あっ 太郎 今日 遠ぼえしないね｡ ほんとだ｡ ＜狼の遠ぼえは➡ 群れから離れた仲間を 引き戻すためだという｡＞ ＜ だとしたら➡ 最初に 保っちゃんを 仲間だと認めたのは➡ 太郎かもしれない｡＞ ＜ こうして 保っちゃんの秘密は １つ 明らかになったけど➡ 実は 私の知らない もっと大きな秘密が➡ 保っちゃんには あって｡＞ おえ～！ はい もういっちょ はい いった？ 出ない｡ あっ 出ない？ もう｡ おえ～！ あぁ もう出せや もう！ ＜ その秘密が➡ 後でシャレにならない事態を 招くんだけど…｡＞ ＜ もう時間なので それは また｡ サリュー！＞ 絶対に美蘭を諦めさせる｡ お父さん？ 俺 ミーちゃんのこと 幸せにできるかな？ 大道寺さんはね➡ 美蘭を幸せにする自信が なくなったんだって｡ 誰が幸せにしてほしいなんて 頼んだ 自分で幸せになるんでしょ｡

華和家の四姉妹＃01

1 　　　　　　　　　　　　　　　 （教会の鐘が鳴る） （藤子）ご祝儀泥棒だよね （うめ）まったく 何回結婚すりゃ気が済むのよ （桜子）三度目の正直と 言ってたけど 「二度あることは三度」の 間違いじゃないの まッ　ダメになるのも 時間の問題でしょ キレイだよ　竹美 （竹美）ホント？ あなたに　そう言ってもらえるのが 一番うれしい 私　世界で一番　幸せな女かも 竹美ちゃん よかった　間に合った 山ちゃん　この前はごちそうさま おッ　竹美　色っぽいじゃん 写真撮ろうぜ オッケー 晃ちゃん　シャッターお願い （晃一）えッ？　僕の奥さんなのに… みんな集まって　集まって 山ちゃんも 元カレ大同窓会ですか 金づる大集合じゃないの 女ギツネ恐るべし （幸子）ミニのドレスって かわいいわね お人形さんみたい 竹美ちゃんの結婚式は いっつも楽しいわ （大悟）今度はホントに 大丈夫だろうな どうかしら　うまくいくといいわね 勘弁してくれよ　うちにはまだ 嫁にいってない娘が３人もいんだ うわッ　地雷… うめ　料理とってきて ローストビーフ　真ん中んとこ ワインも　一番高そうなやつ 私は　どうせいつもパシリですよ （子供達）ママ～ あら （あやめ）ドレスかわいい うん　お花 （一平）ママ　すっごくキレイ （克平）キレイ 知ってる 何も３人の子持ちと 結婚しなくたって ≪晃ちゃん　お人よしだから もうヤダ　マジで帰りたい よろしくお願いします （女社長）どうも ＤＹ　ＰＬＡＮＮＩＮＧ代表取締役？ はい　今日は娘がお世話になります しかし驚きました やり手のレストランオーナーとは 伺ってましたが こんなにも若くて 美しい方だったなんて まあ　お上手 わが社でも レストランのプロデュースを手がけてまして いかがです 今度ゆっくりとお食事でも ちょっと失礼 パパ　竹美ちゃんが 写真撮りましょうって ワイフです 主人がお世話になっております それじゃ　失礼します 竹美ちゃん ≪（司会者）それでは ブーケトスを行います→ 独身女性の皆さんは　どうぞ 前の方へお集まりください あの人の時計 フランク・ミュラーじゃない？ フランク・ミュラーで 何　目の色変えてんの あの　プッチ柄のネクタイ何？ これ見よがしでいやらしい 似合ってると思うけどな そんなことばっか言ってるから 結婚できないんだよ 竹美ちゃ～ん　こっちこっち ママここよ ママ　何で？ 分かってないんだと思う 楽しそうだね じゃ　いくよ （女性達）は～い そ～れッ キャ～ （みどり）返してよ みッ　みどり… そこにいるの　私の夫なの 返しなさいよ 竹美ちゃん！ やめろ 離してよ 離せ 離せ～ どういうこと？ いや　その… 籍が　まだ抜けてなくて は～？ ≪おい　待て 来ないで 死んでやる　あの世で 末代まで　のろってやるから 警察　警察呼べ 竹美ちゃん？ よッ せ～の おい！ 竹美 竹美ちゃん あのバカ 竹美ちゃん ≪（幸子）竹美ちゃ～ん [TV]Ａさんの妻　Ｂ子さんは この桟橋から湖に身を投げ [TV]続いて　花嫁のＣ子さんも [TV]あちらの柵から 湖に飛び込みました ヤダ　このビデオ ピント　ボケちゃってる むしろボケてて助かったわよ はっきり映ってたら　痛さ倍増 わが家の恥部が全国のお茶の間に こういうの さらし者っていうんだね 後先考えずに飛び込んで 自分まで溺れるとかありえない １００回殺したって死なないけどね 桜子ちゃん おはよう パパ　おはよう 何だ　またやってんのか ワイドショーってやつはもう… 重婚　ナイフ　自殺未遂 格好のネタだもの 重婚て… だから慎重に選べって言ったんだ いただきます はい　どうぞ 晃一さん　誠実そうに見えたのにね あやめ達が心配だ あの男になついてたみたいだし 大丈夫よ　みんなでにぎやかに 暮らせば　きっと元気になるわ→ いただきま～す みんなで？ 待ってよ あの女　ここで暮らすの？ あの女って… 家族でしょ　当然じゃない 私　反対だからね　絶対嫌 子供３人抱えた娘を 路頭に迷わすわけにいかん 勘弁してよ あの悪夢が繰り返されるわけ？ 悪夢なんて なまやさしいもんじゃない 地獄よ　地獄 幼稚園のころから 男連れ込んでは問題起こして 桜子ちゃんの彼氏　横取りしたのは 高校生のとき？ そうよ　あいつのせいで 私の青春時代メチャクチャ 町内会長さんも 隣に越してきた新婚さんも 竹美のせいで別れたんだし お前の姉ちゃん泥棒猫って 学校でもいじめられた げッ　来た 早く 出た　悪魔 ヤダ　ちょっとうめ　止めてきてよ 無理無理 やあ 　　　　　　　　　　　　　　　 おはようございます （大音量で音楽が流れる） カモン　イエス はい　はい… 開く　開く… ヘイ イエイ カモン　イエイ 出し切って　出し切って うるさ～い 何時だと思ってるのよ 朝　エクササイズしないで いつやるのよ マジ勘弁 おはよう おはよう 竹美ちゃん　早いわね 音　もう少し小さくなんないのか パパもやったら いくら若作りしてたって 今はマッチョじゃないと モテないわよ～ あッ　どうぞ あッ　すいません どうぞどうぞ　どうぞ どうもありがとう ありがとう ごきげんよう　どうもどうも ありがとう 定時に帰れる会社 時給１５００円以上で いや～　それは… このご時世ですからね 死んだパパの時計を 売らなきゃいけないの？ 仕方ないよ　生きていくためだもん ママ　おなかすいたよ ほらほら　みんな会議始めるよ コピー急いでね （ベッキー）藤子さん ベッキーちゃん　久しぶり ３０周年のキャンペーン　よろしくね こちらこそ　楽しみにしてます また今度ゆっくりね （敦美）青山ラピュタガーデン　今のところ 取材オッケーなのは　この３軒です よそで 何度も取り上げられてる店だよね ほかに何か候補ないかな？ （優紀）アルマロッサってイタリアン どうですか？ そこダメ　料理最悪だから （友）このラズリアは？ 創作和食の隠れ家レストランですって 創作和食？ そうね　アリかも 当たってみてくれる？ 了解 このレストラン ワイドショーでやってた 重婚男の そう ≪（優紀）あれ　ひどい話ですよね けど　だまされる女もバカよね 私には絶対ないもん　そんなの 能率的な会議は３０分 今のムダ話で そのうちの３０秒が消費されたのよ 友ちん　あさってまでに 読者アンケートまとめてね　よろしく は～い ≪（千絵）上半身を左にねじって 右手は上　こんな感じ？ （万希）もうちょっと 体そらせてみて　もうちょっと （千絵）万希ちゃん　これきつい 背中つりそう で　うめは後ろから ガオ～って千絵にかみつく感じ ガオ～？ もうちょっとこっち もうちょっとこっち来て もっともっと　ストップ そこから凶暴な感じでガオ～ （吉安）通れないんだけど 相変わらずクールだよね　吉安先輩 何か　あの人苦手　とっつきにくい 芸術家だからね ちょっと　モデルは？ 疲れた　また後でね そうだ 今月号の月刊Ａｒｔ批評　見た？ 吉安先輩の作品が載ってた ≪（千絵）ミシマで金賞とったやつ？ すっご～い あれ～　苦手とか言いながら ガン見してるし ちッ　違うよ　手見てただけ 参考にしようと思って うめちゃんは手フェチか 確かに　あの手はエロいよね 長い指… そんなんじゃないから！ （佳奈）ねえ　三浦君まだかな おはよう おッ　朝から美脚　ラッキー テメエに見せるためじゃ ねえんだよ 桜子かわって 三浦君来ないんじゃ　意味ないから もう… 総務の仕事なんて雑用ばっかで やってらんないよ 支店長　おはようございま～す おはようございます （嶋田）おはよう エロオヤジ えッ　お姉さん　また出戻ったの？ 正確には　嫁にいったわけじゃ ないけど　今回は 二十歳で最初の結婚 ２３で２度目の結婚 ３１歳で子供３人のバツ２か ねえ　お姉さんどんな人？ 人じゃないよ あいつは悪魔 自分勝手で非常識でＫＹで 男に取り入るのだけは天才的 子供のころから どんだけ迷惑かけられたか あんなのが姉だと思うと… 何あれ 桜子？ 何で？ （美弥）山根さんでしたよね うん 受付の経験は… ないけど そう… 私　相本美弥です 分からないことあったら 聞いてください ねえ　昼休みって何時から？ １２時１０分から５０分まで 短ッ うちの支店長 時間にもうるさい人だし 細かいところあるから 気をつけてくださいね いらっしゃいませ いらっしゃいませ あの… 僕　はじめてなんですけど ご予約はおすみでしょうか？ はい　昨日電話で では　こちらに お名前ご記入いただけますか なッ　何か…？ てかさ　ハゲでもよくね？ はッ？ 山根さん　薄毛です 似合ってるし　ジャン・レノみたい そうかな うん お名前をご記入いただけますか もうちょっと考えます バイバイ　レオン お客様？　お客様 何てことしてくれるんだ　君は ねえ　これもヅラ？ 「ウィッグ」です やっぱり　よくできてるよね そういうことじゃなくて… ちょっとジョン・トラボルタに似てない？ これやってみて　カッコイイから 何言ってんだ ねえ早く～　トラボルタ～ こうか？ わあ～すごい　激似 何やらせんだよ　こうか？ 顧客リスト 持ってこいって言われてたんだ ちょっと行ってきま～す バイバ～イ　トラボルタ 失礼しま～す （マリ）どうした？ いえ　用紙が詰まったみたいで あの～　顧客リストって 誰に渡せばいいの？ （渡辺）担当者に 僕から渡しておきます （竹中）僕　営業の竹中と申します （西田）分かんないことあったら 何でも言ってください このへんで… ランチのおいしいお店って　どこ？ 僕の行きつけの中華があります フレンチなんてどうですか 頼むから消えて （マリ）このパン　うまッ （亜紀）新しい受付嬢 強烈じゃないですか？ 山根さんでしょ トラボルタとかいって超ウケるんですけど 営業の西田 鼻の下５センチぐらい伸びてたよね やれそうな女なら 誰でもいいんです 山根さん　ユルそうだもんね 片っ端から食い散らかしそう　ねッ ねッ （竹中）ここのうなぎ 備長炭使ってるんですよ 秘伝のタレが　また格別で 僕のお薦めは… うなぎ　特上で 肝吸いもつけてね あと　お土産３つ （店員）はい　かしこまりました あ～　楽しみ 私　うなぎ食べると ほてっちゃうのよね～ （マリ）遅れる　遅れる あと３分　昼休み短すぎ １０分前精神とか超うざい お化粧直す時間ないじゃん 桜子　何してんの うん すいません　遅れました 君　何時だと思ってんだ 昼休みはとっくに過ぎてる ご新規　２名様入りま～す どうぞ いらっしゃいませ あの　竹美ちゃんから 紹介キャンペーンで安くしてもらえると 聞いたんですけど もちろんです どうぞ　おかけください はい　竹美ちゃん ありがとう 竹美ちゃん　素敵な上司さんだね 恐れ入ります 何てったって 渋谷のトラボルタだからね～ 化粧直ししてくるから　後よろしく またね～ またね　竹美ちゃん またね　竹美ちゃん ５　４　３　２　１ よし　６時 お疲れさま～ お疲れさまでした お疲れさまで～す ≪（嶋田）相本君 この後　時間あるかな？ はあ… 勤務態度について 一度ゆっくり話しておかなければ と思ってね 勤務態度？ 昼休み明けに遅刻しただろ ≪（美弥）あッ… 着替えたら　支店長室まで来なさい あれって　絶対口実ですよね ５分遅れただけなのに だよね 山根さんなんて４０分も遅刻してる 相本さん　ロックオンされちゃった かわいそうに つけこまれる隙 つくっちゃったから 案外　わざとだったりして ああいう子 意外としたたかだったりするしね さすがに それはないんじゃないかな いや… 遅刻したのは たまたまなんじゃないかなって なんとなくだけど どっちにしても 支店長に目つけられたら最後だよ あのオッサン　社長の息子だから 誰も文句言えないし 受付は支店長の愛人席って いわれてるしね→ じゃ　お先に お疲れさま 相本さん　大丈夫かな 派遣は ターゲットにされやすいからね あッ　セール今日までだよ 寄ってこ うん それじゃ ワイドショーでやってた重婚花嫁って… 重婚してたのは向こうだけどね ひどい男だな　竹美さんに そんな思いさせるなんて 稼ぎもいいし 家事も手伝ってくれるし 文句ないと思ったんだけどな うん　このワインおいしい ビンテージは口当たりが違いますよね これ シャトー・ディケムの９８年ものなんですよ ディケム 何か私 酔っ払ってきちゃったみたい もう一本飲んだら 私どうなっちゃうんだろう これ　もう一本 どうぞ 早いな　でも近いな　お前は あやめちゃん　はい ありがと 子供をほったらかして 歓迎会なんて　母親失格ね 違うよ　私が行けって言ったの 人間関係は　最初が肝心でしょ まあ　あやめちゃんは大人ね ふ～ん　ねえ　パパは？ 今日も遅くなるんじゃないかしら さッ　次はお風呂の支度行こっか （子供達）お風呂　お風呂… エビの養殖？ ええ　エビっていうのはね 金のある国へ国へと 流れていくもんなんです 詳しくは　ここに書いてあるんで まあ　本も出してらっしゃるの？ たいしたことないですよ 今　投資家の間で もっとも注目を浴びてんのは パナマのエビです パナマ行ったことあります？ いいえ 行ってみたいとは思うんですけど じゃあ　今度ご一緒しませんか 来月　出張で行くんです いいですよ　パナマ 最高ですから ふ～ん もっとゆっくり話せる場所で 飲みなおしましょうか ええ せっかくだからね この時間　バーいっぱいだな 部屋で飲みましょう 最上階　押さえてあるんで チェックお願いします （嶋田）遠慮しないで食べなさい ここの天ぷらは絶品だから （美弥）はい… はい 私　お酒はあんまり え～　いいじゃないか はい よいしょ　カンパ～イ おなかすいた　何食べる？ 今日　私　アジアンな気分 何か撮影やってる 誰か芸能人　来てるかな えッ？ （桐谷）ダメですか すみません 写真撮らせてもらっていいですか え～　いいですけど 雑誌ですか？ はい　ｗｉｔｈです ｗｉｔｈ　うちの姉が編集… そっちに立ってみてくれるかな （益子）お願いします 君はどいてて そこもジャマ ちょうどいいや ちょっと　これ持ってて はッ？ いいね　かわいいよ もうちょっと角度つけて えッ　こう？ 逆 はい… 　　　　　　　　　　　　　　　 （桐谷）ねえ　ちょっと見て 俺さ　まだ植毛しなくて平気かな 大丈夫ですよ 桐谷さんカッコイイし 職権乱用 藤子ちゃんに言いつけてやる 太るよ　揚げ物は ちょっと　ピッチ速いんじゃないの ほっといてよ 飲みたい気分なんだから 友達ばっかりモテて おもしろくないんだ 違うわよ じゃあ何 会社で嫌なこととかあったの？ 関係ないでしょ 話　聞くよ 俺でよければ 誰があんたなんかに 私はそんな簡単な女じゃないの バカにしないでよ 自意識過剰 話聞くって言っただけじゃん もうほっといてよ ちょっと　それ俺の あの 私やっぱり　自分の分は払います 受け取れるわけないじゃない ああ　タクシー　タクシー 乗って お先に失礼します お疲れさまでした お疲れさま　お疲れさま 送ってくよ　もう遅いからね 大丈夫です 遠慮しなくていいよ 五反田まで行って お～い　ちょっと　ちょっと 山根さん 開けて開けて ちょっとこれ持って いや～ よかった　タクシー見つかって 世田谷方向でお願いしま～す 世田谷？　私も世田谷 マジ？　超ラッキー そっちは？ そっち？ 支店長は浦和でしたよね そうなんだ　反対方向じゃん ざんね～ん 開けて　開けて～ 何だ… バイバ～イ あッ　うなぎ じゃあ出してくださ～い あの… ありがとう 私… 私さ… うん？ 幸せになりたかっただけなのにな 痛… どこ？ 何で？ ≪（益子）あれ　もう帰んの？ 何か着てよ 何をいまさら あれ　まだこんな時間じゃん ゆっくりしてけば 会社行く前に　家戻って 着替えなきゃいけないから 昨日と同じカッコしてたら 何か言われるとか 誰も見てねえっつうの 女の世界には　いろいろあんの みたいだね えッ？ さんざん愚痴ってたもんな　ゆうべ ゆうべ… 覚えてないの？ じゃあ　俺のこと誘ったのも 覚えてないとか？ 適当なこと言わないでよ ベロベロに酔っ払って そっちからキスしてきたじゃん→ タクシーん中で あれ　俺のパンツ知らない？ お邪魔しました 　　　　　　　　　　　　　　　 ≪（幸子）みんな　どれにする？ どれが好き→ これが一平君でしょ 克ちゃんこれね→ あやめちゃんが… これ これ 分かりました　これと…→ おはよう　桜子ちゃん おはよう 桜子ちゃん　どれにする？ すごいでしょ　このデニッシュ パパがロイヤルグランツで 買ってきてくれたの ロイヤルグランツ？ ゆうべ　打ち合わせで行ったんだ 高級ホテルで打ち合わせね～ 何の打ち合わせだったんだか 桜子　酒くさい 昨日　会社の飲み会だったの そういえば　竹美ちゃんもゆうべ 新しい職場の 歓迎会だったみたいね 新しい職場… よりによって 何　どうしたの？ 来たのよ　悪魔が えッ？ 竹美ちゃんが うちの会社に派遣されてきたの 嘘 竹美が？ 何で？ そんなの　こっちが聞きたいわよ へえ～　そんな偶然てあるのね 史上最悪の偶然ね でも　竹美ちゃん 何も言ってなかったけど 竹美ちゃんは 私が同じ会社にいること知らない 会社の人も 私達が姉妹だと気づいてない 別にいいじゃないか　隠さなくて よくない！ あんなのが姉だなんて知られたら 恥ずかしくて会社行けないでしょ 絶対に私が同じ会社にいること 竹美ちゃんに言っちゃダメだから 特にママ えッ？ 口滑らして言わないでよ 絶対だからね 桜子ちゃんが そんなに言うんなら… 同じ社内にいたら 竹美だって気づくだろ そうなる前に 何とかして追い出さなきゃ 藤子ちゃんのツテ使って 仕事紹介して お断り　そんなことしたら 私の顔が潰れる じゃあ　パパ えッ…　それは無理だな 講演会のアシスタントとか 今　貿易系がメインだから こないだは エネルギー関係って言ってなかった？ 空間プロデュース　どうなったの？ みんな子会社に任してんだ ひとつところにとどまらず 手広くやるのが信条だからな さすがパパ この年になって新しい可能性に 挑戦するなんて　ホント素敵よね あ～ったま痛… ≪（大悟）おはよう ≪（幸子）おはよう　竹美ちゃん ママ　ゆうべは子供達ありがとう 今日からは　定時に帰るから いいのよ　そんなの だって　おつきあいだって お仕事のうちよね ゆうべも すぐ帰ろうと思ったんだけど 会社の人達ノリよくてさ へッ　へえ～ ヅラ…　じゃなくて ウィッグの会社だから オッサンばっかかと思ったら 意外と若い男　多いんだよね あら　そうなの？ そろそろ時間だから行かなきゃ ごちそうさま 行ってらっしゃい 桜子 そのスカート　ダサくね？ 余計なお世話 おいしい？ ママ　二日酔い？ うん… あッ　克ちゃんお口についてる あやめ　体操服忘れてた あッ　ありがとう また田中先生に怒られるよ 桜子も とんだ爆弾抱えちゃったわね かわいそすぎる　桜子ちゃんの場合 高校時代のトラウマあるしね 体を使って彼氏をとられた恨みは そう簡単には晴れないわ 僕　もうおなかいっぱい じゃあ　ごちそうさまして ごちそうさまでした 克ちゃんも これ もったいないから食べちゃって はッ？ おいしいよ　備長炭使ってんだって じゃ　行ってきま～す 行ってらっしゃい 車に気をつけろ は～い 残り物を食えってか？ 竹美ちゃんに悪いわ～ 嘘つくなんて 余計なこと言わなきゃいいだけ 嘘つくのとは違うでしょ 私も行かなきゃ　行ってきます 私も うめちゃんも？ グループ展もうすぐだから 作品仕上げないと 行ってらっしゃ～い パパも食べる？ 俺いいわ ほんっとにおいしい 備長炭 最初はグー　ジャンケンポイ あ～　林の彼女だ あんまりイチャイチャすんなよ ヒュー　ヒュー　ヒュー あやめ　彼氏できたの？ 違うよ　勝手に噂されてるだけ クラスの女子達からも 変な目で見られて困ってるの 《華和さん　Ａ組の森田君とも ヤッたらしいよ》 《あの子　エンコーしてんでしょ》 《こないだ オッサンとホテル入ってくの見た》 《マジキモい》 《お前　いくら払えばヤレんの？》 《俺　２万払う》 《野村はタダでヤラしてくれたと 言ってたぜ》 《竹美さんと寝たって言えば 桜子も諦めてくれると思って→》 《竹美さんなら ありえそうじゃないすか→》 《お願いしますよ》 デタラメ言いふらすやつらの ことなんて 相手にすることないよ その代わり あやめがされて嫌なことは 人にはしないこと うん　分かった 一平　克ちゃん　待って ママ～ 　　　　　　　　　　　　　　　 おッ…　おはようございます 誰？ 彫刻科１年の華和うめです いつもそこに… そうだっけ 佳奈さん 今日　肌のツヤよくないですか？ ヤダ　分かる？ クマできてるけどね やめてよ おはようございます 桜子　昨日大丈夫だった？ えッ？ この子　ゆうべ ベロベロに酔っ払っちゃって 男の人達　みんなドン引き せっかく イケメンの隣に座ってたのに うわッ　残念すぎる そういうときは酔ったフリ 本気で酔ってどうすんのよ だよね～ おはよう　昨日は無事帰れたか？ はい… しかし あの新入りには困ったもんだ 君も大変だな 行こ おはようございます 昨日大丈夫でした？ 何がだね 反対方向なのに 相本さんと同じタクシー乗って 男の方向音痴って珍しいですよね え～… マジかよ… みんなに説明しといてくれないか はッ？ あらぬ誤解が広まったら 君だって困るだろ 僕は君の相談に 乗ってやっただけだと 早く説明してきなさい 相本君 ほら　行きなさい　早く 君は　自分の立場が 分かってないんじゃないか あッ　あの～ 今日　一緒にランチ行かない？ お弁当持ってきたから そうなんだ 外に食べに行って また遅刻したら困るし ありがとう 何か似たようなタイプばっかりだね 桐谷さんの好みなんですかね まったく… それ火曜日までにはあげてね ごめんなさい こちらこそ ヤッベ 何？ キレイなくるぶしだな～と思って あッ…　ありがとう ≪（局長）華和君 （局長）ちょっと　いいかな はい 産休？ 太田編集長　妊娠されてたんですか ああ　高齢出産だし　大事をとって ゆっくり出産準備をしたいそうだ そうですか 今　新しい編集長の 人選を進めてるんだが その間は副編の君に 編集長代理を やってもらえないかと思って 編集長代理　私がですか？ まだ若すぎるという声もあったが 君は優秀だ 結果を出せば 史上最年少の編集長に昇格 という話になるかもしれない やってくれるかね？ はい　ありがとうございます ありがとうございました ありがとうございました 何　飲みすぎ？ ううん 掃除も受付の仕事？ ううん　そういうわけじゃないけど ほら　ここって ちょうど お客様の目線の高さでしょ こういうところの汚れって 結構会社の印象　左右するから ふ～ん 山根さん 背の高いハゲだって 来るかもしれないし 薄毛です あッ　「薄毛」 え～っと ハゲじゃなくって　薄毛 ヅラじゃなくって　ウィッグ どっちでもいいっつうの お疲れさまでした お疲れさま～ お疲れさまでした～ 誰　あのイケメン 昨日のカメラマン 業界人　大好物なんですけど 何でいんの？ どうやって潜り込んだのよ 何か　納品に来たっていったら 裏口の警備員さんが 何が納品よ こんなとこまで何しに来たの はい　納品 あと　これ　あげる いいでしょ　それ こういう自然な表情ってさ なかなか撮れないんだよね 私　こんな顔してるんだ さてと… じゃあ　メシ行こっか はッ？ ちょっ…　離して　何で何で じゃ　お疲れさま 山根さん あの　昨日はありがとう はッ？ 山根さんが来てくれなかったら 私　どうなってたことか ホントは 食事に行くのも嫌だったの だったら　何でついて行ったの？ 嫌なら嫌って言えばいいじゃん だって　支店長よ だから何？ 何って…　嫌だなんて 言えるわけないじゃない 何で？ 「い　や　で　す」 たった４文字じゃん だから　そういうことじゃなくて… 相本君　来週から新しい受付が 来ることになったから 君　引き継ぎ頼むよ 引き継ぎ？ ちょっと離してよ （美弥）支店長 ちょっと待ってください 引き継ぎってどういうことですか クビってことですか？ 何だ　その顔は せっかく目をかけてやったのに 恩を知らないってのは このことだな 私は　私なりに精一杯 責任持って 受付の仕事をしてきたつもりです なのに　突然クビだなんて 責任？ 何を思い上がってるんだか たかだか派遣の分際で 勘違いしてもらっちゃ困るよ こっちはね 会社の利益をあげるために 安くて便利に使える君達を 雇ってるだけなんだよ 君の代わりなんて 腐るほどいるんだよ だいたい君なんて たかだか受付嬢じゃないか やあ （益子がシャッターを切る） 何するんだ オッサン　どこに目ついてんの オッサン！？ 派遣だろうが社員だろうが この子　プロだよ 会社の利益考えんなら あんたが辞めれば 何だと スケベなだけの役立たず　そのくせ 給料だけは　ゴッソリ持ってくオッサンと 安い時給で きっちり仕事をこなせる派遣 会社にとって どっちがお得な存在か 方向音痴のあんただって ちと考えりゃ分かるでしょ 警察だ　警察呼べ！ はい 何やってんだよ 何やってんでしょう どけッ 桜子？ この女が殴ったんだ 連れてけ　早く 言われなくたって自分で行くわよ あの！ 私　支店長にセクハラされてました （一同）えッ？ でも　嫌だって言えなくて 私がもっと き然とした態度をとってたら 山根さんに 迷惑かけることもなかった ごめんなさい 別に　迷惑かけられた覚えないけど 私はただ　このオッサンの 言いぐさにムカついただけ それだけよ あッ　桜子　今晩 留置所泊まるかもしんないから 子供達よろしく 子供達？ 桜子と　どういう関係？ あんたひょっとして また今日も朝帰り？ だったらママに ちゃんと電話してよ　よろしくね ママってどういうことだよ 朝帰り？ 山根さん あの子　子供んときから かくれんぼ苦手でさ どんくさいの 笑える ちょっと… 許さん （柴田）理由はどうあれ 暴力は暴力だ 分かってんのか ごめんなさい 派遣先の上司を殴るなんて いい度胸してんな あの　今日中に 何とか帰してもらえませんかね あッ？ （舘）おう　柴田 舘さん 遅れてすまんな タッチー 竹美ちゃん　久しぶり イエ～イ イエイ 上司殴ったんだって？ 相変わらずバイオレンスだね グーで１発だけよ そうそう　一平の誕生日プレゼント ありがとね あんなんでよかった？ よく分かんないからさ メッチャ喜んでた ビーレンジャー大好きだから そっか　そりゃよかった ≪（大悟）何考えてんだ　お前は また警察沙汰なんて お前　母親なんだぞ 子供達の影響　少し考えろ はい 珍しい　反省することもあるんだね 計算よ　ここ追い出されたら 行くところないんだから ≪（うめ）あッ　なるほど 竹美　もういい年なんだから いい加減　落ち着きなさい　頼むよ あら　竹美ちゃんは セクハラ上司をやっつけたのよ カッコイイわよね うん ママ　カッコイイ そろそろ行かなきゃ　行ってきます ホントだ　もうこんな時間 私も ≪（幸子）行ってらっしゃい おじいちゃん　一緒に保育園行こう （あやめ）それいい おじいちゃん　早く たまには一緒に行くか カバン持って行く　よし行こう ママ　行ってきま～す 行ってきま～す 気をつけてね 行ってらっしゃい きっと あの子達なりに気を回したのね えッ？ あなたが　パパから これ以上　叱られないようにって 生意気なんだから　チビのくせに それだけ愛されてるってことよ あやめも一平も克ちゃんも 竹美ちゃんのよさを ちゃ～んと分かってる 誤解されやすいからね 竹美ちゃんは でも大丈夫　あの子達も私も いっつも竹美ちゃんの味方よ ママ あッ　ねえ 今日はアレやらないの？ アレ？ ほら　こういうの ああ～ （美弥）華和さん　おはよう おはよう さっきね 駅のホームで大声出しちゃった えッ ホームの列に　いつも 横入りしてくるおじさんがいるの 今日　その人に思い切って 割り込むのをやめてくださいって へえ～　勇気あるね すっきりした 思ったことを　はっきり口に出すと すごく心が楽になる 私　山根さんに会えてよかった お姉さんに伝えて ありがとうって うん　分かった 支店長 本社に呼び出しくらったみたい だから　今日見てないんだ 社長も激怒してるみたいだし 左遷は確実だね ザマアミロって感じ？ 堀内さん　ちょっと は～い おいしかった？ （ハナ）おいしい　ありがとう いいえ （五郎）負けちゃった 竹美ちゃん　一局どうだい？ だから　将棋は分かんないって 言ってんじゃん 覚えればいいじゃない　楽しいぜ それ　バイトの仕事じゃないし でもね　山崩しならいいけど よし　いこう お願いね （哲治）竹美ちゃん　今日は早いね 竹美ちゃん　お仕事 クビになっちゃったんだって 今度は何やらかしたんだい 聞きたい？ あのね　ヅラメーカー… じゃなくて ウィッグメーカーの受付嬢だったんだけど （硬貨の音がする） あッ こないだの写真のお礼と思って たまたま　近所まで来てたから そしたらたまたま おいしいって評判のケーキ屋があって 差し入れに　どうかななんて 来ちゃった… うれしいよ　来てくれて すげえインパクトだよな こんな女　はじめて見たよ あのパンチ　グッときたな お湯　まだかな 急に雨降ってきたわね　何なのよ 行くよ 気をつけてよ 克ちゃん　危ないよ ≪（山根）あの （山根）ちょっとお話 聞かせていただけませんか

大岡越前１st＃01

1 ♬～ (打ち壊す音) こら～！ 何してる！ 来たぞ！ 来るんは分かっとら｡ ﾍﾍﾍ！ おい！ ≪こら！ 何してる！ うわっ!? (悲鳴とうめき声) さあ！ 今のうちに！ (打ち壊す音) よ～し！ はあ はあ はあ…｡ (忠相)源さん 少し休もうか？ 何の これしき…｡ 源さんも 馬にすればよかったのに｡ 年寄り扱いは ご無用に願います！ ﾊﾊﾊ！ そうか 分かった｡ ≪(女)お奉行様～！ お奉行様！ ああ…！ うん!? あれは 何だ？ (潮田) この辺の村の者でござりまするが｡ 怪我人だぞ｡ (潮田)何とした？ そのざまは！ 水盗人に やられたわ！ 紀伊領の奴らが わしらの田の水を盗みに来ての！ おんらは このとおりや！ (潮田)紀伊領の者にやられたんか｡ (村人たち)へい｡ 若…｡ 潮田｡ すぐさま 紀伊家へ｡ 水盗人を差し出してくれるよう 申し入れてまいれ｡ お奉行のお言葉では ござりまするが…｡ 何だ？ 相手が悪うございます！ 何？ 徳川御三家 紀州様が 相手のごたごたは➡ 伊勢山田奉行所の裏鬼門｡ よけて通るが上策かと 存じ上げ奉ります｡ …いつも よけてまいったと申すか？ 代々のお奉行様が➡ 申し合わせたかのように さようになされまして➡ 無事 お役目を 終えられましてござりまする｡ 源さん 怪我人たちの手当て 手厚くしてやって➡ 相手の人数 風体 人相を 調べてくれ｡ はい！ 潮田は 女たちに案内してもらって➡ 破られた水門の修理 致してくれるよう｡ お奉行…｡ よいな｡ はい！ 仰せのとおり｡ 潮田さんよぉ 早く 人数 集めて➡ 田んぼの水が涸れねえように 手当てしてくんなよ！ 頼んだぞ 潮田｡ それで あの…｡ 何だ？ 紀州様への掛け合いも…｡ いずれは しっかり 掛け合うつもりだが➡ それより 怪我人の手当てと 田水の手配りが先だ｡ お奉行様…！ ありがとうござりまする！ 潮田さん｡ 潮田さん！ 紀州には 言って下さったんでしょうな？ お奉行お言いつけの書状なら 送っといてあります｡ それで 紀州からの返事は？ ござらん｡ 返事がないなら 一度きりではなく 二度でも 三度でも…！ 四度でも五度でも 返事は来ませんよ｡ 今まで ず～っと そうなんですから！ …う～ん｡ お～い！ 急げ！ 今まで ずっとか…｡ はい｡ どうなさいます？ 若｡ さて どうしようかのぉ｡ 役人相手にしとったら 埒は明かへんに お奉行様｡ ほう｡ では どうしたら埒が明く？ 殿様 捕まえるのが 早道やろ｡ そや！ 殿様 捕まえるのが 早道や！ うん！ 紀州のお城のお殿様を どうやって 捕まえるというのだね？ 夜の夜中に阿漕ヶ浦へ舟 出して➡ 殺生禁断の海で きゃっきゃっと 魚 取ってござる｡ 捕まえる気になったら 楽に捕まえられるんと違うか？ 若！ 源さん｡ すぐに 手配りを｡ ははっ！ あ… 潮田には言うなよ｡ (源次郎)あっ！ はい｡ ﾊﾊﾊﾊ！ (吉宗)よっ！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ お見事！ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ …あっ！ 御用だ！ 御用だ 御用だ！ ♬～ 無礼者！ うわっ！ ♬～ 神妙に致せ！ 放せ！ 放せ！ 放せ～！ 放さぬか！ ♬～ ♬～ ♬～ 榊原先生？ (伊織)千春さんか！ 江戸から いらしたんですか？ うん｡ 長崎へ行く途中なんだけどね➡ ちょっと 忠相の顔を見てやろうと思って｡ 父上！ お奉行様！ 長崎へ？ うん｡ 幼い頃からの夢が…｡ やっと 叶った｡ おめでとう！ うん！ (源次郎)千春｡ あっ 父上｡ ご用意は？ できてます｡ では ご出座を｡ うん｡ 伊勢山田奉行 大岡能登守忠相様 ご出座！ 忠相！ 余は 紀伊大納言吉宗であるぞ！ 黙れ！ 黙れ 黙れ 黙れ！ 紀伊大納言吉宗様は 将軍家ご連枝の貴き御方｡ 己一人の楽しみに➡ 殺生禁断の海へ 舟を出し 網 打って 神を軽んじ➡ ご法を破って 済むと思うか！ もし 紀州のご領主 吉宗様に そのような所業があった時は➡ 家老 重役 近習の者たちまで➡ 責めを負って 腹 切って 果てねばならぬと分からぬのか！ ここな 大たわけが！ 縛り首にでも 致すべきところではあるが➡ たわけでは 罰しもできまい｡ はて… どうしようかのぉ｡ おそれながら…｡ うん｡ 何だ？ ｵﾗﾝﾀﾞ医学修業のために 長崎へ旅の途中の榊原伊織➡ お奉行に ご挨拶のために まかり越しております｡ こやつが 病人か否か➡ 榊原伊織に 見立ててもらっては いかが？ よし 伊織を ここへ｡ ははっ｡ 伊織｡ この者を診てくれ｡ かしこまりました｡ …寄るな｡ 怖い事はない｡ おとなしくしなさい｡ 縛り首になるか 病人で お解き放しになるか➡ 運命の分かれ道だ｡ あ～んと 口を開けて 舌を出して 見せてごらん｡ あ～ん｡ あ～｡ 舌 出して！ あ～｡ なるほど｡ これは 重症だ｡ 何!? 病人です｡ さようか｡ 病人とあらば致し方があるまい｡ 阿漕ヶ浦で 魚を取った罪は 許して遣わす｡ あとは 紀伊大納言様 御名を騙った罪➡ 紀伊で どう お裁きなさるか…｡ こやつの身柄を 紀伊家役人に引き渡し➡ ｢いかようにも よきようになさりませ｣と｡ かしこまりました｡ 二度と かかる騒ぎ 起こすなよ｡ 黙れ～！ 覚えておれよ！ そっちこそ 馬鹿なまねをしたと 忘れずに覚えておく事だな｡ おのれ…！ 待て！ ｱﾊﾊﾊﾊ！ <それから ４年の歳月が流れて➡ 享保元年 紀伊大納言吉宗は➡ 八代将軍 徳川吉宗となったのである｡➡ そして その翌年…> おとうさん！ おとうさん！ おう 何でえ？ 忠相が帰ってくるそうですよ！ …何だと!? 新しい将軍様のお召し出しで➡ やっと 忠相が 江戸に帰ってくるって｡ それは… 本当かい？ ええ！ 雪絵さんが 知らせに来て下さったんですよ｡ 雪絵さんが！ それ 本当かい？ はい｡ 父が お城から戻りまして…｡ ああ！ なら 本当だ！ 大岡様へ お知らせしてまいれと｡ ありがとうよ｡ 雪絵さんにも 長い事 お待たせして｡ そうだよ！ さぞ 待ち遠しい事だろうって➡ いつも ばあさんと言ってたんだよ｡ じゃあ すぐに祝言の段取りを！ ねっ おとうさん｡ おうともよ！ こいつは ちょいと 忙しくなりやがるぜ｡ ﾊﾊﾊﾊ！ 千春さん！ 榊原先生！ 帰ってきたぞ｡ お帰りなさいまし｡ 忠相は元気か？ それが…｡ 病気か？ なら 俺が治してやる｡ 違います｡ 悪くすると切腹だって 父が…｡ え？ ほら！ 先生も一緒に病人だって おお 吉宗公｡ 紀州の殿様…｡ 八代将軍だってんだから驚きだよ｡ なあ？ その新しい将軍様が ｢直ちに江戸に来い｣って｡ …忠相に お呼び出しが？ あの時の仕返しを しようってんじゃないかって➡ 父が 真っ青になって…｡ ｢覚えてろ！｣って ものすごい面して➡ 忠相 にらみつけてた 吉宗…｡ だから… だから！ 心配するな｡ 山田奉行の職は解くから➡ 急ぎ 江戸へ帰ってこいと 言ってきただけだ｡ いや しかし…➡ 新しいお奉行が 伊勢に おいでになるのも待たずに➡ 即刻 江戸に帰ってこいなんて 言ってきたのは➡ 何十年にもなかった事だと…｡ なるほど｡ それは心配だな｡ 伊織まで 何だ｡ いや 用心に越した事はない｡ よし！ 俺が 江戸へ一緒についていってやる｡ え？ 先生が？ 私は 引き継ぎで ここに残らねばなりませんから➡ 榊原先生が 若と一緒に 江戸に行って下さりゃ…｡ いいだろ？ 忠相｡ 切腹しろってんなら 俺も一緒に 切腹してやろうじゃないか｡ せっかく習い覚えた ｵﾗﾝﾀﾞ医学 役に立てず 腹切って死ねるのか？ う～ん… 死にきれんな｡ だろう？ 私だって切腹なんぞしやしないぞ｡ 切腹しないで どうすると おっしゃるんですか？ 若｡ また 叱ってさしあげるつもりだ｡ ｢そんな事で 八代将軍が務まりますか｣と➡ 吉宗様を｡ なあ？ 潮田｡ 心配ばかりかけて…｡ とんでもない事でござりまする！ お奉行には 役人の致すべき事 せねばならぬ事を 一つ一つ…｡ (むせび泣き) 皆も 堅固で｡ お奉行…｡ お奉行…！ (村人たち)お奉行様！ 皆も 達者で｡ (村人たち)へい…！ あんな ええ男 切腹やなんて もったいないなぁ…｡ せやなぁ…｡ (すすり泣き) (忠高) ええ 本日は お日柄もよく…｡ 待て… 待ってくれ｡ (忠高)ええ？ 何だい？ その話は ない事に…｡ ない事に？ すまん！ このとおりだ！ そいつは 一体 何のまねだい？ 雪絵を あの若さで 後家にしたくないではないか！ 雪絵さんが 後家になる!? (作左ヱ門)忠相殿が切腹すれば 雪絵は後家になるじゃないか！ (忠高)忠相が 切腹だと!? 縁起でもねえ！ 知らぬのか？ 知らねえよ！ 一体 どういう事でえ!? 八代将軍 上様が➡ 大岡忠相を 江戸へ 急ぎ お呼び出しになられたのは…｡ おう？ 紀伊と伊勢の領民たちの➡ 水争いのいざこざから お裁きとなり➡ 山田奉行の大岡は➡ 伊勢の村人たちの言い分のみを 取り上げて➡ 紀州の者たち４人の首をはねた｡ ええ～!? なんたる不公平な裁きと 腹立てられた➡ 紀伊大納言吉宗公が 将軍とならせたまい➡ 憎き大岡忠相を 江戸へ呼び寄せ 切腹を命じあそばすと➡ 知らせてくれた者が…｡ 忠高殿！ …分かった！ もういい！ 何も言うな｡ この話 なかった事にしてくれ｡ こちらから お頼み申す｡ 申し訳ござらぬ！ このとおりだ！ そのかわり…｡ えっ？ 妙には… いや うちのばあさんにはな➡ 当分の間 言わねえでおいてもらいてえ｡ うん…｡ 頼まぁ…！ うん！ うん…｡ (むせび泣き) (忠高)酒だ～！➡ 酒 持ってこい…｡ (お秀)やだ！ もう飲めやしないじゃないの｡ ねえ？ いいんだよ｡ へい！ 新しいのを よっと 持ってきました｡ おお！ さすが 三次！ うい奴だ｡ ﾊﾊﾊ！ ほらね｡ 本当だ｡ (ほえる声) うるせえ！ へい すみません｡ 馬鹿野郎！ てめえの事じゃねえよ！ まあ まあ まあ｡ いつも すみませんね 三次さん｡ はあ はあ…｡ へい いつも ご贔屓で ありがとう存じます｡ 今日は うれしい事があったから いつもより進んだのね ご酒が｡ うれしい事ですか？ ええ｡ 悲しい事じゃなく うれしい事が あったんですか｡ へえ｡ あら そうは見えませんでした？ …お武家様は 顔に お出しになんねえから➡ わっちには とんと 見当がつきませんや｡ ﾊﾊﾊ…｡ (いびき) <そのころ 忠相と伊織は 掛川にいた> 大泉様ご一行 お越しですよ！ お願いでございます！ 何か 用かな？ お医者様ですね!? いや 医師は私だ｡ 中へ お入り｡ どうしたんだね？ おじいちゃんが 死にそうなんです！ 動けなくなったのは いつからだ？ おとといの晩からです｡ 脚が痛いと言って…｡ 脚？ これは ひどい！ 荒療治せんといかんな｡ 荒療治？ 心配せんでいい｡ 俺が ここに泊まり合わせたのが 病人の運ってやつだ｡ めったに殺しはしないから 安心していなさい｡ ♬～ (うめき声) ♬～ ≪(女)ごめんくださいまし｡ おう 入ってくれ｡ 病人は？ おかげさまで もう 先生が安心だと｡ それは よかった｡ あ… ですが 先生は もう少し 病人のそばに ついていたい➡ お客様には 先に お休み下さるようにと…｡ 分かった｡ では 私は先に休ませてもらおう｡ 御苦労だが 病人を よろしく頼むと伝えてくれ｡ かしこまりました｡ (戸の開閉音) 御苦労さま｡ ああ 眠い！ 寝てくれ｡ 明日は起こさずに そっと発つから｡ 駄目だ 駄目だ 一緒に行く！ 忘れずに 起こしてくれ｡ 私の方は 医者の手を借りずともよい｡ 江戸へ お前と一緒に行く俺は➡ 蘭方医 榊原伊織じゃない｡ 小さい昔から仲良しの伊織が お前の事が心配で 心配で➡ じっとしていられないから 一緒に ついていくんだ｡ 分かった 分かった｡ 発つ時は 忘れずに起こすから…➡ 一緒に ついてきてくれ｡ なあ 伊織｡ (いびき) おきみちゃん｡ はい｡ 私があげた塗り薬 朝と晩と２度ずつ➡ 毎日 忘れず 貼り替えて｡ いいね？ はい！ ありがとうございました！ 先生 お駕籠が参りました｡ すまんな 忠相｡ 遠慮しないで そこで眠っていろ｡ 寝てる間に江戸に着きゃ 楽でいいな｡ ﾊﾊﾊ！ 眠りこけて 駕籠から よっ！ こぼれ落ちぬよう➡ 気を付けてやってくれ｡ へい｡ 寝てればいいのに｡ (鈴の音) あら！ 雪絵さん｡ どうしたんです？ こんな所で｡ お屋敷へ上がりましたら➡ お参りに お出かけと お伺いしましたので…｡ ああ それで｡ お母様…｡ 何？ どうかしたの？ (すすり泣き) 忠高も 何も言ってくれないんですよ｡ 大安だからと あなたのおうちへ➡ 紋付き袴で 祝言の相談をしに 出かけていって➡ べろんべろんに酔っ払って 帰ってきて それっきり｡ 父と どんなお話をなさったのか おっしゃらないのですか？ うちを出ていって 夜遅く 酔っ払って帰ってきて➡ 話もしないで いびきをかいて 寝て…｡ 雪絵さんの方へは 忠相から手紙は？ まあ！ なんて 薄情な男だ！ そんな奴とは…！ お母様…｡ ｢一緒になんか なれるか！｣って 言えないのが つらいのよね｡ はい…｡ かわいそうに…｡ 雪絵さん ごめんなさいね｡ お母様…｡ どうした？ 頼みてえ事があってな｡ 駄目だ 駄目だ！ 腹を切るかもしれん男に 娘がやれるか！ 今更 娘をもらいてえと 言いに来たんじゃねえ！ じゃあ 何をしに来た？ 八代将軍 上様に 忠相が 切腹を仰せつかった その時は➡ 俺も腹を切ると決めた｡ 大岡…！ そこでだ｡ これまでの誼で 貴公に 介錯を頼みたい｡ 嫌だ！ 嫌だとは 言わせねえ！ できるか！ お前の首を 俺が斬るなんて…！ なら！ なら… なら なら なら！ なら 何だ!? ご老中方によぉ➡ 忠相の腹 切らせぬように… なぁ｡ 頼む！ (作左ヱ門)ご老中！ (土屋)おお 吉本か｡ 何じゃ？ 伊勢山田奉行の任を解かれ➡ 江戸へ お呼び戻しに 相なりましたる➡ 大岡忠相にござりまするが…｡ 忠相が どうした？ ご老中のお力で 切腹だけは お許しに…｡ 切腹？ 知らぬぞ わしは｡ え？ 貴様 誰から聞いた？ 戸田山城守か？ いえ 違います｡ 上様お名指しで老中になった 水野和泉守が言ったのならば➡ 大岡は 切腹だな｡ やっぱり…！ 分からぬ｡ 分からぬ…｡ 新しく上様に おなりあそばされた お方の お心の内➡ まだ わしらにも読めぬから 噂ばかりが駆け巡って…｡ まことに… はい｡ きりきり痛いわ 胸も腹も…｡ おやじさん！ おばさん！ 忠相！ ただいま 戻りました｡ お帰りなさい｡ 忠相｡ はい｡ 何があっても… びくつくんじゃあねえぞ｡ 父上に恥をかかすような事だけは しませんから｡ はい｡ できましたよ｡ ありがとう｡ 行ってきます｡ ♬～ 忠相！ 私も一緒に！ …行けないな｡ 母上に 長崎の話など聞かせていてくれ｡ …うん｡ ♬～ 上様 お成り！ 忠相！ ははっ！ 面を上げ 余の顔 よく見よ｡ (水野)先の山田奉行 能登守忠相 御諚である｡ 面を上げい！ 余の顔 しかと覚えておろうな？ 見忘れたか？ 忠相！ お答え申し上げよ！ おおそれながら…｡ うん｡ 伊勢山田奉行の役目をもって➡ 紀伊大納言様 御名を騙る 不埒 愚かな者を➡ 召し捕りました事がございまする｡ その愚か者が 何とした？ まことに恐れ多き事ながら➡ ただいま 拝顔つかまつりました 上様のお顔と➡ 似たりも似たり うり二つ｡ (戸田)ええっ!? 無礼者！ 貴様 なんたる事を！ 土屋 待て！ あ… はい｡ 他の者も 黙って 忠相の申す事を聞いていてくれ｡ ははっ｡ ははっ｡ 忠相｡ はい｡ そちが捕らえた者の顔と➡ 今ここに見る余の顔が うり二つならば➡ ｢あの時 縄打ち 白州の上に引き据えたは➡ まこと 紀伊大納言吉宗であったか！｣と➡ 驚き 震え 青ざめそうなものを➡ なぜ 貴様は平気でいられるのか 申してみよ｡ そもそも 徳川八代将軍家たる上様は➡ 天下のご法 大法を 自ら お定めあそばす➡ 尊き御方におわしまする｡ 殺生禁断の海へ 網引くような愚かなまねの➡ 何とて できましょうや｡ いかに お顔が似ようとも 上様と愚か者➡ 同じ人であろうはずが 金輪際ございませぬ｡ ご老中 皆々様も そのとおりと 思し召しましょう｡ なあ？ なあ！ う… うん｡ …うん｡ なあ？ いかにも さよう そのとおりじゃ｡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ こういう奴じゃ 大岡忠相｡ しかも 余に似た愚か者を➡ 縄つけたまま 紀伊の役人に引き渡し➡ それと引き換えに➡ 水争いで傷つけた 伊勢領領民への傷代 薬代➡ 掘り割り水門の修理代まで 紀伊から奪い取っていきおった｡ なるほど なるほど｡ 代々の山田奉行が よう できずに➡ 歯 食いしばって 耐えていたものを こいつめは｡ いや 恐れ入り申した｡ 遠国奉行などしておくは もったいない器でござる｡ 忠相！ はい｡ あの折 吉宗が｢覚えておれよ｣と 申したを忘れてはいまいな？ 私の方でも｢馬鹿なまねをしたと➡ 忘れずに覚えておく事だな｣と その男に｡ おお！ ぬかしたを覚えていたから 貴様を江戸に呼んだ｡ 和泉守！ ははっ！ 戸田山城も 土屋相模も！ (２人)はっ｡ 今日ただいまより 能登守を免じ 越前守に任じ➡ 大岡越前守忠相を 江戸 南町奉行に致す事を➡ 承知してくれるように｡ (３人)ははっ！ よいな？ 忠相｡ 上様…！ どうだ？ 思い知ったか｡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ (忠高)ばあさん 忠相と雪絵さんの祝言だがな…｡ (妙)その話は 当分…｡ ねっ？ 雪絵さん｡ (雪絵)はい｡ えっ？ 上様お声がかりの南町奉行 無事に お務めができますようにって➡ 雪絵さんとの祝言は…｡ ｢お待ち下さい｣って➡ 忠相さんが 父のところへ おいでになって…｡ あの大馬鹿野郎が！ 申し訳ございません｡ 雪絵さんが謝る事では…｡ そうだよ！ 謝らなきゃ ならねえのは こっちの方だい｡ 勘弁してくんな｡ あの野郎 俺には何も言わねえんだから｡ 祝言は後でもいいから➡ いつでも 嫁になったつもりで 遠慮なく うちへ来てね｡ そうだよ｡ 御用繁多だなんて 偉そうな事 ぬかしやがってよ！ あんな野郎は ほっといて 俺たち３人で仲良くやろうぜ｡ 勝手な事ばかり言って｡ てやんでぃ！ 勝手なのは あいつの方じゃねえか！ なあ？ 雪絵さん｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ とりあえずは 私が 南町奉行所に なじむように…｡ まずは 一緒に 酒でも飲んで｡ 源さん｡ ああ いや… 間違えました｡ (笑い声) みんなからも 何かあったら 聞かせてくれ｡ あ… お奉行｡ おお 何だね？ 田所｡ えっ？ 田所新八… だろ？ は… はい！ みんなと仲良くやっていくには➡ 顔と名前を まずは覚えようと思ってな｡ ほう！ ありがたい｡ 田所新八は ２年前に 北町奉行所から南町へ移ってきた｡ はい｡ 人呼んで 仏の新八｡ お賽銭をあげて下さい｡ チ～ン！ (笑い声) お前は 片瀬堅太郎｡ はっ！ あだ名は 出しゃばり堅太郎｡ ほう 源さんも覚えたのか｡ …で 何だね？ 田所｡ はい｡ 北にいる時 私がお縄にした➡ 長吉という男の事なんですが…｡ うん｡ 人殺し凶状で 八丈ヶ島に 遠島になっていたのが➡ 上様お代替わりで ご赦免になって➡ 16年ぶりに 江戸へ帰ってまいりました｡ (長吉)旦那｡ (田所)長吉！ 帰ってきたんだな｡ やっと帰ってきたら…➡ おふくろが死んでましたよ…｡ かわいそうに…｡ お前が遠島になったあと ２～３度 見舞いには行っていたんだが➡ いつの間にか おふくろさん いなくなって➡ それっきりに…｡ 伜が 人を殺して 島流しになっちゃあ➡ 元の長屋には いられません｡ おふくろはね 頼る者もなく➡ ぼろぼろになるまで 働きづめに 働いて 死んでったって…➡ 俺の帰りも待てずによ！ 長吉…｡ だのに 旦那…➡ 俺が殺した 小間物屋の仁平は この江戸に生きていやがった…！ 何!? そう言ったんです 長吉は｡ いや だって 長吉は人を殺して…｡ 真っ赤な血の海の中➡ 血のついた鏨を 右手で しっかり握って➡ ぶっ倒れてやがった｡ 殺された 仁平という者の死骸は？ (田所)ありませんでした｡ 殺されて 脇を流れてる川の中に どぶんと落ちて➡ 海にでも流れていって しまったんだろうって事に｡ 死骸もないのに➡ 長吉に殺されたのは➡ 小間物屋の仁平だって訳は？ 長吉と仁平が ひどく酔って ２人で肩を組んで帰ったと➡ 飲み屋のおやじが言ったのと…➡ あっ そうだ｡ 長吉が 左手に➡ 仁平の煙草入れを しっかりつかんで持っていたから｡ けど 死骸もあがらないまま 殺されたのは 仁平と決めて…｡ (立花)下手人は長吉 八丈へ島流しってのは… ねえ？ (橋田)北町らしいやり方だって 言っちまやぁ➡ それっきりだけどな｡ う～ん…｡ さすが 死罪にもできず➡ 遠島って お裁きが下ったんだろうが…｡ それで 長吉は➡ 江戸のどこに 仁平が生きていると 言ったんだね？ 田所｡ 神田の村井屋という 袋物屋｡ (田所)｢そこの主の幸兵ヱが➡ 俺の殺した小間物屋の仁平だった｣ って 長吉は｡ 酒に酔って 何も分からず ぶっ倒れて寝ていた俺を➡ 奉行所へ連れていって➡ ｢お前が 仁平を殺したんだ｣ そう言ったんだよ 旦那｡ それは 違う！ お前が覚えていないと そう言うから➡ ｢私には決めかねます｣と➡ 吟味与力の井沢与次兵ヱ様に 申し上げて➡ お裁きを お願いしたんだ！ どっちにしたって同じ事だい｡ 俺は 仁平殺しの下手人で 八丈に遠島になって…｡ 仁平の顔 忘れる訳ねえだろ｡ ええ？ 旦那！ その顔 見たから 生きてると言ってるんでい！ 分かった｡ なら 俺が➡ 今度 南町奉行におなりになった 大岡様に お願いをして➡ お前の無実は 必ず 晴らしてやるから｡ なぁ 長吉｡ もう いい｡ いいんですよ 旦那…｡ 無実が晴れたって 俺が無くした 16年の年月は戻っちゃこねえ…｡ 死んだ おふくろは 生きて帰っちゃこねえんだ｡ 長吉…｡ 俺 仁平を… 殺す！ あの野郎 殺してやりますよ！ ば… 馬鹿な事するんじゃない 長吉！ 止めないで下さいよ 旦那｡ いやさ 旦那に 俺を止める事はできねえはずだ！ だって そうだろ？ 仁平殺しの罪の償い 16年の島暮らしで➡ 俺は きっちり 済ませてきたんだぜ！ 死んだと思っていた仁平が 生きてたんだ｡ 殺したって もう罰は受けねえ｡ 罰は 前払いで 済ませてきてんだからなぁ！ 長吉…｡ ﾊﾊﾊﾊ！ おい 長吉！ おい！ 片瀬｡ はい！ ほかの者も手分けして 長吉の行方を追うのだ｡ (一同)はっ！ 源さんは 幸兵ヱが 仁平であるか どうか➡ 調べてきてくれ｡ はっ｡ ただし 幸兵ヱが 仁平であろうと なかろうと➡ 万が一にも 長吉が 幸兵ヱを殺める事などないよう➡ 村井屋から 目は離すな｡ かしこまりました！ (勘太)旦那 いるかえ？ え？ あ… 少々お待ち下さいまし｡ なるほど｡ 江戸でも指折りの 袋物の店だけあって➡ 根付けや簪 いい細工が そろってらぁ｡ (幸兵ヱ)いらっしゃいまし｡ 小間物屋の仁平 そうなんだな？ えっ？ 一体 何の事でございます？ 隠してんじゃねえよ この野郎！ お前は 小間物屋の仁平だろう！ 田所さん！ いけないよ！ いえ はっきり 仁平と言わせないでは➡ 長吉に縄打った この新八の言い訳が…！ 困りますねぇ 店先で 大きな声を出されては｡ 番頭さん｡ 北町へ行って 与力の溝呂木陣十郎様に➡ ちょいと お越しをと 申し上げてきておくれ｡ 何だと!? この野郎！ お前は！ 田所さん！ お前は 小間物屋の仁平だろう！ すっとぼけてんじゃねえぞ！ おい！ …うっ！ (せきこみ) 大丈夫か？ 早く！ 先生 こっち こっち！ おい…｡ (せきこみ) 旦那 お水！ どうした？ 源さん｡ ああ 先生！ 助けて下さいよ｡ いや 起きんでもいいから そのまま そのまま｡ よし｡ 喘息持ちが 興奮し過ぎると 命取りになる時もあるんだぞ｡ ありがとうございました！ ごちそうさん｡ 人を殺しても 人殺しの罰は➡ もう 前払いで払ってあるって 言ったってんですかい？ ああ｡ それでな 仏の新八は 息ができなくなって ぶっ倒れて➡ 伊織先生の お世話になったって訳だ｡➡ かわいそうにな｡ ただ ｢かわいそう｣じゃなく…｡ ええ？ 何だい 来てやがったのかい｡ 幸兵ヱが仁平であるという 動かぬ証拠が➡ どうすれば見つかるか お知恵を 貸しては下さいませんか？ おっ！ 俺に 知恵が借りてえってのかい？ 亀の甲より年の功｡ 何でい！ 人を年寄り扱いするんじゃねえや｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ それより ねえ お奉行様｡ 何だ？ 長吉 酔わして 血の海の中へ寝かして➡ 刃物 握らせて 煙草入れ持たせたって➡ それ 誰の仕業なんでしょうね？ 仁平が生きていたのなら…｡ あら いらっしゃいまし！ 仁平の仕業だろう｡ (三次)仁平の？ では 仁平が 姿を消してまで➡ 長吉を 人殺しの 下手人にしたかった理由は何だ？ さあ 何でやしょう？ 16年も昔の話だからな｡ 昔の事なら 昔の人に聞くもんだい｡ 殿様に聞けってんですか？ 馬鹿野郎 俺じゃねえよ｡ 16年前にな 小間物屋の仁平が 住んでた長屋 捜してよ➡ そこの大家か かみさんか➡ 古くから暮らしてる 年寄り 見つけてな➡ その村井屋の幸兵ヱの面 拝ませりゃあよ｡ さすがは 年寄り！ いい事 言ってくれました｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ 馬鹿野郎！ 年寄りは余計だ！ 三次 今夜の勘定は 私に付けておいてくれ｡ おっ！ 毎度あり！ おやじさん 忠相の奢りです｡ 飲みましょう！ よ～し！ 飲まねえでよぉ！ おい 丼 持ってこい！ はい！ ｱﾊﾊﾊﾊ！ 痛い！ 痛い 痛い！ お前は 何やってんだ！ ごめんよ ごめんよ！ 仁平ってんだよ 小間物屋の仁平！ ええ？ どうしたってんです？ 旦那｡ おお 大家さんか！ 仁平って奴なんだ｡ ああっ…！ 仁平だ！ 間違いっこねえ｡ うちの長屋に ５年も あいつは住んでたんだから｡ よし！ 勘太｡ 村上さんに 合点承知の助！ 知らせるんだ！ あれ？ 旦那｡ どうした？ 仁平が いなくなりやがった｡ 何!? 馬鹿野郎！ いなくなったで済むか！ ああ 旦那 危ねえ！ 危ねえ…｡ 皆で 捜してこい｡ 幸兵ヱを？ 幸兵ヱじゃねえ！ あれは 仁平だ！ 長吉も まだ見つからねえのか？ (片瀬)すみません…｡ …あっ！ 俺の顔 忘れちゃいなかったようだな｡ 俺と おふくろと ２人の恨みだ！ 覚悟しろい！ 悪かった！ た… 助けてくれ！ 金なんか要らねえよ！ 人殺し～！ やめろ！ 旦那…！ お助け下さいまし！ 長吉…｡ どいてくれ～！ あっ…！ 血迷うな！ 過ぎた昔の事は さておいても➡ 新しく 今のお前に 罪を犯させる訳にはいかぬ！ 御用だ！ いいんだ 縄は｡ お奉行｡ 村井屋幸兵ヱ！ いやさ 小間物屋仁平｡ えっ あ…！ 神妙に お縄を頂戴しろ！ これは どういう事でございます!? 北の与力の…｡ ええい 黙らねえか この野郎！ 御用だ！ 申す事あらば 白州で申せ｡ 南町奉行 大岡越前守様 ご出座！ 村井屋幸兵ヱ｡ ははっ｡ 飾り職人 長吉｡ へい｡ 白昼 天下の往来での刃傷沙汰➡ 事の起こりは 16年も前の しかも北町奉行所にありという｡ 南町奉行 大岡越前➡ どう致したらよいものか 困惑しているのだが…｡ お奉行様｡ 何だ？ 長吉｡ なにも お困りになる事はありません｡ 仁平 殺した罪で 島送りになって ご赦免になって帰ってきたら➡ 殺した仁平が 生きてたんだから➡ 俺に こいつを殺させちまえば 終わりだ！ うん｡ そういう事になるかのぉ｡ なる訳なんざありませんよ お奉行様｡ ｢お前の殺した仁平は もう いない｡➡ ここにいるのは 村井屋幸兵ヱだ｣と➡ ええ… 長吉？ このお方に しっかり言ってやって下さいまし｡ 今は 村井屋幸兵ヱであるが 昔は 小間物屋仁平だった｡ 違うか？ 違います｡ 村井屋へ 婿に来る前は 村井屋でなく ただの幸兵ヱ｡ おぎゃあと生まれてから今日まで ずっと私は 幸兵ヱ｡➡ 仁平だなんて 名乗った事は…｡ ないと申すか？ ありませんとも｡ 嘘をつけ！ 長吉！ 白州であるぞ｡ 天下のお白州 北じゃなく南の 大岡様のお裁きだから➡ 間違いのねえ お裁きをして 頂きたいと言ってるんです！ こいつは 俺の飲み友達 小間物屋の仁平！ 仁平じゃない 幸兵ヱだ！ 幸兵ヱ｡ はい｡ 今から16年前 お前が住んでいた➡ 田原町の どぶ板長屋の家主 清助が➡ 神田の袋物屋 村井屋の店に行って 主 幸兵ヱを見るなり➡ ｢あれは 小間物屋仁平だ｡➡ 家主の私が言うのだから 金輪際 間違いはございません｣と➡ これにいる同心 片瀬堅太郎に はっきり言った｡ えっ…｡ ここに 清助が届けてくれた 小間物の売り掛け証文もあり➡ 仁平の爪印も これ このとおり｡ 嘘偽りは 通らぬぞ｡ 確かに 以前は 小間物屋 に… 仁平｡ 神妙である｡ けど お奉行様！ 私が 昔の小間物屋仁平だったら➡ どうすると おっしゃるんですか!? 長吉に 潔く討たれてやれ｡ 嫌だ！ 長吉に➡ 討たれなきゃならないような事は してませんよ 私は！ 長吉が 小間物屋仁平殺しの 下手人として お召し捕りになり➡ 八丈へ遠島と お裁きが出た時に➡ ｢いえ 私は生きています｣と 何故 名乗って出てこなかった？ そ… それは…｡ 江戸を逃げ出し 姿をくらまし➡ 長吉が遠島になっても 黙っていたのが➡ 長吉を仁平殺しの下手人に 仕立てたは その方であるという➡ 何よりの証拠！ 何だって そんな事を… ええ？ 俺は お前に恨みを買うような事を 何かしたかい!? 長吉が 何かをしたからではあるまい｡ 仁平は ただ 貧乏な担ぎ商いの 小間物屋の自分が➡ 嫌で嫌で しかたがなかった｡ そこで 仁平は➡ 袋物の老舗 村井屋の跡取り娘の おさきを口説いて➡ 村井屋の婿になろうと考えた｡ それだのに おさきさんは どこで見初めたのか➡ お前を 婿にしたいと 親旦那 口説いてると聞いて…｡ 長吉さえ おさきの前から いなくなればと考えて…｡ 勘弁してくれ…！ 村井屋のお嬢さんが 俺の事 見初めたって？ 長吉｡ 知りませんでした 俺｡ だって 俺のおふくろは いつも 俺に言ってたんです｡ ｢私みたいな 貧乏な おふくろがいるから➡ お前は 嫁ももらえないで かわいそうだ｣って…｡ おふくろに…➡ ｢俺を婿にしたいっていう お嬢さんがいたんだぜ｣って➡ 話してやったら…➡ おふくろ さぞ喜んだろうなって…！ 村井屋幸兵ヱこと 小間物屋仁平｡ は… はい！ 罪のない長吉に 罪かぶせた その方の罪は重い！ 店は 闕所｡ その身は 遠島｡ 遠島…？ 長吉の苦しみ➡ 八丈の波の音 風の音を聞いて 骨身にしみて 味わうがよい｡ へへえ…！ 仁平を連れていけ｡ はっ！ 引っ立て！ はっ！ 立て！ さて 長吉｡ はい｡ 人が人を裁く事の恐ろしさ 大岡越前 肝に銘じて 忘れぬ｡ お奉行様…！ 同じ奉行が 過ちを犯して➡ その方に 16年もの長い年月 つらい思いをさせた事➡ 16年前の北町奉行に代わって➡ このとおり 私が お前に詫びる｡ ご… ごもったいない！ 手 上げて下さいまし お奉行様！ だから どうか➡ 罰は 前払いで払っているから 人を殺させろなどと➡ 無理は言ってくれるな｡ 頼む…｡ 申し訳ございません…｡ 申し訳ございません…！ ♬～ 本日の白州 これまで｡ ねえ ねえ ねえ ねえ！ 聞いたでしょ？ 聞いたでしょ？ 聞きました！ 名奉行 大岡様の名裁き！ 大声上げて 読み売り これだろ？ 売ってんだって｡ あれ？ もう買ってきたんですか？ 当たり前よ！ 見せろ 見せろ！ 見せて下さい！ 破れるだろ おい！ 危ない 危ない！ あっ！ ｱﾊﾊﾊﾊ！ はい！ さあ 田所さん どうぞ｡ おう 慌てねえで ゆっくり 飲みなよ｡ また むせて 喘息なんざ ごめんだからな｡ じゃあ 頂きます｡ あっ それで 仏の…｡ 新八さんよ｡ ああ それで｡ なるほど｡ 違います！ 違いますよ 先生｡ 勘弁して下さいよ｡ (忠高)ほら ほら｡ また やった｡ やっぱり 仏の…｡ 新八さんでしょ？ ｱﾊﾊﾊﾊ！ <将軍 吉宗の命により 江戸 南町奉行となった忠相の➡ 道理と情けを兼ね備えた その裁きは➡ 大岡裁きと はやされて➡ たちまち 江戸っ子たちの 自慢の種となったのだった> ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ お城へ お帰り頂くのが 何よりの用心｡ これだけ捜して 見つからぬのは…｡ ええ｡ お城へ お帰りになったんなら いいんですがね｡

ボージャック・ホースマン.S03E05.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 いよいよ 今日は公開日だな よせ ついに映画館で上映される やめろ 君は全米の観客の 批評対象になるんだ つまり？ 待てよ　誰も見ないかも マジで誰も見なかったら？ やめろってば 明日の今頃には 成功か 失敗かが分かるぞ ドキドキするよな 神様！ これで オレの俳優人生も 終わりだ そんなことないさ 太平洋映画祭では好評だった 評論家にもウケてた 映画祭なんかより 実際に 上映されてからが勝負だ 客が入らなきゃ… 助けて しっかりするんだ うまくいくさ 東海岸の売り上げが出た 集計の結果 「セクレタリアト」は… 大成功よ！ すぐ言ってくれよ 心臓に悪い 分かってる？ これで ただのテレビ俳優じゃなく 正真正銘の 映画スターになったのよ どんな気分だい？ サイコー ボージャック･ ホースマン この先どんな苦労があっても 諦めずに頑張ろう オレたち２人の愛は 「クール･ランニング」の チームのように熱い セリフを借りれば こうだ “ジャマイカ人が ボブスレー？” まさにオレたちのことさ ありがとう 先生 こちらこそ感謝します 随分 時間をくったわね 最後にダイアンは？ ピーナツバター あなたはサイコーです それだけ？ すみません 感情表現が苦手なんです ライターでは？ ええ あとＳＮＳ担当と ネット媒体が主で… この癒やしの音は 時間切れの意味よ いいこと？　肝心なのは 意思疎通を図ることです ボブスレーの刃だ 今日のところは 誰とは言いませんが 次回は気持ちを 言葉にしてほしいの ちゃんとライターらしく 事務所の歯科保険は 無死歯プランにしました それには歯が立たないわね はい 今 お時間よろしいですか？ 打ち合わせは９分後ですので 時間はありますね 言って ご存じのように 私の職務が増えており… 給与アップ？ 会社の持ち株を 所有したいんです 私の希望は15％なので 10％が妥当ですね いいわよ あとで書類(ペーパー)を ちなみにパイパーの作品が ピンチでペンディングに 今夜はオフです 本当？　珍しいわ ええ　他に何か？ 今夜のデート相手を ３人探して 次のオフは未定だし 当分無いですね “ザ･カンガルーズベルト” そこの君 オレは映画スターだ バーへ案内してくれ もちろんです ホースマン様 サザーランドさん こちらのスターとお連れ様に 席を空けてもらえますか どけよ キーファー スゴイ人気だね 映画スターだからな オレのそばにいれば おこぼれに預かれるかも やった 今夜はパーッといこうぜ お前は無名だけど遠慮するな トッド･チャベス？ ボージャックだろ？ エミリー なぜオレの名前を呼ばない？ 高校卒業以来ね 帽子 似合ってるわ ありがと 何してるの？ 親友の結婚披露宴の 前夜祭に来たの 全く無視か　気に食わねえ まあ Ｂ(ボージャック)･ホースマン？ いまさら？ あなたの番組の 大ファンだったの 「馬(ば)か騒ぎ」？ 「Ｂ･ホースマン･ショー」 のことよ つまり？ サイテーすぎてイケたわ そうか 最悪すぎて笑えたの 分かる？ ああ 十分に 伝わってなさそう “いい番組だから 好き” とは違うの “この番組 ヒドすぎ”とか “でも 逆に見ちゃう”って 感じなの いい加減… だから 大ファンよ オレもさ “参った”って感じ 前夜祭に戻るわ トッド 会えてよかった おい 結婚式だって？ 披露宴の前夜祭よ 押しかけようぜ 映画スターが突然 現れれば みんな興奮してチビるぜ それはどうかな お前はスターか？ 一度 マツダのＣＭに出て イイセンいったよ オチの無い話はもういい 式に乗り込むぞ 前夜祭だってば 感情表現って難しいわ だから 先生に 相談するんだろ クーポンあるし あなたはラブラドル半島で のびのびと育てられ 両親から愛情を注がれてきた 私の育った場所は 狭苦しくて最低だったわ オレの故郷に遊びに行こう いろんな匂いがして楽しいぞ 変だわ Ａ(アレクシー)･ブロセフィーノからよ あの映画スター？ 自宅パーティーへの誘いなの 彼の友達も一緒か？ スゴイじゃないか 仕事絡みよ　パーティーを ＳＮＳに載せたいみたい 今夜 早速やるのね 今夜だって？ 一緒に「ボーンズ」を見て ほっこりしようかと そういう番組だっけ？ 仕事だから行くわ　ごめんね 遅くなるなら電話しろよ 分かった 楽しんできて それは無理 イカした男に会うと 引け目を感じるのよね でも 指名されたんだから 自分に自信を持って 今夜は エレファンテを予約しました 予約？ デートは７時 ８時半 10時 の３件です 本気にしたの？　冗談なのに 空気が読めず すいません 以前 漫才を講義だと思って 聞いたこともあります ３人も無理よ ２人はリスケして 次のオフがいつになるか 弁護士が 電球交換に参りますし なるほど これも冗談ですね？ ここで花嫁１の父として 一言… 〈こんばんは〉 ガンガンやろうぜ どう？ 映画スターの Ｂ･ホースマンだ！ 人生で最良の日です 君は？ キャロラインの事務所の ダイアンです あなたからのメッセージを 見て来たの ああ　あのダイアンね 覚えてるよ　入って ヤバッ！　クリムトね？ カルロスとデビッド シットショーだよ 有名な“色男４人組”ね それは記者が 勝手に付けたんだ ボツだよ 今時 ヤリチンに誰が驚く？ ４人組だから “花の４人組”は？ “四銃士”は？ 最高だよ　カルロス ああ 書き留めろ “女ったらし(カサノバ)”って レッテルを貼られても 完全なバカじゃない シットショーは別さ ウケる 誰だって多面性を備えてる 違うかい？ シットショーは 別？ オレらはダチだから からかってもいいけど… 許して シットショー “エレファンテ” 近代の自動車用ガラスは ＰＶＢの膜を利用した― ラミネート加工の ２枚のガラスなのです 仕事はされてますか？ ええ　エージェントなの すると 芸能界の お仕事ですな あなたも 自動車ガラス業界かと 我々の業界ほど 重要な職種は無いですから ８ヵ月も練習した 愛娘の自慢話をして 皆さんを退屈させるのは やめます 代わりに 映画スターのスピーチを Ｂ･ホースマンさんです どうも 今日 伺った理由は― チョコレート ファウンテンじゃない カレンとタニーシャのことは よく分かりません しかし そんな私でも 分かります 完璧な相手と出会うのは 奇跡だと その時は互いに分かる 分かるよね？ 分かり合った ご両人 末永くお幸せに 映画界なら ここで “終了”の声が掛かります 次は花嫁介添人のご挨拶を タニーシャ　カレン タニ～シャ～ カ～レン～ 運転手が突然“髪触らせて” って車を停めたの 怖いな 人気のアプリなんだし きちんと管理してほしいわ なんてアプリ？ 法的な理由から言えないけど 誰でも知ってるやつよ そんな問題を解決するには 女性客には 女性運転手だけにすればいい いい考えね 相変わらず冴(さ)えてるわ じゃあ “ミニカップケーキ銃”は？ ミニケーキを 口の中に撃ち込む銃さ “あいつ自殺する気か？” “いや カップケーキ銃さ” ってね やめて　前に戻って 前？ “女性運転手”よ タニーシャ カレン カレンとタニーシャ ウォータープロジェクトで カルロスと出会った 彼は再石灰化の特許を 取得した スゴイわ もう仕事の話はやめようぜ ダイアン？ クスリをやるの？ イカしてる これってモリー？ ああ 2013年から来た売人が タイムマシンで運んできた モリーなんて古い ガッシュだ ガッシュ？ 君は慣れてないだろうし やめておいた方が… 大丈夫よ　ちょうだい トリップしたり ヤったり ラリったり… もう飲んだのね さあ いくわよ 即効性は無いのね？ 数分かかる そう シットショーとの出会いは？ 彼のＴＥＤを見たんだ やっと 自分に自信がある 同年代の女性に出会えた だってネコの面の皮は 厚いんですもの しかも 子供を諦めている なぜ 諦めてると？ まさか その年齢で？ 専門家でもないくせに 失礼ね 婦人科の不妊治療が 専門でね よければ 卵子を調べますよ 地球最後の婦人科医でも お断りよ その道では権威だがね ワインは？ ワイン依存症でもあるのね アプリ作成には― 車を10台集めれば バグを発見できる プロみたいだ 私と組んだら あんたの恋人は妬(や)くかしら？ 驚くかもしれないけど 恋人は いないんだ 勝手に決めつけるなんて やめてほしいな 実は フリーだといいなと 思って 私も今は 誰とも付き合ってないし お前ってクールだな オレみたいな映画スターが 友達なんだから オレたちの部屋のカギだ 今は誰もいないし うまくやれよ ボージャック ベッドを調べてくれば？ 壊れてると困るだろ 名案ね じゃあ カクテルを 一気に飲んでからね 飲み干せ トッド よし もう１～２杯飲んで ベッドを調べるか いいけど… みんな 聞いて ずっと ボージャックの 言葉を考えてた “互いに分かる”ってところ それで本当に分かってるか 考えてた 分かってる気はするの でも 言い切れないのは 分かってないからかもって マズイ カレン　愛してるけど無理よ 結婚は中止！ 式は明日よ ありがとう ボージャック まるっきり 効いてないけど 私が変なの？ アレから返事あった？ アレって？ あのカワイイ子か 名前は何だっけ？ いいから 楽しもうぜ ダイアン 何？ その子の名前は ダイアンだ Ｃ(クール)･Ｓ(セクシー)･ダイアンって 保存してたな その話は よせ ダイアンって友達が ２人いるのね ああ ダイアン･レインも 知ってる って関係ねえか ねえ イケてるダイアンに 送ったメッセージが 平凡なダイアンに 届いてるとするでしょ そこで 私が現れて あなたは驚いた しかも 仲間になった気で 帰らない メッセージは ミスだったのに… マジ？　そうだったのね なあ ダイアン 聞いてくれ… 効いてきた　帰るわ 待ってくれ 分かってる 住む世界が違うのよね 確かにオレは 宛先を間違えて送ったさ でもオレたちはもう大人だろ 一緒に楽しむだけさ 戻ってきなよ きっと浮くわ それは 自分次第だよ 本当？ オレがいい例だ イケメンだが 浮いてるとは思わない それに大量にクスリを 飲んでるし １粒だけよ １粒でも大量なんだ ジーンズが いい気持ち 効いてきた 愛情を感じるの 誰かに教えたい だったら オレに話してよ ダメよ　帰って夫に話すわ 待て ダイアン あの木 イケてるな キャロラインさん？ 冗談でしょ ネコとは… ネズミなんて… 結末が読めますね 時間のムダだから やめましょ 会えてうれしかった… Ｒ(ラルフ)･スティルトンです こちらこそ いさぎよく別れましょう デートって面倒だわ 同感だ　やめておこう でも空腹だし 近くに良い店がある 狭苦しい所だけど いいチーズがあってね 急展開だな 誰のせいでもないし帰るよ 娘を説得してくれ そういうのは苦手でね 騙すのは得意だけど Ｎ(ニック)･ケイジにチャップリンの 髭(ひげ)を売りつけたし スターの言うことなら 聞くはずです ランドリーカートだ シーツで幽霊ゴッコする？ トッド 幽霊ゴッコじゃなく 部屋でジャレたいわ どう？ さあ　かなり酔ってるだろ 全然 酔ってないわよ オレは酔いすぎた でも… 気持ち悪いから オレはもう寝るよ あら そうなの でも会えてよかった 私も楽しかった うん　おやすみ マジ？ 腕がワナにハマって― 台所を走り回ったら そこら中 血だらけ 私の車よ 今夜は最悪というより 最高に近いね 最高の友達デートよ それで 考えてたんだが… 友達デートの次は？ 恋人デート デートしよう いいわ よかった いつ会える？　休みは？ どうした？ ミルクのこと気に障った？ 違う　事務所を経営してると 休むのが難しくて 休めたら この番号に連絡して ダメなら いつか結婚式に招くよ ありがと 欠席でも贈り物は送ってくれ タニーシャ ずっと考えてたの あなたが… オレの言葉を真に受けるな カレンは好きだけど 完璧な相手かしら？ 完璧な人なんか存在しない 妥協できる人を 見つけただけでも幸運だ この辺にしとけってこと？ ああ その通りだ でないと 年を取れば 難しくなるし寂しさは増す 寂しさを紛らわせるために 友人や― 仕事や無意味なセックスに 依存しても解決しない そして ある日 ふと気づくんだ 自分を心から愛してくれる 人がいないと それが一番ツラいことだ 結婚式を行います！ 愛してるわ 分かっていたのに 今日は サイコーに幸せな日だわ 事件を解決するには 骨(ボーンズ)がキーよ そんなに骨が好きなら “ボーンズ”と呼ぼう わはは　骨だって ボーンズ･モービルへ ピーバツナター！ ピーパーナンバー！ 大丈夫かい ダイアン 待って　クスリの話を聞いて 科学が生み出した物よ 耳を貸してあげてね 分かった 感情を言葉に表すのは 苦手だけど あなたをとても愛してるの 知ってる 自分を理解してるようで してないかも 実は私ってイケてたり 自己表現が得意なのかも または 私達の 知らない私かもしれない つまり 色んな面があるってこと そんなこと お見通しさ ザルを買い占める 意味不明なところも大好きよ それには訳があったんだ 忘れたけどね 私たち相性バツグンだわ あなたは楽しくて優しい 私の大切な人よ 愛してる　あなたが必要なの クスリのおかげで 苦手なことも言えたわ ああ クスリは最高だ じゃあ 夫をベッドに 連れて行くわ よいしょ おいおい… 大丈夫？ クスリがこうしろって だから 大丈夫なはず 何よ　痛いじゃないの なぜ 暗闇で仕事を？ 気づきませんでした デートは？ 収穫無しよ そういうものです お暇な時に 契約書にサインを 暇など無いわ それと こちらが 社員へのカードです メッセージを 代筆しておきました ありがと “ジュダへ いつもありがとう” これから どうなるの？ さあね ケンカする？ まさか クスリが切れて 意地悪な私に戻るのね なぜ こうなの？ 君は意地悪じゃない 新年のお祝いに ラブラドル半島に行こう きっと気に入るよ フルートを吹く親戚もいる 聞きたい 無理だ 犬笛だから高周波なんだ 血液検査の結果は良好だ 帰っていいぞ それと 今はクスリを避けて なぜ“今は”なの？ 心配せずとも 赤ちゃんは大丈夫だ 赤ちゃんって何のこと？ 気づかなかったのかね？ 妊娠してるよ このクソ…

フラーハウス.S03E05.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ フラーハウス すごく 散らかしちゃった ＤＪなら許してくれる 私の台所に 何をしたの？ 絶対 許さないから 予想が大外れ ＦＢＩ 今夜だけど― キミーは ただの 夕食会だと思ってる 〝ちなみに〞なら ＦＹＩよ いや　ＦＢＩだ フェルナンドの大発表 続けるよ　ＦＹＩ キミーは知らないんだ 俺とジミーが苦労して ギブラー家を― 古き良き姿に 戻したことを 本当に？ 変な芸術品もあるの？ あの卵形の… ある 巨大な… ある ゴムの… あれはない タイでしか買えない キミーには 何も話さないで ＤＪ 話しちゃダメだって どうも 見て　ギプスが取れた よかったわね シャワーが浴びられる 助かった！ それと キミーに言っとく 今夜 ギブラー家の パーティーに行くのは 中を見るためじゃない 入ったことない？ 追い払われてた あんたが来たくないと お化けが出るって言うから 本当に出たよ マッチニック氏ってお化けが ウソつくとズボンに 火がつくよ　謝って 断る　ウソつきじゃないもん レストランで ズボンが燃えた経験はある お互い 謝って 今夜を楽しく過ごそう 分かった　ごめんね バカ相手に 私も ごめん アホ相手に オオカミ女の絆は？ そうだよ　ケンカはやめて 仲間だろ あんたはダメ よう イケメンと赤ちゃん登場 ベッキーがＮＹに行ってる間 この子と２人でさ 大人の会話が恋しい パメラ 大きくなりまちたね まだ恋しい こっちにおいで 私たち今夜 出かけるから 子供たちをお願い そりゃ うれしい ジャクソンとマックスに 話をしてくれる？ ケンカばっかなの 子供の扱いは得意だ でも この子は例外 夜 寝てくれない 今日こそ寝かせる おっと おむつを替えないと ジェシーおじさん いらっしゃい 大好きな子供たちだ スモール ミディアム ラージと… ラモニアだっけ？ ラモーナ ラモニアだろ ラモーナ ラモニア ラ モー ニア 頼むよ パメラ お願いだから寝てくれ 寝てくれる？ よし　おしゃぶりに― ブランケット それからタオルだ お遊びは終わりだ 紫のハチを見て このハチさんが グルグル回って… よくも驚かしたな　悪い子め 笑い事じゃないぞ イケメンのつもりで助言して 傷ついた 若いイケメンってこと 傷ついた 高校生になるから イメチェンしたいの ブロンドかパーマなら？ ブロンドはやめろ 根元のケアは悪夢だぞ パーマは経験ある ベッキーのを？ 自分のだ いろんな髪形を経験した これを見ろ マレット･ジェシー パーマ･ジェシー ファラ･ フォーセット風ジェシー 「フレンズ」の レイチェル風ジェシー 俺のベッドで何してる？ 恐竜の村を作ったの 恐竜は村には住まない 僕の恐竜は住むの これこそ“想像力” じゃあ これは“仕返し” ひどいよ！ １時間かかったのに よくもやったな！ アホたれ！ お兄ちゃんは子供だ やめろ “大好き”と言ってハグを 早く イライラしてるね いいから 今すぐハグしろ 分かった　大好き 僕も大好き それでよし 子育てが得意なのは？ 俺様だ その言い方 何？ その質問を無視するのは？ 俺様だ パパ！ 寝てくれなくて 子育ての心得だ “泣き叫んでも構うな” パパ！ 今 行くよ また ここにいるのが不思議 いつもこのドアを通って 家に出入りした 見て　ピエロのドアベルよ あれ覚えてる？ オラ お隣さん ドアを開けよう 子供の頃の家へようこそ ここでは過去が現在(プレゼント) 俺からの贈り物(プレゼント)は君の過去 皆さん はぐれないように フラッシュ撮影は禁止 ちょっと これって… 最高に美しい景色ね だよね　俺は奇跡を起こした 我が家に戻った気分 怪しすぎて不安になる 下りるのは楽しいけど 上るのがね これって… パパのオナラ･チェア お母さんのもある 私のためにやってくれたの？ ホント 最高 世界で一番だよね くつろいでよ　いつか本当に 君の家になるかも これはオナラ･ソファか 今のは私 お化けは いないね お化け？ 別に信じてないけど… いるの？ お化けはキミーのウソよ ウソは その髪の色 ２人ともやめて 皆 髪の色はウソでしょ いい子にしないと お仕置きだぞ 私がやる！ やり方 分かるね 何する気？ ギブラー家のしつけは 変わってるの 私は とっても悪い子 この状態で 親に置き去りにされたよね 私語は禁止だ イトコと一緒に寝なさい 息を合わせて ぐっすり お休み ダメだ　寝なさい ジャンプ禁止 殺してやる！ すぐ戻る　跳んでろ おい　どうした？ 今のレゴはデカいな 居眠りしてたら マックスが壁を これで部屋が快適になった 壊してやる 俺って強いだろ 子供用のオモチャを ぶち破ったもんな 高校生になるのに 弟と一緒なんて 一人じゃ宿題しないから どうだ！ 兄弟を やり込めたのは？ 俺様だ 俺のマネはやめろ あと 部屋を別にする よかった　そうして 頼むよ ここにする ルームメイトだ ひどいよ ひどくないよ これで決まり 最高だね！ ちょっと 何だ？ パーマ液 つけて そうだった ３人は もう寝ろ 待ってよ　夕飯は？ ホント 世話が焼けるな 何か作る 歩きながら つけるぞ 歩いて つける 歩いて つける　いいぞ 一緒に遊ぶ？ やだ やだ トウモロコシ風の綿アメ おいしい 季節ものだ ご両親は いつ引っ越した？ 2000年問題でシェルターに 地球が無事だと知れば 落ち込む だから伝えてない この家 変だけど お化けはいない マッチニック氏 おかえり 今の何？ キミーが脅かそうとしたの 大丈夫？ マット ああ　これは… クリスマスに欲しい物を 言おうと 今すぐ帰りたい お化けなんていないってば なるほどね　もしかしたら 赤ちゃんお化けがいるかも マットが さらわれた 俺はここだ コンタクトを落とした マット　裸眼でしょ？ 落としたのは勇気だ どう？ 私が正しかったよね もしかしたらキミーは 間違ってなかったかもね つまり正しいのね！ 心がパフェをもらった気分 よっしゃ！ そうだとしても 子供の頃― 私を邪魔者扱いしたことには 変わりない 邪魔だったもん でも今は一緒にいたいって 思ってるよ ありがとう “ウソつき”なんてごめん 子供の頃 のけ者にして ごめん おいで オオカミ女の群れは復活ね 切ったはずが ちょっと待った 君の仕業？ ＤＪに頼まれてね 頼んでないわよ でも ２人のケンカを 止めたいと言ってた つまり お化けがいるように 見せかけてってことだろ？ あなたの前では発言に注意ね そうして ということは 正しかったのは私ね 心がパフェをもらった気分 よっしゃ！ ジミー　やめて 俺じゃない マッチニック氏だ！ この家が激安だった理由が 分かってきた おいで　こっちだ いい子だな パメラもおいで おいで ワンちゃんたち こっちだよ そこで お座り お座り いいぞ 待て おやつは？ 欲しい オッケー よし これを食べてる間に― ２人が逃げないように ここにつなぐ よし これでいい それと… いい物がある 絵を描きたい？ イケてる物を描こう 俺だ 私の髪は？ 犬みたいにつないだの？ 寝ないから散歩へ行った 草の においを嗅ぎ 用を足してきたよ おじさん　後ろ バーガーが ヤバい！ ウェルダンね 知ってる 警報器 鳴ってる 知ってる 痛い 頭がヒリヒリする いつ流すの？ 流すって？ マズい！ 今だ　上でカーラー外してろ すぐ行く 箱の子みたいになれる？ スウェーデン人になれれば そこに描いちゃダメだ 紙をあげたろ 絵は壁じゃなく 紙に描くものだ 絵は… やめろ　子供たちに近づくな 泥だらけじゃないか どけ コストコ あっちへ行きなさい 泥遊びした 知ってる バーガーできた？ いや 焦げた 見てろって言ったよな？ しばらく見てたけど退屈で ウェルダンみたいだね どけ よし！ アヒルバーガーができた マックス さっき昔の部屋に寄って― お前のユニコーンで 鼻水 拭いた ひどいよ！ これでも食らえ お前は死んだ！ 生きてるもんね！ 新しいシャツを汚してやる 食らえ！ お前たち いい加減にしろ！ 後悔させてやる！ 夕食どうだった？ 何なの これ このシャツ 洗えよ 大したことない ジェシーのせいだよ あれはマズいな 私 「トロールズ」の トロールみたい 私の人生 終わり しかも この声を どうにもできない なんで この子たちは つながれてるの？ しかもカウンターに落書きが 顔にも カーテンは？ 焦げ臭くない？ 消火器 使ったの？ 陶器のアヒルを焼いた？ それは… 子供たちは動物だ！ 芸術性を発揮した結果だ カーテンは嫌い 火が出て消そうとしたら 消火器は不良品 そしてアヒルが犠牲に 他に質問は？ この音 何？ 電池を外せば止まるな 上で髪を直してくる あのシッターは給料なし 全部 片づいて元どおりね ラモーナの髪以外はね モジャモジャのままよ おじさん　大丈夫？ 大丈夫じゃない もう俺には無理だ パメラを頼む 17年後に来るよ エルモとヒップホップが好き ちょっと待って どうしたの？ さあな 昔より子育てが難しく感じる 俺にはもう無理かな？ そんなことない この部屋に 住んでた時のことを？ 壁にピンクのウサギが 今もいたら― おじさんが有能だって 教えてくれる お姉ちゃんのＣＭの役を 取って― 台所で殺されかけたのを？ 覚えてる おじさんに命を救われた 台所にいると 殺したくなるのか？ どんな問題も おじさんは解決した いつも忍耐強くて 優しかったわ 最悪な状況でも何とかなった 昔の俺はどこへ？ ここにいる そのイライラの奥を 掘り下げてみれば― 最高に優しい おじさんがいる 確かに俺は最高 ジャクソンたちと話してくる 私たち励まし上手ね おじさんから学んだ カッとなって悪かった 俺たちが悪い 悪いのは俺だ 話も聞かずに― 一方的に叱りつけたからな やり直せる？ 座れ 兄弟で一緒の部屋ってのは 嫌だよな でも よさもある 宿題見てくれたり そうだね 怖い夢を見た時は 心強いはず そのとおり ほら いいもんだろ？ 兄弟であり親友でもある そうだね もう一度 大好きのハグを 心からな 大好きだ 僕も大好き 俺も大好きだ　ハグを パパ！ お呼びだ 今 行く パパ パパは ここだよ もう一度 寝てみようか オッケー よし　歌ってやろう いくぞ 僕を君の… 心から歌って 僕を君の大好きな 　　テディ･ベアにして 首に鎖をかけて 　　連れ回してくれ どうか お願い 　　君のテディ･ベアに 君のテディ･ベアになりたい まだイケる 日本語字幕　鈴木 恵美

クロコーチ＃02

1 《≪(銀行員)おい 君 ３億円！》 <(清家)今から45年前> <昭和43年12月10日> <一人の警察官を装った男が> <昭和の犯罪史に名を残す> <現金強奪事件を起こした> <３億円事件は> <今も なお未解決> ≪(住人)外から注意しても 誰も出てこないのよ➡ 薄気味悪いったら ありゃしない ≪(警官Ａ)あ～あ➡ これじゃ 苦情も出るわ (大音量でﾛｯｸﾐｭｰｼﾞｯｸが流れている) (Ｂ)ｲﾝﾀｰﾎﾝも聞こえないっす (大声で)ああ？ 何だって？ (大声で)もう らち明かないんで 蹴りま～す！ (音楽がとまる) (黒河内) 物騒な世の中になりましたね～ (畑山)郷田さんも何も 自殺することはなかったんだよ 人間死んだら おしまいなのにさ 郷田先生に 生きてられると 困る人がいたりしてね 自殺じゃないっていうのか？ さあ～ 君 名前は？ (堀)あッ ポリス いや 堀ッス (Ａ)え～っと 堀さんね➡ あのね 近所の方々が 迷惑してるんですよ あッ 今から任務なんで～ あッ めい想？ お宅がかぶってる それ 本物なの？ ちょ… や… やめてくださいよ！ お… 応援呼びまーす えッ？ 今日で収賄罪の時効 見事成立です フン 散々ゆすりおって (携帯着信) はい 黒河内～ 兄貴 おまわりさんが僕のこと いじめるんです ☎助けてくださいよ ちょっと そいつに代われ うん？ もしもし お宅 どなた？ 神奈川県警 捜査二課の黒河内だ く くろ… そこにいる金髪はな 俺の大切なパートナーだ それ以上 そいつを詮索したら 殺す ブーッ 失礼しました！➡ 帰ろう (Ｂ)いや でも まだ何も… いいから 黒河内さんはヤバイんだよ ≪(Ｂ)何で？ お前 ホントに人を殺したことが あるんじゃないのか？ まさか 沢渡前知事じゃあるまいし (柿崎)郷田先生の 遺書によるとですね➡ 沢渡先生は ８年前➡ 女子高生の金本真美さんに 淫行したうえ➡ 首を絞めて殺害し さらに その半年後には➡ その秘密を知った ｳｪﾌﾞﾃﾞｻﾞｲﾅｰの遠山宗司さん一家を➡ 人を雇って殺害したと 書かれてあるんです 一連の犯行に手を貸したと 同じく書かれている橋本先生が 口を割るのも 時間の問題だと思うのですが (沢渡)そう (橋本)私は潔白だ！ (牛井)まあまあ橋本先生 落ち着いてください 先生が それでは この遺書を書かれた郷田先生も➡ 浮かばれないんじゃないですかね (布袋) 沢渡の勾留期間は あと１週間➡ それまでに橋本の自供がとれるか ≪(橋本)話せば殺される➡ しゃべれば きっと私は➡ 郷田と同じ運命だ あの 殺されるって誰にですか？ (橋本が苦しみ出す) 橋本先生 大丈夫ですか？ 先生ッ (布袋)どうしました？ (牛井) 先生を早く医務室にお連れして (坪倉)大丈夫ですか？ (布袋)医務室に連絡しろ 行け しっかりしてください！ あの～ 郷田さんは 自殺で確認済みですよね？ あれ？ 清家さんは まだご存じなかったんですか ≪(堂島)怪文書？ (田宮)ええ 今朝 私宛てに こんな匿名の文書が 送られてきたんです (堂島) ｢郷田元議員は 自殺ではなく｣ ｢黒河内警部補に殺された｣？ まあ 警察への イタズラだとは思うんですが (薬師寺)知事 実は 郷田元議員の検視結果から 首に残されたロープの痕が 不自然だったことが分かりました それは つまり… つまり 郷田元議員は 殺害された可能性が 出てきたということです え～ッ それで また 僕が疑われちゃってるの？ 郷田さんが死んだとき 確か黒河内さんは 現場にいらっしゃいましたよね？ 《あれ～ 見つかっちゃった？》 あのね 真実を知る郷田が死んで ｼﾒｼﾒと 思ってるのは沢渡のほうでしょ？ 大体 僕は 自殺に見せかけて 人を殺すテクなんか持ってません あいつじゃ あるまいし あいつとは？ 実はね ここだけの話 ＶＩＰ御用達の殺しを 請け負う人間が 県内に潜伏してるって 噂があるんですよ ＶＩＰ御用達の… この２年間 ｽｷｬﾝﾀﾞﾙが持ち上がると 都合よく 人が死んじゃうの しかも表向きは 全員 首つり自殺 現場からは 犯人の指紋や 毛髪など ＤＮＡが分かるものは 検出されなかったのでしょうか？ それが全くの皆無 まあプロなら 全身の体毛をそるぐらいのことは するでしょう あッ ひょっとして 郷田をやったのも そいつだったりして 待てよ 郷田が沢渡の指示で 殺されたんだとしたら 橋本先生も危なくなるな～ だって沢渡逮捕の 最後の 生き証人になっちゃったでしょ？ 橋本先生は あの～ 橋本さんは 体調を崩されて 自宅療養になりました あっちゃ～ (橋本)帰ったぞ どうして… ≪お帰りなさ～い ごきげんよう (刑事調査官) 死因は 頸部圧迫による窒息死➡ まあ 自殺で間違いないかな う～ん 取り調べで死にたくないと わめいてた人間が 自殺なんかするかね？ (堂島)自殺だと決めつけるのは 早急じゃありませんか？ 本部長！ たまたまね 家を出るときに 橋本議員の訃報を聞いたので 立ち寄ってみたんです (磯村)課長に電話したほうが… だな (坪倉)班長 うん？ ほ… 本部長 ご苦労さま (布袋)で？ あッ はい 昨夜10時頃 この辺りで 近隣の住人が パトロール警官が歩いているのを 目撃していたんですが ところが その時間 この辺りに警官はいなかった はい そのとおりです どういうことだ もし他殺だとしたら 犯人は 警察官に扮して犯行に及んだ あるいは 本物の警官か よし 《３億円事件の真犯人って 誰でしたっけ？》 《何の話ですか？》 (牛井)昨夜 死亡した 橋本議員一家の死因について 検視結果から 首に残されたロープの痕 索溝が 三人ともＶ字に２本 ついていたことが判明しました➡ さらに せんだって首をつり死亡した➡ 郷田元議員の首からも これとよく似た➡ 索溝が見つかっています つまり いずれも何者かが自殺に偽装して 首を絞めて殺害した可能性が高く その手口から 犯人は同一犯だと思われます 郷田さんも自殺じゃない 《ＶＩＰ御用達の殺しを 請け負う人間が》 《県内に潜伏してるって 噂があるんですよ》 《しかも表向きは 全員》 《首つり自殺》 同一犯の犯行… 加えて昨夜10時頃 現場近くで 警察官を装ったと思われる 不審な男が 目撃されていることから➡ 本件を他殺の線で➡ 郷田元議員の再捜査と併せて 捜査を進めたいと思います では本部長 よろしくお願いいたします 今回は 田宮知事からの要請もあり 特例として 私が捜査の指揮を 執らせていただきます まずは 現場付近で目撃された 不審人物の捜査に あたってください 以上 (一同)はい！ ケンカはいけないんだよ 悪い子は逮捕しちゃうぞ ちょっと どうしたんですか➡ 何なんですか あなた ああ ポリス？ いや 堀ッス ほ… 本物のおまわりさんを呼びますよ ぼ… ぼ… 僕も おまわりさんだ！ で 警察は その偽警官とやらを捜してるの？ あるいは 本物の警察官かもしれません 知事に届いた怪文書のせいで また僕を疑っちゃってるとか？ 怪文書のこと よくご存じで でも犯人は 別にいるよ～ それは この間おっしゃっていた ＶＩＰ御用達の人物？ ちなみに あれ全部 清家さんの大好きな未解決事件 話していただけますか？ 欲しがるね まず 県内で起きた最初の不審死は ２年前の４月２日 ２年前 ４月２日 2011年４月２日 魚市場の移転をめぐり 汚職に関わった県会議員が 宿泊先のホテルで首をつり自殺 せいか～い で 次は その３ヵ月後 県内の大物実業家の薬物疑惑 2011年７月15日 実業家の薬物疑惑をｽｸｰﾌﾟした 週刊誌の記者が 妻とマンションで 首をつって自殺 また せいか～い じゃあ今年１月の 空港予定地といえば？ 2013年１月25日 空港予定地の土地買収に 唯一反対していた老夫婦が 自宅で首をつって自殺 またまた せいか～い それ全部 首に残されたロープの痕が Ｖ字だったのは知ってる？ ということは… 今回の２つの事件と同じ しかも全部 犯行時刻に現場近くで 警官が目撃されてたとしたら 全部 今回と同一犯 (堀)兄貴 兄貴 兄貴 兄貴 兄貴 あ～ すっきりした お肌ツルツル 犯人は なぜ警察官の格好を しているんでしょうか さあね そう簡単に情報は渡せないよ だって みんな 俺のこと疑ってるんでしょ？ ねえ いつも行観 ご苦労さまです 警務部の皆様 (バイブレーター着信) はい 目撃？ 分かりました よかったら 力貸そうか？ 犯人逮捕に協力する代わりに 一課の捜査情報 教えてくださいって言ってるの アンダースタンド？ 捜査情報は漏らせません (バイブレーター着信) 管内の公園で 堀と名乗る警察官の格好をした 不審人物が目撃されたそうです 漏らしたね～ (堀の荒い呼吸) (携帯着信) 兄貴 フフフッ お前 取り調べにも ＶＩＰ待遇ってもんがあんだよ そんな待遇 聞いたことありません… イッテ 俺が ここで見張っててやるから 早く ｼﾅﾎﾞﾝでも買ってきてやれよ こんにちは～ あれ？ 少し痩せられました？ 知事 あッ 元知事か 実はですね この間 聞きそびれちゃったことが あったんですよ 45年前の 府中で起きた ３億円事件の犯人と現金の行方 教えていただけたら 不起訴にして差し上げますよ この証拠 いくらぐらいで 買っていただけますか？ あッ 45年前の３億円って 今なら 10億円ぐらいになってますよね？ もう結構 使っちゃってます？ 五島と嶋刑事は これで殺したんでしょ？ どうでしょう だったら これは 郷田先生と橋本先生をやったのは あの人ですよね？ ≪(磯村)班長 ああ？ 班長 これ 堀という男のアパートから 郷田 橋本元議員の 首に残っていた索溝と一致する ロープが発見されましたが 本人は まだ見つかっていません はあ～ そうですか まだ見つかりませんか ですが 犯人につながる 有力な手がかりが それは？ はい ２日前 職務質問の際➡ その堀という男は➡ 携帯で 県警の刑事に 助けを求めたそうです➡ 県警の刑事に？ 残念です はい はい 分かりました 堀という不審人物は 逃亡したあとだったそうです あら～ それは残念でしたね はい はい あらら 清家さん はい 今 県警１階のロビーです ねえねえ さっきから誰と話してんの？ 黒河内さんは 堀という不審人物と お知り合いなんですよね？ はあ？ 何？ どういうこと？ 申し訳ありません ちょっと 清家～ (牛井)黒河内警部補 郷田議員 ならびに 橋本議員一家殺人教唆の容疑で 任意同行を求めます あっちゃ～ 清家ちゃん 法則を探して 法則？ あとは被疑者ですか はい 堀の部屋で見つかったﾛｰﾌﾟが 郷田 橋本元議員が首をつったﾛｰﾌﾟと 完全に一致しました➡ また住民票は偽造されたもので 堀という名前も 偽名だと思われます 法則… 法則 よって この男を 殺害容疑の被疑者と断定し 明日から ｱﾊﾟｰﾄ周辺の地取りを 中心に行方を追ってください (一同)はい！ 課長 すいません 共犯者と思われる黒河内は 被疑者との関係を吐きましたか？ それが残念ながら 黒河内君は 黙秘権を行使しています (龍井)黒河内君さ お願いだから何かしゃべってよ 一応 君の上司なわけだしさ 失礼しま～す あの～ 何をされているんでしょうか？ (澤)あッ これ？ 地蔵背負い こうやって 首にロープを引っかけて背負うと 相手の体重が重しになって もがけばもがくほど ﾛｰﾌﾟが食い込んでいく っていう技 地蔵背負い… はあ～ 橋本って議員の検視のときにね➡ ワイシャツのボタンが１つ とれて なくなってたらしいのよ 私の専門じゃないし 放っておこう と思ったけど黒河内がしつこくて で 担当に現場に行って 見てもらったってわけ➡ そしたら 首をつった場所じゃなく サイドボードの下に➡ １つ ボタンが転がってた それで殺し方が ピンときたってわけ 上には報告したんだけどね 伝わってなさそうね この足形は 犯人の？ そう 推定身長 175～180センチ ねえ ところで今日は何しにきたの？ あ… 法則をちょっと 2005～2007年に 福岡で３件の不審死 ねえ 何か気づいた？ これが法則 全国で起きた 首つりに限った不審死を調べたら 2005～2007年は 福岡で３件 2008～2010年は 大阪で６件 2011年から神奈川で４件 これら全て 今回の犯行の手口と 同じと思われる案件でした あッ あの～ つまり 今回の犯人は ８年前から ある一定の法則に基づいて 犯行を重ねていたのでは ないでしょうか ああ これ３年ごとに 場所が変わってますね はい 例えば 国家公務員の 転勤の多くは３年です 国家公務員？ 清家 一連の被疑者が キャリア組の中にいるって 言いたいのか？ まだ そこまでの確証は… だったら そんな仲間を 疑うようなことは言うな 私じゃない！ では 念のため 内部調査にかけてみましょう 皆さんは引き続き 堀と名乗る 被疑者の捜査にあたってください (一同)はい！ よく これに気づいたね でもね 真相に近づいたのはいいけど これを本部長に見せたのは 怖いもの知らずすぎるよ どういう意味でしょうか？ まあ これでホシが捕まってくれれば こっちも こんなところに 隠れてる必要なくなるしね 黒河内さんは わざと捕まったんですか？ だって 郷田と橋本の殺しを 指示したのが沢渡なら ８年前の事件を暴いちゃった僕も ヤバイでしょ 《あるいは 本物の警官か》 ということは あの怪文書を送ったのは 黒河内さん？ (口笛を吹く) 大せいか～い ここにいれば 命は安全だからさ 実はね 堀とつながってたのは あいつが犯人って確証を得るため それにもっと 知りたいことがあったからなの もっと知りたいこととは？ まあ 色々知っちゃったのは 清家さんも同じだから あいつが捕まるまで 用心したほうがいいよ 殺人犯って 捕まえるときが 一番危険だっていうしね～ (少年Ａ)うえの公園でしよう (Ｂ)分かった やっと あの人が認めてくれた 頑張るからね (チャイム) はい 清家です [ﾃﾚﾋﾞ]巡回連絡です 夜分遅くに すみません でもって失礼します あッ あッ あの～ ちょっと準備しますんで 待っててくださいね 推定身長 175～180センチ 堀ッス 地蔵背負い… 警察なのに弱え 僕のほうが よっぽど おまわりさんらしいよ (ドアが開く) (せきこむ) 兄貴が 何で？ お前を逮捕するために 決まってんだろ はッ？ ハメたの？ クソ～ッ うッ… すっぽんぽんで 俺に勝てるわけがねえだろうが ねえ 清家さん もう少し 早くいらっしゃることは できなかったんですか？ それじゃ 現行犯逮捕にならないでしょ？ 黒河内君 ホントは飲食禁止… あれ？ ≪(龍井)まずいって (牛井)彼が郷田議員と 橋本議員一家を殺した犯人ですか そう 自称･堀 清家さんの調べた過去の事件も たぶん こいつですよ てことで 僕は 無罪放免で いいですかね？ その男ですか 清家君を襲ったのは はあ～ 出来損ないの殺し屋 といったところですね ですかね～ (堂島)こんな姿を見たら さぞかし親も嘆くでしょうな うう… ≪(牛井)よせ やめなさい (堀の うなり声) やむをえなかった 被疑者死亡 やる～ でも まだ終わってませんよ えッ？ 機は熟しちゃった そろそろかな 機が熟しちゃったとは どういうことなんでしょうか？ 僕が知りたかったのは 自称･堀を操ってた ホンボシのことだけ ホンボシとは 沢渡さん？ 清家さんは何で 警察官になろうと思ったの？ おっしゃってる意味が よく分かり… 何で なろうと思ったの？ 警察官だった 父のようになりたいと思いました 堀も そんな感じなんじゃない？ それじゃあ ホンボシの鬼退治といきますか きびだんご ないけど いや～ 悪いことって できませんね 堂島本部長 何ですか 二人して一体 分かっちゃったんですよ 堀の正体と 堀に清家さんの殺しを依頼した 人物の正体がね 誰なんですか？ あの被疑者って 本部長のご子息ですよね？ ええッ？ 本名は 堂島武 27歳 兵庫県出身 10歳のときに母親が病死し それから父親に 男手一つで育てられ 高校のときに警察官を志すも 挫折 それが原因で引きこもり 父親とケンカし 19のときに 家出したんですよね？ 本部長 あいつ あなたにバカ呼ばわりされて 思わず拳銃 奪ったじゃないですか 僕は てっきり あなたを撃つと思ったら あいつは 銃口を清家さんに向けましたね あれは あなたに初めて頼まれた仕事を どんなことしても やり遂げようと したかったからじゃないですか？ 生きる道は 間違えちゃったけど それでも あなたに 認められたかったのかも しれませんね さ･い･ご ま･で もう ジ･エンドですよ 家出して以来 一度も会っていなかった ご子息が そういうことしてるのは いつ お知りになったんですか？ 郷田が殺された日 あの子から電話がありましてね 《(武)だって お父さん➡》 《ちっとも僕に 気づいてくれないから》 《だから 逐一 報告することにしたんだ》 《僕は ずっとお父さんのこと 追いかけてきたんだよ》 《ずっと ずっと》 《ずっとね》 《でも》 《これで共犯だね お父さん》 橋本が死んだときも 《あッ 僕だよ》 《また殺しちゃった》 あなたは 息子の殺しを黙認したうえ あることに気づきかけた 清家さんを殺すよう指示を出した きっかけは 田宮知事に届いた怪文書だった あれは 黒河内君を 告発する内容だったが➡ 同時に郷田の死は 自殺ではないと 断定したものだった つまり ご子息を守ろうとして 真相に近づいた私を襲わせた… 違うでしょ この人が 守りたかったのは息子じゃなくて 県警本部長のイス だから 息子との関係がバレる前に 清家さんを消そうとしたの 策におぼれたな 堂島本部長～ 私を逮捕するんですか？ 見逃すことはできません ちょっとごめんよ そりゃもう ほら 本部長の協力次第ですよ だから 郷田と橋本の殺しを 息子さんに依頼したのは 沢渡ですよね？ それを証明してくださいよ 君はなぜ そこまで あの人に執着するんです？ あれ？ そういえば 偽警官っていったら ３億円事件の犯人も 偽警官でしたよね？ あれ～ やっぱり本部長も 何かご存じなんですか？ 本部に連絡させていただきます 待って 待って 待って 違うんだって これも作戦なの 今 実は ３億円事件の真相に 一歩近づきそうなの 突き詰めると あなたのお父さんにも関わる 大事なことなの 私の父に関わるとは？ だから それを今から聞き出そう… (大きな音) あっちゃ～ これも… あなたの 作戦どおりなんでしょうか？ いや 沢渡の作戦どおりだな これ 恬恬 ワア ハオシャンノ～ (恬恬)ハオツー 本部長がホシの父親だったとは… ですね ともかく今回の事件は 被疑者死亡で完全に幕引きだ たった今 沢渡が釈放された (薬師寺)怪物 野に放たれたか (記者)証拠不十分で 不起訴になられたそうですね ええ ただ これで私の疑惑が 晴れたわけではございません なので この責任は 改めて県警に追及するつもりです [ﾃﾚﾋﾞ](記者)県警の堂島本部長が 自殺したことはご存じですか？ [ﾃﾚﾋﾞ](沢渡) 惜しい人を亡くしましたね➡ [ﾃﾚﾋﾞ]それに こんな話も聞きましたよ [ﾃﾚﾋﾞ]県警の捜査員が２名 休暇届を 出したまま消息不明になってると [ﾃﾚﾋﾞ](記者が どよめく) 殺されちゃうかもな～ 俺 死んじゃったもんな この人に関わった人 全員 [ﾃﾚﾋﾞ](沢渡)まあまあ… あの [ﾃﾚﾋﾞ]それについては 県警の黒河内警部補が➡ [ﾃﾚﾋﾞ]よ～く知ってると思いますよ [ﾃﾚﾋﾞ](記者が口々に)黒河内警部補？ 近づきすぎたみたい 俺も

斉木楠雄のΨ難.S01E09.JA

1 ♪～ ～♪ （ノック） （照橋(てるはし)）ハア～… 絶対 誤解されちゃったわよね アレ その辺のイケメン程度なら 誤解って すぐ分かるけど トップアイドルの六神(むがみ) 通(とおる)だと リアルなのよね～ （照橋）はっ！ （六神）どうした 心美(ここみ)？ ビックリさせないでよ！ （六神）ノックに気づかないとは 何を考えてたんだ？ 別に 何だっていいでしょ？ 元はといえば 全部 お兄ちゃんのせいなんだからね！ えっ!? （母）あーっ！ 通君がテレビに出てる～ （父）誰だってー？ （母）パパ 知らないの？ 六神 通君よ～ 今 一番人気の若手俳優 私 すっかり ファンになっちゃったの え… じゃあ パパと その… 通君… どっちが好き？ （母）あら 決まってるじゃない もちろんパパよ パパに比べたら 通君なんて 犬のフンに群がるハエよ！ （父）ママ… （楠雄(くすお)）言い過ぎだと思う （父）僕も ママに比べたら すべての女性が 便器にこびりついた ウンコにしか見えないよ （母）パパ… はあと （楠雄）どっちも例えが 全然 ロマンチックじゃないな… （ピンポーン ピンポーン） （母）あら 来客かしら？ （ピンポーン ピンポーン…） （父）も～ 空気 読めないな～ （母）はーい どちら様…？ あっ… きゃああああ！ （母）あ… ああ… （父）どうした ママ!? ハエが… じゃなくて… （六神）夜分 恐れ入ります （父）あっ!? 斉木(さいき)楠雄君のご自宅は こちらでよろしいでしょうか？ （シャ～ラララ～♪） えっ… あっ！ （父）あっれえええ？ テレビの人だ～!! （楠雄）うるさい　近所迷惑だ （母）どうぞ… （六神）ありがとうございます 楠雄君 この前 映画館で会ったの 覚えてるかな？ （楠雄）来ることは知っていた 全く会いたくないが 学校や街中で待たれても困るから しかたない 実は 心美と僕は兄妹(きょうだい)なんだ よく間違われるんだよ　恋人同士に （母）ええ～っ！ 心美ちゃんの!? （楠雄） まあ それも知っていたけどな 六神 通は芸名で 本名は照橋 信(まこと)といいます 妹が 楠雄君に勘違いされたと 悩んでいまして それで僕が説明しに伺ったんです （母）まあっ！ （父） 悩むなんて 何なのかしらね～ （母）何なのかしらね～？ キャ～ッ！ （楠雄）くだらない考えは捨てろ （母）あっ！ お夕飯作らないと… にぎやかなご両親だね あー そうだ 楠雄君 これは心美からじゃなくて 僕からなんだけど 聞いてくれるかい？ あのね… 妹に近づくな クソボケが！ クラスメイトだか何だか 知らないが 図に乗るな ハナクソ！ おこがましいんだよ このクサレメガネが！ （楠雄）まあ コイツの本心は 知っていたが まさか ここまで ノーフィルターで言ってくるとは… さすがに傷つくぞ この 犬のフンに群がるハエが！ （楠雄）その理屈だと 照橋さんが犬のフンになるが… （六神）お前さあ ワンチャンあると思ってる？ （楠雄）思ってないが… （六神）毎日会うから 挨拶程度できるようになって 長い交際期間を経て ゴールインとか思ってるだろ？ （楠雄）思ってないです 夢見てんじゃねえよ カス！ （楠雄） 思ってねえって言ってんだろ？ あんな美少女だ 死肉に群がるハイエナのように 引き寄せられるのは 無理もない （楠雄）その理屈だと 照橋さんが死肉になるが… （六神） 心美は 美少女なんてもんじゃない 神が作り出した最高傑作の芸術！ （楠雄）言い過ぎだと思う… （六神）その心美と釣り合うのは… この俺だけだ！ （楠雄） 何を言ってるんだ コイツは （六神） お前は ただのクラスメイト 俺は 生まれた時から そばにいた！ （楠雄）兄妹だからな 妹と結婚するのは この俺だ！ （楠雄）なるほど 変態か （六神） 心美を 汚らわしい凡人などに 渡すものか 触れることができるのは 兄である俺だけだ！ （楠雄） どうして こんなになるまで 放っておいたんだ ああっ 心美！ 君を世界で一番愛しているのは この僕だよ！ （楠雄）まさか シスコンの域を こんなにオーバーした奴(やつ)だったとは （六神）金輪際 心美には近づくな 見ることも許さない 同じ空気も吸うな （楠雄）やれやれ 厄介な相手に目をつけられたものだ まあ いい　帰ってもらおうか （ピンポーン） （母）はーい どちらさ… あっ いらっしゃい （足音） （楠雄）お迎えだ （六神）おっ!? 心美!? どうして ここにいるの？ （六神）ど… どうして ここに!? （楠雄）僕が呼んだんだ （誰かの声） 兄 斉木宅ニ イル… 急ゲ… （楠雄）僕がテレパシーで 照橋さんに呼びかけたんだ （照橋）ねー どうしているの？ （楠雄）さあ さっさと この変態 連れて帰ってもらおう （六神）斉木君に誤解されたこと 悩んでただろ？ （照橋） え？ 言ってないのに 何で… 心美の考えてることなら 何でも分かるよ もう大丈夫さ！ 全部 説明したから （照橋）そ… そうなんだ よかっ… えっ!? いや！ ちょっと待って！ それって 私が 斉木のことで悩んでたって 伝わっちゃったってこと？ あああ… （イメージの楠雄）照橋さん 僕のことで悩んでたんだ… 僕はいつだって心美の… （照橋）何で… （六神）ん？ 何で余計なこと するのよ！ お兄ちゃんなんて 大っ嫌い！ 大っ嫌い… 大っ嫌い… え… （照橋） もう一生 口利かないから～っ！ （足音） ああ… （チーン） （六神）おっふ… （楠雄）置いて帰るな （先生）制限時間は50分 私語は厳禁 不審な行動は慎むように それでは… 始め！ （楠雄）今日は期末テスト 大半の生徒が嫌いなこの行事だが 僕は嫌いじゃない なぜなら… （男子）問１は… Ａだな よし 次 （女子）Ｂじゃないかな （女子）Ａね　間違いないわ （楠雄） カンニングし放題だからである 超能力者の僕にとって カンニングなど たやすい テレパシーで 全員の考えが読めるし 透視で 前の席の回答を 視(み)ることもできるし 念写で 手っ取り早く 正解を写すこともできる だが 勘違いしないでほしい 僕は 高校レベルのテストくらい 自力で満点が取れる 僕がカンニングをしているのは 目立たないため 平均点を取るためだ だから僕は 間違えた答えを カンニングしているのだ ２年生181人中 真ん中の順位が取れるようにな 正解はＡだが Ｃにしとくか？ （チャイム） （生徒）マジ最悪だよー （生徒たち） 次は何だっけ 化学？ どうだった…？ （海藤(かいどう)）浮かない顔だな （楠雄）海藤か テスト うまくいかなかったのか？ 悪いが 俺は完璧だぜ！ （灰呂(はいろ)）いいなぁ！ 海藤君 灰呂か 貴様は どうだったんだ？ 僕は 全然ダメだったよ テスト勉強しなかった僕が いけないんだけど （楠雄）ただの勘だが 灰呂の方がいい点 取りそうだな （燃堂(ねんどう)）オウ　オレも 勉強 全くやってきてねーぜ （楠雄）知ってる （海藤）ケッ のんきな奴だ （燃堂）へへっ… テストなんざ テキトーでいいんだよ （先生）おーい 燃堂 （４人）ん？ このテストで赤点３つ以上あったら 留年だからな （灰呂）留！ （海藤）年！ あー… （海藤）心配するな （燃堂）おっ？ （海藤）学年が違っても 俺らは 同い年だ タメ口でいいからな （灰呂）おい！ 諦めるの早いぞ！ （楠雄） 燃堂に“赤点 取るな”なんて 酷な話だ （灰呂）頑張れば 何とか… （燃堂）なあ… “りゅうねん”って何だ？ （楠雄）このレベルだぞ （燃堂）でーじょーぶだよ テストくれぇ オレっちには秘策があっからよ （灰呂･海藤）えっ？ （燃堂）コイツよ （ピンポーン！） これさえありゃ 完璧よお！ （３人）終わった… よーし 始め！ （楠雄）やれやれ… あいつも もうすぐ見納めか… よっしゃ！ “エ”だな （楠雄）あんな方法でも 赤点を逃れる方法が１つある 僕がサイコキネシスで 鉛筆を動かせばいい （燃堂）よっ！ また“エ”か （先生）うるさいぞ 燃堂！ （楠雄）だが いくら僕でも 努力をしない奴を助ける気がしない ここの答えは エエイアアだ “もらい泣き”で覚えておくといい （燃堂）頼む～！ おっ “ア”だな （楠雄）合ってる!? これは… （先生）あっ オイ！ （楠雄）一体 どうなっている？ あっ…！ （鳥束(とりつか)） オイ 聞いてんのか？ 問１から もうギブだっつーの 頼むぜ　テストのために わざわざ連れてきたんだ （鳥束）あれ？ （楠雄）なるほど さっきから燃堂が 二重に見えると思ったら お前だったか… 燃堂父！ （燃堂父）次は５問目か～ （楠雄）しかし なぜだ？ 幽霊は前世の記憶がないから 息子だと知らないハズだろ？ （燃堂）よっしゃ～！ （燃堂父）何でかなぁ～？ なんかコイツのことは ほっとけねーんだよな （生徒たち） おお… おい どういうことだ？ （２人） 181人中 90位だとぉぉ!? （海藤）万年ビリのお前が 何で！ （燃堂）ヨユーっつったろ？ （海藤）やったのか!? オイ！ （燃堂）違(ちげ)ぇーよ バーカ ココよ ココ！ （海藤）そうか 頭を打ったんだな 側頭部か （灰呂）すごいよ 燃堂君 ビリから90人もゴボウ抜きなんて！ 尊敬しちゃうよ （海藤）うわっ！ 何 そのイヤミ （灰呂） い… いや そんなつもりは… フン！ 学力など 戦いには何の役にも立たんぞ （海藤）徹夜したのに… （燃堂）おいおい 負け惜しみかよ チビ （海藤）てめえには負けてねえよ！ そんなバカじゃな… （３人）あっ！ （海藤）す… すまん… （楠雄）何がだよ… いや 僕は狙いどおりの順位だ 問題ない （海藤）いや… でも 斉木は悪くないよなあ！ （灰呂）そうそう！ 気にすることないよ （楠雄）慰めるな 余計 みじめになる いや～ しかし やっぱスゲ～ぜ！ 父ちゃんの形見の鉛筆の力はな え？ その鉛筆 お父さんの形見なの？ オウ！ （海藤）サイコロで この点数とは お前 超能力とか あるんじゃねーの？ （燃堂）オウ！ を？ 零太(れいた)の名前ねぇな あったよ　端の方にな… （男性）僕は もう終わりだ すべてがおしまいだ （楠雄）やれやれ テレパシー封じの指輪を 外した途端 すぐコレだ ネガティブな心の声は 気が滅入る 重症だな コイツ しかし 何だろう この声… どこかで聞いた覚えが… おっ！ （蝶野(ちょうの)）ハア～ アハ アハ… （楠雄） うん 全然知らない人だった さて 家に帰ろう （蝶野）はっ！ し… 師匠！ （楠雄）人違いだ （蝶野）何ということだ こんな時に師匠が現れるなんて！ まさにアメージング！ （楠雄） 人違いって言ってるだろ タコ （蝶野）師匠 お願いします！ 僕の助手として マジックショーに出てください！ （ＭＣ）皆様 お待ちかね！ あの“奇跡のマジックショー”にも 出演したイリュージョニストが 新作を引っさげて登場だ！ 蝶野雨緑(うりょく)～!! アメージング！ （観客）ワァァァァ！ （ＭＣ）ものすごい歓声だー！ （楠雄）相変わらず変なポーズだな しかし 人気の方は 以前とは比べものにならない それは ともかくとして 僕は何をしているんだ？ （蝶野） 今夜 大事なショーがあるんです しかし 助手のマイケルが 事故に遭ってしまって… （楠雄）なに… イケさんが？ （蝶野） 幸い 命に別状はないのですが 今夜のショーは無理だそうです だから 知り合いに片っ端から 助手を頼みに行きました 答えは 全員Ｎｏ(ノー) 友達や仲間が 全員 消えていきましたよ まるでイリュージョンのようにね （楠雄）笑えない冗談だ （蝶野）しかたがないので 母に頼んだんですが あまりにムゴかったので やめました （楠雄） 実の親に“ムゴイ”言うな （蝶野）お願いします！ 僕と一緒にショーに出てください！ （楠雄）悪いが断る ああ… 待ってください！ 大事な舞台なんです！ つ… 妻が… 別れた女房が見に来るんです！ だから… 絶対に… 絶対に出なくちゃ… うっ うっ… ん？ はっ！ 遠いね！ （楠雄）だって面倒くさいんだもの あと 妻を 女房に言い直したところとかに ちょっとイラッときた （蝶野）じゃあ 最後に これを見てください！ 貯金 はたいて購入した 人体切断マジックの器械です 新品だと120万するのですが お金が足りなかったので 中古品です 118万でした （楠雄）いっそ 新品 買え （蝶野）なので説明書がないんです 一応 マイケルと いろいろ試したんですが… ダメでした （楠雄） 事故って これ？ （蝶野）幸い その時のケガは 軽傷で済んだのですが その２日後 オートバイに 30メートル― 吹っ飛ばされるという 事故に遭って （楠雄）イケさん！ （蝶野）とにかく いまだに 使い方が分からないまま… でも こうなったら １人でやってみせます！ （楠雄）いや やめた方がいいな だって この箱は 本当にタネも仕掛けもない ただの箱だからな （ヴィィイン…） （蝶野）本番はこのチェーンソーで やろうと思うんですよ 観客を助手に使って （楠雄） あかん あかん あかん あかん というわけで 助手を引き受けた （蝶野）緑(みどり)… どこにいるんだ？ 違う これも違う… これも… あっ！ 違うか… （楠雄） お前の嫁は どんなビジュアルだ （蝶野）いや 今は ステージに集中するんだ！ 師匠が せっかく 助手をやってくれているんだから これから行うイリュージョンは この箱に入った助手のサイケルを… （楠雄）サイケル？ （蝶野）こっちの箱に 一瞬で移動させます！ （観客）おおーっ！ （蝶野） 箱には両方 カギが付いてるから 出られないし 入れません あっ じゃあサイケル お願いします （楠雄）お願いしますって どうやるんだ？ 合図からのバーン！ で お願いします 分かりますよね？ （楠雄）いや 分からない （蝶野）さあ 箱も閉め 鍵もかけますよー！ ミュージック スタート！ （楠雄）やれやれ… 特に仕掛けのようなものは 見当たらないが どうやって… （ガタン！） （楠雄）これは… なるほど 下に隠し通路があったのか なかなか大掛かりな仕掛けだな ここから 別の箱に入ればいいんだな… （グッグッ） （楠雄）開かない… 箱がズレて 扉がつっかえてるんだ （蝶野）アメージングタ～イム！ （楠雄）しかたない （観客） え？ 今 いきなり現れなかった？ （観客） ああ… え？ 何これ （蝶野）さすが師匠 どうやったのか 分かんないけど… （蝶野）アメージーング！ （蝶野） とにかく 今日のステージは成功だ ああっ… まさか… 来てくれたのか？ （蝶野）ああっ！ （燃堂）おっ （楠雄）燃堂… （楠雄） 何で お前がこんなところに （蝶野）来た… ありがとう　来てくれたんだね 緑… （楠雄）は？ （蝶野）僕の名前は 中西(なかにし) 宏太(こうた) 某出版社に務める普通の会社員 緑と出会ったのは入社して１年 慣れない仕事に悩んでいた頃でした 緑は 会社近くの喫茶店で 働いていて ハア… （ドアベル） （緑）いらっしゃいませ （蝶野）何度も通ううちに 親しくなりました 僕のグチや悩みも 笑って聞いてくれる緑に 僕は ひかれていきました 僕は思い切って 緑にプロポーズしました 緑は 夫と死に別れ 子どもが１人いましたが それも丸ごと支えたいって 思いました だけど その１ヶ月後 突然の解雇 僕は自暴自棄になり 緑は子どもを連れて出ていった （蝶野）それから２年 今の僕の姿を 緑に見てもらいたい！ 今日の舞台には そんな想いがこもっているんです （楠雄）そこまでは分かったが 結局 その… 緑さんは来なかったよな？ （燃堂）おお～ 何だコレ？ （楠雄）来たのは せいぜい このアホくらいだっただろ （蝶野）面白いだろ？ （緑）コラ 力(りき)！ 勝手に触るんじゃないよ （蝶野）緑！ 来てくれたんだね！ （楠雄）この展開は ないだろう （緑）久しぶりね 宏(こう)ちゃん （楠雄） 何だったんだ さっきの回想は！ （蝶野）師匠 紹介します （楠雄） 超展開すぎて ついていけない！ （緑）“元”妻よ （楠雄）後付けサクサクすぎるだろ 作者！ （燃堂） オメー 誰かに似てんなぁ～ （楠雄）マズイ いや メガネが違うな てっきり相棒の斉木って奴かと 思ったぜ （楠雄）安定のバカで助かった もういい　さっさと帰ろう （蝶野） サイケル どこに行くんだい これから第２部のショーが始まるよ （楠雄）まだ あったのかよ （蝶野）緑　それを見て 考えてくれないか？ もう一度 やり直すことを （楠雄）何 この気持ち悪い世界 （緑）フッ… いいわ せっかく来たんだもの 最後まで観るわ でも 妙な期待はしないこと 私の中で あなたとは もう終わってるんだから （楠雄）顔と声 燃堂のくせに （バタン…） 師匠… アレの準備をしよう 次は 人体切断イリュージョンを お見せします！ サイケルに中に入ってもらい 僕がチェーンソーの刃を 入れていきます！ その後 箱をズラしたり いろいろやったあと （蝶野）箱を元に戻すと… （楠雄）毎回 思うんだが なぜ やる前に全部 説明する？ （観客） おいおい マジで できんのか？ （観客）多分 あの箱に 仕掛けでもあるんだろ （楠雄）ないんだな それが この箱 文字どおり 何の変哲もない ただの箱なのだ やれやれ　これはさすがの僕でも 助かる方法が 13個くらいしか思いつかない チェーンソーは 箱に入った瞬間 容赦なく へし折る そして 箱から出る寸前に 時を戻し 復元する 箱をズラす時は しかたない 関節を曲げて対処しよう 準備はいいですか？ では… （燃堂）ちょっと待ったぁ～！ （蝶野）ん!? 中に入る方 オレっちにやらせてくれよ！ 体がバラバラになんの やってみてぇ！ （客たち） え？ 何？ 誰だ コイツ？ （蝶野）力君… いや… けど （楠雄）邪魔をするな アホ （緑）おやめ 力　やっぱり帰るよ ええっ… まっ 待ってください！ （楠雄）やれやれ 全てを水の泡にしてくれたな さて どうするつもりだ？ このままだと 歓声が悲鳴に変わるぞ （蝶野） 刃が 力君に当たることはない ちゃんと仕掛けが作動するはずだ 緑が見てる 頼む！ 成功してくれ！ 早くやってくれよ 兄ちゃん！ ああっ！ （燃堂）オレっちは力　燃堂 力だ どーだ イカすべ？ 分かんない？ 兄ちゃんはオッサンだからな～ 高校には行かねーよ 母ちゃんも 楽させてーしな （ガシャン） （蝶野）すみません やっぱり できません… 僕は イリュージョニスト失格です 舞台を成功させようと思うあまり 未完成なモノをやろうなんて すみませんでした （蝶野）ハア… まさか お客さんが あんなに怒るとは （楠雄）暴動が起きたな だが いい判断だったと思うぞ あの状況じゃあ さすがの僕も 燃堂を助ける方法は ４つくらいしか浮かばなかった （バサッ） おっ？ これは 僕の通帳？ （緑） あたいの荷物に紛れ混んでたんだ １円も使っちゃいないよ （蝶野）緑！ 帰ったんじゃ… （緑）まったく ヒドいショーね 期待させるだけさせて できませんだなんて そりゃ お客さんも怒るわね でも まぁ… いつか 100％成功するようになったら 観に来てあげるわ （蝶野）えっ… あっ… つ… 通帳 ありがとう！ 次は必ず成功させるから！ この金で 今度は新品の120万の 人体切断マシーンを買って― （蝶野）成功したら もう一度 僕と （緑）ん？ 120万…!? （ズン！） （緑） やっぱ ソレ返せ テメェェェ！ （男子）今日さ カラオケ行かね？ パーッと クラスのみんなでさ （男子）おっ いいねー （女子）賛成～！ （男子）いっぱい誘おうぜ！ （男子）灰呂！ 今日 カラオケ来ない？ そうだね　テストも終わったし （女子）夢原(ゆめはら)さんも どう？ （夢原）行く行く～ （男子）えーっと… （燃堂）お？ （男子）吉田 お前も来る？ （燃堂）何の話 してんだ？ （海藤）知らん （楠雄）知らない方がいいぞ （女子）目良(めら)さんは どうする？ （目良） あっ 私は今日 用事があるから （女子）そっか 残念… もしかしてデート？ （目良）んー まあ そんなトコかな （男子たち）おっ！ おっふ… 照橋さん！ なーに？ （男子）良かったら カラおふ 来ませんか？ （男子） うちのクラスは 大半が来ますよ あいつとか あそこの連中とか （照橋） なーんだ 斉木は来ないのか じゃあ いいや ゴメ～ン 今日 琴のお稽古の日だった （男子）あ… そうなんだ （男子）やっぱ 中止にしねぇ？ （楠雄） テンション 下がり過ぎだろ （楠雄）純喫茶 魔美(まみ) ここは 僕の行きつけの店だ 落ち着いた店内に 静かな客層 そして何より ここのコーヒーゼリーは絶品である コーヒー専門店の 自家製コーヒーゼリー 市販の物とは 比較にならない逸品だ だが それも 今日までかもしれないな （ウェイトレス） お待たせしま… えっ!? 斉木君!? うわっ あー！ （ガシャーン） （楠雄）やれやれ せっかくのコーヒーが台なしだな まぁ コーヒーゼリーは キャッチできたがな 捨てるなら 食べてしまって かまわないだろう （ハグッ） （目良）ゴメンなさい すぐに片付けるね あれ？ 落ちたコーヒーゼリーは？ （楠雄）それは知らにゃい （目良）ゴメンね 私 昔っからドジで （楠雄）むしろ ＧＪ(グッジョブ)！ （目良）あっ そうだ 店長がおわびにって もう１つ （楠雄）あなたが神か？ （目良）それでね 斉木君… （楠雄）目良千里(ちさと) 彼女が僕を見て動揺した理由を 僕は知っている お願い！ 私がバイトしてること 内緒にしてほしいの！ 学校にバレたら 辞めなきゃいけなくなるし （楠雄）うちはバイト禁止なのだ （目良）このバイトだけじゃなく 朝の新聞配達や牛乳配達 夜のガソリンスタンド 中華料理店 ファミレス 弁当屋 造花作りの内職 ベビーシッター 家庭教師 全部 辞めさせられちゃうの！ （楠雄） むしろ 辞めさせるのが優しさか？ （目良）実は うち 貧乏なの （楠雄）まぁ みんな うすうす 気づいてるだろうがな なぜなら 彼女の昼食は いつも ガチの日の丸弁当だし 体操着には知らない人の名前が 書いてあるし よく見ると メガネの片方 レンズないし そして… 今も僕のコーヒーゼリーを 凝視しているし へへっ… あ！ いいの いいの 気にしないで食べて！ （楠雄）気にするわ 私は それ見て想像するから （ポタ ポタ…） （楠雄）それに もう食えないから アムッ！ ク～ッ！ ありがとう 斉木君！ あなたは命の恩人だわ 実は 昨日から 氷しか食べてなくて… （楠雄）命に比べたら コーヒーゼリーなんて安いものだ 弟と妹は まだ小学生だから 私一人で家計を支えているの… だから誰にも… あっ!? あ～！ ３秒ルール ３秒ルール… （楠雄）分かった 言わないよ　絶対言わない （目良）ありがとうございました～ （楠雄）でもまあ 秘密なら 僕としても好都合だ 今までどおり 通わせてもらうよ （ドアベル） （目良）いらっしゃいませ！ （楠雄）ん？ 今のは… （目良）あっ！ あ～っ… 松崎(まつざき)先生！ （松崎先生） お前 ここで何やってるんだ？ （楠雄）やはり そうだったか こうなってしまっては 今の僕では どうすることもできないな 悪く思うなよ （松崎先生） お前 ここでバイトしてるのか!? （目良）ち… 違います！ うちの校則は知っているな？ いかなる理由があっても… （目良）禁止されたら もう学校を辞めるしか… アルバイトは… 全く問題ないな！ 精が出るな 目良！ ありがとうございます！ （松崎先生） じゃあ パフェ頼んじゃおうかな～ （目良）かしこまりました～ （楠雄） やれやれ… 封印していたんだがな マインドコントロール 世界をまた１つ 創り変えてしまったか といっても これなら さほど影響はないだろう （大勢の声） ＰＫ学園の生徒が バイトするのは 不自然じゃない （楠雄） コーヒーゼリーの借りは 返したぞ （男子）今日さ カラオケ行かね？ パーッとクラスのみんなでさ そうだね　テストも終わったし 行く行く～！ （燃堂）お？ （男子）目良さんは来ない？ あっ 私は今日 バイトがあるから （男子）じゃあさ カラオケやめて 目良さんのバイト先 行かね？ （目良）ホント？ 来て来て！ （男子）あっ 照橋さん！ みんなで目良さんのバイト先に 遊びに行きませんか？ あ～ 今日はちょっと… （照橋） どうせ 斉木 来ないんでしょ？ （男子） なんか 斉木も行きてーってさ （照橋）えっ！ （男子）斉木？ まあ いいんじゃね？ 超ヒマ　行く～ （男子たち） マジで？ やったー！ お？ 何だ？ みんな どっか行くのか？ じゃ オレんち 集合な （男子）え？ 燃堂も来んの？ （女子）今日 中止にする？ （楠雄）テンション下がり過ぎ ♪～ ～♪ （楠雄） 今回も新キャラ続々登場で疲れた こんな時は そう… コーヒーゼリーでチルアウトだ 次回も アニメ「斉木楠雄のΨ難」 ん？ ああ うん どんな話か予知した 大変だな

亜人.S01E07.JA

1 （佐藤(さとう)） 最終ステージだ　永井(ながい)君 （佐藤） ハハハハ…！ （永井圭(ながいけい)） 黒い幽霊！ なんで 他人を気遣えるんですか？ （野村(のむら)） 逃げ… ろ （圭） 嫌だ　あんたは助けたい （佐藤） ふん！ うっ… ぐわっ… うわあー！ （モニター音声:キャスター） あ！　永井圭が川へ！ 自らも川へ飛び降りました！ （どよめき） （戸崎優(とさきゆう)） くっ… （岸(きし)） ふん！ （太居(ふとい)） 何ということだ… （オグラ･イクヤ） 帰ろう　サンプルは逃げた 帽子の方は どうなってるんだ？ （下村泉(しもむらいずみ)） あ… どの監視カメラにも 見当たりません 永井圭奪取が目的なら 既に立ち去ったのでは… （携帯の着信音） あっ… （携帯の着信音） （泉） 戸崎さん… 君は ここにいろ はい 戸崎です （秘書） 大臣に おつなぎします （大臣） 社長たちが怒っているぞ 戸崎 申し訳ありません （大臣） このままでは お前の担当も 考え直さなければならん はい （大臣） いや それだけでは済まされんな 覚悟しておけ （電話の切れる音） （戸崎）うっ… くっ… やあ 待たせたね （田中功次(たなかこうじ)） 遅いっすよ 佐藤さん （佐藤） いやぁ 永井くんが面白い感じに 動くから遊んじゃったよ 怒ったふりも してみるもんだね さて いろいろやったけど― ここからが本題だよ ♪深く眠れるかい？ 　　　傷は癒せたかい？♪ ♪夜が寂しいからって♪ ♪無理して 　　　誰かを愛さないで♪ ♪夢を見る事だって 　　　咽び泣く事だって♪ ♪知りもしないまま 　　　　死んでみたって♪ ♪上手に隠れたかい？ 　　　　息は潜めたかい？♪ ♪今が苦しいからって♪ ♪無理して自分変えないで♪ ♪勇敢な蛮人だって 　　　悩める子羊だって♪ ♪回り道して生きているって♪ ♪目立たないように♪ ♪堪えられるように♪ ♪思考回路はまだ 　　　止めないように♪ ♪今宵 RUN A WAY RUN A WAY♪ ♪嘘みたいだ♪ ♪誰かこの手 　　　掴んでくれよ♪ ♪見えない明日は来なくていい♪ ♪今はただ 眠りたい♪ （戸崎） はぁっ… （大臣） それだけでは済まされんな 覚悟しておけ （戸崎） ふざけるな 何のために ここまでやって来たと思ってる 何のために… くっ… くっ… （戸崎） お呼びでしょうか 大臣 （大臣） 戸崎君 話は聞いているよ 有能なんだってねぇ いえ そんな… まだまだです そして “口が堅い”とも 亜人管理委員会は 君も知っているだろう？ あそこの担当に 空きが出来てね 戸崎君 金は好きか？ （戸崎） その銃 本物なのか？ （木戸(きど)） あ？　ああ… 金さえあれば 大抵のことは どうにでもなる 亜人の研究･管理が目的の組織が どう 金とつながる？ フッ… すぐに分かるさ （心電計のアラーム） あっ あぁっ… （アナウンス） 002番 即死です （木戸） 今 行われているのは 軍事兵器の性能テストだ 亜人を貸し出してるってわけか… さすが 出世頭は察しがいいな そうだ　日本の名だたる企業が 我々と裏で契約してる 某製薬会社は 亜人で臨床実験を繰り返し― 開発した新薬で ばく大な利益を上げた 他にも 保護具メーカー 医療器具メーカー　軍需産業 亜人の使い道は いくらでもある （戸崎） 経済動物か… （木戸） ああ　お前さんも うまく立ち回れば― でかい金がつかめる （戸崎） でかい金か… フッ くっ… くそ！ どうする？　このままでは 最悪 始末される 逃げるか？ いや 待て まだ チャンスはあるはずだ どんな時でもチャンスは… くそ！ あっ… （田中） こんなの着せて どうすんすか？ 佐藤さん （佐藤） 君は寝たふりしてるだけでいいよ （田中） はあ… （佐藤） いいかい 田中君 戦略というのはだな 状況に合わせ 最も適した… うん？ （田中） 何か問題でも？ （佐藤） なんか ハンニバルみたく なってきたなぁ （田中） はあ？ （佐藤） 私がハンニバルだとすると 君は… （田中） クラリスっすか？ （佐藤） いや マードックだな　顔的に… （田中） はあ？ （佐藤） それじゃあ ひとつ 始めますかな “作戦は 奇をもって よしとすべし”だ （ＳＰ） オグラ博士 車に戻るのは まだ危険だ （オグラ） 予備のたばこが車なんだよ （ＳＰ） たばこなら 中で買えるだろ？ （オグラ） これは廃番の銘柄なの だからもう 車にストックしてあるのしか… 動くな （ＳＰ） うっ！ ひざまずけ　両手は頭の後ろだ 力関係を分かってるのか？ 我々を敵に回せば お前も お前の上司も ただでは済まんぞ んっ… （銃声） （ＳＰ）おっ… （戸崎） 動くなと言ったはずだ （笑い声） まさか 情報を出し惜しみしたことを― 怒ってるのか？ 構わんよ この世に未練はない 最後に１本吸えればな （戸崎）はぁっ… はぁっ… （報道陣） えらく静かになったな… （キャスター） 警備の人！　何があったの？ （警備員） 中と連絡がつかんな （警備員） どうする？ とにかく 指示があるまで待つしか… あっ… 誰だ？ （モニター音声：キャスター） 何でしょうか？ 研究所から 車椅子を押す男が出てきました！ 関係者でしょうか！？ （コウマ） まずいな… マスコミの連中 危ないぞ （報道陣） おい　車椅子の 田中じゃないか？ （報道陣） 田中！？　国内２例目の？ （報道陣） 間違いない！ ちょっといいですか？ （警備員）おい 入るな！ （報道陣）お話聞かせてください！ （警備員）下がって！ （警備員）下がれ！ （警備員）うあっ… （警備員）ちょ ちょっと困るって （報道陣） 田中さん！　すみません （ざわめき） （佐藤） 重要だったのはタイミング 永井圭捕獲と オグラ･イクヤ来日 多くのマスコミが １カ所に集まる― 今日というタイミング 今日は… 今日は一般の方々に 知ってほしいことがあって― ここへ来ました ２つだけ 話を聞いてください （田中） 何をする気だ？　佐藤さん 私の名前は佐藤 亜人です （報道陣）ええっ！？ （報道陣）亜人？ （報道陣） それは本当ですか？ （報道陣） 政府に拘束されることに 恐れはないんですか？ （キャスター） ふた… ２つの話というのは 何ですか？ １つ目は― いいかげんな情報に 流されないでほしいということです 2000年代前半 あるニュースが世間を騒がせた 皆さんもご存じのとおり― ここにいる田中功次氏に関する ニュースです （田中の父） 功次… おい 功次 どした？　青い顔して （田中） おやじ… 俺… 亜人だった （田中の母） 何かの間違いじゃないのかい？ （父） なんだよ　すげぇじゃねぇか 亜人だったら… どうすんだ？ （ノック） （報道陣） すみませーん （田中） あっ！ （報道陣） いますよね？ お願いします 田中さん！ お話聞かせてください 田中さーん！ （ラジオ音声:アナウンサー） 国内２例目の亜人 田中功次氏が行方をくらませてから 既に３日… （司会者） 当番組は田中功次に 賞金を出すことにしました！ （歓声） （佐藤） 報道は過熱し ついには 賞金を出す番組まで出ました そして 今回の永井圭の事件も同様です まるで イベント事のように扱われ― また それをあおるような報道が 多く見られました その先に 何が待っているのかも知らずに （報道陣） もちろん知ってますよ！ （報道陣） それの 何が問題なのですか？ 確かに 少し可哀想という 意見はありますよね 亜人だと発覚した人は その先 政府が保護し― その管理下で生活しなければ ならないわけですから 政府が そう正式発表している ことは知っています が それは… うそです 政府は亜人で 非人道的な人体実験を行っている それが２つ目の話です （報道陣）何言ってんだ！ （報道陣）それこそ都市伝説でしょ 2005年に米軍が亜人を 人体実験する映像が流出し― 問題になりました 国内でも そういうことが あるのではと言う人は多くいます （キャスター）しかし… （報道陣）しかしですね 佐藤さん （報道陣） あなたはそんなデマを信じて 不法侵入を犯し― 田中氏を連れ出したんですか？ （報道陣） 明らかな犯罪行為ですよ！ 証拠はあります （報道陣） どこにあるんですか？ 既にウェブ上に アップロードしました （どよめき） （報道陣）すぐに確認しろ！ （報道陣）ネット 見れるか？ （研究員） あ… アップされてます （若井(わかい)） ちっ… その動画は― ある亜人研究員の自宅ＰＣから 入手した極秘データです！ （報道陣）うわっ （報道陣）これ 出来すぎてるだろ （報道陣） ＣＧだろ 前にも似たようなやつあったぞ （報道陣） この記録情報 裏取れ （佐藤） こんなことが許されるはずがない！ そうでしょう？　皆さん！ 共に声を上げてください！ ２日後 私は抗議活動を行います！ 場所は厚生労働省前！ 一緒に戦ってください！ 自分自身が亜人だった時のために… （佐藤） そして… 一人ひとりの幸せのために （爆発音） （悲鳴） （爆発音） （報道陣）うおっ… （報道陣） やばい！ 下がれ！ （ざわめき） 今のは何です？ 佐藤さん　あれもあなたの… あ… あっ （役員） 一昨日に 研究所で起こった事件ですが― 佐藤と名乗った男の発言は 全くの事実無根であります また 多くの警備員 研究員 そして― 来日したオグラ･イクヤ氏の 死亡も確認されており… 今日… ですね どうするつもりですか？　戸崎さん 省前は大変なことになります 私は… どうなるんでしょうか？ どうって… 何も変わらんよ （男性） あ？ 何もねぇよ 俺 テレビ映ってねぇ？ （女性） なんか デモするって言ってたのに （カメラマン） どうします？ （ディレクター） 一応 インサート撮っとくか （戸崎） あんなことで人間は動かない それは多くの歴史が証明している 自分の身に火の粉が かからない限り― どこまでも 無関心でいられる それが我々の本質だ そもそもウェブ上には― 実験動画のフェイクなど 山ほどある 本物とフェイクを 見分けられる者などいない （女性） そういえば見た？ 動画 （女性） ああ 潰れるやつ？ 今夜 日本の亜人事情は大きく覆る 何が“大きく覆る”だ 逃げたやつら 全員 見つけ出してやる そして必ず隠蔽(いんぺい)する （戸崎）行くぞ （泉）あ… （泉） どこへ行くんです？ （田中） フッフッ… （佐藤） この作戦は 人間を集めるためのものじゃない 亜人を集めるためのものだ （田中） はあ （佐藤） 亜人であれば あの動画が本物だと見抜くだろう ポイントは“再生の仕方” 偽物とは出来が違う そして― 駄目押しが 永井君と我々が 逃げる様子を放送させたこと 捕まっても逃げられた この実例は亜人に安心感を与え 名乗り出やすくする そして私は信頼される うーん… ふぅ ようやくスタートポイントだ 国を変えるぞ　田中くん （田中） フッフッ… あんたの作戦どおりだぜ 佐藤さん （田中ＩＢＭ） よく来てくれた これから本当の集合場所を伝える 明日の午後２時… そこに来てほしい あ… 死んだ （泉） あ… ああっ… ここは… あの 私… その… 戸崎さん？ えっ？ こ… これは？ ＦＫは持ってきたんだろうな？ 戸崎さん これは さすがに まずいのでは？ （戸崎） 問題ない　ボディーガードを 撃ったのは帽子の銃だ 私が怪しまれることはない この男は 原形が分からないほど 八つ裂きにされた研究員の― 死体と入れ替わってもらった 歯の治療痕のカルテを改ざんしてな し… しかし あの日 私は再確認したんだ “どれだけ他人を不幸にしようと 目的を達成する”と 全て出してもらうぞ あんたが握っているもの 全て （オグラ） ＦＫを持ってきたらな （戸崎） 論文同様 ふざけた男だ 日本の研究員が ああ言うのも分かる あっちの国で受け入れられたのが 不思議でならない 天才なんだよ （少年） ひゅー おっと… うん？ （戸崎） ん？　迷子か？ （少年） あの人 どうしたの？ 事故で目が覚めないんだ （少年） へえ 可哀想 そうだ　可哀想な人だった “どんな時でも やり直すチャンスはあるはず” それが あの人の口癖だった でも こうなってしまった 親の残した借金を 背負って生きて― そのせいで 健康保険に 入る余裕すらなかったんだ （少年） うーん… 彼女を治すには お金が たくさん必要ってことだよ お兄さん あの人の友達？ （戸崎） 婚約者だ （少年） 治るといいね （戸崎） ああ… 彼女だけは幸せにしてみせる 世界中の誰を地獄に落としても （圭） はぁっ… （せきこみ） はぁっ… ああ… 痛いのは慣れてきたけど― 溺れるのは… はぁっ… 苦しいなぁ うっ… うっ… はぁっ… ううっ… やっぱ 人助けなんて… ああ… はぁ… するもんじゃないなぁ ああ… はぁ… （手をたたく音） （佐藤ＩＢＭ） これで全員かな？ 上がってきてくれ ♪願い叶(かな)うなら 　　　　　もう一度♪ ♪君の心に 　　　触れていたい♪ ♪どんな闇でも 　　　探してるんだ♪ ♪たったひとつの 　　　　　　　光を♪ ♪As I look up to the stars♪ ♪遠いけど♪ ♪同じ星空　見上げてる♪ ♪心の空には 　　　雫(こぼ)れ落ちそうな♪ ♪君の笑顔と 　　　　ぬくもり♪ ♪Hear me♪ ♪Until I went away and 　　　Faced the lonely days♪ ♪愛することの意味なんて♪ ♪分かってたつもりだった♪ ♪Feeling everything that 　　Was right in front of me♪ ♪大切なもの失って♪ ♪本当の愛に気付いて♪ ♪I'll tell you now, 　　　Just how close you are♪

POWER_GAME＃06

1 <前回の｢ﾊﾟﾜｰｹﾞｰﾑ｣…> 本日付けでな 東都広告に入社し この部に配属になった黒岩君だ｡ どうぞ お手柔らかに｡ <大物政治家 大山哲生の コネを使い➡ 強引に東都広告に入社した黒岩｡➡ 大手食品ﾒｰｶｰ｢あざみﾌｰｽﾞ｣の 新商品➡ ｢ｶﾚｰで ござーる｣の ﾌﾟﾚｾﾞﾝに➡ 城崎と共に参加した 黒岩だったが➡ あざみﾌｰｽﾞの宣伝部長 西沢光司の 怒りを買ってしまい ﾋﾟﾝﾁに｡➡ しかし 城崎が西沢に接近｡➡ 接待ｺﾞﾙﾌで機嫌を直してもらう 作戦に打って出る> 入った｡ ﾅｲｽｲﾝ｡ ﾅｲｽｲﾝ｡ <そこへ ｷｬﾃﾞｨｰに成りすました 尚美も現れ 接待ｺﾞﾙﾌを妨害> こんな見え透いた接待➡ あなただって本当は 楽しくなんかないはずだ｡ 担当商品に何の愛情も持たずに 分かろうともしないで➡ 一丁前に偉そうな口を 利くんじゃない｡ <西沢を更に怒らせ 事態は収拾不可能に｡➡ どうする城崎？ どうする黒岩？> (黒岩)先日は またまた 失礼致しました｡ (西沢)もういい｡ どうか… どうか もう一度だけ ﾁｬﾝｽを下さい｡ あざみﾌｰｽﾞさんの１社提供である さくらﾃﾚﾋﾞの連続ﾄﾞﾗﾏ｢愛のｴﾃﾞﾝ｣｡ 是非 ご覧になって下さい｡ そこで 私の誠意を お見せ致します｡ 誠意？ お願いします｡ もしもし 脚本家の山目幸一先生で いらっしゃいますか？ 私 東都広告の黒岩と申します はじめまして｡ 先生の執筆なさっている 連続ﾄﾞﾗﾏ｢愛のｴﾃﾞﾝ｣➡ いつも楽しく拝見させて 頂いております｡ はい｡ あの… ところでですね➡ 先生に折り入って ご相談が あるんですが… はい｡ (三雲)あいつ 今度は何を 考えてるんだ？ (亜弥)さあ？ うん？ 城崎は？ 何か また突然 ｢休む｣って言ってました｡ えっ？ もう慣れちゃいましたけどね｡ あいつも何を考えてんだかな？ きっと あざみﾌｰｽﾞを落とす➡ あっと驚くような手を 考えてるんですよ｡ だといいよね｡ うん｡ (ﾄｲﾚで流す音) ♬～ (城崎)やっぱり ｶﾚｰは苦手だ｡ 山目先生？ あっ どうも｡ どうぞ こちらへ｡ じゃあ 乾杯｡ (山目)乾杯｡ 聞いてますよ この度の連続ﾄﾞﾗﾏ｢愛のｴﾃﾞﾝ｣➡ 大抜てきだったそうで｡ そんな… ﾃﾚﾋﾞ局も予算削減で 大物の脚本家より➡ 僕らみたい若手を使った方が 都合がいいんですよ｡ 本にも口を出しやすいし｡ なるほど 予算削減ね 大変ですね｡ …みたいですね｡ じゃあ あの… ｽﾎﾟﾝｻｰは大事に しなければ いけませんよね？ …だと思いますけど｡ 実はね あのﾄﾞﾗﾏ枠の ｽﾎﾟﾝｻｰである あざみﾌｰｽﾞさん➡ 今度 うちが担当する事に なってまして｡ はあ…｡ それで あの…｡ ｽﾎﾟﾝｻｰ的に ちょっと台本を➡ 直して頂きたいところが あるんですが よろしいですか？ えっ でも ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰは？ もちろん話を通してあります｡ <そんな面倒くさい事を してられるか｡➡ こっちは時間がないんだよ！> ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰも おっしゃってました｡ ｽﾎﾟﾝｻｰが第一だって｡ 私の意見 すなわち ｽﾎﾟﾝｻｰの意見です｡ よろしいですか？ ここで私の言う事を聞いておけば あざみﾌｰｽﾞさんの印象もいい｡ 来年も この枠 あざみﾌｰｽﾞさんから➡ 指名 来ますよ 山目大先生｡ よろしいですか？ はい｡ じゃあ まず４ﾍﾟｰｼﾞから｡ ４ はい｡ ｢健児『俺は優香を愛してる』｣｡ (健児)俺は優香を愛してる｡ (将太)僕も愛してる｡ (優香)健児 将太｡ 優香さん選んでくれ｡ 選べないわ そんなの｡ だって 私にとっては どっちも大切な…｡ だったら勝負しよう｡ えっ？ 負けた方が優香さんを諦める｡ 二度と優香さんの前には 姿を現さない｡ (優香)将太…｡ (健児)分かった｡ (優香)健児…｡ 勝負は ｶﾚｰ大食い対決だ｡ (監督)はい ｶｯﾄ｡ ﾁｪｯｸ｡ あの… 監督｡ これ 愛する女を かけた男同士の戦いが➡ 何で ｶﾚｰ大食い対決なんですか？ このﾄﾞﾗﾏって ｺﾒﾃﾞｨｰじゃないですよね？ うん？ 脚本家の狙いなんだろう｡ ｶﾚｰ大食い対決だ｡ はい OK｡ さあ 次 いくぞ｡ (助監督)次 ｶﾚｰ大食い対決です｡ ｽﾀﾝﾊﾞｲ お願いします｡ おい…｡ 対決に使う ｶﾚｰは あざみﾌｰｽﾞの ｶﾚｰだぞ 分かってるか？ はい｡ 確認して｡ はい｡ ♬～ (ﾄﾞｱﾁｬｲﾑ) わっ…｡ あっ おつかれさまです｡ おお｡ 城崎さん １週間 休み取って 何…｡ うわっ ｶﾚｰ臭い｡ 急に｢北海道と広島と佐渡島に 出張しろ｣なんて ﾋﾞｯｸﾘしました｡ 北海道の｢ﾀﾗﾊﾞｶﾚｰ｣ 広島の｢かきｶﾚｰ｣➡ 佐渡島の｢島流しｶﾚｰ｣｡ 何なんですか これ？ すまんな ﾈｯﾄでは 手に入らなかったんだ｡ 城崎さんに弱点なんて ないと思ってました｡ なぜ笑う？ いや… ｶﾚｰ嫌いなんて ｢かわいいな｣と思って｡ 小中学校の ｷｬﾝﾌﾟでは 常に ひもじかった｡ 黒岩さんなんですけど 何か あざみﾌｰｽﾞさんが➡ １社提供している ﾄﾞﾗﾏを 利用しようとしてるみたいで｡ ｢愛のｴﾃﾞﾝ｣か？ はい｡ こんな事 言って あれなんですけど➡ 私 正直 黒岩さんのやり方 尊敬できません｡ いや… もちろん城崎さんの やり方も➡ ｢ﾒﾁｬｸﾁｬだな｣と思った事も あります｡ 偽の遺書を書いたり｡ これを｡ 父の字｡ (亜弥)｢ｱﾌﾘｶに行った｣って うそついたり｡ やっと見つけました｡ ﾋﾞﾅﾋﾞﾅです｡ でも そこには ちゃんと ｸﾗｲｱﾝﾄへの愛があったというか｡ でも 黒岩さんは結局➡ 自分が のし上がる事しか 考えてないように見えて｡ だから 負けないで下さい｡ 小池｡ お願いします｡ 知ってるか？ 人間が想像した 世界は いつか必ず実現する｡ はい？ 大昔 空を飛ぶ事を想像した人間は やがて飛行機を生み出し➡ いつでも どこでも 好きな時に 会話をしたいと想像した人間は➡ 携帯電話を生み出した｡ えっと すみません… ちょっと例えが高度すぎて➡ 何を言おうとしてるのか 訳 分からないんですけど｡ 想像できないんだよ｡ えっ？ 俺が黒岩に負ける姿がな｡ もしもし 東都の黒岩です｡ 西沢部長 次回の｢愛のｴﾃﾞﾝ｣ いい出来になっております｡ 是非 ご覧なって下さい｡ お願いします｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢優香さん 選んでくれ｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢選べないわ そんなの｡ 私にとっては どっちも大切な…｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢だったら勝負しよう｣｡ ｢えっ？｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢分かった｣｡ ｢健児…｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢勝負は ｶﾚｰ大食い対決だ｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢いいか？｣｡ ｢ああ｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢よ～い ｽﾀｰﾄ｣｡ うん？ あっ…｡ ♬～ どういう事だ？ うん？ ♬～ はにわ食品？ ♬～ ♬～ 大変… 申し訳ありませんでした｡ 何の手違いか分かりませんが➡ 本来 あざみﾌｰｽﾞさんの商品が 映るべきところ➡ あろう事か ﾗｲﾊﾞﾙ会社である はにわ食品の➡ ｢はにわｶﾚｰ｣が 映り込んでしまうとは…｡ ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰを どやしつけたところ➡ ｵﾝｴｱ ぎりぎりで 撮り直しの時間もなく➡ ｢ぼかし処理で何とか お許しを 頂けないか｣と申しておりました｡ ぼかしでも あのﾏｰｸは 丸わかりだ｡ おっしゃるとおりでございます｡ ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰには きつく きつく 言っておきました｡ ｢次 このような事が 絶対にないように｣と｡ ｢もう一度だけ ﾁｬﾝｽをくれ｣｡ はい？ ｢もう一度だけ｣ 君は確かに そう言った｡ ｢私の誠意を見てくれ｣と｡ はい…｡ これが君の誠意かね？ あきれて物も言えない｡ あっ…｡ <クソ クソ クソ！➡ どうすればいい？ どうすれば…> (依田)あざみﾌｰｽﾞの上から黒岩に ｸﾚｰﾑ がんがん来てるんだよ｡ 明王ｴｰｼﾞｪﾝｼｰも 担当でもないくせに➡ ｢勝手な事をしやがって｣って 激怒してるんだよ 参ったよ｡ おい 城崎は？ この大事な時に あいつ何やってるんだよ？ こぼれ… 熱っ…｡ 大丈夫か？ 遅くなりました｡ おま…｡ 城崎？ しろ… 黄色！ (依田)お前 どうしたんだよ その肌？ ちょっとな｡ もう 大変な事になってるんですよ 何か黒岩さんが…｡ 俺に任せろ｡ 729｡ 市販されているﾚﾄﾙﾄｶﾚｰ 729種類｡ ｶﾚｰ嫌いには地獄だったよ｡ えっ？ ちょっと… 729種類 全部 食べたのか？ ｢ｶﾚｰで ござーる｣独特の隠し味➡ あの こうばしさの正体が 何なのか？ 食材か あるいは ｽﾊﾟｲｽか その答えが知りたくて➡ 日本で手に入る全ての ｶﾚｰを食べて研究した｡ おかげで このとおりだ｡ 痛い！ 何するの？ 塗ってない｡ 当たり前だろう｡ 分かったんですか 隠し味の正体？ 正体は食材でも ｽﾊﾟｲｽでも なかったよ｡ えっ？ 隠し味なんだろう？ 食材でも ｽﾊﾟｲｽでもなかったら 一体 何なんだよ？ これは ただの 俺の推測でしかない｡ 西沢部長に ぶつけてみる｡ 明日が勝負だ｡ ♬～ クソ… 城崎…｡ ♬～ おはようございます｡ 今度は君か｡ 入れ代わり 立ち代わり 勘弁してくれ｡ 隠し味の秘密が分かりました｡ なるほど 話を聞こう｡ 何とか｢ｶﾚｰで ござーる｣の 隠し味の秘密が知りたくて➡ 日本全国の ｶﾚｰを 食べ尽くしました｡ 朝も昼も夜も 間食ですら ひたすら ｶﾚｰを食べた｡ どんな食材が使われているのか あるいは どんなｽﾊﾟｲｽが➡ あの こうばしさを 醸し出しているのか？ しかし 729種類 全て食べ尽くしても➡ ｢ｶﾚｰで ござーる｣と同じ味には 出会えなかった｡ 近い味すら なかった｡ 私は途方に暮れました｡ 打つ手なし｡ もう ｶﾚｰを見るのさえ 嫌になった｡ そんな時…｡ ああ… もう クソ…｡ ♬～ 思わぬところで この味の正体に気づきました｡ ♬～ この味の正体は食材でも ｽﾊﾟｲｽでもない｡ これは｢焦げ｣ですね？ ♬～ おそらくは ﾀﾏﾈｷﾞではないですか？ よく分かったな｡ これを当てたのは君が初めてだ｡ 光栄です｡ それに…｡ 私と同じように➡ あらゆるｶﾚｰを食べ尽くした男にも 初めて出会った｡ 正直 苦労しました｡ ｢ｶﾚｰで ござーる｣を食べた人間は みんな｢初めての味だ｣と言う｡ でもね 私にとって これは懐かしい味なんだ｡ ♬～ 私は幼い時に母を亡くしてね 父親に育てられた｡ その父が 一人息子の私のために よく作ってくれたのが➡ ｶﾚｰだったんだよ｡ 私が あざみﾌｰｽﾞに入ってすぐ 父は亡くなった｡ 私は父のｶﾚｰを 再現したかった｡ だが あらゆるｶﾚｰを 食べ尽くしても➡ 同じ味には出会わなかった｡ 研究室では あらゆる食材 ｽﾊﾟｲｽを試してみたが➡ どうしても あの味が 出せなかった｡ ｢父は魔法でも使ったのか｣と 思ったよ｡ そんな時 突然 出会ったんだ 父の味に｡ ♬～ ただの火力の調整ミスだった｡ だが そのミスが 私に気づかせてくれた｡ あの味の秘密を｡ あれは魔法なんかじゃなかった｡ 不器用だった父が 私を喜ばせたい一心で➡ 必死になって あめ色の ﾀﾏﾈｷﾞを 作ろうとして…｡ でも結局 いつも炒めすぎて 少し焦がしていた｡ でもそれが 私にとっては 父の愛情が いっぱい詰まった➡ かけがいのない味だったんだ｡ どうしても私は もう一度 あのｶﾚｰが食べたかった｡ だから これを作った｡ これは 父さんのｶﾚｰだ｡ ♬～ ｢ｶﾚｰで ござーる｣のｷｬｯﾁｺﾋﾟｰ 決まりました｡ ｢父さんのｶﾚｰ｣ これでいきましょう｡ ♬～ 肌を黄色くしてまで 私の商品に 向き合ってくれた人なら➡ 安心して任せられる｡ ｢商品に愛情も持たない広告屋｣ などと言って申し訳なかった｡ どうか よろしくお願いします｡ よろしくお願いします｡ ♬～ 黄色いな？ はい｡ よいしょ｡ 城崎 よくやったぞ｡ あれ？ お前 ｶﾚｰ大丈夫なのか？ ｢ｶﾚｰで ござーる｣は 大丈夫なんですよね？ しかしさ 日本全国の ｶﾚｰを食べ尽くすなんて➡ 地道すぎるやり方 ｢ﾌｧﾝﾀｼﾞｽﾀ｣と 呼ばれた お前らしくないな？ 言われてみれば｡ 俺らしさって何だ？ えっ？ よく分からなくなった｡ 今 笑うところですか？ ねえ｡ ｢父さんのｶﾚｰ｣か…｡ ♬～ (大山)あざみﾌｰｽﾞの件 東都に無事に下りたそうだな？ はい…｡ よくやった｡ (麗華)ヒロ君 すごい｡ 俺じゃない…｡ 失礼します｡ ヒロ君？ あっ… ヒロ君！ あ～！ 何でだ？ 何で お前ばかり うまくいくんだ！ どうして俺じゃない なぜ お前なんだ…｡ こんな夜中に迷惑ですよ｡ (尚美)あざみﾌｰｽﾞの件 城崎さんの おかげで命拾いしましたね｡ うるさい！ 私 ﾄﾞﾗﾏの撮影現場に 初めて行ったんですけど➡ 楽しいところですね｡ 何の話だ？ たくさんの人が 働いてるんですね｡ 少し汚れたｼﾞｰﾝｽﾞと Ｔｼｬﾂで行ったら➡ 助監督に間違われました｡ ♬～ お前… まさか…｡ ♬～ あれも お前が？ なぜだ？ なぜ 俺の邪魔ばかりする？ 答えろ！ あなたたちを ﾒﾁｬｸﾁｬにするためよ｡ あなた｢たち｣？ おい どういう意味だ？ そのうち分かる｡ どういう意味だ？ おい！ よく あれだけ食ったな…｡ ｢広告の神｣なら 俺と同じ事したかな？ いいえ｡ その黄色い手は あなたの勲章｡ 広告の神 城崎将也は もっと冷酷な男｡ 父さんを知ってるのか？ いや… 父さんだった人かな…｡ ええ｡ あざみﾌｰｽﾞの件に乾杯｡ 初めて素顔の君を見たよ｡ あら これが素顔だと？ これも仮の姿なのか？ じゃあ あんたは一体 何者なんだ？ 私は…｡ 大山哲生と 広告の神 城崎将也の息子を➡ 潰すために生きてる女｡ ♬～ どういう意味だ？ 一つ訂正させて｡ 城崎将也は 広告の神なんかじゃない｡ えっ？ あの男は神ではなくて 悪魔よ｡ ♬～ 大山も城崎将也の息子の黒岩も 全部 潰してやる｡ ♬～ そのために あなたの力が必要なの｡ 待ってくれ｡ どうして俺が城崎将也の 子じゃない事を知っている？ 何を たくらんでるんだ？ (電話の声)｢発信音のあとに ﾒｯｾｰｼﾞを録音して下さい｣ ヒロ君 大丈夫？ 今日 急に帰っちゃうから｡ 麗華 心配です｡ 電話 下さい｡ [無線](着信ﾎﾞｲｽ)｢ﾒｰﾙだよ｣ ヒロ君…｡ 誰かしら？ これ｡ いや～！ 何なのよ…｡ ♬～ ｢隠し子ｽｷｬﾝﾀﾞﾙへの対応 任せたい｣という依頼がきたぞ｡ あなたに かかってますから｡ それは手切れ金という事ですか？ 君の父親 あの男が起こした奇跡を 私は この目で見た｡ ｽｷｬﾝﾀﾞﾙを ねつ造したのか？ 大山幹事長のためだ｡ 対策は全て私に お任せ下さい｡ ♬｢あなたと 過ごした日々が｣ ♬｢今の私に強さを 与えてくれる｣ ♬｢何度だって 立ち上がって｣ ♬｢泣いても また笑って｣ ♬｢新しい扉の向こう｣ ♬｢どこにいても 見守っているよ｣ ♬｢どんな道も 信じ抜く事｣ ♬｢そうやって また歩いて行こう｣ ♬｢Our Promise｣ ♬～(ｵｰﾌﾟﾆﾝｸﾞﾃｰﾏ｢GLORY DAYS｣) ♬｢さぁ 夜が明けた今 旅立ちの時｣ ♬｢笑顔 勇気 突っ走ってくぜ GLORY DAYS！｣ ♬｢You ready or not Ready or not Go!!!｣ ♬｢引き返せない旅は ﾉﾝﾌｨｸｼｮﾝ｣ ♬｢You ready or not Ready or not Go!!!｣ ♬｢待ったなし本番 よーいｱｸｼｮﾝ｣

初森ベマーズ＃09

1 ＜ ななまる:ﾎﾟﾗﾘｽと戦うため 絶対負けられない準決勝｡ 相手は 強力荒波打線の➡ 磨黒水産女子｡ 勝利のために 日本代表 上野投手の禁じ手➡ 四蝋投を特訓するも 一度も成功しないまま➡ 試合に臨むことに＞ 成功しないんだよ｡ そうかな…｡ ちゃんと変化球 投げてるでしょ｡ 絶対できる｡ ななまるなら｡ ＜勇気を出して投げたﾎﾞｰﾙは ﾛｳｿｸを潜り抜け そして…＞ ｽﾄﾗｲｸ！ できた…｡ やった！ (一同)やった！ ｽﾄﾗｲｸ！ 何でじゃい！ ｽﾄﾗｲｸ ﾊﾞｯﾀｰｱｳﾄ！ ｸｿｯ！ いいぞ！ 西野!? ｳｿだべ！ うるせぇな｡ 試験中だぞ｡ いや ほんじゃって 誰かが うちのｿﾌﾄ部の試合➡ 生配信してっぞ｡ えっ!? ちょっと…｡ ｽﾄﾗｲｸ ﾊﾞｯﾀｰｱｳﾄ！ うわぁ～ あの変化球があれば審議を…｡ いや 試合を有利に進められる！ １点あれば勝てます！ ああ 大丈夫だ｡ 次のﾊﾞｯﾀｰは誰だ？ ﾏﾙｷｭｰ！ いけ ﾏﾙｷｭｰ！ 頑張って！ 遊びは終わりだ｡ ﾒﾊﾞﾁ 決めちゃいな｡ 決勝のﾎﾟﾗﾘｽまで 取っとくつもりだったけど➡ あの球を出すしかないね｡ この試合も ﾏｸﾞﾛ！ １本釣りじゃ～い！ 泳げ 回遊魚！ ｽﾄﾗｲｸ！ ﾋﾟﾁﾋﾟﾁ ﾋﾟﾁﾋﾟﾁ ﾋﾟﾁﾋﾟﾁ…｡ 魚群!? (一同)ｷﾞｮ ｷﾞｮ ｷﾞｮ！ どういうこと？ ｻｯｶｰで言う ﾌﾞﾚ球のように 無回転で投げ➡ 球の後ろを ｶﾙﾏﾝ渦が発生している｡ これが予測不能に大きく揺れ➡ まるで球が増殖し 魚群のように 見せている可能性が高い｡ じゃあ あれだけあるのに １個のﾎﾞｰﾙってこと？ 見て 空を！ ｶﾓﾒが 魚の群れだと思って 集まってきてる｡ 監督！ ｸｿ～ｯ！ 魚群を 一網打尽にする方法があれば！ いや きっとある！ ｽﾄﾗｲｸ ﾊﾞｯﾀｰ ｱｳﾄ！ よっしゃ！ どんなもんじゃい！ ｽﾄﾗｲｸ ﾊﾞｯﾀｰ ｱｳﾄ！ ｸｿｯ！ いいぞ～！ 泳げ 回遊魚！ ｷｬｰｯ！ ｽﾄﾗｲｸ！ ｽﾄﾗｲｸ ﾊﾞｯﾀｰ ｱｳﾄ！ よっしゃ！ 今夜は 漁師飯じゃい！ ｽﾄﾗｲｸ ﾊﾞｯﾀｰ ｱｳﾄ！ ﾁｪﾝｼﾞ！ もう最終回だべ｡ これ 勝てんのか？ 勝つよ 絶対｡ 約束したんだ ｱｲﾂらと｡ ⦅次の試合で絶対 活躍しろ⦆ 腰が引けとるのう！ 初森の…｡ くらえ 回遊魚！ ﾌﾞﾅﾝ 危ない！ ﾃﾞｯﾄﾞﾎﾞｰﾙ！ なんじゃと!? ﾅｲｽ ｶﾞｯﾂ！ いい度胸してるねぇ｡ ﾙｰﾙ ｷﾞﾘｷﾞﾘを狙った ﾌｧｲﾝﾌﾟﾚｰですね｡ いいぞ～！ ﾌﾞﾅﾝ！ (歓声) ﾕｳｳﾂ｡ ﾏｸﾞﾛの最大の敵って 何か知ってる？ 松方 弘樹？ いや 確かに よく釣ってるけれども｡ 全然 違うわ！ 定置網？ そう｡ 網を張って 群れを一網打尽にしなさい｡ 網… 網… 網…｡ いけ ﾕｳｳﾂ！ 網… 網… 網…｡ ﾊﾊﾊﾊ！ また くらわしたるわい！ いけ 回遊魚！ 盗塁だ！ 網… 網！ うわ～っ！ ｷｬｰｯ！ ｷｬｰ！ ｾｰﾌ｡ ﾌﾞﾅﾝ 回れ！ ﾌﾞﾅﾝ 走れ！ 回れ 回れ 回れ！ いけ！ ﾊﾞｯｸﾎｰﾑ！ ｾｰﾌ！ (歓声) よっしゃ！ 勝った 勝ったぞ！ きた 絶対 やると思った｡ きた ﾎﾝﾄ すげえ｡ ﾏｼﾞかよ 勝った｡ 試験中｡ ｽﾏﾎ｡ ♬～ 負けた 完敗だ｡ でも ｱｲﾂらなら 決勝で ﾎﾟﾗﾘｽを倒してくれるよ｡ あぁ｡ すごい！ ＜次は いよいよ 高校ｿﾌﾄﾎﾞｰﾙ界の巨人➡ ﾎﾟﾗﾘｽとの決勝戦｡ このときは この四蝋投が通用すると➡ 本気で思っていた＞ あの子たち また勝ったわよ｡ ね？ 言ったとおりでしょ｡ なんか あの子たちが勝つのが 嬉しいみたい｡ 次 打撃練習の準備｡ はじめ！ 監督｡ どうです？ 調子は｡ 順調です｡ 問題ありません｡ 頼もしいですな｡ 今年も優勝したら ｷｬｯｼｭで ﾎﾞｰﾅｽと…｡ これを｡ こ これは… 1992年 西武 対 ﾔｸﾙﾄの日本ｼﾘｰｽﾞ｡ 運命の第六戦で飛び出した 秦のｻﾖﾅﾗのﾎﾞｰﾙ！ ぜひ 優勝を｡ 必ず｡ もっともっと 振りをｼｬｰﾌﾟにしろ！ ﾌﾌﾌｯ｡ やはり ｷﾚｲのﾁｰﾑは ｷﾚｲな道具じゃなきゃな｡ ﾊﾊﾊｯ！ 乾杯！ 次は 決勝だ！ (一同)ｲｴｰｲ！ 今日はね 好きなもの どんどん頼んでいいよ｡ もう おばちゃん今日 何でも おごっちゃうからね｡ (ｺﾃ)じゃあ ｼﾞｬﾏｲｶもんじゃ ﾊﾞｹﾂで｡ あいよ！ お待たせ｡ ﾏｼﾞかよ…｡ すげぇ！ 幸せ！ 何これ どんだけ入ってんの？ 追試 合格して よかったですね｡ なんとか退学だけは免れた｡ ﾌﾞﾅﾝのおかげだ｡ 私も ｲﾏﾄﾞｷさんのおかげで 約束 守れました｡ この程度なら 全教科80点以上なんて当然でしょ｡ でも80点だぞ｡ すげぇ進歩だろ｡ だけどさ…｡ 社会に出たら 方程式じゃ解けない問題が➡ 次々 起こるのよね｡ ｶｱﾁｬﾝ 同じ高校生だよね？ それ 芋焼酎とかじゃないよね？ それより ななまるの変化球の動画 すごい拡散してるの知ってる？ ﾎﾝﾄ？ ｽﾄﾗｲｸ！ ﾊﾞｯﾀｰ ｱｳﾄ！ 演劇部の自主映画 『魔法少女ｼﾞｭﾘｴｯﾄ』の再生回数を➡ 軽く超えられた｡ どんな映画なのよ？ それ｡ ななまるさんだけじゃありません｡ ﾍﾞﾏｰｽﾞ全員の顔写真も ﾈｯﾄ上に出回ってますよ｡ (一同)えっ！ 何？ 何？ どこ？ どこ？ (一同)お～！ 何これ？ 総選挙!? えっ １位 私？ なわけねえだろ｡ どうせ ななまるさんでしょ｡ いえ｡ ﾏﾙｷｭｰさんです｡ 私？ 掲示板に 腐女子が 書き込みしまくってます｡ 腐女子って 女の子？ はい｡ へぇ～｡ そうだ！ こんだけ人気 あるんだから 握手会やろうよ｡ (一同)握手会？ うん！ おっ いいね｡ もんじゃ１つに握手券つけたら➡ この店 大繁盛だぜ｡ ですよね｡ 貸し切って ここを｡ で ﾌﾞｰｽ作りましょう｡ まったく もう！ みんな 浮かれすぎだよ｡ いいじゃないですか｡ だけど ななまるちゃん すっかり明るくなったね｡ うん ﾎﾝﾄ｡ なんか 小さい頃に戻ったみたい｡ 四蝋投を投げてみた｡ 四蝋投｡ うわっ…｡ 曲がった｡ 曲がった すごい！ ｲｴｰｲ 曲がったよ｡ 曲がるわけないよね｡ いやいや そもそもさ 俺 ﾌﾟﾛ野球選手だったのね…｡ すごい！ いろんな人が真似してる｡ でも なんで 変化球の名前まで｡ ﾈｯﾄ民は 仕事が早いですから｡ だけど 誰も 変化球 成功してないね｡ 当たり前じゃん｡ これは ななまるにしか 投げられないんだから｡ この球さえあれば ﾎﾟﾗﾘｽにも 絶対 勝てますね｡ どうかなぁ｡ 大丈夫｡ 女は 自信過剰なくらいがいいんだから｡ そっ そうだね｡ そうだ！ 今度 握手会用のﾎﾟｽﾀｰ 作ろうと思うんだけど｡ いいね！ 私 衣装 何にしよっかな｡ うちの子たちも 一緒に写っていい？ いいよ いいよ｡ ﾎﾝﾄに やるの？ ﾎﾝﾄに やるよ｡ 写真 撮ろうよ みんなで｡ 何？ １人じゃない｡ ああ…｡ やっぱり みんな 舞い上がってるのね｡ このままじゃ勝てない｡ それに まだ誰も気づいてない｡ ねえ あの動画 見た？ 見た見た｡ 車運転する ﾊﾟｸﾞ犬でしょ？ あれ最高｡ 例の ﾊｼﾞﾏﾙｶﾞｰﾙｽﾞなんだけど…｡ え？ なに？ 車運転する ﾊﾟｸﾞ犬って｡ いいから 見せて｡ これ｡ なんか 変な変化球 投げたらしいの｡ ｽﾄﾗｲｸ！ ﾊﾞｯﾀｰ ｱｳﾄ！ ｸｿｯ！ 再生回数 10万超えだって｡ ｷﾚｲよりも 上にいくなんて 許せない｡ いいじゃない それくらい｡ ｷﾚｲ様 あの こちら ﾒﾝｽﾞの新作になるのですが➡ お父様に いかがでしょうか？ ｼﾙｸ200％でございます｡ ﾊﾟﾊﾟいる？ あっ えぇ…｡ お仕事中でございます｡ おお ｷﾚｲ どうした？ あのね…｡ おい｡ ⦅ｷﾚｲ:ﾏﾏ！⦆ ｷﾚｲ 練習行こう…｡ ちょっと ｷﾚｲ？ どうしたの？ (戸が開く音) おかえり 七瀬｡ あら｡ いらっしゃい｡ はい できた｡ よいしょ｡ はい どうぞ｡ 大丈夫です｡ 持ってますから｡ すごいね それ｡ 持って来てくれたんだ 嬉しい！ じゃあ もう 今日は ﾌﾘｰﾊﾟｽね｡ よし じゃあね ひとまず 味見とね いきましょうか｡ うん！ いつもどおり世界一！ どうぞ｡ どう？ おいしいです｡ ああ よかった｡ もうすぐ七瀬たちも 帰ってくると思うからね｡ 別に あの子に 会いにきたわけじゃないんで｡ えっ？ じゃ おばちゃんに 会いにきてくれたの？ わぁ… そう｡ ｳﾌﾌ｡ あなたに お礼を 言わなきゃって思ってたの｡ お礼？ うん｡ うちの七瀬 もう漫画ばっかり描いて➡ もう ず～っと 引っ込み思案だったのよ｡ でも ｿﾌﾄをやるようになって すっかり変わった｡ まるで父親がいた頃のように 明るくなったの｡ えっ？ 聞いてない？ あの子の父親… 私の旦那だけど➡ あのﾊｼﾞﾏﾙ公園で かくれんぼしてる途中に➡ いなくなっちゃったのよ｡ ⦅もういいよ！ お父さん？ お父さん！⦆ あの子 今も父親が 公園のどこかに隠れていて➡ そのうち出てくるって 思ってるのよ｡ ⦅私たちにとって ここは ｽﾀｰﾄ地点｡ だから ﾊｼﾞﾏﾙ公園なんです⦆ まあ そう思い込んで 納得させてるんだろうけどね｡ おばちゃん！ 握手会のﾎﾟｽﾀｰ 作っちゃった｡ ﾌﾌﾌﾌ これ 店に貼っといて｡ あっ｡ また来てる！ まさか ななまるの変化球の噂を 聞きつけて ｽﾊﾟｲに来たんじゃ…｡ そんな必要ないわ｡ だって そんな球 怖くもなんともないもの｡ ごちそうさまでした｡ また いつでも来てね｡ 待って｡ 四蝋投が怖くないって どういう意味？ 言葉のとおりよ｡ それじゃ通じない｡ その球だけに頼っていたら➡ あなたの大事な ﾊｼﾞﾏﾙ公園は守れない｡ えっ？ だったら 勝負だ！ ｱﾝﾀが勝つか ななまるが勝つか｡ ｺﾃ そんな…｡ いいじゃん｡ こんな お嬢様の鼻 へし折ってやろう｡ その勝負 買った｡ ｼｪﾘｰ？ どうして？ ｷﾚｲが心配で ずっと待ってた｡ その勝負 私にやらせて｡ これ以上 ｺｲﾂらに ｷﾚｲの心を乱されたくないの｡ ♬～ あんなｻﾞｺ 一発で仕留めよう｡ 四蝋投 思いっきり投げて｡ わかった｡ 打たれた…｡ だって順番に 内か外でしょ？ 言ったでしょう？ その球じゃ通じないって｡ 待ってる 決勝で｡ ﾎﾟﾗﾘｽの選手は 過去に存在した球種は➡ すべて打つ力を持っている｡ 四蝋投も 彼女たちのﾃﾞｰﾀに入ってたのよ｡ もう… その変化球は使えないわ｡ 私 どうすれば？ 簡単よ｡ 過去に存在していない球を作るの｡ 過去に存在していない球？ そう｡ 今まで➡ 誰も見たことがない球｡ それって…｡ 魔球？

ビューティフル・レイン＃02

1 （美雨）いってきまーす！ （圭介）いってらっしゃい！ （美雨）ピンクの水筒 買っといてって　言ったじゃん。 （圭介）そうだった　そうだった。 （美雨）君は最近→ 物忘れが多過ぎるぞ。　フフフフッ。 （千恵子）佐藤さんから電話→ 納品日のことだって。 （圭介）佐藤さん？ （美雨）水筒は？ 買っといてくれたよね？ （古賀）ＣＴスキャンの結果から 判断すると　おそらく→ 若年性アルツハイマー病と 思われます。 美雨は　娘は　まだ　７つなんだよ。 俺が　そんな病気にかかったら 全部　忘れちまったら→ あの子 どうやって生きていくんだよ。 どうやって生きていくんだよ！ 父ちゃんは 美雨に隠し事はしない。 美雨も父ちゃんに隠し事はしない。 それが２人の約束じゃないか。 （美雨）そういえば 父ちゃんは　どうだったの？ 検査の結果。 何でも…　なかった。 （ため息） 父ちゃん。 おう。 いってくるよ。 いってらっしゃい。 どうしたの？ いや　別に。 遅刻するぞ　早く行け。 いってきます。 いってらっしゃい。 （ため息） う～ん。 （ため息） （小太郎）おかしいって→ どんなふうに？ 何か　ぼうっとして 時々　ハアって　ため息ついてる。 （小太郎）はっは～ん。 はっは～んって？ （小太郎）それは　女だな。 女？ （小太郎）美雨の父ちゃんには 女ができた。 何それ。 （小太郎）うちの母ちゃんと→ 同じだよ。→ 新しい男ができると ぼうっとして　ため息つくんだ。 （春子のため息） （小太郎）うちの母ちゃん→ 最近　また新しい男つくったんだ。 男をつくる？ （ため息） （秋生）ちょっと→ どうしたんすか　圭さん ため息なんかついちゃって。→ んっ？ いいな　お前→ 何も悩みなくて。 （秋生）失礼な→ 俺だってね 悩みぐらいありますよ。 例えば？ 例えば？ あれ　俺の悩みって何だっけ。 なあ　秋生→ もし仮に　今までのことを 全部　忘れちまったらどうする？ 忘れる？ いいことも　悪いことも→ 楽しかったこと　つらかったこと→ 全部　忘れるんだ。 ハッピーじゃないっすか。 何で？ 何でって　だって親に怒鳴られたり先輩に怒鳴られたり→ あと　お巡りに怒鳴られたこと 全部　忘れられるってことでしょ？ （宗田）お前 怒鳴られっ放しの人生だな。 （秋生）ちょっ 大きな　お世話ですよ。 あと忘れたいことっていったら…。いや→ 俺は　忘れたいんじゃなくて…。 いいや　仕事　仕事。 （秋生）水くさいじゃないですか もう　何でも言ってくださいよ。 バカに相談した俺が間違ってた。 バカって… ムネさんに失礼でしょう。 ねえ　ムネさん。 （宗田）バカ。 （秋生）えっ　俺？　俺か。 ≪（千恵子）圭さん→ あしたの誕生ケーキ いつもの店に注文しといたからね。 すいません。 あっ→ あした　美雨ちゃんの誕生日か すっかり忘れてた。 おい　お前　美雨の誕生日 忘れてんじゃねえよ。 （秋生）すいません。 失礼します。 （中村）おう　圭さん→ これ　あしたの見積書だ。 そうか→ 黒塚工業の専務との打ち合わせ→ 午後２時ですよね。 （中村）うん→ 頼むよ　大事な取引先だからな。 はい。 （中村）それと→ アカネのことなんだけどさ→ 圭さん　何も聞いてねえよな？ 何を？ （中村）どうして帰ってきたのか とか。 いいえ。 アカネちゃん　言わないんすか？ まっ　いいや とにかく　あした２時　よろしくな。 はい。 （千恵子）拓哉さんと 何かあったのか　それとも仕事で→ 何かトラブルでもあったのかねえ。（中村）そんなに心配なら→ 自分で 聞いてみりゃいいじゃねえか。 （千恵子）あんた　父親として 心配じゃないんですか？ （中村）心配だからこそ 何にも聞かねえんだよ。→ 分かってないね　お前は。 （千恵子）怖くて 何も聞けないんでしょ。 バカヤロー　俺は言うときは びしっと言う男だよ。 （中村）おい　アカネ。 どっか行くのか？ （アカネ）ちょっと。 （中村）そうか　分かった。 じゃっ　じゃ気を付けてな。→ いってらっしゃい。 （アカネ）いってきます。 びしっと言ったね。 タイミングってもんがあるだろ タイミングってもんが。 （小太郎）だからな うちの母ちゃんも→ 美雨の父ちゃんと同じで 独身だろ？ 独身の大人は 彼氏や彼女をつくりたがるんだ。 そうなの？ お前　がきだな。　子供だな。 小太郎だって子供じゃん。 （小太郎）フフッ　じゃあな。 ≪（春子）じゃあ　今晩は どうあっても来られないの？→ あしたは？→ やだ～→ 寂しくて死んじゃう。 （小太郎）ほら→ また男と電話してる。 ホント？ （小太郎）うん。 （春子）もっと大きな声で。→ ハハハッ　私も好き　大好き。→ また電話して？ （春子のため息） （小太郎）ほら　ため息ついた。 分かったか？　お前の父ちゃんも 絶対　女がいる。→ まっ　人生　色々ある。→ 元気　出せよ。　じゃあな。 ただいま。 （春子）おかえり。　フフッ。 （小太郎）また 男と長電話してたでしょ。 （春子）ハハハハッ カワイイ　小太郎→ 焼きもち　焼いてんの　ハハハッ。 （小太郎）焼いてない。 すいません。 （アカネ）圭さん。 いや　あれだ ちょっと人に頼まれて。 （店員）１，５７５円でございます。 はい。 （店員）お品物でございます。 じゃあ　急ぐから。 （小太郎）《それは　女だな》 ≪（ドアの開く音） ≪ただいま。 どうした？ えっ？ 本屋さん行ってきたの？ あっ　ああ　うん あの～　八百屋に行くついでに。 何の本　買ったの？ これは　あれだ　あの　大人の本。 大人の本？ うん。 だから　あの→ あっ　子供は見ちゃ駄目。 すぐ　飯　作っからな。 うん。 （ため息） ♪♪～ んっ？　どうした？ 父ちゃんの顔に何か付いてるか？ 父ちゃん。 んっ？ 女ができた？ （せき） 今　何て言った？ 女ができたんでしょ？ 何で？ ぼうっとして　ため息をつく そういうときは→ 女ができたんでしょ？ どこで覚えたんだよ　そんな言葉。 小太郎が教えてくれた。 しょうがねえ　がきだな。 独身の大人は　みんな→ 彼氏や彼女を つくりたがるんじゃないの？ そりゃあ　中には そういう人も　いるかもしんない。 だけど　父ちゃんは　違う。 彼女なんか　いらないし 欲しいと思ったこともない。 何で？ 父ちゃんには 美雨がいるじゃないか。 美雨は　父ちゃんの宝物だ。 世界で　一番　大事な宝物。 父ちゃんの言うことが 信じられないのか？ う～ん　じゃ何で　このごろ よく　ぼうっとしてるの？ それは　その…。 ちょっと疲れてんのかな。 ホント？ 本当だよ。 何だ～　その目は～。 やだ～。 ほら。 あ～　やだ～。 ハハッ　くすぐり攻撃。 （笑い声） はい。　はい　終わり。 （笑い声） ほら　早く食べちゃえ。 は～い。　ヒヒヒヒッ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （ため息） （アカネ）圭さん。 おう　何だ　こんな時間に。 いや　別に→ ちょっと 外の風に当たりたかっただけ。 圭さんこそ　何してんの？ いや　俺は→ 見りゃ分かんだろ　たばこ　吸いに。 ふ～ん。 そういや 何で急に帰ってきたんだ？ 旦那とケンカでもしたか？ 仕事は　どうしたんだよ。 （アカネ）圭さんこそ→ 昼間　本屋で買ってた本。 あれは→ 言ったろ ちょっと人に頼まれてって。 誰に？ いいじゃねえか　そんなこと。 おやすみ。 おやすみ。 ≪（ドアの開閉音） ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （秋生）圭さん。→ 圭さん？→ ≪圭さん！ いや　終わってますよ。 あっ。 も～　ぼけちゃったんすか？→ いくら何でも早過ぎますよ ぼけるには。 秋生　誰が　ぼけたって？ （秋生）いや　圭さん　冗談っすよ。 ≪（中村）圭さん！ 何やってんだ　圭さん。 何って。 何で　ここにいるんだよ。→ 今日は　２時から 黒塚工業さんと打ち合わせだろ。 ２時から　打ち合わせ？ 昨日　見積書も渡したじゃねえか。 あっ！ すいません！　すぐ行ってきます。 申し訳ありません！ 二度と　こういうことがないように気を付けます。 本当に申し訳ありません。 （古賀）《アルツハイマー病の 初期症状とみて→ ほぼ間違いないでしょう》 ♪♪～ ♪♪～ （事務員）見学ですか？→ どうぞ　ご案内いたしますよ。 （事務員）どうぞ。 （事務員）うちは　アルツハイマーを含む認知症のお年寄りの方も→ 大勢　受け入れてます。　ですから→ 日常生活の お世話をさせていただく→ スタッフの教育には→ 特に力を入れておりますので→ 安心して　ご家族を お預けいただけると思いますよ。 入所を検討してらっしゃるのは お父さまか　お母さまですか？ あっ。 ≪（小山）タカシ→ よく来てくれたわね。→ お母さん心配してたのよ。→ 受験勉強どう？ ことしは　合格できそうなの？ ≪（スタッフ）小山さん　行きましょ。→ よく似てらっしゃいますけど 息子さんじゃありませんよ。 （事務員）どうも　すいません。 父ちゃん　もう帰ってるかな？ （アカネ）もちろん。→ 美雨ちゃんの誕生会に 圭さんが遅刻するわけないでしょ。 う～ん。 （アカネ）何か 心配なことでもあるの？ 女ができたのかな～って。 えっ？　女って。 う～ん。 ≪（立花）美雨ちゃん→ 誕生日おめでとう。 ありがとう。 （立花）アカネさん まだ実家にいたんですね。→ あっ　いつまでこっちに？ ん～　もう　しばらくかな。 （立花）そうですか。→ そりゃよかった。 （アカネ）えっ？ よかったって　何が？ （立花）あっ　いえ　別に。 じゃ　失礼します。 （アカネ）フフッ。 （小山）《よく来てくれたわね》 （古賀）《最後には 自分が誰か　家族のことすら→ 忘れてしまいます》 ≪（秋生）ちょっ　圭さん→ 何やってんすか　こんなとこで。 んっ？ いや　もう　パーティーの準備 始まってますよ。 パーティー？ あ～　プレゼント買いに→ 行ってたんすね。 プレゼント？ （秋生）今日は　美雨ちゃんの 誕生日パーティーでしょ？ あっ。 （秋生）「あっ」じゃないよ！→ もう５時半っすよ。　６時には パーティー始まるから　それまでに→ プレゼント買いに行かなきゃって 圭さん自分で言ってたじゃん。 町屋まで行ってくる。 （秋生）もう　この時間だったら→ ちゃりの方が早いから！ （秋生）ダッシュ　早く　急いで 急いで。　６時までに→ 帰ってきてくださいよ！ ローラーシューズ　あります？ （店員）こちらでございます。 お～。 （店員）娘さんの足のサイズは 何ｃｍでしょう？ （千恵子）あ～　もう　それいいから ほら　これ持ってって。 （秋生）はいはいはい。 （中村）そろそろ→ ビール出してもいいかな。 （千恵子）まだですよ。 主役の２人が揃ってから。 （秋生）ちょっと　ムネさんも 少しは働いてくださいよ。 （宗田）んっ？ （小太郎）こんにちは！ （秋生）おう　コタ。 （千恵子）小太郎君→ 美雨ちゃん　家で 宿題やってると思うから→ ちょっと　様子　見てきてくれる？ （小太郎）は～い。 （小太郎）お邪魔します！ （小太郎）美雨　見つかったか？ 何が？ 大人の本。 父ちゃんが隠してるんだろ？ たぶん　あそこだと思う。 （小太郎）なるほど 子供の手が届かない所に隠したな。 うん。 大丈夫？ （小太郎）何か 難しそうな本が　いっぱいあるな。 あった？　大人の本。 ちょっと待って　今　探してるから。 （小太郎）あれ？　これかな？ ≪（足音） 誰か来た。 あっ。 早く。 美雨ちゃん　小太郎君も ケーキに　ろうそく立ててくれる？ （美雨・小太郎）は～い。 （中村）さあ　そろそろ始めるか？ （千恵子）圭さんが　まだよ。 （中村）えっ　まだなの？ （秋生）ああ　町屋まで　ちゃりで プレゼント買いに行ってますよ。 （宗田）町屋か じゃあ　もう帰ってくんな。 もう少し待ってみようね。 うん。 あれ？ あれ？ （千恵子）圭さん　遅いね。 （中村）町屋までなら 自転車で１０分だろう。 （秋生）あっ　誕生日プレゼントで 迷ってんじゃないっすか？ 何　買ってもらうんだ？ ローラーシューズ。 （千恵子）決まってるんなら 迷うこともないしねえ。 何やってんだろ。 ♪♪～ [TEL] あっ　圭さん？　今どこ？ いや こっち　もう準備できてるわよ。 もう帰りますんで 先に始めちゃっててください。 はい。　お願いします。 （千恵子）先に始めててくれって。 （中村）あっ？　何で？ （千恵子）さあ。 （アカネ）ごめん　遅くなって。 （秋生）あっ　おかえりなさい。 （中村）アカネ　ここへ座れ。 （アカネ）あれっ　圭さんは？ （千恵子）プレゼント買いに 行ったまま→ まだ帰ってこないの。 今　電話したら→ 先に始めててくれって。 ふ～ん。 （秋生）やっぱ→ 何か　おかしくないっすか？ （中村・宗田）えっ？ いや　圭さん　このごろ よく　ぼうっとしてるし→ 今日だって黒塚工業との約束 忘れてたし。→ あっ　それに…。 （千恵子）何　言ってんの　もう。 （小太郎）やっぱり女だな。 えっ？ （一同）♪♪「ハッピー　バースデイ トゥ　ユー」→ ♪♪「ハッピー　バースデイ トゥ　ユー」→ ♪♪「ハッピー　バースデイ ディア　美雨ちゃん」→ ♪♪「ハッピー　バースデイ トゥ　ユー」 （歓声・拍手） （小太郎）お誕生日おめでとう。 ありがとう。 美雨ちゃん　これ　みんなから。 あっ　ありがとう。 （宗田）はいはい　乾杯　乾杯　乾杯。 （千恵子）あっ　乾杯。 （秋生）あっ　乾杯しましょう。 （宗田）はい。 （秋生）おっ。 （一同）乾杯！ （中村）あ～　うまい！ （千恵子）ムネさん　これ これ取ってあげようか？ （宗田）あの　３本。 堀船５丁目　中村産業 どう行けばいいんです？ （警察官） はい　ちょっと待ってね。→ 堀船５丁目。→ え～。　今日も暑かったね。　ヘヘッ。 ちょっと　急いでもらえませんか？娘の誕生会→ 始まっちゃってるんですよ。 早く行ってあげないと→ いけないんです。 （警察官）あんた　自分の家に→ 帰る道が分からんのかね？ いいから早く！ だから　競馬は　ただの ギャンブルじゃないわけよ。 男のロマン。　分かる？ （秋生）まったく分かんないっす。 （宗田）やっぱ駄目だね　若造は。 （千恵子） どうしちゃったんだろうねえ。 ≪美雨！　美雨。 （千恵子）圭さん どこ行ってたの？→ 美雨ちゃん ずっと待ってたんだよ→ ケーキも食べないで。 すいません　ちょっと。 （秋生）ちょっとって？ 知り合いに　ばったり会って 話し込んじゃって。 （千恵子）知り合いって？ それは…。 その…。 美雨　遅くなって　ごめん。 ほら　これ　買ってきたぞ→ ローラーシューズ。 誕生日おめでとう。 美雨！ 美雨。 美雨。 本当に　ごめんな。 だけど　みんな　美雨のために 集まってくれてるんだから。 そうだよ。　それなのに 父ちゃんだけ帰ってこなかった。 帰ってきたじゃないか。 遅い。 これでも　精いっぱい急いだんだ。 しょうがないだろ 知り合いに会っちゃったんだから。 知り合いって？ それは　あの　美雨の知らない人だ。誰？ 誰って。 女の人？ 美雨。 前にも言ったとおり 父ちゃんには女もできてないし→ 女好きでもない。 だったら何で遅くなったの？ 美雨のこと　どうでもいいって 思ってるからでしょ？ そうじゃないよ。 じゃ　何で？ すいません。 美雨ちゃんは？ すっかり　へそ曲げられちまって。 （千恵子）そりゃそうよ。 ホントすいませんでした。 せっかく集まってもらったのに。 （中村）圭さん ホントに　どこ行ってたんだよ。 （千恵子）出先で何かあったの？ （アカネ）そんなことより　今は→ 美雨ちゃんと 一緒にいてあげたら？ （千恵子）あっ　そうよ　ちゃんと 仲直りした方がいいよ。 （アカネ）圭さん　早く。 うん。 じゃ　ホントすいません。 （中村）おう。 （アカネ）圭さん。 何か困ったことあったら言ってね。 ありがとう。 美雨。 寝ちゃったのか？ ごめん。 父ちゃんが悪かったよ。 ほら　これ　ちゃんと買ってきたぞ。 ずっと欲しがってたじゃないか。 ローラーシューズだぞ。 履いてみるか？ 履いてみろ　早く。 早く。　早く。　早く。 早く。 どうした？ 何で？ 何が？ 何で　１９ｃｍなの？ えっ？ 美雨の足　２０だよ。 えっ？ １９ｃｍなんて 小さくて履けるわけないじゃん。 えっ？ ２０？　いつから？ １年の３学期から２０だよ。 こないだ　新しい上履き買うときもそうだったじゃん。 こないだ　新しい上履き？ 忘れちゃったの？ 何で？ こないだも　水筒買うの忘れたし→ どうして　そんなに 何でも忘れちゃうの？ やっぱり　どうでもいいんだ 美雨のことなんか。 いや　そんなことは。 じゃ　何で？ こんなのいらない！ 父ちゃんのバカ！ 謝れ　美雨。 ごめんなさいしろ。 美雨　謝れ。 嫌だ！ 謝れ！ 嫌！ 美雨が　一番　大事って→ 世界で　一番　大事な宝物だって 言ったくせに→ どうして 誕生パーティーに遅刻したの？ 何で？ ねえ　何で？ 父ちゃん 何で忘れ物ばっかりするの？ おかしいよ。 父ちゃんは　このごろ　おかしいよ。 おかしくない。 おかしい！　絶対おかしい！ 父ちゃんだって　色々　大変なんだ。 何にも知らないくせに→ 何にも分かってないくせに→ 父ちゃん　ばっかり　責めるな！ （泣き声） ごめん。 ごめん。　父ちゃんが悪かった。 美雨　ごめん　父ちゃん許してくれ。 美雨　ごめんな。 悪いのは父ちゃんだ。 ぜ～んぶ　父ちゃんが悪いんだ。 美雨　ごめんな。 ごめんな。　ごめんな。 ごめんな。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （古賀）諦めたくない？ はい。 このまま病気に負けたくない。 できることがあるんなら 何でもしたいんです　娘のために。 （古賀）２年生ですか。 カワイイでしょう？ はい。 うちは息子ですが 木下さんの気持ちは→ 痛いほど　よく分かります。→ 前にも　お話ししましたが→ 現在　アルツハイマー病を治す薬はまだ開発されてません。→ ですが　病気の進行を遅らせる薬はあります。→ 新薬も どんどん開発されてます。→ 大事なのは　アルツハイマー病と→ 上手に 付き合っていくことなんです。 （古賀）諦めないで→ 一緒に頑張りましょう。 はい。 ♪♪～ 昨日　買ったんすけど ちょっと　サイズが→ 合わなかったみたいなんで。 （店員）あっ　そうですか。 レシートもありますので。 こんにちは。 （男性）あっ　圭さん　こんにちは。 アスパラガスとホウレンソウ トマト。 （昇）はい！ それと　カボチャ。 （昇）えっ？ （菜子）あれ　圭さん→ カボチャ大っ嫌いだったはずじゃ。好きだよ　カボチャ。 今日から大好きになるんだ。 （昇）はあ。 （アカネ）美雨ちゃん。 （アカネ）どうしたの？ 困ってるの。 困ってる？ 昨日ね→ 父ちゃんに ひどいこと言っちゃって。 だから　謝って 仲直りしたいんだけど→ どう言っていいか分かんないの。 そっか。　いや　それは困ったね。 どうしたらいい？ （アカネ）う～ん。 じゃあ　アカネちゃんが→ 仲直りできる　おまじない 教えてあげる。 仲直りできる　おまじない？ ただいま。 どうした　美雨。 ごめんなさい。 何が？ 昨日は　ごめんなさい。 美雨。 せっかく　ローラーシューズ→ 買ってきてくれたのに 「いらない」って。 父ちゃんに　ひどいこと いっぱい言ってごめんなさい。 ごめんなさい！ 悪かったのは父ちゃんだ。 美雨は何にも謝ることはない。 ほら　ローラーシューズ→ ２０に取り換えてきてもらったぞ。 よかった。 アカネちゃんの言うとおりだった。うん？ 心を込めて ごめんなさいって言えば→ 父ちゃんは 絶対　許してくれるって。 それが 仲直りの　おまじないだって。 アカネちゃんが→ そう言ってくれたのか？ うん。 父ちゃん。 美雨は父ちゃんが大好きだから。 世界で　一番　大好きだから。 ずっと一緒にいてね。 ねえ　父ちゃん→ ずっと→ ず～っと　一緒にいてね。 分かったよ。 分かったよ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （あくび） （あくび） 父ちゃん？ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～

バンザイ! キング・ジュリアン.S02E09.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ パーティー！ だれが王様(おうさま)？ 　　キング･ジュリアン！ だれが王様(おうさま)？ 　　キング･ジュリアン！ 楽しくやろう だれとパーティー？ 　　キング･ジュリアン！ だれが王様(おうさま)？ 　　キング･ジュリアン！ 夜は終(お)わらない これがジュリアン･スタイル だれが王様(おうさま)？ バンザイ！ キング･ジュリアン ぼくのだぞ その手を放(はな)せ 飲(の)み物(もの)がこぼれる もうよせ　わしに任(まか)せろ 赤んぼうを 真(ま)っ二つにするよう命(めい)じる パイナップルですよ　キング ドラマチックにしたんだ お前もシリアスな声で 言ってみろ ほら 下士官(かしかん)　刑(けい)を執行(しっこう)せよ やったね！ 国王らしく なってきましたね そうだろ 国民(こくみん)からも 〝国王らしい〞とか 〝頭がいい〞と 評判(ひょうばん)だ ボクもキングの頭が大好(だいす)き！ よせ　悪(わる)い子だな あの音は？ モートがわしの頭のことで さわぐ声だ ちがいます 下です！ みんな にげろ！ 目が！ フォッサか？ みんな 落(お)ち着(つ)け クローバー　いつものを お任(まか)せを 敵(てき)が見えないと 何もできません フォッサは？ フォッサが来たと聞いたから さわいだんだ それでいいんだ みんな死(し)んじゃう！ わたしの後ろにかくれて フォッサにやられた おれの足はどこだ 後ろを見な だまされなかったか モーリス　さすがだ フォッサはいないよ なのに お前らは “フォッサだ”と大さわぎ お前 ロブ･マクトッドか おどろいたな だまされたな ダサいぞ ロブらしい登場(とうじょう)だな こいつは一番 つき合いの長い親友だ ロブ･“パーティーアニマル” マクトッドだ 最後(さいご)に会ったのは… 彼(かれ)のいたずらで前の王が 発作(ほっさ)を起(お)こした時です あの時の みんなの顔！ 顔といえば その顔はどうしたの 少し いじったのさ まゆを上げ 目元のシワを取(と)り 鼻(はな)と唇(くちびる)を変(か)えて ほおにピーナツ チョー普通(ふつう)だよ 老化(ろうか)とはオサラバさ つまり わざと 顔を変(か)えたわけ？ クローバー いちゃもんをつけるな 新しい顔もイケてる いつも流行(りゅうこう)の最先端(さいせんたん)を いくのが― マクトッド流(りゅう)だ わしらは へそでつながった 兄弟みたいだった つまり双子(ふたご) まちがってる 合ってるさ わたしと妹は へそでつながってなかった 無知(むち)だな ともかく２人で よく大さわぎした “Ｌ-Ｌ-Ｔ-ＬＬ”って バンドを組んだよな “女の子 大好き(ＬＬＴＬＬ)” ロブはパーティーツアーで 世界(せかい)を回ってた 久(ひさ)しぶりだ 本当だな いつものあいさつをしようぜ 気持(きも)ち悪(わる)い　はきそうだ お前もケツあいさつを しようぜ　モーリス 前のキングに何と言われた？ “二度(にど)と もどるな” だが おじさんはもう 国王じゃない いてもいいか？ 少し考えよう もちろん いいに決(き)まってる やったね ロブ･マクトッドへの 追放令(ついほうれい)を撤回(てっかい)する 撤回(てっかい)だ　今ここで決(き)めた マズい気がするんだけど 正解(せいかい)だ ゆうべは ひと暴(あば)れしたんだ ホーストはココナツを５つ 立て続(つづ)けに飲(の)んだ 時々 エネルギーを 発散(はっさん)したくなる それが何だってんだ まるで素人(しろうと)だぜ あれはイカれたテッドだ そのヤシの木で芸(げい)を見せろ 体幹(たいかん)をきたえてるんだ 大事(だいじ)な筋(すじ)が さけちゃった おれはベッドから 落(お)ちただけで骨折(こっせつ)した ここからが本番のもてなしだ 初(はじ)めて見るものだぞ はげしいビートを聞かせろ イカした低音(ていおん)だろ ケツで火山が 噴火(ふんか)してるみたいだ さあ みんな　ケツをふれ わしの顔をつぶすなよ おどろいたろ？ ああ　まるで老人(ろうじん)の フォークダンスだ 本物(ほんもの)のダンスミュージックを 聞かせてやる どうだ　感(かん)じるか このノリ 最高(さいこう)だろ サイリウムをふってみろ まじない師(し)にもらった 骨(ほね)の粉(こな)のエキスだ こいつが今どきのホットな ダンスパーティーだぜ クールにいこう おしゃれにキメろ おれたち ノリノリ クール！ ロブ　すごいぞ ちょっと変(か)えただけで パーティーがイケイケに 何をした イルカの鼓膜(こまく)と入れ替(か)えたら 耳がよくなって― 音楽に敏感(びんかん)になった イルカの耳だって？ そいつはロブらしいな 再会(さいかい)できてうれしいよ パーティーを始(はじ)めよう もう１つ！　もう１つ！ もうムリだよ 1000個(こ)は食べたもん 情(なさ)けないって ポクポクの木が笑(わら)ってるぜ だろ？　ジュリアン そうだ　それにヤツらは わしの悪口(わるぐち)も言ったんだ チョーひどいことをな 何だって？　キングの 悪口(わるぐち)は許(ゆる)さない！ 目がつぶれる！ すごかったぜ　ちっさいの パーティー用トランポリンだ どうだ？　すごいだろ 去年(きょねん)の流行(りゅうこう)だな　新しい トランポリン遊(あそ)びはこれだよ 見たか？　鳥みたいだろ 全部(ぜんぶ)の骨(ほね)を入れ替(か)えたんだ スカスカの鳥の骨(ほね)とな レディーはお前に夢中(むちゅう)だな ケツの毛を頭に 移植(いしょく)したからな どうせケツは見えない マクトッド流(りゅう)は 刺激(しげき)が強かったな 前にクラブの開店(かいてん)を 考えたよな “クラブ･モイスト”か やればよかった 店の場所(ばしょ)も決(き)めてあったのに 夢(ゆめ)をあきらめたのはお前だ おれが世界(せかい)を回ってる間― お前はここで王様(おうさま)ごっこ “わしは王だ”ってな アホか！ お前と行くべきだったかもと 考える時があるよ いいこと教えてやるよ 新しい選択(せんたく)はいつでもできる キング… モーリス　何してるの だれかが仕事(しごと)しないと 外で何が起(お)きてると？ どうせパーティーだろう キングは昔(むかし)に もどってしまった 全部(ぜんぶ) ロブのせいだ ロブが きらいなのね 何があったの？ ヤツとの間には いろいろあった わたしは プリンスの監視役(かんしやく)だった ロブは あらゆる手で わたしを追(お)い払(はら)おうとし それを“ジョーク”で かたづけた きれいな箱(はこ)だな 左目が！ ノドがかわいたな 今度(こんど)は右目が！ ウケる 昼寝(ひるね)でもするか 両目(りょうめ)が！ 最高(さいこう)　チョーウケる 目の傷(きず)が治(なお)ってきたころには プリンスとロブは親友に それは気の毒(どく)に でも３回も引っかかったの？ ロブがプリンスを 必要(ひつよう)としたのは― ヤツ１人では 何の力もないからだ ヤツがもどった今 また同じことが起(お)きる クローバー　モーリス ここか 大問題(だいもんだい)だよ パーティーを続(つづ)けなきゃ おどりすぎね マンゴーを点滴(てんてき)して 15匹(ひき)がたおれた 何とかしないと 落(お)ち着(つ)いて 電気ショックの機械(きかい)を キングもよんで こんな早くに たたき起(お)こすなんて もう午後３時ですよ ブランチには見えんぞ パーティーのしすぎで 死(し)にかけてる者(もの)たちです テッド？ おどり続(つづ)けなきゃ ウィリー 死(し)んじゃう！ トッド？ 子どもなのに みんな おどってたから ぼくもマネして カッコよくなりたかったの キングみたいに 確(たし)かに ゆうべ わしはトッドとおどったが… ロブのせいです　キング 彼(かれ)は悪魔(あくま)だ！ 王国のために追放(ついほう)を 追放(ついほう)を撤回(てっかい)したばかりだ “トワークダンス”を 教えてくれるって どれだけ被害者(ひがいしゃ)を出したら 気がすむんです 分かったよ ロブ･マクトッドを再追放(さいつうほう)に ジュリアン　入れよ ロブ　すごく 言いにくいんだが… 出ていくのか？　よかった いや　ダメだ そんなのダメだよ どうせおれを追(お)い出すために 来たんだろ モーリスの さしがね？ 残念(ざんねん)に思ってるよ ああ　サプライズが台なしだ サプライズ？ 待(ま)て　サプライズって？ 夢(ゆめ)のクラブを開(ひら)こうかと “クラブ･モイスト”か！ そのために もどってきた その話 乗(の)った！ いつだ　いつ店を見られる？ いつなんだ 今すぐ見たいぞ ムリだね モーリスが許(ゆる)さないさ “やりたいけど モーリスに 怒(おこ)られるから”だろ モーリスは王じゃない 王であるわしが決(き)める 案内(あんない)しろ 兄弟 よしきた 兄弟 キング　どこです？ キング？ ぼくのジュースはどこ？ キングはいないわ 行くわよ　気をつけて なぜパーティーに 招待(しょうたい)しないの？ 春休みのパーティー！ 春休みじゃない キングの友達(ともだち)のロブが来てる パーティーアニマルが？ キングをきらってるのに 何を言うの 昔(むかし) アタシは クラブ好(ず)きだったの ロブは追放(ついほう)されて クラブに入れなくなり― 立場を保(たも)つため パーティーをやり続(つづ)けた アタシの友達(ともだち)は ほとんど死(し)んじゃった パーティーをやめろという 警告(けいこく)ね でも あなたは今も パーティーに… 警告(けいこく)に従(したが)ったとは言ってない とにかく ロブは脱獄(だつごく)して― とにかく ロブは脱獄(だつごく)して― 〝つかまえたら マンゴー５００個(こ)〞 〝つかまえたら マンゴー５００個(こ)〞 〝つかまえたら マンゴー５００個(こ)〞 またパーティーを 始(はじ)めたとか またパーティーを 始(はじ)めたとか それでキングにうらみを？ 仕返(しかえ)しすると言ってた 来い　ジュリアン 夢(ゆめ)をかなえるチャンスを くれて ありがとう 礼(れい)を言うのは早い どこを捜(さが)せばいいか 見当もつかない 跡(あと)をたどる いい考えが モート　どこにいる キングがよんでるぞ ボクを？ ボク 来たよ　あれ？ キングはどこ？ ロブと消(き)えたの 危険(きけん)がせまってる 追(お)えるか？ こんな時のため キングの足のツメを集(あつ)めてる いいぞ 強烈(きょうれつ)なにおいだ 古くなってて完(かん)ぺき 悪(わる)い夢(ゆめ) 見てるみたい においは覚(おぼ)えた 文句(もんく)は言いたくないが ジメジメしたクラブだな それに気味(きみ)が悪(わる)い ここは店じゃない 寄(よ)り道した ドクター？ ロブだ 約束(やくそく)通りに来たぞ ヘビの医者(いしゃ)か？ お前らしいな 医者(いしゃ)と名乗(なの)るには 医師免許(いしめんきょ)がいるが― １つ見落(みお)としてることがある 洞(どう)くつで手術(しゅじゅつ)すれば 免許(めんきょ)などいらんのだ！ こいつが友達(ともだち)の キング･ジュリアンだ ツヤのある毛に きれいなまぶた 君(きみ)の言った通り 最高(さいこう)のドナーだよ 確(たし)かに まぶたは 自慢(じまん)なんだが… 今 “ドナー”と言ったか？ 言い忘(わす)れてたけど おれは指名手配(しめいてはい)されてるんだ あんたの顔をもらうよ 医療(いりょう)には くわしくないが わしの顔をはがすには 同意(どうい)がいるはずだ！ 洞(どう)くつで手術(しゅじゅつ)すれば 同意(どうい)などいらんのだ！ キング･ジュリアン じっとしててくれよ 最初(さいしょ)の切開(せっかい)は 少しだけ痛(いた)いかもしれん ロブ　やめてくれ お前らしくないぞ なぜ こんなことを？ なぜだと？ 追放(ついほう)された時が チャンスだった 世界(せかい)を回り クラブもオープンできたのに お前は にげた プリンスを失(うしな)ったおれは 店から しめ出された 知らなかった でも ふり返(かえ)ると― 行かなくて正解(せいかい)だったよ お前が にくかったが この決断(けつだん)は つらかった つらそうな顔じゃないぞ 仕方(しかた)ない ハイエナの皮(かわ)を移植(いしょく)して 顔が動(うご)かないんだ 準備(じゅんび)できたぞ　手術(しゅじゅつ)をたのむ チクリとはしないよ キング･ジュリアン 激痛(げきつう)だ だって これは洞(どう)くつで 行う手術(しゅじゅつ)だからな！ いたわ キング！ ロブ･マクトッド ボクのキングに何をした 髪(かみ)はやめろ　高かったんだ まゆ毛もさわっちゃダメだ そこを動(うご)かないで 手があれば 簡単(かんたん)にすんだのに！ すぐ助(たす)けますからね ここを くぐらせてから こっちを… わしは変(か)わってないと 思ってた ハンサムでセクシーな パーティーの人気者(にんきもの)だ だが そのわしは 死(し)んでしまった それでよかったと思いますよ 危(あぶ)ない！ だから医者(いしゃ)はきらいなんだ キングを苦(くる)しめるヤツは 許(ゆる)さない よせ　わしは大丈夫(だいじょうぶ)だ キング･ジュリアン 大変(たいへん)　ちょっとひどいわよ ロブ おどろいたな 何年もかけた整形手術(せいけいしゅじゅつ)が！ 何もかも元にもどっちまった 年相応(としそうおう)の外見に 年より老(ふ)けてる “少し”じゃなく “すごく”だ つまり… イヤだ！ あんなにハンサムだったのに 顔がおれのすべてだった！ 足の指(ゆび)をぶつけた まだ走ってるぞ 行き止まりだ ほっといてやれ あれはわしの友達(ともだち)じゃない 友達(ともだち)のロブは ずっと昔(むかし)に失(うしな)ってたんだ さあ 葬式(そうしき)やろうか この海にささげる これはパーティー好(ず)きだった わしだ モーリス　シリアスな声でな 下士官(かしかん)　火を放(はな)て！ お任(まか)せを さようなら　昔(むかし)のわしよ よし パーティーしたい者(もの)は？ パーティー好(ず)きのキングは 葬(ほうむ)ったはず だからって 楽しまないとは言ってないぞ 死(し)なない程度(ていど)に楽しむ そうだろ？　みんな ハル～ヤス～ミ！ ちっとも痛(いた)くない！ 日本語字幕　小森 亜貴子

Dr.DMAT＃09

1 (紅美)私が起こしてあげる (響)伊勢崎先生 (凛)春ちゃん 何かあったんですか 来て えッ？ ｆＭＲＩ？ 脳の活動に関連した 血流動態反応を視覚化する ＭＲＩ撮影方法の一つ 各国の脳科学者が今 こぞって研究してる 先端技術よ 聞いたことあります どんな夢を見てるとか どんな文字を読んでるとか 外的に五感を刺激したときの 脳血流の変化を 画像として読み取れるって ホント？ これが実際にｆＭＲＩで 読み取った画像 去年 このｆＭＲＩを 12年間意識がない 植物状態だと 思われていた男性にかけたところ その反応から 実は 意識があることが判明した って論文が海外で発表されたの えッ？ 意識があるってことは… 体は動かせなくても 実は 私達の会話や 身の回りで起きていることが 分かっているかも しれないってこと あんたの妹 意識あるかもしれないよ 準備整いました じゃ 今から撮影始めます あなたは 八雲春子さんですか？ (紅美)もう一度聞きます➡ あなたは 八雲春子さんですか？ ≪(紅美)では ｲﾒｰｼﾞしてください➡ あなたは 自宅にいます➡ そこに家族はいますか？ あ～ 疲れた まッ 一度で うまくいくとはかぎらないから➡ 近いうち またやってみよっか あの うん？ 面白かったでしょ？ 面白かったって… fMRIで意識があることが分かった 植物状態の患者さんは 閉じ込め症候群 だったんですよね？ 調べました 閉じ込め症候群て？ そう 本当は 意識や思考力があるのに 神経を司る脳幹が傷ついていて 体が反応できない状態 何十年も植物状態に 間違えられるケースもある じゃあ 春ちゃんも？ 違う ＥＲに搬送された直後は 会話ができたから 《(春子)お兄ちゃん 行って》 意識を司る 脳幹網様体賦活系には 春子の場合 傷がなかったことになる 春子は閉じ込め症候群じゃ ありません ｆＭＲＩで見ても 意味ないんじゃないんですか？ 何もしないよりはましでしょ？ 面白いとか 面白くないとか 春子は先生の 実験用モルモットですか!? まッ 否定はしないけど 次 いつやるか 気が向いたら声かけて (伊勢崎)ｆＭＲＩか 面白いな でしょ？ 結果が出て論文書いたら この病院の評価だって上がるし ウチも導入した方が… 金がかかる 望みも薄い 成功した場合のﾒﾘｯﾄを考えたら 大したことないでしょ？ 珍しいな 臨床一本のお前が 基礎研究に熱心になるなんて この分じゃ 嫁に行くのは当分先に… 何なんだ!? (長谷川)病院の評価なんて どうでもいいんじゃ ないでしょうか あれ？ うん？ ううん ねえ さっきの話だけど ちょっと言い方はひどかったけど 伊勢崎先生の言うとおり 何もしないよりは… 今までだって 色々やってたんだよ！ ごめん 春子の好きな音楽聴かせたり 電気刺激療法試したりしてさ そうだよね でも もし春ちゃんが 意識を持ってるとしたら (ＰＨＳ着信) はい はい 失礼します 手は握れますか？ はい 歩けてたのね？ (救急隊員)はい 軽いショック状態ね バイタルだけ見といて はい よろしく 痛い所はありますか？ 痛い 脚が 左脚… ちょっと触りますよ アー！ 伊勢崎先生 赤タグ１名 搬送終了しました (花田)救急車１台ｽﾀﾝﾊﾞｲしています もう１台は10分後 到着予定です あっちの男性お願い はい 外傷なし 伊勢崎先生に 診てもらいました 痛い所ありますか？ いえ 手が少し痺れるぐらいで どんなふうに痺れますか？ ビリビリと電気みたいに 手を握ってください 右手をあげてみてください バイタルは？ 血圧80の60 脈60 呼吸24です 頸椎保護 お願いします はい ｽﾄﾚｯﾁｬｰ入ります (紅美)こっち急いで搬送して！ はい！ 伊勢崎先生 先に男性の方を 搬送してください さっきまで歩いてたのよ こっちは 大腿骨骨折して内出血もしてる こっちを先に搬送するに 決まってる 手のビリビリした痺れと 上腕の動きも鈍いんです 脊髄損傷の疑いがあります 早く病院で検査しないと 四肢麻痺が残る可能性も 水野さん バイタルは？ (水野)血圧80の60 脈120 呼吸25 この出血量なら 優先順位は 男性の方じゃないですか？ その判断 私に押しつける自信あるの？ どういうことですか？ あんたと違って 実際 患者の体切って 最後に責任取るのは 外科医の私なんだけど 救急車 もう１台到着しました！ ｽﾄﾚｯﾁｬｰ こちらに！ 早く搬送しなさいよ！ はい 頸椎脊髄損傷の疑いがあります 首を愛護的に扱ってください 分かりました ｽﾄﾚｯﾁｬｰ出します １ ２ ３！ (小曽根)血算 生化 ＣＲＰお願いね 分かりますか？ 緊急採血 ｸﾛｽﾏｯﾁと ＭＡＰ６単位もね (救急隊員Ａ)ｽﾄﾚｯﾁｬｰ出ます 血圧104の82 脈86 呼吸20 痺れや痛みはありますか？ 手がさっきより痺れます あと 首が痛い… やはり 中心性脊髄損傷の 可能性が高いです 整形外科に連絡お願いします 他に痛い所ありますか？ 大腿部のレントゲン早くして 撮影中の患者さんが 終わり次第で 八雲先生 今 整形外科の先生 全部埋まってるみたいです 私が状況を説明する 私がやる！ こっちすぐ終わるから 私がやる 吉岡 ＭＲＩで確認できたら… (益岡)ご報告したとおり 院長が 推進してるDMATの積極派遣➡ 災害医療用備品への大幅支出が➡ 現在 当院の経営を 圧迫しております➡ もう少し お考えいただけないでしょうか？ 災害医療チームはいらないと？ (仏原)いつ起こるか分からない 災害医療に肩入れして 明日の経営が立ちいかないのは 賢明とは言い難い ねえ皆さん？ それで いざ大災害が起きたときには 自ら考えることを放棄した結果を 想定外 想定外と まぬけな ほえ面で ごまかすつもりですか？ 自然災害の多い この日本においては 極めて賢明な病院経営だ (早川)すいません 医院長のおっしゃることは もっともだと思います まあ あの ただ 現場としましては ＥＲとＤＭＡＴ➡ この両方を統括している 小曽根先生の負担が大変大きく➡ 外科がＥＲへ駆り出されるｹｰｽも 増えておりまして その件については すでに考えてある 心配には及びません 先生 何 言いたいことあるなら言えば？ いえ ありがとうございました 助かりました てことは 結局バンビが 正しかったってこと？ とはいえ 本来なら 八雲先生と 伊勢崎先生とじゃ 力の差は歴然ですからね でも よく考えてみたら DMATの 出場数は八雲先生が一番多いし 経験も重ねてますよね？ それは まあ確かに 地震？ 何か最近 地震多いわね (ため息) 日本の病院は慣れましたか？ どこでも医者のやることは 一緒だから ＤＭＡＴはどうですか？ 慣れる気ないんで 私 脳外科医だし 先生ほどの方だと 初めてなんじゃないですか？ えッ？ ご自分より才能ある医師と 仕事をするのは はあ？ もうお気づきですよね？ もちろん 脳外科医に 求められるものとは違いますが 単刀直入に言おう ＤＭＡＴの統括責任者を 八雲先生に任せようと思う えッ!? 私に何か落ち度が？ いや そういうわけじゃない 今後ますますＥＲの受け入れも ＤＭＡＴへの出場も 増やしたいと思ってる 小曽根先生一人に 責任を負わせるには無理がある ちょっと待ってください 僕には無理です 僕よりもっと他に… ふさわしい外科の先生が いると思います (伊勢崎)それは誰だ？ 伊勢崎先生とか… 伊勢崎先生の技術は 僕の比じゃありません 速いし 正確ですし 本気でそう思ってるのか？ はい 謙虚な嘘つきは 正直な自信家よりもタチが悪い 与えられた責任から 逃げ回ることしかできないか 分かった すまん 今の話は忘れてくれ みんな ご苦労だった 私は… どっちでもいいけどね 八雲先生 内科医であることを 逃げ道をつくる 保険にする気ですか？ だって 僕が責任者なんて どう考えても… どう考えたんですか？ 正直… そんな責任 怖いです (村上)伊勢崎紅美にも 反抗したんやろ？ お祝いしよう お祝い すいません 上ロースお願いします 上ロース取り消しで おい 逆らったっていうか 意見が違っただけだから でも結局 先生が 合ってたじゃないですか すいません 上ロース持ってきてください ここにきて 何自信なくしてんの？ だって俺は 俺は？ いっぺん 失敗したからか？ どうなんかな ずっとそんなこと 言うてるお兄ちゃんて？ 妹からしたらよ おい 何が俺 育ててる肉 勝手に取っていってんの!? 別に みんなのもんでしょ 早 食わんと全部こいつに… ギュウマットやからな ギュウマット!? 速いねん 牛に駆けつけんの お前 鳴らせ サイレン (ため息) あれ 今日上がりじゃないの？ 戻ってきた あれからバッタバタで満床 今日は 伊勢崎先生が いてくれたから 何とかなったけど 先生 昨日 脳外で難しいオペ２件こなして ＤＭＡＴに呼ばれて 丸２日だったみたい 伊勢崎先生 忙しい中で 春ちゃんのこと 考えてくれてたんじゃないかな 可能性は低かったとしても 意識があるって分かったら 春ちゃんに 声とか音が 伝わってるってことでしょ？ そしたら 少しずつ音楽とか 聴かせて刺激したら いつか目覚ますかもしれない あッ わッ お疲れさまです 別に疲れてないし 昨日 脳外で２件オペやった後 ＤＭＡＴで そのままＥＲだって 覚悟してるから 組織っていうのは 一部の能力があるヤツのところに 凡人の分まで 負担がいくようにできてるの 伊勢崎先生は 怖いって思うことなんて ないですよね？ 才能がある者には それを生かす責任があるから あ～ ちょっと もう何これ よし ≪(春子)お兄ちゃん おはよう 春子？ 春子!? お兄ちゃんの声 ホントに聞こえないの!? (鳥のさえずりや川のせせらぎ) 聞こえてない方がいっか 意識あんのに このままじゃつらいよね [ｽﾋﾟｰｶ](夕焼け小焼けが流れる) (スイッチを押す) (美貴)黒川君 ナイスシュート！ (黒川)五十嵐 大丈夫か!? (顧問)大丈夫か おい!? 大丈夫 頭打ったんじゃないか？ 平気です 痛 ちょっとひねっただけです 冷やします 練習再開してください そうか➡ よし 練習再開しよう！ 響！ おう お疲れ お疲れ あのさ 黒川君 上！ 震度３ぐらいかな？ それで これなんだけどさ 何それ？ ＩＣレコーダー 効果があるかどうか 分かんないんだけど 春ちゃんに えッ？ 昨日 奥多摩に行ってきてさ (ＰＨＳ着信) はい すいません 下がって 下がって！ (小松)先生 負傷者は２名で 現在１名 救出活動中です (桜庭)金子 慎重にしっかり支えろ (金子)了解 (桜庭)後藤 ゆっくりだぞ ≪(後藤)了解 串刺し 先生 あちらも あっちお願い はい 大丈夫ですよ ちょっと見せてね ≪(桜庭)地震の影響で 天井から 鉄筋が落ちて刺さったようだ 運び出せるよう切断活動中だが デンジャーゾーンに絡んでいて 電動カッターが使えない 揺らさないで たぶん数センチで 心臓だから慎重に ただし急いで 心電図はつけられますか？ 少し待ってください 支え直します (田中)いッ… 下腿骨骨折 固定します はい 大丈夫 手は折れてません これ うまく巻けてますね マネージャーが そっか お水飲ませてあげていいですか？ ２人とも練習中だったんで いいですよ ありがとうございます 田中君 頑張ってね 何か手伝えることありますか？ ありがとう 大丈夫だから お邪魔しました 一度診させて 作業やめ！ 血圧90の60 脈140 呼吸30 意識レベル２桁です 出血が増えてる この鉄筋を抜かないで このまま運びたい どう運ぶ？ 横に寝かせて 動かないように 搬送する もう少し時間をくれ 作業再開！ 了解！ 頑張れ 動かせるようになったら すぐ病院に連れてくからな これ どうしたんですか？ さっき練習してる部員と ぶつかったときに ひねりました 痛 靭帯がのびてるかもしれない よく我慢しましたね これくらい平気です 頭は打ってませんか？ 少し でも ちょっとコブに なっただけだし大丈夫です どこですか？ ちょっと触りますね どこにぶつけました？ えっと… 吐き気や 痛みは？ 特にないです 本当に大丈夫です 今日 朝ご飯食べた？ 朝ご飯？ 朝ご飯は… 朝ご飯は… あれ？ 覚えてません 吉岡さん こちらの女性に バイタルお願いします！ 桜庭さん 救急車を もう１台呼んでください ５～６分で到着する予定だ ５～６分… 骨折か？ いえ あの女の子の方です どういうことだ？ 伊勢崎先生 あの女の子を 先に搬送させてください はッ 何言ってんの!? 頭を強く打っていて 硬膜下血腫の疑いがあります 外傷性健忘症もあります 靭帯損傷のﾃﾞｨｽﾄﾗｸﾃｨﾌﾞﾍﾟｲﾝで 頭痛は感じてないようですが もし硬膜下血腫なら いつ倒れても… それって妹のトラウマ？ あの子も 妹と同じ硬膜下血腫 だったら どうしようって 怖くなって騒いでるだけじゃない 違います！ その判断 自信あるの？ あります 双方が最悪のケースだった場合の 緊急度を考えました いずれにしても 彼はまだ動かせません それなら 彼女を優先させた方が確実です 僕には彼女を助けられません 伊勢崎先生 一緒に行ってください 彼の命は 僕が全力でつなぎます 分かった あの女の子 先に搬送するよ ストレッチャー急いで！ ≪(桜庭)ストレッチャー搬送準備 ≪(レスキュー隊員達)了解！ バイタルは？ 血圧100の80 脈70 呼吸16です 私は大丈夫です 黒川君を 彼はあの先生が助けてくれるから ホントに黒川君 大丈夫なんですか？ 医者の判断に任せて 行くよ 上部切断完了！ 了解 ただちに下部の切断にかかれ バイタルは？ 血圧60 呼吸は106回 脈100 意識レベル３桁です 作業やめてください 挿管します この体勢では 喉頭鏡が使えません 指を使って挿管します はい 挿管チューブ 痛くない？ はい 私 そんなに悪いんですか？ 念のため早く病院に行って 調べないとってこと オエ！ 窒息させないで！ 140の100 脈60 サチュレーション94です！ 挿管するよ 急いで！ ≪(救急隊員)はい 血圧60 脈60 ｻﾁｭﾚｰｼｮﾝ80 (中本)救急車 到着しました！ 桜庭さん！ もうすぐだ 切断できたら 横向きに 衝撃を与えずに寝かせろ ≪(レスキュー隊員達)了解！ 切断完了です！ ストレッチャーに収容！ (レスキュー隊員達)了解！ 絶対に棒に触らないでください 搬送お願いします 血圧測定不能 橈骨動脈ふれません ＣＰＡです 血圧測定不能 橈骨動脈ふれません ＣＰＡです 背中押さえてください！ はい！ このままじゃ無理だ こっから 病院までどれくらいですか？ 10分以内には 到着できます 鉄筋を抜きます えッ!? 吉岡さん 急速輸液全開で 長谷川さん アドレナリンを！ はい 待て ここで抜いたら 大出血起こすぞ！ 死ぬよりましです このままじゃ 蘇生行為ができません！ 10分で病院に着くならつなげます あおむけにしてください はい １ ２ ３！ ストレッチャー押さえて 乗ります！ このまま搬送します 急いで！ 搬送！ 頑張れ 頑張れ 頼む！ では 五十嵐美貴さんの 開頭血腫除去術を始めます メス 剥離紙 ≪はい 着きました 安心してください 大丈夫ですよ 出血量2000超えてます！ 心マやめないで １ ２ ３！ 呼吸器つけ替えて！ はい 開胸心マ 大動脈クランプ (近藤)はい 状況は聞いた はい いい判断よ 助けるよ この命！ はい！ もう大丈夫 バイタルも安定してる うん あの女の子は 伊勢崎先生が助けてくれるよ お疲れさま 手術は無事終了しました ≪(美貴の父親) ありがとうございました お疲れさまです あの伊勢崎先生は？ 中にいらっしゃいますよ 今日もありがとう あ～ 疲れた お疲れさまです 何 別に疲れてないし すいませんでした 怖くないわけないですよね？ 伊勢崎先生だって 患者さんを前にしたら どんな医者だって あんたも もう 覚悟した方がいいんじゃないの？ えッ？ 才能ある者は それを生かす責任があるんだから あの子のオペ ギリギリのタイミングだった ありがとう ＤＭＡＴの才能ってヤツ？ 全然うらやましくない ていうかむしろ ご愁傷さま 伊勢崎先生 春子のｆＭＲＩ もう一度お願いします いいよ では イメージしてみてください あなたは今 自宅にいます➡ 自由に歩き回ってみてください 誰がいましたか？ 家族はいますか？ お兄さんは いませんか？ もう一度聞きます お兄さんは いませんか？ 春子さん ホントは 聞こえてるんでしょ？ 春子！ 続けることは問題ありませんが どうしますか？ 残念だけど… いえ ありがとうございました [ﾃﾚﾋﾞ](ｱﾅｳﾝｻｰ)32分頃 関東地方で やや強い地震がありました [ﾃﾚﾋﾞ]震源は埼玉県北部で 震源の深さ40キロ [ﾃﾚﾋﾞ]地震の規模を示すﾏｸﾞﾆﾁｭｰﾄﾞは… (ノック) 響 面白かったな ｆＭＲＩ えッ？ 何か ホントに 医学は進んでいくんだなって うん 伊勢崎先生 負けず嫌いだから また違う方法 考えてきてくれるかもね 何度でも話しかけてみるよ 春子が目を覚ますまで (鳥のさえずりや川のせせらぎが 流れる) これ？ 奥多摩に帰って色々とってきた まあ 効果あるか 分かんないけどね 春ちゃん 退屈してたらいけないし ありがとう (鳥のさえずりや川のせせらぎ) 何か家に帰りたくなってきた うん もしかして 春子も家に帰りたいのかな？ 入院させてることで 春子のために何かしてる気に なってたのかもしれない 許されたいって 春子 家に帰ろっか 試験外泊か はい 自宅には 医師の祖父もいますし 妹のためにも 一度環境を変えてみようかと お前にＤＭＡＴをさせるための 大事な人質だったんだがな ハハ ＤＭＡＴの統括責任者 引き受けさせてください やっと腹が決まったか はい まッ すぐに慣れる これからも ずっと慣れないと思います だけどきっと ＤＭＡＴが一番 僕が役に立てる場所だから 覚悟を決めるしかないと 思っています 相変わらず臆病なヤツだ お前になぜ ＤＭＡＴやらせたと思う？ 人手が足りなかったからですか？ それだけで 愚鈍な医者を ＤＭＡＴに送り込む勇気はない 師長の推薦があったんだ 長谷川さんがですか!? ひどく臆病な医者がいるってな 人の命に恐れのない医者には 命を選ぶ力はない➡ お前は 臆病だからこそ 患者に細心の注意を払う➡ 死を恐れるがゆえに➡ どんな手を使ってでも➡ 患者を生かそうと はいずり回る 八雲響 はい 頑張ってくれ はい 長谷川さん！ ＤＭＡＴの統括責任者 引き受けることにしました そろそろかと思ってました やっぱり 長谷川さんには かないません これからも よろしくお願いします そうですか ご連絡をありがとうございます 小曽根先生 お話が… みんな聞いて！ バンビが ＤＭＡＴ統括責任者に なりまーす！➡ まッ バンビじゃ みんな 大変だろうけど 我慢してあげて あー よかった これで私も 少しは楽になる よろしくお願いします！ (掃除機をかける) おじいちゃんが待ってるからさ じゃあ 頼む うん 着いたら連絡するね 俺が付き添えれば よかったんだけど 響は今が頑張りどきでしょ？ ありがとう 強くなったね 響 ＤＭＡＴには 優しすぎるかなって ホントは心配してたんだけどね そんなこと… ずっと見てきたから 響のこと えッ？ 響と 春ちゃんのことね だから 春ちゃんは 私の妹みたいなもんだし (ＰＨＳ着信) ほら 呼び出し じゃあ 行ってくるね うん はい はい 分かりました 虫垂炎だね 切っちゃおうか 水野 オペ室確認して バンビ こっち はい 高所から落ちて 全身ガラスに突っ込んだ 破片は私が摘出していく そっちから縫ってって はい 針つき3-0ﾅｲﾛﾝください ≪(近藤)はい そろそろ着いた頃かな？ (雷蔵)凛ちゃん お茶どうぞ ありがとうございます はいはい えっと 何かあったら 診察室にいるから はい いただきます はい じゃあ もう一回頑張ってみよっか (龍太)うん わあ！ (緊急地震速報) (院内防災アナウンス)

ホタルノヒカリ２nd＃09

1 （雨宮　蛍）《私は→ 恋愛に対する 学習能力に欠けており→ むしろ　以前より退化していると いっても過言ではなく→ 反面　干物っぷりは 進化しているようで》 《結果　どうなったかというと…》 （高野誠一） ((うまく説明できないから １人になりたいんだ)) ((大丈夫　戻って来るから)) ((君を嫌いになったわけじゃ ないから)) [TEL]（着信音） はい。 蛍です。 誠一です。 蛍です。 誠一です。 蛍です。 誠一です。 …って　いいから。 冷蔵庫の生ハムの賞味期限 気になって電話した。 食べていいぞ。 ありがとうございます。 残ったら　一枚一枚ラップに包んで 冷凍しときなさい。 それから　婚約指輪。 あっ。 [TEL]　大枚はたいて買ったものを→ テーブルの横に 置いたままにして来たが。 大枚はたいて…？ [TEL]　１０７万円だ。 ひゃ…　１０７万円!? 今　私の部屋におられます。 あっ　大丈夫です 大事に　しまっておきます。 あの…。 すいませんでした。 指輪　一緒に買いに行けなくて。 小夏さんのお店で 飲んで　寝ちゃって→ ふがいなくて　だらしなくて 申し訳ありません。 いや　そういうことは　もう…。 いや　そういうことも含めて…。 いや　とにかく 一度　縁側から外に出て→ 見つめ直したいことがあるんだ いろいろ。 いろいろと　考えたいことが。 [TEL]　分かります。 部長は　いつも　私よりずっと いろんなこと考えてて→ きっと今も いろんなことを考えてて→ それを　いきなり 私に全部　話しちゃうと→ 私は　また　いっぱい　いっぱいに なっちゃうから。 だから　きっと…。 ２人で乗り越えようと いっときながら→ 身勝手な行動をとって　すまない。 いえ　これは　２人の問題で→ ２人で乗り越えることだから。 私は…→ 部長がうまく説明できないから→ １人になりたいって そう　思ったなら→ 私は　待ってます。 名前　呼んでいいか？ もちのろんです。 ごめんな　蛍。 部長。 あっ　私も名前を。 せ…　せい…。 無理に呼ぶことはない 「部長」でいいよ。 部長…。 しっかり戸締まりして寝なさい。 おやすみ。 はい　おやすみなさい。 ♪♪～ 《婚約指輪かぁ…》 《世の婚約した女性は→ このような代物を 頂いているのでしょうか？》 《それにしたって→ こんな小っこいもんが １０７万円》 《ビール 一体　何本買えるんだろ？》 《ケッ》 おはよう。 あっ　お…　おはようございます。 どうかしたか？ いや　べ…　別に。 何か　変だぞ。 大丈夫です　何とかしますから。 何とかするって　どういう意味だ。 １０７万円…。 １０７万円？ うわぁ～～！ まさか！　待て！ 《この～！》 《うわぁ～ん！》 ＜ずっと昔　遠い夏の記憶＞ ＜おばあちゃんは　いった＞ ＜「蛍はね→ キレイな水と　流れる川と→ ありのままの自然がなければ 生きて行けないんだよ」＞ ＜夏が来れば思い出す＞ ＜今にも消えてしまいそうな→ はかない小さな光＞ なくしたのか？ なくしたんだな　婚約指輪！ なくしてしまいました！ どこで!? 家の中でなくしたのは　確かです。 あの　とっ散らかった家の中でか？ 今朝　ざっと見たところ 見当たらなくて…。 だから　常日頃から　きちんと 整理整頓しとけっていってるだろ。 部長が　いつか戻って来るまでには 見つけておきますから。 それまで　どうぞ　１人で ゆっくりしてらしてください。 ２週間でも　３週間でも。 そんなに待たせんのか？ 待てないの？ 俺をそんなに 独りぼっちにさせんの？ 「独りぼっちになりたい」と いったのは　そっちですよ？ それと　これとは…。 しっかりしてください！ しっかりしなきゃいけないのは→ 脳みそ　とろけ出すほどアホな そっちだろ！ はぁ？ はぁ？ 私は　部長のこと　２週間でも ３週間でも　待ってられますよ？ あのな　俺は　香港に行ってた君を ３年間　待ってた男だぞ。 あ　だったら…。 待つよ。 指輪が見つかるまで １０年でも２０年でも→ 寝たきりになっても 待ってやるよ。 責任を持って　必ず見つけます！ 当然だろ　このアホが。 ほら　ここ　脳みそ とろけ出してるぞ。 えっ？ フン！ （瀬乃和馬）　おはようございます。 おはよう。 おはようございます。 ケガ　大丈夫か？ 大丈夫？ 大丈夫…　大丈夫です。 大したことなかったから。 ちょっと工務店に　これを。 無理すんなよ。 急いで工期日程　作成するね。 ああ　よろしく…。 雨宮に　病院 付き添ってもらったりして…。 ああ。 すいませんでした 俺は　いいって断ったんですけど。 よかったな　大したことなくて。 あ…　あの！ 今日　仕事終わったら ちょっといいですか？ 部長に　話しておきたいことが。 俺も　一度　君とゆっくり 話がしたいと思ってた。 常務に呼ばれてるから 少し遅くなるが→ 一緒に飯でも食うか？ はい。 （井崎）　参ったなぁ…。 どうしたの？ （井崎）　桜木が　小夏さんの店の 試食会を開くっていうんですよ。 試食会は　プレオープンの時に やるんじゃ…？ （美香）　最終的なメニューを決めるのに 事前に　やっておきたいんです。 （井崎）　新規の案件だって 入って来てんだから→ 小夏さんの店に　かかりっきり ってわけには　いかないんだよ。 雨宮さんだって　他にやること いっぱいあるんだから。 だから準備は　私１人で 全部やりますから　お願いします。 （井崎）　う～ん…。 井崎さん　この件は 私に任せてくれますか？ え？ 何とか　やってみよう。 忙しくなるけど　大丈夫？ はい！　頑張ります。 うん。 （早智子）　小夏さんのお店の 試食会することにしたんだって？ 分かってる？ 分かってます 意義のある試食会にするために→ 食器との組み合わせから 盛り付け方法まで→ しっかりと考えて…。 そうじゃなくて。 今回のメニューの担当は 桜木さんよ。 初めて任されて 彼女なりに頑張ろうとしてる。 試食会だって 彼女が言い出したんでしょ？ だから蛍は　手を出さない。 えっ？ 蛍はさぁ　もう　思い立ったら→ 何でもかんでも自分で やろうとするところ　あるから→ 今回は　グッとこらえて 桜木さんに任せる。 後輩の仕事を見守るのも 仕事の一つよ。 見守る…？ [TEL]（振動音） うん。 山田ねえさんも そうやって来たんですね。 そうよ。 自分でやっちゃったら 早いのにさ→ 胃が痛～くなる思いしながらね。 すいません。 後輩の成長は 自分の成長にも　つながるから。 はい。 うん。 はい　そうですね。 分かりました それで調整させてもらいます。 （椋木）　桜木さん　試食会の招待リスト 急いでくれる？ あっ　はい。 あ～　すいません じゃあ　よろしくお願いします。 （春乃）　あの　これ間違ってますよ。 あっ　ホント？ ごめん　すぐやり直す。 （梅田）　桜木さん　あの→ 今度の休みに川釣りに行くって話。 （真菜）　私も行っていいですか？ 釣った魚をその場で焼いて ハフハフしながら食べるんですよ。 魚ハフハフ。 ごめんね　そんな　くだらないこと 付き合ってる余裕ないんだ。 （早智子） どういうご用件でしょうか？ 勤務中にメールなんか　よこして。 （二ツ木）　例の件なんですが…。 あ～　出張だなんて すぐバレるようなウソをついて→ 誰かと どこかに出かけた件ですか？ まぁ　ひと言じゃね　あの 説明しにくいんだけど…。 いいの　浮気なんて そんなのいいのよ。 いいの？ いや　いいわけじゃないけど。 フタちゃんに対して 怒ってるわけじゃないから。 じゃ　何に対して怒ってんの？ ひと言じゃ 説明しにくいんだけど…。 じゃあ　今日　帰ったら ちゃんと　話をさ…。 ちょっと　考えさせて。 え？ お互い　頭冷やそう。 うん。 失礼します。 あれ？ 何？　役員室？　何で？ いやぁ　ちょっと…。 お前こそ　何？　こんな所で。 ちょっと　飯　行こう　飯。 あ～…　今日は　瀬乃と。 瀬乃？ あ…。 （足音） あ　雨宮先輩。 やっぱり まだ残ってやってたんだね。 何しに来たんですか？ ドーナツ買って来たの 一緒に食べよう。 ん　ありがと。 ん！　食べて食べて。 先輩　部長と　うまく行ってます？ どうして？ なかなか　公にしないから…。 いや　別にいいんですけど。 私は　恋愛のほうも うまく行きそうにないし→ せめて仕事くらいは 一生懸命やろうかなって。 仕事は　頑張れば それなりに成果は出るけど→ 恋愛は　頑張ったからって うまく行くとは限らないもんね。 うまく行ってないんですか？ あ…。 あっ　ねぇ！　川釣り　行かない？ 梅田君がいってた　魚ハフハフ。 私は　山田ねえさんみたいに 的確なアドバイスは　できないけど→ 仕事に一生懸命な桜木さんに→ 気分転換させてあげられるくらい できると思うの。 私のため？ 試食会の準備 しっかり　やってほしいから。 あ…　頼りない後輩で　すいません。 ううん　今回は 桜木さんのことを信じて→ 全面的に任せるから。 ただ　先輩として→ 何かしてあげられることは ないかなって考えて…。 それで　魚ハフハフですか？ うん！　私　川釣り得意なの！ シュっ！ あ…　何か　ずれてる？ え？ いや　何か　先輩っぽいなって。 きっと楽しいよ！ 楽しい時間を過ごせば→ また仕事も頑張れる！ 手ぶらでおいで 用意は　私がするから。 じゃあ　行こうかな。 ホント？ ホントは　ちょっと 気分転換したかったんです。 よかった～ じゃあ　今度のお休みは→ 魚ハフハフね！ そういうわけだから 梅田君は　車の手配お願いします。 うん　あとは私が。 あっ　詳しくは　また会社で。 よっしゃ～！ ハマちゃん　行くぜよ！ 《指輪》 はっ！ 《１０７万円！》 《捜さなきゃ！》 つまり 建造物に対する興味よりも…。 空間そのものを変えたい。 そう！　そういう感じで→ 形に　こだわらず自由な発想を 持ってたいんですよね。 じゃあ　ニューヨークに行くのは プラスになるんじゃないか？ 君にとって。 やっぱ　そう思います？ あのさ→ 仕事の話するために　会ったわけ？ そうだよ　契約更新してほしくて→ 一度　ゆっくり 仕事の話がしたかった。 けど　辞める意志は固そうだな。 すいません… つうか　何で　二ツ木さんが？ 心配だからさ。 心配って？ だって　君　彼女のことね…。 二ツ木！ あ…　あぁ。 そういうこと　そっちの話…。 （二ツ木）　そう。 そういう話　するかと思ってさ すいません　生中。 （店員）　はい　生　いっちょう！ いや…　小夏さんのお店が オープンするまではいられないって→ 部長に一度　きちんと 話しておかなきゃと思って。 辞めて　どうすんの？ 今　散々　話　してたろ ニューヨークに行くと。 あぁ…　それ　本気なの？ はい。 いいよね　若いと適当で。 雨宮にも　「いいなぁ」って いわれました。 ニューヨーク？ 違うよ→ 「適当」って言葉に弱いんだよ あいつは。 よく分かりますね　雨宮のこと。 そりゃ　そっか　雨宮は 部長のこと　すっごい好きだから。 ぶっちゃけていうと　部長のこと すっごい好きな雨宮を見て→ いいなって思って。 だって　すっごい好きですよ 部長のこと。 いつも一生懸命だし。 指輪…　指輪　指輪！ 君は　１０７万円をひと晩で なくされたことはあるか？ は？ あ　いや→ 確かに　あいつは いつも一生懸命だ。 が…。 が？ 《恐らく　あの女　今ごろ…》 なるほどねぇ。 お風呂に ペットボトルを入れて節約か…。 ん？　やったことあるな　これ。 《指輪　捜さなきゃ！》 《すっとこ　どっこ～い！》 《やっぱ　怪しいのは この部屋かぁ？》 うおっ！ 《後にしよ～っと》 《ビール飲んでからに しよ～っと》 あれは　通常の度量では 太刀打ちできない生物だから。 彼女のこと そんなふうにいうなんて…。 君は　知らないから。 あいつのこと　よく知らないだろ？ よく知ると　嫌いになれますか？ 俺　雨宮のこと 嫌いになりたいんです。 今のままじゃ ずっと引きずりそうで…。 どうせ ニューヨークに行くんだし→ 一緒にいられるのも　わずかだし→ 最後に　もっと 知っておこうかなぁ。 雨宮のこと もっと知ってもいいですか？ 君が　そうしたいなら。 俺が決めることじゃないから。 （二ツ木）　何いってんだよ。 俺は　雨宮の保護者じゃ　ない 俺の許可を得る必要はない。 瀬乃の気持を止める権利も 俺には　ないから。 分かりました。 あぁ　いいから。 いや　払います。 ちょ…　多いよ。 結局　部長は　俺なんか 気にも留めてないんですよね。 余裕なんです だから　平気なんですよ。 当然かもしれないけど→ 俺のこと　対等には見てない。 男として　それが悔しいです。 もう　お腹いっぱいです…。 食べられません…。 《いっけねえ！ 指輪　捜さなきゃ！》 一生懸命　捜したんですけど…。 ビールを飲みながら？ はっ！　どうして分かるの？ 家の中で　なくしたものは→ いずれ　そのうち　ひょっこり 出て来るだろうという→ 甘い考えが 君の根底には流れてる。 そうかもしれません。 今度の休みは 部屋の隅々まで徹底的に→ 本気度１００％で捜しまくれ。 あ…　今度のお休みは 川釣りに行くの。 川釣り？ 魚ハフハフって。 君は　自分の置かれてる状況を 分かってんのか？ 出てった張本人が　あえていうが→ 一緒に住んでた男に 出て行かれたんだぞ？ 通常の感覚なら 最大の危機的状況だぞ！ その状況の中で　男にもらった 婚約指輪をなくしてるんだぞ。 アホだから…。 アホなのは分かってる どうして　なくした？ 世の婚約した女性は こんなものをもらってるのかと…。 指輪をナメて　かかったんだな。 君には　そういうところがある。 「こんな小っこいもんが １０７万円もするのか。 ビール　一体　何本買えるだろう？ ケッ」て。 そうです…。 その通りです。 君にとっては　「ケッ」という 代物かもしれないが→ 俺にとっては→ 君を思って　独りぼっちで買った 大切な指輪だ。 すいません。 （エレベーターの到着音） （浅田小夏）　じゃあ　この１５品を 中心としたメニューで→ お願いします。 （美香）　はい。 （美香）　お願いします。 ありがとう。 あの…　ちょっといいですか？ 小夏さんは きちんとされているから→ そういうことは ないでしょうけど→ 家の中の捜し物のコツとか…。 何か　なくなったの？ こういう小っちゃいものが…。 見つからないの？ ひと通り　捜したんですけど…。 エプロンのポケット。 あぁ…　雨宮さんは ジャージーだっけ…。 ポケットか…。 小っちゃなものだと 脱いだものに紛れてたり→ 気づかないで お洗濯しちゃったり。 あ　洗濯機の中とか 乾燥機の中に落ちてたり。 あ！　そうかも！ 大切なもの？ はい。 （梅田）　あ！　雨宮さん 瀬乃さん　車　出してくれるって。 あ…。 川釣りだろ？ 俺　魚釣るの　めっちゃ得意 いいよね？　俺も。 あぁ　いいですけど。 みんなで　魚ハフハフしましょ。 はいはい…　分かったから 分かったから　分かったから。 （梅田）　ハフハフ…。 （美香）　分かった　ハフハフね。 指輪！　指輪！ はっ！ はっ！ はぁ…。 （何かが入っている音） はぁ…。 久しぶりだな。 ごぶさたしてます。 けど　どうしてホテルに？ １人になって　考える時間を…。 家だと雨宮がいるから。 あぁ。 はぁ…。 ((俺にとっては→ 君を思って　独りぼっちで買った 大切な指輪だ)) 《部長…》 《部長…》 《部長…》 ♪♪～ ((指輪が見つかるまで １０年でも２０年でも→ 寝たきりになっても 待ってやるよ)) 朝早くから　すいません！ ううん　私に頼みたいことって？ 捜してたものが見つからなくて。 ねぇ　誠一さんは？ あの人　きちんとしてるから あの人に捜してもらったほうが。 出て行ったんです。 え？　どういうこと？ 小夏さんに　こんなこと頼むの どうかと思ったんですけど→ でも　小夏さんは きちんとされている方だから→ きちんとしている人には きちんとしている人が→ きちんと任せられるかと…。 あの　何いってんのか…。 部長のこと よろしくお願いします！ え…　え？ あ！　雨宮さん！ ごめん！　お待たせ！ （真菜）　行きましょう！ じゃあ　皆さん お菓子　配りますね。 お　やった～ ありがとうございます。 一人　ひと袋ですよ～。 （真菜）　は～い。 はぁ…。 （二ツ木）　何やってんの？ 見れば分かるでしょ。 休日出勤？ まぁ　辞めるから　引き継ぎとか いろいろ大変だもんね。 辞めるのは　やめにした。 え？ こうやって 働いてる時間がないと→ 自分らしくいられない っていうことに気づいたの。 かわいい専業主婦に なりたかったけど→ 私は　そういうタイプじゃないわ。 男と並んで歩いて行く。 …っていうか　むしろ→ 男より３歩　先　行くほうが 私らしいって。 あなたが気づかせてくれたのよ。 出張だなんてウソついて 出かけたりしたから。 いやぁ…。 あなたの後ろからね→ あなたが何してんだろうって もんもんと考えるのイヤで→ 自分に腹が立ったの。 ごめんね　勝手ばっかりいって 振り回して。 おばあちゃんに会って来たんだ。 ん？ いやぁ　俺　別れた女房には すごい嫌われてたんだけど→ 別れた女房の　おばあちゃんには すごい愛されててさ。 だから　いまだに 付き合いが続いてたから。 別れた女房のおばあちゃんと？ うん　だから ケリをつけに行って来た。 別れた女房のおばあちゃんと…？ うん。 一生　添い遂げる女を見つけたって もう　きっぱりとね。 おばあちゃんに？ うん　いってやったよ。 泣かれてさ。 「よかった　よかった」って すっごい喜んでくれた。 ホント。 で　あんまり喜ぶんで→ 一緒に 伊勢神宮　行ったりなんかしてさ。 えっ？ 何それ～！ ヘヘっ　フタちゃんらしいね。 もう一回いってみて。 おばあちゃんに　いったこと。 一生　添い遂げる女を見つけた。 腹　くくってくれたんだ。 まぁ　君に振り回されながら ３歩　後ろをついて行きます。 フフっ。 時々　振り向いてくれる？ （泣き声） 足りないものは　ないですか？ （一同）　はい。 足　滑るから　気をつけてね。 （一同）　は～い。 桜木さん　あっち行こう。 あっ　うん。 みんな　楽しんで来てね。 はい。 はい。 あんたも楽しみなよ。 私は　今日は　先輩として来たから。 何いってんの。 いいから行こう　ほら。 えっ？ 《そういえば　この人と前にも…》 ((いいから一緒に　ほら)) ((あ…)) 《そして　その前には…》 ((好きだよ)) 《でも　その後　この人は…》 ((今までと変わらず 友達ってことで)) 《あれ？　それで どうなったんだっけ？》 《仕事は　普通にやってるし 普通にビールも飲んだし…》 ((うまいか？)) 《な～んだ　普通の関係か》 《えっ？　普通の関係って どういうんだろ？》 雨宮？ あっ　ごめんごめん。 この前　部長と しゃべったんだけどさ　聞いた？ 何を？ 何でも話すんじゃないの？ 縁側で。 最近は　ちょっと…。 何？ あ…　ううん　大丈夫。 雨宮のこと　分かってないだろって いわれたよ。 これでも　結構 知ってるつもりなんだけどな～。 いやいや　ホントの私　知ったら 引くと思うけど。 じゃあ　教えてよ。 ホントのあんたが　どんなか。 えっ？ 俺　雨宮に近づきたいんだ。 あ…。 いや　そんなこと…。 私は　部長のことが…。 知ってるよ　そんなこと 大好きなんだろ？ 大好きだけど→ 瀬乃さんに　そんなこといわれたら ドキドキするから　いわないで。 は？ 好きだっていわれた時も ドキドキしたから。 ドキドキしてくれたんだ。 そりゃ　ドキドキもしたし→ シメシメもしたし…。 シメシメ？ 若い男に言い寄られるなんて 何年ぶりだろうって。 ハッ　ハハハ… そんなこと思ったんだ。 思った。 私　ダメダメなだけじゃなくて→ そういう　イヤなところもあるの。 まぁ　別に　いいんじゃない？ 正直で。 じゃあ…。 今　ここで　あんたにキスしたら 何て思うのかな？ えっ？ 部長のいないとこで 若い男とキス。 やっぱ　シメシメって思うわけ？ ♪♪～ トヤ～！ 何だ？　このコ。 や…　やられて　たまるか！ 何を？ キスなんてされたら→ 瀬乃さんのこと好きに なっちゃうかもしれないから。 え？ あっ　だったら やってやろうじゃないの。 何？　やられてたまるか！ トヤ～！ やってやろうじゃないの！ トヤ～！ トヤ～！ （美香）　何やってんだろ？ トヤ　トヤ～！ トヤ～！ 気になるんだ　やっぱり　まだ。 あ…　もういいの 瀬乃さんのことなんか。 ふ～ん。 （梅田）　はい。 あ…　ありがと。 アチョ～！　アチョ～！ アチョ～！ アチョ～！ アチョ～！ つうかさ　俺達　何してんの？ 川釣りに来たんだから 川釣りしようよ。 あ　そうだ　忘れてた。 （美香）　わぁ　釣れた　釣れた！ 釣れた！　釣れた！ （梅田）　わぁ！　釣れた～！ 桜木さんのために→ 魚ハフハフ！ （梅田）　ハフハフしましょう！ 何つうコだよ。 わぁ！　すごい！ 荷物は？ まだ帰るつもりないから。 帰りなさいよ。 いつまで こんなことしてるつもり？ だから これは　俺と雨宮の問題だから。 俺には俺の考えがあって…。 あなたの考えが いつも正しいとは限らない。 はぁ…　ほっといてくれないか。 ほっときたくても あんな手紙　託されたら…。 手紙？ あなたのこと　お願いしますって。 え？ お願いされても困る。 私には　こんなの受け取れない。 あなたに渡すわ。 （蛍の声）　「小夏さんへ。 大変　ぶしつけなお手紙で 失礼します。 今朝の朝刊に→ 『一人暮らし　高齢者　孤独死』 という記事があり→ 部長の老後のことが 急に心配になりました」。 《はぁ？》 （蛍の声）　「部長は先日　出て行き→ 今　ホテルで 一人暮らしをしています。 この先　どうなるのか 分かりません。 部長の老後は　すぐそこです。 そう思うと いても立ってもいられず…」。 （蛍の声） 「小夏さんに部長の老後を 託すことを思いつきました」。 《はぁ？》 （蛍の声） 「きちんとしていらっしゃる 小夏さんなら→ 忘れずに　きちんと してくださるのではないかと…。 時折でいいのです。 部長の老後を見舞ってやって いただけませんか？」。 《何　書いてんだ　この女》 （蛍の声） 「気が向いたらで構いません。 毎朝　しっかり 朝食を取る部長のために→ 私は　できなかったけど 煮干しからダシを取って→ おいしい　おみそ汁を 作ってあげてくれますか？ 私は頑張ったけど できなかったから」。 ((よし！)) （蛍の声） 「ずうずうしい　お願いですが→ イベリコ豚も　食べさせてあげて いただけますか？ 私には　できなかったから。 ゴーヤも　部長は苦手なので→ 気をつけてあげて いただけますか？ 私には　できなかったから。 私には できなかったことだらけで→ ついには　大切な指輪も なくしてしまいました。 指輪なんて　ケッて思って…。 でも→ 実際に指に　はめてみたら…」。 ♪♪～ （蛍の声）　「嬉しくて　嬉しくて。 好きな人にもらった指輪が こんなにも嬉しいものだなんて」。 ((部長！)) （蛍の声）　「部長が出て行ったにも かかわらず→ 私は　浮かれて踊りまくり…」。 ((部長！　部長！)) ((部長…)) （蛍の声） 「指輪をなくしてしまったのです。 そして　いまだに見つかりません。 こんなアホな私の所に→ 部長が戻って来てくれるとは 思えません」。 （蛍の声）　「本当に 勝手なお願いではありますが→ 部長の老後を よろしくお願いいたします」。 （蛍の声） 「部長が孤独死しないように。 雨宮　蛍より」。 寝ちゃったね。 魚も釣れたし　ハフハフしたし 満喫したんだろ。 うん…　じゃあ　私は　ここで。 あぁ　気をつけてな　お疲れ。 お疲れ。 ん？ 雨宮！ 忘れもん。 あぁ　ごめん　ありがとう。 あぁ　いいよ　持つよ　そこだろ？ あ…。 ♪♪～ やっぱ　そう簡単には 行かねえよなぁ。 ん？ 雨宮のこと。 嫌いにはなれねえよ。 え？ 嫌いにはなれない。 あ…　あの…。 ♪♪～ じゃあな　また　どっか行こうな。 今度は２人で。 はい。 あ…　ありがとう。 じゃ。 部長？ 部長だ！ 帰って来たの？ 帰って来てくれたんですね!? おかえりなさい！ 《こ　これは…》 《夢にまで見た　チュ～～!?》 忘れるな　お前は　俺の女だ。 ほら。 え？　どこ行くの!?　部長。 部長！ こんな所で チュ～しといて何だが→ ご近所の手前 あまり大きな声を出すな。 どこ行くの？ 誰かが 俺のビールを飲みやがったから。 私のビールがあるから行かないで。 すぐ戻って来る。 行かないで！ もう　どこにも行かないで。 指輪は…→ 指輪は　一生働いて返しますから。 いいよ　もう指輪は。 でも…。 １人になって考えた。 君のことや　これからのこと。 うまく説明できなかったこと。 けど　結論は同じだ。 君には　かなわない。 え？ 俺は　一生　君の縁側になるよ。 部長。 ただいま　蛍。 おかえりなさいませ！ ♪♪～ ♪♪～ ヘヘ。 ♪♪～ あ…　ビール　ビール！ はっ！ 部長　１本しか残ってません！ だから　買いに行くといったろ。 いいです　いいです！ 私のビールを献上いたします。 じゃあ　遠慮なく。 ア～。 はい。 いいんですか？ いいよ。 ありがとうございます！ ア～！　やっぱ部長が１番！ じゃあ　捜そっか。 は？ 指輪。 この庭の中を捜したか？ いえ。 あれ？ あの　指輪は　もういいって。 人は誰でも 強さと弱さが混在している。 先ほど　もういいといったのは 俺の強さだ。 今は弱いもん １０７万円　惜しいもん。 捜してほしいもん。 え～！ ほら　とっとと捜せ！ ほら　あの辺　この辺も。 庭になんか落ちてないですよ～。 酔っぱらって縁側で寝た時に 指からポロリと外れて…。 外れるかな～？ サイズは　ぴったしでしたよ。 だったら どうやって　なくなったんだよ。 それが分かれば　見つけてますよ。 大体な　俺が普段から 気をつけてるように→ 出したものは　あった場所に きちんと戻すという習慣を→ つけていれば こんなことには　ならないんだよ。 はっ！ あぁ…。 出したものは…。 あった場所に…。 きちんと…。 戻してあった！ 戻してあった！ な～んだ！　私も　ちょっぴり 成長したんですね。 ねぇ～。 …って　早く気づけよ このアホタル！ すいません！

真田丸＃24

1 ♬～ ♬～ ♬～ (爆発音) (兵士たち)うわ～！ ♬～ (茂誠)真田源次郎信繁｡➡ お久しゅうござる！ さあ！ こっちへ｡ ここまで来たら 大丈夫だろう｡ 小田原城は 大きすぎて 北条の家臣のわしでも よく迷う｡ 騒ぎに駆けつけてみたら➡ 知った顔が 兵を振り切って 逃げてくるんで 驚いたよ｡ 御屋形様が ひそかに 開城の談判を始めたと 耳にした｡ それで来たんだろ？ (信繁)そのとおりです｡ だと思った！ 兄上は 北条の家臣になられたのですか？ それがね…｡ かいつまんで｡ 松が死んで どうしても あの場所から離れられなくてね｡ 丸２日 あそこに座っていた｡ でも 人ってのは➡ どんな つらい時でも 腹がすくんだな｡ 情けない話だが ３日目に 里に下りた｡ 無理もない事｡ 真田の郷に帰れる訳でもなく 途方に暮れていたところ➡ 思い出したんだ｡ 小山田一族は 北条とも縁が深い｡ とりあえず 小田原に行けば なんとかなるかと➡ こっちに来てみたら まあ なんとかなってね➡ 今は ここにおる次第｡ 長かった？ 実は 兄上に➡ お伝えしておかなくては ならない事があるんです｡ 何だろう？ いい事かな？ とてつもなく｡ (戸が開く音) (茂誠)江雪斎様！ 危ないところを救って頂きました｡ (江雪斎)ようやった｡ はっ｡ さあ 参ろう！ 大事な御用を仰せつかって おりますので これにて｡ とてつもなくいい事って 何かな？ 話せば 長くなりますから｡ ここで待っていて下さい｡ 気になるな！ (江雪斎)さあ！ 気になるな…｡ ♬～ (江雪斎)ご隠居様｡ 真田源次郎を 召し連れてまいりました｡ 初めて お目にかかります｡ 真田源次郎信繁にございます｡ (氏政) 源次郎 顔をしっかり見たい｡ も少し近う｡ 御免｡ (襖が開く音) こっ これは！ 殺せ｡ (江雪斎)ご隠居様！ お待ち下さい！ ♬～ 北条が どれだけ 真田に振り回されてきたか➡ 知らぬ事はあるまい｡ よう ぬけぬけと わしの前に姿を現せたな｡ 私は 豊臣の使者として参ったのです｡ 真田安房守昌幸の息子として 伺った訳ではございませぬ！ 戦の勝敗は もはや 決しました｡ あとは どれだけ 兵の命を救えるか｡ ご隠居様に ご決心頂くべく まかり越しました｡ せめて 徳川様の書状だけでも お読み下さい！ ♬～ 下がれ｡ (家臣たち)はっ｡ 行け｡ はっ｡ (襖が閉まる音) 徳川様は ご隠居様 御屋形様の お命を救うべく➡ 奔走しておられます｡ わしは 降伏はせぬ｡ この城におれば 決して負ける事はない｡ されど 勝つ事もできませぬ｡ 戦は 最後の最後まで どう転ぶか分からぬものよ｡ 関東の大名や国衆で➡ 北条に従う者は もう 誰もおりませぬ｡ 頼みの伊達政宗も 豊臣に下りました｡ 城の外で…｡ 何が起こっておる？ お味方の城は ほとんど落ちております｡ 伊豆の下田 相模の三崎 玉縄 武蔵の川越➡ 鉢形｡ 鉢形もか｡ 八王子も落ちようとしております｡ 八王子…｡ 下野の足利 上野の厩橋 箕輪 館林｡ もうよい｡ そして 沼田｡ 真田が奪い返しました｡ 因縁の 城もか…｡ はい｡ 引き際を どうか お考え下さい｡ ♬～ ついに 東国の覇者には なれなんだ｡ 返す返すも 心残りは…｡ ♬～ どうせ 秀吉と一戦交えるなら➡ 伊達や…｡ 徳川と組んで➡ 日の本を分ける大戦を やってみたかったわ｡ 華々しく…｡ 戦国の世に幕を引きたかった…｡ ♬～ 秀吉が恨めしいぞ…｡ しかし 今は その秀吉公に 頭を下げる時でございます｡ 殿下は ご隠居様と御屋形様のお命は➡ 助けると仰せられました｡ 命など 惜しゅうない｡ いや 今こそ 惜しまれませ！ 豊臣の家臣として➡ 新しい道を生き直して下さりませ｡ ♬～ (江雪斎)そなたの話に 耳を傾けたという事は➡ お心変わりの兆し｡ であれば よろしいのですが｡ でなければ そなたを生きて帰したりはせぬ｡ でかしたぞ 源次郎殿！ 城を出る前に 是非とも 先ほどの 蔵に立ち寄りたいのですが｡ うむ｡ 松が!? 今は 上田城におります｡ 生きておったのか!? ええ｡ 松が…？ ええ｡ 生きていたのか…｡ はい｡ 松が…｡ 息災でおりますか？ 昔のままです｡ ああ…！ ただ…｡ えっ？ いや 何でも｡ ああ すごく気になるな！ これは 何ですか？ 鉛だよ｡ 鉛？ これを溶かして 鉄砲の弾を作る｡ ああ そのための｡ 籠城前に たくさん買い入れたんだが➡ こんなに余ってしまった｡ 使わずじまいだ｡ ♬～ (茂誠)源次郎殿 さっきの話だが｡ 私は そろそろ行かねば｡ もう行くのか？ 兄上は どうされるのですか？ わしは 北条の家臣だから➡ 城が明け渡されるまでは ここにおる｡ いずれ 必ず 上田へおいで下さい｡ 姉が待っています｡ 必ずや参ろう！ さて 忍城を 石田三成に任せた昌幸たちは➡ 武蔵に入り 鉢形城を落として➡ 今は 八王子城へと 向かっている｡ (信幸)殿下は 何と言ってこられたのですか？ (昌幸)八王子は 上杉に任せ わしらは 忍城に戻れと｡ どういう事です？ (昌相)忍城は まだ 落ちていないのか？ あれから ８日余り… ﾌﾌｯ！ 治部殿は 苦戦されておるようじゃのう｡ では 明日の朝 すぐに出立を｡ つまらん戦じゃのう｡ 小田原は どうなっておる？ 落ちたという話は まだ 届いておりません｡ 氏政も ねばるのう｡ おぬし 氏政が羨ましいようだな｡ あやつは 己のための戦をしておる｡ ♬～ 誰かある！ (江雪斎)ここに控えておりまする｡ 氏直を呼べ｡ はっ！ ついに 北条氏直は城を出て 秀吉に降伏した｡ (秀吉)氏直が！ (家康)ようやく 腹をくくったようでございます｡ (秀吉)長かったのう｡ (家康)それでは 氏政 氏直の命は救い➡ それと引き換えに 城を受け取るという事で➡ よろしゅうございますか？ 氏政は 死んでもらおうか｡ 命は取らぬという約束でござる！ しかし これだけ ねばられたのだ｡ 腹でも切ってもらわんと 示しがつかんだろう｡ それでは だまし討ちでございます！ 兵は助けてやるんだから もう それでいいだろうが｡ (吉継)殿下！ 約束を破られては もののふの義に もとりまする！ うるさい！ 城の明け渡しが済んだら 氏政は切腹｡ それを見届けて 我らも京へ帰る｡ 氏政は 髷を落とし 秀吉の軍門に降った｡ ♬～ 随分と おねばりになられましたな｡ そうやすやすと 秀吉に天下は渡せぬ｡ ♬～ お命…｡ 必ず お救い致す｡ 生き恥は さらしとうない｡ 恥は 一時でござる｡ 生き延びる事こそが 肝心｡ これ以上 関わると 貴殿に災難が降りかかる｡ ここまでにして頂こう｡ ♬～ 案の定 死ぬ気でおられる｡ (景勝)誇り高いお人ゆえ そうであろうと思っておった｡ どうされる？ 殿下を説得するにしても やはり 氏政殿自身に➡ 生き延びる気持ちがなければ 始まらん｡ まずは そこからだ｡ (蝉の鳴き声) (氏政)これは これは 方々｡ (家康)上杉殿には 八王子城➡ 真田殿には 忍城攻めの陣中から 急きょ 駆けつけて頂いた｡ わざわざ かたじけない｡ (家康)氏政殿には 是非とも 生き延びて頂きたい｡ それが 互いに しのぎを削ってきた➡ 我ら３人の総意でござる｡ わしも➡ もとどりを切る！ 我ら一同 その覚悟で 殿下に申し上げる所存｡ 殿下は 話して分からぬ お人ではござらぬ｡ 共に その下で 働こうではござらぬか｡ 上杉殿｡ むしろ あなたに伺いたい｡ 秀吉のために 生きるのでござるか？ それで よろしいのか？ 死にたければ 死になされ｡ (家康)安房守！ されど 生きておれば まだまだ 楽しいものが見られますぞ｡ このまま 秀吉の天下が来るとは 到底 思えぬ｡ ここにいる誰もが そう思っておるはず｡ そうではござらんか｡ もう一暴れ したいとは思いませんか？ おぬしらの働きぶり➡ あの世で しかと 見物させて頂こう｡ ♬～ ここまでで… でござるか？ ここまでで ござる｡ ♬～ 北条殿｡ よき戦相手でござった｡ その言葉…｡ 貴殿にも➡ お返し申す｡ ♬～ 恐らく 氏政様のお心は 決まっています｡ (兼続)それがしは とにかく 我が主が➡ また 勝手な約束をなさらぬか それだけが気がかり｡ それにしても 何ゆえ 徳川様は➡ ここまでして 氏政様を お助けしようとされるのですか？ (正信)ああ見えても 我が殿は 情が深うござってな｡ 北条とは 長年 競い合うてきた仲｡ いつしか 輩のような気持ちに なられたようです｡ 戻るぞ｡ はい｡ 頑固な男よ｡ 何も約束しておらぬ｡ ♬～ (鷹の鳴き声) ♬～ 翌日｡ 北条氏政は 切腹した｡ 首は 京に送られ➡ 聚楽第の橋に さらされたという｡ (すする音) あ～｡ (すする音) あ～｡ ♬～ 息子の氏直は 出家の後 高野山へ送られた｡ これによって 関東に 一大王国を築いた北条家は➡ 滅亡したのである｡ (吉継)これは？ 小田原城の蔵の中に あったものです｡ 鉄砲玉を作る鉛だな｡ ここを ご覧下さい｡ 刻印が打たれています｡ 仕入れ先のものだろう｡ 同じ刻印が ここにも｡ 千 利休様のところで 手に入れました｡ 利休は 北条にも 鉛を売りつけていたのか｡ 利休も 派手な撃ち合いにならず 戦が終わり 焦っている事だろう｡ 本当は 使い切って ほしかったのでしょうね｡ こちらです｡ ♬～ これは…｡ 先を越されたか！ (利休)危ないところやった…｡ 忍城の南 下忍付近にて またもや 堤が破られました！ 小田原城が落ちてもなお➡ 武蔵の忍城だけは まだ 降伏していない｡ ただいま戻った｡ (三成)やつらは 頭が おかしいのか！➡ また 堤を破られた｡➡ 夜な夜な 我らの目を盗んでは 堤を壊していく！ 私には分からぬ！ 誰のための水攻めだと 思っておるのか｡ せっかく 無駄な死者を出さずに 済ませてやろうと！ 小田原が落ちてもなお 降参しないという事は➡ 敵は 最期まで忠義を尽くし ことごとく討ち死にする覚悟かと｡ ならば 我らも覚悟の上➡ 正面から攻めかかるほか ありませぬ！ ほかに 手はなさそうだな｡ (昌幸)お待ち下され｡ ここは それがしに お任せ頂けぬか？ 安房守殿｡ 速やかに 開城させてごらんに入れましょう｡ 貴殿のお嫌いな➡ 卑怯な手を使っても よろしゅうござるか？ 任せる｡ (昌幸)戦に勝つとは 人の心を制する事でござる｡➡ 忠義が邪魔なら そこに つけ込めばよろしい｡ 小田原から 土産を持ち帰り申した｡ これは…｡ 北条氏政の兜でござる｡ 城内に持ち込めるか？ (昌相)任せてくれ｡ 血の一滴もついていない この兜は➡ 氏政が命乞いして 助かった証し｡ 氏政は 家来を見捨て 己が生き延びる道を選んだ｡ そう 噂を流しまする｡ しかし…｡ ですから 卑怯な手と申しました｡ 兜一つが 果たして 証しとなりましょうか？ 目に見えるものが一つ そこにあれば➡ 噂は噂でなくなる｡➡ 昌相｡ 承知した｡ 城は ２日で落ちまする｡ 7月14日｡ 城内から 城を明け渡すとの申し出があり➡ 北条方最後の城 忍城は 開城した｡ 父上｡ 石田治部少輔様でございます｡ 安房守殿｡ はい｡ 貴殿の策は やはり 好かぬ｡ でしょうな｡ だが 貴殿のおかげで 無駄な犠牲を払わずに済んだ｡ それがしに 戦の何たるかを もっと教えて頂けぬか？ 私のような田舎侍でよければ｡ ♬～ いわゆる 宇都宮仕置において 奥州の覇者 伊達政宗は➡ 秀吉に対し 所領の全てを差し出した｡ 今宵は 伊達政宗が秀吉をもてなす 酒宴が行われる｡ 伺っております｡ そのあとでよいから 伊達殿と お話し致したいと➡ 家臣の片倉なにがしに伝えてこい｡ 伊達殿と会って 何を話すおつもりですか？ 上杉殿と話す機会を得て 分かった事がある｡ あのお方も また 秀吉に 心から従っている訳ではない｡➡ それは 徳川とて同じ｡ 伊達が立てば 東の大名は 全て立ち上がる｡ この真田が先鋒となって➡ 大坂城を攻め落とす｡ 真に受けるな｡ 殿の ざれ言じゃ｡ いえ 父上は 本気でございます｡ 源三郎｡ 今を逃せば 後は もうない｡ 徳川は 領地を召し上げられ 関東の片隅に行かされた｡ わしらも どうなるか 分からんぞ｡ 下手をすれば 小県も沼田も 取られてしまうぞ｡ 父上｡ たとえ 伊達が誘いに乗り 戦となったとしても➡ そのあとは どうなりましょう｡ 日の本中が 再び 乱世に逆戻りとなります！ それを 父上は お望みですか？ 何が悪い？ わしは 伊達に賭ける！ (伊達政宗)では 始めまする！ はい！ てやっ！ はい！ ていっ！ はい！ うりゃ！ はい！ よいしょ！ はい！ はい！ よいしょ！ ♬～ この餅に 豆を潰して作ったあんを まぶしまする｡➡ これぞ 名物 ずんだ餅！➡ さあさあ ご一同 召し上がられよ｡ ♬～ そなたが考えたのか？ この伊達政宗 ずんだ餅作りには ちと うるそうございましてな｡ これが 伊達流にござる｡ よし！ わしも つこう！ (政宗)これは すばらしい！ 方々！ これより 関白殿下御自ら 餅を おつきになられます｡ これぞ 天下餅でございます！ 殿下 お願い致します！ うん！ えい！ お見事～！➡ 殿下 さすがでございます！ 殿下～！ (政宗)はい！ (秀吉)えい！ はい！ えい！ おお～！ お餅になってまいりました～！ ご苦労に存ずる｡ はっ｡ 我が殿は 何かと➡ 趣向を凝らすのが お好きな方でして｡ なかなか 疲れます｡ そうじゃ 片倉殿｡ はっ｡ (餅つきの掛け声) どうされますか？ もうよい｡ 何か？ いえ 何でもござらん｡ 伊達政宗…｡ 殿下 餅がついております｡ (家康)もう少し 気骨のある男かと思っておった｡➡ まあ 人の事は言えぬがな｡ 会津領は取り上げられましたが それだけで済んだのは➡ 伊達にとって むしろ 幸いでございましょう｡ 徳川殿 聞きましたぞ｡ 北条の領地 全て 手に入れられたとか｡ おめでとうござる｡ そのかわり 三河 遠江 駿河を 召し上げられたわ｡ …で どちらに お移りでしたかな？ 江戸でございます｡ はっ？ 江戸でございます！ 噂以上の すすき野原であった｡ 都から だいぶん遠くなりますな｡ 安房守殿も 覚悟しておかれよ｡ ♬～ (秀吉)そのまま そのまま｡➡ 徳川殿 江戸は どうであった？ どこまでも 平地が広がり 川が流れ 水も豊か｡ まこと すばらしき土地でございました｡ (秀吉)それは何より｡ それがしが 江戸を➡ 東国一の都にしてごらんに 入れまする｡ 安房守｡ はっ｡ 此度は よう働いた｡➡ 真田の事 決めたぞ｡ 小県は安堵｡ 沼田も おぬしにくれてやる｡ ほっとしたろ｡ ありがたき幸せ！ ついでに 徳川の与力な あれも忘れていい｡ 殿下…｡ 決めた事じゃ｡ 上田に腰を落ち着けて➡ この先 徳川を しっかりと見張ってくれ｡➡ 頼むで！ 聞いたか？ はい！ ん～？ ♬～ 伊達様！ おぬしは…｡ 真田源次郎でございます｡ 安房守の倅か｡ さようでございます｡ おぬしの親父 わしが餅がついてるのを見て➡ ぽかんと 口を開けておったわ｡ ﾊﾊﾊ！ 座れ｡ いいから｡ 御免｡ あっ こっちにしてくれるか｡ ほら｡ これは ご無礼を｡ 殿下に気に入られた｡ おめでとうございます｡ ずんだ餅も うまく出来たし よい事ずくめじゃ｡ 何よりです｡ わしと殿下は 似ているところがある｡ 気が合うのは 分かっておった｡ ﾊﾊﾊ…｡ もし 北条が 先に降参しておったのなら➡ わしの命はなかったのでは？ 殿下は そのように仰せでした｡ わしの人生 綱渡りだ｡ 小さい男だと思ってるだろ｡ 北条氏政様は 伊達様を待っておられました｡ 何の話だ？ 頼みの綱だったようです｡ 知らん｡ ♬～ 生き残るためじゃ｡ わしだって どうせ 戦国の世に生まれたからには➡ 天下を賭けた大戦に臨み➡ 何万という大軍を率いて 敵を蹴散らしたい｡ おぬしだとて そう思うだろ？ いえ｡ 思えよ｡ 私は その器ではありません｡ おぬしが どれだけの器かは知らぬが➡ 男なら 思って 当たり前だ｡ ♬～ もし わしが➡ もう20年早く生まれておれば➡ もし わしが➡ もう少し 京の近くで生まれておれば➡ 大広間の主座に座っているのは➡ 秀吉ではなく➡ わしであった！ ♬～ ♬～ 真田の小倅｡ また どこかで会おう｡ 真田信繁と伊達政宗｡ 同い年の この２人は やがて 大坂夏の陣において➡ 運命的な再会を果たす事になる｡ ♬～ 此度の戦 まことに 大儀であった｡➡ 小田原の北条も ついに滅び➡ 天下一統は ここに 成し遂げられたぞ｡ (一同)ははっ！ 北条の滅亡によって 関白秀吉は 名実ともに 天下の覇者となった｡ 戦国の世は終わり➡ 破壊から建設へと 時代は移っていく｡ 関ヶ原の戦いまで あと10年｡ (利休)宿命や｡ 宿命？ (三成) 私とて きれい事だけでは➡ 生きていけぬ事ぐらい 知っておる｡ (稲)人を呼びますよ｡ (とり)心は 常に一つ｡ 一家とは そういうものです｡ 豊臣の世は…｡ 長くは続かぬぞ｡ <小田原城は 上杉謙信や 武田信玄の猛攻を はねのけた➡ 難攻不落の名城と 知られています｡➡ 秀吉の大軍勢を迎え撃つために 築いた巨大な土塁｡➡ 城下町まで囲んだ土塁は 総延長９ｷﾛに及びました> <全国の大名が集結した 小田原攻め｡➡ この時 信繁も参陣したといいます> <秀吉は 小田原城の南西に 石垣山城を築城> <およそ80日で完成させたと 伝わります｡➡ 秀吉の圧倒的な兵力の前に➡ 北条氏は ついに 開城を決断しました> <小田原の繁華街にある 北条氏政の墓｡➡ 氏政の死により 戦国時代は 終焉を迎え➡ 秀吉の天下は 揺るぎないものとなったのです> (うめき声) (村越)どうだ？ 鶴吉 白状する気になったか？➡ 仲間の名を申せ！ おい！ (下男たち)へい｡

東京DOGS～最悪で最高のパートナー～＃07

1 （ゆり）どうして　隠したの？ 高倉さんたちに。 （由岐）奏が　この世界で 一番　憎んでる男が→ わたしの恋人だった。 （奏）待てー！ （銃声） （マルオ）これ。 （マルオ）どうしたの？ 由岐ちゃん。 わたしと　神野…。 恋人だったんだ。 （奏）なぜ　隠した？ （奏）なぜ　隠したんだ！？ そりゃあ　言いづれえだろ。 このバッジに　見覚えはないか？ 神野のものかもしれないんだ。 居場所は　分かったのか？ 顔は　思い出したか？ はっきりとは…。 正直に　答えるんだ！ もう　正直に　言ってるよ！ 信じてやろうよ。 （由岐）そうだよね。 信じられないよね。 神野の恋人なんだもん　わたし。 バイト先にいた　吉村という男 神野の組織の　人間だった。 裏切り者で やつも　神野を追っている。 お前の記憶が 欲しかったんだろう。 そんな…。 だから　もう　バイトに 行かせることはできない。 ≪（ドアの閉まる音） うわっ！　ハァー。 ♪♪～ あの…。 由岐ちゃんが　神野の 恋人だったからって→ 俺は　別に　変わんねえぜ。 そもそも　過去のことじゃん。 女の過去に　こだわらない男。 マルオ。 そこんとこ　よろずや　きんのすけ。 ありがとう。　マルオ。 でも　わたし→ 奏の　お父さんを殺した人の 恋人なんだよ。 でもさ…。 （益子）おいおい。　このままじゃ クリスマスも　正月も　休めねえぞ。 （舞島）クリスマスは わたしが　休みますから→ 益子さん　出てくださいね。 （益子）何でよ！？ 嫁と子供に　どれだけ　ぶーぶー 文句　言われるか　分かんないよ。 舞島さん　クリスマス　休んだって 何　するわけじゃないでしょ？ （舞島）何？　それ。 何　しますよ。 街を歩いてね 寂しげな男　探しますよ。 聞き込みじゃないっすか　それ。 えっ？ 仕事のついでに　やってよ。　それ。 （舞島）しまったー！ 正月　三が日は　わたしが休みます。（益子）だから　三が日だって→ 何　するわけじゃないでしょ！？ （大友）どうだ？→ 神野の手掛かりは　絞りこめたか？（益子）なかなか　難しいですね。 （男性）《神野は　冷酷だ。 一つ　ミスしただけで　殺される》 （男性）《ボスは ジェントルな男だ。→ 敵対してた人間も　降伏すれば 仲間にして　出世もさせるんだ》 （男性）《東京湾と ハドソン川には→ 神野が殺した　死体が １００は　沈んでる》 （男性）《神野は　絶対に 自分で　手を下さない。→ 一人も殺さないで 出世したってのは　有名な話だ》 （男性）《横浜の やくざだったという噂だ》 （益子）《何か　言えよ！　お前！ あっ！？　あっ！？　おい！》 （男性）《九州からの 流れ者って　聞いた》 顔を　見たことがあるという人間の記憶を基に→ 似顔絵も　描かせたんですが…。 えっ？　えっ！？ いちいち　整形してるってこと！？ （舞島）んなわけ　ないでしょ。 誰も　知らないのよ。 もう少しで　松永　由岐が はっきりと思い出すと　思います。 （大友）それに　期待するか。 やっぱり手ごわいな。　あと　一歩が。 （舞島）ハァー。 （鈴江）あれ？　どうしたんですか？ （鈴江）空気が重いですね。　フフフ。（大友）フフフ。 （益子）あれ？ もしかして　鈴さん。　その顔。 （鈴江）聞けましたよ。 ちょっと　面白い話が。 マジっすか！？ さすが　取り調べの神！ （鈴江）麻薬とは　別なんですけどね神野の組織は→ 賭博にも　かかわってる 可能性が　あります。 今まで　そんな話は 聞いたこと　ありませんが。 組織を再編して　事業を 拡大するつもりかもしれんな。 （鈴江）おそらく。　ヤマは 今度　行われる　日米対抗野球です。 複数の暴力団が かかわってるようですが→ それらを　取り仕切る 元締が　あるようです。 その元締を調べれば　神野のことも何か　つかめるかもしれないわね。 手掛かりは　この選手です。 うおっ！　シャークスの 矢野じゃないっすか！ （大友）うん？ あれ？　一人も プロ野球　興味　ナッシング？ （益子）いや。 うちの息子も　ファンだけど。 （舞島）イケメンであることは　分かる。 顔かよ。 あっ　痛…。 顔じゃないのよ　矢野は。 どんな　スラッガー　相手でも がんがん　ストレートで勝負する。 何つうの？ 男？　男なのよ！ それで　この男が　何を？ 八百長に かかわってるのではないかと。 八百長！？　矢野が！？ おいおい！ 息子に　何て　言えばいいんだよ！？ とにかく　調べてみよう。 奏と　マルオは この矢野に　張りついてくれ。 はい。 はい。 ♪♪～ 甲子園　優勝して　ドラフト　１位でシャークス　入団して。 ルーキーなのに　１８勝　挙げて その年の　新人賞よ。 ただね　２年前に 肩　壊しちゃってさぁ。 手術して　ことし ようやく　復帰なわけよ。 俺　あいつの試合　見るために　何回シャークスの試合　見に行ったか。 ああ。　なあ？ あからさまに　興味ねえの やめてくれる！？ なぜ　八百長をしてる？ マジで　やってんのかな？ 信じらんねえよ。 復活しているのなら 金にも　困っていないはずだ。 いっそのこと　聞いてみちゃう？ 直で。 「やってない」と言うに 決まってるだろう。 やってねえよ。　きっと。 しっぽを出すまでは 張り込むしか　なさそうだな。 なあ？　由岐ちゃんのことだけど。 許してやれよ。 許すも　何もない。 だって　明らかに　怒ってんじゃん。 あれから　由岐ちゃんと 口も　利いてなさそうだしさ。 あんたの気持ちも　分かるけどさ。 一緒に　暮らしてみて→ 由岐ちゃん自身は いい子だって　分かるだろ？ 俺　苦手なのよ。 険悪ムードとかさ。 もう　ムードが悪いだけで 全身　鳥肌　立っちゃうわけよ。 ねえ？　しまいには　俺 鳥になって　飛んじゃうよ。 「あーっ！」って。 シッ。 張り込み中だぞ。 はいはい。 ちょいちょい　来てる感じ？　ここ。（女性）あっ　はい。 マジョルカ？ （女性）あっ…。 俺も　通っちゃおうかな。 （女性）ハハハ…。 ごめん　由岐ちゃん。 俺ったら　またしても…。 またしてもー！ どこ　見てるんだ！？ だって　見てみ　これ。 ゆっさゆさですわー！ 張り込み中だぞ！ あっ。　見たよね？　今。 ちらっと　見たよな？ （操作音） （操作音） ♪♪～ うー！　きつっ！ ≪（エリカ）お兄ちゃん。 （矢野）おお　おかえり。→ 早かったな。 （きみえ）おかえりなさい。 そういや　矢野も 親父さん　いないんだって。 矢野が　中学んときに　事故で 亡くしちゃったんだってさ。 おふくろさんが　女手　一つで 矢野と妹さん　育ててさ。 今は　矢野が　野球一本で 家族を　支えてるってわけよ。 いい男だろ？ ホント　八百長なんて 信じらんねえよ。 今日は 元締との接触は　なさそうだな。 [TEL] おっと。　堀川。 （店長）えっ！？ お兄さんたちが　刑事さんで→ 堀川君も　刑事さん？→ そして　由岐ちゃん　辞めちゃう？ で　吉村君が　甲斐崎君？ 何だか　いろんなことが 一度に　起こり過ぎて→ 店長　整理できてません。 うん　そうだよね。 まあ　仕方ないっすよ。 で　甲斐崎に　何か 思い当たること　ありませんか？ 本社を　何度　調べても　吉村君には何も　問題ないんですよね。 （店長）いや。　ホントに　本社から 派遣されてると　思ってたから。→ 甲斐崎なんて名前 聞いたこともない！ やつらにしてみれば この程度の会社に　手を回すのは→ 簡単なことだったんです。 この程度の会社って→ どうだろうか！？ 甲斐崎を訪ねて　怪しい人間→ 来たりしませんでした？ いや。　来てないと思いますよ。 ただ　電話は よく　かかってきてたかな。 仲間がいるな。 店長。 だましてて　ごめんなさい。 （店長）いいんだけどさ。→ 由岐ちゃん ホントに　辞めちゃうの？ もちろん　辞めたくないんです。 店長のこと　大好きだし。 ええー？ （堀川）照れてんじゃねえよ。 （店長）タメ口って　幾つだ！？ （堀川）あっ　すいません。　２３です。 あっ。　まあ　シゲは 残していきますから。 （シゲオ）えっ？　えっ？　えっ？　俺…。俺　残るんすか！？　勘弁っすよ。 バカヤロー！　暴走族の経験 生かして　もう少し　頑張れ！ 族の経験は この店で　生きませんよ！ あざっす！　頑張ります！ すいません。 彼女の意思は　ともかく この店が　知られているとなると→ 由岐を　これ以上　ここに 置いとくわけにはいきません。 そうですか。 すいません。 （由岐）ハァー。 また　かごの中の鳥か。 でも　まあ もう少しで　全部　思い出すしさ。 そうすれば…。 自由になれんじゃん。　ハハハ。 まあ　でも　このまま ずっと　一緒でもいいけど。 なあ？　先生。 でも　全部　思い出したら　もう わたしに　用は　ないんでしょ？ ねえ？　奏。 甲斐崎が　お前の記憶を 欲しがっている以上→ 思い出しても　警察が護衛する。 神野を逮捕したところで　解放だ。 ドライだねぇ。 今まで　一緒に　暮らしてきたのに。 どうすることも　できないよね。 過去は。 （益子）矢野ですが　肩の手術と アメリカでの　リハビリとで→ かなりの金が 掛かったようです。→ 確かなことは まだ　調べていますが→ 彼が　今　抱えてる借金は 約　１億円ほど。 そんなに！？ （舞島）八百長に　手を出す動機は→ じゅうぶんに　あるってわけね。 ♪♪～ [TEL] （矢野）もしもし。 [TEL]（男性）見ていただけましたか？ 今度の試合で　投げる球→ 全部　そこに 指示してありますから。 （益子）野球賭博ですが 勝敗は　もちろんのこと→ 投手の投げる　イニング数 奪三振　人気選手のヒット→ エラーに至るまで　あらゆるものが賭けの対象に　なるようです。→ それぞれ 配当の倍率が　決まっていて→ 胴元は　かなりの手数料を取れる 仕組みらしい。 それも　全部 電話か　ネットでしょ？ 金もうけとしては　最適よね。 （益子）ネット賭博は→ 世界で　１兆５，０００億の金が 動くらしい。 １兆って…。 たこ焼き　何個　食えんだよ！？ あ痛っ。 （舞島）何で　たこ焼きなのよ！？ 神野の組織が　飛び付くのも 分かる話だな。→ とにかく　日本での元締が どこなのかを　見つけだそう。 （一同）はい。 （鈴江）あっ。　高倉さん。→ やはり　このバッジを持てるのは ただ　一人だそうです。 やっぱり　この前　現場にいたのは 神野ってことかよ。 （矢野）日本プロ野球の プライドを背負って→ マウンドに　立つわけですから→ 負けるわけには　いかないという 気持ちですね。 （記者）ペナントレースでは 得意の　ストレートの球威が→ 落ちたと　言われていましたが ケガの影響は　大丈夫ですか？ （小沢）いや　問題ないですね。 ペナントレース　後半は→ ケガをする前よりも むしろ　スピードが出てたよな？ （矢野）ええ。　自分でも 驚くほどの　回復でした。 （小沢）大リーガーでも　そうそう 打てませんよ。　今の　矢野の球は。 監督の期待に　応えられるように 頑張ります。 （記者）握手　お願いします。 まさか　あのヒーローが わざと　負けようとしてるなんて→ 想像も　できねえよ。 （記者）こちら　お願いします！ まだ　やると 決まったわけじゃない。 あれ？ 急に　味方になっちゃった？ ねえ。　矢野のこと 好きになっちゃった？ 未然に防げると　言ってるだけだ。 フッ。　ねえ。 何だ　お前。 ただいま。 （京子）どうしたの！？　奏ちゃん！ いや。　近くを　通り掛かったから。 （京子）呼んでないのに 来るなんて　珍しい。 うん。　だから 近くを　通り掛かってね。 待ってて。 今　カレー　温めるから。 いや　いいよ。 食べていきなさいよ！ 奏ちゃん カレー　大好きじゃないの。 子供のころ いっつも　カレー　食べて→ 「ヒデキ　感激ー！」って 言ってたじゃない。 言ってないよ。 （京子）何か　うれしい。→ 突然　来てくれるの。 そう。 （京子）昨日のカレーだから おいしいわよ。 母さん。 （京子）うん？ ごめんね。 （京子）何が？ いや。 俺　勝手に アメリカ　行っちゃって。 （京子）何よ　急に。 昔のことじゃない。→ いいのよ　ママは。 だって 今　いるじゃない　ここに。 カレー　いいにおいだ。 ≪（カリン）あれーっ！？ お兄ちゃん　帰ってきてるー！ （中谷）お兄ちゃん！ お疲れっすっす！ お兄ちゃん。　お兄ちゃん…。 （中谷）お兄ちゃん。　カレー 食べてってくださいよ！　痛っ。 お前に勧められる　筋合いはない！ （真紀）へえー。　神野って かなりの　イケメンなんだね。 （堀川）うん。 （由岐）いや。　駄目だ　これ。 はっきり　覚えてない。 はっきり　覚えてないから→ ついつい　イケメンに なっちゃったんじゃねえの？ 実は　ラクダみてえな顔 してんじゃねえの？ いや。　ラクダは　ないでしょ。 っていうか　ラクダだったら→ そもそも　好きに　ならないでしょ。じゃあ　あれだよ。 アルパカみてえな顔だよ。 （堀川）何で　マルオさんは→ 神野の顔 悪くしたい　方向なんすか？ あっ？　何がだよ？ （真紀）はっきり　言っていいですか？ 何よ？　はっきりって。 焼いてるでしょ？ きたーっ！ 直接　フリーキック！ あのね　真紀ちゃん。　俺は 特定の女を　好きにならない→ 全ての女に　優しい男。　マルオ！ そこんとこ…。 （堀川・マルオ）よろずや！ 俺の　取んじゃねえよ！ マルオさん。　嫉妬は 恥ずかしいことじゃありませんよ。 （真紀）わたしは　ケイちゃんが 浮気しようもんなら→ 相手の女の家の　お風呂に　大量の 「ふえる　わかめちゃん」→ ぶち込んで　バスルームを ワカメだらけに　しますから。 怖い。 （堀川）愛の力だねぇ。→ 俺の　真紀への愛は　まさに 「ふえる　わかめちゃん」だよ。 今のは　決して　うまくねえぞ。 フフフ。 あー！　久しぶりに　笑った。 由岐ちゃんが。 （真紀）あっ！ そういえば　ケイちゃん。 今日　１回も 好きって　言ってくれてない。 ああ。 真紀。　好きだよ。 ウフッ。　わたしも　好き。 （堀川）うん。 お前ら　帰ってくれるかな。 あいつら　後片付けもしねえで 帰りやがってよ。 マルオが 帰れって　言ったんじゃん。 まあ　そうだけどさ。 わたしさ…。　あの。　あしたから 神野との　記憶がある場所→ 回ろうと思ってさ。 いいと思う。 それで　また 色々　思い出せると思う。 そうだね。 まだ　好きなの？ 神野のこと。 今は　そういう気持ち　ない。 そっか。 それ　一応　アメリカの先生にも 伝えといたら？ 何　言っても　無駄だよ。 奏は　もう　わたしのこと 受け入れてくれない。 そんなこと　ねえよ。 もう　駄目だよ。 ハァー。 ♪♪～ よし！ おはよう！ おはよう。 ねえ？　今日さ　アメリカの先生と ３人で一緒に　ディナーしない？ あっ　ほら。　最近　顔も ろくに　合わしてないだろ？ けさも　さっさと １人で　行っちゃうしさ。 大丈夫。 合コンの帝王の　名に懸けて→ 俺が　めっちゃ 盛り上げるからさ。 うん。　そうだね。 おーし。　何　食べる？ えっ？　あっ。 わたし　作るよ。 イエース！　由岐ちゃんの手料理 めっちゃ　楽しみ！ ハハハハ。 うん。　頑張る！ （舞島）賭博に　かかわっている 暴力団は→ 幾つか　見えてきました。 今のところ　宮本組と　鷹野会。→ 並木興業では　アメリカ側を 買収する動きも　あるようです。 （大友）肝心の　元締については どうだ？→ 何か　手掛かりは　つかめたか？ （益子）やはり　なかなか。 もう　分かってる組に さっさと　ガサ　入れましょうよ。 （益子）かかわってる組は ほかにも　ある。 それに　元締が　分からない状態で ガサに入っても→ トカゲのしっぽ切りに　なるだけだ。しかし　日米戦は　あしたです。 今日　１日　粘ろう。 元締の情報さえ　つかめれば 一斉摘発が　できる。 それぞれの持ち場で 捜査を　続けてくれ。 （一同）はい。 なあ？　先生。 由岐ちゃんが　今日から→ 記憶にある場所を　回るって 言っててさ。 何？ ああ。　大丈夫　大丈夫。 堀川が　警護についてるし ゆり先生も　一緒だから。 その報告会ってことで　今夜 早めに　マンション　集合な。 ＯＫ？ 分かった。 （由岐）高校　卒業して ここで　バイトしてたの。 （ゆり）ここで　神野と出会ったの？ （由岐）まだ　バイトに 慣れてなくて。→ お客さんの　お皿を 下げようとしたとき→ ナイフと　フォークを落として スーツを　汚しちゃったの。 （由岐）一緒にいた　お客さんが すごく　怒って。→ でも　その人　かばってくれた。→ 「わたしが　ぶつかったから 落としたんだ」って。 （ゆり）それが　神野？ （由岐）それから 食事に　誘われたりして。 （由岐）ここでも　デートした。 （ゆり）神野は　何か話した？ （由岐）いいえ。 （由岐）いつも　黙ってて。→ わたしが　一方的に 色々　話しちゃって。 ハァー。　わたし　すぐに 神野のこと　好きになっちゃって。→ だけど　彼が　貿易の仕事で アメリカに行くって　なったの。 組織の仕事だ。 （ゆり）ということは→ 由岐ちゃん 神野の正体を　知らなかったのね。 （堀川）じゃあ　何で あの　ニューヨークの現場に？ それだけが　思い出せないの。 そこに 記憶を失った　原因がある。 ♪♪～ だから 分かったって　言ってんだろ！ 試合　あしただぜ。 少し　話してみるか？ えっ！？ 接触　待たなくていいのかよ？ 矢野が　お前の 思っているような男なら→ 何か　話すかもしれない。 えっ？ 何ですか？　あなた方。 率直に　お伺いします。 矢野さん。 あなた　八百長事件に 巻き込まれていらっしゃいませんか。 えっ？ ああ。　俺　ファンなんすよ。 だから　言ってやったんすよ。 「矢野は　金で動くような ピッチャーじゃねえ」って。 あなたの　言うとおりです。 お金のためだけじゃない。 家族のためなんじゃないですか？ 今回　断れば　家族が危ない。 そう　脅迫を受けているなら 警察が守ります。 帰ってください。 僕は　今度の試合のことで 頭が　いっぱいなんです。 行こう。 ああ。 （由岐）早く　全部　思い出さないと。 （ゆり）つらい過去を　全て 知る必要は　ないんじゃないかしら。 （由岐）えっ？ （ゆり）最後の記憶が　必要なのは→ あくまで　捜査のためだし それが欲しいのは　警察だけ。→ 由岐ちゃんの　これからの人生には関係のないことでしょ？ 過去の記憶より　今が大切よ。 今か。 なあ？　俺　ちょっと 買い物　あるからさ　先　帰ってて。 捜査課じゃねえぞ。　マンションな。おう。 由岐ちゃんも　必死で 思い出してんだからさ→ 聞いてあげようぜ。 おう。 じゃあ。 （店員）メッセージは 何と　お入れしますか？ メッシェージ？ （店員）はい。 えーっとね。 ああ。　何…。　何が　いいかな？ （店員）お誕生日とか？ ああ。　違う　違う　違う。 あっ。　「仲良くしようぜ！」 （店員） 「仲良くしようぜ！」ですか？→ はい。 お願いします。 あっ　あの。 ケーキ　後で取りに来ます！ （店員）はい。 おかえり。 おかえり。 ただいま。 マルオは？ 買い物に行くと　言っていた。 えっ？ ふーん。 何　買いに行ったんだろ？ さあ。 ♪♪～ （男性）矢野の調子 いいみたいっすね。→ うちは　４－１に　２２万。→ イニング数は　６で いこうと思います。 うん？　元締か？ （男性）まあ 問題はないと　思いますが。 ♪♪～ [TEL]（大友）大友だ。　どうした？ お疲れさまです。 賭けに参加してる 組事務所を　見つけました。 今から　踏み込もうと思います。 [TEL]（大友）おい　待て！→ 令状も　何もないだろ。 今　行けば　確実に→ 証拠は　つかめます。 元締の情報も。 [TEL]（大友）１人か？　奏は？ あいつは　今日は　いいんです。 今日は　俺だけで やらせてください。　お願いします。 [TEL]（大友）今　警察だと　バレては 元締まで　一掃できんぞ。 うまく　やります。 失礼します。 何か　思い出したのか？ ２人が　出会ったときのこととか デートした場所とか。 でも　顔だけは まだ　ぼんやりしてる。 やつは　どんな人間なんだ？ わたしには　優しい人だった。 すごく　大人で。 いつも　わたしのこと 包み込んでくれて。 あのころ 彼のことが　好きで好きで。 いつも　彼のこと　考えてた。 俺もだ。 えっ？ 俺も　ずっと 神野のことを　考えていた。 ♪♪～ フッ。 何か　悲しいね。 全然　違う思いで 同じ人　追い掛けてたんだね。 ♪♪～ 堅い。 オムレツが　堅過ぎる。 えっ？ もっと　軟らかく　作れる方法 教えてやるよ。 うん。 ♪♪～ （シャッター音） （シャッター音） （男性）誰だ？ しゃあねえな。 はい　チーズ。 （シャッター音） 何だ？　お前は。 （男性）てめえ！　うおっ！ 野球ファン　代表だ。 賭博なんか　してんじゃねえぞ！ この野郎！ （男性）この野郎！→ うっ！　うわー！　うっ！ （男性）おりゃー！ （男性）うりゃー！ ああっ！ （男性）この野郎！　うわー！ ああっ！ （男性）おい　立て！ （男性）おりゃー！ うわー！ （男性）うわー！　くそ。　追え！ （男性たち）はい！　待て！ ハァー。 総長！ 大丈夫っすか？ 遅ぇよ。　バカヤロー。 （シゲオ）すいません。 （由岐）どうしたの？ （シゲオ）よいしょ。 すげえ　痛ぇんだよ。 （シゲオ）待って。　えっ？ よいしょ。　あっ。　よいしょ。 何が　あった？ ああ　先生。　はいよ。 ご機嫌な　写真と データが　入ってるぜ。 なぜ　１人で　やった？ たまには　俺も　やるってとこ→ 見してやろうと思ってさ。 バカが。 い…。 （シゲオ）痛いっすか？ 痛っ。 （シゲオ）痛いっすか？ ありがとう　マルオ。 奏と　ちゃんと話せたよ。 い…。　痛ててて。 痛い痛い　痛い痛い！ ごめん　ごめん　ごめん。 由岐ちゃん　痛い。 これは？ 痛たたたた！　痛い。 あれ？　あれ？ 痛いよ　由岐ちゃん。 痛い？ ♪♪～ 元締は　花河組か。 ♪♪～ おい。　起きろ。 ハァー。 おい。 マルオ。　起きろ。 ♪♪～ 自分の部屋で寝ろ。　由岐。 うーん。 ♪♪～ （蹴る音） ♪♪～ あいつ　何てこと　したのよ！ （大友）いや。　よくやった。 本当に　よくやりました。 （大友）よし。 試合開始直前に 一気に　摘発に踏み切ろう。 （一同）はい！ （チャイム） （撃鉄を起こす音） ちょっと　お話　いいですか？ （堀川）あっ。　待て　こら！ （鈴江）堀川さん　頑張れ！ （堀川）ちょっ。　えっ？　えっ？ 嘘！？　えっ？　ちょっと。　ああー！ （男性）どけ！ （益子）待て！ （男性）どけ！ （舞島）やあっ！　やっ！→ うっ！ （男性）うわー。 （益子）ハハハ。 舞島さん　腕　鈍ってないね。 やるときは　やるの。 やらないときは→ 徹底して　やらない。 （益子）それって　どうなの？ （男性）うわっ！ （益子）うわあー！ 動くな！ はい。　賭博の容疑で　全員　逮捕。 （男性）何だ？　てめえは！ お前ら　賭博の元締だな。 矢野を　脅してるのも。 （男性）やれ！ （銃声） （男性）うわっ！ （男性）死ね！ （銃声） （男性）うわっ！ ついでに　銃刀法違反の現行犯。 お前　動いたら　殺すぞ。 ほら　伏せろ。　伏せろ！ ≪（男性）動くな！　死ね！ （銃声） （銃声） （男性）うりゃあー！ ≪おら！ （男性）うわっ！　うっ！ ああっ。　ハァー。 痛ぇんだよ。　バカヤロー。 お前　ケガしてんだろ！ なぜ　出てきた？ 俺のケガは　トカゲの しっぽ並みに　回復　早ぇの。 嘘つけ。　早く帰って　休め。 もう　元気　はつらつなの！ （銃声） ウーフ。 お前は　どうして　そう すきだらけなんだ？ あんたも　すきぐらい　できるだろ。俺に　すきはない。 頭　洗うときぐらい　油断するだろ。常に　後ろに　気を配っている。 （銃声） リンスするときは　念入りだから すき　できるよ。 俺は　リンスインシャンプーだ。 どうせ　さささーっと→ 適当に　洗ってんだろ。 さささーっと　やって→ 何が悪いんだ？ （銃声） お前も　これからは さささーっと洗え！ 俺は　トリートメントまで しっかり　やってんの。 （男性）くらえ！ （銃声） トリートメントって　何だ？ えっ？　知らねえの？ （銃声） だから　トリートメントって　何だ？ 今は　いいだろ。　それ。 （男性たち）うりゃー！ （銃声） トリートメントって　何だ？ 今　いいだろ　それ。 [TEL] もしもし。 [TEL]（京子）もしもし。　奏ちゃん？→ ママだけど。 １０分後に　かけ直す。 [TEL]（京子）洗面所の水が 止まらないのよ！ クラシアンに　頼んでくれ。 [TEL]（京子）何？　それ。 暮らし安心　クラシアンです。 早くて　安くて　安心です。 [TEL]（京子）何？　それ！ 何？　それ。 （益子）ねえ？ 試合　見ていっちゃ駄目？ 嫁と　子供がさ 外野席で　見てんのよ。 護送と　報告でしょうが。 （益子）ねえ？　頼みます！ （舞島）駄目！　そういう ファミリーな感じ　大っ嫌い！ （益子）八つ当たりじゃーん！ （舞島）後は…。 あなた。 花河組を　摘発しました。 賭博罪と　あなたへの脅迫罪で。 ♪♪～ 一度きりの　つもりだったんだ。 借金なんか　今までの年俸なら 楽に　返すこともできた。 でも　不安だった。 復帰して　すぐ　思うように ストレートが　走らなくて。 もし　二軍落ちにでもなれば 借金は　返せなくなる。 （矢野）１回　やったら　やつら また　話を持ち掛けてきた。 断ろうとしたら 過去を　バラすと脅されて。 家族にも　危害を加えると。 フッ。 これで　全て　終わりだな。 あきらめるんですか？ 俺は　犯罪者だ。 もう　家族も守れない。 それでも　信じてくれるはずです。 いや。 過去は もう　どうすることも　できない。 《どうすることも　できないよね。 過去は》 あなたの過去に 何が　あったとしても…。 信じてくれる人は　います。 ♪♪～ 逮捕するんじゃないのか？ 今日の試合も 勝つと　信じているはずです。 わたしの隣にいる バカな　あなたのファンも。 [ﾏｲｸ]（アナウンス）９番　ピッチャー　矢野。 背番号　１８。 （拍手・歓声） （シャッター音） （記者たち）来た！　矢野！ （シャッター音） （記者）頑張ってください！ （審判）バッター　アウト！ よっしゃ！ そうでなくちゃ　矢野は！ ♪♪～ ありがとう。 あんたの　おかげだよ。 ナイス　ピッチングでした。 あなたの実力です。 ♪♪～ 家族に　伝えてくれ。 必ず　やり直すと。 分かりました。 では　行きますか。 （大友）今回の　一斉摘発で→ 神野の側近と思われる　連中も 何人か　しょっ引けた。 はい。　取り調べで 色々と　明らかになると思います。 もう少しだな。 もう　一歩で　神野に近づける。 はい。 ただいまるお。 （堀川）お疲れさまです。 お疲れ。　由岐ちゃんは？ （堀川）あっ。　寝てます。 そっか。 何か　一気に　いろんなことが あって　疲れたみたいです。 ＯＫ。　じゃあ　もう　帰っていいぞ。それじゃあ。→ あっ　ちょっ。　マルオさん？→ 由岐ちゃんに 変なこと　しないでくださいよ。 しねえよ。 まっ　保証も　しねえけど。 えっ！？　ちょっと　待ってくだ…！ シーッ。 嘘だよ。　早く帰れよ。 それじゃあ　お疲れさまです。 カワイイ　寝顔。 由岐ちゃん。 俺…。 うーん。 由岐ちゃん？ うーん。　うーん。 由岐…。 神野さん！ ♪♪～ （撃鉄を起こす音） （落下音） （銃声） ♪♪～ ♪♪～

カルテット＃03

1 <ｵｼｬﾚでかわいいﾏｽｷﾝｸﾞﾃｰﾌﾟが登場> (純)お～ッ (綿来)あいつ いつ来んのかな？ (寛子)そうね～ おじさん 娘に会いたいの？ そりゃあ 会いたいよ ≪(寛子)最後に娘と 一目 会いたいんだろうけど➡ もう20年以上 音信不通だしね ≪(純)その子 Facebookやってないかな？ 何て名前？ すずめちゃん？ すずめちゃん ≪(寛子)色んな親戚に 預けられてた子なの➡ ママのウチにいたこと あったんだけど ある時 物置で おじいちゃんのチェロ 見つけて それ以来 一日中 部屋にこもって弾いてた 何で親と暮らしてなかったの？ 母親は ずいぶん前に 亡くなってたし 父親 おじさんは ある時 日本中が大騒ぎに なるほどの詐欺事件起こしてさ 逮捕されちゃったの 逮捕!? 詐欺って？ ニセ超能力 娘のすずめちゃんに インチキな超能力教え込んでさ しょっちゅうテレビに出てたの これ？ あ～ッ これこれ➡ 魔法少女ブームみたいになって 結構人気あったんだよね [TV](司会)それでは皆さん 準備はよろしいでしょうか？ [TV]すずめちゃんの奇跡の超能力を ご覧いただきましょう [TV]すずめちゃん いきますよ [TV]このトランプの数字は 何かな？ [TV](すずめ)スペードの９ [TV]正解です！ おお すごい これは？ ≪(純)インチキってバレたんだ？ ≪(寛子)週刊誌に暴露されて➡ すごいバッシングになって➡ テレビ局の人が自殺して➡ おじさんも逮捕されて➡ すずめちゃんも 魔法少女は 大嘘つきだったみたいに言われて [TV](司会者)本物の超能力少女です ハハハ ハッハッハッハッ (チャイム) (有朱)ウチのお店 お米使わないから ありがとうございます うい はい お休みなのに デートとか行かないんですか？ さっきまで寝てたし そういう相手とかいないんで 何で彼氏つくらないんですか？ 何で？ 何でかな 告白とか苦手で 告白は 子供がするものですよ 大人は誘惑してください 誘惑？ 誘惑は まず 人間を捨てることです ｢人間を捨てる｣ 大丈夫ですか？ 大体 三つパターンあって ネコになるか トラになるか 雨にぬれたイヌになるか ネコ トラ… どれがいいですか？ じゃあ ネコで まず 布団に潜り込みます はい あ～ 疲れちゃった お～ キスしちゃったらダメですよ いつキスしてもおかしくないぞ の 距離をつくるまでが女の仕事です あ～ ペットボトル１本分の距離を 保ってください 女からキスしたら 男に恋は生まれません はい (別府)行きますよ 何でペットボトル 持ってるんですか？ 何でもないです (家森)あれ？ どうしました？ 洗濯したはずのパンツが ないんだよ パンツ？ いや ランジェリーのほう えッ？ はいてないよ 取り込んだ時ありました？ 別府さんのランジェリー 貸してあげたら？ ランジェリー貸して ランジェリーって言うのやめて ランジェリー貸して ランジェリー貸してあげて (真紀)お待たせしました 行きましょう 別府君 待って ランジェ… パンツは コンビニで 二人 ボーダーかぶってますよ あッ すいません ダメですか？ 特別な関係に見えちゃうけど いいの？ 着替えてきます ちょっと待っててください 何でボーダー着るかな ボーダー着ちゃダメなんですか？ 絶対かぶるに決まってる 他に誰か 着てる人いないか考えません？ じゃあ ボーダーはいつ着れば？ 昨日ボーダー着てる人と会う時 ちょっと条件が厳しすぎません？ お待たせしました 行きましょう ダメじゃん 特別な関係に 見えちゃいますよ 着替えてきます あと メッセージ性の強すぎる Ｔシャツはよそうね (純)すいません！ (別府)はい ボーダーですよ ほら 街で偶然会うのは しかたないじゃないですか あの すいません はい 綿来さんのことで お話が 知り合いでした 先に行っててください よかったね ボーダー着てなくて ねえ すいません 綿来すずめさんですよね？ いや～ あなたのお父さん もうすぐ亡くなります おじさん 今 千葉の病院に入院してるんです もうたぶん もういつ亡くなってもって状態で ああ おじさん 最後に 娘に会いたい って言って待ってます ああ これから僕と一緒に来てください ちょっと今日は仕事あるんで ちょっと 今日かも 明日かもしれない状態なんです はい ありがとうございます お父さんが会いたがってるんです はい 親子でしょ はい ちょっと… (拍手) すずめちゃん 今日ちょっとテンポが… あッ 遅かったですか？ 速かったです 結構 そうですか ごめんなさい 大変だ 有朱ちゃんちに お呼ばれしちゃった あッ パンツどうしよう さっき途中で 買ったじゃないですか これしか売ってなかったんだよね ハハハッ メッセージ性 強いですね ご一緒に 言って ウルト… ウルトラソウル！ ≪(別府)ウルトラソウル！ そうだよッ いこうぜ いこうぜ イテ アッタ フフフ あッ アイスですか？ はい ありがとうございます 別府さん 明日って何してます？ 明日ですか？ 時間があったら… あッ 明日 旧軽銀座で 餅つき大会あるそうですよ すずめちゃん 行ってきたら？ 餅つき大会… 別府さんは？ 僕 明日 実家帰らないといけないんです 何か父が受賞したらしくて お祝いで すごい 僕以外 みんなすごい人達で 餅つき大会のほうが 楽しいんじゃないですか？ 餅つき大会 楽しいですよ いや やっぱり 家族のお祝いごとなんで帰ります すずめちゃん ご家族は？ 聞いたことなかったですけど あッ 岡山県で きびだんご作ってます すずめちゃん もう上で寝たら？ 眠くないです (においを嗅ぐ) いいにおいなんだけど 若干トイレの芳香剤 っぽくないですか？ (ドアが開く) 有朱ちゃんち 行かなかったんですか？ ウルトラソウル しなかったんですか？ 別府君 僕に 強いお酒をいただける？ 《テヘ ホントに 上がっていいの？》 《ウフフフ》 《何しに来たんですか？》 《(有朱)あッ そこ おじいちゃん寝てるんで➡》 《お父さんです その横 お母さんです》 《えっと》 《ここって？》 《実家です》 《妹 高校受験なんです 勉強見てあげてください》 《あ～ あッ はい》 《私は 明日が早いので帰ります おやすみなさい》 《おやすみ～》 《(妹)あの人 やめといたほうがいいよ》 《姉ちゃんのあだ名 淀君だから》 (真紀達が笑う) で 妹が言うには 小学校ん時 有朱ちゃんがいるクラスだけ 毎年 学級崩壊起きてたらしくて 何があったんでしょう？ あと 元彼が 彼女とつきあう前は Apple Storeで働いてたのに 今は 朝 パチンコ屋さんに並んでるって 何があったんでしょう [TV]クローバーの６ [TV](司会者)これは？ [TV]ハートのクイーン [TV]すごい！ [TV]信じられませんッ… [ｽﾋﾟｰｶ]人口が減っていくと 皆で支えて いるものに対する費用の負担… おはようございます [ｽﾋﾟｰｶ]例えば… おはようございます 在宅で仕事始めたんです 雑誌とかのインタビューを テキストに起こす へえ [ｽﾋﾟｰｶ]日本はたくさんの借金を 国で抱えていますよね [ｽﾋﾟｰｶ]その借金は いずれ返していくものですが [ｽﾋﾟｰｶ]返す人が減っていくので 負担感が増えていくわけです [ｽﾋﾟｰｶ]税金を出し合って 国を守っているわけですけれど (せきこむ) すずめちゃん はい あとで一緒に 餅つき行きません？ ごめんなさい ちょっと用事あって そっか はい ごめんなさい いいえ (鏡子)今月分です もう こういうの やめようかなって ロッカーの鍵 持ってんでしょ？ お金ほしいんでしょ？ 海が見える所に 移してあげたいんでしょ？ それは… カルテットの演奏もありますし あなたの経歴を見込んで お仕事頼んだの 今から行きます？ 皆さんに あなたの経歴を 話しましょうか (有朱)すずめさん！ こんにちは こんにちは こんにちは こんにちは さようなら ≪(鏡子)ハローグッバイな子ね これが あなたに 一番向いてる仕事なの ≪(多可美)えい えい！➡ アハハハッ 見て見て これ こんなにキレイに写るの このアプリ ほら 上がるわ～ ♬～写真にしか写らない ♬～美しさがあるから (谷村)そうだ ママ みんなに確認しとかないと えッ あッ そうだ 皆さんの中に犯罪者はいる？ 知り合いの旅館にいたの 会社のお金横領して 逃げてた仲居さんっていうのが 僕ら そういうのは… 家森君 大丈夫？ 逃走中だったりしない？ 何で僕 名指しなんですか？ 何かあったら辞めてもらうからね 何で 僕見て言うんですか？ ≪(谷村)何かやってそうなんだよ 巻さん 天気予報って… 熱い熱い 熱いッ 熱いッ ちょっと ごめんなさい ハハハハ すずめちゃん 笑いすぎ 天気予報って 上唇と下唇つけずに ５回言ってもらっていいですか 天気予報 天気予報 天気予報 天気予報 天気予報 フフフ フフフ 何ですか？ 天気予報はね 元々 唇くっつけなくても言えるんです 天気予報 ほら 全然面白くないです あッ ウチのサイトに メールが来てます ファンついたんじゃないの？ アドレスだけはってあって 何でしょう これ？ [TV]それでは皆さん 準備はよろしいでしょうか？ 何か怪しいスパム系じゃないの？ ヤバイ ヤバイ ヤバイ もう見たから請求書来るんじゃ？ 別府さん 払えなかったら 東京湾に… (弦が切れる) 大丈夫ですか？ やっちゃった 6800円 どうしました？ あッ Wi-Fiつながらないんですか？ あッ 部屋に虫的なもの出ました？ おなかすいたんですね？ ちょっと待っててください ウチのドーナツは… す… すずめちゃん？ すいません Wi-Fiつながらなくて ああ… あッ Wi-Fi ごめんなさい 急に ビックリしましたよね？ そういうことするつもり なかったんですけど いえ こちらこそ 避けきれなくて いや 避けきれない速度 あったと思うんで Wi-Fi… おなかすいてたら 食べます？ いただきます 別府さん はい いただきます どうぞ やっぱりいません 私 今日一日いるので 戻ってきたら連絡します 大丈夫かな？ 何か気になることでもあるの？ Wi-Fiが… (バスのチャイム) [ｽﾋﾟｰｶ](運転手)青葉病院前です [ｽﾋﾟｰｶ]お降りの方 いらっしゃいませんか？ (チェロの演奏) ごめんね お姉さん ここ許可もらってます？ (電話のベル) はい もしもし そうです ｶﾙﾃｯﾄﾄﾞｰﾅﾂﾎｰﾙです ワタライスズメ… ああ はい お父様が すいません いらっしゃいませ 500円で お花ってできますか？ う～ん どうぞ どうぞ ついさっき 一度呼吸が止まりました ≪(寛子)戻ってきたのは 娘に会いたいからじゃないかな 息子呼んできますね (看護師)あッ 止まっちゃったかも 先生 呼んできますね ご愁傷様でした ﾅｰｽｽﾃｰｼｮﾝのほうでお手続きを あの人は？ これ [TV](司会者)それでは皆さん 準備はよろしいでしょうか？ これって？ ≪(純)検索してたら見つかって➡ たぶん すずめさんのこと (女性)｢４年ほど前 まだ日本で 会社勤めしてた頃のことだ｣ ｢同僚に つばめちゃん(仮名) という同年代の子がいた｣ ｢つばめちゃんは よく笑う子だった｣ ｢いつも みんなの話を 楽しそうに聞いている｣ ｢だけど つばめちゃんは 自分の話をすることはなかったし｣ ｢つばめちゃんが 自分の話をしていないことにも｣ ｢誰一人 気づいていなかった｣ ｢ランチにはつきあわないし 飲み会に来ない｣ ｢きっと一人が好きな 変わった子なんだろう｣ ｢みんな それ以上に 関心を払わなかったし｣ ｢今 思えば それはそれで｣ ｢つばめちゃんには 居心地が よかったのかもしれない｣ ｢そんな居場所が失われたのは｣ ｢誰かが何気に つばめちゃんの名前を｣ ｢検索したのがきっかけだった｣ ｢昔 超能力詐欺事件 というのがあった｣ ｢子供達に大人気の 魔法少女の正体がバレて｣ ｢彼女は嘘つきの魔女になった｣ ｢それが つばめちゃんだった｣ ｢正体が発覚したあとも｣ ｢つばめちゃんは 相変わらず よく笑うつばめちゃんだった｣ ｢こういうこと 前にもあったんだなと思った｣ ｢行く先々であるから 慣れてるんだ｣ ｢いつも過去の自分に 追われてきたんだ｣ ｢それ以来 つばめちゃんのデスクに｣ ｢出ていけ と ひと言書かれたメモ用紙が｣ ｢毎日置かれるようになった｣ ｢彼女は それを 引き出しにしまい続けて｣ ｢100枚ばかりたまった頃｣ ｢一身上の都合でと言って 退職願を出した｣ ｢みんなが最後に見たのは｣ ｢やっぱり笑ってる つばめちゃんだった｣ ｢私もみんなにつられて 出ていけメモを置いた一人だ｣ ｢謝りたいけど もうどこにいるのか分からないし｣ ｢どこにいるのか探されることが｣ ｢何より つばめちゃんの 望んでいないことなんだと思う｣ すずめちゃん すずめちゃん すずめちゃん すずめちゃん！ ≪(店主)いらっしゃいませ (ラジオがついている) 楽器置かせていただきます [ｽﾋﾟｰｶ](稲川)ちょうど湯の上に 真っ白な顔が浮くようにして [ｽﾋﾟｰｶ]スーッと こっちへ来るわけだ [ｽﾋﾟｰｶ]何とも異様な感じがしたんで やだやだ 気持ち悪いな… いらっしゃいませ カツ丼ください (店主)カツ丼 はい 私もカツ丼で カツ丼二つ こっちでこれは大げさですよね ねッ [ｽﾋﾟｰｶ]その腕が細くて長くて白い これって 稲川淳二さんですよね？ えッ？ [ｽﾋﾟｰｶ]ペタンと床についた うん 冬でもやってるんですね そうだね 食べたら戻ります？ はい？ 病院 ああ [ｽﾋﾟｰｶ]普通 湯船から上がる場合は 湯船ん中で立ち上がって… お昼前にも一回 さっきんとこ通ったんですけど そう 巻さんいると思わなかったな 誰かから電話とか来たんですか？ 留守電聞いてない？ すいません はい 何も聞いてない？ ちょっと買い物とかしてたんで [ｽﾋﾟｰｶ]怖くなってきた どうしようと 思うんですが 何だか体が動かない さっきバス降りる時 間違えて ごちそうさまって言っちゃった 病院戻ろうか 注文しちゃったし [ｽﾋﾟｰｶ]やだ どうしようと思うんですが どうにも動かない あのおじさん 絶対怖いですよ おそば打つ棒で殴られますよ 食べましょうよ [ｽﾋﾟｰｶ]来る来る やだ どうしようと思ってると [ｽﾋﾟｰｶ]血のように赤くぬれた唇から ベロンと… すずめちゃん あのね あッ 怖そう あのね わーッ 怖い！ ちょっと止めてもらおうか 面白いじゃないですか (音声が大きくなる) すいません これ ちょっと止めてもらえますか あッ 切れた 巻さん 怖いの苦手なんですか？ お化け屋敷とか 入れない系ですか？ すずめちゃん 私もあんまりな感じなんですけど すずめちゃんのお父さん 今度 お化け屋敷行きましょうよ お父さん さっき亡くなられました 軽井沢って お化け屋敷なさそうですよね あったかな？ すずめちゃん やっぱり すぐ病院へ… 食べてからでッ あッ ごめんなさい あッ あッ ボーダーですよ ボーダーです ホントだ 何か聞きましたか？ 昔のこととか へえ はい 昔 父が すごくお世話に なってた人がいたんですけど はい お金貸してもらったり たっくさん ご飯もしょっちゅう ごちそうになってた人で その人が ある時 大ケガで入院したんです なのに 父は お見舞い行かないで ウチでテレビ見てたんです 何で行かないの？ って聞いたら 病院で風邪とか うつされたくないからって ひどくないですか？ あと 建築の仕事してたんですけど 30階建てのビル造って 25階までできたところで 父が何か 基礎？ の 大事なところを 手抜きしてたの分かっちゃって はじめから やり直しになったんです それで 潰れた会社とかあったのに 父は その日 ラーメン屋さんで スープがぬるいって言って 作り直させたんです ひどくないですか？ あと 母が… 稲川淳二さんの話より 父のほうが ずっと怖いですね はい カツ丼二つです ああ すいません おいしそう ねえ 食べ終わったら 病院行きますね 病院… 怒られるかな？ ダメかな 家族だから 行かなきゃダメかな？ 行かなきゃ… あッ すずめちゃん 軽井沢帰ろう 病院行かなくていいよ カツ丼食べたら 軽井沢帰ろう いいよ いいよ みんなんとこに帰ろう 父親が死んだのに行かないって… いいの 知られたら カルテット辞めなきゃ いけないのかなと思って こういう人だってバレたら 嫌われちゃうかなって思って 怖くて 怖かった みんなと離れたくなかったから 私達 同じシャンプー 使ってるじゃないですか 家族じゃないけど あそこは すずめちゃんの 居場所だと思うんです 髪の毛から同じにおいして 同じお皿使って 同じコップ使って パンツだって 何だって シャツだって まとめて一緒に 洗濯機に放り込んでるじゃない そういうのでも いいじゃないですか (ラジオをつける) [ｽﾋﾟｰｶ]とうとう その訳を 聞くことができなかったんですね [ｽﾋﾟｰｶ]よく 古い宿には 妖怪が… 泣きながら ご飯食べたことある人は 生きていけます [ｽﾋﾟｰｶ]嘘でもないようですね (二人が笑う) 私にチェロを教えてくれた おじいさんがいたんです 白いヒゲが生えた おじいさん 物置で初めてチェロを見つけて 触ってたら おじいさんが来て 教えてくれました ｢この楽器はね 1700年代に｣ ｢ヴェネッツィアという所で 生まれたんだよ｣ ｢楽器はね 人の命よりも長いんだ｣ ｢君よりも年上｣ ｢私よりも 年上なんだ｣って 私 ビックリしました こんなおじいさんより年上で 遠い知らない国から来て 今 私のところにいるんだ おじいさんは 私の手に 手を添えて チェロの持ち方を 教えてくれました チェロは 私の手には大きくて 何でか懐かしくて 守られてる気がしました そっか あなたは 私より長く生きるんだ じゃあ そうだね ずっと一生 一緒にいてねって 約束しました 巻さん うん？ 私 まだ他にも 巻さんに隠してることが… あッ うん はい？ あッ これで完成ですね つけますよ どうですか これ？ もう一回考える？ 遠くから… あッ 帰ってきた！ 家森さん わッ ああ～ フフフ お帰りなさい ただいま ただいま わッ わあ マジか すずめちゃん お帰りなさい 頑張りましたね はい Wi-Fiつながりました (拍手) (♬～無伴奏チェロ組曲) ごめんなさい もう一回やり直します (♬～無伴奏チェロのための組曲) 何ですか それ？ 何でもあ～りませ～ん すずめちゃん もしかして金庫持ってます？ ドキ はい でも金庫の中は きびだんごです きびだんご (携帯着信) 先帰っててもらえます？ どうしたんですか？ ウルトラソウルです う～ もう～ うう… (半田)しゃべる気になった？ ホントに ホントに知らないんですって もう これ以上困らせないでって 言ってるよね わあ わあ わーッ わーッ わーッ (♬～ふたりの夏物語) このお姉さん どこにいんの？ もう僕 この人に愛情ないし 知ったことじゃないから やめて やめてやめてやめてやめてッ わーッ わーッ ♬～

カンナさーん！＃04

1 ホント うん はい 以上 マツコの知らない 富士登山の世界でした ありがとうございました 2000回 まずは頑張ってください 頑張ります <カワイイ> (カンナ)あの… このデザイン 気に入ってもらえたみたいで 《≪(美香)ニック難波さんって 知ってるよね？➡》 《うちのブランドとコラボするって 企画が出てて➡》 《これが目にとまったんだって》 《これって 私がﾃﾞｻﾞｲﾝしたやつ…》 《(美香)うまくいけばさ メインデザイナーに…》 《指名されるかもねー》 <この人は 私の人生の> <何かを どうにかするのだろうか？> 《(難波)やっと会えた…》 君の上司は これを 商品化しなかったのかい？ はい 自分的には 自信があったんですけど うん 僕も 同じ判断をしたと思うな なぜなら このデザインは ニック難波の望む クオリティーには達していない そうですか… だが 君に ニック難波は Somethingを 感じたんだよ Something 君にもう一度 デザイン画を描いてもらいたい 君は このニック難波に選ばれて 今 ここにいるんだ このチャンスを生かすも殺すも 君次第だ はいッ どんと来いです！ オッケー グレイト ベリグー 僕と組めば 君のデザイン画は ニューヨーク ロンドン ミラノ パリにつながる チケットになるかもしれない ただし 僕との仕事は 楽じゃない はい このチャンス 食らいつきます！ セクシー 僕はね 手描きのデザイン画が 大好きなんだ 線の一本一本から伝わる デザイナーの思い パッションを感じたいんだよ パッショーン 50枚 あさってまでに描いてきて えッ!? 50枚？ イエース 楽しみにしてるよ 僕は 次のアポがあるから アディオス 失礼します はあーッ… はーッ… えらいこっちゃ どうだった？ どうだった？ (翔子)どんな人？ ニック難波さん うーん 何だろう？ あの世代の… ファッション業界の大物特有の 何ていうの？ こう… 芸術家っぽいっていうか ｱｰﾃｨｽﾃｨｯｸな感じですか？ そうそう そんでもって うーん 何ていうの？ こう 気難しい職人さん みたいな ストイックな感じもあるのね？ そうそう まあ ｲｹﾒﾝではあったんですけど ちなみに ﾆｯｸさん バツイチ 独身らしいよ～ 何すか？ その情報？ 仕事のチャンスもゲットして ニックさんもゲットしちゃえば？ ないない！ 正直 苦手なタイプだもん (二人)えーッ!? 世界中を飛び回る カリスマだよ きっと お金も持ってますよ 応援するよ～ いいです で 仕事の方は どうだったの？ はい マーカー 買い足してきました はｯ？ 手描きのﾃﾞｻﾞｲﾝ画 あさってまでに 50枚 (二人)50枚!? 私には ｢Something｣が あるみたいなんです (二人)サムシング？ うんうん うんうん Something！ (礼)｢Run to something｣ う～ん… 保留！ 考えさせて (片桐)それ やる気ないとき 言うやつ 俺 金のためだけに 身をすり減らすのは嫌なんだよね 礼さん 離婚して 養う家族がいなくなってから その考え方 加速してますよね？ ちょっと ごめんなさいね (バイブレーター着信) はい もしもし？ ちっとは うちの経営も 考えてもらわないと はい えッ!? 待ってください あと３ヵ月？ えッ でも… そうですか… どうしたんです？ 何か ｢あと ３ヵ月｣って言ってましたけど 何が３ヵ月なんです？ えッ？ まさか余命が？ えッ…？ 誰の？ えッ!? 嘘… 礼さんが!? 参ったなあ… えッ！ (携帯着信) (麗音)ショーリマン パンチ！ ドドドド ドド ヒューッ➡ ショーリマン キック！ (麗音)ママー！ ショーリマンブルーとイエロー どっちが強い？ うん？ 麗音 ごめんね ママ 今 お仕事してるの ごめん 麗音 (チャイム) あッ パパ？➡ パパー！ レオ ヨイッショ 何の用？ あの… 話があるんだけど 上がっていいかな？ 今日だけ特別ね 私 ちょっと宿題があってさ 麗音のこと 見ててほしいの 話は そのあとで 分かった ヨイショーッ ショーリマン キック！ うわーッ 負けたが まだ復活 ボーン！ (楽しげな二人の声) 一人じゃないって… 助かるわあー やっと寝たよ ありがとう レオ 久しぶりにパパが おうちにいて 興奮してたみたい うん 不思議だね ついこないだまで ３人で暮らしてたのに もう ずいぶん前って感じがする それは… カンナが ちゃんと 前に進めてるからじゃない？ どうだろう？ はあーッ… あッ 懐かしい つきあい始めた頃 よく 描いて見せてくれてた あの頃は 暇だったからね 《ねえ 見て 描いたの こんな服が あったら カワイイと思わない？》 《おお…》 《将来》 《世界中で 私がデザインした 服を着た女の子達が》 《楽しそうに笑いながら 歩いてるの》 《想像するだけで ときめく～！》 《いいね》 あの頃 カンナの描いた絵を見て 何か… 俺も頑張ろうって よく思った で？ 話って何？ うん 実は… はあッ!? あと３ヵ月で この家を出ていけってこと？ うん… 家主さんも謝ってたけど 急に 帰国することになったからって こんな忙しいときに 物件探し？ 引っ越すって ばく大なお金が かかるんだけど！ どうしよう… 参ったなあ で… うちの実家で同居するってのは どう？ はあッ!? おいおい 久しぶりに何か言いだしたぞ 私達 離婚したんだけど 何で あんたの実家に？ ていうか 真理さんは？ 真理とは… 別れた えッ!? 真理に言われて 気づいたんだ やっぱり 俺… ちょッ ちょっと待って 今から 何て言おうとしてる？ も… もう一度 やり直… やり直す… いや ないない ないない！ そんなの 都合よすぎるでしょ？ 私 そんな覚悟で 離婚したんじゃないんだから でも 母さんも歓迎するって 言ってくれてるし 悪い話じゃない 麗音も うちの親が面倒見てくれるから それで 私だけ 追い出そうと思ってんでしょ？ 違う 最後まで聞いて カンナだって 同居すれば もっと仕事の時間が取れるし 家賃も かからない 時間とお金の両方が… ないッ！ あんたって ホント自分勝手だよね 時間とかお金より 私の気持ちは？ 急に復縁とか ありえないし あんな嫌味なお義母さんと 同居って 覚えてる？ 麗音の産後に 泊まりに行ったとき 《(柳子)カンナさん》 《お風呂 お先にいただきました》 《今 お風呂 入ろうと思って もうビックリしちゃった》 《そこらじゅう 水でﾋﾞｯﾁｬﾋﾞﾁｬなのよ まるで何か…》 《カバさんが お風呂に入ったみたいになってた》 《すいません》 《それにね 浴槽に》 《薄～く 脂みたいのが 浮いてるわけ まるで何かこう…》 《ラーメン屋さんの お鍋みたいになってたわよ》 私のこと カバとか とんこつ扱いした人だよ そんな人と 暮らせるわけないじゃん！ 母さんも 悪気があったわけじゃないから 悪気がないから嫌なの 大体ね 私が一番 腹立ってんのは あんたの ｢真理に言われて 気づいたんだ｣っていう言葉だよ 人に言われて？ そんなの無理だよ！ やり直せない！ 俺の言い方が悪かったよ 俺は… もういい！ この話 おしまい 帰って えッ… いや… 帰ってってば！ ちょっと待って 聞いて 聞いてよ 早く歩いてよ 帰ってってば！ 力 強えな はあ～ ダメ 今日は 全然のらない (二人)おはようございます (森川)おはようございます (青田)おはようございます レオ君 みんなで行った海が よっぽど楽しかったようですね ここんとこ毎日 その話 してくれるんですよ あッ ママに あの絵 見せてあげようか？ うん！ ママ 来て 何だ？ 何だ？ 何だ？ あれ 見てください 海で みんなで笑ってるの レオ君ち 僕 勝手に心配してたんですけど 安心しました 何かこう… 家族の新しい形って感じですよね 新しい形？ 変わらず 皆さん 仲良くて ｢ほしのすな｣の｢な｣ ｢仲良く｣ですね (森川) あなた それ 気に入ってるわねえ 《(麗音)貝殻 みんなにあげる》 《カワイイ貝殻》 《うちの実家で 同居するってのは どう？》 《麗音も うちの親が 面倒見てくれるから》 絶対 ありえない話なんだけど 麗音のことを考えたら ちょっと悩んじゃってさ (美香･翔子)う～ん… 私が我慢すれば みんなが幸せなのかな～ なんてね どうしよう… とにかく 今は 悩むより ニックさんに言われた デザイン画 50枚 仕上げるのが 先決じゃない？ うん？ ああ ごめんなさい 今の｢どうしよう｣は メニューの話 えーッ!? 心配してあげてんのに この… いつも ランチプレートでも いいんですけど 新メニューも気になりますよね そうなんだよね～ ご注文 お決まりですか？ 私 いつものランチプレートで じゃあ 私は 新メニューの ナシレマで えーッ そっち いきます？ じゃあ 私は… 翔子もチャレンジしてみなよ ナシレマ ２つ かしこまりました えーッ カンナさん 強引 悩んだときは 冒険 私は 食の冒険家だから 何でも試してみないと まあ そうですけど カンナ それだよ はい？ 冒険 ねえ 試してみたら？ 同居生活 はｯ？ ﾃﾞｻﾞｲﾝ画ができるまでのお試し期間 ｶﾝﾅには 今 仕事に集中するための 時間が必要だってことは 事実なわけでしょ？ まあ… でも それは… この仕事が うまくいけば 近い将来➡ カンナのデザインした服で 世界中の女の子達を➡ いい女にするっていう夢が➡ 現実になるかもねえ～ (翔子)カンナさん 悩んだときは 冒険ですよ (カンナ･麗音)せーの お世話になります あらまあ ご丁寧だこと (徹三)いらっしゃい あの 礼さんから お話は… ええ もちろん聞いてますよ お仕事あるんでしょ？ どうぞ どうぞ はい レオちゃんの面倒は 私達が しっかり見ますから フフフ… はい レオちゃん いらっしゃい はい どうぞ どうぞー いよいよ 冒険の第一歩 さあさあ さあさあ この部屋を使ってください ありがとうございます じゃあ お仕事 頑張ってください はい！ よーし 描くぞー この時間に 家事しないでいいって… 《ワーッ…》 《レオ 自分でリュック下ろしてね》 《ヨイショ》 《ママ 喉渇いた》 《はいはい》 《どうぞ》 《ありがとう》 《あーッ 洗濯物》 《ママー》 《うん？》 《ああ こぼしちゃった？ ちょっと ちょっと》 楽だわ～ あーッ… (麗音)ママー！ 麗音ちゃん ママ お仕事だから 見て 似合う？ 何？ この少年合唱団みたいな格好 着てきたお洋服は どうした？ だって さっきのあの服って 戦争の服でしょ？ いや カモフラですけど 家の中で戦争の服なんて物騒 ねえ ほら 似合うでしょう？ 礼の 初めてのピアノ発表会のときの服 まだ とってあったの はあ… ｶﾝﾅさんも ﾃﾞｻﾞｲﾅｰなら ちゃんと TPO考えて 着せてあげないとね さッ ばあばと一緒に 写真撮ろう (麗音)うん！ まあ 少々のことは 我慢するか ≪(徹三)はい ポーズ！ (シャッター) レオちゃん こっちおいで なあに？ ほら これ見て (麗音)誰？ パパよ！ ほら そっくり やっぱり親子なのね ねえ レオちゃん パパの昔のお洋服 着てみる？ うん！ わーッ！ アロハー！ ピース！ (麗音)待てー！ (徹三)待たない 待たない➡ 強いな うわ～ッ… (楽しげな麗音と徹三の声) 何やってんだろう？ じいじ 待てー！ 来た 来た 孫悟空 来た おーッ… うおーッ カワイイ！ あッ 猪八戒！ 猪八戒？ 悟空 猪八戒 やっつけちゃいなさい ワーッ！ やめろー やめろ やめろ やっちゃえー 誰が猪八戒ですか！ アハッ… ウフフフ… これね 礼が幼稚園のときにやった 劇の衣装 とってあったんですよ へえ～ 麗音 パパと同じポーズしてみて イヤーッ！ (三人)わーッ！ カワイイ！ パパ 写真撮って いいじゃん 持ち上げて レオちゃん いい感じ カンナさん あなた お仕事してらっしゃい そのために来たんでしょ？ ウフフフ… はい じゃ パパ 私と一緒に１枚撮って (徹三)ツーショット アハハハ… レオちゃん 次 ばあばが買った カワイイ服 着ようか？ うん 着る！ 私だけ 仲間はずれにして 麗音は あんたの 着せ替え人形じゃないっつーの はあーッ (柳子の鼻歌) (麗音)ねえ ばあば うん？ 今日のご飯 何？ 今日はね お魚～ おかさな～ うーん… うーんッ… イメージ 湧かないなあ (包丁が刻む音) (鍋が煮える音) 同居したら 夕飯も作らなくていいのか… 《ママ うんちー》 《うんち？ ちょっと おいで》 《はーい 終わったら 呼んでね》 《ほう…》 それも アリか… カンナさん ちょっといいかしら？ はい ねえ 今 レオちゃんから 聞いたんだけど あなた 毎日 お味噌汁 作ってないの？ はい 麗音 まだ小さいし 簡単なスープは作ってますけど ダーメ ダメ！ あのね お味噌汁っていうのは 家庭の味の代表なんだから 我が家のお味噌汁の味を覚えて レオちゃんに作ってあげて 毎日 はあ… じゃ 台所 来て ちょっと待ってください 今からですか？ 当たり前じゃない！ いつ やるの？ 今でしょ？ ハッ… あの… 今から まだ私 仕事が… 来て はい えッ？ まずは おだし作りからね いりこだし いりこ… だし？ えッ ビックリ！ えッ？ お味噌汁 作ったことないの？ もしかして いや ありますけど いつも だしが入った味噌 使ってますから あのね お味噌汁は その家庭を表すの 手抜きしたら ダメ 手抜きしてません まず この中から よい煮干しだけを選んで 頭と おなかのわたを 取ってちょうだい 面倒くせえ… 面倒くさいのよ 面倒くさいことが とっても大事なの すいません もういいわ！ カンナさんに教えてたら ご飯 真夜中になっちゃうから どうぞ お仕事に戻って ねッ はい ご飯できたわよ (一同)いただきまーす うーんッ うまい うちの家の味噌汁の レパートリーって少ないからさ カンナと結婚して 色んなパターンがあって驚いたよ へえ～ あら どんな？ 一番 驚いたのは 刺身のつまが入ってたとき つま？ お刺身のパックを買うと つまって余りますよね それで試しに入れてみたんです へえ～ お味噌汁っていうのは 作る人を表すっていうから カンナさんらしい 行き当たりばったりな お味噌汁ね (麗音)レオ おかさな食べたーい あッ はーい じゃあ ばあばが やってあげる ねッ すいません ううん そうやって いつも母さんが やっちゃうから 俺が大人になっても 魚 食べるの 下手なんだよ しょうがないじゃない このうちでは 私が 一番上手なんだから さあ あんた達も出して (二人)お願いしまーす カンナさんは自分で できるわよね はい あ～ら それじゃあ お魚が かわいそう 我が家は 晩ご飯は お魚が中心だから お肉がよかったら お外で食べてきて ママ 大丈夫？ うん あの… 洗いものは私が あッ いいの そういう面倒くさい ことは 全部 私がやるから カンナさんは 安心して お仕事して はい これ カンナさんのね はーい スイカ 切ったわよ あーッ きたきたきた わあ スイカ！ いただきまーす スイカだあ おいしーい！ いただきまーす ばあばも食べよう うんッ 甘い うーんッ ママ 甘いよ 甘いね よかった さすがだ ウフフ… 大丈夫？ 種 取れる？ (麗音)おいしいね 塩！ (徹三)塩 忘れた 取ってくるよ 楽だけど 全然 楽しくない (楽しげな家族の声) はあ～ カンナ 大丈夫？ 大丈夫って 何が？ 仕事 はかどってる？ うん おかげで バンバンはかどってる そっか お義母さんに 楽させてもらって感謝してるって 言っといて うん 今夜… 麗音 俺の部屋で寝るって そう？ よろしく うん あと10枚… この調子じゃ終わらないよ はあッ… ガッカリだよ どれもこれも まったくダメだ 線が まったく踊ってない 線を見れば分かるよ 君が のってないってことが 特に この… 最後の10枚 どこからか引用した画像に アレンジしただけじゃないか 君は いつも こうやって その場しのぎの仕事を してるのかい？ 君は 楽をして 自分自身をごまかした すいません もういいよ やっぱり 主婦と かけもちの ママさんデザイナーには 無理か… もう一日だけチャンスをください たった一日で 何が変わる？ それは分からないけど このままじゃ 終われません オッケー ワンモア チャンス 明日 同じ時間だ はあ～ッ… ママ！ どうしたの？ えッ？ あッ… さあ！ 今日も ばあばとじいじが 麗音が来るのを 楽しみに待ってるよー！ レオ ばあばとじいじのうち 好き うん でもね レオのおうちも大好き ママも レオ ママのご飯 大好き 嬉しい！ あとね ママの笑顔も大好き えーッ？ ホント？ あとね ママのおしりも大好き おーッ プリプリー！ プリプリー！ (二人)プリプリー (麗音)ママのおならが大好き ブリブリー お帰り～ あッ じいじ 楽しそうな声が聞こえてたよ 今日も お世話になります ねえ じいじ ママのどこが好き？ えッ!? ちょっと レオ… すいません あッ いや じいじ ママのどこが好き？ あッ… じいじはね… ママの いつも 自分らしくいるところが好きだよ カンナさんは 見てて気持ちがいい どこにいても どんな相手でも あなたらしくいる姿が じいじは 好きです お義父さん… 古い言い方ですが 女房をギャフンと 言わせることができるのは カンナさんだけです ｢ギャフンと｣ですか？ ええ 陰ながら 楽しみにしてます クッ… ハッハッハ… ハッハッハ… ハッ… ハハッ… ばあばに内緒だぞ よし ｢ただいまー！｣って (麗音)ただいまー！ 《(徹三)どこにいても どんな相手でも》 《あなたらしくいる姿が》 《じいじは 好きです》 《海で みんなで笑ってるの》 《ママの笑顔も大好き》 《イヤーッ！》 はッ！ お義母さん どうしたの？ お義母さんのお味噌汁の作り方 教えてください いや でも どうぞ お仕事… 教えてください！ いいけど この中から いい煮干しだけを選んで 全部 同じに見えます よーく見て いい煮干しは キレイな銀色をしているの へえ～ッ… これは？ いい煮干し これは？ ダメな煮干し これは？ いい… 全部 私が選んでる バレました？ 頭と おなかの… わたをこうやって 取り出すの ひえーッ こんな面倒くさいこと 毎日やってんすか？ いい？ 面倒くさいことが が！ 大事なんですよね？ 了解です (歌い始める) 違う そうじゃないのよ やり方がね… 今 やってますから あーッ (歌うカンナ) 狭い！ カンナさんがキッチンにいると キッチンが狭い！ (歌い続ける) おいしい でしょう？ 何でも丁寧にやると おいしいのよ あとは私がやります お義母さんは 食卓で待っててください えッ でも… 今日は 私がやります やらせてください じゃあ お願いするわ はーい お待たせしましたー お味噌汁 お義母さんの味を教わったので ぜひ ご賞味あれ～ えッ カンナが 母さんの？ ええ… よしッ じゃあ いただきましょうか (一同)いただきまーす えッ!? やだ… 何これ？ トマトです 私 食の冒険家なんで 一応 このトマトが私で このプチトマトが レオだよ～ レオ プチトマト？ うん！ やだ… でも… おだしが 台なしじゃない まあまあ そんなこと言わずに 試してみてくださいよ ホント？ 何か 私 見た目が もう… うん？ おッ これはこれで アリだな ねえ？ ホント？ やだ… 結構イケるわね やった～ もう一品 持ってきますね (麗音)ばあば おいしいね あッ… そうね 意外とね こういうのも たまにはいいよね 意外にね はーい 私 どうしても お肉も食べたくなっちゃって こちらも どうぞ 私は お魚の方が… 何かテレビで見たんですけど 年とっても お肉は ちゃんと食べないと いけないらしいです 長生きできないらしいですよ 二人には長生きしてほしい 久しぶりだなあ しょうが焼きなんて うん… うまい！ うん うまい！ うまい！ あッ… あんた達が そんなに お肉 好きだったら 私 もっと… 上手に作れますよ うまい よかった ≪(青田)ごめんくださーい あッ 私です 皆さんは食べててください こんばんは 二人とも急に呼び出して ごめんね いつも助けてもらってるんで 青田は いつでも駆けつけます ありがとう で いいのあった？ とりあえず かき集めてきました 保育園から取ってきました ありがとう じゃ お手伝い よろしく 大丈夫そうですか？ うん 私も楽しませてもらわないとね ワーッ！ はいはいはい どうぞ どうぞ 翔子 みんな ピッタリ よかったー 青ちゃん先生 みんな おそろいだよ いいなあ これぞ 家族の新しい形ですね 私 ホントに似合ってるの？ 素敵ですよー さあさあ 並んで 並んで じゃあ いきますよ 両手を広げて コーラス！ コーラス！ はい オッケー じゃあ お次のお着替え お願いしまーす でも あなた お仕事は？ 楽しみのあとに やりますから ほら 行ってください イヤーッ！ ヤアッ！ ヤアッ！ (徹三)ヒヒーン ブルルッ… ブルルルッ… ワハハハ… 皆さん お似合いです 俺 カッパか… あなたはピッタリだけど 私 これホントに似合ってる？ とってもお似合いですよー (翔子)じゃ 皆さん こっちに集まってください ガンダーラ (シャッター) 私 これは 絶対 似合わないから そんなことないですよ ねえ？ 翔子 とってもオシャレです ばあば カッコイイ そう？ じゃ 撮りましょうか じゃ 思い切りカッコつけて せーの ランボー！ (三人)バーン！ バーン！ 今日は ありがとね いえいえ いつでも呼んでください 今から デザイン描くんですか？ うん いいのが描けそう 二人のおかげで いいヒントも もらえたし 何より 私自身が楽しんでないと って気づいたから カンナさんらしいですね じゃあ 私 戻るわ 頑張ってください 応援してます オッス ありがとう あッ… 駅まで送りましょうか？ えッ？ あッ… はい お願いします 荷物 持ちましょうか？ あッ 大丈夫です なあに？ 話って ２日間 お世話になって ハッキリ分かりました 私 この家に同居するの やめときます ごめんね 礼 やっぱ 無理だわ 私 この家に同居するの やめときます ごめんね 礼 やっぱ 無理だわ お義母さんは あのお味噌汁 おいしかったですか？ おいしかったわよ 毎日は いいけど そうなんですよ 無理やり 私が この家という器の中で暮らすのは トマトの味噌汁を 毎日食べるようなもんなんです あれは たま～に冒険するのが いいんであって やっぱりトマトと味噌汁は 別々に 食べた方が おいしいですよね それは… そうねえ 確かに 仕事のこととか お金のことを考えたら ここで暮らす方が 楽だと思うんです でも 私 楽するより 少々 つらくても 楽しい方を… 選択したいんです お義母さん 言ってましたよね 面倒くさいことが大事だって 私も そう思います だから 面倒くさいことも 全部 引き受けて 麗音と二人で 楽しくやっていきますから 私は べつに かまわないけど… ありがとうございます じゃ 帰って仕事します (麗音) ママ～ じいじに写真もらった よかったねえ 入っていい？ うん いいよ レオ ばあばとじいじに ありがとうって言っておいで うん！ お義母さん 怒ってなかった？ うん 大丈夫 じゃあ そういうことで あと３ヵ月で 物件を探して 引っ越しするわ うん 何とかやってみる ゲームは 苦しくなってからが 面白いからね カンナは強いな もっと強くならなきゃだよ じゃ 今 イメージが降りてきてるから 急いで帰って 描くわ 描けたら 見せてよ えッ？ 今のカンナの絵 見てみたいんだ 分かった (二人)♬～せんろは つづくよ どこまでも ポッポー！ ♬～のをこえ ≪(徹三) えッ!? じゃ お前 わざと…？ カンナさん 鈍いから あれぐらい厳しくしないと 大事なことに気づかないでしょ？ 私が甘やかしたら 楽な方 選んじゃうと思って あの人は 自分んちで 自分らしくいるのが 一番いいに決まってるじゃない レオちゃんにとっても そうよ でも… いりこだしなんか 久しぶりに使っちゃった 最近は 私も だし入りのお味噌 使ってますから ギャフン やれやれ せいせいした フフッ… カンナさんと毎日やりあったら もう… 疲れちゃうわ ｢たまに｣で いいの ｢たまに｣で うんッ… パパ ちょっとお願い はい ママ… ちょッ… ちょっと痛い ああ ごめん 麗音 お風呂入るよー ふ～ッ… 麗音の悟空 かわいかったね ママのブタちゃんも かわいかった ブーブー ブーブー ワッハハハハ… ワーッ！ ちょっと パジャマ 着替えよう よし… ヨイショ はい 手 入れて エクセレント！ ねえ 昨日 一体 何があったの？ セニョリータ トマトの味噌汁を作って 猪八戒になりました 猪八戒… うんッ ラブリー 線が踊ってるんだよ これだよ ニック難波が求めていたのは これなんだよ ねえ コンセプトは？ えッ？ だから このﾃﾞｻﾞｲﾝの ﾆｯｸ難波とのｺﾗﾎﾞﾚｰｼｮﾝの コンセプトだ テーマだ えっと… ｢楽より 楽しい｣です おお… セクシー！ 新しいよ 面白いよ 楽より… 楽しい 美しいより 楽しい 家族みんなが 楽しい うん！ やはり 僕の直感は 間違っていなかった いや… ミラノで この写真を見たとき 僕はピンときたんだ 君に 会いたくなった こんな笑顔の素敵な女性と 僕は仕事をしてみたくなったんだ それで 私を？ 乾杯しよう 僕に ランチをごちそうさせてくれ 片桐 俺… こないだの仕事 受けるわ えッ!? ホントですか？ かみさん… あッ いや… 元 奥さんに いいとこ見せないとな 片桐 俺 馬車馬になるぞー (笑う二人) 《こんな服があったら カワイイと思わない？》 《将来 世界中で 私がﾃﾞｻﾞｲﾝした服を 着た女の子達が》 《楽しそうに 笑いながら歩いてるの》 俺も頑張ろう (難波)ホテル住まいだとね 外食が多くなるので 自炊をする トルコのサバサンド ボナペティ いただきます ワインは？ あッ まだ仕事中なんで オッケー じゃあ １杯だけ おいしーい！ うんッ… 君を… 好きになってしまいそうだ うッ… よしッ

相棒１１th＃08

1 ♪♪～ （実況）「将棋電脳戦 田辺龍馬とＭＥＴｉＳⅢの戦いは→ いよいよ大詰めを迎えています」 「勝つのは人間の頭脳なのか？ それとも人工知能なのか！？」 （棋譜読み上げ係）「後手　５三同金」 ♪♪～ （棋譜読み上げ係）「先手　４一飛成」 （実況）「おーっと！ ここで龍馬　飛成だ～！」 （実況）「ついに龍馬 念願の飛車成りですね」 （解説）「角を捨てて 攻め込んできましたね」 （実況）「はい」 （曾根崎邦夫）龍馬　のってきたな。 （須藤省吾）大丈夫ですかね？ （安西由典）大丈夫だ。 ＭＥＴｉＳⅢを信じよう。 （須藤）はい…。 （解説）「ここでＭＥＴｉＳⅢが 何を指してくるか…」 ♪♪～ （篠田彩子）２四馬。 ♪♪～ （棋譜読み上げ係）「後手　２四馬」 （実況）「ＭＥＴｉＳⅢは ２四馬できました！」 （米沢　守）どう？　どうっすか？ （角田六郎） おもしろくなってきたとこだ。 お前　仕事は？ 速攻で切り上げてきました。 どうも。 （杉下右京）どうも。 （解説）「簡単には 崩れない打ち方ですね」 ♪♪～ （棋譜読み上げ係）「後手　３三馬」 （実況）「ＭＥＴｉＳⅢ　３三馬」 （解説）「徹底して守りは堅いです」 ♪♪～ 「先手　４五桂」 さすが龍馬だ。　時田くん→ どうやら君の出る幕はないねぇ。 （時田正人）龍馬　負けますよ。 うん？ （実況）「龍馬　同銀。 取り合いですね」 ７五歩。 （棋譜読み上げ係）「後手　７五歩」 （実況）「７五歩できました」 （解説）「これは龍馬は 苦しいかもしれません」 （角田）おいおい　手が止まったよ？ これ　龍馬やばいんじゃないの？ 龍馬の表情から察するに→ かなり不利な状況に 追い込まれてるものと思われます。 （甲斐　享）人間が コンピューターごときに→ 負けるわけないじゃないですか。 どうも。 どうも。 チェスの世界では随分前に 世界チャンピオンが→ コンピューターに 敗れていますからねぇ。 あんた　なんか嬉しそうだね。 どっちの味方よ？ 私はあくまでも人間を応援します。 ただでなくても 最近コンピューターに→ こき使われてるような気がして しょうがないです。 龍馬！　頑張れ！ ８九角。 （棋譜読み上げ係）「後手　８九角」 （ため息） （田辺）負けました。 （須藤）やったー！ 先生！　おめでとうございます！ よーっし！ （実況）「ＭＥＴｉＳⅢが 田辺龍馬を下しました！」 人間負けちゃった。 科学の進歩も→ ついに　ここまできましたか。 やっぱりそっち側か。 まだ人類が負けた というわけではありません。 将棋の世界には　時田名人という 天才がいますから。 （実況）「時田名人 心境やいかに！？」 （インタビュアー）「安西教授。 次はいよいよ→ 時田名人との戦いですね」 「名人と対決する日は→ コンピューターが人類を凌駕する 歴史的な日になるでしょう」 「自信満々ですね。　曾根崎会長 もちろん受けて立ちますよね？」 （曾根崎）「まあ　ここまできたら やらざるを得ないでしょう」 （ノック） おはようございます。 先生。　…うん？ （須藤）うわぁっ！！ ああっ…　ちょっと先生…。 安西先生！　先生！！ （彩子）どうしたの！？ （須藤）ああっ…　ああ　ああ… 救急車！　救急車！ ああ…　うん！ （須藤）先生…。 （パトカーのサイレン） （カメラのシャッター音） ♪♪～ 死亡したのは安西由典さん ４６歳です。 ここの大学の教授です。 死因は脳挫傷　死亡推定時刻は→ 昨日の午後２時から５時 といったとこでしょうか。 後頭部に傷があり ここに血痕が付着してました。 （芹沢慶二）あれ？ 安西教授って確か…。 ええ　先週 将棋電脳戦で龍馬に勝った→ 人工知能の開発者です。 ね！ ちょっと失礼。 どうもありがとう。 （伊丹憲一）事件性はなさそうだな。 （三浦信輔）その椅子を この机の上にのせたんだよ。 って事は　我々の出番じゃ なかったって事ですね。 残念ですねぇ。 ああ　もう　また来た…。 困りますね警部殿。 すいません 言っても聞かないもんで。 安西教授の人工知能の研究には→ 僕も少しばかり 興味があったものですからねぇ。 先日の龍馬戦も 実に見事な戦いでした。 もう　その話はいいですよ 知らないし。 蛍光灯が切れたままですねぇ。 という事は この粉々に砕け散ったのは→ 新しい蛍光灯 という事になりますねぇ。 これですね。 ふん…　うん？　それが何か？ つまり安西教授は このテーブルの上に→ この椅子をのせ→ 蛍光灯を取り替えるために 上にのり→ バランスを崩し 蛍光灯を持ったままひっくり返り→ ここに頭を打ち付けて倒れ込んだ。 …と　まあ皆さん そうお考えでしょうね。 ええ。 ですが→ だとすると いささか妙ではありませんか？ 妙とは？ 蛍光灯を取り替えるには→ まず　古い蛍光灯を 取り外さなければなりませんねぇ。 ええ。 それには両手が必要です。 なぜ安西教授は 新しい蛍光灯を持ったまま→ この椅子の上に のったのでしょう？ 両手が使えませんよ？ うん…　ん？ つい　うっかりとじゃないですか？ 安西教授は　プロの棋士に 勝つほどのプログラムを→ 作り上げた人物ですからねぇ。 …何か？ うっかりしますかねぇ。 いえいえいえ…。　ちょっと失礼。 あっ　これを。 （一同）えっ？ あっ　テーブルの脚の下にも！ （芹沢）おっ　こっちも！ という事は？　カイトくん。 蛍光灯が割られたあとに テーブルが動かされた…。 つまり　現場が偽装された可能性が 出てきましたね。 って事は…　殺しって事か！？ 普段　ここに 自由に出入り出来る人物は？ ああ…。 大学の関係者やＡＩ学会の人→ それから将棋連盟の人たちが 時々来ます。 でも昨日は　特に来客の予定は ありませんでした。 あれ？ これ　なんだろう？ ああ…　なんかの粉のようですな。 あとで調べておきましょう。 はい。 ちょっとよろしいですか？ あ…　はい。　なんでしょうか…。 こちらの将棋盤ですが 指しかけのようですねぇ。 警部殿　ちょっと 邪魔しないで頂けますか。 すぐに済みます。　どなたが？ あ…　これは僕と安西先生が 土曜日に指していたものです。 お二人は　よく将棋を？ あの…　３人でやってるんです。 （須藤）一応　将棋ソフトを 作っているので→ 研究も兼ねてやってみようと。 あっ　いかん　こんな時間だ。 今日はここまで。 続きは　また今度。 いや…→ もう参りましたでしょ　これ…。 （安西）いいから　いいから。 土曜日は 僕と安西先生が指していて→ この僕の王手で終わりました。 つまり　この将棋盤は 土曜日のままという事ですね？ はい。 ああ　そうですか　そうですか。 （カメラのシャッター音） ここに　へこみがありますね。 新しい傷のようですが…。 あ～…　気づかなかったなぁ。 あっ　それが何か？ いえいえ→ 細かい事が気になってしまう 僕の悪い癖です。 あの…　ずっと 気になってたんですけども→ プロ棋士に勝つソフトを 作るぐらいですから→ 皆さん 相当な腕前なんでしょうな。 おい　お前まで何聞いてんだよ！ とんでもない。　僕たち３人とも 初心者に毛が生えた程度ですから。 私たちが 将棋に強い必要はないんです。 ＭＥＴｉＳⅢは１秒間に ８０万手　読む事が出来ます。 １秒間に８０万手？ それは　すごいですね。 そんなコンピューターが相手なら 将棋界の人たちも→ 相当 ビビってたんじゃないっすか？ 曾根崎会長も まさか　ここまで強くなるなんて→ 思ってなかったでしょう。 もちろん時田名人だって 内心は　やりたくないはずです。 まずは　将棋関係者あたるか。 （三浦）どうも。 どうも。 どうも。 どうも？ ああ…。 ついてこないでくださいよ。 どうします？ 釘刺されちゃいましたけど…。 では我々は 一手先を行くとしましょうか。 ♪♪～ （三浦）曾根崎さん→ 昨日の午後２時から５時までの間 どこで何を？ その時間なら　帝都新聞主催の パーティーに出ていました。 確か写真があったな。 はい。 （三浦）このデータ お借り出来ますか？ （曾根崎）どうぞ。 ちなみに電脳戦なんですが→ 出来れば　やりたくなかったな なんて事は…？ そんな事ありませんよ。 そもそも電脳戦は　将棋連盟と→ コンピューター将棋 ソサエティーが→ 協力をして進めてきたんです。 しかし相手が強くなりすぎた。 この上　時田名人が敗れたら 将棋界は立つ瀬がなくなる。 だから私が殺したとでも？ さっき言ったはずです。 私はその時刻 パーティーに出ていたんです。 （チャイム） （伊丹）「時田さん　警視庁の者です」 「お話を伺いたいんです」 どうぞ　お入りください。 えっ？　この声…。 カイト！？ ≫（ドアの開閉音） （伊丹）お邪魔しますよ。 （芹沢）失礼します。 （三浦）どうも。 なんでいんだよ～？ ついて来るなって言われたんで こっちに…。 邪魔すんなって事だよ～。 へい。 何やってるんですか？ 頭の中で 将棋を打っているようですよ。 （ため息） この筋は負けか。　フフ…。 （三浦）名人…。 あっ…。 ここは俺に 任せてもらえませんかね？ ずっと待ってたんで。 （芹沢）いんじゃない？ はっ！？ ありがとうございます。 時田名人。　京南大学の 安西教授が亡くなりました。 事件の可能性もあるので 少しお話聞かせてもらえますか？ どうぞ。 昨日の午後２時から５時まで→ どこで何をしてましたか？ 昨日は１日　ここにいました。 それを証明出来るものは？ ありません。 昨日の午後２時から５時まで→ どこで何をしていたか 証明出来ない人って→ 東京に 何人くらいいると思います？ えっ？ それ　みんな被疑者って事かな？ はいはいはい。　見習いはここまで。 （伊丹）あとはうちが引き取るから。 ほら。 名人　あなた 龍馬を敗った人工知能と→ 対局する予定でしたよね？ ええ。 将棋界としては 絶対に負けられない。 名人としても　相当なプレッシャーが あったんじゃないですか？ フッ…。 それが怖くて殺した。 そんな事してたら 将棋界はみんな殺されて→ 誰もいなくなりますよ。 （時田の笑い声） ちょ…　ちょっと どこ行くんですか？ お茶をいれるんです。 お茶なんて結構ですから。 自分が飲むんです。 （伊丹）ちょっと待った。 はあ…。　お説ごもっとも。 しかし　ここはひとつ→ 場所を変えてお話を伺うわけには いきませんか？ どこでも　うかがいますよ。 （連盟員）時田名人は ひと言で言えば将棋界の宝です。 ５年前に将棋界の７大タイトルを 制覇しました。 不可思議流というのは　名人らしい ニックネームですねぇ。 ああ…　掴みどころのない棋風で→ 相手は　いつの間にか 負かされてしまうようです。 こちらが奨励会時代の 昇段表ですよね。 ええ。　１０年かかるのが普通 と言われる奨励会を→ わずか２年半で 駆け抜けてしまったんですから。 え～　本当にすごいんだ。 あっ　年も俺と変わんない…。 おや　こちらは女性の方ですねぇ。 ええ　坂口彩子。 当時は初めての女性棋士誕生かと 随分期待された子でした。 女性の棋士っていないんですか？ 女性には女流棋士という 別の制度があるんです。 この坂口彩子さんという方 時田名人とほぼ同時に→ 昇段しています。 これはすごい事ですよ。 坂口くんは　女流枠ではなく→ あくまで正式な棋士を 目指していました。 負けを恐れない 大胆な将棋でしたけど→ いつの間にか 消えてしまいましたね。 ああ　この子です。 どうも。 （連盟員）まだ　高校生でした。 うん。　キャリブレーションも オッケーだね。 正確にトレースしてます。 じゃあ次 ２号機も起動してあげよう。 はい。 あ…　刑事さん。 お仕事中すみませんねぇ。 ああ　いえ→ ちょうど ひと段落したところでしたから。 お見受けしたところ　こちらでは→ 将棋ソフトとはまた別の研究を なさっているようですねぇ。 ええ　人工知能の研究は 多岐にわたるんです。 安西教授は それらを統括する立場でした。 ああ　そうでしたか。 あ…。　で　今日は…？ 少しお話を伺いたいんですが…。 この事は　須藤さんも安西教授も 知りませんよね？ どうして奨励会にいた過去を 隠してたんですか？ 棋士になれなかった事は まだ１０代だった私には→ 大きな挫折でしたから。 それに私が将棋をやめて→ すぐ両親が離婚して 名字も変わったので→ そこから新しい人生を 始めたかったんです。 それで大学に入り そのまま研究員になられた。 ええ。 でも　忘れたい過去なら→ どうしてまた将棋の研究を？ それは師事していた安西先生が→ 将棋ソフトの開発を 始めたからです。 それに　私たちは→ 将棋の研究を しているつもりはありません。 あくまで人工知能の研究です。 将棋の手の数が この宇宙に存在する→ 粒子の数よりも多いって ご存じですか？ 宇宙の粒子の数より多い？ そんな中　人間はどうやって 答えに近づいていくのか…。 まだまだ謎だらけの　人間の 思考回路を研究しているんです。 人工知能は今後 色んな分野で応用されて→ 人々の生活を 劇的に変えていくはずです。 電脳戦は その基礎研究の成果を試す→ 絶好の機会なんです。 素晴らしい研究ですね。 あ…。　もうそろそろ よろしいですか？ すみません　すっかり 邪魔をしてしまいました。 いえ…。　それでは。 あ…　最後にひとつだけ よろしいですか？ え？ あなたは今→ 電脳戦は絶好の機会なんですと 現在形でおっしゃいました。 ひょっとして電脳戦は予定通り お続けになるつもりでしょうか？ 出来ればやりたいと思っています。 亡くなった安西先生のためにも→ 人工知能の研究を 止めたくないんです。 なるほど。 失礼します。 名人。 あなた　一昨日の午後２時過ぎ→ 外出してるじゃないですか。 （芹沢）マンションの駐車場の 防犯カメラに→ ちゃんと写ってるんですよ！ ああ…　間違えました。 一昨日は気晴らしに ドライブに出かけたんだった。 ドライブって… そんな言い訳が通用すると…。 警部殿。 今　大事な…。 １分だけ。 １分でいいんすか？ １分だけですよ。 どうもありがとう。 坂口彩子さん　ご存じですね？ 坂口…？　さあ　誰でしたか…。 あれ？　記憶にありませんか？ おかしいっすね。 あなたが念願の 棋士への昇格を決めた→ 一局を指した相手。 忘れるはずありませんよね？ ああ　そうでした。 彼女がどうかしましたか？ 坂口彩子さん 今は篠田彩子さんといいますが→ 亡くなった安西教授のもとで 人工知能の研究に携わっています。 つまり電脳戦で あなたと戦うはずでした。 彼女とあなた　なんか因縁でも？ １分経ちましたよ。 えっ？ 本当だよ。 棋士は１分将棋に慣れてるんで→ 時計がなくても 正確に１分がわかるんです。 あ…　ちょっと待ってください…。 だ　そうですよ。 さ　出てってください。 行きましょう。 お邪魔しました。 （ドアの閉まる音） 絶対に知っててとぼけてましたよ 坂口彩子の事。 ええ　１２年前の対局は→ 単なる対局では なかったのかもしれませんねぇ。 （中園照生）はい　あの 少々お待ちください。 （中村完爾）誰だ？ 将棋連盟の曾根崎会長です。 名人を 確たる理由もなく拘束するとは→ 言語道断などと…。 いかが致しましょうか？ 馬鹿者！ 圧力に屈する警察ではない。 いや…　しかし曾根崎会長は 教育委員も務めており→ 政界にも顔のきく 人物だったかと…。 あっ　警視総監とも ゴルフ仲間だったはず…。 帰せ。 は？ 確たる証拠もないのに 善良な市民を　これ以上→ 拘束するわけにはいかん！ すぐに帰せ。 あ…　は　はい！ （福田）そうじゃなくって…　ほら。 あ～！ 「底歩」って教えたでしょ？ そっか…。 （福田）１２年前の対局？ 奨励会で坂口彩子さんの 同期でしたよね？ 何か知ってるんじゃないか と思いまして。 彩子は女性棋士第１号に なっていたはずです。 あの時　あんな事がなければ…。 というと？ 彩子が棋士になれなかったのは 時田さんが仕掛けた→ 卑劣な盤外戦術のせい だったんです。 よろしければ お話を聞かせて頂けますか？ （彩子）オーケー。 じゃあ　それで書き換えといて。 はい　わかりました。 ありがとう。 失礼します。 刑事さん…。 今日は　なんでしょう？ 安西先生が あんな事になってしまって→ 今　色々と忙しいんです。 電脳戦の準備もありますし。 どうやら 電脳戦は開催されるようですねぇ。 ええ。　将棋連盟からも 了承を得られましたから。 これで　研究の成果の全てを お見せする事が出来ます。 実は　あなたがそれほどまでに 時田名人との対決に→ こだわっている理由が わかったんです。 …え？ １２年前　当時　１７歳だったあなたは→ 将棋会館の近くの喫茶店で アルバイトをしていた→ 山口という男と 交際してましたよね。 ところが 時田さんとの対局の直前→ その彼から 突然　別れを切り出された。 それに動揺してか　あなたは 時田名人との対局に負け→ そのまま　ずるずると 将棋界を去る事になった。 そんな話　どこで…。 そして　今から３年前→ その山口という男とあなたは 偶然に再会した。 （山口）あの時は　悪かったな。 俺は 別れたくなかったんだけどさ…。 え…？ じゃあ　なんで？ マスターに別れろって 言われたから　仕方なくさ…。 あっ　でも→ マスターも将棋界のホープに 頼まれたんじゃ→ 断れなかったんだよ。 どういう事！？ 時田だよ。 今　名人になってる時田。 あいつがマスターに頼んだんだ。 俺と君を別れさせてくれって。 今度の対決は　あなたにとって→ １２年前の リベンジなんじゃないんですか？ そんな昔の話をするなんて…。 もしかして…　私が安西先生を 殺したとでも思ってるんですか？ ハッ…　安西先生と私は この３年間→ 名人を倒すという 同じ思いでやってきたんです。 なのに…　私が　どうして先生を 殺さなければいけないんですか？ これから　電脳戦の準備で 人と会わなければならないので→ 失礼します。 最後にひとつだけ よろしいですか？ また　それですか…。 なんでしょう？ こちら。 ここに置かれている これなんですが　なんでしょう？ それは　安西先生が 大学で使っていた備品です。 別のルームで使うので 仕分けしてあるんだと思います。 ああ…　なるほど。 では　参りましょうか。 はい。 失礼します。 失礼します。 杉下さん　ダメですよ。 ある　ある　ある　ある　ある　ある→ ない　ない　ない。 ある　ある　ある。 ない　ない　ない。 ない　ない。 ない。 何がですか？ ない　ない。 え？ あるのとないのがありますね。 んー　何があって　ないんですか？ シールですよ。 シール？ シール。 もしかすると… 動機がわかるかもしれませんねぇ。 え？ （芹沢）例のソファーについていた オレンジ色の粉→ カティーナっていう ユリの花粉だそうです。 （三浦）ユリ…？ って事は　あいつか！？ （伊丹）クソッ…　行くぞ！ （伊丹）現場の ソファーについていた　この粉→ カティーナという ユリの花粉だそうです。 （伊丹）パーティー会場にも ありましたよね？　このユリ。 確かに　あの日 安西教授に会いに大学へ行った。 それは認めます！ しかし　私は殺してなどいない。 だったら　なぜ　最初から そう言わなかったんです？ やましい事が あるんじゃないですか？ 伊丹さん。 （伊丹）警部殿…。 少しよろしいですか？ 少しって…。 ちょっとだけ　お時間拝借。 また長くなるんじゃないですか。 失礼します。 曾根崎会長→ 大学へはお金の受け渡しに行った。 違いますか？ か…　金？ ええ。 なんの話ですか？ 安西教授は 人工知能の研究にかかる→ 研究費について　とても ご苦労されていたようですねぇ。 京南大学の 人工知能研究ルームでは→ 研究費で 購入したものについては→ 全て　このような備品シールが 貼られてありました。 ところが このシールの貼られていない→ パソコンやその他の機材が かなりたくさん存在していました。 備品ではないという事は→ つまり　個人で購入したという事に なりますねぇ。 調べさせて頂きました。 想像どおり　安西教授の貯金は→ すでに底をついていました。 まさに　私財を投げ打って 研究を続けていたわけですねぇ。 一方　将棋界は　この電脳戦は→ 絶対に 負ける事の出来ない勝負です。 この一見すると　相対する 両者の利害を一致させる方法が→ １つだけあるんですよ。 裏取引です。 裏取引？ ええ。 曾根崎会長 安西教授は　あなたに→ 人工知能研究の研究資金を→ 提供するように 迫っていたのではありませんか？ 電脳戦で わざと負ける事を条件に。 わたくしは コンピューター将棋と将棋界は→ 共存共栄出来ると信じてた。 （曾根崎）２０００万！？ （安西）間違いなく名人も 同じ結果になる。 フッ…　そうなったら 将棋界も困るでしょ？ 悪い話ではないと思いますが。 次の日曜日は 研究室に私しかいません。 お待ちしていますよ。 （曾根崎の声）仕方ないと思った。 私は金を用意し パーティーを抜け出した。 フッ… 来て頂けると信じていました。 研究員と 時々　指してるんです。 こんな将棋しか指せない連中に…。 （安西）え？ なるほど。　逆王手。 聞かなかった事にしましょう。 あの話は　なしという事です。 それでいいんですか？ どうあがいても　名人は ＭＥＴｉＳⅢには勝てませんよ。 そんな事になれば 一番困るのは　あなたじゃ…。 失礼するよ。 電脳戦当日 名人が投了する直前まで→ 取引は有効です。 いつでも合図をください。 その時点で　ＭＥＴｉＳⅢに 負ける手を指させます。 それだけです。 私は安西を殺してはいない。 そんな言い訳が通用するとでも 思ってんのかよ！？ 曾根崎会長 今　駒を１つ動かしたと→ おっしゃいましたねぇ。 そうですが？ ひとつ　見て頂きたいものが あるのですが。 （実況）「将棋電脳戦 最終局がいよいよ始まりました」 「果たして　人工知能が 人間の頭脳を超えるのか？」 「それとも　名人は 踏みとどまるのでしょうか？」 （棋譜読み上げ係）「後手　８四歩」 （棋譜読み上げ係）「先手　７六歩」 ８五歩。 ♪♪～ おいおい やばいみたいじゃないの？　名人。 私は信じてます。 名人は負けません。 ６一歩。 （棋譜読み上げ係）「後手　６一歩」 （棋譜読み上げ係）「先手　５三歩」 ７八銀成。 「後手　７八銀成」 （実況）「ＭＥＴｉＳⅢ　７八銀成」 （解説）「金を取りましたか」 （実況）「時田名人　熟考の構え」 とりあえず　そのままにしておけ。 ♪♪～ （棋譜読み上げ係）「先手　５二歩成」 ５七角成。 ♪♪～ 同　金。 （棋譜読み上げ係）「後手　同金」 （実況）「時田名人　ＭＥＴｉＳⅢ お互い一歩も引きません」 「熱い攻防になってきましたね」 （解説）「そうですね。 どちらに流れが向くか→ 予断を許さない状況です」 （棋譜読み上げ係）「後手　２四玉」 （棋譜読み上げ係）「先手　２五金」 （実況）「名人　２五金」 （実況）「ＭＥＴｉＳⅢ　どう返す？」 負けました。 （実況）「世紀の対局に ついに決着がつきました！」 「見事　名人がコンピューターの挑戦を 退けました」 （解説）「さすがは時田名人 見事な差し回しでしたね」 あなたを信じてました！ 時田名人！　ハーハハッ！ やったー！　フフ～ッ！ 喜びすぎだろう…。 （米沢）イエーイ！ （拍手） （ノック） 残念でしたねぇ。 この３年間 あなたがこの対局のために→ どれほどの犠牲を払ってきたのか 察するに余りあります。 しかも　払った犠牲は それだけじゃありませんでした。 この対局のために　あなたは→ 安西教授まで 殺してしまったのですから。 何か証拠でも？ 将棋盤です。 将棋盤？ 犯行現場にあった あの差しかけの将棋盤には→ まだ新しい傷がついていました。 しかし　須藤さんは 傷の事は覚えがなかった。 という事は あの傷は　犯行現場で→ なんらかの理由で ついた事になります。 あくまで 事故に見せかけたかった犯人は→ 慌てて駒を 全て元の位置に戻した。 そんな事が出来るのって→ 一度見た盤面を記憶し 再現出来る人物だけです。 つまり　棋士か　あるいは それに近い能力を持つ人物…。 私なら　当てはまりますね。 ええ。 杉下さん→ ひとつお聞きしても よろしいですか？ どうぞ。 どうして　盤の傷が 犯行時に出来たものだと→ 言い切れるんですか？ 事件の直前　曾根崎会長が あの部屋を訪れていました。 その時…。 こんな将棋しか指せない連中に…。 駒を１つ動かしたんです。 この盤面を 曾根崎会長に見て頂きました。 あなたは　それを知らずに→ 土曜日の状態に 駒を全て戻してしまったんですよ。 なおかつ 駒を１つ動かした時→ 盤に傷などはなかったと 曾根崎会長はおっしゃってました。 あなたの質問のお答えは これでよろしいですか？ ええ。 十分です。 時田が許せなかったんです。 自分が棋士になるために 汚い盤外戦術を仕掛け→ 私を陥れた　あの男が…。 今度こそ負けません。 私はあなたとは違う。 正々堂々戦って あなたに勝ちます！ （彩子の声） もうすぐ時田を私の目の前に→ ひざまずかせる事が出来る。 そう確信していた。 なのに…。 （安西）その時点で　ＭＥＴｉＳⅢに 負ける手を指させます。 わざと負けるつもりなんですか？ 仕方がないんだよ。 研究費が足りないんだ。 このままでは　人工知能の研究が 立ち行かなくなる。 そんな事させません！ もしどうしても するというのなら→ 全てを表沙汰にします。 失礼します。 （安西）待ちなさい！ なぜ　わからない？ 我々の最終目的は 将棋に勝つ事ではないだろう。 人工知能の研究を 成功させる事だろう！ そのためには多額の資金がいる。 この取引は そのために必要なんだ。 これが両者にとって 最善の道なんだよ！ 私は　この対局のために 全てをかけてきたんです！ （安西）いい加減にしろ！ 君には　もう この研究から外れてもらう！ 今すぐ出て行け！ 出て行け！ 嫌です！　やめません！ 嫌です！ 警備員に来てもらう。 先生　やめてください！ 離せ！ やめてください！ 離しなさい！ （彩子）やめてー！ （安西）ああーっ！ あっ…！ 先生…？ （彩子）先生？ ♪♪～ でも　結局　復讐を果たす事は 出来ませんでしたね。 あなたが全てをかけた コンピューターも→ 時田名人には勝てなかった。 それは違います。 ４８手目 あの手は私の手だったんです。 あの時　時田を前にして→ 私は　どうしても自分の手で 打ち負かしたいという思いを→ 抑えきれなくなった。 ７八銀成。 ハハッ…。 コンピューターだったら 絶対にしないバカな行為ですよね。 でも…。 後悔はしていません。 行きましょう。 最後にひとつだけ よろしいですか？ まだ何か？ こちらにお邪魔する前に→ あなたの元恋人　山口さんが アルバイトをしていた→ 喫茶店のマスターに お会いしてきました。 １２年前に何があったのか 真相がわかりました。 その人　奨励会の坂口彩子とも 付き合ってるの知ってますよね？ ああ。 別れるように 言ってもらえませんか？ そうだな　わかった。 でも　どうして君が？ これ　撮るの 大変だっただろう？ あの子が弱くなると 僕　おもしろくないんですよね。 ただし　時田さんは こう言ったそうです。 別れ話は　三段リーグの最終局→ つまり　自分との対局が 終わってからにしてほしいと。 ええ　もちろん　あなたを 動揺させないためにでしょう。 ところが　対局は接戦となり 勝負は翌日に持ち越されました。 山口さんは　それを知らずに→ あなたに別れのメールを 送ってしまったんです。 あの時　時田さんは→ あなたを 蹴落とそうとしたのではなく→ むしろ　あなたを 終生のライバルと認め→ ともに将棋界を歩んでいきたい→ そんなふうに思っていたんじゃ ありませんかねぇ。 （すすり泣き） ♪♪～ ひとつ　よろしいですか？ なんでしょう？ これは個人的な興味なのですが→ ４８手目　あれが 彼女の手だったという事を→ 名人は ご存じだったのでしょうか？ あの手を見て 懐かしい気持ちになりました。 懐かしい？ 彼女の将棋が 好きだったんですよ。 １つ間違えれば 負けるかもしれない場面でも→ 怯む事なく踏み込んでくる そんな棋風が。 ♪♪～ 将棋には　棋風というものがあり→ 指す人の癖やこだわり 信念が表れる。 棋譜を見ただけで誰が指したか→ 将棋がわかると 聞いた事があります。 （月本幸子）へぇー。 それこそ　コンピューターには ないものなんでしょうね。 そうですねぇ。 彼女の場合　相手が誰であろうと 真っ向から勝負する棋風でした。 その意味では 彼女は　自らの棋風から→ 逃れられなかったのでしょうねぇ。 選択肢は粒子の数ほどあっても→ 結局は　自分の生き方でしか 生きられない…。 そして　その生き方が　安西教授→ そして　自らをも 不幸にしてしまいました。 なんだか　残念ですね。 カイトくん　君　日本酒は？ あっ　頂きます。 どうぞ。 すいません。 どうも。

ナオミとカナコ＃10

1 (加奈子) 陽子さんが 真相に たどりついた｡ (加奈子)警察が 動きだすのも 時間の問題｡➡ 一人なら 逃げ切れる｡ (直美)どこまで 自分勝手なの？ (陽子)小田 直美と 一緒に 達郎を殺して➡ どこに やったのよ？ (直美)一緒に 逃げるよ｡➡ どうやったって 加奈子のこと 切り捨てるなんて できない｡➡ 逃げて 子供 産んで どうやって 一人で 育てるの？➡ 私も 一緒に 育てる｡ (鍋島)服部 加奈子さんですね？➡ これから 署まで 同行してください｡ (鍋島)すぐに 済みますから｡ (鍋島)どうぞ｡ (加奈子)大丈夫｡ 何も 話さない｡ (鍋島)奥さん｡ さあ｡ (鍋島)小田 直美さん！ あなたにも 後日 話を➡ 聞かしてもらうことに なりますんで｡ (鍋島)さあ｡ ♬～ (陽子)警察には マンションと ＡＴＭの➡ 防犯カメラ映像を 提出したわ｡ (陽子)そして 林 竜輝という 中国人の存在も 話した｡ 加奈子さん｡ 自白するわよ｡➡ すぐに あなたも 共犯者であると 分かる｡➡ あなたたちの犯した 罪は 必ず 暴かれる｡ 後悔しても もう 遅い｡ あなたたちは もう 終わりよ｡ ♬～ (電子音) [ｽﾋﾟｰｶ]お預かりしました｡ (鍋島)どうして 出頭を 求められたか 分かってますね？ (加奈子)いいえ｡ 分かりません｡ (鍋島)ご主人が 結婚する前に 付き合ってた➡ 津村 麻子という女性 知ってますか？ (加奈子)えっ？ (鍋島)先日➡ 服部 陽子さんを 襲って 傷害で 逮捕されたんです｡➡ 彼女も 交際中に ご主人に➡ ひどい暴力を 受けていたそうです｡➡ あなた｡ ご主人に 暴力を 振るわれていたんですよね？ (加奈子)私は 主人から 暴力なんて 受けてませ…｡ (鍋島)マンションの 住人たちは あなたの部屋から➡ 悲鳴のような声 物が壊れる音を 何度も聞いたと 言っています｡ (鍋島)ご主人に いなくなって もらいたかったんですね？ ≪(エレベーターの到着音) (直美)李社長｡ 助けてください｡ (朱美)どうしたのことですか？ (直美)加奈子が 警察に 連れていかれました｡ (朱美)警察？ (直美)頼れるのは➡ 李社長しか いないんです｡ (鍋島)２月５日 金曜日｡ 深夜の 12時48分｡➡ ご主人が 帰宅した姿が➡ マンションの 防犯カメラに 映ってます｡➡ しかし これ以降 ご主人が 出ていく姿は➡ マンション内の いかなる 防犯カメラにも➡ 映ってません｡ その代わり こんなものが 映ってました｡ (鍋島)これは 小田 直美さんですね？ (鍋島)この バッグの中身は 何です？ (加奈子)いらなくなった 本や 衣類です｡ 処分するのを 友人に 手伝ってもらいました｡ 真夜中にですか？ (朱美)死体 見つかったですか？ 失踪に 見せ掛ける｡➡ 悪くない アイデアだったですね｡➡ でも 死体 見つかれば 全て 終わり｡ 死体は まだ 見つかってません｡ (朱美)なぜ 穴 掘って 埋めたのことですか？ えっ？ (朱美)海に 捨てたら➡ 魚が 全部 食べたのにねぇ｡ (朱美)小田さん｡ 言ってたね｡ 日本の警察 優秀だと｡ 死体 すぐに 見つかるのことよ｡ 主人は 上海に 出国したと 銀行から 聞いています｡ (鍋島)ご主人は 顧客の金を 横領して 上海へ 逃亡｡➡ 銀行は 信用問題を重んじて 事件沙汰には しなかった｡➡ で これが ご主人が 横領した金を 引き出したとされる➡ ＡＴＭの 防犯カメラ画像｡➡ この人物が あなたの ご主人 服部 達郎｡ …じゃないですよね？ いえ｡ 主人です｡ (鍋島)ここ 見てください｡ ＡＴＭで 金を引き出す際➡ 後ろの客に せっつかれて 動揺して 左手で 操作している｡ (鍋島)ちなみに ご主人の 利き腕は？ 右利きです｡ ほう｡ 確かに 私たちの計画は 甘かったかも しれません｡ でも ああするしか なかったんです｡ 加奈子は 旦那からの ひどい暴力に➡ 苦しめられてました｡ あのままだったら 殺されてたかも しれない｡ 加奈子は 妊娠してるんです｡ 殺した旦那の子です｡ でも 授かった命を 守りたいって 思ってる｡ 私は やっと…｡ やっと 暴力から 解放された 加奈子を 助けたいんです｡ 自分勝手な お願いだとは 分かってます｡ でも お願いします｡ 助けてください｡ 《私は 罪を犯しました｡ 犯罪者なんです》 《あなたとは 一緒に いられません》 ≪(ノック) (林)どうして…｡ (三枝)池袋の 中国人に 金を つかませたら➡ 簡単に 教えてくれました｡ (鍋島)林 竜輝という 中国人 知ってますね？ 知りません｡ (鍋島)池袋の チャイナタウンで 働いていた男です｡➡ 不思議なことに➡ あなたの ご主人の 写真を 見せると➡ 皆 これは 林 竜輝だと 証言する｡➡ 姉の 服部 陽子さんでも ご主人と 間違えたくらいです｡ ≪(ドアの開閉音) (鍋島)あなたは ご主人と うり二つの➡ 林 竜輝を 替え玉にして➡ ご主人を 失踪したように 見せ掛けたんじゃ ないんですか!? (陽子)私たちは あなたを 助けに来たの｡➡ 小田 直美と 服部 加奈子に 頼まれたのよね？ (林)服部 加奈子？ (陽子)私の弟｡ 服部 達郎の 妻よ｡ (林)白井さんは 服部 達郎の…｡ (陽子)あなたの やったこと 警察に 話してちょうだい｡➡ 今なら 他人の パスポートを 使った罪だけで あなた…｡ (林)私 知らない｡ 他人の パスポートなんて 使ってない｡ (陽子)あなた｡ あの２人が 何を やったか 知ってるの？ あの２人は 人を殺したのよ｡➡ 私の弟｡ 服部 達郎を 殺した 殺人者なの｡ (陽子)このままだと あなたは 殺人の共犯者よ｡ 今 警察に 正直に話せば➡ あなたは 何も知らずに ２人に 利用されただけだと➡ 私が 証言してあげる｡ 話してくれるわよね？ [TEL] (陽子)《あの２人は 人を殺したのよ》 [TEL] ≪(ノック) (鍋島)２月５日 ２時46分｡➡ 東京インターから 高速に乗り…｡➡ ３時55分｡ 大井松田インターで 降りた｡➡ その後 再び 大井松田インターから➡ 高速に 乗り込んだのが ６時52分｡➡ 大井松田インターから ３時間以内で➡ 往復できる距離から 考えると➡ 足柄峠｡ ヤビツ峠｡➡ 三国峠｡ その どこかにでも 埋めたんですかねぇ？ 自白するなら 今しかないですよ｡➡ ご主人に 暴力を振るわれて このままじゃ 殺される｡➡ そう 思ったんですよね？➡ 追い詰められて 仕方なく やったんですよね？➡ 正直に 話せば 共犯者の 小田 直美も➡ まだ 情状酌量の余地あり｡ 罪も 軽くなるんですよ｡ (鍋島)死体が出るのが 先か!? お前が 正直に話すのが 先か!?➡ 小田 直美の 運命は お前しだいなんだよ！➡ 大事な 親友なんですよねぇ？ ≪(ノック) ≪(ドアの開く音) (刑事)鍋島さん｡ ちょっと｡ (井上)奥さん｡ これは すごい手口だって➡ 本庁の 捜査１課でも 話題になってるんです｡➡ この先 さらに 厳しい刑事が 出てきますよ｡➡ 早く 言って 楽になりましょうよ｡ (井上)ご主人の死体 埋めたんでしょ？➡ 早く 出してあげましょうよ｡➡ このままじゃ 成仏できないでしょ｡ (鍋島)出ろ｡➡ いいから 出ろ｡ チッ｡ (鍋島)あした また 話を 聞かせてもらいますよ｡ 責任を持って あした 必ず ９時に➡ 連れてきてくださいよ 先生｡ (周)もちろん お約束します｡ 加奈子｡ よかった｡ 直美…｡ (周)早く 報酬 払ってください｡ 50万ですね｡ ≪(朱美)ぼったくり 許さないのことよ｡➡ あなた 30万と 言ったね｡ (周)30万ですね｡ はい｡ (朱美)はい｡ ぼったくり弁護士には➡ やっぱり 任せられないね｡ 今すぐ 解任のことです｡ (周)じゃあ 私 後は知らないね｡ あしたの朝 あの弁護士さんと➡ 警察に来るように 言われてるんです｡ (朱美)はっ!? あら｡ それは 困りましたね｡➡ もう ぼったくり弁護士 解任しちゃったから➡ 連れていくの 無理ね｡ 任意同行は 行きたくなければ 行く必要 ないね｡ ≪(うがい) (朱美)あなたたち おなか すいたでしょ？ おいしい肉まん 買ってきました｡ はい｡ 温かいうちに 食べなさい｡ はいはい はいはい…｡ お茶 お茶ね｡ はいはいはい｡ 警察の ご飯 まずかったでしょう？ 私 知ってる｡ 食べたこと あるね｡ とても 食べれたものじゃ なかったね｡ 警察にとって 犯人は お客さん｡ お客さん いなければ➡ 商売 成り立たないのに おもてなし なってないね｡ はい｡ 食べて 食べて｡ はいはい｡ 頂こう｡ はいはい｡ うん｡ いただきます｡ ♬～ ♬～ 女に 暴力 振るう男なんて 生きている価値ない｡ 殺してしまいなさい｡ 私 そう 言いました｡ 間違ってないね｡ 自分の人生 守るための 嘘や 策略｡ 全て 正当防衛｡ これも 正しい｡ でも もう一つ 大事なこと 言ったね｡ 捕まらない方法 考えなさいと｡ 自由 手に入れるために あなたたち ＤＶ旦那 殺した｡ 自分の人生 切り開くために 踏み出した｡ でも 捕まったら その自由 台無しね｡ 殺す前より 人生 マイナスになっては 絶対 駄目｡ だったら 私の言ったこと 意味ないね｡ これ チケット｡ 明日の昼には 上海 到着ね｡ 私にも 親友 いる｡ 彼女のところ 行きなさい｡ 助けてくれる｡ 太湖という湖の そばにある 無錫市に 住んでいる｡ 水が とても 奇麗なところね｡ 子供 産むなら 安心できる場所で 産むのことです｡ 苦后甘来｡ ｢人生 まだまだ これから｣という意味ね｡ 李社長｡ どうして そんなに…｡ あなたたち 私の妹｡ 家族 守る｡ 当たり前のこと｡ ♬～ ♬～ 私 モテモテねぇ｡ いい匂いが する｡ ♬～ (朱美)ああ!?➡ 何だ!? ゆとりですか｡ (手塚)李社長｡ 小田さんのこと 何か 知りません？➡ 突然 退職届と 引き継ぎの資料 送られてきたんす｡ (朱美)小田さん｡ 百貨店 辞める!?➡ 私の担当 誰が 引き継ぐのことですか？ (手塚)いや｡ それは｡ (朱美)仕方ない｡➡ ゆとりで 我慢します｡➡ 小田さん｡ 優待カード 発行する 約束してくれたね｡➡ ゆとりが 引き継いで 次 来るとき 持ってきなさい｡ (手塚)痛っ 痛っ…｡ 痛っ｡ (朱美)しっ しっ しっ…｡ ≪(ドアの開く音) (朱美)私 あなたと話してる ゆとり…｡ 弁護士を 手配したのは 李社長｡ あなたですね？ 何のことですか？ (陽子)これ以上➡ あの２人に 協力なさらない方が いいんじゃないですか｡➡ 小田 直美は あなたと親しい 仕事相手｡➡ 服部 加奈子は あなたの会社の 従業員｡➡ そして 林 竜輝は 不法滞在の身で ありながら➡ あなたの会社で 働いていた｡ (陽子)犯罪に関わった ３人が 全て 李商会に 接点がある｡➡ 警察は あなたにも 興味を持ち 話を聞きたがるでしょう｡ (中国語) (陽子)日本では 犯罪者の逃亡に 手を貸せば 罪に問われます｡➡ せっかくの この会社も 人手に 渡ってしまうことに なりますよ｡ (陽子)李社長｡ ご自分が 犯罪者になってでも➡ それでも あの２人を 助ける おつもりですか？ (朱美)助けない 助けない｡ あなたが言ってること 正しいね｡ 昨日の敵は 今日の友｡ あなた やり手｡ 私も やり手｡ 気が合うのことね｡ 私を けむに巻こうとしても 無駄ですよ｡ 警察も もう 動きだしてるんです｡ 逮捕は 時間の問題です｡ ♬～ 李社長の親友｡ どんな人かな？ 絶対 強烈な人だよ｡ 水が 奇麗なところって 言ってたね｡ うん｡ 逃げ切れば 安心して 子供も産める｡ これ｡ 林さんから 加奈子に 渡すように 頼まれてた 手紙｡ 今日 林さんも 中国に 帰れるように➡ 手配して 連絡しておいた｡ もう 日本を離れてるはず｡ ♬～ ♬～ 何だって？ 読めないや｡ ♬～ ♬～ ♬～ (陽子)《今 警察に 正直に話せば➡ あなたは 何も知らずに ２人に 利用されただけだと➡ 私が 証言してあげる》 [TEL](アラーム) 行こうか｡ うん｡ 後ろ 開けてください｡ いいよ 加奈子｡ ありがとう｡ ≪警察に行くように 言われてるはずよ｡ えっ？ どうして ここが？ (陽子)逃げるつもりね｡ 私たちが どこに行こうと 自由です｡ (陽子)そうね｡➡ でも 死体が 発見されれば 逮捕状が 下りる｡ あなたたちの自由は それまでよ｡ 警察は 必ず あなたたちを 逮捕する｡ 成田空港まで お願いします｡ 急いでください｡ ホテルの場所 どうして 分かったんだろ？ [TEL] あっ｡ 李社長｡ えっ？ もしもし｡ [TEL](朱美)服部 陽子｡ 昨日 私の会社 来たね｡ (朱美)あの女 手ごわい｡ 必ず 追い掛けてくるのことね｡ それが ホテルの前に いたんです｡ 何か 見抜いてるのかも しれないね｡ えっ？ 手を打つ必要 あるのことね｡ ≪(ドアの開く音) ≪(足音) (陽子)もしもし｡ [TEL](三枝)服部さんの➡ 読みどおりでした｡ (三枝)さすがに 見られるのは まずいと 思ったんでしょう｡➡ 検索履歴は 削除していましたが➡ 走行履歴から 場所が 特定できました｡ (三枝)三国峠です｡ (井上)鍋島さん｡ (鍋島)どうした？ (井上)２月５日 金曜日の深夜｡➡ ２人が 死体を運んだ先は 三国峠です｡ ♬～ ♬～ 大丈夫だね｡ うん｡ 行こう｡ ♬～ 嘘？ 加奈子｡ どうして？ 私たちの行動 読まれてる｡ ♬～ (三枝)Ｃカウンターから 動かない｡ おかしい｡➡ 出国を 諦めたのか？ ♬～ ♬～ (吠える声) (捜査員)あそこだ｡ (三枝)離れてく｡ (陽子)気付かれた？ (三枝)こっちです｡ ♬～ (三枝)この先の エレベーターです｡ ♬～ どうして 林 竜輝が？ ♬～ 《林さん》 (林)《これ 李社長に 持っていくように 頼まれました》 《羽田からの チケット》 (林)《これ 使って 逃げるとのこと 言ってました》 《でも 陽子さんは ホテルの場所まで 見抜いてた》 《私たちの 行く先々で 待ち伏せしてる》 《直美》 《何 これ？》 《興信所が ハッキングとかして》 《えっ!?》 (林)《私が これ 持ってます》 (林)《バッグも 逃げるのとき 邪魔ですね》 《服部 陽子から➡ あなたたち 何やったのか 全部 聞きました》 《警察に 全て 話すよう 言われた》 《もしかして…》 《話してません》 《逃げ切ってください》 《そして いつか 私の造った 紹興酒 飲みに来てください》 《はい｡ ありがとうございます》 ♬～ 着くよ｡ うん｡ ♬～ (陽子)林 竜輝は おとり？ (三枝)２人は どこに 行ったんだ？ (陽子)行き先は 上海のはず｡ (陽子)まさか 羽田から？ [TEL] (陽子)もしもし｡ 先ほど 三国峠の山中から 遺体が発見されました｡ [TEL](鍋島)状況からして まず➡ 弟さんのものと みて 間違いないでしょう｡ 現在 逮捕状を 請求してます｡ 身元の確認を お願いします｡➡ 今すぐ 山梨県警へ 同行してもらえますか？ [TEL](鍋島)もしもし？ もしもし？ 服部さん？ (絶叫) ２人は 羽田空港から 上海に 国外逃亡しようと しています｡ 逮捕状を 急いでください｡ (三枝)服部さん？ (陽子)行きましょう｡ (三枝)山梨ですか？ 羽田です｡ (三枝)出国まで 50分｡ 間に合うか どうか ぎりぎりだ｡ 行くよ｡ 加奈子｡ 直美｡ うん？ どうした？ ホントに ごめん｡ 直美を 巻き込んでしまった｡ 直美の人生 壊してしまった｡ 私が もっと強ければ➡ 達郎さんとは 別の方法で 別れられたかもしれない｡ ホントに ごめん｡ あのままだったら 加奈子が 殺されてた｡ そんなことに なったら 私 一生 後悔してた｡ 何も できなかった 自分を 絶対に 許せなかったと思う｡ だから 今 あのときに 戻ったとしても➡ 私は 同じ選択をする｡ 分かってる｡ 私たちは 絶対に やってはいけないことを した｡ その罪を 一生 背負って 生きていかないと いけない｡ でもね 私 後悔してない｡ ♬～ ありがとう｡ 逃げよう｡ そして 生きよう｡ ♬～ ♬～ 後は 出国審査だね｡ うん｡ (三枝)よし｡ 見えた｡ ♬～ (ｸﾞﾗﾝﾄﾞｽﾀｯﾌ)次の方｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (ｸﾞﾗﾝﾄﾞｽﾀｯﾌ)次の方｡ ♬～ (ｸﾞﾗﾝﾄﾞｽﾀｯﾌ)どうぞ｡ ♬～ ☎ (ｸﾞﾗﾝﾄﾞｽﾀｯﾌ)はい｡ ちょっと待って｡ (ｸﾞﾗﾝﾄﾞｽﾀｯﾌ)はい｡ ♬～ (スタンプを押す音) (ｸﾞﾗﾝﾄﾞｽﾀｯﾌ)どうぞ｡ 直美｡ 加奈子｡ (三枝)くそ！ (陽子の おえつ) [TEL] (陽子)もしもし｡ [TEL](鍋島)逮捕状が 下りました｡➡ 空港警察には すでに 連絡 入れてます｡ (捜査員)通してください｡ 警察です｡ (警察官)下がって！ (三枝)服部さん！ (陽子)急げ！ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (サイレン)

とと姉ちゃん＃020

1 春子姉ちゃんは➡ 後に ｢天才少女 現る｣などと いわれるようになりますが➡ これを 私たち家族の目から 言わせてもらうと➡ ｢天才少女の母 現る｣となります> <常子たちは 滝子のもとを離れ➡ 同じ深川にある 森田屋という弁当屋に➡ 住み込む事になりました> (鍋をたたく音) (まつ)起きた 起きた 起きた！ いつまで寝てんだ！ いつまで寝てんだ！ <弁当屋の仕事は ４時に 起きるところから始まります｡➡ 朝起きると すぐに火をおこして ごはんを炊き始めます｡➡ 前日に下ごしらえをした野菜を だしで煮込んでいきます｡➡ その間 焼き台では 卵焼きや焼き魚が➡ 次々に調理されていきます｡➡ 冷ましたおかずを 並べた弁当箱に 一気に盛りつけていきます｡➡ 突然 戦場のような森田屋の仕事に 巻き込まれた常子たち｡➡ ４人は 一体 これから どうなってしまうのでしょう？> ♬｢普段から｣ ♬｢ﾒｲｸしない 君が｣ ♬｢薄化粧した朝｣ ♬｢始まりと終わりの狭間で｣ ♬｢忘れぬ約束した｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢真実には ならないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬｢涙色の｣ ♬｢花束を君に｣ ♬～ (鞠子)そうなんですか？ 富江さん 大人びてるから 私と同い年だと思わなかった｡ (常子)ねえ｡ せっかくだし 愛称で呼ばせてもらったら？ その方が仲よくなれるし｡ じゃあ… ｢富江ちゃん｣かな？ う～ん ｢富ちゃん｣も…｡ あっ ｢富ちゃま｣なんて かわいらし…｡ (富江)いえ ｢富江さん｣で｡ (２人)…はい｡ はい｡ はい｡ これで全部です｡ じゃあ ご住職に➡ 報告してきますので 先に戻ってて下さい｡ はい｡ (２人)じゃんけん ぽい！ やった～！ とと姉 そろそろ交代しようよ｡ ﾌﾌﾌ｡ あと10歩ね｡ あれ？ うん？ 見てよ あの人｡ あんなとこで 何してんだろう？ さぁ…｡ 病気かな？ えっ？ 具合悪くて 倒れちゃったんじゃない？ あ… 大丈夫ですか？ (星野)えっ？ どこか お加減悪いですか？ 歩けます？ 一緒に病院に…｡ あっ いや 日陰に…｡ 日陰？ 日陰での成長を…｡ えっ？ つまり その… 観察するために…｡ あっ ﾎﾟﾘｺﾞﾇﾑ！ あっ！ この植物は ﾎﾟﾘｺﾞﾇﾑといいます｡ このﾎﾟﾘｺﾞﾇﾑを日陰に植え替えて➡ どう成長するかを 観察しようとしていたんです｡ どうして そんな事を？ 近年 植物は 過酷な条件下で育てると➡ それに順応して生き抜こうと する事が 分かってきました｡ だから 日陰に植え替えると たくましく育つのではないかなと｡ へえ～ 面白い｡ はい これからが楽しみです｡ へえ～… 面白い…｡ えっ？ ん？ たくましく育つと いいですね｡ (星野)はい｡ 鞠ちゃん！ 早く戻りましょう｡ なぜ？ こう言っては なんだけど 少し妙な方じゃない？ 具合が悪い訳じゃないって 分かったから もういいでしょ｡ けど お話は面白いわ｡ うん うん｡ でも➡ 妙な方に関わって 面倒な事になっても…｡ 分かりました｡ ねっ ねっ｡ じゃあ 私たち…｡ あれ？ あ… あっちよ あっち｡ 道は 全部 覚えたかい？ (君子)あっ はい 多分｡ はぁ～ 情けない事 言わないどくれよ｡ 多分じゃ困るんだよ｡ すみません｡ かか！ かか！ (まつ)あ… あ…｡ 全部 終わりました！ (まつ)常子 常子 常子！ ごめんなさい！ あのな うちのﾘﾔｶｰ 引いてる以上 森田屋の看板 しょってるんだ｡ 仕事中に はしゃぐなんて やめとくれ｡ ごめんなさい｡ 今後 気を付けます｡ しっかり しとくれよ！ はい｡ 行くよ！ はぁ～ もう…｡ よいしょ｡ あら 青柳の女将さん｡ ♬～ あら～ 今日も すてきなお召し物で｡ ｱﾊﾊ！ あんまり 真っ白なんで➡ 真夏に 雪だるまが 歩いてきたのかって思いましたわ｡ (滝子)いえいえ そんな｡ 大女将の帯こそ すてきですわね｡ まあ きれいな からし色で｡ 見てるだけで 目が痛いですわ｡ ｵﾎﾎﾎﾎﾎ！ ｱﾊﾊﾊﾊﾊ！ そういえば 新しい人 雇ったんですってね？ ええ まあ｡ ずぶの素人ですからねえ➡ 老舗のやり方 覚えるために➡ 鍛え直さないと いけないとこ 山ほど あるんですけど｡ それは大変ですわね｡ 心中 お察し致します｡ 何しろ 60～70年の 老舗ですものねえ｡ 80年でございます｡ これは 失礼致しました｡ うちは 200年ですけれど｡ では｡ (まつ)では｡ 常子｡ 行きましょうか｡ (まつ)何やってんの！ 早く帰るよ さっさと！ [ 回想 ] おばあ様と 何かあったんですか？ ごめんなさい｡ どうしても 分かり合えなくて｡ (宗吉)ちょっと！ 遅すぎなんだよ 遅すぎ！ はい｡ あ？ 照代が10個むく間に➡ あんた 何個むいてんの？ ２個だよ ２個！ (照代)でも とっても きれいに むけてます｡ あ？ きれいすぎ！ もっと ﾁｬｯﾁｬと動いてくれよ ﾁｬｯﾁｬと！ すみません｡ 残りの皮むき 私がやるから｡ じゃあ 鍋 洗っちゃいます｡ (長谷川)あっしが やってま～す｡ (宗吉)ほら そこ 邪魔｡ どいた どいた！➡ 長谷川！ ﾁｬｯﾁｬと洗え ﾁｬｯﾁｬと！ (長谷川)へい｡ (宗吉)日が暮れちまうぞ！ ねえ ねえ 鞠ちゃん｡ これで合ってる？ うん｡ 今度は正解｡ よし！ 女なんか 今の時代 どこで働いたって➡ ろくに稼ぐ事なんて できないんだよ！ お前も それは 味わったんじゃないのかい？➡ 思うように生きたい？➡ 笑わせんじゃないよ！ ♬～(鼻歌) 久しぶりだね｡ かかの鼻歌｡ 心配だね｡ ♬～ 君子さん 遅すぎですよ｡ 君子さんが終わんないと➡ あっしら 詰められないんですよ｡ すみません｡ (照代)慣れてないから しかたないわよね｡ 慌てないで➡ いちに いちに いちに｡ もう少し急いで｡ はい｡ (宗吉) おい そんな調子でやってたら➡ 弁当 届けるの 明日になっちまうぞ｡ 照代 代わってやれ｡ じゃあ 代わりますね｡ あ… はい｡ じゃあ 私も何か…｡ じゃあ 見学でも しててもらおうかしら｡ はい｡ (宗吉)おいおい➡ 見学なんて 悠長な事 してる暇あんなら➡ ﾘﾔｶｰのﾀｲﾔ 空気入れといてくれ｡ はい｡ ♬～ 手伝いましょうか｡ 大丈夫 私一人で｡ かか…｡ 日陰でも たくましく育ちますから｡ 日陰？ あ… 植物って 過酷な環境下でも➡ それに合わせて 強く育つらしいんです｡ だから つらい状況でも 大丈夫ですよ～ みたいな意味で➡ 口走っちゃいました｡ ｱﾊﾊ 恥ずかしい｡ ありがとう｡ いい お話｡ あっ でも これ➡ お寺で出会った方の 受け売りなんですけど｡ それじゃあ 長谷川さんみたいじゃない｡ (笑い声) し～っ！ (笑い声) (宗吉) 王手！ う～ん…｡ ほら ﾁｬｯﾁｬと指せよ ﾁｬｯﾁｬと｡ ん～…｡ うなってないで 手動かせよ｡ (長谷川)う～ん…｡ これで出来上がり｡ はい｡ そっちは？ ちょうど終わりました｡ 松のお弁当に こっちが 竹のお弁当と｡ 長谷川さん ﾘﾔｶｰまで運んでもらえる？ あっ はい｡ そ～れ！ ちょ… ちょっと待って ちょっと待って｡ 鞠ちゃん 力入れて押してる？ 押してるわよ｡ とと姉こそ 力抜いてるでしょ｡ 抜く訳ないでしょ｡ (戸が開く音) おい 何やってんだ～｡ それぐらいの量 ﾁｬｯﾁｬと配れよ～｡ はい｡ 行ってきます！ 配達先 間違えんじゃねえぞ！ はい！ さっきの大将の目…｡ ん？ こいつら 役に立たねえなって あきれてる目だよね｡ しかたないよ｡ 実際 大した事できないんだし｡ お待たせ致しました｡ ご苦労さま｡ 竹弁当 30個ね｡ はい｡ ご注文 ありがとうございました｡ お待たせ致しました｡ 松のお弁当です｡ ご苦労さま｡ (２人)毎度ありがとうございます｡ お待たせ致しました｡ どうも｡ はぁ～｡ お弁当 60個 お持ちしました｡ はい ご苦労さま｡ またのご利用…｡ (鞠子 常子)お待ちしております｡ ≪ふざけんじゃねえぞ！➡ 謝りゃいいってもんじゃ ねえんだよ！➡ 全く 冗談じゃねえ！ 今日は奮発して松を頼んだって➡ みんなに自慢して 蓋を開けりゃあよ！ ﾌﾝｯ！ こっちは いい笑いもんだよ｡ ったく！ おわびのしようも ございません｡ お代は そっくり お返し致しますので｡ 当たりめえだろ！ 申し訳ありませんでした｡ ﾌﾝｯ！ こんな店 二度と使わねえからな！ 一体 何があったんですか？ こっちが聞きてえよ ｺﾝﾁｸｼｮｰ！ お弁当に 何か不都合でも？ おい お前ら➡ ちゃんと 弁当は届けたんだろうな？ はい｡ 間違いなく｡ 指示どおりに｡ それが どうやら 松と竹のお弁当の届け先を➡ 間違えちゃったみたいなんです｡ (３人)えっ？ ｵｽﾈｺが歩く 堂々と｡ 岩合さんが大好きな➡ 丸みのある 大きな顔｡ がっしりした体格｡

花子とアン＃071

1 (蓮子) それで 私に何かご用ですか？ (龍一)ここは あなたのような ﾌﾞﾙｼﾞｮｱの来る所じゃない｡ 女給に たっぷり ﾁｯﾌﾟをはずんでから➡ お帰り下さい｡ ｾｲﾛﾝﾃｨｰがないなら ｼｬﾝﾍﾟﾝを頂くわ｡ (かよ)シャ… ｼｬﾝﾍﾟ…？ ないの？ じゃあ ﾌﾞﾗﾝﾃﾞｰを｡ 分かんない女だな！ あんたの飲むものは ここには ないんだよ！ 帰った 帰った！ 帰りません 絶対に｡ 私は 世界で一番大切な友達と 今夜 ここで会うんです｡ (時計の音) ♬～ (宇田川)さあ 早く｡ あなたの恋愛の話を 聞かせてちょうだい｡ (はな)申し訳ありません！ 完全に経験不足で➡ お話しできる事は 一つもございません！ 失礼します！ 蓮様…｡ はなと蓮子は 無事に再会を 果たす事ができるのでしょうか？ ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ (かよ)いらっしゃいませ｡➡ お姉やん…｡ 蓮様は？ 蓮様？ お姉やん… 何時だと思ってるでえ？ 帰っちまったの…？ １時間も 待ちぼうけさしちまったから…｡ ほうだよ｡ せっかく 10年ぶりに会えると思ったのに…｡ はなちゃん｡ 帰る訳ないでしょ！ 蓮様！ お久しぶり はなちゃん｡ 蓮様～！ 遅くなって ごめんなさい！ 待っててくれたのね！ はなちゃん！ 蓮様！ 会いたかった！ 私も！ まずは 乾杯しましょう｡ ﾌﾞﾄﾞｳ酒…｡ 覚えてる？ あの事件｡ 忘れたくても忘れられないわ！ 私 あれから 自分に ﾌﾞﾄﾞｳ酒禁止令を出したのよ｡ はなちゃんには 苦い思い出かもしれないけど➡ 私にとっては 大切な大切な思い出なの｡ 蓮様…｡ はなちゃんを待ってる間に➡ 次から次へと あのころの事が 頭に浮かんだの｡ もう… 何もかも懐かしくって➡ どうしても ﾌﾞﾄﾞｳ酒で乾杯したくなったの｡ 10年ぶりの再会に｡ そして…｡ (２人)腹心の友に｡ 乾杯！ はあ… 何だか 本当に夢みたい｡ 私 この10年間 ずっと➡ 毎日のように 想像の翼を広げて➡ 蓮様と こうして再会する日を 夢みていたのよ｡ まあ うれしい！ 何かを楽しみに待つという事が➡ その うれしい事の 半分にあたるのよ｡ すてきな言葉ね｡ はなちゃん ちっとも変わらないわ｡ 蓮様も｡ すっかり すてきな奥様ね｡ お金が いくらあっても➡ 生きがいのない暮らしは むなしいわ｡ はなちゃんと寄宿舎で過ごした あの半年間だけが➡ 私にとっては 宝物のような時間なの｡ どんな宝石の輝きにも負けないわ｡ 蓮様…｡ 今夜は あの輝きを取り戻すわ！ ええ！ (笑い声) いらっしゃいませ｡ (英治)どうも｡ (郁弥)こんばんは｡ これ かよさんに｡ この花 かよさんみたいでしょう？ 私 ﾁｯﾌﾟの方が うれしいんですけど｡ よく似合います｡ てっ…｡ お姉やん｡ 村岡さんよ｡ てっ｡ どうも｡ はなちゃん こちらは？ あっ｡ 聡文堂の取引先の村岡印刷さん｡ あっ 女学校時代の腹心の友の 蓮子さんです｡ ああ｡ 初めまして｡ ごきげんよう｡ 逢い引きって こういう事だったんですね｡ あれは 編集長たちが 勝手に言ってた事で➡ 私は 逢い引きなんて ひと言も言ってませんから！ えっ そうですか～？ そうですよ！ あれ？ ﾌﾞﾄﾞｳ酒には 嫌な思い出があったんじゃ？ 今日は いいんです｡ (英治)まあ 腹心の友との再会なら 思う存分 飲んで下さい｡➡ 何なら また おぶっていきますから｡ はなちゃん 相変わらず 酒癖が悪いの？ もう 蓮様まで～…｡ もしかして もう 酔っ払ってるんですか？ まだ 酔ってません！ あっ もう 本当に お構いなく！ あっ 私 郁弥さんに 本のお礼を言わなくちゃ｡ 蓮様 ちょっと失礼｡ お邪魔しました｡ あっ お待ちになって｡ ちょっと お座りにならない？ 郁弥さん｡ 先日は 貴重な原書を ありがとうございました｡ 夢中になって 一晩で読んじゃいました｡ あれを翻訳して 新しい雑誌に 載せる事ができたらいいなと➡ 思ってるんです｡ あれは 兄です｡ 兄から➡ あなたの気に入りそうな本を 贈りたいと言われたんです｡ えっ？ あなたに 英語への 情熱を取り戻してほしいって｡ ♬～ 今日も何冊か持ってきたんです｡ あっ…｡ あっ 読んでもいいですか？ どうぞ｡ ♬～ はなちゃん ちっとも変わってないわ｡ 村岡さんは はなちゃんの事が好きなのね｡ 花子さんを？ そんな…｡ はなちゃんは ずっと 花子って 呼ばれたがっていたんです｡ あなたのような人が現れて よかったですね｡ いえ… そんな事は 断じてありません｡ どうして ｢断じて｣なんておっしゃるの？ だって 僕は…｡ (かよ)てっ！ お姉やん 駄目！ えっ？ それ ３杯目だから 駄目！ えっ？ はなちゃん ３杯目は いけません｡ ３杯目は駄目だと お二人が言ってます｡ みんな そこまで 必死に止める事ないじゃん｡ (かよ)駄目ずらって！➡ 駄目！ いけません！ はなちゃん！ 大げさ…｡ 大丈夫 大丈夫だから｡ (郁弥)置きましょう｡ はなちゃん！ (かよ)お姉やん！ 蓮様 大丈夫です～｡ 大丈夫じゃありません！ (猫の鳴き声) おはようございます｡ かよさん おはよう｡ お姉やん！ 蓮子さん 起きてるよ｡ う～ん…｡ 姉は 毎日遅くまで 英語の本を読んでるから➡ いつも朝寝坊なんです｡ この辞書 見覚えがあるわ｡ 修和女学校の頃 寄宿舎に送られてきたの｡ (かよ)お姉やん ずっと大切にしてるんです｡ どなたの贈り物？ 村岡さんです｡ ゆうべの あの大きい方？ はい｡ 大きいお兄さんの方から もらったそうです｡ そうだったの｡ ≪(番頭)奥様～！ 蓮子様～！ 奥様～！ てっ！ どうしたでえ!? がっかりだわ｡ もう 迎えが来てしまったようね｡ てっ…｡ (かよ)人力車｡ ♬～ かよさん お世話になりました｡ いえ また来てくれちゃあ｡ はなちゃん 楽しい時間は あっという間に過ぎてしまうわね｡ 蓮様 今度 いつ会えるかしら？ …主人の許可が出たらね｡ (番頭)奥様｡ ごきげんよう はなちゃん｡ ごきげんよう 蓮様｡ すてきな恋をしてる はなちゃんが 羨ましいわ｡ えっ？ 続きは また明日｡ ごきげんよう｡ さようなら｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒６月２０日金曜日の 「あさイチ」です。 うーん。 会えないかと思っていました 蓮様と。

Atelier.S01E06.JA

1 （梶）うっわー やっばいわ これ… （酒屋）このシャンパン すぐに冷蔵庫のほうに お願いしますね できれば ワインセラーに これ代金は？ いただいてますよ 時田(ときた)さんから そうですか これ いいやつなんですよね えーっと そう トランクショーの時とかに お客さんに出したりする… （酒屋）ええ　だから わざわざ フランスから空輸して そうそうそう 空輸してねえ あの… これ返品なんて （南上(なんじょう)）できるわけないでしょ！ （梶）ああ… 向こうか （南上）大体 セカンドラインったって どこで売るのよ （繭子(まゆこ)）ここで売ります この店に置きます！ STORY(ストーリー)を取られたからって 意地になってるんでしょ？ 復讐心からでしょ？ 復讐心で 物 作っちゃいけないんですか？ わー 醜い あー 美しくない わー また出た “美しくない” 何でもかんでも美しくない それ言えば こっちが黙ると 思ってんでしょう うるさいわね もう！ （麗子） もう それぐらいにして お客様がお見えになるのよ まるで親子ゲンカね こんな子 産んだ覚えはありません！ 生まれた覚えもありません！ （麗子）でも ありがたいです また来ていただけて （仲谷）トランクショー 中止になってしまって 本当に残念でした そうですね 私たちも… 頑張ってたのよね ええ 全部 できてました 新作ですか？ えー 見たい 私 すごい楽しみに していたんですよ 今 あるんですか？ はい あの… 見せてもらえたりなんて （麗子）どうぞ こちらです （仲谷）失礼いたします わあ すごい　ステキ！ （繭子･南上） ありがとうございます （仲谷）光栄です 南上社長のお仕事を こんな間近で 見せていただけるなんて このナイトウェア… 本当にきれい お見せしたかったです ちゃんとモデルさんに 着てもらって 仲谷様のように Emotion(エモーション)を愛してくださる お客様に… すいません いえ （南上）まるで子供ね 思いどおりにならなくて いじけてる そっちから折れてって 全身でアピールしてる 我の強い子だわ 社長だって 言ったじゃないですか 自分のほうが おこがましいのかもって そうよ でも それは 大量生産のシビアな世界を 認めるってことで 今のEmotionが その戦場に打って出られるって 意味じゃない じゃ 結局 何も変わらないって ことじゃないですか 変わらないことは悪いこと？ 私は 30年前の 自分の仕事を思い出して 原点に戻れた気が してたんだけど？ でも これは！ 泣き寝入りしろって 言うんですか？ 一足飛びにセカンドラインって わけにはいかない 今は お金も人も いないんだから 現実を見なさい はい （南上）でも あなたの その うっとうしいくらいの 気持ちを潰してしまうのは 惜しい！ え？ 復讐じゃないのよ 自分が今やれることに その情熱を注ぎなさい 私は… みんなに知ってもらいたいです 世界で一番美しい ランジェリーを売ってるのは この店だって どんなにいいものを 作ってても 知ってもらわなきゃ 存在してないも同じです だから ここに この全部に Emotionの記事を 載せてもらいます （猿橋）へえー　広報 （繭子）社長が 勝手にしろって言うんで 作ってみたんですけど 変ですかね？ （猿橋）メーカーには 必要な存在だよ すごくいいと思うよ えっ 名刺っすか 俺にも１枚くださいよ どうぞ あっ 携帯の番号あるし 向こうが こう来るなら こっちだって 全誌に“Emotion”って 載せてやりますよ 期待してます 猿橋さんは 何やってんですか？ 援護射撃 まあ いいじゃないっすか 大丈夫っすよ 本当に？ 指示書どおりの材料 揃えるなんて楽勝っすよ だから マユちゃん先輩は 心配しないで 広報の仕事してください 材料選びって すっごく大事なんだよ 分かってますよ 俺らが最初に会った場所 覚えてます？ あっ そっか 梶君 生地屋さんにいたね （梶）フフン 繊維業界のキャリアで言ったら 俺のほうが長いんですから 多少の知識は… （ぶつかる音） いってぇ！ えー？ えっ ちょっと大丈夫？ えっ 何これ？ （梶）あっ これ… あっ！ あー トランクショーの シャンパン！ うわー 私 キャンセルするの忘れた 社長 怒るなあ 大丈夫 大丈夫 俺が何とかしますから どうすんの？ （藤村）えー STORYは 全国で大ヒットしてます で すぐにでも 第二弾の製作をと 上からお達しがありました これも ひとえに… （瑞希）フミちゃんが 言ってたことの意味が分かったわ プロセスはどうであれ 私も今の自分に満足してる （史香）さすが瑞希さん のみ込みが早い （藤村）このSTORYを ヴァンダービルズ全体の 看板コンテンツに… （繭子）広報になったんです で まずは やっぱり それらしく見える服かなって （仲谷）それで ご来店 くださったんですか ありがとうございます 改めまして 仲谷凛と申します 先日は ありがとうございました （繭子）えっ 仲谷さんって マネージャーさんなんですか？ 銀座店の？ （仲谷）はい へえー すごいですね （仲谷）いえ あっ あの 銀座店の マネージャーさんだと やっぱり 女性誌の編集者さんと 仲良しだったりします？ あっ いえ 全然 私たちが お相手するのは 常にお客様ですし そうですよね すいません いきなり いえ Emotionさんも雑誌に広告を 出されるんですか？ あー いえ それは お金が かかると思うので 中の記事に 書いてもらおうかと でも出版社にツテがなくて （仲谷） あっ Conscious(コンシャス)さんは？ ランジェリーの記事 私も よく読んでました 編集部の方 ご存じなんじゃ？ あー Conscious… はい （竹内）女は それぐらいが かわいい （受付）申し訳ございません 竹内は ただいま 外出中でございまして お約束でいらっしゃいますか？ あっ いえ… すみません また改めます （修子）こんにちは あっ 小山さん どうしたの？ こんなところで ああ えっと… （修子）そうね まず 電話して 副編のアポ取って 永井編集長に 話を通してもらうのね 私からも話しておくわ ありがとうございます １つ１つ 当たってくしかないわね あっ そうだ 私の友達で… あー でも あれは違うかな あっ いいんです どなたでも ご紹介いただければ ティーン向けの雑誌なのよ ティーン… （繭子）西尾さん （カメラマン）いいね （カメラマン）うん ナイス はいはい そのまま オーケー マリーちゃん いいね はい もっと 元気よくいこうか いいね いいね そうそうそう… いいね （スタッフ） どなたか お探しですか？ あっ すいません 編集長の西尾さんとお約束が こちらにいらっしゃるって あっ あの… （モデルたち）お疲れさまでした （沢田）お疲れさまです！ ルミちゃん かわいかった ちーちゃんも！ マリーさん マリーさん マリーさん！ （ルミ）あー 沢田さん （ちーちゃん）それ もしかして！ 新作です 新作新作 （ルミ）バッグだあ （沢田）ねえ 見て見て カラー５色 作ったの （ちーちゃん）わあ かわいい マリーさん！ 今回 マリーさんのイメージに すっごくぴったりなの もし よかったら 持ってもらえないかと思って （ルミ）新作もらっていいの？ 私 GRAZIAのバッグ 大好き！ あげる あげる マリーさん このお色 すっごく お似合いです よかったら かけてみて （沙里衣）マユ？ （繭子） えっ… 沙里衣ちゃん？ もしかして仕事？ （沙里衣）そうなの Ｃ－ドールのオーディション 受かったの！ おめでとう よかった！ え… マユは？ ああ… （女性）沙里衣ちゃん！ （沙里衣）はい ごめん またご飯食べようね うん　頑張って （沢田） あの… 関係者の方ですか？ よかったら これ あっ いやいや… （由梨）えー！ もらっちゃえばよかったのに （繭子）もらわないよ だって私 関係ないもん （由梨）で その雑誌の人には 会えたの？ （繭子）うん… でも 若い子向けだから Emotionとは全然 たしかに下着だし オーダーメードだしね うん でも 本当びっくりした そのブランドだけじゃ ないんだよ 次から次へと メーカーさんが来て 商品 置いてくの （由梨）えー （三木）今は モデルさんに 持ってもらうのが 一番 手っ取り早いから お金もかからないしね お金？ （三木）モデルさんって ブログに私服の写真とか 載せたりするでしょう？ ＳＮＳとか （繭子）うん そこにチョロっとでも 写ってたりすると 洋服でもバッグでも 次の日には完売 完売!? 女の子は憧れで モノを買うからね ああ… それ 本当なんですね うん？ （繭子）ああ いえ 前に同じこと 言ってた人がいたんで その人 よく分かってる 一流メゾンでも セレブに 自社製品を持たせるのは 広報の大事な仕事だって 聞くよ （繭子）うーん でも Emotionは 商品をあげるわけには… （三木）うん だから やっぱり 雑誌なんじゃないのかな ちょっと グレードの高いやつ Consciousみたいな… ですか？ まっ 実際には ブロガーのほうが 影響力あるんだけどね え？ （三木）え？ あー いや あの 三木さんってやっぱり なんかアパレルとか そういう関係のお仕事ですか？ （山﨑）ああっ？ えー？ どうしたの？ 山﨑さん あっ いや ごめんなさい いや あの… 何 何？ それ 山﨑さんが ひっかかるポイントある？ あの これ… むむむ… 娘 （一同）えー！ （繭子･由梨）かわいい あっ いやいや… ウソだ～ （藤村）では STORYのシリーズ 第二弾は “フラワー”でいきます 発売枚数は４万 全国に先駆けて 銀座店で新作発表会を開催 その際はモデルの 西川さんをお呼びして ちょっと待ってください これ いつ決まったんですか？ 先週の会議です マーケティングチームの数字と ヴァンダービルズの 来季のコンセプトを踏まえて 企画開発室が 私は聞いてません 作るのは 私たちですよね？ 私は いいと思いますよ フラワーも すごく 女の子らしいコンセプトで （藤村）じゃあ 時間もないことですし 早速 （瑞希）これは？ （藤村）似たようなコンセプトで 作られた 他社の製品です 売れてるそうなので バラして研究してはどうかと 研究？ これ… （藤村）いいですよね これ こんな感じで できたらいいと思うんですよ ぜひ お願いします ビジネスですよ （瑞希）藤村さん （史香）瑞希さん （藤村）言いたいことは 分かってます （瑞希）これが目的ですか？ STORYは Emotionが進めていた トランクショーのテーマだった 盗んだんですよね？ もういいじゃないですか （瑞希） 納得した仕事ができるなら 私だって過ぎたことを 今さら どうこう言わない 不本意でも マーケティングで決められた コンセプトに従います でも これは違います 私は南上社長とは違う STORYは Emotionじゃない （藤村）いいですよ 思うとおりにやってください マーケティングも コンセプトも無視して 好きなものを作ってください でも… 売れるものを 作ってくださいね STORYは Emotionじゃないんですから （女性） 11月の新作でございます よろしくお願いいたします （繭子）ご無沙汰しております その節は 大変失礼をして 申し訳ありませんでした （永井） だいぶ よくなったじゃない あ… まだまだ あの 今日は これなんですが… よかったら （永井）え？ でも Emotionさんとこは 下着でしょ？ えっ キャミソール？ 下着ではなくて ナイトウェアです へえー　そう きれいね さすが Emotionさん あ… ありがとうございます 身につけていただいたら きっと よさが分かるかと… ねえ 竹内 （竹内）はい どう？ どうって （永井）想像した？ したほうがいいんですか しないほうがいいんですか どっちも気持ち悪いわね （女性社員たちの笑い声） まっ 私は こういうの好みじゃないけど （永井） で？ 予算はどれくらい？ 予算？ あの いえ… 広告を出すご相談ではなくて 記事にうちの商品のことを 書いていただけないかと タイアップ？ なら 予算は 代理店さんと相談ね 絵コンテは出すけど 商品も内容も 基本 こちら主導になります あの… すいません 何度も 予算って… 竹内！ （永井）もしもし 秋山さん？ モノを知らないにも 程がありますよ え？ 表紙に“Emotion”って 出してもらいたいですか？ ええ　はい ぜひ！ だったら 向こうと 同じ額を出すんですね え？ （竹内）あなたが想像している 金額よりも ケタが２つぐらい 違いますけど 出せますか？ 失礼します 失礼しました！ こないだ ここの 時田さんに会ったわ ついに Emotionも ＰＲ始めたのね （南上）いくら？ （修子）え？ STORYが全誌 おさえたんでしょ？ あなたは いくらもらったの？ 違うわね ヴァンダービルズが 出版社にガッツリ お金を入れてるのよね それで編集部に指示されちゃ 一介のライターなんか 言われたとおりに 書くしかないか “美しく 力がある” “しかし軽くしなやか” “STORYのランジェリーは” “そのまま 彼女たちの今を 具現している” “この２人は現代女性の憧れ”で あーる！ もう大きな声で読まないでよ 見せないでってば やだね 何よ この記事 同じ写真 同じ内容 他の雑誌と書いてあることは 全く一緒 ただ褒めて 商品を買えって言ってるだけ これがランジェリー 一筋の 批評家 小山修子の記事？ 私は 現代に順応してるの 現場に行って取材して 自分の目で見て 感じたことも書けなくて それで批評家と言えるの？ 正論ね でも… だから あなたは ここまでなのよ 正しいことばかりしていると 嫌われるわよ 結局 あなたは そうやって 自分の道を 塞いでいくの （仲谷）時田さん （仲谷）Consciousさんに 行ったんですか？ （繭子）はい 自慢していいですか？ （繭子）え？ 私 去年と今年の 販売 売り上げ 会社でナンバー１だったの （繭子）すご… （仲谷）ううん 銀座店の販売スタッフは みんな いい成績よ だって アジアから来たお客様も たくさん買ってくださるから 自分の力だけじゃない でもね 今 すっごく人気で売れるの 売れると私も勘違いしちゃう 本社も評価してくれるし 自分は お客様の お相手してるだけなのに 流行を作ってる 人々を動かしてるって 思っちゃうのよ 単純に全部 お金が動いてるだけなのにね 本当は Emotionみたいな売り方が 一番まともなのよ 社長が正しかった いいものを 真っ当に売りたいって思ったら Emotionの今の形が 一番 美しい お金がなければ この雑誌の ほんの小さな記事にも してもらえないんです 社長が 正しいです （猿橋）正しいことを してるだけでいいんですか？ （繭子）猿橋さん （猿橋）〝女性にもっと 下着を選ぶ贅沢を〞 これは 社長が ずっと目指してたことでしょう 金なら工面できます （猿橋）政策金融公庫に出す 申請書と資料です 訴訟問題も和解したし 融資は受けられます 社長が決断してくれるなら 俺も… セカンドラインをやりたい え… （梶）猿橋さんが？ （繭子）そう 知らない間に 融資の話とか つけてきちゃって セカンドラインやりたいって 言うから びっくりしちゃった へえー で 社長は？ ううん そっか 大量生産は簡単じゃない やっと分かった でも ひどいっすよねえ 瑞希さんと史香さん バイトの俺でも ムカつきますよ ２人は分かってたんだと思う え？ お金とか人とか タイミング揃うのは 今しかないって だからって そうだね どっか行きませんか？ え？ あっ いや… 単純に 腹減ってないすかって 意味で あっ 下心とか そういうのマジ 全然ないですから 行こっか あー お腹いっぱい ねえ 梶君ってさ すぐ お店の人と 仲良くなるんだね いやー あの大将 面白かったなあ 最悪っすよ バカな冗談ばっか言ってきて せっかく２人になれたのに… なんか いっぱい笑ったから 元気になった えっ ああ ならよかった ん？ ああ… あれですか 宗介さんとは 連絡取ったりしてるんですか？ え？ えっ いや あれ？ いや 取ってないけど なんで？ えっ だって… あっ すいません 今のナシで あのね 私そういうの… いや 本当 ナシで はい 元気に 仕事 戻りましょう！ ちょっと 間違ってないと思いますよ え？ どんなにいい商品も みんなに知ってもらわなかったら 存在しないも同じ え… （梶）俺 手伝いますよ 売れるものを 作ってくださいね ビジネスですよ （藤村）STORYは Emotionじゃないんですから （ノック） （麗子）まだ帰らないの？ あら これ なんで これ しわくちゃなの？ 変ね 年をとるってイヤね （麗子）何 急に 変化についていくのが 精一杯のくせに 50過ぎて大人にならなきゃって もがいている かっこ悪くてイヤになるわ もがくの いいじゃない 達観してるババアなんて 乾燥ヒジキみたいに 戸棚に取り残されるだけよ フッ… 何 その例え それに そういう あなたの姿を ちゃんと見てる子たちもいるわ （足音） え… あ… （瑞希）元気？ （繭子）はい　おかげさまで （瑞希）フッ… おかげさまって… 嫌み？ （繭子）そうですね 瑞希さんは？ 自分のブランドが持てて 満足ですか？ 充実してるわ 残念ですね え？ コンセプトもデザインも 一から全部 自分で作ってたら もっと喜べたのに 作れるわ これから いくらでも 分かってます 売るためには 仕方なかったんですよね みんな 仕方ないって 思いながらやってるんですよね 堅物のおばさん え？ 南上社長 ああ 口悪いし ワガママだし 自分 曲げないし そうね でも 私… あの人は 本物だって思います だから 私は 仕方ないって思わない 売り方を探します STORYなんかあげます え？ あんなアイデア いくらでも出てきますから （繭子）だから 謝ってるじゃないですか！ うわっ 逆ギレ 何それ 若者の特権？ 隠してたのは俺なんです 本当 すいません （繭子）いや そもそも キャンセルしなかったのは 私だから！ キャンセルし忘れちゃったのは 仕方がないわよ まあ ああいう時だから でも 何これ！ 変なオッサンとか来ちゃったら どうすんのよ！ こうでもしなくちゃ お客様は増えません！ そうですよ 我ながら すげえ いいアイデアだって思ってます 俺だったら絶対 行く （猿橋）だから それが違うんだって じゃあ もっと他の何かを 提案します とにかく 世の中の人に もっと知ってもらうってことが 大切なんですから そのとおり だからトランクショーだけじゃ ダメなんです もっと 来たことが ないような方にも 来てもらわないと じゃないと STORYには勝てません もう STORYはいいわよ！ 思い出したくもないわ 大体 もとは このシャンパン… （麗子）瑞希さん お願いします ここで働かせてください え？ （猿橋）今なんつった？ 俺の耳がおかしいのか？ （瑞希）どのツラ下げてって 思いますよね 私もそう思います 何があっても 私に この店のドアを 開ける資格はない 分かってます でも 来るしかなかったんです 近くまで来ても あの角が曲がれない もう何年も通った道なのに 足が出ない 何度も行ったり来たりして （猿橋）あなたの心情なんか どうでもいいんですよ 何やってるんだ 自分で選んだ道じゃないかって 帰ろうとする でも そうすると今度は 足が勝手に こっちに向くんです もう 頭と体がバラバラで 訳が分かんない でも １つだけ 分かってることがあって 何にも出てこないんです 自分の納得のいくものを 作るって言い張って 好きなもの作れって言われて 全部 与えられて なのに 私からは 何一つ出てこない 社長なら どうするだろう これは社長が作ったものに 似てるんじゃないか 社長 こういうの嫌いだな 社長… 私は やっぱり… あなたが作るものが 一番好きです （瑞希） 許してくれとは言いません もう一度 ここで 働かせてください 何でもします お願いします ４月のトランクショー それやめて　顔を上げてよ ４月のトランクショー 私は… 西沢瑞希のデザインを 採用するべきだった あれは よくできてた Emotionの商品として 十分 ありえた あれを切らせたのは 私の間違いだった 後悔してるのよ すみません フッ やろっか セカンドライン え？ （南上）こんなもの やるくらいなら セカンドラインやったほうが マシよ ええ？ サル 資金のメドは 立つのよね？ はい うるさい広報もいる やたら前向きな バイト君もいる これまでの仕事を 支えてくれている 優しいベテランもいる デザイナーもいる （南上）二度も 超えられなかった壁だけど 今なら 超えられそうな気がするわ ただし 私は正しいことをやって 売れるわよ やりましょ 正しいことをやって 嫌われましょう！ 嫌われてるみたいに 言わないでよ 嫌われてるんじゃ ないんですか？ なんで？ こんな優しいのに あー そう だったら… 飲みましょ 優しい社長のおごりよ （麗子）冷やそう （梶）はい よかったっすね うん あー ヤバい これマジなやつだ 何？ 藤村でしょ え？ あいつは俺が倒しますよ （ひろみ）すいません （麗子）あっ はーい あら 塚本ひろみ様 （ひろみ）すいません もう終わってるかなって 思ったんですけど 電気がついてたから （麗子）どうぞ どうぞどうぞどうぞ 社長 社長！ ああ どうも （南上）まあ （ひろみ）お久しぶりです あの これを （南上）ああ！ ありがとうございます いや うれしい 今これ 本当うれしい えっ でも 2500円ですよ？ うれしいですね 社長！ あなた ペース早いわねえ （繭子）やっぱり こういうお客様に 来てもらいたいんですよ 社長 社長ってば！ うるさいわね 分かってるわよ もっと見てもらいたいんです こんな雑誌なんかじゃなくて もっと… 社長 ショーやりませんか？ えっ!? うん いい！ いい いい

キャロリング～クリスマスの奇跡～＃06

1 じゃけん 大将は わしに 英一郎を預けたんじゃろうが｡ さあ？ 弱音吐かせて やっぱり お前はあかん言うて➡ どっかに追いやる口実を 探してるのかもしれません｡ そんなに 大将が嫌いか？ 大嫌いです｡ (俊介)航平！ 折原！ (航平)<わたるが お母さんに 物語を見せると➡ 奇跡が起きました｡➡ お母さんが お父さんに会う事を 許してくれたのです｡➡ わたるは お父さんにも 物語を 読んでもらおうと思いました｡➡ そうすれば もっと すてきな奇跡が起こる！➡ …はずでした> ♬～ 航平！ 折原！ ☎ はい 坂本整骨院です｡ …え？ おい！ 今 整骨院に 脅迫みたいな電話があって…｡ 脅迫？ ｢子どもを誘拐した｣って…｡➡ ｢警察には言うな｡ 2,000万 用意しろ｣って｡ 2,000万!? (祐二)嘘だろ!? だって さっきまで いたじゃないか！ 航平？ 航平？ 航平！ (祐二)嘘だろ？ 嘘だろ…｡ ♬～ ♬｢あなたを愛する｣ ♬｢命の果てには｣ ♬｢奇跡が 舞い降りる｣ もしもし 警察ですか？ おい やめろ！ 駐禁車両を 取り締まってほしいんですけど｡ はい｡ 横浜市中区 ﾌﾀﾐﾋﾞﾙの前です｡ はい よろしくお願いします｡ どういうつもりだ？ 警察呼んだりして…｡ 俺が 赤木ﾌｧｲﾅﾝｽに行ってくる｡ あんたは車に残って 警察が来たら➡ なるべく 話を引き延ばしてくれ｡ もしもの時は 携帯鳴らすから➡ 警察を連れて 俺を助けに来てほしい｡ …分かった｡ 本当に駐禁取られないでくれよ｡ 赤木です！ うちのレイ そっちに行ってませんか？ そうですか｡ 分かりました｡ あのバカ…｡ (ドアが開く音) 何だ お前か｡ 何の用だ？ 俺の連れは どこだ？ 何の話だ？ とぼけるな｡ あんたの指図で誘拐したんだろ｡ 昨日の腹いせか？ 俺が？ 大嶽のじいさんを？ 事務所も顔も割れてるのに そんなバカな事する訳ないだろ｡ 頭わいてんのか？ じいさんじゃない｡ 捜してるのは 子どもと女性だ｡ 子どもと女｡ あいにくだが…｡ これが誘拐された場所に落ちてた｡ あんたの部下のだろ｡ 似たような眼鏡なんて いくらでもあるだろ｡ あいつらは？ 取り立てに回ってるよ｡ 何なら呼び戻そうか？ 腹いせで誘拐…｡ 素人の考えそうな事だ｡ 寝言は寝て言え｡ 女ってのは お前の女か？ そうじゃない｡ 俺は 嘘は嫌いだ｡ 嘘じゃない｡ じゃあ何だ？ 勝手に… 思ってるだけだ｡ なら… しっかり見張っておくんだな｡ おい！ 素人だからって 訳の分からない因縁つけて➡ タダで済むと思うなよ｡ ２度目はないぞ｡ すいません｡ 急に おなかが くだっちゃって｡ 今すぐ動かします｡ お願いしますね｡ 航平は!? いない｡ いたのは 赤木だけだった｡ 隠してる様子もない｡ けど…｡ けど？ きっと あいつらの仕業だ｡ 警察に言おう｡ それは駄目だ｡ 手遅れになったら 航平が 殺されるかもしれないんだぞ！ 警察に言って 逆上されたら どうするんだよ!? 頼む！ 俺だって➡ ２人に無事に 戻ってきてほしいのは➡ 一緒なんだよ｡ [ｽﾋﾟｰｶ] また 赤木さんからだ｡ 兄貴…｡ [ｽﾋﾟｰｶ] くっ…｡ すいません 赤木さん…｡ 石田も一緒だな？ あの… あの 俺たち➡ 整骨院の女と子どもを…｡ 今どこだ？ (赤木)人質は？ あの奥に…｡ 整骨院に電話して 身代金を要求しました｡ 何で こんな事した？ だって 赤木さん 金が要るんでしょ？ 金 用意しなかったら レイが…｡ 俺たち バカだし 意気地なしですけど➡ 赤木さんの好きな女 守るためなら これぐらい｡ (石田)俺たち 赤木さんに 拾ってもらわなかったら➡ 今頃 どうなってたか｡ だから 赤木さんのためなら 何でもできます！ 赤木さん レイは 巻き込みません！➡ 俺たちが奪った金を 勝手に置いていくだけです！ バカ｡ (糸山)安心して下さい｡ 子どもは 整骨院の田所って男の息子です｡ いつも 子守が ２人ついてくるんです｡ 絶対 金持ちですよ！ 2,000万くらい 脅せば すぐ出します｡➡ 今まで お世話になりました｡➡ レイにも よろしく…｡ バカ｡ もう お前らの仕業だって バレてんだよ！➡ 昨日の男が さっき乗り込んできた｡ 追い返したが もう はっきり疑われてる｡ 通報されたら ｱｳﾄだ｡ まず 俺とレイから パクられる｡ そんな… 俺たち 赤木さんに 迷惑かけるつもりじゃ…！ もう かかってんだ｡ バカ｡ こうなったら 誘拐を成功させるしかない｡ 金をとったら 事務所を畳んで逃げるぞ｡ レイの借金返して 高飛びする｡ でも そんな事したら 赤木さんの立場が…！ お前ら引き取って レイ引き取ったんだ｡ 出世なんか とっくに縁がねえよ｡ 俺が なんとかしてやる！ 赤木さん…｡ みんなで逃げるんだ！ お前たちは…➡ 俺の家族だ｡ …はい｡ (ドアが開く音) ♬～ (勉)折原！ (圭子)航平！ (圭子)やめて！ (銃声) (圭子)ああっ！ 申し訳ありません｡ 俺が目を離したから…｡ (英代)悪いのは犯人よ｡ あなたじゃない｡ 警察には!? 警察に通報したら 人質の命はないって｡ さっき この動画が送られてきた｡ 動画のあとに もう一通 ﾒｰﾙが来て➡ そこにも ｢警察には通報するな｡ 次の指示を待て｣と｡ 身代金は 2,000万…｡ あなた名義の貯金も使えば なんとかなるわ｡ いいわよね？ もちろん！ (レイ)痛い！ [ｽﾋﾟｰｶ] 赤木です｡ レイのやつが 勝手な まねをしたようですが➡ 金は 俺がなんとかします｡ レイは返してもらいます｡ もう ほっといてよ！ 赤木さんには関係ないでしょ!? (赤木)糸山たちが 整骨院のガキを誘拐した｡ え？ 身代金は 2,000万｡ 俺とお前のためだそうだ｡ 俺が言った額から びた一文 上乗せしないなんて➡ あいつららしいよな｡ どうして…｡ (赤木)あいつらも お前の事を 家族だと思ってるからだ｡ 俺たちは家族だ｡ 行くぞ｡ (泣き声) 飯だ｡ 変な気 起こすなよ｡ ♬～ 坊主 何がいいんだ？ (航平)ｲﾃﾃﾃﾃｯ…｡ ﾂﾅﾏﾖ｡ お前 梅と昆布って… 年寄りじゃねえんだからさ｡ 気が利かねえなあ…｡ 悪く思うなよ｡ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] もしもし！ はい｡ 警察には連絡していません｡ 航平は… 航平は無事なんですか？ 無事なんですね｡ 折原は？ 一緒にいる女性は？ ♬～ お父さん？ 航平 大丈夫か!? ケガはないか？ ねえ 代わって｡ (圭子)航平？ お母さん？ ごはんは食べた？ うん｡ お握りもらったよ｡ 柊子が梅干し食べてくれた｡ そう…｡ 折原さんも無事なのね｡ 航平…｡ もっと話したかったら 3,000万だ｡ え…？ 2,000万のはずじゃ…｡ 気が変わった｡ 明日の正午に 受け渡しを指示する｡➡ それまでに用意しておけ｡ (英代)田所さん｡ (圭子)身代金を 3,000万にすると言われました｡ そんな…｡ (圭子)｢気が変わった｣って…！ (英代)お金は いつまでに？ ｢明日の正午に 受け渡しの指示をするから➡ それまでに用意しておけ｣って｡ あと 1,000万か…｡ (英代)あの 田所さん➡ 私にも 少し お手伝いさせて下さい｡ 廃業前で自由になる資金は 少ないんですが 200…➡ いえ 300万なら なんとか｡ (朝倉)それって 私たちの最後の給料じゃ…｡ おい｡ だって 年末は いろいろ物入りで｡ 今 言う事じゃねえだろ｡ まあまあ まあまあ！ あの… お気持ちだけで｡ 航平も 折原さんと一緒で どんなに心強い事か｡ あの… 俺にも少し 出させてもらえませんか？ え？ 300万～400万しか ありませんけど…｡ いいのか？ そこまでして頂く訳には…｡ 折原の事もありますから｡ 恋人なの？ いや…｡ でも➡ つきあってた時に➡ 結婚しようと思って ためた金なんです｡ だから…｡ ありがとう｡ すまない｡ 肝心の受け渡しは どなたが…｡ 俺が…！ 私が行きます｡ いや 俺が…！ 無理しないで｡ 震えてるじゃないの｡ ♬～ 情けないよな…｡ どうして 俺って こんなに臆病なんだろ｡ ♬～ これ｡ 航平が書いた物語だ｡ 航平が？ ああ｡ あいつ 今日 これを あんたに渡すつもりだったんだ｡ 車の近くに落ちてた｡ ｢町の ちいさな おうちに 三人家族が住んでいました｡➡ 働き者のお母さんと のんびり者のお父さんと➡ 一人息子のわたるです｡➡ 三人家族は笑ったり ｹﾝｶしたりしながら➡ 毎日 仲良く暮らしていました｣｡ (柊子) ﾉｰﾄ お父さんに渡せなかったね｡ けど 読んでくれたかも｡ わざと落としてきたから｡ 何が書いてあるの？ 僕が書いた物語｡ 物語…｡ 主人公はね わたるっていう 10歳の男の子なんだ｡ わたるのお父さんとお母さんは➡ 別居してるんだ｡ お父さんとお母さんを 仲直りさせようと思って➡ わたるが 必死に頑張るっていうお話｡ いい話だよな｡ 航平は 文章を書くのが うまいんだよ｡ あんたに褒められた事あるって うれしそうに話してたよ｡ 誰だって褒めるさ｡ 航平が書く話は独創的で 温かいんだ｡ あいつ言ってたよ｡ みんな ﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞじゃないと 駄目なんだって｡ あいつは そのために必死になってる｡ わたるの願いは ｸﾘｽﾏｽを 家族３人で過ごす事だ｡ どんなに臆病な父親でも あいつにとっては➡ たった一人の大好きな父親なんだ｡ 何としても… 家族で ｸﾘｽﾏｽを迎えないとな｡ (勉)すいません！ あの…➡ ﾋﾟｰﾀﾝ豆腐にね ﾗｵﾁｭｰね！ ﾍﾍﾍｯ！ ざらめもつけて ざらめも…｡ (いびき) うちも ｸﾘｽﾏｽは忘年会が待ってる｡ けど わたるが誘拐されるなんて ｴﾋﾟｿｰﾄﾞ➡ 想像もしなかったよ｡ わたるは どうなるのかな？ きっと 大丈夫だよ！ 誰が わたるを助けてくれる？ お父さんって 言いたいとこだけど➡ わたるのお父さんは ちょっと弱虫だから➡ やっぱり 大和かな｡ 柊子は 大和のどこが好き？ え？ 次は 柊子が話す番だよ｡ もう 終わった事だから…｡ えっ もう好きじゃないの？ ちょっとした事で すぐ怒るし➡ せっかちで 意地っ張りで 頑固で｡ ちょっと 子どもっぽいところ あるよね｡ ﾌﾌｯ あるある｡ ああ見えて 辛いものが駄目なんだよ｡ ｶﾚｰも超甘口だし➡ ガムも ﾐﾝﾄは駄目で いつも買うのは ﾌﾙｰﾂ味なの｡ へえ～｡ 初めて ｶﾚｰ作った時➡ 辛いのが駄目だって知らなくて 中辛を作ったら➡ お水 ５杯も飲んで｡ 僕だって 中辛でも平気だよ｡ けど いつもなら すぐに ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ怒るくせに➡ その時は ｢うまい うまい｣って無理して…｡ お代わりしてくれた｡ そういう優しいところが➡ 大好き｡ (足音) あっ おばさん｡ 寒くない？ ありがとうございます｡ さっきね 不謹慎かもしれないけど➡ ちょっと うれしかったのよ｡ え？ やっぱり 柊子ちゃんの事 思ってるのね｡ じゃなきゃ 結婚資金なんていう言葉➡ 出てこないわ｡ 俺は 折原に 本当の事は 何一つ話さないまま➡ 一方的に距離を置きました｡ 折原は 何度も 俺の心を 開こうとしてくれたのに…｡ 俺は 折原を傷つけてばかりで｡ 柊子ちゃん きっと 傷つけられてばかりだなんて➡ 思ってないわ｡ 大和は きっと助けに来てくれるよ｡ うん｡ [ｽﾋﾟｰｶ] ﾒｰﾙです｡ ｢ＪＲ品川駅港南口 13時に ﾀｸｼｰで｡➡ 携帯は持たずに➡ 目印として 喪服を着て 明るめの花束を持ってこい｣って｡ 携帯持たないとなると 追跡できないな｡ とりあえず 私 花束買ってきます｡ お母さんは 喪服の用意を｡ はい｡ 待ってくれ！ 俺に行かせてくれ｡ 俺が行く｡ あなた…｡ 俺は… 航平の父親だ｡ ♬～ 行かせてくれ｡ 航平の事 よろしくお願いします｡ ああ｡ 俺に任せるのは心配だろうけど➡ 帰ってくる時は 必ず 君の彼女も一緒だ｡ うちは家族で ｸﾘｽﾏｽ｡ そっちは ｸﾘｽﾏｽ忘年会だろ｡ 両方 無事に迎えられるように 祈っててくれ｡ ああ｡ ♬～ うまくいったかしら？ 渋滞情報は出てませんね｡ 予定どおり 着いてるはずなんですが…｡ ♬～ (ドアが開く音) お迎えだ｡ お父さん！ お父さん！ [ｽﾋﾟｰｶ] もしもし｡ 700万 足りないようだが どういう事だ？ すいません｡ 朝から精いっぱい かき集めたんです｡ けど 時間が足りなくって…｡ きっと 残りもお支払いします！ 警察にも言いません！ ですから 航平たちを返して下さい！ [ｽﾋﾟｰｶ](赤木)ふざけるな！ 残りの金も すぐに用意しろ｡ そんな… 無理です｡ [ｽﾋﾟｰｶ](赤木)無理な事はないだろ｡ 足りない分は 亭主の金持ちの 友達に貸してもらえ｡ もしもし！ もしもし！ やっぱり お前か｡ あんた ｢寝言は寝て言え｣って 言ったよな｡ 事情が変わったんだ｡ 金は必ず届ける｡ 警察にも言わない｡ 18時までに あと1,000万だ｡ 足りないのは 700万だろ｡ ﾍﾟﾅﾙﾃｨｰって知ってるか？ 場所は？ また連絡する｡ 待て！ 指図できる立場だと 思ってんのか？ すまない｡ 待ってくれ｡ 柊子は…｡ ３人は無事か？ 今のところはな｡ 本当か？ 言ったろ｡ 俺は嘘は嫌いだ｡ もし 俺が この女に何かしたら どうする？ 正直に答えても 彼女に危害を加えないなら答える｡ じゃあ 正直に答えないと➡ 危害を加えるって事にしよう｡ 殺してやる！ どんな事をしてでも殺してやる｡ いいだろう｡ 今から 交渉相手は お前に交代だ｡ <ｸﾘｽﾏｽまで あと３日です｡➡ わたるは 自分の物語が➡ ｸﾘｽﾏｽに 近づくにつれ➡ ﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞからは➡ どんどん遠ざかっていくような 気がしました>

釣りバカ日誌～新入社員・浜崎伝助～１st＃04

1 ただいま～｡ おかえり｡ おかえりなさい｡ 鯖に ｻﾝﾏに ｶﾏｽ！ もう目移りしちゃったけどね➡ ちゃんといいの買ってきたよ｡ ありがとう ごめんね急に｡ もう お前じゃﾀﾞﾒだ 目利きのﾊﾏちゃんに頼め！ みたいに おじさんが言うからさ｡ こっちだってﾊﾞｲﾄ代もらってるしさ 困ったときはお互いさまだよ｡ おじさんもいい歳して ﾐｻﾝｶﾞのﾏﾏにﾌﾗれて➡ あんなに落ち込んじゃってねぇ｡ ねぇ！ かわいいじゃないの そんな｡ ねぇ みち子さん➡ それ これはｱｼﾞの開きかな？ えっ？ うん｡ ｱｼﾞの… ああ そうなの へぇ➡ 初めて見たなぁ どんな味するのかな？ は？ 食べたことないんだよね｡ 食べたいの？ うん｡ もう｡ おはようございま～す！ おはようございますじゃないよ！ 何時だと思ってんだ？ これ｡ そう ねぇ 課長ね➡ 今日は珍しく 朝ﾊﾞｯﾁﾘ目が覚めたの｡ おう｡ だから いち早く出社して お世話になってる会社のために➡ ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ働こうと思った そのときですよ｡ たいへんお世話になってる 人から➡ ﾊﾏちゃんの助けが どうしても必要なのって➡ 泣いて頼まれちゃったの｡ だからってな➡ お前は会社員なんだから｡ えっ？ 会社があるからって➡ 冷たく断れと？ いや そんなことは 言ってないだろ｡ そんなさ 義理も人情もない 世の中でいいの？ 課長は｡ う～ん… まあ それはな｡ ほらね？ そうでしょ そうでしょ？ よかった 課長に優しい心が残ってて｡ だから 速やかに用事を済ませて 会社に直行したけれども➡ こんな時間に なってしまったってわけ｡ ああ そう｡ もういいよ｡ はい｡ あっ ﾊﾏｻﾞｷ｡ ﾊﾏｻｷだってばもう｡ どっちでもいいよ｡ 今日の午後 ｸﾗﾀ化学に行くから➡ お前も一緒に来い｡ そろそろ 得意先に顔を覚えておいて➡ もらったほうがいいだろ｡ いいじゃないですか 得意先回り｡ いいか？ ｸﾗﾀ化学の本社ﾛﾋﾞｰに １時だからな 遅れるなよ｡ １時ね｡ あっ なんで？ 課長も一緒に行きましょうよ｡ いや 私はこのあと会議があって➡ 用事を済ませてから行くんで 直接だ｡ いやいやいや 課長 だって だってさ １時でしょ？ 約束は｡ そういうときは 部下にお昼でもおごって➡ 気持よく一緒に行くっていうのが 上司でしょ？ まあ そりゃ そうなんだろうけどな➡ 用事があるからしようがないだろ｡ え～ ほんとかな？ ほんとだよ！ えっ？ ﾅｲｽｼｮｯﾄ！ 失礼します｡ あっ 佐々木君！ はい｡ ｸﾗﾀ化学は たしかｷﾐんとこの 担当だったな？ はい｡ これは ある筋からの 情報なんだが｡ はい｡ なんでも 豊洲のほうに 新社屋を建てる計画があるらしい｡ 新社屋…｡ これは まだ話が表に出る前だ｡ 今のうちに食い込んでみてくれ｡ はい かしこまりました｡ あ～あ こんな時間になっちゃって｡ 社食にしときゃよかったんだよ｡ さて どこだ？ 道をね 調べてないんですよね｡ あの 大丈夫ですか？ ちょっと よろけてしまって｡ あら大変だ｡ あの これはさ 接着剤か何かで くっつくんすか？ 買ってきましょうか？ いいんです➡ 私よくやるんです どこか修理のとこ探します｡ ありがとうございます｡ あっ いえ｡ あっ そうだ！ あの ｸﾗﾀ化学って知ってます？ あ…｡ このへんのはずなんですけど｡ 私も そこへ行くところなんです｡ ほんとに？ 靴がこんなんじゃなきゃ➡ ご案内するんですけど｡ ちょうどよかった｡ はい｡ えっ!? いや 乗ってください｡ それで案内してください｡ いいんですか？ もちろん はいはい｡ ありがとうございます｡ どうぞどうぞ｡ 失礼します｡ はい｡ 行きますよ｡ はい｡ よっ！ それ さあ どっちですか？ あの 上です｡ 上？ 階段…｡ なるほど～｡ (呼び出し音) う～ん あの野郎…｡ (呼び出し音) よし じゃあ ちょっと急ぎますよ｡ はい｡ 大丈夫です？ はい｡ 思ったよりあるなぁ…｡ 浜崎…｡ あっ 水野部長 お忙しいところ ありがとうございます｡ いやいや １人？ えっと… はい｡ じゃあ ５階の応接でいいね｡ はい｡ さあ｡ ≪よっしゃ 着いた！ はいはい はいはい｡ ありがとうございます｡ すみません｡ あれ 社長のお嬢さんだわ｡ えっ!? どうもありがとうございました｡ いいえ こちらこそ｡ あの お名前は…｡ あっ そうか えっとね 私➡ 鈴木建設 営業三課 浜崎と申します｡ ﾊﾏｻﾞｷさん？ ううん ﾊﾏｻｷ！ 部長 行きましょう｡ あっ 課長！ 課長！ もう…｡ あ～｡ 出るときに 声かけてくれ｡ それまで あんた休んでていいよ｡ あっ 休んでて？ うん いいよ｡ かしこまりました｡ 失礼いたします｡ はい｡ (ﾄﾞｱの開閉音) ｢週末は 横須賀沖で➡ ｱｼﾞが絶好調!!｣｡ ｱｯﾋﾋﾋﾋｯ！ [TEL] ん 浜崎はどこ行ったんだ？ [TEL] [TEL] なんだ いつものじいさんか｡ [TEL] もしもし？ 浜崎は今いませんよ｡ はい？ いや私？ 課長の佐々木というもんだけど？ あのね 今仕事中だから➡ また夜にでも かけ直してくれるかな？ ほんとに いっつもいつも…｡ ちょちょ… な 何やってんの？ 俺のｹｰﾀｲだよ あっ すみません お電話代わりました｡ なんだよ ｽｰさん ん？ 横暴な課長だ？ ねえ やばいね これ ﾍﾍﾍｯ｡ あのね 今週の日曜日どうですか？ あぁ 俺はいつでもいいよ｡ じゃあ なに？ 久々に勝負といきますか？ ｴﾍﾍﾍｯ！ 負けて吠え面かいたって 知らねえからな え ﾊﾏちゃん｡ あのさ 俺に勝とうなんて 100年早いよ？ あのね どっからくんの その自信はさ｡ だから 今度の勝負で もうｶﾞﾂﾝと決めてやりますよ｡ 浜崎 いいかげんにしろ｡ あっ｡ あんたもね くだらない話は もう これっきりにして｡ 課長 ちょっと ほんとにやばいよ それ｡ どこ行ってたの？ 朝なんだから➡ ﾄｲﾚに決まってんでしょうよ｡ 決まってるの？ うん｡ 私は昼だけどね いつも｡ [TEL] [TEL] はい 営業三課｡ はい えっ 倉田社長がですか？ だから！ どうしてできないんだ！ 厚木のﾗｲﾝを 切り替えればいいじゃないか！ 失礼します｡ (ﾉｯｸ) 四の五の言ってる時間はない！ ああ 今まで私の勘が 外れたことがあるか？ うん そうだ だったらやってくれ｡ わかったね？ 頼んだぞ｡ いやいや お忙しいところどうも｡ 鈴木建設の佐々木と申します｡ はい｡ 倉田です｡ あっ ありがとうございます｡ ｷﾐ 外してていいよ｡ はい さようですか｡ では 失礼します｡ はい ご苦労さん｡ (ﾄﾞｱの開閉音) あっ あっ｡ 浜崎伝助というのは あなたの部下ですね？ は はい｡ いったい どういう男ですか？ すみません！ ｲｯ…｡ お嬢様に失礼なことを｡ お詫び申し上げます｡ いやいや 別に謝られるようなことは…｡ は？ では どうして浜崎のことを？ 私はね 10年前に家内を亡くしましてね➡ 今 娘と２人暮らしなんですよ｡ はい｡ ところが 最近もうなんていうか ぼんやりして➡ 様子がおかしいんです いや娘のね｡ 何をやっても うわの空｡ 人の話も ろくに聞いていない｡ はぁ｡ 聞きますと｡ はい｡ この間 浜崎君に➡ ここに送ってきてもらった らしいんですよ｡ あっ ご迷惑だったんじゃないかと｡ いやいやいや…｡ それが 原因です｡ は？ 前にもあったんですよね こんなことが｡ はぁ｡ それに 娘の部屋には➡ 男女の相性を特集した雑誌と➡ 浜崎君の名刺が…｡ 私の経験則からくると➡ 娘は 浜崎君に… 恋煩いをしている｡ えっ こ 恋煩い？ えっ お嬢様が浜崎に？ 本当に？ 私の勘に間違いはない｡ は～ 不思議な趣味の人も いるもんだな｡ それで 佐々木さんに 浜崎君の人となりを聞いて➡ 悪い男でなければ➡ なんとか娘の力になってやりたい｡ は～ そうですか…｡ どうでしょうか？ はい｡ まあ私も前から あの男のことは➡ ひと味違うやつだと 期待をしておりました｡ それでこちら 御社の担当にと 連れて参ったわけでございます｡ そうでしたか｡ はい｡ いわば 鈴木建設 営業三課のﾎｰﾌﾟ｡ さすがお嬢様 お目が高いですね｡ では この話 進めてもらっても？ もちろんです｡ よろしく｡ う～ん うまそう｡ ねえねえ課長 無理しちゃっていいの？ こんな｡ いただきま～す｡ 山椒はいらないのか？ 大丈夫｡ ああ そうか｡ ﾊﾏｻﾞｷ｡ あっ ｻｷか ﾊﾏｻｷ君｡ 世の中 どう転ぶか わからないもんでね｡ ん？ ｸﾗﾀ化学の社長令嬢 詩織さんっていうんだけどな➡ その詩織さんが お前に恋をして➡ 食事が喉を通らないくらい なんだそうだ｡ ん～ ｳｿだよ｡ ほんとだよ｡ お前が強引におぶったのが よかったんだな｡ だからさ あれは 強引じゃないってば｡ わかってるって｡ ここは攻めの一手だ｡ 今度の日曜日 ﾃﾞｰﾄに誘え｡ ﾃﾞｰﾄ？ てかさ なんで そんな さっきから乗り気なの？ 当たり前だろ これはﾋﾞｯｸﾞﾋﾞｼﾞﾈｽにつながる…｡ うん？ うるさい｡ とにかく こういうときは 男のお前から誘ってやるもんなの｡ 食事でもいいし 映画でもいいし｡ これは業務命令｡ 強引だよ～｡ んっ 釣りは？ 釣りならいいよ｡ 釣り… 詩織さん 釣りに興味持つかね？ まあ いいや｡ お前の それで いいとこ見せて仲よくなれ｡ な？ これが連絡先だから｡ あ ﾀﾞﾒだ｡ なんで!? 今週の日曜 ｽｰさんと約束してた｡ ﾊﾞｶ！ そんなｸｿじじいとの約束なんか どうでもいいんだよ｡ あれ？ ｻｰﾋﾞｽﾗﾝﾁってこれ？ ちょっとおばちゃん｡ えっ!? 社長令嬢が ﾊﾏちゃんに一目惚れ？ だからなんだろうね わかる人には わかるのかな？ なんかこう 俺の魅力っていうのがさ｡ 何笑ってんだよ｡ だってよ なあ？ いや 課長に言われて 釣りをお誘いしたのね｡ そしたら すぐOKだったから｡ もの好きな人もいるもんね｡ こう言っちゃなんだけど ﾌﾞｽだろ？ ﾊﾞｶだな おじさんは｡ 美人も美人ですよ！ お～ 美人でお金持ち｡ うん｡ ﾊﾏちゃんに惚れる美人ね｡ う～ん｡ あっ でもさ もし それが本当だったら➡ 逆玉だって 夢じゃないんじゃない？ は？ 逆玉とかわかんねえし は？ 釣り船代が足りない なんて心配 もういらないんだよ？ 竿だってﾘｰﾙだって 買い放題じゃん！ 釣り三昧の毎日か これ｡ 夢は膨らむね｡ 仕事はしないの？ しない しない しない｡ ちょっとやめてよ もう｡ (戸の開く音) こんばんは｡ あっ｡ ｽｰさん｡ ｽｰさん いらっしゃい｡ どうも はい どうもこんばんは｡ ﾊﾏちゃん｡ うん？ あさっての釣りのことで➡ ちょっと聞きたいことが あったんで来ちゃった｡ 来ちゃったの？ ﾒｲ ｱｲ ｼｯﾄ ﾋｱｰ？ はい どうぞどうぞ｡ OK？ じゃあ ｺｯﾌﾟ｡ OK ｺｯﾌﾟをください｡ なんか みんな楽しそうだったけど 何があったの？ え？ そう あのね ﾊﾏちゃんにね 一目惚れした人がいるんだって｡ え？ そうなの ﾌﾌﾌ｡ あっ へぇ～ そんな へぇ もの好きな人がいるんだ｡ 何よ ｽｰさんまで｡ ｱﾊﾊﾊ｡ あっ ﾊﾏちゃん｡ うん？ あの あさっての 釣りのことなんだけど 狙い…｡ そう ｽｰさんね その日曜日なんだけど➡ そのさ 詩織さんって方と｡ うん｡ 釣りに行かなきゃ いけなくなっちゃった｡ え？ 私も一緒に行けばいいでしょ？ ２人で｡ えっ ２人っきりで行くの？ うん ２人っきりで｡ もの好きな女性と？ もの好きっておかしいでしょ｡ おかしいかもしれないけど…｡ でも ああそう｡ じゃ 私はいらないの？ しつこいな もう行ってもいいかな ｽｰさん｡ はいはい…｡ 出ちゃうよ 俺｡ ﾊﾏちゃん｡ (戸の開閉音) もう これから 釣りに行こうって誘ったって➡ もう 私 絶対行かないからね｡ 金輪際行かないからね｡ 最近 どうっすか？ 最近 結構いい感じですね｡ いい感じですか？ はい｡ いや 今日どうなるかな｡ じゃあ どうも｡ あ ごめんなさい ごめんなさい｡ どうしたの ｽｰさん｡ 来ちゃった｡ 来ちゃったの？ おととい ごめんね｡ いや いいけどさ｡ ほんとにごめんね ほんと｡ いやぁ やっぱりさ➡ 考えたんだけど 釣りのときは やっぱり一緒にいたいからさ｡ うん でも詩織さんと行くって 言ったじゃないの｡ うん｡ それは知ってんだけど｡ だから 決して邪魔しないようにするから｡ 邪魔しない？ できる？ できる できる｡ できるね？ わかりました｡ うん｡ あっ おはようございます｡ おはようございます｡ おはようございます｡ 今日は誘ってくれて どうも ありがとう｡ 前から やってみたかったんです 釣り！ 道具から何から 全部揃えてありますから➡ 任せといてください｡ はい｡ 乗りましょう｡ はい あの こちらの方は？ あ そう 俺の釣りの弟子なんですけど➡ 邪魔はさせないようにしますんで｡ そうなんですか｡ 鈴木と申します｡ 倉田詩織といいます｡ どうぞよろしく｡ ｽｰさんって呼んでください｡ ｽｰさん？ はい｡ 詩織さんでいいですか？ はい｡ 荷物お持ちしましょう｡ ありがとうございます｡ 行きましょう 行きましょう｡ はい｡ おかしいでしょ ｽｰさん やめてよ｡ 何？ ｽｰさん ちょっと｡ よいしょ はいじゃあｸﾗｯﾁ切って｡ はい｡ はい じゃあ落としますよ｡ お願いします｡ はい これでOK｡ あとはね 当たりを来るの 待っててください｡ ありがとう 釣れるといいな｡ 大丈夫ですよ 名人がついてんだから｡ そうね｡ あぁ… 風が気持いい｡ うん｡ ねぇ 気持いいよね｡ はい｡ こうやってね 風に吹かれてこう➡ 自然の波に こう揺られてるとね➡ もう 何もかも忘れられますよ ほんとに｡ わかります｡ ねぇ｡ そこの１人客のおじいさん 集中しないと｡ あのね 私は１人客なんでね➡ しゃべることは みんな 独り言なんです｡ あぁ おっきい独り言だ｡ おっ 私の竿に 来ましたね 当たりが｡ おいおい… すごいぞ すごいぞ｡ 私の仕掛けには やっぱり品があるんですね｡ ｲｼﾀﾞｲですよ ｲｼﾀﾞｲ ほら｡ わ～｡ すご～い｡ ほらほら…｡ え～｡ いや～ 20ｾﾝﾁはあるかな｡ えっと そちらの名人はどうですか？ あのね １匹釣ったくらいで 大きな顔しないでくださいよ｡ 大きな顔はね 生まれつきなんです｡ お産の時 大変だったって 母が言ってました｡ そうですか 失礼しました｡ はい どうも｡ うわっ すっげえ｡ これ 詩織さんの手作り？ はい｡ へ～｡ いやいや うまそう｡ よかったら 鈴木さんもどうぞ｡ いいんですか？ そちらお構いしなくて いいんじゃないですかね？ いいじゃないの くださるって言ってんだから｡ はい｡ いただきます｡ いただきます｡ よいしょ｡ うん うまい｡ ほんとですか？ うわ ほんとうまい｡ いや まあ手が込んでるわ｡ これ 作るの大変だったでしょ？ 今日は ちょっと早起きだったけど➡ お料理は いつもやってることだから｡ 私が高校の時に母が亡くなって 父と２人なんです｡ だから 家のことはなんでも｡ 父も任せっきりで 私がいないと 何にもできないんですよ｡ 何にもできない｡ でもね いつまでも➡ お父さんの面倒見るってわけにも いかないもんね｡ そうなんですけどね｡ んっ んっ｡ 詩織さん 来てるよ 来てるよ これ｡ ほんとですか？ 来てる来てる はいはい｡ これ どうしたらいいですか？ ゆっくり巻いて ゆっくり巻いて｡ はい｡ 何かな～｡ 何かな あっ 来た来た…｡ えっ？ おっきいよ！ ほら来た！ 鯖だ！ 鯖じゃない！ 釣れた！ おめでとう｡ すごいね おめでとう｡ 初ｹﾞｯﾄ？ はい｡ うわ すごいじゃないか｡ しかも こんなにおっきいの｡ 記念写真 記念写真｡ 記念写真 よし 撮ろうか！ お願いしてもいいですか？ はい いきますよ｡ おめでとうございます｡ はい ﾁｰｽﾞ よっ｡ おかしいでしょ なんで 写ってんのよ｡ いいじゃん｡ 替わんなさいよ ちょっとほら｡ はい｡ お願いします｡ はい おめでとうございます｡ はい はい 撮れました｡ 早い もう撮れてるの？ これ｡ 撮れてる 大丈夫｡ なんだよ｡ やった～｡ 薫ちゃん｡ ん？ 晩ご飯 何がいい？ あれ？ 出かけなかったの？ せっかく今日お休みだったのに｡ う～ん なんかあんま気が乗らなくて｡ ふ～ん｡ こんにちは｡ やっぱりいた みち子さん｡ ねぇねぇ 今日も いっぱい釣れちゃったからさ➡ おいしいお料理お願いします｡ だから なんで私が そこまでやんなきゃいけないの！ こんにちは｡ あっ こちら詩織さんです｡ 詩織さんは あんまりお魚料理を やったことがないんだって｡ だからさ あの 教えてあげてよ｡ 浜崎さんからとっても おいしいんだって聞いて➡ ご迷惑じゃなかったら…｡ はぁ…｡ ＜鯖とｶﾌﾞの揚げ浸しの 作り方はこちら｡ まず ３枚におろした鯖の身を ひと口大にします｡ 次に 鯖に片栗粉をつけ➡ くし切りにしたｶﾌﾞと一緒に ﾌﾗｲﾊﾟﾝで揚げ焼きにします｡ 揚げ焼きにすることで 少ない油でも➡ ﾊﾟﾘｯと仕上がるんです｡ その間に小鍋で合わせ調味料と ｶﾌﾞの葉を入れ ひと煮立ち｡ 最後に盛りつけた鯖とｶﾌﾞに➡ 合わせ調味料をかければ 出来上がり＞ おいしい！ でしょ？ みち子さん おいしいって！ 私 こんなにおいしくできないわ｡ ううん 詩織さんなら大丈夫｡ だって お昼のお弁当 とっても おいしかったもん｡ ほんと？ うん｡ みち子さんさ その ﾚｼﾋﾟっていうの？ 作り方 書いてあげてよ｡ そんなのありません｡ どうして そこまで｡ え～ いいじゃない 書いてあげてよ｡ 嫌です｡ だいたい 今日 定休日なんです｡ 家族でもなんでもないのに➡ いつも当然のように やってくるのは なんでですか？ まぁ ﾊﾏちゃんは 家族みたいなもんだよ｡ そうだよ｡ お休みだったなんて ごめんなさい｡ 私が悪いんです｡ つい甘えてしまって｡ 違います｡ このずうずうしいのに 言っただけですから｡ ちょっと ずうずうしいって そんな…｡ あの… そろそろ失礼します｡ みち子さん 教えてくれて どうもありがとう｡ 私も これで作ってみる｡ いやいや まだいいんじゃないの？ どうしたんすか？ 父も心配しますし｡ 片づけもしないで ごめんなさい｡ 失礼します｡ じゃあ 送っていきます 送っていきます｡ 大人だね～｡ それに引き替え…｡ 子供で悪かったわね｡ ありゃ ほんとに ﾊﾏちゃんに惚れてるかもね｡ なんだよ～ せっかく 楽しく飲もうと思ってたのに｡ あ～ 今日は釣りに来て 本当によかった｡ ここのところﾓﾔﾓﾔしてたから 気分がｽｯｷﾘして➡ ほんとに楽しかった 浜崎さんのおかげ｡ ﾍﾍﾍ いいでしょう 釣り｡ えぇ｡ また今度 行きましょうよ｡ ｶﾜﾊｷﾞなんかも おもしろいから｡ はい！ 浜崎さんみたいに ｽｯと誘ってくれたらいいのに｡ ん？ なんでもない｡ じゃあ ここで｡ 今日は どうもありがとう｡ あ… うん｡ 気をつけて｡ よし 次は何食いたい？ すき焼き｡ 昼から すき焼きか｡ もうちょっと 消化のいいものがいいな｡ お薬あるでしょ｡ どうしちゃったんですかね 課長｡ 浜崎君と肩まで組んじゃって｡ また ご乱心じゃなきゃいいけどな｡ 課長 ｸﾗﾀ化学の倉田さんが 応接で お待ちです｡ 倉田社長が？ えぇ｡ あっ 倉田社長 お待たせいたしました｡ 時間があったんでね 寄らせてもらいました｡ それは わざわざ ありがとうございます｡ あっ すみません｡ は？ はい｡ いや～ ありがとう｡ 浜崎君のおかげだ｡ ゆうべの娘はね 上機嫌でね｡ 魚なんか 持って帰ってきて｡ それじゃ うまくいったんでしょうか？ やっぱり 私の見立てたとおりだ｡ はい｡ それでね ぜひ 浜崎君に会いたいと思ってね｡ どうぞ｡ どうも｡ あれが ﾊﾏｻﾞｷ… いやいや ﾊﾏｻｷです｡ ああそう｡ いやいや…｡ 顔が ひどいね おい｡ 顔が ひどいよ｡ ちょっと失礼｡ いや～ 娘がたいへんお世話になって…｡ ありがとう｡ えっと… どちらの娘さんでしょうか？ 倉田社長 これは 浜崎ではございません｡ あ… あ そう｡ いい男だから てっきり｡ 魚住と申します｡ 失礼した｡ 社長 こちらが浜崎でございます｡ あっ そう｡ おっ ｷﾐか｡ ﾊﾊﾊ… どうも｡ 社長 これが 浜崎でございます｡ すみません｡ すみませんって何？ あいつ 趣味変わったな｡ 倉田社長ってさ… わかった 詩織さんのお父さんだ！ 社長だよ 社長 なれなれしいな｡ どうも｡ 浜崎君か｡ どうも｡ 昨日は ありがとうね｡ いえいえ こちらこそ楽しかったです｡ それはよかった｡ 詩織さんは釣りの才能ありますよ｡ ああそう｡ 釣りとは思いもかけなかったな｡ 釣りは いいですから｡ でね➡ また詩織さんと 行こうって言ってるんですよ｡ お父さんも一緒に どうです？ ﾊﾊﾊﾊ！ そうだね まあ そのうちね｡ それよりも ｷﾐも娘を 気に入ってくれて よかったよ｡ これからも よろしく頼むよ｡ 任せてください お父さん｡ ﾊﾊﾊﾊ！ 佐々木さん｡ はい｡ ちょっと｡ はぁ｡ 本当に 無礼な男で 申し訳ございませんでした｡ う～ん 見た目は ちんちくりんだが➡ ものおじしない 気持のいい男じゃないですか｡ そうでしょうか｡ 失礼いたします｡ 浜崎君 他に女がいるなんて ことはないでしょうな｡ そんなもの好きは いないと思いますけどね｡ 失礼いたしました｡ 佐々木さん これは 相談なんだがね｡ はい｡ うちのは 一人娘です｡ 今すぐ 結婚というわけにもいかないが➡ そうなれば ゆくゆくは会社のこともある｡ 私としては そばに置いて じっくりと教えたい｡ えっ それは 浜崎をｸﾗﾀ化学にくれと｡ そうです｡ そうなりますと 我が社との関係は…｡ うまく話をまとめてくれれば➡ 新社屋だけではなくて 今後 一切の工事を➡ すべて 鈴木建設にと｡ そうなれば 佐々木さんも｡ その立て役者として 社内での私の立場も｡ これは 失礼いたしました｡ はい 浜崎くれてやります｡ 上半期における 建築事業の受注高は➡ 目標の1,500億にわずかに欠ける➡ 1,450億でございました｡ 次に土木事業ですが｡ 秋山君｡ はい｡ それもあれだろ これに全部 書いてあるんだろ｡ だったら いちいち長々 読まなくてもいいよ｡ はい｡ それより 今後の営業展開は どうなってんのかな｡ なんか 目玉になるような ﾄﾋﾟｯｸないのかい｡ 部長｡ ｸﾗﾀ化学の件は｡ ｸﾗﾀ化学｡ ああ そうか｡ え～ ｸﾗﾀ化学に新社屋建設計画が あるという情報を得まして➡ 営業三課で動いております｡ ほう｡ 進捗状況に関しては 三課の佐々木のほうから｡ はい｡ これは 受注が 決定いたしましてから➡ 報告いたすつもりでしたが➡ ｸﾗﾀ化学社長と直接 折衝いたしました私の感触では➡ 新社屋 単独受注はもちろん➡ 今後 発生いたします 関連工事一切を➡ 我が社が 請け負うことになるかと｡ しかし これには 条件がございまして｡ なんだい？ 営業三課の 浜崎伝助のｸﾗﾀ化学への移籍です｡ 浜崎伝助!? はい｡ しかし なぜ浜崎君を？ はい 倉田社長には➡ 詩織さんという お嬢様がいらっしゃいまして➡ その詩織さんが なぜか 浜崎にぞっこんなんですね｡ まあ 結婚するなら 自分の手元に 置いておきたいと➡ そういうことです｡ 倉田詩織か｡ だったら出せばいいじゃないか｡ 彼なら影響は ｾﾞﾛ｡ むしろ ﾌﾟﾗｽかと思われますが｡ 出そう｡ はい｡ へえ あの浜崎さんに縁談ね｡ それで あなたはどうなさるの？ まあ 会社としては 悪くない話なんだけどね｡ 釣り仲間がいなくなるのが 寂しいんでしょ｡ 本音 言うとな｡ だから弱ってんだよ｡ 会社員としては どうなの？ う～ん 鈴木建設の社員としては➡ 仕事のほうは なんていうか｡ だったら 浜崎さんにとっては いいお話かもしれないわね｡ だって ゆくゆくは社長さんかも｡ おう そうか｡ はい｡ (ﾉｯｸ) 社長 今朝の建設新聞 ご覧になりましたか？ これだろう｡ ｸﾞｽﾞｸﾞｽﾞしてたら ｸﾗﾀと つきあいの深い➡ 兼髙建設に持ってかれますよ｡ あぁ… そいつは まずいな｡ ですから 浜崎を早く差し出して 話をまとめましょう｡ しかしな… 我が社の社員を 売り渡すってのもなぁ｡ なんで ただの新入社員を出すのに そんなに躊躇するんです｡ しかも 前代未聞のﾀﾞﾒ社員ですよ！ でもな 常務…｡ こっちで 勝手に決めるわけにも いかんだろう｡ 本人が納得すればいいんですね｡ 浜崎｡ 絶対 寝てない｡ いいから ちょっと来い｡ ねえねえ 課長…｡ 今のをさ 居眠りでｶｳﾝﾄしちゃったら➡ ちょっと もう 俺 生きていけないよ｡ 完全に寝てたろ｡ 黙って話聞け｡ お前が この営業三課に配属になって➡ もう ２か月になるな｡ へぇ～ そう｡ 遅刻 居眠り 無駄話 ｽﾞﾙ休み 誤字 脱字｡ 私は毎日 毎日 毎日 小言をいってきたわけだ｡ そうっすね｡ お前も嫌な思いをしただろうけど｡ それは別に そんなに…｡ それも➡ 今日で終わりだ｡ あら なんで？ お前は ｸﾗﾀ化学に移籍するの｡ 移籍？ なんで？ 倉田社長の たっての希望だからな｡ 何が不満なんだ｡ 違うよ｡ 俺は この会社が好きなの｡ えっ？ できれば この会社で ず～っと働いていたいの｡ お前…｡ みんなは優しいし➡ 課長の小言を我慢してれば こんなに好き勝手やって➡ 給料もらえるんだから｡ なんだ それ！ ﾊﾞｶ！ あのな お前は もう移籍するの｡ 社長命令なんだから これは｡ 今 なんて言った？ え？ うちの社長が 俺を出していいって言ったの？ 当たり前だよ｡ お前が移籍したら➡ 100億からの仕事が 請け負えるんだぞ｡ 出していいどころか 出ていってくれだよ｡ あ そう… あのｸｿじじい｡ ん？ 上等だ！ わかった 行ってやらあ！ おっ 行ってくれる？ ああ 行こう 行こう｡ ありがとう ﾊﾏｻﾞｷ君！ ﾊﾏｻｷ君 ﾊﾏｻｷ君！ 絶対 行ってやらあ！ ｲﾀﾀﾀ…｡ 絶対 行ってやるんだからな！ 本人が承諾した？ はい｡ 私の説得にも 快く応じてくれまして➡ 明日にでも ｸﾗﾀ化学へ行きたいと｡ すぐにでも行きたいと｡ すぐにでも行きたいって？ はい｡ あの野郎…｡ [TEL] はい 営業三課です｡ ええ… いますよ｡ これ ｼﾞｼﾞｲがくれたやつだ｡ あげる｡ わかりました｡ 浜崎君｡ んだよ！ あっ？ 課長が 社長室に来るようにって｡ 上等だよ｡ 失礼します｡ (ﾉｯｸ) 浜崎君がまいりました｡ やあ ほんとに よく決断してくれた｡ ありがとう｡ いや 会社のためとか そんなんじゃないっすから｡ こら 浜崎！ なんだ その態度は…｡ まあ まあ…｡ 上着を着なさい｡ 今後 何百億もの 売り上げになるんです｡ おおいなる貢献ですよ｡ まあ あなたにね➡ ご足労願ったのは 他でもないんだけれども➡ ひとつだけ 聞いておきたいことが あるもんだから｡ 着ない？ 着ない？ 着ないね｡ あのね あなたはね➡ なぜ ｸﾗﾀ化学行きを 決めたんですか？ なぜ？ はい｡ そりゃ ｽｰさんに 裏切られたからでしょうよ！ 何… 何？ ｽｰさん？ あの ｽｰさんというのは こいつの釣り仲間の➡ じいさんのことでして｡ ああ｡ 釣りを 一から教えてやったんですよ｡ さんざん 目かけてやったのに あっさり切り捨てですよ！ ﾊﾊﾊ｡ あなたは… 何にも わかってないもんな～ って｡ どうしたんですか？ ほんとの友達だと思ってたのに｡ 浜崎 もう その じいさんの話はいいから！ いや… もういいんです いいんです｡ 僕もね 愛想が尽きましたよ｡ なので➡ この鈴木建設とやらは きっぱり辞めて➡ ｸﾗﾀ化学に行きます！ はい｡ ほんとに ありがとう｡ ちょっと待ちなさい｡ はい？ その ｽｰさんとかいう その御仁はね➡ 私は思うに まあ…｡ いや いいんです社長｡ その じいさんのことは➡ 社長には まったく 関係ございませんから｡ もう ｽｰさんとは絶交です｡ いやね あんな下手くそと つきあわなくていいと思うと➡ せいせいしますよ！ あなたは何にも わかっとらんな～ と思うよ！ え… 何を そんなに興奮されてるんですか？ ああ…｡ わかった｡ あのね➡ あなたが選択したんだから 好きにしなさい｡ では社長 結論を｡ 浜崎伝助君 あなたには➡ ｸﾗﾀ化学に行ってもらいます｡ わかりました 行きましょう｡ 行きますよ！ 今日俺 用ないよな？ はい｡ 降りる｡ えっ 社長!? 拓也さんは このまま１人で➡ 九州に行くつもりなの？ だって 今はしようがないだろ｡ 急なことなんだし｡ 私は 結婚も考えてたんだけどな｡ そりゃ 僕だって｡ だったら…｡ 社長が許すわけないだろ｡ そもそも 今回の九州転勤だって➡ 僕がしくじったから 社長が…｡ え？ ｽｰさん？ ごめんなさい ついつい声かけそびれちゃって｡ ごめんなさいね｡ お知り合い？ ええ｡ あの よろしいですか？ はい｡ いや～ 話 いろいろ聞いちゃいました｡ お二人はあれですか？ 恋人どうしで いらっしゃるんですよね？ ええ｡ まあ｡ 将来は 結婚したいと 思ってらっしゃる？ はい｡ そっか ﾊﾏちゃん勘違いなんだ ﾊﾊﾊ｡ 浜崎さん？ いや まあ それは➡ こっちのことなんですけども｡ 誰？ この前 釣りに行ったって 言ったでしょ？ その時に ご一緒して｡ 釣り好きのおじいさん？ そういえば 今日は感じが違いますね｡ ああ そうですかね｡ まぁ 釣りじゃないですからね 今日は｡ ﾊｯﾊｯﾊ｡ あの 差し出がましいこと うかがいますけど➡ お二人の結婚について 何か障害があるんですか？ ああ… 詩織さん お父さんのことあるか｡ ええ｡ 父が１人になってしまう ことを思うと➡ どうすればいいのか…｡ 詩織さん あの…｡ 釣りを通して お友達になったんですから➡ 何か私のような者でも➡ お役に立てればなあと 思うんですがね｡ よく来てくれたね｡ はい｡ 鈴木社長 私はね 浜崎君とは一度会っただけだが➡ 実にいい青年です｡ 鈴木建設は いい人材を採っておられると➡ 感心しております｡ いや 恐れ入ります｡ 我が社に来たら 私の手元に置いて➡ じっくりと育てますので どうぞ ご安心を｡ それは 浜崎にとっても 望外の喜びでございます｡ なっ？ もうひとつ お願いがあるんですが…｡ 何でしょう？ うちの詩織と➡ 浜崎君の結婚の際には ぜひ仲人を鈴木社長に｡ ん？ 結婚？ 俺が？ 詩織はね 母親を亡くしてから➡ ずっと私のために食事を作って➡ 掃除をして洗濯をして 家を守ってきてくれました｡ だが あいつのためには そのままじゃいけない｡ あいつが選んだ相手と 一緒になれるんだったら➡ そのほうが ずっといい｡ それが 俺？ そう｡ ってことは 社長の婿？ そうなるね｡ 釣り三昧！ ﾊﾞｶ！ なんで そういう発想になるんだよ｡ いや 実はですね 社長｡ はい｡ 私どもが 今日 うかがったのはですね➡ 社長にですね ぜひ➡ 会っていただきたい人が おりまして｡ 会う？ どなたでしょうか？ お呼びしても よろしいでしょうか？ どうぞ お入りなさい｡ 失礼します｡ 前田 どうした？ 社長 お願いがあります｡ あとにしなさい｡ 九州行きのことか｡ いえ｡ お嬢さんと結婚させてください！ な… なんだって！ あれ？ 今 何て言った？ 結婚したいって｡ え？ 詩織さんに縁談があると聞いて 気づきました｡ 詩織さんが 他の誰かと 結婚するなんて耐えられません！ 僕は 詩織さんを 誰よりも愛しています！ 前田…｡ ですから お願いします！ お前… 何を言ってるか わかってるのか！ でも あれ… 倉田社長のお見立てでは➡ お嬢様は 浜崎に…｡ そうだ… 詩織は➡ この 浜崎君のことを…｡ (ﾄﾞｱが開く音) 詩織…｡ あれ？ お前… まさか？ お父さん！ 私 拓也さんと一緒に 九州に行きたい！ 詩織… 何だ お前ら！ 藪から棒に！ つきあってたのか！ 倉田社長 たいへん➡ 差し出がましいことを 申し上げます｡ お嬢さんの詩織さんは➡ 自分が嫁ぐことで➡ あなたが 独りに なってしまうことがつらくて➡ なかなか これまで 言い出せなかった｡ 特に 彼が 九州行きの転勤が決まって➡ なおのこと言い出せなかった｡ 詩織さん 若いうちは➡ 自分が幸せになることだけ 考えてればいい｡ 自分の子供が幸せになるのを➡ 喜ばない親なんて どこにもいませんからね｡ お父さんは あなたの幸せだけを 心から願っているんです｡ だから お父さんの目を見て➡ 前田君も しっかりと お願いしなさい｡ 拓也さん｡ お願いします｡ お願いします｡ 立ちなさい｡ お父さん｡ このたびは ほんと 申し訳ない｡ このとおりです｡ こちらこそ ほんとに➡ とんだ早合点で 申し訳ございませんでした｡ ﾊﾊﾊﾊ…｡ 何が 三課のﾎｰﾌﾟだよ｡ あれ？ 結婚しないの？ 俺｡ 知ってて言わないなんてさ ｽｰさんも人が悪いんだよ｡ あれじゃ 当て馬じゃないよ｡ 当て馬じゃないって｡ むしろ 恋のｷｭｰﾋﾟｯﾄﾞよ｡ ﾊﾏちゃんのおかげで あの拓也君は➡ 倉田社長に 思いの丈を ぶつけることできたんだから｡ う～ん｡ はい ﾊﾏちゃんに一目惚れなんて そんなはずはねえと思ったんだよ｡ ﾊﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊﾊ…｡ あ～あ！ 逆玉に乗り損ねちゃったね｡ ほんとだよ 夢の釣り三昧がさぁ｡ 乗り損ねてよかったんだよ｡ 社長の婿さんなんか なったら大変だよ｡ なんで？ いや だって…｡ 今日のところは魚づくしで➡ 勘弁してください！ 大ｻｰﾋﾞｽ｡ ｷﾝﾒだ！ どうも！ 早速 いただきます｡ ちょっと待って 待って｡ これ 俺のだから｡ 許してないよ！ 俺のこと 会社にいらないって言ったの｡ え～！ だから あれは誤解だって｡ はっきり 言ってたじゃないよ｡ そんなさ｡ ほんとに もう…｡ はい ﾊﾏちゃん どうぞ｡ あっ すみません｡ なんか いいことあったんですか？ 別に｡ じゃあね これで まるく収まったってことで➡ みんなで乾杯しようか｡ はい はいはいはい！ 信用ならないんだよな ｽｰさんは｡ え？ なんで… まだ そんなこと言ってんの？ はっきり言ったじゃないよ ｸﾗﾀ化学に行けってさ｡ いや そんなこと言うんだったらさ➡ ﾊﾏちゃんだって 絶交だって言ったんだよ 俺に｡ 違うね ｽｰさん あれはさ 俺も ついｶｯとなって➡ 言っちゃっただけだから｡ ああ また始まったよ もう｡ なんなのよ～ どんだけ寂しい 思いしたかわかってるの？ え～ 俺だって寂しかったもん｡ 寂しかった？ 寂しかったよ｡ そうか そうかそうか｡ でも 絶交って言ってごめん｡ もう言わないよね？ もう言わない｡

傍聴マニア０９～裁判長！ここは懲役４年でどうすか～＃03

1 　 ♪♪～ （美和）ん？ （北）あ　いや。 そういえば　何で北くんって 傍聴しようと思ったの？ 何でって…。 （靴音） あ～　たまたまかな？ タマタマ？ 違うよ！ たまたま 見てみようかなっと思って。 ♪♪～ 《被告人・田浦進一は→ 上司の送別会で 初めてキャバクラへやってきた》 《そこで接客についた 水谷桃花に一目惚れ》 《そして田浦は店の常連になる》 《彼女を何度も指名した後→ 店外デートへと こぎつけた田浦は…》 ♪～（桃花） （田浦）あ　あのさ。 ん？ これ。 女の子にプレゼントなんて したことないから→ 何　買ったらいいか わからなくて…。 あたしもプレゼント 持ってきたんだよ。 え？ はい　これ。 手編みのマフラー。 ♪♪～ 桃花ちゃん！ 《これで田浦の心に火がついた》 う～ん　美味しい！ （男）美味しいでしょ。 《勘違いした田浦は 桃花が自分以外の客と→ 店外デートをしていることに憤慨。 そして田浦のストーカー行為が始まる》 ♪♪～ （携帯のバイブ音） ♪♪～ （ドアを激しく叩く音） （田浦）桃花！ （ドンドン…） （田浦）桃花！桃花…！！ （ドンドン…） 《そのまま桃花は店をやめ 田浦の前から姿を消した》 《キャバ嬢に熱をあげた末の ストーカーか…→ 一見　バカな話だけど》 《僕だって　ハタチの子と キスしちゃったら…》 ♪♪～ ((北くん…)) ♪♪～ 《そりゃ火がつくでしょ！ 大炎上でしょ！！》 （非常ベルの音） （赤羽）罪名及び罰条。 ストーカー規制法違反。→ ストーカー行為などの 規制などに関する法律第１３条。 （裁判官） 今　検察官が朗読した起訴状に 間違いはありませんか？ 間違いが　あります。 《え？》 僕たちは付き合っているんです。 僕はストーカーじゃありません。 （裁判官）弁護人いかがですか？ （松永）被告人と同じ意見です。 《初めての否認事件だ》 ♪♪～ （裁判官）では　弁護人。 はい。被告人がした行為は ストーカーには当たりません。 交際中なら当然の行為です。→ まず　店外デートを最初から 尾行していたわけではなく→ 偶然　目撃してしまったのです。→ その後　２人のあとを追ったのは 恋人同士であれば→ ヤキモチの範疇であるはずです。→ それから　彼女のアパートまで 尾行したのではなく→ 待ち伏せていたのです。→ つまり彼女の家を元々知っていた。 そして　１日数十回の 電話やメールを送り続けたのも→ 彼女の行方が わからなくなってからです。 恋人が理由もなく姿を消したら→ 心配して連絡を取ろうとするはず ではないでしょうか。以上です。 《検察と弁護人の主張が まるで違う。→ これが否認事件なんだ》 美和ちゃんと山さんも こっち見ればよかったのに。 （山野） で　これ　付き合ってるっていう 根拠は何なの？ ふ～ん　それはですね～→ 女性の友人や 家族しか知りえない→ プライベートな携帯番号を 田浦が知っていたこと。 （チャイム） ２点目は　互いの家を 行き来する関係であったこと。 どうぞ入って。 うん。 ３点目は　桃花が 田浦の両親に会い→ 結婚をほのめかしたこと。 う～ん　それだけ聞くと→ 付き合ってるようにしか 思えないな。 でしょ！？こりゃ～無罪判決も あるんじゃないですか？ 有罪だよ！無罪なんて 刑事事件の１％もないんだよ。 それが見れたらすごいけどな。 見れるかもしれないんですよ！ この裁判で！ あのね　検事だって バカじゃないんだから→ 無罪の可能性を残して 起訴するわけないでしょ。 ストーカーってのは 微妙なんだよな～。 相手のことが好きだったらさ～→ ストーカーで訴えるわけ ないんだからさ。 じゃあ例えば　山さんが 美和ちゃんのあとをつけてたら→ それはストーカーに なるんですか？ なるわけねえだろ～。 俺と美和ちゃんの仲で。 ストーカーに決まってんでしょ！ 俺のこと嫌い？ そういう問題じゃないの。 じゃあ　どういう問題よ？ だって　山さんにあとつけられたら なんかキモイじゃん。 キモイって…。 じゃあ　山さんから毎日 メールがくるのは？ １日１回なら別にいいけど。 ２回は？ ２回はちょっとウザイかな？ ウザイんだ　俺。 あ！ごめん。そろそろ行くね。 午後のは見ていかないの？うん　ちょっと用事があるから。 じゃあね！ 北よ。 はい。 お前は俺のこと好きだよな？ あははは…はい。 あれ？美和ちゃん。 お待たせ。 お～。 待った？ ううん。大丈夫。 誰あれ？ さあ～知りませんけど。 親父さんかな？ どうなんでしょうね。 ちょっと気になるな。 気になりますね。 ♪♪～ 父親じゃ　なさそうだな。 あんな感じで　ボディタッチ しませんもんね　普段は。 ずいぶんソフトだ。俺達だったら 六法全書で　ぶん殴られてるよな。 あの…これって ストーカーじゃないですよね。 当たり前だ！俺達は偶然 目撃したんだよ。 田浦と同じように。 あ！移動しますよ！ ホントだ！ なんか悪い予感してきた。 何がですか？ アレ見ろよ。 まさか…そんなはずないですよ！ 美和ちゃんは そんな子じゃないです！ 俺もそう願いたいが…。 山さん　早く！見失いますよ！ ♪♪～ いよいよ　現実味を 帯びてきたってことですか！？ あれ？なんか涙出てきた。 大丈夫ですか？ うん…大丈夫。 泣いている場合じゃないですよ！ ほら　行きましょう！ こっち　こっち。 あれ？どこ行った？ ホテル入っちゃったんですかね？ １軒１軒　しらみつぶしに 調べていくぞ！ い～や　そんなことしたら本当に ストーカーで捕まりますよ！ 俺は許せないんだよ！ 美和ちゃんが　あんな男と！ ダメですって！ いいから入るぞ！ 痛い痛い…痛いのキライなんです。 山さん　ほんとバカ…。 あっ。 あっ。 何やってんですかね　僕達。 でもなんか　ストーカーって ドキドキするな。 犯罪ですよ！ わかってるよ。 　 何？ なんかついてる？ ああ…。 いえいえ。 ♪♪～ これから　検察側の証人で 被害者が証言します。 付き合ってるかどうかが ポイントです。 （赤羽）検察側から伺います。→ 弁護側は　あなた達は恋人同士 だったと主張していますが→ 実際は　どうだったのですか？ 恋人ではありません。 お客さんの１人です。 （赤羽） それでは　営業用の携帯ではなく→ あなた自身の携帯番号を 被告人に教えたのは何故ですか？ 田浦さんだけじゃなく 他の常連さんも知ってます。 （赤羽） 被告人と営業目的以外で デートしたことはありますか？ あります。上京したてで 友達もいなかったし→ 指名してくれた　お礼も兼ねて。 （赤羽） 被告人に誕生日プレゼントを あげたそうですね。 私も指輪をもらったので。 何をプレゼントしたんですか？ 手編みのマフラーです。 でも　私が編んだものでは ありません。 そういうプレゼントを用意して くれる　業者さんがいるんです。 《完全に　もてあそばれたな この男》 （赤羽） お互いのうちを 行き来していたのは本当ですか？ １回きりですよ。 私が酔って歩けなくなったのと→ 彼が酔ったので送ったのと。 （赤羽） 被告人の両親に会ったことに ついてはいかがですか？ 彼の両親が「早く結婚しろ」って うるさかったみたいで。 彼女のフリをしたら ドンペリ頼んでくれる約束でした。 （赤羽）終わります。 こりゃ　ただの客だな。 説得力ありましたね。 男ってバカだよね。 こんなことで「付き合ってる」 なんて勘違いする？ しちゃったんだよ　田浦は。 彼女とキスまでしたんだから。 でも　ひと回りも歳違うんだよ？ そしたら　本気じゃないことぐらいわかるでしょ　普通。 相手が若いからこそ 騙されるってこともあるよ。 そうですよね？しかも こんなに可愛いんだもん。 ２人まで桃花に騙されないでよ。 っていうか もう騙されてるから美和ちゃんに。 あんなこと～してるなんて。 何それ？どういうこと？ あ～いいの　いいの。 なんでもない。 （松永） あなたは　本当に被告人とは 付き合っていないんですね？ （桃花）付き合ってません。 では　あなたは被告人と性交渉を もったことはありますか？ ♪♪～ １度だけ…。 あなたは　被告人と性交渉を もったことはありますか？ 一度だけ…。 それは　付き合っていると いうことには　ならないんですか？ セックスしたからといって→ 付き合ってることには ならないと思いますけど。 《いや　なるでしょ　普通は》 それは　いつのことですか？ 私が彼を送った日です。 彼の家で押し倒されました。 （松永） 付き合っていないんだったら どうして拒まなかったんですか？ その日は　私も飲み過ぎてて… 気分が良かったんだと思います。 （松永） あなたは　気分が良かったから 被告人とセックスをした。 いけませんか？ ひどい…。 うん。 つかぬことを伺いますが→ あなた　上京するまで 男性経験がなかったそうですね？ えっ？ 被告人が 初めてだったんじゃないですか？ （松永） 本当に「気分が良かった」という 理由だけで→ 初体験の相手に 被告人を選んだんですか？ これってやっぱり 付き合ってるってことでしょ！ 確かに　処女となると話は別だよ！ そうでもないでしょ！ 早く初体験済ませたくて→ 好きでもない男と寝ちゃう子 なんて　ザラにいるんだし。 え～っ！？ 美和ちゃんも　そうだったの？ 私の話は　どうでもいいの！ 桃花は　そうかもしれないって話。 じゃあ　やっぱり２人は 付き合ってないと思うわけ？ わかんないけど…→ セックスフレンドの可能性だって あるわけでしょ？ セックス…フレンド…。 もうわからない… 美和ちゃんって子が…。 えっ？私の話じゃないって… 何なの？さっきから。 帰ろうかな。 ここにいるの　つらい…。 ねえ　私　山さんに何かした？ 山さん！裁判に集中しましょう！ 付き合ってたかどうかが 大事なポイントですよ！ 俺は　それよりも 美和ちゃんと　あの男が…。 わわわ～っ！！ 何？何？ あ　ほら　始まるよ～！！ （松永） あなたが上京してすぐに　キャバクラの バイトを選んだのは何故ですか？ 自分を　変えたかったんです。 私は　自分のことが あまり好きになれなかったので…。 （オーナー） もうちょっとさ 明るく喋ってよ。 はい…。 だから　いつまで経っても 指名取れないんだよ。 すいません…。 ≪桃花ちゃん　指名入りました！≫ 元気出していけよ。 はい…。 あちらのお客様です。 あ…こないだの…。 どうも。 こういうところ　１人で来たこと ないから　緊張してるんだ。 ああ…私も指名頂いたの 初めてなんで…。 何か　僕達浮いてるよね？ 　 《こうなる前の彼女は まだ初心だったんだ》 《それで　田浦と息が合った》 被告人は　毎日のように あなたを指名しましたね？ はい。 おかげで あなたの成績はあがった。 仕事をやっていける自信も ついたんじゃないですか？ はい。 ナンバーワンになれたのも→ 彼の力なくしては あり得ないことだと思いませんか。 そう思います。でも…。 彼は私がナンバーワンになったのを 喜んではくれませんでした。 何か今日　化粧濃くないか？ ごめん。ちょっと今 話しかけないでくれる？ やったぁ！ 多分　チークだよ。ネネちゃんに 習ったの。結構　評判いいんだよ。 俺はあんまり好きじゃないな。 ええっ？ このくらいのメーク 誰だってやってるよ。 ほら　周り見てごらんよ。 昔の桃花の方が　俺は良かった。 へえ…あれはダメでしょ。 地味すぎて　お水じゃ 生きていけないよ。 今日　終わってから メシ行かないか？ あ～　ごめん。 今日　アフター入ってんだ。 最近　毎日だね。 だってナンバーワンだもん。 寂しい？ 別に。 じゃあ　これあげるよ。 私だと思って可愛がって。 ≪桃花さん　あちらのお客様から 指名入りました≫ いらっしゃいませ。 久しぶりや～ん　もう。 お久しぶりです。 寂しかった！ 　 もう店　辞めてくれないか？ やだよ。 やっと１番になれたんだよ。 キャバクラだろ？そんなもんで １番になってどうすんだよ？ もう見たくないんだ。桃花が キャバクラなんかに染まっていくのを。 桃花！ 《女は変わった。でも男は 変わることを望まなかった》 《そのすれ違いで起きた 事件なんだ》 被告人に　特別な感情を抱いたこと はありませんでしたか？ ありました。 彼のおかげで 成長できたと思います。 けど…彼は　今の私を 認めてはくれませんでした。 もう　彼の顔を 見たくもありません。 　 （赤羽） そもそも　考えてもみて下さい。→ 彼女が あなたに好意があったにせよ→ あなたの電話やメールが 迷惑でなかったら→ 彼女は 訴えを起こさないんですよ？ ((この前のことは　謝るよ)) ((店　辞めなくても構わない！)) ((桃花！なんとか言ってくれよ！ なあ！)) ((触らないで！)) ♪♪～ 桃花！頼むよ！！ 桃花！桃花！ （田浦） 僕は　彼女が離れていった理由を 知りたかったんです。 今日　彼女の口から それが聞けてよかったです。 そして…僕がストーカーで あることも　よくわかりました。 桃花には… 桃花には　二度と会いません。 本当に…申し訳ありませんでした。 ♪♪～ 　 ♪♪～ 《２人は最初 同じ道を歩いていた》 《いつしか道は別れ 互いを見失う》 《この道が交わることは きっと　もうない》 ある意味 純愛と言えるだろうなあ。 まあ　困った男だけど　それだけ 彼女の事が好きだったんですよね。 何？２人ともストーカーの味方？ いや　そういうわけじゃないけど… ねえ？ ちょっとだけ　ストーカーの 気持ちがわかるっていうかさ。 サイテー！ストーカーなんて １番身勝手な犯罪だよ？ ねえ　美和ちゃんさあ 最近　純愛してる？ 純愛って…どしたの？ 山さんらしくもない。 俺ももしかしたら 田浦に影響されたのかもしれない。 あっ… 私　ちょっと行くとこあるから。 え　オシラスは？ また今度。じゃあね。 うん。 どうします？早く行かないと 見失いますよ。 いくぞ。 はい。 ♪♪～ あれ？また見失ったよ。 痛っ！ あ　痛っ！！ ったくもう。 ストーカーで訴えるよ。 （北・山野）ごめんなさい…。 っていうか「また見失った」って 言ったでしょ？ またってどういう事！？ あ…いやいや…あれは　その…。 ねえ　美和ちゃん！ この前の男は誰？こないだ ラブホテル街歩いてたでしょ。 あの人は…。 セックスフレンド。 セックス？ フレンド！？ また　ついてきたら 次こそ本当に訴えるからね！ もしかして　美和ちゃん…。 どうしたんですか？ フケ専かなあ？ ハァ！？ 俺にもチャンスが あるかもしれない！ あるわけないでしょ！美和ちゃん 逃げて！！どこまでも遠くへ！ ♪♪～

京都人情捜査ファイル＃02

1 むらに ならないようにな｡ (宮本英子)はい｡ (越坂清乃)お父さん｡ 文香が？ いきなり 怒ったりしないでね｡ お姉ちゃん 10年ぶりに帰ってきたんだから｡ くどい！ ♬～ 久しぶり お父さん｡ この10年 音沙汰もなく 何をしてたんだ…｡ とにかく ２人とも座って｡ お父さん… 今度の展覧会ね→ 私がプロデューサー務めてるの｡ 何？ (清乃)今度の展覧会って ｢大鉄幹展｣の事？ そうよ｡ 今日は その事で→ お父さんに 折り入って お願いがあって来たの｡ (岩瀬厚一郎)やはり 『京の雫』は出品未定のようだ｡ (戸隠鉄也)『京の雫』？ うん｡ ああ この茶碗の事ですか？ ああ｡ 越坂鉄幹の代表作だ｡ 20年前に一度公開されて以来 誰の目にも触れた事のない→ 幻の名器だ｡ この｢大鉄幹展｣で 会えると期待してたんだがな…｡ 鉄幹は まだ 出品を許してないようだ｡ 越坂鉄幹という人は 気難しい人なんですね｡ まあ それが 芸術家というものだ｡ ハッハッハ…｡ 確かに｡ 『京の雫』… 高いんでしょうねえ｡ 値段が付けられない｡ 力強くて美しく→ さらには わびた色気さえ漂っている｡ 目にした時には 時間を忘れ→ 立ち尽くしたものだよ…｡ (携帯電話) いつまでも 油売ってないで｡ 事件よ！ ｢了解｡ 被害者は？｣ えっ？ わかりました｡ すぐに！ (通話を切る音) 殺しです｡ 陶芸家の越坂鉄幹が 殺害されました｡ 何!? (加藤善浩)どうだ？ 後頭部の傷が 致命傷だと思われます｡ ♬～ 何度言ったら わかるんだ？ シエンは現場に来る必要はない！ 鉄幹さんには お嬢さんが ２人いると聞いたんですが｡ ああ 妹は母屋だ｡ 長女は 東京から京都に 出てきてるようだが→ 今 ホテルをあたらせてる｡ 撲殺されたそうですね｡ (ため息) 凶器って 見つかったんですか？ (加藤)ここには ない｡ 持っていったんだろう｡ とっとと仕事に行け！ あっ そうだ…｡ なんだ!? 『京の雫』は無事なんですか？ 『京の雫』？ はい｡ どうなんだ？ 仲田！ 作品は 全て揃ってます｡ 『京の雫』も あのとおり｡ これが 幻の…！ 駄目！ 駄目です｡ 触れないでください｡ (加藤)何やってんだ!? お前… おい 馬鹿！ あんまり興奮すると 血圧が上がりますよ｡ 高名な陶芸家のお父様ですので→ 世間の注目を 浴びる事になると思います｡ 例えば マスコミへの対応で お困りの際も→ わたくしども支援室に→ いくつかコメントの文例も ありますので→ 遠慮なく お申し付けください｡ 昨日まで お父さん そこで…｡ お父さん あんな目に遭わせた犯人 私 この手で殺してやりたい｡ 犯人は 必ず見つけ出します｡ また…！ (足音) (小藤)清乃お嬢様 すぐに 来てください｡ 文香お嬢様が…｡ さっさと 仕事始めて｡ 今度の展覧会にはね→ あなたたちの作品も 出品するのよ｡ お姉ちゃん… 無理よ こんな時に｡ お父さんが殺されたのよ？ (文香)だから何？ 日本の警察はね 優秀なのよ｡ 犯人なんか すぐに捕まるわ｡ (文香)ねえ そうでしょう？ 犯人が逮捕されたら 話題になって 展覧会のいい宣伝になるわよ｡ (清乃)お姉ちゃんは お父さんが こんな事になって→ 悲しくないの？ 私… 私は 展覧会なんて開けない｡ ふ～ん 開けないんだ｡ だったら 損害賠償を請求するわよ｡ 清乃 あなたに それが払えるの？ お姉ちゃん…｡ ああ そうか…→ もしもの時には 『京の雫』 売ればいいわよね｡ (英子)なんて事を…!! 私はね とうの昔に→ 越坂鉄幹とは 縁を切った人間なのよ！ (文香)鉄幹の名前の おこぼれ もらって生きてるような→ あなたたちとは違うの！ 帰って…｡ 今すぐ ここから出てって！ (泣き声) 清乃さん…｡ 〈全国各都道府県の警察には→ 犯罪による被害者や その家族を支えるため→ 犯罪被害者支援室が 設けられている〉 〈本来 支援室の人間に 捜査権はない〉 〈だが 彼ら特捜班は→ 人知れず捜査し 事件の早期解決を目指す〉 〈被害者と家族の心を 救うために…〉 (文香)被害者支援室？ 警察も色んな事やってるのね｡ ｢大鉄幹展｣のプロデュースを なさってるんですよね？ どうせ 調べればわかる事だから 先に言っておくわ｡ 父とは 昨日 10年ぶりに会ったわ｡ 10年ぶり？ 私が陶芸の道を捨てた あの日以来｡ 文香 お前の作るものには 魂がない｡ (割れる音) 清乃を見習い もっと自分を磨け！ (文香の声)それで なんの未練もなく うちを出たの｡ せいせいしたわよ｡ あんな父親のもとを離れられて｡ おたく 名前は？ 戸隠と言います｡ (文香)担当 彼がいいわ｡ えっ？ 彼なら 支援されてもいいわ｡ (ため息) ご指名ありがとうございます｡ ちょっと！ 支援室に そういうシステムは…｡ どんな支援してくれるのか 楽しみ｡ フフフ… じゃあね｡ はあ…｡ (清乃)確かに 姉は 10年ぶりに帰ってきました｡ 頑固な父ですけど→ 帰ってきた姉に 内心では ほっとしていたはずです｡ でも 姉のひと言が→ 父を 本当に怒らせてしまったんです｡ (文香)今日は その事で→ お父さんに 折り入って お願いがあって来たの｡ 展覧会に 『京の雫』を出してほしいの｡ 待って お姉ちゃん 『京の雫』は…｡ わかってる｡ お父さんが魂を込めて 死んだお母さんに捧げた作品｡ だから これまで 一度しか公開された事がない｡ だけどね 芸術って→ 人に見せてこそ 価値があると 私は思っているの｡ だから お父さん→ 出してください｡ 断る｡ 10年ぶりに戻ってきたと思ったら こんな話か…｡ お前がプロデューサーをやる というだけで→ 展覧会は中止にしたい｡ だが 懸命に準備をしている 弟子たちのためにも→ 展覧会はやる｡ だがな 『京の雫』は 絶対に出さん｡ お父さん 待って｡ 少しは 私の話…！ どけ！ 『京の雫』 必ず出させてみせる｡ まさか 『京の雫』のために→ 姉が父を殺したりは…｡ 姉は 感情的になると→ 自分をｺﾝﾄﾛｰﾙ出来なくなる事が あります｡ もし 姉が犯人だとしたら…｡ 落ち着いてください｡ まだ 捜査は始まったばかりです｡ そうですよね｡ 姉が父を殺したりなんて…｡ どうかしてますよね 私｡ すみません…｡ 行きますか｡ こんなところで 特捜の話を？ あの親父なら 心配いらん｡ ああして鑑定してる時は→ 何が起こっても 目にも耳にも入っちゃいない｡ 越坂鉄幹の事件か？ はい｡ 父親を殺害され→ 姉が犯人かもしれないと 思い悩んでいる妹がいます｡ この事件は その清乃さんのためにも→ 早期に解決しなければなりません｡ 捜査一課は 姉の文香の線で 動き出している｡ 文香というのは→ ｢大鉄幹展｣のプロデューサーでも あるそうだな｡ はい｡ 『京の雫』の出品を→ 鉄幹さんに 断られたにもかかわらず→ 必ず出品させてみせると 言ったそうです｡ 動機がないとは言えません｡ たかが茶碗だが 『京の雫』となると 話は別か｡ あの茶碗には→ 殺人を犯しても 手に入れたい 何かがあるのかもしれん｡ 俺には 姉の文香も→ 父の死に憤り 悲しんでいるように見えました｡ でも 父親が死んで→ 展覧会の宣伝になるとまで 言ったのよ｡ だからこそ 何か裏があるような 気がするんです｡ 特捜支援の許可を お願い出来ませんか？ ♬～ 牡丹？ 特捜を許可する｡ ありがとうございます｡ 越坂文香が犯人じゃないとしたら 何を調べようっていうの？ (清水安裕) 現場から盗まれたものは？ ありません｡ (星野佳世)やっぱり→ 怨恨の線が濃厚かもですね｡ 現場には 争った形跡がありませんでした｡ 越坂鉄幹に恨みを持つ 顔見知りの犯行が考えられます｡ １年前の事ですが さっき こんな話を…｡ (鉄幹)弟子の分際で 何を考えているんだ!? 破門だ｡ 二度と わしの前に 顔を見せるな！ 言われなくても 今度 会うとしたら→ あなたの葬式の時だ！ 辞めた男の名前は 大山光彦｡ 所在がわからないので 星野君 よろしくお願いします｡ 了解です！ 清水さんは ｢大鉄幹展｣を｡ プロデューサーである 越坂文香の周辺に→ 怪しい人間がいないか お願いします｡ 嗅ぎ回ってきます｡ 現場に凶器がない事から→ 犯人が持ち込んだ 計画的な犯行かもしれません｡ 花園君は 凶器を探ってください｡ これ 岩瀬部長が 手に入れてくれました｡ 鉄幹さんの傷の資料です｡ 了解｡ 室長は 表の支援を｡ 清乃さんに寄り添ってください｡ 当然よ｡ ♬～ 大山さんとは 仲よくさせてもらってますよ｡ 今は 嵯峨野で ご自分の工房を持って→ 作品作りをされてますよ｡ 大山工房ってところです｡ 嵯峨野の大山工房ですね？ ええ｡ (小藤)やはり 京都日報さんも→ 文香お嬢様が怪しいと にらんで 取材をなさってるんですか？ それは なんとも…｡ だけど 大山さんと文香お嬢様が 昔 付き合ってたって事は→ つかんだんですよね？ だから 大山さんの事を…｡ 恋人同士だったんですか!? 越坂文香さんと 大山光彦って人は｡ ああ…｡ (英子)小藤さーん｡ 裏の掃除 終わりましたよ｡ (小藤)ご苦労さん｡ もういいですか？ ありがとうございました｡ いえ｡ (三宅)弁護士さんも大変ですねえ｡ (清水)鉄幹先生の遺産の事もあり→ 作品をしっかりと リスト化したいものですから｡ なるほど…｡ これが ｢大鉄幹展｣に出品予定の 作品目録です｡ (三宅)残念ながら 『京の雫』の出展は無理でして｡ プロデューサーだった鉄幹先生の お嬢さんも→ ｢大鉄幹展｣から手を引きたいと 申されましてね｡ もう てんやわんやですよ｡ 文香さんが プロデューサーでは なくなるんですか？ まだ お聞きに なってませんでしたか？ 昨日の事ですが→ ｢私が関わっていたら 迷惑がかかるから｣と申されて｡ 迷惑がかかる？ 意味深な言葉だと 私も思ったんですよ｡ 鉄幹先生を殺したのは 文香さんじゃないかって噂も→ 耳に入ってますしね…｡ ♬～ (仲田)どうですか？ うん 異状ない｡ 鉄幹さんの致命傷から割り出した 凶器の形状です｡ これ なんでしょう？ 壺か花瓶の一部分のような…｡ でも 現場から持ち出された作品は ないんですよね？ (ため息) (ドアが開く音) あっ… 清乃さんには 会えましたか？ ええ…｡ (清乃)父をあんな目に遭わせた 犯人を→ 早く捕まえてください｡ それが たとえ 姉であろうと…｡ たとえ お姉さんが 犯人であっても… ですか｡ 戸隠さんは どうあっても→ 越坂文香が犯人じゃないって 思いたいの？ そういうわけじゃありません｡ だったら 何？ 支援室の仕事は→ 被害者と被害者の家族の方に 心を開いてもらう事から始まるの｡ 支援室の人間が心を開かないで どうするの？ (携帯電話) あっ…｡ すみません｡ 戸隠です｡ えっ？ はい １年前に大山が辞めたのは→ 越坂文香との交際を 反対されたからだと思います｡ 10年前に家出した娘と 付き合ってたって知ったら→ そりゃあ怒りますよね…｡ (足音) あなたか…｡ 大山なら 材料の買い出しよ｡ そうですか…｡ あなたは ここで何を？ フフフ… 知ってるんでしょう？ 大山と私の事｡ ただ なんとなく 寄ってみただけ｡ そういう事ってあるじゃない？ 男と女って…｡ わかります｡ フフフ…｡ ああ…｡ あっ ろくろですか？ ちょっと やらせてもらっても いいですか？ どうぞ｡ どうやって ひくんだっけな？ えーっと…｡ このペダルを足で踏んで｡ はい｡ (文香)結構 上手じゃない？ 以前に ちょっとだけ…｡ 心を静めたいと思って 始めたんです→ 妻が死んだあとに｡ 奥さん 亡くなったの？ 守ってやれなかったんですよね→ 俺…｡ あっ 待って…｡ ゆっくり 回して｡ 回して…｡ ごめんなさい… 疲れてるみたい｡ いや いいんですよ｡ 俺にしてくれたみたいに→ お父さんに ろくろを教わったんですか？ 小さい頃｡ (鉄幹)いいなあ～ 文香｡ お前には才能がある｡ 天才だ｡ (鉄幹)ハハハッ… そうそう そうそう｡ いやあ… いい出来だなあ！ 愛されていたんですねえ お父さんに｡ そして あなたも お父さんの事を 愛してたんじゃありませんか？ あんな父親を？ ふざけた事 言わないで｡ もう帰るわ｡ 二度と会う事はないかもね｡ ゆうべ 感じたんですが→ 越坂文香は 父である鉄幹さんの事を→ 愛していますよ｡ ですから 彼女は 鉄幹さんの事を 殺してはいないと思います｡ 彼女に会ったの？ はい｡ 室長に言われたとおり 心を開いてみたんです｡ (清水)室長…！ 心を開けなんて 戸隠さんに言ったんですか!? で 戸隠さん ２人っきりで 心 開いちゃったんだ｡ 心を開くのに ２人っきりはマストだ｡ あっ！ まさかのまさか 心だけじゃなくて→ あんな事や こんな事…｡ もう 報告は終わり！ 仕事に戻るわよ｡ もしかして ジェラシー？ 違う！ (加藤)しばらくは 滞在の予定のはずでしたよね｡ もうお発ちに？ 通してください｡ 時間がないんです｡ (仲田)お待ちください｡ (文香)あっ…！ ♬～ あんたのハンカチに付いていた 血痕だが→ 父親のものと一致したよ｡ こいつに付いた血を ハンカチで拭き取ったんだな？ (加藤)あんたの持ってた茶碗の 底の部分の形が→ 父親の後頭部の傷の形状とも 一致した｡ 展覧会への『京の雫』の出品で もめて 父親を殺した…｡ そうじゃないのか？ そうよ｡ 私が殺した｡ 何しようっていうの!? (加藤)おい 何しに来た!? 戸隠さん…！ 本当なんですか？ 文香さん｡ 本当よ｡ あの夜 この茶碗を父に見せに行ったの｡ 父の事 見返してやろうと思って｡ そしたら… 10年前と変わらなかった｡ 突き返されて カーッとなって→ 思わず その茶碗で…｡ (笑い声) そしたら あっけなく死んじゃった｡ (笑い声) (加藤)笑うな！ お姉さんが逮捕されて 今のお気持ちは？ 鉄幹先生のアトリエは このあと どうなさるんですか？ やはり…｡ 被害者支援室の者です｡ どうか 取材はお控えください！ 清乃さん！ お引き取りください！ お願いします！ しかし 我々には 知る権利があるんだ！ それが大事なのも わかってます｡ でも 被害者家族の方の気持ちも わかってあげてください！ お願いします！ 清乃さん！ 姉は… 姉は 本当に逮捕されたんですか？ はい…｡ やはり 姉は 『京の雫』の事で 父を…？ 捜査が進んだ時に お話しします｡ どうして 何も教えてはくれないんですか？ 申し訳ありません｡ 支援室として マスコミの対処は しっかりやります｡ お答えになりたくない事があれば 答えなくて結構です｡ ♬～ 何しようっていうの？ 犯罪被害者支援室の者です｡ 大山さん…｡ 越坂文香さんは こちらの窯で→ 今 凶器とされている茶碗を→ 鉄幹さんが殺害されたあとに 焼いたんじゃありませんか？ ゆうべ 私は→ 風呂敷包みを持った文香さんに お会いしました｡ もし あの風呂敷包みの中身が→ 昨日 ここで焼き上がったばかりの 茶碗なのだとしたら それは→ ３日前に鉄幹さんを殺害した 凶器にはなり得ない｡ つまり… 文香さんは犯人ではない｡ (大山)帰れ｡ 話す事はない｡ あなたは 文香さんが 殺人犯になってもいいんですか!? お願いします｡ 無実の娘が 父を殺した犯人に なろうとしている｡ この事を黙って見過ごすわけには いきません｡ あなたも→ 文香さんが ろくろをひけない事は ご存じのはずだ｡ 彼女には焼く事は出来ても あの茶碗を作れはしない｡ 文香さんが ろくろをひけないって…｡ 精神的なものか 肉体的なものかは わかりませんが→ いつの日からか→ 文香さんは ろくろを ひけなくなっていたんです｡ だから 彼女は 鉄幹さんの家を出た｡ 鉄幹さんを失望させないために→ わざと衝突したように見せかけ→ 彼女は 自分から 陶芸家の道を 諦めたんだと思います｡ そうじゃありませんか？ そうですか…｡ このままいけば 間違いなく 文香さんは起訴され→ 父親を殺した罪で裁かれます｡ ♬～ 待ってくれ｡ 10年前 鉄幹先生の娘という プレッシャーから→ 文香は ろくろをひけなくなった｡ それは 今も変わっていない｡ 誰が ろくろをひいたものかは わからないが→ 鉄幹先生が殺された日の深夜→ 文香が ここへ持ってきたんだ｡ ここで焼いてほしいと言って｡ 殺された日の深夜…！ この茶碗に間違いありませんか？ 間違いない｡ ありがとうございます｡ これで 文香さんを救えます｡ 文香さんが持っていた茶碗は 凶器ではありませんでした｡ じゃあ 本物の凶器は 一体 どこに？ (花園)はい｡ この鉄幹さんの傷の形状と→ そっくりなものを 見つける事が出来ました｡ なんやと思います？ もったいぶるな｡ いいから 早く教えなさいよ！ (花園)『京の雫』です｡ 文香さんが持っていたのは→ 本物の凶器である『京の雫』の 身代わりです｡ (佳世)幻の名器に似た形状の器…｡ そんなもの 簡単に作れるんですか？ 相当の技術を持っている人ならば 可能という話でした｡ その人が犯人…｡ そして 文香さんは その犯人をかばっている？ ちょっと待って｡ 現場の『京の雫』から 血液反応は出なかったんですよ｡ 室長 今夜 俺がする事に 目をつぶってもらえますか？ 今度は何をしようって…？ 全ては 『京の雫』が鍵を握っています｡ 支援させてもらいます｡ ♬～ 盗んできたの!? 借りてきただけですよ｡ 部長…｡ この『京の雫』から 何か手がかりがつかめますか？ いかがですか？ よく出来てはいるが…→ 偽物だ｡ えっ!? これが？ なるほど…｡ これで はっきりしました｡ 本物の『京の雫』を持っている 人間が…→ 犯人です｡ そいつを どう あぶり出すかだな｡ はい！ (清乃)京都府立伝統文化博物館の 三宅さん…｡ 本日は 越坂鉄幹先生追悼の意を込め→ ぜひ ｢大鉄幹展｣のご再考を お願いしたいと存じ→ お邪魔しました｡ 今は そんな事 考えられません｡ 文香さんが逮捕され→ それどころではないという お気持ちは 十分にわかります｡ ただ この者の…｡ 今年で112歳になる祖母が→ 今度こそ 『京の雫』が見られると 楽しみにしてるんです｡ (清水) 彼のおばあちゃんと同じように→ 鉄幹先生の作品を 待ち望んでいる方々が→ 大勢いらっしゃいます｡ 今を逃せば もう二度と見られないという→ ご高齢の方たちの手紙も 数多く寄せられて…｡ その方々のためにも どうか→ ｢大鉄幹展｣を もう一度 お考え願えないでしょうか｡ お願いします｡ このとおりです｡ お願いします｡ でも 今すぐというわけには…｡ はい 承知しています｡ つきましては 明日にでも 『京の雫』を見せて頂いた上で→ お嬢様にとって 一番いい時期に 展示をさせて頂ければと→ 考えている次第です｡ (佳世)ご苦労さま｡ もう… 花園の小芝居のせいで→ 見破られるんじゃないかと思って ヒヤヒヤだったけどな｡ 何 言うてるんですか｡ 完璧やったやないですか｡ お前ね 打ち合わせじゃ 80歳のばあちゃんだったんだぞ｡ 無事 いってきました｡ ご苦労さまでした｡ 犯人は 『京の雫』が 一般公開されない事を→ 熟知している人間です｡ だから 偽物を保管していても 誰も気づかないと→ 高をくくっていた｡ それが 公開される事になると 知ったら…｡ 偽物と取り替えるために→ 本物の『京の雫』を 持ってきてくれるはずです｡ ♬～ ♬～ あなたほどのスキルがあれば→ 偽物なんて 作れちゃうんでしょうね｡ 小藤さん｡ 罠か…｡ 文香お嬢様が怪しいと にらんで 取材をなさってるんですか？ あなたは あの夜も そうやって→ 本物と偽物の『京の雫』を 入れ替えた｡ 師匠への挑戦ですか？ 小藤さん あなたって人は…｡ お前なんかに 俺の気持ちがわかるか！ 手が届きそうで 手が届かない 越坂鉄幹という存在が→ 邪魔で仕方なかったんだよ！ だから 贋作とすり替える事で→ 俺の力がどんなものか 見せつけてやりたかったんだ！ でも 一般公開されると聞いて 怖気づいちゃったんですよね？ だから こうして 本物を戻しに来た｡ どうして 鉄幹さんを殺したの？ あれは事故みたいなもんだ｡ あの時 鉄幹が ここに来なかったら…｡ 誰か いるのか？ 先生…！ 小藤 何をしてるんだ？ なんだ？ それは｡ なぜ 『京の雫』が２つあるんだ？ 違うんです｡ これは…｡ (鉄幹)見せてみろ｡ 待ってください…｡ (鉄幹)見せろ！ うわっ！ (小藤の声)気が動転して 本物の『京の雫』で…｡ あっ！ あっ… あっ… ああ…｡ ♬～ (小藤の声)だが それだけじゃ終わらなかった｡ 文香が やって来たんだ｡ (文香)お父さん？ お父さん！ 小藤 あなた まさか…！ (小藤の声) 俺は とっさに思いついた｡ こいつを身代わりに 出来るんじゃないかと｡ どうやって？ だましてやったのよ｡ 俺が鉄幹のゴーストをやってる という作り話をしてな…｡ (文香)あなたが お父さんのゴーストを？ (小藤)ええ｡ 先生は→ 『京の雫』を超える作品を作れず 悩まれていました｡ それどころか→ ここ何年も 思うようなものが 作れなくなっていたんです｡ そんなの嘘よ！ 本当です｡ だから 僕がゴーストとして 作品を作っていました｡ けど もう 我慢の限界だった…｡ 僕は 自分の作品を 作りたかったんです｡ その事を先生に言ったら→ いきなり 僕の首を絞めて 殺そうとなさって→ それで もみ合っているうち とっさに あの『京の雫』で…｡ あの女 本当は父親を尊敬していると→ 大山から聞いてたから→ 父親の名誉を守るためなら 代わりに→ 犯人になってくれるんじゃないか と思ったら 案の定…｡ これから 警察に自首します｡ 待って｡ 今の話 警察で…？ はい｡ 何もかも 話すつもりでいます｡ あなたが本当の事を話したら お父さんは どうなるの？ (文香)作品を作れなくなって→ 弟子に作らせていた事が 世間に知れ渡ったら→ お父さんは… 越坂鉄幹の名は どうなるの!? だったら 僕は どうしたらいいんですか!? ♬～ 私が犯人になります｡ (小藤)そんなの無理です｡ 警察が信じるわけがありません｡ 信じさせます！ お父さんと衝突して 10年も家を出たきりの私なら→ 疑われても不思議じゃない｡ (小藤の声)さらに 面白い事を言い出した あの女｡ でも 『京の雫』で殺したなんて 言いたくない｡ 『京の雫』は お父さんが魂を込めて→ 死んだお母さんに捧げた 作品だから｡ だったら→ 『京の雫』の代わりになるものを 僕が用意します｡ これです｡ (小藤の声) あとは焼くだけにしてあった→ 『京の雫』の贋作の一つを 文香に持たせたんだ｡ そして 文香さんは→ 大山さんの工房で 色だけ変えて焼いた 偽の凶器を→ わざと警察に発見させた｡ あなたのせいで お姉ちゃんは…！ (小藤)そこまでは うまくいったのにな…｡ おい！ ふざけるなよ｡ お前のせいで 死なずに済んだ人が死に→ 悲しまなくていい人が 悲しむ事になった…｡ それがどういう事か わかってるのか!? (加藤)おお シエン｡ お前ら なんの関与も しちゃいないだろうな？ まさか！ 私たちの仕事は 被害者家族の心を支える事だもの｡ 犯人を縛って 床に転がすなんて… 無理！ じゃあ あれは一体 誰が？ 清乃さんじゃないですか？ 鉄幹さんの娘さんですから→ 合気道ぐらい 習ってたかもしれませんよね｡ (加藤)かも？ …かもしれないわね｡ 特捜支援 完了しました｡ うむ…｡ 越坂文香の犯人隠避の罪は 免れないですよね？ だが シエンの仕事は まだ残ってるぞ｡ 牡丹の花言葉 知ってるか？ いえ…｡ ｢姉妹の愛｣だ｡ お姉ちゃん…｡ ご迷惑をおかけして 大変 申し訳ございませんでした｡ あんな男の言う事を信じた 私が馬鹿でした｡ ひどい事言って ごめんね｡ 私こそ ごめんなさい｡ あの… 一つだけ わからない事があるんです｡ あなたは 『京の雫』を出品しないと 言った お父さんに怒っていた｡ なのに どうして 事件の夜 工房に行ったんですか？ 父に 電話で呼び出されたんです｡ (鉄幹)お前が ろくろをひけなくなったのは→ わしのせいだろう｡ わしが悪かった｡ 許してくれ｡ 今度の展覧会に 『京の雫』を出品するよ｡ どうだ？ これから見に来ないか？ うん… うん｡ ♬～ ♬～ ♬～ (清乃)お父さん ああ言っていながら→ お姉ちゃんの事 許してたのね｡ だから 余計に あなたは→ 鉄幹さんの名を傷つけまいとして 身代わりに…｡ もういいんですよ｡ もう泣いていいんですよ｡ ♬～ お姉ちゃん…！ ♬～ (川原澄江)誰に殺されたんだよ…｡ (髙木幸嗣)こんな奴→ 家族でもなんでもありませんよ｡ 詐欺？ このお年寄りの人たちと 友達になってきてください｡ しらばっくれるんじゃねえぞ！ あなたに お兄さんの本当の姿を お見せしたいんです｡

新選組血風録＃12

1 （永倉）三浦殿　こちらへ！ （三浦休太郎）かたじけない！ ＜慶応３年１２月７日　新選組は→ 坂本龍馬暗殺の嫌疑を かけられた→ 紀州藩士　三浦休太郎を警固中に→ 踏み込んできた土佐の海援隊 陸援隊の一党と→ 激しい斬り合いとなった。 いわゆる天満屋事件である＞ ♪♪～ （土佐藩士）引け！ （土方）斎藤！ 深追いするな。 三浦殿は　もう逃げた。　落ち着け。 （斎藤）俺達は　何をしてるんだ…。 斎藤。 たった１人を守るために このような犠牲を。 ♪♪～ ＜京の町は混沌としていた。→ この夜の出来事は ２６０年続いた徳川の世が→ ついに崩壊する事の 小さな予兆にすぎなかった＞ ♪♪～ （テーマ音楽） ＜これは　幕末の世に　剣に生き 剣に散っていった→ 最後の武士達の物語である＞ ♪♪～ （近藤）この金は？ （善右衛門）金　４千両 新選組に　ご用立ていたします。 これだけの金を 黙って　受け取るわけにはいかん。 どういう事だ？ 源平の争いの折→ 平家に代わって　京の都に 入ってきたのが　木曽義仲。 このお方 乱暴狼藉を繰り返しましてな→ えらい　皆の恨みを 買うたそうでございます。 その義仲を討つために 義経が　都へと入った。 はあ。　義経様は　義仲とは違うて 都の騒乱を鎮め→ 法皇様の御意を得て 判官という位を与えられました。 その事が　後に 頼朝公の逆鱗に触れた。 はい。　義経様も 都を去られました。 この金は　私どもだけが 用意したわけではございません。 伊勢屋　丹波屋　瀬戸屋など→ 京の大店が 出し合うたもんでございます。 もう　いい。 ♪♪～ 京の都を　火の海にはしとうない。 それが　私ら 商人の願いでございます。 ♪♪～ そうか。 ♪♪～ この金は　ありがたく持ち帰る。 ただし　借用するという事で。 直ちに　証文を届けよう。 いや　証文など…。 善右衛門。 ありがたく　お借りする。 世話になったな。 ♪♪～ ＜篠原泰之進→ そして　阿部十郎。　彼らは→ 新選組と袂を分かった 御陵衛士の生き残りであり→ 新選組に　激しい敵対心を 持ち続けていた＞ （阿部十郎）伊東先生が斬られた あの日　京を離れていなければ→ 俺が　近藤を しとめてやったものを！ 残念でならん。 （篠原）お前の鉄砲の腕を 軽く見ていた近藤や土方に→ 一泡吹かせてやれたのにな。 ああ。 機会さえあれば 近藤を　撃ち抜いてやる。 ＜そして　１２月９日 新選組にとって→ まさに　青天の霹靂とでもいうべき 事態が起こった＞ ＜薩長を中心とする 武力討幕派の画策により→ 将軍　慶喜の政権返上と 江戸幕府の廃止が→ 天皇によって　宣言された。→ 世に言う 「王政復古の大号令」である＞ （容保）面を上げよ。 京都守護職　ならびに 京都所司代も廃止になる。→ これで　徳川家は 一切の政から遠ざけられる。 （広沢）薩長は　公方様の官位と 領地を没収しようとしてんだ。 それを拒めば 将軍家は　朝敵になるんだ。 朝敵？ 二条城に 詰めておられる公方様も→ いずれ　大坂に お移り頂かねばなんねえ。 大坂に？ 越前の春嶽殿　土佐の容堂殿→ 更には　尾張の慶勝殿まで これに同意した。 口惜しい事　はなはだしい。 将軍　慶喜公が　いま少し！ 殿！　殿は　いかがなさいますか？！ 近藤！ よい。 近藤。 はっ！ おぬし達は　いかがする？ 我ら　新選組 いかなる事があろうと→ 会津中将様と　命運をともにする 覚悟でございます！ たとえ　この京を去る事になっても あくまで戦い抜き→ 義は　どちらにあるのか 天下に知らしめてくれましょう。 近藤　よう言うた。 おぬしの言うとおりだ。 ♪♪～ 我らは　義を懸けた戦いに立つ。 そして　何としても　勝つ！ ♪♪～ ありがたきお言葉！ ♪♪～ （美代）新選組が　都から去る？ ええ　近いうちに。 そないな事 うちには　もう。 私は　世間話として お話ししただけです。 ただ…。 ただ？ 新選組のために　明日 一席　設けるつもりでございます。 そうですか。 それだけでございます。　ほな。 ≪（豊）お嬢様。 豊　どないしました？ （豊）自分にウソをついたら あかしまへん。 豊。 （豊）お嬢様を縛りつけるもんは 何もあらしまへん。 自分に　ウソをついたら あきまへんえ。 ♪♪～ 明日　料亭の濱清だな？ （山崎）へえ　鴻池さんが そのように伝えてほしいと。 げせんな　今さら　宴席など。 歳　勘ぐるな。 鴻池は　商人だ。 無駄金を使うはずがない。 ふん　金か。 土方副長 今日　近藤局長の命で→ 先日　鴻池さんにお預かりした ４千両のうち→ ３千両をお返しいたしました。 京の町から出ていくのに　金を もらうわけにはいかんだろう。 全て返そうと思ったが→ １千両だけは　餞別だと言って 頑として受け取らんらしい。 そうか。 ♪♪～ 今　斬り込めば　近藤や土方の首を 狙えるかもしれぬが…。 いくら酔ってるとはいえ 多勢に無勢。 我らだけでは 近藤に届かぬ恐れがある。 今夜は　見送るか？ うん。 みんな　聞いてくれ。 今宵　会いたい者がいれば→ この席を抜けて 会いに行ってもかまわぬ。 屯所へは　明日 巳の刻までに戻ればよい。 どうした？　遠慮するな。 そうそう　ある事ではないぞ。 ♪♪～ （原田）それでは。 女房殿のご機嫌を伺うとしよう。 ごめん。 ♪♪～ 俺も　失礼します。 ♪♪～ （井上）生真面目な男だと 思っていたが→ やる事はやっていたのかね。 ふん。 フフフ…。 （永倉の咳払い） 俺も失礼したいのだが。 永倉君　気兼ねはいらん。 ゆっくりしてこい。 はっ。 それでは。 （隊士達）失礼します。 ♪♪～ （沖田）君も酔狂な男だよ。 なにも　こんな病人のところへ 戻ってこなくてもいいのに。 墓参りのついでですよ。 平助のか？ ええ。 君は　隊を抜けるかと思っていた。 （斎藤）沖田さん。 うん？ 俺には　ここしか　居場所がない。 この新選組しか。 そうか。 でも　無駄には死なん。 たとえ　新選組が 無くなったとしても→ 俺は　生き延びてみせる。 ♪♪～ ならば　私の分も頼むよ。 ♪♪～ 約束したよ。 ♪♪～ 歳　お前に　客が来てるそうだ。 客？ 美代さんだ。 鴻池が　奥の座敷に招いたらしい。 まあ　行く行かぬは お前の勝手だ。 ただ　悔いは残らないようにしろ。 （足音） ≪ ごめん。 お呼び立てして 申し訳ありまへん。 お別れを申し上げに参りました。 ああ。 ♪♪～ 先日は　生意気を申しました。 「ずっと　独りで 生きていく」なんて。 でも　人は　助け合うて 生きていくもの。 支え合うて 生きていくもの。 その事に ようよう気付きましたんや。 そうか。 土方様のお役に立てた事 うちは　誇らしい思うております。 「会わへんかったら　よかった」 なんて　口から出任せ。 うちは　土方様と出会えて　心より よかったと思うております。 ♪♪～ 最後にお会いできて うれしゅうございました。 ♪♪～ 美代。 ♪♪～ 俺は　お前と会ったあの日 初めて　人を斬った。 以来　自ら　鬼となって 近藤局長を支え　戦ってきた。 俺が　この京の都で やってきた事は→ 果たして 正しい事だったかどうか。 それは　後の世が決める事だ。 美代　頼みがある。 はい。 俺を…→ この土方歳三が　新選組副長として 京の都でやってきた事を→ いつまでも　忘れないでくれ。 土方様。 時代が変わり→ 武士や町人達の暮らしも 変わっていくかもしれん。 ただ　俺という男が 生きていた事を。 それだけは　いつまでも 忘れないでくれ。 美代にだけは いつまでも覚えていてほしい。 頼めるか？ ♪♪～ これが　最後の頼みだ。 ♪♪～ 頼みなど もう聞きとうありまへん。 ♪♪～ 頼まれんでも　忘れまへん。 誰が　忘れるもんですか！ （美代）心から好いたお人を 忘れるなんて→ そないな事ありまへん。 ♪♪～ 美代。 せやから よう　お顔を見せておくれやす。 ♪♪～ 俺も忘れん。 お前の事だけは　何があっても。 ♪♪～ また　必ず　都へ戻ってきて下さい。 うちのとこに帰ってきて下さい。 ♪♪～ そのような約束はできん。 戦場に出たら 死を賭して　戦う。 それが　武士だ。 ただ…。 ただ？ どこで　何があっても　俺が 最後に目指す所は　この都だ。 たとえ　這ってでも　俺は 美代がいる　この都を目指す！ ♪♪～ 土方様。 ♪♪～ それだけは　約束する。 ♪♪～ ＜慶応３年１２月１４日　新選組は→ 薩長に包囲された京の都を 出立した。→ 近藤と土方が　江戸から　上京して 僅か５年後の事であった＞ ♪♪～ ＜そして　これが　美代の見た 土方歳三　最後の姿となった＞ ♪♪～ ご出陣なされたか。 ♪♪～ ＜１２月１６日　新選組は 討幕派との戦いに備え→ その最前線となる伏見に着陣した＞ ＜その２日後　二条城で 軍議を終えた近藤は→ 帰途　竹田街道の墨染に さしかかっていた＞ ♪♪～ どうだ？　撃てるか？ 任せておけ。 この機を逃して　なるものか。 ♪♪～ （銃声） （隊士１）局長！ （隊士２）おのれ！　何者だ？！ （隊士３）敵襲だ！ 信じられん。 弾は当たったはずだ。 くそ！ ♪♪～ 近藤さんは無事か？ はっ！ おお　歳か？ 馬で戻ったと聞いたが？ このケガで よくぞ　落馬しなかったものだよ。 何を言うか？！ 日頃の鍛錬の賜物だ。 無理はなりません。 傷は深いのか？ ああ。　ミニエー銃だ。 不覚にも　肩に 鉛玉１つ　食らった。 やはり 総司の言っていたとおりだ。 阿部十郎か。 恐らくな。 だが　鉛玉でも殺せぬと分かれば そうたやすくは　手出しはすまい。 案ずるな。 ♪♪～ さすが　近藤先生だ。 肩を撃たれても 落馬せずに戻ってくるとは。 総司　頼みがある。 嫌ですよ。 土方さんが　改まって言う時は 大抵　ろくでもない事だ。 でも　聞くだけ聞きましょう。 この伏見は　戦場になる。 ケガをした近藤さんを 大坂に移したい。 それがいいでしょう。 しかし　近藤さん１人では。 ふん　フフフ…。 何がおかしい？ 近藤先生にも 同じ事を言うのでしょう？ 「病の総司を 大坂に移したい」ってね。 ♪♪～ 分かりました。 近藤先生のお供をして 大坂へ行きます。 ♪♪～ 総司。 足手まといは　嫌ですからね。 ♪♪～ これは　俺１人の考えではない。 皆の意見だ。 ♪♪～ 歳よ。 いろいろあったな。 多摩の百姓だった俺達が 京へ上り→ このような戦いの渦中に 踏み込んでいく事になろうとは→ 思いもしなかった。 武士になったんだな。 俺も　お前も。 ♪♪～ そうだな。 ≪（山崎）失礼します。 入れ。 ♪♪～ お持ちしました。 そこへ。 ♪♪～ 開けてみろ。 ♪♪～ 虎徹か。 そうだ。　鴻池からもらったヤツだ。 抜いてみろ。 ♪♪～ 歳　こいつは　お前が使え。 この虎徹を？　しかし…。 俺の虎徹は　あれ１つで十分だ。 ♪♪～ 新選組を束ねるには 虎徹ぐらい持っとかんとな。 ♪♪～ 近藤さん。 任せたぞ　歳。 ♪♪～ 俺の分まで　戦ってくれ。 ♪♪～ ＜１２月２０日　負傷した近藤は 沖田とともに　大坂へと移った＞ 都に居座る賊軍と いずれ　雌雄を決する事になる。 我々　新選組は 僅か１５０名といえど→ 一たび　戦が始まれば この伏見から　一歩も引く事なく→ 敵を打ち負かすのみ！ 俺とともに　戦ってくれるか？ 何を　今更　水臭い事を。 もとより　近藤局長が不在の時は 土方さんが大将です。 この命　とうに「誠」の旗に 預けてある。 どちらに義があるか この戦いで見せてやろう。 決戦に向け　水杯を交わす！ いざ！ （一同）おう！ ♪♪～ ＜慶応４年１月３日 鳥羽・伏見の戦い　勃発。→ 土方歳三が率いた新選組は 決死の戦いを続けたが→ 錦の御旗を掲げ　圧倒的な火力を 誇る新政府軍の前に→ 敗走を余儀なくされた＞ ♪♪～ ＜井上源三郎　慶応４年１月５日→ 淀にて戦死。　享年　４０＞ ♪♪～ ＜山崎　烝　慶応４年１月→ 大坂から江戸へ向かう 富士山丸船中にて死去。　享年　３５＞ ♪♪～ ＜原田左之助　慶応４年５月１７日→ 上野で　彰義隊の戦いに加わり 戦死。　享年　２９＞ ♪♪～ ＜永倉新八　その後 新選組と袂を分かつも→ 新選組の事を　後世に語り残し 大正４年１月に死去。　享年　７７＞ ♪♪～ ＜斎藤　一　後に 新選組隊長となって→ 会津戦争を戦い 大正４年９月に死去。　享年　７２＞ ＜明治２年５月　土方歳三の姿は 箱館　一本木関門にあった。→ この時　土方は　榎本武揚を 総裁とする旧幕府軍に加わり→ 陸軍奉行並として 指揮を執っていた＞ おい。 （市村）はい。 都が見えるか？ 都でございますか？ そうだ。　京の都だ。 いえ　方角は　こちらで 間違いないですが　私には…。 そうか。　俺には見えるぞ。 （砲撃音） 始まったな。 はい。 （銃撃音） 臆するな。　俺達は武士だ。 （砲撃音） 誠の武士の戦いを見せてやる。 ♪♪～ むちゃです。 刀一本で斬り込むなんて。 ♪♪～ 俺は武士だ。 刀で戦わずして　何で戦う？！ はっ！ ♪♪～ や～っ！ ♪♪～ や～っ！ ♪♪～ （兵士）放て！ （銃声） うわっ！ ああ…。 お…　おのれ…！ うん！ まだ　まだ…。 ♪♪～ まだ　死なぬぞ。 ♪♪～ 　心の声　 さすが　土方さん。 総司。 ＜沖田総司　江戸千駄ヶ谷の植木屋 平五郎宅で療養を続けるも→ 慶応４年５月３０日に死去。　享年　２７＞ ♪♪～ 　心の声　 歳　どうした？ 近藤さん。 ♪♪～ ＜近藤　勇　下総流山まで 転戦するが　捕らえられ→ 慶応４年４月２５日 板橋の刑場にて斬首。　享年　３５＞ ♪♪～ まっすぐ…。 ♪♪～ まっすぐ進めば　都へ…。 ♪♪～ 都へ…。 ♪♪～ 　心の声　 空が…　青い。 ♪♪～ ＜土方歳三　明治２年５月１１日 箱館にて戦死。　享年　３５＞ ♪♪～ （子供達の歌声） （市村）土方先生の生家がある 多摩に行き→ それから　随分と 京のあちこちを捜し回りました。 それは　ほんまに ありがとうございます。 でも　まさか　土方様は 武士をお捨てに？ それは違います。　むしろ 武士として戦い抜くために→ 髻を切り　美代様に 託されたのだと思います。→ 最後まで　武士として戦った その証しを→ 土方先生は　あなたに 残されたのだと思います。 おおきに。 （子供のむずがる声） （豊）おことちゃん　はいはい おめめが覚めましたか？ よしよし　お母ちゃん　あっちに 居ますえ。　ほら　お母ちゃん。 ほら　いい子　いい子。 はいはい　お母ちゃん。 ああ　いい子やな。 おことちゃん。 ♪♪～ どないぞ　しましたんか？ 娘さんの目。 えっ？ ♪♪～ あっ　いえ。　失礼いたしました。 では　私は　これで。 ♪♪～ あかん　これは。 これは　武士の魂。 いつか　話ししたげる。 ♪♪～ ♪♪「あなたはどうして」 ♪♪「そんなにおだやかに 生きれるのだろう」 ♪♪「あなたの空気を」 ♪♪「思ってみるだけで 胸がはりさけそう」 ♪♪「憎しみ合う事より 許し合いたい」 ♪♪「せつなさむなしささえ 抱いて生きる」 ♪♪「あなたが居なくなる事は あり得ない」 ♪♪「あなたを見失えば 世界の終わり」 ♪♪～

ウレロ☆無限大少女４th＃01

1 (ｶﾞﾗｽが割れる音) ♬～ 待てい！ そこまでだ 悪党め！ ｸｿ 貴様 ｱﾝﾛｯｶｰか？ ﾌﾌ 何が目的か知らねえが➡ わざわざ俺たちｱﾝﾛｯｶｰの 派遣事務所に忍び込むとは➡ いい度胸してるじゃねえか｡ そういう気の強い女 嫌いじゃないぜ｡ むしろ 好きだぜ｡ 全然つきあえるぜ！ はぁ？ どうだ この際➡ 悪事のことは忘れてやる｡ 俺とつきあってくれねえか？ 気持悪いこと 言ってんじゃねえよ｡ てめえみたいな ｼｮﾎﾞくれた中年と➡ つきあう女なんか いるわけねえだろ｡ いる いるわ!! なんなんだよ こいつ｡ 俺と つきあってくれない悪は 絶対に許さねえ！ それ言ってて寒くない？ ｷｰﾄﾞﾘﾝｸ ﾗﾝｸＣ ﾁｬｰｼﾞ｡ こうなったら やってやる｡ くらえ 必殺ﾌｧｲﾅﾙ･ﾌｧｰﾄ！ いったい何した!? ﾌｧｲﾅﾙ･ﾌｧｰﾄとは人間の臭い屁の 100万倍の においが➡ 手から出るのだ！ くさい！ 屁のにおいが100万倍にな｡ てめえ 全然 たいしたこと ねえじゃねえかよ！ なんなんだよ！ やめてください 痛いです！ くせえ やめて ごめんなさい｡ (足音) ｸｿ また誰か来やがった｡ 誰か助けて！ 出直しだ｡ ちょっと 助けてください｡ なんだ こんな時間に｡ 悪者がいます！ 角田さん？ そうです 角田さんですよ！ 助けて｡ また来るからな｡ 来るな！ ちょ… 角田さん… どうしたんですか大丈夫ですか？ 飯塚ありがとう 命の恩人だ｡ うわ くせえ！ くせえ お前！ なんだよ｡ お前 ｸｿみたいな能力 二度と ここで使うなって➡ 言ったでしょ？ 違うんだってば｡ 事務所も こんな荒らして｡ お前ふざけんなﾏｼﾞで！ くせえ くせえわ！ くせえ！ ＜ｱﾝﾛｯｸ それは特殊なﾄﾞﾘﾝｸで➡ 能力が無限大に 解放される者たちのことである＞ 悪い奴が事務所に忍び込んできて 何か盗もうとしてたんだよ｡ 角田さん嘘つくなら➡ もっと ましな嘘ついてくださいよ｡ 本当なんだって あれじゃねえか ほら｡ あのさ 今ﾆｭｰｽになってるやつ｡ Ｊｻｰﾑの発表によりますと➡ 高ﾗﾝｸのｷｰﾄﾞﾘﾝｸを目当てに 各地のｱﾝﾛｯｸｻｰﾋﾞｽを襲う➡ 強盗事件は後を絶たず 昨夜も…｡ これだろ｡ こんなのが➡ うちみたいな事務所に 盗みに入るわけないでしょ｡ なんでそう言い切れる？ うちには あんたみたいな➡ Ｃ級ｱﾝﾛｯｶｰしか いねえからだよ！ ちょ… もう何してたんだか 知らないですけどね➡ あの割った窓ｶﾞﾗｽの代金 弁償してくださいよ｡ は？ 俺が？ 悪と命をかけて戦ったこの俺が？ なんということだ！ この世に正義はないのか!? うるさいな！ まず その口調なんだ？ 来月 劇団の公演があるんだ｡ なんで劇団に入ってるの？ かけてるんだ｡ うるせえよ｡ ｳﾀﾞｳﾀﾞ言ってたら給料ｶｯﾄすんぞ｡ するなｼﾞｭﾘｴｯﾄ！ はい しますｶｯﾄします｡ ちょっと待ってくれ｡ もう します ｼﾞｭﾘｴｯﾄではないし｡ せめてﾛﾐｵだし｡ わかった ごめん ごめん｡ 頼むよ 給料ｶｯﾄされると きついんだよ｡ ﾁｹｯﾄﾉﾙﾏが地獄なんだよ｡ 知らねえよ｡ 辞めちまえ そんなもん｡ でも蜷川さん…｡ 誰が蜷川さんなんだ｡ 俺 演出家 蜷川幸雄じゃないから｡ 社長！ 元気にやってるか？ 社長！ なんつう格好で 登場してるんですか！ 時空転送装置で 遊ばないでくださいよ｡ お前ら知らないか？ 俺が家のﾄｲﾚじゃないと➡ でっかいのが できないって｡ 家のﾄｲﾚ行くのに あれ使ったの？ あっ もうﾒｰﾀｰすごい額 いってるじゃないですか これ｡ しようがないだろ 漏れそうだったんだから｡ これﾀｸｼｰ乗るのと 同じくらい料金かかるんですよ｡ 社長 家どこですか？ 幕張｡ すげえ遠いじゃん｡ ｹﾁｹﾁすんなよ 飯塚｡ 言っとくけどな 俺は日ごろから 会社でﾑﾗﾑﾗしたときなんか➡ 結構 家帰って処理してるんだぜ｡ ふざけんなよ お前｡ 二度とすんなよ お前は｡ いや それはその なんか飯塚が 処理してくれるって言ったら➡ 話は別だけど｡ こいつ何言ってんの？ お互い悪い話じゃないはずだ！ 俺にﾒﾘｯﾄねえだろ！ あのね そんなことばっかり やってたら➡ うちみたいな弱小事務所 すぐ つぶれますよ｡ それは大丈夫 ご安心を｡ どういうことっすか？ 社長 聞いてくださいよ｡ (足音) こいつね 俺の給料ｶｯﾄするとか➡ 言うんですよ｡ あんたが悪いんでしょ？ いや だから悪者が 事務所に忍び込んできたんだよ｡ そこまでだ！ 事務所に忍び込んだ悪者め｡ くらえ 正義の鉄槌を！ え!? ちょっと…｡ 痛いよ｡ ちょっと…｡ ちょっと 飛ばしすぎだよ｡ だって こいつが 悪いんじゃないんですか？ 悪くねえよ｡ どんだけ記録伸ばすんだよ｡ 俺は違うの｡ なんなんだよ この暴力女はよ！ かわいい｡ 社長 まさか この子って…｡ そう 彼女こそ 我が川島ｱﾝﾛｯｸｻｰﾋﾞｽ➡ 期待の新人ｱﾝﾛｯｶｰ あかり君だ｡ 新人ｱﾝﾛｯｶｰ!? そうだ｡ 観念しろ 怪人ﾌﾞﾀﾒｶﾞﾈ！ 誰が怪人ﾌﾞﾀﾒｶﾞﾈだ｡ 違うんですか？ 違うよ！ まあ一応これでも うちのｱﾝﾛｯｶｰだからね｡ つうか社長 新人ｱﾝﾛｯｶｰって どういうことですか｡ この事務所には俺という 立派なｱﾝﾛｯｶｰが…｡ お前はもう用済みだ｡ 実家に帰れ｡ ちょっと待って その前に どういうことか説明してくれよ！ 説明とか やだ 帰れ！ 決意がかたい｡ そんな理不尽な…｡ ああ やっちまった！ なんだ豊本 どこにいたんだ お前は！ 今 何時だ？ ああ 寝坊しちゃったよ｡ ｸｿ お前は何ﾒｶﾞﾈだ？ あいつはうちのﾒｶﾆｯｸ担当 豊本だ｡ 泊まり込みで新装備の開発でも してたんじゃない？ いや 残念ながら それは違う｡ 俺は ここで迫り来る➡ もっと大事な事態に 備えていたんだ｡ もっと大事な事態？ いったい何を？ 期待の新人ｱﾝﾛｯｶｰの入り待ちだ｡ ｻｲﾝください！ しようもねえな お前｡ ｻｲﾝ 『よろしくﾒｶﾄﾞｯｸ』｡ いや 古いわ 誰が知ってんだ 『よろしくﾒｶﾄﾞｯｸ』｡ 30年前の漫画だぞ あれ｡ まあ ｻｲﾝくらいなら全然｡ やった！ なんなんだよ 豊本までよ｡ こんなﾍﾟｰﾍﾟｰの新人 ﾁﾔﾎﾔしやがってよ｡ 失礼な口をきくな｡ 彼女はな 適正ﾃｽﾄで 軒並み高い数値を叩き出した➡ Ａ級ｱﾝﾛｯｶｰなんだぞ｡ Ａ級？ この子が？ だからべつに なんだっていう話だけどな｡ べつに 俺はＣ級だけどさ➡ 能力的には Ａがあると思ってるし➡ だから全然 何とも思わねえや｡ 全然ﾋﾞﾋﾞってなんかないからな｡ あぁ ごめんなさい すみません！ ﾒﾘﾊﾘが すげえな｡ あと もうﾒｶﾞﾈがﾊﾟｶﾊﾟｶじゃねえか｡ はい｡ ありがとうございます｡ うわぁ ｻｲﾝもＡ級だ｡ すげえ手抜かれてんじゃん！ ありがとうございます｡ かわいい｡ お前 変な気 起こすんじゃねえぞ｡ この表面の➡ ﾍﾟﾗﾍﾟﾗした この肌触り わぁ 興奮する｡ そして 激しく反りあがった たくましい角｡ 貫かれたい｡ たっぷり 隅々まで 整備してあげるからね｡ 気持悪いよ こいつ！ いいよ 今 整備とかしなくても｡ 離せ！ 乱暴に扱うな！ え？ いいか このｽﾊﾟﾅはな➡ 俺が苦労して苦労して なんとか手に入れた➡ ﾋﾞﾝﾃｰｼﾞものなんだぞ｡ そ～っと使わないと壊れる｡ もう不良品だよ それ！ あ～ 彼女のことを もっと知りたい！ よし こうなったら 本部のﾃﾞｰﾀﾍﾞｰｽをﾊｯｷﾝｸﾞだ！ なんで 最後 ちょっと さわやかに言ったの？ ねえ？ ねえ？ あ～！ この前 新調した このｷｰﾎﾞｰﾄﾞの 軽いﾀｯﾁも やらしい｡ なんでもありか お前は！ おう ｱﾀｯﾁﾒﾝﾄ！ あっ おうは 引きずるんだね｡ しかし あれだな｡ 我が社に まさか➡ Ａ級のｱﾝﾛｯｶｰが配属されるとはな｡ そうっすね｡ 人間の限界を超える 力を発揮する➡ ｱﾝﾛｯｶｰの派遣事務所なのに➡ ずっと浮気調査くらいしか 仕事もらえませんでしたからね｡ これからは でっかい仕事が どんどん舞い込んできますよ｡ ああ！ でっかいｹﾂした ｴﾛい女の浮気調査とかな｡ そんなんでいいんだ？ 頑張ります！ いや そんなの 頑張んなくていいから｡ 社長 その仕事 俺が受ける！ ねえんだよ そんな仕事は！ この事務所のｱﾝﾛｯｶｰは 俺一人で 十分だっていうことだよ！ だから あんたは悪いが 俺の助手として➡ あるいは まあ 妻として➡ 公私ともに俺をｻﾎﾟｰﾄする側に 回ってくれれば…｡ あ～！ うわっ あぁ！ あ～！ お前 早急にﾒｶﾞﾈ屋行け！ もうそんな奴のことは 放っといて ほら 飯塚｡ 事務所 案内してやれ｡ はい｡ 俺は 認めてねえからな！ まず 本部から出動要請が あった場合なんだけど…｡ 本部？ 本部｡ Ｊｻｰﾑの本部ね｡ Ｊｻｰﾑ！ そう Ｊｻｰﾑ｡ 日本特殊能力覚醒者自治機構｡ 知ってるよね？ ｷﾐたちｱﾝﾛｯｶｰを 統括する協会のことね｡ 知ってますよ！ 知ってるよね それくらいはね｡ 日本ﾄｸﾄｸｶｸですよね｡ ごまかしたね？ 完全に｡ ﾄｸﾄｸｶｸって何？ ねえ｡ わかってんの ほんと？ 大丈夫？ わかってますよ もちろん！ 要は 悪い奴をやっつければ いいってことですよね？ 様子おかしいんですけど｡ まあ これくらいのほうが 大物感があっていいだろ｡ なっ｡ そうすか？ で そのＪｻｰﾑの 本部から支給されるｷｰﾄﾞﾘﾝｸ｡ ｷｰﾄﾞﾘﾝｸは この中に入ってるから｡ ｷｰﾄﾞﾘﾝｸ？ ｱﾝﾛｯｶｰの能力を解放するﾄﾞﾘﾝｸね｡ ﾄﾞﾘﾝｸは 英語だから… えっと 何でしたっけ？ お前 ﾏｼﾞか？ 大丈夫ですか この子？ ちょっと お前の説明が 悪いんじゃないのか？ 悪い？ お前が悪い奴だったのか！ いやいや… 悪くない 悪くない！ 俺 悪くないよ！ 悪くないんですか？ だったら もう最初から➡ 言ってくださいよ｡ こいつ 何なんだよ!? 大変な事実が判明した｡ は？ 彼女 適性ﾃｽﾄの結果は ずば抜けているが➡ 誰もが受かると言われている 筆記ﾃｽﾄに50回以上も落ちている｡ こんなのは 前代未聞だ！ ええ？ それほどでもないですよ｡ おい とんでもないﾊﾞｶ 来ちゃったぞ おい！ うちにＡ級ｱﾝﾛｯｶｰが来るなんて➡ おかしいと思ったんですよ｡ ｸｿｯ なんてこった！ こうなったら口直しに ﾊﾞｲｸの解体でもしなきゃ➡ おさまんねえよ！ なんで それで おさまるの？ 逆に｡ ねえ？ これは 壊れるからやめよう｡ 使えよ！ 何のために買ったんだよ！ どうするんだ でっかい仕事は！ でっかいｹﾂしたｴﾛい女は！ でっかいｹﾂしたｴﾛい女は そもそも来ないんですよ｡ 私 探しに行きましょうか？ いいよ ﾊﾞｶ｡ 動くな ﾊﾞｶ｡ のぞくな ﾊﾞｶ｡ まだまだ この事務所も 俺様の天下だな！ 最悪だよ｡ 心配いりませんよ｡ 要は 悪い奴をやっつければ いいってことですよね？ だから 俺 悪い奴ではないの！ 悪の野望を必ず打ち砕く！ そう あの超かっこいい 升野さんみたいに！ えっ 升野さんのことは 知ってんの？ 当たり前でしょ｡ 現役Ｓ級ｱﾝﾛｯｶｰでありながら➡ Ｊｻｰﾑの管理官も務める 超ｴﾘｰﾄなんですから｡ Ｊｻｰﾑ 知ってんじゃん｡ あっ なんか聞いたことあると➡ 思ったんです｡ で Ｊｻｰﾑって何ですか？ ﾊﾞｶだな 結局！ とりあえず➡ 偉い人たちがいっぱいいるとこ って覚えとこうか｡ 偉い人んとこ！ ﾊﾞｶだな お前は！ ありがとうございます｡ ﾊﾞｶだな｡ 私 ｱﾝﾛｯｶｰになったから 会えますかね？ まあ 升野さんは 雲の上の存在の人だからね｡ 俺らだって 長いことやってるけど➡ 直接 会うなんて なかなかないよ｡ そうなんですか？ へ～｡ じゃあ 私 ｱﾝﾛｯｶｰ やめます｡ は？ だって 升野さんに 会えないんだったら➡ やめます｡ お前 ほんとひでえな｡ やめろ やめろ お前みたいなﾎﾟﾝｺﾂ どっか行っちまえ！ ちょっと 沖縄にでも行って 自分探ししてきます｡ 見つかんねえよ ﾊﾞｶ！ ﾊﾞｶか！ あ～ 転送装置 使わないで｡ これ ほんと 金額すごいから｡ 乗らないで 絶対｡ えっ なに？ なに？ 川島ｱﾝﾛｯｸｻｰﾋﾞｽというのは ここでいいのかな？ ｷｬ～！ 升野さん！ そうだよ｡ Ｓ級ｱﾝﾛｯｶｰの升野英知だよ｡ ﾃﾚﾋﾞで見るよりｼｭｯとしてるだろ？ そうだ いいこと思いついた｡ 握手をしてあげよう｡ 何ですかこれ？ ｻﾌﾟﾗｲｽﾞ ｻﾌﾟﾗｲｽﾞ？ ｷｬ～！ どうだい？ 握手は どうだい？ なんか いい感じです｡ よかった｡ なんで升野さんが➡ こんな事務所に？ なぜ このＳ級ｱﾝﾛｯｶｰの➡ 升野英知が こんな場末の事務所に 訪れたのか➡ それには 訳があるんだ｡ 今日 私は ｷﾐたちに ある極秘の任務を依頼しに来た｡ 極秘の任務？ それって まさか➡ でっかいｹﾂしたｴﾛい…｡ ｷｬ～！ 俺のおなじみのやつ 邪魔しやがって！ たいして おなじみじゃねえわ！ なに大事にしてんだよ あんた！ っていうか 極秘の任務って何ですか？ ｷﾐたちにＪｻｰﾑの お偉いさんの婚約者を➡ 東京見物に 連れて行ってほしいんだ｡ 東京見物？ ああ！ この任務は 私が出世するうえで➡ 絶対に失敗の許されない 任務なんだが➡ 自分でやるのは めんどくさいんだ！ できれば楽をしたい｡ 楽をして おいしいところだけ 持っていきたい｡ さらっと すげえこと言うな こいつ｡ なんでも そのお嬢さんは➡ 体が弱くて避暑地で暮らしている お嬢さんらしいんだが➡ 田舎暮らしのｲﾓ女が 東京にやってきて➡ やれﾊﾟﾝｹｰｷ食べたいだ やれ裏原宿に行きたいだ➡ そんなことを言われてしまったら 私は 恐らく 我慢できずに➡ 振るってしまう と思うんだ 暴力を｡ そこでだ 私は 頼ることにしたんだ｡ ｶﾈにね｡ 今の世の中は ｶﾈのある人間がｶﾈのない人間に➡ 嫌なことを押しつけても いい世の中だろ｡ だからだ｡ ｷﾐたちに 押しつけることにしたんだ｡ そう考えると あっ あってよかった｡ あってよかったな｡ そう思ったんだよ｡ 万円が｡ 倒置法 多用してんじゃねえ！ なんかｲﾒｰｼﾞと違う｡ ほら ｷﾐたちのような 最下層の事務所の人間は➡ お金さえもらえれば 他人の肛門だってなめるし➡ 場合によっては お金を もらわなくてもなめる｡ そう聞いている｡ なめねえよ！ 肛門 なめたい人じゃねえか ただの｡ いいか 肛門は なめても 任務は なめるな！ なんの標語だよ！ 冷めるわ｡ 完全に期待外れだわ｡ ああ？ まあ ｷﾐもだけどね｡ っていうか この人 なんかﾃﾚﾋﾞで見るより➡ ちっちゃくないすか？ いや 何も… 何も言ってません…｡ 落ち着いてください｡ なんで あんな急に冷めるの？ いや 冷められるほうに 問題があるんじゃないすか？ よし わかった｡ 今から順番にｶﾈを配る｡ もらった順に あいつの 肛門をなめてくれ｡ 何言ってんだ こいつ！ 最低だな あんた｡ じゃあ 僕からいきます｡ 社長！ 社長 立候補しない｡ ﾀﾞﾒ ﾀﾞﾒ！ あかりちゃんの気持も わかるけどなぁ｡ 入ってくんなよ お前｡ 実際 あの男 ろくでもねえぞ｡ しょせん 憧れは憧れ ﾘｱﾙじゃない｡ 俺と本当の恋を始めてみないか？ これ飲んで殴っていいっすか？ なんで俺を殴ることしか 考えてないんだよ！ そんなことに このﾄﾞﾘﾝｸ使わないで？ 原則１日１本だから｡ そういう無計画に➡ 行動を起こす女はな どうせ 地元のﾔﾝｷｰと➡ 無計画にｾｯｸｽして 無計画につきあって➡ 無計画に子供ができて 無計画に結婚して➡ で その子供も どうせ 無計画につきあって➡ 無計画にｾｯｸｽして 無計画に体位を変えて➡ 無計画に子供ができて 無計画に結婚すんだよ！ 無計画ﾙｰﾌﾟなんだよ！ 過去に何があったんだ こいつ｡ 考え方が暗えんだよ！ どうせ おめえみたいのは➡ ｸﾗｽの隅っこで 消しｺﾞﾑのｶｽを １人で丸めてたんだろ？ うちらのｸﾞﾙｰﾌﾟに 憧れてんじゃねえよ！ ちょっとあっち行こうか あっち行こう｡ 何か言ってみろよ おい！ あっち行こう ね？ 憧れてなんかないやい！ ずっと１人だったのは 勉強 頑張ってたからだい！ もう 私 ｱﾝﾛｯｶｰやりたくない｡ もう その すぐ仕事 辞めようとするのやめて｡ ちょっと１回休もうか 今日 いろいろあって➡ 疲れたでしょ ね？ 休もう 休もう １回寝よう｡ ね ﾊﾞｶなんだから 休もう ﾊﾞｶ｡ えっ こんなに いただけるんですか？ こんなｸｿみてえな仕事 俺が台なしにしてやるからな！ 角田さん よけいなこと しないでくださいよ｡ 上の者に目つけられたら➡ 仕事ひとつ 回ってこないんですから｡ そんなことでいいのかよ 蜷川さん！ 蜷川じゃねえんだよ だから俺｡ あんたの演出は➡ それでいいのかい！ 何なの お前 灰皿投げるぞ お前｡ 蜷川さん！ 違うから｡ 憧れの目で見ないで｡ ところで ｶﾈﾂﾞﾙ…｡ あっ えっと… 升野さん｡ あの ｶﾈ ｶﾈﾂﾞﾙ…｡ お嬢さんは どちらに？ あんたもひでえな！ もうそろそろ 来てもいい頃なんだけども➡ どうせ女なんて 来る途中にｷｬｯﾁにつかまって➡ どっかの風俗店で 体験入店してるよ｡ 描写が細かいんだよ｡ 女が来たら 俺だけ気に入られてやる…｡ そして 劇団のﾁｹｯﾄ 全部売りつけて➡ ﾉﾙﾏ達成してやる！ お前 劇団に 重心傾いてんじゃねえか！ いいか 集中だぞ 集中｡ もうすぐで お嬢様が来る｡ 確かに ｶﾈが目的だったが 今は いったん忘れて➡ その…｡ ｶﾈ あんなにくれるんだな｡ 集中しろ！ さささ… お嬢様｡ こいつらが 今日一日 お嬢様の面倒をみてくれますので｡ どうぞ 私めを踏みつけて お通りくださいませ｡ 角田さん！ あれ？ あれ？ どうした 角田？ どこかで お会いしませんでしたか？ 人違いじゃないでしょうか？ おい 失礼なことを言うな！ いや そうじゃなくて… 俺 こいつ知ってるぞ！ こいつだよ 事務所に 忍び込んできた女はよ！ 角田さん なに企んでるんですか？ 企んでねえよ！ こいつが事務所から 何か盗もうとしてたんだよ！ こいつは まったく 信用ならない男でして…｡ そうなんですか？ 遅かれ早かれｸﾋﾞにするんで｡ いや ちょっと…｡ 今 ｸﾋﾞにしました｡ ちょっと それ…｡ ｸﾋﾞだ！ そういうことなら よかったです｡ ｸｿ 日頃の行いが…｡ それにしても すてきな事務所ですわね｡ そちらのあなた➡ あちらの部屋へ ご案内してくださるかしら？ やだ！ やだ！ おい お前 最後の仕事だよ｡ ほら｡ さっさと行ってこい ご案内しろ｡ なんか…｡ 圧かけてきたろ 今 言い方！ 圧を感じたぞ なにか…｡ なぁ どういうことなんだよ…｡ 痛い… やだ ﾒｶﾞﾈ…｡ よりによって この事務所に 呼び出されるとはな｡ 一時は どうしようかと思ったぜ！ ｸｿ…｡ どうして Ｊｻｰﾑのお偉いさんの 婚約者が…｡ せっかく そんな上玉 手に入れたんだ｡ 浮気調査だか何だか知らねえが➡ こんな写真 ここに置いとくわけには➡ いかねえんだよ｡ あ～ ﾁｭｰしてる！ しかも 相手 ｼｮﾎﾞくれた中年じゃねえかよ！ こいつは もう用済みだ｡ とにかく今は 男とっかえひっかえして➡ 小金稼ぎしてたのが ﾊﾞﾚるわけにはいかねえんだよ！ なんて女だ…｡ 興奮する！ 調べたら ここのｱﾝﾛｯｶｰは お前だけみてえじゃねえか｡ あとはＳ級の升野さえ いなくなれば…｡ ﾊﾊ 残念だったな｡ うちには新人の Ａ級ｱﾝﾛｯｶｰがいるんだ！ 寝てる！ ﾊﾞｶは眠りが深い！ 升野がいなくなりしだい➡ お前ら全員 皆殺しにして➡ ここにある すべてのﾃﾞｰﾀ ゆっくり消去させてもらうわ｡ そうはさせねえぞ！ ﾌｧｲﾅﾙ･ﾌｧｰﾄ！ あぁ 早くも対策が…｡ お嬢様！ お手上げだ…｡ あぁ お嬢様 いらっしゃいました｡ ごきげんよう｡ ﾕﾆｰｸですね お嬢様｡ お嬢様 あとは もう こいつらが 面倒をみてくれますので➡ 私は これで…｡ まだ もうちょっといてください！ くっせえ お前！ くっせえ！ 升野さん いなくなったら 俺ら 皆殺しにされるんですよ！ くっせえ お前 何なんだよ…｡ 帰る 帰る 帰る！ この能力って何なんだ！ 行かないでくださいって！ うわ くっせえ！ くっせえ なに なに なに？ あいつは➡ とんでもない女なんですよ！ 角田さん まだそんなこと➡ 言ってんすか？ 信じてくださいって！ お願いしますよ！ いや～ ｽｯｷﾘした｡ やっぱﾊﾞｲｸの解体ってｴﾛいな｡ 豊本！ ﾃﾞｰﾀﾍﾞｰｽで あの女を 調べてくんねえか？ くっせえ なんだお前… ふざけんなよ！ もう 誰も 俺の言うことに 耳を傾けてくれない…｡ 升野さん あとは もう 大丈夫ですわ｡ この方たちのおかげで➡ とても有意義な時間が 過ごせそうです｡ でしたら よかった｡ いや ﾀﾞﾒなんだって ちょっと！ もう誰か！ 待ってください 升野さん｡ 社長!? 大事な話があります｡ 俺の言うこと 信じてくれるんですね｡ 少し言いづらいのですが➡ 今日は ﾊｯｷﾘ言わせてください｡ もっと お金がほしいです｡ ﾊｯｷﾘ言ったな ずいぶん！ 信じてねえじゃねえか！ このﾁｬﾝｽ… どいてくれ｡ ｹﾂでも何でもなめますから お金をください｡ 気持悪い お前は！ うわぁ もう俺のﾋﾞﾝﾃｰｼﾞのｽﾊﾟﾅが！ ふざけんな お前…｡ ふざけんなよ…｡ 頑張れ！ どこ行くんだよ お前！ 弁償しろよ！ ｹﾂなめさせてください！ なんでｹﾂなめたがってんだよ あんた｡ ｸｿ！ めったに使わねえから 閲覧ﾊﾟｽﾜｰﾄﾞ思い出せねえ！ ｹﾂをなめさせてください！ 弁償しろよ！ なんだ なんだ この状況は！ もう誰か！ 弁償しろよ！ くっさ… ｲﾗｲﾗしてきた！ ｲﾗｲﾗした ﾉﾄﾞ渇いた あっ…｡ ちょっとﾀﾞﾒだよ それ ちょっと！ 弁償しろよ！ ｹﾂが なめたいんです！ 弁償しろよ！ いいかげんにしろよ！ 何なの？ この状況｡ ﾊﾞｶが飲んでも➡ 何の役にも立たねえか ﾁｸｼｮｰ！ 升野さん｡ 今 ﾀｸｼｰ呼んだんで そんな転送装置より➡ こっち乗っちゃってください｡ すみません なんか悪いですね｡ 悪い？ いや もとはといえば➡ つきあっていただいている こっちが悪いので｡ お前が悪い奴だったのか！ いや あの…｡ まさか…｡ え？ まさか？ えっ？ いや まさか…｡ くらえ 悪い奴め！ え～！ よっしゃ！ よっしゃじゃねえだろ お前！ 今のでﾊﾟｽﾜｰﾄﾞ思い出した｡ は？ 1015 蜷川先生の誕生日だ｡ どんだけ好きなんだよ お前｡ お前 なにしてくれてんだよ｡ だって あいつが➡ 悪い奴だったんですよね？ そうやって升野さん➡ 言ってましたもんね？ 言ってねえわ！ 出た ほら！ 来たぞ 見てくれよ こいつだよ｡ 通称 ８股のﾚｲｶ！ は？ そうなの？ そうだったんですか？ 知らなかった｡ なんで殴ったんだ お前？ うふ｡ うふじゃねえよ！ 感動した！ こんな小さい事務所でも➡ 力を合わせれば 問題は解決するんだよ｡ 最高の事務所だ！ お前はｸﾋﾞだけどね！ そんな…｡ 決意がかたい｡ ｳｿでしょ…｡ すばらしい｡ おかげで その女の結婚を 阻止することができたよ｡ どうだろう この手柄➡ 私に いくらかで 譲ってくれないか｡ 升野さん この事務所の人間が➡ ｶﾈを積んだらなんでもやる と思って…｡ まあ いいでしょう｡ 悪いな｡ 悪い？ やっぱり お前らが 悪い奴だったのか！ なにが最高の事務所なんだ これ｡ ｼﾞｬﾝｹﾝﾎﾟﾝ！ よっしゃ！ 行け 行け…｡ くっさ～！

エンゼル・バンク～転職代理人～＃02

1 〈第２新卒とは 高校　大学などを卒業し→ 就職したものの ３年以内に転職を志す→ 若手転職希望者の総称である〉 〈不況下で→ 「本当なら　もっといい会社に 入れたのに」と考える→ 若い社会人たちは リベンジ転職に走る〉 〈新しい 自分の居場所を求めて…〉 （司会者）「さあ　次の番号は？」 （司会者）「Ａの１５番！」 （山口彬裕）ビンゴ！ お前　マジで！？ （司会者）「最後の大当たり ペア温泉宿泊券です！」 （司会者）「拍手！」 （拍手） （野々村南）私 ダブルリーチだったのに…。 （井野真々子）私なんか トリプルリーチだったのに…。 あーあ　温泉行きたかったな…。 ペア旅行券だよ！ 券　当てる前に　相手見つけなよ。 私は　二次会でガツガツするほど 浅ましくないの。 あの…。 はい？ これ　よかったら　どうぞ。 俺　温泉行く時間ないんで。 あっ　いや　でも…。 井野真々子さんですよね？ そうですけど…。 俺　新郎の大学時代の後輩で 山口といいます。 先輩と奥さんから 井野さんのお話　聞いてて。 ルミから…？ ねっ　ねっ…　ねっ！ ルミが キューピットしてくれたんじゃないの？ やだ　ちょっと…。 向こうで 少しお話し出来ませんか？ （小笠原マナミ）井野さん！ （マナミ）昨日 友達の結婚式だったんですよね？ （川添甚助）ええっ！？　真々子ちゃん 結婚したんですか？ お友達！ ああ…。 ペア温泉宿泊券　もらっちゃった。 一緒に温泉に行く相手も 見つけちゃったりして…。 いないですよ　そんな人。 友達の結婚式に行くと マナ…　結婚したくなるんです～。 （海老沢康生）それと同じぐらい 友達の結婚式に参加すると→ 転職を考える人も多いって 知ってる？ （江村夏生）どうして？ みんな　近況報告するとどうなる？ （田口僚太）自分と友達 比べちゃいますよね。 （北城　薫）そういう時 いい会社の奴　ムカつくよな。 そういう劣等感が 人を　転職に走らせるんだよな。 なるほど。 大方　君は→ 自分以外の友達が 全員　結婚してる現実に直面して→ しょぼくれていたんだろうね。 まさか…。 若い男の子が 私のそばから離れてくれなくて→ 困っちゃって…。 私の事… 根掘り葉掘り聞くもんだから。 失礼！ うわっ！？ （日比野糸子）井野さん　受付に→ 鳥滿商事の山口さんって方が 見えてるそうです。 昨日の…！ 例の若い男の子！ 転職？ 昨日も相談したかったんですけど→ 二次会でしたし 雰囲気的にも言い出しにくくて。 すみません ムダ話ばかりしてしまって。 休日は お料理やガーデニングをして→ ハーブティーを飲んで 過ごすんです。 ボサノヴァを聴きながら。 へえ～。 ムダ話…。 （山口）井野さん？ 早速　始めましょう。 まずは　山口彬裕さん　２５歳。 はい。　都内の私立大学を卒業して→ 鶏肉商社の鳥滿商事に 入社２年目になります。 転職なさりたい理由を 伺ってよろしいですか？ 今　営業職をしているんですけど→ 一応　老舗とは 言われているんですが→ 古臭い　地味な会社で…。 （山口の声）営業といっても→ 取引先の伝票処理が 主な業務です。 入社２年目なのに→ いまだに雑用ばかり 押し付けられています。 この２年　毎日 同じ仕事の繰り返しです。 では　転職先は どういう職種を　お考えですか？ 漠然とですけど 企画とか宣伝とか→ 主役になれる仕事がしたいと 思っています。 僕が新卒の時は　超就職氷河期で 思うようにならなかったんで…。 今の会社も内定もらったから 仕方なく入ったんです。 今　第２新卒って 売り手市場なんですよね？ まあ…。 このチャンスを 逃したくないんです！ 実務経験も積んでるし 僕ぐらいの能力があれば→ どこでもいけると思うんです。 僕　即戦力ですから。 そうですか…。 《そんな甘い考えじゃ うまくいかないって》 このままじゃ　自分の成長が ストップしてしまうっていうか→ もう　今の仕事から 学ぶ事はないんです。 学ぶ事はない？ （山口）ええ。　それが　何か？ もう　今の仕事から→ 学ぶ事はないっていうのは どうでしょう？ えっ！？ 学ぶって　もっと息の長いものだと 思うんです。 経験を積めば分かる事が まだ　あるのではないでしょうか？ 《あれ？　気分悪くした？》 そんな説教されるんだったら もういいです。 説教しようなんて… ただ　仕事って→ ２年やそこらで　全部分かる…。 そんな事が 聞きたいんじゃないんです！ だから　そんなんじゃ どこに行っても通用しないですよ。 通用しない？　僕が？ 山口さん もう少し大人になりましょうよ。 失礼します。 山口さん！ 《やっちゃった…》 ♪♪～ すみませんでした。 怒らせちゃったんですか？ 甘っちょろい事言うから　つい…。 井野っち お客さんは生徒じゃないんだぜ。 あんたに言われなくても 分かってる。 なんて言ったの？ そんなんじゃ どこに行っても通用しないとか→ もっと大人になれとか。 それで　帰っちゃったんだ。 男の子は 傷つきやすいですからね。 つい 教師時代の習慣っていうか…。 すみませんでした。 別にいいと思うけど。 えっ？ 王手！ 江村君は　やっぱり強いな。 やっぱり！ 君　なかなか　転職代理人として センスあるんじゃない？ あの…　どうしてですか？ 山口さんは　第２新卒として 転職を考えている。 今は　自分に有利な状況だと思って 浮ついていた。　違う？ まあ…。 だったら　その指導は悪くない。 確かに　彼のような第２新卒者は 少し前なら　有利とも言えた。 （海老沢の声）リーマンショック前まで 大企業　有名企業は→ 第２新卒枠の採用機会を 増やしていた。 それまで　どん底の不景気で→ 新卒採用を しぼっていたせいだ。 その頃の穴埋めとして→ 第２新卒を大幅に採らないと→ 組織ピラミッドが崩れて→ 給与制度や保険→ 年金を維持出来なくなる。 その意味で　第２新卒の採用は→ 企業の帳尻合わせに都合がいい。 言ってみれば　第２新卒は→ 企業側の都合で開け閉め出来る 便利な「蛇口」なんだ。 必要な採用数を確保出来れば→ いつでも 第２新卒の採用はストップ。 だからこそ　第２新卒は→ どれだけ自分を価値のある人間と 思わせられるかが→ 勝負なんですよね。 そう。 そんな彼らを転職に導くために 一番重要なのは面談だ。 なぜ　転職したいのか→ その求職者の能力と適正を 見抜く事が求められる。 （北城）でも　実際　自分の能力を 高く見せようとする人が→ 多いですよね。 そういうのに限って→ 大した事ないですね。 だから　見抜かないとダメなのか。 次に　求人している企業を 知る事も大切。 求職者に　ばっちり合った仕事を 紹介出来ませんからね。 はい　これ資料。 こんなに？ そして　実際→ 自分が企業の人事担当者に 会う事も大切。 年収や福利厚生　条件などの交渉を 転職者の代わりに行うんです。 はい　これ　一応　マニュアル。 こんなに？ 今の山口さんのエンゼルは最安値。 これを　どこまで上げられるかは 井野さんの腕次第だと思うけど？ とりあえず 今度の山口さんの面談は→ この質問から始めるんだ。 なんですか？　これ。 （男性）お疲れさまでした。 （山口）お疲れさまでした。 （メールの受信音） （咳払い） ♪♪～ ありがとうございます また　いらしてくださって。 メールで　「必ず いい転職先を見つけます」って→ 書いてあったから来ただけです。 で…　どこなんですか？ なんですか？　これ。 これは…。 転職を成功させるために 効果的な質問なんだ。 五角形の頂点に その人が仕事をする上で→ 大切だと思う事を ５つ書き入れてもらう。 そして　現在の 山口さんの状況について→ それぞれに点数をつけてもらう。 持ち点は　各５点。　合計２５点。 （山口）こんな感じですかね…。 ２５点満点で　１３点ですね。 では　転職したら これを　どれぐらいにしたいか→ 書いてください。 はい。 （山口）せめてこれくらいは…。 一気に　合計２０点になってますね。 そりゃそうでしょう。 転職するんですから。 山口さん　残念ながら→ 転職したら 総合点が増えるというのは→ 勘違いなんです。 勘違い？ それは　転職は 「リセット」ではないからです。 リセットではない？ 転職とは 人生のチューニングです。 チューニングですか？ よく人は　転職をリセットだと 思っています。 転職すれば生まれ変われて→ それまでの悩みが解消し すべてうまくいく。 そうです！　僕も そうしたいと思っています。 それは出来ないんです。 人は　どんな仕事でも→ 必ず　何かしらの我慢を しなくてはならないんです。 我慢？ お給料も　労働時間も 将来性も　やりがいも→ すべて満足出来る仕事なんて この世には　ひとつもありません。 そんな…。 お給料の高い会社は 代わりに成果を求められる。 日々　プレッシャーもありますし→ 突然 クビになる不安定さもあって→ 精神的重圧を 我慢しなければならない。 確かに　何を優先するかって 大事ですけど…。 この五角形は　山口さんご自身が→ 何に我慢出来て 何に我慢出来ないかを→ 把握するためのものなんです。 でも　どうやって？ 山口さんの 現在の持ち点は１３点です。 総合点を増やすのではなく→ 一番　自分のストレスが軽い状態に 配点を変えましょう。 一番のストレスはなんですか？ 今の会社は 経営は安定してますけど→ やりがいも　将来性もなくて…。 もっと　ビシビシ 仕事してみたいっていうか…。 でしたら　お給料は 現状の２点でも我慢しないと。 労働時間はどうでしょう？ （山口）それは… 残業が　多少きつくても→ 将来性や　やりがいを 大事にしたいです。 これで　山口さんの希望は 分かりました。 なんか… 自己分析が出来た気がします。 いきなり企業名で選ぶより→ こうして自分を 見つめ直すところから始めると→ 業務内容で選べるようになるので 成功確率も高くなります。 すごい納得しました。 すごいです　井野さん。 あっ　いえ　そんな…。 《まっ　全部 海老沢さんの受け売りだけど》 これからも よろしくお願いします。 一緒に頑張りましょう。 （山口）はい！ へえ～　うまくいったんだ。 はい。　山口さんと 厚い信頼関係が築けました。 すごいね！　さすが　井野さん。 初めてでね　そこまでいける人 なかなかいないよ。 山口さん　新卒の時→ 就職が思うように いかなかったって仰ってたから→ リベンジさせてあげたいんです。 うん。 あとは　この調子で→ 井野さんの思うとおりに やってごらんよ！ はい！　私なりに頑張ってみます。 五角形のアドバイス ありがとうございました。 うわあ！ （川添）何　何？ エッチなホームページ発見？ 違います。 山口さん向けの求人 たくさんあって　つい嬉しくって。 今　人気のとこばかり じゃないですか！ これ 採用募集中の企業のリストです。 えっ　もうリストアップ してくださったんですか？ はい。　早く見ていただきたくて 伺ったんです。 ありがとうございます。 鳥滿商事さんって ずいぶん趣のある建物なんですね。 （山口）趣なんて… ただ古いだけですよ。 はあ…。 やべっ！　部長だ！ じゃあ　私はこれで。 （山口）どうも。 （竹田信也）おい　山口！ はい。 お前　こんなとこいたのか。 ほら　飲み行くぞ。 （山口）いや…。 ほら　山口！ （山口）俺　今日はいいですよ。 いいから来い！ （竹田）いいから来い！ （山口）わかりました！ ≫（竹田）すいません。 ≫（店員）はい！ ああ　生ね。 （店員）はい。 カシスオレンジ。 （店員）はい。 （竹田）なんだ　それ。 最初の１杯ビールだろ。 俺　ビール嫌いなんすよ。 苦くて…。 あのな　嫌いとか苦いとかの 問題じゃないんだよ。 居酒屋では　まずビールで乾杯！ 《ウザそうなオヤジ》 いいじゃないですか 好きなの飲んだって。 そこだよ。 お前が　わかってないのは。 ジョッキでカツーン！ お疲れ様でーす！ グーッと飲んで １日の疲れがパーッと吹っ飛ぶ！ 《こんな口うるさいオヤジが 上司じゃ　たまんないわ…》 （竹田）最低限のマナーなんだよ。 山口　営業マンっていうのはな そういう気配りが命なんだよ。 ♪♪～ （店員）お客さん　お客さん！ あの　閉店なんですけど…。 （山口）すげえ！ こんなとこも　いけるんだ。 山口さんは あのオヤジから逃げたいんです。 職場での人間関係が最大の原因だ って　完璧にわかりました。 途中で寝ちゃったけど。 途中で寝ちゃったけど→ 完璧に　わかったの？ だって　毎日あんなオヤジに→ ぎゃあぎゃあ言われたら やめたくもなりますよ。 竹田さんって人は そんな　ひどいオヤジなんだ？ はい。　あれじゃ　山口さん 生き生き仕事出来ないですよ。 かわいそうです。 私　山口さんを救います！ 救う？ 山口さん→ 第２新卒で全然いけてるし… 全力でサポートして→ 山口さんの転職 絶対　成功させてみせます！ 山口さんのために！ 山口さんのために？ あっ　山口さんの転職先 エントリーしないと。 失礼します。 失敗しちゃえ。 ♪♪～ エントリーした企業→ 来週には　書類選考の結果 出揃うと思います。 まあ　書類選考くらいは 通るだろうけどね。 山口さんの転職先 早く決まるといいですね。 絶対に決まる。　決めてみせる！ （山口）書類選考で全部落ちたって どういう事ですか！？ それが私にも…。 すみません。 とりあえず　あちらの面談室へ…。 僕は　あなたに任せたんですよ！ ご安心ください。　これは全部 私の予想どおりの事ですから。 え？ 「予想どおり」って…？ 山口さんが転職したい理由は→ 今の会社から逃げたい というだけですよね？ 仕事がつまらない。　上司がウザイ。 そういうタイプの方は→ 転職後の会社でも また何か不満を持つ。 そして　すぐに 別の会社に目移りしてしまう。 今の状態では 会社の大小には関係なく→ 上手く いかないんじゃないですか？ 海老沢さん こうなる事わかってたんですか？ ああ　始めからね。 だったら　なんで…！ 始めから　わかってて 失敗させるなんて→ そんなの 相談者に対して失礼です！ だって　転職活動 始めたばっかりじゃない。 これぐらい　どうって事ないよ。 どうって事ないわけ ないじゃないですか！ そうですよ。 僕…　会社に 辞表　出しちゃったんですよ！ 辞めちゃったんですか？ この間の面談で→ 「大手　大丈夫だ」って おっしゃってたから！ 大丈夫ですよ。 山口さんも　うちの井野も→ これで コースアウト出来たんですから。 コースアウト…？ ２人共　地に足がついてない。 社会で　ふわふわ浮いてる状態。 そんな人はね→ 一度　地面に落ちてみないと 目が覚めないんです。 山口さんの総合点は１３点。 その中で　増やしたいポイントは やりがいと将来性でしたよね？ はい。 ところが　うちの井野は→ それを　まったく無視して 転職先にエントリーしてしまった。 どこに　将来性とやりがいが ないんですか？ みんな 日本を代表する超一流企業です！ 転職先を選択する時に→ 気をつけなければいけない 法則がある。 法則…？ それは→ 「美人薄命の法則」。 美人…。 薄命…。 美人薄命って… 転職と　どういう関係が？ いい機会だから　２人で 解明してみては　いかがですか？ 解明…。 ２人で？ いい勉強になると思うよ。 山口さんも。 僕は転職の相談にきたんですよ。 解明なんて　そんな暇ないですよ！ 失礼します。 何がコースアウトだ　海老沢の奴！ でも　海老沢さんには 海老沢さんの考えがね…。 （唐木田力哉）うん　言ってる事は 間違ってないような気がするな。 みんな　あいつの味方ですか…。 今日も荒れてんな　真々子ちゃん。 あっ　それで　わかったんですか？ 美人薄命の意味。 そんなに早くわかったら 苦労しないよ。 （唐木田衿子）転職に 関係する事なんでしょ？ じゃあ　面接とか？ 面接…？ あっ　わかった！ （面接官）あの子　きれいだね。 テストの成績も　まずまずですな！ 採用しちゃいましょうかねえ？ あれだけ美人ですと　すぐに 結婚して　辞めてしまうでしょう。 美人薄命ですからな！ （一同　笑い） って感じで　美人は 案外　採用されないという法則だ。 それは　さすがに…。 違うと思うよ。 っていうか 江村まで　なんでアロハ？ なんでって…　海老沢チルドレン？ 江村まで あいつに汚染されてく…。 たぐっちゃん 昔とった杵柄でさあ→ なんか名推理ないのかよ。 昔って？ 田口さん　前は 警察官だったんだよね。 ほんと？ （江村）見えねー！ 確かに　自分でも 向いてないような気がしました。 だから　こう 仕事してても　焦りがあって…。 年も近いし　山口さんが 会社辞めてしまった気持ち→ ちょっと　わかる気がします。 「留守番電話に接続します」 「はい　山口です」 「ただ今 電話に出る事が出来ません」 「メッセージをどうぞ」 山口さん まだ連絡とれないんですか？ うん…。 えっ　だって…　もう何日目？ ちょうど１週間です…。 （南）そんなに考え込んだって しょうがないよ。 ごめん　ご飯作りに来てもらって。 いいよ 今ダーリン韓国に出張で暇だし。 真々子 死にそうな声　出してるんだもん。 だってさ…。 まっ　今日はさ→ 韓国にいるダーリンを思って プルコギでも食べよう。 え～？　私　人の旦那　思って プルコギ食べんの？ あっ　そういえば ダーリンの会社　辞めた人で→ そのあと 自殺した人いたんだって。 え？ 会社辞めても　すぐに→ 転職出来るって たか　くくってたらしいんだけど→ 結局 どこにも入れなかったんだって。 だって　南の旦那の会社って 超一流商社じゃん。 だからこそ　転職するからには→ それより上に行かないとって こだわるわけよ。 プライドが高い分　自分で 自分を追い詰めて…　おえっ。 プルコギ食べよう。 山口さん。 山口さーん！ ただいま。 （川添）お疲れー。 ずいぶん　しょぼくれた顔だねえ。 海老沢さん。 山口さん 転職が上手くいかないからって→ 自殺したりしませんよね？ さあ？ 人間 死にたくなったら　死ねちゃうし→ 死にたくなくても 死んじゃうからね。　王手！ （江村）うわっ　やられた…。 海老沢さん…。 おっ アイスクリームを食べる時間だ。 江村君　食べる？ あざっす！ 失礼。 失礼。 うわっ！ 井野さん　お電話ありましたよ。 山口さんって方から。 ああ　わかった…。 え？　山口さん！？ すみません　お待たせして…。 こちらこそ　連絡もせず ご心配をおかけして…。 すいませんでした。 いえ…。 あれから　自分でも　いろいろと 動いてみたんですけど→ やっぱ全然ダメで…。 もう一度 助けていただけませんか？ 企画とか宣伝とか→ そういった派手な仕事には もう　こだわらないんで…。 今までの会社とは違う→ 人気企業であれば 選り好みしません。 あの…　お願いします！ 山口さん。 今度こそ 転職　成功させましょう！ はい！ （川添）はい　いってきまーす。 面談　終わりました。 ♪♪～ （携帯電話） はい　お世話になっております。 ♪♪～ よろしくお願いします。 これがリストです。 はい。 え！？　スターツーリストも！？ ええ。 頑張ります！ 次々とバラエティーに富んだ ツアーを展開される→ 御社のグローバルな 企業姿勢を拝見し→ ぜひ　こちらでお世話になりたいと 考えております。 ≪（ノック） 井野さん　どうでした？ えっ　ぜ　全部ですか…？ はい…。 そんな…。 また落ちたんだ？ それで→ この先 どうしていけば　いいかと思って→ ご相談に伺いました。 ご相談の前に→ 美人薄命の法則　わかったの？ いいえ…。 出された問題も解けずに ご相談ですか。 君は　ずいぶんと 楽な仕事をしてるんだねえ。 でも　早く決まらないと…。 山口さんにだって 生活がありますから。 これは　君の仕事だろ？ ただいまー。 （川添）おかえりー。 なんですか？　そのぬいぐるみ。 ＵＦＯキャッチャー？ 知らないんですか？ 「いってらっサ～イ」ですよ。 （江村）知ってる！ スターツーリストの キャラクターでしょ？ スターツーリスト？ （江村）一部のマニアに すっげー人気あんだって。 （川添）え？ 俺行った時　もらえなかったー。 人事担当の人が すごい優しい人で…。 田口君　お願いがあるんだけど…。 え？ （手塚）先日の 山口さんの件ですよね？ はい。　採用を見送られた理由を お伺いしたいんです。 （手塚）ご存じのとおり　今回も→ 弊社に　たくさんの方が 入社を希望されたんですが…。 御社は人気企業ですから。 実は→ 採用しても　半数が 短期間で辞めてしまうんです。 高倍率で入社したのに… どうしてですか？ 職員に課せられる仕事量も 多いですから。 自分のやりたい事が明確でないと とても続きません。 山口さんは うちの華やかな面だけを→ ご覧になっている ようでしたので…。 つまり　面接官に→ 山口さんは理想ばかりで 現実が見えてないってのを→ 見抜かれてたって事か…。 まあ　スターツーリストは→ 今まで何度も→ 倒産すれすれの大博打で 勝ち上がってきた会社だから→ 山口さんみたいな人には 向かないかもねえ。 そうなんですか？ 韓流とか→ その時々のブームを いち早く掴んで→ 大きくなっていってる 会社ですから。 でも　その会社の子の合コン→ ノリが体育会で ちょっと引くんですよね。 山口さんには 社風も合ってないのかも…。 それに　スターツーリストは 業績の浮き沈みが激しい。 そうなの？ ええ。 たたでさえ　旅行業界は　時流に 左右されやすい業界ですから。 そういえば　ＳＡＲＳで　海外旅行数が 落ち込んだりしましたよね。 スターツーリストだけじゃないよ。 ＩＴやサービス産業なんかの→ 派手に見える企業は 波に乗っかってるのは一時。 地味にコツコツやってる方が 会社としては強い事もあるんだよ。 表向きと中身は違う って事ですかね…。 どうしたんですか？ 「鳥滿商事に行きたい」なんて。 山口さんが辞めたいと思った 鳥滿商事→ もっと　ちゃんと見ておきたいと 思って…。 だったら 山口さんの上司の　竹田部長にも→ 会ってみたら　いかがですか？ 人事の事で用事もあるし→ 井野さんは　研修中の社員だって 言えば　大丈夫です。 僕も　ちょっと気になった事が あったんで…。 早速　何名か　中途入社の方を ご希望という事で。 かねてから　お伝えしたとおり→ 直営店事業を　本格的に 始動する事になりましてね。 特に　店舗マネジメントに 精通している人材が欲しいんです。 え…？　直営店を オープンされるんですか？ はい。 （竹田）何か？ あっ　いえ…。 御社は　老舗の伝統を守る→ 堅実な経営をされている印象を もっておりましたので。 ええ　もちろん！ おっしゃるとおりです。 ですが　重要な事は→ 我が社の伝統と堅実を きちっと踏まえたうえで→ 新しい創造をするという事。 「伝統から革新へ」という事です。 特に欲しい職種など ありますか？ 若手の営業ですかねえ…。 まあ　最近の若い人は→ もっと華やかな仕事を したいでしょう。 私の周りの若いのも そうですから。 私も　つい うるさく言ってしまって→ うちの若い連中に ウザったがられましてね。 だから　新しい若い人が来れば 刺激を受けて→ 自分から　やるぞー！ という気持ちに→ なれるんじゃないかと思いまして。 竹田さんは　部下思いなんですね。 （竹田）いや…　私の会社を これから引っ張っていくのは→ 若い連中ですからねえ。 嫌われようが 仕事のためになる事は→ 全力で たたき込んでやりたいんですよ。 イメージ　まるで逆だった…。 だから　以前　井野さんが→ 竹田さんを　ウザイだけのオヤジだ って話してたって聞いて→ ちょっと違和感があったんです。 あの竹田さん すごい人ですから。 すごいって？ 鳥滿商事は　一時期 取引先を次々と奪われて→ 売り上げガタ落ちに なったんですけど→ 竹田さんが 営業の指揮をとってから→ 一気に奪い返して Ｖ字回復させたんです。 若者いじめだけが 取りえの人かと思ってたけど→ 全然違ったんだ…。 この事 山口さんも知らないですよね。 ええ。 山口さんの事 呼んでもらえませんか？ あのー　どこに行くんですか？ それが　私にも…。 あっ　ここです。 ここ？ …が　どうしたの？ やっぱり ご存じなかったんですね。 これは 鳥滿商事が所有するビルです。 えぇ…！？ こんな大きなビル持ってたの？ うちの会社が…！？ ああ　いや… もう辞めましたけど。 これだけではないんです。 ここも。 ここも→ ここも…　ここも！ ここの本社以外に　全部で５つ。 一等地に 賃貸ビルを所有してるんです。 全然知らなかった…。 …私も。 会社として 多くの資産を持っていて→ 家賃収入だけでも 相当なもんです。 しかも　無借金経営で 財務体質もいい。 鳥滿商事は　実は 隠れた超優良企業なんです。 超優良…。 戦前の創業で　今も健在。 なおかつ　非上場。 まあ　こういう会社こそ→ 今の時代 ガッチリもうかって→ しっかり資産を ためているんです。 （山口）こんな地味なのに…。 それに今　直営で 鶏料理専門店を出す→ 新しい事業も 始まろうとしています。 そうなんですか！？ 竹田部長が　長年 上層部を説得し続けたそうです。 ♪♪～ （山口）嫌々入った会社だからって→ 鳥滿商事の事 全然見てなかった…。 いい会社だったんですね…。 （ノック） どうぞ～。 （ドアが開く音） 失礼します。 また　何か　ご相談ですか？ わかりました　美人薄命の意味。 就職人気ランキングに 入るような企業でも→ その時が　最盛期で→ あとは　落ち目になる事が多い。 みんな→ 派手で急成長している企業に 入りたがるけれど→ それは　意外な落とし穴だって。 つまり→ 美人に　だまされるな。 突然　命を落とす事もある。 …という意味だったんですね。 まあね。 人間も　企業も 見た目は　ともかく→ 健康で長生きが　一番だからね。 健康で長生き…。 黒字経営を　何年続けているか。 創業年数は　３０年以上か。 会社を選ぶ基準は 数限りない考え方がある。 世の中の価値基準だけが 会社の価値じゃない。 …そうだ！ 君に渡そうと思ってたものがある。 なんですか？ なんか…　吹っ切れた気がします。 もう　大手とか中小とか 地味とか派手とか…→ そういう事に　とらわれるのは やめようと思います。 早速　明日１４時から 面接があるんです。 山口さんにピッタリの会社だと 思うんですけど。 受けます！ よろしくお願いします。 ≫次の方　どうぞ。 はい！ （面接官）弊社への入社を 希望される理由を→ お聞かせください。 （山口）はい。 僕は　今まで 思い違いをしてきました。 華やかで見栄えのいい 人に言って自慢出来る会社が→ 一番だと思ってきました。 自分の会社のいいところも 見ようとせず→ 自分は　こんな雑用を 押しつけられる人間ではないと→ おごった考えを持っていました。 では　あなたは→ どんな仕事をしたいと 思いますか？ なんでも　やります。 どんな仕事でも 雑用だと思ってやれば雑用で→ そこに　誇りがあるからこそ 仕事として胸が張れる。 うるさい上司だって→ ほんとは悩んで　戦って→ 僕たちに　何か伝えようと してくれていたのに…。 向き合おうとしていなかったのは 僕の方でした。 （山口）取り扱う仕事の 大小ではなく…。 僕は　サラリーマンとして→ 働く人間として 誇りをもって→ 御社と共に成長していきたいと 考えています。 （山口）井野さん。 どうでした？ 思っている事は 全部　伝えてきました。 そうですか。 ありがとうございました！ あっ　いえ…！　私は…。 （竹田）山口！ （山口）部長！ あれ？　あなたは…。 ああ…　すみません。 実は　私→ 山口さんの転職の相談に のっていて…。 そうでしたか…。 山口　お前に→ 渡しておかなくちゃならんものが あってな…。 はい…。 これ…　僕の。 みんなに言われたよ。 なんで　休暇中の山口が 面接に来るんだ！？　って。 休暇中…？ まあ…　俺も 少々押しつけ過ぎてたから→ お前も 思い詰めちまったんだろう。 部長…！ （竹田）これだけ休んだんだ。 仕事が　たまってるぞ～。 …はい！ それから…→ これは　もう　いらないな。 （力強く破く音） ♪♪～ 部長…→ 今夜 飲みに連れていってください。 １杯目は　ビールだぞ。 はい！　ありがとうございます。 ♪♪～ （園池真二郎）今回の件は 新卒採用に関しても→ なかなか役に立つ テストケースだったというわけか。 会社を選ぶ基準を→ 人気のありなしで決める 傾向にある学生らに向けて→ 企業ＰＲを根本的に変えていく 発想に　つながりますから。 君には　新しいビジネスモデルの 構築を期待している。 何かプランがあるのなら 役員会にかけよう。 社長は　よろしくても→ 僕は　役員の皆様に あまり好かれていませんから。 私が　こうして　君に→ 独立した役員待遇のポストを 与えて→ 海老沢班を作った理由は 君にも　わかっているだろう？ 一企業家として 私は見てみたいんだよ。 君の言う　「日本支配計画」が→ 本当に 現実のものになるかどうかをね。 ♪♪～ いや～　よかったですね　山口さん 鳥滿商事に戻れて。 ありがとう　田口君。 いや…　むしろ　もっと早く→ 鳥滿商事の事を 話せばよかったですね。 でも これから転職しようって人に→ 今の会社に残った方がいいですよ …なんて言えます？ まっ　言いにくいねえ。 （江村）井野っち　転職させるって すげえ　はりきってたし。 必要な回り道だったんだよ 真々子ちゃん。 ですよね。 でも　まさか　もう一度→ 鳥滿商事を受けに行かせるとは 思わなかったですよ。 ああ　あれは…。 君に渡そうと思ってたものが あった。 ♪♪～ これ…。 一度辞めた人間は 採用しないって→ 規定はないけど。 海老沢さんらしいですねえ。 そもそも　美人薄命なんて なぞなぞみたいな事　言わないで→ すぐに意味を教えろって話よね。 あのインテリメガネ。 メガネが　どうかした？ いえ…　なんでも…！ それから…　すみませんでした。 何が？ 何って…→ 私　山口さんを 転職させられませんでした。 山口さんが転職しないって事は→ 会社の利益を 損なったわけですから。 じゃあ　井野さんに質問。 会社の利益って　何？ 利益…。 それは…　売り上げを増やして 経費を削減して…。 全然違う。 会社の利益 それは　信用だよ。 信用…？ そう。 信用なんて　金にならないって 思いがちだけど→ まず信用を得る。 これは　商売の鉄則だ。　だから…。 それじゃあ　金にならないじゃん。 でも　利益だけが目的だったら 無理をして　いずれ破綻する。 海老沢さん…！ 人に信用される事 それが結果的に→ 金を生む。 だから 信用が大事だという事だよ。 せっかく　いい話だと思ったのに… 結局　お金。 それ以外に　何かあるの？ 私は…→ 人って　会社に資産があるとか 経営が安定してるとか→ お金だけの事で 動かないと思います。 一番大切なのは どこで働くかではなく→ 誰と働くかだって 私は思うから。 井野さん…。 まあ　今回は　君も 多くの事を学んだようだから→ エンゼル　２枚。 ２枚！ …と言いたいところだけども→ 僕の事をインテリメガネと こき下ろした罰として→ １枚　没収。 ちょっと待ってください！ 私は　インテリメガネなんて 言ってませんよ。 インテリメガネなんて 言ってません！ インテリメガネなんて 言うわけないじゃないですか。 インテリメガネなんて…！ はっきり言ってたよな。 うん。

トランジット・ガールズ＃06

1 (未来)直君のことが好き｡ (直) 俺 ずっと大事な子がいるんだ｡ (小百合) ねえ｡ 何か 今日の直 変だよ｡ 俺 お前が好きだ｡ 俺と…｡ 付き合ってほしい｡ じゃあ 俺 帰るわ｡ 返事 今じゃなくていいから｡ じゃあ｡ (小百合)えっ？ ≪(小百合)ゆい｡ (小百合)今日 そっちで寝ていい？ (ゆい)うん｡ 来て｡ (ゆい)どうしたの？ 直に告白された｡ そう｡ 驚かないんだ？ 直君は 小百合のことが 好きなんだろうなって思ってたから｡ ｢返事は 今じゃなくていい｣って 直は言ってたけど｡ あしたから どんな顔して 直に会ったらいいか分かんないや｡ それは 大丈夫だよ｡ 直君は 小百合に 気を使わせたりしないと思う｡ 直は 生まれたときから 18年間 一緒で｡ うん｡ ずっと きょうだいみたいだったし｡ この先も ずっと隣にいて➡ この関係が一生続くんだって どっかで思ってたんだ 私｡ うん｡ ずうずうしいのかも しれないけど➡ ずっと このまんまの関係でいたい｡ でも もう それも 無理なのかな｡ でも 直君は その関係が 壊れてもいいって思って➡ 告白したんだよね｡ それって すごい覚悟だったと思う｡ ずっと変わらないものなんて ないのかな｡ 変わらないよ｡ うん？ 私は ずっと変わらない｡ ♬～ (直)おはよう｡ おはよう｡ お前 もしかして…｡ ここに あんこ入ってない？ 入ってないです｡ なぜなら➡ おまんじゅうじゃないから｡ (直)痛い 痛い 痛い！ ごめん｡ そろそろ おまんじゅういじり 飽きたんだけど｡ おはよう｡ おはよう｡ おはよう｡ (まどか) 今日の明け方 見たんだけど…｡ (まどか)２人で寝てるとこ｡ あれって どういうことだろう？ って➡ 私 ずっと考えてて｡ ふざけてるだけだったら いいんだけど➡ 何か そういう感じにも 見えなかったから｡ 小百合ちゃんは 女の子で しかも 妹で➡ まあ 言うまでもないか｡ 本気？ ゆい｡ 血は つながってなくても➡ 私たちは 家族になろうとしてるの｡ ゆいが やってることは➡ 家族を壊すことに なるかもしれない｡ 壊れてもいいっていう 覚悟なのかどうか よく考えて｡ (未来)私 振られたんだ｡ (未来)直君から聞いてるでしょ？ うん｡ でも 直君 ｢大事な人がいるから｣って➡ はっきり言って…｡ 超カッコ良かった｡ 小百合も いいかげん 直君が自分のこと好きって➡ 気付いてるんでしょ？ え… はい｡ あのさ 私が読んできた 少女漫画だと➡ 小百合と直君みたいな 幼なじみって➡ 最後は 必ず くっつくパターンなんですけど➡ ２人 付き合わないわけ？ うん｡ (未来)何で？ 何でって…｡ 小百合 もしかして 他に好きな人がいる？ 嘘でしょ!? どこの誰？ あっ そう｡ 別に言いたくないなら 言わなくてもいいけど｡ 好きな人がいて 直君に あの感じなわけ？ あの感じって？ その気もないくせに すごいイチャイチャしてるじゃん｡ えっ!? えっ 私!? そういう気付いてませんでした みたいな感じも➡ すっごいムカつく｡ ハァー｡ 私 いっつも イチｬイチｬするところ 見せられて➡ あれ 何のプレー？ あー イラッとする｡ ごめんね 私 心狭いの｡ あっ こっちこそ ごめん｡ フフッ｡ ヤバくない？ 少女漫画だと 小百合 超嫌われるキャラだよ｡ はい｡ (未来)ハァー｡ 好きな人が どこの誰だか知らないけど➡ だいたい それ 直君は 知ってるわけ？ 小百合は 直君の優しさに 甘え過ぎだと思う｡ 直君は スーパーマンかもしれないけど➡ スーパーマンだって 傷つくことあると思う｡ 私 今の小百合 全然 好きじゃない｡ (圭吾)ただいま｡ おかえりなさい｡ おかえり｡ (まどか)おかえりなさい｡ (圭吾)小百合の好きなｼｭｰｸﾘｰﾑ 買ってきたぞ｡ もう また太らす｡ じゃ 食べないでいいよ｡ いやいや 食べます 食べます｡ (まどか) じゃ コーヒーでも入れよっかな｡ (圭吾)俺 ブラックがいいな｡ (まどか)小百合ちゃんは？ あっ じゃあ 私も➡ せめて ブラックにしておきます｡ ＯＫ｡ あれ？ 何で ２つ？ ああ｡ これ １つ 直に持ってってくれ｡ えっ 今？ 今でしょう｡ (まどか) あんまり遅くならないうちに➡ 行った方がいいんじゃない？ 深澤さんに悪いから｡ はい｡ (圭吾)しかし 直のやつ➡ 最近 ぐっと男らしく なってきたよな｡ そうかな？ 小百合は がきんちょだから 分かんないんだよな｡ ゆいちゃん 直は なかなか いい男だよな？ そう思います｡ (圭吾)直が 嫁にもらってくれれば いいのに｡ なあ 小百合｡ はあ？ (まどか)圭吾さん 小百合ちゃんと 離れたくないだけじゃないの？ お隣だったら いつでも会えるから｡ 彼氏も まだ いないのに 嫁にいくなんて まだまだか｡ もう パパ 今日 余計なことばっか言ってる｡ (圭吾)ゆいちゃんは 彼氏はいないの？ いないです｡ (圭吾)えっ ホント!?➡ こんな美人なのに｡ 世の中の男は だらしないな｡ でも 好きな人はいます｡ (圭吾)あっ そう｡ じゃ いつか うちに連れておいで｡ もし パパが 私たちのこと知ったら➡ どう思うんだろう？ きっと 想像もしてないと思う｡ 何か➡ 家族っぽくなってきてるなって このごろ｡ パパも幸せそうで｡ でも このままで いられるのかなって｡ 怖い？ こんなこと言って ごめん｡ 私たち 好きでいて いいんだよね？ うん｡ ギュッてして いい？ うん｡ 痛いよ 小百合｡ いいの｡ (シャッター音) できた？ ちゃんと撮れてるかな？ どうだろう？ (シャッター音) フフフ｡ ハハハ｡ もう一回 撮る？ 撮る｡ もうすぐ クリスマスか｡ うん｡ ２人で過ごす 初めてのクリスマスだ｡ うん｡ ゆいは お父さんが いなくなった日だから➡ クリスマスが苦手だって 言ってたけど｡ 覚えててくれたんだ｡ 私は いなくならない｡ 一緒にいる｡ うん｡ クリスマス 苦手じゃなくなるといいな｡ ありがとう｡ ♬～ ♬～ フフッ｡ フフッ｡ いってきます｡ いってきます｡ (シャッター音) 撮ったでしょ？ フフッ｡ 近いよ｡ いい！ 撮る？ うん｡ いくよ？ ＯＫ？ 撮れた｡ 見せて 見せて｡ うん｡ あっ！ おっ！ すごい これ 奇麗｡ 奇麗に撮れてるね｡ プロっぽいね｡ 小百合は 冬が似合う｡ おまんじゅうだからかな？ 自分で言ってる｡ フフフ｡ じゃ 行こっか｡ ♬～ (まどか)ごめんなさい｡ (圭吾)何？ ひとまず 頭を上げてよ｡➡ まどかさん？ 驚かないでほしいんだけど｡ (まどか)これ｡ (まどか)驚かないでっていう方が 無理よね｡ (まどか)ゆい｡ 昔は 普通に 男の人と付き合ってたし➡ 私も 半信半疑だったんだけど➡ この家に来たころは 小百合ちゃん ぴりぴりしてたじゃない？ でも だんだん雰囲気が やわらかくなったなと思って➡ 安心してたし 最近は よく２人でいるな｡➡ やけに 仲がいいなとは思ってた｡ でも こないだ 何だか 様子が変だと思った日があって➡ ゆいとは 一度 話をして➡ それで ブレーキかけてくれれば いいと思ったんだけど｡ 完全に 私が甘かった｡ 本当に ごめんなさい｡ ゆいちゃんは 何て？ 本気だって｡ 私たち もう一緒には 暮らせないよね？ ♬～ ≪(ドアの開く音) ♬～ (まどか)おかえり｡ ２人とも ちょっといい？

フラーハウス.S03E01.JA

1 今日から夏休みだ！ 学校が嫌いなわけじゃない でも夏休みの方が好き おはよう お兄ちゃん 　　 　ベッドから出てよ 最高の夏を楽しもう　弟よ ２人とも パーティーだよ 遅れずに行かないと 君もおいで 君も 君も 君も来ていいよ みんな 出ておいで お気に入りの息子が来た ちょっと！ 冗談よ　みんな大好き 本当は あなたが１番 最高の夏にしよう 私 スクランブルエッグを 　　　　　　　　　 食べてる まあ いいや １　２　３　４ 夏の にぎわい 　　大きな波に乗ろう 暑い日には 　　クールな車でドライブ 最高の夏 友達とパーティー ずっと続くよ みんなで楽しもう 最高の夏 音楽かけて 楽しみは止まらない なんて最高なの！ 夏の そよ風　夜の星 ガタゴト走るケーブルカー 手をつないで キスをしよう なんてステキな気分なんだ 君も同じ気持ちだよね 最高の夏 雨でも晴れでも楽しもう 最高の夏 あっという間だけど 　　今年は終わらせない 最高の夏 夏の にぎわい 　　大きな波に乗ろう 暑い日には 　　クールな車でドライブ 最高の夏 最高の夏 マックス　起きろ 夢 見てた？ まだ夏休みじゃないの？ 今日からだよ それなら！ ２　３　４ 最高の夏 NETFLIX オリジナルシリーズ フラーハウス 早起きして ゆっくりするの好き 嵐の前にね 大ニュース！ 嵐が来たわ ＣＪと僕から大事な… パンケーキだ 私たち ついに 決めたの 夏の終わりに 結婚式を挙げるわ 日本で！ どう？ なんで？ 義理の父が 日本に住んでるの お金も出してくれる なるほど ぜひ来てほしい 少しだけ不便だけど ちょっと海を 越えるだけだから 日本食ならベニハナで 食べられるよ 今のは〝行く〞って 意味よ よかった お祝いに欲しい物を 決めないと インテリア雑貨に… 食事券！ ポテト食べたい 早く お店に食べに行こう スティーブが 結婚しちゃうのね 他の人とね ハッピーエンドが嫌いなら いいけど スティーブ派は諦めて マットは夢のような彼氏だよ ホント 夢のような人 実はマットの夢を見たの 一緒に洗濯物を畳んでたわ その後は？ ただ洗濯物を畳んでただけよ ステフヌードル 俺のキャンピングカー コストコに移すよ 誰かが役所に連絡して ここに止められなくなった なんで見るの？ 確かに邪魔だった 私も車を 止められなかったし… そう　私よ ＤＪ　職場へ送るよ 一緒に過ごしたい 最近 一緒に 過ごせてないもんね 同じ職場で働いてるじゃん でも会えてない 担当の動物が違う 今日は無理なの ジャクソンを夏期講習へ 夏期講習とは最悪だ だから特製ランチを作った ステーキサンド パンプキンパイを丸ごと それとiTunesカード50ドル分 セレーナ･ゴメス入れたって 行かないよ そろそろ行くけど 別れがつらい 私もよ 本当に寂しい 私も本当に寂しい 10分後に 渋滞してたら15分 マットと つながる時間が 必要だよ ジミーと私みたいに 毎日だよな だから駐車禁止にした マットとは大丈夫よ 何とかする できるかな？ ダメ　ムキになっちゃう オラ アミーゴ では アディオス ちょっと　どこ行く気？ どこも キスをよけた？ ミ･アモール かわいく言えば 私をだませるとでも？ 何もないよ もう行かないと 別に何もないけどね 遅刻しそうだ 何もないよ 休み！ 休み！ 休み！ 休みだ！ 今年は… 最高の夏 なぜか この歌が 頭を回ってる バイバイ ママ 待って どこへ？ マイティ･マウンテン あそこの波の乗り物 好き ポンチョと 替えのブラ取ってくる ブラが濡れると最悪だもん ママのこと好きだけど ちょっとお邪魔虫かも 娘と一緒にいたいの カード貸してくれたら ママの一部がずっと一緒だよ 優しいのね 俺は３ヵ月 ソファにいるよ そのことだけど… 待って 俺は“のんびりジャクソン” 気まずいけど 話したいことがある 赤ちゃんのつくり方は 知ってる 学校の成績のことよ バッチリだったろ そう思う？ 歴史でＤマイナスは バッチリ？ だから決めたの 夏期講習に行ってもらう 講習？ ウソだろ ローラと遊ぶ予定なのに 頭が追いつかない 考える必要ない 今日からだから 教科書と特製ランチよ ギフトカードも 入ってるから許して 俺の意見は無視するわけ？ ひどいよ のんびりジャクソンなのに “歴史も完璧ジャクソン”よ この夏はラモーナと過ごす 最後のチャンスよ 高校生になっちゃう 私はジャクソンを助けなきゃ 将来 無職の居候は困るもの 私のこと言った？ “バンアッタ中学” 君も講習？ 違う　麻薬課の潜入捜査官 バラしていいの？ 捜査官じゃない そっか　違うんだね 講習受けて当然だね 私はロッキー　あんたは？ ジェイマネーって呼ばれてる ウソよ ああ ウソだ そういえば ヒゲの奴に注意 突然キレるかも 始めるぞ 今のが先生？ さっき駐車場で泣いてた 始めると言ったろ コストコの駐車場って最高 試食し放題だ 肉団子がうまくて買いかけた タダで食べられるのにね モリス　駐車させてくれて ありがとう その件だが コストコは 買い物しないなら止めるなと コストコが 試食品を配るのが悪い 行くよ　障害者用トイレに スタンガン忘れた 清潔だから つい使っちゃうんだ ジミー　ちょっと見て フェルナンドよ しかも相手の美女は― グランデ･ラテを ホント？ ベンティかも　超大きい フェルナンドは浮気してる キミーが傷つくよ 優しく伝えて 私が？ あなたが伝えて 無理だよ　もめ事は苦手だ ここは大人になって… 肉団子 〝ペット･クリニック〞 よかったな　足は無事だぞ キーホルダーにしたけど ジョークだよ マット ワオ！ あら 何て？ ワオ！ ムードを出すわね ごめん　トミー用だった 大丈夫？ セクシーにしてるの そっか　職場では イチャイチャ禁止だろ？ イチャイチャはダメだけど “イチャ”なら そうだね ハサウェイさん　早いですね 私たちは ビジネスパートナーですが あっちの方でも パートナーで… ラブラブ イチャイチャ あの… 猫ちゃん預かります ただいま ジャクソン ピザ買ってきたわよ 講習の件で後ろめたいんだね 違うわ アイスケーキもある １人で食べる そんなに大変だった？ 見てよ ニャー そうよ 猫は“ニャー”って鳴く 今日 私も大変だったんだ セルフィー撮りすぎて 携帯の充電が切れたの 猫ちゃん 何があったの？ 居眠りしてたら ロッキーに描かれた 全然 落ちないんだ 初日に居眠り？ 大事なのそこ？ みんなに笑われたよ ロッキーも怒られたはず 開いてます 誰でも入れちゃうの？ 殺されてなくて不思議 ロッキー　何の用？ あなたがロッキー？ なぜ落書きしたの？ 居眠りして 猫みたいな いびきを 謝るよう校長に言われて ママと来た もうちょっと！ ジャクソン 顔に落書きしてごめんね あと お尻にも 何？ チューリップ描いといた ロッキー　早くしなさい ジア　この天使は あなたの子だったのね どうも ＤＪ 会えてうれしい 今度 一緒に出かけよう いいわね　楽しそう でも やめとく もう行かなきゃ　大丈夫？ 大丈夫に見える？ もう嫌だ 講習もやめる　さらばだ 演劇やるべき もう帰って 初めて鍵をかけることにする 落ちないよ　クソ タイムマシンで今朝に戻って 講習やめる 先学期に戻って いい成績取れば？ そんなの楽しくない 講習は やめる 外出禁止にすれば？ 焼き印入れてもいいよ なぜ焼き印を？ 意地悪だから 怒るのも分かるけど 常にベストを 尽くしてほしいの これが ベストを尽くした結果かも 違う　サボってたもの でも もうすぐ高校生だし 自分で決めていいわ 本気？ 俺が決めていいの？ 講習やめていい？ 分かった　通うよ １日行っただけで 賢くなってる 好きな仕事に就いて 幸せになってほしいの ありがとう 居座らないでね ママは どうなの？ 言うわね ステファニー 二重駐車したから時間がない すぐ戻るって言ったのに 救急車が急いでて ジミー　デート中も 駐車場所を探してばかりよ 本気で家を探してみたら？ 信じて待ってれば 宇宙が与えてくれる そういえば キミーに話すからね 計画どおり 一緒に言うのよ ああ よかった どうも ステファニーから 悪い知らせだよ フェルナンドが浮気を… あとは任せた 何なの？ 座って　レモネードを 実はね フェルナンドがハグしてたの 相手は金髪美女で― ラテ持ってた 確かに様子が変だったけど 事情があるはず キムバリーナ 俺たちから報告が まず言わせて 彼女を愛してる ステフの言うとおり！ 何事？ レモネードを はすっぱ女に乾杯 私は不動産仲介業者よ 彼には家を売っただけ それに彼は あなたの話ばかりだった しまった これで許して 失礼ね！ ごめんなさい 平気　撃たれたこともある 何かあれば連絡を デビー･ゴールドに 売れない物はない 一体 何が？ 顔にレモネードかけた 俺も経験ある 今後はストロー使って みんな　台所に集まってくれ すごいニュースがある 今日 ステキな家を 買ったんだ 俺とキムバリーナと ラモーナの家だよ サプライズ！ 家を買った？ サプライズ！ しかも昔のギブレル家！ 本当？ ギブレルの家を？ そう　ギブレルの家 ギブレルの家を買ったの？ 待った　今まで名字の発音 間違ってた？ びっくり 引っ越すなんて寂しくなる ラモーナと… キミーとラモーナがね マックス　うれしいだろ？ 俺を追い出したがってた よく分かんないよ 確かに嫌い でもフェルナンドが必要だ 宿敵だもん アスピリンが要る フェルナンド 家を買ってくれたなんて うれしい 引っ越す？ でも勝手に決めて怒ってる 引っ越さない？ 喜ばせようとしたのね 引っ越す？ こんなの喜べない 引っ越さない？ 勝手に決めて私の意見は無視 君のためを思って無視した 俺のアイデアが一番 ＤＪと約束があるの だから オオカミ女の群れにいる ギブレルが一緒じゃなきゃ 俺は出てかないぞ 言ったろ？ 宇宙は与えてくれる ＤＪ　今 忙しいかな 聞かないでおく 今 話せる？ ええ 楽しくやろう ルームメイト どうしたの？ 今日のは何だったの？ ラブラブ イチャイチャって デートっぽいことをしたくて いつもバタバタしてるでしょ 仕事とか子供とか… それだけね ＤＪ　座って話そう 何を心配してる？ 俺たちは問題ない 特別になるために 関係を深めたいの もう特別だよ　俺は幸せだ ＤＪ　愛してる びっくり “愛してる”って言った？ 初めてよね 言いたいと思ってた 私もよ でも まだ 言ってくれてないよね じゃあ 言うわよ 愛してる 俺も愛してる すごいわ　愛し合ってるのね ラブラブ イチャイチャ 大好きだよ チャーリー！ ２００４～２０１７ 日本語字幕　鈴木 恵美

セカンド・バージン＃09

1 （万理江）主人を 警察に売ったのは　私なの。 私の事　バカだと思って なめてたでしょ。 （行）＜起訴されれば モンディアーレ証券は廃業になる。→ 会社も俺も　終わりだ。→ そうなったら　チャイナ・キャピタルは 俺を生かしておかないだろう＞ （るい）私と一緒に暮らして。 どんな　あなたも　好きだから。 私と一緒に生きて。 ♪♪～ ♪♪～ （ノック） （肇）はい。 すいません。 ちょっと席を外していて。 本格的に　女性誌を 刊行しようと思うんだ。 こんな時代に　女性誌ですか？ 無謀だろ？ そうですね。 だからこそ　誰も やらない事をやる。 こんな時代だという事を　逆手に 取れる会社だけが　生き残るんだ。 ついては　雑誌出版局を作るから 局長を　やってほしい。 編集長の人選も　るいに任す。 外部から　スカウトしても　いいし 社内で抜擢しても　いいし→ 自分で　やってもいい。 雑誌の経験は　ありません。 前の会社に入社した時に ちょっと　編集部に　いただけで。 経験なんか　邪魔になる時もある。 るいなら　できる。 無理です。 あんたは　逆境に強い。→ 黙んなよ。 考えさせて下さい。 これを成功させたら 役員に復帰させる。 「告白の都」も「ドラゴンハッキーの秘密」も 売れてるし→ るいの役員復帰に 異論を唱える者は　いない。→ 驚く事ないだろ？ 雑誌の準備期間は　半年。 そんな…。　自信ありません。 時間をかければ　誰でも それなりの事は　できるよ。 自信ありません。 できる。　俺の目は確かだ。 薄氷は　割ってから渡ればいい。 （若森）言い訳は　もういい。 君の夢に懸けた結果… 私も　見事に破れたという事だ。 申し訳ございません！ 裁判では　無実を争うのか？ 金商法違反については 罪を認めるつもりです。 なるほど…。 では　違法の認識は　あったのか。 金商法の解釈の範囲だと 考えておりました。 本当に申し訳ございません！ 判決が確定し 執行猶予が　つきましたら→ 今度は　株と　コモディティーの 一体運用を行う→ ファンド会社を設立し　再起を…。 もう　力は貸せないよ。 まあ　これで　君と 二度と　会う事は　ないだろう。 元気で　やりなさい。 ♪♪～ ただいま～。 （賢吉）万理江。　ここまで　きたら 離婚したら　どげんか？ 離婚は　せん。 あん女と行君を 自由に　させとうなか。 （文江）そげんですよ　あなた。 ばってん　私は私で　あん二人より 幸せにならなきゃ　面白くなか。 パパ。 行君に援助するはずだった　お金 私に　くれんね。 うん？ 出資ばして　私に。 何か　やりたいこつでも あるとか？ パパとママは　私には 何も　できんと　思っとるでしょ。 私を　バカにする人間は 親だって許さんけん。 私ね　ペットの体に優しい 自然食を作りたかと。 前に　ペットシッターしてた時に アレルギーの犬が　おったと。 食事に　問題が あるんじゃないかって思って→ 無農薬野菜と鶏のササミを ボイルしたのを　あげてたら→ ３週間で良うなったの。 ほう。 それって　商売にしたらいいかもと 思って　前に考えたばってん→ 行君　万理が　外で　お仕事するの 嫌みたいやって→ それっきりに　なってしもうた。 ペットの自然食か…。 ケンちゃんだって　もう年やけん→ 内臓も　くたびれとるし 体力だって落ちとる。 これからは　体にいい食事を 与えんと　いかんとよ。 万理ちゃん　すごかね～。 そげな事　考えてたと？ うちの研究所で 調べてみるけん。 やった～！ いやいや…　金を出すかどうかは まだ分からんばい。 ケチ。 社長の向井がね→ 行さんを励ます会を やりたいって言うんだけど　嫌？ 要らないよ　そんなの。 社長は感謝してるのよ。 あなたの本が すごく売れてるから。 でも　断っておくね。 裁判も　あるからって。 うん。 ♪♪～ （柏木）これまでも 学者や金融の専門家は→ 金商法１５７条　不正行為の禁止を 積極的に発動して→ 摘発を行うべきだと 言っているからな。 あのメールで　不正の認識が あったという事は→ 証明されてしまったし→ 事情聴取でも認めてしまったから 執行猶予を目指すよ。 それが　最善の策だろう。 しっかりしろよ！ ♪♪～ [TEL] ハロー。 ♪♪～ あ～　おかえりなさい。 大丈夫？ これ　のんでおいた方が　いいわよ。 ほっといてくれよ。 のんでね。　お願い。 長崎　行けばよかったかな？ 今　何て言ったの？ 何だよ？ 長崎の誰を 頼ろうっていうの？ 独り言だよ。 あなたを検察に売ったの 誰だと思ってるの？ あなたの妻よ！ 目を　くりぬいた写真も レタスの誘拐も→ 週刊誌や検察に密告したのも　全て あなたの妻の仕業だったのよ！ 彼女　私に言ったわ。 私から　あなたを引き離すために→ 検察に　身柄を 拘束させたんだって。 携帯のメールで　気づいたそうよ。 メールを見たって言ってたわ。 「私の事　バカだと思って なめてたでしょ」って笑ってた。 あなたを破滅させたのは あの人なのに→ そんな女の 何を頼るっていうの？ 撤回して。 「長崎に行けばよかった」 っていうの　撤回してよ！ 言って。　「悪かった」って言って！ 何で　今まで黙ってたんだ？ 愛してるからでしょ。 愛してるから→ 私の胸に納めてたんじゃない。 そんな事も分からないの？ そんな大事なこと　何で 今まで言わなかったんだよ？ 言って　どうなるの？ 取り返しつかないんだもの。 そうでしょう？ あなたさえ あんな事　言わなければ→ 黙っていられたのに。 人のせいに　すんなよ！ 今　こうして　一緒に　いられる事を 大切に　したかったからよ！ やっと　一緒に 暮らせるようになったんだもの。 ずっと　ずっと　待ってたんだもの。 同情されながら　一緒にいるなんか 耐えられないよ！ 同情じゃないわ。 一緒に　支え合って→ 生きていきたいだけよ。 きれい事　言うなよ！ 絡まないで。 何でも　聞いた方が　いいなら 聞くけど　拘置所を出た日→ なぜ　私を無視したの？ 杉並の家に戻ったっていう事は→ あの人と　やり直そうと そうだよ。 思ったの？ るいさんは　俺には　まぶしすぎる。 だから　あいつの方が 楽だと思ったんだ。 でも　あの人も出ていったから 私と暮らしているの？ ああ。 拘置所に　毎日　届く手紙も→ だんだん　読むのが　つらくなった。 こんなになった俺を　どこまでも 支えるって言い続ける→ るいさんの強さが うっとうしくなったんだよ。 外には出たいけど るいさんに会うと思うと→ このまま　拘置所に　いたいと 思った事だって　あるよ。 俺なんか　るいさんに　ふさわしい 男なんかじゃないんだって。 最低だろ？ そんな事　言わないで！ 今　こうやって　一緒に 生きている事を　大事にしたいの。 だから　投げやりに　ならないで。 投げやりになったら負けるわ！ だから　もう 負けてんだって　とっくに！ やっぱり　殺された方が いいんだな…　俺なんか。 待って！ 離せよ！ 行かないで！ どけよ！　どけって！ ねえ…　待って！ どいてくれよ…！ ♪♪～ おはよう。 おはようございます。 今日　初公判だろ？ ええ。 行かないの？ 行きません。 どうして？ 仕事です。 何だよ　心配してんのに。 私が　傍聴席に　いると 嫌だと思うんです。　だから…。 お先に。 もうちょっと実感の込もった キャプションに　してほしいの。 ただ　格好いい横文字じゃなくて。 考え直して。 どう？　候補　幾つか挙がった？ いまいち　ピンと 来ないんですよね～。 何か　他ないの？ これなんか　どうですか？ いいわね。 （裁判官）金融庁を辞めたのは なぜですか？ 金融商品取引法を改正した後 それを使いこなす　プレーヤーが→ なかなか 出てこなかったからです。 それならば　自分が プレーヤーに　なろうと考えました。 民間人として 日本の金融市場の発展と→ 日本経済の成長のため 先頭を切ろうと考えました。 （裁判官）日本経済成長のためとは 具体的に　どういう事ですか？ 日本には　個人金融資産が １，４００兆円も　あります。 １，４００兆円が 資産運用によって収益を生めば→ 日本国民は豊かになります。 そうなる事が　私の夢でした。 （裁判官）それで　モンディアーレ証券を つくったのですね？ はい。 （裁判官）コモン証券の 株式取得について→ どのような認識が　ありましたか？ 金融商品取引法の　公開買い付けの 規制に反しているとは→ 思っていませんでした。 しかし…　顧問弁護士から→ 金商法違反とされる可能性は 高いとの指摘を受けましたので→ その意味では　認識は　ありました。 深く反省しております。 （愛子）嫌だ～。 うまくいってないの？ （愛子）そんなもんだけどね 男と暮らすって事は。 お互い好きっていう事は 分かるんだけど→ 何だか　ギクシャクしちゃって…。 過ぎた事は　忘れた方がいいよ。 考え過ぎて　いい事ないから。 このごろ思うんだけど 行さんって→ 一つの所に　とどまれない人 なんじゃないかしら？ 放浪の魂っていうか…。 うん？ 仕事も結婚も　途中で 手放しちゃったでしょ？ それも　私のせいっていえば そうなんだけど…。 安定を嫌うのね…　きっと。 ふ～ん。 そのうち　私も 置き去りにされそうで　怖いわ。 （愛子）でも　それって るいちゃんも同じだよね。 えっ？ 前の会社　飛び出したし→ 夫や息子を 置き去りにしてきたでしょ？ 鈴木　行と　るいちゃんは 似てるんだよ。 だから　惹かれ合ったんだよ。 私と　あの人は　違うわ。 でも　置き去りに　されたくない。 その事を考えると 仕事も手につかないの。 嘘！　仕事は ちゃんと　してるくせに～。 不安よ　ホントに。 まあ　いけるとこまで いけばいいじゃん。 考えても　ほら　なるようにしか なんないからさ。 ♪♪～ [TEL] ♪♪～ 何しようとね？ 台所　寒かったけん こっちで　やりよると。 ペットの自然食　試作品　第１号。 早速　ケンに食べてもらうんだ。 そげな事　研究所の人に やらせたらよかとに。 自分で納得せんと　駄目やけん。 これはね　無農薬野菜と 五島の和牛を使って作ったと。 お醤油かけたら　人間が食べても おいしかけん。 へぇ～。 生産の段階に入ったら うちの会社の工場か→ 研究所の一角を使って 近所の　おばちゃんたちに→ 手伝ってもらおうと思っとると。 ママも手伝ってね。 よかけど…。 最初は　ネット販売で 様子を見てみるつもりなと。 おはよう。 おはよう！ ネット販売の準備は　しとるとか？ もちろん。　知り合いの ペットシッターさんに相談して→ ネットワークを　つなげとる。 ハハハハハ。 やっぱり　万理江は　わしの娘たい。 あげな男に　嫁にやって 時間を無駄にしたばい。　なあ？ （裁判長）被告人は　前へ。 それでは　判決を言い渡します。 主文。　被告人　鈴木　行を 懲役２年に→ 被告人　モンディアーレ証券株式会社を 罰金１億円に処する。→ ただし　被告人　鈴木　行に対し→ この裁判が確定した日から３年間 その刑の執行を猶予する。 創刊号だし　これぐらい強い色で いいんじゃないかしらね？ [TEL] ごめんね。 [TEL] もしもし。 執行猶予ついたよ。　良かったな。 ありがとうございました！ ホント　世話になったよ。 お疲れさまでしたね。 あなたは？ 新海社の向井です。 執行猶予の事 中村にも知らせておきました。 ありがとうございます。 控訴は　しないんですか？ ええ。 それなら　今回の　いきさつを 書きませんか？→ 今回の　つまずきも 急ぎすぎた背景も　あなたの恋も→ 全部　書いて下さい。 書く事で　あなたの心も 救われますよ。 鈴木さんを　時代の寵児にしたのは 中村と新海社です。 私も　新海社の社長として あなたの行く末を見届けたい。 ご存じかと思いますが 中村は　役員に復帰しました。 雑誌編集局　局長兼任の 専務取締役として→ 新しい雑誌を創刊しますし→ 我が社も　もう一度 上場のチャンスを　ねらいます。 何もかも心機一転 あなたも　我々と共に→ いま一度　ベストセラー 出しませんか？→ 今度は　経済本ではなく　随筆を。 役員に復帰されたんですか？ るいさんは。 ええ。 本を出せという話は るいさんも同じ考えですか？ まだ　話した事は　ありませんが 同じ意見でしょう。 どうして　そんな事が 分かるんですか？ 長年の同志だからです。 本の事は　中村とも 相談してみて下さい。 お疲れのところ お引き止めしました。 いえ…。 [TEL] ♪♪～ 先ほどは ありがとうございました。 本を書けと言っといたよ。 会って下さったんですか？ 今　世間は　あの男の心の内に 興味が　ある。 一刻も早い方が　いいと思ってさ。 書くって言いました？ 感触は良かったよ。 だけど…　あの男は駄目だな。→ 公判を　ずっと傍聴したけど 地に足が着いてない。 るいみたいに　できる女は ああいう　ガラスのような男を→ 守りたくなるんだろう。 しかし　国民の金融資産を 投資に回せば→ みんなが豊かになるなんて理屈は とんでもないよ。 頭の良すぎる人間の 机上の空論だ。 時代が早すぎたんですね。 どんな時代だって同じだよ。 そんな事　分かってんだろ？ るいだって。 私は　彼が　思い切り羽ばたければ それで　いいと思ってます。 彼の人生は　彼のものですから。 そばで応援したい… それだけです。 本を書けば　きっと 自分が見えてくるだろう。 一石二鳥だ。 本の事は　私からも話します。 お邪魔しました。 ごめんな。 社長の　おっしゃる事 よく分かります。 ただいま。 おかえり。 どうしたの？ 執行猶予になったし　るいさんに いろいろと心配掛けた　おわび。 それと…　役員復帰した るいさんの　お祝い。 ありがとう！ ごめんね。　いろいろと つらい思いさせちゃって。 本も書くよ。　しばらく無職だし。 きっと　また　ベストセラーになって お金も入ってくるし→ あなたは　華やかに 再出発できるわ。 頑張ってみる　もう一度。 るいさんと一緒なら きっと　うまくいく。 ♪♪～ ♪♪～ [TEL] イエス。 ♪♪～ 行さん？ 行さん。 ♪♪～ [TEL]「おかけになった 電話番号への通話は→ お客様の都合により おつなぎできません」。 マニュアルどおりに　雑誌　作っちゃ 駄目だって言ったでしょう。 こんな企画のために　あなたを プロジェクトに呼んだ訳じゃないわ。 この企画は　やり直し。 いいわね？ はい。 もしもし。 今朝から　交通事故などで→ 身元不明の人は　いませんか？ はい　男性で　年齢は　３０前後です。 （トモリ）鈴木さんかい？ ♪♪～ （トモリ）ここから 船に乗ってもらう。 ♪♪～ 待ちなさい。　ママが 追い払ってあげるけん。 いい。　一人で　よか。 あの人が怖かとは　ママじゃなか。 私やけん。 何でしょう？ 突然　申し訳ありません。 行さん　こちらに来てませんか？ いたら　話をさせて下さい。 行君　どっか行っちゃったの？ ええ。　おととい　突然 姿を消してしまって…。 頼るのは　こちらしか ないと思いまして。 捨てられちゃったんだ。 あの人　次々と女を捨てちゃって。 すご～い。　そういう人だったんだ。 いないんですか？ いるか　いないかは　言わない。 そんな事　頭のいい　あなたなら 言わなくても分かるはずでしょ。 いたら　話をさせて下さい。 お願いします。 遠くまで　ご苦労さまです。 お客様　お帰りで～す。 ♪♪～ レタス…　行さんは？ ♪♪～ 行さん　いないの…。 ♪♪～ ＜あれきり　行さんの行方は 知れなかった＞ ♪♪～ ＜それから１年 一人の生活には慣れたけれど→ この家を離れる気にはなれない＞ ＜でも　仕事だけは 寂しさに反比例するように→ うまくいっていた＞ ♪♪～ 今夜　頼むな。 はい。 本日は　上場 おめでとうございます。 （２人）ありがとうございます。 秋夫先生！ ありがとうございます。 （秋夫）相変わらず おきれいですね。 幸せですか？ おめでとうございます。 ありがとうございます。 先生。　今度こそ　お作を うちに頂戴したいですね。 いいですよ。　担当が るいさんでしたら。 いつでも　担当致します。 あっ　秀月先生！ （秀月）どんな顔して ふんぞり返ってるか→ 見にきたったわ。 （２人）ありがとうございます。 お久しぶりです。 あんた　誰？ なれなれしい男。 おはようございます。 おはよう…。 飲み過ぎた…。　年　取ったな～。 社長。　何年か前　社長の代わりに シンガポールで　インタビューした→ チェン・ファーレー監督 小説　書いたんです。 ゲラ取り寄せて読んでみたら これが　なかなか面白いんで→ 版権　取ってきても　いいですか？ どんな話？ 長年　コンビを組んできた 主演女優との話を→ モチーフにしてます。 映画監督と女優か。　古いな。 社長には　分かりづらい話 かもしれませんけど→ 版権　安く取ってくるんで。 安く買えるなら　いいよ。 ありがとうございます。 ♪♪～ ５万ドルで　版権　取れたのか？ やるもんでしょ？　シンガポールまで 来たかいが　ありました。 ついに　社長も るいに譲る時が来たな。 辞めても 退屈すると思いますけどね。 （男）ヤンさん！→ ヤンさん　こっち　こっち。 鈴木さん！ ♪♪～ 行さん。 ♪♪～ （銃声） ♪♪「今でも忘れられないよ」 ♪♪「あなただけが　あなただけが」 ♪♪「わたしの心　さらっていく」 ♪♪「あなたに逢いたい」 ♪♪「距離を空けたい　あなたと 話し合いたい　わたしと」 ♪♪「気持ちは　ひとつのはずが」 ♪♪「すれ違いばかりの日々」 ♪♪「今は　そんなことなんて」 ♪♪「受け止められない Ｉ　ｄｏｎ’ｔ　ｋｎｏｗ」 ♪♪「切ない恋物語」 ♪♪「いつも　わたしの言葉を」 ♪♪「優先してくれてきたから」 ♪♪「少しだけでも 『いい人』でいたかった」 ♪♪「今でも忘れられないよ」 ♪♪「あの温もり　優しいＫｉｓｓ」 ♪♪「抱きしめて欲しい　もう一度」 ♪♪「あなたに逢いたい」 （銃声） 誰か…！ 先生に　お書き頂きたいのは 老いをテーマにした小説です。 図々しい女や。 昔　そうやって 行君の事も口説いたのね。 日本全体のためにも　今　ここで→ 出版界が力を失う事が あってはならないんです。 行さんの手が好き。

マザー・ゲーム～彼女たちの階級～＃04

どうして みち子さんはﾊﾏちゃんと 離婚しないんだと思います？ それは どちらの？ ｢釣りバカ日誌｣ですよ 釣りバカのハマちゃんの奥さん ハマちゃん ろくに仕事もしない それで 妻子を置いて釣りざんまい 私は無理 無理無理無理 絶対 無理 離婚する！ ハマちゃんは 中堅ゼネコン社員ですし 社長のスーさんは 釣りの弟子ですから はあ？ あんた みち子さんを そんな打算的な女だと思ってる？ めっそうもない 私は みち子さんも 蒲原さんも 子供を持つ母として 尊敬しております はい で 子供を幸せにするためにはさ… 誰？ ていうか まだ198人なの!? (秀徳)陽斗に 会わしてもらえないかな ≪(隆吾)さっき 10万円 渡したよ やられた (フネ)彼は収益アップの切り札 富の泉ってとこね (みどり)時間を巻き戻せたら いいのにな 週３で月100万は… (由紀)週３で月100万？ (隆吾)車で待ちますよ (毬絵)行ってきます ≪(静子)まず あなたを教育 するべきだったってことをね いらっしゃいませ (聡子)ちょっと よろしいかしら？ はい こんにちは 蒲原さん ああ こんにちは お弁当を買いに伺ったの おすすめを一ついただける？ はい ありがとうございます すぐに用意しますので 中に入って お待ちください (陽斗)こんにちは あら こんにちは 元気のいい ご挨拶ね 希子さん 私 フネ先生の塾に 上の子達も通わせていたでしょ あのころは忙しくて 体力の限界だったわ そうなんですか ≪(聡子)塾には繊細な子もいて ストレスで登園拒否になったり 食べ物が のどを通らなくなる子もいたのよ かわいそうですね そうなの かわいそうなのよ 無理やり受験なんかしたら 人生を棒に振る恐れだってあるわ 受験をするには それ相応の覚悟がいるのよ はあ… あッ お待たせしました ご飯とパン どっちがいいですか？ ご飯でいいわ 800円になります 栄養バランスのいいお弁当ね だから 陽斗くんも優秀なのね じゃあ お世話さま ありがとうございました お手間とらせたわね ありがとうございました ありがとうございました！ ﾋﾞｯｸﾘした～ まさか 聡子さんが買いに来るなんて (薫平)希子ちゃん 意味分かんなかったの？ 意味？ ≪(薫平)ちょっと ちょっと… あの人達 陽斗が塾に来ないように けん制しに来たんでしょ (毬絵)彼女の笑顔を見てると 心が休まるんです (弘中)希子さんと お知り合いに なってから楽しそうですね 彼女は 私が今まで 出会ったことのない方ですわ 私 希子さんに 話してみようと思います あのことを 車で待っていてくれて よかったのに ≪(聡子)お食事ができましたよ ≪(正輝)いただきます いただきます (静子)聡子さん あなたは これを召し上がれ いただきます (衿奈)ねえ 明日 優輝と サッカーしていい？ ≪(聡子)サッカー？ サッカーしたいんだよね うん (怜奈)ﾊﾞｲｵﾘﾝのために ﾎﾞｰﾙ遊び禁止なんて… お黙りなさい ﾊﾞｲｵﾘﾝは教養を養うために必要よ 優輝は お父様のように 立派なドクターになるんだから 指は 命の次に大事なの➡ 子供のくせに 親の教育方針に 意見するなんて生意気ですよ ですが お義母様 聡子さん あなたは 今 自分に何が必要か そのお弁当を食べて しっかり お考えなさい ねえ お父さん ハンバーグ好きだった？ 陽斗 危ない ねえ おじいちゃん 古いﾐｷｻｰ知らない？ どうかしたのか？ 店で使ってるやつ 壊れちゃってさ ねえ お父さん イヌとネコ どっちが好きだった？ 陽斗 もう寝なさい 明日 寝坊しちゃうよ～ おやすみ おやすみ おじいちゃんも おやすみ はい おやすみ よいしょ このところ お父さんの質問ばかりだな 陽斗 父の日がちかづくと いつもああなんだ ねえ おじいちゃん これ 幼稚園のバザーに出していい？ ああ いくらでも持ってっていいぞ ありがとう 助かる あッ あッ あった あった よいしょ ほら～ (徹治)何だい 変わったスプーンだな 店のか？ さあ 何だろうね じゃあ 店戻るね 早く 早く！ はい 行こう 陽斗 いってらっしゃい ですから もう少しだけ 待ってください 必ず返済します 桜子ちゃん 塾に入れるの？ 陽斗くん どうすんの？ 陽斗は塾にも行かないし 受験もしない あッ それより 由紀 パチンコは… もうしてないよ 修理代も ちゃんと払うし よかった ねえ 前回の親子ﾌｪｽﾀの打ち合わせ 出られなかったんだけどさ ﾊﾞｻﾞｰに出すもの これでいいかな？ エルメス フェンディ ヴィトン はい？ タオルなら高級ブランド限定 これが暗黙のルール ここから巻き返す！ ごきげんよう (みどり)皆さん ご着席ください 打ち合わせ 始めます どうぞ すみません いよいよ 親子ﾌｪｽﾀが 来週に迫りました 運営委員の後藤さん 確認を お願いします はい まずは ｱﾆﾏﾙﾌｧｰﾑから お願いします 今回 ｱﾆﾏﾙﾌｧｰﾑでは ｳｻｷﾞとの触れ合いだけではなく 真美子さんのご紹介で ｱﾙﾊﾟｶにも 来てもらえることになりました アルパカ？ 当日は このように おリボンをつけていただきます ｱﾆﾏﾙﾌｧｰﾑ内の子供の担当は お父様方の当番制になりますので お手元のｼﾌﾄ表を ご確認ください (真美子)やだ 間違えて 蒲原さんのお名前が入ってるわ えッ すいません (佳代)配慮が足りなくて ごめんなさいね 蒲原さん それが 大丈夫なんです 定休日ですし 祖父も来ますから お気遣い ありがとうございます 次に ﾌｰﾄﾞﾊﾟﾚｽは 毬絵さんに ご紹介いただいた ｢ｷｭﾙﾐﾅﾝ｣です ｶｼﾞｭｱﾙに仕上げていただくので 楽しみにしていてくださいね ｢ｷｭﾙﾐﾅﾝ｣って ﾐｼｭﾗﾝ三つ星！ 次に ｸﾗﾌﾄｶﾞｰﾃﾞﾝの方 お願いします ｸﾗﾌﾄｶﾞｰﾃﾞﾝでは 例年どおり ﾗﾝﾁｮﾝﾏｯﾄや袋物の製作をし 入園ｾｯﾄとして販売いたします クオリティー 高ッ 実は ひよこ組の作業に 遅れが出ていて あちらの作業分を いくつか お引き受けすることになりました どなたか お手伝い 願えませんか？ 私やります やらせてください お裁縫ですけど 大丈夫かしら？ あまり得意ではないですけど 頑張ります！ お裁縫なら ご自宅でもできるから 都合がいいわね はい でしたら 今日 私の家に集まって 布を切り分けるから 必ず いらしてね 今日？ ｸﾗﾌﾄｶﾞｰﾃﾞﾝのｸﾞｯｽﾞは 毎年 ﾌﾟﾛ顔負けの完成度 鯉のぼり 微妙だった蒲原さんには ﾊｰﾄﾞﾙが高すぎじゃないですか？ 微妙って失礼じゃないですか 僕は親切心で助言してるんです まあ 何だかんだ 優しいですよね 信之助先生は 別に 僕は 陽斗くんが心配なだけです 何 怒ってるんですか？ 怒っておりません！ 何だ 当日まで お休みなしだわ～ 楽しみね あッ みどりさん あの… 何で みんな あんなに 気合い入ってるんですか？ 親子ﾌｪｽﾀは 園の三大ｲﾍﾞﾝﾄの一つだからよ 三大イベント？ 子供に いい思い出を 残してあげたいし 親がｲﾍﾞﾝﾄに必死になるのは当然よ それより 今日 聡子さんのお宅に行けるの？ ああ 陽斗も一緒に ダメよ みんな 子供を 塾に送ってから来るの 何で 一緒に連れて行ったら… 暗黙のルールよ また出た 暗黙のルール 希子さん どうかなさったの？ 蒲原さんが 今日 聡子さんのお宅に伺うんですけど 陽斗くんの預け先が ないっておっしゃって それなら 私が お預かりするわ いやいや 悪いですよ 遠慮しないで 信も喜ぶもの そうですか じゃあ お言葉に甘えて ありがとうございます！ 薫ちゃん お願い！ 小一時間だけ ありがとう 布もらったら ダッシュで戻るから 希子ちゃん このミキサー 10秒に１回 止まるよ えーッ… これで大丈夫 あのバカのせいだ あいつが10万円 盗んだせいで あいつの話は もうやめようよ 希子！ 希子 俺 やったよ 天然酵母パンの資格取れたよ！ パン？ このパンを この店で出せば 人気沸騰 間違いなし 受講料の10万円 すぐに取り返せる パンの講習に10万使ったの？ これで 俺も父親としてさ… あの10万がなくなって 私達が どれだけ大変か分かってる？ 銀行に お金は返せないし ﾐｷｻｰは買い替えられない 薫ちゃんなんか お給料 全額 払えなかったの！ 陽斗はね うちに お金がないのを察して いっつも買ってたﾁｮｺﾚｰﾄの おもちゃつきのお菓子 いらないって棚に戻すんだよ 陽斗の気持ち 分かる？ あんたに陽斗の父親を 名乗る資格なんかないよ！ 若奥様 お仕立てあがり こちらでございます とってもいいわ いつものとこに置いといて あの あの方達は？ 矢野家の担当の外商さんよ ﾃﾞﾊﾟｰﾄは お金持ちの顧客のところには 外商部っていう部署の担当者が 直接 商品を持って出向いて 品物を買ってもらうの へえ お金持ちは ﾃﾞﾊﾟｰﾄが家に来るんだ (鈴木)ﾀﾞﾘﾙ･ｻﾘｳﾞｧﾝの生地 こちらに あるものですべてになります ドリル何とかって何ですか？ ロンドンから直輸入した 希少なコットン ロンドン直輸入… あら 鈴木さん いらしてたの 大奥様 いつも ありがとうございます お義母様 お早い お帰りですね 皆さん どうぞ ごゆっくり お邪魔してます (聡子)ランチョンマット 手提げバッグ 体操着袋 お弁当袋 コップ袋 この５つのセットが もう12セット必要です お一人ずつ 追加で２セット 担当を お願いします あの… この花って どうやって？ 刺しゅうよ シンプルな デザインだから簡単でしょ 私 刺しゅうって やったことなくて… じゃあ 私達が お引き受けしましょうか？ やります じゃあ 始めましょうか (メッセージが届く) すみません えッ!? はい！ ≪(フネ)では 陽斗くん ３つです 正解！ 陽斗くん 一番 はやかったですよ それでは 次の問題… 先日 体験学習に伺ったんですが 特待生制度について フネ先生に お伺いしたくて 授業中ですので 見学しながら お待ちください ありがとうございます はい！ はい 陽斗くん ナスです ≪(フネ)はい ナス それはなぜ？ ナスだけ野菜だからです ≪(フネ)陽斗くん また一番でした (正輝)皆さん いらっしゃい お邪魔してます あなた 診察は？ ああ 休憩中だ これ 差し入れです➡ うちの看護師が おすすめだって言うんで… うわ～ ｢ﾏｸﾞﾉﾘｱﾍﾞｰｶﾘｰ｣のｶｯﾌﾟｹｰｷだ！ ありがとう あなた では 皆さん 大変ですが 頑張ってください (一同)ありがとうございます ≪(真美子)うらやましいわ 聡子さん どうして？ 素敵な旦那さまがいらして 聡子さんも主婦として完璧で そんなことないわ ≪(佳代)お見本も 聡子さん ですもんね さすがだわ 今日の授業は ここまで (子供達)ありがとうございました ≪(フネ)はい ごきげんよう ≪(毬絵)希子さん あッ すみません 陽斗が 信を送ってきたらね フネ先生が 陽斗くんも 是非 授業に出てほしいとおっしゃって 陽斗くんの感性は 素晴らしいですわ 私ね 陽斗くんを 学費免除の特待生として迎えたい そう思ってるんですよ 特待生？ 陽斗くんが加わると 授業が活性化するんですのよ どうか ご入会くださいな でも 陽斗は受験させませんから 受験するしないは別にして 学ぶことは大切よ まあ まあ まあ まあ よいお返事 待ってますよ あ～ら～ 奥様 先日の こんにちは ≪(毬絵)由紀さん！ 由紀さんも入会されるのね？ はい 入会します う～ん 頑張りましょう よろしくお願いします (フネ)ビシバシいきますよ はい (ため息) う～ん ああ～ 全然 終わんないよ～ (桜子)やったー！ (恭二)はい 次 次 次 次 次は？ もう一回 ≪(恭二)はい よくできました ≪(桜子)やったー ≪(恭二)次 ｢も｣いこう ｢も｣は？ ≪(恭二)どっちからいく？ 《≪(男)奥さんだったら 週３で 月100万はいけると思う》 (呼び出し中) 先日 声をかけてもらった者です 陽斗 じゃあね いってきます (フミ)蒲原さん はい 親子フェスタって 他の園のバザーと 趣が異なりますから大変よね 信之助先生が 何かと陽斗のことを 気にかけてくれるので 助かってます ﾎﾝﾄありがたいです あの子 昔の自分を 陽斗くんに重ねあわせて いるんじゃないかしら？ 私ね 信之助を 元の夫に 会わせなかったから 離婚なさった 陽斗くんのお父様とは？ 陽斗には 亡くなったと言ってるし 絶縁したので よかったら お話 聞かせてもらえないかしら お父様のこと 陽斗の父親は 色んな土地を 転々とする料理人で うちのホテルには 宴会の助っ人で来たんです 《希子ちゃん 食べて》 《どう？》 《枝豆とカボチャのスウエ》 《隠し味にライム？》 《すごい 絶対味覚？》 スプーン１杯で だまされて 陽斗が生まれて 育児が一番 大変なときに 放り出されて だから 忘れようって まあ 苦しかったわねえ でもね でも… お父様に出会えたからこそ 陽斗くんにも会えた 父親がいない分 ２倍 頑張ります！ 蒲原さん それに あなた まだまだ これから これからよ (琢己)後藤さん (琢己)ちょっといいですか？ お話って 何ですか？ うちのホームページ どう思います？ えッ？ あッ ホームページ？ 部長にﾘﾆｭｰｱﾙの担当に されたんですけど 俺 こういうの全然分かんなくて 拝見していいですか？ どうぞ 全体的に まとまりがなくて 見づらいですよね 画像も少ないし あの ﾘﾆｭｰｱﾙ 手伝ってくれませんか？ でも 仕事辞めてﾌﾞﾗﾝｸがあるから お願いします 助けてください 私にできることなら よかった～ よろしくお願いします はい じゃあ まず コンテンツも もっと増やしたほうがいいかも それから このリンクの位置も もっと飛びやすいように 変えたほうがいいかも あとは… ≪(徹治)おい 希子 ミキサー！ 何 どうしたの？ うん… 昼間 あいつが来て置いてった 会ったの？ 実は 前にも一度会った➡ このへんを うろついててな そうだったんだ 希子の気持ちも よく分かるつもりだ だが 陽斗が ここまで➡ 父親を求めているのを見るとな… あいつが 心 入れ替えて 真人間になる覚悟があるなら 受け入れるのも 一つの方法なのかもしれない 右ひじが不安点だから 音がつぶれるのよ ごめんなさい おばあさま もう一度 初めから (ﾊﾞｲｵﾘﾝを弾いている) 情けない母親 あんたのせいで 優輝 おばあさまに つぶされるかもね ≪(静子)指のお行儀が悪いわよ ≪(正輝)ただいま ねえ あなた バイオリンのお稽古 厳しすぎて お義母様に言ってもらえない？ 分かった 折を見て言うよ ありがとうございました また よろしくお願いします 何 ワンコイン弁当のアイデア？ う～ん 親子ﾌｪｽの 準備に追いまくられて なかなか いい案 浮かばなくって あッ いらっしゃいませ 行くぞ えッ？ ﾜﾝｺｲﾝﾗﾝﾁの勉強って こんなに素敵なお店じゃ 参考に ならないんじゃないですか？ お待たせいたしました ﾜﾝﾌﾟﾚｰﾄﾗﾝﾁでございます うわ～ッ いただきます う～ん おいしい うん ニンジン 皮ごと すりおろしてるのかな？ 毬絵さんの旦那さん？ ごちそうさまでした 今のランチ いくらだと思う？ 1000円 頑張っても800円 500円!? どうして それが 実現できたと思う？ そうか そういうことか ワンコイン弁当 できるかもしれません 土産だ フィレンツェに行ってきた ありがとうございます 見ていいですか？ 何だろう？ 料理人は手が荒れるだろ ハンドクリーム！ 嬉しい！ うん 何の香りだろう？ アーモンドだな え～ッ そうですか？ (カメラのシャッター音) お母さん 起きてよ！ 起きた 嘘でしょ～ 寝ちゃったよ ほらほら こんなところで 寝たら風邪ひくぞ 夢では完璧だったの 寝ちゃった～ 親子フェスタ 明日だろ 大丈夫か？ 大丈夫か？ う～ん こうなったら最後の手段だ せっかくの土曜日なのに すみません 仕方がないわ 親子フェスタは 明日だっていうのに 提出できてないのは 希子さんだけですから ここのステッチが違うわ ここは ほら ﾁｪｰﾝｽﾃｯﾁなの ああ～ さすが聡子さん 私は できあがった分の 検品をしてるから 分からないことがあったら 声をかけて ありがとうございます 全然 違う… (静子)聡子さん はい ちょっと ≪(静子)一体 どういうことなの？➡ 優輝のﾊﾞｲｵﾘﾝを 磨いておくように言ったわよね 松ヤニが残っているじゃないの➡ 縫い物する暇があったら こちらを先に お済ませなさい ≪(聡子)はい 申し訳ありません ≪(静子)縫い物が得意だなんて 何の得にもならない ですが 幼稚園で 任された仕事ですので… この前も 私に無断で 外商を呼びつけて➡ 手芸ごときで おだてられて 調子に乗って あなたが浮ついているから 優輝が ｻｯｶｰをしたいなんて言い出すのよ 私は… 体力づくりも ドクターには必要だと思います 正輝が 一介の看護師風情の あなたと結婚したいって 言い出したとき➡ 何としてでも 阻止するべきだったわ 純粋な正輝を たぶらかして 聡子と結婚できなければ死ぬ だなんて言わせて恐ろしい女だわ 違います 私は そんな… 正輝が 私に反抗したのは あのとき ただの一度きり あなたと出会ったことが 正輝の たった一つの汚点だわ！ お義母様 やめてください！ お願いします！ (静子)あなたのおごり高ぶった 態度をいさめてあげてるのよ！ (静子)こんなもの… (静子)何の役にも立たない 聡子さ～ん！ 分からないところがあるんですが 聡子さん どちらですか？ ひどい… このことは誰にも言わないで 私が明日までに ダメになった ２セット 作り直すから 今から一人で作ったって 間に合いません 生地はどうするんですか？ ﾀﾞﾘﾙ･ｻﾘｳﾞｧﾝの布です 分かりました 鈴木さん ありがとう ありませんか？ 取り扱ってる 業者自体が少ないから 同じものは 手に入らないだろうって 似た生地のものを 探しに行きましょう ダメよ あの布じゃないと 意味がないの どんな些細なことでも 家族に 落ち度があってはならないの！ 完璧でなくてはならないの あなた もう帰って こんな状態で帰れません あッ 何？ ﾎﾃﾙで働いてるときに知り合った 輸入の生地問屋があって そこなら もしかしたら… 今から行きましょう 車 乗せてください！ えッ？ (呼び出し中) ダメだ 出ない 降りて えッ？ はい！ 聡子さん… は 速いですね 当然よ 毎日 峠を越えてたんだから と 峠？ 休みだ ごめんなさい 別の店 探します (携帯着信) ☎(静子)何をしてるの 聡子さん 夕食の支度もまだじゃないの ☎まったく あなたは 何度 同じことを言わせるの ☎矢野家の嫁は 完璧でなければならないの ☎もっと自覚を持ってちょうだい すみません お義母様 すぐに戻ります もういいわ でも まだ 他の店を探せば… 無理よ 私が 明日 皆さんに謝れば済むことよ あなたは 自分の分を 必ず 完成させて できた… 終わった～！ やばッ 朝ごはん ≪(恭二)手に挟まないように➡ 少しずつで 焦らないで➡ ゴールは もう少し そこです 奥にそのまま まっすぐ はい いいですよ はい はい オッケーです オッケー えッ 何で業者みたいな動きしてんのよ だってさ 矢野さん達 ヨットと ゴルフの話ばっかしで➡ 何にもしないんだもん すみません これ お願いします 聡子さん ありがとう これで 予定枚数そろいましたね えッ？ さあ 皆さん ﾃﾞｨｽﾌﾟﾚｰの完成です では 開場します (一同)はい 皆さん 開場します 布 どうしたんですか？ 私のワンピースの布を 切って使ったのよ➡ あの布で作ったドレスが 何着かあったから そこまでして… ≪(聡子)言ったでしょう 私は完璧でなくてはならないの いらっしゃいませ 恐るべし完璧主義 いらっしゃいませ 蒲原さん ここは手が足りてるから お手伝いは結構よ じゃあ 私 他のところ 手伝ってきますね (保護者)招待券がないと ご来場いただけません ≪(秀徳)そこを何とか… そういうルールですので すいません すいません どのツラさげて来てんのよ 一目だけ 陽斗に 会わせてもらえないか？➡ 借りた10万は必ず返す… 陽斗は いつだって お父さんを求めてるの だったらさ… それは 優しくて かっこいい 料理人のお父さんなの 10万 盗んでいくような 人間じゃない (徹治)かわいいね～ うわ～ッ ホントにアルパカだ あれ 陽斗は？ えッ？ ああ ああ 陽斗！ 僕 お父さんに 肩車してもらったことある？ じゃあ おじいちゃんしてやろう おじいちゃん いい！ おじいちゃんは ウサギ ウサギ？ ≪(飼育員)子供達が ｱﾙﾊﾟｶをたたいたり➡ ﾌｧｰﾑで危険な行為をしないように 気をつけて見てください➡ あの 聞いてます？ 大丈夫ですよ 子供達のことは任せてください (携帯着信) もしもし はい お待たせしました どうぞ ごゆっくり ごめんなさいね こちらも手が足りなくて いえ 手伝えてよかったです ありがとう こんにちは あら 後藤さん ああ パーティーで 先日は ありがとうございました テーブル増やしたいので お手伝い お願いできますか？ みどり 僕が運ぶよ 後藤さんは 毎年 協力的ですね いつも家のことは 任せっきりなんで こんなときぐらい働かないと 感謝してます 妻には ≪(梨香)あッ 琢己先生！ おッ 梨香ちゃん 元気？➡ 来ちゃった こんにちは どうされたんですか？ 保護者の方に ご招待をいただいて 蒲原さん こんにちは (梨香)ねえ パパ 琢己先生！ 梨香ちゃんのサッカーの コーチをしています 磯山です ああ いつも梨香が お世話になってます いいえ 僕こそ みどりさんには お世話になってますから 先生 ｻｯｶｰｸﾗﾌﾞのお母様達 あちらにいらっしゃいますから ご案内しますね 希子さん 具合でも悪いの？ あッ いえ 何か おなかすいちゃって… ねえ 希子さん フネ先生が おすすめしてらっしゃる とてもいいｻﾏｰｽｸｰﾙが あるんだけど 参加なさらない？ サマースクールですか… 夏休み中 自然に触れながら お勉強するの そのあとは うちの別荘に いらっしゃらない？ 希子さんに お話ししたいこともあるし お話？ あッ (毬絵)希子さん 主人よ えッ？ あなた 陽斗くんの お母様の希子さん あ あの… 初めまして あッ 初めまして 何か飲み物を取ってこようか？ (信)はい 蒲原さん 陽斗くんが えッ？ 痛かったわね 大丈夫よ 少しすっただけよ 陽斗！ 大丈夫？ 優輝くんを支えきれずに 下敷きになっちゃったんだよ➡ 一瞬のことで 俺も間に合わなくてさ 何があったんですか？ 優輝くんが 柵に上って遊んでいて 落ちかけたんです それを 陽斗くんが 支えようとして これなら 大丈夫だね 痛い 痛い 痛いの 飛んでけ！ 陽斗くん えらいね ごめんなさい うちの優輝が いえ あッ 皆さん お騒がせして すみません ご迷惑をおかけして 申し訳ございませんでした (徹治)希子 ちゃんと 治療してもらうか お願いします じゃあ 私も戻るから はい ケガをした経緯を もう一度 確認できますか？ 私は アルパカの監視を 今は 矢野さんが 担当の時間なので➡ 子供達の監視を お願いしていたんですが… 他のお父さん達と話してばっかで 監視してなかったもんな イテッ 優輝の指は!? 指は大丈夫なの？ はい 幸い 手をついたときに 少し すりむいただけですみました 何が幸いですか！ 優輝にケガをさせといて➡ あなた 一体 何してたの？ 申し訳ありません ≪(静子)あなたは 何度 同じことを言わせるの！➡ そもそも あなたは 何をやってたの!?➡ ちゃんと 優輝を見ていれば こんなことにならなかった➡ 自分が何をすべきか きちんと考えなさい あの 矢野さん ここの担当は 息子さんです 聡子さんは 教室で 自分の仕事をしていました これは 私どもの問題です 大体 縫い物なんかに うつつを抜かしてるから こんなことになるのよ あなたは母親失格です こんなときにも耳栓ですか？ 希子さん やめて 嫁 姑のいざこざなんて 一家の家長が 仲裁してやるほどの… 仲裁？ 何ですか？ それ そもそも あなたが 無駄話をしないで 子供達を ちゃんと見ていれば 優輝くんは ケガなんか しなくて済んだんです どうして 聡子さんを 守ってあげられないんですか？ 聡子さんは こんなに 家族のことを思って… 私だって 妻や家族のことは 思ってますよ そうでしょうか？ 私 一人親なんで こんなときに父親がいればなって 思うことがあるんです だから よく 父親の存在意義って 何だろうって考えるんです お金を稼いでくれることは もちろん大事です 家族サービスだってしてほしい でも 何よりも 一番大事なことって どんなときだって 奥さんを守ってあげる ことなんじゃないでしょうか？ 誰が何て言ったって お父さんは お母さんを 愛してるんだって姿を 子供に見せてあげることだと 思うんです！ 聡子さんだって ここにいる お母さん達だって みんな 家族のために頑張ってる 家族のために 理不尽なことから耐え続ける キャリアも捨てて 生活のために 自分のほしいものを 我慢して切り詰めて そんな奥さんを守れなくて 何が夫ですか 父親ですか！ 私は夫として 父親として するべきことはしている➡ あなたに とやかく言われる 筋合いはありません はっきり言わせていただきます 今のあなたに 俺は夫だ 俺は父親だって 言う資格はありません！ ちゃんと奥さんの声を 聞いてください 奥さんを見てください！ 母親だって女です！ ずっと愛してくれるって思って いられたら いくらだって… いいかげんなこと おっしゃらないでください！ 主人は よき夫 よき父です 家族を愛してくれています お義母様は 私を実の娘のように かわいがってくださるし 子供達だって 私を慕ってくれています 私は 最高の家族に囲まれて 幸せなんです 勝手なこと おっしゃらないで 皆様 お騒がせして 申し訳ございませんでした ≪(聡子)親子フェスタを 楽しんでください ああ～ また余計なこと やっちゃったな 終わったことはいいからさ ﾜﾝｺｲﾝ弁当のこと考えようよ あッ 聡子さん… 改めて 申します あなたは しずく幼稚園に ふさわしくありません 一刻も早く しずく幼稚園を辞めてください あッ あの これ… 余った布よ 使うなり 破棄するなり してください 希子ちゃん うん？ すごッ 不器用な人だね 手先は こんなに器用なのにね 親子ﾌｪｽﾀのときも そうやって 騒ぎを見ていたんでしょう？ どうして あのとき おさめに来なかったんですか？ 私が首を突っ込んだら 何も生まれないでしょ たとえ 園長の考えでも それが園の存続を脅かすのなら 僕が全力で阻止します もう始まってるのよ (携帯着信) はい 帽子 お母様 ご指名ありがとうございます 毬絵です 薫ちゃん ただいま 陽斗！ ただいま どうしたの？ 薫ちゃん 陽斗 ボンジョルノ！ <天国のお父さん> <天国から帰ってきたの？>

地獄先生ぬ～べ～＃04

1 ≪開かないよ～≫ ≪開かないよ～≫ ≪開かないよ～≫ (トイレの花子さん) 開かないよ～！ (静) キャ～！ (愛) キャ～！ あ～！ ヤバい ヤバい！ ハハハ…！ (静) あ～！ ねぇ いた いた！ ホントにいたの！ (美樹) いたっしょ いたっしょ？ うん 意外と老けてた｡ でも ちょっと かわいかった｡ うん 妖怪とか お化けって➡ 悪い奴だけじゃないんだなって 思った｡ (広) マジかよ～｡ (克也) 俺らも見たいんだけど｡ (郷子) 女子トイレだから 男子はダメ！ (美樹) ダメ～ フフフ…｡ (郷子) はい 次の方～｡ (法子) ２人で｡ 花子さん ２名様入ります｡ (鵺野鳴介) なぁ 郷子 今日は このくらいにしないか？ いいかげん 他のクラスの生徒が…｡ 大丈夫！ トイレの花子さんなんて信じるの うちのクラスだけだから｡ でも もう 昼休みも終わるし…｡ はいはい…｡ じゃあ 次のお客様で お昼の部は締め切ります｡ (玲子) えっ？ 何で？ (美樹) 次は放課後 ４時からです｡ ぬ～べ～｡ 花子さんが呼んでる｡ えっ？ (桜子) 何か怒ってる 責任者 呼んで来いって…｡ (ドアが開く音) 呼んだか？ はぁ～ どうなってんだ！ あんたのクラスの生徒は！ (ドアが開く音) (克也) 失礼します｡ うわ～‼ うわ 超花子さん！ すげぇ！ (まこと) あの 後で写真いいですか？ (広) ｢開かないよ～｣ってやつ お願いします！ こ… こら｡ 開かないよ～｡ お～！ …って違うやろ！ 何だ この感じは！ 誰も怖がってない！ 私は観光名所か？ マーライオンか？ でも 友達欲しいんじゃ ないんですか？ 欲しかったけど… 何か これは違う！ 私達 お化けとか妖怪とかの 在り方ってもんがあるでしょ？ それをちゃんと教えなさいよ！ すまん｡ …ったく｡ もう いい 私 転校するわ｡ えっ？ あっ 成仏しないのか？ 私のポテンシャルは こんなもんじゃ ない！ 次の学校に行って➡ もっと ちゃんと怖がってもらう｡ (広) おい みんな！ 花子 学校やめるってよ！ ひとを どっかのキリシマみたいに 言うな！ ≪え～！≫ ≪辞めちゃうの？≫ ≪え～！≫ ≪何で？≫ じゃあ 最後に写真いいですか？ ≪お願い≫ まぁ… １枚だけなら｡ (生徒達) やった～！ (まこと) ぬ～べ～ 撮ってよ｡ (広) よし じゃあ みんな 寄って寄って｡ 花子さん 次の学校行っても 元気でね｡ あ… ありがとう｡ じゃあ 撮るぞ せ～の…｡ 次に トイレの花子さんが 現れるのは➡ 君の学校かもしれない｡ 女子トイレの一番奥に…｡ I'll be…. 開かないよ～！ ＜この世には 目には見えない 闇の住人達がいる＞ ＜奴らは 時として牙をむき➡ 君達を襲って来る＞ ＜彼は そんな奴らから 君達を守るため➡ 地獄の底からやって来た 正義の使者➡ …なのかもしれない＞ ♬～ ♬～ エンジェル様 エンジェル様 エンジェル様 エンジェル様｡ エンジェル様 教えてください｡ 立野 広の好きな人は➡ 郷子ですか？ (郷子) えっ？ ヒュ～｡ お… おい！ ちょっと そんなこと聞くなよ！ (法子) あっ｡ (美樹) ちょっと 郷子～｡ ちょ… ストップ！ ストップ！ (ざわめき) (広) ちょっと！ ちょちょちょ！ (ざわめき) そこまでだ｡ (美樹) ちょっと ぬ～べ～！ これ 途中で止めたら ダメなんだって！ その１０円持ったら 呪われるって知ってた？ そんなの迷信だ｡ こんな古い遊び 誰から聞いた？ いずなさんから｡ あいつか…｡ いいか この類いの遊びは 素人がやると➡ 訳の分からない低級霊に 取りつかれたり➡ 自己暗示にかかって 大変なことになる可能性がある｡ 危ないから やめなさい｡ 危ないって言われると 逆に やりたくなる年頃なんすよね～｡ (克也) 若さ故に！ (秀一) っていうかさ ぬ～べ～ 妖怪は いるって言ったり➡ 迷信だって言ったり ややこしいよ｡ そもそも 私達の妖怪ブームに 火をつけたのは ぬ～べ～じゃん｡ (克也) よっ！ ブームの仕掛け人｡ (広) ミスター 鬼の手！ 危なくなったら また ぬ～べ～に 助けてもらうってことで｡ ねっ？ (克也) お願いしやす！ お願いしま～す！ お願いしま～す！ ≪よし じゃあ もう１回やろうか≫ (克也) もっと面白いのにしてよ｡ ≪そうだよ シリアスなのに…≫ ぬ～べ～ 何か怒ってる？ (美樹) えっ？ ウソ？ 何で？ ぬ～べ～は私達の味方でしょ？ だよね｡ いつだって助けてくれるよね？ (克也) あら？ お～ いやいや…｡ もちろん！ この鵺野鳴介に あ お任せあれ～！ よかった～｡ よっ！ 鬼の手奉行｡ ≪ヤッホ～イ≫ ≪鵺野屋は ちゃんと左手をお風呂で…≫ (教頭) おっ どうやら３組も まとまって来たようですね｡ (高橋律子) あんなに ちゃらんぽらんな鵺野先生が➡ 一体 どうやって？ 律子先生も彼を 少し見直したのでは？ フフフ｡ そう… ですね｡ (美樹) みんなで エンジェル様やってたら➡ ぬ～べ～が突然 来て ｢やめろ｣って言って来たんですよ｡ (いずな) はぁ？ 何で そんな 水を差すようなことを言うかな｡ ねっ ホント 意味分かんない｡ でも ぬ～べ～には ぬ～べ～の考えがあるんじゃ…｡ い～よ 気にしないで！ 楽しいのが一番！ なっ 青少年｡ あっ はい｡ (和尚) そんな妖怪流行りのお前らに 見せたいものがあってな｡ おっ！ 何持ってきた？ クソ坊ず｡ フフフ…｡ カッパの手のミイラだ｡ マジで？ 見たい 見たい！ 見たら ビックリするぞ～｡ 行くぞ～｡ ジャ～ン｡ お～！ ん？ ただの枝に見えるけど…｡ あ あの… 一見 枝に見えるが 古くから童守寺に伝わる…｡ (晶) これ 葉っぱじゃね？ 葉っぱじゃなくて カッパなんだ｡ その辺で拾った枝やん これ｡ あの 違います｡ 実は カッパが手に持っていた枝で カッパの孫の手にもなる…｡ (いずな) ハハハ！ やっぱ そりゃ無理だ 和尚｡ ブームに便乗して 金儲けを しようと思ったんだがなぁ｡ ひっどい和尚だよね｡ 確かに｡ このお寺 何かに取りつかれても おかしくないよね｡ わしも そう思う｡ よ～し お遊びは これぐらいにして➡ 真打ちのお姉さんが 新しい遊びを 伝授しちゃおっかなぁ｡ やった～ 本物登場？ (いずな) これも昔 流行ったんだけど➡ 名付けて ｢幽体引っ張りゲーム｣！ お～！ え～ 面白そう｡ じゃあ 愛ちゃん 手 貸して｡ (愛) ん？ 体の力 抜いて｡ (いずな)♪～ 幽体 まきまき～ ♪～ 幽体 まきまき～ ♪～ 幽体 まきまき～ ♪～ 幽体 まきまき～ あっ… 手が勝手に…｡ ♪～ 幽体 まきまき～ すげぇ！ ♪～ 幽体 まきまき～ (玉藻京介) まだ 気にしているんですか？ いや この手がバレたら➡ もう 学校にいられなくなるんじゃ ないかと思っていたんだが➡ 反対に 生徒達と 近づけた気もする｡ そのようですね｡ でもな そんなこともあって➡ 生徒達が妖怪の存在を 認めるようになったんだが➡ 果たして それが良かったのか…｡ 生徒達が危険に さらされないためには➡ 妖怪について どう教えて行くべきなのか…｡ なぁ どう思う？ ん？ もしかして 今 私に相談してます？ いや 当たり前じゃ～ん！ こんなこと相談できるの 玉ちゃんだけじゃ～ん！ 玉ちゃんって呼ぶな！ 玉ちゃん｡ やめなさい｡ 教えてくれなきゃ 放さない！ 男同士で 随分 仲がいいんですね｡ あっ…｡ 私も仲間に入れてください｡ あぁ はい どうぞ｡ どうぞ｡ 鵺野先生に お聞きしたいことが…｡ すげぇ！ すげぇ！ ♪～ 幽体 まきまき～ (秀一)♪～ 幽体 まきまき～ すごい すごい…｡ 来た 来た 来た…｡ さ～て 一番 感度が良さそうな 美樹ちゃんには➡ 本格的な幽体離脱を やってもらおうかな～｡ 幽体離脱？ (いずな) そう 体の中から 魂だけがヒュ～っと抜け出る｡ あ～ 何か面白そう｡ 総望相磨 与我威力 光蔵幽遠➡ 照無明闇 示八正道…｡ えっ？ えっ？ およよよよよよ…！ (いずな) 令彼魂魄 即得解脱…｡ (秀一) どうした？ おい｡ あっ！ えっ？ えっ！ 美樹！ いずなさん！ いずなさん！ ん？ ゲッ｡ ん？ (美樹) えっ？ 何これ！ ろ… ろ… ろくろ首！ え～！ ちょっと どういうこと？ 元に戻してよ～！ いずなさん 早く元に戻してあげて！ えっ あの… どうしよう… 戻し方 分かんない｡ (郷子) えっ？ えっ!? ずっと このままなの？ ぬ～べ～を呼んで来る｡ 待って！ また あいつに何か言われる｡ いや そんなこと言ってる場合かよ！ 行くぞ まこと｡ うん｡ ぬ～べ～！ 痛っ 助けて～！ 鵺野先生は 一体どうやって 生徒達の心をつかんだんですか？ いや つかんだっていうか… 何て言ったらいいか…｡ 妖怪です｡ えっ？ ですよね？ 鵺野先生｡ いや あの… 何かヨウカイ？ なんつって ハハっ｡ まだ そんな子供だまし おっしゃってるんですか？ すいません…｡ たとえ面白くても➡ そんな絵空事で生徒達の関心を 引くなんて 間違ってます｡ 化学教師である以上➡ そんな現実味のない発言は 無視できません！ すぐに取り消してください！ 妖怪なんて いないって！ いや… 妖怪は ここに…｡ (広) ぬ～べ～！ ん？ (広) 美樹が… 美樹が大変なんだ！ ろくろ首！ ろくろ首になっちゃったんだよ｡ 何だと？ 美樹は どこだ!? ちょっと 鵺野先生！ はぁ…｡ 私 一生 このままなの？ 似合う服がないよ～｡ 大丈夫 もうすぐで ぬ～べ～が来るから｡ 首を長～くして待ってるんだ｡ こんな時に しょうもないこと 言ってる場合か！ (まこと) ぬ～べ～ ここ｡ 美樹！ ぬ～べ～！ あの… 幽体離脱の呪文を…｡ 話は後だ｡ 美樹 俺が助けてやるからな｡ 元に戻る？ 下がってろ｡ 光明遍照 現威神力➡ 魔界鬼界 降伏怨念➡ 清浄心生 皆得菩提｡ (和尚) あっ あの手は!? あの左手には 鬼が封印されていて 強い霊力があるんだ｡ (美樹) ま… 待って！ どうすんの？ 痛いことするの？ 大丈夫 一瞬で終わる｡ ♬～ (美樹) 戻った！ 元通りだ～！ あ～ 怖かった｡ 何なの？ その手 すっげぇ｡ いいかげんにしろ！ 未熟な霊能力を振りかざすなと 言ったはずだ‼ また それ？ あんたに そんなこと言われる筋合い…｡ 黙れ！ 全て お前の未熟さが 招いたことだ！ 二度と俺の生徒に かかわるな‼ ぬ～べ～？ 分かったよ｡ いずなさん…｡ う～ん 今の言い方は ないんじゃないの？ (美樹) そうだよ｡ いずなさん１人だけが 悪いわけじゃないし｡ ♬～ (うなり声) (広) さっきのぬ～べ～ 突然 どうしたんだろうな｡ あれか？ 自分のいないとこで➡ 俺らが妖怪で盛り上がってんのが 嫌なのか？ いるよね そういう 他人にｹﾞｰﾑｿﾌﾄ貸してくんない奴｡ (愛:静) 小っさ！ それ 小っさ～！ うん… でも 私達➡ こんな楽しい世界があるって 知っちゃったしね｡ あんなことあって言うのも なんだけど➡ ちょっと怖いってのが また魅力的なんだよね～｡ おぉ 神よ！ 私達は禁断の実を 食べてしまったのです｡ 気持ち悪いかよ｡ (克也) よし じゃあ みんなで カラオケでも行っちゃう？ (秀一) いいねぇ 僕が おごってあげてもいいよ｡ (克也) あっ 言ったな｡ (美樹) どこの？ どこの？ (無限界時空) ⦅未熟な霊能力を振りかざすな⦆ ⦅未熟な霊能力を振りかざすなと 言ったはずだ‼⦆ あいつと同じことを言うなんて…｡ (時空)⦅未熟な霊能力では 誰も救えない⦆ あぁ…｡ (ショキショキという音) (ショキショキという音) さっきから ショキショキ ショキショキ…｡ 何の音だ？ お前！ 小豆あらい？ (小豆あらい) ういっす｡ ゆきめ｡ ゆきめ！ (ゆきめ) な～に？ ダーリン｡ あっ これ 借りた｡ 勝手に ひとの部屋着 着るな｡ 恋人同士みたいでしょ？ 似合う？ ウフっ…｡ いやいや そんなことより 何だ？ こいつは｡ あっ 私の部屋だと ショキショキ うるさかったから｡ じゃあ しょうがないか …って なるか！ まぁ まぁ まぁ｡ ｢まぁ まぁ まぁ｣じゃ ない｡ ほら 早く連れて帰れ！ あ～！ あ～…｡ あ～！ ムカつく～！ 何で私が あいつに あんなこと 言われなきゃなんないの！ 今度は 鬼の手のミイラって どうだ？ 和尚！ また何かやっかんね｡ (鳴き声) 何 今の… 鳥？ (障子が揺れる音) (渡) おはよう！ おはよ～う！ おは…｡ みんな 挨拶は大事だぞ！ おはよう！ ♪～ 幽体 まきまき～ 幽体 まきまき～ お前ら 何にも懲りていないのか？ だって みんなに面白いこと 紹介したいじゃん｡ ≪美樹 最高≫ (勉) ぬ～べ～ ほら 見て｡ 見て見て 俺のハンドパワー｡ だから そういう遊びは あんまり…｡ (克也) あ～ やめて～！ もう そうやって➡ すぐに冷めるようなこと 言わないでください｡ ≪もう１回やろうぜ…≫ ≪すぐ… すぐならできるから≫ ≪早くやって！ 早く！≫ お邪魔しま～す｡ どうも お疲れさまです｡ ≪皆さん おいしそうですね≫ あの… 律子先生｡ 律子先生は 生徒を叱ることはありますか？ あぁ… 私は 厳しさも 教育の一つだと思います｡ 楽しいだけでは 不十分かと｡ 僕は 上手な叱り方が 分からないんです｡ 子供の頃 よく怒鳴られてた記憶があって➡ 生徒に自分と同じような 思いをさせるのが怖いんです｡ でも つい自分がされたように➡ 声を荒げてしまう時があって…｡ そんな自分が どうしようもなく嫌で｡ そうだったんですか…｡ でも はっきり言うべき時は はっきり言うべきです｡ ですよね｡ (教頭) 叱り方というのは➡ 我々 教師の 永遠のテーマですからね｡ 喜屋武先生は どう思われますか？ (喜屋武) そうですね…｡ アーサ 取る時 おばあに…｡ …って いざられたのが 懐かしいさ～｡ なるほど そういう意見もありますね｡ 来た…｡ あぁ… あっ あっ…｡ あ～ もう… 学校での呼び出しは やめてくれって｡ うわ～！ (覇鬼) ぬるい！ あ～ もう 聞いてらんねえよ！ お前の話は｡ 言うこと聞かねえ奴は 叱り飛ばしてやりゃいいんだよ！ (美奈子) そんなことない｡ 優しさがなければ 反発を生むだけよ｡ (覇鬼) 大体よ➡ お前 上手な叱り方が 分からないとか言ってたけど➡ 本心 当ててやろうか｡ せっかく信頼を得た生徒から 叱ることによって嫌われたくない｡ それだけだろ？ そんな単純な話じゃ…｡ 図星なのね｡ それは… 否定できません｡ だろ？ 大体よ 叱れねえ奴の 腹の中っていうのは➡ 嫌われたくないか 面倒くさいか 無関心か➡ 結局 自分のことしか 考えてねえんだよ｡ 覇鬼！ あなた 鬼のくせに 何て正論を言うの！ 人間のことわざにあんだろ ｢心を鬼にする｣って｡ まっ こちとら叱ることにかけちゃ エキスパートだからな｡ 俺が教師になろうと思った きっかけは美奈子先生なんです｡ 先生は いつも優しくて➡ 一度だって 俺を叱ったことはなかった｡ だから 俺 そんな教師になりたくて…｡ 鵺野君｡ ほら あんたのせいだぞ｡ 叱られたことのない奴は 叱り方も知らないし➡ 叱られた後の立ち直り方も 分からない｡ 今どきの若い奴なんて みんな そうだ｡ けど それは そうやって育てた 親や教師のせいだからな！ な～んか 今日の覇鬼は 正論過ぎて つまらないわ｡ おい つまんないって言うな｡ 鵺野君 鬼が何と言おうが➡ 怒鳴ったり殴ったりしても 何も生まれないわ｡ 優しく ｢味方だよ｣って語り掛けるの｡ はい｡ あ～ ぬるい！ 生のもやしを大量に入れた ラーメンのスープぐらい ぬるい！ あ～ その例え すっげぇ分かる｡ あのな 駅のホームで 子供がふざけてんだ｡ そこへ電車が入って来ます それ見たら どうする？ 目の前で子供が 危険だっていうのに➡ ｢味方だよ｣なんて 優しい言葉 掛けるか？ ｢危ねぇぞ バカ！｣って バチ～ンと言ってやるだろ｡ ｢バチ～ン｣って何？ 体罰を連想させるのは➡ コンプライアンス的に 絶対にダメ‼ じゃあ… ガツ～ンと｡ それも殴ってる感じがする｡ じゃあ… ビシっと｡ うん… じゃあ まぁ それで｡ はぁ… えっ 何の話だっけ？ 駅のホームで もやしラーメン食べた話？ あっ！ (覇鬼) いや～ 違～う！ とにかく！ 心を鬼にして➡ ビシっと言えって話だよ！ ビシっと！ う～ん 何か 今のは よく分かんなかったな｡ いや あんたが変なとこで ちゃちゃ入れるからだろ！ ビシっと か…｡ ダーリンに 町は普通の格好で歩け って言われたけど➡ これなら大丈夫？ ≪お前 あやかしだな？≫ もうバレた！ 誰？ ほう… 雪女か｡ あなたは？ お前達の味方だ｡ ウソ… その殺気 味方じゃ ない｡ なぜ この町に来た？ 私のダーリン 鵺野鳴介に会うため｡ あやかしの口から その名を聞くとは｡ 次に会う時は 敵かもしれんな｡ で 何にもされなかったか？ うん… それで 何にも言わずに行っちゃった｡ あいつ 何の目的で この町をうろついてやがる｡ ダーリン➡ 今 怖いこと考えてるって サトリさんが｡ ああ｡ あの人 誰なの？ お前は知らなくていい！ (小豆を洗う音) うるさい！ ♬～ わが同胞達よ｡ もう少し待っていてくれ｡ これは…！ 結界！ 魔界鬼界 降伏怨念｡ 不思議力 悪霊退散｡ 獣のにおい｡ 狐が罠に掛かったか｡ 私の正体を見破るとは…｡ 何奴！ 無限界時空｡ お前次第では 敵にも味方にもなろう｡ フッ｡ 私に味方などいらん｡ 妖狐族が人間界を制する｡ それにしては 随分 手間取っているな｡ さては 人間に ほだされたか？ フッ フフフフ…｡ ハハハハハ…｡ それは違う｡ 人間に…➡ 底知れぬ力を持った１人の男に 私は興味を持った｡ やがて 決着をつけるべき男だ｡ 鵺野鳴介か｡ 知っているのか？ ああ｡ しかし お前が 決着をつけるべき相手は➡ この私だ！ ♬～ はぁ～！ ふぅ…｡ 狐が尻尾を巻いて逃げたか｡ フフっ｡ あったぞ いずな｡ ん？ これ これ… ほら｡ ん？ ｢陰摩羅鬼｣？ (和尚) うん｡ ｢充分な供養を受けてない死体が 化けた妖怪｡ 経文読みを怠っている 僧侶のもとに➡ 現れるといわれている｣｡ それって…｡ はい ズバリ この寺にいても おかしくありません｡ しかも 何か 弱っちい鳥の妖怪だし｡ お前の力で 召喚することができるか？ 面白そうじゃん やってみよう｡ イェ～イ！ イェ～イ！ どうせなら ショーにしよう！ 召喚ショータイム！ (いずな) ショー！ ♬～ ♬～ (うなり声) ♬～ (チャイム) ハァ… 鵺野先生！ 鵺野先生… ハァ…｡ あの… 今日の放課後のご予定は？ はい？ いえ…｡ いえ 何もないですけど｡ 私 気付いたんです｡ 気付いてもらえましたか｡ 僕の…｡ 私から生徒達に はっきりと 見せればいいんですよね｡ 妖怪は いないって｡ はっ？ 今日の放課後 理科室で プラズマ実験をお見せします｡ ３組の生徒達を 連れて来てください｡ では｡ で 今日は放課後 律子先生が➡ みんなにプラズマ…｡ (美樹) あ～ 無理 無理 無理！ 今日 放課後 いずなさんに誘われてんだよね｡ まぁ ぬ～べ～には内緒って 言われてるけど｡ お前達 あのお寺へは もう…｡ (克也) ちょい ちょい ちょい…｡ そんな 学校出た後のことまで とやかく言われたくなす｡ もう 私達 大人ですから！ (克也) 大人 大人！ (ざわめき) ≪大人の階段 上る…≫ ≪上ろう 大人の階段 上るぞ！≫ まこと！ お前達 今日は何をたくらんでる？ 変な遊びは やめるよう 言ってくれないか？ 自分で言いなよ｡ えっ？ 俺は ぬ～べ～の味方だけど➡ そういうスパイみたいなことは したくない｡ (渡) あっ ちょうどいい 鵺野先生！ これ張るの手伝ってもら…｡ また無視ですか！ 悪い予感がする…｡ 鵺野先生 あなたに お聞きしたいことがあります｡ どうしました？ 玉ちゃん 何か不吉な妖気を感じないか？ 鵺野先生！ ずっと理科室で 待ってるんですけど｡ そうだった！ すいません 生徒達 帰ってしまって｡ いいです 一番 見るべきなのは 鵺野先生ですから｡ 玉藻先生も ぜひ来てください｡ 妖怪は いないってことを 科学で証明しますから｡ (いずな) さぁ お立ち会い！ 今日は この童守寺に 代々 すみ着く妖怪➡ 陰摩羅鬼を 召喚してご覧に入れます｡ (生徒達) お～｡ 妖怪を召喚？ さすがにヤバくない？ うん…｡ 美樹 この間 あんなことあった ばっかりだしね｡ あれれ～？ ビビっちゃった～？ (克也) いや ビビってないっすよ｡ 見たいよな？ まこと～｡ うん… でも ホントに危なくないですか？ 大丈夫！ 見ての通り 小さい鳥みたいな妖怪だし｡ (美樹) ふ～ん こんなんなら 平気かな？ う～ん… そうだね｡ (広) よし！ じゃあ いずなさん信じて やってもらうか！ ＯＫ！ そう来なくっちゃ！ 総望相磨 与我威力➡ 光蔵幽遠 照無明闇➡ 示八正道 除滅衆悪…｡ 火の玉やＵＦＯ➡ もちろん妖怪も➡ 全て プラズマ現象として 説明がつきます｡ 今から 実験でお見せします｡ そもそも…｡ 私の真の姿をお見せしましょうか｡ バカ やめとけ｡ 実は 固体 液体 気体のような…｡ (いずな) 示八正道 除滅衆悪➡ 放大光明 照明一切…｡ (いずな) 願以功徳 恭敬供養➡ 被繋縛魄 示現汝相➡ 汝者名曰 陰摩羅鬼…｡ 召喚！ どう？ 来た？ いえ どこにも…｡ あれ？ 失敗？ (障子が揺れる音) (美樹) あっ！ (鳴き声) おっ 来た？ 来た！ ≪えっ？≫ ≪キャ～！≫ ≪えっ？ ちょっと…≫ ≪ヤバい ヤバい…≫ ≪キャ～！≫ ≪うわ～！≫ 今 感じたよな？ ええ かなり強い妖気ですね｡ うちの生徒が危ない！ ちょっと 鵺野先生 どこ行くんですか？ あの… 生徒が妖怪…｡ はぁ？ 玉ちゃん 頼む！ ちょっと 鵺野先生 実験！ なぜ 私がこんなことを…｡ ≪えっ 何？≫ (和尚) どうした？ 何？ (克也) うわっ！ (広) うお～！ (和尚) うわ～！ 何か 思ってたのと違う！ (物音) (広) うお～！ (和尚) うわ～！ (物音) (鳴き声) どこ行った？ ♬～ キャ～！ (和尚) あ～～！ ≪キャ～！≫ ♬～ (鳴き声) ≪キャ～！≫ ≪うわ～！≫ (和尚) 助けて～！ 助けて～！ ≪イヤ～！≫ ≪キャ～！≫ ≪うわ～！≫ みんな ここから出て！ こいつは 私が倒す｡ でも…！ 早く！ (広) みんな 外へ出るぞ！ (和尚) 広～！ 逃げろ～！ 和尚！ (和尚) でも 腰が…！ (和尚) あ～！ 待ってくれ 和尚を置いてくな～！ 連れてって！ あっ！ 逃げ遅れた～！ 私が相手になってやる｡ 俺の生徒に手を出すな～！ ぬ～べ～！ お前達 無事か？ 妖怪が… 陰摩羅鬼が出た！ 今 中で いずなさんが…！ あのバカ…！ ぬ～べ～ いずなさんを助けて！ ここで待ってろ｡ ♬～ ♬～ (咆哮) (咆哮) いでよ くだ狐！ (いずな) うっ うぅ…｡ あっ！ (鳴き声) あっ！ あぁ…！ (鳴き声) うっ！ うぅ…｡ (鳴き声) いずな 大丈夫か？ 平気｡ あんたの力なんか借りない！ 危ない！ うわ～！ うわっ…｡ ちょっと どいてよ！ 私が倒すんだから！ いいかげんにしろよ！ 先生 その鬼の手で 早く やっつけちゃって｡ 私がやる！ 私は未熟者なんかじゃ ない！ いでよ くだ狐！ いでよ！ いでよ！ ⦅俺がやる… 俺は未熟者なんかじゃ ない！⦆ 今こそ いでよ くだ狐！ それ 出したことないじゃないか！ 先生 早く！ あんた達を助けてやりたいが➡ この妖怪は 俺には倒せない｡ はぁ？ 陰摩羅鬼は 軽率に妖怪をもてあそんだ➡ あんた達 ２人によって生まれた｡ ２人が改心しない限り 成仏は させられん｡ じゃあ どうするんだよ！ 俺が引きつける｡ ２人は 経文を唱えるんだ｡ そんなの ちゃんと覚えてない｡ (咆哮) 今だ！ 早く！ うわっ！ 願令群生 得入仏道…｡ うわ～！ あぁ～！ うっ！ うぅ…｡ 不犯禁戒 昼夜精進➡ 安穏衆生…｡ (いずな) 衆生…｡ 和尚？ この後 忘れた！ え～!? うわ～！ ハァ ハァ… どうした？ いずな！ いずな 頼む！ 何とかしてくれ！ お願いだから… いでよ くだ狐！ ダメ… やっぱり無理｡ (鳴き声) うっ！ いずな！ お前の力は そんなもんか？ 違う… 私はイタコの血筋を 受け継ぐエリート｡ 私には できる… はず｡ 自分の力を信じるんだ！ 私には できる！ いでよ くだ狐！ ♬～ 行け！ こいなり！ (鳴き声) やった！ (鳴き声) (咆哮) 今だ｡ わが左手に宿りし鬼よ｡ 今 その封印を解く！ 覇鬼よ 鬼の手に力を！ おぉ～～！ はぁ～！ こっちだ 陰摩羅鬼｡ 焼き鳥にしてやる｡ ♬～ ♬～ (咆哮) ♬～ うわぁ～～～！ ダァ！ 食らえ！ (鳴き声) うわっ！ ハァ ハァ ハァ…｡ はぁ～｡ よくやった こいなり｡ (和尚) ちょっと ちょっと… あんた！ ひょっとして 最初から この鬼の手 使えたんじゃ？ こうでもしなければ ２人の薬には ならないだろう｡ それで わざと…｡ 俺は そういう男だ｡ (いずな) 私のせいで➡ また みんなを 危険な目に遭わせてしまって➡ ごめんなさい！ でも お前のおかげで 陰摩羅鬼を倒せた｡ えっ？ それに➡ 俺の代わりに 生徒達を一人で 守ろうとしてくれたそうだな｡ ありがとう｡ だが お前の霊能力は まだまだだ｡ しっかり修行しろよ｡ あんたに言われる筋合い ないっつうの｡ フフフ… お前は 昔の俺 そっくりだ｡ はぁ？ やめてよ 気持ち悪い｡ ハハハ…｡ で… お前達！ 心配させるんじゃ ない‼ 軽率に妖怪をもてあそぶことが どれだけ危険か分かったか？ 俺には お前達を守る使命がある｡ だから たとえ お前達に嫌われても➡ これからは あれだ その…｡ ビシっと行く時は ビシっと行く感じで行くから！ いいな？ はい！ やっと言ってくれたって感じだね｡ ビシっと言ってほしかった みたいなとこ あるもんね｡ えっ？ うん 怒ってる ぬ～べ～も なかなか悪くなかったしな～｡ うん ちょっと癖になりそう｡ お前ら…｡ さぁ さぁ さぁ ガキども！ 童守寺に代々伝わる➡ さほどヘルシーじゃない 精進料理が出来たぞ｡ よし みんな 行こう｡ あ～ 腹へった～｡ お～！ 玉ちゃん！ ハッハッハッ…｡ どうやら 無事に片付いたようですね｡ ああ｡ あっ… 律子先生は？ フフフ…｡ 今頃 お目覚めじゃないですか？ あれ？ 私 何して…｡ そうだ プラズマ！ ほ～ら！ あれ？ 何か むなしい…｡ ごめん ごめん お待たせ 玉ちゃん｡ 鵺野先生 話の続きなんですが…｡ 無限界時空という男に会いました｡ あなたを知っていると｡ 知らん｡ 鵺野先生と 同じにおいがしましたが｡ 彼は 何者なんですか？ あいつは…｡ ⦅俺がやる… 俺は未熟者なんかじゃ ない！⦆ ⦅未熟な霊能力では 誰も救えない⦆ あいつは…｡ 俺の父親だ｡ ♬～

賭ケグルイ.S01E10.JA

1 （妄(みだり)）生まれた時から― 何か満たされなかった 何一つ アタシを心から喜ばせたものは― なかった （妄）ぐわあああああ！ 違う 違う 違う 違う！ 夢子(ゆめこ)！ お前は負けたら死ぬ― その恐怖を 全力で感じ合いたいんだ！ アタシには わかる その恐怖でイッちゃえ… （夢子）生志摩(いきしま)さん！ 今は そんな恐怖なんて― これっぽっちもありません だって― 私は鈴井(すずい)さんを 信じていますから （鈴井）夢子は 引き分けにしようとしている だったら僕が できることは何だ？ どうしたら僕の手が夢子に伝わる？ ぐうううう… ハッ！ いやあ～ ハッ… 違う～ （豆生田(まにゅうだ)）早乙女(さおとめ)芽亜里(めあり) （芽亜里）はい （豆生田）生徒会に入れ ♪～ ～♪ アタシは６発 込めた １発も撃たず撃たせずの 引き分け狙い… やれるもんなら やってみろ （夢子）ええ 遠慮なく （銃を入れる音） （妄）開けさせろ さあ… 開けるぞ フフフッ （鈴井）僕と― 夢子のつながり… あ このギャンブルのつながり 共有できた情報は― １セット目の並びだけ それを再現する 僕の手は 生志摩も確実に記憶してる だったら僕ができるのは― １セット目の 夢子の並び… あっ！ おお… ああ～ ３つだ （鈴井）生志摩は３枚 頼む 気づいてくれ！ おお！ ああ！ はふう！ ああ… おー！ おー！ おー！ おー！ 全当て！？ （鈴井）全当て！ 通じたぁ！ ５対３ 私の勝ちですね ウフッ… 鈴井さん 当たりましたよー！ ウフフ ピース！ ハ… アハハ… ハッ アハハ… （妄）ウフフフッ… 夢子ぉ 全当て狙いは 全外しと隣り合わせ… フッ… ガチで殺しにきてるじゃねえか うわあ～っ！ そうだ！ そうだった！ 夢子は ２発 撃つんだ！ では 銃を引きますね （妄）ああ （鈴井）生志摩は６発 弾を込めた あいつの銃を引けば 必ず弾が発射される （夢子） どちらにしようかな… （夢子） どちらにしようかな… （夢子） どちらにしようかな… 自分の銃を選べ！ 頼む！ うんっ 決めました！ ２発！ よいしょと ２発キッチリ撃てよ ん？ どこを撃つの？ ハア… 腕？ ウフフ…！ 胸？ フフ… あ… 顔とか？ ハア ハア ハア ハア… ここ！？ アハッ… ハア… ハア… ウフフ… ハア… あ あ… （妄） あ… ハア ハア ああ～！ あ 死ぬ う… 死ぬ… ハア ハア ハア… （引き金を引く音） （妄）ああっ！ あ… ああっ…！ （妄）うう… イヒヒヒヒッ… も… ああ もう１発！ （引き金を引く音） （妄）あああっ…！ （鈴井）ハアッ… （妄） フウ… ウフフ… （妄） フウ… ウフフ… これは私の銃です 弾は入っていません （妄）ウヘヘッ… ためらいもなく 引き金 引きやがって… 撃っちまう恐怖は ねえのかよ ウヘヘッ… これが私の銃だって わかってましたもの ああ？ 弾の重さがあるでしょう？ １発につき15グラム― ６発で90グラム それだけの差があれば さすがに わかりますよ ウフフッ え？ それくらいは― 織り込み済みだと 思っていましたが ウフフッ… 生徒会に入れ 俺は債務整理大集会での 活躍を評価している 生徒会相手に― ３億1000万もの大金を 手にした前例はない 百花王(ひゃっかおう)学園に無能は必要ない 弱者を徹底的におとしめ― 真に人の上に立つべき生徒を 選定する それが家畜制度だ だが お前は― そのシステムさえ打ち破った 皇(すめらぎ)なんかとは全く違う 生徒会の仕組みの中で― 勝った負けたと言っていて いいのか？ わかってるはずだ お前は― 搾取する側だ 最後のセットだ （美化委員）なあ あいつさ 自分の銃わかってる？ （美化委員）マジ？ そうなのか？ よし！ だったらカード当てに 勝ちさえすれば― 絶対に撃たないし撃たれない！ 並べさせろ （鈴井）並べ方は さっきと同じ！ 夢子なら絶対に わかってくれるはず！ ハア… えっ？ えっ？ な 何だよ これ… （美化委員）さっさと並べなよ ちょっと待てよ！ おかしいだろ！ これ 何が？ （鈴井）イカサマじゃないか！ ふざけるな！ 命が懸かってるんだぞ！？ （美化委員）は！？ んだよ！ （美化委員）うぜえな！ おら！ おい！ おい！ （鈴井）夢子！ おら！ おい！ おい！ （鈴井）夢子！ （美化委員） うぜえんだよ ダメだ！ イカサマだ！ さっさと並べろ！ 10秒以内に並べねえと― 夢子をぶっ殺す！ 10！ ９！ ８！ 10！ ９！ ８！ （美化委員） ほら早くしろよ 10！ ９！ ８！ 10！ ９！ ８！ （鈴井）嫌だ！ ７！ （美化委員）並べろよ！ （鈴井）ダメだ！ 夢子！ （美化委員）並べろよ！ （鈴井）ダメだ！ 夢子！ （妄）６！ ５！ （美化委員）並べろよ！ （鈴井）ダメだ！ 夢子！ ４！ ３！ ２！ ４！ ３！ ２！ （鈴井）ああっ… う… クソッ （妄）１！ ゼロ！ ハア ハア… （舌打ち） おっせえんだよ 焦らしてんじゃねえぜ なあ さ～て― 何発 込めようかな～ ６発 込めると 重さで わかっちゃうんだろ… じゃあさあ… １発だけでも当てれるか？ 生志摩さん あ？ お仕置きです ヒッ… 何やってるんだ？ 夢子！ お… おい おい！ 引き分け狙いはどうした？ 私は弾を２発 込めました ウハハハハハッ… アハハハ！ アハハハハ…！ 最っ高だ！ フッ ハア… 悪(わり)い ごめん 勘違いしてた お前はリスクで喜ぶ アタシと同類… なんかじゃねえ！ フフフッ… 搾取する側！ フフッ… 会長と同じ人種だ！ アタシも２発だ もうダメだ 区別がつかない こんな感覚は― 会長とのギャンブル以来だ… 名残惜しいが これで― お別れだ 開けさせろ くうっ…！ ああ… あ… ハア ハア… ん？ どうちた？ 夢子 あれぇ～？ 今回に限って大外し… なんてことしたら― 死んじゃうぜ お前 つまらない… あ？ つまらないことを してくれましたね 生志摩さん ああ？ １セット目と２セット目― 鈴井さんのカードを並べる手に 違和感がありました 左手でカードを 並べてらっしゃったんです 鈴井さんは― 右利きです ハッ… （夢子）加えて言えば― この波形のカード ５枚の中で唯一 左右非対称のこのカードの… 波の向きが逆でした だったら考えられることは１つ 私たちが見ていた映像は― 左右が鏡映しに 反転されたものだった ピース！ ピース！ ピース！ （夢子） お互いが ずーっと― （夢子） お互いが ずーっと― 鏡映しの映像を見ていたんです 一方で３セット目は 右手で並べてらっしゃった ということは３セット目は 反転していない ここに映るカードの並びも “逆”になる こんなくだらないイカサマで 人を欺けるはずもない バカにするのも 大概にしてくださいねっ うっ… ひいいいっ…！ （美化委員）ねえ （美化委員）ん？ 夢子ってモニターのこれ 全部わかってんの？ （美化委員）え？ マジ？ え…？ え！ え！ え！ え！ このイカサマを？ この反転を？ 見破った？ 夢子は全部 当てられる！ イカサマしていた生志摩も全当て！ ということは― 引き分けだ～っ！ １つ教えてくれよ あいつがパニクって― お前の意図どおりに並べなかったら どうするつもりだったんだ？ だから申し上げたでしょう 私は鈴井さんを信じてるって あいつは お前の思いどおりに動いただけ… それはな 支配だ 君主と奴隷 飼い主と家畜 それが お前ら２人の関係だよ うらやましいな～ なあ 夢子― アタシの全ても支配― してくれよ… フフッ あ… フ… アハハハハ…！ フッ… アハハ…！ な… な… 何で何で 全外し！？ 何で！ 何で！ 夢子は… 全当て！ ごご… ５枚差で勝ち！ （妄）ウヒヒヒヒッ… アハハハハ…！ お前の番だ！ 開け夢子！ 早く開け！ 開いて当ててくれ！ ウフッ… （鈴井）そんな… 両方の銃に弾は２発 ５回撃てば― 夢子は生志摩を殺す 夢子は生志摩を殺す （銃声） 夢子は生志摩を殺す お前のような女に やられたかった！ ヒッ… 早く！ そのカードで アタシをイカせてくれ！ フッ… 開け！ 夢子！ それが アタシの… ああ… ハア ハア ハア ハア… あ？ ええ？ （夢子） とことん予想どおりでしたね あなたの目的は ギャンブルに勝つことじゃない それは すぐにわかりました なぜ鈴井さんを ディーラーにすることを― 承諾したのか （鈴井）は？ は？ 僕？ （妄）いーよ （夢子）私と鈴井さんの間に 本当にサインがあれば― あなたに勝ち目は なかったんですよ あなたは それでもよかった やー！ やめろ！ さらに１セット目― 銃の暴発もいとわず引き金を引いた モニターの鏡映しも… まあ ここまでは 私を試していたのかも しかし これは… ハアッ あまりにひどい （妄）ハッ… 待て 待て 待て 待て！ これ以上… （夢子）あなたは３セット目― モニターを元に戻した このイカサマは― 私にわざと気づかせるように 作られている この波形のカード （妄）あーっ！！ （夢子）ほかのカードと同じく― 左右対称のマークに すればよかったんです こんなこと 子どもでもわかる それを あえて反転をやめた あまりに簡単に露見するイカサマ 到底ギャンブルに勝つための 行動では ありえません では なぜ そんなことをしたのか？ それは… あなたにとっての勝利とは― 殺されること それが あなたの勝利条件 あああっ！！ そんな条件― 到底 納得できません （妄）全外し… 全外し～！ やった！ やった！ 引き分け 引き分け～ ハア… 何で２発 弾込めた？ 弾ゼロにしてカード並べに 勝ちゃあいいじゃねーか！ うっ…！ 撃たれる確率が上げるだけ おかしいだろ！ うっ… （夢子）あ～ 逆です （妄）あ？ 確実に 撃たれないようにするためです は？ １発だけでも当てれるか？ ６発と０発の差ならともかく― １発と０発の重さの違いは― 確かに やってみなければ わからない それって不確実でしょう？ その銃の装弾数は６発 私が２発込めたことで 空は４発 ということは ５点差なら確実に― １発は発射されることに なりますよね となれば あなたは５枚 外す だって 私にあなたを撃たせたいから それで私も５枚 外す お前 アタシの… そっちのほうが確実です ウフッ 女神様 （豆生田）もう一度 言う 早乙女芽亜里― 生徒会に入れ （芽亜里）ムカつくんだよ あんた そんなもの ただのお遊戯 ギャンブルは両者が 痛みを感じるから楽しいもの なぜ あなただけが 痛みを独占しようとするのです？ あなたはギャンブルを 楽しんでるのではない！ ただの… 死にたがり 私が一番 大嫌いなタイプの 人間です 端的に申し上げて― ムカつくんですよ！ あなた！ 同級生なのに偉そうなんだよ 大体 私をコケにしたことを 絶対に許さない 何のことだ？ 折田(おりた)って誰だ！ バカヤロ～！ （妄）あ… 待って！ ハアッ うっ ハアッ いいのか？ （妄）ハア… １発でいい なあ… アタシに痛みをくれ！ お断りです （妄）あ… ハア ハア ハア ハア… お断りします （鐘の音） （鐘の音） 大丈夫ですか？ あー 全然平気 私 もう一度行って怒ってきます！ （鈴井）あー！ ほん… 本当に大丈夫！ 大丈夫 大丈夫 大丈夫 （夢子）鈴井さん （鈴井）はい？ ギャンブルしませんか はあ～い？ （夢子）表なら私 裏なら鈴井さんてことで… スイーツバイキング 行きませんか？ おごりで！ おごり？ いや～ 今月 結構厳しくて… お願い… できませんか？ わかった！ 僕も男だ やるよ！ では （鈴井）裏！ 鈴井さんは なぜ３セット目も “再現”を続けられたのですか？ ああ～ ん～ 正直に言うと― 僕がどう対処していいか わからないってことに― 夢子なら気づいてくれる 気づいてくれたらいいな～って 思ったんだ フ… では開きます （鈴井）はい （夢子）裏です 鈴井さんの勝ちですね よっしゃあああ～！ （夢子）フフ… （鈴井）あ あの― 大事な用事って… やっぱり生徒会長と… ああ これです （鈴井）これ？ （芽亜里）あれ 夢子 来たの？ 芽亜里さん！ これ！ （芽亜里）あ？ （夢子）メロンパンです！ メロンパン買ってきな ♪～ （鈴井） 夢子 今回いろいろな 賭ケグルイしたね （夢子）まだまだ もの足りないです （鈴井）ウソでしょ！ 〝投票ジャンケン〞 〝ダブル神経衰弱〞 〝生か死か〞 （夢子）まだまだ 賭ケグルイ不足です 早く会長と たぎり合いたいです （鈴井）会長は まずいですって 絶対 （芽亜里） 近いうちに みんな― また会おうね！ 約束だよ （鈴井） 早乙女 どこにいたの？ （芽亜里）いいでしょ そんなことは （夢子）それでは皆様に また会える日を― 楽しみにしています せーの！ （３人）バイバーイ！

まっしろ＃03

1 <(朱里)拝啓 ナイチンゲール様> <病院では 多くの人が> <何としても 生きたいと欲します> (仲野)何してたの？ こんな時間まで (木綿子)ちょっと 確認し忘れたことがあって へえ～ 案外 真面目なんだな 別に うちのナースなら みんな やってることですよ そんな謙遜しなくても いいじゃない あの… 有村さんが｢電話くれ｣って 言ってましたよ 有村が？ デートに 誘ってほしいそうです えッ？ すいません 冗談です 何だよ それ 医者を からかうなよ あれは？ 大江様！ <でも 中には> <命を捨て去ろうとする 人もいて…> ≪(木綿子)大江様！ 何してるんですか!? (大江)自由な空気に あたっていただけだよ でも 今… 安く見られたもんだな わざわざ 自殺なんか するわけないだろう 君は… 君は 何も分かってないな 不快だ 帰れ あの… うるさい！ ≪(心)大江様 雪が… お懐かしいですか？ ご実家は 小樽で いらっしゃいましたものね 積もるかな？ 朝までには やむそうですよ お風邪を召されますから そろそろ お部屋に戻られては いかがでしょう そうするか… ≪(とし恵)私達 もう師長にはついていけないの 私に言われても… (さくら)これまでも 納得できないことは山ほどあった でも ナースとしては かなわない部分もあるから 百歩譲って 我慢してきた (明日香)千歩でしょ いや 万歩でしょ とにかく 我慢に我慢を重ねてきた➡ でも さすがに この前のことは許せん 《(佐藤) ご心労が心臓への➡》 《ご負担となったのかも しれませんね》 幽霊部屋の看護なんて ふざけるにもほどがある (とし恵)看護師の仕事 何だと思ってるの 我々はプロよ 患者の 言いなりになるためじゃなく 患者の命を助け… 待ってください あれは 師長にも考えがあって 《私達が お芝居を やり通すことで》 《一人のお客様の 命を救えました》 《(玉垣)師長さんは 全部 分かっていたんですね》 だから？ あなた 師長派になったの？ 長いものには巻かれる タイプなわけ へえ～ いや そんなんじゃないです ていうか 何とか派っていうなら さくら先輩 明日香先輩とｻﾌﾞﾘｰﾀﾞｰは 敵対派なんじゃないんですか？ 言うじゃな～い イエス 我々は 子供自慢ばかりしてる輩は ムカつくだけ はあ？ 私だって しょっちゅう 男の匂いさせて病院に来る 看護師なんて➡ 信用してないわ ≪(さくら)ハハハ でも 今回だけは 手を組もうってわけ 幸せな ナースステーションのためにね 幸せなナースステーション？ うん それだけ 状況がひっ迫してるの 師長が お客様第一という 方針を追求するあまり 我々 看護する側は劣悪な 労働環境に置かれてる せっかく ﾌﾟﾛﾌｪｯｼｮﾅﾙな 看護をしたくても 余裕がなきゃできないでしょ まあ アンタも どうせなら 気持ちよく働きたいだろ 厳しい視線にﾋﾞｸﾋﾞｸして 毎日を過ごすより できる限り 希望の叶えられる職場で のびのびとした 看護がしたいだろ それは… はい だったら 闘おう 闘う？ 師長に正々堂々と 我々の不満をぶつけ 改善してもらおう 正々堂々と なるほど 一つ お客様第一のいきすぎは 看護の質を落とす 看護と雑用の線引きを きちんとつけろ 一つ シフトや担当の 割り振りについて 我々の希望を聞き入れろ 一つ もっと和やかで 楽しく勤務できる 雰囲気づくりをしてほしい➡ いつ辞めさせられるか 分からなくてピリピリしてちゃ➡ 長続きしませ～ん それ いいですね よ～し じゃ 明日にでも 師長に進言しなさ～い はッ 私が!? そう 正々堂々と どどど… どうして 私が？ 私 まだ本採用になってない 新人ですよ だからじゃないの よそから来たばかりの あなたが言うからこそ 師長も 聞く耳を持つってものよ 待ってください 私 まだ無印なんですよ (慶子)無印が どうしたって？ リーダー イタッ… いいえ～ 早く真珠がつくといいねって 励ましてました ≪(とし恵)そうそう 頑張れ➡ やる気よ ようは やる気 どうしよう… (菜々) ｢心房細動ならｆ波と呼ばれる｣ ｢細かい心房興奮が認められ…｣ 聞いてよ ｢ただし 心不全兆候を 見逃してはいけない｣ 言うしかないんじゃないですか 師長に文句言えっての？ だって 雑用が多い 休みが少ない 厳しすぎる 全部 事実じゃないですか 待ってよ 本採用になるかどうか 判断するのは師長よ 白い大奥の主だよ 知ってる？ ｢お局｣って言葉は 大奥で生まれたんだよ でも さくら先輩達の言うこと 聞かなきゃ ご機嫌 そこねるかもね えッ？ 師長が お局様なら 先輩達は奥女中 大奥じゃ 奥女中に にらまれると➡ ご飯 もらえなかったらしいよ やめてよ 究極の選択ですね 師長さ ご意見申す上げて 目の敵にされっか 言わずに 先輩達からハブられるか どうしよう… 人の部屋で 悩まないでください 私 寝るんだから 出た出た いいじゃない せっかくの寮なんだし あ～ あったか ダメ！ 早寝早起き！ 看護師は体力！ はいはい 出た出た まだ ８時だよ 師長に言えば？ えッ？ 私も 師長のやり方 ついてけない そう… 担当看護師がいるのに 何かあると どっからともなく現れるでしょ こっちは立場ないよ 行っちゃうの？ ねえ ご飯 食べない？ デート アンタと違って 忙しいの あっそ ≪(さくら) 有村朱里 ちゃんとやるかな？ あの単純さに 期待してみましょ (陽子) でも 師長は相手するかな？ ｢つまらないこと おっしゃらないで｣って 秒殺じゃな～い？ いいの 秒殺で 雷でも落として 撃退してほしい えッ？ 師長が相手しなかったら 新人･有村の意見に 耳をかさなかったという 事実ができる (歩)なるほど 部下の意見を聞かない上司の できあがりってわけね そこで 我々は 後輩を守る先輩として さっそうと登場 センター長に ｢師長にはついていけません｣ と申し上げる すごい！ それなら 私達の査定にも響かないかも ≪(とし恵)そういうこと 幸せな ナースステーションに➡ カンパーイ！ カンパーイ！ 山本様 お加減 いかがですか？ ≪(山本)おかげさまで 快調です お大事になさって くださいませ (山本) ありがとうございます 有村さん 何か？ いえ あの… すいません ｢すいません｣？ 何か謝ることなさった のでしょうか？ いや… 昨今 不用意に ｢すいません｣という言葉を 使う傾向がございますが 謝る必要もないのに とりあえず 謝るのは かえって 相手に失礼ですよ あッ… 腹でも減ってんの？ デカい口開けてさ ほっといてください 圧倒されてただけです 何に？ そんなに 私に 興味がありますか？ ホント いい性格してるよね 待って！ 興味なんかないから ｢行け｣って 言ってもらえます？ 何で？ 何でもいいから これから 強敵と 闘わなきゃいけないの 行け！ 有村 負けるな！ Thanks！ You are welcome. <これから 私は 東王病院のﾅｲﾁﾝｹﾞｰﾙ様に> <勝負を挑むわけで 怖いのは当たり前で> <でも やり遂げなきゃ 先輩達に> <仲間はずれにされるわけで ああ…> <女の職場って大変> やはり 何か おありのようですね？ はい… あの… げ… ｢げ｣？ 現在の看護体制について みんな ふ… ふ… ｢不勉強｣？ ｢不衛生｣？ それとも｢ふらち｣？ 不満… を感じています みんな いい看護をするために もう少し余裕をもって 働きたいと願っていて 私も ちょっと 厳しすぎるかなって… 分かりました えッ？ 私も至らないところが あるかもしれませんね よく考えてみましょう えッ？ 答えになっていませんか？ いや あの そういうことではなくて… ≪(大江)泣かせてるの？ 新人さん 泣きそうじゃない うん… 雪解けの草原に ひょっこり顔を出した うさぎみたいだな こんなに初々しい子 いじめちゃダメじゃない ねえ ｢雪解け｣？ そんな… うさぎだなんて！ <結婚指輪なし！> <ラッキー！> 大江様って 何歳だっけ？ 大江様って 何歳のときに 小説家デビュー したんだっけ？ 大江様って… 独身だっけ？ バツイチらしいよ 優秀な編集者が 奥さんだったって 何なの？ もう 私は ただの担当ﾅｰｽだから ﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄまで知らない 師長に聞いたら？ 一体 いつまで 居座るつもりだべ とっくに心臓は 治ってるはずなのに ホントに 仮病なの？ さあ 胸が痛いって訴えるから 肺や食道 視野に入れた 内視鏡検査を勧めても ｢今は受けたくない｣って 先延ばしだから 仮病がバレたら また締め切りに追われる生活に 戻らなきゃならないですからね 金持った芸術家なんて ろくなもんでねえ そんな言い方しないでよ 大江様は きっと 本当に具合が悪いのよ 長年 ずっと売れっ子でやってきた 疲れもあるのよ そんなこと言ってて いいのかや お疲れさま お疲れさまです 有村さん はい 勤務 終わったら さくら先輩達が ちょっと いいかって はあ!? 師長に体よく かわされただけじゃない もっと突っ込まないで どうすんの でも… 師長が ｢自分も至らないかもしれないから 考える｣って言ってるのに それ以上 言えません 言えるでしょ ｢そんな悠長な話じゃない｣ ｢こっちは 我慢に我慢を重ねてる｣➡ ｢いい加減にしろ｣って そんなこと言ったら 斬り捨てられます アンタは斬られりゃいい 屍なんだから はあ？ とにかく！ いつも 余裕こいてる 師長の心を動かしたいの あの… 何？ 今 大事な話してんの あっち行って 余計なことですけど 師長を動かすには➡ いい方法があります 何？ アンタ いつも 人のこと バカにしたような顔してるくせに 仲間になろうっていうの？ 仲間になるつもりはありません ただ… 師長についていけないのは 同じです いいわ 言ってみなさいよ どんな方法？ 師長を揺さぶるなら 大江様のことを 持ち出すのが いいと思います 仮病先生を？ 師長は 大江様を 特別扱いしています➡ そして… 大江様も それって できてるってこと？ まさか もちろん深い関係では ないと思います でも 担当の私には 分かります 明らかに 二人は特別な関係です➡ だから… 大江様は 入院を許されてるんじゃ？ それ デマなら あまりにも 罪が重いデマよ 分かってます じゃ アンタ 聞くけど 二人が特別な関係だって 証明できる？ それは… だったら 軽はずみなこと言わないでよ シッポつかんでくるなら 話は別だけど ねえ 有村と二人で 仲よく調査したら？ 私!? 悪くないね そうしよう 鬼師長と 仮病先生の仲を 徹底的に調べ上げなさい 帰ってくれないか (編集者)しかし ご静養中の先生にとっては 悪い話ではありませんよ どこがだ？ ええ？ 最悪だよ！ 帰れ！ 失礼いたします おケガは ございませんか？ また 映画化の話だよ デビューの頃に書いた作品ばかり ｢最近のはダメだ｣と 言われてるみたいで不愉快だ 小説家の心の内を 理解するのは 難しいでしょうね 原稿… 読んだ？ 僕の次回作の構想 はい どう思った？ ビックリした？ 和田らしくないね 何が？ 普段 人のことに 立ち入らないくせに 師長と大江さんのこと 告げ口するなんて だって 検査も治療も受けない人が 入院してるなんて ふ～ん… それだけ？ ちょっと！ 私は師長と大江さんが 特別な関係なんて思えない だから ちゃんと確かめる 何してるんですか？ 探偵 ええッ？ ≪(辰見)心配をおかけしていた➡ ﾌｨｷﾞｭｱの牧村ゆりえは あと数日で退院➡ 術後 神経障害の悪化もありません 難しいオペだったのに よくやってくれた (辰見)最近 目立つ患者は 小村先生の 担当が多いですから➡ 頑張らせていただきました 噂を聞いて ｢上海港電｣から ﾁｬﾝ･ﾘｰCEOが｢当院に入りたい｣ と連絡があった ｢腰痛でチェックを してほしい｣と 旅行気分のようだな 旅行… (小村)でも 海外で評判が広がるのは ありがたいことじゃ ないですか ナース達にも特別体制を 組ませましょう うん！ 失礼します 症例カンファレンスの 途中だぞ これが カンファレンスですか 幽霊患者を引き受けたり 旅行気分の患者を 入院させたり せっかくの医療設備が ムダになってる気がします 金さえ儲かればいい というものではありません 私が金儲けのために やっていると思うなら 君は まだまだ未熟だな じゃ 何のためにやって… あいにく 私は説明が嫌いでね 自分で理解するんだな 原稿 読ませていただきました 私は… 続きが読みたいと 存じました 続き？ 何も書いてないのに？ 難しいことは 分かりませんが どんな お話も 何もないところから 始まると思いました ものですから 大したことないな 君も➡ 実はね 僕は もう… 書けないんだ 倒れて以来 今まで湧いてきた物語が 何一つ 浮かんでこない たまに浮かんでも もう一人の僕が ｢そんな くだらないこと 考えてるのか｣と笑うんだよ 胸も痛くなるよな… 大江様 一度 ちゃんと検査を 受けられては どうでしょう？ お体の不安を取り払えば お仕事に向かうことも できるのでは？ 恩着せがましいこと 言うなよ 本当は こんな患者 とっとと追い出したいんだろ➡ 悪いけどね 高額な入院費を払ってるんだ そう簡単には ベッドを明け渡さないよ 病院にいれば 書けなくなった自分と 向き合わなくていいからな➡ ふッ… ありがとう存じます 当病院を 安らぐ場所と 思っていただいて きっと… 検査を受けていただけると 信じております (ﾏﾈｰｼﾞｬｰ)麻綾 大丈夫か？ 着いたぞ 失礼します ≪(ﾏﾈｰｼﾞｬｰ)お願いします 大丈夫ですか？ 麻綾!? 知り合い？ 知らないんですか？ ｴｲﾄｼｽﾀｰｽﾞの 三国麻綾じゃないですか 大丈夫ですか？ (麻綾)痛い！ 先生… 妊娠反応 陽性です 陽性!? (恵)ｶﾞｲﾆﾝじゃない？ 子宮外妊娠!? まだ 19歳のアイドルなのに？ 19歳なんて本来なら 最も妊娠しやすい年齢でしょうが エコー！ 皮膚が湿潤でｼｮｯｸ状態だから 怪しいと思ってました ちょっと ヒヤッとしますよ イタッ！ 卵巣付近に胎嚢を確認 ダグラスに出血あり 間違いないな 専門じゃないわりには 診断早いじゃない 合格 一度のミスで 全否定しないでもらいたいな すぐにオペした方がいい 産科の石堂先生に連絡して オペのお願いをしてください はい (歩)帰られてると思いますが 携帯鳴らしてみます 私 オペ室の準備するわ 皆さん お待ちください 仲野先生 卵管破裂ですか？ はい しかし 血圧も 点滴を開始して横ばいです でしたら オペは 愛世病院にお願いしましょう 石堂先生が来るまでは 僕がﾌｫﾛｰできます ベッドが確保できません 搬送するための処置を お願いいたします ３階のミュラー５号室は ﾊﾟｰﾃｰｼｮﾝで分離できると 聞きましたが お客様は 芸能関係の方です 他の方に 病状を 知られるかもしれないお部屋に ご入院いただくわけには まいりません ≪(麻綾)ううッ！ 大丈夫ですよ 落ち着かれてください 妊娠なんて そんな！ 事情は分かりますが 今は健康の回復が一番です 私が先方まで ご一緒いたしますから は… はい どうぞ (マネージャー)麻綾 大丈夫か？ (サイレン) 僕は納得できません うちで助けられたのに 仕方ないわ 師長さんが｢ベッドがない｣って おっしゃるんだから 治療もしない患者が ベッドを占領してるから 麻綾ちゃんのベッドが ないんですけどね 《きっと…》 《検査を受けていただけると 信じております》 (ノック) 失礼します ちょっと よろしいですか 何でしょうか 大江様の症状について 調べさせていただきました 胸部に痛みを 訴えておられる場合 心臓以外に 肺や食道に 病気が潜んでいる 可能性もゼロでは ありません そうですか 主治医でもないのに ご親切ですね 検査を受けてください なぜ 検査を 受けないんですか？ 検査を受けないなら 当院にできることは ないのでは ありませんか？ ご用件は それだけですか？ お引き取りください 私が師長に言う 何て？ ｢大江様がいるせいで 入院できない患者がいる｣ ｢ｽﾀｯﾌに厳格に接する あなたが｣ ｢そんな不正をやるのは 許せない｣ ぐえッ… そこまで？ だって そうじゃない 患者との恋愛なんて 信じらんないよ 恋愛かどうか 分かんないじゃない 見たでしょ？ 見たけど… 患者の手ぐらい握るよ 私も 千葉の病院にいたときなんて 毎日 おじいちゃん患者 全員と ｢おはよう｣ ｢おやすみ｣の 握手してた それとは まったく別次元 師長は 自分の立場を利用して 大江様に 迫ってんのよ！ おかしいよ おかしくないよ あれだけの設備が 整ってるんだから もっと症状の重い患者を 入院させるべき じゃなくて 熱くなってる 和田がおかしい アンタ 大して いいヤツじゃないけど 思い込みで 人の悪口 言うような人じゃないじゃない そうかな？ そうだよ 冷めた振りしてるけど ホントは 必死で看護師やってる なのに どうしたの？ あのさ！ ｢ホントは｣とか 言わないでくれる？ 私のホントが アンタに分かるわけない 出てって あッ… ずるい ｢ずるい｣？ 人の部屋には入るくせに 自分の部屋には 上げないなんて アンタみたいに あけっぴろげじゃないの 痛い痛い 暴力反対！ どっちが暴力よ！ もちろん そっち イヤッ！ ふざけんな あの本… 勉強してたの もしかして… 和田 大江様のこと そんなわけないでしょ 私は三人の男と 付き合ってんの あんな ワガママな中年 興味ない ただ… 大江様に 看護師として認められたい どうして 大江様に？ あの人 お世辞言わないんだ 本当に感心したことしか ほめない 男って 簡単にほめんじゃない 自分のものにするためなら 思ってもない 甘いことばっか口にする アンタ キレイだもんね でも… あと５年もたてば 誰もチヤホヤ してくれなくなる そのとき みじめにならないで 生きていけるか 自信ない だから 看護師として ちゃんとなりたいって そう思って… 分かる 分かんないでよ そうやってね 簡単に分かられんのも 大嫌いなの！ 三国麻綾の事務所から ｢なぜ 追い出したのか｣と クレームがあった 入院するなら うちでと 思ってたみたいだよ ベッドが 足りなかったものですから まあ 部屋のことは 君に任せているから 口出しはしない ただ… 看護の質は 落とさないでくれよ 日本でホスピタリティを 最重要視した病院が根づくまでは まだまだ 油断は ならないからな 承知しております (ドアが閉まる) 和田さん… 和田 大江様のことを 好きなんじゃないかな？ ええッ？ 認めてないけど 間違いないよ 部屋に大江様の小説が 何冊もあったし だから 認められないことに 悩んでるし 師長が特別扱いするのが 許せないんだと思う 要するに 嫉妬ですか？ うん… 私 大江様からは手を引く 素敵な人だけど 友人の好きな人を狙うほど 困ってないから 案外 友情に熱いんだ まあ もったいないけどね～ ここだけの話 この間 私のこと見た目は 普通じゃなかった ビビビッて感じだった くっだらねえ 何が｢ビビ｣よ 嫉妬とか手を引くとか 相手は患者ですよ もっと真面目にやらい 仕事は真面目にやってるよ でも 看護師なんだから 患者と出会うのは仕方ないわ 知るか 淫乱！ 言いすぎ！ 大江様に対して 特別なことをするのは 看護を超えてるのでは ありませんか？ 特別なこと？ 毎晩 大江様の病室へ いらしたり 公園へ連れ出したり いきすぎだと思います 師長のなさってることは ﾅｰｽｽﾃｰｼｮﾝを乱しています 先日も 有村さんが 同じようなことを おっしゃっていました 誰かに 頼まれたのですか？ 違います 私は… 和田さん！ あなたは 何のために 看護師になったのですか？ 今 そんなこと聞かれても… ≪(慶子)師長 何かありましたか？ 和田さん どうしたの いいえ 何もございません 今日のお天気について 話しておりました ≪(慶子) はっきりしない天気ですね ええ… 明日は 晴れるかしら？ ≪(慶子)今週いっぱい 悪いんですよね お待たせいたしました 本日は 中華御膳で ございましたね 有村さんだったね 君に聞きたいことが あるんだけど はい 何でしょうか？ 僕のこと… どう思ってる？ えッ… いや あの 素敵な方だなとは 思ってますけれども ごめん ごめん そういうことじゃなくて 僕が入院していることだよ 早く出ていけって思ってる？ えッ？ かまわないから 本音で言ってくれないかな ﾅｰｽｽﾃｰｼｮﾝの皆さんも 色々 思ってるんじゃない？ あ… 適当なこと言ってもダメだよ 小説家はね 嘘をつくのが仕事だから 相手の嘘が分かってしまう はい それでは… お元気なようでしたら 退院していただいた方が いいと思います 師長が大江様のベッドを 確保してることで 色々 思われてますし… 僕と田野島さんが 何かあるってこと？ いえ あの… ｢嘘はついてもムダ｣ って言ったろ はい… そういう噂に でも 私はそんなこと思ってません 全然！ そう… ありがとう 嘘でしょ!? 和田が意見した!? それも 大江様との関係を (一同)え～ッ！ 親しいとは思ってたけど 何かあるとはね 瓢箪から駒 でも 我々が 有村を動かしたから できたわけよ そうそう 事実なら これ以上の 材料はないですね 追い出そうとまでは 考えてなかったけど 辞めてもらうのも ありかな？ そうなれば かなり のびのび働けますね～ 何もね 我々は 憎くてやってるんじゃない よき職場環境で 看護師が 働くためにやっている ですよ 幸せな ナースステーションのためです カンパ… 仲間に入れてもらえる？ お水 一つお願いします 不粋で ごめんなさい 明日も早いので アルコールは控えます 皆さん いつも ご苦労さま 無礼講の習わしは 残っているかしら？ こうしてる間は 上下関係なく 本音を言っていい 明日には残さない 残っているどころか ますます盛んで… では 言わせていただくわ 大江様と 私の間には… 何もございません！ ハハハ… ハハハ… それから あなた達が 何を言おうと何を企もうと 私が師長を退くことは ございません まあ なぜなら あなた達の誰よりも 私は お客様のことを 考えているから 男性も趣味も 全て忘れて 看護に まい進しておりますから 以上 (携帯着信) 失礼 もしもし 田野島でございます ☎すいません 師長 大江様が… (秘書)先生が ご寄付されると おっしゃってます 研究 その他に 役立ててください １億！ それは… ありがたい お申し出ですが 遠慮しなくていいですよ 先日 私の小説に 映画化のオファーが ありましてね シリーズごと 承諾することに決めました ただし 条件があるんだ 僕が自分で ｢退院したい｣と言うまで ここに いさせてもらいたい 実は… そちらの若い先生に ｢早く退院しろ｣ と言われましてね 確かに申し上げました 主治医でもないのに そんなことを言われるのが 心外でね 有村さんにも話を聞いたら➡ 僕と師長が噂になっている そうじゃないですか 悪いけど… そんなに 女性に困ってませんよ ただ ここは安心して眠れるから 気に入っててね センター長の方から ベッドの確約をして いただきたいんです ベッドの確約は どうでしょう… ここが普通の病院なら まあ 僕も こんな札ビラをきるような いやらしいマネはしませんよ でもね ここは自由診療だから 経済原理が 働く場所でしょう そういう 側面はありますが ≪(大江)率直に言おう ベッドを買いたい 病院に… 普通とか普通じゃないとか あるんでしょうか 確かに ここはホテルみたいだし 入院費も高額です でも 病気を治す所ですよね？ すいません… 偉そうに でも 大江様が ｢お金でベッドを買いたい｣ って言うなんて 僕も同じ考えです 金をたくさん払った者が入院？ そんなことが 自由診療なんですか？ う～ん… 困ったね 師長 私は お金の多い少ないで 患者様を選べないように 症状の重い軽いで 患者様を 選んではいけないと 思っています ただ… 検査をして 悪いところがあれば 治療される そのおつもりが ないのであれば ご退院されるべきだと存じます そうか… 残念だな➡ 分かったよ 退院すれば いいんだろう 今すぐ退院するよ 荷物 まとめといて これで いいんじゃ ないでしょうか はあ… 高性能ＭＲＩを 導入できるかと 思ったんだけどな～ あの… 大丈夫でしょうか？ 大江様は 自殺を考える 兆候がありました このような形で退院して もしものことがあったら… そう思うなら もう一度 お連れしなさい えッ… 担当ナースとして 検査を受けて いただくのです 大江様は 肺に腫瘍の可能性があります 何だって!? 検査してないのに なぜ？ 先日 大江様の手に 触れさせていただきました 入院時より 指の先端が四角く 膨らんでおりました ばち指か… 肺がんの兆候ですね 恐らく 大江様 ご本人も そのことに 気づいておられるのでしょう 怖いから先延ばしにしていた ということですか？ 深刻な病気を 受け止めるのは どんな方でも 恐ろしいものです お金も地位も 関係ありません 行こう でも… 私 大江様に 認められてないのに 何言ってんの！ 担当ナースでしょ 大江様！ 叩き出さなくても 今 行くよ お戻りください！ 一刻も早く 追い出したかったくせに 寒いな… ここに来たときは 秋だったのにな 検査を受けてください！ 私… 一生懸命 お世話をさせていただきます 私達！ 病気を治す手伝いがしたくて 看護師になったんです こんなの イヤです もし ご病気だったら ちゃんと治療を受けて 元気になって 退院してください！ 治せる病気を 治さないなんて 冗談言うな！ …です 僕はね 人に 指図されるのは嫌いだ でも… 続きは書きたい 続き？ これから 胸部ＣＴの検査にいきます 少し狭い台に乗って 検査しますが 特に 痛みはありません ２回目は造影剤の点滴をして 撮影します 全部で 20分から30分で終わります これからの治療のためにも… よかったじゃない 治って出てってもらった方が いいもんね ええ～ 聞きたいんだけど 三国麻綾に｢ベッドがない｣ って言ったの 大江さんのベッドのこと 問題にして 検査 受けさせるため だったんじゃ？ 何のことでしょう？ 恐ろしい人ね～ 何もかも 自分の思いどおりにしようとして 私は この病院を 守りたいだけです 和田 大江様は きっと完治するよ まだ 検査の結果も 出てないのに だって 悲しいじゃない 好きになった人が 重病だなんて まだ言ってる そんなんじゃない 大体 看護師が｢病気をつらい｣ とか言ってらんないし 看護師だから つらいんじゃないの？ それも一理ありますね 色んなこと 分かっちゃいますからね 頑張ってよ ねッ フォローするからさ～ ねえ～ 気持ち悪いんだけど そういう 仲よしごっこ ごっこじゃないよ せっかく大奥で 一緒にやっていこうと 思ったのに ごっこでも 楽しめりゃいいですけどね <進歩のない組織で 持ちこたえたものはない> <そう言い残した ナイチンゲール様> <あなたは 19世紀に生きた 本物のﾘｰﾀﾞｰでした> ちょっと 何なの？ こんなとこ呼び出して 私 明日 朝イチでオペだからさ ｶﾘｽﾏｵﾍﾟﾅｰｽですものね～ いい くだらない そういうの 何なの？ 私… 先輩に 色々 教えていただきたいなって 色々と <病院にあるのは 進歩なのか破壊なのか> <それより 何より> <私のダーリンは いつ見つかるんだろう？>

ブラック・リベンジ＃01

1 (沙織の声)私は 一生忘れない｡ (PC)(圭吾)美幸…愛してるよ｡ (PC)(圭吾) 美幸 本当に本当に ごめん｡➡ でも心配いらない｡➡ 何も怖くないんだ｡➡ これで苦しみから解放される｡ (PC)(圭吾)美幸…愛してるよ｡ ｟お待たせしました｠ ｟あ…動いた 動いた｡ 圭吾 ほら おっ 蹴ってる｠ (沙織の声) 愛する人と過ごした かけがえのない日々は➡ 一瞬の内に 音を立てて崩れ落ちた｡ (TV)(ﾘﾎﾟｰﾀｰ) ｟闇献金について お話をお聞かせください！｠ (TV)(ﾘﾎﾟｰﾀｰ)｟本当なんですか？｠ (TV)(ﾘﾎﾟｰﾀｰ) ｟一言 頼みますよ！先生！｠ (TV)(ﾘﾎﾟｰﾀｰ) ｟一体どうなってるんですか!? 寺田先生！｠ (TV)(ﾘﾎﾟｰﾀｰ) ｟…本当なんですか!? 国民は知りたがってますよ｠ (TV)(圭吾)｟全くの事実無根です｡➡ そんな献金など 一切 受け取っておりません｠ (TV)｟通行の妨げになります！ 道を空けてください！｠ (沙織の声)私は 絶対に忘れない｡ ｟圭吾！ああ…圭吾！…圭吾！ ああ…ああ！｠ (沙織の声) 全てを奪われた あの日の事を｡➡ 最愛の人も➡ 生まれてくるはずだった 新しい命も…｡ (沙織の声)私は 絶対許さない｡ (PC)俺はハメられたんだ｡➡ 塚本修二郎➡ 愛原サユミ➡ 南條夕子➡ この３人のせいで 俺は…｡ (PC)俺は何もやってない｡ (沙織の声) あなたが受けた屈辱を…｡ (沙織の声) 私が味わった苦しみを…｡ (沙織の声) さまよい歩いた地獄を…｡ (沙織の声)同じ絶望を与え➡ 地獄の底に…叩き落とす｡ (PC)全てが終わったら…➡ 君もおいで…➡ 先に行って 待ってるから｡ (PC)(激しい衝突音) (PC)≪キャー！≫ (沙織の声)１人残らず 復讐する➡ アイツらと…同じ…やり方で｡ ♬～ (福島)みんな 聞いてくれ｡ 聞いてくれ｡ サラリーマンの小遣い 毎日 自由に使える額は➡ せいぜい ５００円位のもんだ なあ｡ 読者は その中から ４２０円を切り崩して➡ この『星流』を 買ってくれてんだな！ (芦原)天満さん…私 ここに来て まだ半年ですけど➡ この話 聞くの８回目です｡ (天満) ご機嫌な証拠だ｡ すぐ終わるから 黙って聞いてろ｡ この後 牛丼のくだりですよね｡ おう｡ 泣かせるじゃねぇか なあ｡ 本当は牛丼が食べたい｡ なんなら味噌汁もつけたい｡ でも今日は『星流』出る日だから 菓子パンで我慢しよう｡ きっと みんな そんな思いで 買ってくれてんだ！ そうだろ？な？ だったら俺たちもさ➡ 牛丼に負けないネタをさぁ 提供しなくちゃならんよな～！ そうだろ？な？ 今週号に関してはね➡ その期待に十分 応えられたと思う｡ １０月５日号 ５０万部 突破しました！ よ！ よっしゃ！ ありがとう｡ 次週も よろしくな みんな よろしくな｡ じゃあ 座れよ｡早く座って 仕事しろ｡すぐ！バカヤロウ｡ いや～ しかし 今週も 俺の見出しが光ったね～｡ ｢鬼下官房長官 深夜のＳＭ通い！ 夜は浣腸長官！｣➡ どうだ？このセンス｡ いや！ 先週は やっぱ このネタでしょう｡ ああ 彼女の記事な～｡ やっぱ彼女を引っ張ってきた➡ 俺の目に間違いは なかったろ!? 活躍は認めますが 性格にちょっと問題が…｡ もう３か月も経つのに 笑った所を見たこと ありません｡ それぐらいは 大目に見ようぜ～！なあ｡ 噂をすれば…｡ お～ 今宮～！イマミー！ 今 ちょうどね 君の話をしてたところなんだよ｡ しかし 君はさぁ すごいネタ元を持ってるね～｡ え 何これ！何これ!? 成瀬アキラと小田桃香の 密会現場を押さえました｡ 言ってるそばから君って奴は…｡ (芦原)ええ～ この２人 付き合ってたんだ～！ (田之上) すげぇ…若手イケメン俳優と トップアイドルの➡ 路チューなんて よく押さえられましたね!? (武藤)これ 芸能界を揺るがす 一大スクープですよ！ (雄大)今宮さん すげぇな！➡ でも 今回は 見逃してもらえませんか？➡ 俺 この子の大ファンなんすよ｡ (まこと)好きなアイドルだと 露骨に甘いな！ なに都合のいいこと 言ってんだよ｡ お 終わった？終わったな？ よし！よし！天満 天満 天満｡ このネタな 来週の左トップに持ってくぞ！ わかりました｡雄大 すぐに 中吊り変更の連絡を入れてくれ｡ はい｡ まことは２人の事務所に 事実確認の連絡だ｡ (まこと)はい！ でね 俺はね そうだ 台割りを作り直さなきゃな！ いや しかし驚いたね～｡ イマミーは『星流』の女神 いや スキャンダルの女神だね！ もっと大きなネタがあります｡ え まだ来るの!? え もう ちょうだい！ もっと ちょうだい！ 協民党の塚本修二郎 彼には愛人がいます｡ 塚本って あの もうすぐ大臣になるって噂の？ そうですよ 修サマです！➡ その爽やかすぎる 修サマスマイルで➡ マダムの心を鷲掴みにしている 激シブイケメン議員です｡ もし本当だったら… 主婦層 大ショックですよ！ はぁ～｡ 彼 確か 以前ウチで 告発した男です｡ ああ あの男か…｡ 塚本修二郎に密着させてください｡ よし 任せた！ もう取材費ガンガン使っていいぞ｡ ありがとうございます｡ うん｡ あ 芦原！お前 今日から 今宮のアシにつけ｡ えぇっ！私がですか!? ああ｡ 必要ありません｡ 若手に勉強させてやってくれ｡ コイツ ネタ出しも文章も 全くセンス無いから｡ うぅ…ヒドい言われよう｡ ≪俺はいいと思うよ≫ ありがとうございます｡ あ～ あっ 沙織さん！ ちょっと待ってくださ～い！ 芦原 必要あるか？ まぁ 念のためですよ｡ 今日 後援会の パーティーだったんですね｡ (芦原)私 本当はファッション誌で 働きたいんですよね～｡➡ でも なかなか 希望が通らなくて…｡➡ あの 沙織さんは 何でこの仕事 選んだんですか？➡ 私 ちょっと抵抗あるんです｡➡ なんか人の不幸を 喜んでるみたいで｡➡ 沙織さんは 罪悪感とかないんですか？ ない｡それが真実であれば…｡ (芦原)そうですか…｡ (芦原) あっ！来ましたよ 塚本議員！ と その妻！➡ 妻 めっちゃ キレイじゃないですか 妻！ うるさい｡ (芦原)すみません…｡ ♬～ (芦原)あの赤いドレスの人 めっちゃ綺麗ですね！➡ 沙織さんも やっぱり 気になります!?芸能人ですかね｡➡ いや もう 何か言ってくださいよ｡➡ てか 会話してください｡ 私 意外と役に立ちますって！ あの女を ２４時間 尾行して｡ ２４時間？ 役に立ちたいんでしょ？ あっ え!?私 降り…はい｡ (エンジン音) (芦原)おつかれさまで～す｡ ん～ サラッと きっつい指令きたな～｡ (カラスの鳴き声) ♬～ (PC)俺はハメられたんだ｡➡ 塚本は… 副大臣になる俺に嫉妬して…➡ だから ありもしない事を 週刊誌に…｡➡ 俺は裏金なんてもらってない｡ (PC)(圭吾)俺は何もやってない｡ ああ 美幸➡ 今更 信じてもらえないかも しれないけど…➡ 俺は悪いことは何もやってない｡➡ 俺は裏金なんてもらってない！ ｟ハハハハ！コイツと俺で➡ 日本の政治を 変えてやるんだよ！｠ (塚本修二郎) ｟お～ 圭吾よく言った！ よ～し！➡ 俺たちで やってやろうじゃないか！｠ (圭吾)｟おぉ～！｠ (高槻)｟２人ならやれますよ！ やってください！｠ ｟よし 見てろよ！ お前らは歴史の目撃者だ！｠ ｟ちょっと ３人とも 飲みすぎじゃないの？｠ ｟じゃあ 日本の未来に！｠ (２人)｟かんぱ～い！｠ (一同)｟アッハハハ…｠ (TV)(ﾘﾎﾟｰﾀｰ)｟寺田圭吾さんの 裏金問題について➡ お話を聞かせてください｠ (TV)｟私も 最初は 信じられませんでした｡➡ 寺田君とは 日本の未来について 真摯に語り合い➡ 共に 切磋琢磨してきた 仲でしたので➡ 正直 大変 失望しております｠ (PC)でも心配いらない｡➡ 何も怖くないんだ｡➡ これで苦しみから解放される｡➡ 全てが終わったら➡ 君もおいで…➡ 先に行って 待ってるから｡ (PC)(激しい衝突音) (PC)≪キャー！≫ そういえば もうすぐアイツの命日だな…｡ (村岡)寺田圭吾の事ですか？ (塚本)今の俺があるのは アイツのおかげだ…｡➡ 俺の踏み台に なってくれたんだから｡ (村岡)墓参りにでも行きますか？ 冗談だろ｡ ♬～ うっ!? うわっ！沙織さん!? あの女は？ あ あ はい！ 撮ってきました たくさん｡ 銀座にある 高級クラブの ナンバーワン ホステスでした｡➡ 名前は 彩香さんです｡ す 少しは見直しました？私の事｡ いいんですよ 遠慮なく褒めていただいても｡➡ 私 褒められて伸びる子ですから！ はい 褒めないっと～｡ じゃあ 俺が褒めてやろうか？ 芦原～！ (芦原)大丈夫です 編集長｡ 俺はね 知ってるよ｡ お前のいいところはねぇ こう見えて意外に➡ スタイルがいい！ ８５センチ Ｃカップ！ (芦原) スゴ～イ こんなストレートな セクハラ 私 初めてです｡ ハハハハハ！ この女が 塚本議員の愛人なのか？ ええ…彼女はプロ愛人です｡ だったら かなり手強いんじゃないか？ 簡単には 隙を見せないだろうし…｡ そうですね｡ (芦原) いや ちょっと待ってください｡ プロ愛人って 何ですか？ な～に お前 なに そんな事も知らないの？ え～ 相手に一切の迷惑が かからないように➡ 痕跡を全く残さない愛人の事だよ｡ まあ 言ってみりゃ➡ 愛人の中の 愛人って感じだな｡ (芦原)愛人の中の愛人…➡ 凄そう！どうするんですか？ ｢自分が愛人です｣と 独占告白させる｡ (芦原)はい!?いや 今それが➡ ものすごい難しいって 話でしたよね？ 大丈夫か？ 仮に訴えられても➡ 裁判で負けない 確実な裏取りが必要だぞ｡ 今度は塚本｡ (芦原)また 密着ですか!? まさか…今回も？ ２４時間｡ (芦原)人使い荒すぎませんかね｡ 働け！芦原！ ああ…はい｡ 今夜は 遅くなるから｡ (塚本 渚)はい｡ (塚本)夕飯は いらない｡ (渚)今夜は どなたと？ いつもの 後援会の連中だよ｡➡ じゃ 行ってくる｡ (渚)いってらっしゃい｡ (塚本 葵) ≪ママ～！ スマホが鳴ってるよ～！≫ は～い！ あっ！あ～ 来た！ (シャッター音) (芦原)おっ｡おっ…いいね！ これ 絶対…｡ (シャッター音) (芦原)あっ…あっ！➡ 待って 待って…よいしょ｡ ♬～ (石山綾子)来てると思った｡ 綾子…｡ 今日は月命日だもんね 圭吾さんの｡ (石山悠斗)おばちゃん お家で 一緒に遊ぼうよ～！ 悠斗 ちゃんと お参りしてからにしなさい｡ 終わったら遊んでくれる？ うん｡ じゃあ お参りする！ もう…｡ ごめんね｡この子➡ お姉ちゃんの事 大好きで…｡ ♬～ せっかく戻ってきてくれたのに 何で あの会社なの？➡ お姉ちゃん 何考えてるの？ カウンセリングには ちゃんと行ってる？ (悠斗)ねぇ ママたち～➡ 喧嘩してるの？ (綾子)ううん してないよ｡ おばちゃん これ｡ おばちゃんにあげる｡ ありがとう｡ うん！ (綾子)お姉ちゃん 何かあったら すぐ相談してよ｡ いつでも来てね｡ 悠斗と待ってるから｡ うん｡ 塚本の様子は どうだった？ はぁい！ああっ…➡ 彩香さんとの 接触は ありませんでした｡➡ 写真は一応 また 撮ってきたんですけど…｡ う～ん…｡ お前 こんな写真じゃあ 何も使えないぞ｡ ですよねぇ…｡ 芦原！お前 わかってるんだったら➡ お前 ちゃんと考えて 撮らなきゃ ダメじゃないか！ ちょっと今宮｡もう ここは もうガツンと怒っていいよ！ ありがとう 助かった｡ 聞いたか 芦原 イマミーはな 助かったんだよ！ ん？助かったの？ (芦原)ん？…私 今褒められた!? あっ ああ…！あたしも…｡ 準備ができたら 連絡する｡ うわ～ ツンデレ～｡ ♬～ (高槻)美幸さん｡ その名前は もう捨てた｡ すいません｡ ガードが固くて 苦労しました｡ 高槻君… あなたのネタのおかげで➡ 『星流』に溶け込めた…感謝してる｡ ネタは いくらでも用意します｡ また 連絡する｡ お待ちしてます｡ いつでも…｡ (芦原)う～ん｡ ｢club L'Amant｣｡➡ まだか～…➡ あっ！沙織さ～ん！ (芦原)とりあえず アポは取れました｡➡ 開店までの １時間だけですけど…➡ 大丈夫ですか？ ええ 十分｡ あの 何をする気なんでしょうか？➡ …って また何にも 教えてくれないんですね～｡ (芦原)うわ～ すご～い…｡ (足音) ♬～ (彩香)彩香です｡ はじめまして 『週刊星流』の今宮です｡ あっ…あたしも｡ 私に何か御用ですか？ 彩香さんは 塚本先生の 後援会のメンバーですよね？ ええ｡ 塚本修二郎先生の事で お尋ねしたい事があります｡ 先生に何かあったんですか？ はい｡塚本先生に➡ 愛人がいたんです｡ 本当ですか？ こちらの女性なんですが…｡ 六本木のクラブで働く 雪乃さんという方です｡ もう何年も 愛人関係を続けていて➡ 先日 結婚を申し込まれたそうです｡ 冗談でしょう？…先生には➡ 奥さんと お子さんが いらっしゃるんですよ｡ 私も最初は 信じられませんでした｡ ですが… 決定的な証拠もあります｡ お借りしてきました｡ ♬～ 雪乃さんは あくまで➡ 塚本先生のお金だけが 目当てだったらしく➡ 結婚を断りました｡ ですが その後 彼はしつこく付きまとった…｡ 嫌気がさした雪乃さんは➡ 不倫の事実を 我々に公表する事で➡ 愛人関係に 終止符を打とうと決めたんです｡ そんな話 とても信じられません｡ 一体 私に 何を聞きたいんですか？ 雪乃さんが証言しているんです｡ 塚本先生は 政治資金を➡ 自分との交際に かなり使い込んでいる…と｡ 何かご存じありませんか？ 知りません…そもそも 先生に愛人がいる事自体➡ 私には信じられない｡ 何か思い出しましたら いつでも ご連絡ください｡ (芦原)ああ 沙織さん｡ ♬～ ♬～ 愛人は 別にいたんですか？ あの雪乃さんって人➡ いつの間に 見つけてきたんですか？ 向こうから連絡がきたの｡ へえ…｡ これから 行く所があるから｡ え…あ はい｡ 私は乗れない…｡ (芦原)お疲れさまで～す｡ ずっと考えていました…｡ 私の何がいけなかったのか…｡ なんで自分に こんな不幸が起きたのか…｡ 運命を呪って 現実から逃げていたんです｡ (朱里) あなたは全てを受け入れ ２人の死と向き合う事ができた｡ 自分で見いだしたのよ 生きる目的を｡ 私は…正しいことを してるんでしょうか？ 自分では もう 心の奥から湧き上がる衝動を➡ 止める事は…｡ ♬～ あなたは 間違っていない｡ ♬～ 安心して｡ 私はいつでも あなたの味方よ｡ はい｡ ようやく この時が来たね…｡ ず～っと傍にいてほしいから…｡ 私に憑りついて｡ (芦原)はぁ～ 大丈夫かなあ？ あぁ～…なんか緊張しますね！ 雪乃さん ちゃんと話してくれますかね!? (足音) (芦原)来た！ ♬～ (雪乃)どうも｡ お待ちしていました｡ それでは さっそく始めさせていただきます｡ はい｡ (足音) 彩香さん!? ♬～ あなたが雪乃さん？ ええ そうですが｡ あなた 先生の愛人なんですって？➡ 何とか言いなさいよ！ あんた何様なの!? 一体どういうつもり!? 彩香さん やめてください！ お金が目的？先生を週刊誌に 売って どうしようっていうのよ!? 落ち着いてください｡ 一体どうしたんですか？ この女の言っている事は 全部 嘘よ！ ♬～ この写真だって 合成じゃない！ どうして そう言い切れるんですか？ 先生が こんな人目につく場所で➡ 堂々と女とくっついて 歩くわけないでしょ!? ２人は結婚するつもりだった わけですから➡ 隠す必要 ないじゃありませんか？ あんたバカ？そうだとしても➡ こんなところを見られたら 信用 ガタ落ちじゃない｡ 先生は こんな軽率な行動を する人じゃない！ あなたに何がわかるの？ はぁ？ (雪乃) どこの誰だか知らないけど➡ 何で修二郎さんの事 知った気になってるの？ なに…？ 場末のホステスは 引っ込んでろって言ってんの｡ 続けましょう｡修二郎さんとの 関係を全てお話しします｡ 待ちなさいよ！ こんな女が… 先生の愛人なわけがない！ (雪乃)あんた 何なのよ？ しつこいなぁ もう…➡ 早く帰れよ｡ あ～ わかった もしかしてあなた 先生に捨てられた元愛人？ ふざけんな！ 先生の知名度に便乗しようと 湧いて出やがって｡ お前なんかに➡ あたしと先生の関係を ブチ壊されて たまるかよ！➡ 簡単に愛人名乗りやがって！ 理想の愛人 演じる事が どれだけ大変だと思ってんの？ 先生は➡ あたしだけを愛してるって 言ってた｡ あたしが…➡ あたしが 塚本先生の本物の愛人なんだよ！ 彩香さん… 今 なんとおっしゃいました？ 今 自分が➡ 塚本先生の愛人だと おっしゃったんですよね？ だったら何なの？ 芦原｡ (芦原)はい!? 録音できてる？ え…あ はい➡ で ででで…できてます！ あなたは認めたんです➡ 自分が 塚本修二郎の 愛人だということを｡ はぁ？ 何？あんた達 あたしをハメたの？ はい｡ 『週刊星流』に独占告白を 掲載させていただきます｡ はぁ…ずいぶん汚い事するのね｡ でも 私が認めなければ そんな記事 成立しないでしょ？ それに…｡ ひぃ！あぁ…➡ あぁ～…｡ (彩香)これで証拠もなくなった｡ 確かに 証拠はなくなりましたが➡ ここに証人がいます｡ (彩香)証人？この女が？ あんたが仕込んで連れてきた そのへんの女でしょ？ 何か 勘違いされてるようですが➡ 私は あなたの独占告白を 掲載するつもりはありません｡ え？ 告白するのは…｡ 告白するのは…｡ ♬～ (芦原)つ…妻!? あんただったのね｡ 渚さんは 以前から➡ 塚本先生に 女の影がある事に 気がついていました｡ (葵) ｟ﾏﾏ～！スマホがなってるよ～｠ ｟は～い｠ (携帯の着信音) ｟もしもし？｠ ｟あなたの旦那さんには 愛人がいます➡ 一緒に 愛人を誘い出しませんか？｠ これで あなたが愛人であるという 裏が取れた｡ 理想の愛人演じるのが 大変だった？ はぁ？ 何 寝ぼけたこと言ってんだよ！ 離して！ 浮気の原因は あんたでしょ？ あんたの その貧相な体じゃ 物足りなかったんだよ！ 愛人のくせに 開き直ってんじゃねぇよ！➡ どうせ その体だって作りもんだろ？➡ 不自然な胸しやがって！ 政略結婚で 真剣に愛された事もないくせに➡ 偉そうな事 言ってんな！ この 空気妻が！ 男に股開いて 金をむさぼる寄生虫に➡ 何言われても 響かねぇって！ この 寄生虫アニサキス女！ オヤジの相手してやってんだ 課金して当然だろ！ あんたの旦那も ほんとチョロかった！ 政治資金に手ぇつけ 散々 貢いでくれたわ！ あんな下衆男 どうだっていい！ だけど あんただけは 絶対に許さない！ もう…これ どうしましょう➡ 沙織さん…｡ ふっ…ふふふ…｡ ははは…あはっ あははは｡ あははは…ははは！ 何がおかしいのよ？ はぁ 見るに堪えないですね｡ ありがとうございました｡ ♬～ (芦原)お邪魔しました｡ あぁ 待ってくださ～い｡ 沙織さん すごすぎますって！ あんな方法で 愛人だって言わせるなんて…➡ これで 来週号も めっちゃ売れますね！絶対！ 来週号には載せない｡ え？ 塚本が頂点に立つ その時に➡ 地獄の底まで叩き落とす｡ ♬～ ♬～ うわ！うわ！ねえ ヤバイ ヤバイ 見て 『星流』の動画サイト｡ (野田) 『週刊星流』によって報道された 塚本議員の愛人スキャンダル｡➡ 組閣に合わせての 大スクｰプとなったわけですが➡ 塚本議員にとって 最悪のタイミングでしたね｡➡ 大臣に任命された 直後でしたから｡➡ 妻と愛人 両方の証言がありますので➡ もはや 言い訳のしようもない｡➡ とにかく 逃げ回っていないで 一刻も早く…｡ 終わりだ…➡ 終わりだ 終わりだ 終わりだ｡ 何でこんな事に…➡ くそっ くそくそ…➡ くそっ！ ≪塚本先生！いるなら 話 聞かせてくださいよ～≫ ≪逃げても無駄ですよ≫ ≪出てきてください 先生！≫ 村岡！頼む！ ≪聞かせてくださいよ≫ ≪先生！≫ ≪あっ 来た！≫ ≪おい カメラ カメラ カメラ！≫ ≪カメラまわして≫ ≪先生！≫ ≪先生！どうなってるんですか 先生 出てきてください≫ ≪塚本出てきたらしいぞ 急げ急げ！≫ ≪表だって≫ ≪やっぱ 正面か！≫ はぁ…はぁ…はっ！ はぁ…はぁ…｡ 何だ…何だ お前は！ 『週刊星流』の今宮です 少し お話伺えますか？ 『星流』？『星流』だと!? あなたが愛人に政治資金を➡ 貢いでいたという証拠を 手に入れました｡ 事実確認させてください｡ ふざけるな！ お前ら絶対 許さんぞ！ 俺の人生めちゃくちゃに してくれやがって！ 私はただ 真実を暴いただけ｡ あなた達のように➡ ありもしない スキャンダルをねつ造し➡ 無実の人間を陥れたわけじゃない｡ ああ？ あの人は…｡ あなたを信頼してた｡ なのに あなたは➡ 裏切り 利用した｡ そして 彼は…｡ 何だ？何の事言ってる？ こんなもんでは終わらせない！ 膿を全て吐き尽くすまで➡ 私は あなたを追い続ける！ あなたはこれから メディアのうねりに飲み込まれる｡ 知人や友人たちは 手の平を返した様に➡ あなたを糾弾し！嘲笑し！ 憐れみの目で見下す！ 何を言っても誰も信じない！ あなたの言葉は 誰にも届かない｡ 待っているのは 永遠の孤独｡ その後は ただ…燃え尽きるのみ｡ お前は一体…｡ まさか…あいつの!? 骨の髄まで 炎上しなさい｡ ≪塚本だ～！≫ ≪いたぞ！あそこだ！≫ あっ あっ！ ≪こっち こっち！…こっち！≫ ≪先生！…先生！≫ ≪報道は！ 報道は事実なんですか？≫ ≪一言！一言お願いします≫ ≪先生！…先生！≫ (塚本) やめてくれ！…やめてくれ｡ (塚本)やめてくれ！ (高槻)うまくいったみたいですね｡ ありがとう｡ 僕も 先生の無念を 晴らしたいですから｡ ｟事実を確認したうえで 記者会見を開きますんで｠ (高槻)例のＵＳＢですが➡ 差出人はわかりませんでした｡ (施設長)お手紙 来てますよ｡ (高槻)まだ 気持ちは 変わらないんですか？ 当然よ｡ 圭吾は…｡ 偽りのスキャンダルに殺された｡ だから私も➡ スキャンダルで復讐する｡ 次は…｡ (城田)どうも 天満さん｡ (城田) ずいぶん 前のやつ読んでますね｡ 昔 俺が書いた記事だ｡ １５分遅刻だぞ｡ すいません 道 混んでて｡ (店員)いらっしゃいませ｡ (店員)ご注文をお伺い…｡ ホットミルク｡ (店員)かしこまりました｡ で 何でしょうか？ 今回のご用件は｡ この女を調べてくれ｡ 誰ですか？ ３か月前に うちに入ってきたんだが➡ 詳細が全くつかめない｡ この履歴書の内容も 全て嘘だ｡ 彼女の本当の狙いが知りたい｡ ♬～ (圭吾)でも 心配いらない｡➡ 何も怖くないんだ｡➡ はぁ～｡➡ これで苦しみから解放される｡ ♬～ ♬～ (PC)(圭吾)全てが終わったら…｡➡ 君もおいで｡➡ 先に行って 待ってるから｡ ♬～ (PC)(激しい衝突音) (PC)≪キャー！≫ ♬～ あっ…ああっ…｡ (沙織が泣き叫ぶ声)

金田一少年の事件簿N＃03

1 ♬～ ♬～ イヤ～‼ (金田一 一) ≪美雪… 俺が死んだら 後を頼む≫ (七瀬美雪) もう 大げさだなぁ たかが 胃の検査でしょ｡ ｢たかが｣って… ちょっとは 心配しろよ｡ うっ！ 痛った～ あぁ 死ぬ… 今 死ぬ｡ そんな体調悪いなら アルバイトは 無理かな｡ アルバイト？ この病院で募集してるの｡ 私と はじめちゃんで 行けないかなって｡ (真壁) なになに？ 部長!? (真壁) 伊豆の孤島 不知火島 研修医 夏期合宿➡ 泊まり込みのアルバイト ２名募集｡ 泊まり込み？ ２名…？ (真壁) 仕方ない｡ 俺が代わりに行ってやるか このバイト｡ 部長が？ ダメ！ それはダメ｡ (真壁) いや だって お前 胃が…｡ 胃の検査… 絶対 突破してみせる｡ 名探偵といわれた➡ じっちゃんの名にかけて｡ じっちゃん関係ないだろ｡ (院内ｱﾅｳﾝｽ) 剣持さん 剣持 勇さん｡ 剣持？ (剣持) もし 俺が死んだら…➡ 後 頼むわな｡ (畠山) 縁起でもないこと 言わないでくださいよ 剣持さん｡ (真壁) 剣持さん｡ どうして ここに？ おぉ 実は 剣持さんが 再検査することになってな｡ 直腸に… ガンが｡ ガンじゃ ない！ 影だ｡ お前達こそ何で？ はじめちゃんの胃の検査なんです｡ お互い頑張ろうな おっさん！ うん｡ おぉ！ 待って…｡ おっ？ 先生！ (看護師) 大丈夫ですよ 落ち着いてください｡ (川崎) うわ～➡ これ ただの食べ過ぎだな｡ 見てみるかい？ これ 内視鏡っつってね➡ 細いワイヤを束ねて作った コードだ｡ このレンズをのぞくと 先のほうの映像が➡ 生で見えるんだよ｡ えっ？ 何？ いや～ 危ないとこだったぜ～｡ ホント恥ずかしい ただの食べ過ぎなんて｡ なぁ 精算って どこだっけ？ １階 お金は？ ちょっと待って…｡ おぉ！ もう はじめちゃん！ もう…｡ お邪魔しま～す｡ ｢暗い穴｣？ はじめちゃん 何してんの？ 早く出て｡ おう｡ (佐木竜二) 回りました！ 全国の皆さん こんにちは！ 俺は今 人生を変える旅に出ています｡ そう この夏 本物の男に俺はなる！ (ドアが開く音) 何になるって？ 美雪!? 何になるの？ 何でもないです｡ 何でもないです｡ こちらがアルバイト主任の 新谷百合さん｡ 何すればいいか いろいろ教えてくれるって｡ 新谷です よろしくお願いします｡ よろしくお願いします｡ あれ？ バイト２人だって 言ってなかったっけ？ あっ 僕は記録と フォローの係なんで｡ 何のフォロー？ いや だから 金田一先輩と➡ 美雪先輩の…｡ あ～！ あ～！ ピンクのイルカだ！ えっ!? どこどこ…｡ ほらほら…｡ あ～ もう あっ あっ…｡ 見間違いかな？ いや それにしても いい天気だなぁ｡ ねぇ～！ あっ でも 予報では 台風が近づいてるって言ってた｡ えっ ホントですか？ うん｡ お前は余計なこと 言わなくていいんだよ｡ この３日間 しっかり思い出を記録｡ あとは 俺達がうまく行くように 援護射撃 よろしく！ 任せてください 先輩！ ジャ～ン！ リップクリームに すっぽんドリンク？ これは…｡ 勝負パンツ｡ 本物の男になるための秘密兵器｡ 美雪先輩と そこまで考えてるんですか？ もちのろん！ でも こんなの大量に飲んだら また お腹こわしますよ｡ うるせぇよ 俺は この旅行に全てを懸けてんの｡ 何 ２人でコソコソ話してんの？ 何でもないで～す！ あれ？ 君 確か…｡ あっ 病院の先生！ 何 バイトに応募したのか｡ 先生は何で ここに？ 私は 研修合宿の講師も 兼任しててね｡ あっ 島が見えて来たよ！ うん 不知火島｡ (川崎) あ～！ (椎名) 痛っててて…｡ 大丈夫ですか？ 手伝いますよ｡ (椎名) あぁ 大丈夫 大丈夫｡ ったく 相変わらず 挙動不審だな 椎名｡ 俺らのバッグ 落っことしてんじゃねえよ｡ (椎名) ごめん ごめん｡ ねぇ 自分のバッグぐらい 自分で持ったら？ (森村) あぁ 椎名が 気ぃ利かせて 持ってくれてるだけ｡ なっ！ あ… そうです そうです｡ 手伝いますよ 俺 バイトの 金田一っていうんです｡ あぁ 気にしないで こけた俺が悪いんだ｡ いや でも…｡ 僕 もともと そういうｷｬﾗだから｡ お気持ちだけ ありがとう｡ まったく 仲がいいんだか悪いんだか｡ あいつら みんな 不動総合病院に 勤める医者の子供達でね｡ 特に ほら あの赤いシャツ｡ 森村っていうんだけど 理事長の息子なんだよ｡ へぇ～｡ (森村) で 泊まるとこ どっち？ (塚原) ようこそ…➡ 鬼火島へ｡ 研修所の管理人を務めております 塚原です｡ 鬼火島？ ここって 不知火島じゃないんですか？ ご案内いたします｡ ＜悲しみ 後悔 恨み…＞ ＜そんな人の思いが あまりに強い時➡ 怨念となって この世界を漂うという説がある＞ ＜鬼火とは その怨念が 火となって現れる心霊現象＞ ＜そう この不知火島 別名 鬼火島は➡ そんな鬼火が集まる場所として➡ 語り継がれている＞ ♬～ ♬～ ♬～ (新谷) ≪これから２階の各部屋を 掃除してもらいます≫ あなた達は➡ ここから 半分ね｡ はい！ はい｡ (新谷) 掃除道具 ここ｡ うわっ！ (加藤) 危ねぇな バイト｡ はじめちゃん 張り切り過ぎ｡ しっかり掃除しろよ｡ 喜んで！ ｢銀杏｣｡ ｢白樺｣｡ じゃあ 私 こっちだから はじめちゃん そっち｡ ｢ヒャクニチベニ｣？ ｢さるすべり｣って読むの｡ 恥ずかしいから やめて｡ サル？ ヒャ ヒャクって ヒャクだと…｡ う～わっ｡ ここ掃除すんの キッツいなぁ！ (新谷) ここは…｡ おっ！ ここは もう 何年も 使ってない部屋らしいからねぇ｡ えっ 今回の研修で 誰か使うんですか？ この部屋｡ 今回も使わないらしいわよ｡ でも 一応 きちんと掃除しといて｡ ういっす｡ 掃除しといてって言われてもねぇ｡ よし！ 適当に手を抜こう｡ 言うと思った｡ あれ？ 何だ？ このドア｡ あ～ 隣の部屋に直接行けるように なってるんですね｡ 美雪 そっち手伝おうか？ ≪もう そっち 終わったの？≫ あれ？ ≪ちょっと 何してんの？≫ あ～ 無理です｡ このドア 釘で 打ち付けられちゃってます｡ で するんですか？ 掃除｡ 誰も泊まんないなら 明日でいっか！ ねっ｡ 言うと思った｡ [TV](ｱﾅｳﾝｻｰ) 勢力の強い台風９号は 現在 伊豆諸島の南西…｡ これ どんどん運んでね｡ はい！ お水のピッチャーも忘れないで｡ 了解です｡ (森村) 川崎先生 俺 思うんすけど➡ こんな へんぴな島の施設 早く売っちゃって➡ ハワイに研修所 造りましょうよ｡ (川島) お～ いいね それ｡ いや ここ なかなか 買い手がいなくてな｡ (椎名) 誰も買いませんよね こんな へんぴな場所｡ (塚原) 失礼します｡ うわぁ～！ びっくりした｡ (加藤) うっせぇよ ビビり過ぎだろ 椎名｡ お食事の前に➡ 今夜の恒例行事の出欠を 取りたいと思います｡ 恒例行事って何すか？ 聞いたことあるわ 午前０時の鬼火｡ 肝試し大会でしょ？ へぇ～ 面白そうじゃん｡ (森村) あっ 俺 パス｡ 幽霊とか そういうの 信じないたちだから｡ あぁ 俺は参加ね｡ 椎名も参加するだろ？ あぁ いや 俺は…｡ アッハ！ う～わ こいつ マジで怖がってんだけど｡ 夜は 部屋で自習したいから｡ じゃあ 俺もパスで｡ (加藤) はっ？ お前 ノリノリだったくせに 何だよ｡ あ～…｡ じゃあ 代わりに 白石が参加するから なっ｡ じゃあ…｡ 肝試しなんて 絶対ヤダ！ ⦅肝試し 怖かった⦆ ⦅大丈夫か？ 美雪⦆ ⦅俺が そばにいるから⦆ ⦅はじめちゃん…⦆ ⦅美雪⦆ ♬～ 何してんすか？ 先輩｡ この建物は昔➡ 長期入院のための療養所として 使われていました｡ 大丈夫か？ 美雪｡ (塚原) かつて ここで 多くの患者が➡ 生きたいという願い むなしく 亡くなりました｡ そして 今も なお➡ 島中を彼らの怨念が さまよっているのです｡ 怨念？ 何 ビビってんだよ こんなの ただの作り話だろ｡ (塚原) 作り話ではございません｡ その証拠に この島では見えるのです｡ 何が？ 鬼火です｡ 鬼火って 人間の怨念が 火となって現れる➡ 心霊現象のことですよね？ ええ｡ そして 鬼火に取りつかれた者は➡ 死者の世界に連れて行かれる といわれております｡ で？ 肝試しで何すんだよ｡ 日付が変わる午前０時に➡ この建物の２階の百日紅の間｡ そのドアの鍵穴を 順番に のぞいてもらいます｡ 鍵穴を？ 何で？ この研修所前の砂浜の先に➡ 礼拝堂がございまして➡ 亡くなった患者達を 追悼しておりました｡ その怨念が 鬼火へと姿を変えて➡ 午前０時に 百日紅の間に やって来る｡ じゃあ 百日紅の間が➡ 何年も使われてなかった 理由って…｡ 鬼火の目撃談が出ているからです｡ (塚原の声) ある夏の晩の午前０時｡ 合宿に来た１人の研修医が➡ 誰もいないはずの その部屋の中で 物音を聞き➡ 妙に思って ドアの鍵穴から中をのぞくと…｡ ⦅うわ～！⦆ (塚原) 間もなく午前０時｡ 肝試しの時間でございます｡ 鍵穴をのぞく順番を 決めていただきましょう｡ (加藤) ＯＫ｡ じゃあ ジャンケンな｡ ほら｡ ジャンケン ポン｡ ウッソ～｡ (加藤) ほら｡ うっ ちょっ！ 早く行けよ｡ びっくりした～｡ ♬～ ♬～ (塚原) そのドアの向こうが➡ 鬼火の玄関➡ 百日紅の間です｡ 美雪 代わる？ イヤよ！ うわ～｡ え～い もう はい！ 大体ね 鬼火なんか いるわけないっつ～の｡ ん？ 真っ暗ですけど｡ もうすぐ 午前０時です｡ ５･４･３…｡ (加藤) おい｡ (塚原) ２･１…｡ えっ？ ♬～ ♬～ うわっ！ うわ～‼ 何!? 何が見えたの？ 出… 出た！ (加藤) はっ？ 何がだよ！ どけよ！ うわっ！ 死んでる｡ 森村が首吊ってる！ はぁ!? 何 ばかなこと言ってんのよ！ (大きな物音) (何かが落ちたような音) 何？ 今の音｡ (新谷) 部屋の中に誰かいる？ (ドアが開く音) あぁ～！ (椎名) えっ ちょっと➡ 何？ 何 何？ あ～っ！ 一体 何の騒ぎですか？ この部屋の中で 森村さんが死んでた｡ いや 殺されてた｡ えっ!? 何 くだらないことを｡ ウソじゃ ない！ 俺も見たんだ｡ 塚原さん この部屋の鍵は？ 食堂に｡ すいません｡ ♬～ ♬～ (新谷) 持って来ました｡ ♬～ 消えた？ 何で？ (川崎) 何もないじゃないか！ (椎名) もう びっくりした｡ (加藤) そんなはずない 確かに見たんだよ｡ もう あなた達 ウソついたでしょ～？ ったく もう～｡ こんな遅くに くだらないことで 騒いでんじゃないよ！ おい みんな！ もう 部屋に戻りなさい｡ 幻？ もう 先輩 魂胆 見え見えですよ｡ はっ？ わざと 美雪先輩を 怖がらせようとしたんでしょ？ えっ？ 何それ｡ いや 違うって｡ 信じらんない！ 本気で怖かったんだから｡ はじめちゃんのバカ！ いや 違うって 美雪！ あ～あ…｡ 美雪！ ≪もう 顔も見たくない≫ (鍵を閉める音) キッツゥ～｡ ≪｢木通｣！≫ えっ？ 何？ ≪バカ≫ [TV](ｱﾅｳﾝｻｰ) 勢力の強い台風９号は 進路を北に変え➡ 現在 伊豆諸島の西側を 勢力を弱めつつ進んでいます｡ (新谷) は～い 卵も じゃあ お願いしま～す｡ 美雪 昨日のことなんだけどさ｡ はぁ～｡ こんなとこまで 撮ってんじゃねえよ！ こ… これも思い出ですから｡ 肩で笑うのやめろ｡ (強風の音) いや～ 今日 風 強いっすね｡ (川崎) ああ 今日は サイクリングの予定だったけど➡ この分じゃ 中止だな｡ (川島) はい｡ おい 森村は？ あぁ まだ 部屋で寝てるんじゃないかな？ おい バイト｡ はい｡ ちょっと 森村 呼んで来い｡ ｢紅葉｣｡ ｢ばすいもく｣｡ 馬 酔っちゃダメだよね フラフラしちゃうから｡ 森村さん！ 朝ごはんですよ！ あれ？ 森村が部屋にいない？ ええ｡ (新谷) とにかく みんなで 手分けして捜しましょう｡ (白石) え～ この風の中？ (加藤) めんどくせぇな～｡ バイト君達 捜して来てくんない？ はい｡ あぁ 私も行く｡ (川崎) 私達は こっちを｡ (新谷) 森村君！ 森村さん！ 森村～！ 森村さ～ん！ 森村さん！ (新谷) 森村君！ 森村さん！ (川崎) いたか？ いえ どこにも｡ ったく 森村の奴 どこ行ったんだ？ あっ｡ ねぇ あの赤いの｡ 森村！ 首を吊った痕だ｡ あの部屋は？ 百日紅の間｡ ♬～ 森村が… 何で？ (川崎) 首に索状痕があった｡ 多分 自殺だろう｡ (加藤) そんなわけない｡ 部屋の中で首吊ってた人間が どうして 外で見つかるんだよ｡ おかしいだろ！ しかしな…｡ (加藤) そうだ やっぱり 昨日➡ 鍵穴から見た光景は 本物だったんだよ｡ 誰かが森村を吊り上げてた｡ そいつが あの部屋から 死体を投げ落とした｡ そうだろ!? (白石) 誰かって誰？ 顔は見たの？ いや 後ろ向きだったから 顔は見てない｡ でも もう１人 確かに あの部屋に誰かいた！ なぁ バイト お前も見たよな？ でも…｡ でも？ 見たんだろ？ 何だ はっきりしろよ！ 落ち着いてください｡ はじめちゃんは こう見えて 頼りになるんです｡ このビビり君が？ はじめちゃんは あの金田一耕助の孫で➡ これまでに いろんな難事件を 解決して来たんです｡ じゃあ 聞かせてみろよ ビビり君の考え｡ じゃあ まず 俺と加藤さんが 見た光景について➡ もう一度 確認しましょう｡ 午前０時 俺は 百日紅の間の鍵穴をのぞいて➡ 窓の外を飛んでいる 鬼火らしき光と➡ 森村さんの首吊り死体が➡ 入院着を着た何者かによって 引き上げられてるのを見た｡ その後 鍵を開けて この部屋に踏み込んだ時には➡ 鬼火は おろか 森村さんの死体も➡ 入院着を着た 何者かの姿もなかった｡ つまり 俺と加藤さんが 鍵穴をのぞいた後 ２～３分で➡ 死体も人も➡ 霧みたいに消えたってことになる｡ 君達が見たって光景が本物ならね｡ 塚原さん｡ この島には 他の住人は いるんですか？ 今 島にいるのは➡ ここにいる私達だけです｡ もう１つ 食堂にある鍵は ずっと置きっぱっすか？ はい 皆さんに お渡しした鍵とは別に➡ スペアキーが 常時 置いてあります｡ そうですか｡ だとすると 俺達が鍵穴をのぞく前なら➡ 誰でも 百日紅の間に 入れたんじゃないかな｡ あの… 亡くなった森村君以外で➡ 肝試しに 参加していなかったのは➡ 川崎先生と川島君と➡ それから 椎名君ですよね？ ちょっと待てよ｡ 森村を吊るしたのは 俺達の誰かだって言いたいのか？ 肝試しに参加しなかった奴は 森村を殺したって言いたいのか!? 可能性を言っただけよ｡ この島には 私達しかいないんだから｡ この女…｡ (川崎) 川島 落ち着け！ 椎名… まさか お前の仕業なんじゃないか？ えっ!? お前の部屋➡ 百日紅の間の隣だろ！ (加藤) あれが百日紅の間 森村が吊られてた部屋の窓｡ お前の部屋の窓は あっち｡ 屋根伝いに行けない距離じゃ ないよな？ 何で僕が そんなことを…｡ (加藤) とぼけんなよ！ てめぇ 肝試しが怖いからとか ウソついて➡ 隣から何かしてたんだろ!? いや…➡ 椎名さんには無理なんだ｡ これを見てください｡ 窓際には ほこりがたまってる｡ 俺が昨日 掃除をサボったから よく覚えてるんです｡ だから 誰かが ここから 侵入した可能性は ないと思う｡ (加藤) じゃあ このドアは どうなんだよ｡ 椎名の部屋は この向こうだよ こっから出入りできんだろ｡ それも ないよ｡ はっ？ 椎名さんの部屋と 百日紅の間をつなぐこのドアは➡ 釘で打ち付けられてる｡ あの短い間で 椎名さんが このドアを蹴破って➡ 出入りすることなんて できっこないよ｡ ってことは…｡ ここは 完全な密室だったんだ｡ じゃあ 森村を吊るしてたのは…｡ (塚原) 鬼火だよ｡ あの青年も➡ 鬼火によって どこかに連れて行かれた｡ ちょっと待ってよ 鬼火だか何だか知んないけど➡ そんなもんで 人が死ぬわけないでしょ｡ 何も分かっていない！ (塚原の声) この島の鬼火は➡ お前達 医者を 心の底から憎み 恨み➡ その怨念が お前達に 天罰を下しているのだ｡ 医者を恨む人々の怨念がね｡ とにかく こうなってしまった以上 研修合宿は中止だ｡ すぐに東京に帰ろう｡ それは無理です｡ えっ？ この台風では 迎えの船は来ません｡ だったら 警察を呼んでください ヘリとか｡ 先ほど 通報しましたが 台風が落ち着くまでは➡ 船もヘリも出せないと｡ えっ！ じゃあ 僕達 この島に 閉じ込められたってことですか!? 残念ながら｡ すみません 僕 ちょっと 気分悪いんで➡ 部屋で休ませてください｡ (川島) 怨念…｡ まさか… あいつが この島に？ バカな！ 大体 あいつは まだ 死んでなんか…｡ あれ？ ねぇ 見て！ 雪が降ってる｡ 真夏に雪なんて降るわけ…｡ 何で!? わぁ～｡ ウエっ｡ 何だ？ これ｡ これ 雪じゃなくて砂ですよ！ えっ？ 何で砂が空から降って来るの？ 砂の雪？ (川崎の声) 竜巻の影響だよ｡ 竜巻？ ああ｡ 台風が来ると 島の近くの海上で 竜巻が発生し➡ 海岸の砂を巻き上げる｡ この島じゃ 珍しくない光景だよ｡ そろそろ 昼飯の時間だ｡ うん｡ こんな時でも 人間 腹は へる｡ 準備 頼むね｡ はい すぐ支度します｡ おい！ 椎名がいない｡ 消えた｡ 私達は もう一度 研修所の中を捜してみる｡ はい｡ やんでる｡ あっ ねぇねぇ これ見て！ これ もしかして 椎名さんの足跡じゃ…｡ 行ってみよう｡ ♬～ はじめちゃん これって…｡ この礼拝堂って 昔➡ 死んだ人達を追悼したって…｡ あ… 言ってましたね｡ あっ！ ♬～ はじめちゃん 何する気？ 決まってんだろ！ 椎名さんを下ろさないと｡ 無理ですよ！ でも このまま 吊るしたままって わけにはいかないだろ！ うわっ！ 先輩！ はじめちゃん！ 痛ってぇ｡ 届きっこないですよ！ 佐木➡ みんなを ここに呼んで来てくれ｡ はい｡ 椎名…｡ (川崎) しかし➡ 何で あんな高い所に｡ 自分で よじ登って 首を吊ったっていうのか？ いや 自力で よじ登るのは無理だ｡ さっき 俺もやってみた｡ 昨日と同じだ｡ 彼も この島の鬼火に取りつかれ➡ 死者の世界に連れて行かれた｡ なぜ お前達は 何もしないで突っ立ってる？ 死体が吊るされているのを 目の当たりにしながら｡ それでも医者か？ 聞こえるぞ｡ 恨めしい鬼火達の声が｡ お前らのようなクズどもは➡ この世から消えてしまえと 叫んでる｡ ハハハ｡ 次に連れて行かれるのは 誰だろうなぁ？ 海老沢…？ やっぱり この島に来てるのか？ それ以外 考えられない｡ ざけんな！ 俺は悪くないぞ！ 海老沢って誰だよ？ 海老沢邦明だ｡ 海老沢邦明？ 彼らと同じ うちの研修医だった若者だよ｡ ｢だった｣？ 海老沢は…➡ 理由は詳しく知らんが➡ ３か月前に 首を吊って自殺を図って➡ 意識不明のまま 今 不動総合病院に入院してる｡ あっ｡ ずっと おかしいと思ってたんだ｡ 肝試しで鍵穴をのぞいた時➡ 森村を吊るしてた奴が着てたのは うちの入院着だった｡ あいつが…！ 海老沢の怨念が この島に来てるんだ｡ だから 森村も椎名も あいつの怨念に取りつかれて➡ 同じように首を吊って 死んで行ったんだ！ 殺されてたまるか｡ 俺は帰る｡ (塚原) 逃げることなど できはしない｡ 台風のせいで まだ 海は荒れてるからな｡ ハァ ハァ… あ～～！ おい 待てよ！ やめろ 加藤さん！ 加藤さん！ はじめちゃん！ ♬～ ♬～ 大丈夫!? おい しっかりしろ‼ 医者だろ｡ 何で 命 粗末にすんだよ｡ (剣持) 所轄から大体のことは聞いたよ｡ 死者が２人出たんだって？ ああ｡ そういえば おっさん 検査のほうは どうだったの？ おぉ… 何とかな｡ 大丈夫なの？ それが…➡ 痔だった｡ フッ 痔かよ｡ ただの痔じゃねえぞ お前 深刻な痔だよ｡ どうでもいいわ！ そんなこと｡ 自分で言ったんでしょ？ 調べてほしいことって何だよ｡ 海老沢邦明って人について 調べてほしいんだ｡ 海老沢邦明？ 今 不動総合病院に 入院している人で➡ 今回の事件に 関係があるみたいなんだ｡ 分かった｡ おい 金田一 鬼火だって？ 鬼火が人を殺したって ホントか？ 部長？ いや そうと決まったわけじゃ…｡ じゃ 謎は解けたのか？ 真相は？ いや それは まだ｡ チクショ～！ なぜ 俺を連れてかないんだ！ 台風が収まったら すぐ行くから｡ 気を付けろよ お前｡ 分かってる｡ 死んだりするなよ｡ 大丈夫だよ｡ じゃあな おっさん｡ はじめちゃん どこ行くの？ 俺 やっぱり 椎名さんを あの梁から下ろしてやりたいんだ｡ 新谷さん ハシゴありますか？ ハシゴ？ あんなとこに吊るされたままじゃ 椎名さんが かわいそ過ぎる｡ ハシゴがあれば 何とか下ろせないかって｡ なるほど｡ それが なくなってるの｡ なくなった？ うん 昨日 島に着いて すぐ 庭の手入れで使って➡ ここにね…｡ ここに ちゃんと 立て掛けといたんだけど➡ いつの間にか なくなってるの｡ それって どれくらいの長さなんすか？ いや～ 伸ばしたら 結構 長いわよ｡ ４ｍぐらいかな｡ ハシゴがなくなった…｡ 誰がそんなことを？ 犯人が持ち去ったってこと？ 椎名さんを吊り上げるために 必要だったのか？ 確かに ハシゴがあれば➡ 首吊りの状態を つくり上げることはできる｡ 確かにそうだね｡ これから まだ その ハシゴを使うつもりなのか？ あっ｡ 森村さんの時も ４ｍのハシゴを使えば➡ あの百日紅の間の窓から 脱出は可能だった｡ でも あの部屋の窓は…｡ ダメか～｡ あ～ もう！ あの時…｡ ⦅確かに見たんだ⦆ はじめちゃん どこ行くのよ！ おい 佐木！ あっ びっくりした～｡ 昨日のビデオ見せてくれ｡ はい｡ 先輩｡ [TV](加藤) 死んでる 森村が首吊ってる！ [TV](新谷) はぁ!? 何 ばかなこと言ってんのよ！ [TV](大きな物音) [TV](何かが落ちたような音) この音 何の音だ？ 何か 引きずってるのかな？ ２つ目は 何か落ちた音っぽいけど｡ 金属と何かが こすれる感じの音だ｡ その後は 何かにぶつかって落ちた？ (川崎) 何もないじゃないか！ [TV] (椎名) もう びっくりした｡ [TV](加藤) そんなはずない 確かに見たんだよ｡ ここだ！ ゴミ箱の位置が変わってる｡ ゴミ箱？ もともと あの部屋のゴミ箱は…｡ ⦅う～わっ⦆ (金田一の声) 机のそばに置いてあったんだ｡ でも 見ろ 肝試しの時は➡ 内扉の前に変わってる｡ ホントだ 移動してる｡ 何でゴミ箱の位置が変わってる？ 何のために？ あれ？ どうかしましたか？ そういえば 研修医の白石さん 映ってなくない？ えっ？ 何で いないんだろ？ 何？ 話って｡ 肝試しの時➡ いつの間にか 白石さん いなくなってましたよね？ あの時 撮ったビデオのどこにも➡ 白石さんが映ってませんでした｡ みんなに黙って どこに行ってたんですか？ お願いです 教えてください｡ 見たのよ｡ 見た？ 何を？ 肝試しの夜 ハシゴを運んでる人影が➡ あの時 窓から見えたの｡ で 誰だか確かめようと思って 見に行ったの｡ 確かめたんですか？ 誰が運んでたんです？ いや… 夜だったし はっきりとは｡ ホントですか？ ホントは はっきり見たんじゃ？ いろいろ事情があるの｡ 事情？ ごめんね じゃあ｡ ちょっと…｡ 誰かがハシゴを？ まさか また鬼火の霊？ いや 違うよ｡ 白石さんが 誰だか言えないってことは➡ その誰かは白石さんが知ってる人｡ つまり この研修所に残ってる 誰かってことなんじゃないかな｡ あっ そっか… じゃあ その人が犯人？ いや そうとも言い切れない｡ ハシゴを使えば 椎名さん殺しの説明はつくけど…｡ 森村さんの密室殺人は➡ ハシゴを使ったとしても 絶対に不可能なんだ｡ なるほど… また振り出しですね｡ 振り出しじゃないよ｡ 誰かが森村さん殺しの直前 ハシゴを持ち去った｡ やっぱり 何かある｡ 誰かが鬼火島の伝説を利用して➡ 森村さんと椎名さんを殺害した｡ この合宿に参加してる誰か｡ そいつが真犯人だ｡ この謎 俺が必ず解き明かしてみせる｡ 名探偵といわれた…｡ じっちゃんの名にかけて｡

あさが来た＃096

1 (ｶﾂﾉ)女将修業の決着｡ (環)夏美さんの勝ちね｡ 夏美を 若女将にするつもりなのかよ？ 私は まだ 負けた訳じゃないわ｡ こっち いらっしゃい！ (久則)あ～ 環！ ごめんなさい！ (環)あなたは必ず この加賀美屋の 女将になれる人です｡ できなければ 加賀美屋に未来はありません｡ 私も 加賀美屋が大好きだから｡ <五代の遺言により➡ 五代の葬儀は 大阪で行われました｡➡ 葬儀には 4,300人以上の人々が 参列しました> (美和)あのお方は うちらが思てたより ずっと➡ お武家様やったんやて思います｡ (あさ)お武家様？ (美和)えらい お商売さんやと 思てましたけど➡ どこか 根っこの部分は お侍さんみたいな気がしてなぁ｡ 亡くなりはってから 五代様の書簡を調べてたら➡ ほとんどが ｢借金の返済は でけへん｣いう 弁明書やったて｡ へ!? 五代様が… 借金？ そないなはず あらしまへん！ あない大きい会社 ようけ持ってはって➡ 働いてばっかり いてはったのに…！ 会社は ようけ育てはったけど➡ ご自分は 若いお人の面倒ばっかり見て➡ 薩摩出身のお役人さんにも えらい 気前よう➡ お金 貸してはったみたいで｡ 残ったのは➡ 負債だけやったそうだす｡ そんな…｡ 大久保様かて そうだす｡ 自分の蓄え増やすような事 いっこも考えんと➡ 身ぃ削って お国のために働いて…｡ 何や みんな 死に場所 探してはるみたいに思われてなぁ｡ けど 今頃２人で ようやっと ほっとして➡ 今の日本に文句でも言いながら お酒 飲んだはるんやないやろか｡ ほんま そうかも分からしまへんなぁ｡ ♬｢朝の空を見上げて｣ ♬｢今日という一日が｣ ♬｢笑顔でいられるように｣ ♬｢そっと お願いした｣ ♬｢時には雨も降って｣ ♬｢涙も溢れるけど｣ ♬｢思い通りにならない日は｣ ♬｢明日 頑張ろう｣ ♬｢ずっと見てる夢は｣ ♬｢私が もう一人いて｣ ♬｢やりたいこと 好きなように｣ ♬｢自由にできる夢｣ ♬｢人生は紙飛行機｣ ♬｢願い乗せて飛んで行くよ｣ ♬｢風の中を力の限り｣ ♬｢さあ 心のままに｣ (新次郎)今日の空も➡ 製藍工場の煙と 造幣局の煙が並んで上がって➡ そら ええ眺めやったで｡ そうだすか｡ 大阪の空も 五代様の事 名残惜しい思てますのやろなぁ｡ ずっと前な まだ 千代が おなかにいてる頃➡ 五代様が言うてはったんだす｡ ｢どないに働いても 人は みんな いずれ死んでしまうし➡ お金は 墓場には 持っていかれへん｡➡ それよりも問題は 後世に何を残せるかだけや｣て｡ うちらも考えなあきまへんなぁ｡ 加野屋のためだけやのうて➡ 大阪のため 未来の日本のために 何を残せるかて｡ せやなぁ｡ (雁助)奥さん よろしおますか？ へぇ どないしましたんや？ 実は また来たんだすわ｡ 月曜日のへぇさんが｡ へぇ… え？ まただすか？ 月曜日のへぇさんて… ああ いつも月曜日に来ては➡ ｢へぇ｣しか話ししはれへんいう あの男の人かいな？ そうだす｡ その へぇさんだす｡ (雁助)何か 話 したそうに してはるくせに➡ 今日も何にも 話 しはりまへんさかい➡ わて こっちから根掘り葉掘り 用件 聞いてみましたんや｡ そしたら…｡ そしたら？ どうも この加野屋で働きたいて そない思てはるみたいなんだすわ｡ へ？ どない見ても➡ 丁稚いうには無理のある おっさんだすがな｡ 分かりました｡ うちが話 聞いてみまひょ｡ こんにちは｡ うちで働きたいいうのは ほんまだすやろか？ (山崎)へぇ｡ 何でだす？ 何で うちなんだす？ へぇ｡ 何で 両替屋で働きたい 思いはったんだすか？ あ… それとも 炭坑だすやろか？ へぇ｡ 今まで どないなとこで 働いてきはったんだす？ へぇ｡ ご出身は？ へぇ｡ ご家族は？ へぇ｡ お年は？ へぇ｡ あかん！ 何で｢へぇ｣しか 言わはれへんのだす？ 失礼だすけど うちは 白黒はっきりせぇへんお方が➡ 一番 苦手なんだす！ まあまあ… 落ち着きなはれ｡ それに両替屋は いつの世かて信用第一だす｡ 身元も はっきり分かれへんような お方 雇える訳もございまへん！ へぇ！ 失礼しました！ ん？ 私 元は大蔵省 会計検査院におりました｡ 山崎平十郎と申します｡ こら びっくりや｡ ほんまだすわ｡ 今 大蔵省 言わはりましたなぁ！ いいや｡ わてが びっくりしたんは お名前だす｡ 平十郎て…｡ (笑い声) ほんまに へぇさんだしたがな！ 何 言うてはりますのや｡ 会計検査院いうたら➡ 国のお金の使い方 監視するとこだすわなぁ｡ 何で そないなお方が…？ へぇ｡ 私 長年 政府で働いてきて 常々➡ この国の経済を 立て直すためには➡ 民間の銀行が しっかりせなあかん そう思てまいりました｡ それで この２年間 いろんな店を回ってきましたが➡ ろくな銀行は おまへんでした｡ 何や へぇさん よう しゃべらはりますがな｡ へぇ｡ そやけど この店だけは➡ ほかの店には ないもんを感じまして｡ ほかの店には ないもん？ 頼みます｡ 私を雇うて下さい！ ﾄﾞｲﾂに留学し 銀行の勉強もしてまいりました｡ きっと この店が銀行になるために 力を貸せるはずです｡ よろしゅう頼みます｡ 分かりました｡ へ？ よろしいのか？ あさ｡ へぇ｡ 榮三郎さんも うちも➡ ほんまの銀行を知ってはる お方の知識を➡ 喉から手が出るほど 求めてましたんや！ おおっ｡ こちらこそ よろしゅう お願い致します！ へぇ｡ <こうして 平十郎が 雇われる事となりました> ほんまに ええのやろか？ 何や 怪しおますなぁ｡ へぇ｡ <そして 年が明け…> へえ～ これ ええなぁ｡ <千代は 数えで10歳の 立派な娘に育ちました｡➡ 一見 あさに よく似ているように見えますが…> はれ？ ２人で 何 見たはるんだすか？ (さち)へぇ これ 鹿鳴館いうのの絵だす｡➡ 旦那様が 神田屋さんに 東京 行きはった時の➡ お土産や言うて もらいはったそうで｡ へえ～ これが鹿鳴館だすか｡ 政府が 日本も立派になったいうのを➡ 異国に示すために 造りはったてなぁ｡ これ みんな 何してはるの？ こらな 踊ってはるのやて｡ 何や 華族や ええとこの おなごはんが集まって➡ 毎日 舞踏会いうの 開いてはるそうで｡ ﾌﾞﾄﾞｳの会？ そら おいしそうだすなぁ｡ 食べて踊って お寺の盆踊り みたいなもんだすやろか？ (うめ)どうだすやろなぁ｡ それにしても ほんま きれいなお着物やわ｡ へぇ｡ おなごの洋装で ﾄﾞﾚｽていうのやて｡ へえ～ ﾄﾞﾚｽなぁ｡ ええなぁ！ そうか？ どこがええのや｡ こない裾 ﾋﾗﾋﾗさして まるで 金魚みたいだすがな｡ しかも 毎日 勉強も働きもせんと 踊ってはるやてなぁ｡ うちには考えられへん世界だす｡ おあさ様｡ そら そうだすやろな｡ 年中 お化粧もせんと➡ 炭坑で引っ詰め髪して働いてはる お母ちゃんに➡ こないな世界 分かるはずありまへんさかい！ おう｡ 嫌や 千代｡ まだ あの事 怒ってますのか？ あの事て 何だす？ まあ そない大した話や あれへんのやけどなぁ｡ 大した話だす！ あああ…｡ (ため息) ほんまに この年頃の子ぉて 扱いにくいなぁ｡ ほんまだすな｡ そやけど あのころの おあさ様の扱いづらさとは➡ また違て おなごらしい 扱いにくさだすけどなぁ｡ ん？ そやけどな お姉さん｡ 洋装は 着物と違て 上と下が こう 分かれてるみたいだす｡ 分かれてる？ へぇ｡ せやさかい 踊りやすいし➡ 何や 体えらい動かしやすいのやて 話も聞きましたけど｡ へえ～ そら よろしなぁ｡ それやったら➡ 炭坑の岡出し姿とも ちょっと 似てるのかも分かれへん｡ 奥さん！ 奥さん 奥さん！ 炭坑 また えらい 儲けてはるらしいなぁ！ 話 聞かしとくんなはれな！ へぇ 後で なんぼでも｡ そやけど 甘い気持ちでできる 商いではございまへんよってに｡ (２人)はぁ…｡ あっ！ こんにちは 山屋さん！ (山屋)ああ 奥さん｡ そら 何だすか？ これな➡ ｲｷﾞﾘｽから仕入れへんか言われてる 安全型自転車いうやつですわ｡ (榮三郎)自転車？ そや 二輪で走るってなぁ｡ [ 回想 ] (才助)｢おいは 今 ｲｷﾞﾘｽに来ておいもす｡➡ こん町で ﾍﾞﾛｼﾍﾟｰﾄﾞという 二輪車に乗って➡ すごか速さで走る おなごを見ていたら➡ なぜだか ふと すばしっこく走る➡ あなたの事を思い出しもした｡➡ 日本のおなごには 乗りこなせぬと 誰もが言っておいもす｣｡ (榮三郎) ふ～ん｡ そやけど 二輪やなんて どないして走るんだす？ こんなん支えられへんよって すぐに こう➡ こけてしまいますやろ？ せやがなぁ｡ せやよって わて➡ ｢こんなん 要らんわ！｣ 言いましたのや｡ (笑い声) いいや｡ いつか うちが➡ きっと 乗りこなしてみせましょ！ (榮三郎)へ…？ はぁ～ しんど！ お父ちゃん 頑張って｡ へぇへ｡ はぁ よっしゃ｡ へえ～｡ さすがの新次郎さんも➡ お千代様には めっぽう弱いみたいだすな？ そうだすのや｡ 遊ぶ暇もあらへんみたいだすわ｡ (かの) 全部 奥様の思惑どおりだすな｡ (よの)うん｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ｡ 遊びたい 遊びたい 遊びたい 遊びたい 遊びたい…｡ 旦那様！ 心で思てる事が 口から出てしもてます｡ はっ… そうか？ ≪こんにちは！ (弥七)へぇ おいです｡ あっ いてた！ ん？ 誰だす？ あんた｡ お父ちゃん！ へ!? お父ちゃん？ 今 お父ちゃんて言わはりました？ い… いやいやいや！ わわわ… わて 何も！ 冗談や｡ 僕です あさおばさん｡ 藍之助です｡ へ！ 藍之助？ お前 藍之助か！ 嫌や 大きなって！ はれ？ …て事は？ (はつ)こんにちは｡ ご無沙汰しております｡ 山王寺屋さん！ (菊)相変わらず にぎやかな お店だすなぁ｡ お姉ちゃん！ あさ！ <あさと はつ 10年ぶりの再会でした> 今日は 東京を出発｡ ＪＲ宇都宮線に乗って➡ 栃木県屈指の人気ﾘｿﾞｰﾄ 那須高原を目指す ぶらり旅｡ 旅人は 大河ﾄﾞﾗﾏ｢花燃ゆ｣にも 出演していた➡ 女優の宮[外:3F642F3778827E651C8B82A4E9F06FD3]香蓮さん｡

五つ星ツーリスト～最高の旅、ご案内します～＃04

1 ♬～ (川端)もうやめろ！ (紅葉)何 急に？アイライン ずれたんだけど｡ 人がメシ食ってる横で メイクすんじゃねえよ｡ 食欲なくすんだよ！ 自分のデスクで 何しようが勝手でしょ！ 川端さんの暑苦しい顔が 近くにある方が➡ 食欲なくすんだけど｡ てめえ…｡ 前の女房みてえなこと 言ってんじゃねえぞ この野郎！ ん？京香ちゃん 何とか言ってやってくれよ｡ (京香)紅葉さん あとで私に メイク方法➡ 教えてもらっても いいですか？ え～！ 珍しい…京香さんが メイクに興味を示すなんて｡➡ 今日 何かあるんですか？ あっ もしかして 前から誘ってた➡ ドライブデート 行く気になった？ 全然違います｡実は…｡ 誰だよ？こいつ｡ 京香さん 春川優也好きなの？ いえ…好きというか 大好きなんです｡ ちぇっ…こんな薄っぺらい 兄ちゃんの どこがいいんだよ｡ 優也の悪口 やめて下さい！ 川端さん 知らないの？ 春川優也って チャンチャンの➡ 読者アンケートで｢添い寝したい 男性ランキング｣で➡ ２年連続１位になるくらい人気の 若手俳優なんだよ｡ 認めねえぞ！こんな薄っぺらい 兄ちゃんより➡ 俺みたいに 人生経験豊富な おじさんと添い寝しとけってよ…｡ 川端さんと添い寝したって 加齢臭しかないでしょ？ しかもオッサンの割に 人生経験薄っぺらいよね｡ (桜庭)薄っぺらい！この お煎餅 薄っぺらい｡ 便所紙みたい…｡ クゥッ…｡ でも意外 京香さんが 春川優也を好きなんて｡ 私 去年の主演映画『短距離恋愛』の 演技に やられてしまって｡ ああ…あれ すっごい 話題になりましたよね｡ 純粋な演技で｡ そうなんですよ！ 実は その優也が今 京都に来てるんです｡ 京都映画祭の舞台挨拶で｡ だから 仕事終わりに➡ 生優也を ひと目見たくて｡ そういうことか…｡ じゃ ばっちり メイクして行かないとね｡ お願いします｡ ったく…そんな奴 すぐ飽きるよ｡ ん…お～！ちょっと これ見てみろ｡ほら｡ 優也がお泊りデート!? うわぁ…｡ こいつさ え…記者の質問に 対してさ｢一晩中➡ ババ抜きをしていた｣って これ絶対ウソだよ！ な？２人でババ抜きしたって 絶対盛り上がらねえもん｡ん…｡ いえ…ババ抜きに没頭したい 夜も あるはずです｡ ハァ ハァ…｡ ≪キャー！≫ ≪優也よ！≫ (ﾌｧﾝ達)キャー!! ≪春川さん！≫ ≪危ない！≫ ≪危ないから！ほら≫ ≪一言いいですか？春川さん≫ (ﾌｧﾝ達)キャー!! ≪下がって ほら≫ ≪春川さん！≫ カッコいい…いたっ！ ≪どんな関係なんですか？≫ ≪答えられないから…≫ どういった 関係なんですか？ サインください…｡ キャー！痛い 痛い…｡痛いです｡ ≪答えられないから｡ しつこいよ！あんた≫ (警備員)すいません｡はいここから 先は 関係者以外➡ 立ち入り禁止です｡ はい お下がりください｡ 優也…｡ ≪危ないから あなた…≫ (佐竹)あの…｡ はいはい…｡ サンセットツアーズの 佐竹と申します｡ 佐竹様…｡どうぞ｡ あ どうも｡ ちょっと！佐竹さん！ あ…京香さん！ どうして その中に 入れるんですか？ いや…今から 俳優の春川優也さん に お会いする約束がありまして｡ えっ！優也と会うんですか？ どうして？ いや 実は…｡ [ 回想 ] (宮田)はい もう京都のことなら 我々 ｻﾝｾｯﾄﾂｱｰｽﾞは➡ 最高のプランを提案致します｡ おい 大チャンスや！春川優也から ツアーの依頼来たぞ｡ 何で うちなんかに…｡ 何か 映画祭のついでに 京都観光を希望してて➡ 大手のジャパン旅行に 頼んだみたいやけど 何か➡ 直前で ぽしゃったんやと｡ (紗枝)そうなんですか…｡ うん｡ほんで まあ急きょ 別の旅行会社を いうことで➡ うちに 話来たんやけどな｡ なるほど…｡ 春川優也いうたらさ 今一番 勢いのある 若手俳優やん｡ ブログのアクセス数とか すごいんやろ？ これ成功したら 宣伝効果デカイでぇ～！ 頑張っていこう！ 課長！ その話 ちょっと 危ないかもしれませんよ｡ はぁ？ いや ジャパン旅行の 知り合いから聞いたんですけど➡ 春川優也って 普段 相当ワガママらしいんですよ｡ ジャパン旅行が降りたのも 彼の無茶な要望に➡ 応えきれなくなったからって｡多分 相当なトラベルクレーマーかと…｡ いや…ほんなら 断った方が ええか｡ いや でも課長｢ｻﾝｾｯﾄﾂｱｰｽﾞが 最高のプラン提案します｣って➡ もう言っちゃってましたね｡ 言うた｡ はい…｡ 佐竹君 ちょっと｡ はい？ 《まさか…》 チャンスやわ 佐竹君｡ 《ほら きた…》 え？ 春川優也の件は 全部 お前に任せた 佐竹｡ いや…僕がですか？ これは お前にしか できへん依頼やろ｡ 頼んだで 佐竹君…｡ [ 現在 ] 優也と話せるなんて うらやまし過ぎる｡ 話すっていっても 仕事ですから｡ ツアーのプレゼンを するんです｡ それに聞いてました？ 春川優也って 相当面倒な トラベルクレーマーだって｡ そんなの ただの噂です！人気者は やっかまれる宿命ですから｡ これ 見てください｡ え？ こんな爽やかな笑顔できる人が ﾄﾗﾍﾞﾙｸﾚｰﾏｰなんて あり得ません｡ 京香さん 春川優也のことが 好きなんですか？ 好きというか…大好きなんです｡ マジっすか？ 私 ついてっちゃ ダメですかね？ え？ 生優也を ちらっと 見るだけでもいいんです｡ あっ できれば ひと言声をかけるだけでも｡ あっ 何なら このパズルに 直筆ｻｲﾝを書いてもらうだけでも｡ どんどん 欲望が あふれ出てますから｡ 絶対に プレゼンの邪魔は しません｡お願いします！ 京香さんが いた方が 心強いからなぁ…｡ わかりました 行きましょう｡ やった！ これ…みんな ライバル他社の人達ですよ｡ 春川優也っていったら 超ＶＩＰですからね｡ 一番気に入ったプランを提案した 会社を 採用するんです｡ いい匂いがしますね｡ 優也の匂いでしょうか｡ 聞いてました？僕の話｡ (春川)≪だから そんなツアーで 俺が➡ 満足できるわけねえだろ！ 却下却下！帰っていいよ≫ あ～…申し訳ありませんでした！ こわっ…ほら やっぱり噂通りじゃないですか｡ 声もカッコいい…｡ (里見)次 サンセットツアーズさん お願いします｡ はい｡フゥ…｡ 失礼します｡ 失礼します｡ 生優也…｡ サンセットツアーズの 佐竹と申します｡ た…高瀬です｡ (春川)フッ…｡ 微笑みかけてくれた｡ あ…お会いできて光栄です｡ 僕 春川様が出演している 作品が 大好きで｡ 特に デビュー作の 『初恋』と…｡ あ～そういうの いいから！ とっとと本題入って｡ わかりました…｡ あ…クールで 素敵じゃないですか｡ お手元の資料を ご覧下さい｡ 私が春川様に提案したいツアｰは➡ 京都の由緒正しきお寺に １日入門して頂き➡ 座禅や読経を経験して 心を清らかに…｡ 全然 心躍らねえなぁ｡ もっとさ～｢ザ 京都｣ってのを 味わいたいんだよねぇ 俺は｡ と 言いますと？ わかんだろ！金閣寺とか 銀閣寺とか シミズデラとかさ…｡ シミズデラ…清水寺の ことですか？ はぁ？ すいません｡ あ…天然で かわいらしいじゃ…｡ とにかく｢ザ 京都｣だよ！ ザ 京都！ だとしたら そういった名所を 組み込んだツアープランを…｡ 忠告しときますけども ご存知の通り 春川は➡ 先日のスキャンダル報道で マスコミにマークされております｡ 街中で存在がバレたら あっという間に囲まれて➡ 観光どころでは ありません｡ 確かに｡ 事務所的には 外部の人間との 接触を極力避けたツアーで➡ お願いしたいと｡ あ～面倒くせえ！ と なりますと 人気スポットは難しいかと…｡ つ～かさ 旅行会社の人なら その辺のケアも➡ 考えてくれてんだろ？ えっとですね たとえば…｡ あ 変装とかして頂いて…｡ 言っとくけど➡ 変装も したくないし ＳＰとかも つけたくないから！ 自然体で 京都を 楽しみたいんだよねえ｡ 自然体ですか えっと…｡ もしかしてノープラン？ はい｡あ いえいえ…｡ あっそう｡あんたさ それでもプロ？ あと ず～っと 気になってたんだけどさ…｡ このブーちゃんは 何？ いやいや…あんただよ あんた！ ブーちゃんつったら➡ あんたしか いねえだろ！ え…｡ さっきから ひと言も しゃべってないよね？ どうせ俺に会いたくて ついてきちゃった ど素人だろ？ それ 見してみ｡ ♬～ ほ～ら やっぱり｡ったく 公私混同も 甚だしいな｡ 里見…書いといて｡ はい｡ ほ～ら ブーちゃん これで満足かな？ とっとと帰ってくれる？ え…｡ 京都のことを何も分かってない あんたらみたいな連中に➡ 俺の大切な時間を 任せられるわけねえだろ！ わかりました…｡失礼します｡ 京香さん！ 分かってないのは どっちですか？ は？ 修学旅行生が回るような 名所を巡って➡ 京都を満喫しようなんて ずいぶん子どもじみてますね｡ なんだと？ ちょっと！京香さん！ そんな簡単なツアーで よろしければ➡ いくらでも ご案内致しますよ｡ え？ 私達に不可能なツアーは ございません｡ 言ったな？ ♬～ あ～…｡ 憧れの春川優也に会えたのに なんで泣いてんの？ ｢ブーちゃん｣って言われたのが 相当こたえたみたいですね｡ ブーちゃん！あ～…｡ お前 京香ちゃんに なんてこと言うんだよ お前｡ あ イテッ！俺じゃないですよ！ 春川優也が言ったんですよ｡ (泣き声) あの野郎 どうしようもねえ奴だな！ だから言ったろ 京香ちゃん 俺みたいに 地に足が着いた➡ 大人が いいってさあ…｡ 川端さん 常に 浮き足立ってるくせに｡ エヘヘ…｡ うるせえよ｡ でも京香さん なんで｢私達に 不可能なツアーは ありません｣➡ なんて 言ったんですか？ねえ 今回は口を挟まないって➡ 言ってましたよね？ だって…｡ だって カチンと きちゃったんですもん！ でも そのおかげで ツアー 任されることになったんでしょ？ 佐竹的にはラッキーじゃん｡ でも こんな無理難題に応えられる ツアーが あるんですか？ そんなの知りません！ いやいや 勘弁して下さいよ！ とにかく こうなった以上➡ 京香さん 責任取って 考えて下さいね｡ わかりました！ 出た！佐竹の押し付け｡ あんな奴の依頼さ 断ってやりゃ いいんだよ｡ こっちにだってな 客を選ぶ 権利ってもんが あんだよ｡ でも 相手は大スターです｡ 下手なことして➡ 悪いことをブログに書かれたら サンセットツアｰズも 大打撃です｡ 僕も この中央管理センター送りに なりかねません！ あんたが ここに？ こっちが勘弁だ｡ 言い過ぎでしょ｡ そっか ブログか…｡ (拍手と歓声) お疲れ様でした！ (春川)お疲れちゃん｡ 春川様 お疲れ様でした｡ お～来たのか？ブーちゃん｡ ブーちゃんではなく 高瀬京香と申します｡ はいはい…しっかり 楽しませてくれよ ブーちゃん｡ ご案内致しますので ご準備のほう よろしくお願い致します｡ 今です！ ♬～ ≪あ 優也よ！≫ (ﾌｧﾝ達)優也～！ 春川様 走ってくださ～い！ ♬～ しっかり つかまってろよ！ ついてこれるかな？ 京都を知り尽くした この俺に！ ♬～ な～んちゃって｡ ♬～ (記者) お話を！ 結婚も視野に入れてるんですか？ 結婚？僕にはまだまだ｡ (記者)っていうことは 交際を認めるんですね？ 交際？ (一同)えっ？ 誰と勘違いしてるんですか？ お～い どんだけ歩かせるつもりだよ｡ もう少し 我慢してください｡ こうして流した汗は 旅のスパイスになりますから｡ つ～か…➡ ブーちゃんの方が へばってんじゃねぇか！ ブーちゃんじゃありません！ お待たせしました｡ こちらです｡ お～！ お気に召しましたか？ 俺が見たかったのは こんなんじゃねぇんだよ｡ 京都の街を一望できる まさしく ザ 京都じゃありませんか？ そんなのただの屁理屈だろ｡ 春川様は 京都に来られるのは 初めてですか？ まあ 修学旅行以来だから 二度目か｡ 中学時代だったから ほとんど 観光した記憶はねぇけどな｡ そんなお客様に オススメのスポットなんです｡ ここ将軍塚は➡ 桓武天皇が京都盆地を見渡し➡ 四神相応の地として➡ 都を定める決心をした場所だと 言われています｡ 四神相応？ 四神相応とは 中国から来た 風水の思想で➡ 東西南北を護る 聖獣が集まることです｡ 京都盆地は 北に丹波高地の玄武｡ 東の大文字山を青龍｡ 西の嵐山を白虎｡ 南にあった巨椋池を 朱雀と➡ それぞれ対応付けする事が 可能で➡ 風水上 申し分のない地形でした｡ それによって出来たのが その後 ４００年もの間➡ 都として栄えた平安京です｡ ふ～ん｡ じゃあ ここが 京都の始まりの場所ってわけか｡ その通りです｡ それでは ここで昼食にしたいと 思います｡ おいおい…何？弁当？ 一流料亭の京懐石ランチとか じゃねぇの？ 春川様クラスですと 高級料理は 食べ飽きてると思いまして｡ ああ まあな｡ つ～か おにぎりかよ｡ しかも 何も具が入ってねぇ｡ お嫌いですか？塩むすび｡ いや｡ 一番好きなやつだよ｡ 知ってたのか？ ええ｡ 2008年１０月２６日の ブログを拝見しました｡ これ もしかして ブーちゃんが握ったの？ いえ…｡ 佐竹 これ食うか？ これは？ 俺が握った塩むすびだよ｡ 昼飯まだだろ？ 川端さんが!? 引いてんじゃないよ！ 俺の料理の腕 舐めんじゃないよ お前｡ はい…｡ うまっ！ んっ！ああ…｡ ったく 何年ぶりだろうなぁ 外で飯食ったのなんて｡ 俺クラスの大スターになるとさ➡ いつも人目を 気にしなきゃいけねぇんだよ｡ イメージってもんがあるからな｡ いつも事務所から 厳しく監視されてさ｡ そうなんですか｡ 京都来たらさ 京都観光するだろ 普通｡ まあ そういう当たり前のことが 俺には許されてねぇんだ｡ はあ…こんなはずじゃ なかったんだけどなぁ｡ それでも みんな羨ましいと 思っていますよ｡ 春川様は 夢を叶えた人ですから｡ 俺さぁ…➡ 別に役者に なりたかったわけじゃねぇんだ｡ えっ？じゃあ どうして…｡ 約束しちゃったんだよ｡ 中学の時の同級生と｡ ⦅待って！⦆ ⦅お互い日本一になったらさ…➡ 俺と結婚してくれ⦆ 今 思うとそいつだけだよ｡ 俺がフラれたのって｡ 春川様でも 失恋経験が…｡ そういや あんた昼飯いいのかよ｡ あっ 一応 私の分も持参してます｡ 足りんの？ 私は 少食なので｡ だったら 何でそんな…｡ (春川)なかなかよかったなぁ この神社も｡ ただ あんま有名な場所 じゃねぇんだろ？ 観光客にとって 有名でなくても➡ 歴史の深い寺社仏閣は 京都にはたくさんあるんです｡ もしよろしければ その感動をブログに｡ あ？ 失礼しました｡ それでは 私たちはここで｡ 失礼します｡ おい 待て待て 待てよ｡ 京都の醍醐味はこれからだろ｡ えっ？ (春川) 夜の京都って言ったら何だ？ 舞妓遊びだろ！ そういうご希望は 聞いておりませんでしたが…｡ そんな事マネージャーが居る前で 言うわけないじゃん｡ ただでさえ 厳しくマークされてるのに｡ あっ そうそう｡ 俺の相手をするんだから➡ 京都一の舞妓な｡ 出来る限り当たってみますが➡ 今からだとなかなか…｡ 俺の希望➡ 全て叶えてくれんだろ？ ｢不可能はない｣って言ったよな？ (百合) 京都一の舞妓はんどすか？ 京都中に顔が利く百合さんでも 難しいですか？ いや でも 相手は 春川優也ですよ？ それを伝えれば 向こうも喜んで 来てくれるんじゃないですかね？ 舞妓の世界は お得意様が最優先どす｡ 春川様が どれだけ世間で VIP扱いをされておいやしても➡ 京都のルールと世間のルールは 違いますさかい｡ そうですよね…｡ ただ 京香はんの頼みどしたら 最善は尽くします｡ 馴染みの置屋さんに 当たってみますね｡ お願いします｡ 僕たちも直接掛け合ってみるんで｡ (女将) お兄さん こちらは初めてどすか？ えっ…ええ｡ えらいすんまへんけど➡ 本日は全員出払っておりましてね｡ そもそも舞妓には 一番も二番もあらしまへんし｡ そこをなんとか！ 出直しましょう｡ やはり 飛び込みで何とかなる様な 世界ではないんです｡ でも…｡ お母さん 行って来ます｡ おきばりやす｡ 前すんまへん｡ あの人！あの人に 是非来て頂きたいんですけど！ アハハ…あれは舞妓はんやのうて 芸妓はんどす｡ 兄さん な～んも わかってはらしまへんのやなぁ｡ もう少し 勉強しはってから またお越しやしておくれやす｡ そうですか…｡ 無理言って 申し訳ありませんでした｡ 百合さんは 何て？ やはり 今日の今日では 難しいって｡ そりゃあ そうでしょう｡ 舞妓の世界は特別だから｡ そもそもお前 二十歳のガキが➡ 舞妓遊びなんて お前 １０年早いんだよ｡ どうするんですか？京香さん｡ あっ…ハマった｡ えっ？どうしたんですか？ 俺に いい考えがある｡ ♬～ (百合)失礼します｡ 春川様 舞妓はんの手配が出来ました｡ おう マジか｡ 早く通して｡ おたの申します｡ こんばんは おおきに｡ おお…｡ もみ桜どす｡ おたの申します｡ 大丈夫なんですか？紅葉さんで｡ あいつな 一時期 舞妓さんの 修業してたことがあるんだよ｡ 舞妓さんの修業？ 一体 何者なんだよ…｡ まあ 春川だってよ➡ 舞妓の世界なんか 何にもわかっちゃいねぇんだから｡ 問題ねぇって｡ (紅葉) それでは 踊らせていただきます｡ チェンジ｡ えっ…｡ あんた 京都一の舞妓じゃねぇだろ｡ えっ？ もういい 帰ってくれ｡ あんたじゃねぇんだよ｡ ああ 腹立つ！ 何でバレたの!? 滲み出ちゃったん じゃないんですかね｡ 紅葉さんの黒い部分が｡ あんた殺すわよ！ そういうところっすよ…｡ おかしいわ あいつ！ 京都のことなんて 詳しくないはずなのに！ まあまあまあまあ｡ まあ ここまでは想定内だ｡ まあ 紅葉は 前座みてぇなもんだからな｡ 何よ それ！ 紅葉でハードルを 下げておいての➡ 真打登場パターンだ｡ 真打って？ ギャアー!! キャアー!!➡ 京香さん!? 私は 反対したんですけど 川端さんが…｡ かわいいだろ！ 京都一の舞妓さん ほら 行っといで｡ いやいやいや！ やめた方がいいです！ 何でだよ｡ こんな可憐な舞妓 他に居ねぇだろ！ やめた方がいいです！ そう思ってるのは 川端さんだけですから！ (里見)あの…｡ 里見さん｡ 誰？ 春川さんのマネージャーさんです｡ 何かあったんですか？ あなたこそ 何があったんですか？ えっ？ 今すぐ 春川の部屋に 案内して下さい｡ 知るかよっ！何で今なんだよ！ (里見)頼むよ！ 中の様子はどんな感じですか？ はっきりとわからないんですけど 険悪なムードです｡ (春川) だから 何で俺がそんなとこに 顔出さなきゃいけねぇんだよ！ わかってんのか！ こっちはな 休暇中なんだよ！ スポンサーさんも 優也の スキャンダルの件を心配して➡ わざわざ京都まで 来てくれてるんだから｡ ちょっと会って ご機嫌伺ってくれれば…｡ 俺がプライベートで何しようが スポンサーには関係ねぇだろ｡ 頼むよ！今 優也にとって 大事な時期なんだから｡ そう 俺だって 今が大事だと思ってるよ｡ だから 俺の過ごしたい様に 過ごしてんだ｡ それの何が悪いんだ？ 優也の役者としての未来が かかってるんだって！ 役者としての未来？ わかった じゃあ こうしよう｡ 俺 今日で役者辞めるわ｡ えっ!? (春川)そうすりゃあ 自由だろ？ いや それは…｡ もう帰ってくれ｡ 俺とお前は もう関係ねぇんだ｡ いや ちょっと待ってくれ！ とっとと帰れって言ってんだよ！ 春川様 あの…｡ おう ブーちゃん｡ 京都一の舞妓はまだかよ｡ あっ 現在調整中でして｡ どんだけ時間かかってんだよ｡➡ 役者人生最後の日くらい 盛大に祝わせてくれよ！ 役者人生最後の日？ おう 俺 今日で役者辞めんだよ｡ えっ どうして？ もういいんだよ！ 人気が出たって たくさん金もらえたって➡ 俺の目の前にあるのは 窮屈な毎日だけだからな｡ 周りには いろんな連中が 集まってきたよ｡ 結局 そいつらにとって 俺は 金になるかどうか それだけだよ｡ この前のゴシップ記事だって そうだよ あれ見た？➡ 向こうから｢相談がある｣って 誘われて行ってみたら➡ 記者が待ってた｡ 売名行為に利用されたんだよ｡➡ もう うんざりだ｡ 今の俺には 役者として 叶えたい夢なんてねぇんだよ｡ ブーちゃんだって そうだろ？ 俺が人気者だからって 近づいてきたんだもんな？ 確かにそうです｡ でも 春川様に会ってみて 大嫌いになりました｡ ほう はっきり言うね｡ でも 春川様の主演作に感動して➡ 役者としての春川様を 大好きになったのも事実です｡ 私は それで 本当に救われたんです｡ そう思ってるのは きっと私だけではないはずです｡ 春川様は役者として➡ たくさんの人を幸せにしていると 思います｡ それが出来るのは 限られた人間だけ｡ だから 春川様には 役者を続けてもらいたいんです｡ あんたに俺の何がわかんだ｡ えっ？ 俺の仕事のこと ウダウダ言う前に➡ そっちはそっちで 自分の仕事をしろよ！➡ とっとと京都一の舞妓を 用意しろって言ってんだよ！ もう諦めた方が いいんじゃないですかね？ 舞妓さん 絶対に無理ですよ！ でもさ 何で私が京都一の 舞妓じゃないってバレたの｡ あの人 舞妓なんかに 詳しくないでしょ｡ 確かに そうですよね｡ もう いいだろ｡ あんな我儘な若造によ もう これ以上 付き合う必要ねえよ｡ うん｡そんな事よりよ 京香ちゃん 今夜 鴨川沿いにね➡ きれいな夜景の…｡ 結構です｡ 最後まで言わしてよ｡ 皆さんは もう大丈夫です｡ あとは私１人で何とかしますから｡ はい｡じゃあ お言葉に甘えて｡ あんまり無理すんなよ｡ ゲッソリした京香ちゃん 見たくねぇかんな｡ お疲れ様でした｡ はい｡ ふう…｡京香さんは➡ ゲッソリしたくらいが ちょうどいいのに｡ねえ？ ああっ…｡ (百合)≪失礼します≫ はい｡ 京都で人気の地酒どす｡ 酒なんかいいからさ 舞妓まだなのかよ！ 春川様 京都は初めてどすか？ 修学旅行以来だよ｡ そうどしたか｡ えらい馴染んではるので 何度も お越しになってはるのかと｡ 馴染んでる？そうかな…｡ ええ｡ 佇まいが落ち着いといやすさかい｡ さすが一流の役者さんどすなぁ｡ それはどうも｡ うまいな これ｡ 春川様が京都に お越しやしたのは 何か目的があったんどすか？ 別に…仕事のついでに 寄っただけだよ｡ そうどしたか｡ 何が言いたいの？ 京都という街は 暮らしてる者にとっては➡ 普通の街どすが 旅をされる方にとっては➡ 特別な場所みたいどすから｡ 自分を見つめ直したい時 大切な何かを見失いそうな時…➡ そんな特別な思いを抱えたお方が よく来られるんどす｡➡ お一人で お越しの方は特に｡ まあ そういう意味では 俺もそうかもな｡ …と 言わはりますと？ 俺は…忘れ物を取りに来たんだよ｡ 忘れ物？ 確かに そう言ったんですか？ ありがとうございます 百合さん｡ 忘れ物って おかしな話ですよね｡ 確か春川さん 修学旅行以来 京都には来てないって｡ (桜庭)年のせいですかね… 最近 忘れ物が多くて｡ ああっ 桜庭さん!? まだ いたんですか？ 先日もね 写経の会に行ったんですが➡ 老眼鏡を忘れちまって とんでもない事に…｡ まあ その程度の忘れ物なら 問題はありません｡➡ それより問題なのは 今となっては 決して取り戻すことの出来ない➡ 人生の忘れ物…若さゆえに 犯してしまった青春の過ち…➡ あん時 叶えてやれなかった 妻との約束…｡ こんな私でも そんな人生の 忘れ物は たくさんあるんですよ｡ ♬～ へえ～｡ ♬～ (春川)⦅約束しちゃったんだよ… 中学の時の同級生と⦆ ⦅今 思うと そいつだけだよ 俺がフラれたのって…⦆ ♬～ ⦅何で私が京都一の 舞妓じゃないってバレたの？⦆ ⦅今の俺には 役者として叶えたい 夢なんてねえんだよ⦆ ♬～ はまった｡ えっ？どうしたんですか？ 私 ちょっと行ってきます｡ え？え？いや… ちょっと！京香さん！ あ～っ！ ちょっと ちょっと待って！ 待ってください 佐竹さん｡ 何なんですか！ お金 貸してもらえませんかね｡➡ 来る時に財布 忘れまして｡ はあ？ ♬～ すみません｡ やはり舞妓さんはダメでした｡ ただ 代わりに｢千鶴｣の芸妓さんに 来て頂きました｡ 俺が頼んだのは京都一の舞妓だぞ｡ 春川様はご存知ですか？ 舞妓と芸妓の違いを｡ えっ？ 京都における舞妓というのは➡ 芸妓の見習い修業段階に あたります｡ しきたりや舞踊 お囃子などの 芸を学んだ後 一般的に➡ 二十歳を過ぎると芸妓として 活動する事になるんです｡ え…｡ じゃあ むしろ芸妓がいい｡ だと思いました｡ なので とても人気のある 芸妓さんを お呼び致しました｡ お願いします｡ (美月)失礼致します｡ (美月)こんばんは｡おおきに｡ ♬～ 美月…美月だろ？ 俺だよ 春川｡春川優也｡ 鈴千代どす｡おたの申します｡ えっ？ ♬～ 『京の四季』 踊らして頂きます｡ はっ｡ ♪～(三味線) ♪～(三味線) ♪～ 春は花 ♪～ いざ見にごんせ 東山 ♪～ 色香あらそう 夜桜や ♬～ ⦅春川君 何？話って⦆ ⦅ああ ごめん｡これ… 土産物屋さんで見つけて…⦆ ⦅私に？ありがとう⦆ ⦅それ 貴船神社の 縁結びのお守りなんだって⦆ ⦅えっ…⦆ ⦅俺 美月のこと ずっと好きだったんだ｡➡ 俺と付き合ってくんないかな⦆ ⦅ごめん…⦆ ⦅そっか…そうだよな｡ 俺なんかダメだよな⦆ ⦅ダメっていうか…無理なんだ⦆ ⦅え？⦆ ⦅私 中学卒業したら 京都で暮らす事になってるの⦆ ⦅京都…何で？⦆ ⦅小さい頃 両親と京都に旅行に来た時➡ 街で舞妓さんに会ってさ｡ すっごい綺麗でさ｡➡ それから ずっと憧れてるんだ⦆ ⦅美月 舞妓さんになるの？⦆ ⦅両親は猛反対してるけどね｡➡ でも もう決めたんだ｡ 京都一の舞妓さんになるって⦆ ⦅すげえな⦆ (美月)⦅春川君は？夢は何？⦆ (春川)⦅えっ 俺？⦆ ⦅えっと…役者とか⦆ ⦅役者さんかぁ｡春川君なら なれるかもしれないね⦆ (女子学生) ⦅美月 そろそろ集合時間だよ⦆ (美月)⦅うん｡➡ じゃあ 私 行くね⦆ (春川)⦅待って｡➡ 約束して｡ お互い日本一になったらさ➡ 俺と結婚してくれ⦆ ♬～ ♪～(三味線) 結婚しよう 美月｡ 俺 あの時の約束 忘れてないんだ｡ 約束通り 日本一の役者になったんだ｡ だから…｡ うちは鈴千代どす｡ いや お前は絶対 美月だよ｡ どうして嘘つくんだよ？ えろう すんまへん｡ うちは これで…おおきに｡ 俺は あの時の約束があったから 今まで やってこれたんだ！ このままじゃ 役者やってる意味なんて…｡ (美月)春川さんのことは よくテレビで拝見してます｡ えっ？ とても ご活躍されてはりますね｡ 出演作品は すべて目を通しております｡ 同じ芸事に関わる人間から 言わせてもらいます｡ 春川さんは 人気では１番かもしれまへん｡ けど 役者としては まだまだやと思います｡➡ それは うちも同じ… 今は過去を振り返るより➡ まだまだ芸妓として勉強する事が たくさんあるんどす｡➡ お互い夢を叶えた時に また お会いしましょう｡ ♬～ (美月)おおきに｡ ♬～ それでは 私も失礼致します｡ (春川)なあ｡➡ もし 俺が役者を続けたら どう思う？ もちろん 私は応援し続けます｡ 役者としての春川様のこと 今でも大好きなので｡ ただ プライベートの春川様も 意外と…｡ 意外と何だよ？ 純粋なんだなって思いました｡ フッ…うるせえな｡ 色々ありがとな｡ いい旅になったよ 高瀬さん｡ ♬～ 失礼します｡ ♬～ (ドアの開く音) 皆さん！ 皆さん これ見て下さい！ んっ？ (紅葉) 春川優也が大華ドラマの主演!? ♬～ それもお前 全編 京都ロケじゃないかよ｡ この大きさで半額なんですか？ この大根｡ それにしてもさ こんな若造がさ 主演務まんのか？ 今の春川さんだったら きっと大丈夫ですよ｡ マネージャーさんから 連絡があったんですけど➡ 来月 この役作りのために また京都を➡ 訪ねてくるみたいなんですよ｡ そうなんですか｡ その時は 京香さんに 京都を案内してもらいたいって｡ 今度こそバシッと断ってやれよ｡ あの若造はな 京香ちゃんの体が 目的かもしんねぇんだぞ｡ いやいや…春川さんに そんな変わった趣味はないでしょ｡ それ どういう意味ですか？ あああ…あ いやっ！ あっ！これ！あの 僕のところに 送られてきたんですけど｡ 京香さんにって｡ はっ！ は～っ！ 春川優也のサイン入りパズルです｡ どうせまた 直筆じゃないんでしょ｡ いえ これは間違いなく直筆です｡ だって ほら…｡ ブーちゃんへ｡ アッハハハ…ブーちゃん？ ハハハハッ！ ア～ハハッ！ 私はブーちゃんじゃない！ ア～ハハ～！ 京香さん！ (泣き声)

Atelier.S01E02.JA

1 （繭子(まゆこ)･由梨）あー （繭子） 東京って何でもあるんだね （由梨）本当 銀座で山賊焼き食べるとは 思わなかったよね （繭子） 私って貧乏くさいんだって やっぱ 由梨みたいな子じゃないと 銀座で働くなんて無理なんだよ また 金持ち差別する パパのお金だよ？ （由梨）あのさ 社長さんの言うとおり マユは貧乏なんかじゃないの ご飯だって食べてるし 住む所だってあるし 洋服も… まあ センスはともかく 着てるわけだし センス！ イヤな言葉 センスだよ センス 同じ安いもの買うにしても センスがあるかないかで大違い センスの問題！ その“センス”だけ 発音よくするのやめて 言ってないし 大体 本当は “taste in fashion”ですから （由梨）私が一人前の ウエディングドレス アドバイザーになったら マユのドレスは最高にセンスよくて かわいいのにするからねー 分かった 分かった 声大きい　シーッ （由梨）シーッ （猿橋）だから いい加減 慣れろ！ 俺なんか 右手にスマホ 左手にブラ これでも外 歩けるぞ （宗介）ぼ… 僕だって歩けます あ… 藤村さん すいません 今 通りまでお迎えにあがろうかと （ひろみ）あ… （藤村）お邪魔いたします （猿橋）藤村さん 大量生産はできません うちは オーダーメードしか やらないんです それは もう十分 十分 承知しておりますよ そこを何とか… うちの南上(なんじょう)の性格 ご存じでしょう だから こうして 猿橋さんに お願いを （南上）あら 藤村さん 何のお話？ （藤村）あ… ハハッ あ… ああ… では 私はこれで （南上）はっはーん “将を射んと欲すれば 先(ま)ず馬を射よ”ねっ （藤村）いえいえいえ いずれ 正面突破を目指しますよ 私たち百貨店は どんなお客様にも 等しく いい商品をご提供したい という思いで 仕事をしておりますので いいお仕事ですわ （藤村）失礼を承知で 申し上げますが 南上社長 あなたは あのゴージャスなドアを 押し開けられるお客様しか 相手にしておられません 世の中の人で あのドアを 軽々と開けられる人は そうはいませんよ それは 不公平ではありませんか？ （猿橋）すいません 何度も わざわざ お越しいただいたのに… （史香）あのｳﾞｧﾝﾀﾞｰﾋﾞﾙｽﾞ ﾄｰｷｮｰに置けるなんて 最高なのに たくさんの人に買ってもらうって 悪くないと思うけどなあ （瑞希）オーダーメードは 社長のこだわりだからねー （史香） でもオートクチュールだって プレタポルテっていう選択肢を 持ったわけじゃないですか プレ… プリテ？ （史香）プ･レ･タ･ポ･ル･テ 高級既製服のことね 銀座に路面店があるようなお店で 売られている服は 大体 プレタポルテ プレタポルテ プレタポルテ プレタ… ねえ プレタ始めたのって ピエール･カルダンだっけ？ うん 一点物だけ作ってたら ビジネスとして 発展しないって気づいたから みんな既製服に 行ったわけじゃないですか でも ディオールや シャネルみたいな一流メゾンもさ 最初はオーダーメードの 仕立屋さんだったってことでしょ？ 誇り持っていいのよ 私たち （史香）まあ そうですけど （麗子）ちょっと お嬢さん方 今日は このあと ３組も ご予約が入ってるのよ やることやっちゃって （史香）麗子さん元気だな 私なんかもう クッタクタ 今回のトランクショーは いつもより評判よかったからね でも 注文増えすぎ 毎日 終電なんですけど！ （南上）いいことじゃない？ お客様が増えてるんだから あ… お客様と言えば フミちゃん あの… ほらね 橋本様のパターン あれ… あー あれですよね あれは 確か… （南上）わっ 社長 私にも仕事ください コーヒーとお使いと ストックルーム以外にも何か 例えば お客様のお相手とか？ （南上）じっとしてて 今 あなたに教えてる 暇なんかないのよ いらっしゃいませ 近藤様 お待ちしておりました 合わせるお洋服は お決まりですか？ ドレスでしたら デコルテに合わせて ラインを お作りできますけれど （近藤） ロングドレスを着るんですけど 前と後ろが 開いた感じなんです まず サイズをお測りしますね そのあとに ご要望をお伺いします すみません 中が ちょっと暑いので 空気を入れ換えます ５分ほど お待ちいただけますか？ お茶のメニューをお持ちして はい 社長 お茶ぐらい 私も出せます あっ！ （繭子）はい あなたに ぴったりの 仕事があったわ 知ってる？ ホコリって 半分以上が繊維なのよ あなたの大好きな繊維 それを集める仕事よ 最高でしょ はい！ 社長の最終デザイン出ました お願いします お願いします （史香）きたよ 変則パターン！ カサブランカか… ストックあったかな あっ！ あっ あ… （瑞希）完璧ね （繭子）これしか仕事ないんで… ごめんね 今 注文が殺到してるから 落ち着いたら いろいろ教えるからね はい （猿橋） ＡＧＮのベージュのエイトカン あさってにならないと 入荷しないって 明日の夜 取りに行くから それまでに何とかしてって 了解 俺 そんな汚してっかな？ （瑞希）お願いします ありがとう まるでシンデレラだな はい？ なんか かわいそうに なってくるよ 気にしないでください ホコリの半分は繊維なんで 繊維が好きなら 最後まで面倒見てやらなきゃ フワフワ飛んで床の隅っこで ゴミと一緒に固まってるなんて そっちのほうが かわいそうです （猿橋）繊維好きも そこまでだと ちょっと引くけど… なんで そんな好きになったの？ 話長くなりますけど いいですか 手短にお願いできると ありがたいです うちが長野で 父が 蚕から絹糸を作る 工場に勤めてて 小さい頃 繭玉の糸に びっくりして できあがったシルクの生地に ハートをズキュンって 射ぬかれたのが きっかけです あっ！ 大事なこと忘れてました 補足してもいいですか どうぞ 繭子のマユは 繭のマユからとった繭子です なるほど それで繊維ラブか はい きれいな糸が好きなら この業界も さほど悪くないはずですよ 今はシンデレラでも 大丈夫です 私 掃除とか整頓も 実は… 大好きなんで 何でかっていうと… 今度 聞くわ え… 何？ それ かっこいいですよね えっ これが？ そう？ あの 胸のサイズを測るのって やっぱり難しいんですか 難しいわよ 国家資格にすべきだって 思うくらい 国家資格？ お医者さんも美容師さんも 他人の体に触れたり 何かしたりする職業には 必ず 国家資格がいるでしょ？ はい 人様の体に触れる 人様の体の情報を知るって それだけ重いことなのよ だから資格がいるし 資格を持った人には みんな安心して体を見せる そうですね ランジェリーアドバイザーも それぐらいスキルとトレーニングが 必要な仕事なのよ 麗子さん 何？ （麗子）お客様の真正面に 立たないこと 真正面だと お客様も恥ずかしいでしょ？ 半歩ずれて立つ で メジャーの持ち方は 左が０で右より短めに メジャーは絶対 床につけちゃダメよ お客様の体に 触れるものだから まずはトップから 後ろに手を回して滑らせる トップは胸の一番 高いとこ 次にアンダー ウエストは腰骨と あばらの間を測る さらに ヒップの４カ所よ その間にさりげなく お客様の骨格や 胸の具合を確かめるの 触るのは最小限 社長は一瞬で お客様の体の形を把握するわ 数字では表せない丸みや歪みを 頭の中に たたき込むの はい あとは実地で学ぶしかないわね 実地… やっと興味 出てきたのに まだ当分 まともな仕事 させてもらえそうにない そっかー （敷島）はい ブラックベルベット ご用意できたので置いておきますね （繭子）ありがとうございます 社長のコーヒー これしか飲まないの へえ でも落ち着くよね 田舎のじいちゃんたち こういうとこにいたよね 夜になると カラオケに変わるんだよね すいません お客様 当店 夜10時を過ぎますと このようになります （店員）いらっしゃいませ で… 何？ あのね 私ね （繭子）うん 明日 花嫁さんのドレス選びに 同席させてもらうことになったの それで来月には 私一人で ドレスの見立てまで させてもらうことになったの もう？ うん　うちの会社 新人は実地で学んでいくんだって 実地？ でも突然 そんな責任のある仕事 任されても困っちゃうよね まだ 何にも教わってないのに いいなあ 実地 えっ 留守番ですか？ 私一人で？ （麗子）大丈夫よ うちのお客様は みんな ご予約をしていらっしゃるから 今日は どなたも来ないわ （繭子）はい でももし もしお客様がいらしたら 電話してちょうだい すぐに戻ってくるから 絶対よ？ 分かりました （瑞希）あっ そうだ これ お店の鍵 時田(ときた)さんの 私の？ いいんですか ありました！ ハーディー･マリアージュの 新作のドレス お客様がお探しのデザインです すぐに教会にお持ちします！ 絶対に間に合わせます！ 本当に誰も来ない 暇だあ〜！ （繭子）えっ あっ あの… い… いらっしゃいませ あの… ご予約のお客様ですか？ いえ 初めて来たんですけど ああ そうですか どうぞ 中 ご覧になってください 今 担当の者を… 麗子さん 麗子さんは… （ひろみ）すみません この中から 選べばいいんですか？ あ… えっと それは商品ではなくて 教えてもらえますか あ… はい どのようなものを ご希望ですか？ ブラジャーとショーツの セットを 何か合わせるお洋服は お決まりですか？ えっと… ドレスとかなら デコルテに合わせたラインを お選びできますが いえ このお店のものを一度 試してみたかったので サイズとかは 測ってもらえるんですか？ はい！ ぜひ サンプルも 着けてみてください 着けていただいたら 違いが分かりますから 中 広いんですね ありがとうございます じゃあ 失礼します （繭子）よいしょ （ひろみ）あ… すいません お好みのお色とかありますか？ （ひろみ）ああ… 普段の着け心地で 気になることとか ご不満とかは？ どうぞ こちらをベースに ご要望をお伺いいたしますので じゃあ それでお願いします ありがとうございます では こちらで お作りいたしますね はい （繭子）あっ なんか変わったレースですね 張りがあって シルクのオーガンジーですか？ チュールレースも… 凝ってますね ああ… 娘の衣装を 作った時の残りで この近くで バレエを習ってるんです じゃあ （繭子）どうぞ （ひろみ）すいません ありがとうございました イエス イエス イエス！ （繭子）新規のお客様に ご注文いただきました〜 時田さんが接客したの？ １人で？ お客様いらしたら 電話してって言ったでしょ 大丈夫です ちゃんとサイズお測りして サンプルのフィッティングもして サイズって だって まだ何も… 麗子さんに習いました （瑞希）ねえねえ どんな方？ なんか 前から Emotion(エモーション)のランジェリーに 興味を持って いただいていたみたいで これは 結構な額ね トランクショーの これ！ ご注文くださいました （留守番電話） ３分以内で伝言をどうぞ （繭子）由梨？ 繭子 今日どうだった？ 仕事はさ やっぱり実地で学ぶんだね それが一番の トレーニングなんだよ ああ 誰か 胸 測らせてくれないかな （店員）お待たせしました もう食べなよ （沙里衣）え？ （繭子）お願いします 突然 こんなお願いして 変なヤツだって思われるのは 分かってます でも どうしても今日中に おさらいしておきたいんです あっ いや これは別にいいんです 私も食べたかったし 本当 よく知りもしない人が 突然 胸のサイズを測らせろって 無理なことは 分かってるんですけど 別にいいですけど え？ いや 女同士だし こういうの全然 お仕事では普通ですから あっ でも今 お腹いっぱいだから お腹は見逃してね いやー おいしかったなー （繭子）えっ ちょちょちょっ… ちょっと あの お客様をお迎え入れるとこから やりたいから あっちで入って来るとこから お願い なんか おかしいですか？ きれい 同じ人間とは思えない 人の体の形って面白い！ しかも この 女性の胸の辺りって 最高に複雑で変な形 でも すごくきれい この形に ぴったり合うものが 作れるって やっぱ生地ってすごい そもそも糸がすごい 繊維って最高！ 時田さんって変な人 （瑞希）ああー やっと ひと山越えたね とりあえず 注文分は 全部作ったし （史香）今回 きつかったー ヒー！ （瑞希） トランクショーも お疲れさま （史香） それは こっちのセリフですよ 瑞希さん デビューのチャンスだったのに いいのよ Emotionは やっぱり 南上マユミのデザインだから Emotionなのよ ふーん？ そうかな？ １人でやれることって 案外 限られてますよ？ アイデアだって才能だって １人に頼ってたら いつか枯渇しませんか？ 私 フミちゃんのそういうとこ 実は好きなんだよね なんですか 急に フミちゃんってさ そんな顔で こう サラッと的を射たこと言うのよ そんな顔って どんな顔ですか かわいいって言ってるの でもさ 実際 フミちゃんみたいな人なんだよね 古い体制を壊す人って え？ そんな 大げさな… （南上）このような生地を ここの部分にお使いになると （瑞希）いや パターンの段階で 形が見えないとさ 実際 素材を当ててみないと… それは分かってて言ってるの！ なんか 昨日の瑞希さんと 違う〜 昨日は昨日 今日は今日でしょ （電話の着信音） （瑞希）仕事なんだから！ お電話ありがとうございます Emotionです あー！ 昨日は ありがとうございました ええ はい えっ!? （繭子）昨日のお客様が 注文をキャンセルしたいと （南上）そう （繭子）理由を お聞きしようとしたんですが すいませんって 謝られてばかりで… （南上）理由は簡単よ あなたが信用できなかったの （繭子）え… （南上）あなた うちの商品を 着けたことはある？ （繭子）いえ… （南上）それでよく お客様にお勧めできたわね そのハートの強さには 本当 感心するっていうか腹が立つわ すいません （南上）いい？ お客様に満足していただくには ハートよりも まず経験と 実績に裏打ちされた スキルが必要なの 私たちは それでお客様から お金と信用を頂くの 今のあなたに お金と信用に見合う 何があるっていうのよ すいませんでした （麗子）あの 私が悪いんです 中途半端に教えたりして （南上）そのとおりね でも目の前のお客様に 真摯に対応する気持ちがあれば お客様がいらした時 彼女はきっと ちゃんと あなたに電話をかけたはずよ 長く お付き合い できそうだったのに Emotionは大切なお客様を １人 失ったわ あなたのせいで その方は もう二度と うちの店には来ない （携帯電話のバイブ音） （由梨）そのドレスね 花嫁さんが ずーっと探してた ブランドの新作で １点だけ残ってるって 分かって 私 “式までに間に合わせます” って言っちゃったの ねえマユ 聞いてる？ あ… ごめん ドレスを見つけて ちゃんと式に間に合わせた すいませんでした （由梨） でも サイズが合わなかったの （岸谷）なんで そんな 勝手なことしちゃうの （由梨）もちろん確認したよ でも そのブランドのドレスは 13号でもタイトなデザインで 花嫁さん ちょっと ぽっちゃりさんで… 先輩たちは それを分かってて “もう そのドレスは どこにもありません”って 話してたんだって ちゃんと気を使って うん 私 花嫁さんのためって 思ったんだよ でも 新人で 何のスキルもない私が でしゃばっちゃいけなかったの スキルか… そうだね 同じ日に同じ失敗するなんて 私たち仲いいよね 同じ失敗じゃないよ （由梨）え？ 由梨の失敗のほうが ちゃんとしてる ちゃんとしてる失敗って 変じゃない？ 由梨は お客様のこと 考えてた うん まあ 私は考えてなかった 全然 すいません あのお客様に お電話したいんですが… ダメよ　電話なんて失礼よ じゃあ ご自宅に伺います！ 住所… カスタマーカードに確か （麗子）住所 書いてないわ え… その前に時田さん お客様のお名前 覚えてる？ あ… （麗子）お名前だけ 教えてあげるわ 塚本ひろみ様よ 塚本ひろみ様… ありがとうございます 駅の名前とか なんか言ってなかったかな レース （繭子）変わったレースですね （ひろみ）娘の衣装を 作った時の残りで この近くで バレエを習ってるんです バレエ！ イエス！ バレエ… バレエ教室 バレエ… あっ あった！ （繭子）かわいい （莉乃）いってきます はい いってらっしゃい 頑張ってね （女性）こんにちは 今日 暑いですね はい 後ほど あ… つ… 塚本様！ 塚本様… あ… はい あ… あの あー 分かってます あの Emotionの… すみません キャンセルしてしまって すいませんでした え？ 私 お客様のためっていう 接客において 最も大事なことが皆目 分かっていませんでした！ （ひろみ）すみません （南上）やっと いらしてくださったんですね いつもディスプレーを ご覧になってくださってますよね （ひろみ）ああ… ええ 娘のお迎えの時に 通りかかるので 先日のトランクショーの時も （ひろみ）え？ わざわざ足を運んでくださった （ひろみ）見てらしたんですか いつ入って来てくださるだろうって お待ちしてたんですよ （ひろみ）勇気がなくて… でも一歩 踏み出してくださった それなのに 私どものほうが 塚本様のお気持ちに応える準備が できておりませんでした 本当に申し訳ございません （ひろみ）いえ… そんな そんな… 改めて ご要望をお伺いします いえ ごめんなさい 結構です 今日 お伺いしたのは キャンセルをした お詫びを言いたくて Emotionのランジェリーは きれいすぎて高級すぎて 私なんかには似合いません 着けてみて笑っちゃったんです 私が こんな高級下着つけて どうすんのって 実際 ちょっと窮屈っていうか 私みたいな主婦は とにかくラクなのがいいんです だから もう… ごめんなさい！ 本当はアレです あの… 値段です もう一度 チャンスを頂けませんか 失礼します ありがとうございました （南上）失礼します 使う材料は 妥協したくありませんし 最高の技術を駆使して 仕上げますので 工賃も それなりに頂きます ですから どう抑えても お値段は… これくらいになります （ひろみ）え… でも これじゃ半額… 安すぎませんか 安くはありません この値段を出せば 百貨店で ハイクラスのランジェリーが セットで４つは買えます （ひろみ）あ… 私 いつもスーパーのだから… あっ ごめんなさい いつもは いくらぐらいのを お買い求めですか？ え？ ええ… 失礼を承知で お伺いしております 教えていただけませんか 2500円くらい 私も それくらいです ちょっ…！ 分かりました 今日は これで えっ いや そういうわけには… 余裕がある時に 少しずつで結構です 何回になるかしらねえ えーと 2500で割ると えーと ４… 私 数字弱いのよね 大体 17回か18回です じゃあ 17回払いで え？ （南上）ああ 塚本様が いらっしゃれる時で 結構です ここを通りかかったからと言って 追いかけてって お代を ちょうだいしたりなんかはしません また お嬢様のバレエのついでに 気軽に見に来てください でも… あなたには どうしても これを着けてもらいたいの え？ うちの商品に 恋をしてくださったでしょ？ ですから 今日はこれで できあがるの 楽しみにしてます 珍しいのよ 社長が全部１人で作るなんて なんか 違う体になったみたい （莉乃）ママ きれい いいなー 莉乃もほしい じゃあ 大人になったらね うん 絶対！ （南上） もう おっしゃらないでくださいね え？ “私なんかには似合わない” なんて あ… （南上）塚本様が もう一度 自信を持って うちの商品をお買い求めに いらっしゃる日が来ることを 願っております そう… 自信を持ちたかったんです 私 育休明けで 職場復帰するのに 自信がなくて… Emotionのランジェリーが 似合う女性になれたら うれしいですね あの どうして あそこまで しようと思ったんですか？ あそこまで？ 社長が 一から全部作ることって なかなか ないんですよね しかも あんなに安く… 思い出させてくださったからよ 何をですか？ 私も昔… 昔… 教えないわよ ええ！ （南上）ハァー 何だろう （南上）きれい… 猿橋！ ちょっと！ （南上）あの こないだの ヴァンダービルズトーキョーの 何ていったかしら 名前 あの ほら 髪の毛 ここピシーッとした いけすかないメガネの 藤村さんですか？ あの方と お話がしたいんだけど どうして？ どうしても　悪い？ （南上）ご褒美 （繭子）え？ くださるんですか お掃除の でもこれ… サイズ あっ！ もしかして これ着けると Ｄカップになるんですか？ バーカ バ…？ バストは大きければ いいってもんじゃないの それは 私が作った 最高傑作の１つよ え… そこに あなたの知りたいことが 全部 詰まってるわ あなたのやりたい仕事も 仕事… 好きにお使いなさい モチーフ ストラップ サイドベルト ほおー これは綿混サテンネット ここには ウレタンフォーム？ あああ〜っ！

ボージャック・ホースマン.S01E05.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 “エア･バド国際空港” おっと これのせいかな 早くしろ ノロマ野郎 彼は仕事だ　責めるな お前のせいだろ 液体物の容量オーバーです これは パピー･ヴァン･ウィンクル 年代物のバーボンだ 飲んだら オレでもセックスできない ダメです オレを誰だと？ 今からＮＹで出版社と 打ち合わせ予定の有名人だぞ オレの自伝を ぜひとも出版したいってな ダメです 邪魔する気か ダイアン 待て こいつ石頭でな ダイアン？ どこだ ここよ ボージャック あっさり通ったな 10年前からある規定に 従っただけ 何だよ それ どなたであろうと… オレの番組 知らないのか？ あり得ないだろ 頼む　ニューヨークに 行かせてくれ また？ これかな？ 銃を持ってる 違う　ライターだよ 原因はライターのオイルか 大目に見ろ オレはセレブだ 搭乗客のボディチェックを ボージャック･ ホースマン “ｅ出版社” “ペンギン出版” わざわざ どうも カリフォルニアじゃ ない方が— 安全かと思いまして 環境を変えるのもいい ここは空気もいいんです 腫瘍が見つかったがね でもホースマンの 自伝が出せれば— 医療費の心配は なさそうです それで調子は？ 順調だよ 撮影秘話や 感動話がてんこ盛りだ 彼女は優秀な ライターだからな 電話だよ 公共ラジオに 会員登録ありがとう これは物語の始まりを 知らせる電話だ… 失礼 すぐ戻れよ 売れっ子さん 彼女じゃ無理だ どこがダメなんです？ よすぎる オレの破天荒な人生を 書くには— やや まともすぎだ そうでしたか こりゃ失礼 では代わりに ヤバい書き手を… って冗談じゃない！ 状況 分かってます？ もちろん 10月には本が出て— バカ売れすると 約束してください 分かったよ 分かった お待たせ 図書館から早期返却の お礼の電話か 兄から“父が死んだ”と マジ？ 本の発売は９月末ですよね？ 本当に気の毒だ 最低なじじいだった 何てこった 今まで順調だったのに 納期に間に合うのか？ ご心配なく 葬儀に出てすぐ戻ります ボージャックも来れば いいんです 移動時間も書けますから では 何かあれば電話を ワンコールで折り返す 今 電話ボックスに 住んでるから スクランブルエッグに祝福を 目玉焼きを混ぜるよ トッド 鼻歌 歌ってんじゃねえ 誰だ？ 誰かって？ お前が読んでるメモだ 読んでるから オレの声が聞こえるのさ そっか お前に留守番なんか させなきゃよかったよ お前の仕事はない 何も触るな　散らかすな 明日 オレが帰るまで— 絶対に 何も するな もう遅いよ　楽しむぞ お風呂に乾杯だ “面白いよ トッド お前とダチでよかった” オレは偉大なマジシャンだ この家に住んでるのは 個性派俳優 皆さんご存じ デヴィッド･ボレアナズです 出演作は「パーソン･オブ･ インタレスト」に 「キャッスル」… などですね 悪いけど ここ 違うよ 彼の家なら— 50ドル払ってでも 見学したのに アメリカ版 ヒュー･ジャックマンよ 残念だ 「バーン･ノーティス」にも 50ドルも？ それなら入って ボレアナズって人の 家はここだよ！ “ボストンへようこそ” 君の力になりたいけど— 葬式とか家族とか… 人間って苦手なんだ 車で待ってて その方がいいわ 私の兄弟って最低なの 兄弟っていいな フットボールしたり 毎日 じゃれ合える 一人っ子は寂しいもんだぜ パパ 想像のお友達に 会いたい？ “想像の友達”は— アカの存在を 主張する奴のことだ 壁で頭を打ち 正気に戻れば— その友達も消える そうするよ 私も寂しかったわ 家族といても みじめだった 君だけ毛色が違う？ 違うのは養子のゲーリー 私は嫌われ者だった 特に父からはね “パパと屋根の上で 星を眺めた”って… あれは あなたの心を 開くための作り話 物書きの特技よ だまされて傷ついたフリ？ オレの特技だ 実際はゴミ山の上で— クリントンの娘になる 夢を見てたの クセ毛は嫌だけど 髪質いいもんな ええ 到着 あいさつだけしてくるわ 10分よ　待っててね 暇つぶしに使って 万華鏡？ ガキじゃねえ すごい… いろんな形のキラキラ ただいま ディーディー よく帰ってきた ゲーリー マーティ アーティ ディーディーだぞ 悪い 試合がいいとこでね 元気？ 86年の試合見るの 100回目よ “バックナーのエラーで がっかり”も… 100回目だ 帰ってきたか ディーディー 親父が死んだよ あんな死に方するなんて マジで情けない ビールくれ 俺にも 私 着いたばっかりよ ダイアン姫は メイドじゃないってか ママ 珍客のお越しだぜ あら いらっしゃい 誰が来たのかと思ったら— ディーディー女王の お出ましだわ どういう風の吹き回し？ お悔やみを言いにね あら そう ずっと連絡がなかったのに 悲しむ家族を 慰めてやろうって？ やめてよ 試合中にケンカすんな 86年のワールドシリーズ？ 負けよ 何でだよ どうせ私らは原始人レベルさ カリフォルニアの ご友人とは違う ジョージ･クルーニーも あんたの友達だっけ？ やめなよ ダイアンに悪気はない ５年も連絡なしだよ Ａ･ロッドみたいに さっさと出てけ やっぱり行くわ 行くなよ ディーディー お願いだ ママが“出てけ”って 本心じゃない 本当はいてほしいんだ だろ？ マーティ 試合がいいとこだ 葬式の手配も やってほしいんだ 俺たち 頭 回らねえし 分かった　業者の番号は？ ネットで調べりゃいいだろ 自分で考えろよ 急がないと氷が溶ける 待って　それ パパなの？ なぜ タマタマの落書きが？ 死んでるとは思わなかった ざまあみろってんだ 親父め いい気味だ… デヴィッド･ボレアナズの 家へようこそ テレビによく出てるでしょ ほら ドラマとか… テレビとか… 見学料は50ドルです 何これ デヴィッドの写真が はがれたわ ちょっと失礼 デヴィッドの下着は 見たくない？ 寝室へどうぞ あら 下着？ おい 何してる まだ どこかにメモが？ いや お前の良心の声だ ボージャックはお前を信じて 家を任せたのに… 黙ってて やめろ　苦しい… どうも トッドですが 何かご用で？ 黙って金もうけはやめて あなたのエージェントよ 何でバレたの？ 私が毛糸で 遊んでるとでも思った？ レベルアップさせてあげる でっかくいかなきゃ ミラ･クニスを 使ってみたら？ ミラ･クニスって？ 私に任せといて これ誰だ？ 見すぎて飽きちゃった ダイアン ５年も連絡なしで— 偉そうにするんじゃないよ マーティが働かないから 注意しただけ 無理だよ 知ってるだろ 採石場でケガした足が 痛むんだよ アメフト部員なら 休暇が必要だ 彼は違うでしょ 働きたくても 仕事は移民が持ってっちまう うちらも移民でしょ 何で？ ベトナム人だもん 見た目はな だがアメリカ人だ そうだよ あいつは何を考えてんだ ダイアンを探してるんですが 英語は話せます？ マジ？ ってかヤベえ 「馬(ば)か騒ぎ」に出てた 馬じゃね？ 英語の分かる人は？ すげえな スターが来たぞ “ボレアナズ･ハウス” 75ドルです 子供とお年寄りは無料 ロープの内側には 入らないでくださいね 次はキッチンです ミラ･クニスがいます リネン類に書かれた “Ｂ･Ｈ”は— 当ハウスのイニシャルです ええ お宅の会社では— 遺体の引き取りは？ ねえ ボージャック ボストンでは セレブに会った？ スーパーでブドウを 同時につかんだのが— ベン･アフレックだった あの人もブドウ食うんだ ママ ベン･アフレックも ブドウ食うって セレブが食うもんか ボージャックが— 「デアデビル」みたいに ブドウを取り合ったって すげえ話 聞いちゃった みんなでフットボールでも やらないか？ いいよ　大スターと プレーなんて夢みたいだ その前に— 号泣ダイアンの ビデオを見ようぜ 面白そうだな 見なくていい 昔 妹に架空のペンパルを 作ってやった 名前はレオ お願いだから その話はやめて 手紙は俺らが書いた 設定はケンブリッジ大の 男子学生だ 苦労したよな “ダイアン 僕ら２人は 理解されてない” “変なのは周りの方だ” “永遠の友 レオより” マジか？ かましたな 半年 続けたとこで ホームレスをレオに仕立て 妹をパーティーに誘わせた 見て あなたの そのお花 すてきね 毎日でも観たいよ 最高だ バカにされたの ただの おふざけさ だよな？ ダイアンは泣き虫だ 皆で笑えるって いいことだろ？ セラピストもそう言った 葬儀の打ち合わせに 行かない？ 嫌だよ　葬儀場なんて 死体ばっかだろ 行きたきゃ １人で行け いいわ　私が全部やるから ありがとう 恩に着るよ 行こう ボージャック 彼は連れてくな 心を奪うスピードは— デーブ･ロバーツの 盗塁並みだな いいこと言う 行かなきゃ　また葬式でな 今度は皆で じゃれ合おう 葬式 サイコ—！ 葬式 葬式！ この部屋を のぞけるのは— プラチナ会員の皆様だけ お待たせしました ひと休みする ボレアナズご本人です トッド　オレの部屋に入るな どうも ボレアナズです 見学は以上です ボレアナズな１日を “うじ虫葬儀場” 父上のお人柄は？ とにかく意地悪で酒浸りで 娘を応援するどころか 失敗を喜ぶ人でした では“クソ親父パック”は いかがです？ 父には もったいない でしたら こちらの— “クソ親父パックでも もったいないパック”は？ それにして かしこまりました ちょっと いいか？ もう少し 肩の力抜けよ 兄弟から学ぶこともある 冗談でしょ？ 私まで堕落したら終わりよ でも どこかで ガス抜きしないと— そのうち爆発するぞ いい加減にしろ “非通知” 何度もかけてきやがって 誰の仕業だ 出れば？ どうせ イタ電さ 電話に出なきゃ脅迫できん いっそのこと 突撃します？ 家に？ そうさ 押しかけるんだ 何だ？ 奴の家だよな？ あれは… デヴィッド･ボレアナズ？ 間違いなく ボージャックの家だ 雑談したいなら— 延長チケットを 買ってください ああ 忙しい 忙しい ほら見て また札束どっさりよ ねえ キャロライン 売上金の集計に— トイレの見回りも しなきゃだよ ボレアナズ人形を 盗んだ店員はクビにした オレ１人じゃ無理だよ そんな話をするより とにかく稼ぐのよ でも こんなの違法だと思う バカは殴っても 直らないけど… え？ 耳の穴かっぽじって よく聞いて せっかくいい仕事を 見つけたのよ もう昔には戻れない 靴が欲しいの 真珠もね ドツボにはまった どうすれば？ オレが教えてやる 誰だ？ 俺さ ボレアナズだ こんな声なの？ そうだよ アドバイスをやろう ドラマのセリフだ 確か… 「ニューガール」かな？ “このまま続ければいい” ありがと デイビー デイビーって呼ぶな ウソでしょ もう４時だ　誰も来ないさ あいつら人間のクズよ 父親の葬儀にすら 参列しないわけ？ 遺体もない 行き違いがあったようで “ご遺体をお迎えに行ったら お留守だった”と 追加料金で別のご遺体を ご用意できますが— いかがですか？ どうして葬儀に来ないの？ 私が準備をしたのに 誰も来ない 堅苦しいのは親父が嫌がる 遺体は刻んで魚の餌か— ヤンキースの選手に ぶつければいい ジーター ざまあみろ 待って　遺体はどこ？ 刻んでトラックに “バラバラ遺体” 父さんを刻んだの？ それが本人の望みだった あんたには 分からないだろうが つまり私が１日がかりで 準備した葬儀には来ないで ヤンキースのジーターに ぶつけるために— 父さんの遺体を 刻んでたわけ？ ただ ぶつけるんじゃない ジーターのデカ顔に そう 超デカい 今週 ヤンキースが この町に来てる トミー あなたが私に頼んだのよ 何で あんたは いつも偉そうなの？ 自分は違うってか そんなこと思ってない みんな 勘違いしてるよ ダイアンは別に偉くない オレのゴーストライターだ 本を書いても名前は載らない これが彼女の夢みてた 34歳の姿だと？ 金持ちの男に 養ってもらってる ちっとも偉くなんかない マジ？ 金持ちに寄生？ 最低だな 役に立った？ だから車ん中で 待ってろって言ったのよ ついにダイアンがキレた ディーディー やめろ ダイアン あんた 見世物になってるよ 車のキーを どうするつもりだ？ 戻せって 親父を積んだトラックに 乗った よせって 思い知れ バカどもめ メチャ怒ってるぞ どうすりゃいいんだ ３分後 ワンバウンドで… それで これからどうする？ いいぞ　流れが来てる 彼女が行きそうな所は？ 高校の時も よく黙って消えた 放っときゃいいんだ オレに心当たりが 待ってよ パーティーは これからだ でも かなり怒ってたぞ それに親父さんは？ 行くなよ あんたは５人目の兄弟だ オレが？ そうだよ 兄弟 飲んだら フットボールしようぜ ただちに解散せよ 集会の届出がない 速やかに解散しろ もう最悪だよ キャロライン どうする？ 好きにすれば？ 私はどこからでも逃げられる お前がボレアナズか？ あの… ボレアナズ人形はいかが？ ボージャックの家に そっくりなんだ 同じ建築家かな それより君の方は？ 最悪よ 帰るんじゃなかった 可哀想に 戻ったら 特許を取った ピーナツバターハグを “とろけるほど クリーミー”だ 特許は取れなかった でも ハグして ボージャックが来たわ 切るね “ごみ捨て場” “ごみ捨て場” “ごみ捨て場” ボージャック？ ボージャック？ 何で彼が？ さっきは ひどいこと言って悪かった 事実でしょ バーに君宛ての手紙があった 読めよ　きっと気に入る “ダイアンへ” “僕だよ 昔 ペンパルだったレオだ” “書いたのは ボージャックじゃない” 続けて “ダイアン 君はいい人だ” “それが一番 大事なんだ” “理解者がいなくても—” “そのままの君で いてほしい” “買い物はエコバッグ持参” “計画を立てて 行動するところや—” “機内で耳抜きに ガムをかむ君も好きだ” “誰も気づかなくても—” “僕は知ってる” “永遠の友 レオより” 最高の手紙ね ひどい親を持った奴が 言ってた “家族は落とし穴” “抜け出すべきだ”と 今でも家族からは 自慢の娘だと思われたいの バカみたいでしょ？ ああ 否定してよ いや バカだね 奴らが認めるか？ 区切りをつけたいの そんなのはスピルバーグが 映画のために作ったものさ 現実の世界には存在しない オレたちは ただ 前に進むだけだ でも帰省のたびに彼らは… 帰らなきゃいい 人の素性を気にしないのが ロスのいいところだ 気にするのは プールの掃除とか サラダにかける ナッツの種類とかだ サラダは大好き それでいい とにかく前に進め ありがとね 考えてみろよ 君を傷つける父親は もう いないんだ “ポール･リビア” “フェンウェイ･パーク” “ビアーズ” 本当にありがとう デレク･ジーター ヤンキースの スター選手が— 手を取って 道を渡らせてくれるなんて お年寄りを助けるのは 当然のことです 何だ？ 魚の餌だって？ １本 電話してから行くよ 分かった ハーブです　メッセージを やあ ハーブ オレたち そろそろ ケリをつけないか 人生は短いし わだかまりを 持ったままじゃダメだ 末期の君なら なおさら… 余計なことを言っちまう やっぱ 直接 話そうぜ 折り返し電話くれ じゃあ…　待ってる ボージャックだ ホースマンね しつこい奴だ “非通知” 頼むよ ボージャック 出てくれ お願い もう出るから ボージャックです メッセージ どうぞ

ベター・コール・ソウル.S03E03.JA

1 “止まれ” “ロス･ポジョス･エルマノス” ベター･コール･ソウル NETFLIX オリジナルシリーズ 何だ 銃を持ってるな 持ってる 銃は見たくない 君が見せないなら 私も見せない いいかな？ いいだろう 車が２台 行く 〝やめろ〞 〝やめろ〞 説明してくれ 〝やめろ〞 ヘクター･サラマンカには 死んでほしくない 今は まだな 関係は？ 友人の友人だ 詳しくどうも 君とは？ いざこざがあった 家族を脅されては 見過ごせない だが一度は見過ごした 彼から金を受け取ってな 家族の危機は去ったのに 彼のトラックを襲撃 普通はそこで満足し 終わりにする それなのに 今度は彼の暗殺を企てた なぜだ 聞くところでは― 君の襲撃後 男が トラックの運転手を救出 ヘクターは その男を殺した だろ？ 無関係の男だった ヘクターは殺させない だが君の正義感に 共感しないわけではない 君はヘクターに 打撃を与えた 彼のビジネスや誇りを 効果的に痛めつけた また同じように 彼を痛めつけるのなら 邪魔はしない またトラックを襲えと？ そうしたいのなら その気はない では話は終わりだ そうか そうだ 今後は 追跡装置も尾行もなし そういうことだな そのとおり もちろん― ヘクターから 手を引くんだろ？ では失礼する 待て トラックを襲い 供給を止めてほしいのか 商売敵なんだな なぜ聞く 奴から手を引かないからだ ジミー･マッギルの 事務所です 俺だ ジミー ちょっと 急な用事があって― 明日のアポを延期してほしい 分かりました いつに変えます？ 明日 話そう はい それとキムに 今夜は戻らないと伝えて それとキムに 今夜は戻らないと伝えて 〝保釈金立替〞 了解 以上だ それじゃ 中で待っていいぞ こうするのが最善なんだ ジミー　聞け 私を憎み 心の中で ののしってるだろうが お前を助けたいんだ この後だが― お前は逮捕され 私は告訴する “報いがある”と 言ったはずだ 私は信じたい お前が この結果に向き合い 生まれ変わると 今は理解できないだろうが これはチャンスだ 罰したいわけじゃない ただ お前に気づいてほしい 手遅れになる前に 変わるべきだと 自分や誰かを ダメにする前にな お前なら変われる きっと道は開ける その時は 前に進めるように支えよう この後だけど 兄さんは いつかまた病気になる そしてシートに くるまってる姿を発見される 病院に連れていかれ いろんな装置につながれて 苦しむ あまりの苦痛に耐えられず 兄さんは― そこで死ぬ 独りで お迎えだ 所持品を出して ベルト　ネクタイ　携帯 指輪　財布も 靴下と靴を袋に 履いて こちらへ 右を向いて 左を向いて 正面を 左手 これは驚いた 噂は本当だったのか 落ちぶれたな 何があった？ 別に　ただの家族の問題だ 結婚を？ してないよ　兄貴とモメた あの堅物とか 弁護人は？ 自分で弁護する 署名を バカだな デイヴィス＆メインを 辞めたこともだが こっちへ あの事務所は 君の後任を探してる？ オマールは元気か？ 転職したいのか？ 刺激的な日々なのに？ 検察の担当は？ 手が空いてる者 君は手が空く？ 因縁の仲だ 懲らしめたくないか？ 動いてはみるが 決める立場にない 君のキャリアでも？ 座って もう行くよ 見に来ただけだ ジミー･マッギルの 指紋採取を 楽しんでくれた？ 順番を早めてやれるかも 助かる この時間だと 今日は泊まりだ 大丈夫そうか？ 我が家よりマシ そうだろうな 一番デカい奴を殴れ 優位に立てる 力を見せつけるよ 殴り方は知ってるだろ？ 知ってる　またな “メサ･ヴェルデ” “フィットネス会員” やあ キム 話せる？ いいけど どうしたの？ 世話係をクビに なんで？ それは… 別にいいんだ それより― ジミーは大丈夫？ 申し訳なくて まさか… ジミーに何が？ マッギル？ 行くぞ 事件番号 ＣＲ－2003113081 マッギルさん はい　裁判長 立ち位置が違いますね お恥ずかしいです 暴れたようですね では被疑事実を 第四級重罪の不法侵入 最高18か月の懲役と― 罰金5000ドル 加えて暴行罪 最高６か月の懲役と 罰金500ドル さらに器物損壊罪 最高６か月の懲役と 罰金500ドル 被害者は― お兄さんのチャールズね 本当？ 罪状認否を行いますか？ はい 裁判長 無罪を主張します 無罪の申し立てを 受理しました 弁護人はいますか？ はい　キム･ウェクスラーが 務めます よろしい 弁護人を記録して 弁護は自分で 行いたいのですが お勧めできません 得策ではありませんよ しかし刑事裁判には 慣れています 依頼人と話しても？ 依頼人？ マッギルさん　弁護人候補と 話し合いたいですか？ いいえ 自分自身で弁護できます すみませんが あなたは無関係です 直接 話したくて 電話しなかった マッギルさん 保釈金の額を決めます 犯歴はなく 令状も出ていませんね 最近 見ませんが 現在の専門は？ 高齢者法です 感心ですね 早い復帰を願います 法に関わる者として 保釈を認め― 保釈金は2500ドルとします バカやった また兄貴にハメられた エルネストが俺に話すよう わざとテープを聞かせ― 俺が奪いに来るのを 待ってたんだ 驚くことに ハワードと探偵までいた 俺がキレて乗り込むのを 待ってね チャックに操られ まんまとワナにはまった バカだ すまない 電話もせずに悪かったが ちゃんと理由がある 今回の件は すべて俺のヘマだ だから自分で決着をつける 君はいい人だから 助けたいだろう でもメサ･ヴェルデで 手一杯のはずだ 俺の問題まで 背負わせられない ２人で頑張ってきたのに チャックの復讐に― 脅かされてたまるか 俺たちのビジネスの 邪魔はさせない このジミー･マッギルが 自分の手で解決する １人でやらせてくれ 分かった ありがとう 仕上げておきました はみ出てた部分を 直したんです 少しだけ どうですか？ ああ いいね いい感じだ 車まで乗せてくれる？ いいですよ 普段はこういうことは 起きないからね そんなこと 分かってますよ 〈よし〉 〈そうだ〉 〈熱は何日 続いてる？〉 〈３日です〉 〈いいよ　心臓も肺も 異常はない〉 〈ノドも赤くないし〉 〈連鎖球菌には 感染してない〉 〈ママにきちんと お願いしたら―〉 〈食べてもいいって 言うかな？〉 〈じゃあ お大事に〉 〈あとは？〉 〈胃けいれんと―〉 〈鼻炎と 捻挫の患者さんです〉 〈アメリカ人は？〉 〈復讐です〉 〈彼を呼んで〉 クラークさん お入りください どうしました？ 友人から 電話があったと思う モノは聞いたが 量は？ 大きさで言えば このくらいの量だ グラムにすると？ さあな　このくらい “無料診療所” 誰か来る？ いや どうだった？ 何が？ 拘置所の夜さ 昔の依頼人に再会した 食べる？ すべては大きな誤解なんだ 裁判になることはない 誰が面倒を好む？ 簡単に片づくから 担当検察官はラッキーだよ 重罪もあるだろ？ あれは… 食えよ 悪いが典型的な過剰起訴だ 取引には礼儀正しく応じる クイズの司会者みたいに 罪を認めて減刑に？ 正当な罪状ならね 俺は完璧じゃない 間違いは認める 自分も検察も満足する方法で 頑張ってくれ どっちの意味？ “無事を願う”か “受けて立とう”か 無事で 連中は本気で来るぞ 君じゃなく“連中”？ 担当するのは僕じゃない 楽な案件なのに残念だな 忙しいのか？ 立場的に無理 どういうこと？ 予想はできた 何度も取引してる仲だ 僕に任せるわけがない じゃ エリクセン？ アルバカーキの検察官は 担当しない なら誰が？ ベレンの検事補を呼ぶ 確か名前は “ヘイ”だったかな 厳格だが公正らしい 行くよ 頑張れ バーガーが冷めるぞ 食べるか？ トランス脂肪酸の塊だ 最高の脂肪だよ 車はまだある？ デイヴィス＆メインの ドイツ車は？ 返した 残念 “国境まで20キロ” ヘイさん？ マッギルさん？ “チャック”でいい 玄関へ 持ち物は郵便箱に？ 電子機器は全部だ 弟さんは家の鍵を？ モメる前は持っていて― 食料品などを届けてくれてた 仲たがいした後は スタッフが届けてくれてる 弟さんの鍵は 回収したんですか？ 鍵を替えた 状況を理解したいので 今回の件に戻ります 殴られました？ いや　驚いて 棚まで後ずさりしたが 武器は？ 火かき棒で 引き出しを開けただけ 私には向けてない 身の危険は感じた？ あんな弟でも一線は守る 弟さんを訴え 証言するんですね？ ああ　残念だが やるとなれば 宣誓証言が必要です 家族間の裁判では 訴える側が― 最後に我々への協力を 渋ることもあります その心配はない ところで君の戦略は？ そうですね 我々は法の番人として より高潔であるべきです 弁護士でも手加減しません 当然だ 彼は不法侵入を軽罪に 落とそうとするでしょう 我々は重罪で貫きます つまり裁判になる そこで あなたの健康状態を 知っておきたいのですが ご自身が出廷することは 可能ですか？ 今日は ご足労いただき 感謝してる 調整すれば 短時間なら 出られるからご心配なく 裁判で迷惑はかけない では始めます 他に何か懸念が？ ずっと― 考えていたんだ 弟は 心根は優しい そうでしょう 罪は罪だが― それでも弟だ あいつは― 感情的になって キレることがある 限度があります 弟の行動を擁護はしないが もっといい解決策は ないんだろうか 皆にとって “アイスの贈り物” 〈何だ？〉 〈たぶんハンターだ〉 〈そうだな〉 〈ハンターだ〉 “国境まで20キロ” “税関国境警備局” 来てくれ ひざまずけ！ いつのタバコ？ 車のグローブボックスに 入ってた ドアが赤になる前のだ 検察から取引の提示が 何て？ 予想と違った 悪かったの？ 思ってた内容と 違ってただけだよ “起訴前ダイバージョン”だ 本当？ 裁判はなし？ よかったじゃない 上等だよな そうよ 認める罪は？ 全部だ　重罪の不法侵入も それに暴行と器物損壊 兄貴に触れてもないのに でも刑の執行は免れ 記録も消えるわ １年間 おとなしく過ごせばね “ヴィクター”は封印よ もちろんさ ジゼル でなきゃ刑務所行きだ ツイてたわね 検察が面倒を避けた そうだな もっと喜んでいい話でしょ？ チャックはきっと 検事補に怒ってる この取引はチャックの考えだ ホント？ 狙いは？ 条件が１つ ついてた 法曹協会に 自供書を提出することだ 重罪を認める書面ね 兄貴の狙いは 弁護士資格の剥奪だった どうするの？ 俺は資格を守るために― 軽罪に落として 罪を認めるつもりだった 一時停止は覚悟したが 重罪を認めたら… 資格は剥奪 法廷で争って負ければ 資格剥奪の上に服役になる 八方塞がりだ 闘うのよ 懲戒委員会も酌量を… 兄貴の知人だらけだぞ チャックの弟子たちと 闘うことになる １人で 私がいる ジミー　認めて 私が必要でしょ？ １人じゃ無理よ あなたを１人では闘わせない いいのか？ もちろん だけど… どうして？ よく考えろよ　こんな男だぞ 簡単にはあきらめない 作戦は？ そうだな　まずは― 取引を受け入れ チャックに反撃する 日本語字幕　馬場 亮

プロ・ゴルファー花＃06

1 ＜前回までのストーリーを なんとな～く説明しよう＞ ＜父親が残した借金を返すために プロゴルファーになる決心をした花＞ ＜醍醐コーチを頼って入った ゴルフ場では→ ライバル達が 待ち構えていた！＞ ＜数ヶ月後に行われる パシフィックレディースオープンの→ アマチュア枠ひとつを巡り テストラウンドの日々が始まる＞ ＜キャディの仕事中　ケガを負い テストラウンドのスコアを崩す花だが→ 看病をした今出川に ほのかな恋心を抱いてしまう＞ ＜しかし！そんな時 ライバル・リコが→ 今出川とのデートを すっぱ抜かれる！＞ ＜果たして花は恋の病を克服し→ 再び借金に立ち向かうことが 出来るのであろうか！？＞ （リコ）しっかし　しぶといわね。 ボンビーちゃん。 （あゆみ・百合子）ありえない…。 （ミチル）花～！花　待って～！ （野宮　花） すいません。遅くなりました。 よろしくお願いします。 こちらこそ　ごめんなさい。私と今出川さんの会見で→ ラウンド　少し遅くなっちゃって。 いえ…。 ほら！ああいう時って→ マスコミにウソつかないと いけないじゃない。 それで　作戦　練ってて…。 見てた！？ はい　見てました。 すごくお似合いでした。 ありがとう～。 すごくお似合いでした。 （醍醐）無駄話している時間はない。スタートだ！ 野宮！打て！ はい！ ((必死に　ならなきゃいかんのは 家族なんじゃないのか！)) 《そうだ。私がゴルフする理由は 自分のためなんかじゃない》 わお！ナイスショット　花！ 《お母さん　陸　海　空…お姉ちゃん 頑張って借金返して→ 美味しいもの　たくさん 食べさせてあげるからね》 すごいバーディフィニッシュ！ 今日いくつ～？ はい。２アンダーです。 マズい～２００打ぐらい 差があるけど→ 花さん　そんなに調子が良かったら ひっくり返されちゃうかも～。 がんばります。 あら…冗談で言ったのに 認めちゃった。 （百合子） バッカじゃないの。 ホントに追いつくつもりかしら。 （あゆみ）ありえな～い。 もうここに来られないくらいの ダメージ与えてやりましょうよ！ そうですよぉ。 （あゆみ・百合子）あら。 （百合子）ダメだわ。ご機嫌だわ。 順さまのことしか 見えてないのね。 なんか今日の花　すごかったよ。 なんつ～か気迫っていうか？ そういうの。 頑張ってプロにならないと いけないからね。 その通り！なんか私も燃えたよ！ 頑張ってプロにならないと いけないからね。 その通り！なんか私も燃えたよ！ 愛だの恋だの 言ってる場合じゃないからね。 え？ 愛…恋…？ あっ順さまだ。今　話題の。 あれ？いつもなら「やあ　花ちゃん 今日は　どうだった？」→ …とか聞いてくるはずじゃない？ さあ　練習練習。その前に球拾いだ。 ≪ヒュー。ビューティー！≫ （今出川）行こうか。 今出川さん！ あ…ミチル　どうしたの？ あの…変な質問しても いいですか？ なに？ 今出川さんはリコさんと 付き合ってるんですよね？ （キャディ）勘弁してよ～その話は もう終わり。 別に花のこと好きなわけじゃ ないですよね？ アハ…どうしてそんなこと聞くの。 いや…お２人のこと バレた途端に→ 今出川さんと花　変な感じだし…。 あとは女の勘かな？ 僕はリコくんと付き合ってる。 ですよね～。 そして　その方が→ 花ちゃんが強いゴルファーになるんだってさ。 花～！ねえ　聞いて！さっき 順さまと話したんだけどさ～！ ひいっ！ 余計なことは言うな。尾口。 あいつには今ゴルフしか見えていない。 なんなの～みんな。 （空）出てきなさいよ～お兄ちゃん。 （陸）こら　海。いつまで そんなことしてんだよ。 早く出てこないと 空がうるさくて勉強できないだろ。 どうしたの？ 海兄　帰って来て すぐ布団　入って出てこないの。 もう何ふざけて…。 宿題　教えてくれるって 約束してたでしょ。 早く出てきてよ～。 おねえ！なんとかしてよ。 空がうるさい。 もう～しょうがないな。 ちょっと海　悪ふざけはよしなさいよ。 海！いい加減にしなさい！ 海…約束したなら守りなさい。 早く教えてよ～。 海！いつまで　ふざけてるのよ！ 海…。 どうしたんだよ！海！ （海）別になんでもない！野球してスライディングしたの。 スライディングして そんな傷になるわけないでしょ！ また　いじめられたんだ…。 え？ え？ 違うよ。 空　前に見たもん。 海兄が「貧乏マン貧乏マン」って いじめられて…。 空　前に見たもん。 海兄が「貧乏マン貧乏マン」って いじめられて…。 人違いだって！ 海兄が「貧乏マン貧乏マン」って いじめられて…。 人違いだって！ 本当なの　海。いじめられてるの？ 言ってるじゃん！ いじめられてないから。 本当のこと言え　海！ 本当だって。 スライディングしたの。 傷だって　ほら　全然平気だよ。 よし！空。宿題　教えてやるぞ。 海　誰に　やられたの？ おねえ　そいつんトコ行って 怒ってくる！ おい　やめなって！ そういうの 何の解決にもならないから。 やだ！行く！ 何も知らないで　どこ行くんだよ！ お母さんに言ってくる。 やめな　空！ お母さんには絶対に言うな。 お母さん　お金のことで 大変なんだから→ 余計な心配かけたくないよ。 だから　おねえも心配しないで。 泣かないでよ　おねえ。俺　全然　平気だから。 ごめんね。みんな　ごめんね。 リコさん　遅いわね。 いつもここで練習してから スタートしてるのに。 待て　野宮・尾口。 はい？ みんな　聞いてくれ！ 今日のラウンドは４人でやる。 え？なんで？ 高瀬リコが諸事情あって 休みだ。 え？ ちょっと待って下さい！ 花がケガした時は　一度 棄権しただけで失格だって。 （ミチル）どうしてリコさんは 許されるんですか？ 答えて下さい。コーチ！ どうしてなんですか！ いいか…よく聞け。 リコだったら…いいのっ！ そんな…そんなのって！ どうした？何か不満か？ コーチ…もしや 買収されましたね？ バカものっ　俺は金で 動くような男じゃない。 ウソよ…なぜなら　いつもよりジャラジャラしてるもの！ いいところに 気がついたな　尾口。 めちゃくちゃ目立ってっから！ お前たちも　よ～く覚えておけ！ 長いものには巻かれろ！ 確かに　お金は　もらった。 しかし　そんなことは どうだっていい。 《絶対　どうでもよくないのに→ 一瞬にして　どうでも いいことにした。すごい！》 ただし！ 高瀬リコが休んでいる間→ スコアはエブリホール・ダボの １０８とさせてもらう。 それは！ リコさんは納得してるんですか？ ああ…全然かまわないと 言っていたよ。 スコア１０８…。 パープレイの７２で回れば一挙に３６打差　縮まる！ そうだ。 ２００打差も６日あれば…。 ああ。追っているお前らは　むしろ 喜ぶべきじゃないのかな。バサッ！ いや…失格のほうが嬉しいに 決まってんじゃん。オヤジ。 はい！どうぞ。 なんなんだ　君は　突然。 何度も言ってるでしょ。 私　こうなったら順くんに付いて ツアーを一緒に回ろうと思って。 ほら！プロって 健康管理が大変でしょ。 だから食事とか 私が気を使えるな～って。 帰ってくれよ。そもそも君だって テストラウンドがあるんだろ？ あっそれなら平気。 休んだらスコア１０８って 言われたから→ 即ＯＫしといた。 まさか　お金で釣ったんじゃ。 ううん　１円も渡してない。 コーチ　むしろ喜んでる 感じだったよぉ。 休ませてって言ったら。 そんなわけないだろ。 だから練習ラウンドから試合まで ず～っとついててあげるから。 妻として　かしずくから。 ねえねえ　連日アンダーパーって 調子よすぎない？ この調子でいかないとね。 今日も４アンダーってことはさ→ リコさんとの差　一気に ４０打　縮まったってことだよ。 うん。そうだね。 最後まで休めばいいのに。 そんなことあるわけないよ。 大丈夫かしら。リコさん。 まだ　あと１５０も 差が　あるわけだし。 そうね。 追いついた…。 つか…私もトップに ５打差なんですけど。 ウソみたい。 リコさん　覚えてます？ パシフィックレディースオープンの→ アマチュア枠　争ってたの。 [TEL]もうそんなの　どうでもいいの。 え？ 毎日毎日　順くんの健康の ことだけを考えてるのが→ 今の私の一番の幸せなの。 今もバリバリ料理してるし。 [TEL]（百合子） 今日で　あの貧乏女に　スコア 追いつかれたんですよ。 だから好きにしろって！ 私にとってアマチュア枠とか→ プロになるとか もうどうでもいいことなのよ。 わたくしは今出川の妻になるので ございますのよ～ッホッホッホ！ （ミチル）さすがにリコさん 明日は戻ってくるよね。 うん。 （ミチル）そしたら一騎打ちじゃん。 明日。 ミチルだって５打差でしょ？ 頑張れば勝利だって ありうるじゃん。 （ミチル） だよね。よ～し　私も頑張る！ おう！ なんかさ　変だよね。 ん？何が？ もう１ヶ月になるのに 一緒に帰るの初めて。 そっか！だって花　いつも 暗くなるまで球拾いしてるし。 …だね。 なんで　あたし　待ってたんだろ。 不安…なのかな。明日が。 不安？ そんなキャラじゃ ないくせに。 フ…そっか！ そうだよね！ でも私…もう３年なんだよね。 ここに来て。 ずっとあの３人に いじめられてたから→ チャンスっていう チャンスもなかったし。 ちょっと明日…緊張する。 そうだね。 両親からも「芽が出ないんなら 結婚でもしろ！」って→ 叱られるしさ。そろそろね。 明日…頑張ろうよ。 席…ひとつしかないけどね。 そうだけど。 頑張ろう。 おかえり～。 いたんだ。 ?? ??? ?? 考え込んじゃダメ。 落ち込むだけだから。 こういう時は気晴らしに　パーッと飲みにでも行きましょうよ。 そんな気分になれないよ。 お酒飲めばガッと上がるわよ。 さ！行こう。 いいから　ほっといてくれよ！ ごめん…何もかも　うまく いかなかったから。 ちょっと イライラしてるのかもしれない。 いいよ。そんな順くんも受け止めるから。 受け止めてくれなくたっていい。 僕は君が頑張ってくれてる 方がいいんだ。 僕は　とにかく　ひたむきに 頑張ってる人が好きなんだ。 ただ　ボールを打つのが 楽しくて楽しくて仕方がない。 たとえ　お金がなくったって…。 誰のこと言ってるの？ あ　いや…。 やっぱり　貧乏で頑張ってる あの子がいいんだ。 （今出川）そういうこと 言ってるわけじゃ…。 わかった。 どうするの？ 帰ります。 え？ 私も　頑張ってきます！ 野宮　花…ぶっ倒す！ （加奈子）もう利子　払ったんだから早く帰って下さいよ。 （野木） バカ。なあ　娘が帰ってきたら… もう帰ってきてるじゃん！ なんですか？ （野木） バカ。なあ　娘が帰ってきたら… もう帰ってきてるじゃん！ なんですか？ （三郎）お前　明日 テストの最後の日らしいな。 そうですけど。 なんでも　勝ったらプロの トーナメントに出られるらしいな。 優勝したら 賞金１０００万以上らしいな。 よっしゃ～～！！ 優勝しちゃえよ　優勝。 アマチュアなんで 優勝しても賞金もらえませんよ。 ガク～ン。 なんだよ　お前　最近　兄貴を ガッカリさせてばっかりだな。 それに明日だって 勝てるかどうかも　わかんないし→ プロの試合なんて　すぐ 優勝できるほど　甘くないですよ。 ガフーン。 あぁ～もう。 さらに　ガフーンなっちゃった ガフーンなっちゃった。 おい！兄貴が生き返る情報 何かないのかよ。 あの　一応　今トップに並んでます。 ピキーン！！ あ　生き返った！ あと　賞金はもらえないですけど→ 優勝したら プロテストが楽チンらしいです。 パキーン！ おっ！ コースも一緒ですし。 ププブッ… もうこれ以上　元気にはなれない。 限界あるぞ　バカ！ ええやないか。 それ　ええやないか～ええ！ 人気もんにも　なるしやな→ なんや　プロ入り前に スポンサー契約も決まるやろ。 おいおいおい。どんどん兄貴が 関西弁で　やらしい話するで～。 エステのＣＭも 出たりゃ～ええやないか。→ ほんであの～なんやあの～ 許可なくホームページも→ エステのＣＭも 出たりゃ～ええやないか。→ ほんであの～なんやあの～ 許可なくホームページも→ 見られへんように したったら　ええやないか～。 話題になるわ～。 明日　勝てよ！！ …はい。 はっ。勝たなかったらな…。 考え中。兄貴　考え中。 （三郎）錦鯉のものまね中。 錦鯉のものまね中。 勝たなかったら… ○＊☆ってするぜ。 あの人　自由すぎない？ （加奈子）海と空　寝た？ うん　寝た。手伝うよ。 サンキュ！ 眠れないの？ ううん　別に。 トップに並んでるんだもんね。 関係ないよ。 そうだよ。そんなの関係ないよ。 花は　楽しくゴルフすればいいよ。 小学生の頃　お箸持ったら ブンブン振り回して→ 傘渡したら　差さずに振り回して。 お母さん　いつも怒ってたけど 楽しそうだったな。 覚えてないや。 あの頃の花は　勝つとか負けるとか そんなこと考えてなかったと思う。 ボールが飛ぶのが 楽しかっただけだと思う。 でも…さっきも 勝てって言われたし。 あんな　バカチンの言うこと 気にすんな。 お父さんだって 楽しんで来いって言ってくれるよ。 うん。 （空・海）行ってきま～す！ はい　行ってらっしゃい！ （海）おねえ…今日　頑張ってね。 知ってたの？ 夜は　お祝いだね。 みんな…。 （陸）じゃ…。 （海・空）行ってきま～す！ （海・空）お祝い　お祝い…お寿司。 （藤田）まあ　リコさん！ お久しぶりでございます～。 すみません。 長らくお休みしまして。 いいえ～ 全然かまいませんよ～。 来たね　リコさん。 そりゃ来るよな。 だな。 うん。 ≪野宮さん　おうちから電話≫ あ　はい。すいません。 もしもし　どうしたの？ ねえ　海が学校　来てないんだって。 え！？今日　陸と空と一緒に出たよ。 担任の先生から連絡があって 「今日はお休みですか？」って。 どこへ行っちゃったの？ そっか～知らないか。いいわ お母さん　ちょっと探してみる。 見つかったら電話ちょうだい。 [TEL]（加奈子）うん　わかった。 なんの電話だったの？ どうしたの？花。 ちょっと出てくる。 え？どこに？ 弟が　学校に来てないって。 どこ行ったかわからないの。 でも　あと２時間でテストだよ。 行く。 ちょっと待ってよ！ （ミチル）花！ ミチル　どうした？ 人数　多い方がいいでしょ。 うん。 私　こっち探すから ミチル　こっちお願い。 わかった。 海！ 海！ （ミチル）花！ ミチル…。 （ミチル）いた？ いない。 どこ行ったんだろう。 朝に道草しないよね。 道草するような子じゃない。 あと３０分しかない。 ミチル戻って。テスト頑張って。 え…そんな戻れないよ こんな時に。 いいから。 あれ…。 海！やだ！海！やだよ！ 海！！ おねえ！ も～う　心配したんだから。 ごめんなさい。 何してるのよ　こんな所で。 （海）俺　戦った！ え？ いじめられたら→ また　おねえとお母さんに心配かけるから　戦った。 海…。 （海）もう　おねえのこと泣かせたくないし。 おねえだって　ゴルフして 戦ってるんだから。→ 俺も戦ったんだ。勝ったよ！ だから　もういじめられない。 海…。 足　ケガしたの？ やっつけたんだけど 足　すごく痛くて　立てなくて…。 わかった。 おねえと病院　行こう。 ダメだよ　花。 え　でも…。 花はゴルフ場　戻りな。 私が海くん病院に連れていくから。 そんなこと出来ないよ。 海くんだって　勝ったんだからさ→ 花も行って リコ　やっつけてきなよ。 ミチルだって せっかくのチャンスじゃん！ 私　５打差もあって リコに勝てるわけないじゃん。 来た時点であきらめてた。 でも　ご両親がまた怒る…。 もう　つべこべ言うな！ 花…行け！今すぐ行け！ ミチル…。 花は　私の夢なんだ！ あと３０分！急げ！ ミチル…ありがとう。 おねえ！！ 何してんの？あの女。 慌てて出て行ったんですよね。 何か　イタズラしてやろうと思ってつけてたんですけど→ 結局　何もできなくて。 そしたら勝手に出て行ったんです。 真っ向勝負が怖くなって 逃げ出したんじゃないですか？ そうですよ～。 野宮と尾口は？ 知りません。 スタート時間に 間に合わなかったら失格ですよね。 当然だな。 （百合子）あと１分で失格。 リコさん　パシフィックレディースオープン 出場おめでとうございます！ よし　スタートしよう。 野宮と尾口は失格。 来ました。 すいませ～ん！遅くなりました！ チッ！なんで来たんだよ！！ マジしぶとい　 ウザッ。 戻ってきてもらわないと困るのよ。 よろしくお願いします。 尾口は？ そうか。尾口は失格だな。 ((花は　私の夢なんだ！)) 知らないうちに 並んでたみたいね。 はい。 リコ　今日初めて 本気　出しちゃうぞ！ …はい。 スゴイ！ 最後まで頑張りましょうね。 はい　勝ちます！ 私　リコさんに勝ちます！ うふ～ん！ワクワクするね！ （ミチル）花！ どっちが勝ってるんですか？ 両者譲らず　全くの同スコアだ。 頑張れ　花。 絶対　負けんなよ！ （ミチル） なんか　楽しめてますね　花。 そのようだな。 これ　花が入れれば 並んで１８番か。 並べば　どっちが プロの器かがわかる。 （ミチル） もうどっちもプロでいいでしょう。 イエス！！ 次の１ホールで分かれるな。 器が…。 ここまで　もつれるとは 思わなかったわね。 はい。でも　楽しいです　ゴルフ。 あら　そう。 ここで私に勝てば　本当に ご家族を救えるかもしれないのね。 はい。 みんな願ってるわね。 あなたの勝利を…。 《勝つよ。お姉ちゃん　勝つから。→ このホールで　すべてが決まるよ》 やられたな　野宮。 え？ 荷物しょい込んで　ガチガチだ。 花…。 プププ。 花…ダメだよ　そのままじゃ。

龍馬伝＃28

1 各地で風も強まってきそうです。 名古屋、大阪、 鹿児島では今夜からあすの日中に かけて激しい雨や雷雨でしょう。 （龍馬）吉田東洋を斬ったがは→ わしじゃ。 ようやった　龍馬！ 一世一代の大芝居じゃ！ （弥太郎）龍馬！　おまん ほんまに　あれで　えいがか？！ おまんが　吉田東洋様を 殺したことになるがじゃぞ！ おまんが逃げても 兄上や　お乙女姉やんらが→ 罰を受けるがじゃぞ！ 兄上には 絶縁状を書いてもろうたがじゃ！ わしは　もう 坂本家の人間ではないがやき！ そこまでして 武市さんや以蔵を…！ 龍馬…！ 龍馬…。 もう　行き。 もう　行くき！ 龍馬！ ほれ　行き！ 嫌じゃ！ 行くき！ 嫌じゃ…！ ♪♪～ なんちゅう男じゃ…！ （伊與）人助けのために 罪をかぶるら→ まっこと　龍馬さんらしいぞね。 何ちゃあ知らん世間は 龍馬を責めるろうけんど→ わしらだけは　あいつの味方に なってやるがじゃぞ。 もちろんちや。 （春猪）けんど…→ もっと　龍馬叔父ちゃんと 一緒に　おりたかった…。 もっと　もっと 龍馬の顔を見ちょりたかったのぉ。 （猫の鳴き声） ♪♪～（テーマ音楽） ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 申し上げます！ 吉田東洋様を殺したがは 坂本龍馬やったがです…！ （森下）坂本龍馬…？！ （象二郎）叔父上を殺したがは 己であると…！ 刀傷に至るまで→ 我らが調べ上げたとおりで ございました！ 追っ手は　出したがか？ 奴は　土佐から逃げる気ゆえ→ 動かせる者は　すべて 国境に向かわせちょります。 （森下）大殿様？ ♪♪～ （戸の開く音） 開けや。 大殿様…？！ （容堂）出ていきや。 大殿様…！ 坂本龍馬ゆう男がの→ 東洋を殺したがは 己じゃと言うたそうじゃ。 けんど　わしは　そんな嘘は信じん。 東洋を殺したがは　武市→ おんしらじゃ。→ おんしは ほとほと　腹の立つ男じゃ。 下士を集めて　この土佐を 攘夷の旗頭に担ぎ上げ→ 帝の使いにまでなって 幕府に攘夷実行を迫るら→ 出過ぎるにも程がある！ 私は　すべて…→ すべて　大殿様のためを思うて…！ 武市…。 徳川様より この土佐を賜った　山内家が…→ わしが　幕府に背くなど できるわけないろう。 おんしと　わしは→ よう似いちゅう。→ 徳川に失望しながらも 忠義心だけは捨てられん。 わしやち　心の底から→ 帝を　敬い奉っちゅう…！ この日本は 徳川幕府のものではないき。 大殿様…。 大殿様は 天下一の名君にございます！ 帝を　お助けし→ この日本を これから動かしていくがは→ 土佐の山内容堂公のほかには→ おられません！ …おまんは　えい家来じゃのぉ。 おまんが　長宗我部の人間でのうて この山内家の人間じゃったら→ わしは　どればあ→ かわいがったことか…！ ありがとうございます！ 大殿様から そのような　お言葉を…。 私は…→ 私は　果報者でございます。 大殿様。 吉田東洋を殺させたがは→ 私にございます。 私が命じ→ 勤王党の者に　斬らせました。 岡田以蔵は→ この件に 一切　かかわっちゃあせんがです。 けんど　私は　以蔵に命じ→ 攘夷を阻む者らを　殺させました。 すべては　帝のため→ 日本のため　土佐のため→ そして 山内容堂公のためだと思うて…！ もう　えいがじゃ　武市…。 おまんは　どうしたいがじゃ？ この　わしに→ どういてほしいがか言うてみい。 願わくば→ 岡田以蔵を 楽にさせて頂きとうございます。 私も　同様に。 おまんを→ ほかの者たちと 同じように→ 死なせるわけには いかんがじゃ。 腹を切りや。 武市半平太は…→ わしの家臣じゃき。 ありがとうございます…！ ♪♪～ ありがとうございます…。 ♪♪～ （半平太）「以蔵　喜びや。→ 大殿様が　わしらのことを→ えい家来じゃと 言うて下さったがじゃき。→ よう耐えた。→ よう耐えたの　以蔵…！」。 武市先生…。 ♪♪～ 行ってくるき。 おまん！ ほんまに　龍馬を捕まえる気かえ！ （美和）まだ 藩の言いなりになるがかえ？！ （弥之助）見損のうたぜよ　兄やん！ わしは　龍馬を 捕まえようゆう気はない！ ほんなら どういて行くがですろう！ これは　形だけじゃ。 （弥次郎）形だけ？ やかましい！ やかましい やかましい　やかましい！ おまんら　わしのやることには 口は出さん言うたろうが！ だ～！ 言うちゃあせん！ 何も言うちゃせんぞ！ 何ちゃあ知らんと…。 ほんまのことを 言えるわけがないろうが…！ ああっ？！　龍馬…？！ 大きな声を出しなや！ おまん…　おまん　どういて→ どういて　ここにおるがじゃ？！ 武市さんに会わせてくれや。 はあ？！ おまんならできるろう。　のぉ？ 何を　ばかなことを！ 藩は　今　血眼になって おまんを捜しゆうがじゃぞ！ みんな　国境に行っちゅう。 わしが奉行所に来るら 誰っちゃあ　思うちゃあせんき。 はあ？！ おまん　そんなこと…！ 大きな声を出しなや！ 頼むき！ 息が止まってしまうがやき！ （戸の開く音） 龍馬…？！ 龍馬…　龍馬かえ！ し～っ！　大きな声を出しなや。 人が来るき。 龍馬です。 龍馬です　武市さん！ 龍馬はの 武市さんを助けてくれたがじゃぞ。 罪を 全部　かぶってくれたがじゃき。 もう　大丈夫です。 以蔵も 牢から出してもらえますき。 龍馬…。 ありがとう…　ありがとう。 礼らあ　要りませんき！ けんどの→ わしは 自分で言うてしもうたがじゃ。 大殿様に→ 吉田東洋を殺したがは わしらやと。 は…？ 何…？ 大殿様はの 自ら　ここに来られたがじゃぞ。 おまんらがおる　そこに。 あの　山内容堂様が 同じ地べたに座られて→ わしに声をかけて下さったがじゃ。 龍馬。 あれは　もう　１０年も前じゃ。 おまんが 弥太郎に言うたことがあった。 土佐を 上士も下士もない国にすると…。 この土佐は…→ 下士が　上士に 虐げられちゅう　この国は→ もう　みんな　変わらん言うけんど わしは　そうは思わん。 母上が　上士を動かしたがじゃき 土佐も…→ 土佐も　いつの日か 変わる日が来るかもしれん。 下士が 上士に勝つ日が来るゆうがか！ いいや。 下士も　上士も　のうなるがじゃ！ わしは　あの時→ おまんが　とんでもないことを 言いゆうと思うたがじゃき。 まさか　大殿様と　わしが→ 同じ地べたに座る日が来るらあ→ 夢にも思うちゃあせんかった…！ これは　奇跡じゃ。 おまんが起こしてくれた奇跡ぜよ。 武市さん…。 おまんに わしの身代わりはさせられん。 おまんのやるべきことは→ もっと…→ もっと　大きなことじゃき！ この国を　異国の侵略から守り→ 独立した国にするがが→ おまんの役目ぜよ！ 一緒に…→ 一緒にやりましょう　武市さん！ この国を→ 日本を　一緒に変えるがじゃき…！ 武市さん…！ 龍馬…。 生きてつかあさい…。 生きて…。 龍馬…　龍馬。 生きて…！ 龍馬。 生きてつかあさい　武市さん…！ 龍馬　武市さんは…。 武市さん…！ 武市さんは おまんに託したがじゃき。 この自分の志を　おまんに→ 成し遂げてほしいと 言いゆうがじゃぞ…！ わしは　日本一　幸せな男ぜよ。 おまんの…→ おまんのお陰じゃ　龍馬。 武市さん…！ 坂本龍馬が どうやって日本を変えるがか→ 楽しみぜよ。 弥太郎。 おまんも　偉うなりや。 誰よりも　出世するがじゃぞ。 当たり前じゃ。 墓の中から見ちょれ　武市さん…！ 龍馬。 おまんもじゃ。 頑張りや。 武市さん…！ ♪♪～ もう行け　龍馬。 弥太郎　行け。 行くぞ　龍馬…。 行ってくれ。 龍馬　行くぞ…。 ♪♪～ …ありがとうございます。 ありがとうございました…！ 龍馬…。 行くぞ。 ♪♪～ 「郷士　岡田儀平　伜 同苗以蔵こと→ 出奔無宿者　鉄蔵 京都御構入れ墨者　以蔵。→ 右は　去る戌の八月　滞坂中→ 御同勢の井上佐一郎儀 切害に及び→ かつ　京都においては 浪人　本間精一郎儀→ これまた　奸物の趣をもって 暗殺せしめ→ かつ　去る亥の正月 子細これあり→ 出奔せしめ　所々　浪々中 不埒の仕筋　これあり。→ 京都において 入牢　おおせつけられ→ 追って　入れ墨のうえ 洛外お払いに相成るより…」。 （戸の開く音） これにて　私がご作配も知れた。 これまで　長々 大いに　お世話にあずかり→ 千万　かたじけない。 いつまで お世話になることぞと思うたが→ 大いに　安心致した。 （象二郎）「武市半平太。 この者　去る酉年以来→ 天下の形勢に乗じ 密かに党与を結び→ 人心扇動の基本を醸造し…」。 ご立派でした…！ ♪♪～ （半平太）「冨　わしは　おまんに 嘘を　ついてしもうた。→ これからは　２人で　のんびり 過ごそうと　約束したけんど→ とうとう　果たせんかったのぉ」。 「徒党を結び　廉々 安からざる　企てをもって→ 重き人命を絶ち 御国恩を忘却致し…」。 ずっと…→ ずっと わしのそばにおってくれ　なつ…。 うん…　うん！ （象二郎） 「きっと　ご不快に思し召され→ 厳科に 処されるべきはずのところ→ 御慈恵をもって 切腹　これを　おおせつけらる」。 おおせ渡さるる趣　恐れ入り奉る。 （半平太）「けんどの　冨。→ もし 来世ゆうもんがあるがやったら→ わしは　また　おまんと出会うて 夫婦になりたいがじゃき。→ その時は→ ずっと おまんと一緒におるがじゃき　冨」。 ♪♪～ ああ…！ 待ちや！ ♪♪～ 私の旦那様は→ 立派な最期を 迎えることができたがですき。 私は　幸せですき…。 これからは　旦那様の分まで→ 私は　生きていきますきに。 （和助の泣き声） わしらは　薩摩へ行くがじゃき。 （長次郎）…薩摩？！ わしは言うたろう。 西郷は 小そう　たたいたら　小そう　響き→ 大きゅう　たたいたら 大きゅう　響く…。 とんでものう　したたかな男ぜよ。 ほんなら　なおさら薩摩の世話に なってはいかんろう！ ええように使われてしまうんと ちゃいますか　わしらは！ 大きゅう　たたいたら えいがじゃき！ 西郷が　わしらに目をむくほど→ 大きゅう　たたいちゃったら えいだけのことぜよ。 わしらは　どんな船じゃち　操れる。 黒船じゃち 自由自在に操れるろう。 この腕があるかぎり→ わしらは 誰にも縛られることのう→ 己の道を進むことが できるがじゃき。 己の道…？！ それはのぉ…→ この国を…　洗濯することぜよ。 洗濯？ 徳川幕府が　２６０年間も 支配しちょった　この国には→ 苔のような垢が びっしりと　へばりついちゅう！ それを　わしらが 隅から隅まで　全部　落として→ 真っ白にするがじゃき！ それこそが…→ わしらの成すべきことぜよ。 ♪♪～ ＜この時から　龍馬の目は→ はるかな高みを 見据え始めたがじゃ＞ （酒を注ぐ音） （権平）春猪。　ちゃんと食べや。 …はい。 ♪♪～ どんどん運んで！ はよう　はよう。 それは　こっちや。 お龍ちゃん！ （龍）はい。 お客さん　頼むえ。 はい。 う　み。　う　み…。 う　み！　よし。 お越しやす！　どうぞ。 お越しやす。 お疲れさんどす。 母上！　母上！ ＜命のはかなさを　思い知り＞ ああああ…！　無理じゃ！ ＜志の尊さを知り→ 悲しみも→ 別れも→ むなしさも→ 悔しさも＞ 逃げや～！ ＜恐ろしさも＞ 武市さん…。 達者でのぉ。 ＜人の情けも　愚かしさも知り→ 龍馬は　この時から→ あの 坂本龍馬になっていったがぜよ＞ 海軍を作るゆう　夢を絶たれ→ 盟友　武市半平太を失うてから…。 そうじゃ。 龍馬は 人が変わってしもうたがじゃ。 幕府を倒すがじゃ。 幕府の下から飛び出してみんかえ。 薩摩の有様まで語っとは ちっとばっかい　おこがましかど。 （銃声） 差し上げます。 この世に 生まれたからには→ 面白い人生に したいじゃありませんか。 長州と薩摩を 結びつけるためぜよ。 二度と　僕の前に現れるな。 どういてながじゃ…！ ナイスミチュー。 ナイスミチュー。 （惣之丞）相手にもして もらえんかったがじゃないかえ！ （喜勢）親子水入らず。 親子水入らずじゃ！ ロン。 新選組のお陰だぞ。 はい。 幕府を倒して　新しい国の仕組みを 作らんといかんがです。 薩摩～！ やめや　おんしら！ 喧嘩しゆう場合かえ！ ＜高知市の中心にそびえる 高知城。→ 城を取り囲む地域は→ 上士だけが居住を許された 特別な場所でした。→ 上士となった半平太が　失脚し 投獄された場所は→ 城から　すぐの所にあります。→ 慶応元年（１８６５年）　半平太に→ 武士の身分を保ったままの自決が 言い渡されました。→ 古式にのっとり→ 毅然とした態度で切腹した 最期からは→ 半平太の武士としての生きざまを うかがい知ることができます＞ ＜かつての邸宅近くに→ 半平太を祭る神社が 建っています。→ 傍らには 半平太と　妻　冨の墓があります。→ 妻を一途に愛した　半平太。→ 今は　ただ　２人で穏やかな時間を 過ごしているのかもしれません＞

山女日記～女たちは頂きを目指して～＃01

1 (柚月)<山を登る｡ それは どの石に足を置くか➡ 一足一足 果てしなく探す事｡➡ まるで人生のようです｡➡ 山に登ってみませんか？➡ もしかしたら あなたの捜し物も そこに…> ☎ ☎ これは 女性だけで立ち上げる 初めてのﾌﾟﾛｼﾞｪｸﾄﾁｰﾑです｡ 成果を上げて 私たち女性社員の 未来を変えましょう｡ ☎ ☎ (目覚まし時計のベル) (犬の鳴き声) (目覚まし時計のベル) あ～ う～ん あ～…｡ (目覚まし時計のベル) はあ… ﾊﾆｰ おはよう｡ 分かった 分かった｡ 起きるから｡ よいしょ｡ ♬～ 今まで行ったのが 富士山と高尾山です｡ ﾈｯﾄで ｢山ｶﾞｰﾙ｣とか調べて➡ 洋服とか かわいいの そろえたら 案外 ﾃﾝｼｮﾝ上がってきちゃって｡ 性格が出ますよね 山って｡ その人の本質が 全部見えちゃうっていうか｡➡ 必死になっちゃって 周りが見えてない人とか｡ やっぱり 自分自身の闘いで それを 自分の中で克服すると➡ 本当に 一皮むけたなみたいな｡ ♬～ 下界にいると 必ず誰かに比べられちゃうから➡ 誰の評価も受けなくていい っていうのが楽ですね｡ ♬～ (木嶋)ｸﾞｯﾓｰﾆﾝ！ おっはよう 柚月さん｡ おはようございます｡ ヘイ ﾊﾆｰ！ ﾊﾆｰ！ おはよう～｡ 何？ 何って 一本立ちﾃﾞﾋﾞｭｰ記念に 現場まで送ってやろうと思ってさ｡ 優しい先輩だろ？ 年若いのに｡ 結構です｡ 遠慮すんなって｡ 遠慮してない｡ 車ないと 帰り困るから｡ だから 帰りも 俺が迎えに…｡ 大丈夫です｡ はい ﾊﾆｰ｡ 気負うなよ～｡ 気負ってない｡ ﾛｰﾌﾟ 持ったか？ 大倉乗越からの下り きついぞ｡ 了解｡ ♬～ 柚月～ ﾌｧｲﾄ～！ <私は 立花柚月｡➡ 北ｱﾙﾌﾟｽの麓にある この村で 登山ｶﾞｲﾄﾞの仕事を始めて２年｡➡ これまで 補佐役として さまざまな登山ﾂｱｰに参加し➡ 経験を積んできました｡➡ そして 今日 初めて 単独のﾂｱｰｶﾞｲﾄﾞに臨みます> <ちなみに 登山ｶﾞｲﾄﾞと山岳ｶﾞｲﾄﾞは違います> <私たち 登山ｶﾞｲﾄﾞは 一般登山道の案内が中心で➡ ｽﾃｰｼﾞⅠからｽﾃｰｼﾞⅢのﾚﾍﾞﾙがあり➡ それぞれ 公の資格認定試験に➡ 合格する必要があるのです｡➡ 私が取得したのは 登山ｶﾞｲﾄﾞのｽﾃｰｼﾞⅡ｡➡ 一般登山道であれば 四季を通じて 案内ができるﾚﾍﾞﾙです> ♬～ ♬～ よし ﾊﾆｰ おいで｡ 直子さん おはようございま～す｡ (直子)あ～ おはよう ﾊﾆｰ｡ おはよう｡ 立花さん ちゃんと眠れた？ いや 寝た事は寝たんですけど➡ 何か 夢の中で 山の中 ｸﾞﾙｸﾞﾙｸﾞﾙｸﾞﾙ歩き回ってて…｡ そのぐらい元気だったら 大丈夫よ｡ はい｡ あ～！ ありがとうございます｡ 元気の源｡ うれしい～ いつも ありがとうございます｡ いいえ｡ じゃあ ﾊﾆｰ はい 直子さんに｡ よろしくお願いします｡ はい かしこまりました｡ ｶﾞｲﾄﾞに必要なのは 知識や技術だけじゃない｡ 立花さんにしかできない事を 見つける事よ｡ はい｡ 頑張ります｡ 頑張って！ はい！ 行ってらっしゃい！ バイ ﾊﾆｰ｡ 行ってきま～す｡ 伸び伸びとね～｡ は～い！ (陽菜)あっ 柚月さん 柚月さん！ 柚月さん こっち！ ｽﾄｯﾌﾟ ｽﾄｯﾌﾟ ｽﾄｯﾌﾟ！ いや～！ 何？ ｸﾞｯﾄﾞﾀｲﾐﾝｸﾞ！ どうしたの？ 陽菜ちゃん｡ いや 松本で朝一から会議あるの すっかり忘れてて｡ もう最悪！ じゃあ 駅まで送ればいいの？ そう そう そう 電車までね あと６分｡ 乗り遅れたらｱｳﾄだから ﾊﾘｰｱｯﾌﾟ ﾊﾘｰｱｯﾌﾟ！ ちょっと～｡ いや～！ お兄ちゃんと 一緒じゃなかったんだ？ え？ えっ 迎えに行ったでしょ？ お兄ちゃん｡ ああ… うん｡ 柚月さんの晴れ舞台は➡ 俺が盛り上げてやるんだって ﾒﾁｬﾒﾁｬ 張り切ってたけど｡ まあ 気持ちは ありがたいんだけどね｡ ぶっちゃけ どうなの？ え？ お兄ちゃん｡ ああ…｡ あ～ やっぱ 興味ないか｡ まあ 年下だしね 頭は筋肉だし 空気読めないし｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ｡ でもさ 柚月さんも変わってるよね｡ えっ 何で？ だって 40にもなって➡ 登山ｶﾞｲﾄﾞになろうなんて 今更 思わないでしょ 普通｡ いやいやいや まだ37だから 37｡ しかも 前は ﾊﾞﾘﾊﾞﾘの都会派だったんだって？ うん…｡ みんなで成果を上げて 私たち 女性社員の未来を変えましょう｡ (一同)はい！ (拍手) ありえない｡ ♬～ あ～ 間に合った ありがとう！ じゃあね！ 私は 柚月さんの味方だから｡ ﾌｧｲﾄ｡ ありがとう！ じゃあね！ ありえない… ね｡ ﾌｧｲﾄ！ (律子)だから お義母さんの事｡➡ 無理｡ いくら話しても 答えは一緒｡ とにかく 今は 結論なんて出せない｡ ねえ ﾊﾞｯﾃﾘｰが減るから切るよ｡ じゃあね｡ (ため息) 行かないの？ ﾄｲﾚ｡ もう 山小屋までないらしいよ｡ (由美)虫 いた？ そりゃ いるでしょ 山なんだから｡ あ～ だったらいい｡ 絶対 無理｡ 我慢する｡ 多希子は？ 連絡来た？ うん やっぱ来れないって｡ え!? じゃあ 明日の温泉も ｷｬﾝｾﾙって事？ うん｡ ほら｡ どうする？ 私たちも やめとく？ やめとくって… この道具だって➡ 高いお金出して 買いそろえたのに｡ 誘ったの 多希ちゃんなのにね｡ 自分だけ ﾄﾞﾀｷｬﾝなんて 絶対ありえない｡ 風邪っていうのもさ 本当かな？ ほら 前にもあったじゃん｡ 去年の女子会 ｸﾘｽﾏｽ｡ あった｡ あれも 実は男だった｡ 最低！ あっ…｡ 何？ ﾄﾞﾗﾏ予約すんの忘れてた｡ 多希ちゃんに お願いしよう｡ (ため息) 何やってんだろ 私 こんな所で｡ (神崎)あの…｡ はい｡ ああ すみません 座り… 座ります？ ああ いえいえ｡ 失礼ですけど 登山ﾂｱｰの方？ はい｡ え～と ｢紅葉の植物と｣…➡ 何だっけ？ あれ｡ これです｡ だったら一緒だ｡ 僕たちも参加します｡ 美津子さん やっぱり そうでした｡ 私 神崎といいます｡ こちら 西山さん｡ (美津子)西山です よろしくね｡ 江藤です｡ 芝田です｡ ２人とも 山 初めてで｡ 本当に登れるのか 心配なんですけど｡ 美津子さん お仲間がいて よかったですね｡ 大丈夫ですよ そのためのﾂｱｰなんですから｡ さあ どうぞ座って下さい はい｡➡ 今 ｺｰﾋｰ いれますからね｡ (美津子)すいません｡ はい どうぞ｡ はい どうぞ｡ ありがと｡ ♬～ よし｡ おはようございます｡ え～と ﾂｱｰに参加される方ですよね？ ４人とも そうです｡ 登山ｶﾞｲﾄﾞの立花柚月です｡ これから ２日間 ﾂｱｰを担当させて頂きます｡ よろしくお願いします｡ (４人)よろしくお願いします｡ 神崎です｡ あっ 神崎さん｡ 女性なんだ｡ ﾑｷﾑｷでｲｹﾒﾝの山男でも 期待してた？ だって 一応 高いお金払ってんだし｡ 若い男にも興味あるんだ｡ え？ え～と 代表の三原多希子さんは？ 欠席です｡ え？ 何か 急に 風邪ひいて 熱出しちゃったみたいで｡ あ～ そういう事は 事前に 連絡して頂けると助かります｡ はい｡ でも 私も 夜行バスに乗る直前に知って➡ 夜中に電話するのも何かなって…｡ 分かりました｡ え～ じゃあ 江藤さんは？ 私です｡ で こっちが 芝田…｡ 嫌っ あ～っ！ 何 何 何 何!? 虫… えっ 取って 取って｡ あ～｡ でも あのﾃﾝﾄｳﾑｼ…｡ あ～ 虫 虫… 絶対無理！ ああ…｡ 無理って 山に入れば➡ 虫は いるでしょう｡ やっぱ やめます｡ は？ は？ 行くの やめます｡ 由美！ だって 無理なものは無理だもん｡ あの… だったら これ よかったら 使って下さい｡ 意外に効きますから｡ ありがとうございます｡ あっ｡ (せきこみ) かけ過ぎ それ もう 嫌！ 先が思いやられるわね｡ (由美)ありがとうございます｡ ここから いよいよ登山道に入ります｡ この先 ちょっと 木道 水でぬれてるんで➡ 滑らないように気を付けて下さい｡ 一歩一歩 ゆっくりで いいですから｡ ♬～ 川の音が きれいですね｡ この先 また 階段ですからね➡ 気を付けて下さいね｡ 一歩一歩 着実に｡ は～い｡ ここら辺 まだ標高が低いですけど➡ そっち 見て下さい｡ 少しずつ ｳﾙｼに色がついて もう 紅葉始まってますよ｡ ♬～ ここら辺 石がｺﾞﾛｺﾞﾛしてますので➡ 浮き石に ちょっと気を付けて 歩いて下さい｡ (律子)は～い｡ (神崎)気を付けて｡ よいしょ｡ ゆっくり行きましょうね｡ あれ？ あっ ｶﾞｲﾄﾞさん｡ はい｡ ああ すいません 神崎さん｡ 芝田さん どうなさいました？ ちょっと ﾍﾟｰｽ速すぎました？ あの～ 山小屋って まだ先ですか？ あ～ まだ 登り始めて 20分ぐらいですから｡ で あと どれぐらい？ あと３時間半ぐらい｡ ああっ ちょっ… ちょっと ど… どうなさいました？ そんなに我慢できない｡ ﾄｲﾚ…｡ ﾄｲﾚ？ だから 言ったのに｡ あ～… でも 今から登山口まで戻ったら➡ ちょっと時間が…｡ あ～ だったら どうしたら？ えっ どうしたらって…➡ あっ ちょうど あっちの茂みの方で…｡ え～！ やっぱ 帰ります｡ え？ あっ ちょっと！ ちょっと ちょっと 芝田さん！ 待って下さい 待って下さい！ ここなら 誰にも見えませんから 安心して使って下さい｡ は？ で これ 携帯ﾄｲﾚ｡ 環境保護です｡ 排せつ物も 極力 持ち帰る必要がありますから｡ これ 凝固剤です｡ マジ？ ﾁｬｯｸ 中から閉めて下さいね｡ はい｡ 私 見てますから 安心して下さい｡ ≪(由美)あっ あっ あ～ 虫！ な… 何!? どうしました？ 皆さん ちょっと注目して下さい｡ こちらの紫のﾚｰｽを広げたような かわいらしい花なんですが➡ この花 ﾀｶﾈﾏﾂﾑｼｿｳ 別名 ﾐﾔﾏﾏﾂﾑｼｿｳといいます｡ お坊さんがね 巡礼の時に持ち歩く 松虫鉦という鉦にね➡ 姿が似ている事から そう呼ばれるんですが➡ どうなんでしょう｡ あと あそこ見えますか？ ねえ ちょっと赤い ｵｰﾅﾒﾝﾄみたいな➡ 小さな実が見えますよね｡ 今はもう 実だけに なっちゃってるんですけど➡ これは ﾍﾞﾆﾊﾞﾅｲﾁｺﾞといいます｡ 野ｲﾁｺﾞっていうと➡ 普通 白い花が咲くｲﾒｰｼﾞが あると思うんですが…｡ こんにちは！ こんにちは｡ こんにちは｡ こんにちは｡ あっ あの… 白い花が咲くｲﾒｰｼﾞが あると思うんですが➡ この花はですね 読んで字のごとく 花が赤いんですね｡ それでは ここら辺で いったん 休憩を取ります｡ は～い｡ そんなに撮って どうすんの？ 誰か見せる人でもいるの？ うん…｡ 彼氏？ あ… りっちゃん 私も 一口 ちょうだい｡ 自分の飲みなよ｡ だって ﾘｭｯｸ開けるの➡ 面倒なんだもん｡ 信じられない｡ やだ 絶対 あげない｡ 冷たいな～｡ そんなんじゃ いい結婚できないぞ｡ 美津子さん こっち｡ どうですか？ イスの座り心地｡ ああ いいですよ ありがとうございます｡ どうぞ ｴﾈﾙｷﾞｰ補給に｡ あ～ これ もしかして ﾆｭｰｽでやってた？ ええ 今 パリで一番人気のﾁｮｺﾚｰﾄ｡ 先週 丸の内に １号店がｵｰﾌﾟﾝしたばかりです｡ お口に合うといいんですが｡ 高かったでしょ？ いや～ こんな場所まで おつきあい頂いて➡ まさか 100円の板ﾁｮｺって訳には いきません｡ じゃあ 遠慮なく｡ どうぞ｡ あの～ ｶﾞｲﾄﾞさん｡ ああ はい｡ 立花です｡ よかったら 立花って呼んで下さい｡ 立花さん この花って何ですか？ さっき撮ったんですけど➡ 名前が分かんなくて｡ これは…｡ あ～ これは➡ ｱｻﾞﾐですね 間違いない｡ ふ～ん｡ 神崎さん 登山されるんですか？ ええ｡ 高校時代 山岳部だったので ぼちぼちです｡ えっ それなのに わざわざ ﾂｱｰに？ いや それはまあ…｡ あの ごめんなさい これ ｱｻﾞﾐじゃありません｡ え？ 似てるけど ﾀﾑﾗｿｳです｡ そうね ﾀﾑﾗｿｳ｡ ｱｻﾞﾐは 花にトゲがあるけど➡ これは ないでしょう？ 詳しいですね 西山さん｡ 山 初めてですよね｡ お花の事は 昔から好きで➡ 詳しいんです｡ でも さすが ｶﾞｲﾄﾞさん➡ 頼りになる｡ いえいえ｡ 立花です｡ あっ どうぞ｡ あ… いいんですか？ いいんですか？ いや… これは…｡ 頂きます｡ おいしいですよ｡ どうぞ どうぞ｡ わ～｡ すいません｡ 皆さん このあとですね 十二曲りという ちょっと急登で➡ 曲がりくねった道に 入っていきます｡ 足元 気を付けて 登っていきましょう｡ (神崎)はい｡ どれぐらい登るんですか？ あ～ そうですね 30分 見ておけば｡ まあ ﾜﾝﾋﾟｯﾁ 結構 ｶｰﾌﾞ ｶｰﾌﾞが そんなに長くないので｡ (一同)はい｡ 頑張りましょう｡ (神崎)頑張りましょう｡ (律子)頑張りま～す｡ (由美)きついよ～｡ 待って やっぱりダメ…｡ もう… ちょっとは ほかの人の迷惑も考えなよ｡ だって 歩けないんだもん しかたないじゃん｡ 荷物が 重すぎるんじゃないっすか｡ ねえ！ ああ 先ほどは どうも｡ ういっす｡ 芝田さん ちょっと 荷物いいですか？ はい｡ よいしょ｡ 私 お預かりします｡ はい｡ あ～…｡ うわ 重っ｡ あんた これ 何入れてきたのよ｡ ごめんなさい｡ 開けさせてもらっていいですか？ はい｡ (神崎)わっ ﾊﾟｲﾅｯﾌﾟﾙ｡ 果物が いっぱい｡ ﾏﾝｺﾞｰ？ (律子)秀栄庵の羊羹｡ (律子)つかさ堂のいちご大福｡➡ これ 全部 うちの地下で 売ってるものです｡ えっ 地下って？ ﾃﾞﾊﾟｰﾄです｡ 私たち そこで働いてて｡ (神崎)そうなんですか｡ どうしたのよ こんなに たくさん｡ もらったの｡ 山で みんなで 食べたら おいしいかなって｡ 子どもの遠足じゃないんだから｡ 大体 もらったって 誰…｡ え？ いえ｡ それ どうします？ 私と２人で分けます｡ 大丈夫です｡ 私が お預かりします｡ さすが 頼りになるな｡ 大丈夫？ 少し持ちましょうか？ 大丈夫ですから｡ 私も 少し持ちます｡ じゃあ 本当に軽いものだけ｡ はい｡ ごめんなさい ﾏﾝｺﾞｰ熟してて あの 潰れないようにしてもらって➡ いいですか？ ああ 分かりました｡ すいません｡ 上に入ります？ 大丈夫ですよ｡ よいしょ じゃ 行きましょうか｡ (由美)うわ～ めっちゃ軽い｡➡ 大丈夫ですか？ ええ 大丈夫ですよ｡ (由美)すいません｡ 軽～い｡ じゃあ 行きましょうか｡ は～い｡ はい｡ 部長｡ どうしたの？ 由美｡ (元原)何でもない｡ 売り場が 人手足りないぞ｡ ♬｢夏がくれば思い出す はるかな尾瀬｣ 尾瀬じゃないし｡ ♬｢遠い空｣ (美津子) ♬｢霧のなかに うかびくる やさしい影 野の小道｣ (神崎)♬｢水ばしょうの花が 咲いている｣ (美津子 神崎) ♬｢夢みて咲いている水のほとり｣ ♬｢しゃくなげ色に たそがれる｣ (柚月 美津子 神崎 由美) ♬｢はるかな尾瀬｣ ♬｢遠い空｣ ﾊﾊﾊﾊ ハモったかな｡ まあまあでしたかね｡ (神崎)いや いや いや｡ (美津子)では｡ (一同)頂きま～す｡ う～ん おいしい｡ やっぱり つかさ堂 元祖ですね｡ 本当 包みも中身も昔と一緒で 懐かしい｡ 昔って？ ﾊﾞﾌﾞﾙ時代｡ ちょうど あのころ はやりだしたのよ いちご大福｡ これですか？ ｱﾊﾊ 年がﾊﾞﾚﾊﾞﾚ｡ あのころ 僕は 役所の 土地開発公社にいたんです｡ いや～ すごかったな｡ いい思いした｡ あんな時代 もう二度と来ませんよ ねえ 美津子さん｡ 私は そんなに いい思いはなかったけど｡ あっ…｡ あの 失礼ですけど お二人の関係って…？ 関係？ あっ 友人同士です｡ 僕は役所の福祉課にいて➡ 西山さんは 同じ町の介護施設の職員で｡➡ それが縁で お互い… ね？ 介護施設…｡ りっちゃん 食べないの？ おなかいっぱいで｡ よろしかったら どうぞ｡ (神崎)ああ おいしい｡ (美津子)う～ん｡ これ 全員の宿泊費です｡ はい｡ 確認して下さい｡ はい｡ はい 領収書｡ はい すいません｡ そういえば 木嶋君 どうした？ 今日から 私一人です｡ え？ つまり あなたも いよいよ一本立ちか｡ はい おかげさまで｡ へえ～ あなた 名前 何だっけ？ 立花です｡ 立花柚月｡ へえ～ そう｡ よろしくお願いします｡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ 年寄りを からかうもんじゃないよ｡ いるじゃないの そこに｡ (あくび) すいません｡ ああ お疲れっす｡ さっきから どういうつもり？ 何で 木嶋君が ここにいるのよ｡ 何でって？ 暇だから ちょっと様子見に｡ それって 私を信用してないって事ですよね｡ 誰も そんな事 言ってないでしょ｡ 確かに 出発前に お客さんの 荷物ﾁｪｯｸを怠ったのは➡ 私のミスです｡ でも ほかは ちゃんと やってます｡ 柚月さんの事は 俺も 信用してますから｡ だったら 変に つきまとうのは やめて下さい｡ ほらほら 眉間に しわ寄ってる｡ 笑って 笑って｡ うん！ ちょっと！ ウ～ッ！ ﾊﾊﾊ 絶対落ちると思ったでしょ｡ (堅太郎)いや 思ってないよ｡ ≪(階段を上る音) こんな場所でも 電波入るんだね｡ すごいね｡ さっきさ 多希ちゃんに 写真送ったら➡ すっごい 羨ましがってた｡ りっちゃんにも よろしくだって｡ そう｡ りっちゃんさ 結婚式の準備 進んでる？ うん ぼちぼちかな｡ 仲人さんて 元原部長でしょ？ うん｡ 仲人って 夫婦でやるんだよね｡ 奥さんに会った？ 会ったよ｡ どんな人？ 元原部長の奥さん｡ すんごく きれいな人｡ 優しいし 気が利くし｡ でも それだけじゃない｡ ちゃんと 自分を持ってて聡明で｡ ﾊﾞｲｵﾘﾝが すごく上手なの｡ 音大時代の仲間と 時々 ﾁｬﾘﾃｨｰｺﾝｻｰﾄ開くんだって｡ 部長も かっこいいし 本当 お似合いのご夫婦だと思う｡ そう｡ りっちゃんさ もしかして 私と部長の事…｡ うん 知ってるよ｡ 見ちゃった｡ 先週 新宿のﾎﾃﾙで｡ 予算ねえ やっぱ 300万ぐらい？ まさか！ せいぜい 200でしょ｡ いや～ ここは頑張らないと｡ (由美)お待たせ｡ 部長？ 部長？ あっ ねえねえ➡ これ いいんじゃない？ これ ほら ほら ほら｡ そっか？ 見たくないけど 見ちゃったから｡ いちご大福も ﾏﾝｺﾞｰも 部長の差し入れでしょ？ その事 誰かに話した？ 多希ちゃんとか｡ ううん｡ 堅太郎さんは？ 話せないよ｡ 仲人が 新郎新婦の友人と 不倫関係なんて➡ どんだけ おめでたい結婚式よ｡ ごめん…｡ りっちゃん ごめんなさい｡ 午後のお水です｡ 皆さん｡ 妙高山 本日のﾒｲﾝｲﾍﾞﾝﾄです｡ (神崎)うわ～ でっかいな～｡ あれ 登るんですか？ はい｡ 私 無理かも｡ だったら １人で引き返せば？ 美津子さん 山 ﾊﾞｯｸに｡ 下がって｡ いいですか？ はい ﾁｰｽﾞ｡ ああ いい感じです｡ あっちが 火打山です｡ へえ～｡ 明日 登る山ですよ｡ 大丈夫です 美津子さん 僕が ついてますから｡ ♬～ すご～い｡ (由美)あっ… 怖～い｡ 私 無理かも｡ (律子)え～ 私も自信ない｡ ﾛｰﾌﾟ 張りますか？ ええ 張ります｡ [ 回想 ] ﾛｰﾌﾟ 持ったか？ 大倉乗越からの下り きついぞ｡ ♬～ 大丈夫ですか？ ああ 大丈夫です｡ ｽﾏﾎで 結び方 調べましょうか？ いえいえ 本当に大丈夫ですから 安心して下さい｡ よし｡ あ 出来た｡ 出来たかな？ はい ｵｰｹｰです｡ じゃあ 神崎さん 経験者なんで 一番最初に 下りて頂きます｡ あ… 僕が？ はい｡ ﾛｰﾌﾟ 行きま～す！ ♬～ もう ええ 足を先に確保してから 下りていって下さい｡ はい… ああ～｡ ゆっくり行って下さい｡ ゆっくり｡ 一歩一歩で大丈夫ですよ｡ はい｡ 下を見て 足場を確保して｡ もう少しですよ｡ はい｡ 最後の一歩｡ ああ… はあ ｵｰｹｰです｡ じゃあ 芝田さん 行きましょう｡ (由美)はい｡ 大丈夫ですよ しっかりね｡ はい｡ そうです｡ そんな感じで持って｡ 普通に握ればいいですか？ そうです そうです｡ しっかり握って｡ 怖い｡ 片足を確保して はい｡ 石を落とさないように ゆっくり行って下さい｡ とにかく 足場を確保してから はい 進んで下さい｡ あと少しですよ｡ もうちょっと｡ ｶﾞﾝﾊﾞ ｶﾞﾝﾊﾞ｡ よし 大丈夫かな｡ あ～っ！ わ～ びっくりした｡ すいません｡ りっちゃん 大丈夫よ｡ ゆっくりでいいからね｡ すいません｡ はい もう少しです｡ 頑張りましょう！ はい おめでとうございます｡ (神崎)着きました？ 百名山 １つ制覇です｡ (神崎)やった！ (美津子)着いた～！ (神崎)やっとだ｡ (由美)飛びたい～！ ほら ほら 2,454…｡ ああ やっと１つ 制覇ですよ｡➡ ああ しんどかった｡ おそろいなんですね そのﾄﾝﾎﾞ玉｡ (律子)本当だ かわいい～｡ かわいい｡ ああ 作ったんです｡ ﾊﾟｰﾃｨｰのｲﾍﾞﾝﾄで｡ こっちが 神崎さん こっちが 私｡ お互いに作ったのを➡ 交換したんです｡ へえ ﾊﾟｰﾃｨｰ？ ええ 自治体主催の 何て言うか… ね｡ 婚活ﾊﾟｰﾃｨｰ｡ 早い話が集団お見合い｡➡ 私たち 本当は そこで知り合ったんです｡ へえ～｡ (美津子)自分の好きな色を ３色選んで ｶﾞﾗｽ玉を作って➡ 意中の人の名前を書いて 封筒に入れるの｡➡ 返ってきた封筒に 相手のﾄﾝﾎﾞ玉が入っていれば➡ ｶｯﾌﾟﾙ成立｡ (律子)そうなんだ～｡ じゃあ これって お見合いﾃﾞｰﾄじゃないですか｡ そう！ 友達なんて言って もう！ ううん お友達｡ だって まだ➡ 何にも言われてないもん｡ ね！ 神崎さん｡ ああ まあ…｡ ♬～ じゃあ あの よかったら 写真撮りませんか？ ああ いいですね｡ 由美 写真撮るよ！ (由美)は～い｡ どうぞ 入って下さい｡ じゃあ 標柱を真ん中に 皆さんで｡ はい｡ はい 元気にいきましょう！ １足す１は？ (一同)２！ いいですね～ じゃあ もう一枚いきます｡ 今度 僕撮りますよ｡ 誰かに撮ってもらえば？ (律子)そうですよ｡ 撮りましょうか？ じゃあ お願いし…｡ どうぞ どうぞ｡ (律子)すいません お願いします｡ はい｡ じゃあ 撮りますよ｡ ｹﾞｯﾂ！ ﾊﾊﾊﾊ！ ｴｸｾﾚﾝﾄ！ お疲れ～｡ ありがとうございました｡ ♬｢夏がくれば思い出す｣ ♬｢はるかな尾瀬 遠い空｣ 触っちゃダメ！ 西山さん｡ その花 何の花か知ってる？ ﾔﾏﾄﾘｶﾌﾞﾄ｡ ﾄﾘｶﾌﾞﾄ？ 人を殺せるって あれですか？ そう｡ よく 根っこに毒があるって いうけど➡ 実際は全体にあるの｡ 花にも花粉にも｡ だから 養蜂業者は この花の近くでは➡ ﾐﾂﾊﾞﾁを 絶対に放したりしないの｡ そうなんだ｡ こんなに きれいなのに｡ (ｼｬｯﾀｰ音) きっと 自分を守るのに 必死なんですね｡ ん？ そうそう 西山さんに➡ 一つ 折り入って 相談があるんです｡ 律子の事で｡ りっちゃん？ はい｡ 戻りながら話します｡ 泊まるんだ｡ 一応 ﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄだから どうしようと勝手だろ｡ そうだけど…｡ ﾛｰﾌﾟﾜｰｸは もう一度 基礎から練習だな｡ 見てたんだ｡ 最初は どうなるかと思ったけど➡ 手を貸すと 怒られると思って～！ ﾊﾊﾊﾊﾊ よかったよ ちゃんと できて｡ そういう時は 手伝ってくれていいから｡ 食う？ いいです｡ ふ～ん｡ うわっ いい匂い｡ うんめえ！ 皆さん 今日は お疲れさまでした｡ (一同)お疲れさまでした｡ 事故もなく 無事に➡ 妙高山山頂を踏めて 本当に よかったと思います｡ 立花さん あなたのおかげ｡ いやいや｡ 明日は もう一つの百名山 火打山です｡ みんなで 息を合わせて 頑張っていきましょう｡ はい｡ じゃあ お疲れさまでした｡ (一同)乾杯！ お疲れさまでした！ お疲れさま はい｡ あ～っ おいしい！ あ～っ！ やっぱり これに勝る贅沢は ありませんね｡ でも これ 600円って 高くないですか？ しょうがないでしょ 山の上なんだから｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ それから もう一つ｡ りっちゃん ご結婚おめでとう！ おめでとう｡ おめでとうございます｡ (拍手) 聞いたわよ 芝田さんから｡ 社内恋愛なんですって？ ああ…｡ りっちゃん おめでとう｡ これ 私と多希子からﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ｡ (美津子)何？ (美津子)夫婦箸 すてきじゃない！ ありがとう｡ 僕と西山さんからは これ｡ 前もって聞いてたら もっと 何か用意したんだけど｡ 一応 年代物のﾜｲﾝです｡ え～ すごい｡ こんなもの頂いて いいんですか？ いいの いいの｡ どうせ 飲むつもりだったんだから｡ ねえ！ ありがとうございます｡ ごめんなさい 私からは これ｡ お守りの石です｡ ご主人の いいｶﾞｲﾄﾞ役に なってあげて下さい｡ 立花さんまで｡ ありがとうございます｡ 痛い時は ２人でツボ押し！ (笑い声) じゃあ 改めて｡ おめでとう！ おめでとう！ おめでとう！ あ～ おいしい｡ (由美)ﾏﾝｺﾞｰ 食べましょう｡ (美津子) じゃあ ﾗ･ﾌﾗﾝｽ頂きま～す｡ 私は ﾘﾝｺﾞで｡ (神崎)うわ～ 甘い｡ すごい糖度｡ どうしてるかな 柚月さん｡ １人で 本当に大丈夫かな？ ｱﾊｯ 大丈夫よ 木嶋君だって ついてるんだから｡ 直子さんが 行けって言ったの？ えっ 違うわよ｡ ほっといたって どうせ行くだろうと思ったから｡ あいつ バカだよね～ また どうせ すぐ振られるのにね～｡ 続くかな 柚月さん 今の仕事｡ どうして？ う～ん 年も年だしさ｡ や～だ そしたら 私は どうなるのよ｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ ねえ ﾊﾆｰ｡ う～ん… でも やっぱり違うよ 直子さんとは｡ 柚月さんは むしろ うちの母親と一緒｡ ここではない どこかに 本当の幸せが転がってる｡ …なんて 今でも本気で信じてる｡ そんな気がする｡ お母さん 若っ｡ ♬～ 私ね 仕事やめて 登山ｶﾞｲﾄﾞに なろうかなと思ってるんだ｡ (吉田)えっ ｶﾞｲﾄﾞ!? 本気？ うん｡ 前から ずっと考えてたんだけど｡ …っていうか 私の背中を押してくれたのは➡ 吉田君だよ｡ ♬～ う～わっ すごい｡ こんな星 初めて｡ 吸い込まれそう｡ 山の上に１泊しないと 見られない景色ですよ｡ これ どうぞ｡ あっ 私に？ すいません｡ さっきのﾜｲﾝ 神崎さんが ﾎｯﾄﾜｲﾝにしてくれました｡ へえ～｡ あ おいしい！ １本 うん万ですって｡ うわ～ もったいな｡ やっぱ 変わってますよね あの２人｡ 何か ﾊﾞﾌﾞﾙのまんまっていうか｡ ﾌﾌﾌ｡ あれ 芝田さんは？ 何か 疲れたから もう寝るって｡ ああ…｡ 立花さんって ｶﾞｲﾄﾞになる前は 何を？ ああ 私も 実は 東京で商社に勤めてたんです｡ 商社!? それって 結構 思い切ってますよね｡ ええ 会う人みんなに言われます｡ ｱﾊﾊﾊﾊ｡ でも 気持ち分かるな～｡ 私だって もうちょっと勇気があったら➡ 絶対 何か新しい事 始めてるもん｡ う～ん でも 結婚も かなり勇気が要ると思いますけど｡ 聞いたでしょ？ 昼間 私と由美の話｡ ごめんなさい 聞く気は 全くなかったんですけど｡ ううん いいんです｡ むしろ 聞いてもらえて よかったのかも｡ え？ 私ね 結婚 やめようかと思ってるんです｡ ど… どうして？ あ… 由美とは関係ないですよ｡ 私と彼の問題で｡ 何か あったんですか？ 信用できなくなったんです 彼の事が｡ ｢お母さんと同居したい｣って 急に言いだして｡ それも 東京じゃなくて 岡山の実家で｡ 彼も 仕事やめて岡山に帰るって｡ 私 そんなの聞いてないって 怒ったんです｡ 今更 何言ってんの!? 信じられない｡ いや だから 今すぐにって訳じゃないよ｡ 向こうで ちゃんと仕事も見つけて りっちゃんが十分納得してから…｡ しません！ 別に お義母さんが嫌とか そういう事じゃないの｡ 私に ひと言も 相談して くれなかった事が許せない｡ 彼は 最初から そのつもりだった｡ 式の日取りが決まるまで 私に一切 相談もしないで…｡ だまされたんです｡ 山に来たのも 本当は 結婚するかしないか➡ 自分の気持ちに 決着をつけるためです｡ 立花さんだったら どうします？ ず～っと信頼してた相手に そうやって 突然 裏切られたら｡ 私は…｡ 立花さん？ 私にも よく分かりません｡ どこが ｺﾞｰﾙかなんて｡ 多分 誰も知らないと思うんです｡ 結婚するとか しないとか➡ きっと そういう事じゃないと思う｡ 人を愛するって｡ ♬～ ♬～ ｶﾌｪﾛﾜｲﾔﾙ どうぞ｡ 頂きます｡ いい香り｡ ♬～ <捜し物は そこにありますか？>

マッサン＃029

1 ♬～ ♬｢なつかしい人々 なつかしい風景｣ ♬｢その総てと離れても あなたと歩きたい｣ ♬｢嵐吹く大地も 嵐吹く時代も｣ ♬｢陽射しを見上げるように あなたを見つめたい｣ ♬｢麦に翼はなくても 歌に翼があるのなら｣ ♬｢伝えておくれ故郷へ ここで生きてゆくと｣ ♬｢麦は泣き 麦は咲き 明日へ育ってゆく｣ (矢口)遅くなりました｡ (政春)失礼します｡ (大作)おい こっち｡ はい！ (ｴﾘｰ)失礼します｡ (守谷) 早速やが 株主の結論を伝える｡ はっ｡ はい｡ (守谷)ｳｲｽｷｰ事業は…➡ 承認できん｡ これは 株主の総意や｡ 何でですか？ 正直 わしは ｳｲｽｷｰ造りに夢を感じた｡ そやけど 絶対反対いう人がおってな｡ 賛成した株主を 説得しはったんや｡ 絶対反対の人って…｡ (正太郎)私です｡ 何でです？ ｳｲｽｷｰの魅力や 料理とのﾊｰﾓﾆｰは よう分かりました｡ けど それと 商いは また別の話です｡ (大作)商い？ (正太郎)仕込んでから➡ ５年も商品にならんもんに 投資するのは 危険すぎます｡ うん… 将来有望な事業に投資するのが➡ 大事な事も分かる｡ けど 今は 葡萄酒爆発以来の 経営の不安を解消する事が➡ 最も優先すべき事と ちゃいますか？ そのとおりです！ じゃけどですのう…｡ ｴﾘｰさん 行きなさい｡ はい… 失礼します｡ ♬～ (守谷)実は 藤岡さんから➡ ｳｲｽｷｰ事業を認めるならば➡ 優子との縁談は なかった事に してほしいと言われてな｡ (正太郎)この際 はっきり言わせてもらいますが➡ 現実が見えてない男が おるような会社に➡ 息子を送り出す事はできません｡ 亀山君の事や｡ 人間な… 夢だけでは生きていかれへん｡ 亀山君 この会社のために➡ ｳｲｽｷｰの夢 諦めてくれんやろか？ えっ…｡ (大作)ｳｲｽｷｰ造りは➡ 亀山だけやのうて…｡ (守谷)黙っといてくれ！ 頼む！ 亀山君…➡ ｳｲｽｷｰ 諦めてくれ｡ ♬～ それは できません！ (守谷) そうか… ほな しゃあない｡ 亀山君 この会社 辞めてくれ｡ (大作)お父さん！ (守谷)ｳｲｽｷｰ事業には 金輪際 手を出さん｡ それに異論があるなら 亀山君は辞めてもらう｡ その２つを のんでもらえない場合➡ 次郎と優子さんの縁談は破談｡ なかった事にさせてもらいます｡ (守谷)優子のためやない｡ この会社のためや！ 大作君 分かってくれるな？ (机をたたく音) ﾏｯｻﾝ｡ (大作)亀山！ 亀山！ 株主は 俺が なんとかする！ ｳｲｽｷｰ造りは 俺らの夢やないか！ おい！ ﾏｯｻﾝ！ 待って！ 待って！ 大丈夫｡ ｳｲｽｷｰは 絶対造れるよ！ 優子さんは どうなる？ わしが ここを辞める事が 結婚の条件なんじゃ！ 優子さんだけじゃない｡ 社長にも迷惑かける事になる｡ ﾏｯｻﾝ！ もう… 一人にしてくれ｡ ♬～ (佳代)こうなったら 亀山君には辞めてもらうしかない｡ そない簡単に お前…｡ 優子の一生が懸かってんねやで｡ 今更 破談やなんて 冗談やない！ なあ？ 優子｡ (優子)ｴﾘｰさん｡ 優子さん…｡ (秋)いらっしゃい！ (春さん)おっ 今日 一人か？ 名歌手のｴﾘｰちゃんは どしとんね？ 酒！ 昼から飲むんか？ ﾊﾊ～ﾝ さてぁ 夫婦げんかじゃの？ 異人のおなごは気が強うて 理屈っぽい言うけぇのう…｡ 酒じゃ！ えっ？ ちいと 黙っとってつかい！ へえ！ (優子) 娘は親の商売道具やいう事が 骨身にしみて よう分かったわ｡ だけど 次郎さんと 結婚したいんでしょ？ 考えても しょうがない｡ うちは何も決める事できへんし｡ どうして？ 一緒に 白いｼｬﾂ 作りに行く約束 したんでしょ？ もう 蓋開けんといて！ 政春さんに言うといて｡ ｢うちの事は気にせんと 自分のしたいように➡ 頑張って 夢を追いかけて｣って｡➡ 話は それだけ｡ ほな｡ 優子さん 待って｡ さよなら｡ ♬～ 酒｡ ﾏｯｻﾝ 飲み過ぎと違う？ な～んぼ飲んでも酔わん｡ 酔えんのじゃ｡ (ｷｬｻﾘﾝ)ごきげんよう｡ (秋)いらっしゃい！ (ｷｬｻﾘﾝ)あら ﾏｯｻﾝ！ 夫婦げんかで ご機嫌斜めじゃ｡ けんかの原因は？ ｴﾘｰは 家におるん？ もう ええけん わしに構わんでつかぁさい｡ あんたに構とるんと違う｡ ｴﾘｰの事 心配しとんねん｡ わしが仲直りさせたるけぇ ここに連れてこい｡ 感謝せなあかんで｡ あんたみたいに 夢みるしか能のない➡ 辛気くさい男と 結婚してくれたんやからな｡ 夢をみて 何が悪いんじゃ！ 大きな声出したら 女は黙ると思たら➡ 大間違いやで！ 何があったんか知らんけど➡ 酒に逃げても しゃあないねん！ 今すぐ帰り！ ｴﾘｰと ちゃんと 話ししい！ ｹﾞｯﾄ ｱｳﾄ ﾅｳ！ 今すぐや！ えいっ！ えいっ！ ﾏｯｻﾝ｡ ただいま｡ お帰り｡ もうすぐ ごはん出来る｡ 大丈夫｡ ええけん｡ ありがとう｡ さっき 優子さん来た｡ ｢ﾏｯｻﾝ 会社辞めたくないなら 辞めなくていい｣って｡ だけど それは 優子さんの 本当の気持ちじゃない｡ 本当は 次郎さんと結婚したい｡ わしが間違うとんかのう…｡ わしが ｳｲｽｷｰ造りたい 言うとるせいで➡ みんなを振り回して みんなに迷惑かけて…｡ ﾏｯｻﾝ…｡ 諦めた方がええんかのう…｡ 違う… 違う｡ ﾏｯｻﾝは 間違ってない｡ ｽｺｯﾄﾗﾝﾄﾞで 一生懸命 頑張った｡ お父さんとも約束した｡ じゃけど…｡ 大丈夫… 大丈夫！ 人生は 冒険 ｱﾄﾞﾍﾞﾝﾁｬｰ｡ 私 夢 食べて 生きていける｡ 夢を食べて？ ﾌﾌｯ…｡ ﾏｯｻﾝの夢があれば 私 生きていける｡ どんな事でも我慢できる｡ ｴﾘｰ…｡ ﾏｯｻﾝ➡ 日本で 初めての男になる｡ 世界一 うまいｳｲｽｷｰ造る男になる｡ ♬～ ♬｢いのち短し 恋せよ乙女｣ ♬｢朱き唇 褪せぬ間に｣ ♬｢熱き血潮の 冷えぬ間に｣ ♬～ ♬｢明日の月日の ないものを｣ ♬～ ♬｢いのち短し 恋せよ乙女｣ ♬｢朱き唇 褪せぬ間に｣ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒１０月３１日 金曜日の「あさイチ」です。 身近な人に大丈夫と 言ってもらえることはね。 エリーがいて本当によかったです ね マッサンに歌うのが 私の仕事というのがね。 このあと堤真一さんのところに 行くんでしょうか。

フレンズ.S03E03.JA

1 親に言われたろ “ベッドで跳ぶな” ジャムを作ってるの 朝４時からよ 果物はどこで？ 港なら朝から 卸値で買える 港なんてあった？ 骨折か？ いや　でも２週間 固定しなきゃ 医者に“ベッドから 落ちた”と？ 言い訳を 考えてたのに— こいつが売った 医者が信じるとはね “ソケットから落ちた”と これ何？ 果物？ ジャムよ ジャム？ 大好きだ なぜ うちにはない？ 貧しいからよ これで商売して立ち直るわ 失恋を乗り越えるの 泣きやむの次は ジャム！ 熱いわよ 全部 俺の分だ やめて “Ｊクルー”のあなた なぜ尾行を？ この１週間ずっとよ 連絡がないからだ やり直そう　アースラ 最低だわ 私はフィービー アースラの双子の妹よ マジでね ストーカーする相手を 間違えた 何てマヌケだ 元気 出して 僕も元はまともだった 彼女に会う前は ただの携帯販売員で 悪いのは あなたじゃないわ 姉は男癖が悪いの ありがと いい言葉がある 中学のころ 自分を魔女だと思ってたの そのときのカウンセラーの 言葉があなたにも役立つわ “君は普通の生徒だよ” ホッとした？ いいや 頑張って あなたは いい人そうだわ 自分に自信を持って そうだね アドバイスをありがとう ありがと コーヒーでも？ 尾(つ)けないで モニカ “瓶(びん)を買いに外出中 モニカ” 待ってよ 誰もいない この部屋に２人きりだ でも あと10分で仕事… 従業員オブ･ザ･イヤー賞は あきらめる 見つけた これのことね 俺 太った？ いいえ ジャニスは同じ答えを “君は牛並みだ”と受け取る 初めから話して “太ったか”と聞くから 俺は彼女を見て… 見た？ 見ちゃダメ 即答しなきゃ “太った？”　“ノー” “私より美人？”　“ノー” “デカチン 好き？” お互いにね そのコツって常識？ ケンカするうちに 覚えるの じゃ 例題だ 旅から戻ったジャニスを どうするべきか？ その１ 独りで帰らせる その２ 君が空港へ出迎える 当然 ２番… ハズレ　別れは近い 正解は隠された３番だ “君がゲートで出迎える” なるほどね　１つ相談だ ジャニスは俺と 抱き合って眠るのが好きだ でも熟睡するには スペースがほしい それをうまく説明したい “君はトドか”と言わずに ごめんね 私たちは抱っこ寝派よ 仕事へ 店に来て すぐに行くよ 頑張ってね ありがと 添い寝問題だが— 解決にはテクがいる 抱っこ寝派じゃ？ 僕は君と同じで 眠れないタチだ 実践しよう ここはベッドだ 枕を使おう 彼女はこっち側で ウットリ寝てる 完ぺきに寝入るのを待って 彼女をギュッと抱き— ゆっくり向こうへ 転がしていく そしたら君は そっと離れるんだ ギュッと抱き— そっと離れる ギュッと そっとね １つ質問 枕が女役？ 映画館に行くとき 親に持たされたろ？ ジャムとスプーン かわいい 私を尾行してる男と 話したの 話した？ 正気か？ 私は正気よ ジャム 吹かないで 彼の名はマルコムで 人違いだったの アースラと勘違いよ 尾けてたのは 裁判所に 近づくなと命令されたせいなの 立派な変態だ 違うわ　変態じゃない 情熱的でロマンチストなの 少しイッちゃってるけどね でもキュートな人よ 驚いた ストーカーに恋したの？ 彼を助けたいだけ “脱アースラ”だわ ジョーイのときみたいに 俺は変態じゃない 噴火しないで あげるわ ブラックベリー･カラントよ どっちがいい？ 裸のコピー屋のネエちゃんと 特大のジャムの瓶 両手を合わせろ それが最後の１瓶よ もう ないの？ 商売の計画は？ 計算したら 割に合わないから— 別の物を作るわ ベイビーよ 大瓶が必要だ 何だって？ 出産するの 本気？ ジャム作りで 自分を取り戻せた それでもっと大切な物を 作ろうと思ったわけ 何か忘れてない？ 何だっけ… 父親だ 前の彼に出会うまで 28年かかった 次の出会いを待てば56歳よ そんなのバカだわ どっちがバカ？ 父親はいらない 必要なのは子種よ 手に入れる場所は ちゃんとあるわ また港へ？ おやすみ　チャンちゃん おやすみ ジャニス あんなにスペースがある 巨大ペンギンも入るぞ 変な例だな それより始めよう ギュッと抱いて そっと転がす やった！ 自由だ 右腕以外はね 抜けないよ 食卓のクロスを引き抜く要領だ パッといくぞ 僕の双眼鏡 追っかけグッズは 強い意志で処分よ 赤外線ゴーグル 読むふりをしてた本 虫食いパズル 趣味なんだ これは？ 観察日記だ 彼女の行動を記録してた 読もうか？ 興味ゼロ 君の部分だ 読んで “フィービーと会った” “負け犬の僕にも優しい” “帰り道 彼女のことを考えて うれしくなった” ステキ 何を考えたの？ 君にキスしたいなって マジ？ ウソ そう言ったのは 今したいから ＯＫ マスタードで満腹だ 精子提供者03815の データ発表です “身長188 体重77キロ 男版ジーナ･デービス” 俺らよりいい？ やめろよ　でないと… 何？ ママに言う 私もロスに賛成よ そんなの変だもん どこが変なわけ？ 方法は不自然でも… まだ話してる 不自然だけど産みたいの 兄さんとベンを見てると たまらないわ 見てよ ジャム･クラッカーだ この提供者は？ “27歳のイタリア系” “俳優でクイーンズ出身” 大家族ね “妹が７人で 彼が唯一の男” ひと言欄は “ニックスは王者だ” 王者だ！ ジョーイだわ 見せて ホントだ 精子バンクへ？ セックス学の実習でね セーター 贈ったろ？ 精子の稼ぎで？ 提供したとき 着てたんだ まだ売れ残りが？ 競争相手がすごいもの ロケット科学者とか 履歴書に “愛の病院日誌”を追加だ 息子にハクがつく 変質者は？ かわいいの　キスしたわ 大丈夫なの？ 心配ない ストーカーは やめたから でも何年も お姉さんを追ってた人よ そう簡単には やめられないわ 赤外線ゴーグルも没収よ そんな物まで 持ってたやつだぞ まだストーカーしてると？ 裁判で変態と証明されてる どうすべき？ 好きなら信じるべきよ さすがね 彼を尾けて確かめろ それよ　私のは忘れて “セントラル･パーク” “セントラル･パーク” その手は？ その手は？ チャンドラーに ベッドから落とされたの すごいわ　激しいのね なら いいけど ロスの “ギュッとそっと”のせいよ ロスの？ ギュッと抱いて そっと離れる… ヤダ　マジ？ ウソ〜 フィービー 何を？ 見てただけよ　私の— 捨てたサンドイッチ 尾行を？ まあね ごめんなさい　まだ姉を 追ってるのか心配で それで調査？ 疑うなんてひどいよ あれは誰？ どう見ても双子の姉だわ 同じ顔で歩いてる 偶然 来たの？ それとも追ってたわけ？ 悪かった　どうしても やめられなくて 情けないよ 私の荒療治も悪かったわ 禁断症状が出たのね もう交際は無理よ だってあなたは… でも私の力で 姉さんを断ち切らせる 当分 私をストーカーして 私はアースラ･パッチよ でも… 始めるわよ 尾けて 柱の陰よ　見失わないで どこへ？ 銀行よ 普通の？ 精子のほう 決心を？ 37135の精子に決めた よさそう 髪はブラウンで 目はグリーン 意外だ 金髪を選ぶと 何で？ 想像してた　君の相手は 長身の金髪で 名前は— ホイト ホイト？ そんな感じ 目に浮かぶよ プール付きの邸宅に住んでる 彼はスイマー？ カニ腹だ 好みよ 何？ プールに看板が “トイレで 泳ぐ人以外 放尿禁止” 変な看板ね 俺の贈り物だ 子供は３人いるよ ２人は女の子？ 子供たちがプールサイドを 走ってくると— ホイトがタオルで包むの この男もイケるよ モニカ 宇宙飛行士？ クールだ パッと見はね 俺の息子は 一匹も売れてないとさ お蔵入りだ 何でだろう 実際の俺を 知らないからだ ついてるわ 取れた？ ハロー チャンドラー　話がある 女性に関して １つ 常識を教えておくよ 女はおしゃべりだ

花燃ゆ＃17

1 江戸 伝馬町の牢｡ [ 回想 ] (寅次郎)私は どこにも行かん｡ このﾎﾞﾀｵを連れて江戸へ行く｡ (文)至誠を貫き ご公儀を動かすと？ 私は 死なん｡ (寅次郎) ｢呼びだしの 声まつ外に 今の世に 待つべき事の なかりけるかな｣｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬｢愚かなる 吾れのことをも｣ ♬｢友とめづ人は わがとも友と｣ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と めでよ人々｣ ♬～ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と めでよ人々｣ ♬｢燃ゆ｣ ♬～ 入れ！ 話は ４か月前の夏にさかのぼる｡ 寅次郎の最初の取り調べの 数日前の事である｡ (石谷穆清)吉田松陰が 江戸へ到着致しました｡ 遠からず 評定所にて取り調べを｡ 梅田雲浜は いかが致した｡ 松陰との密謀を認めたか？ (石谷)厳しくただしておりますが なかなか…｡➡ いまだ 口を割らず｡ 手を緩めるな！ 攘夷を旗印に朝廷に取り入り➡ 国を大乱に導こうとする者らを 決して許してはならん！ (九一)先生の取り調べは 始まったんですか？ 江戸からは まだ何も｡ (すみ)洗い物は これだけ？ (靖)ご公儀は 先生の幕府への批判を➡ どれほど つかんどるんじゃろう｡ それも まだ…｡ 老中の間部を討とうとした事や 伏見での企てが➡ 漏れておらねばええんじゃが…｡ 前原さん…｡ (前原)申し訳ありません！ 私のせいで 入江や野村が獄につながれ➡ 先生も…｡ 兄は もう 怒ってはおりませんよ｡ ひょっとして 入江さんたちに会いに？ どうしても謝りとうて…｡ お帰り下さい｡ すみ？ 文も前原さんも もう ここには来んでくれる？ 私たち やっと落ち着いて暮らす事が➡ できるんかもしれんの｡ 兄たちが牢を出たら 今度こそ 家族みんなで｡ やから…｡ すみ！ (玄瑞)どねぇした？ 寅兄がおらん間➡ 塾生の方たちのお力になりたいと 思うたんですが…｡ 火が消えそうやないか｡ いっそ 寅兄や塾から離れた方が➡ 幸せになれる人も おるんかもしれんなって｡ 萩に残された者が この先を どねぇして生きるかは➡ その者が決める事じゃ｡ お前が思い煩う事やない｡ でも…｡ あっちい！ 熱っ！ 旦那様 火！ 火が…｡ それがええ｡ えっ？ お前は 笑うた顔がええ｡ どねな道に迷うても➡ それを思い出して戻ってくる者が おるかもしれん｡ 旦那様…｡ (滝)文？ 何か 聞こえたようじゃけど…｡ (玄瑞)俺は どこにも行かん｡ この身は どこにあっても 気持ちは いっつも そばにおる｡ じゃから 寂しそうな顔はすんな｡ ♬～ (百合之助)おい 風呂はどうした？ たけたんか？ ん？ ん？ 何？ おい 何じゃ？ (寅次郎)これをお願い致します｡ (沼崎吉五郎) 預かりもんだ｡ 返すよ｡ ありがとうございます｡ 金持ちの弟子がいて よかったな 先生｡ 高杉は 弟子ではありません｡ 友です｡ 友？ ありがとう｡ おかげで また 書き物をする事ができます｡ 牢の中では 蔓がすべてでね｡ (晋作)蔓？ 命蔓｡ 金子の事です｡ 先生には まだまだ 教えてもらう事がありそうだ｡ (周布)ご公儀は 寅次郎の 一体 何を裁こうというのか➡ 全く分からん｡ (伊之助) いずれ 取り調べが始まれば➡ 子細を知らせてくれる者が 入り用となりましょう｡ 幸い 江戸には 高杉晋作がおります｡ あっ いや… それは…｡ 晋作には 寅次郎と 密に会うてもらわねばの｡ お待ち下さい｡ まことに 申し上げにくい事ながら➡ 近々 晋作を江戸から萩へ戻すよう お取り計らい頂こうと｡ 萩へ戻す？ 晋作には ただいま 縁談がございます｡ すぐに探せ｡ はっ？ 晋作じゃ！ 嫁を取る｡ よいか？ 並のおなごではいかん｡ あの晋作が 二度と 離れとうないというぐらい➡ 美しく 気立てのええ娘じゃ！ そのような娘が 萩におりましたでしょうか？ 探すんじゃ！ 城下一の美人と名高い 井上 雅は この時 15歳｡ やがて 高杉晋作の妻になるなど➡ 知る由もなかった｡ ≪(うめき声) 歩け！ こら！ しっかり歩け！ うう… う…｡ (沼崎)怖くなったか？ 取り調べは 明日だったな｡ 武士たる者 常に死は覚悟の上｡ へえ～｡ 一つ 聞かせてやろう｡ 明日 お白州で 先生の話に 感じ入るやつがいたら➡ そいつは わなだ｡ わな？ 安心させて 本音を引き出そうって魂胆だ｡ いいか？ 褒め言葉に乗るな｡➡ むだ死にしたくないならな｡ 吉田寅次郎｡ その方 梅田雲浜が長門を訪れた際➡ 密会したそうじゃが 何を話した？ 禅の話など 取るに足らん事しか 話しておりませぬ｡ では 雲浜は 何故 わざわざ そなたを訪ねた？ 私が京で雲浜様を訪ねた 礼に参られたかと｡ いまひとつ｡ 京の御所にて ご公儀を批判する 落とし文があった｡ そなたが書いたものではないか？ 落とし文など 卑怯な事は致しませぬ｡ そなたの筆跡に似ていると 申す者もおるが｡ 字は 見て頂ければ分かるとおり 右上がりの癖が強うございます｡ どうぞ お見比べを｡ 奉行たちは それ以上 問いただそうとはしなかった｡ 寅次郎の罪となる事を 何一つ つかんでいなかったのである｡ 実は 私は 死罪にあたる罪を犯しております｡ 罪を？ 知り合いに累が及ばぬよう 子細は申しかねますが➡ この国のためを思い よくよく考えた上での事｡ 己の行いに 何一つ 恥じるところはございませぬ｡ なるほど｡ そなたの憂国の一念 相分かった｡ ありがとう存じます｡ ところで これは 吟味を離れての話なのだが➡ 罪とは どのような？ いや 国を思う そなたの事 さぞや立派な行いであろう｡ 聞かせてくれれば 罪を軽減してやらぬでもない｡ [ 回想 ] (沼崎)わなだ｡ わなだ｡ ご老中 間部様を京にて待ち伏せ➡ 死を覚悟して おいさめしようと した事でございます｡ なんと！ 間部様を!? 待ち伏せて… おいさめ？ いかにも｡ おいさめし ご老中が 聞く耳を持たなかったら➡ どうするつもりであったのだ!? 刃を向けるつもりであったのか！ ふっ｡ そこまでは 考えておりませなんだ｡ 寅次郎の取り調べの様子は➡ 高杉から 萩の小田村のもとに 直ちに届けられた｡ 寅次郎は 己から 間部老中の件を ほのめかしたらしい｡ 己から…｡ 幕府を正す絶好の機会と 思うたんじゃろう｡ でも…｡ このような場で ただ やみくもに➡ 己の弱みを さらすものでしょうか？ 寅次郎の行いには 何か もくろみがあると？ それが何かは 分かりませんが…｡ 江戸へ参ろう｡ お前の言うとおりじゃ｡ 先生は この詮議に 何か 含むところがあるんかもしれん｡ 確かめよう｡ よせ｡ お前まで罪を負ったら 村塾は 一体 誰が守るんじゃ｡ 江戸へは 俺が行く｡ 兄上が？ 俺が寅次郎に会って 真意を確かめる｡ ですが…｡ それだけではない｡ これ以上 己に 不利になるような事は語るなと➡ いさめる｡ 幕府が 寅次郎の行状を 何もつかんでおらん以上➡ 死罪は 免れるかもしれん｡ えっ… 助かるんですか？ 寿！ (寿)お呼びでございますか？ 姉上…｡ (寿)勘違いなさいますな｡ 伯父が罪人として処刑されては➡ 篤太郎や久米次郎の先に 関わりますゆえ｡ 兄上を よろしくお願い申し上げます｡ 伊之助は 直ちに 江戸へとたった｡ 寅次郎について➡ 幕府が 確たる証拠を つかんでいないという知らせは➡ 文たちにも 希望をもたらしていた｡ 遅いぞ 文｡ はい ただいま｡ (利助)お久しぶりです！ 利助さん！ 感無量です｡ ここで こうやって また➡ 文さんの握り飯が 食べられるなんて｡ 先生が戻られるまで この場所は 守らねばと思うてな｡ 長崎は いかがでした？ ああ｡ もう 見るもん聞くもん 驚くばかりで｡ しばらくしたら 今度は 江戸へ参ります｡ 桂さんのお供で｡ ならば 寅兄様にも会う事ができますね｡ お二人が待ってらっしゃる事は 必ず お伝えします｡ お願い致します｡ そういえば 前原は どうした？ 伏見要駕策を 小田村様に漏らした事で➡ 萩の仲間たちには 顔向けができんと｡ (亀太郎)前原さんですか？ 亀太郎さんは 塾生の中で一番➡ 前原さんと 話をしちょったでしょう？ 前原さんも私も ほかの塾生には 気が引けちょるところがあって｡ 俺は武士じゃないし 前原さんは 足が｡ 家をお訪ねしたら 会うてくれるでしょうか｡ ｢今は 誰にも会いとうない｣と｡ ほんなら 伝えて下さい｡ ｢一度 お訪ね下さい｣と｡ 塾にですか？ お願いしたい事があるんです｡ 塾生の皆さんが いつでも ここを➡ 訪ねてこられるように したいんです｡ 傷んだところは直して｡ 前原さんにも手伝うて頂いて｡ とても そねな気持ちには…｡ 私のせいで 先生や入江や野村が➡ 今も 苦しい思いをされとるんかと 思うと…｡ そういう思いを抱えた 前原さんだからこそ➡ お願いしたいんです｡ 道に迷うて ここへ 帰ってくる方たちがいたら➡ その方の 力になってあげてくれませんか？ 私が 力に…｡ そうして 皆で待ちましょう｡ 兄も きっと帰ってきます｡ 塾生の皆さんがいる この場所に｡ 萩に戻れと藩命が下りました｡ 悔しゅうて しかたありません｡➡ 先生が命を懸けて ご公儀と渡り合うとるというのに｡ 僕は まだ… 己の死に場所すら見つけられん…｡ それは 生きよという事です｡ 君は まだ 生きて 何かをなさねばならん｡ それは 何なんですか…｡ こんだけ 先生とおっても 何一つ 身についてはおらんのに｡ (寅次郎)僕は知っています｡ どんなに無頼を装っても➡ 君の 殿を敬う気持ちは いつも揺るがんかった｡ ならば いっそ 忠孝に徹しては どうでしょう？ 萩へ帰りなさい｡ 愚直に己を貫く時 君は➡ 君と笑い 君と泣き 君を慕い そうした者たちの中で必ず輝く｡ 萩には 君の友がいます｡ ♬～ (彦介)お久しぶりでございます｡ たまには 皆と語り合いたいと思うて｡ 前原さんに言われて 長崎の事情を 書き留めてまいりました｡ 今日は それをお話ししようと｡ 俺も 西洋学所で見つけた書物を 持ってきた｡ (寺島)では 私は うまい芋の見分け方でも ひとつ｡ (赤禰)こん食いしん坊が！ 大概にせえ！ (笑い声) 何ですね？ そりゃ｡ 友の形見です｡ 高杉と話したせいでしょうか｡ 国の者らの事を思い出して…｡ あなたに 友はおらんのですか？ いないね｡ 俺は 今まで 金以外の事で➡ 人と深く関わろうなんざ 考えた事もない｡ お前とも 蔓が切れたら それっきりだ｡ (石谷)梅田雲浜が 死にましてございます｡ 吉田寅次郎の事は 何か申したか？ いえ 雲浜は何も｡ ただ 何を思ったか 吉田みずから…｡ ご老中 間部様を➡ 死を覚悟して おいさめしようと した事でございます｡ 言わねば 一とおりの吟味で 終わったものを｡ なお一層 厳しく調べよ｡ はっ｡ 吉田寅次郎… 確か 山鹿流兵学師範であったな｡ はい｡ なぜだ…？ なぜ みずから 罰せられるような事を…｡ ♬～ 伊之助…｡ 伊之助｡ 恐らく お沙汰は 遠島といったところじゃろう｡ まことか｡ よかった…｡ 案じておったんじゃ｡ 高杉からの手紙で➡ お前が 自分から間部老中の件など 持ち出したと聞いて｡ 井伊に会いたかった｡ 大老の井伊様か？ 今 日本国の政は すべて 井伊大老の思うままとなっておる｡ 井伊をおびき寄せ その前で 思い切り語りたかったんじゃ｡ では 自分から 罪をほのめかしたんは…｡ じゃが ダメじゃった｡➡ しまいじゃ｡ 僕の言葉は どこにも届かん｡ 悔しい…｡ 悔しい！ 悔しい…｡ 寅次郎｡ お前の志とは たかだか それしきのもんか？ 何のために 俺たちは出会うた？ 萩の町で ただ２人…｡ [ 回想 ] 日本国を守りたい｡ そのために学びたい｡ (寅次郎) 私も 同じ考えにございます｡ 心 屈したまま 命のやり場を迷うなど➡ お前らしゅうもない｡ 尽くし 動かざれば なお尽くす！ それこそが お前の至誠ではないんか！ 伊之助…｡ 諦めるな｡ お前の魂が不朽となる望みは まだある｡ ありがとう…｡ お前がおってくれて よかった｡ まことは 詮議の場で何も言うなと➡ その説得のために参ったんじゃが｡ (寅次郎) こねぇになるまで…｡ 生きてほしゅうてな｡ 生きろ｡ お前らしく｡ ♬～ 寅次郎の取り調べが再び行われた｡ 重ねて尋ねる｡ その方➡ ご老中 間部様と刺し違えようと したのではないか！ 刺し違えるなど 申した覚えはございませぬ！ おいさめしようとしただけで ございます！ ご老中をおいさめしようなどと➡ そもそも ご公儀に対して 不敬とは思わぬか！ なれば 天子様のお許しも得ず➡ ﾒﾘｹﾝとの条約を結んだ 井伊様こそ➡ 不敬の至りでござる！ 貴様 何を申すか！ 無礼であろう！ 控えよ！ 申してみよ｡ 徳川家が 200年以上の長きにわたり➡ この日本国を 太平に保たれてきたは➡ 公方様が徳をもって 治められてきたからに相違なく｡➡ しかし 今 幕府は この国の未来を 憂えて立ち上がった者たちを➡ 次々に捕らえ 拷問し 処刑している｡ 徳ではなく 力で 政を 押しつけんとする井伊大老に➡ この国の未来を託す事が できましょうや！ (石谷)それ以上 申せば ただでは済まさんぞ！ 己の命など！ 若き日 私は 日本国中 あらゆる土地を歩き回りました｡ どの地にも 人がいて 暮らしがあり➡ 皆 己の幸せを信じて 懸命に生きていた｡ その営みを 脅かすものがあるならば➡ 異国であろうと ご公儀であろうと➡ 私は 戦いを挑む覚悟に ございます！ (井伊)吉田寅次郎｡ ならば言おう｡ 国を混乱に陥れているのは お前たちの方ではないか｡ 我らは ただ 我らの思う一歩を踏み出し➡ 国を救いたいと思うておるのみ｡ その一歩とは 攘夷か？ 異国の大筒に脅され 国を開いては➡ いずれ 日本国は 異国の 思うがままにされてしまいます｡ なればこそ 国は強くならねばならん｡ 異国に国を開き 異国の手を借りてでも｡ 草莽の声に耳をお傾け下され！ 秩序を欠いては 国は 国でなくなる｡ もはや この国は➡ ただ一握りの者たちでは 持ちこたえられませぬ！ 万人が力を尽くし 守らねば｡ 徳をなくした政の果ては 亡国にございます｡ 許さぬ｡ もとより 命など惜しんではおりませぬ｡ 引っ立てい！ (獄吏たち)はっ｡ 立て｡ こっちだ｡ ♬～ (沼崎)｢留魂録｣？ このうち一冊を 長州の者に渡してほしいんです｡ あなたが獄を出たら｡ はっ｡ 知り合いに頼め｡ お前の友にでもな｡ ええ そうします｡ ですが 誰かに阻まれて 萩まで届かんかもしれん｡ じゃから 最後の一冊を あなたに託したいんです｡ 最後の…｡ 蔓は｡ 蔓は もう ありません｡ ですから あなたを信じるしか｡ 時々 考えておったんです｡ 17の時 馬から落ちておらんかったら➡ 私は どのような道を 歩んでおったんじゃろうかと｡ じゃが 今日 分かった｡ つまずきも苦しみも 皆 己じゃ｡ じゃからこそ 先生と巡り会い こうして 皆とも出会えた｡➡ ただ言葉を交わし 顔を見合わせるだけの事が➡ これほど 力になるとは｡ 前原さん…｡ できれば これからも 皆さんと共に｡ ♬～ (寅次郎)にぎやかですね｡ ええ｡ 今日は 生徒さんらが ようけ来て｡ 風呂も何べんも沸かさんと｡ 風呂か｡ ええな｡ ﾌﾌｯ 珍しい事 言うんじゃね｡ あれほど 風呂を嫌うておる お前が｡ 今日は 疲れたんです｡ いろいろ あって｡ なら 早う入りんさい｡ すぐに ごはんですよ｡ (百合之助)滝！ ああ 滝｡ 今 寅次郎が｡ えっ？ ｢腹が減った｣と笑顔で｡ 何じゃ 帰ったんかと➡ 籠を置いて もう一度見たら 誰もおらんで｡ 寅…｡ 帰ってきたんですね｡ (一同)ｲﾝ ｼﾞｬﾝ！ (２人)ううっ…！ (一同)おお～！ ｱﾊﾊ…！ ♬～ (寅次郎)｢親思ふ こころにまさる 親ごころ➡ けふの音づれ 何ときくらん｣｡ 10月27日｡ これを残して 寅次郎は…｡ ♬～ (寅次郎)｢今 私は 死を前にして 心安らかです｣｡ ｢今更 誰を恨もうという気も ありません｣｡ ｢それは 命について こう悟ったからです｡➡ 春に種をまき 夏に苗を植え 秋に実り 冬には蓄える｡➡ 人にも 同じように 四季があります｡➡ 人の命とは 歳月の長さではない｡➡ 10歳で死んでいく者は 10歳の中に｡➡ 20歳で死ぬ者は 20歳の中に｡➡ それぞれ 春夏秋冬があり 実を結んでいる｣｡ ｢私は 30歳ですが➡ 収穫の時を迎えたと 思っております｣｡ ｢もし 同志の中で 私の心を 継いでくれる人がいたら➡ 私の実は 空ではない｡➡ どうか 一粒の籾として➡ 次の春の種となれますよう｣｡ ♬～ 井伊直弼による安政の大獄は➡ 吉田寅次郎の処刑をもって 幕が引かれる事となった｡ 吉田松陰は 死してなお 生き続ける｡ <江戸に送られた松陰は➡ 伝馬町にあった牢屋敷に 投獄されました｡➡ 評定所で死罪が言い渡された 松陰は➡ 安政６年 1859年10月27日➡ この地で 波乱の生涯に 幕を下ろしたのです> <松陰は 塾生に向け みずからの志を継いでほしいと➡ ｢留魂録｣に記しました｡➡ 家族に残した｢永訣の書｣｡➡ そこには 故郷で自分の帰りを待つ➡ 両親を思いやる歌が 書かれています> <松陰が葬られている 世田谷区の松陰神社｡➡ 松陰の最期は 堂々たる態度で➡ 幕府の役人も 感嘆したといいます｡➡ 死の直前まで 家族や友人 そして 国を案じていた松陰｡➡ その志は 多くの志士たちに受け継がれ➡ 維新の原動力となるのです> ♬～ (神谷)ああ～｡ ♬～ (鐘の音) お疲れさまでした｡

まれ＃101

1 ♬｢さあ翔け出そうよ､｣ ♬｢今すぐに｣ ♬｢未来が今は遠くても｣ ♬｢ひとりぼっちのままで｣ ♬｢泣く夜が続いても｣ ♬｢本当のわたしへ｣ ♬｢風が強く冷たいほど｣ ♬｢教えてくれる｣ ♬｢出会うべき人のことを｣ ♬｢どうか希望の地図を｣ ♬｢そっと開いてみてね｣ ♬｢あたたかい未来たちが｣ ♬｢僕らを待っているよ｣ ♬～ (渡辺)今回のお話は なかった事にして頂きます｡➡ それでは これで｡ (圭太)待ってくだま！ (希)ｱﾝﾅﾝｽﾀﾝ… (井田)なしたって？ ♬～ (ﾌﾗﾝｽ語) 実に美しいと申しております｡ ん？ えっ… おいしいじゃなくて？ (ﾌﾗﾝｽ語) 輪島塗の皿とﾌﾗﾝｽ菓子が 見事にﾏｯﾁしています｡ (ｱﾝﾄﾞﾚのﾌﾗﾝｽ語) (渡辺)どちらか一方が 主張するのではなく➡ 互いが互いを引き立て合っている｡ (ｱﾝﾄﾞﾚのﾌﾗﾝｽ語) (渡辺)和食器とﾌﾗﾝｽ菓子が➡ こんなに合うとは 思いませんでした｡ (ｱﾝﾄﾞﾚのﾌﾗﾝｽ語) (渡辺)すばらしいです｡ ありがとうございます！ 少しだけ聞いてもらえませんか？ もういっぺんだけ 話をさして下さい！ (ﾌﾗﾝｽ語での会話) (渡辺) このお菓子を作って下さった 彼女の気持ちに応えて➡ 話を聞くそうです｡ うちの紺谷弥太郎が 陶胎漆器を提案したがは➡ 輪島塗を海外に広めてえっちゅう 強い気持ちからです｡ …と思とったんですけど｡ えっ？ 違うかもしれんって 今 思い始めました｡ 自分は 輪島塗を 広めてえっちゅう思いだけで➡ このｺﾗﾎﾞの意味をっちゃ ちゃんと理解していませんでした｡ 磁器は 複雑な形に作られるし 木より もっと自由です｡ ほんでも ちょっこし冷てえ｡ ここに漆をちゃ塗る事で あったかみと漆独特の光沢が出る｡ 輪島塗のためだけじゃねえ 磁器だけでもねえ➡ 両方が引き立て合う事で 器として新しい可能性が見つかる｡ 新しい世界が開ける｡ 親方は ほう思うたんじゃねえかって｡ もういっぺんだけ やらしてもらえませんか｡ やってみてえがです！ お願いします！ お願いします！ ♬～ 今 何て…？ もう一度だけですよと 申しております｡➡ 期待しています｡ ありがとうございます！ ありがとうございます！ (ﾌﾗﾝｽ語) よろしくお願いします！ ん？ ちょちょ… 何しとるがいね｡ (弥太郎)口説かれとるげ｡ ｱﾝﾄﾞﾚは情熱的な男でして｡ (文)ほれ！ 希！ あれの出番や！ ♬～ [ 回想 ] ﾊﾟﾃｨｼｴは辞められません｡ ほんでも 家族として➡ 絶対に 圭太さんをっちゃ支えます！ [ 回想 ] (大悟)このままじゃ世界に 通用する菓子は作れん｡ ﾌﾗﾝｽで勉強して感性を磨いてこい｡ お前のﾌﾗﾝｽ行き聞いたら 何か やる気出てきたわ｡ 思いっきり勉強してこいえ｡ (大悟)おい 何やってる！ 何だ これ！ 下手くそ！ (弥生)申し訳ありません！ (浅井)しっかりして下さいよ！ 僕がｽｰｼｪﾌになったら ﾋﾞｼﾊﾞｼやらせてもらいますからね！ 浅井！ はい｡ ださい！ やり直せ！ これも これも！ これも！ これも！ 全部 やり直しだ！ どけ！ (輪子)機嫌悪いね 希ちゃんがいないと｡ (美南)このまま 帰ってこないんじゃないかって➡ すごい心配してんの｡ そんな事ないって言ってんのに｡ どけ！ ああ すいません…｡ (亜美)希さん ここはいいっすよ｡ なして？ 忙しいげんろ うちやするわいね｡ いや まずいんすよ 希さんの夜食｡ あん!? 自分がやるんで どいてもらっていいすか？ あ～ まっずいなあ｡ 茶の一つもいれられんがけ｡ すいません…｡ ﾘﾊﾋﾞﾘしましょうか｡ 手伝いますさけ｡ あ～ いらん いらん｡ かなえちゃんや来てくれるさけ｡ ほの方や治りも早えわいえ｡ もういいさけ 早よ横浜帰ってくれんけ｡ (井田)やっぱし無理やわいえ 希ちゃんに頼まな｡ 希さんはﾌﾗﾝｽ行くんすから これ以上頼ったら駄目っすよ｡➡ 親方も そう言ってたっす｡ ♬～ まだ起きとったんか｡ お疲れさまでした｡ もう帰るまし 横浜｡ ﾌﾗﾝｽの準備もあるやろ｡ 今日のバスで帰るわ｡ ほして こっちに引っ越してくる｡ あん？ うち 能登戻るわ｡ ﾊﾟﾃｨｼｴは しばらく お休みや｡ 何言うとるがいえ お前…｡ ﾌﾗﾝｽも今は行かん｡ しばらく塗師屋の仕事 手伝うわ｡ せっかくのﾁｬﾝｽやろがいえ！ 弥太郎さんのお世話もあるし➡ 職人さんらちに しわ寄せが行くげんよ｡ 人雇う余裕もねえやろ｡ なんとかするわいえ！ お前に頼らんでも｡ なして頼ったら駄目ねん 家族やがに！ お前の夢は… 俺が守るって決めてんさけ｡ ｹｰｷは 夢ｱﾚﾙｷﾞｰやった お前が➡ やっと取り戻した大切な夢やろ｡ 今 ここで 遠回りしてほしねえげわいえ｡ ありがと｡ うちね ここに来て思てん｡ うちは こんなに なあも知らんでいいがかって｡ あん？ 圭太が 今 何が大変で➡ 何に苦しんどったか｡ うちの夢のために 一人で ふんばっとってくれた事➡ なあも知らんかった｡ ごめんえ｡ うち 結婚の時の約束 守りたい｡ 相手がﾋﾟﾝﾁの時にも支えられん 夫婦になるがは や～わいね！ もし逆でも 圭太は きっと うちをちゃ支えてくれるやろ？ そばにおってくれるやろ？ 落ち着いたら➡ 駄目やって言われても ﾊﾟﾃｨｼｴに戻るわいね｡ ﾌﾗﾝｽは ほれからでも行かれるし｡ うちは まだ23ねんさけ｡ 今は…➡ 圭太をちゃ支えてえげ｡ うちは 圭太のそばに…｡ 希…｡ 俺 頑張るさけ｡ うん｡ ♬～ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒７月２４日 金曜日の「あさイチ」です。 有働⇒圭太と希ちゃんのように きょうの ゲストに

ドクター・カー＃05

1 ♬～ (天童一花)よし できた！ どう？見て！ (天童一太郎)ママ すごい！ ありがとう！ ここね 卵で作ったの｡ へぇ～｡ じゃあ 祐希君のママに➡ お呼ばれ ありがとうございますって➡ ちゃんと伝えてね｡ うん！ あ～あ ママも行きたかったなぁ…｡ (天童美奈子) あっ 一花｡ まだ 出かけなくていいの？ うん｡だって まだ時間…｡ えっ？止まってるよ あの時計｡昨日から！ ええっ!? えっ？ いや ちょちょ なんで もっと 早く言ってくんなかったの？ 行ってきます！ はい 行ってらっしゃい！ 行ってらっしゃい！ おはようございます｡ ♬～ ♬～ (朝城勇介)お待ちしておりました｡ (田所)どうぞ こちらへ ご案内いたします 先生｡ ♬～ ああっ ごめんなさい｡ おはようございます｡ バタバタするな！みっともない｡ すみません｡ (小峰)君は…｡ ああっ！なんだ 今 ここにいたのか｡ (紗那)お久ぶりです｡ ♬～ (朝城涼子) それで 本日は どのような ご用ですか？ (小峰)実は お宅のドクターカーに 大変 興味がありましてね｡ ドクターカーに？なんで また｡ 我が順徳医科大学でも➡ いずれ ドクターカーは 導入しようと考えているんです｡ 最新鋭の医療機器が搭載できる ニュータイプのドクターカー｡ それが実現すれば 医療の新たな地平を➡ 切り開くことができる｡ それで 我々に何を？ 日本で唯一 手術室のある ドクターカーを お持ちの➡ 朝城総合病院さんに いろいろ ご教授いただきたいんですよ｡ ご教授？ 大学病院のお宅様が➡ うちに…ですか？ はい｡ 具体的には どのような？ オブザーバーとして 開発会議に 加わって頂くことは もちろん➡ うちが持つ医療機器が ドクターカーと融合することで➡ どれほどの力を発揮するのか 可能性を探らせて頂きたいんです｡ お言葉を返すようですが➡ お宅ほどの病院でしたら うちの力を借りなくとも➡ たやすく 実行できるんではないですか？ いやいや 救急の現場に出向き➡ 最前線で医療を行う医者など うちには１人もおりません｡ 実践で培った 生きたアドバイスを 頂きたいんですよ｡ あっ すみません あの…それは➡ 裏方的作業と いうことでしょうか？ フッ…まさか｡➡ ご協力いただいた暁には 朝城総合病院さんの名前は➡ 大々的に公表させて頂きますよ｡ なんなら うちの提携先に なってもらっても構わない｡ おぉ…そういうことでしたら➡ うちにとっても 決して悪くない話じゃないかと…｡ さあ どうぞ｡ いや 実に素晴らしい！ 朝城先生 どうか 先ほどの話➡ 前向きに考えては いただけないでしょうか？ あっ…➡ お受けしたいのは やまやまですが…｡➡ 我々は２４時間 ３６５日➡ 患者の命を守るために 働き続けています｡ この状態で お宅の手伝いなど とても とても…｡ 先生…せっかく小峰教授が ここまで仰って下さってる…｡ 大事なスタッフを守るのも 僕の役目だ！ (くしゃみ) ドクターカーの 統括責任者として➡ 安請け合いは できかねます｡ もちろん 朝城先生にも ご迷惑をおかけするのは➡ 重々 承知しております｡ ただで 力を貸してくれとは申しません｡ …と 言いますと？ ドクターカーを 導入するにあたり➡ 准教授として 我が大学病院に お招きしたい｡ えぇ!? (咳払い) 准教授…｡ そこまで おっしゃるなら 仕方ありませんね｡ えぇ～｡ これも医療の発展のため｡ このドクターカーが お役に立つのであれば➡ この身を削ってでも お手伝いさせて頂きます！ (拍手) いや…おめでとう｡ あっ…いえいえ｡ (拍手) (市村 真)おっと…｡ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) ♪～ (市村 唯)はぁ…｡ (市村節子)≪お父さん!?…➡ お父さん!!≫ ♬～ (節子)≪ねえ お父さん！≫ (唯)どうしたの!? (節子)唯！救急車！ 救急車 早く呼んで！ うん！ (節子)ねえ！ (公乃)救急より入電！ ハタネ町７丁目３の８｡➡ ４０歳 男性｡➡ 一過性の意識障害と 血圧低下により➡ ドクターカーへの出動要請あり！ (サイレン) (サイレン) ≪１･２･３！≫ 市村さ～ん！分かりますか？ (岡村)ああ 現在の意識レベル ＪＣＳⅠ-１｡ 脈拍 １２０➡ 呼吸数…２６回です｡ ルートを取ります｡ ♬～ ルートを確保します｡ はい｡ ♬～ (弥生) 天童先生 患者は２週間前に➡ 内視鏡手術を受けたそうです｡ 内視鏡？ 初期の大腸癌で…｡ 内視鏡オペ後の 持続性出血による貧血か｡ どこの病院ですか？ 順徳医科大学です｡ (紗那)順徳？ [TV](節子) あそこの小峰先生には 大変 お世話になっておりまして➡ できれば このまま順徳医科大学に 運んで頂きたいのですが｡ 心電図は異常なし…｡ おい 何やってんだ｡ 話 聞いてたか？ はい でも…｡ 権藤 順徳医科大学に ルートを変更だ｡ 向こうには僕から連絡しておく｡ えっ…待ってください！ ご家族の意向だ｡指示に従え｡ すみません｡ 朝城総合病院ですが➡ 救急患者の受け入れを 要請したいのですが…ええ➡ そちらの 小峰教授の患者でして…｡ (サイレン) どうやら 私の出番は無さそうね｡ (小峰) ドクターカーが うちの患者を？ (赤松) はい｡２週間前 内視鏡的手術を 受けた患者です｡➡ 現在 眼瞼結膜で貧血症状あり➡ 血圧も８０台でしたが➡ 補液で とりあえず 安定しているとのことです｡ 分かった｡ドクターカーには うちで預かると伝えてくれ｡ (赤松)かしこまりました｡ 点滴１リットル投与｡ 現在 血圧１００ 心拍も９０です｡ 先生！ 市村さん うちが指導した通りの 生活されてました？ はい｡あっ でも… 仕事上 お酒の席だけは➡ どうしても 外せないと言ってまして｡ そんなんじゃ うちも責任とれませんよ｡ 申し訳ありません…｡ 世話になったね ご苦労さん｡ いえ｡ あの…➡ 心臓の超音波検査は されたんですか？ 失礼ですが あなたは？ 朝城総合病院 ドクターカー担当の天童です｡ 先ほどの患者さんについて➡ ちょっと 気になるところがあります｡ 気になる？どこが？ 聴診した際 心臓の拍動を強く感じました｡ (小峰)気のせいじゃないのかね？ 一度 心臓も含めて 詳しい 検査をさせていただけませんか？ あっ あの…｡ (節子)≪唯 早く！≫ うん…｡ ちょっと来い！ あっ…ちょ…｡ お前 自分が何したか 分かってんのか！ 新人ドクター風情が➡ 一流大学病院の それも 有名教授に➡ 異見を唱えるとは言語道断だ！ よりによって この大事な時に…｡ すみません｡ でも 最初に あの患者さんを診た時➡ 確かに違和感があったんです！ 天童…褒めてやる｡ えっ？ 僕は これほど 人をイラつかせる人間に➡ 今まで出会ったことがない！ 二度と余計な真似はするな！ ただいま～｡ (美奈子)おかえり～｡ あ～ 疲れた顔してる｡ 何か あった？ ううん｡一太郎は？ さっきまで起きてたんだけどね こっちも疲れて 寝ちゃった｡ そっか｡子供の日パーティー どうだったって？ う～ん 楽しかったみたい｡ あんたのお料理も 好評だったって 喜んでたよ｡ よかった｡ うん？これは？ あっ…｡ パーティーで出たけど➡ 食べないで 持って帰ってきたんだよ｡ ママにあげるって…｡ そうなの？ 来れなくて ママ かわいそうだからって｡ いつも バタバタしてるだけで 何も してあげられてないのに｡ ちゃんと伝わってるよ ママが頑張ってるってこと｡ ありがと｡ いただきます｡ おいしい｡ (公乃)紗那先生って➡ 昔 順徳医科大学に いたそうですね｡➡ 先生 最近 様子が変だから➡ 心配になって調べちゃいました｡ そりゃ イヤですよね｡ 自分の過去を知ってる人が➡ いきなり 目の前に 現れたりしたら…｡ 自分の尺度で話さないでくれる？ えっ…｡ 無駄口 叩いてる暇があったら 仕事して｡ はい｡ あっ…お疲れさまです｡ 内心 過去をばらされたくなくて ヒヤヒヤしてるくせに｡ え？ 紗那先生 新人の頃 順徳医科大学にいたんだけど➡ １年も経たずに 自分から辞めたそうですよ｡ 自分から？ はい｡ それも 辞めたのには いろんな噂があって｡ 担当教授と不倫してたのが 奥さんにばれて辞めたとか➡ 医療ミスの責任をとって 辞めたとか➡ 病院に内緒で 患者から 多額の謝礼金をもらってたとか｡➡ あの人の場合 どれも有り得そうですけどね｡ ♬～ (小峰)私はね ｢大事なことは 患者の目線に立つことだ｣➡ などと言う医者が大嫌いでね｡ フフフ…｡ そういうやつに限って 大した腕をもっていない｡ 弱者の戯言ですよ｡ 命を預かる我々 医者は 神に近い目線を持つべきだ｡ 何千何万という命を救うため 多少の犠牲を払ってでも➡ 誰も足を踏み入れなかった 領域に挑んでいく｡ 一流の医者とは そういうもんだ｡ なるほど…｡ 失敗を気にせず 技術を蓄積し 頂点を目指す｡ それが医者のあるべき姿だとは 思いませんか｡ 私も同じことを考えていました｡ ここまで自分の気持ちを 代弁してくださるとは…｡ 全く 胸のすく思いです｡ ところで 先日の准教授の話 考えて頂けましたか｡ ちょうど１人 欠員が出て 空いているポストを➡ 誰にしようか 悩んでいるところなんです｡ 一流の元には一流が集まる｡ お引き受けいたします｡ 理事長の方は問題ありませんかな｡ 大丈夫です｡ そちらは私の方で 上手くやりますので｡ 先生のご期待に沿えるよう 全力を尽くします！ あの 先生 うちとの 提携の件も なにとぞ…｡ わかってる｡ 我々の未来に｡ 乾杯｡ 乾杯｡ (赤松)先生も お人が悪いですね｡ (小峰)何のことだ？ (赤松) 自分たちが 実験台にされるとも知らず➡ あの方たち すっかり舞い上がってしまって｡ (小峰)すべては医学の発展の為だ｡ (赤松) 目先の欲にかられて まんまと こっちの思惑通り｡➡ あの朝城さんて方… 少し 知的さに欠けますね｡ 赤松君｡ はい｡ はっきりバカと言いたまえ｡ アハハハ…｡ いいの見つけた？ うん 見つけた｡これ｡ あっ！いいね～｡ これ 帰ったら ばあばに見せる？ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) うん ばあば｡ ばあば 喜んでくれるかな？ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) 先生！ こんにちは｡ バイオリン すごいね！ いえ…｡ あ…お父さん その後どうかな？ ねえ まだ痛むの？ 本当に大丈夫？ ああ｡それより… 唯の面接 頼むな｡ うん｡ うまくいくよう 祈ってるから｡ 先生…｡ 突然 すみません｡ 誰？ ほら 倒れた時➡ ドクターカーで運んで下さった｡ ああ…｡ その後 お加減いかがですか？ ご迷惑をおかけして すみません｡ 手術の後 自己管理しなかったので➡ あんなことになってしまって… ゴホッ ゴホッ！ ゴホッ…ゴホッ ゴホッ｡ 大学病院の先生も 大丈夫だって言ってくれてるんで｡ わざわざ ありがとうございました｡ いえ…｡ じゃあ 行ってくる｡ 行ってらっしゃい｡ ♬～ あ すいません｡ すみません｡ どうぞ｡ 失礼します｡ あの後 順徳医科大学の 消化器科で➡ 検査してもらったんですが 特に異常はないとのことです｡ 拝見します｡ ♬～ 突然 大腸癌だって言われた時は➡ 正直 どうしようって 思ったんですが➡ 小峰先生が 体に負担のかからない➡ 内視鏡手術を 提案してくださったんです｡ うちの事情を考えて 医療費を安くしてくださって｡ 手術の費用をですか？ はい｡ ご配慮には 本当に感謝してるんです｡ 実はうちの娘 音大付属の 中学を受験することになりまして｡ 音大！すごいですね！ 主人も私も昔 音楽で身を立てたい と思ってたんですが➡ 志半ばで挫折してしまって｡ そんな私たちの夢を➡ 娘が叶えてくれることに なりそうなんです｡➡ 主人なんか 本人以上に 張り切っちゃって｡ そうだったんですね｡ お陰様で 小峰先生からも➡ ｢完治した｣とのお言葉も いただきましたし➡ もう 大丈夫だと思います｡ 本当に ありがとうございました｡ いえ…｡ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) ♪～ (拍手) ありがとう｡ ただいま！ ママ！ 一太郎のこと見ててくれて ありがとう｡ お母さん 何て言ってた？ お父さんが病気になったのって 私のせいじゃない？ 唯ちゃん…｡ 私が 音大受けるって 決めてから➡ お父さん １日も休まないで 働いてるんだ｡ 先生 正直に言って｡ もし 私のせいで お父さんが 病気になったんだったら➡ 私…｡ バイオリン やめる｡ う～ん…じゃあ ひとつだけ聞くけど｡ はい｡ 音大付属の中学って どんなところ？ え？ 聞かせて｡ えっと…｡ 校舎は すごく古くて カビ臭いんだけど➡ でも いつも どこかから 楽器の音が聞こえてきて…｡ 音楽室には いろんな国の バイオリンがあるの！ 一度 弾かせてもらったら 国によって音が違って｡ あとね すごく大きな コンサートホールがあって➡ 年に１回そこで 学校全体の 発表会があるんだって！ そっか｡ よ～く分かりました｡ じゃあ 正直に言うけど➡ お父さんが病気になったのは 唯ちゃんのせいではありません｡ むしろ お父さんも お母さんも 今 すごく幸せなんだと思う｡ ず～っと 傍にいた子供が 自分の手を離して➡ 夢に向かって飛び立とうと してるんだもん｡ 何があっても応援したいって 思ってるはずだよ？ 唯ちゃんが 元気に成長していくこと｡ それが お父さんにとっての 何よりの薬なんだと思う｡ 本当？ うん｡ お父さん 死んじゃったりしない？ うん｡検査結果も見たけど 大丈夫だった｡ はい あげる｡ ありがとう｡ 先生がいてくれて よかった｡ 順徳の先生って いつも怖そうなんだもん｡ うちのママもね 怒ると怖いよ｡ 一太郎！ なに余計なこと言ってんの！ こら！待ちなさい！ なに言ってんの～｡ (一太郎)怖い！ 怖くないよ～！ よいしょ…はい よろしく！ はい｡ ♬～ うっ…うっ！ う…ううっ！ ♬～ ♬～ ♬～ 安住先生｡ 今朝 市村さんの お宅に行ってきました｡ 誰？ この間 順徳に搬送した 患者さんです｡ あの…これ見て下さい｡ この前 飲んでる薬はないと 言っていたんですが➡ 血圧が ずっと ２００くらいなんです｡ おかしいと思いませんか？ 普通なら 高血圧症として 降圧剤を出します｡ なんだか 患者さんのためというより➡ 必要な手術の データを調べるために➡ 他のことは 無視しているような気がして｡ どうして私に言うの｡ 先生 以前 順徳医科大学に いらしたんですよね｡ あの病院は いつも こんな やり方なんですか？ 患者さんのことなんか 全く気にしてない｡ これじゃ まるで 手術の道具みたいです｡ で？ え？ それを知って どうするの？ その患者は順徳の患者でしょ｡ 事情を知って あなたが出来ることは何もない｡ いい加減 余計なことに 首つっこむのやめたら？ 余計なことでは ありません！ 患者さんの命が かかってるんです！ 知ってることを教えて下さい｡ 先生｡ 治験を行ってるのよ｡ えっ？ リスクの高い手術を 受けてもらう代わりに➡ 治療費を安くしてるの｡ そうやって➡ 先端医療の実績を上げてきたの 小峰という男は｡ 小峰がドクターカーに 目を付けたのも同じ理由｡ 成果が出れば 自分の手柄｡ ミスをすれば うちのせい｡ 協力なんて名ばかりよ｡ 体のいい モルモットにされるだけ｡ そんな…｡ (携帯の着信音) 天童です｡ [TEL](公乃)イズミハタ市救急より 出動要請がありました｡➡ 前回と同じ患者さんです！ ♬～ (ｽﾀｯﾌ)市村 唯さん｡ はい｡ がんばってね｡ うん…｡ (携帯のバイブ音) はい 市村ですが…｡ えっ！ 患者は イズミハタ市で積み荷を 降ろしている最中に➡ 突然 腹部を押さえ倒れ 意識不明の重体｡ 先に到着した救急が 現在 受け入れ先を探しています｡ バイタルは？ 上７０ 下４０ 心拍140｡ 血圧の数値が どんどん下がっています！ 荷物を降ろしてる最中に 腹部を押さえて倒れた？ ♬～ どうしたの？ 市村さん ずっと 血圧が高かったんです｡ もし それが原因で腹痛を起こし 倒れたんだとしたら…｡ 最初の聴診で聞こえてきた クリアな拍動は➡ 心臓からではなく 腹部から 聞こえてきたものだった…？ 腹部動脈瘤切迫破裂！ 動脈瘤？ 確かに この血圧の落ち方 尋常じゃないな｡ 倒れてから１０分か… 点滴の準備します｡ はい｡ (権藤)救急は 国道６１号線 ハコガワラ付近を通過｡➡ 一番近い病院でも あと３０分は かかります｡ 間に合わない… 行かせて下さい！ 今から向かって どうする｡ 救急車両と ドッキングします！ ♬～ 市村 唯です｡ ｻﾝ=ｻｰﾝｽ『序奏とﾛﾝﾄﾞ･ｶﾌﾟﾘﾁｵｰｿ』を 演奏します｡ ♬～ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) ♪～ ♬～ 腹部動脈瘤切迫破裂？ こちらから向かって 現場で応急処置をします｡ 腹部ＣＴの検査 しなかったのか？ 報告は受けておりません｡ 面倒なことに ならなきゃいいがな｡ ♬～ ≪開きます！≫ ≪１･２･３！≫ お願いします｡ 両腕から静脈路確保 全開で！ ≪はい≫ 市村さ～ん！ 市村さん 聞こえますか！ (携帯の着信音) お願いします｡ はい｡ 小峰先生｡ すぐに手術が行えるよう 万全の受け入れ体勢で➡ 待機しています｡ 最小限の処置だけして➡ こちらに搬送して下さい｡ 朝城先生は 都度➡ 私に状況の報告を｡ 分かりました｡ 状況は？ なんとか点滴で もたせる状態です！ よし｡このまま 順徳医科大学へ搬送する！ どのくらいかかる!? どんなに すっ飛ばしても２０分！ ダメ！そんなにもたない！ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) ダメだ！もう限界です！ ♪～(ﾊﾞｲｵﾘﾝ) 権藤さん 車 止めてください！ ♪～ カテコラミンを投与！ 開胸の準備 お願いします｡ どうするつもりだ？ 時間がありません！ ここで手術します！ おい 開胸だぞ!? お前に できるのか!? やります｡ 指示してください！ (携帯の着信音) 朝城先生 患者は 今 どのような状況ですか？ あの…｡ 先生！早く！ 朝城先生 どうされました？ 先生！ 先生!! ♪～ (無線:紗那の声) 左胸部の第５肋間を 胸骨左縁から➡ 中腋窩線まで切開して｡ 何してるの 早く！ はい！ ♬～ 始めます｡ はい｡ メス｡ はい｡ ♬～ [TV]お前…！ 壁側胸膜まで達したら クーパーで切開｡ クーパー｡ ≪はい≫ 先生!? どうなりました？先生！ [TV]僕は もう知らん！ (無線:紗那の声) それから 開胸器を入れて広げて｡ 筋鉤｡ ≪はい≫ ♬～ (無線:紗那の声) 肺を上に圧排して 下降大動脈を探して｡ 探せたら 指をガイドに 周囲組織を剥離して｡ それから…｡ 大動脈にサテンスキー鉗子 かけました｡ ♬～ ♪～ ♪～ ♪～ ♬～ 病院へ搬送します｡ ≪はい≫ はい…分かりました｡ すぐ病院に向かいます｡ ありがとうございました…｡ ♬～ 無事 終わりました｡ あ…｡ (携帯の着信音) はい｡ もしもし…｡ 戻ったら 患者をすぐ オペ室に搬送するように伝えて｡ はい｡ こんにちは！ (唯)一太郎君！ こんにちは｡ こんにちは｡ はい｡ ありがとう｡ いかがですか？その後｡ さっき先生から お話があって 順調に回復してるそうです｡ そうですか よかった｡ 娘から聞きました｡ 先生だけが 親身になって お話を聞いてくれたって｡ 私も もっと早くに 先生に いろいろと相談すべきでした｡ いえ｡ 内視鏡手術の後 体調が 全く回復しなかったので➡ 変だなとは思ってたんです｡ でも お世話になった➡ 小峰先生に 迷惑は かけられないし…｡ 主人も私も 正直なことを 言い出せなかったんです｡ 気がついていただけて よかった｡ 危うく 取り返しのつかないことに なるところでした｡ 先生 本当にありがとう｡ ううん｡ また バイオリン 聞きに行っても いい？ うん！ あ 市村さん…｡ 早く良くなって 娘さんのバイオリン➡ 一緒に 聞きに行きましょうね｡ ♬～ この度は ﾄﾞｸﾀｰｶｰの素晴らしさを 目の当たりにしました｡ まさか 車の中で 開胸手術をしてしまうとは｡ ドクターカーは 実に 色々な可能性を秘めている｡ お宅と組んで開発に 乗り出すのが待ち遠しいですよ｡ ありがとうございます｡ お待ちください｡ うちは お宅と組むつもりは 毛頭ございませんが｡ は!? え？ 断ると言うんですか？ うちへの協力を｡ 断るも なにも 端から考えておりません｡ 母さん…!? 今回のこと…わたくしは お宅が 医療ミスをしただの なんだのと➡ 騒ぎ立てるつもりは ありません｡ ただ…あなたのような方に ドクターカーを➡ 使わせたくない そう思いました｡ ドクターカーは あなたの実験道具ではない！ そのようなことを言ってる ようじゃ 朝城総合病院は➡ いずれ医学会から 完全に取り残されますよ｡ 構いません｡ 失礼する！ 教授…教授！ 私は 最初から 胡散臭いと思っており…｡ 小峰教授！うちの理事長が 大変 失礼致しました｡ 私でしたら いつでも そちらに…｡ ドクターカーが無ければ 君などには用はない｡ 先生！ 大動脈クランプ 上手くいったの 先生のお陰です｡ ありがとうございました｡ あの…私 思ったんですけど➡ 先生が順徳 辞めたのって➡ 患者さんを物扱いする あの病院の体質が➡ 気に入らなかったからじゃ ないですか？ あの時 手術をしながら 思ったんです｡ 先生は 本当は誰よりも 患者さんを思う➡ 優しい方なんだなって｡ ♬～ 知ったような口 きかないで｡ これ以上 私を怒らせたら 本当に消えてもらうわよ｡ どんな手を使ってもね｡ ♬～

明日、ママがいない＃03

1 (足音) (足音) (ﾄﾞﾝｷ) ハァ ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ ハァ…｡ いや～‼ ハァ ハァ ハァ…｡ うっ ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ ハァ…｡ (ピア美) ≪あ～あ≫ (ピア美) 変な時間に ドンキに起こされたから➡ 超眠いんだけど｡ ごめんなさい｡ まぁ オツボネの徘徊癖も どうにかしてほしいよね｡ (ﾎﾟｽﾄ) 更年期障害だ｡ 来年には ここを出てかなきゃ ならないんだよね？ (ピア美) そう おかげでストレスで➡ 夜にさまようわ 食べるわ 病んじゃうわけだよね｡ ねぇ オツボネって➡ どうして ずっと ウサギのぬいぐるみ持ってるの？ ウサタン｡ 何が？ オツボネの最初のあだ名｡ (杖を突く音) ♬～ (佐々木友則) 見ておけ｡ 新しい里親だ！ (ﾎﾞﾝﾋﾞ) うわっ！ ｢家政婦さん付き｣ って書いてある！ (ピア美) そういうの待ってた！ お父さんは国際弁護士だって！ (ピア美) いや～ん ﾎﾟｲﾝﾄ高い！ 見ないのかよ｡ (ｵﾂﾎﾞﾈ) 無理｡ あんなに 誰もが群がる いいお家➡ 私みたいな行き遅れは お呼びじゃないし｡ その家は できるだけ 早い契約を望んでる｡ 性別 年齢は不問｡ 年齢不問？ ただし １つだけ条件がある｡ お前ら 星座は何だ？ (ピア美) はぁ？ いいから言え！ んっ！ さそりです｡ んっ？ みずがめ｡ んっ｡ (パチ) んっ？ 痛っ！ あぁ…｡ ハハハ…！ あぁ！ 僕のカエル！ チッ…｡ いて座の奴だ｡ いて座？ よし！ お前らが行け｡ (子供達) はぁ？ あぁ…｡ ♬～ ♬～ (ｵﾂﾎﾞﾈ) あの～｡ 私 ホントに お試しに 行ってもいいんでしょうか？ (叶) 条件は満たしてるんでしょ？ 条件っていっても 星座って…｡ 母親は占星術師で有名な 星野とばりさんという方｡ 両親との相性を気にしてる…｡ 行けば分かるわ｡ ライバルってことね ポスト｡ フッ ライバル？ 私には これが ラストチャンスかもしれない｡ もし ここのお家の子に なれなかったら 私…｡ あ～！ 分かった 分かった｡ いざという時は なっ｡ ♪～ (鍵盤をたたく音) や～めた！ 気分 乗らない｡ やっぱり納得いかない｡ 何？ 星座って！ これから家族になるんだよ？ そんなことで決めるなんて あり？ 蓮キュン｡ (蓮) ピアノの音が聴こえたから ここかなって｡ １人？ う… うん｡ 何？ ２人っきり？ そっかぁ｡ あのさ…｡ えっ？ 僕のこと どう思う？ どうって？ やっぱり 世間知らずの お坊ちゃんに見えるかな？ えっ？ ｢コガモの家｣のみんなって➡ 何ていうか 自立してるっていうか…｡ そういう子達から見ると あれなのかな？ そんなこと思わないよ｡ 蓮くんは➡ すごく… 甘いよ｡ えっ？ スイートっていうか何ていうか…｡ あ～ もう 何言ってんの 私｡ フッ 大丈夫？ 私も➡ １つ 聞いていい？ 何？ 蓮くんのほうこそ 本気で相手にしたりしないよね？ 親のいない子なんて…｡ (蓮) そんなことない！ 君達のせいじゃ ないよ｡ それって 同情？ 違うよ｡ 冷えたのかなぁ？ まっ いっか｡ (ﾚｲｶ) はい 使って｡ ⦅見て～⦆ (東條)⦅お～ 上手に描けたね⦆ ⦅うん⦆ そのハンカチは…｡ えっ？ 忘れられた…｡ (東條)⦅ちょっと待って！⦆ ⦅ハンカチ忘れてるよ マイ スイートハニー⦆ (ﾎﾞﾝﾋﾞ) あなたの素敵なご両親が➡ 玄関先まで追い掛けて渡した レースのハンカチ｡ たかがハンカチで｡ (ﾎﾞﾝﾋﾞ) ｢たかがハンカチ｣？ されどハンカチ！ どうしたの？ やめて！ そのハンカチを汚さないで！ (東條) ⦅友達を泣かせたのかい？⦆ ⦅大切な友達には 優しくしなきゃダメだよ⦆ 違うんです！ あの子は悪くないんです！ 私です！ 期待なんてさせないで！ 優しくなんてしないで！ あ～！ あ～！ 私が悪いんです～！ はっ？ ♪～ あるこう わたしはげんき おい！ どこ行った？ あぁ!? あの… ロッカーなら 今 すれ違って➡ 買い出しに行ったみたいですけど｡ チッ｡ (杖を突く音) お前ら 腹へったか？ いや まだ…｡ 行くぞ ほら｡ えっ？ ちょっと どこ行くんですか？ (チャイム) (叶) 今回 ご紹介する２人です｡ はじめまして ｢コガモの家｣から来ました｡ う… よろしくお願いします 奥様｡ 私は 家政婦の三田村です お荷物 お持ちします｡ あ… ありがとうございます｡ すいません｡ お２人は こちらへ｡ ソファに掛けて お待ちください｡ (ｵﾂﾎﾞﾈ) あの…｡ (三田村) はい｡ お父さんとお母さんって どこにいるんですかね？ こちらでお待ちください｡ は～い 日替わり弁当２つ お待たせしました｡ これね あなた達きょうだい 仲いいから おまけね｡ ありがとう｡ うん｡ ありがとうございます｡ ううん｡ 気を付けてね｡ (田村) こんにちは｡ あぁ いらっしゃいませ｡ (田村) 日替わり弁当ください｡ はい 日替わり弁当ですね｡ お前ら 食え｡ は… はい｡ (パチ) いただきま～す｡ おい｡ はい？ 何だ？ あの男は｡ さぁ？ お客さんじゃないですか？ 客と あんな楽しそうに喋るか？ と言われても…｡ 普通 弁当を買ったら➡ ｢ありがとうございました｣で 終わりだろ！ 違うか!? それは そうかもしれないです｡ あっ もしかして 旦那さんかもしれないですね｡ あぁ!? (パチの泣き声) 泣くな！ (泣き声) (泣き声) 静かだわ ポスト｡ 寝てんの？ 余裕かまして もう…｡ 両親に ご挨拶に行くわよ｡ 両親いたの？ (ｵﾂﾎﾞﾈ) あれ？ [TV](吉田正一郎) こんにちは｡ [TV](吉田弓枝) こんにちは～！ (叶) 紹介するわね 今回 里親を 希望してくださった➡ 吉田正一郎さんと 奥さんの弓枝さん｡ [TV](弓枝) 水沢さん？ 失礼しました｡ 奥さんは星占いの第一人者として 有名な 星野とばりさん｡ [TV](吉田) お待たせしてしまったかな｡ ２人のバックボーンや 現在に至るまでの経緯を➡ 水沢さんに 説明してもらっていてね｡ [TV](弓枝) こんな かわいらしい お嬢さんが➡ ２人も来てくれるなんて うれしいわ｡ [TV] 星座の条件は クリアしてるのよね？ はい！ 私 いて座です｡ [TV] あなたも？ [TV](吉田) お前 また そんな 非科学的な注文つけたのか？ [TV] あら 相性は大切よ ねぇ？ あっ はい！ あの お２人は今 どこにいるんですかね？ [TV] 私は今 国際弁護士として ＬＡで働いてる｡ エレ～…？ ロサンゼルスよ｡ ブッ｡ ちょっと やめてよ｡ [TV] こんな形での挨拶で ごめんなさいね｡ [TV] 私も新しい本の出版で ホテルに缶詰め状態で｡ [TV] 普段も地方を飛び回ってて なかなか家に戻れないの｡ でも 私達 里子候補で来たんですよね？ [TV] まずは 紹介しておいたほうが 話が早いか｡ [TV] 水沢さん 頼みます｡ はい｡ お願いします｡ [TV](吉田) 一人娘のアズサだ｡ [TV](弓枝) あなた達には姉妹として➡ この子の支えに なってもらいたいの｡ ご挨拶は？ はじめまして｡ (においを嗅ぐ音) あの～…｡ (吉田ｱｽﾞｻ) 食べたら すぐ帰って｡ えっ？ (ｱｽﾞｻ) 遠くからわざわざ来たし➡ ごはんぐらい食べさせてあげよう って思っただけだから｡ パパとママは ああ言ってたけど 私は姉妹なんていらない｡ だから あなた達に用はないの｡ お疲れさま｡ (ｵﾂﾎﾞﾈ) じゃあ また明日…｡ (ｱｽﾞｻ) いらないって言ってるでしょ！ あなた達 どうして うちの子になりたいの？ それは…｡ (ｱｽﾞｻ) お金目当て!? それなら無駄よ｡ それって どういう…｡ 何？ 図星!? はぁ… 三田村さん！ 最低限の生活費と 大学までの費用は➡ こちらで責任を持って 負担いたしますが➡ それ以外 相続はもちろん 贈与も 一切の援助もいたしません｡ 里親から 養子縁組となった場合も➡ そのような契約書に サインをしていただきます｡ そりゃ そうだな｡ 実の娘がいるんだから｡ だけど 縁組をするっていうことはさ➡ 実際の家族に…｡ (ｱｽﾞｻ) やっぱりお金なのね！ ずうずうしい｡ 大体 どこの誰かも分かんないコと➡ どうやって 家族になれっていうの？ いて座｡ くっだらない！ 私はママと違って 星座も血液型も信じてない！ だけど ほら… 意外と ばかにならない相性も➡ あるっていうか… ねぇ ポスト➡ 私達も いて座同士 姉妹みたいに…｡ あんたも更年期？ 帰れ‼ (ｵﾂﾎﾞﾈ) ポスト 帰ろ｡ ♬～ ≪娘さん いたの？≫ まぁね 私らより ちょい上｡ これがまた 感じ悪いんだ｡ つまり 里子っていっても➡ 体のいい お話相手だったってこと？ (ピア美) な～んだ じゃあ 私 さそりでよかった｡ そんな うまい話なんて ないってことね｡ 私も みずがめでよかった～！ 部屋と学費 出してくれるって｡ 私は 気楽で 構わないって思ったけどね｡ えっ!? あんた お泊まり行く気なの？ (ノック) ちっち～｡ 来たか おうし座｡ モ～｡ いつまで 飯 食ってんだよ｡ おい｡ 私 お泊まりパス｡ はぁ？ 気持ち 分かるよ｡ だって 普通の縁組とは ちょっと違うもんね｡ そうそう まだ行くっていう あんたのほうが ﾌﾟﾗｲﾄﾞ低過ぎない？ 私も そう思う ｢パパ ママ｣って 呼ぶに呼べないじゃない｡ オツボネ 年齢不問なんて めったにないんじゃないか？ なぁ｡ それにしたって 条件 悪いんじゃないかな｡ 高望みしてたら きりがないだろ？ お金よ｡ んっ？ お金が必要なの！ そりゃあ 少しは｡ 少しじゃダメなの！ 手術には たくさんのお金が必要なの！ 手術？ (ｵﾂﾎﾞﾈ) この目よ！ この目を治してくれるお家に 私は行きたいの｡ こんなんじゃ 誰も私を愛してくれない｡ ♬～ 例えば 誰かを好きになっても…｡ 私は 恋だってできない｡ だから 私は…｡ (ｵﾂﾎﾞﾈの泣き声) ♬～ お嬢様！ お嬢様！ あなた…｡ 来たよ｡ はぁ～｡ (ｱｽﾞｻ) あの眼帯のコは逃げたのね｡ 逃げたわけじゃ ない｡ でも 結局は お金ってことでしょ？ ｢そんなのいらない 家族になりたい｣➡ …ぐらいの きれいごとでも言ったら➡ ボーナスぐらい 出してあげたのに｡ キャ！ ちょっと 危ないでしょ！ ああ ごめん｡ (ピア美) そう 蓮くんは➡ なぜか ここで しばらく夕日を眺めてから行くの｡ (ﾎﾞﾝﾋﾞ) チャンスじゃない？ ダメ やっぱり無理｡ 告るって言ったの ピア美じゃん｡ 告白じゃ ない｡ 両思いを 確認するのよ｡ じゃ 早く確認して来なよ｡ よし｡ 夕日 きれいね｡ あなたは 塾の帰りに➡ 何を思ってるのか ここに来る｡ きっと 私と一緒のことを思ってる｡ 一緒のこと？ 私は あなたを｡ あなたは 私を｡ ごめん｡ えっ？ 確かに僕は ここで➡ １人の女の子を思い出してる｡ だから それって…｡ (蓮) ごめんね｡ ♬～ (ｱｽﾞｻ) ねぇ｡ ポストでいい｡ みんな そう呼ぶ｡ (ｱｽﾞｻ) 分かった｡ こっちも聞いていいのか 分かんないけど…｡ この脚？ 着地に失敗しちゃったの｡ ２年前 体操部で 平均台から｡ 痛て｡ フフっ｡ 早く治さなくちゃ とは思ってるの｡ パパとママにも 心配かけてるから｡ たとえ パソコン越しでも… それでも…｡ ウソ｡ えっ？ わざと心配させてる｡ まさか｡ なのに こんな話し相手なんて くっつけられて それで終わり｡ だから 私達に最初にキレて…｡ 何を言っているの？ 本当にキレたかったのは パパやママ｡ 違う… 違うわ！ 違わない｡ ポスト やめて！ 止めて！ 立てよ！ イヤ 誰か！ ホントは立てるんだろ？ クララ｡ イヤ 止めて～！ 立て～‼ (ｱｽﾞｻ) キャ～‼ (泣き声) (ﾎﾞﾝﾋﾞ) ピア美…｡ 笑いなさいよ！ ハハハ…！ 私のことも 笑って｡ えっ？ ジョリピ｡ (ピア美) は？ みんなには内緒だけど 日本のジョリピ 見つけちゃった｡ 私ね そこのお家の子に なりたいって ずっと妄想してた｡ 妄想って？ 素敵なパパとママ➡ 真っ赤なバラと 白いパンジー！ 子犬の横には 私｡ それで？ いたの｡ 何が？ 子供が｡ 私達と同級生｡ 何それ？ ハハっ！ (ﾎﾞﾝﾋﾞ:ﾋﾟｱ美) ハハハ…！ (泣き声) なぜ ここにいる？ なぜ 今日 行かなかったかと 聞いてるんだよ！ あの お家は…｡ 私の夢を叶えてくれません｡ 夢だ？ お金が…｡ 金!? 私…➡ お金が必要なんです｡ だから…｡ ぶざけるな‼ 雨露しのげる家がある 学費も出してくれる｡ その ありがたみも 分かんないのか!? 金だと？ お前 年はいくつだ？ 来年の春には 出てくんだろう？ あと３人だ… あと３人で１０８人になる｡ なのに どいつも こいつも 贅沢ぬかしやがって｡ 俺は 早く あの女に…｡ あの女って？ あっ｡ 余計なこと言うな｡ ♬～ 失せろ｡ 里親でなく 金なんぞを 求めるお前の居場所は➡ ここには ない｡ (杖を突く音) 出てけ‼ ♬～ チッ はぁ～｡ すぐに｢コガモの家｣に連絡します 今回のお話は なかったことに｡ 待って｡ 旦那様 奥様にお話ししても 同じことになります お嬢様｡ 私は大丈夫だから｡ 少し２人にしてくれる？ (三田村) ですが…｡ お願い｡ ごめんなさい！ いて座は 思い込みが強い｡ ママが言うに｡ ポストの言ったこと 半分は当たってる｡ 治療して この脚は 本当は治ってる｡ でも 半年ぐらいかな➡ リハビリをわざとサボったの｡ きっと私 怖かったんだ｡ 治ったら またパパとママが➡ 私から 離れて行くんじゃないかって｡ 変な暗示を自分にかけちゃった｡ そしたら 私の脚 本当に動かなくなっちゃった｡ バカみたいでしょ｡ 私の幸せって…➡ 何だろうね｡ 私は ただ➡ パパとママに 帰って来てほしいだけなのに｡ 帰って来て➡ 抱き締めてくれたら➡ それだけでいいのに｡ この家は広いけど…｡ 私の居場所は ないんだよ｡ どこにも…｡ ♬～ 温かいよ｡ 動くよ まだ｡ きっと動く｡ ♬～ (シャッター音) (シャッター音) ♬～ (篤子) バイバ～イ！ ありがとうね～！ ハハハ…！ ♬～ はぁ…｡ (ｱｽﾞｻ) イヤっ！ もう一回｡ もう無理よ｡ もう一回｡ 随分 スパルタなハイジね｡ (篤子) ≪ちょっと！≫ (篤子) 珍しく混んで来た 手伝っておくれよ｡ でも…｡ いいから！ 行くとこないんだろ？ フフフ…｡ ♪～ ハハハ…｡ あらら… 随分 若いね｡ ♪～ 気に入っちゃった？ そりゃ うるさい年増よりは ♪～ ずっといいよ なぁ？ ♪～ ひどい～！ ♪～ ほら さっさとビールついで｡ ♪～ (ｱｽﾞｻ) ただいま！ おかえりなさいま…｡ (三田村) お嬢様？ ちょ… お嬢様 どうされたんですか？ これ｡ 離してください｡ いやいや 違うったら｡ 手相を見るんだよ｡ アハハハ… これね スケベ線っていうんだよ｡ アハハ…！ やめてっ！ ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ ハァ…｡ 誰かと一緒に寝るなんて 久しぶり｡ そう｡ ポストは？ パチっていう小っちゃい子が いつも私の布団に潜り込んで来る｡ そっか じゃあ 寂しくないね｡ 私は 生まれた時から一人だから➡ 寂しいって よく分からない｡ 今日は ポストが パチって子の気持ちになったら？ フフ…｡ 何？ 何か照れる｡ ハハハ…｡ 私達 こうしてると 本当に姉妹みたいじゃない？ こうしてると 家族みたい｡ ウサギ｡ あれ？ ポストの場所に いつも あのコがいるんだ｡ そう｡ ウサギって どうして目が赤いんだろう？ 泣いてばかりいるからかな？ (ｵﾂﾎﾞﾈの泣き声) ≪♪～ フ～ンフフ フフンフフ～ン≫ あの！ ≪何だ≫ オツボネ 帰って来ませんでした｡ ≪だから何だ≫ 居場所の見当は ついてる｡ どうせ 母親のとこだろう｡ ママがいるんですか!? 母親でいるより 女でいることのほうが好きな女だ｡ フッ お前のママと同じだ｡ そんな…｡ だったら なおさら オツボネを迎えに行ってください｡ 男好きの母親を持つと 苦労が絶えないな｡ オツボネを 迎えに行ってください！ 傷つけられちゃう前に｡ ≪フッ あいつが傷つく たまか≫ ガキのくせに 金 金 言いやがって｡ 誤解だと思います｡ 誤解？ オツボネのお金のこと…➡ 私でも ピア美でも ボンビでも もしかしたらポストでも➡ オツボネの立場なら…｡ ≪立場っていうのは 何だよ？≫ 目のことです｡ ≪眼帯の下の…≫ チッ 仕方ないだろう！ 仕方なくないです！ 女のコだから｡ はぁ～｡ ♬～ (ｱｽﾞｻ) イヤ！ 今日は このへんにしようか｡ もう一回｡ えっ？ やぎ座は頑固だから｡ ママが言うに？ (ｱｽﾞｻ) フフ｡ (パチ) ≪ポスト～！≫ 何してんだよ｡ だって パチが ポストに会いたいって言うから➡ 電車 乗り継いで｡ だからって わざわざ こんな所まで｡ ｢コガモ｣に居づらいのよ｡ 魔王がイライラしてさ パチ すっかり おびえちゃって｡ 何かあったの？ オツボネが勝手に お試し やめたから➡ 怒鳴りつけて追い出しちゃったの｡ 昨日は帰って来なかった｡ (ｱｽﾞｻ) キャ～！ あっ｡ カ… カエル？ あっ！ あっ！ おい！ どこ行ったんだ!? おい！ チッ またか｡ 出掛けたみたいですけど ロッカー｡ 飯の準備もしないで どこ行きやがったんだ｡ お前 俺のケータイ どこにあるか知らないか？ さぁ？ チッ はぁ～｡ １０８人｡ 何だよ？ この前 言ってた １０８人って…｡ お前 知らないのか？ 人間の煩悩の数だ １０８ってのは｡ それが あの女の人と 何か…｡ あぁ？ (杖を突く音) お弁当屋さんの 女の人と➡ 何か 関係あるんですよね？ 俺は…｡ あの女の子供を➡ 殺した｡ ハッ！ (杖を突く音) ♬～ うん あの子ね 来たよ｡ やはり… ｢来た｣ということは 今は？ ここには いない｡ というと？ あんたさ 児童相談所の人だったよね？ 偉そうにしてっけど➡ ちゃんと仕事してくれなきゃ 困るよ｡ 何で あの子が 家に戻って来るわけ？ それは…｡ 手のかかる食いぶち 増やすわけにいかないよ｡ だから 働いてもらう｡ 彼女は未成年です｡ 化粧すりゃ ごまかせるよ｡ 彼女に何を？ パパ ママ 見て？ [TV] アズサ！ [TV] アズサちゃん！ お電話です｡ もしもし｡ [TEL](ｵﾂﾎﾞﾈ) ポスト｡ オツボネ？ あんた 出てったってホント？ 今 どこ？ [TEL] 私ね 今 ママの所にいるの｡ ママ？ [TEL] うん｡ [TEL] 私 魔王を怒らせちゃって…｡ それは聞いてる｡ お試しのことで追い出されたって｡ [TEL] 追い出されたんじゃ ない｡ [TEL] 自分から 出て来たの｡ [TEL] パワハラっていうか…｡ [TEL] よく考えたら よく今まで あんな所にいたなぁって｡ だって それは…｡ [TEL] それでね ちょっと どうなのかなって思って➡ ママの所に帰って来たんだけど➡ そしたら ママ すっごく優しく迎えてくれて➡ ｢今まで いろいろあったけど ごめんね｣って｡ [TEL] 不安だったけど 会いに来てよかった｡ やっぱり一番は ホントの親だよ｡ 何だかんだ お腹痛めて 産んでくれたんだから｡ [TEL] ポスト？ やめろよ｡ [TEL] えっ？ 他の奴なら ｢そう よかったね｣ って信じると思う｡ でも私は｢コガモ｣にいるコが そんなこと言ったら➡ 絶対 信じない｡ オツボネだって そうだろ？ そんな都合良く めでたし めでたしになるんだったら…➡ 最初から手放したりしない｡ [TEL] そうだよね｡ ポストに ウソついても バレちゃうか｡ [TEL] どこにいるの？ オツボネ｡ これからは 歩けるように練習するつもり｡ 少しずつ 一歩一歩｡ [TV](吉田) 本当によかった｡ [TV] あなた｡ [TV] そうだな｡ [TV] 言い出しづらいことが あったんだけど➡ 前向きになってくれた 今のアズサなら大丈夫だ｡ えっ？ [TV](弓枝) 生活のことは 心配いらないわ｡ [TV] 何ひとつ変わりはないの｡ [TV] アズサ 私達は…➡ 離婚することになった｡ 何か 疲れちゃった｡ いつかは 出て行かなくちゃ いけない場所にいて➡ また次の居場所を探し続けるのに とっても疲れて…｡ [TEL] みんな そうだよ｡ オツボネだけじゃ ない｡ 私達は 同じだ｡ [TEL] やめろよ｡ 先輩なんだから 年上なんだから➡ そんな弱音 聞きたくないよ｡ [TEL] ごめん｡ そうだよね｡ 年上か…｡ オツボネだもんね｡ おねえちゃんだよ｡ 私達 本当の姉妹みたいじゃないか｡ 本当の家族みたい｡ ♬～ [TEL] ねぇ おねえちゃん 返事してよ！ ありがとう ポスト そんなふうに言ってくれて｡ ホントに…➡ ホントに ありがとう｡ (鍵が開く音) [TEL] もしもし？ オツボネ？ オツボネ!? ウサタン‼ もしもし？ 返事して！ おい！ [TEL] ロッカー…｡ ロッカー…｡ (泣き声) [TEL](オツボネの泣き声) [TEL](操作音) [TEL](メールの受信音) ♬～ 彼女は あなたの指定したホテルで 無事 保護しました｡ あっそ｡ と同時に あなたのことは 児童虐待で警察に通報します｡ バカだねぇ 男なんて 行かしゃあしないよ｡ 行かせない？ ビビらせてやろうと思ったんだよ｡ どうせ途中で 逃げ出すと思ってたのに➡ ホントに行くなんて➡ バカな子｡ それほどまでに 居場所がなかったんです｡ 捨てられた子には｡ 捨てたなんて 人聞きが悪い 引き裂かれたんだよ｡ もう 飲まないでって お酒を止められてね｡ 争ってるうちに ビール瓶が割れて➡ その破片が あの子の目に…｡ まっ➡ 連れてってもらって 引き裂かれてホッとしてた｡ あの子の目 見てると➡ 罪悪感っていうの？ それがね…｡ ♬～ 何？ あなたは➡ 母親になる機会を２度 逸した｡ １度目は➡ 自分の手で あのコを傷つけてしまった時｡ ２度目は今回｡ ごめんなさいと謝って➡ 彼女を 抱き締めてあげられなかった｡ ３度目はありません｡ (ドアの開閉音) 晩飯…➡ もう ないよなぁ…｡ フン｡ どいつも こいつも こんな残しやがって｡ チッ はぁ…｡ (ドアの開閉音) ♬～ ♬～ 飯は？ ♬～ ♬～ おぉ 食え｡ ♬～ ♬～ いただきます｡ ♬～ うん｡ ♬～ ♬～ (泣き声) ♬～ ♬～ (泣き声) ♬～ うまいか？ 味 分かんない…｡ チッ はぁ｡ ♬～ 手伝わせちゃったわね｡ これは お礼｡ (車の走行音) マジで？ ♬～ 気を付けて｡ んっ？ パチが寝てるから｡ ♬～ 随分 遅かったね｡ おかげで変なもの見ちゃったし｡ えっ？ 変でもないか｡ どう？ お試し｡ 実の親がいても➡ 寂しいと思う奴はいるんだな｡ オツボネも そうだったみたい｡ うん｡ 何が幸せなんだか 分からなくなるよ｡ 私… やっぱり もう一度 お試しに行こうかな？ どうした？ 急に｡ 何が幸せだか 分からないから｡ マネすんなよ｡ フフフ…｡ ♬～ うまくやってるようだな｡ 私は食って 寝るとこさえあればいい｡ フッ なら とっとと契約しろ｡ お前が行きゃ あと２人になる｡ あぁ？ こっちの話だ｡ 何があった？ ♬～ アズサ！ ポスト…｡ 何があった!? 花瓶…｡ 誰にやられた!? 自分で｡ どうして…？ パパとママ 離婚するの｡ チッ｡ 歩けるようになっても 意味なんてなかった｡ (救急隊員) 下がってください｡ (サイレン) (サイレン) ハァ ハァ ハァ…！ (サイレン) チクショ～！ (サイレン) (サイレン) チクショ～‼ (サイレン) ハァ ハァ ハァ…｡ チクショ～～‼

絶対零度１st～未解決事件特命捜査～＃07

1 （横川）《ユニバースシネマ 買収の件→ もう一度　先方と 話をしてみてはいかがでしょう》 （桝山）《話し合う必要性が どこにある》 （横川）《強引な買収は 経営陣が納得しません》 《また　もめますよ》 （桝山）《それなら前のように→ 全員　切り捨てればいい》 ≪（吉岡）《社長　これを》→ 《昨年 骨髄移植を社長が受けた件で→ ドナーを買収したのではと》 （吉岡）《正式に抗議しますか？》 《いや　その必要はない》 （吉岡）《えっ》 《いまさら驚くことじゃない》 《秘書のあなたが 一番よく知ってるでしょ》→ 《社長が　どういう人間か》 （吉岡）《おはようございます》 《社長？》 《社長》 [ﾃﾚﾋﾞ]（リポーター）《ＩＴ時代の寵児と 呼ばれた→ フューチャー・ステップス 桝山社長殺害事件から→ ３カ月が経過しましたが→ いまだ 犯人逮捕に至っていません》→ 《強引な買収で 桝山社長を恨んでいた関係者は→ 各方面にわたって 多数いたとみられています》 （リポーター）《横川さん このたび正式に→ 株主総会で　社長に就任することが決まったそうですが→ 一言お願いします》 《無念の死を遂げた 桝山社長の分まで→ 会社を盛り上げていく所存です》 《また　一刻も早く 犯人が逮捕されることを→ 望んでいます》 （リポーター）《ありがとうございます》 （リポーター）《今後も 桝山社長のような→ 強引な買収を 引き継ぐおつもりでしょうか》 （リポーター）《犯人に お心当たりはないんですか？》 （高木）被告人　木戸　聡史は→ 平成１８年６月２２日 六本木に所在する→ フューチャー・ステップス株式会社社長室において→ 同会社社長　桝山　一弘に対し→ 殺意を持ってナイフで その胸部を　１回　突き刺し→ 同人を殺害したものである。→ 罪名および罰条　殺人。 刑法　第１９９条。 被告人。 今　読まれた事実について→ 何か意見はありますか？ （木戸）はい　あります。 （桜木）えっ？ （裁判長）起訴状と 違う点があるなら述べてください。 わたしは犯人じゃない。 （ざわめき） （裁判長）静粛に。　弁護人ご意見は。 （黒崎）はい。→ 今回　特命捜査対策室が 再捜査に当たったそうですが→ 捜査にミスがあったと 考えています。 （黒崎）本件の殺人事件の犯人は 被告人ではありません。 ♪♪～ （黒崎）警視庁特命捜査室の 倉田警部ですね？ （倉田）はい。 （黒崎）まずは再捜査に当たり→ 当事件の犯人が 被告人であると判断した経緯を→ 詳しく説明していただけますか？ （倉田）２カ月前です。 （倉田）《再捜査だ》 《どの事件ですか？》 （倉田）《４年前の 六本木ＩＴ社長殺人事件だ》 （塚本）《ああ　あの 「金で買えないものはない」の》 （高峰）《確か強引な買収で→ 怨恨の動機のある容疑者が 多数いた事件ですよね》 （深沢）《でも当時は 容疑者　誰一人として→ 犯行に結び付く物証は 見つからなかった》 （倉田）《今回 まったく違う線が浮上した》→ 《現在は退社してるが→ かつての秘書で 事件の第１発見者の→ 吉岡　知加子からの 有力な情報だ》→ 《居酒屋で 偶然　近くに居合わせた男が→ 当時 被害者が愛用していた腕時計を→ 身に着けていたらしい》 《腕時計》 《しかも彼女は→ その男に見覚えがあった》 《えっ？》 （倉田）《被害者の会社があった ビルは→ 東京国際警備という会社が 警備に当たっていた》→ 《その男は　そこに派遣されてる 警備員らしい》 （白石）《警備員。 そりゃまた意外な線ですね》 《裏取りをして すぐに解決するぞ》 （一同）《はい》 （倉田）《もう一度　聞くぞ》→ 《どうして　この時計を お前が持ってたんだ》 《それに　この古美術のナイフは 当時　社長室にあったものだ》 《形状から見ても 凶器であることは間違いない》 《それが　なぜ お前の自宅にあったんだ》 （ボールペンのノック音） （塚本）《いつまで耐えられっか 見ものだね》 （高峰）《木戸は感情を 自己抑制できるタイプじゃない》 （深沢）《すでに 体の方が我慢できなくなってる》 （ボールペンのノック音） 《俺だよ　俺がやったんだよ》 《なぜ殺した》 《目だよ　目》 《あいつの人を見下したような目 ずっと気に入らなかったんだよ》 証拠を突き付けると 被告人が自白したと。 はい。 （黒崎）だが　その自白は→ あなたの不当な取り調べにより 強要されたものではないですか？ （黒崎）あなたは被告人に 長時間にわたり→ ボールペンを カチカチと鳴らし続けた。→ いや　それだけじゃない。→ わたしが被告人から 聞いたところによれば→ 時に髪を引っ張ったり 足を蹴ったり→ 耳元で「お前がやったんだ」と 大声で怒鳴り散らした。 被告人は心身ともに疲弊し→ 思わず「やった」と言ったんです。 （白石）でたらめだ！→ 倉田は　そんな不当な 取り調べなんかやってない！ 白石さん　落ち着いてください。 （白石）犯人そいつだ。→ 言い逃れしやがって。 白石さん。 （裁判長）そこの方 次に発言をすると→ 退廷を命じますよ。 座ってください。 （黒崎）あなたは ご自身が経営するバーで→ 被告人と被害者が 酒を飲んでいるのを→ 見たことがある。　そうですね。 （田中）はい。　時々 一緒にいたのを　覚えています。 ２人が顔見知りなんて初耳です。 （黒崎）被告人と被害者は 懇意にしており→ よく酒を酌み交わす仲でした。→ 腕時計もナイフも→ 生前に譲り受けていても 何ら　おかしくはない。 ナイフには血液反応があったが→ ＤＮＡの特定は できなかったはずです。 （高木）異議あり。 それは強力な溶剤で→ 血液組織が 破壊されていたからです。→ その証拠は検出されてます。 （黒崎）だからといって→ そのナイフで被告人が 被害者を刺したとは言えない。→ 裁判長　以上の点からも→ 被告人が　当事件の 犯人であるという証拠は→ 全て憶測の域を出ていません。→ 証人尋問　終わります。 （高木）どうして顔見知りの事実を 見逃していたんですか。 申し訳ありません。 （高木）もしもの場合→ どう　責任　取るつもりですか？ （倉田）わたしを捜査から外せと→ 検察から一課長に 抗議が入ったと聞きました。 （長嶋）ああ。 （倉田）申し訳ありません。 ただ　この事件は　最後まで わたしが責任を持ちたいんです。 再々捜査　やらせてください。 （長嶋）お前が外れたら 誰が指揮を執るんだ。→ 一課長には　そう説明したよ。 頭を下げてくださったんですね。 それより倉田　必ず解決しよう。 うちで止められなければ 一生　未解決のままだ。 はい。 （塚本）だって 証拠が挙がってんだぜ。→ どう考えても犯人は木戸だろ。 弁護士も「被害者を刺したとは 言えない」とか→ 「憶測の域を出ていない」とか すごく　あいまいな言い方でした。 それが狙いだ。→ 裁判でグレーゾーンに持ち込めば 嫌疑不十分で無罪となる。→ 不当な取り調べだと強調したのも そのためだ。 そんな。 （白石）要は　疑わしきは罰せずだ。 （高峰）全ての証拠を 顔見知りの１点で→ ひっくり返されたわね。 （倉田）正式に　うちが 再々捜査をやることが決まった。→ 証拠および自白を含めて 木戸が犯人なのは間違いない。→ ただ俺たちの捜査に ミスがあったのも事実だ。 次の公判までに　何としてでも 新たな証拠を見つけ出す。 二度と失敗は許されない。→ 再々捜査のポイントは 見逃していた→ 被害者と木戸が 顔見知りだったという点だ。 （深沢）木戸は 事件当時も再捜査の際も→ そのこと　ずっと黙ってた。 （高峰）言えない事情が→ あったのかもしれないわね。 言えない事情。 （白石）裁判で証言した バーの店長に→ 裏取りをしてきますよ。 （倉田）あっ　わたしも同行します。 （白石）すいません。 （倉田）あらためて→ 事件関係者への聞き込みを 徹底的に行ってくれ。 はい。 （一同）はい。 わざわざご足労いただいて すいません。 （吉岡）いいえ。 犯人が犯行を否認したって→ ニュースで見て 気になってましたから。 あらためて お話を聞かせていただけますか？ 桝山社長と木戸が　どの程度 顔見知りだったのかも踏まえて。 はい。　前も　お話ししましたけど→ あの人にとって大事なのは お金で。 《日本トラスト証券を買収？》 （桝山）《目を通しておいてくれ》 （吉岡）《先方の小松社長とは 同郷で→ 父親のように 慕ってたんじゃないんですか？》 《２人とも　早くに　ご両親 亡くした　苦労人同士だって》 《慕っているふりを したにすぎない》 《言っておくが 俺は人は信用しない》→ 《もちろん うちの会社の人間もだ》 《信用できるのは しょせん金だけだ》 （深沢）携帯電話を 株や為替　古美術の購入などに→ 使い分けていたそうですね。 （吉岡）ええ 仕事柄　交流は派手でしたが→ プライベートの会話をしてるのは 一度も見たことがありません。 友達の１人ぐらいは。 そういうのをつくる人間じゃ なかったんですよ。 （深沢）でも 警備員とは顔見知りだった。 （吉岡）それが信じられないんです。 人を見下すところがあって→ 自分より下だと思った人間には→ まともに あいさつさえしない人でしたから。 （深沢）ほかに 何か覚えてることなどは？ （吉岡）そうですね。 あっ　ユメちゃん。 ユメちゃん？ （吉岡）《失礼します》 （吉岡）《社長　それ　子供に人気の ユメちゃんですよね》 《このキャラクターの 権利を持った会社を→ 買収する予定だ》 狙いをつけた会社は 外さないはずなのに→ その買収の話は 急に立ち消えになったんです。 ユメちゃんって　あの→ 両手に夢をいっぱい持った 猫のキャラクターですよね。 えっと　確か。 こんなんだったかな。 （深沢）貸してみろ。 すごい　うまいじゃないですか。 雑誌で　一度　見たことがある。 絵のうまさと記憶力は→ 関係してるという説がある。 お前の記憶力は→ ひどいということだ。 褒めて損した。 （深沢）それで その話は　いつごろのことですか？ （吉岡）確か　殺される １カ月前ぐらいだったと思います。 強引なやり方で　常に トラブルが絶えなかったので→ それが立ち消えになった 原因かもしれません。 お疲れさまです。 どうですか　再鑑定の方は。 （大森）あのね 再鑑定じゃなくて再々鑑定。→ 一度　徹底的に調べたものを あらためて探せって→ むちゃぶりもいいところよ。 何か　ご機嫌　斜めです？ （竹林）うん　けさね→ ペットのイグアナの 食欲がなかったんだって。 イグアナ？　そんなことで？ （大森）そんなことって桜木。→ 万が一のことがあったら どうすんのよ。 （竹林）独身のアラサーにとっては 大事件なんだよ。 （大森）スズキが　レタス 食べないなんて　初めてなのよ。 （竹林）えっ ペットの名前がスズキ？ おい　おい　おい　センスねえな。 （秋山）取りあえず今は 視点を変えて→ 証拠品の再検証をしてるとこです。あっ　お願いします。 （竹林）あっ　そうだ １つ気になることがあんのよ。 あっ　はい。 これ　あの　被害者の遺留品の パソコンなんだけど→ ほら　こんな記事が わざわざ保存してあんの。 ポストに１，０００万。 埼玉県の安藤さん？ 何で　こんな記事を？ でしょ？ で　あと　それとね ブックマークにもね　ほら。 あっ　ユメちゃん。 （秋山）被害者→ ユメラーだったんじゃないですか？ ユメラー？ （秋山）両手いっぱいに　夢を 持っている　ユメちゃんのことを→ 心から愛してる ファンのことですよ。 あっ　でも桝山社長　この会社 買収する予定だったみたいですよ。 （秋山）何？　買収？ そんなのユメラーが許しませんよ。 ちなみに その食い付きようからすると。 僕もユメラーです。 （竹林）ヤベえ→ 秋山の意外な一面　見ちゃった。 （大森）秋山　あんたキモい。 （竹林）はい　気にしない。 秋山君はキモくない。 （秋山）ユメちゃん。 （大森）キモいよ。 《急性骨髄性白血病》 （桝山）《ＨＬＡという 白血球の型が→ 適合するドナーが 必要だと言われた》→ 《身内だと適合率は４分の１》→ 《他人だと何万分の１らしい》 （横川）《どうなさるおつもりで》 《俺には身内がいない》 《でも金があれば何とかなる》 《俺に合うドナーがいたら その順番だって金で買う》 《今まで 金で買えなかったものあるか？》 （横川）それから すぐドナーが現れたので→ わたしも驚きました。 （高峰）骨髄バンク側には→ 金品の受け渡しを 完全に否定されました。 しかし 金で買おうとしたのは事実です。 色々　憶測が流れても 仕方がありません。→ どうぞ。 （高峰）当時 会計主任だった　あなたは→ 桝山社長が亡くなって３カ月後 社長に抜てきされましたよね。 わたしが得をしたと 言いたいんでしょうが→ それは 取締役会で決まったことです。 （高峰）桝山社長が警備員の木戸と 知り合いだったことについては→ どう思われますか？ それは　わたしも初耳でした。 あなたは桝山社長が殺される直前 電話で話してますよね。 （横川）再三お話ししましたが→ 次の買収先の打ち合わせを していただけですよ。 （塚本）１つ お伺いしてもいいですかね。→ ここにある古美術品ってのは。 （横川）ああ　桝山社長が 趣味で集めていたものです。→ そのまま引き取ったんですが 今では　わたしの趣味に。 （塚本）ちなみに お幾らぐらいするもんなんすかね。 まあ　安いもので４００万ぐらいです。 あのつぼなんかは １，０００万はしますが。 １，０００。　へえ。 （高峰）横川は何かを隠してる。 人は嘘をつくとき→ 緊張をほぐそうと　無意識に 自分の顔に触れたりする。→ 塚本さん？ （塚本）んっ　んっ？ （高峰）黙り込んで何かあった？ いや　別に　うん。 （高峰）おそらく社長の横川は 事件のことで→ 何か隠してることがありますね。 （倉田）そうか。→ だが　そうだとしても そう簡単には口は割らんだろうな。 （高峰）ええ。 （白石）桝山社長と木戸が→ たびたびバーで居合わせたのは 事実だった。→ だが親しい友人かどうかは 定かじゃないそうだ。 桝山は金が全ての男。 金銭面で　何か　つながっていた 可能性がありますね。 木戸に金を積んで　汚いこと 色々やらせていたのかもしれんな。 お金で　つながっていた。 （倉田）桝山はネット銀行に 口座を　複数　持っていた。→ 金の流れを　もう一度 調べてみる必要があるな。 （高峰）木戸を派遣していたのは 青山警備保障というところです。→ そこも 調べるべきかもしれませんね。 （深沢）確かに　再捜査のときは 個人的な犯行の線だと思って→ 派遣元は調べてない。 （白石）経済犯専門の→ 捜査二課の協力も 必要になってくるかもな。 （倉田）そのときは室長に頼んで 調整を図ってもらいます。 （白石）ええ。 経済犯。 指紋も付いちゃってるしな 調べられたら俺。 （倉田）塚本。 （塚本）はい。 どうした　お前　顔色が悪いぞ。 （塚本）ええ　ちょっと→ 気分が悪くて。 ≪（三井・道尾の笑い声） あっ　三井ちゃん。 （三井）ネコパンチって ホント面白いですよね。 （道尾）あっ　分かります。 僕も　つぼなんですよね。 つぼ？ （三井）特に→ ネコパンチュってネタが好きで。 カワイイ。 （道尾）あっ　僕もです。→ 三井さんと僕って ホント一緒ですね　笑いのつぼ。 つぼ？ つぼ　つぼ　つぼ　つぼ　うっせえ。 （ため息） 係長も泊まりですか？ ああ　次の公判までに それほど時間がないからな。 何としてでも 新しい証拠を見つけ出さないとな。 わたしも微力ながら頑張ります。 頼んだぞ。 あっ　桜木　そうだ　ほい。 すいません ありがとうございます。 ♪♪～ う～　よし。 当たり前のように また泊まったな　カメ。 あっ　室長　おはようございます。 いいかげん　お前の給料から→ ここの家賃を 払ってもらわないとな。 えっ？ 倉田。 （倉田）はい。 （長嶋）お前も飲むか？ （倉田）いただきます。 ありがとうございます。 （長嶋）で　どうだ　再捜査の方は。 ああ。 ああって何だい→ 気のない返事だな。 正直　桝山社長という人間が よく分からなくて。 再捜査のときから ずっと感情移入できないんです。 そういう被害者　初めてで。 理解できないか。 とにかく お金が全ての人なんです。 カメ　人ってのは そう単純なもんじゃないだろ。 笑っていても　本心は どう思ってるか分からない。 逆に悲しんでるように見えても 心の中では笑ってるかもしれない。 目に見えるものだけじゃなく→ その奥にあるものを つかまえないといけない。 そうしないと　被害者の死の真相に近づくことはできないぞ。 ♪♪～ 《２００５年３月→ 貧血症状が　ひどかった 桝山社長は　病院で診察を受け→ 急性骨髄性白血病だと 診断された》 《桝山社長の場合 骨髄移植を行わなければ→ 数年以内に死亡する確率が 非常に高く→ すぐに骨髄バンクに登録した》 《しかし身内がいないため→ 適合するドナーが見つかる確率は 何万分の１だった》 （桝山）《いくら金を出しても 駄目なのか》→ 《はっ？　待つしかない？ ふざけるな！》 《結局 適合するドナーはいなかった》 《もし見つかった場合　お金で→ 優先的に治療してくれるよう 掛け合ったが→ 当然　断られた》 《そして お金に　ものをいわせて→ 手当たり次第 海外にも当たってみたが→ ドナーは見つからなかった》 《桝山社長は　そのとき どんな気持ちだったんだろう》 《それから３カ月後 奇跡的にドナーが見つかった》 《骨髄移植を受け 治療を終えた後→ 桝山社長は　出版社から 自叙伝の執筆を依頼されていた》 《「フューチャー・ステップスは 狭いアパートの一室で→ 大学時代の友人　真野　誠一と→ パソコン一台で立ち上げたのが 始まりで…」》 （恵里）《いつも ありがとうございます》 （真野）《ありがとうございます。 ありがとうございました》 （恵里）《あっ　いらっしゃいませ》 《こんな場末でパン屋か》 （真野）《お前。　何の用だ》 （桝山）《かつては 億単位の金を動かしていたのに→ １００円のパン屋をね》 （桝山）《１つ　もらおうか。 名物のメロンパンってやつを》 （真野）《お前に売るもんなんか ない》→ 《お前に会社を追放されて→ 俺は　どうやって生きていいか 悩んだよ》→ 《でもな　今では感謝してる》→ 《縁が切れて 心底よかったと思ってる》 《そうか》 （真野）《金が全てのお前には→ 一生　分からないだろうな》→ 《１個１００円のメロンパンを→ 楽しみに待ってくれる お客さんがいる》→ 《それが　どれだけ幸せなことか》 《幸せか》 《邪魔して悪かったな》 それは　いつのことですか？ （真野）殺される ２週間ほど前だったと思います。→ なぜ　あいつが　突然　来たのか 分かりませんが。 桝山社長は　昔から 誰も人のことは信用しない→ お金が全ての人だったんですか？ （真野）《なあ　会社名どうする》 （桝山）《はあ》 《フューチャー・ステップス ってのは　どうだ》 （真野）《未来への階段？ 何か　だっせえな》 《いいんだよ》 （真野）昔は　よく笑った。→ 早くに両親を亡くしていたから→ 人との　つながりみたいなものを 大切にするところもあった。 桝山社長が。 （真野）でも　よかったのは 会社が上場するまで。→ その辺りから資金繰りが うまくいかなくなって→ 意見が対立し始めた。 そして　あいつは笑わなくなった。 でも　久しぶりに真野さんに会って笑ったんですよね。 桝山社長→ 奇跡的にドナーが見つかって 助かったんです。 何か感じたことが あったんじゃないでしょうか。 もう一度　調べてみます。 桝山社長が　なぜ 真野さんを訪ねに来たのか。 分かったら　また来ますね。 ありがとうございました。 （大森）このナイフ　ちょっと おかしいわね。　視点を変えて→ ナイフ自体　調べてみたのよ。 確か　これって→ １９世紀のフランスで 使用していたものでしょ？ ええ ナポレオンの時代のものですね。 それにしては 柄の金属に含まれてる不純物が→ 少な過ぎるのよね。 （竹林）んっ？　ヤベえ　それって。 （塚本）白石さん　白石さん。 ちょっと　ご相談があるんすけど あの。 （白石）はっきりしろ。 （塚本）実は　つぼ…。 （倉田）科捜研から連絡が入った。 凶器の古美術のナイフ→ 柄の金属部分が 最近　加工したものだそうだ。 桝山社長は長年にわたって→ 神戸にある古美術商から 商品を購入していた。 １カ月に１，０００万から３，０００万程度。 その古美術商 調べてみるべきだな。 あの　どういう意味ですか？ （深沢）まだ分からないんですか？ 美術品のナイフは 偽物だったんですよ。 へっ？ （深沢）購入した古美術品が→ 全部　偽物だった場合 買ったと見せ掛けて→ 金をどこかに プールしていた可能性がある。 それに木戸が絡んでたのかもな。 脱税目的かもしれませんね。 桝山社長の死後も　社長の横川は 古美術品を買い続けた。 こいつもグルだな。 （塚本）全部　偽物？ 係長　その古美術商の件 俺に任してもらっていいっすか。→ 兵庫県警に知り合いがいるんです。すぐに調べてもらいます。 ♪♪～ 神戸の古美術商のこと 分かりましたよ。→ 老人が１人でやってる 小さな店なんすけど→ 何か　おかしいんすよね。 はい　登記簿。 （白石）小さな古美術店の割には 何人も役員がいるな。 脱税とは違う目的が あったのかもしれませんね。 （倉田）よし 古美術商の方は俺と塚本で洗う。→ 深沢と白石さんは 引き続き青山警備保障について→ 徹底的に調べ上げてくれ。 （深沢・白石）はい。 作文コンクール。 懐かしいな。 桝山社長が審査員。 ユメちゃん。 埼玉県　安藤。 （竹林）《被害者の遺留品の パソコンなんだけど→ こんな記事が わざわざ保存してあんの》 高峰さん　これ。 （千尋）《「おとうさんは 大くさんでした」→ 「三か月まえに　しごとのかえりに こうつうじこにあって→ なくなりました」→ 「まい日ないてばかりだったけど なくなるまえ→ おとうさんが　こつずいいしょくがひつような　かんじゃさんの→ ドナーになっていたことを おもいだしました」→ 「かんじゃさんが げん気になったと　わかったとき→ おとうさんは すごく　よろこびました」→ 「わたしも　うれしかったです」》 （千尋）《「わたしは おとうさんに→ 大すきな ユメちゃんの　びんせんで→ かんじゃさんに おへんじをかいてと→ おねがいしました」》 ♪♪～ （千尋）《「おとうさんは 天ごくに　いっちゃったけど→ おとうさんのおかげで→ げん気に生きている人が いるとおもうと→ わたしも　ちょっとだけ げん気になります」》 （佐希子）作文コンクールの後 主催した新聞社の→ 佐藤さんという方から 娘に手紙がありました。 （高峰）失礼します。 （佐希子）それが　きっかけで→ 娘は佐藤さんと 文通をしていたんですが→ その方が。 （高峰）おそらく→ 桝山社長の可能性が 高いと思われます。 分かんねえもんだな。 桝山社長がドナーの娘と文通ね。 でも　何で　偽名　使ったんだ？ 骨髄移植を受けた 患者とドナーの交流には→ ルールがあるみたいですよ。 移植後１年以内に２回だけ→ 骨髄バンクを通して 手紙のやりとりができる。 でも　それには　互いの素性が 分かるようなことは書けない。 相手の素性に気付いた後も そのルールにのっとったのか。 意外に律義だね。 （白石）さすがに 名乗ることはできんだろ。→ 自分に命を与えてくれたドナーが 不運にも交通事故で亡くなった。 しかも　生き残った自分は→ あの「金で買えないものはない」の 悪評高い男だ。 分かった。　すぐに こっちに持ってきてくれ。→ 裏が取れました。 （ノック） （倉田）失礼します。→ 千尋ちゃんが送った手紙が 見つかった。→ 廃屋になってる 桝山社長の生家の物置に→ 保管されていたそうだ。 （千尋）《「そういえば　このまえ→ びっくりすることが あったんです」→ 「『おとうさんに おせわになりました』っていう→ お手がみといっしょに すごく　たくさんのお金が→ ポストに入っていたんです」→ 「おかあさんは　こまって　お金は けいさつに　とどけました」→ 「お金なんかいらない」→ 「おとうさんも生きていたら そういったとおもいます」》 《このキャラクターの 権利を持った会社を→ 買収する予定だ》 ♪♪～ （桝山）《「千尋ちゃんの お父さんは→ 骨ずいバンクに　ドナーとうろくをしていたんだよね」→ 「確かにお金じゃない」→ 「どんな見返りも求めない １００％の善意が→ この世の中にはある」→ 「お金を放り込んだ人は　それが 分からなかったんだろうね」》 （高峰）千尋ちゃんは 手紙をくれたおじさんと→ ３カ月にわたって文通してたのね。 （千尋）おじさん　手紙の中で昔は ユメちゃんのように→ 両手いっぱいの夢を 持っていたって。→ でも気付いたら　その夢は どっかへ行っちゃったって。→ いろんな悪いこともしたって 書いていました。→ おじさんは ホントに悪い人だったんですか？ そうだったかもしれない。 でも　千尋ちゃんに会って 変わろうとした。 桝山さんが最後に書いた この言葉　本心だと思う。 （千尋）変わろうとしていたのに 何で殺されたんですか？ お父さんは死んだ。 それに　お父さんが命を助けた おじさんまで死んだ。 何で。 桝山社長に何があって 殺されたのか。 必ず真実を突き止めるぞ。 （一同）はい。 白石さん。 （白石）おう。 （深沢）青山警備保障の筆頭株主の 遠田という男→ 単なる名義貸しでした。 本部のやつらに聞いたところ いわく付きの人物だそうですよ。 （白石）こいつを 徹底的に洗ってみるか。 （深沢）はい。 （塚本）これ見てください。→ この会社も 登記はされてますけども→ やっぱり実体のない ペーパーカンパニーっすね。 （長嶋）この先 幾つのダミー会社を通して→ 何に　つながってるかだな。 捜査二課に協力要請してみよう。 （倉田・塚本）はい。 あの　わたし　何が何だか さっぱり分かんないんですけど。 要は　架空の会社や人間を 隠れみのにして→ 違法なお金を どこかに流してるのよ。 桝山社長が やっていたことなんですよね。 （三井）皆さん どうぞ召し上がってください。 （道尾）お味噌汁もあります。 （塚本）やけに仲いい感じに→ なってんじゃねえか？　お前ら。 （長嶋）捜査二課に 詳しく調べてもらったぞ。→ 神戸の古美術商 ダミー会社の５つ先には→ とんでもないものがついていた。 あっ　室長。　遠田を洗ってたら→ 木戸のいた青山警備保障の裏には 大和会がついてましたよ。 （倉田）とんでもないものが 一致しましたね。 《大和会に金を流す？》 （桝山）《その裏経理の処理を やってほしい》 （横川）《そのために わたしを雇ったんですか》→ 《だましたのか》 《だまされたのは俺も同じだ》 （桝山）《上場したてのころ 資金繰りが→ うまくいかないときがあった》→ 《金策に走ったが どこも金を貸してくれない》→ 《そんなとき　出資の申し出が 投資ファンドからあった》 《俺は　わらにもすがる思いで 飛び付いたよ》 《でも危機を乗り越えた後に 初めて気付いた》 《大和会が絡んでいたのか》 《そうだ》 （横川）《会計主任を探してるって わたしに話を持ち掛けた→ 黒崎って弁護士は》 《青山警備保障の顧問弁護士だ》 《巧妙に隠しているが→ 裏では大和会の法律関係の一切を 取り仕切っている》 《断れば　わたしは　どうなる》 （ため息） 《すまない》 《もう 引き返すことはできないんだ》 （倉田）木戸は 大和会の準構成員だった。→ あなたの会社の警備に　なぜ 暴力団が　かかわっていたんだ。 何も話しませんから。 話せば 自分の身に危険が及ぶからか。 桝山社長が 生家に隠し持っていた裏帳簿だ。 （倉田）神戸の古美術商を通して→ 大和会への不正な金の流れが 記されている。→ あなたの身柄は われわれが責任を持って守る。 だから　全部　話すんだ。→ それとも　金を むしり取ってるやつらの影に→ 一生おびえて暮らすのか？ （高木）当事件の犯人は　やはり 被告人に間違いありません。→ 指定広域暴力団　大和会の 準構成員である被告人は→ 警備員として 被害者の会社に入り込み→ 常に被害者の行動を 監視していました。→ それは プライベートにも及んだため→ バーで居合わせることもあった。 被告人は 被害者殺害の実行犯ですが→ これは暴力団による 組織的犯行だったとも言えます。 異議あり。→ 当事件に大和会が絡んでいるなど バカげた憶測にすぎない。 憶測ではありません。 現フューチャー・ステップスの 横川社長は→ 身柄の保護を条件に→ 取り調べにおいて 事件の真実を話しました。 [TEL]（横川）《大和会と縁を切るって どういうことですか》 《さっき向こうに 連絡を入れたところだ》 《この会社なら あいつらにくれてやる》 《俺は 一から　やり直すことにした》 [TEL]《ちょっ　ちょっ　ちょっ ちょっと待ってください》→ 《じゃあ　わたしは》 《横川。　悪いが　お前も 身の振り方を考えてくれ》 《うっ》 [TEL]《社長。　もしもし　社長》 （木戸）《やつなら 今　刺したところだ》 [TEL]《誰だ　貴様》 《横川　組織を裏切ったら お前も同じ目に遭うぞ》 （木戸）《上からの指示がなくても 俺は　あんたを殺してたかもな》 （木戸）《いつも 見下しやがって》→ 《しょせん　お前も 組織に使われてるだけだろうが》 （裁判長）弁護人 今の発言について　ご意見は。 ありません。 おい 守ってくれんじゃなかったのかよ。 （塚本）ヘドが出んな やくざの論理ってやつは。 あの弁護士も　やぶ蛇だったわね。 桝山社長と木戸が顔見知りだって 切り札を出したのは。 （黒崎）まさか横川が裏切るとは。 はい　すぐに対応を。　失礼します。 逃げ切れると思うなよ。 警察は　どこまででも追う。 亡くなった命を無駄にはしない。 （小学生）《おじさん 言われたとおり買ってきたよ》→ 《はい》 （桝山）《ありがと》 《はい　これは君の分だ》 （小学生）《ありがとう　バイバイ》 ♪♪～ 《うまいな》 （桝山）《「今日　友だちの作った メロンパンを食べたんだ」→ 「すごく　おいしかったよ」→ 「千尋ちゃんのお父さんが 言ってたように→ 命とか　家ぞくとか　友だちとか→ お金で買えないものは→ この世の中には いっぱいあるね」》 （桝山）《「おじさんは そういうのを→ これから大せつにしたい」→ 「変われるかな」→ 「でも生まれそだった家で→ 一から　やり直してみようと 思ってるんだ」》 《うっ》 ♪♪～ （桝山）《最近　俺さ でっかい会社のビルがあれば→ よく見上げるんだ》 《いつか　これよりも でっかい会社をつくって→ 上まで 駆け上がってやるぞってな》 《でもさ　上ばっか見てたら 首が痛くなっちゃってよ》 《バカだな　お前》 （真野・桝山の笑い声） （桝山）《なあ　真野》 （真野）《んっ？》 《いつか２人で　頂点　立とうな》 《ああ。　やれよ　早く》 ♪♪～ じゃあ　あいつ　変わろうとして。 はい　真野さんを訪ねた理由も 書かれていました。 謝りたかったそうです。 仲直りして できれば昔に戻りたいって。 あのころには戻れませんよ。 えっ？ きっと　あいつも　そのことは 分かっていたと思います。 お互い別の人生を選んだんです。 あのころには どうやったって戻れない。 （真野）それに今となっては 戻りたくても戻れない。 あいつは　この世に　もういない。 （真野）伝えてくれて ありがとうございました。 あのとき 「幸せか」って笑った桝山の顔。 一生 忘れられそうにありませんよ。 ♪♪～ （桝山）《最近　俺さ でっかい会社のビルがあれば→ よく見上げるんだ》→ 《いつか　これよりも でっかい会社をつくって→ 上まで 駆け上がってやるぞって》→ 《でもさ　上ばっか見てたら 首が痛くなっちゃってさ》 ♪♪～ おい　カメ 何してるんだ　そんなとこで。 あっ。　あっ　これ　桝山社長の→ 昔　友達だった人が作った メロンパンです。 室長も　どうぞ。 そうか。 桝山社長は ただ純粋に夢を見てたんです。 なのに　いつの間にか 周りの思惑に　からめ捕られて。 確かに悪いことをした。 でも最後には　一から やり直そうと思ってたのに。 カメ　人ってのは→ そう単純なもんじゃないって 言っただろ。 それは 生きていくってことも同じだ。 大事なものは 失ってから気付くことも多い。 必ず思いが相手に伝わるとは かぎらない。 変わろうと決心した瞬間に 殺されることだってある。 何だか　悲しくて切なくて。 それはカメが いい面も悪い面も含めて→ 桝山社長が　必死に　もがいて 生きたさまに　触れたからだ。 うん　うまい。　カメ　食べてみろ。 うん。 ♪♪～ （男性）《こちらです》 ♪♪～

偽装の夫婦＃10

1 ＜常に絶やさない女王様ｽﾏｲﾙは 世を忍ぶ仮の姿＞ ＜実は とんでもない 人間嫌いだった嘉門ヒロは➡ ゲイであることを母に明かせない 陽村超治に頼まれ➡ 理想の… もとい 偽装の夫婦を 演じるはめになってしまったが➡ １年前に偽装結婚を解消し➡ お互いパートナーができたら 再会しようという約束も果たせ➡ これで心置きなく 親友として生きて行ける➡ …と思ったのに＞ (陽村超治) なぁ ヒロ｡ もう一度➡ あの夜に戻れないかな？ ヒロと離れたくないって 思うんだよ｡ お前のこと 身も心も愛せたら いいのにって思っちゃうんだよ｡ お前は どう？ (嘉門ヒロ) 分かった｡ ホントか？ だったら その前に➡ 保君に電話して｡ えっ？ もしホントに やり直すなら➡ お互い パートナーと ちゃんと別れるべきじゃないかな｡ あなたが保君に電話するなら➡ 私も しおりさんと由羽ちゃんに言う｡ 今 超治と一緒だって｡ ♬～ じゃあ もう遅刻だから｡ あ… なぁなぁ ヒロ ヒロ｡ あのさ あの…｡ もし 保君に話したら 考えてくれんのか？ 昨日のこと｡ 私は…｡ 超治を失いたくないの｡ えっ？ もし ２６年前みたいに➡ 超治が私を愛せないって 分かったら➡ 今度は もう 親友じゃいられない気がするの｡ また 私を傷つけたって➡ あんたが 前より何倍も落ち込むだろうし｡ だから 親友でいるのが一番いいんだよ｡ 私達｡ じゃあ｡ あ～ やっぱ 何か離れたくないなぁ｡ 何か言った？ えっ？ 別に 何も｡ アディオス｡ 何でスペイン語なんだよ｡ 《ヤッベェ》 ♬～ ただいま｡ (水森しおり) おかえりなさい｡ ごはん もうすぐ出来るから｡ 手 洗って来るね｡ どうだった？ 昨日｡ え？ 研修 大変だったんでしょ？ 疲れてるんじゃないかと思って｡ あぁ 全然 大丈夫｡ 見抜かれてる気がするのは なぜ？ えっ？ 何を見抜かれてるの？ えっ？ あっ あぁ…｡ あの～ ホントは疲れてるの 見抜かれてるのかなって｡ あぁ 何でバレちゃってるのかな～ と思って｡ 《いかん また心の声が》 (物音) あっ！ 何やってるの 由羽！ あっ 私が｡ ごめんなさい｡ (水森由羽) ごめんなさい｡ この子 早く大きくなって➡ ヒロちゃんみたいに なりたいって➡ この頃 牛乳ばっかり飲んでるのよ｡ ヒロちゃん｡ 由羽のこと 好き？ 好きよ｡ どのぐらい？ え？ あぁ うん…｡ 家族みたいに 大事に思ってる｡ ふ～ん｡ 《え～！》 どうかした？ え？ アハ… うん…｡ 別に｡ ♬～ やろうか｡ え？ 何を？ 結婚式 由羽ちゃんと３人で｡ いいの？ うん もちろん 超治や保君も招待して｡ ありがとう よかったね 由羽｡ うん！ (吉本) 相手は どんな方なんですか？ いつも由羽ちゃんと図書館に来る 水森さんです｡ (村上) じょ… 女性ですか？ ささやかなパーティーを 開きたいので➡ 皆さんにも 来ていただけたらと思って｡ あぁ…｡ (須藤) だったら うちの図書館どうでしょう？ え？ 使ってないスペースも 結構ありますし➡ 有効に活用できないかなって 考えてたんです ちょうど｡ 大丈夫ですか？ 上のほうは｡ 頑張って 許可もらいます｡ (真理) 何か館長 頼りがいのある 上司になりましたよね｡ あぁ… まぁ 正直➡ 都庁から出向して来た時は 嫌で たまらなかったんですけど➡ 今じゃ この図書館は 私にとって 生きがいそのものですから｡ 気付くの遅いけどね ジジイ｡ え？ すいません｡ (真理) 心のままに生きるって 決めたんですもんね 嘉門さん｡ ええ｡ すいません｡ こんにちは｡ (郷田八重子) あ～ら ヒロちゃん どうしたの？ うん あの みんなに報告があって 叔母さんは？ それがさ ２～３日前から 寝込んじゃってさ｡ 何か病気？ 違うのよ～｡ うちの子達とさ お馬さんごっこしてたらさ➡ 腰 痛めちゃって｡ 大丈夫ですか？ 叔母さん｡ (郷田照乃) 少し楽になったけど➡ この子達が こうして ず～っと へばりついてるから➡ 眠れやしなくて｡ ほ～ら あんた達 あっち行って ごはん食べて来なさいよ ほら｡ ねぇ はい｡ あっ ママさ ずっと この体勢で いたから つらいんじゃない？ ねぇ ちょっと 起きない？ ああ うん｡ そうだ そのほうがいいね ほら ちょっと いい？ 大丈夫？ 痛くない？ 痛たた…｡ あっ そうだ｡ 痛たた…！ ごめんね やだ ちょっと やだ～！ 大丈夫？ 痛くない？ (照乃) 痛い 痛い…｡ (八重子) 何か飲む？ 飲む？ 水でいいから ちょっと…｡ 静かに喋ってくれないかね？ ちょっと静かに｡ あ～ 痛い…｡ (八重子) はい ママ お水｡ 八重ちゃん 変わったね｡ え？ 何か 頼りになるお母さんって感じ｡ いや 私はさ もう 再婚しないって決めたからさ➡ こういうふうに家族のために これから頑張ろうかなと思って｡ (郷田天人) ホントは いくら婚活しても ろくな相手がいなかっただけだろ｡ うるさいわね！ 私はね 結婚っていう制度自体に 疑問を持っているの｡ 今やね 整備不良となって 操作不能となった➡ システムみたいな感じ？ 何を言ってるんだ？ お前は｡ あのさ 評論家みたいなこと 言ってんじゃなくてさ➡ 仕事はどうすんだよ お前｡ 実はさ ちょっと 今 考えてることがあってさ｡ 何？ 八重ちゃん｡ ２人とも笑わないでよ｡ おっ 珍しいね マジだね｡ 絶対 笑うな ２人とも｡ 笑わないから｡ 早く言えよ｡ 私…➡ 介護士になろうかなと思って｡ (照乃:天人) ハハハ…！ ハハハ…！ ちょっと ちょっと…｡ ちょっと ママまで笑わなくたって いいじゃないのよ～｡ だって あんまり あんたと懸け離れてるから｡ でも 本気なんだね 八重ちゃん｡ ママの世話してたらさ いろいろ困ってる人達を➡ 少しでも元気にしたいな～なんて 思っちゃったの なぜか｡ (天人) 確かに あれだよ 年 取って来るとさ➡ 耳が遠くなるっていうからね お前の そのバカデカい声はさ➡ 役に立つかもよ｡ そんな言い方しなくても…｡ 八重ちゃんのいいところは➡ どんな時にも ひるまない ってことじゃないかな｡ じゃあさ 欠点は？ そりゃ 山ほどあるよ｡ まずさ デリカシーを全く…｡ シャラップ！ 八重ちゃんの欠点は 私と一緒で➡ 自分以外の人を愛する量が➡ 足りなかったって ことじゃないかな？ でも見方を変えたら 八重ちゃんのここには➡ まだ いっぱい 愛が詰まってるってことだし｡ でもさ 何か 介護の資格取るのって➡ 結構 大変みたいなんだよね｡ それに 私 すぐ 勉強すると 眠くなっちゃうからさ｡ じゃあ うちの図書館に来て 勉強すれば？ 寝てたら たたき起こしてあげるから｡ そうしようかな～ ヒロちゃん 絶対 起こしてよ？ 起こすよ｡ (八重子) よかった～！ よかったね 叔母さん｡ 八重ちゃんが介護士になって くれたら 老後の心配もないね｡ そんなことより 用件は何なんだよ ヒロ｡ あぁ あの… 実は➡ 今度 うちの図書館で➡ しおりさんと由羽ちゃんと 家族結婚式をするので➡ ぜひ出てもらえないかなと思って｡ あ～ 出る出る！ ねぇ お兄ちゃん！ うん 行く行く｡ ありがとう｡ 本当にそれでいいんだね？ ヒロ｡ えっ？ 私は 相手が しおりさんだからとか➡ そういうことを 言ってるんじゃ ないよ｡ 超治って男のことが ここに これっぽっちも➡ 残ってないんだろうね？って 聞いてんだよ｡ の… 残ってません｡ あっ！ 何やってんの？ ヒロちゃん｡ もしかして二日酔い？ (照乃) いくら ごまかしても➡ 自分の心に ふたをすることはできないよ｡ (弟子丸) どうしたの？ ボ～っとして｡ え？ あ～ いや あの…｡ 仕事 どうしようかな～と思って｡ (弟子丸) 焦らず じっくり探せば？ たくさんの子供達を幸せにしたい っていう超治さんの気持ちは➡ 誰にも負けないんだから｡ ありがとう｡ [TEL](ベル) 出る｡ [TEL](ベル) [TEL](ベル) はい もしもし｡ もしもし 保君？ ヒロです｡ [TEL](弟子丸) こんばんは ヒロさん｡ 超治さんに代わりましょうか？ あ… うん 大丈夫｡ 代わらなくていいって｡ そう｡ はい 分かりました｡ おめでとうございます ぜひ 伺います｡ 失礼します｡ [TEL](通話を切る音) 何だって？ ヒロ｡ しおりさんと由羽ちゃんと３人で 結婚式やるから来てくれって｡ そう｡ 何か あんまり嬉しそうじゃないけど？ そんなことないよ｡ やった～！ う～！ (チャイム) あ～ 大丈夫 俺 出るから｡ あっ｡ (陽村華苗) こんばんは｡ どうしたの？ 母さん｡ (華苗) 付き合ってる人がいる っていうから気になって➡ 会いに来ちゃった｡ えっ？ いるんでしょ？ 今｡ あ… うん｡ あっ ちょちょ… ちょちょ… あの… あのさ➡ この前 ヒロと富山に行ったことは 内緒で｡ バキュ～ン｡ あっ｡ フ～｡ え？ ＯＫ牧場｡ (華苗) えっと 何ていうか…｡ はい｡ 超治の母です｡ 母さん➡ それ もう３回目だから｡ 分かってるわよ｡ えっと 何ていうか…｡ はい｡ あぁ… やっぱり緊張するから カメラ回していい？ え？ 何それ｡ あれから ゲイの人達のことを➡ いろいろ勉強しようと思って➡ 話を聞いたんだけど そしたら➡ 私達の周りに 同じ悩みを持ってる人が➡ い～っぱい いることが 分かったのよ｡ だから もっともっと話を聞いて➡ ネットで流そうと思ってるの｡ 素晴らしいと思います おかあさん｡ じゃあ 行くわよ｡ こないだまで あんなに元気なかったのに➡ ホント 立ち直るの早いんだから｡ あんたと同じＯ型だからね｡ じゃあ レディー アクション！ (華苗) ほら 何か喋って｡ そんなこと言われても… 何か質問してくんないと｡ (華苗) えっと じゃあ 保君は夢とかあるの？ 僕ですか？ えっと…｡ 笑われるかもしれないんですけど 正義の味方っていうか➡ この世界を少しでも良くできる ような人間になりたくて｡ 尊敬する人とか いる？ 今は ﾙｷｳｽ･ｸｨﾝｸﾃｨｳｽ･ｷﾝｷﾅﾄｩｽです｡ ルキウス･ク… ク…？ ﾙｷｳｽ･ｸｨﾝｸﾃｨｳｽ･ｷﾝｷﾅﾄｩｽ｡ 古代ローマの政治家で 普段は農業やってるのに➡ 国が危機になった時だけ ローマにやって来て➡ 平和が訪れたら また田舎に 帰って行った伝説の人物なんです｡ へぇ～｡ あっ それと➡ この本を薦めてくれた➡ 超治さんの親友の嘉門ヒロさんも 負けないくらい尊敬しています｡ あっ 私も大好き ヒロさんのこと｡ この前 超治と富山に来て 怒ってくれたのよ｡ ｢早く いつもの陽村華苗に 戻ったらどうなのよ｣って｡ え？ ちょっと 母さん｡ (華苗) あ～！ ごめん｡ ちょ… ちょっと トイレに行きたくなって｡ (ドアが閉まる音) 何で 言わなかったの？ ヒロさんと富山に行ったって｡ いや 別に 隠すつもりは なかったんだよ だけど ほら➡ 余計な心配かけちゃ いけないかな～と思って｡ だったら言わせてもらうけど｡ 何？ 富山から帰ってから 超治さんの 料理 あんまりおいしくないよ｡ えっ？ (須藤) 式が始まりましたら 由羽ちゃんと嘉門さんで➡ この階段を下りて来て 水森さんと合流して➡ 参列した皆さんの前に行ったら どうかと思うんです｡ 分かりました｡ 館長さん ありがとうございます｡ 由羽が大好きな図書館で 結婚式させていただけるよう➡ ご尽力いただいたみたいで｡ (須藤) いえいえ｡ (須藤) だって お２人が出会ったのは➡ この図書館なんですから｡ 今じゃ たくさんの人が 集まる場所になったんですよ｡ 嘉門さんのおかげで｡ いや…｡ (すみれ) おめでとうございます｡ 由羽ちゃんと３人で 結婚式やるんですってね｡ ありがとうございます｡ あの よかったら 原先生も 来ていただけませんか？ もちろんです 由羽ちゃん 久しぶりに一緒に本読まない？ (八重子) ヒロちゃん｡ ヒロちゃ～ん ヒロちゃん｡ どう？ 介護士の勉強 進んでる？ う～ん この子達の世話 しながらだからさ 忙しくてさ➡ 化粧する暇もなくて ごめんね こんな顔で｡ ううん 今のほうがステキだよ 八重ちゃん｡ あれ？ あっ 靴変わった！ (八重子) へっへっへ… かわいいでしょ？ もうさ いい年してさ 背伸びしても仕方ないからさ｡ それよりさ 気付いてる？ 他に まだ何か変わった所ある？ 違うわよ｡ さっきから 超治さんがヒロちゃんのこと➡ ずっと ジロジロ見てるんですけど～｡ 何やってんの？ あ… ちょっと 業務連絡があってさ｡ 何それ｡ 母さんが来て お前と富山に行ったこと➡ 保君にバラしちゃったんだよ｡ えっ｡ それで いずれ しおりさんにも 伝わるんじゃないかなと思って｡ 分かった｡ あと それと もう一つ 業務連絡がありますよ｡ 何？ 俺さ フリースクール つくろうと思って｡ フリースクール？ そう｡ いじめや病気で 不登校になった子供達に➡ 図書館で本読むみたいに➡ 自分のﾍﾟｰｽで好きなことを学べる 場所をつくりたいな～と思ってさ｡ 他の子達と うまく付き合えなくて➡ ｢あれ？ 自分って 普通じゃないのかな～｣って➡ 不安になってる子供達に➡ ｢みんなと違って超ラッキー！｣ って教えてやりたいからさ｡ どう思う？ とってもいいと思う 超治だから できることだと思うし｡ だろ？ そこにヒロっていう スーパー教師がいてくれたら➡ もう完璧なんだけどな～｡ 勉強から運動から音楽まで 教えられるし｡ 私も そうできた…｡ ん？ 何やってんだよ？ 別に｡ もしかして あれか｡ 心の声 出るの我慢してるとか？ じゃあじゃあ… 何だよ？ これ｡ あの… 昨日 転んで前歯折ったから…｡ ウソつけ！ 思ってることがあるんだったら 隠さず言やぁいいだろ？ こんにちは 超治さん｡ あ… こんにちは｡ 何の話？ え？ 結婚式に出てくれるように 頼んでたの｡ そう 来ていただけますか？ ええ もちろんですよ｡ 親友ですから 俺達 なぁ？ ヒロ｡ あぁ… うん｡ ありがとうございます｡ ヒロ｡ しおりさんと由羽ちゃんと ３人で幸せになれよ｡ ありがとう｡ じゃあ｡ ♬～ ♬～ あた…！ ちょっ… 何だよ？ ｢あた…｣って何だよ？ ｢あた…｣って えっ？ 言いたいことあるなら 言えばいいだろう！ あ…｡ あた…｡ し… しは…｡ やっぱり…｡ 超治と…｡ 離れたくない…｡ ハァ…｡ ごめんなさい… しおりさん｡ このままだと 私…｡ また 心の声を…➡ 隠して生きて 行ってしまいそうだから…｡ ハァ…｡ あなたと…➡ 結婚できません｡ ごめんなさい｡ (由羽) ウソだよね？ ヒロちゃん｡ 由羽ちゃん…｡ ウソって言って｡ ごめんね 由羽ちゃん｡ パパになってくれるって 言ったのに｡ ごめんなさい｡ ヒロちゃんなんか 大嫌い！ あっ 待って 待って 由羽ちゃん｡ 待って｡ 離して！ 自分が… 自分が身勝手だって 分かってる｡ こんなことしちゃいけない っていうのも分かってるの｡ でも…｡ 私 やっぱり 自分に正直に生きて行きたい｡ 超治のことが心の中にあるのに➡ ママと一緒にいちゃいけないと 思うの｡ 分かんない！ 何言ってるか！ 由羽ちゃん 由羽ちゃん｡ (泣き声) ごめんね｡ (泣き声) 悪いのはね 僕なんだ｡ (泣き声) ｢やっぱり離れたくない｣って ヒロに言っちゃったから｡ だけど ヒロと 一緒に生きて行くのを➡ 諦めるのは やっぱり嫌なんだ｡ ゲイなのに何言ってんだ？って 感じだけど でも➡ ヒロのことを➡ 身も心も愛するのを諦めるのは➡ 嫌なんだ｡ (由羽の泣き声) ゆ… 由羽ちゃん 由羽ちゃん｡ 私も たくさんの人を➡ 笑顔にしたいって思う 超治のそばで➡ 応援して行きたいの｡ たくさんの人を 幸せにしたいって➡ ２人で力を合わせて そうやって生きて行きたいの｡ 由羽は…➡ 由羽は幸せじゃ ない‼ (由羽の泣き声) 超治 どうしよう…｡ ハァ…｡ 結局 私達の言ってることなんて➡ きれい事なのかな？ 偽善なのかな？ 意味なんか… ないのかな？ (由羽の泣き声) 私は！ ホントに みんなに 幸せになってほしいのに‼ (由羽の泣き声) (照乃) ≪バカだねぇ≫ (由羽の泣き声) (由羽の泣き声) 自分が幸せじゃないのに ひとを幸せにできるわけないだろ｡ だから あの子に どんなに恨まれても➡ まず あんたが先に 幸せになるしかないんだよ ヒロ｡ (照乃) 由羽ちゃん｡ (照乃) 泣きたいだけ泣きな｡ でもね あんたにヒロの生き方を 決めることはできないよ｡ (照乃) 由羽ちゃんには由羽ちゃんの 生き方があるように➡ ヒロにはヒロだけの生き方が あるんだから｡ (由羽の泣き声) (指を鳴らす音) (由羽の泣き声) (由羽の泣き声) 由羽ちゃん ごめん 由羽ちゃん ごめん あのさ➡ あの… おじさんもさ ヒロちゃんの家族だからさ➡ ちょっと ヒロちゃんを 応援してあげたいんだよな｡ (八重子) 由羽ちゃん 私からもお願い｡ 私と お兄ちゃんね ヒロちゃんに子供の頃から➡ い～っぱい助けてもらったの！ 鬼ごっこで私が鬼だと わざと捕まって➡ 鬼 代わってくれたし｡ あとな あとな あの… うちの親が すごいケンカしてたら➡ 俺達に聞かせないように 大きな音楽かけて➡ 一緒に踊ってくれたりしてな｡ 私がね ｢おっぱいが大っきくなる 呪文があるよ｣って言ったらね➡ 一緒に １００回も唱えてくれたの！ ｢バストよ バスト 大きくな～れ｣って｡ やめろ あのさ それ 全然知らない そんなことやってたの？ 残念ながら私とヒロちゃんも あんまり効果なかったけどね｡ それ ホントに そう… いや そんなこと どうでもいいんだよ！ あのさ 子供の前で｢おっぱい おっぱい｣とか言うなよ バカ｡ (八重子) おっぱいじゃない だって…｡ (弟子丸) 由羽ちゃん 僕もフラれるからさ｡ ふざけんな この野郎って感じだけどさ｡ それでも超治さんと ヒロさんのこと応援したいんだ｡ だって これから やり直そうと思っても➡ また失敗するかもしれないのに それでもﾁｬﾚﾝｼﾞしようとしてる…｡ それに 僕は この２人のおかげで➡ 世界を平和にしたいと 大きなことを言いながらも➡ 街で困ってる人を 助けるみたいな➡ 小さなことを続けてもいいんだ っていう勇気を持てたからさ｡ あっ 由羽ちゃん あの 私からもお願いです｡ 何とか許してもらえませんかね？ そうよ ここに来れば いつでも私達に会えるじゃない｡ (小俣) 私 いつでも由羽ちゃんのために 本 読みますから｡ (郷田 愛:郷田 真) ん｡ (泣き声) (華苗) あ～｡ み～んな➡ いい顔してるわね～｡ いやいや… ちょっと 母さん 何やってんだよ？ (華苗) あんまり感動的な光景だから➡ ネットに流そうかと思って｡ (華苗) 由羽ちゃん 私ね➡ いい年して思うのよ｡ 自分は何て子供なんだろうって｡ 本当の大人になるためには➡ 寿命が何年あっても足りないって｡ だから 人生なんて ヒロさんと超治みたいに➡ 自分がやるべきことを 毎日 必死になって➡ やり続けるしかないの｡ 失敗したり 後悔することばっかりだけど｡ ミルクは こぼれても いちいち嘆いてる暇はないの｡ どうせ ミルクは こぼれるんだから｡ でもね あなたには➡ これだけの人がいる ってことだけは➡ 忘れないでね｡ ここにいるのは み～んな➡ 家族同然の人なんだから｡ (指を鳴らす音) サプラ～イズ｡ ウソ？ どこ行ったの？ ヒロちゃん 右のポケットを見てみて｡ (八重子) え～？ どうやったの？ お兄ちゃん！ ねぇ あれ ホントに本物？ 妹よ いろいろあるから あまり見るな｡ ♬～ ♬～ 早く 大人になりたいんじゃないの？ 由羽！ ヒロちゃんは 由羽のこと好き？ 好きだよ｡ どのぐらい？ このくらい｡ ♬～ (由羽の泣き声) (由羽の泣き声) じゃあ 行くね｡ ごめん｡ ゲイなのに またヒロと付き合うなんて➡ 自分で やっちゃいけないことを やろうとしてるってことは➡ 分かってるんだけど｡ 全然 大丈夫 正義の味方なら 超治さんの幸せのために➡ 身を引くのが 一番だと思うし｡ それに ヒロさんと超治さんなら 奇跡 起こせるって｡ ありがとう｡ 全然 大丈夫 正義の味方なら 超治さんの幸せのために➡ 身を引くのが 一番だと思うし｡ もしかして 酔っぱらってる？ うん…｡ 俺 実は フラれるの初めてなんだよね｡ 結構 キツいもんだね フフっ｡ ごめん｡ 全然 大丈夫 正義の味方なら 超治さんの幸せのために➡ 身を引くのが 一番だと思うし｡ それ ３回目だから｡ (弟子丸) 僕も新しいパートナー 見つけるから｡ より戻そうと思っても 無駄だからね｡ ♬～ (ドアが閉まる音) いろいろと ごめんなさい｡ もう 謝らなくていいから｡ それより もし超治さんが トライしてダメだった時➡ どうするの？ また 孤独な人間嫌いに 戻ったりしないよね？ どうして そんなに優しいの？ あなたは｡ 最初に会った時 言ったでしょ｡ ｢告白するって決めた瞬間 フラれるのを覚悟してる｣って｡ でも 最後に一つだけ言わせて｡ 何？ ふざけんな バカ！ あんたなんか 超治と うまく行くわけないじゃない！ 別れちまえ！ 別れちまえ！ 絶対 私と 付き合ったほうがよかったって➡ 後悔するに決まってるんだから‼ あ～ 何で こんな面倒で身勝手な女を➡ 好きになっちゃったんだろう 私｡ すっきりした｡ 心のままに生きるのって➡ つらいわよ｡ あの… コーヒー飲む？ あ… うん いただきます｡ あ… もしかして これ フリースクール関係の？ そうそう ＮＰＯ法人にするから 認可とかさ➡ あと スタッフだったり 場所 探したりとか もう➡ やることだらけで｡ 私にできることがあったら言って 何でもやるから｡ そう言うと思った！ ハハハ…｡ 取りあえず あの… 名前 考えてくんないかな｡ 自分でも考えたんだけどさ… なかなか いいの思い付かなくて｡ ねぇ｡ ん？ ｢ひとりぼっち｣っていうのは どう？ ｢ひとりぼっち｣？ さすがに それは まずいんじゃないか？ だってさ ここに来る子供達は➡ みんな 独りぼっちなんでしょ？ だったら 教えてあげたらいいじゃない｡ 独りぼっちが集まったら➡ もう独りぼっちじゃないんだよ って｡ 私は 超治のおかげで 独りぼっちじゃなくなったし➡ ここに来る子供達にも➡ みんな 私と同じように なってもらいたいから｡ なるほどな｡ ｢ひとりぼっち｣ いいね｡ うん！ いいよ いい！ やっぱり俺達 一緒にいると最強だな！ うん！ フフフ…｡ ハハハ…！ ヒロ～！ いやいや… ちょっと… 何やってんの？ いやいや… 今 だって ほら ちょうど盛り上がったし➡ こういうのは勢いが大事かなと 思って だって➡ ２６年前も こういうふうに 始まんなかったっけ？ 確か｡ そうだけどさ もう若くないんだよ 私達｡ そっか ごめん 何か… 悪かったね｡ いや 俺はね 善かれと思ってやったんだけど➡ でも そうだよね ２６年たったんだもんな…｡ あっ ごめん… ごめん 分かった あの えっと… じゃあ➡ もう一回やろう もう一回 仕切り直して｡ えっと… 私が フリースクールの名前を➡ ｢『ひとりぼっち』は どう？｣ って言いました｡ そしたら あなたが ｢俺達 ２人で 一緒にいると最強だな！｣➡ …って言いました で 私が ｢うん｣って答える｡ その次から行ってみる？ 行くよ？ よ～い スタート！ ヒロ～！ ねぇねぇ… ちょっと…｡ ん？ あの… 段取りっぽいのは やっぱり ちょっと…｡ 余計 入りにくいっていうか 何だろう ごめん｡ じゃあ 分かった！ あの… そっちのタイミングでいいから➡ あの… 先にベッドに行って 待ってるから 私｡ え？ いやいや… ちょっと ちょっと ヒロ ヒロ…！ いやいや ちょっと…｡ ほら 来て来て… あのさ…｡ ダメ もう すっごい プレッシャー感じる ごめん｡ ホント それはちょっと あれだわ 無理だわ｡ 分かった！ じゃあ あの… 前 おかあさんにもらった下着！ 下着 着けてみてもいいよ ほら この下着ね｡ パニック もう 見た瞬間パニックだから｡ ちょっと… 何？ それ 何で持って来てんの？ そんなの｡ じゃあ どうすればいいのよ！ そんなの分かんないよ 俺だって！ じゃあ ちょっと落ち着こうよ！ え？ ハグしていいか？ …って もうしてるけどな！ 取りあえず… 深呼吸しようよ！ うん… だね うん｡ フゥ～｡ やっぱり これが 一番落ち着くなぁ 俺達｡ うん｡ あ…｡ このままさ あっち行かない？ 電気 消して｡ そうだね｡ うん｡ あ痛っ！ ごめん ごめん…｡ いい… もうスリッパいいよ…｡ ごめん ごめん…｡ はい 消した… よし｡ 痛い痛い…！ ごめん ごめん｡ 超治？ 超治？ 超治？ ウソでしょ？ (ドアが開く音) あぁ… おはよう｡ ｢おはよう｣じゃないわよ｡ え？ どこ行ってたのよ｡ あぁ… いや…｡ トイレットペーパー 切らしてたから これ｡ もう…｡ え？ もう…｡ また いなくなったかと 思ったでしょ｡ ２６年前みたいに｡ あぁ… ごめん｡ ごめんな ヒロ｡ もう いいわよ｡ いや そうじゃなくて あの…｡ やっぱり 何ていうか ほら…➡ お前を…➡ 身も心も愛せなくて ごめん｡ ２６年前みたいに また➡ お前を傷つけたから｡ もうさ あの…➡ 俺のことなんて もう 見捨ててくれよ｡ これ以上 俺とかかわっても お前が苦しむだけだから｡ 私は…｡ 超治と一緒にいたい｡ え？ 超治は？ 俺も 一緒にいたいよ｡ でも…｡ だったら 肉体的に結ばれなくたって➡ そんなの構わないじゃない｡ いや… だけど…｡ 確かに このまま一緒にいても➡ 幸せになれないかもしれない｡ きっと また つらいことが いっぱい あると思う｡ あんたが 他の男の人を好きになったら➡ 身がよじれるほど 苦しむかもしれない｡ それでも➡ ２人でいたほうが➡ いいことが何倍も何百倍もあるし｡ 周りの人を たくさんたくさん 笑顔にできると 私は信じたい｡ 片手じゃ拍手できないって 言ったのは あんたでしょう？ じゃあ…➡ どういう関係になるんだよ？ 俺達｡ ｢親友｣とか ｢夫婦｣とか…｡ そんな呼び方なんて どうでもいいじゃない｡ 大事なのは 私達の絆でしょ？ いつでも 相手のことを思って 何があっても揺るがないで➡ お互いを信じて 味方でいることでしょ？ ホントにいいのか？ ヒロ｡ また お前を傷つけるかも…｡ ２回 泣かされたんだから➡ もう ３回も４回も一緒よ！ それに 失敗を恐れてたら 何もできないし｡ 私達は 私達らしく➡ 心のままに 生きるだけ生きようよ！ 周りに影響されないで お互いの個性を信じようよ！ それが 飛びっきり難しいこと だからこそ｡ ♬～ ただ一つ お願いがあるの｡ これからは毎日ハグをしてほしい｡ ｢ハグしていい？｣が 私達の｢愛してる｣だから｡ 私へのハグは 特別にしてほしい 私も そうするから｡ だから…➡ ハグしていい？ …って もうしてるけどな！ 結婚しよう 超治｡ ♬～ 私達が生きてる この世界に➡ 同じ人生なんて一つもないんだし｡ 俺達みたいな夫婦が いたって いいよな｡ うん｡ ♬～ (職員) では 書類に不備は ございませんので➡ こちらで受理させていただきます｡ おめでとうございます｡ あぁ… そうだ｡ 取っといてよかったよ｡ ♬～ 心の声 出していい？ 何だよ｡ フフっ｡ 実は ちょっと不安になってる｡ 自分で決めたものの ホントに大丈夫かなって｡ いや 俺も正直 ズシ～って➡ 責任で肩が重くなった感じ っていうのかな ハハっ｡ でも➡ みんなも私達みたいなもんかもね｡ うん… だな｡ ♬～ あぁ… そうだ！ あのさ➡ 母さんの投稿ビデオ見ようよ 最近 結構 人気あるみたいでさ｡ ある意味 運命の出会いって➡ これなのかなっていう 感じがしてまして｡ 一緒にいることが 自然過ぎちゃうんですね｡ なので 全てが自然で｡ 何か いない… ヨシユキが 僕の隣にいないことすら➡ もう 今 想像できなくなりましたね｡ 先に言えばよかった…｡ フフフ…｡ もう 言うのがホントに怖くて 直前まで 胃が痛くてね｡ で ２人で 一緒に言いに行ったんですけど｡ その時に お父さんが➡ ｢そうだったのか｣って… ね｡ ｢つらかったんだね｣って 言ってくれて｡ もう それがホントに嬉しくて｡ お墓どうしようかとか…｡ ハハハ…！ 現実的な｡ でも そろそろ そのくらいに なって来たら考えないと➡ …みたいな｡ まぁ でも そういうのを考えられるのもね➡ 一緒に考えられるのも…｡ そうですね｡ 別に… う～ん… 多分➡ ２０年後も 普通に 同じように 一緒にいるとは思うので｡ ｢何で結婚したの？｣って よく聞かれるんですけど でも➡ 結局これは 僕が 世の中に➡ ｢この人と 何があっても 離れることはないよ｣って➡ 宣言するためだと思うんですね｡ ひょっとしたらね また…➡ 他の男性に恋をすることは あるかもしれないですけど➡ でも 一番 大切なのは 彼女だっていうことは もう➡ これは 一生 変わらないことなので｡ 何か もう 今 この人 すっごい➡ 自分が いいこと言った っていう顔してますけど➡ これで ちょいちょい浮気してるもんね｡ ちょっと待って それ 言う？ 今… すぐ言う！ いや あれから 何年か たってるんですけど➡ 私達 そっちのほうは ないもんね？ そっちのほうは｡ ちょっと待ってよ… フフフ…｡ 心の声をせき止める門がね もう 全開になってるんで 最近｡ 何か もうね 毎日 答えと問いの連続ですよ｡ ｢何で こんな人と 一緒にいるんだろうな｣って｡ ｢もう別れちゃおうかな いや でも➡ 一緒にいると いいこともあるしな でもな～｣みたいな感じ？ でも 大事なのは➡ お互いを こう 理解しようとする 気持ちかな～って｡ だって人間なんてね 死ぬまで 自分以外の人のことなんか➡ ちゃんと 分からないのかもしれないし…｡ ひょっとしたらね その… お互いを理解し続けることを➡ ｢愛｣っていうのかもしれないしね｡ 今 私が喋ってんだけど それ 今 言おうと思ったのに！ あっ そうなの？ あっ そう！ ヒロ～！ ハグしていいか？

ボーイズ・オン・ザ・ラン＃04

1 （田西敏行）〈人生２７年目にして 初めて　本気の失恋をした俺は→ ちはるちゃんの新たな恋を　ただ 見ている事しか出来なかった〉 うわーっ！ （植村ちはるの声）青山さんに ふられちゃった。 （ちはる）田西さんと 付き合ってればよかった。 〈そんな俺に　再び チャンスが訪れるのだが…〉 俺　ちはるちゃんと　もう一度…。 出来たの！　…赤ちゃん。 〈ちはるちゃんには 青山との子供が出来てしまい…〉 〈青山の代わりに 中絶のサインをした俺は…〉 （青山貴博）「本当に 俺の子かどうかもわかんないのに→ こっちは 金出してやってんですよ？」 〈青山に宣戦布告したのである〉 お前を ぶん殴りに伺いますから！ （鈴木貫一）はい　完成。 これって　もしかして… ボクシング？ 殴りに行くんでしょ？ なんで…？ 社長に　教えてやってくれって 頼まれまして。 なんで　鈴木さんが？ 僕さぁ　ボクサーだったの　昔。 マジっすか！？ じゃ　実戦　行ってみますか。 だからな　この前な…。 おう。 あの人たち　迷惑ですね。 注意　出来ますか？ 無理です！ 前に　殴られた事があって…。 ケンカ強そうだし…。 （鈴木）そう！　ケンカは 強そうに見えた奴が勝ちます。 素人さんのケンカは 場慣れとハッタリです。 なるべく　相手の目を見て→ でもって　余裕があったら 笑ってください。　ねっ？ （男の笑い声） おい！　誰だ　コラ！ うう…　何してんすか！ （いびき） 寝てる。 鈴木さん？　す…！ おい　コラ。 《うっそぉぉぉぉ！》 おい　おい　おい！ まさか　てめえ→ 仕返ししに来たんじゃ ねえだろうな？ 家　どこだ？　免許証出せ　コラ！ あ～あ　マジ　頭痛いんですけど。 何見てんだよ。　キモイんだよ！ ひいいっ！ （男）ああっ！ なんだ　じじい！ （ブザー音） はいはい　見れました？　相手の目。 ち　ち…　ちらっとだけ…。 じゃ　いいでしょう。　はい　次。 あの　ここって…。 ありがとね ビール買ってくれて。 （櫻田会長）おお　鈴木　来たか。 久しぶりだな。 すいません　お邪魔します。 （櫻田）構わねえよ。 ゆっくり見てけ。 （宍戸　修）あ…。 （大巌　花）あれっ？ どうも。 （鈴木）階級差がありますね。 （櫻田）無理言って頼んだんだ。 まあ　こいつには ちょうどいいだろ。 （櫻田）ボクサー志望か？ （鈴木）いやぁ ちょっと色々ありまして。 あ　田西君　こっち　こっち…。 はい。 次の公式戦の対戦相手も サウスポーだから→ しっかり感覚つかんで。 それと　ウエイトあるから→ ジャブもらいすぎると あとから効いてくるよ。 （安藤　龍）いいから さっさと始めようぜ。 《彼を見て勉強しろって事か》 逆　逆。　田西君が見るのは 相手のボクサーです。 えっ？ しっかり見ていてくださいね。 （鈴木）勝負は　恐らく あっという間につきますから。 （ブザー音） （ゴングの音） （セコンド）よく見て　よく見て！ ガード！ 龍　何やってんの！ （レフェリー）ダウン！ 《えっ？　早っ！》 やらせますか？ はい。 龍！　足！ （吉良）うっ！ （レフェリー）ダウン！ 《うわっ　レベルが違いすぎる》 ちゃんとガードしろ！ 《いけ　いけ！　いけ！　いけっ！》 アゴ引け！ ♪♪～ あっ！ （レフェリー）ダウン！　はい　ストップ！ （セコンド）吉良！ （ゴングの音） （安藤）あんな奴　ウオーミングアップにも なんねえだろうが。 龍　０点。 （安藤）はぁ？ 足　全然使ってないし 大振りばっか。　ガードも甘い。 （安藤）チッ　うるせえな。 ハハハハハハ！ 花が　こんだけ入れ込むって事は→ いよいよ タイトルも夢じゃねえな。 こりゃ　源の再来だ。 （安藤）源？　誰だよ？ （櫻田）おうっ！ （修）花の前で　その名前出すなよ！ 悪い　悪い　悪い。 何？ （修）なんでもない。 どうもありがとう。 （鈴木）彼も　見た感じ そんなに若くない。 それでも　ここに来るまでに→ 厳しい練習を 何年も積んできたはずです。 それでも　手も足も出なかった。 ちょっとやそっと 練習したからって→ どうにもこうにも なるもんじゃねえ。 そこを見てもらいたかったんです。 僕に　やめろって 言いたいんですか？ 甘い気持ちで 考えているならですが。 無茶は重々承知の上です。 でも…　引き下がるわけには いかないんです！ 本当に　いいんですね？ はいっ！　僕に ボクシングを教えてください！ （ブザー音） ♪♪～ じゃあ　これつけて。 あの… グローブとか　ないんですか？ 本番は素手でやるんですよ？ 《そっか…　そうだよな》 教える事は　２つだけ。 ハッタリと　左アッパーです。 《ハッタリと左アッパー》 （鈴木）はい　打ってみて。 えいっ！　あっ　イタ…。 頭で考えてちゃダメです。 技術なんか　どうでもいい。 素手で相手のアゴを打ち抜けば ただじゃすみませんから。 はい！ 田西君の中にいる もう１人の君を引き出す。 ただそれだけです。 もう１人の　僕…。 （鈴木）勝つためには→ 練習以外の時間も 非常に大切です。 練習以外の時間…。 （田西正子）最近　帰りが遅いわねぇ 敏行。 （田西一雄）おしまい？ いや　そりゃ　やっぱり デートで忙しいんじゃないか？ やっぱり　そうかしら？ ≪（ドアが開く音） ≪ただいま～…。 （正子・一雄）あっ　帰ってきた！ （正子）おかえり～。 ねえねえ　ねえねえ　彼女とは…。 ちょっと　敏行　どうしたの！？ （寝息） （正子）寝てる？ 彼女と　一体　何やってるんだ？ 《もし　青山に勝てたら→ ちはるちゃんと ヨリ戻せるかな…》 《バカ！　邪念は捨てろ！》 《俺の目的は　あいつを ぶちのめす事だろ！》 あっ…　イテ…。 あ…。 聞きました。 青山さんとケンカするんですか？ やめてください！ 大体　なんで田西さんが→ そんな事するんですか。 関係ないじゃないですか。 関係なくない！ 好きな人　傷つけられて→ 黙ってられるかよ！ もう終わった事なの。 ちはるちゃん捨てられたんだよ！？ 捨てられたんじゃない！ せっかく忘れようとしてんのに 勝手な事して思い出させて→ 傷つけてんのは田西さんじゃん！ いや　あの…　だから…。 こんな事して　私が喜ぶと思った？ ヨリ戻せると思った？ バカみたい。 自惚れてんじゃねえよ！ こっちはな　青山に企画盗まれて 頭きてんだよ！ ちはるちゃんのためなんかじゃ ないから。 だったら私ともケンカする？ あの人にアイデア喋った私にも 責任があるんだよ？ 頭にきてるんでしょ？ ほら　殴れば？ もう勝手にして。 本当　嫌い。 《戦う目的が　なくなった》 《俺は一体 誰のために　こんな事を…》 （ちはるの声）別に 応援してるわけじゃないから！ おかず余っただけだから。 暴力反対！！ （ちはるの声）１０月１日に アパートを引き払って→ 田舎に帰ります。 《１０月１日！？》 《あと１週間で ちはるちゃんとは　もう…》 《本当に嫌いなら 弁当なんて作らないはずだ！》 《青山をぶちのめしたら→ ちはるちゃんに もう一度　告白だ》 《愛は無償じゃない。 有償だから頑張れるんだ！》 うわっ。 しょっぱ…。 マンモスさんの　４８手ちゃん 第２弾が今月末に出るんだって。 そしたら　お兄ちゃんとこのマシン また撤去してもらう事になるから。 （鈴木）これからは　いつでも ケンカをイメージしてね→ いつでも殴れるように 意識して相手を見る事。 （鈴木の声）いかに相手が無防備か っていうのが　わかりますから。 ねえ　聞いてんの？ 《確かに》 失礼します。 （男）あのさぁ…。 おい！ 男キャラ　交換してよ。 えっ？ もう３０回以上　回してんのに 全然出ないんだよ。 だから取り替えろって言ってんの。 それは うちの商品ではないので…。 《うわぁ　何こいつ！　危ねえ！》 《うん　逃げよう》 《いや　ダメだ！ ここは実戦練習だ》 これじゃあ　いつまでたっても ドッキング出来ないだろうがよ！ 《ハッタリと…　左アッパー！》 わああああああ！ イヤッ！　ごめんなさい ごめんなさい　ごめんなさい…！ （男）イテテテ！ イテ　イテ　イテ　痛い…！ 痛い　痛い…　痛い～！ ああ…！ 《青山！　まさか このタイミングで会うなんて》 《やばい　まだ心の準備が…》 （内木大樹）こいつ やっちゃっていいっすか　先輩。 （青山）お前は黙ってろ。 痛い　痛い　痛い　痛い…！ 大変失礼致しました。 どうぞ　こちら　差し上げます。 そうだよ 初めから渡せばいいんだよ。 （青山）大丈夫ですか？　田西さん。 ああ～。 （青山）あ　こいつ　僕の後任です。 ４８手ちゃんのヒットで　外回り 卒業する事になったんですよ　僕。 内木です。　「うちき」じゃないんで。 よろしくお願いします。 あ…。 《…って 何　受け取ってんだよぉ！》 （内木）１個　質問いいっすか？ 好きな女　寝取られるって どんな気分っすか？ （青山）内木　失礼だろ。 すいません　田西さん。 社会人にもなって→ バカみたいに ケンカふっかけたりして。 しゃ…　社会人だろうが→ ケンカ売らなきゃならない時は あるんだよ！ こっちは 好きな女　泣かされてんだよ！ （内木）本当にやる気あるんすか？ ケンカ売ってきてから もう何日も経ってますけど。 色々あるんですよ！ そんな事より→ 田西さん　今　チャンスですよ。 えっ？ 俺が　ちはる落としたの→ 田西さんが ソープ嬢の部屋にいるの見て→ 彼女がへこんでる時だったんで。 今なら彼女 落とせるんじゃないですか？ あ　忠告しときますけど あの女　結構うざいっすよ。 （内木）いいじゃないっすか。　毎日 手作り弁当持ってくるなんて。 しょっぺえんだよ　あれ。 人間の食うもんじゃねえ。 さっきから…！ さっきから黙って聞いてりゃあ！ うわああああーっ！ （青山）バカ。 なんでお前が手出してんだよ。 正当防衛っすよ。 大丈夫ですか？ 女の子を… 女心をもてあそぶ奴らの→ 施しは受けない！ いらないっ！ ♪♪～ 青山！ １０月１日！ １０月１日　伺ってやりますから！ １週間　首長～くして待ってろ！ それを言うなら　「首を洗って」だろ バーカ！ ♪♪～ （修）あっ…　それ　俺の分。 あっ　ごめん　つい…。 よく食べるねぇ。 いや…。 ここまで運動した事 人生でなかったんで。 こんなに腹減るもんなんですね。 おかわり。 あ…。 もしかして　お前って いじめられっ子？はぁ？ 弱そうなのに ボクシングやってる奴なんて→ 大抵　いじめられっ子か ダイエット目的だから。 ち…　違いますよ！ 違うよ。 ふう～ん。 そう言うシューマイこそ…。 お前と一緒にすんなよ。 だから　違うって！ （鈴木）田西君ね 今度　ケンカするの。 えっ？ 何？ ケンカするんだって。 なんのために？ えっ？ 《もちろん ちはるちゃんのためです！》 ちょっと貸して。 ５００円。 えっ？ 別に理由はないです。 ただ　男には→ やらなきゃならない時が あるんです。 そのケンカ　意味あんの？ 《意味？　ケンカに 意味なんているのか？》 ぶっ倒したいから ぶっ倒すんです。 絶対　無理。 そんな事ない！ ですよね？ んー…　一応　秘策用意してるしね。 秘策？ 僕　こういうもんです。 えっ？ うっ…　うううう～！ 利き腕で名刺を差し出して→ 油断した隙に 死角から左アッパー！ 名付けて サラリーマンアッパーです。 サラリーマンアッパー…。 かっけえ！ （修）だっさ！ チャンスは一度っきりの 一撃必殺です。 しっかりと練習してくださいね。 はいっ！ あの… もう１回　お願い出来ますか？ （鈴木）利き腕で 名刺を差し出して…。 （鈴木）はい！　はい！　はい！ ほら　アゴ引け！ はい！ はい　腰入れて　ほら！ 腰入れて！ 遅い　遅い！　もっと速く！ ♪♪～ （メールの着信音） ♪♪～ あっ　イテ…。 （田中の声）社長はケツ持つって 言ってたけどな→ 最悪の場合は　田西容疑者　２７歳…。 （一同）無職！ （田中）覚悟しておけよ。 ♪♪～ （青山）はい　わかりました。 今から　すぐ行きます。 はい…　はい。 ♪♪～ （鈴木）はい！　ほら　打て！　はい！ ナイスアッパー！ オーケー！　肩入れて！ はい！ もっと！　もっと　ほら！ はい！ （鈴木）はい！　もっと！　もっと！ ♪♪～ 〈そして　とうとう→ ちはるちゃん退社の日を迎えた〉 （吉久）よっ！　よっ！ 違う？ （田中）お疲れさまでした。 （ちはる）ありがとうございます。 《これで本当に ちはるちゃんとはお別れ…》 （田中）では　社長から ひと言お願いします。 （斎田）ない。 （田中）ありがとうございます！ よし！　今夜も　パーッと飲むぞ！ （一同）イエーイ！ ♪♪～（斎田・吉久・田中） 「生きてゆく笑顔の日々を」 ♪♪～「悲しい時だけに…」 （しほ）イエーイ！ イッテエ！ 何　今生の別れみたいな 顔してんだよ。 別に…。　っていうか　なんで 部外者のしほさんが　ここに？ ちはるの送別会なんだから 部外者じゃないだろ！ それより　こんな端っこいないで→ ちはるの隣　座ってやんなよ。 えっ？ いいから　いいから　いいから…。 しほさん！　しほさん！ アハハハハハ！ ダメですって！ よいしょーっ！ アハハハハハハ…！ （田中）イエーイ！ えっと…。 （田中）誰？ 今まで　お弁当ありがとうね！ 味付け　しょっぱくなかった？ 全然！　俺は めちゃめちゃ　うまかったです！ そう。 あの…。 明日は　その…　何時の電車に？ ７時に上野。 えっ？ ７時に上野！ そっか。 もうケンカはしないですよね？ ♪♪～『Ｃａｐｔａｉｎ　ｏｆ　ｔｈｅ　Ｓｈｉｐ』 誰入れたの？　これ。 ♪♪～ ♪♪～「生きて　生きて 生きて　生きて」 ♪♪～「お前の命は 生きる為に流れている」 ♪♪～「お前が決めろ お前が決めろ…」 （吉久）あいつ　本気っすよ。 （しほ）え？ 入社１年目で　生まれて初めて ソープ行った時も→ この曲で気合入れてたから。 ♪♪～「お前が舵を取れ！ お前が決めろ…」 頑張れ　田西！ ♪♪～「そうさ　明日からお前が Ｃａｐｔａｉｎ　ｏｆ　ｔｈｅ　Ｓｈｉｐ」 ♪♪～「ヨーソロー　ヨーソロー ヨーソロー…」 ちはるちゃんの前途を祝して！ （一同）バンザーイ！ （ちはる）ありがとうございます！ （拍手） 社長。 話があります。 じゃあね　ちはる。 えっ　しほさん　帰んないの？ うん　私　まだちょっと 飲み足んないから。 えーっ？　最後の夜ぐらい 女同士で色々話したかったのに。 やだよ　辛気臭い。 ちはる　なんかあったら いつでも私んちおいで。 うん。 （田中）ああ　植村　植村！ タクシー代だ。 いや　いいですよ。 ああ…　社長からだ。 （ちはる）えっ？ （田中）社長はな なんにも言わない人だけど→ 植村の事　ずーっと心配してた。 （田中）じゃあな。 ご迷惑おかけしました。 笑顔で帰れ　笑顔で！ （吉久）おお　ちはるちゃん お別れにチュー…。 ドーン！ （吉久）ドーンじゃねえよ　てめえ！ せっかくの泣きの別れ 台無しにしてんじゃねえ！ （しほ）ねえねえ 次　どこ飲み行く？ どこ飲み行きましょうか。 私　いいとこ知ってんだよね。 社長　行きましょう 行きましょう。 青山倒したら 上野まで見送りに行くから。 えっ？ 俺　絶対勝つから！ 無理だよ。　あの人　強いんだよ？ 前にデートした時も 不良に絡まれたけど→ 田西さんみたいに １人で逃げたりしないで→ ３人とも やっつけちゃったんだから。 利き腕で名刺。 油断したとこに 死角から左アッパー。 鈴木さん直伝の サラリーマンアッパー。 これさえ決めれば どんな奴でも倒れる！ 何それ　卑怯。 ケンカに卑怯もクソもない！ 本当に卑怯なのは　病院に 顔を出さなかったあいつだ！ なんでいつも 私の望まない事ばっかすんの？ え？ （ちはる）人の気持ちも考えないで→ 一人で決めて空回りして…。 本当　最悪。 だって…　じゃあなんで 弁当作ってくれたりしたんだよ！ 別に　田西さんが ケンカするために作ったんじゃない。 えっ？ 結局…　私の事 何もわかってくれなかったね。 もう二度と 会う事もないと思います。 出しちゃってください。 さよなら。 ♪♪～ （しほ）慰めてあげよっか。 え…。 （しほ）私は全然構わないけど 本当にいいのね？ はい…。 よろしくお願いします。 よし…。 じゃあ　すっきりさせてあげる。 （吉久）おお　田西 本当にやんのか　お前。 （田中）どうせハッタリなら 坊主にしろ　坊主に！ いえ！　泣く子も黙る→ 『タクシードライバー』の トラヴィスでお願いします！ 誰だ　誰？ 知りません。 知らないの？ デ・ニーロだよ　デ・ニーロ。 （しほ）よし！ じゃあ　いっちょやってみっか！ ♪♪～ やった～。 わあ～。 （田中）おお～ いいじゃねえか　おい。 （吉久・田中・しほ）ハハハハ…。 いいねぇ。 （しほ）よし　じゃあ決起会だ 飲も　飲も　飲も！ （吉久）飲みましょう！ はいはい～。 （吉久）じゃあ　何に乾杯しますか？ 《ああ　何やってんだろ…　俺》 （戸が開く音） 寒くない　頭？ ああ　少し…。 あの…　変な事聞いていいですか？ ん？ 奥さんとはその後 会ってないんですか？ ないよ。　一度も。 原因は　なんだったんですか？ パンチドランカーって　知ってる？ えっ　ああ… 殴られすぎたらやばいっていう。 僕ねえ…　現役時代 随分打たれちゃったのね。 でもって　時々→ 自分が何やってっか わかんない時あんのよね。 家ん中でも暴れて ひどかったみたい。 やっぱり…　よくないですよね。 暴力なんて…。 田西君には 無事に帰ってきてもらいますから。 全ては　最初の一撃です！ もし…　サラリーマンアッパーが かわされるような事があったら→ すぐに降参してください！ 出下座でもなんでもして 許してもらいましょ。 うん。 …はい。 （ゴングの音） 痛い！　悪かった　悪かったよ…。 だっさ！　あれだけ忠告したのに。 わあっ！ あのう…　巻きづらいんだけど。 すいません。 （鈴木）はい　完成。 ありがとうございます。 やめてもいいんだよ。 誰も責めないよ。 本当は意味ないって わかってるくせに。 はい…　正直今すぐ逃げたいです！ ケンカだって １回もした事ないし。 今まで　そういう事から ずっと逃げ続けてきましたから。 でも　ここで逃げたら俺… 一生逃げ出しそうで。 （鈴木）じゃあ　送ってくよ。 いえ　１人で大丈夫です。 ちょっと　走っていきたいんで。 大丈夫？　１人で行かせて。 ♪♪～ ねえ　マンモスってどこ？ 《どうせ勝ったって→ ちはるちゃんが 振り向いてくれるわけじゃない》 《負けたらきっと すげえ痛い思いをする》 《会社のみんなにだって いっぱい迷惑をかける》 《こんな事したって 何の意味もないんだ》 《なのに　なんで…》 《俺は一体 誰のために走ってるんだ！》 わあ～！！ （咳） 斎田産業の田西です。 今度はアポ取ってあります！ どういったご関係でしょうか？ そういう関係です。 そうですか。 ちょっと　おい　おい アポ取ってるんだぞ　俺は。 また君か。 またってアポ…。 （長谷川茜）あれ　田西さん？ アハハ　ちょっと何　この頭！ あっ　お待ちしてました。 （茜）すごいねえ　田西さん ちょっと見直した。 でも その格好じゃ完全に変質者だよ。 余計なお世話です！ まあ　そこまで思われるなんて→ 女として ちょっと　うらやましいかも。 頑張って！ 青山に　挫折を教えてやって。 あ　あっちの営業部にいるから。 ど　どうも。 （腹が鳴る音） 大丈夫？ あっ　あのお手洗いは？ あっ　下。 《ここまで来たんだ　腹くくれ！》 《練習したとおりに やればいいんだ》 （おならの音） 《つうか　屁しか出ねぇ～》 ≪（内木）先輩　どっち賭けました？ （社員）あ？ （内木） だから　今日　斎田産業のバカが→ 来るか来ないか。 一口五千円ですよ。 （社員）ああ　ああ　俺賭けてねえや。 内木は？ （内木）先輩も 来ない方に賭けましょうよ。 俺　あいつ生で見たんすけど→ ありえねえぐらい へタレでしたから。 （社員）マジで。 じゃあ　俺も賭けようかな。 （内木）まあ　これ聞いたら→ さすがに　あのバカでも 来るかもしれないですけど→ 実は　俺も植村ちはると やっちゃってるんですよ。 始めは青山さんと一緒に 飲むぐらいだったんすけど→ その女やたら青山さんの事 俺に相談してくるんすよ。 で　親身に聞いてやったら いつの間にかラブホ直行みたいな。 もう　超簡単で　ハハハ。 あんな女すら落とせないなんてね 斎田産業のバカ→ よっぽどキモイんでしょうね！ アハハハ！ ああ　なんか　むかついてきた。 あれ　先輩？ 先日は 名刺切らしてて失礼しました。 斎田産業の田西です。 え？ 《は　初めて人殴った》 《いける　これいけるぞ！》 《これで　あと戻り出来ない》 どうも　斎田産業の田西です。 株式会社マンモスです。 （青山）もしもし　内木。 なんだ　留守電かよ。 （青山）お～い いつまでトイレ行ってんだよ。 先行くぞ。 どうも　斎田産業の田西です！ 斎田？ 田西？ 田西って言った？ （青山）よっしゃ～！ なんだよ　青山の一人勝ちかよ。 ありがとうございます　田西さん。 おかげで　ちはるの疑惑の手術代 チャラになりました。　ハハハ。 《まずは　ハッタリだ》 結構　短くいきましたね。 似合ってますよ。 かっけ～。 モヒカン。 で　斎田産業さんが うちになんの用です？ 御社の青山さんと ケンカしに来ました。 あのねえ　うちの青山は とても優秀な人材でしてね。 くだらない事に時間さいてる暇は ないんですよ。 斎田産業さんと違ってね。 どの口が言ってんだよ。 あ？ 青山はな　うちの社員が考えた→ ４８手ちゃんのアイデアを 盗んでんだよ！ 青山　どういう事だ？ （青山）うわあ～ やる事エグイわ　あの女。 振られた腹いせに 僕が考えた企画　捏造してますわ。 困りますね～ 変な言いがかりは。 お前らマンモスはな→ ちはるちゃんのおかげで 飯食えてんだぞ！ ありがたく思え！ あんたらのおかげで 私たちが飯食えてる？ そうだろうが！ 青山　業務命令だ このケンカ　買ってやれ。 は～い。 マンモスの青山です お世話になってます。 本日１４時からの 打ち合わせなんですが→ 急な用が入ってしまいまして １５分遅らせて頂けませんか？ はい　ありがとうございます。 失礼します。 （社員）で　どこでやんの？ せっかくなんで 田西さんとの思い出の場所で。 え？ すいませ～ん。 ちょっとこの場所 空けて頂けますかね？ 殺せ　青山！ おい　ファミリー。 見せもんじゃねえぞ。 あっち行け。 僕たちは　彼のセコンドです。 なんだと！ （青山）いいじゃないですか。 俺　ケツあるんで サクッと始めましょうよ。 ね！ 《俺　まだ立ってる》 《大丈夫だ　いける》 《自信を持て》 《射程距離に入ったら　名刺を…》 どうも…。 斎田産業の…。 サラリーマンアッパー でしたっけ？ え？ いいぞ～　青山。 かっこいいな～。 《なんだ　これ！？》 （青山）本当やる事　エグイっすよね あの女。 せっかく覚えた必殺技 俺にチクるなんて。 （業者）じゃあ　これで 最後になりますんで。 ありがとうございました。 （ちはる）ありがとうございます。 ♪♪～ ♪♪～ 植村ちはるから 色々聞かされましたよ。 あいつ　やったあと 異様におしゃべりになるんで。 （青山）なんか　入社当時から→ 田西さんの視線感じて 気持ち悪かったそうです。 犬のＡＶ貸してきたり→ いきなり家に来て ウナギ料理作ったり→ 他人の結婚式で いきなり告ったり→ ドン引きですって。 でも邪険にしたら→ ストーカーになりそうで 怖かったって言ってました。 （青山）まあ　ストーカーは お前だって話ですよ。 会社に何度も電話してきたり マズイ弁当　毎日作ったり。 やめろ…。 まあ　体位４８手 リアルにコンプ出来たのは→ さすがでしたよね。 あの女　完全に リアル４８手ちゃんですね。 ああ～！！ ♪♪～ （青山）はい　絶対絶命。 土下座して謝ったら許してやるよ。 クソッ！ 笑わせんな　何くやしがってんの？ ちょっと練習したぐらいで 勝てると思ったわけ？ どうせ今まで２７年間　こんな感じで 適当にやってきたんだろ？ うすっぺらなんだよ　あんた。 クソッたれ～！ （青山）本当バカだな　お前。 きったねえ。 あ　ションベン漏らした。 作戦だあっ！ ♪♪～ ♪♪～ あれ…　俺…。 ほら　俺の言ったとおり。 負けたんですね。 せっかく教えてもらったのに…。 俺　一発も…。 （修）一発も当てられなかったって。 当たったじゃん。 ションベン。 （鈴木）そうです。 マウントポジションも崩せたし→ あれは　いいションベンでした。 ♪♪～ 色々　お世話になりました！ ♪♪～ おねえ？　うん それぐらいには　そっち着く。 わかった　じゃあね。 ちはるちゃん！ 田西さん！？ よかった　間に合って。 もうバカ　こんな顔ケガして→ 変な頭して　早く病院行かないと。 大丈夫だから。 これ食べて！ ごめん。 やっぱり… うまくいかないね　私たち。 でも　会えてよかった。 お別れの挨拶 ちゃんと出来てなかったし。 ちはるちゃん　俺…。 やっぱり君の事が…。 青山さんは？ 青山さんは　ケガしてないかな？ うん　俺… 一発も当てれなかったから。 よかった。 青山さんに教えた？ サラリーマンアッパー。 だって　それ伝えとけば ケンカにならないと思ったから。 田西さん？ はあ　そういえばさ…→ ちはるちゃん 青山さん以外のやつとも→ やったんでしょ？ だったら俺にもやらせてよ！ いいじゃん！ ２人も３人も一緒でしょ。 俺　キモイからさ…。 ちはるちゃんが入社した時から ずっと見ててさ。 妄想の中で 何度も　何度も　何度も　何度も→ ちはるちゃんと　やっててさ。 俺の夢だったんだ。 いいよ してあげるから　ホテル行こ。 触んじゃねえよ！ 何それ…。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （泣き声） （泣き声） デート！？ 試しに３日間　私に恋しない？ （しほ）完全に 恋のスイッチ入っちゃったんだ。 （修）うすっぺらだな。 男見せればいいんでしょ！ 見つけた！ 龍。 １人にすんなよ！ わあ～！

玉川区役所_OF_THE_DEAD＃11

1 ﾎﾞﾙﾄが現れた｡ (２人)うわ～！ ﾎﾞﾙﾄ～！ (みわ)はあ ごめんね 休みの日に｡ あのﾊﾞｶのせいで｡ (幸田)いいよ 気にすんなって｡ (晋助)でも なんで急に 耳がよくなったんだろう？ ⦅尚宏:なんか 耳鳴りが激しくなってきた⦆ 進化…｡ え？ 何？ 僕 進化してるんですか？ 全部聞こえてたの!? わ～！ 声 落として｡ すさまじい聴覚だな｡ とりあえず はい これ 耳栓｡ ありがとう｡ ２人の赤ちゃんのことなんだけど｡ 検査結果 出たの？ 陰性だった｡ は～！ よかった～｡ これも聞こえてんの!? ああ！ これくらいじゃ ﾀﾞﾒみたい｡ よかったって！ この子の父親 ｿﾞﾝﾋﾞになるのよ！ あ～！ 俺の声もうるさい…｡ うるさいよ…｡ やめて｡ あっ あ…｡ あれだけ進化してるのみると➡ 尚宏さん もう長くないと思う｡ そ… そんな｡ そうだ 絶対 大きな声出さないでね｡ 絶対！ うん｡ 子どもの心臓の音 聞こえるんじゃないかな？ あ～！ 自分だけ ずるい！ 幸田君…｡ 早く ｿﾞﾝﾋﾞを治す薬 作って｡ ああ｡ ああ あ～！ あ～！ ああ！ あ～！ あ～ あ～！ (大森) 着いた？ 誰かいる？ (町田)ｺｿｺｿしないで 堂々と降りてください｡ かえって怪しまれます｡ そうだな よし｡ (大川)洗濯物とかも…｡ あっ 大森課長｡ (大森)うん？ おはようございます｡ おお いやいや うん｡ あ そうだな おはよう｡ (田之倉)なんすか？ こんなｵｰﾌﾟﾝｶｰで 乗りつけちゃって これ え？ あれ ﾏﾁﾙﾀﾞさん？ おはよう｡ 今日もいい天気ね｡ (田之倉)え？ (ﾎｲｯｽﾙ) なんなんすか さっきの！ なんで➡ ﾏﾁﾙﾀﾞさんと一緒に 出勤なんですか？ だから ﾎﾞﾙﾄについて ｾﾝﾀｰと今朝 緊急会議があったんだよ！ いったい 何を疑うかな？ どうした？ 私の席の前に 集まっちゃって ﾊﾊﾊ｡ (渚)これ｡ 辞表？ 誰の？ (鳥越)立花さんです｡ (田之倉)ﾘﾝﾘﾝの!? うっ！ ｺﾞｰｺﾞｰｺﾞｰ 晋助 ｺﾞｰ！ ｺﾞｰｺﾞｰｺﾞｰ 晋助 ｺﾞｰ ｺﾞｰ！ 回れ 回れ！ 回れ 回れ！ 回れ 回れ 回れ！ そうだ よし！ が～んばれ！ が～んばれ！ 危ない 危ない！ ああ！ ｶﾞﾑﾃｰﾌﾟ ｶﾞﾑﾃｰﾌﾟ！ 晋助 待ってろ！ 手伝ってください！ ｵｰｹｰ ｵｰｹｰ！ が～んばれ｡ お前 おさえてろ わ～ 怖い！ う～｡ 捕獲完了｡ うう う～！ ﾌﾞﾁ殺す ﾌﾞﾁ殺す 大騒ぎするﾘﾝﾘﾝいないと➡ やたらｽﾑｰｽﾞだ｡ はい｡ でも そういうことじゃねえんだよな｡ はい｡ …あ 終わった？ ごちそうさま｡ はい ありがとうございます｡ 大将｡ はいよ｡ ﾗｼﾞｵつけて ﾗｼﾞｵ｡ はいよ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]次のﾆｭｰｽです｡ また走るｿﾞﾝﾋﾞが現れました｡ う～ ﾎﾞﾙﾄ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]先月から 広範囲にわたって出没し➡ 犠牲者を生み続けている 走るｿﾞﾝﾋﾞが➡ 今日未明 片瀬区の路上に出没｡ [ｽﾋﾟｰｶ]ｼﾞｮｷﾞﾝｸﾞ中のｻﾗﾘｰﾏﾝを襲い 殺害しました｡ [ｽﾋﾟｰｶ]現在 走るｿﾞﾝﾋﾞの捕獲のめどは 立っておらず➡ 今後 更なる被害の拡大が 懸念されています｡ ｺｿｺｿ辞表なんて出して 立花さんらしくない｡ ずっと部屋に引きこもって➡ それじゃまるで 小学校んときの俺と…｡ (凛)お兄さんの具合は どうですか？ え？ お兄さんの具合｡ どうですか？ あんまり よくない｡ お兄さんがｿﾞﾝﾋﾞになって 誰かを殺したら➡ 先輩は どうしますか？ そんなことはさせない 絶対に｡ ｿﾞﾝﾋﾞは殺さないといけないんです｡ なんで？ なんでもです｡ だから なんで？ なんで言わなきゃ いけないんですか？ 私 ｲﾔなんです｡ なんでもかんでも 自分のこと話すの｡ それでいったい 何が どう変わるっていうんですか？ 結局 自分のことは自分で➡ なんとかするしか ないじゃないですか！ 暗い過去分かち合ってもらって ﾎｯとして泣いたりとか➡ ﾑﾘです｡ 私 そういうの｡ わ わかった ごめん｡ もう聞かないから｡ で で 特別福祉課辞めて どうするの？ ﾌﾘｰのｿﾞﾝﾋﾞｷﾗｰになります｡ え？ いや でも それって犯罪だよ｡ そんなの余裕で知ってます｡ 今 こうしてる間にも➡ 被害は拡大してる｡ 立花さんの力が必要なんだよ｡ みんな 待ってるから 立花さんのこと｡ [ｽﾋﾟｰｶ](町田)はぁ また失敗したわ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]申し訳ありません｡ [ｽﾋﾟｰｶ](町田) 肉体の進化がみられる新種は➡ すべて使いなさい｡ [ｽﾋﾟｰｶ](２人)はい｡ (島尾)ｺｲﾂら いったい 何を企んでる？ できた 熱いよ 熱いよ！ おお すごい！ うまそう！ お兄さん｡ (みどり)尚宏さん？ うう！ 上で ちょっと休んできます｡ (晋市)ゆっくり休んで｡ すみません｡ なんか 思い出すな｡ お父さんもさ よく８ﾐﾘｶﾒﾗで 撮影してたじゃない？ ああ｡ 幼稚園の入園式のとき➡ もう その作り笑いは やめなさいって➡ そんな笑顔じゃ 人は感動しないって｡ 門のところで何度も何度も｡ でも そのおかげでお前➡ あの～ 結婚式 みんな感動してたじゃないか｡ そういえば お父さん 姉ちゃんの結婚式だけは➡ 一回もﾀﾞﾒ出ししなかった｡ そうね ね！ あのときのお前たちの笑顔には ｳｿがなかったから (笑い声) ﾌﾌﾌﾌ 今もないですけど｡ ｳﾌﾌ｡ だそうです 母さん｡ (笑い声) (晋市)いい笑顔だ ｱﾊﾊ｡ 明日も起きてきてね｡ また一緒に食べよう おいしい朝ごはん｡ うん｡ うっ うっ 私は！ ﾊﾞｶか!? みんなに！ 合わせる！ 顔が！ ない！ 私は！ 中２か!? すみません｡ (みどり)ほら 急いで｡ 姉ちゃんとお兄さんは？ 調子よくないから 部屋で食べるって｡ (食器が割れる音) ね 姉ちゃん どうした…｡ お兄さん…｡ うう…｡ お兄さん…｡ うう…｡ ああ！ (ｶﾞﾗｽが割れる音) 晋助！ ｼｯ ｼｯ！ ああ！ うう…｡ う～！ (ｶﾞﾗｽが割れる音) ≪誰だ！ 茶碗投げたのは！ 殺す気か ｺﾗ！ 待ってて ｶﾞﾑﾃｰﾌﾟとってくる｡ (晋市)はい はい そうです ああ よろしくお願いいたします｡ はい｡ みわ｡ 尚宏さんは？ 今 ２階で晋助が｡ 大丈夫だからね お兄さん｡ 幸田君とこに 行くだけだから…｡ 大丈夫だから｡ あ～｡ ごめんね｡ ちょっと なんですか！ なんですか！ ちょっと待って！ 待ってよ！ なんですか！ どういうことだ!? 献体同意書と申請書を ｾﾝﾀｰに送っただろう！ そう言われましても 私たちは➡ 町田管理官の指示で 動いてますので｡ 待ってよ｡ ちょっと待て！ そもそも なんでこのﾀｲﾐﾝｸﾞで ｾﾝﾀｰがここにいるんだ？ 町田管理官は 尚宏さんがｿﾞﾝﾋﾞになったと➡ どうやって知ったんだよ！ こんなに早く｡ すまない すまない｡ 晋助が襲われるんじゃないかと 思って 不安で➡ 私が大森課長さんに連絡を…｡ やっぱり 大森課長も｡ どういうこと？ 幸田君｡ 尚宏… 行かないで｡ とにかく彼はｳﾁの大学が｡ いいかげんにしてください！ 警察を呼びますよ｡ 町田管理官に言ってください｡ 尚宏 尚宏 ねぇ 聞こえてるでしょ！ ねぇ 戻ってきて｡ 尚宏 戻ってきて！ (大川)晋助｡ おい…｡ ふざけるな！ 晋助 ちょっと落ち着け｡ なんで お兄さんを➡ 連れていくんですか？ はぁ？ この期に及んで とぼけるのはやめてください｡ どういうことですか？ 幸田先生｡ ｾﾝﾀｰが お兄さんを 連れていきました！ 僕は再三にわたって➡ 新種のｿﾞﾝﾋﾞの献体申請を 行ってきましたが➡ すべて無視されました｡ 今回 尚宏さん本人の➡ 同意書 及び 献体申請書を 送ってるにもかかわらず➡ 問答無用で尚宏さんは ｾﾝﾀｰに連行された！ すべて 町田管理官と大森課長が 仕組んでるんじゃないんですか？ ちょ ちょっと待ってくれ なに言ってんだ さっきから…｡ (２人)とぼけないでください！ とぼけてなんかない！ 町田管理官が… 彼女が そんなことするわけがない｡ 何かの間違いだ｡ 今朝 赤羽君のお父様から 連絡をもらったとき➡ 朝早くて特福は まだ稼働してなかった｡ だから ｾﾝﾀｰの緊急窓口に 連絡をいれた｡ これが すべてだ｡ [TEL] はい 玉川区特別福祉課｡ えっ？ ｳﾁの区に｡ わかりました｡ ｳﾁの管轄に ﾎﾞﾙﾄが現れた｡ 残念なことに被害者も出た｡ すぐに出動してほしい｡ 赤羽君 幸田先生 町田管理官には私から➡ きちんと聞いておきます｡ (ﾎｲｯｽﾙ) すみません 遅くなって｡ おい お前｡ ｾｰﾌﾃｨﾋﾟﾝｸﾍﾙﾒｯﾄ どうした？ すみません｡ おい 晋助｡ しっかりしろよ ﾊﾞｶ！ ﾆｭｰ晋助 略して ﾆｭｰ助は どこ行った？ お前 また 旧晋助に逆戻りか！ あ？ お前 ｷｭｳってお前 古いほうの…｡ 古いって意味の…｡ すみませんでした！ すぐ戻ります｡ (拍手) いいよ いいよ！ (拍手) 緊急放送を流すときがくるとはな｡ (ﾁｬｲﾑ) [ｽﾋﾟｰｶ]特別福祉課より緊急警戒放送 この地域に凶暴な➡ 死なないご遺体が徘徊しています｡ 屋内に避難し…｡ ただいま｡ (佐津川) 町田管理官とは会えました？ ﾀﾞﾒだ どうあっても俺から 雲隠れを貫くつもりらしいな｡ お手上げだよ｡ 先生が開発中の治療薬の➡ 大きなﾋﾝﾄが 得られるかもしれないのに｡ 尚宏さんもな ここにいられりゃ➡ みわも いつでも 会いに来れたんだけど｡ そこまで考えて献体申請を？ うん ちょっとは見直した？ 管理官は いったい 何を企んでるんですかね？ もはや あからさまじゃないですか｡ あからさまに 私 怪しいこと やってますっていう感じで｡ もう彼女のことはさ ｷﾐの先輩の あの…➡ ｸﾞｲｸﾞｲくる なんだっけ ｳﾏｵさん？ ｼｶｵさん？ 島尾です｡ 彼に任せよう｡ それよりさ ﾜｸﾁﾝだよ｡ 新種のｿﾞﾝﾋﾞに襲われた人は やはり 新種として発症するんだよな？ はい みわさんを除いて｡ そっか… あれ？ 佐津川君 今のくだり もう１回いこう｡ 新種のって くだりからね｡ はぁ｡ 用意…｡ 新種のｿﾞﾝﾋﾞに襲われた人は やはり 新種として発症してるんだよな？ はい みわさんを除いて｡ そっか… あれ!? 先生？ じゃあ 感染してないの みわだけってことかい？ はい あと みわさんのお腹の赤ちゃん｡ 幸田先生！ ﾊﾞｶだ 俺！ 私もﾊﾞｶでした｡ どうして 今まで 気づかなかったのか｡ なんで 大事なこと 見落としてるんだろう｡ 長年 適当にやってきたからかな｡ ♬～ 驚いた｡ 新種のｿﾞﾝﾋﾞｳｲﾙｽは今までの 数百倍ものﾋﾞﾘｵﾝを持ってる｡ でも 見てみろよ 尚宏さんの ｳｲﾙｽがどんどん失活していく｡ みわの抗体がｿﾞﾝﾋﾞ抗原を 処理してるんだ｡ 先生｡ ｿﾞﾝﾋﾞｳｲﾙｽに対して みわは 圧倒的な免疫力がある！ すぐに培養作業に入ります｡ ｲｴ～ｲ やったぜ！ ｶｶｶ あ～｡ お前が見たってﾔﾂと同じか？ はい 間違いないです｡ なかなかのﾂﾗ構えだ｡ ﾀﾀﾞﾓﾝじゃないですよ 完全に｡ ｱｲﾂって 晋助より速いんだよな？ はい｡ どうしましょう？ う～ん｡ よし おらあ作戦でいくぞ｡ おらあ作戦ですか？ ずいぶん古い手ですね｡ ｼﾝﾌﾟﾙ ｲｽﾞ ﾍﾞｽﾄだ｡ なるほど｡ おい ｽﾏﾎ貸せ ｽﾏﾎ｡ 地図 地図｡ あぁ｡ あぁ｡ この先が行き止まりだ｡ なんとか ここに 追い込むしかねえ｡ だったら よし！ 何してんの？ 前から思ってたんですけど➡ これ 動きづらくて しようがないんですよ｡ そうか？ よし！ 俺が おとりになって➡ ｱｲﾂを誘導します｡ おう 大丈夫か？ 僕は ﾆｭｰ助です｡ うわ！ あぁ！ ﾆｭｰ助！ はい｡ 絶対 ｺｲﾂを背後から捕まえてやる｡ 行ってくれるな？ はい｡ 骨は拾ってやる｡ はい…｡ よし｡ (ﾁｬｲﾑ) [ｽﾋﾟｰｶ]特別福祉課より緊急警戒放送｡ [ｽﾋﾟｰｶ]この地域に凶暴な死なない ご遺体が徘徊しています｡ [ｽﾋﾟｰｶ]屋内に避難し ﾃﾚﾋﾞ ﾗｼﾞｵ…｡ よし 行け！ 行きます！ ﾎﾞﾙﾄ～！ あぁ！ あぁ！ おらあ！ うわ 来た来た！ おらあ!! うっせえよ 晋助｡ すみません｡ あっ｡ おらあ! ちょ… うわ 来た来た｡ おらあ!! お前 うっせえよ 晋助｡ おらあ！ ｷｬｰ!! え～｡ 立花さん！ ﾘﾝﾘﾝ！ 逃げて｡ ありがとうございます｡ どうして ここに？ 大森課長から聞きました｡ 柄にもなく いじけてて すみませんでした｡ いいとこ とんじゃねえよ｡ 大川さんのいいところなんて 一度も見たことないですけど｡ おぉ ﾘﾝﾘﾝ ﾌﾞﾁ殺しちまえ｡ あぁ ﾀﾞﾒだﾀﾞﾒだ 殺しちゃﾀﾞﾒだ｡ くっ…｡ ｶﾞﾝ ﾒ～ﾝ！ 立花さん｡ 危ない！ 晋助いけ 晋助もいけ！ ﾘﾝﾘﾝ 危ねえ 危ねえ｡ 晋助｡ うぁ～！ 立花さん！ ﾎﾞﾙﾄ おい｡ よし ﾅｲｽだ！ ｽﾞﾝ！ ﾄﾞｳ！ よっしゃ～！ やった～ 立花さん！ よっしゃ～！ すげえ 立花さん すげえ｡ 放して！ ⦅ 泣くな 男がみっともない！ ﾌﾞﾁ殺す！ ﾘﾝﾘﾝ おそば好き？ はい｡ 人間を襲って食べる ｺｲﾂらのどこが…｡ 私には家族が｡ 私は ｿﾞﾝﾋﾞを殺します ⦆ やめろ！ おい ﾘﾝﾘﾝ｡ うぁ～！ おい 晋助 晋助！ 晋助 おい！ 晋助｡ おいおい お前 お前…｡ おい おい ﾘﾝﾘﾝみろ ﾘﾝﾘﾝみろ｡ 救急車呼んでくる！ 立花さん…｡